GX plus!
6話〜

製作者:カオスマンSPさん






新キャラ紹介

 疾風 雷人
『雷部』に所属し、『電池メン』デッキを操る青年。可愛い娘に馴々しく話し掛けてくる。



第六話 心にスパーク!(前編)

デュエルアカデミア星海校の全校生徒は、校長先生の話を聞くために、デュエルドームに集まっていた。

「全校生徒諸君。今日、ここに集まってもらったのはほかでもない。このデュエルアカデミア星海校での生活で、デュエリストとしての技能を研いてくれたと思う。だが、大きな目標がなければ、人は成長することはできない。よって、二ヵ月後に、わが校の人……ゴホッ、わが校のデュエリストレベルの向上のために、大会を開くことにした!」

「おおおおお!」
と、多くの生徒は喜びの感情をあらわにした。


「なお、その大会は、あの『決闘者の王国』のルールをモチーフにした、この島すべてを舞台にしたサバイバル戦だ!名付けて、『スーパージェネックス』!」

「何か、安易な名前ッスね……。でも、面白そうッスね!ジュン!」
「ああ、そうだな。カムイ。……名前は安易だが。」


「また、その大会で三位までに入ったものは、あのデュエルアカデミア本校から選ばれた三人と戦う権利が与えられる!」

「デュエルアカデミア本校?何だそれは?」
「ああ、あの遊城十代さん達がいた高校のことッスよ。……でも、遊城十代さんに代表される黄金世代がいなくなった本校に、強力なデュエリストが三人も残っているんスかね?」
「そんなこと、俺に聞かれても困るぜ。」


「もう一つ、今、君たちが使っているデュエルディスクには、デュエルの時間短縮のために、カードの効果を公表されなくする、ブラインドモードが設定されているが……、それでは、自らの知恵をしぼって行うデュエルをしにくいと判断した!よって、そのブラインドを解除するコードを教えよう!デュエルディスクのライフポイントが表示される部分に、『0335』と入力するのだ!」

「『0335』ッスね。0…3…3…5……」

ピピッ。

『デュエルディスク、ブラインドモードガ、カイジョサレマシタ。』
と、無機質なアナウンスが、デュエルディスクから流れた。
「あ。解除されたみたいッスね。」

「では生徒諸君。大会に向けてデュエルに励むように。以上。」



カムイとジュンが、『戦士部』に帰ろうとしている時……

「よっ、カムイ。『スーパージェネックス』、楽しみだな!」
「あっ、センリ。ちょっと聞きたいことがあるんスが。」
「ん?何だ?」
「デュエルアカデミア本校で、誰か有名な在校生って、いるんスかね。」
「んー、まあ、一番の有名どころは……エド・フェニックスだな。何せ、俺達と同年代の頃から、プロで活躍してるんだからな。」
「ああ!あの『D−HERO』使いで、遊城十代さんのライバルの!そういえば、エド・フェニックスも、本校の生徒だったッスね!」
 カムイは、ああ、なるほど!……といった感じの表情になった。

「だが、その一人だけなのか?三人いなければいけないのだが。」
「そうだな。……まあ、俺が個人的に注目している生徒がいるんだが、知りたいか?」
 センリは、ジュンの質問に対して、少し笑いながら言った。

「ああ、知りたいッス!」
「そうか。じゃあ、教えてやるぜ。ほら、こんな娘だ。」
と、センリは、微妙に青味がかかった黒髪で、赤い制服を着た女の子の写真をカムイとジュンに見せた。

「……誰ッスか?この女の子は?」
「ああ、早乙女レイって娘だ。去年、小卒で入学して、今、学年は俺達より一つ上だ。」
「ん?義務教育は中学までのはずだ。何で小卒で高校に入れるんだ?」
「ま、まあ、その辺りは気にすんなよ。可愛いんだから。」
「おいおい……。」
 ジュンは、センリの言葉に、少しあきれているみたいだ。

「んー、見た目的に、リナより少し年上に見えるんスが。」
「そりゃあ、リナが幼児体型なだけだろ。」
「……リナに聞かれたら、思いっきりひっ叩かれるッスよ。」
 カムイの表情が、少し引きつった。



ピピピ……ピピピ……

「おっ、電話だ。
」と言いながら、センリは、ポケットの中に入っていたDCT(デュエリストコミュニケーションツール)を取り出した。

カチャッ。

「センリ!あたしが幼児体型って、どういうことよ!」
「リ、リ、リ、リ、リナ?な、な、な、な、何のことだ?」と、センリは、とても動揺した声で答えた。
「とぼけないで!あたし、すっごく怒ってんだから!……あっ、そうそう。今、あたし、変な奴にナンパされてるんだけど……」
「変な奴っていうな!俺にはちゃんと、『疾風雷人』って名前があるんだよ!まったく……。リナちゃん、俺さ、一目君を見たときに、俺の心がスパークしたんだ。そうだな……。例えるなら、『サンダー・ボルト』級の衝撃がな……」
「じゃあそのまま、ショックで倒れちゃいなさい!」
「はっはー!きっついこと言うな!だが、そんな君が、可愛いぜ!」
「って感じの奴なんだけど……ちょっと、こっちに来てくれない?」

ピッ。



「仕方ないッスね。行ってみるッスか。」
「そうだな。」
「俺、行きたくないんだが……。」









 カムイ達は、リナの所に歩いていった……。

「リナー、大丈夫ッスかー。」
「あっ、カムイ。来てくれたの?ありがと。」
「ん?誰だ?そこでうずくまっているのは。」
と、ジュンが尋ねた。その青年は黄色い帽子をかぶっていて、茶色いジャケットと白いTシャツ、青いジーパンを着ていた。

「ああ、こいつが、さっき話してた奴よ。一発蹴りを入れただけで、こうなっちゃったの。情けないでしょ。」
「うっ……、俺、そろそろ『アンデット部』に帰りたくなってきたぜ……。」
と、センリは明らかに恐怖で引きつった顔でそう言い、その場を離れようとした。

「あっ、センリ!ちょっと待ちなさい!」
「待てといわれて、誰が待つかー!」
と、センリは脇目も振らずに逃げ出した。



「まったく。……ちょっと、さっきは言いすぎたって、謝ろうと思ったのに。」
と、リナは残念そうな表情で言った。


「くっ……、今のは効いたぜ……。」
と、苦痛に顔を歪めながら、雷人が起き上がった。雷人の身長は思ったよりも高く、1メーター80ぐらいだ。

「ぎゃー!生き返ったッスー!」
「って、死んでないわい!……お前、もしかして、カムイって奴か?」
「そうッスよ。」
「くっ……、頼りなさそうな奴だぜ。お前みたいな奴を、リナちゃんが気にしてるとはな。」
と、雷人は苦々しそうに言い放った。

「ん?どういうことッスか?」
「お前なんかに、リナちゃんは渡せないぜ!デュエルで、どっちがリナちゃんを手に入れるのか、はっきりさせようぜ!」
「ええ!そう言うのって、本人が決めるもんだと思うんスけど。」
「そんなこと関係ねえ!デュエルだ!カムイ!」
「……仕方ないッスね。じゃあ、始めるッスか。」

「「デュエ……」」
 カムイと雷人はデュエルディスクを構え、デュエルを始めようとしていた。その時……



「君達、もうすぐ授業が始まるよ。早く自分の部に帰って帰って!」
と、黒部先生が注意した。

「くっ、時間切れか。しょうがない。カムイ。今日の八時半に『雷部』の前にこい。そこで決着をつけてやる!……逃げるなよ。」
「ああ!分かったッス!」









 午後八時ごろ、カムイとリナは、『雷部』の前に向かっていた……。

「まったく。妙なデュエルに巻き込まれちまったッスね。」
「でもさ、そんなこと言いながら、ちゃんと来てくれたじゃん。他の二人は来てくれないのに。」
「ああ……。センリは、『今日は出かける気分じゃない。』って。ジュンは、『興味がない。』って言ってたッスから。」
「そっか。……ねえ、カムイ。こうやってあたしと二人っきりでいるのって、初めてじゃない?」
「まあ、そうッスね。……でも、オレと雷人がデュエルするのって、どうも腑に落ちないんスよね。」
「どうして?」
「何かさ、オレ達のデュエルで、リナのこれからが決まってしまうような気がするんスよ。人生ってのは、自分で切り開いていく物なのに。」
「何言ってんの。そんなこといちいち気にしてたら、一生恋愛できないじゃない。」
「ふーん、そうなんスか。」
 リナの言葉に、カムイは疑問を抱いているようだった……。


「よう、やっと来たか。カムイ、リナちゃん。」と、雷人が呼び掛けた。
「雷人!どうしてここに!?」
「どうしてって、ここが『雷部』の前だからさ!」
「何!このカラオケボックスみたいな所が『雷部』の宿舎なんスか!」
と、カムイは驚きの声をあげた。

「しょうがねえだろ!俺達みたいな、人数の少ない部には、お前達の『戦士部』や『魔法使い部』のようなマンション風な宿舎は、必要ねえんだよ!」

カムイ達がいる所の周りには、多くの簡易住宅があった。どうやら、簡易住宅は一人に一つずつ割り当てられているようだ。



「さて、デュエルだ!カムイ!」
 雷人は左手をカムイのいる側へと突き出し、デュエルを行う構えに入った。

「ああ!いいッスよ!……と言いたいところッスが……、デッキ、忘れちゃったんスよ。」
と、カムイは恥ずかしそうに答えた。

「何ぃ!……と言うことは、俺の不戦勝ってことになるぜ!」
「ちょ、ちょっと待ってほしいッスよ!」
「おいカムイ、お前のような間抜けに、発言権はない!引っ込んでろ!」
 雷人は挑発的に言い放った。

「カムイは間抜けなんかじゃないわ!」
と、リナは反論した。

「何言ってんだ、リナちゃん。この状況で、間抜けと呼ぶ以外、何があるんだ?」
「カムイ、さっき言ってたよね。『人生ってのは、自分で切り開いていく物だ』って。つまり、あたしに戦ってほしいから、わざとデッキを忘れたんだよね!」
「そう言うことッス。」
「な、何だと!……まあ、いいだろう。カムイの代わりに、リナちゃんが戦うこと、認めてやろうじゃねえか!」
「分かったわ!見ててね、カムイ!あたしは、自分の力で、人生を切り開いてみせる!」



『デュエル!』

 先行は、リナだった。
「あたしのターン、ドロー!手札から、『白魔導士ピケル』を召喚するね。」


白魔導士ピケル
光 レベル2
【魔法使い族・効果】
自分のスタンバイフェイズ時、自分のフィールド上に存在するモンスターの数×400ライフポイント回復する。
攻撃力1200 守備力0


「おお!ブラインドモードが無くなって、カードの効果がよく分かるようになったッスね!」
「さらに、ピケルちゃんに『魔導法具(マジカルキット) ハーフステッキ』を装備させるね。」


魔導法具(マジカルキット) ハーフステッキ
装備魔法
自分の場のレベル2以下の『魔導士』と名のつくモンスターにのみ装備可能。このカードを装備したモンスターが戦闘を行うことによって受ける自分への戦闘ダメージは半分になる。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。


「先行1ターン目は守りを固める……。基本ッスよね。」
「そうでしょ。カードを二枚場に伏せ、ターンエンドね。」

「俺のターン、ドロー!はっはー!このデュエル、俺の勝ちかもな!」
「ええ〜!」
と、リナはびっくりして、声をあげた。

「手札から、魔法カード、『おろかな埋葬』を発動し、デッキから、『電池メン‐単五型』を墓地に送るぜ!」


おろかな埋葬
通常魔法
自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。その後デッキをシャッフルする。


「さらに、魔法カード、『充電機』を発動!500ライフポイントを払い、墓地から、『電池メン‐単五型』を特殊召喚!」
 雷人の支払ったライフポイントが電力に変わり、墓地の『電池メン‐単五型』にエネルギーを与えた!


