GX plus!

製作者:カオスマンSPさん




アニメ「遊戯王デュエルモンスターズGX」の四年目の創作ストーリーです。
舞台を変え、キャラクターもほぼ全てが新作です。




新キャラ紹介

 光 神(カムイ)
武藤遊戯や、遊城十代に憧れる、この小説の主人公。E・HEROデッキを操る、軽い性格の青年。



第一話 新たなヒーロー使い

これは、遊戯王デュエルモンスターズGXで遊城十代等がデュエルアカデミアを卒業した翌年の話……

「いっけねえ!入学試験に遅れそうッス!」
 慌てている彼の名は『光 神(カムイ)』。一応、この小説の主人公だ。

「デュエリスト養成学校の頂点といわれる『デュエルアカデミア星海校』……いったいどんな所なんだ?楽しみッス!」
 『デュエルアカデミア星海校』………デュエルアカデミアの中でも最大レベルの施設が揃っている私立高校だ。

「星海校で精一杯修業して……いつかデュエルキングの武藤遊戯さんや、オレと同じヒーロー使いの遊城十代さんを越えてやるッスよー!……って言ってる間に星海校に着いたッス!」


星海校内にて……

「すいませーん。まだ試験の受け付け終わってないッスか?」
「ああ、大丈夫だよ。えーと、君の名前は?」
「『光カムイ』ッス。」
「『光カムイ』……ああ、あったあった。君はあっちで実技試験を受けてくれ。」


試験会場内にて……


 右手では、紺色のズボンとマントを着ている男が、デュエルをしていた。
「さて、私の場には守備力3000の『千年の盾』が守備表示で3体出ている。この布陣を越えられるかな?」
「そんなの楽勝だ!俺の場の『ゾンビ・マスター』に対し、『威圧する魔眼』を発動!これで『ゾンビ・マスター』はプレイヤーへの直接攻撃が可能になったぜ!いけ!『ゾンビ・マスター』!ネクロマンス・ゾンビ・シュート!」
「う……見事だ。君は合格だ。」
「よし、やったぜ!」


 左手では、デニムのスカートとチェックの服、黒いストッキングを着ている女の子が、デュエルをしていた。
「さて、私の場には攻撃表示の『千年の盾』が一体……だが、このカードは今、私の永続魔法『ウェポンチェンジ』により、攻撃力と守備力が逆転している。よって攻撃力は3000だ!さあ、どうする?」
「じゃあ、まず速攻魔法『魔法効果の矢』を発動して、あなたの『ウェポンチェンジ』を破壊して、あなたに500ポイントのダメージを与えるわ!これで『千年の盾』の攻撃力は0ね!まずは『白魔導士ピケル』で『千年の盾』を破壊して、『黒魔導士クラン』で直接攻撃!私の勝ちね!」


「ほー、みんな頑張っているッスねー。オレも行くッスよー!」
 カムイは、星海校に入れば、あのデュエリスト達とデュエル出来るようになると意気込んで、試験官の所へ向かった。


「君が光カムイ君だね。既にだいぶ合格者が出ているから、速攻で勝負を付けないと合格できないぞ。」
「大丈夫ッス!じゃあ、始めるッスよー!」
『デュエル!』


 先行は、試験官だ。この試験官は金髪に黄色いジャケット、白いズボンに黒いTシャツと、他の試験官よりも、ずいぶん若い感じだ。
「僕のターン、ドロー!モンスターを一体セットして、ターンエンドだ。」

「オレのターン、ドロー!一気に行くッスよー!手札から、魔法カード、『融合』を発動!手札の『フェザーマン』と『バーストレディ』を融合し、『E・HERO フレイム・ウィングマン』を融合召喚するッス!いけ!『フレイム・ウィングマン』!裏側守備モンスターに攻撃ッス!フレイム・シュート!」
 『フレイム・ウィングマン』の攻撃が『巨大ネズミ』に炸裂し、『巨大ネズミ』は一瞬にして消え去った。

「ぐっ、だが、『巨大ネズミ』には特殊能力がある!」
試験官は、力強く宣言した。

「このカードが戦闘で破壊され、墓地に送られたとき、デッキから攻撃力1500以下の地属性モンスターを一体攻撃表示で特殊召喚できる!この効果で、デッキから『千年の盾』を特殊召喚する!」
 試験官の場に、巨大な盾が現れた。
「だが、『フレイム・ウィングマン』には特殊能力があるッス!戦闘で破壊し、墓地に送ったモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与えるッス!『巨大ネズミ』の攻撃力は1400!よって、1400ダメージを受けてもらうッス!」
 『フレイム・ウィングマン』から発射された炎が、試験官を包み込んだ。

「うわっ!」(試験官LP 4000→2600)
「よっしゃー!ターンエンドッス!」
カムイは、まるで勝ったかのように浮かれていた。

「まだ勝負は終わってないぞ。僕のターン、ドロー!手札から、魔法カード、『右手に盾を左手に剣を』を発動!このカードの効果により、場のモンスターすべての攻守が入れ替わる!よって、『千年の盾』の攻撃力は3000!『フレイム・ウィングマン』の攻撃力は1200だ!」
 なんと、『千年の盾』が激しく円盤のように回転を始めた!

「バトルだ!『千年の盾』で『フレイム・ウィングマン』を攻撃!」
 『千年の盾』が回転しながら『フレイム・ウィングマン』を襲う!この意外な攻撃には、さすがの『フレイム・ウィングマン』でも耐えられず、真っ二つにされてしまった。
「ぐああっ!」(カムイLP 4000→2200)

「どうだい?さらに手札から、魔法カード、『アースクエイク』を発動!このカードの効果により、場のモンスターすべての表示形式を変更する!よって、『千年の盾』は守備表示になる!」
 『千年の盾』の回転が止まり、もとの体勢に戻った。
「カードを一体セットして、ターンエンドだ。」

「オレのターン、ドロー!試験官さん、この勝負、終わったかもしれないッスよ。」カムイは、自信満々に語った。
「いいだろう。さあ、見せてくれ!」
「分かったッス!手札から、魔法カード、『融合回収』を発動して、墓地から『融合』と『バーストレディ』を手札に戻すッス!さらに手札から、『スパークマン』を召喚し、装備魔法カード、『スパークガン』を場の『スパークマン』に装備するッス!」
 どうでもいいけど、『スパークマン』と『スパークガン』って、ややこしいですね。

「さらに手札から、魔法カード、『融合』を発動!手札の『バーストレディ』と『ワイルドマン』を融合し、いくッスよー!『E・HERO ファイヤー・ダンサー』!」
 松明を両手に持って踊るダンサーが、カムイの場に躍り出た。

「何!新しいE・HEROだと?」
「まずは『スパークガン』の効果発動!『千年の盾』の表示形式を、守備表示から攻撃表示に変更するッス!これで楽に破壊できるッスよ!まずは『スパークマン』で『千年の盾』を破壊するッス!」
「ぐっ!」(試験官LP 2600→1000)

「よっしゃー!『E・HERO ファイヤー・ダンサー』で、トドメッス!ヒート・オブ・ダンス!」
「まだだ!リバースカード・オープン!『蘇りし魂』!僕の墓地から『千年の盾』を守備表示で特殊召喚する!」
 地の底から、『千年の盾』が守備表示で蘇った。

「残念だったッスね!『E・HERO ファイヤー・ダンサー』には特殊能力があるッス!」
「何!」


E・HERO ファイヤー・ダンサー 炎 レベル8
【戦士属・融合・効果】
「E・HERO バーストレディ」+「E・HERO ワイルドマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃宣言時、攻撃対象となるモンスターの表示形式を変更する事ができる。
攻撃力2000 守備力2200


「表示形式変更だって……まさか!」
「その通りッス。『千年の盾』の攻撃力は0…よって、『E・HERO ファイヤー・ダンサー』でも戦闘破壊できるッス!『E・HERO ファイヤー・ダンサー』!『千年の盾』の表示形式を変更して、破壊するッス!ヒート・オブ・ダンス!」
 『ファイヤー・ダンサー』の熱い踊りにつられて、『千年の盾』も踊ろうとしたが、当然そんなことはできず、倒れてしまった。その隙をつき、『ファイヤー・ダンサー』の攻撃が『千年の盾』を直撃し、あっさりと破壊されてしまった。

「ぐああっ!」(試験官LP 1000→0)


「よっしゃー!4ターンで勝ったッス!」
「よくやったね。君が一番早く勝負を決めたよ。合格だ。デュエルアカデミア星海校への入学、おめでとう。」
「合格?本当ッスか!ありがとうございます!」



新キャラ紹介

 黒部 剣一
第一話でカムイの相手を努めた、『戦士部』の顧問の先生。金髪の好青年。

 黒部 与一
デュエルアカデミア星海校の校長先生。軍人のような帽子と、立派な髭がトレードマーク。

 黄泉 選理(センリ)
『アンデット部』所属の青年。『ゾンビ・マスター』を使いこなす実力もさることながら、名前に似合わぬ友好的な性格も特徴。



第二話 HEROVSゾンビ!

