混沌の堕天使
製作者：nagomiさん
第一章 始まりのデュエル
「デュエル！！」
僕は鷹見豪。今、デュエルをしている。相手は親友の久野剣護くんで正直とても強い。そして僕はこれが初デュエル………
豪 LP8000
剣護LP8000
豪「僕、初心者だからね…」
剣護「フッ、初心者だからって手加減しないぞー。俺の先行ドロー。手札から強欲な壷発動！」
強欲な壷 魔法
自分のデッキからカードを２枚ドローする。
剣護「そしてサイバー・レオンを召喚！カードを３枚伏せターンエンド！」
サイバー・レオン
地 星4 攻1600 守1000
機械族 効果
このカードは魔法、罠、モンスター効果では破壊されない。
鋼鉄の獅子が現れた。バトルでしか破壊できない厄介なモンスターだ。
豪「ぼ、僕のターン、ドロー！身代わり人形発動！」
変わり身人形 魔法
手札から｢カワリミ｣を一体、表守備表示で特殊召喚する。
カワリミ
星4 闇 攻500 守2000
戦士族・効果
このカードがフィールド上に存在する限り相手はこのカード以外を攻撃できない。
黒依の忍者が現れた。
豪「そして白魔導士ピケルを召喚。」
剣護「お前…あれだったのか！？｣
豪「あ、あれって……？」
注：豪は遊戯王知識ゼロです。
白装束の幼…少女が現れた。
白魔導士ピケル
光 星2 攻1200 守0
魔法使い族 効果
自分のスタンバイフェイズ時、自分フィールド上に存在するモンスターの数×400ライフポイント回復する。
豪「さらに装備魔法、デーモンの斧をピケルに装備。」
デーモンの斧 装備魔法
装備したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。このカードがフィールドから墓地に送られた時、モンスター一体を生け贄に捧げればデッキの一番上に戻る。
ピケル攻1200→2200
剣護「豪・・・やっぱりそんな趣味が・・・」
豪「と、とにかくピケルでサイバー・レオンを攻撃、禁断のお遊戯！」
※全国のピケルファンの皆様、すいません。
ピケルは華奢な体で必死に斧を振り回す。僕は罪悪感を感じた。サイバー・レオンは砕け散った。
剣護「想定内だ！リバースカードオープン、ディメンション・ウォール！」
ディメンション・ウォール 罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。この戦闘によって自分が受ける戦闘ダメージは、変わりに相手が受ける。
豪「くっ！」
豪LP7400
剣護「さらに速攻魔法、バージョンアップを発動！俺はサイバー・ドラゴンを手札にくわえる。」
豪「そんなー。」
バージョンアップ 速攻魔法
フィールド上の機械族モンスターが破壊された時に発動する。自分のデッキから破壊されたモンスターよりもレベルの高い機械族モンスターを一体手札に加えデッキをシャッフルする。
剣護「もう終わりか？」
手札にはもう使えるカードがない。
豪「僕はターン終了だよ。」
剣護「よし、俺のターン、ドロー。俺はサイバー・ドラゴンを特殊召喚。さらにスペアボディでサイバー・ドラゴンをデッキから二枚、手札に加える。｣
サイバー・ドラゴン
光 星５ 攻2100 守1600
機械族・効果
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
白銀の機械龍が現れた。
スペアボディ 魔法
機械族モンスターを召喚された時、発動可能。召喚されたモンスターと同名のカードを任意の枚数手札に加えデッキをシャッフルする。
豪「本当に手加減しないね…」
剣護「あったりめーだろ～。そしてパワー・ボンドでサイバー・エンド・ドラゴンを召喚。どうやらこのターンで終わりだな。」
豪「さいばー・えんど・どらごん？」
………………うわーん！！！（泣）
パワー・ボンド 魔法
機械族融合モンスターを融合召喚時に発動。このカードで融合召喚した融合モンスターの元々の攻撃力が二倍になり発動ターンのエンドフェイズ時にその融合モンスターの元々の攻撃力分のダメージを自分は受ける。
サイバー・エンド・ドラゴン
光 星10 攻4000 守2800
機械族・融合／効果
「サイバー・ドラゴン」×3
守備モンスターを攻撃した時そのモンスターの守備力を超えた数値分のダメージを相手に与える。上記のカードでしか融合召喚できない。
サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力4000→8000
３体の機械龍が３つ頭を持つの巨大龍に融合した。僕はその神々しさに呆然とした。
剣護「………ん？、カード説明が急に省略されてないか？」
豪「ぐふっ！？た、確かに。」
剣護「とにかくサイバー・エンド・ドラゴンでカワリミを攻撃！ｴﾀｰﾅﾙ・ｴｳﾞｫﾘｭｰｼｮﾝ・バースト！！」
３つの口から高威力のエネルギー波が放たれた。
豪LP1400
豪「ぐわぁぁぁ！！くっ…だけどこのターンが終われば剣護くんは4000ダメージを受けるはずだよ。」
僕の手札には「カオスソルジャー-開闢の使者-｣が。ピケルを墓地に送って除外して……
剣護「ふっ、手札にいいカードを持っているようだな。だが言ったはずだ！このターンで終わりだと。行くぜ！リバースカード、地獄の扉越し銃発動ぉ！！」
地獄の扉越し銃 罠
自分が効果でダメージを受ける時、そのダメージを相手に与える。
気づかないうちに僕は銃で撃たれていた。
豪「うわぁぁぁ！！」
そして……
豪LP 0
豪｢はぁ、僕がいきなり剣護くんと戦うなんて無理か。｣
剣護「なーに、落ち込むことはないぜ。これから強くなればいいさ。｣
剣護くんはデュエルディスクをカバンにしまい僕に近づく。
豪「でも初心者相手にあれはやりすぎじゃないかな………」
剣護「何を言う。誇り高き獅子は兎を狩るときも全力を尽くすのだ、ﾜﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊー！！」
だからってパワー・ボンドは………
剣護くんは急に真剣な顔に変わって僕に話しかける。
剣護「ところで最近どうだ？余計なお世話かもしれないが……何か辛い事があったら俺に相談しろよ。」
豪「うん……分かったよ。」
剣護くんがこんな事を言うようになったのはある《事件》がきっかけである。
そして、それが運命の始まりだったのかもしれない。
全ては二年前…………
第二章 最高最弱のライバル
―２０ＸＸ年―