充電機
通常魔法
500ライフポイントを払う。自分の墓地から『電池メン』という名のついたモンスター1体を特殊召喚する。


「さらに、『電池メン‐単五型』が特殊召喚されたことにより、手札から、速攻魔法、『地獄の暴走召喚』を発動!デッキから、『電池メン‐単五型』を二体特殊召喚するぜ!」
 『充電機』によって復活した『電池メン‐単五型』につられ、デッキから同名カードが場に集結した!


地獄の暴走召喚
通常魔法
相手フィールド上に表側表示モンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体の特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。その特殊召喚したモンスターと同名カードを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。相手は相手フィールド上のモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。


「リナちゃん。『電池メン‐単五型』の効果、教えてあげるぜ。それは、場の雷族の攻撃力を500ポイントアップさせる!さらに、場の他の『電池メン』と名のつくモンスター一体につき、攻撃力が1000ポイントアップするんだぜ!」


電池メン‐単五型
光 レベル5
【雷族・効果】
このモンスターがフィールド上に存在する時、自分フィールド上に存在するすべての雷族モンスターの攻撃力と守備力は500ポイントアップする。また、自分フィールド上の『電池メン』と名のつくカードが全て攻撃表示だった場合、自分の場の他の『電池メン』1体につきこのカードの攻撃力は1000ポイントアップする。自分フィールド上の『電池メン』が全て守備表示だった場合、自分の場の他の『電池メン』1体につきこのカードの守備力は1000ポイントアップする。
攻撃力0 守備力0


電池メン‐単五型×3 攻撃力0→3500

「さらに、手札から、『電池メン‐単三型』を召喚!」


電池メン‐単三型
光 レベル3
【雷族・効果】
自分フィールド上の『電池メン‐単三型』が全て攻撃表示だった場合、『電池メン‐単三型』1体につきこのカードの攻撃力は1000ポイントアップする。自分フィールド上の『電池メン‐単三型』が全て守備表示だった場合、『電池メン‐単三型』1体につきこのカードの守備力は1000ポイントアップする。
攻撃力0 守備力0


「俺の場のモンスターの攻撃力を教えてあげるぜ。『電池メン‐単五型』三体は攻撃力4500!『電池メン‐単三型』は攻撃力2500だ!」

電池メン‐単五型×3 攻撃力3500→4500
電池メン‐単三型 攻撃力0→2500

「う、嘘でしょ〜!1ターン目から、そんな強力な集団を出すなんて〜!」
と、リナは驚いていた。

「いくぜ!『電池メン‐単三型』で、『白魔導士ピケル』に攻撃!単三バッテリーアタック1.5V!」
『電池メン‐単三型』の攻撃を『白魔導士ピケル』は『ハーフステッキ』で受けとめようとするが、強力な電圧に耐え切れず、『ハーフステッキ』が破壊されてしまった。

「うっ……、『ハーフステッキ』の効果であたしへのダメージは半分になったけど……まだ攻撃力4500が三体も残っているなんて〜!」(リナLP 4000→3350)
「ああ!『電池メン‐単五型』で、『白魔導士ピケル』に攻撃!単五バッテリーアタック6V!」
攻撃力4500の『電池メン‐単五型』が放つ電圧により、『白魔導士ピケル』は一瞬で破壊されてしまった。

「きゃあぁぁ!」(リナLP 3350→50)

「まずいッスよ!リナ!もうライフが50しか残ってないじゃないッスか!」
「わ、分かってるわよ〜!そんなこと!」
「終わりだ!『電池メン‐単五型』二体でダイレクトアタック!ダブル・単五バッテリーアタック6V!」
「うっ……、一体の攻撃は、伏せ罠『ドレインシールド』で無効にして、ライフポイントに変換するね……。」(リナLP 50→4550→50)


ドレインシールド
通常罠
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分の数値だけ自分のライフポイントを回復する。


「なるほど。……リナちゃん!このカードで、引導を渡してやるぜ!魔法カード、『雷鳴』を発動!俺の心の叫び、リナちゃんに届けー!」


雷鳴
通常魔法
相手ライフに300ポイントダメージを与える。


「ふ、伏せ罠カード、『ピケルの魔法陣』を発動して、『雷鳴』のダメージを無効にしちゃうんだから!」 雷人が起こした雷鳴は『ピケルの魔法陣』に阻まれ、リナに届くことはなかった。


ピケルの魔法陣
通常罠
このターンのエンドフェイズまで、このカードのコントローラーへのカードの効果によるダメージは0になる。


「くっ、俺の気持ち、届かなかったか……。カードを一枚場に伏せて、ターンエンドだ。」
「な、何とか凌いだみたいッスね……。ここから、逆転できるんスか?」



第七話 心にスパーク!(後編)

現在の状況……

リナ LP…50
手札…2枚
場…無し
雷人 LP…3500
手札…0枚
場…電池メン‐単五型×3(攻撃力4500)
電池メン‐単三型(攻撃力2500)
伏せカード一枚


「な、何か、もう勝負が決まってしまったような感じッスね……。」
「大丈夫大じょ〜ぶ!まだ逆転できるカードが手札に残ってるからね〜!」
「(何か……、半分ヤケになっているようにも見えるんスが……。)」
 カムイは、リナが負けてしまうのではないかと心配していた。
「逆転のカードか。『ライトニング・ボルテックス』のような、邪道なカードはやめてくれよ。」
「何言ってんのさ。そんなカード、使うわけないじゃん。あたしのターン、ドロー!手札から、『黒魔導士クラン』を召喚するね〜。」

黒魔導士クラン
闇 レベル2
【魔法使い族・効果】
自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在するモンスターの数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。
攻撃力1200 守備力0

「何だと!攻撃力1200のモンスターを攻撃表示だと?……リナちゃん。お前、ボコボコにされて、頭がイカレちまったようだな!」
「失礼ね!あたしは至って真面目よ!ただ、この魔法カードを発動させるためには、あたしの場に、クランちゃんが攻撃表示で存在しなきゃいけないんだから!手札から、魔法カード、『いったいなあ!』を発動するね!」と言いながら、リナは、手札にあった『いったいなあ!』の魔法カードを勢い良くデュエルディスクに表向きで差し込んだ。

いったいなあ!
通常魔法
自分フィールド上に『黒魔導士クラン』が表側攻撃表示で存在する時に発動する事ができる。自分の初期ライフから現在のライフと同じ値を引いた数値以下の守備力の相手フィールド上のモンスターをすべて破壊する。このカードを使用したターン『黒魔導士クラン』は、攻撃と表示形式の変更を行えない。

「おお!そのカードなら、相手の『電池メン』達を全滅させれるッスね!」
「そうそう。雷人のモンスター達は攻撃力が高いけど、守備力は0だかんね〜!」
 空から小さな分銅が落ちてきて、『黒魔導士クラン』の頭に当たったことで、声をあげて泣き始めた!
「守備力0か……。だが、その効果なら、何とか封じられるぜ!伏せ罠カード、『進入禁止!No Entry!!』を発動!」と言うと、いきなり場に警備員軍団が現れ、場のモンスター達を無理矢理守備表示に変更させた!

進入禁止!No Entry!!
通常罠
フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て守備表示にする。

「俺の『電池メン‐単五型』は、場のすべての『電池メン』が攻撃表示なら攻撃力が、守備表示なら守備力がアップするんだぜ!よって、『電池メン‐単五型』の守備力は、4500だ!耐えろ!『電池メン‐単五型』!単五バッテリーウォール6V!」
 『黒魔導士クラン』が泣いたことにより発生した悲しみの波動により、守備力2500の『電池メン‐単三型』を破壊することに成功したが、『電池メン‐単五型』は団結力でバリアを発生させたことによって、何とか耐え切った!
「そ、そんな〜〜!」
リナは、落胆の声をあげ、へなへなと座り込んでしまった。
「リナ……いつのまにか、話し方が幼児化してるッスよ……。」
「おいおい。そんなに落ち込むなよ。で、ターンエンドか?」と、雷人が軽く尋ねた。
「ちょ、ちょっと待ってよ〜!カードを一枚場に伏せるから〜!」
 リナは、半泣きの状態でそう答えた。
「じゃあ、俺のターンだな。ドロー!俺の場の『電池メン‐単五型』をすべて攻撃表示に変更する!さらに、手札から、『電池メン‐単四型』を召喚するぜ!」
 腹に『4』のマークを付けた電池メンが、雷人の場に召喚された。

電池メン‐単四型
光 レベル4
【雷族・効果】
このモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える。また、自分フィールド上に存在するすべての『電池メン』と名のつくモンスターが攻撃表示だった時、このモンスターの攻撃力は自分の場の他の『電池メン』と名のつくモンスターの数×1000ポイントアップする。自分フィールド上に存在するすべての『電池メン』と名のつくモンスターが守備表示だった時、このモンスターの守備力は自分の場の他の『電池メン』と名のつくモンスターの数×1000ポイントアップする。
攻撃力0 守備力0

「『電池メン‐単四型』は貫通能力を持っている上、場の他の『電池メン』がすべて攻撃表示だった場合、一体につき攻撃力が1000ポイントアップするんだぜ!よって、攻撃力は、『単五型』の効果によるサポートもあって、4500になったぜ!いくぜ!『電池メン‐単四型』で、『黒魔導士クラン』に攻撃!単四バッテリーアタック6V!」
『電池メン‐単四型』が強力な電圧をこめて、『黒魔導士クラン』に突撃してくる。しかし、そこでリナは、場の伏せカードに手を掛けた。
「ふ、伏せ罠カード、『クランの魔法陣』を発動するね!このカードの効果で、あたしへのダメージは無効になるかんね!」

クランの魔法陣
通常罠
このターンのエンドフェイズまで、このカードのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。このカードの発動と効果は無効にされない。

 『電池メン‐単四型』の攻撃は『黒魔導士クラン』を貫いたが、その攻撃の余波は、『クランの魔法陣』に阻まれ、リナに届くことはなかった。
「くっ、防御系カードが手札にあったなんて、気付かなかったぜ。ターンエンドだ!」
「うっ……、もうリナの手札は一枚も残ってないじゃないッスか……。」
「だ、大丈夫だって……。」
 リナは、言葉では平静を装っているが、右手で首のスカーフを握り締めたり、左手で自分の茶髪を掻き始めたりと、明らかに不安そうだった。
「あたしのターン……、ドロー……。」
リナは、半分あきらめ気味にデッキからカードをドローしたが、そのカードを確認すると、いきなり不安な表情が和らいだ。
「手札から、魔法カード、『強欲な壺』を発動して、デッキからカードを二枚ドローするね。」

強欲な壺
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

「な……!ここで『強欲な壺』だって!?」このタイミングでの最高の引きに、雷人は驚きを隠せない。
「さらに、手札から、魔法カード、『魔導士の集い』を発動して、あたしの墓地から、ピケルちゃんとクランちゃんを手札に加えるね〜。」

魔導士の集い
通常魔法
自分の墓地から、レベル2以下の『魔導士』と名のつくモンスターを二枚手札に戻す。(同名カードは一枚のみ。)