 晴れてデュエルアカデミア星海校への入学試験に合格したカムイ。新入生達は、星海校の校長先生の話を聞くため、巨大なデュエルドームに集まっていた。
「みなさん。私が校長の『黒部与一』だ。デュエルアカデミア星海校への入学おめでとう。だが、分かっていると思うが、これがゴールラインではない。この星海校で、さらなる努力を重ね、一流のデュエリストとしての素質を研くように。」
「ほー、かっこいいッスねー。」
「なお、この星海校では、特別な組み分けを行う。各自、自分のデッキの中に入っているモンスターのメイン種族の名を冠している部に入ってもらうことにする。」
「って事は、オレは、『戦士部』って事ッスね。……って、それじゃあ、試験会場にいた、『ゾンビ・マスター』や『魔導士』を使ってた奴らと別の組になるんじゃないッスかー!」
「では、担当の先生の指示に従い行動するように。以上。」

「では、『戦士部』の人はここに集まってください。」
「あれ?あの時の試験官が先生だったッスか?」
「ああ、そうだよ。僕の名前は『黒部剣一』。今後よろしく。」
「ん?『黒部』って、もしかして先生って、校長先生の息子ッスか?」
「そうだけど……まあ、そこまで神経質になる必要はないよ。じゃあみんな。教室に向かうよ。」
 カムイは、少々残念に思いながら、先生に付いていった。

 教室にて……
「じゃあみんな。部の仲間との親睦を深めるために、二時間の自由デュエルを開始するよ。」

 一時間後……
「ふー。やっぱり同じような相手と何度もデュエルするのは、退屈するッス。仕方がないッスね。先生に相談して……」
 カムイは、先生の所へ向かった。
「先生。他の組の人とデュエルする時間は無いッスか?」
「んー、午後八時以降だったらできるよ。で、誰とデュエルしたいんだい?」
「え?名前はわからないんスけど……紺色のズボンとマントを着ていて、『ゾンビ・マスター』を使っていたデュエリストッス。」
「なるほど。じゃあ、この地図に印されたところで会えるようにしておくから。」
「ありがとうッス。」

午後八時を過ぎ……

「んー、ここに呼んでおくって言ってたんスけど……まだ来てないみたいッスね。」
「よう。誰か探してんのか?」
男が、後ろから話し掛けてきた。その男は、紺色のズボンとマントを着ていた。
「もしかして、お前が『光カムイ』か?まさかそっちからご氏名とはな。」
「何でオレの名前を知ってるんスか?」
「お前のデュエルを試験会場で見ていたからな。それで、お前と戦って見たくなったのさ。」
「そっか。オレと同じッスね。お前の名前は?」
「『黄泉選理』だ。『センリ』って呼んでくれ。」
「分かったッス!じゃあ、早速デュエルするッスよ!センリ!」
「来い!カムイ!」
『デュエル!』
先行は、センリだった。カムイは、センリがどんな戦い方をするのか、期待していた。
「俺のターン、ドロー!まずは手札から、魔法カード、『おろかな埋葬』を発動し、デッキから『ゴブリンゾンビ』を墓地に送る!そして、手札から、『ゾンビ・マスター』を召喚!『ゾンビ・マスター』の効果発動!手札のモンスター一体を墓地に送り、墓地のレベル4以下のアンデット族を一体特殊召喚する!手札から、『ドラゴン・ゾンビ』を墓地に送り、墓地から『ゴブリンゾンビ』を守備表示で特殊召喚!さらに、手札から、魔法カード、『ネクロマンサー入門書』を発動!墓地からレベル4以下のアンデット族である『ドラゴン・ゾンビ』を攻撃表示で特殊召喚する!」

ネクロマンサー入門書
通常魔法
自分の墓地または手札から、レベル4以下のアンデット族モンスターを一体特殊召喚する。

墓地に送られたゾンビ達が、次から次へと蘇った。
「すげえ!1ターンでモンスターが三体も!」
「どうだ!さらに、カードを一枚場に伏せ、ターンエンド!」
「オレのターン、ドロー!手札から、魔法カード、『融合』を発動するッスよ!手札の『ワイルドマン』と『エッジマン』を融合し、『E・HERO ワイルドジャギーマン』を融合召喚するッス!」
「なるほど。そのモンスターなら、俺のゾンビ軍団を一網打尽にできるな。」
強力な融合モンスターを出されたにもかかわかず、センリの表情には余裕が伺える。
「(あの余裕……伏せカードによっぽど自身があるんスか?でも、オレの手札には伏せカードを除去するカードは無いッス!一気に攻めていくッス!)『ワイルドジャギーマン』で、相手モンスターすべてに攻撃するッス!」
『ゾンビ・マスター』、『ゴブリンゾンビ』、『ドラゴン・ゾンビ』の三体は、『ワイルドジャギーマン』によって、一網打尽にされた。『ゾンビ・マスター』と『ドラゴン・ゾンビ』は攻撃表示だったため、センリは合計1800ポイントのダメージを受けた。
「く……」(センリLP 4000→2200)
「だが、墓地に送られた『ゴブリンゾンビ』の効果発動!デッキから守備力1200以下のアンデット族の『ゾンビ・マスター』を手札に加える!」
「よっしゃー!ゾンビ軍団、全滅ッス!カードを一枚場に伏せ、ターンエン…」
「待て!俺はお前のエンドフェイズ時に、この伏せカードを発動させる!罠カード、『ネクロ・フュージョン』を発動!」

ネクロ・フュージョン
通常罠
自分の墓地に3体以上アンデット族モンスターが送られたターンのエンドフェイズに発動可能。自分の融合デッキから『屍魔獣 ネクロ・キメラ』を特殊召喚する。(この特殊召喚は、融合召喚扱いとする。)

「いくぜ!『屍魔獣 ネクロ・キメラ』!『ネクロ・キメラ』の効果発動!このターンに墓地に送られたアンデット族をすべてこのカードに装備する!」
 一網打尽にされたはずのゾンビ達が、『ネクロ・キメラ』に取り込まれていく!頭にはドラゴンの顔、右手部分には人の体、そして背中には、魔物の体が浮かび上がった!
「ゾンビ達を吸収して……『ネクロ・キメラ』が巨大化していくッス!」

屍魔獣 ネクロ・キメラ
闇 レベル10
【アンデット族・融合・効果】
アンデット族モンスター×3
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このモンスターの特殊召喚に成功したとき、このターン内に墓地に送られたアンデット族モンスターをすべてこのカードに装備する。このモンスターの攻撃力は、装備されたモンスターの攻撃力の合計分アップする。このカードが破壊される時、代わりに装備したモンスターを破壊する。
攻撃力0 守備力0

「『ネクロ・キメラ』に装備されたモンスターは、『ゾンビ・マスター』、『ゴブリンゾンビ』、『ドラゴン・ゾンビ』の三体だ!三体の攻撃力の合計は4500だ!よって、『ネクロ・キメラ』の攻撃力は、4500にアップするぜ!」
「4500……究極竜と同じじゃないッスか!くっ、ターンエンドッス……」
「俺のターン、ドロー!手札から、『ゾンビ・マスター』を召喚する!行け!『ネクロ・キメラ』!『ワイルドジャギーマン』に攻撃!ネクロマンス・ゾンビ・デッドリー・……スラッシュ・ブレス・シュート!」
「って、技名長すぎッスよ!」
技名の長さはともかく、『ネクロ・キメラ』の攻撃力4500は驚異だ。この攻撃力の前には、攻撃力2600の『ワイルドジャギーマン』ですら全く歯が立たない。
「ぐああっ!」(カムイLP 4000→2100)
「まだだ!『ゾンビ・マスター』で、直接攻撃!ネクロマンス・ゾンビ・シュート!」
「ぐっ!」(カムイLP 2100→300)
「ふっ、後が無いな!ターンエンド!」
「まだ勝負は終ってないッスよ!オレのターン、ドロー!手札から、魔法カード、『天使の施し』を発動し、カードを三枚ドローし、手札を二枚捨てるッス!」
「何!ここで『天使の施し』だと!なんて引きの良さだ!」
「よし!センリ!このターンで、その怪物を破壊してやるッスよ!」
怪物とは、当然『ネクロ・キメラ』のことだ。
「手札から、魔法カード、『融合回収』を発動し、墓地の『融合』と『エッジマン』を手札に戻すッス!さらに、手札から、魔法カード、『融合』を発動し、手札の『フェザーマン』と『エッジマン』を融合し、『E・HERO ソニックブーマー』を融合召喚するッス!」
 鋼の翼を持った、雄々しいヒーローが、カムイの場に舞い降りた。
「新しいE・HEROだと!いったいどんな効果を持っているんだ!」
「いくッスよ!『ソニックブーマー』で攻撃の際、効果発動!『ネクロ・キメラ』に装備されている『ゾンビ・マスター』を破壊するッス!」
『ソニックブーマー』が起こした竜巻が、『ネクロ・キメラ』に吸収された『ゾンビ・マスター』を吹き飛ばした!