プロ制度の導入により【遊戯王デュエルモンスターズオフシャルカードゲーム】、通称「ＯＣＧ」は急激に発展し、世界中にプロデュエリスト養成施設も設立された。また、プロ制度のみならず立体映像の開発や幾度のルール改正により白熱の展開を迎えた。
そしてここにもまた最強のデュエリストを目指す少年達がいた………………
４月18日（土） 午後3時00時
剣護宅
僕の名前は鷹見豪。龍河高校の一年生だ。
剣護「なぁ豪、もう一度デュエルしようぜ～。」
豪「え～～～。だって剣護くん、手加減してくれないでしょ。」
僕にデュエルを挑んでくるのは同級生の久野剣護。ただ一人の親友でもある。そう、ただ一人の…………。
剣護「なぁいいだろー。一生のお願いだからさー。」
豪「その台詞、もう20回目だよ！！」
今日は剣護くんの誘いでデュエルをしているのだが、僕は昨日、ＯＣＧを始めたばかりで剣護くんは全国大会ベスト8の実力者。当然僕は勝てず対戦成績は26戦26敗でそろそろ僕は疲れてきた。なのに剣護くんは……………
剣護「ククク、負けを恐れてはいつまでも凡骨のままだぞ」
まるで「縮小版海馬瀬人」だ。
剣護「なぁ、これが最後だからよ。」
豪「……………本当ですね。」
剣護「ああ、神に誓いますとも。」
豪「しょうがないな……」
剣護「ヘへっ、そうこなくちゃ面白くないぜ。」
デュエルディスクを使ってのデュエルは剣護くんの部屋では狭すぎるので僕達は紙製のデュエルフィールドでデュエルを始めた。
豪、剣護「デュエル！！」
……五分後
剣護「食らえぇ！リミッター解除ぉ！！」
……十分後
豪「な！？攻撃の無力化は魔法カードじゃないのーー！」
……三十分後
剣護「はいっ！終焉のカウントダウンの効果で俺の勝ちだ！！！ﾌﾊﾊﾊﾊﾊ！」
豪「…………ひどいや。健吾くん。」
剣護「こらっ！！［健吾］じゃない［剣護］だ。［健吾］はボツになった名前だ！！とにかく俺の勝ちだﾜﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊーーーーーーーーーーーーーーーーー」
家には僕達しかいないので剣護くんの笑い声だけが家中に響き渡る……………
こんなことをやっている間に時計は午後6時を示していた。
剣護「うわっ！？もうこんな時間かよ！まるでタイムワープじゃねーか。」
豪「僕、そろそろ帰らないと。」
剣護「じゃあ、泊まってけよ。」
豪「えっ？でも僕が泊まったらお家の方に迷惑かかるでしょ。」
剣護「いや、父さんも母さんも今夜は帰って来ないから気にするな。」
剣護くんの両親はとても忙しいのか滅多に帰って来ないらしい。
豪「じ、じゃあそうさせてもらうよ。」
剣護「よしっ！！決まりだな。そしたら親に連絡………あっ！！！す、スマン。いけないことを訊いてしまったな………」
剣護くんは焦った表情で僕に謝る。
豪「いいよ。もう慣れたから。」
僕には両親がいない。二年前に殺されたのだ。今でも思い出すと悲しくなる。
剣護「慣れるってそんなわけないだろ。本当にごめんな。」
豪「そんな事より夕食は食べないの？」
僕は気をつかい話題を変える。
剣護「そうだな………。よし！！今日は俺がおごってやる。ってもう七時じゃねーか！！時間経過早すぎだろ作者！！」
剣護くんは空腹のあまりつまらないことを言ってしまった。
剣護「じゃあ俺が料理してやる！」
豪「………あ、ありがとう………」
そう言いながら台所へ向かった。とても料理のイメージがないので不安だ。
ガキドコ、ギュルルル、ガガ、パキーン、ズショッ、ボキ、ドカーン、セザンヌ、ルノワール！！！！
豪「これって料理の音！？」
-三十分後-
剣護「ハハハハハ☆。久野家特製、「モウヤンのビーフカレー」だ。さあ遠慮せずに頂け！！。」
豪「……………」
蒼い！そう、簡単に説明すればルーが蒼いのだ、「ブルーハワイ」の如く………。
剣護「どうした？早く喰わないと冷めるぞ。」
剣護くんの表情を見る限り、自信はあるようだ。僕は覚悟を決めて（蒼い）カレー（らしきもの）を口に入れた。
もぐもぐ……
豪LP８０００－９０００→０
同日9時30分
剣護宅
僕達は寝室にいた。
剣護「ところで豪、お前は入りたい部活とかあるのか？」
豪「え？特に無いけど。剣護くんはＯＣＧ部に入るんだよね。」
剣護はプロを目指しているので予想はできた。
剣護「ああ、そこでなんだが俺と一緒に入らないか？」
豪「で、でも僕カードも持ってないし…………」
剣護「そんな事なら大丈夫だ！カードは俺が分けてやる!!」
僕は少しの時間、迷った。
そして
豪「うん！！わかったよ。僕もＯＣＧが好きだもん。」
剣護「そうか、お前ならそう言うと思ったぞ!よし、ちょっと待っていろ。」
そう言いながらタンスの引き出しの中からカードファイルを取り出した。
そして、その中から十枚程のカードを取り出し僕に渡した。
剣護「このカードはお前にやるよ。そして俺のライバルとして認めてやる。」
豪「いいの？これ世界に一枚しか無いカードじゃないの。」
カード図鑑にものっていないので、おそらく大会の優勝賞品か二年前から各パックに封入されているオリジナルレアカード（世界に一枚しか存在しないカード）だろう。
豪「いいのこのカードってとても貴重なんじゃないの？僕なんかには使いこなせないと思うよ。それに僕なんかがライバルなんて……………」
剣護「お前だからこそだ!」
剣護は真面目な顔で僕をみる。
剣護「確かに今は俺の足元にも及ばない。でもお前には才能がある!!心の才能がな。」
豪「心？」
剣護「ああ、確かに技術も大切だがカードゲームで一番重要なのは心だ！！デュエルは心を映し出す鏡みたいなものだ。カードを信じない者はカードを乱暴に扱う。そうすればやがてカードに見捨てられるだろう。」
どうやら大切な話らしいので僕は一文字も聞き逃さないように耳を傾けた。
剣護「逆にカードを信じる者はカードを大切にして、カードもその者を信頼する。豪………お前の優しさはカードを守り、いつかお前がカードに守られるだろう。悔しいがその点では俺より上だ。それにそのカードはお前の方が使いこなせるはずだ。なんとなくそんな気がしてな。」
豪「………………」
剣護「そして俺にはこのカードがある。俺のこのカードが全てを覆う闇なら、お前のそのカードはその闇を凌駕する光となるはずだ。そんなライバルがいれば俺はもっと強くなる気がするんだ。だから受け取ってくれ！」
剣護くんの熱意に驚きながらも僕は決心した。