白魔導士ピケル
光 レベル2
【魔法使い族・効果】
自分のスタンバイフェイズ時、自分のフィールド上に存在するモンスターの数×400ライフポイント回復する。

「そして、手札から、ピケルちゃんを召喚して〜、魔法カード、『ラッキ〜タイム』を発動するね〜!」
「!?何だ?そのカードは?」初めて目にするカードに、雷人は驚きを隠せない。
「このカードは、あたしの場にピケルちゃんが攻撃表示で存在するとき発動できるカードよ。デッキの上から三枚のカードをめくって、その中に入っている『魔導法具(マジカルキット)』と名のつくカードの枚数によって、効果が変わるのよ。」
と言うと、空からキャンディー、クッキー、チョコレートなど、お菓子が雨のように降ってきて、ピケルはいつのまにか、かごを両手で持っていた。

ラッキ〜タイム!
通常魔法
自分フィールド上に『白魔導士ピケル』が表側攻撃表示で存在する時に発動する事ができる。このカードを使用したターン『白魔導士ピケル』は、攻撃と表示形式の変更を行えない。また、『ラッキ〜タイム!』は1ターンに1度だけ発動できる。デッキの上からカードを三枚めくり、その中に含まれる『魔導法具(マジカルキット)』と名のつくカードの枚数に応じて、以下の効果を発動する。
●三枚……めくったカードをすべて自分の手札に加える。
●二枚……自分の墓地からカードを一枚選択し、自分の手札に加える。その後、めくったカードを好きな順番で自分のデッキの下に戻す。
●一枚……自分のライフポイントを1000回復する。その後、めくったカードを好きな順番で自分のデッキの下に戻す。
●0枚……めくったカードを好きな順番で自分のデッキの下に戻す。

ピケルは空から降ってくるお菓子を、必死にかごでキャッチしていた。
「めくったカードの中に含まれてた『魔導法具(マジカルキット)』と名のつくカードは二枚だったから〜、墓地から、『強欲な壺』を手札に加えて、すぐ発動するね〜。」
 いろいろなお菓子を拾ったピケルは、満面の笑みを浮かべていた。
「くっ、『ラッキ〜タイム!』は一見、ギャンブルカードに見えるが、デッキ構成次第で、大当たりを出す可能性が上がるな……。リナちゃん。なかなかいいカードを使うじゃないか。」
「だから、いちいちちゃん付けで呼ばないでよ!」
「おっ、一気に手札を回復させたッスね!」
「アハハッ!すごいでしょ〜!カードを一枚場に伏せて、ターンエンドね〜。」
「俺のターン、ドロー!(リナちゃん……、一体何を伏せたんだ?だが、俺の『電池メン』達は、一体でも表示形式を変更すると、能力が大幅に下がっちまう!このまま攻め切るしかない!)これで終わりだ!『電池メン‐単五型』で、『白魔導士ピケル』に攻撃!単五バッテリーアタック6V!」
攻撃力4500の強力な電撃が『白魔導士ピケル』を襲う!だが、リナの表情には笑みがこぼれていた。
「ざ〜ん念でした!伏せ罠カード、『カオス・オブ・ヘブンズゲート』を発動するね〜!」と言うと、『電池メン‐単五型』と『白魔導士ピケル』の間に、灰色の神々しい門が現れた!
「な……、何だ!それは!?」
「『カオス・オブ・ヘブンズゲート』は、あたしの場にピケルちゃんが存在して、墓地に『ピケルの魔法陣』と『クランの魔法陣』が置かれているときに発動できるカードよ。墓地の『ピケルの魔法陣』と『クランの魔法陣』を除外することで、カオスの門を作り出し、ピケルちゃんの白の魔力で、その門と天国を繋げるのよ!」と言うと、灰色の門が光を放ちながら開き、雷人の『電池メン』達を吸い込んでいった!

カオス・オブ・ヘブンズゲート
通常罠
自分の場に表側表示で存在する『白魔導士ピケル』が攻撃対象に選択されたとき、発動可能。自分の墓地から『ピケルの魔法陣』と『クランの魔法陣』をゲームから除外し、相手の場の表側攻撃表示で存在するモンスターをすべて破壊する。その後、自分は破壊したカードの枚数×700ライフポイント回復する。

「な、なんて強力なカードなんだ!発動条件は厳しいが、効果自体は『聖なるバリア‐ミラーフォース‐』以上じゃないか!」
雷人の場の『電池メン』達はすべて『ヘブンズゲート』に吸い込まれ、雷人の場には何も存在しなくなってしまった。
「(くっ……、俺の手札は『地獄の暴走召喚』だけか……。今は使えないか……。)カードを一枚場に伏せて、ターンエンドだ……。」

地獄の暴走召喚
速攻魔法
相手フィールド上に表側表示モンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体の特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。その特殊召喚したモンスターと同名カードを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。相手は相手フィールド上のモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

このターンの攻防によって、確実にデュエルの流れが変わった。ライフポイントは雷人が3500、リナが2850と互角になり、雷人の場には使用できない『地獄の暴走召喚』のみ、それに対してリナの場には『白魔導士ピケル』が存在し、手札は二枚。
「(だが、雷人が次に引くカード次第では、逆転される危険があるッスね……。なるべく、このターンで決めてほしいッス!)」
 カムイは、リナが油断してしまわないか、少し心配していた。
「あたしのターン、ドロー!スタンバイフェイズに、ピケルちゃんの効果で、あたしのライフポイントを400ポイント回復させるね〜。」(リナLP 2850→3250)
 『白魔導士ピケル』が放った回復魔法により、リナのライフポイントが400ポイント回復した。
「さらに〜、手札から〜、クランちゃんを召喚して〜、ピケルちゃんに、装備魔法、『魔導法具(マジカルキット) スタータリスマン』を装備させるね〜。」

魔導法具(マジカルキット) スタータリスマン
装備魔法
自分の場のレベル2以下の『魔導士』と名のつくモンスターにのみ装備可能。装備モンスターは、攻撃力が500ポイントアップし、罠の効果を受けなくなる。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。

「さらに〜、クランちゃんに〜、装備魔法、『魔導法具(マジカルキット) ブラック・ローブ』を装備させるね〜。」

魔導法具(マジカルキット) ブラック・ローブ
『黒魔導士クラン』にのみ装備可能。このカードを装備したモンスターの攻撃力と守備力は600ポイントアップし、相手の魔法の効果を受けなくなる。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。

「……あれ?それ、装備させるのに一分間かかるんじゃなかったんスか?」
「いや〜、だってさ〜、それ、カムイに不評だったじゃ〜ん。ピケルちゃんとクランちゃんで、雷人にダイレクトアタ〜ック!ホ〜リ〜・ステ〜ッキ!ウィップ・アタ〜ック!」
 『魔導法具(マジカルキット)』によってドレスアップされた『白魔導士ピケル』と『黒魔導士クラン』の攻撃により、雷人のライフは0になった。
「ぐあぁぁぁぁぁっ!」(雷人LP 3500→1700→0)

「やったあ〜!カムイ、勝ったよ〜!」
「いや、すごかったッスね〜!最後の大逆転!」
と、カムイとリナがはしゃいでいる時、雷人はデッキの一番上のカードを確認した。
「(くっ、『充電機』!次のドローはこれか!あと1ターンあれば、俺が勝っていたのか?……いや、負けたのは、俺の戦術ミスのせいだ……。勝負を急ぎすぎたあまりに……。)」
「じゃ、雷人!もうあたしに関わらないでね!」
「ちっ、しゃあないな……。(今のうちだけな……。)」
 と、雷人はとぼとぼと帰っていった……。

「じゃあ、そろそろ帰るッスか。」
「うん!そうだね!」と、リナはカムイと腕を組ませて帰っていった……。


リナに負けた雷人は、とぼとぼと自分の宿舎に戻っていった……。
「よう、雷人。」
「リナちゃんとはどうだったか?」
「うまく行ったか?」
と質問攻めにあっている雷人の間に、一人の男が割り込んだ。
「まてまてお前ら!少しは雷人の気持ちを考えろ!カムイにリナちゃんを取られたんだからな!」と、大声で言った。
「お前も考えろよ……。」
「そうだったのか!」
「まあ、落ち込むなよ。雷人。」
「うるせえ!お前等に俺の気持ちが分かってたまるか!俺はリナちゃんが好きなんだ!俺は絶対、リナちゃんをあきらめねえぞ!」
「おいおい。ちょっと遅れてきてみれば、何だ?この騒ぎは?」と、白衣を着た男が、雷人の部屋のアルミでできた扉を音をたてて開きながら現れた。
「い、石谷!聞いてくれ!リナちゃんが、俺と付き合ってくれないんだ!俺は、リナちゃんがいないと、生きていけない!」と、雷人は膝をついて座り込み、石谷と言うらしい男に懇願した。
「まあまあ、落ち着けよ。よし、雷人とリナちゃんがうまく行くように、みんなで協力してやろうじゃないか!」
「よーし!」
「じゃあ、作戦会議だ!」と、一人の男が提案し、雷人の部屋にいた五人が円を組んで集まった。

………………………………………

「そうだ!これから二ヵ月後に、『スーパージェネックス』があるよな!その大会で、リナちゃん以外のデュエリストを全員倒して、雷人が頼もしい奴だって思わせれば、きっとリナちゃんは、雷人を好きになるぜ!」と、石谷が提案した。
「おお!さすが石谷!頭がいい!」と、一人の男が絶賛した。
「よし、みんな!俺に協力してくれるかな?」と、雷人が呼び掛けた。
「「「「「いいとも〜!」」」」」


さて、『スーパージェネックス』は、いろいろと荒れそうな予感!どうなるのか!?
大会まで……あと60日



新キャラ紹介

 堀内 美香(ミカ)
『魔法使い部』に所属する女の子。『憑依装着』デッキを操り、関西弁のような口調で話す。



第八話 霊力の戦い!(前編)

先日のデュエルで友人関係を築いたカムイとジュンは、同じ部に所属しているので、昼食を一緒にとっていた……
「いやー、こうやって部の中で他の生徒と昼を食べるのって、面白いッスね。」
「フッ、そうだな。ところで、カムイ。お前にも、センリからの電通が送られてきたか?」
「え?もしかして、メールのことッスか?」
と言いながら、カムイはポケットの中に入っていたDCT(デュエリストコミュニケーションツール)を確認した……
「どれどれ……あ、入っていたッス。えーと、『一週間ぐらい前から、アンデット部の裏で誰かがうろついているらしいんだ。俺達で、それが何なのか調べてみないか?あっ、集合は、午後九時にアンデット部の前でな。』……ッスね。」
「どうする?行くのか?」
「まあ、そりゃあ、行くッスよ。そういうそっちはどうするんスか?」
「当然、行くぜ。」

午後九時、アンデット部の前にて……
「おっ、来たか、お前ら。」
「あれ、リナは来てないんスか?」
「いや、呼んでないだけだ。だってな、あいつを連れていくと、『嫌〜、恐い〜!』って、思いっきり抱きついてきて、張り倒されちまうぜ。そっちの方が、恐いってんだよ。」
「どういうこと?センリ。」
声がした方を振り向くと、リナが腕を組んで立っていた。
「リ、リナ!どうしてここに?」
「わ…悪い、センリ。オレが呼んじゃったんスよ。」
「センリ!あたしを子供扱いしないでよ!ただ暗いところなんて、全っ然恐くないんだから!」
「わ、分かったよ!連れていけばいいんだろ!」
センリは、不安そうな表情で、そう答えた。
「そうこなくっちゃ!」

アンデット部の裏にて……
「嫌〜、恐い〜!」
「リナ!いきなりオレに抱きつかないでほしいッスよ!」
「だってだって〜、向こうで何かが揺れたんだよ〜〜!」
「おい、リナ!さっき、アンデット部の前で俺に言った言葉、もう一度言ってみろ!」
「だってだってだって〜〜、アンデット部の裏が墓地だったなんて、知らなかったもん〜〜!」
アンデット部の裏には、墓地が広がっていた。そこは大きな木が生い茂っていて、夜には月明かりを通さないほど暗くなっていた。
「全く……情けないな。おい、リナ。先へ進むぞ。」と、ジュンがリナの肩を叩いた。すると、リナは……
「え……、きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!出た〜〜〜〜〜〜!」と、リナは叫び声をあげて、墓地の奥へ一目散に逃げ出した!
「って、リナ!ちょっと待てよ!」と、センリはリナを追い掛けていった。
「……俺、ちょっと心に傷を負ってしまったぜ……。」
「まあ、そこまで気にする必要はないッスよ。」

墓地の奥にて……
「まずいな……。墓地で迷っちまったぜ。こんな時は……」と、センリは、持っていたリュックの中を調べた。
「こんな時は?」と、皆が注目した。
「(やべ……方位磁石忘れちまったぜ……ここは冗談で流すか……)こんな時は……穴抜けの〜ヒィモ!こいつを使うぜ!どりゃあぁぁ!」と、センリは、リュックの中に入っていたロープを投げ上げた!