E・HERO ソニックブーマー風 レベル8
【戦士族・融合・効果】
『E・HERO フェザーマン』+『E・HERO エッジマン』
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃宣言時、フィールド上の魔法、罠カードを一枚破壊する事ができる。
攻撃力2800 守備力1800

「何!『ネクロ・キメラ』に装備された『ゾンビ・マスター』が!今、『ネクロ・キメラ』の攻撃力は……」
「『ゴブリンゾンビ』と『ドラゴン・ゾンビ』の合計分の、2700ッス!『ソニックブーマー』の攻撃力は2800……よって、戦闘破壊できるッスよ!『ソニックブーマー』の攻撃ッス!メタル・フェザー・スラッシュ!」
鋼の翼による突撃で、『ネクロ・キメラ』のパーツを一個切り落とした!
「ちっ……」(センリLP 2200→2100)
「だが、『ネクロ・キメラ』には特殊能力がある!このカードが破壊される時、装備されたモンスターを代わりに破壊する効果だ!この効果で装備された『ゴブリンゾンビ』を破壊する!さらに、『ゴブリンゾンビ』の効果でデッキから守備力1200以下のアンデット族の『ゾンビ・マスター』を手札に加えるぜ!」
「まだ終ってないッスよ!手札から、速攻魔法『融合解除』を発動するッス!この効果で『ソニックブーマー』の融合を解除し、墓地から『フェザーマン』と『エッジマン』を攻撃表示で特殊召喚するッス!」
『ソニックブーマー』の融合が解除され、カムイのフィールドに『フェザーマン』と『エッジマン』が現れた。
「『融合解除』で特殊召喚されたモンスターは、すぐ攻撃ができるッス!『エッジマン』で『ネクロ・キメラ』に攻撃!」
『エッジマン』の攻撃によって、『ネクロ・キメラ』の最後のパーツが破壊された!
「ぐあっ!」(センリLP 2100→1100)
「くっ……『ネクロ・キメラ』の破壊を無効にする効果は、強制効果だ……。よって、装備された『ドラゴン・ゾンビ』が代わりに破壊される……。」
『ネクロ・キメラ』に吸収されたパーツはすべて破壊され、残すはコアただ一つとなった。
「よっしゃー!『フェザーマン』!あのコアを破壊するッス!フェザー・ブレイク!」
『フェザーマン』の攻撃でコアが破壊され、『ネクロ・キメラ』はフィールド上から消滅した。
「しまった!『ネクロ・キメラ』が!」(センリLP 1100→100)
「ふっ、後が無いッスね!ターンエンドッス!」
「…それ、さっき俺が言った言葉だろ。俺のターン、ドロー!手札から、『ゾンビ・マスター』を召喚!そして、一体目の『ゾンビ・マスター』の効果発動!手札から、『鎧武者ゾンビ』を墓地に送り、墓地から『ゾンビ・マスター』を特殊召喚!さらに、手札から、魔法カード、『悪夢再び』を発動し、墓地から守備力0の闇属性モンスター、『鎧武者ゾンビ』と『ドラゴン・ゾンビ』を手札に加えるぜ!」
「って、まだ並べる気ッスか?」
「ああ!二体目の『ゾンビ・マスター』の効果発動!手札から、『鎧武者ゾンビ』を墓地に送り、墓地から『鎧武者ゾンビ』を特殊召喚!さらに、三体目の『ゾンビ・マスター』の効果発動!手札から、『ドラゴン・ゾンビ』を墓地に送り、墓地から『ドラゴン・ゾンビ』を特殊召喚するぜ!」
「うおぉ!すげえ!すげえッスよ!一気にモンスターが場に五体も!」
「どうだ!さらに、手札から、装備魔法カード、『ヘル・アサイランス』を『ゾンビ・マスター』に装備する!このカードを装備したモンスターは、場の他の同名カード一枚につき、攻撃力が800ポイントアップするぜ!よって、『ゾンビ・マスター』の攻撃力は3400だ!行け!攻撃力3400の『ゾンビ・マスター』で、『フェザーマン』に攻撃!これで終わりだ!アサイランス・ゾンビ・シュート!」
『ゾンビ・マスター』が操る攻撃力3400のゾンビが、『フェザーマン』を襲う!
「確かに……この勝負、終ったッスね……。オレの勝利で!伏せ罠カード、『援護射撃』を発動するッス!このカードの効果で、『エッジマン』の攻撃力を『フェザーマン』にプラスするッス!」
「な、何いぃぃぃぃ!」
『ゾンビ・マスター』の攻撃を、『フェザーマン』と『エッジマン』が協力して迎え撃つ!
「『フェザーマン』と『エッジマン』の攻撃力の合計は3600……『ゾンビ・マスター』を上回ったッス!『フェザーマン』と『エッジマン』の迎撃!パワーエッジ・フェザー・ブレイク!」
「ぐああっ!お、俺の『ゾンビ・マスター』が……俺の負けだ……。」(センリLP 200→0)
「よっしゃー!オレの勝ちッス!」
「いやー、こんなに熱いデュエルは久しぶりだったぜ。」
「ああ、オレもッス!」
「そうだ。俺とデュエリスト登録しないか?」
「え?どうやってするんスか?」
「おいおい。そんな事も知らないのか?入学するとき、学生書代わりに、『DCT(デュエリストコミュニケーションツール)』を貰っただろ?それのアドレスを、赤外線機能を使って交換しあうだけだ。」
「なるほど。じゃあ、早速交換するッス。」
こうして、白熱したデュエルを終えたカムイとセンリは、友人関係を築いた……



新キャラ紹介

 転羽 里奈(リナ)
『魔法使い部』に所属する女の子。『魔導士』デッキを操り、子供っぽい性格が特徴。



第三話 魔導士の真価!

午前6時ごろ……

ピピピ……ピピピ……
 カムイのDCT(デュエリストコミュニケーションツール)が着信音を鳴らしていた。
「ん〜、誰ッスか〜。こんな朝っぱらから〜〜。」
 『誰』と言っても、まだセンリとしかアドレス交換をしていないのだが……

カチャッ。

「よう。カムイ。」
「センリ、いったい何の用事ッスか?」
「いや。今日の午後八時ごろ、開いてるかって聞きたくてな。」
「午後八時?開いてるッスけど、何するんスか?」
「この頃さ、『魔法使い部』の裏に、可愛い女の子が一人でいるって噂になってんだ。それで、お前と一緒にその女の子に会いに行こうかって思ってね。」
「え?そう言うのって、一人で会いに行ったほうがいいと思うんスけど。」
「ま、まあ、いいじゃないか。じゃあ午後八時ごろ、『戦士部』の前に集合な。」
ピッ。

「…まっ、どうせ暇だったから、行ってみるッスか。」

正午ごろ……
 カムイは、センリが言っていた女の子のことについて、黒部先生に聞いてみることにした。
「黒部先生。最近『魔法使い部』の裏に一人でいる女の子について、何か知ってるッスか?」
「ああ、もしかして、『転羽里奈』って娘の事かい?」
「…何か、名前だけで性格が想像できるッスね。ありがとうッス。」

午後八時、『戦士部』の前にて……
「遅かったな、カムイ。さて、行くか。」
「分かったッスよ。」

『魔法使い部』裏にて……
「おい、あの娘の事だぜ。いやー、可愛いなあ。」
その女の子は薄茶色のショートヘアーで、首に青いスカーフを巻き、青いデニムのスカートと黄色いチェックの服、黒いストッキングを着ていた。背は、カムイやセンリより頭一つ分以上低く、1メーター50あるかないか程度で、顔つきや体つきも一見高校生には見えないほど子供っぽい。
「って、あいつ、入学試験のとき、『魔導士』を使っていた奴じゃないッスか!そいつとは、デュエルしてみたかったんスよ!」
「って、カムイ!ちょっと待てよ!」