豪「ありがとう。このカードは大事に使わせてもらうよ。そしていつかキミと対等に闘えるデュエリストになってみせる。」
剣護「すまんなこんなつまらない事を話して。って、もうこんな時間か。」
豪「そろそろ寝ようよ。」
剣護「ハハハハハ。そうだな。明日もまたデュエルをやろうぜ！」
豪「はぁ………」
剣護「ん、どうしたんだ？」
豪「だって手加減してくれないんだもん。」
剣護「俺はどんな相手でも手を抜かないのが主義だからな!!!」
豪「ハ、ハハハハハ…お手柔らかに。」
こうして僕達は眠りについた。
僕はまた剣護くんに元気づけられた。
二年前のあの日、もし彼がいなかったら僕は自殺していたかもしれない……………。
とにかくこうして僕のデュエリスト人生が始まった。
第三話 恐怖、鬼の副部長！！
４月２０日（月）午後4時30分
龍河高校、ＯＣＧ部・部室
剣護「うおぉぉ、デビル・フランケンの効果で［ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ］を特殊召喚！！」
デビル・フランケン
地 星2 攻700 守500
機械族・効果
5000ライフポイントを払う事で自分の融合デッキから融合モンスター１体を攻撃表示で特殊召喚する。
ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ
水 星12 攻4450 守4100
爬虫類族・融合
「ゴギガ・ガガギゴ」×３
剣護くんのフィールドに不気味な機械人間と赤い爬虫類の悪魔が現れた。
今デュエルをしているのは剣護と副部長である。それにはちょっとした理由がある。
30分前…………
ＯＣＧ部室
豪『あのー、入部したいんですけど………』
そう言いながら僕と剣護くんはＯＣＧ部の部室に入った。
中には４人ぐらいが椅子に座っていた。
？？『あぁ、そうか……そこに座ってくれ。』
見た感じ三年生らしき男がそう言ってきた。そしていわれたとおりに近くの席に座った。
剣護『ん？あー－あなたは！？去年の全国大会ベスト４で日本代表にも選ばれた、須藤尚輝さんじゃないですか。』
須藤『ああ、そうだ。』
剣護くんは驚きながら叫んだ。どうやらこの人はとても強いらしい。
剣護『まさかここで会えるとは思っていなかったぜ。この部活に入ってよかったな、豪。』
豪『う、うんそうだね。』
正直この人を知らなかったが、ここは空気を読んで返事をした。
須藤『さて、新入部員も来たことだし自己紹介でもするか。俺は須藤尚輝。部長をやっている。よろしく頼む。』
次に三年の女の人が自己紹介を始める
？？『副部長の佐渡理奈だ。』
佐渡さん無愛想な顔で発言した。
須藤『次は二年だ。』
明るい表情の女子生徒が自己紹介を始めた。
？？『私は神谷清華で～す。須藤せんのフィアンセで～す。』
何を言っているんだこの人は！！！
須藤『は、はははは………。いつもこんな感じだから気にするな。』
部長は苦笑いしてその話を流した。
神谷『センパーイ、照れなくてもいいんですよ。』
どうやらこの人は部長目当てで入部したらしい。
佐渡『フン、今日もバカはバカらしくバカな夢を見ているようだな。』
佐渡さんは神谷さんを見下した態度で言う。
神谷『先輩！！！某裁判ゲームに出てくる某検事みたいな事をいわないで下さい。』
須藤『まぁまぁ、そこまでにしておけ。次は一年だ。』
部長はこんなみんなをまとめていて大変なんだろうな。
次は僕の番だ。緊張するなー。
豪『えーと、僕は鷹見豪です。初心者だけどよろしくお願いします。』
あー、緊張したー。
須藤『…………お前、豪なのか。』
豪『え？そうですけど。どうかしましたか？』
僕は部長からのいきなりの質問に戸惑いながらも返答した。
須藤『いや、何でもない。すまんな。じゃあ次の人。』
剣護『俺は久野剣護だ。全国大会ベスト８の強者だ。ﾜﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊーーーー。』
えーーーーーー！！ちょっと態度がデカいよ。しかも自分で強者とか言っちゃてるよ……………
佐渡さんが何か言いそうだよ。
佐渡『ククク、また一人、バカな奴が現れたな。』
剣護『何だと！！！あんたは最初に見たときからやな奴だと思っていたがさすがにそういう言い方は許せないぜ。』
佐渡『あはははは、バカみたいに言うわね！！！』
剣護『キサマー、人のことをバカバカバカバカってーーーー！！！！』
佐渡『バカにバカって言ってなにが悪いのよ。それとも自分かバカなのも気づきもしないバカなの？』
まるで子供の喧嘩だ…………。
豪『ちょっ、不毛な争いはやめましょうよ。』
僕は慌てて和解させようとするが……
剣護『だったらデュエルでバカじゃないことを証明してやる！！』
佐渡『フッ、おもしろい。バカもバカなりににバカな頭を使っていいことが思いつくようだな。』
ビシッ！！！！
剣護くんに何かが当たった。
剣護『痛っ！！それムチじゃねーか！！』
そう剣護くんはムチで殴られたのだ。
そのムチの持ち主はもちろん佐渡さんである。
剣護『何で、そんなものを持ち歩いているんだよ！この野蛮女が。』
佐渡『あんたみたいにバカなやつに襲われた時の為の護身用のムチがこんなところで役に立つとはね。さあやるかーー。』
２人は部室にあるデュエル場に立つ。
豪『ちょっと部長。止めなくていいんですか？』
須藤『フッ、安心しろ。佐渡は言葉使いこそ悪いが相手に対するリスペクト精神は誰にも負けない。』
須藤さんは涼しげな表情て僕に話しかける。
神谷『そのとおりよ、鷹見くん。あの人は素直じゃないんだよね～、部長。』
須藤『ああ、そうだ。』
――剣護くんと佐渡さんはある意味、不器用な点では似ているのかもしれない。――
自分なりに納得しながら２人を見守る。
剣護、佐渡『デュエル！！』
剣護LP8000
佐渡LP8000
佐渡『私の先行、ドロー！！ターンエンド！！』
佐渡さんは何もしないでターンを終了した。
剣護『何！？ククク、どうやら手札事故のようだな。俺のターン、ドロー！！…………………どうやらこのターンで俺の勝ちみたいだな。』
そして現在に至る。
剣護LP3000
手札五枚
モンスター
［デビル・フランケン］
［ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ］
魔法・罠
なし
佐渡LP8000
手札六枚
モンスター
なし
魔法・罠
なし