………………

「ふっ、さすが穴抜けのヒモ、ナイスだぜ。」
「って、何冗談かましてるんスか!」
「しょうがねえだろ!この場を和ませるためだよ!」
「きゃ〜〜〜〜!あ、あ、あ、あ、あれ見て〜〜〜〜〜〜!」
「な、何スか。耳元で大声出して……。」
カムイは、びっくりしながら、リナに話し掛けた。
「ひ、ひ、ひ、ひ、人魂があっちに〜〜〜〜!」と、リナが指差したほうを見ると、光っている物体が浮いていた。
「人魂?……ああ、あれのことか。よし、行くぞ。」
「なるほど。明かりがあるということは、誰かがいるってことだろうな。」
 センリとジュンは、その光っている物体のあるところへ歩いていった。
「よし、じゃあ、行ってみるッスか。……ほら、リナもついていかないと、置いてかれるッスよ。」
「ううっ……、分かったよ〜〜。」
 リナは、あまりの恐怖で半泣き状態だった。

「よし、だいぶ人魂との距離が縮まってきたな。さて、正体を見せてもらうぜ!」と、センリは、持っていた懐中電灯の明かりをその人魂に向けた!
「きゃっ!眩しいなあ!いきなり何すんのや!」
「ん?何でこんな所に女の子が一人でいるんスか?」
「それはこっちのセリフや!いきなり明るくするから、聖霊達が逃げてもうたやないか!」
その女の子は、黒色の長髪で、白地に赤袖の巫女服と、学制服のようなスカートという、明らかにバランスの悪い組み合わせの服を着ていた。また、色白で細身で、右手には杖、左手には提灯を持っていて、一瞬、幽霊のように見えてしまうかもしれない。身長はカムイやセンリより頭半個分以上低く、1メーター55くらいだ。
「うちの名前は『堀内美香(ミカ)』や!あんたら、こんなところで何しとるんや?」
「いや、この辺りで最近うろついている奴の正体を探りに来たんだが……見事に迷っちまったんだ。」と、センリは照れ臭そうに答えた。
「そっか。まあ、こっちは『スーパージェネックス』の開催が発表されてから一週間、毎晩霊力を高めるために、この墓場に通っとるんや。」と、ミカは答えた。
「そういえば、さっき聖霊がどうのこうの言ってたッスよね。どういうことッスか?」と、カムイは尋ねた。
「何や、あんたら、『カードの聖霊』が見えへんのか?」
「カードの聖霊?どっかで聞いたことがあるッスね……。」
「何か知ってるのか?」と、ジュンはカムイに尋ねた。
「んー、たしか、あの遊城十代さんも、カードの聖霊が見えたらしいんスけど……。」
「なるほど。つまり、特別な人にしか見えない生物ということか。」
「な、何言ってんのよ!そ、そんな特別な人にしか見えないなんて、た、ただの幽霊じゃない!」
リナが、話に無理矢理割り込んだ。
「失礼なやっちゃな!聖霊と幽霊は、全くの別物や!……まっ、死んでる聖霊も、居るっちゃぁ居るな。」
「ひいぃ〜〜!や、やっぱり〜〜!恐いよカムイ〜〜!」と、リナはカムイの背中に抱きついてきた。
「だ、だから、いきなり抱きついてこないでほしいッスよ!」
「ったく、うるさいお嬢ちゃんやなぁ。……あ。お嬢ちゃん。あんたの肩、『ワイト』に捕まれとるで。」
「え……、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜!」と、大きな叫び声を上げて、リナは気絶してしまった。
「ん?急に静かになったッスね……。おーい、リナー。」
「おい、カムイ。リナの奴、気絶したみたいだぞ。」
「情けない奴っちゃな。ちょっと脅かしただけなんやけどな。」
「……まっ、いいだろ。このほうがうるさくないからな。……で、聞きたいことがあるんだが、ここからどうやって出るか、教えてくれないか?」と、センリが尋ねた。
「んー、別にいいんやけど、一回、うちとデュエルしてくれんか?聖霊との会話を、あんたらに邪魔されてもうたからな。」
「ああ、別にいいぜ。じゃあ、始めるか!」と、センリが一歩前に出た。
「おい、センリ!何で勝手に決めてるんスか!オレにやらせてほしいッスよ!」
「おいおい、何言ってんだ。お前は気絶したリナをおぶってるじゃないか。そんな状態じゃあ、デュエルできないだろ?」
「うっ……、まあ、そうッスが……。」
「と、言うことで、俺にやらせてもらうぜ。」
「あっ、そう言やあ、あんたらの名前聞いとらんかったな。教えてくれんか?」
「俺は『黄泉センリ』だぜ!」
「『宮本ジュン』だ。」
「あ、オレは『光カムイ』ッス!で、こっちは、『転羽リナ』ッス。」
「なるほど。よう分かったわ。じゃ、行くで〜!」
『デュエル!』
「(何か今回、デュエルまでの振りが異様に長かったッスね……。)」
先行は、センリだった。
「俺のターン、ドロー!(よし、いきなりいいカードを引いたぜ!)手札から、モンスターを裏側守備表示で召喚!さらに、カードを一枚場に伏せ、ターンエンドだ!」

「うちのターンや!ドロー!モンスターを裏側守備表示で召喚し……、魔法カード、『闇を払う陽光』を発動や!このカードの効果で、場の全てのモンスターを表側表示に変更するで!」
センリの場の『ピラミッド・タートル』と、ミカの場の『地霊使いアウス』が表側表示となり、フィールド上に姿を曝け出した!

闇を払う陽光
速攻魔法
フィールド上に存在するすべての裏側表示モンスターを、表示形式はそのままで表側表示に変更する。(リバース効果は発動する。)

「『地霊使いアウス』の効果発動や!あんたの場の、地属性モンスターのコントロールを得させてもらうで!」

地霊使いアウス
地 レベル3
【魔法使い族・効果】
リバース:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上の地属性モンスター1体のコントロールを得る。
攻撃力500 守備力1500

ピラミッド・タートル
地 レベル4
【アンデット族・効果】
このカードが戦闘によって墓地に送られた時、デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体をフィールド上に特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。
攻撃力1200 守備力1400

『地霊使いアウス』が不思議な呪文を唱えると、センリの『ピラミッド・タートル』が、ミカの場に移ってしまった!
「ちょ、ちょっと待て!何で俺の裏側モンスターが、地属性だって分かったんだ?」
「まあ、うちはそういうことに関して、結構鋭いからな。『ピラミッド・タートル』を攻撃表示に変更して、バトルや!『ピラミッド・タートル』で、ダイレクトアタック!」
「ぐっ!」(センリLP 4000→2800)
「ははっ、いきなりライフを大きく削られてもうたな。さて、うちのメインフェイズ2に、『地霊使いアウス』と『ピラミッド・タートル』を生け贄に捧げ、デッキから、『憑依装着‐アウス』を特殊召喚するわ。カードを一枚場に伏せ、ターンエンドや。」

憑依装着‐アウス
地 レベル4
【魔法使い族・効果】
自分フィールド上の「地霊使いアウス」1体と他の地属性モンスター1体を墓地に送る事で、手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
攻撃力1850 守備力1500

 眼鏡をかけたボーイッシュな女の子が、ミカの場にあらわれた。

「『憑依装着‐アウス』……攻撃力1850か。微妙な値だな。カムイ。」と、ジュンが尋ねた。
「そうッスね。でも、何で先に『憑依装着‐アウス』に進化させなかったんスかね。そうしたほうが、ダメージか大きくなるはずなのに。」
「たぶん、センリの伏せ札を警戒したのだろう。元々『ピラミッド・タートル』はセンリの物だから、破壊されても自陣にはそれほどの被害はない。……当て馬として使用したのだろうな。」
「……何か、こう聞くと、洗脳戦法って、結構ひどいッスよね。」

現在の状況……

センリ LP…2800
    手札…四枚
場…伏せカード一枚
ミカ LP…4000
   手札…四枚
場…憑依装着‐アウス(攻撃表示)

「俺のターン、ドロー!手札から、魔法カード、『天使の施し』を発動!カードを三枚引き、手札から、『龍骨鬼』と『ワイト』を捨てるぜ!」

天使の施し
通常魔法
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。

「さらに、手札から、魔法カード、『融合』を発動するぜ!手札の『ゾンビ・マスター』と『ゴースト王‐パンプキング』を融合し、『ゾンビ軍の王‐マスターパンプキング』を融合召喚!」

融合
通常魔法
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。

「おお!融合召喚ッスか!いったいどんな効果を持っているんスかね!」
「それはすぐに分かるぜ!カムイ!手札から、『生者の書‐禁断の呪術‐』を発動!墓地から、『龍骨鬼』を復活させ、お前の墓地の『地霊使いアウス』を除外するぜ!」

生者の書‐禁断の呪術‐
通常魔法
自分の墓地にあるアンデット族モンスター1体をフィールド上に特殊召喚し、相手の墓地にあるモンスター1体をゲームから除外する。

 『龍骨鬼』復活の儀式のために、ミカの墓地に存在する『地霊使いアウス』の魂が闇の世界へと生け贄に捧げられた。その後、墓地から大量の骨によって体が形成された『龍骨鬼』が復活し、その堂々たる風格を表した。

龍骨鬼
闇 レベル6
【アンデット族・効果】
このカードと戦闘を行ったモンスターが戦士族・魔法使い族の場合、ダメージステップ終了時にそのモンスターを破壊する。
攻撃力2400 守備力2000


「さらに、『マスターパンプキング』の効果発動!墓地から特殊召喚に成功したアンデット族モンスターの攻撃力を300ポイントアップさせ、デッキからカードを一枚ドローするぜ!」