「ん?誰なの?あなた達。」
「デュエルを申し込みに来たんスよ!オレとデュエルしてくれッス!」
「おい、カムイ。いくらなんでも突然すぎだろ。」
「あなた達、『魔法使い部』の生徒じゃないのね!よかったー!同じようなデッキとのデュエルに何度も付き合わされてうんざりしてたの!」
「って、こんなにあっさりとデュエルしてくれるとは……予想外だ。」
「あっ、あたしの名前は『転羽里奈』って言うの!『リナ』って呼んでね。あなた達の名前は?」
「オレは、『光カムイ』ッス!」
「『黄泉センリ』だ。よろしく頼むぜ。」
「カムイにセンリ……ね。わかったわ!じゃっ、始めましょ!」
「おお!行くッスよ〜!」
『デュエル!』
先行は、リナだった。
「あたしのターン、ドロー!モンスターを一体セットして、ターンエンドね。」
「オレのターン、ドロー!手札から、『バーストレディ』を攻撃表示で召喚するッス!さらに、手札から、魔法カード、『H‐ヒートハート』を『バーストレディ』に対して発動するッス!これで攻撃力は1700になり、貫通能力を得るッス!『バーストレディ』で裏側守備表示モンスターに攻撃ッス!」
裏側守備モンスターは、『白魔導士ピケル』だった。守備力が0だったので、一瞬で破壊された上、貫通能力によって、リナは1700のダメージを受けた。
「きゃっ!」(リナLP 4000→2300)
「い、いきなり痛い一撃を与えてくるわね〜。」
「よっしゃー!ターンエンドッス!」
「あたしのターン、ドロー!手札から、『黒魔導士クラン』を召喚し、装備魔法、『魔導法具(マジカルキット) 黒のローブ』を『黒魔導士クラン』に装備するね。あっ、装備させるまで一分くらいかかるから待っててね〜。」
「い、一分?魔法使いなら、魔法使って数秒で着替えることくらいできないんスか?」
「何言ってんのよ!女の子ってのは、おめかしに時間がかかるものなのよ!」
「ぐ……っ、反論できねえッス……。」
「って、納得するなよ、カムイ!」

一分後……

 『黒魔導士クラン』が、可愛らしい衣裳を身にまとい、フィールド上にあらわれた。
「どう?一層可愛らしくなったでしょ〜?」
「…zzz……」
「おいおい。カムイの奴、待ち時間が長すぎて、寝てやがるぜ。」
「む〜っ。まあ、これで『黒魔導士クラン』の攻撃力は600ポイントアップして、1800になったわけだから〜、『黒魔導士クラン』で『バーストレディ』に攻げ〜〜き!ウィップ・アタ〜ック!」
 『黒魔導士クラン』の放ったムチが『バーストレディ』を貫き、カムイに600ポイントのダメージを与えた。
「ぐっ!(え?ムチって、打ち払って使うものじゃないんスか?)」(カムイLP 4000→3400)
「やっと目を覚ましたわね〜。寝ぼすけさん。あたしのターンは終了ね。」
「くっ、オレのターン、ドロー!手札から、魔法カード、『戦士の生還』を発動し、墓地の『バーストレディ』を手札に加えるッスよ!さらに、魔法カード、『融合』を発動ッス!手札の『フェザーマン』と『バーストレディ』を融合し、『フレイム・ウィングマン』を融合召喚ッス!『フレイム・ウィングマン』で『黒魔導士クラン』に攻撃ッス!フレイム・シュート!」
 『フレイム・ウィングマン』の攻撃は確かに『黒魔導士クラン』をとらえたが、身にまとっていた『ブラック・ローブ』によって、破壊を免れてしまった。

魔導法具(マジカルキット) ブラック・ローブ
『黒魔導士クラン』にのみ装備可能。このカードを装備したモンスターの攻撃力と守備力は600ポイントアップし、相手の魔法の効果を受けなくなる。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。

「あ〜っ、ひっど〜い!せっかく可愛くできてたのに〜!」(リナLP 2300→2000)
「ぐっ……、ターンエンドッス……。」
「やりにくそうだな……カムイ……。」
「あたしのターン、ドロー!スタンバイフェイズ時に、『黒魔導士クラン』の効果を発動するね。相手の場のモンスター一体につき、300ポイントのダメージを与えるわ。」
「あ、そういえばあったッスね。そんな効果。」(カムイLP 3400→3100)
「ひっどいわね!そんなことも知らないなんて!」
「いや、基本的に相手のカードの効果は知らないもんだぜ。」
 
「さらに、手札から、魔法カード、『いったいなあ!』を発動するね。」
「な、何スか?それは!」
「初めて聞くカードだな……」
聞いたことのない名前のカードの使用に、カムイとセンリは動揺を隠せない。
「このカードは、あたしの場に『黒魔導士クラン』が存在するときだけ発動できるカードよ。あたしの初期ライフから現在のライフと同じ値を引いた数値以下の守備力の相手モンスターをすべて破壊するわ。」
と言うと、空から小さな分銅が落ちてきた。
「何!そんな小さな分銅でモンスターを破壊しようとするんスか?」
と言っている間に、分銅が頭に当たった!……『黒魔導士クラン』の。当然痛かったのだろう、声を上げて泣きはじめた。
「あら〜、泣いちゃったわね〜。クランちゃん。」
「い、いったいどういうことッスか?自分のモンスターを泣かせるなんて!」
「あれ〜、もう『いったいなあ!』の効果は発動してるんだけど。」
「何!」
カムイは、自分の場を確認してみた。すると、『フレイム・ウィングマン』は、『黒魔導士クラン』が泣いたことによって発生した悲しみの波動により、吹っ飛ばされていた!
「な……、こんな方法でモンスターを破壊するなんて……想像できなかったッス!」

いったいなあ!
通常魔法
自分フィールド上に『黒魔導士クラン』が表側攻撃表示で存在する時に発動する事ができる。自分の初期ライフから現在のライフと同じ値を引いた数値以下の守備力の相手フィールド上のモンスターをすべて破壊する。このカードを使用したターン『黒魔導士クラン』は、攻撃と表示形式の変更を行えない。

「これで場ががら空きになっちゃったわね〜。クランちゃんはこのターン攻撃できないけど、手札から、装備魔法、『魔導法具 メモリージェム』を発動するね。墓地から『白魔導士ピケル』を特殊召喚して、このカードを装備させるわね。」

魔導法具(マジカルキット) メモリージェム
装備魔法
自分の墓地からレベル2以下の『魔導士』と名のつくモンスターを一体選択してフィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。

「さらに、手札から、装備魔法、『スカイブルーム』と『ダブルステッキ』をピケルちゃんに装備させるね〜。」
 『白魔導士ピケル』が空飛ぶ箒にまたがり、先が二つに分かれた杖を右手に持った。

魔導法具(マジカルキット) スカイブルーム
装備魔法
自分の場のレベル2以下の『魔導士』と名のつくモンスターにのみ装備可能。このカードを装備したモンスターの攻撃力は300ポイントアップし、相手のカードの効果の対象に選ばれなくなる。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。

魔導法具(マジカルキット) ダブルステッキ
装備魔法
自分の場のレベル2以下の『魔導士』と名のつくモンスターにのみ装備可能。このカードを装備したモンスターが相手プレイヤーへの直接攻撃によって与える戦闘ダメージは倍になる。装備モンスターが破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊してよい。このカードを装備したモンスターが、破壊される以外の方法でフィールドを離れるとき、このカードを墓地に送る代わりに手札に戻す。

「ピケルちゃんで、カムイに直接攻撃!ダブル・ホ〜リ〜・ステ〜ッキ!」
『白魔導士ピケル』の持っている二本の杖から放たれる聖なる魔法によって、カムイは3000ポイントもの大ダメージを受けた。
「ぐああああっ!」(カムイLP 3100→100)
「アハハッ!可愛い女の子達に攻撃されて負けるなんて、幸せでしょ〜!」
「って、んなこと言ってられる余裕なんて無いッスよ!」
「おいおい。リナのしゃべり方が、どんどん幼児化してるぜ。」
「カ〜ドを一枚場に伏せて〜、タ〜ンエンド〜!」
 ますます幼児化していくリナ。
「くっ、オレのターン、ドロー!このカードで終わりにしてやるッス!手札から、魔法カード……」と言いながらカムイは、手札の『ミラクル・フュージョン』に手をかけた。しかし、ここでセンリが、
「待て!カムイ!相手のペースに乗せられるな!もっと冷静になれ!」と忠告した。
「あっ…。」
カムイは、改めて場の状況を確認した。手札には『ミラクル・フュージョン』があるが、リナの場にも伏せカードが置かれている。
「相手は『魔導士』デッキだろ!ってことは、あのカードが伏せられている可能性は十分にあるぜ!」
センリはリナに『ピケルの魔法陣』を発動されることを警戒していた。そのカードによって効果ダメージを無効にされたら、カムイの勝ちは完全に無くなるからだ。
「どうしたの〜?早くしなさいよ〜。」
「サンキュー!センリ!オレは、手札から魔法カード、『天使の施し』を発動するッス!カードを三枚引き、手札から『バブルマン』と『ネクロダークマン』を捨てるッス!そして、手札から、『キャプテン・ゴールド』を捨て、デッキから『摩天楼‐スカイスクレイパー』を手札に加えるッス!さらに、魔法カード、『O−オーバーソウル』を発動して墓地の『バーストレディ』を特殊召喚して……フィールド魔法、『摩天楼‐スカイスクレイパー』を発動するッス!」
 フィールドに巨大なビル街があらわれ、ビルの屋上に『バーストレディ』が飛び乗った!
「まだッスよ!手札から、魔法カード、『ミラクル・フュージョン』を発動ッス!墓地の『バブルマン』と『ネクロダークマン』を除外して、『E・HERO リザレクト・ソーサラー』を融合召喚するッス!」
 杖と清き水を入れた聖杯を持った厳かなヒーローが、カムイの場に降臨した。
「おお!新しいヒーローか!どんな効果を持っているんだ!」
「『リザレクト・ソーサラー』の効果発動ッス!墓地から、レベル4以下の『E・HERO』を一体特殊召喚するッス!墓地から、『キャプテン・ゴールド』を特殊召喚ッス!ミラクル・ウォーター!」
『リザレクト・ソーサラー』が持っていた聖水の力により、『キャプテン・ゴールド』が蘇った。

