遊闘7 遊戯のキモチ


御伽 「 なるほど――
つまり、千年パズルを取り返すためには、
蛭谷を負かせばいいってことか。」

本田 「 だが、蛭谷のヤツ、遊戯のデッキを使ってやがる。
そう易々と勝てる相手じゃねぇ。」

杏子 「 でも、誰かが勝たなきゃ、
遊戯は、もう一人の遊戯は戻ってこないのよね…」

本田 「 誰も『勝てねぇ』相手だなんて言ってないぜ!
――まぁ、確かにオレは油断して負けちまったが、
盗み出したデッキ相手に、そう簡単に負けるかってよ!」

杏子 「 そ、そうだよね…」

城之内 「 そうだぜ、杏子!
オレだっていつもはヘマばかりやらかしてるかもしれねぇけどな、
こういう大事なモンを背負ってる時には、絶対に負けねぇぜ!」



審判 「 それでは、今から第2回戦を行う!
2回戦第1試合、城之内克也vs真崎杏子!
対戦者2名はデュエルフィールドへ集合するように!」

城之内 「 おおっと、もう2回戦始まるみてぇだな。」

杏子 「 ……」

城之内 「 ホラ、杏子! ぼけっとしてねぇで、早く行くぜ!」

杏子 「 えっ、あっ……うん。」

城之内 「 よーし! やってやるぜ!!」



城之内 「 デュエル開始だぜ!
ホラ、杏子の先攻だ! 早くカードを引けよ!」

杏子 「 う、うん。ドロー!」

杏子 「 私は黒き森のウィッチを守備表示で召喚して、ターンを終了するわ。」

城之内 「 オレのターン、ドロー!
よし! オレはリトル・ウィンガードを召喚!
黒き森のウィッチを攻撃――撃破だぜ!」

杏子 「 ……」

城之内 「 杏子! 黒き森のウィッチが墓地へ送られたら、
特殊効果が発動するハズだろ!
何、ボケーっとしてやがる!」

杏子 「 あ、うん。」



本田 「 杏子、相当落ち込んでるな。」

遊戯 「 ……うん。」

本田 「 まぁ、仕方ねぇんだけどよ。
こんな時に仲間同士で闘ってる気分になんか、普通ならないしな。」



城之内 「 ウィッチの特殊能力で、モンスター1体を手札に加えたか?
じゃあ、オレはターンエンドだぜ!」

杏子 「 私のターン、ドロー。
私は…このモンスターを……攻撃表示で場に出すわ。」

杏子
LP 4000
ホーリー・エルフ
攻撃表示
攻800

守2000


リトル・ウィンガード
攻撃表示
攻1400
守1800
城之内
LP 4000

城之内 「 な、何ぃぃ?
守備力2000のホーリー・エルフを、攻撃表示で場に出すだと!」

杏子 「 ターン……終了よ。」



本田 「 攻撃力800のホーリー・エルフを攻撃表示のまま、ターン終了しやがった!
――杏子のヤツ、何考えてるんだ?」

御伽 「 ああ。リバースカードがあるワケでもないし、
何考えてるのかサッパリだ。」

遊戯 「 杏子は――
……きっと、わざと負けようとしてるんだ。
自分じゃ、蛭谷には勝てない。
城之内くんに闘って欲しい…って。」

本田 「 チッ。
確かに、なかなか闘う気分にはなれないかもしれねぇがよ…
――これじゃあ、なんっつーか、後味悪いぜ……」



城之内 「 チッ、オレのターン! ドロー!」

城之内 「 オレは、ランドスターの剣士を召喚し――
ランドスターの剣士で、ホーリー・エルフを攻撃する!」

杏子 「 えっ?」

杏子
LP 4000
ホーリー・エルフ
攻撃表示
攻800

守2000


リトル・ウィンガード
攻撃表示
攻1400
守1800
ランドスターの剣士
攻撃表示
攻500

守1200
城之内
LP 4000

本田 「 ランドスターの剣士は、ホーリー・エルフよりも攻撃力が低い!
自滅する気か、城之内!?」

ランドスターの剣士返り討ち!