ゾンビ軍の王‐マスターパンプキング
闇 レベル8
【アンデット族・融合・効果】
『ゾンビ・マスター』+『ゴースト王‐パンプキング』
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このモンスターが自分フィールド上に表側守備表示で存在する場合、自分の墓地からアンデット族モンスターがフィールド上に特殊召喚された時、デッキからカードを一枚ドローできる。また、自分の墓地から特殊召喚されたアンデット族モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
攻撃力1800 守備力2500

「行くぜ!『龍骨鬼』で『憑依装着‐アウス』に攻撃!ヘルボーン・スラッシュ!」
『龍骨鬼』の2700の攻撃力を持つ鋭い爪による一撃で、『憑依装着‐アウス』は破壊された。
「かぁっ、ひどいことするなあ!」(ミカLP 4000→3150)
「ターンエンドだ!」

「うちのターンや!ドロー!手札から、魔法カード、『天使の施し』を発動するで!デッキからカードを三枚引いて、手札から、『炎を操る者』と『ギコバイト』を捨てるわ。」

ギコバイト
水 レベル1
【爬虫類族】
攻撃力350 守備力300

炎を操る者
炎 レベル3
【魔法使い族】
攻撃力900 守備力1000

「(何!?『ギコバイト』も『炎を操る者』は低攻撃力の通常モンスター……何で奴のデッキに入ってるんだ?)」
「不思議に思っとるな?理由はすぐに分かるで!」
「な、何で俺の思ってることが読まれるんだ!」
「そんなもん顔に出とるで。手札から、『憑依装着‐ヒータ』を召喚し、魔法カード、『憑依装着!』を発動するわ。」
「『憑依装着!』?」
「このカードの効果で、うちの場の『憑依装着‐ヒータ』に、墓地に眠る『炎を操る者』の魂を憑依させるで!」
赤髪で気が強そうな女の子……『憑依装着‐ヒータ』は『炎を操る者』の魂を持っている杖に憑依させた!

憑依装着‐ヒータ
炎 レベル4
【魔法使い族・効果】
自分フィールド上の「火霊使いヒータ」1体と他の炎属性モンスター1体を墓地に送る事で、手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
攻撃力1850 守備力1500

憑依装着!
通常魔法
自分の場の『憑依装着』と名のつくモンスターを一体選択して発動する。選択したモンスターと同じ属性で、攻撃力1000以下・レベル3以下の『霊使い』と名のつかないモンスター一体を選択したモンスターに装備カード扱いとして装備させ、装備したモンスターの攻撃力分だけ選択したモンスターの攻撃力をアップさせる。選択したモンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードの効果によって装備したモンスターを破壊する。

「何!ってことは、『憑依装着‐ヒータ』の攻撃力は……」
「元々の攻撃力1850に、『炎を操る者』の攻撃力900を足して、2750になったで!いっくでー!『憑依装着‐ヒータ』で、『龍骨鬼』に攻撃や!」
攻撃力2750は、『マスターパンプキング』によって強化された『龍骨鬼』の攻撃力2700を上回っている。『龍骨鬼』は、『憑依装着‐ヒータ』が持っている杖から放たれる火炎によって、火葬されてしまった。
「くっ、火葬されたと言っても、ただ墓地に送られただけだがな……。だが、『龍骨鬼』の効果発動!戦闘を行ったモンスターの種族が戦士族か魔法使い族だった場合、ダメージステップ終了時に、破壊するぜ!『憑依装着‐ヒータ』は、魔法使い族だったな!よって、破壊だ!」(センリLP 2800→2750)
「あかんなあ。『憑依装着!』の効果、ちゃんと読んどらへんな?」
「何!」
墓地に送られた『龍骨鬼』の怨念がこもった右腕が弾丸のように発射され、『憑依装着‐ヒータ』を襲うが、杖に憑依していた『炎を操る者』がその攻撃をさえぎり、『憑依装着‐ヒータ』を傷つけることはなかった。
「なるほど。それも計算済みってわけか。」

「……考えてみると、『龍骨鬼』って、オレ達のデッキに対して、ある意味痛いカードッスよね。」
「そうだな。俺とお前は、戦士族中心で戦うからな……。」
 カムイとジュンは顔を見合わせて話していた。

「カードを一枚場に伏せ、ターンエンドや。」

現在の状況
センリ LP…2750
   手札…二枚
    場…ゾンビ軍の王‐マスターパンプキング(守備表示)
      伏せカード一枚
ミカ LP…3150
  手札…二枚
   場…憑依装着‐ヒータ(攻撃表示)
     伏せカード一枚

「ジュン、このデュエル……まだどっちが有利か分からないッスね……。」
「そうだな、カムイ。だが……、センリが初手に伏せた一枚の札……あれが何なのか気になるぜ……。」



第九話 霊力の戦い!(後編)

現在の状況……

センリ LP…2750
   手札…二枚
    場…ゾンビ軍の王‐マスターパンプキング(守備表示)
      伏せカード一枚
ミカ LP…3150
  手札…二枚
   場…憑依装着‐ヒータ(攻撃表示)
     伏せカード一枚

「俺のターン、ドロー!手札から、『骨ゾンビ』を召喚!『骨ゾンビ』の効果発動!場のこのカードを生け贄に捧げ、墓地の『龍骨鬼』を攻撃表示で特殊召喚する!」

骨ゾンビ
闇 レベル1
このモンスターは特殊召喚できない。自分フィールド上に存在するこのカードを生け贄に捧げることで、自分の墓地からアンデット族モンスターを一体特殊召喚できる。
攻撃力100 守備力100

センリの場に存在した骨の塊が墓地の『龍骨鬼』の破壊された体を補修し、『龍骨鬼』が再びセンリの場に復活した。
「墓地から『龍骨鬼』が蘇生したことにより、『マスターパンプキング』の効果で、デッキからカードを一枚ドローさせてもらうぜ!バトルだ!『龍骨鬼』で『憑依装着‐ヒータ』に攻撃!ヘルボーン・スラッシュ!」
「伏せカード、『四霊使いの絆』を発動や!あんたの『龍骨鬼』の攻撃を無効にし、デッキから、『憑依装着‐ウィン』を特殊召喚するで!」
「何だと!」
『龍骨鬼』の鋭い爪が『憑依装着‐ヒータ』を襲うが、デッキから駆け付けた緑髪の可愛らしい女の子……『憑依装着‐ウィン』の風魔法によって『龍骨鬼』はひるみ、攻撃に失敗してしまった。

四霊使いの絆
通常罠
自分の場の『アウス』、『エリア』、『ヒータ』または『ウィン』と名のつく魔法使い族モンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。その攻撃を無効にし、デッキから、攻撃対象に選択されたモンスターと同じ攻撃力・守備力を持つ『アウス』、『エリア』、『ヒータ』または『ウィン』と名のつくモンスターを一体特殊召喚できる。(ただし、自分の場に存在するモンスターと同名のモンスターを特殊召喚することはできない。)

憑依装着‐ウィン
風 レベル4
【魔法使い族・効果】
自分フィールド上の「風霊使いウィン」1体と他の風属性モンスター1体を墓地に送る事で、手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
攻撃力1850 守備力1500

「おいおい、何で攻撃力2700の『龍骨鬼』が攻撃力1850の『憑依装着‐ウィン』の攻撃でひるむんだよ……。」
「何ゆうとんのや。いきなり脅かされたら、誰だってびっくりするわ。現に、リナちゃんは、脅かしただけで気絶してもうたやろ?」
「まあ、それはそうだけどよ……。」
「それはそうと、カムイ。あんた、幸せ者やなあ。」
「え?ここでオレに話題が移るんスか?一体、どの辺が幸せ者なんスかね?」
「そりゃああんた、彼女に抱きつかれたり、彼女をおぶってられるんやで?そんな可愛い彼女ならなおさらやろ?」
「彼女って、誰のことッスか?」
「決まっとるやろ!リナちゃんのことや!……あんた、女の子に興味持っとらんのか?」
「持ってないッスね。」
「……そっか。つまらんなあ。」ミカは、怪訝そうな表情でカムイを見ていた。
「くっ、ターンエンドだ!」

「うちのターンや!ドロー!まずは手札から、魔法カード、『生還の宝札』を発動や!」

生還の宝札
永続魔法
自分の墓地からモンスターがフィールド上に特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローする事ができる。

「『生還の宝札』だと!墓地からモンスターが復活したとき、デッキからカードを一枚ドローできるようになる永続魔法……てことは、手札に蘇生カードがあるってことか!」
「その通りや!手札から、魔法カード、『黙する死者』を発動して、墓地から『ギコバイト』を復活させるわ!」

黙する死者
通常魔法
自分の墓地から通常モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。そのモンスターはフィールド上に存在する限り攻撃をする事ができない。

 ミカの墓地から、『水霊使いエリア』の持ち霊……『ギコバイト』が守備表示で復活した。
「『ギコバイト』が復活したことにより、『生還の宝札』の効果で、カードを一枚ドローさせてもらうで。……おっ、『強欲な壺』を引いたわ。よって、すぐ発動するわ。」

強欲な壺
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 ミカは、自分の色白な手をデッキに持っていき、カードを二枚ドローした。
「くっ、このタイミングで『強欲な壺』とはな……。これでミカの手札は三枚……俺と同じか……。」
「さらに、手札から、『水霊使いエリア』を召喚するわ。『水霊使いエリア』と『ギコバイト』を生け贄に捧げて、『憑依装着‐エリア』を特殊召喚するで!」

 ミカの場に、青髪のおとなしそうな女の子が現れた。

水霊使いエリア
水 レベル3
【魔法使い族・効果】
リバース:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上の水属性モンスター1体のコントロールを得る。
攻撃力500 守備力1500

憑依装着‐エリア
水 レベル4
【魔法使い族・効果】
自分フィールド上の「水霊使いエリア」1体と他の水属性モンスター1体を墓地に送る事で、手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
攻撃力1850 守備力1500

「さらに、手札から、魔法カード、『友情の復活』を発動や!うちの墓地から、『憑依装着‐アウス』を蘇生させるわ。『生還の宝札』の効果で、カードを一枚ドローするで!」

友情の復活
速攻魔法
自分の場のモンスターを一体選択して発動する。自分の墓地から、選択したモンスターと同じ攻撃力・守備力を持つモンスターを一体特殊召喚する。(ただし、既に自分の場に存在するモンスターと同名のモンスターを特殊召喚することはできない。)

「くっ、四人の霊使い達が場に集結しちまったか……。だが、そいつらの攻撃力は1850だ!俺の場のモンスターには勝てないぜ!」
「そんなこと分かっとるわ!二枚カードを場に伏せて、ターンエンドや!」

現在の状況……

センリ LP…2750
    手札…三枚
場…龍骨鬼(攻撃表示)
      ゾンビ軍の王‐マスターパンプキング(守備表示)
      伏せカード一枚
ミカ LP…3150
   手札…0枚
場…憑依装着‐アウス(攻撃表示)
     憑依装着‐エリア(貫通能力付加・攻撃表示)
     憑依装着‐ヒータ(攻撃表示)
     憑依装着‐ウィン(攻撃表示)
     伏せカード二枚

「俺のターン、ドロー!バトルだ!『龍骨鬼』で『憑依装着‐エリア』に攻撃!ヘルボーン・スラッシュ!」
「残念やったな!伏せ罠カード、『風林火山』を発動や!」

「何!『風林火山』だと!」と、ジュンは驚いていた。
「ん?何スか?あれは?」と、カムイはジュンに尋ねた。
「ああ……。あれは、自分の場に地・水・炎・風の四つの属性を集めた時のみ発動できる……。四つの異なる効果の中から一つ選択して発動できるんだ!」

風林火山
通常罠
風・水・炎・地属性モンスターが全てフィールド上に表側表示で存在する時に発動する事ができる。次の効果から1つを選択して適用する。
●相手フィールド上モンスターを全て破壊する。
●相手フィールド上の魔法、罠カードを全て破壊する。
●相手の手札を2枚ランダムに捨てる。
●カードを2枚ドローする。

「『風林火山』の効果で、あんたの場のモンスターをすべて破壊するで!『侵掠すること、火の如し!』」
ミカがそう言うと、業火が発生し、センリの場のモンスターをすべて焼き尽くした!
「くっ、場のモンスターが全滅しちまったか……。だが、レベル8の『マスターパンプキング』が墓地に送られたことにより、手札から、速攻魔法『デーモンとの駆け引き』を発動!デッキから『バーサーク・デッド・ドラゴン』を特殊召喚するぜ!」
センリの場に、黒い骨で体が形成された暴龍が現れた!