E・HERO リザレクト・ソーサラー
水 レベル6
『E・HERO バブルマン』+『E・HERO ネクロダークマン』
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このモンスターの特殊召喚に成功したとき、自分の墓地に存在するレベル4以下の『E・HERO』と名のつくモンスターを一体特殊召喚する。(ただし、このモンスターの融合素材を特殊召喚することはできない。)
攻撃力1900 守備力2000

 三体のヒーローが、摩天楼のビルの屋上に集った!
「『摩天楼』はヒーローが戦うのに絶好の舞台!『バーストレディ』で『白魔導士ピケル』に攻撃ッス!『スカイスクレイパー』の効果で、攻撃を行う『E・HERO』より相手の攻撃力が高いとき、攻撃力が1000アップするんスよ!」
スカイスクレイパーのビルを活かしたハイスピードな攻撃により、『白魔導士ピケル』が装備していた『メモリージェム』は破壊された。
「あ〜っ、ひっど〜い!可愛い女の子にむかって、なんてことするのよ〜!」(リナLP 2000→1300)
「何言ってんスか!そんなことを気にしてたら、デュエルに勝てないッスよ!『キャプテン・ゴールド』で『白魔導士ピケル』に攻撃!スカイスクレイパー・キャプテン・キック!」
ビルの屋上から飛び降りながら放つ強力なキックにより、『白魔導士ピケル』の装備していた『ダブルステッキ』は破壊された。」
「ううっ…」(リナLP 1300→700)
「これで終わりッス!『リザレクト・ソーサラー』で『黒魔導士クラン』に攻撃ッス!リレイズ・マジック!」
 杖から放たれる魔力により、『黒魔導士クラン』は破壊された。
「うっ…あたしの…負けね。」(リナLP 700→0)
「よっしゃー!オレの勝ちッスね!」
「いやー、いいデュエルだったぜ。」
「まあ、オレもセンリの忠告が無かったら、負けていたんスけどね。」
「そうね。まさかあたしの伏せカードを読まれるなんて、思っても見なかったもん。」
「おいおい。いつのまにか話し方が元に戻ってるじゃないか。」
「ええ。ちょっとデュエルに白熱しすぎてたみたい。あっ、あなた達、あたしとデュエリスト登録しない?またデュエルしたいから!」
「おお!いいッスよ!」
「今度は俺ともデュエルしような。」



新キャラ紹介

 龍也
黒部剣一と同期の先生ということ以外は謎に包まれている。『あるカード』の存在にかかわっているらしいが……



第四話 成長する戦士達!

カムイは、センリやリナとデュエリスト登録したことで、学園生活に楽しみを持ちはじめた。

「やあ、カムイ。最近『戦士部』の子達とよくデュエルするようになったじゃないか。」
「あっ、黒部先生!オレ、『アンデット部』や『魔法使い部』の生徒とデュエリスト登録してから、学園生活がおもしろくなってきたんスよ!」
カムイは、黒部先生の問いかけに、笑顔で答えた。

「なるほど。……そうだ。僕とデュエルしてみないかい?」
「え!いいんスか?」
「ああ。試験会場では、本気のデッキで戦えなかったからね。それに、君がどれほどの実力か、確かめてみたくなったのさ!」
「じゃあ、行くッスよ!」
 カムイと黒部先生は、お互いにデュエルディスクを構え……


『デュエル!』


 先行は、黒部先生だった。先生がどんなデッキで戦うのか、カムイは楽しみにしていた。
「僕のターン、ドロー!カードを二枚セットし、手札から、『ツインソード・ファイター LV4』を召喚!ターンエンドだ。」
 二本の短剣を持ち、緑色の服を着た小さな戦士が、黒部先生の場に召喚された。

「(『ツインソード・ファイター』?初めて見るカードッスね……。だが、攻撃力は1400!すぐ倒せるッス!)オレのターン、ドロー!手札から、魔法カード、『融合』を発動ッス!手札の『スパークマン』と『クレイマン』を融合し、『E・HERO サンダー・ジャイアント』を融合召喚するッス!『サンダー・ジャイアント』の効果発動ッス!手札から、『ネクロダークマン』を捨て、『ツインソード・ファイター LV4』を破壊するッス!」
「なら、このタイミングで、伏せ罠カード、『LVバリア』を発動!このターン、僕の場の『ツインソード・ファイター LV4』は破壊されない!」
 『サンダー・ジャイアント』が放った雷は、『ツインソード・ファイター LV4』の前でかき消されてしまった!


LVバリア
通常罠
このターン、自分の場の『LV』と名のつくモンスターは破壊されない。


「くっ、だが、相手への戦闘ダメージは普通に受けるみたいッスね!『サンダー・ジャイアント』で『ツインソード・ファイター LV4』に攻撃ッス!」
「ぐっ!」(黒部先生LP 4000→3000)
 黒部先生は、『サンダー・ジャイアント』の攻撃を待っていたかのように伏せカードを表にした。

「だが、戦闘ダメージを受けたことにより、伏せ罠カード、『ダメージ・コンデンサー』を発動する!手札から、『ミスティック・ソードマン LV6』を捨て、受けた戦闘ダメージ以下の攻撃力を持つモンスターをデッキから一体特殊召喚する!攻撃力1000の『サイレント・ソードマン LV3』を特殊召喚!」
「くっ、カードを一枚場に伏せ、ターンエンドッス。」
「エンドを宣言したか。なら、ここで『ツインソード・ファイター LV4』の効果を発動させてもらう!『LV6』に進化だ!」
「何!」


ツインソード・ファイター LV4
風 レベル4
【戦士族・効果】
このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、もう一度だけ続けて相手モンスターに攻撃することができる。
このカードが戦闘を行ったターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送ることで、
手札またはデッキから『ツインソード・ファイター LV6』を一体特殊召喚できる。
攻撃力1400 守備力800


『ツインソード・ファイター』が成長し、たくましい姿になって、黒部先生の場に登場した!
「僕のターン、ドロー!スタンバイフェイズ時に、『サイレント・ソードマン LV3』は『LV5』に進化する!」
『サイレント・ソードマン』も青年の姿になって、黒部先生の場にあらわれた。

「僕は、手札から、魔法カード、『レベルアップ!』を発動!『サイレント・ソードマン LV5』!『LV7』に進化しろ!」
 『サイレント・ソードマン LV5』は、『LV7』に進化した。大きく見た目が変わったわけではないが、フィールドに妙な静けさがあふれてきた。

「『サイレント・ソードマン LV7』が場に存在するかぎり、フィールド上の魔法カードの効果はすべて無効になる!そして、手札から『ウィップ・ハンター LV4』を召喚!」
 2メーター近くはありそうな長い鞭を持った戦士が、黒部先生の場に召喚された。

「『ウィップ・ハンター LV4』の効果発動!相手フィールド上の『サンダー・ジャイアント』の表示形式を守備表示に変更させてもらう!」


ウィップ・ハンター LV4
地 レベル4
【戦士族・効果】
相手の場の表側表示モンスターの表示形式を守備表示に変更する。
この効果は1ターンに1度、自分のターンのメインフェイズに使用することができる。
この効果を使用したターン、このモンスターは攻撃することはできない。
この効果を使用したターンのエンドフェイズにこのカードを墓地に送ることで、
手札またはデッキから『ウィップ・ハンター LV6』を一体特殊召喚できる。
攻撃力1300 守備力1000


『ウィップ・ハンター LV4』が放った鞭は『サンダー・ジャイアント』を絡めとり、自由の効かない守備表示に変更されてしまった!
「これで厄介な攻撃力2400の『サンダー・ジャイアント』は、1500の低い守備力を曝け出したな!バトルだ!『ツインソード・ファイター LV6』で『サンダー・ジャイアント』に攻撃!ツインソード・スラッシュ!」
『ツインソード・ファイター LV6』の力強い斬り掛かりによって、『サンダー・ジャイアント』は真っ二つにされてしまった……。

「まだだ!『ツインソード・ファイター LV6』には特殊能力がある!」


ツインソード・ファイター LV6
風 レベル6
【戦士族・効果】
このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、もう一度だけ続けて攻撃することができる。
このカードが戦闘を行ったターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送ることで、
手札またはデッキから『ツインソード・ファイター LV8』を一体特殊召喚できる。
攻撃力2100 守備力1200


「返しの刄で、カムイにダイレクトアタック!バック・ツインソード・スラッシュ!」
『サンダー・ジャイアント』を倒した勢いのまま、カムイに斬り掛かり、半分以上のライフを削り落としてしまった!