城之内ライフポイント 4000 → 3700

本田 「 やっぱり…自滅しやがった……」

遊戯 「 城之内くん……」



城之内 「 杏子! …お前にはがっかりさせられたぜ!」

杏子 「 ………。
城之内、私……やっぱり、サレンダー(降参)する!」

城之内 「 …フザけんじゃねぇ!!」

杏子 「 だって、私じゃ…私じゃあ、蛭谷なんかに勝てないよ!
城之内は言ってたよね…
『大事なモンを背負ってる時には、絶対に負けねぇ』って…!」

城之内 「 ……」

杏子 「 城之内は、いつもはドジばっかやらかしてるけど、
こういう背負ってるものがある時には絶対負けない!
だから私は、城之内に勝ち残って欲しいの!
城之内に…もう一人の遊戯を助け出して欲しいの!!」



城之内 「 じゃあさ、杏子…
お前は、もう一人の遊戯の気持ちを考えたこと…ってあるか?」

杏子 「 え?」

城之内 「 遊戯…もうひとりの遊戯はな、誇り高きデュエリストだ…。
そんな遊戯が、こんな勝ち方させて喜ぶとは思うか? 思わねぇだろ!?
せっかく遊戯を助けたって、残るのは何とも言えない後味の悪さだけじゃねぇか…?」

杏子 「 でも…そんなきれいごと言ったって、助けられなきゃ意味ないじゃない!」

城之内 「 じゃあ…お前は、このデュエルで降参しないと、遊戯は助けられないと思ってるワケだ。
でもな、それって自分から逃げてるだけじゃねぇか!
自分の力で遊戯が助けられなかったら…って思ってんじゃねえか!?」

杏子 「 ……」

城之内 「 お前だって、もう一人の遊戯を救い出したいだろ?
オレと同じく、お前にも『背負っているもの』があるハズだぜ!
なら、その気持ちをカードに込めてぶつかって来い!
遊戯を救いたいなら、なおさらな!
遊戯もそれを望んでいるハズだぜ!」

杏子 「 城之内…」

城之内 「 ――もう一人の遊戯のことを大事に思うんなら、
もう一人の遊戯の心も大事にしてやるべきだぜ。」

杏子 「 うん、そう……そうだよね!
私ったら遊戯のキモチも考えないで、自分から逃げてた…。
ゴメン! 城之内!
私、全力で城之内と闘うわ!」

城之内 「 ああ! 正々堂々、遊戯に恥じないデュエルをしようぜ!
デュエル再開だ!」



杏子 「 じゃあ私のターンね! ドロー!」

ドローカード:アマゾネスの剣士

杏子 「 もう一度聞くけど、城之内、
大事なものを背負ってる時ほど強くなれる…んだよね。」

城之内 「 ああ。
でもまぁ…実はこれ――遊戯の受け売りなんだけどな。」

杏子 「 じゃあ、その気持ちは大きければ大きいほど、
その気持ちを持つ人が多ければ多いほど、強くなれるのよね。」

城之内 「 ああ、そんなの当たり前だぜ!」

杏子 「 じゃあ私、2人分の強さであなたに挑むわ!」

杏子 「 アマゾネスの剣士、召喚!」

城之内 「 ア、アマゾネスカード!?
これはバトル・シティで舞の使ってたカード…。
まさか大会前に言ってた秘密兵器って……!」

杏子 「 そう。私、舞さんにデッキ構築のアドバイス受けたの。
その時にアマゾネスカードを何枚か もらったわ。
だから、このデッキは私と…舞さんのデッキ!
2人分の気持ちをあなたにぶつけるわ!
そして、私――遊戯に恥じないデュエルをする!!」



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