デーモンとの駆け引き
速攻魔法
レベル8以上の自分フィールド上のモンスターが墓地へ送られたターンに発動する事ができる。自分の手札またはデッキから「バーサーク・デッド・ドラゴン」1体を特殊召喚する。

バーサーク・デッド・ドラゴン
【アンデット族・効果】
このカードは「デーモンとの駆け引き」の効果でのみ特殊召喚が可能。相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃が可能。自分のターンのエンドフェイズ毎にこのカードの攻撃力は500ポイントダウンする。
攻撃力3500 守備力0

「おお!攻撃力3500で、全体攻撃可能なモンスターッスか!強力ッスね!」
「そうだろ、カムイ!それに、まだ俺のバトルフェイズは終わってないからな!『バーサーク・デッド・ドラゴン』で、相手モンスターすべてに攻撃!」
「伏せ罠カード、『イタクァの暴風』を発動や!場のモンスターすべての表示を変更するで!」「何!」
 『イタクァの暴風』によって巻き起こされた暴風で、場のモンスターがすべて守備表示になってしまった。
「『バーサーク・デッド・ドラゴン』の守備力はたったの0やったな!そんなら、うちの貫通能力付きの『憑依装着‐エリア』のいい的になってまうで!」
「くっ……、モンスターをセットし、カードを一枚場に伏せ、ターンエンドだ……。」

「うちのターンや!ドロー!いっくでー!『憑依装着‐エリア』で、『バーサーク・デッド・ドラゴン』に攻撃や!」
『憑依装着‐エリア』と憑依霊が協力して放つ水魔法によって、守備力0の『バーサーク・デッド・ドラゴン』を一瞬で押し流し、全く抵抗を受けていない攻撃の余波が、センリを襲った!。
「ぐあっ!……くっ、なかなか痛い貫通ダメージだぜ……。」(センリLP 2750→900)
「まだ終わってないで!『憑依装着‐ウィン』で、裏側守備モンスターを攻撃や!」
 『憑依装着‐ウィン』の放つ風魔法によって、裏側守備表示の『ゴブリンゾンビ』はバラバラにされてしまった。
「くっ、だが、『ゴブリンゾンビ』の効果発動!デッキから、守備力1200以下ののアンデット族モンスター、『ゾンビ・マスター』を手札に加えるぜ!」

ゴブリンゾンビ
【アンデット族・効果】
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手はデッキの一番上のカードを墓地へ送る。このカードがフィールド上から墓地に送られた時、自分のデッキから守備力1200以下のアンデット族モンスター1体を選択し、お互いに確認して手札に加える。その後デッキをシャッフルする。
攻撃力1100 守備力1050

ゾンビ・マスター
【アンデット族・効果】
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事によって、墓地に存在するレベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
攻撃力1800 守備力0

「ははっ、今さらそんなもんを加えても、このターンで終わってまうで!『憑依装着‐アウス』で、トドメや!」
「くっ、伏せ罠カード、『妖しのウルムーン』を発動!手札から、『ゾンビ・マスター』を捨て、『憑依装着‐アウス』の攻撃を無効にし、攻撃力分のライフを回復し、バトルフェイズを終了させるぜ!」(センリLP 900→2750)

妖しのウルムーン
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時、手札からアンデット族モンスター1枚を捨てることで発動することができる。バトルフェイズを終了し、攻撃モンスターの攻撃力分のライフポイントを回復する。

「しゃあないな。まっ、あんたの手札はもう一枚しか残っとらんのやろ。ターンエン……」
「待て!このタイミングで、伏せ罠カード、『ネクロ・フュージョン』を発動するぜ!」
「何やて!」
 ミカは、このタイミングでの伏せカード発動に、驚きを隠せないでいた。

ネクロ・フュージョン
通常罠
自分の墓地に3体以上アンデット族モンスターが送られたターンのエンドフェイズに発動可能。自分の融合デッキから『屍魔獣 ネクロ・キメラ』を特殊召喚する。(この特殊召喚は、融合召喚扱いとする。)

「墓地に送られた三体のアンデット族の魂によって……現れろ!『ネクロ・キメラ』!」
 と言うと、センリの場に黒いコアが現れ、墓地に送られた『バーサーク・デッド・ドラゴン』、『ゴブリンゾンビ』、『ゾンビ・マスター』がそのコアに取り込まれていった!

屍魔獣 ネクロ・キメラ
闇 レベル10
【アンデット族・融合・効果】
アンデット族モンスター×3
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このモンスターの特殊召喚に成功したとき、このターン内に墓地に送られたアンデット族モンスターをすべてこのカードに装備する。このモンスターの攻撃力は、装備されたモンスターの攻撃力の合計分アップする。このカードが破壊される時、代わりに装備したモンスターを破壊する。
攻撃力0 守備力0

「おお!来たッスね!センリの切り札!」
「どうだ!凄いだろ!『ネクロ・キメラ』の攻撃力は、装備されたモンスターの攻撃力の合計値になる!よって、攻撃力は3500+1800+1100で、6400だ!」

ネクロ・キメラ  攻撃力 0→6400

「攻撃力……6400やて!?」
ミカは、強大な『ネクロ・キメラ』の姿に、たじろいていた。

現在の状況……

センリ LP…2750
    手札…一枚
場…屍魔獣 ネクロ・キメラ(攻撃力6400・攻撃表示)
ミカ LP…3150
   手札…0枚
場…憑依装着‐アウス(攻撃表示)
     憑依装着‐エリア(貫通能力付加・攻撃表示)
     憑依装着‐ヒータ(攻撃表示)
     憑依装着‐ウィン(攻撃表示)

「俺のターン、ドロー!これで終わりだ!『ネクロ・キメラ』で、『憑依装着‐ヒータ』に攻撃!ネクロマンス・インフィニティ・ゾンビ・……スラッシュ・キャノン・シュート!」
「って、相変わらず技名長いッスね。」
『ネクロ・キメラ』に吸収された『バーサーク・デッド・ドラゴン』の口から放たれる火球と、『ゾンビ・マスター』が操る『ゴブリンゾンビ』の切り掛かりが同時に炸裂し、『憑依装着‐ヒータ』は全く抵抗できずに破壊されてしまった。
「かあっ、なんて威力や!うちの負けやな……。」(ミカLP 3150→0)
「俺の勝ちだな!ミカ!」
 センリは、得意気に立てながら言った。
「いやあ、強いなあ、あんた。うちもまだまだ修業が足らんなあ。」
 ミカは、頭を掻きながら言った。
「じゃあ、約束通り、ここからどうやって出るのか、教えてくれ。」
「分かったわ。じゃあ、うちについてきいや。」と、ミカは歩いていった。
「ありがとな。よし、行くぞ、みんな!」と、センリはカムイ達を呼び、ミカについていった。

数分後……
「ほら、着いたで。ここが出口や。」
「ふう、やっと着いたぜ。ありがとな。」と、センリはミカに感謝した。
「いやー、本当、危なかったッスねー。ミカがいなかったら、朝まで森を彷徨っていたかもしれないッスから。」
「フッ、そうだな、カムイ。」
「あっ、それよりも、そろそろリナを起こさないといけないッスね。おーい、リナー。着いたッスよー。」と言いながら、カムイはリナを壁にもたれかけさせ、軽く頬を叩いた。
「ん……、あ、カムイ。おはよ。」と、リナは目をしょぼしょぼさせながら目を覚ました。
「って、まだ真夜中なんスけど。でもよかったッスね。あっさり目を覚ましてくれて。」と、カムイは安心した。
「ごめんね。ちょっと気絶しちゃってたみたい。……でも、ありがと。あたしを運んでくれて。」と、リナは微笑んだ。
「まあ、当然のことをしたまでッスよ。」
「そっか。よいしょっと。」と、リナは立ち上がった。
「じゃ、みんな、またね〜!」とリナは、『魔法使い部』へと走って帰っていった。

「……いやあ、元気なお嬢ちゃんやなあ……。隅におけんな。カムイ。」
 ミカは、カムイを肘で小付きながら言った。
「だから、なんでそうなるんスか!」
「ははっ、別に照れなくていいんやで。んじゃあ、うちもそろそろ帰るわ。おやすみ。」
「おお、じゃあな。……霊力の修業か。この学校には、いろんな生徒がいるな。」
「ああ、そうッスね!」
「『スーパージェネックス』……中々盛り上がりそうだな。」
「あと大体七週間ッスか……。楽しみッスね!」
大会まで……あと53日



新キャラ紹介

 安藤英次(エイジ)
『爬虫類部』に所属する、サイコ系な青年。エーリアンを主体とした、洗脳デッキを操る。

第十話 エーリアンセンス!

カムイは、日曜日にセンリやリナと、強そうなデュエリストを探すために、校内を歩き回っていた……。

「んー、どっかにいないッスかねー。強そうなデュエリスト。」
「そうだな。やっぱり、デュエルドームに行ったほうがいいんじゃないのか?大会が始まるまで開放されてるんだからよ。」
「んー。でもそこでデュエルすると、かなり大勢に自分のデッキを公開することになるんスよね。そうなると、結構不利になると思うんスよ。」
「ふーん。カムイって、以外と繊細なんだね。」
「おいおい、リナ。お前も人のこと言えないだろ。先週のアンデット部の裏でのお前に比べたらな。」
「うっ……。」
リナは、センリの一言に、少々言葉を詰まらせた。
「……だってさ……、あたし、幽霊とかオカルト物とか、苦手なんだもん。そう言うのって、恐いし嫌だし不気味だし……」
「そ、そうだったんスか……。」
「はっはっは!おもろい奴等やな!お前ら!」
「ん?誰ッスか?」
声のした方に目を向けると、一人の青年が立っていた。その青年は、ジーパンにTシャツと、カジュアルな服装だったが、それよりも注目すべきはその髪型だった。前髪の一部が、アンテナのように立っていて、一見寝グセに見えてしまった。
「わいの名前は『安藤エイジ』や!あんたら、結構強いデュエリストやろ!」
「え!?なんでそんなことが分かるんスか?」
「ははっ、わいのエーリアンセンスが、ビンビン来とったで!この辺りに、強いデュエリストがおるってな!」
と、エイジは自分の前髪を親指で指しながら行った。
「(……やっぱあれ、アンテナなのか?)」と、センリは思っていた。
「と、言うわけで、わいと勝負や!カムイ!」と、カムイを人差し指で指しながら言った。
「おっ、オレとデュエルしたいんスか!?いやー、こっちも強そうなデュエリストを探していたんスよね。じゃあ、始めるッスか!」
「よっしゃ、始めるで!」
『デュエル!』