「ぐあっ!なんて強力な効果なんスか!攻撃に限れば、あの『開闢の使者』と同じじゃないッスか!」(カムイLP 4000→1900)
「よし!この攻撃で終わりだ!『サイレント・ソードマン LV7』で、カムイにダイレクトアタック!沈黙の剣LV7!」
「くっ、伏せ罠カード、『強欲な盾』を発動するッス!相手モンスターのダイレクトアタックを無効にし、カードを一枚ドローするッス!」


強欲な盾
通常罠
相手モンスターから直接攻撃されるときに発動できる。
その攻撃を無効にし、自分のデッキからカードを一枚ドローする。


 『サイレント・ソードマン LV7』は静かにカムイの前に近付き、そのまま無言で斬り付けようとしたが、『強欲な盾』に阻まれ、ダメージを与えることはできなかった。
「ダイレクトアタックを無効にした上、カードをドローできるとは……なかなかいいカードだな。さて、僕はエンドフェイズに移るが、僕の場の『ツインソード・ファイター LV6』と『ウィップ・ハンター LV4』は進化条件を満たしている!『ツインソード・ファイター LV6』は『LV8』に、『ウィップ・ハンター LV4』は『LV6』に進化だ!」


ツインソード・ファイター LV8
風 レベル8
【戦士族・効果】
このカードは通常召喚できない。『ツインソード・ファイター LV6』の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードは一度のバトルフェイズ中に2回攻撃することができる。
攻撃力2800 守備力1600

ウィップ・ハンター LV6
地 レベル6
【戦士族・効果】
相手の場の表側表示モンスターの表示形式を守備表示に変更し、守備力を0にする。
この効果は1ターンに1度、自分のターンのメインフェイズに使用することができる。
この効果を使用したターン、このモンスターは攻撃することはできない。
この効果を使用したターンのエンドフェイズにこのカードを墓地に送ることで、
手札またはデッキから『ウィップ・ハンター LV8』を一体特殊召喚できる。
攻撃力2000 守備力1700


「くっ……相手の場には三体の強力なLVモンスター達……しかも、『サイレント・ソードマン LV7』の効果で、場の魔法カードは効果が無効になってしまうッス……。(ん?場の魔法?)」
「どうしたんだい?君のターンだよ。」
「あ、すまねえッス。(あのカードを引けば……逆転できるッス!)オレのターン、ドロー!」
 カムイは、ドローしたカードを確認した。そのカードは、カムイが今最も必要としているカードだった。

「オレは…手札から、魔法カード、『ミラクル・フュージョン』を発動するッス!」
「な、何!『サイレント・ソードマン LV7』が場にいる状態で魔法発動?どういうことだ?」
 カムイの意外な行動を目にして、黒部先生は驚きを隠せない。

「さらに、『ミラクル・フュージョン』にチェーンして、手札から、速攻魔法、『非常食』を発動ッス!コストとして、場の『ミラクル・フュージョン』を墓地に送るッス!『非常食』の回復効果は無効にされるッスが、『ミラクル・フュージョン』の効果は発動するッス!」
「な……、『サイレント・ソードマン LV7』の魔法無効化が、効かないだと!?」
「確かに……『サイレント・ソードマン LV7』による魔法無効化は、一見完璧に見えるッスが、一つだけ、大きな穴があるッス!それは、『場の』魔法しか無効にできないことッス!」
「そうか!魔法の効果が発動する前に、『非常食』で場から離れさせてしまえば、その魔法の効果は有効になる!」
 黒部先生は、『サイレント・ソードマン LV7』の魔法封殺の抜け道をあっさりと見抜かれてしまったことを驚いていた……。

「そういう事ッス!墓地の『スパークマン』と『ネクロダークマン』を除外して、『E・HERO ダーク・ブライトマン』を融合召喚するッス!『ダーク・ブライトマン』で『ウィップ・ハンター LV6』と相討ちするッス!」
『ダーク・ブライトマン』の突撃と『ウィップ・ハンター LV6』の鞭攻撃が交錯して、お互いに場から消え去った!

「戦闘で破壊された『ダーク・ブライトマン』の効果発動ッス!さらに、オレの場の『E・HERO』が戦闘で破壊されたことをトリガーにして、伏せ罠カード、『ヒーロー逆襲』を発動するッス!オレの手札を一枚ランダムに、黒部先生に選んでもらうッスよ!」
「……って、君の手札は、一枚しかないじゃないか。」
「ま、まあ、形式上いってみただけッス……。オレの手札のカードは、『E・HERO エッジマン』ッス!『ヒーロー逆襲』の効果成功ッス!選ばれた『エッジマン』を特殊召喚し、黒部先生の『ツインソード・ファイター LV8』を破壊するッス!さらに、『ダーク・ブライトマン』の効果で、『サイレント・ソードマン LV7』を破壊するッス!」
 カムイの機転と、『ダーク・ブライトマン』と『ヒーロー逆襲』の見事な組み合わせにより、黒部先生の場の戦士達を全滅させることに成功した!

「まだオレのバトルフェイズは終ってないッスよ!『エッジマン』で、黒部先生に直接攻撃ッス!パワーエッジ・アタック!」
「ぐあっ!」(黒部先生LP 3000→400)
「よっしゃー!逆転したッス!ターンエンドッス!」
「さすがだ……。あの状態からここまで盛り返すとはな。だが、僕のデッキには、最強の切り札が眠っている!僕のターン、ドロー!」
 ドローしたカードを見た瞬間、黒部先生の顔に笑みがこぼれた。

「(!?一体、どんなカードを……。)」
「行くぞ!これが、僕のデッキの最強にして魂のカード、『光の勇者(ライト・ブレイブ) LVX』だ!」
 黒部先生の場に、白銀の鎧に身を包み、強力な光の波動を放つ勇者が召喚された。その勇者は、金髪で、どことなく黒部先生に似ていた。

「『光の……勇者』!?」
「『光の勇者』のレベルは一定ではない。場と墓地に存在する『LV』と名のつく戦士族モンスターの数が、レベルと攻撃力になる!」


光の勇者(ライト・ブレイブ) LVX
光 レベル1
【戦士族・効果】
このモンスターは特殊召喚できない。フィールド上と墓地に存在する『光の勇者(ライト・ブレイブ) LVX』以外の
『LV』と名のつく戦士族モンスター一体につき、このモンスターのレベルが1上がる。
このモンスターの攻撃力は、レベル×300ポイントとなる。
攻撃力? 守備力0


「な……今、墓地に存在する『LV』と名のつく戦士族モンスターは……。」
「『サイレント・ソードマン LV3』!『LV5』!『LV7』!『ミスティック・ソードマン LV6』!『ツインソード・ファイター LV4』!『LV6』!『LV8』!『ウィップ・ハンター LV4』!『LV6』!よって、『光の勇者(ライト・ブレイブ)』のレベルは10!攻撃力は3000だ!行け!『光の勇者』!『エッジマン』を破壊しろ!ブレイブ・オブ・バーンLV10!」
 『光の勇者』が放つ強力な波動により、『エッジマン』は一瞬にして消え去ってしまった……。

「ぐあっ!」(カムイLP 1900→1500)
「僕のターンは終わりだ。」
「オ…オレのターン、ドロー!こうなったらこれしかないッス!手札から、『バブルマン』守備表示で特殊召喚するッス!『バブルマン』の効果発動ッス!自分の場と手札に他のカードが存在しないときにこのカードを場に出したとき、カードを二枚ドローできるッス!さらに、手札から、装備魔法『バブル・ショット』を『バブルマン』に装備するッス!カードを一枚場に伏せ、ターンエンドッス!」
「ここで『バブルマン』を引くとはな……なかなかの引きの良さだな。だが、このデュエル、僕の勝ちだ!僕のターン、ドロー!手札から、魔法カード、『聖騎士の一喝』を発動!僕の場に、レベル10以上のモンスターが存在する場合、このターン、相手の場の魔法、罠の効果は無効になる!」


聖騎士の一喝
通常魔法
自分の場にレベル10以上のモンスターが存在する時発動可能。
このターン、相手フィールド上に存在する魔法・罠の効果は無効になる。


 『光の勇者』の一喝により、カムイの場の魔法・罠カードの効果は無効化されてしまった。
「くっ、『バブル・ショット』の効果が無効になってしまったから、『バブルマン』は普通に戦闘で破壊されてしまうッスね…。」
「それだけじゃないぞ!手札から、装備魔法、『光の剣』を『光の勇者』に装備する!」
 『光の剣』を手にした『光の勇者』からは、さらに強力な波動が発生しはじめた!