剣護「ﾜﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊﾊ、お前のフィールドには何も無い。更に俺はガガギゴが鍵を発動！！」
ガガギゴが鍵 速攻魔法
自分のフィールドに「ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ」が存在する時に発動可能。自分のモンスターゾーンのあいている場所に「子供（ガキ）、ガガギゴトークン」（水 星1 爬虫類族 攻0・守0）を表守備表示で特殊召喚する。［子供（ガキ）ガガギゴトークン］を１体生け贄に捧げるたびに［ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ］の攻撃力が500ポイントアップする。
フィールドにガガギゴの子供が４体現れた。
佐渡「……………」
剣護「子供（ガキ）ガガギゴを全部生け贄に。」
ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ攻撃力4450→6450
剣護「そして、装備魔法、数字の６に数字の５を足したの歌をゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴに装備」
数字の６に数字の５を足したの歌 装備魔法
装備モンスターの攻撃力に含まれる数字の６の部分に数字の５をプラスする。
ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴ攻撃力6450→11450
剣護くんフィールドには攻撃力10000を超える超巨大モンスターが１体、そして佐渡さんのフィールドには何も無い。この攻撃が通れば。剣護くんの勝ちだ。
剣護「ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴで攻撃！！！超禁断の力-ハイパー・ファウル・エナジー-！！！！」
極限までに膨張した拳で佐渡さんに殴りかかった。
ゴォォォォォ！！ドォォォォォォン！！
その威力はあまりにも強烈で立体映像だという事を忘れる程だった。
佐渡LP8000
剣護「何ぃ！？無傷だと！確かに今攻撃が当たったハズだぞ。」
佐渡「手札からクリボーを捨ててもらった。」
クリボー
闇 星１ 攻300守200
悪魔族・効果
相手バトルフェイズ時に自分が戦闘ダメージを受けた時このカードを捨てる事で、戦闘ダメージを０にする事ができる。
ゴゴギ・ガガガギ・ゴゴゴギガ・ガガギゴゴの攻撃は全て、クリボーのカードに吸収された。
剣護「まさかあんたがそのカードを使うとはな………。」
佐渡「フン、私にクリボーなんか似合わないとでも言いたげだな。」
剣護「まあな。でもこの状況を一枚のカードで回避するのはさすがだな。」
佐渡「久野剣護、お前のその単純な性格だ、こういう戦術をとるのは予想できたぞ。」
佐渡さんは剣護くんを挑発するかのように言う。
剣護「ちっ！！！また俺をバカにするのか。」
佐渡「…………でも、その１キルコンボはほめてやる。まぁ結局失敗はしたけどな。」
あっ！？今さりげなく剣護くんを認めたぞ。しかもすごく照れくさそうだ。顔を赤くしている。
豪「須藤さん、佐渡さんってやっぱり不器用な人何ですね。」
須藤「……………」
神谷「部長ー。どうしたんですか？」
須藤「あ、ああ………ちょっと考え事をな。」
部長は悩ましい表情で黙っている。
須藤「なぁ豪、外に来てくれないか？」
豪「え？は、はい。」
僕は部長についていき外に出た。ＯＣＧ部の部室は校舎とは別館のため、すぐに部室のドアを開ければそこは外である。
豪「どうしたんですか？こんな所に呼び出して。」
僕は部長に訪ねる。
須藤「ああ、ちょっと話がしたくてな………………。」
部長は少し迷いながら話を続ける。
須藤「なぁ、今から言うことはお前を傷つけるかも知れないから、もし嫌なら止めてくれ。二年前、お前の両親は殺されたな。」
豪「！！？？何でその事を知っているんですか！！！！」
僕は驚きを隠せずに大声で訪ねた。二年前この人とは何の関わりもないはずだ。
確かにあの事件はニュース等でも、取り上げられたけど僕の名前は出てないし、鷹見なんて名字は珍しくないから僕だと特定するには無理がある。
須藤「あの事件の日、その日学校が早く終わったから俺は父さんの仕事の都合でお前の家に行ったんだ。」
どうやら僕のお父さんは須藤さんのお父さんと同じ会社に勤めているらしい。
須藤「そしてお前の家の近くで車を止めて父さんはお前の家に入ったんだ。」
僕はその時、学校にいた。
須藤「そしてそのときから家に帰るまでの記憶がないんだ。」
豪「………それがどうしたんですか？二年前の事何だから記憶がないのも無理ないですよ。」
須藤「しかし、そこからが問題なんだ。あの日以来ある悪夢を見るんだ。」
豪「夢…………ですか？」
須藤「……………お前の両親を殺す夢だ。」
豪「！！！！！！！！！！」
僕は一瞬耳を疑った。
豪「し、しかしそれは夢の話です！！！！！！」
須藤「確かに、ただの夢かもしれない。………だけどお前はこんな事を言う俺を信用できるのか！！！？？？」
豪「もちろんです！！！！」
僕は信じたくなかった。この人が父さんや母さんを殺した犯人だなんて。
須藤「その自信はどこからくるんだ。」
部長は今にも泣きそうな顔で僕に訊いてきた。
豪「須藤さん、あなたには僕の両親を殺す動機も証拠もないんだ！！もっと自信をもって下さい。きっと本物の殺人事件に遭遇しても怯えているからそんな夢を見るんですよ。」
須藤「……………」
部長は少し時間、うつむいたあとに言ってきた。
須藤「そうだな。それを聞いて安心したよ。さて部室に戻るか。」
部長の表情はさっきと比べて明るくなった。こうして僕達は部室に戻った。
同日午後５時３分
流河高校、ＯＣＧ部・部室
神谷「あっ！帰ってきた。先輩がいない間にだいぶデュエルが進みましたよ。」
須藤「ああ、そうか。」
そう言えば剣護くんたちのデュエルはどうなったんだろう。
剣護LP5000
手札２
モンスター
リバースカード一枚
魔法・罠
なし
佐渡LP1000
手札3
モンスター
［破滅の女神ルイン］
魔法・罠
［王宮のお触れ］
リバースカード一枚
破滅の女神ルイン
光 星8 攻2300守2000
天使族・儀式／効果
「エンド・オブ・ザ・ワールド｣により降臨。このカードがモンスターを戦闘によって破壊したときもう一度だけ攻撃できる。
王宮のお触れ 永久罠
このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカード以外の罠カードの効果を無効にする。
佐渡さんのフィールドには斧を持った長い銀髪の女性の天使がいた。
LPでは剣護くんの方が多いが佐渡さんのフィールドには大型モンスターが１体存在するため佐渡さんが圧倒的に有利だ。
「私のターン、ドロー！！………私は女神転生を発動！！」
女神転生 魔法
自分のフィールド上に存在する「破滅の女神ルイン」をゲームから除外する事で自分の手札、デッキから「真・破滅の女神ルイン」を特殊召喚する。
真・破滅の女神ルイン
闇 星10 攻2700守2400
天使族・効果
このカードは通常召喚できず「女神転生」効果でのみ特殊召喚できる。このカードは魔法・罠の効果では破壊されない。
このカードは１ターンに三回まで攻撃することができる。
ルインの周りに黒いオーラが現れた。
おそらく、これが真の姿なのだろう。
剣護「何、三回攻撃だと！！」
佐渡「さらに、アンチテーゼを発動！！」
アンチテーゼ 装備魔法
このカードは闇属性の天使族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力を2000ポイントアップする。
真・破滅の女神ルイン攻撃力2700→4700
攻撃力4700で三回攻撃は言うまでもなく強力だ。
剣護「くっ！！」
佐渡「とどめだー！！ルインで裏守備モンスターを攻撃！！ネオ・ラグナロク・スラッシュ」
この攻撃がとおれば剣護くんは負ける。
ズバッ！！
ルインは斧で裏守備モンスターを破壊した。
剣護「……………」
佐渡「そして、追撃だー。」
…………………
佐渡さんが攻撃宣言した瞬間ルインは消えた。
佐渡「！！！何がおきた！？」
剣護「お前の破壊したカードをよく見な。」
剣護が指を指した先にはサイバーポットのカードの立体映像があった。
サイバーポット
闇 星3 攻900 守900
リバース:フィールド上のモンスターを全て破壊する。
お互いデッキの一番上からカードを五枚めくり、その中のレベル４以下のモンスターカードを全て表側攻撃表示または裏側守備表示でフィールド上に特殊召喚する。
サイバーポットが大爆発したことにより全てのモンスターが消滅した。
佐渡「くっ！！そんな強いカードをふせていたか。」
剣護「さあカードを五枚ドローしろ。」
佐渡「私はモンスター１体を裏側守備表示で特殊召喚。他に特殊召喚できるカードはない。」
剣護「俺はモンスター三体を裏守備表示で特殊召喚。」
佐渡「ちっ！！つまらない手で生き残りやがったな。私の手札にはもう使えるカードはない、ターンエンド。」
佐渡さんは悔しそうな顔でターン終了を宣言した。
剣護「このターン、ドロー！（くそっ、使えるカードがない。）三枚カードを伏せてターンエンド。」
佐渡「私のターン、ドロー。…………そのカードは全部ブラフだな。」
剣護「…………（やっぱりバレている）。」
剣護くんは苦い表情で、沈黙している。
佐渡「光神機（ライトニングギア）―桜火を召喚！！（問題はどのモンスターて攻撃するかだか。しかしここで迷っている訳にはいけない。）」
翼の生えた四つ足の機械獣が現れた。白いボディに赤いラインが特徴だ。
光神機―桜火
光 星6 攻2400守1400
天使族・効果
このカードは生け贄なしで召喚する事ができる。この効果で召喚した場合、召喚したターンのエンドフェイズ時にこのカードを破壊する。
佐渡さんは剣護くんのフィールドにあるモンスターカードを見つめる。
佐渡「（む、真ん中のカードを見た瞬間にあいつの表情が歪んだな。）真ん中のモンスターに攻撃！！ライトニング・イレイス・レーザー」
桜火の口から一筋の光が放たれた。
剣護「…………くっ！！あんたが破壊したのはリバースモンスター、メタモルポットだ！！」
メタモルポット
地 星2 攻700守600
岩石族・効果
リバース:お互い手札を全て捨てる。その後、それぞれ自分のデッキからカードを五枚ドローする。
佐渡「何！？今、お互いのデッキ枚数は五枚を切っている。…………と言うことは。」
剣護「ああ。」
剣護デッキ切れ
佐渡デッキ切れ
-引き分け-
佐渡「まさか引き分けになるとはな。」
剣護「しょうがないだろ………」
佐渡「ふっ………まあバカではないことは認めてやるよ。まあ今回は偶然だけどね。」
剣護「！？」
剣護くんは佐渡さんの予想外の発言に驚いている。
神谷「もう、そのツンデレキャラはやめた方がいいと思いますよ。」
佐渡「ふん、バカはバカみたいにバカな事を言うな。」
剣護「………おい、佐渡………さん。」
佐渡「は！？」
佐渡さんは剣護くんの台詞をはっきり聞いていたか、からかって焦らす。
剣護「何度も言わせるな、佐渡さん！！あんた、結構いい人だな…………。」
佐渡「や、やっとわかったようだな。」
二人とも本当に不器用な人だ。そう思っていると部長がみんなを集める。
須藤「さて、みんな席に座ってくれ。」
僕たち六人は席に座った。
…………ん？六人？
須藤「あっ！！ごめん。大崎くん。君の自己紹介を忘れてた。」
前から僕の隣にいた二年っぽい人が気になっていたが、まさか忘れられていたとは。
神谷「あっ！！大崎くんいたんだ。」
大崎「いたよ！！みんなひどいよ！！」
須藤「まあとにかく俺の話を聞いてくれ。」
何の話だろう？
須藤「来月、毎年恒例の某々（ぼうぼう）との対抗デュエルがある。そこでだが代表三人を決めないといけない。」
佐渡「残念ながらその日はバスケの大会と被っていて残念ながら今回はパスさせていただく。」
佐渡さんはバスケ部と掛け持ちしているらしい。
豪「だと自動的に須藤さん、神谷さん、あと……………」
大崎「大崎だ。」
豪「大崎さんになりますね。」
剣護「まあ、俺が出たい所だが先輩達をさしおいてでるわけにはいかないから、しょうがないな。」
須藤「なら、俺と神谷とえーーーーと。」
大崎「大崎ですよ。みんなわざとやっているでしょ！！！」
佐渡「いや、みんな本気だと思うぞ。」
神谷「そうだよ。みんな本気で忘れてるんだよ。」
大崎「ガーーーーン」
豪「（大崎さんはいつもこんな感じ何だろうか。）」
須藤「……………と言うわけだ。今日はもう遅いから、帰っていいぞ。」
第四話 須藤ＶＳ奈多岡-力と技の激突-
５月24日（日）午前１０時３０分
某々高校・大会会場
尾眼牙「さーて、初戦は須藤だったな。あと１０分ぐらいで始まるぞ。」