先攻は、エイジだった。
「わいのターンや!ドロー!モンスターを一体裏側守備表示で召喚し、カードを二枚場に伏せ、ターンエンドや!」
「オレのターン、ドロー!手札から、魔法カード、『融合』を発動するッスよー!手札の『ワイルドマン』と『ネクロダークマン』を融合し、『E・HERO ネクロイド・シャーマン』を融合召喚するッス!」
カムイの場に、錫杖を持った呪術師が現れた。
「『ネクロイド・シャーマン』の効果発動ッス!エイジの場の裏側守備モンスターを破壊し……、その破壊したモンスターを攻撃表示で特殊召喚させるッス!」

E・HERO ネクロイド・シャーマン
 レベル6
【戦士族・融合・効果】
(効果)
攻撃力1900 守備力1800

『ネクロイド・シャーマン』の唱えた呪術により、エイジの場の裏側守備モンスター……『エーリアン・グレイ』が破壊されたと思ったら、すぐさま攻撃表示で復活した。

エーリアン・グレイ
光 レベル2
【爬虫類族・効果】
リバース:相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体に、Aカウンターを1つ置く。Aカウンターが乗ったモンスターは、『エーリアン』と名のついたモンスターと戦闘する場合、Aカウンター1つにつき攻撃力と守備力が300ポイントダウンする。また、リバースしたこのカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
攻撃力300 守備力800

「よっしやー!『エーリアン・グレイ』のリバース効果を封じれたッス!」
「わ〜、すごいすごい!カムイ、やるじゃん!」
「まあ、あれで『ゴブリンゾンビ』とか破壊しちまったら、最悪だけどな。」
 センリとリナは、カムイの戦法に感心していた。

「ほーう、なかなかやるやないか。……で、攻撃してくるんやろ?」
「ああ!『ネクロイド・シャーマン』で、『エーリアン・グレイ』に攻撃ッス!」
「残念やったな!速攻魔法、『月の書』を発動や!わいの場の『エーリアン・グレイ』を裏側守備表示に変更するで!」
エイジが発動させた『月の書』が闇を呼び、『エーリアン・グレイ』を包み込んだ!

月の書
速攻魔法
表側表示でフィールド上に存在するモンスター1体を裏側守備表示にする。

「くっ、だが、『ネクロイド・シャーマン』の攻撃は止まらないッスよ!」
 裏側守備表示になった『エーリアン・グレイ』は、『ネクロイド・シャーマン』の攻撃により、一瞬で破壊された。
「まあ、破壊かれるのはしゃあないわな。だがな、『ネクロイド・シャーマン』とのバトルで、わいの『エーリアン・グレイ』が表側表示になったで!よって、リバース効果、発動や!『ネクロイド・シャーマン』にAカウンターを埋め込むで!」
破壊された『エーリアン・グレイ』の体からあふれ出た不気味な細胞が、『ネクロイド・シャーマン』の右腕に取り付き、侵食していった!
「それだけやないで!リバース効果を発動した『エーリアン・グレイ』が戦闘で破壊された時、カードを一枚ドローできるんやで!どうや!強力な効果やろ!」
と言いながら、エイジはカードを一枚ドローした。
「確かに……エーリアンデッキにとって、必須クラスの効果ッスね……。カードを一枚場に伏せ、ターンを終了するッス。」

現在の状況
カムイ LP…4000
   手札…二枚
    場…E・HERO ネクロイド・シャーマン(攻撃表示)
      伏せカード一枚
エイジ LP…4000
    手札…三枚
    場…伏せカード一枚

「わいのターンや!ドロー!手始めに、魔法カード『生還の宝札』を発動するで!」

生還の宝札
永続魔法
自分の墓地からモンスターがフィールド上に特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローする事ができる。

「『生還の宝札』ッスか!確かこの前、ミカが使っていた永続魔法……結構人気なんスね。そのカード。」
「ま、まあ、ドロー補助カードは、重要やからな。手札から、魔法カード、『浅すぎた墓穴』を発動や!わいは『エーリアン・グレイ』を復活させるで!……おっと、言い忘れとったが、カムイ、お前もモンスターを復活させなあかんで。」
「じゃあ、オレは『E・HERO ワイルドマン』を復活させるッスね。」

浅すぎた墓穴
通常魔法
自分と相手はそれぞれの墓地からモンスターを1体選択し、守備表示でフィールド上にセットする。

E・HERO ワイルドマン
地 レベル4
【戦士族・効果】
このカードは罠の効果を受けない。
攻撃力1500 守備力1600

「わいのモンスターが蘇生したことによって、『生還の宝札』の効果で、カードを一枚ドローするで!さらにわいは、『エーリアン・ウォリアー』を召喚や!」
エイジの場に、鋭い爪と牙を持ったエーリアンが現れた。
「『エーリアン・ウォリアー』が場にいるときはな、Aカウンターが乗ったモンスターがエーリアンとバトルする時、攻撃力が300ポイントダウンするんやで!」
「何!」

エーリアン・ウォリアー
地 レベル4
【爬虫類族・効果】
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカードを破壊したモンスターにAカウンターを2つ置く。Aカウンターが乗ったモンスターは、「エーリアン」と名のついたモンスターと戦闘する場合、Aカウンター1つにつき攻撃力と守備力が300ポイントダウンする。
攻撃力1800 守備力1000

 『エーリアン・ウォリアー』が場に出現したことにより、『ネクロイド・シャーマン』の腕に侵食したAカウンターが活性化し、腕を蝕んでいった!
「バトルや!『エーリアン・ウォリアー』で、『ネクロイド・シャーマン』に攻撃!エーリアンズ・クロー!」
『エーリアン・ウォリアー』の爪が、Aカウンターが侵食した『ネクロイド・シャーマン』の腕をとらえ、そのまま引きちぎってしまった!
「ぐあっ!」(カムイLP 4000→3800)
「はっはっは、あっさりと破壊されてまったな!カードを一枚場に伏せ、ターンエンドや!」
「くっ、オレのターン、ドロー!墓地の『ネクロダークマン』の効果発動ッス!このカードが墓地にある時、手札から『E・HERO』と名のつくモンスターを一体、生け贄無しで召喚できるッスよ!この効果で……、『E・HERO エッジマン』を召喚するッス!」
 カムイの場に、全身が鋭利な刄で覆われたヒーローが召喚された。

E・HERO ネクロダークマン
闇 レベル5
【戦士族・効果】
このカードが墓地に存在する限り、自分は「E・HERO」と名のついたモンスター1体を生け贄なしで召喚する事ができる。この効果はこのカードが墓地に存在する限り1度しか使用できない。
攻撃力1600 守備力1800

E・HERO エッジマン
地 レベル7
【戦士族・効果】
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
攻撃力2600 守備力1800

「『エッジマン』……攻撃力2600か!生け贄無しでそんな大型モンスターを隠し持ってたなんて思わんかったで!」
「まあ、ついさっき引いたばっかりなんスけどね。さらに、『ワイルドマン』を反転召喚して……、フィールド魔法、『摩天楼‐スカイスクレイパー』を発動ッス!」
そう言いながら、『摩天楼‐スカイスクレイパー』をフィールド魔法カードゾーンに勢い良く置くと、フィールドに、巨大なビル街が現れ、一番高いビルの上に、『ワイルドマン』と『エッジマン』が飛び乗った!

摩天楼‐スカイスクレイパー
フィールド魔法
「E・HERO」と名のつくモンスターが攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力が攻撃対象モンスターの攻撃力よりも低い場合、攻撃モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ1000ポイントアップする。

「『摩天楼‐スカイスクレイパー』が発動している状態でE・HEROが自分より強い相手とバトルするとき、攻撃力が1000ポイントアップするッスよ!『ワイルドマン』で、『エーリアン・ウォリアー』に攻撃ッス!スカイスクレイパー・スラッシュ!」
 ビルの屋上から飛び降りることによって勢いを付けた切り掛かりで、『エーリアン・ウォリアー』を一刀両斬した。
「ぐうっ、やるやないか!」(エイジLP 4000→3300)
「だがな、『エーリアン・ウォリアー』の効果発動や!『ワイルドマン』に、Aカウンターを二個埋め込むで!」
 真っ二つにされた『エーリアン・ウォリアー』の体から不気味な細胞が飛び散り、『ワイルドマン』の体に侵食した!
「くっ、だが、まだ『エッジマン』の攻撃が残っているッスよ!『エッジマン』で、裏側守備表示の『エーリアン・グレイ』に攻撃ッス!パワーエッジ・アタック!」
 『エッジマン』の鋼の刄が『エーリアン・グレイ』をとらえ、一瞬で真っ二つにした。さらにその攻撃の余波がエイジを襲い、ものライフを削り取った。
「ぐあぁぁぁ!」(エイジLP 3300→1700)
「くうっ、これほどの大ダメージは、予想外やったで!だが、これで『エーリアン・グレイ』のリバース効果が発動するで!『エッジマン』にAカウンターを埋め込み、第二効果で、カードを一枚ドローするで!」
 『エッジマン』の腕の刄に不気味な細胞がこびり付いた!
「よっしゃー!エーリアン軍団を全滅させたッスよ!カードを一枚場に伏せ、ターンエンド!」

現在の状況
カムイ LP…4000
   手札…0枚
    場…E・HERO エッジマン(攻撃表示)
      E・HERO ワイルドマン(攻撃表示)
      摩天楼‐スカイスクレイパー(フィールド魔法)
      伏せカード二枚
エイジ LP…1700
    手札…二枚
    場…生還の宝札(永続魔法)
      伏せカード二枚

「わいのターンや!ドロー!手札から、魔法カード、『天使の施し』を発動するで!カードを三枚ドローし、手札から、『エーリアン・ソルジャー』と『エーリアン・ベーダー』を捨てるで!」

天使の施し
通常魔法
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。

「さらに、手札から、『エーリアン・マーズ』を召喚や!」
エイジの場に、タコ足のエーリアンが現れた。
「『エーリアン・マーズ』の効果で、Aカウンターが乗ったモンスターの効果を無効にするで!活性化しろ!A細胞!」
 『エーリアン・マーズ』の頭の水晶体から発せられた不気味な光が『ワイルドマン』と『エッジマン』に侵食したA細胞を活性化させ、能力を吸い出していった!
「何!オレの場のモンスターの効果が!だが、攻撃力は変化していない……。いったい何をする気なんスか!?」
「教えたるで!わいの切り札を発動させるためには、罠の効果を受けない『ワイルドマン』の効果が少々厄介やったからや!だが、今その効果は『エーリアン・マーズ』によって無効化したで!わいは、このタイミングを待っとったんや!伏せ罠カード、『集団催眠』を発動や!お前の場の『エッジマン』と『ワイルドマン』をこのターンの間洗脳させてもらうで!」
「何!」
『ワイルドマン』と『エッジマン』は、一瞬意識を失ったかと思ったら、ふらふらと回れ右をし、カムイに向かって持っている武器を構えた!