「『光の剣』は光属性の戦士族のみが装備できる装備魔法……このカードを装備したモンスターの攻撃力は、レベル×200ポイントアップし、貫通能力を得る!」


光の剣
装備魔法
このカードは、光属性の戦士族モンスターにのみ装備可能。
このカードを装備したモンスターの攻撃力は、装備したモンスターのレベル×200ポイントアップし、
守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える効果を得る。
フィールド上で表側表示で存在するこのカードが相手の魔法・罠カードの効果によって破壊され、
墓地に送られた時、このカードを手札に戻す。


「ぐっ……、『光の勇者』の攻撃力は5000……。それに対し、オレの『バブルマン』の攻撃力はたったの1200で、オレのライフは1500……。オレの負けッスね……。」
「終わりだ!『光の勇者』で『バブルマン』に攻撃!エターナル・フェイズ・ノヴァ!」
 『光の勇者』の剣から放たれた、すべてを飲み込むかのような強烈な光によって『バブルマン』はまるで紙切れのように消え去り、貫通能力によって、カムイのライフもすべて削ぎ落とされてしまった!
「ぐああああっ!」(カムイLP 1500→0)




「僕の勝ちだね!カムイ!」
「いやー、いいところまで行ったと思ったんスけどねー。やっぱ全力の先生は強いッスよ!」
「いや、君もいい線行ってたよ。次戦うときは、どうなるかわからないな。」
「じゃあ、今すぐやるッスか?」
「って、それは無理な話だよ。こっちにも、色々事情があるからね。」
「……まあ、そうッスね。次戦うときは、もっと強くなってくるッスよ!」
「ああ!こっちもだ!」









午後十時ごろ、黒部先生の部屋にて……



ピピピ……ピピピ……
カチャッ。

「やあ、龍也か?」
『どうしたんだい?剣一。何か特別なことでもあったのかい?』

「ああ。前話してた、『光カムイ』って生徒と、今日デュエルしたんだよ。」
『へえ。……で、どうだったんだい?』

「いやー、けっこう強かったよ。特に、『サイレント・ソードマン LV7』の穴をついての魔法発動って言う機転の良さがあるからね。……まあ、『光の勇者』と『光の剣』を出したことで、僕が勝ったんだけど。」
『なるほど……。彼の実力がどれほど上がるのか、これからが楽しみだな。』
「そうだね。……僕も、もっと強くならないとな……。」



新キャラ紹介
 宮本 殉(ジュン)
『戦士部』に所属し、『六武衆』デッキを操る青年。西洋かぶれなモンスターを好ましく思っていない。



第五話 和国の英雄達!

カムイは、日曜日の自由時間を、センリやリナとすごしていた……。
「いやー、日曜日は、こうやって他の部の人たちと一緒にいられて、いいッスねー!」
「そうだな。普段は午後八時を過ぎないと、デュエルもできないからな。」
「本当ね。だいたい、他の部の人とあうこと自体、難しいのに。」
「そうそう。もっと自由時間を増やしてほしいッスよね。」
 と、その時、一人のデュエリストが、左手につけたデュエルディスクを突き付けてきた。
「お前か?この間、黒部先生と戦った奴は?」
「ん?誰ッスか?」
その生徒は、和服に草履と、明らかに時代遅れな服を着ていた。髪の毛は長く、鋭い眼光は無視できない。背は、カムイやセンリと同じくらいで、1メーター70くらいだ。
「俺の名は『宮本殉(ジュン)』。カムイ。お前は和国の男でありながら、西洋かぶれな英雄を使っているそうだな!」
「え?じゃあ、女だったらいいってわけ?」
 リナが、話に自然に割り込んだ。
「おいおい。今あいつはオレに話し掛けたんスよ。割り込まないでほしいッスよ。」
「え〜、いいじゃ〜ん。ケチ〜。」
「おい、リナ。あまりカムイを困らせるな。」
「む〜っ。」
 不満そうなリナを、センリがなだめる。
「…で、会話を元に戻すッスよ。もしかして、『E・HERO』のことッスか?別にいいじゃないッスか。かっこいいッスから。」
「なるほど。それが西洋かぶれな英雄を使う理由か。だが、そんなものは、俺の『六武衆』の前では無力!カムイ!俺と勝負しろ!」
「って、デュエルする前から、デッキ内容バラしていいのかよ!」と、センリが突っ込んだが、軽く流された。
「おっ、もしかして、オレとデュエルしたいんスか?いいッスよ!」
「フッ、決まりだな。では、いくぞ!」
先行は、ジュンだった。「先行は俺だ!山札から、札を一枚引く!手札から、札を裏側守備表示で場に出し、さらに、札を一枚場に伏せる!俺の番は終了だ。」
「な、なんか意識してデッキとかカードとかの単語を使ってないから、場の状況が良く分からなくなるッスねー。オレのターン、ドロー!手札から、魔法カード、『融合』を発動し、手札の『フェザーマン』と『バーストレディ』を融合し、『フレイム・ウィングマン』を融合召喚するッス!『フレイム・ウィングマン』で、裏側守備モンスターを攻撃ッス!フレイム・シュート!」
『フレイム・ウィングマン』の激しい攻撃によって、裏側守備モンスターの『紫炎の足軽』は一瞬で破壊された。
「だが、『紫炎の足軽』には特殊能力がある!こいつが戦闘で破壊された時、山札から、星三以下の『六武衆』を特殊召喚する!『六武衆 矢一(ヤイチ)』を特殊召喚!」
ジュンのデッキから、鎧をつけた弓の名手があらわれた。
「だが、『フレイム・ウィングマン』にも特殊能力があるッス!戦闘で破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受けてもらうッスよ!」
「ちっ!」(ジュンLP 4000→3300)
「どうッスか?ヒーローって、かっこいいッスよね!カードを一枚場に伏せ、ターンエンドッス!」
「フッ、その程度か!俺の番だな。札を一枚引く!手札から、『六武衆 斬次(ザンジ)』を攻撃表示で召喚する!」
ジュンの場に、大きな薙刀をもつ武士が召喚された。
「って、適当な当て字は止めてほしいッスよ。」
何で紙に書いてあるわけでもないのに、カムイには当て字だって分かるんだよ!
「フッ、だが、これで場に六武衆が二体揃ったな。これにより、俺の六武衆は真の力を発揮する!『六武衆 矢一(ヤイチ)』の効果発動!場の裏側の魔法・罠札を一枚破壊する!破魔の鏑矢!」
 ヤイチが放った鏑矢が、音をたててカムイの伏せカードを破壊した。
「残念だったッスね!お前が破壊したカードは、『ヒーローメダル』ッス!破壊されたこのカードをデッキに戻し、カードを一枚ドローするッスよー!」
「ちっ、まあいい。さらに、装備魔法、『漆黒の名馬』を『六武衆 斬次(ザンジ)』に装備させる!いくぞ!『斬次(ザンジ)』で、『フレイム・ウィングマン』に攻撃!無双の馬術!」
漆黒の名馬に乗ったザンジが、薙刀を振り回しながら、突撃してくる!
「何!攻撃力が100ポイント上回っている『フレイム・ウィングマン』に攻撃するんスか!くっ、迎撃ッス!フレイム・シュート!」 『フレイム・ウィングマン』の放った攻撃が、漆黒の名馬をとらえた!
「よっしゃー!『六武衆 ザンジ』を討ち取ったッス!」
「それはどうかな。討ち取られたのは、お前の英雄の方だ!」
「何!」
『フレイム・ウィングマン』の攻撃はザンジに当たったかのように見えた……しかし、実際は、ザンジが乗り捨てた漆黒の名馬に当たっていた!そして、ザンジは……『フレイム・ウィングマン』の肩を、飛び掛かりながら斬り付けていた!
「『フレイム・ウィングマン』の攻撃力は2100……それに対して『漆黒の名馬』を装備した俺の『六武衆 斬次(ザンジ)』の攻撃力は2000……普通ならば返り討ちにあってしまうが……『漆黒の名馬』の効果により、『斬次(ザンジ)』の代わりに『漆黒の名馬』を破壊する事ができる!さらに、『六武衆 斬次(ザンジ)』の特殊効果発動!場に、他の『六武衆』が存在する時にこいつが戦闘を行った相手を破壊する!まあ、本来戦闘で受ける俺への傷は避けられないがな。『フレイム・ウィングマン』を討ち取ったぜ!」(ジュンLP 3300→3200)
「くっ、『フレイム・ウィングマン』が破壊されちまったッス!」
「札を一枚場に伏せ、俺の番は終了だ。」
「俺のターン、ドロー!手札から、魔法カード、『融合回収』を発動し、墓地の『フェザーマン』と『融合』を手札に戻すッス!さらに、魔法カード、『天使の施し』を発動し、カードを三枚引き、手札を二枚捨て……魔法カード、『融合』を発動するッス!手札の『ワイルドマン』と『エッジマン』を融合し、『ワイルドジャギーマン』を融合召喚するッス!」
「なるほど……。相手の場の敵全てに攻撃可能な英雄か。だが、そんな英雄で、俺の六武衆を全滅させることはできん!」
「それはどうッスかね!『ワイルドジャギーマン』で、『六武衆 ヤイチ』に攻撃ッス!」
「甘い!『六武衆 斬次(ザンジ)』の身代わり効果発動!『六武衆 矢一(ヤイチ)』の代わりに『斬次(ザンジ)』を破壊する!」(ジュンLP 3200→1900)
『ワイルドジャギーマン』の斬り掛かりがヤイチに当たりそうになったが、ザンジがその身を盾にして、ヤイチの破壊を防いだ!
「どうだ!これが六武衆の能力、身代わり効果だ!我が身を盾にしてでも仲間を守る、英雄に恥じない効果だ!お前の英雄に、そのような効果はあるか!」
「ぐっ、確かにオレのHEROにはそういう効果は無いッスが……融合により、トリッキーな攻撃ができるッス!手札から、速攻魔法、『融合解除』を発動ッス!『ワイルドジャギーマン』の融合を解除し、墓地から『ワイルドマン』と『エッジマン』を特殊召喚するッス!『ワイルドマン』で、『六武衆 ヤイチ』に攻撃ッス!」
『ワイルドマン』は、持っていた刀を振り回し、『六武衆 ヤイチ』を切り裂き、破壊した。
「ぐっ、そうくるか!」(ジュンLP 1900→1700)
「よっしゃー!『エッジマン』で、トドメッス!パワーエッジ・アタック!」
「残念だったな!伏せておいた永続罠、『六武衆の居合抜き』を発動する!」
「何!」
ジュンは、腰を低くし、『エッジマン』の直接攻撃に備えた!
「『六武衆の居合抜き』の効果は、相手から直接攻撃される際に発動できる……。攻撃してくる敵の守備力以上の攻撃力を持つ『六武衆』を手札から捨てることで、その敵を破壊できる!『エッジマン』の守備力は1800だったな!ならば、俺は手札から攻撃力1800の『六武衆 斬次(ザンジ)』を捨て、『エッジマン』を破壊する!」
ザンジの魂が、刀の形になり、ジュンの手にわたった!そして、その刀を勢い良く振りぬき、『エッジマン』を迎撃した!