今の声は顧問の尾眼牙海斗（おめが かいと）先生で二十代後半ぐらいの男性だ。主に大会、遠征の引率をしている。
アナウンス「それでは、一戦目の代表選手はデュエル場にお上がり下さい。」
須藤「よし、行ってくる。」
そう言い俺はデュエルディスクを装着しデュエル場に上がった。見物客も結構いたが大会には慣れているためそれほど緊張はしない。
？？「お前、須藤なのか！？」
須藤「君は確か奈多岡だったな！」
俺の対戦相手の名前は某々高校三年の奈多岡隆冶（なたおか りゅうじ）だ。去年の全国大会で俺に勝った男だ。正直予想外の展開で少し驚いた。相手も同じ様だ。
奈多岡「まさか、いきなり戦うとはな。」
須藤「ああ、俺も同じ考えだ。だが去年の俺とは違うから手加減はしない方がいいぞ。」
奈多岡「ふっ、そのセリフを聞いて安心したぜ。」
しばらくしてアナウンスが流れた。
アナウンス「東側より龍河高校三年須藤尚輝選手、西側より某々高校三年奈多岡隆冶選手です。なお、須藤選手の先行です。それでは試合開始して下さい。」
須藤、奈多岡「デュエル！！」
須藤LP8000
奈多岡LP8000
須藤「俺の先行ドロー、死霊騎士デスカリバー・ナイトを召喚！！リバースカードを一枚伏せ、ターンエンド。」
俺のフィールドに黒い馬に乗った騎士が現れた。黒いマントと骨で作られた仮面をつけているのが特徴だ。
死霊騎士デスカリバー・ナイト
闇 星4 攻1900 守1800
悪魔族・効果
このカードは特殊召喚できない。効果モンスターの効果が発動した時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを生け贄に捧げなければならない。その効果モンスターの発動と効果を無効にし、そのモンスターを破壊する。
俺のフィールドには攻撃力1900のモンスターにリバースカードが一枚、相手はうかつには攻めてはこれない。
奈多岡「フフ、相変わらず隙のない奴だな。」
須藤「まあ、去年は見事にやられたがな。」
奈多岡「俺のターンドロー！」
奈多岡は五秒ほど手札を確かめる。
奈多岡「よし、サイバー・ドラゴンを特殊召喚。」
サイバー・ドラゴン
光 星５ 攻2100 守1600
機械族・効果
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
奈多岡「そして、魔導戦士ブレイカーを召喚！！！」
魔導戦士ブレイカー
闇 星4 攻1600 守1000
魔法使い族・効果
このカードが召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを１個載せる（最大１個まで）。このカードに乗っている魔力カウンター１個につき、このカードの攻撃力は３００ポイントアップする。また、その魔力カウンターを１個取り除くことで、フィールド上の魔法・罠カードを１枚を破壊する。
奈多岡「ブレイカーの効果で魔力カウンターを一個乗せる。」
須藤「ここでデスカリバーナイトの特殊能力発動！！その能力を無効にし、デスカリバーナイトを生け贄にしてブレイカーを破壊。」
２体のモンスターは闇の渦の中に消えてゆく。
奈多岡「まただ！サイバー・ドラゴンでダイレクトアタック！！エヴォリューション・バースト！！」
サイバー・ドラゴンの口から衝撃波が放たれた。
須藤「待った！リバースカード、この傷み貴様に解るか！？を発動！！」
ドォォォォォォォオオオオ
この傷み貴様に解るか！？ 罠
相手のバトルフェイズ時に発動。このターンに自分が受けるダメージを相手にも与える。
須藤LP5900
奈多岡LP5900
須藤「さらに、手札から冥府の使者ゴーズを特殊召喚。そしてゴーズの効果によりカイエントークンを召喚。」
冥府の使者ゴーズ
闇 星7 攻2700 守2500
悪魔族・効果
自分フィールド上にカードが存在しない場合、相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した時、受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。●戦闘ダメージの場合自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」（天使族・光・星7・攻／守？）を１体特殊召喚する。このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。●カードの効果によるダメージの場合、受けたダメージと同じダメージを相手に与える。
フィールドに黒依を着た青年の剣士と銀色の鎧まとう女性が現れた。
須藤「はあ…はあ………。」
奈多岡「ん？何でそんなに息切れしているんだ？」
須藤「いや、ゴーズのテキストを打ちこむに疲れたんだよ（作者の本音）。」
奈多岡「？」
冥府の使者カイエントークン攻撃力・守備力2100
奈多岡「フフ、相変わらず隙のない奴だな。」
須藤「こらこら、そのセリフさっきも聞いたぞ。」
奈多岡「あれっ？そうだっけ？と、とにかくリバースカードを二枚伏せターンエンド。」
須藤LP5900
手札３
モンスター
【冥府の使者ゴーズ】
【冥府の使者カイエントークン】
魔法・罠
無し
奈多岡LP5900
手札２
モンスター
【サイバー・ドラゴン】
魔法・罠
リバースカード２枚
剣護「１ターン目から凄い攻防だ……………」
大崎「奈多岡のフィールドには攻撃力2100のサイバー・ドラゴンだけ、次のターンがチャンスだな。」
剣護「ああ、だがあいつのリバースカードが気になるな。」
選手控え席から、みんなの声が聞こえる。
須藤「（あいつらのためにもここで勝って勢いをつけないとな。）俺のターン、ドロー！！」
俺は手札を確認したが召喚できるモンスターがいないのでバトルフェイズにうつる。
須藤「冥府の使者ゴーズでサイバー・ドラゴンを攻…………………」
……………………………………………………
奈多岡「ん？どうした？」
須藤「そういえばゴーズの技名を考えてなかった。」
奈多岡「…………………」
須藤「……………………」
奈多岡「それだけか？」
須藤「うん。」
奈多岡「…………………」
豪「…………………」
剣護「……………………………」
大崎「…………………………」
神谷「…………………………………」
…………………………………………………………
会場が急激に静まりかえる。
奈多岡「いやいやいやいやいやいやいや、どうでもいいだろ。」