集団催眠
永続罠
自分フィールド上に「エーリアン」と名のついたモンスターが存在する時に発動する事ができる。相手フィールド上に存在するAカウンターが乗ったモンスターを3体まで選択しコントロールを得る。このカードは発動ターンのエンドフェイズ時に破壊される。

「うわ〜、ひっど〜い!他人のモンスターを勝手に使うなんて!」
「くっ、エイジの奴!これをやるために、わざとカムイのモンスターを生かしておいたのか!」
 センリとリナは、洗脳戦法に対して否定的な感情を顕にしていた。
「って、お前ら!人聞きの悪いこと言うな!大体な、そんなこと言うたら、伝説のデュエリスト達のカードを否定しとることになるんやで!」
 エイジは、もっともらしい発言をし、自分の戦術を正当化した。
「と、ともかく、これで終わりや!『エッジマン』と『ワイルドマン』で、ダイレクトアタックや!」
「くっ、伏せ罠カード、『攻撃の無力化』を発動するッス!これでオレへのダイレクトアタックを無効にし、バトルフェイズを終了させるッスよ!」
 洗脳されたヒーローがふらふらとカムイに切り掛かってきたが、その攻撃は時空の渦にねじ曲げられ、カムイを傷つけることはなかった。

攻撃の無力化
カウンター罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

「ほー、運がいい奴やな。もしお前が『サイクロン』で『集団催眠』を破壊する方法で洗脳を解除する気やったら、これで追撃しとったんやからな。」
と言いながら、エイジは一枚の伏せカードを見せた。
「まあ、このままやとエンドフェイズ時に『集団催眠』が解けてまうからな。その前に、このカードを発動しとくで!伏せ罠カード、『ミステリー・サークル』を発動や!『エーリアン・マーズ』と『ワイルドマン』を生け贄に、レベル7のエーリアン一体をデッキから特殊召喚するで!」
エイジの場に、不思議な紋章が浮かび上がり、『エーリアン・マーズ』と『ワイルドマン』が生け贄に捧げられた!
「いくで!これがわいのデッキ最強のモンスター……『エーリアン・ジョーカー』や!」
 エイジの場に、野獣のようなエーリアンが現れた。全身白色で、鋭い牙と爪を持っているところは他のエーリアンと似ていたが、背中には筒状の何かがついていた。
「『エーリアン・ジョーカー』の効果発動や!このカードか場に出た時、わいの墓地の『エーリアン』と名のつくモンスターの数まで、場のモンスターにAカウンターを埋め込むで!」
「な……!」
「わいの墓地の『エーリアン』は……、『エーリアン・グレイ』、『エーリアン・ウォリアー』、『エーリアン・ソルジャー』、『エーリアン・ベーダー』、『エーリアン・マーズ』や!『エーリアン・ジョーカー』!Aカウンターを五個、『エッジマン』に埋め込め!」
 『エーリアン・ジョーカー』の背中の筒から五個のA細胞が発射され、『エッジマン』の腕、足……と、全身に侵食し、全身を蝕んでいった!

エーリアン・ジョーカー
闇 レベル7
【爬虫類族・効果】
このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、自分の墓地に存在する『エーリアン』と名のつくモンスター1体につき、場のモンスター1体にAカウンターを1個置くことができる。Aカウンターが乗ったモンスターは、「エーリアン」と名のついたモンスターと戦闘する場合、Aカウンター1つにつき攻撃力と守備力が300ポイントダウンする。
攻撃力2700 守備力2200

「な……オレの『エッジマン』が!」
「はっはっは!これで『エッジマン』の戦闘力は激減してまったな!エンドフェイズ時に『集団催眠』は破壊され、『エッジマン』のコントロールが元に戻ってまうが、その状態では、もうわいのエーリアン相手にまともな戦闘はできへんで!カードを一枚場に伏せ、ターンエンドや!」
「くっ、オレのターン、ドロー!モンスターを裏側守備表示でセットし……『エッジマン』を守備表示に変更して、ターンを終了するッス。」

現在の状況
カムイ LP…4000
手札…0枚
    場…E・HERO エッジマン(Aカウンター×6・攻撃表示)
      摩天楼‐スカイスクレイパー(フィールド魔法)
      伏せカード一枚
エイジ LP…1700
    手札…二枚
    場…エーリアン・ジョーカー(攻撃表示)
      生還の宝札(永続魔法)
      伏せカード一枚

「わいのターンや!ドロー!手札から、魔法カード、『黙する死者』を発動し、墓地の『エーリアン・ソルジャー』を復活させるで!」
 エイジの場に、サーベルを持った屈強なエーリアンが復活した。

黙する死者
通常魔法
自分の墓地から通常モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。そのモンスターはフィールド上に存在する限り攻撃をする事ができない。

「『生還の宝札』の効果で、カードを一枚ドローするで!さらに、『エーリアン・ソルジャー』を生け贄に……『エーリアン・マザー』を召喚や!」
四本の腕を持ち、その一つ一つに鋭い爪を備えたエーリアンが現れた。
「さて、お前の場には守備表示モンスターが二体……このままやと、ダメージが通らへんな……だが、この伏せカードを使えば、一発解決や!伏せ罠カード、『メテオ・レイン』を発動するで!」
「何!」
 エイジの場の『エーリアン・ジョーカー』と『エーリアン・マザー』は、空から落ちてきた流星群のエネルギーを吸収し、真っ赤なオーラをまとい始めた!

メテオ・レイン
通常罠
このターン自分のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

「『メテオ・レイン』の効果を受けたモンスターは、このターン、貫通能力を得るで!バトルや!『エーリアン・ジョーカー』で、裏側守備モンスターに攻撃や!ハウリング・バイト!」
裏側守備モンスターは、『フレンドッグ』だった。攻撃力と守備力の差が1500もあったため、一瞬で破壊され、その勢いでカムイにもダメージを与えた。
「ぐっ!」(カムイLP 4000→2500)
「だが、『フレンドッグ』の効果発動ッス!オレの墓地から、『融合』と『ワイルドマン』を手札に戻すッスよ!」
「ほー、なるほどな。『フレンドッグ』の効果で手札を増やして、次につなげるってわけか。だが、まだわいのバトルフェイズは終わってないで!『エーリアン・マザー』で、『エッジマン』に攻撃や!ブレイク・スラッシャー!」
A細胞に全身をむしばまれた『エッジマン』は、『エーリアン・マザー』の四本の腕から繰り出される攻撃に対して全く抵抗できず、あっという間に粉砕されてしまった。
「ぐあぁぁぁ!!」(カムイLP 2500→200)
「はっはっは!もう後が無いな!わいはターンを終了するが、『エーリアン・マザー』の効果発動や!こいつがAカウンターが乗ったモンスターを戦闘で破壊した場合、バトルフェイズ終了時に破壊したモンスターをわいの場に復活させるんやで!こっちに来い!『エッジマン』!」
カムイの墓地から、『エッジマン』が目の色を変えて、エイジの場に付いた!

エーリアン・マザー
闇属性 レベル6
【爬虫類属・効果】
このカードが戦闘によってAカウンターが乗ったモンスターを破壊し墓地へ送った場合、破壊したモンスターをバトルフェイズ終了時に自分フィールド上に特殊召喚する。この方法で特殊召喚したモンスターは、このカードがフィールド上から離れた時に全て破壊される。
攻撃力2300 守備力1500

「あ〜う〜、まずいよ〜センリ〜。カムイの場に、モンスターがいなくなっちゃったよ〜。」
「だが……、エイジの場にも伏せカードが無いな。カムイの次のドロー次第では、何とかなるだろ。」

「オレのターン、ドロー!……手札から、魔法カード、『天使の施し』を発動ッス!デッキからカードを三枚ドローし、手札を二枚捨てるッスよ!さらに、魔法カード、『融合』を発動ッス!手札の『バーストレディ』と『チェインソウル』を融合し……、『E・HERO チェインハート』を融合召喚するッス!」
「何やて!ここで新しいヒーローが来るんか!」
 カムイの場に、鎖のムチを持った女戦士が現れた。

E・HERO バーストレディ
炎 レベル3
【戦士族】
攻撃力1200 守備力800

E・HERO チェインソウル
光 レベル3
【戦士族・効果】
このカードが相手のカードの効果によって墓地に送られた時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外し、自分の墓地から『E・HERO』と名のつくモンスターを一体攻撃表示で特殊召喚する。
攻撃力500 守備力500

「『チェインハート』の効果発動ッス!ハートフル・ファイア!」
『チェインハート』の手から放たれたハート型の炎が『エッジマン』に当たり、燃え上がっていった!
「な……、自分のモンスターに火を点けるやて!どういうことや!」
「別に攻撃してるわけじゃないッスよ!魂の炎で、洗脳された心を元に戻しているだけなんスから!目を覚ませ!『エッジマン』!」
 その炎が消えたときには、『エッジマン』の目の色は元に戻り、カムイの場へと帰っていった!

E・HERO チェインハート
炎 レベル6
【戦士族・融合・効果】
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。(洗脳解除の効果)
攻撃力1700 守備力1400

「『エッジマン』のAカウンターは……『エーリアン・マザー』によって墓地に送られたことで、すべて取り除かれたッス!さらに、『摩天楼‐スカイスクレイパー』の攻撃力アップ効果で、『エーリアン・ジョーカー』を破壊できるッスよ!いくッスよー!『エッジマン』で、『エーリアン・ジョーカー』に攻撃ッス!スカイスクレイパー・アタック!」
 ビルの屋上から突撃する激しい攻撃により、『エーリアン・ジョーカー』は真っ二つにされた。
「ぐあっ!」(エイジLP 1700→800)
「さらに、『チェインハート』で、『エーリアン・マザー』に攻撃ッス!スカイスクレイパー・ウィップ!」
 『チェインハート』の放った鎖のムチが『エーリアン・マザー』を打ち払った!
「ぐっ!やるやないか!」(エイジLP 800→400)
「だが……、『エッジマン』の命は、『エーリアン・マザー』によってつなぎ止められてるんやで!よって、『エッジマン』も道連れや!」
 『エーリアン・マザー』が倒れたのと同時に『エッジマン』も倒れ、仲良く消滅してしまった。
「くっ……、『エッジマン』を最後まで場に残しておけなかったのは残念なんスが……、このターンで終わりにしてやるッスよ!伏せておいた速攻魔法、『融合解除』を発動ッス!『チェインハート』の融合を解除し、『バーストレディ』と『チェインソウル』を特殊召喚するッスよ!」

融合解除
速攻魔法
フィールド上の融合モンスター1体を融合デッキに戻す。さらに、融合デッキに戻したこのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、この一組を自分のフィールド上に特殊召喚する事ができる。

「な、何やて!たった1ターンで戦況を引っ繰り返されたやと!?」
 カムイの早すぎる巻き返しに対し、エイジは舌を巻いた。
「これで終わりッス!『チェインソウル』でダイレクトアタック!チェイン・ショット!」
「ぐっ……、わいの負けか……。」(エイジLP 400→0)

「よし、オレの勝ちッスね!」
「やるやないか!カムイ!いいデュエルやったで!」
「いやー、そっちの後半の逆転劇も、すごかったッスよ!」
「そうか!……おっ、そうや!これから一週間後に、『スーパージェネックス』にむけた特別パックの整理券が配られるって話、知ってるか?」
「いや、知らないな。」
「ねえねえ、それってどんなカードが入ってるの?」
特別パックに興味があるのか、センリとリナが話に割り込んできた。
「まあ、詳しくはわからんがな。」
「な〜んだ、エーリアンセンスって、対したこと無いじゃん。」
「って、失礼なことぬかすな!……まあいいわい。スーパージェネックスでの戦い、楽しみにしとるでな!」
「ああ!こっちもッスよ!」

カムイとエイジは、スーパージェネックスに向けて、デュエルの腕を上げることを約束した……
大会まで……あと46日





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