六武衆の居合抜き
永続罠
相手モンスターから直接攻撃される時、攻撃モンスターの守備力以上の攻撃力を持つ『六武衆』と名のつくモンスターを手札から捨てることができる。そうした場合、その攻撃モンスターを破壊する。

「くっ、『エッジマン』が破壊されちまったッス!カードを一枚場に伏せ、ターンエンドッス!」
「俺の番だな。札を一枚引く!手札から、魔法『天使の施し』を発動!山札から、三枚引き、手札から『六武衆 二蔵(ニサシ)』と『六武衆の御霊代』を捨てる!お前の手札は零枚か。受けてみろ!俺の最後の賭けを!伏せ罠、『究極・背水の陣』を発動する!俺の体力を100まで減らし、俺の墓地から、『六武衆』を好きなだけ復活させる!蘇れ!『斬次(ザンジ)』!『矢一(ヤイチ)』!『二蔵(ニサシ)』!『御霊代』!」(ジュンLP 1700→100)
 墓地の六武衆が次々に蘇り、ジュンの場に集結した!
「今、俺の手札には、六武衆の大将が存在する!そいつを出す前に、霜払いをさせてもらう!『矢一(ヤイチ)』の効果発動!お前の場の伏せ札を破壊する!破魔の鏑矢!」
「くっ、伏せカード、『リビングデッドの呼び声』を発動するッス!墓地から、『カードブロッカー』を攻撃表示で特殊召喚するッスよ!『カードブロッカー』は、特殊召喚されたとき、守備表示になるッス!」
 伏せられていた『リビングデッドの呼び声』が表になったことにより、ヤイチの放った鏑矢は、外れてしまった。
「ちっ、『矢一(ヤイチ)』で破壊されるはずの伏せ札を発動させるとはな……。伏せ状態から表にされては、『矢一(ヤイチ)』の効果で破壊できないぜ……。だが、これで邪魔な伏せ札は消えたな!いくぞ!手札から『大将軍 紫炎』を特殊召喚!」
真紅の鎧を身につけた大将軍が、ジュンの場に特殊召喚された。
「何!攻撃力2500のモンスターが、いきなり場にあらわれたッス!」
「ああ!『大将軍 紫炎』は、俺の場に二体以上の六武衆が存在する時、手札から特殊召喚できる!さらに、『六武衆の御霊代』の効果発動!こいつを俺の場の『六武衆 二蔵(ニサシ)』に装備させる!そして、手札から『六武衆 以蔵(イロウ)』を召喚する!」
長い刀を持ち、両眼を隠した武士が召喚された。
「くっ……、1ターンでモンスターが五体も召喚されちまったッス……。」
「いくぞ!『大将軍 紫炎』で、『カードブロッカー』に攻撃!覇道の斬劇!」
「くっ、『カードブロッカー』の効果発動ッス!デッキの上からカードを三枚まで墓地に送り、送った枚数×500ポイント守備力が上がるッス!当然、三枚墓地に送るッス!」
「フッ、そんなことをしても、『カードブロッカー』の守備力は1900止まりだ!『大将軍 紫炎』の敵ではない!」
 『大将軍 紫炎』の放つ強力な斬劇により、『カードブロッカー』は真っ二つにされた。
「まだだ!『二蔵(ニサシ)』で、『ワイルドマン』に攻撃!二刀流双刃斬!」
「『ネクロ・ガードナー』の効果発動ッス!墓地に存在するこのカードを除外して、相手の攻撃を一度だけ無効にするッス!」
「何だと!何時の間に『ネクロ・ガードナー』が墓地に送られたんだ?」
「さっき、『カードブロッカー』の効果でデッキの上からカードを三枚墓地に送ったッスよね!それにより『ネクロ・ガードナー』が墓地に送られることに期待していたんスよ!」
「くっ、悪運の強いやつめ!だが、『六武衆 二蔵(ニサシ)』には特殊能力がある!場に他の『六武衆』が存在する時、二回攻撃が可能になる!『二蔵(ニサシ)』で、二回目の攻撃だ!『御霊代』を装備した『二蔵(ニサシ)』の攻撃力は1900……『ワイルドマン』の攻撃力は1500……よって、破壊だ!」
『ネクロ・ガードナー』によって、右手の刀による攻撃は無効にされたが、左手の刀による攻撃は『ワイルドマン』を捉え、破壊した。
「ぐっ!」(カムイLP 4000→3600)
「『御霊代』は、『六武衆』に力を与えるだけではない!『御霊代』を装備した『六武衆』が相手を戦闘で破壊した時、山札から、札を一枚引ける!まだ攻撃は終わってないぞ!『以蔵(イロウ)』と『斬次(ザンジ)』で、カムイに直接攻撃!寡黙の妖刀!無双の薙刀!」
「ぐああああっ!」(カムイLP 3600→100)
「あああ〜っ、センリ〜、カムイが負けちゃうよ〜〜。」
「って、リナ〜!俺の体を揺さ振んな〜!」
 リナは、カムイが負けてしまうのではないかと、心配していた。
「フッ、この札で引導を渡してやろう。札を一枚場に伏せ、俺の番は終了だ。」
「くっ、オレのターン、ドロー!」
「伏せ罠、『はたき落とし』を発動!引いた札を捨てろ!」
「あ〜っ、カムイの最後の希望が〜。」
「……リ、リナ……。頼むから、俺の首を絞めながら話すな……。。」
 リナとセンリは、カムイの負けを確信した。しかし、当のカムイは……
「……勝った!」
「な、何!」
「お前が『はたき落とし』で墓地に送ったカードは、『E・HERO チェインソウル』ッス!『チェインソウル』がカードの効果によって墓地に送られた時、墓地に存在するこのカードを除外して、オレの墓地から『E・HERO』と名のつくモンスターを一体特殊召喚するッス!蘇れ!『E・HERO エッジマン』!」

E・HERO チェインソウル
光 レベル3
【戦士族・効果】
このカードがカードの効果によって墓地に送られた時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外し、自分の墓地から『E・HERO』と名のつくモンスターを一体攻撃表示で特殊召喚する。
攻撃力500 守備力500

「これで終わりッス!『エッジマン』で『大将軍 紫炎』を攻撃ッス!パワーエッジ・アタック!」
「くっ……、俺の負けか……。」(ジュンLP 100→0)
「よっしゃー!大逆転ッス!」
「すごいじゃないか、カムイ。てっきり、負けるんじゃないかって思ったぜ。」
「そうそう。本当に心配したんだから。」
 カムイが、センリやリナと話しているところに、ジュンが歩み寄り、
「いい勝負だったな。カムイ。」
「ああ。またデュエルしたいッスね!……そうだ!オレ達とデュエリスト登録しないッスか?」
「フッ、まあ、いいだろう。言っておくが、俺はまだ西洋の英雄を認めたわけじゃないからな。」
「それでもいいッスよ。一人一人には違ったこだわりがあるんスから。」
「……そうだな。次は俺が勝つからな!」
「ああ!オレも負けないッスよ!」





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