須藤「でも技名を叫ばないと少年漫画っぽく無いだろ。【遊☆戯☆王Ｒ】にも技名のっていないしどうすれはいいんだよ。」
こんなことやっている間にゴーズが攻撃をしていた。
ゴーズ（やれやれ…………）
ズバッ！！ドーン
サイバー・ドラゴンは鋼鉄の体で攻撃を防ごうとしたが剣の破壊力に耐えられずに爆散した。
奈多岡LP5300
須藤「えーーーーーー、そしてカイエンでダイレクトアターーーック！！！！」
奈多岡「ぐわぁぁぁぁ！！！」
奈多岡LP3200
……………何もしない？
奈多岡「………さて。」
須藤「（あいつのリバースカードは防御用じゃないのか？）俺はリバースカードを一枚伏せターンエンド。」
奈多岡「ここでリバースカードオープン、損して得取壺を発動！！」
損して得取る壺 罠
このカードは相手のエンドフェイズ時に発動可能。このターンに自分が受けたダメージが2000ポイント以上の時、デッキの一番上からカードを3枚ドローする。
奈多岡はこのカードの効果で3枚ドローした。
須藤「…………………」
奈多岡「フッ、手札はデュエリストの可能性でもあるからな。｣
須藤「………………」
奈多岡「俺のターンドロー。来たぜ、レッド・ガジェットを召喚モンスター効果によりデッキからイエロー・ガジェットを手札に加える。」
奈多岡のフィールドに赤い歯車の形をした人形が現れた。
レッド・ガジェット
地 星4 攻1300 守1500
機械族・効果
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「イエロー・ガジェット｣１体を手札に加える事ができる。
奈多岡「そして、リバースカード血の代償を発動ライフを500ポイントはらい、イエロー・ガジェットを特殊召喚し、イエロー・ガジェットの効果発動デッキからグリーン・ガジェットを手札に加える。」
奈多岡LP2700
血の代償 永続罠
500ライフポイントを払う事で、モンスター１体を通常召喚する。この効果自分ターンのメインフェイズ及び相手ターンのメインフェイズのみ発動する事ができる。
イエロー・ガジェット
地 星4 攻1200 守1200
機械族・効果
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「グリーン・ガジェット」１体を手札に加える事ができる。
須藤「く！厄介な！モンスターを！！出して！！！来たな！！！！！｣
奈多岡（ｴｸｽｸﾗﾒｰｼｮﾝﾏｰｸ使いすぎだろ…………）
須藤「この様子だと！！グリーン・ガジェットも！！召喚する！！ようだな！！」
奈多岡「ああ！500ライフポイントをはらい、グリーン・ガジェットを召喚。」
奈多岡LP2200
グリーン・ガジェット
地 星4 攻1400 守600
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「レッド・ガジェット」１体を手札に加える事ができる。
奈多岡「そしてレッド・ガジェットを手札に加える。」
奈多岡の恐ろしさはデッキの回転力にある。一瞬にしてモンスターをフィールドに並べてくる。
奈多岡「更にガジェット三体を融合し、キングガジェットを召喚！！！！」
キングガジェット
地 星7 攻2700 守2000
機械族・融合/効果
このカードはフィールド上に存在する「レッド・ガジェット」「イエロー・ガジェット」「グリーン・ガジェット」をゲームから除外することにより特殊召喚できる（この召喚方法は融合召喚として扱われる）。このカードが破壊されたとき、このカードの効果で除外したモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
三体のガジェットは合体し、１体のモンスターに変形した。
奈多岡「更に墓地のサイバー・ドラゴンと魔導戦士ブレイカーを除外し、カオス・ソルジャー-開闢の使者-を特殊召喚！！」
カオス・ソルジャー-開闢の使者-
光 星8 攻3000 守2500
戦士族・効果
このカードは通常召喚できない。自分の光属性と闇属性モンスターを１体ずつ除外して特殊召喚する。自分ターンに一度だけ、次の効果から１つを選択して発動ができる。
●フィールド上に存在するモンスター１体をゲームから除外する。この効果を発動する場合、このターンにこのカードは攻撃する事ができない。
●このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、もう一度だけ続けて攻撃を行う事ができる。
奈多岡のフィールドに黄金の鎧を身に着けた剣士が現れた。奈多岡のフィールドには攻撃力2500を超えるモンスターが２体、正直マズい状況だ。
奈多岡「バトルフェイズに移る、キングガジェットでカイエンを攻撃！！」
須藤「くっ！！」
須藤LP5300
奈多岡「更にカオス・ソルジャーでゴーズを攻撃、カオスブレード！！」
カオス・ソルジャーはゴーズに切りかかった。ゴーズも剣で抵抗したが、わずかな差でカオス・ソルジャーが勝った。
須藤「ぐふっ！！」
須藤LP5000
奈多岡「更にカオス・ソルジャーの効果を破壊し、ダイレクトアタック！！！」
須藤「う、がはっ！！」
須藤LP2000
須藤「くっ、リバースカード、ダメージ・コンデンサー発動！！！！！！！！」
ダメージ・コンデンサー 罠
自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を１枚捨てて発動する事ができる。その時に受けたダメージの数値以下の攻撃を持つモンスター１体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する。
須藤「俺はホルスの黒炎竜ＬＶ６を特殊召喚！！！」
ホルスの黒炎竜ＬＶ６
炎 星６ 攻2300 守1600
ドラゴン族・効果
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、魔法の効果を受けない。このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で「ホルスの黒炎竜ＬＶ８」１体を手札またはデッキから特殊召喚する。
俺のフィールドに１体の黒炎竜が現れた。魔法効果を受けつけない強力な効果を持つがこれが真の姿ではない。
奈多岡「リバースカードを１枚伏せてターンエンドだ。」
須藤「俺のターンドロー！！よし、強欲な壺を発動！！｣
俺はカードを２枚ドローした。
強欲な壺 魔法
引け!
須藤「よし、今引いた魔法カード、収縮をカオス・ソルジャー-開闢の使者-に発動！！！」
収縮 速攻魔法
フィールド上の表側表示のモンスター１体を選択する。このターンのエンドフェイズ時まで、そのモンスターの元々の攻撃力は半分の数値となる。
須藤「これで、カオソルの攻撃力はホルスＬＶ６より下だな。」
奈多岡「ちっ！」
カオス・ソルジャー-開闢の使者-攻撃力3000→1500
「そして、ホルスでカオス・ソルジャーを攻撃！｣
ホルスの口から炎のブレスが放たれた。本当に火傷すると錯覚してしまう程の迫力だった。
ゴｵｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｵオ………
カオス・ソルジャーは左手に持つ盾で身を守るが、収縮によって弱体化した姿では太刀打ち出来ずに燃え尽きた。
奈多岡「リバースカード、痛みが快感を発動。」
痛みが快感 速攻魔法
自分が戦闘ダメージを受けた時に発動。自分はその戦闘ダメージ分の3倍ライフポイントを回復する。
奈多岡LP3800
須藤「…………リバースカードを１枚セット、そしてホルス黒炎竜ＬＶ６の効果でデッキからＬＶ８を特殊召喚！！」
ホルスの黒炎竜ＬＶ８
炎 星８ 攻3000 守1800
ドラゴン族・効果
このカードは通常召喚できない。「ホルスの黒炎竜ＬＶ６」の効果でのみ特殊召喚できる。このカードが自分フィールド上に表側表示存在する限り、魔法の発動と効果を無効にして破壊する事ができる。
須藤「ターンエンド。」
豪「つ、強いな…………須藤さん。」
神谷「そりゃ、全国大会ジュニアクラスのベスト４だもん。まあ相手はベスト２何だけどね。」
ホルスＬＶ８は相手の魔法を封じる力を持つとても強化なカードだ。さらにこのリバースカードが発動すれば完全に俺の優勢といえるだろう。
奈多岡「俺のターンドロー！！Ｅ・ＨＥＲＯエアーマン召喚！！」
Ｅ・ＨＥＲＯエアーマン
風 星４ 攻1800 守300
戦士族・効果
このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、次の効果から１つを選択して発動する事ができる。●自分フィールド上に存在するこのカードを除く「ＨＥＲＯ」と名のついたモンスターの数まで、フィールド上の魔法または罠カードを破壊する事ができる。●自分のデッキから「ＨＥＲＯ」と名のついたモンスター１体を選択して手札に加える。フィールドにプロペラをつけた翼と青い仮面が特徴のヒーローが現れた。
奈多岡「さらにエアーマンの効果でＥ・ＨＥＲＯブレイクマンを手札に加える。（ここで血の代償を使ってこいつを召喚させればカオソルを破壊できる。）」
Ｅ・ＨＥＲＯブレイクマン
地 星４ 攻1700 守500
戦士族・効果
このカードは手札を１枚捨てる事で、フィールド上に表側表示で存在する攻撃力3000以下のモンスター１体を破壊する。この効果は1ターンに一度だけ発動する事ができる。
須藤「………………」
奈多岡「血の代償を発動し、ブレイクマンを召喚！！！！」
須藤「フッ…………、残念だったな！！リバースカードオープン、王宮のお触れ発動！！！！！！」
王宮のお触れ 永続罠
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の罠カードの効果を無効にする。
奈多岡「しまった！！！！！！！あの時、リバースカードを破壊しておけばよかった（くっ！！これじゃあ炸裂装甲が使えない）。」
ホルスとお触れの効果により相手は魔法カードも罠カード使えない。ホルスを倒せるモンスターも存在しない。
奈多岡「くっ！！！ターンエンドだ！」
奈多岡は悔しそうにターン終了を宣言した。
須藤「俺のターン、ドロー！！未来融合―フューチャー・フュージョンを発動！！ドラゴン族モンスター五体をデッキから墓地へ送り、Ｆ・Ｇ・Ｄ（ファイブ・ゴッド・ドラゴン）を二回目のスタンバイフェイズに召喚する。」
未来融合―フューチャー・フュージョン 永続魔法
自分のデッキから融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、融合デッキから融合モンスター１体を選択する。発動後２回目の自分のスタンバイフェイズ時に選択した融合モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する（この特殊召喚は融合召喚扱いとする）。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
奈多岡「……………」
須藤「更に、龍の鏡（ドラゴンズ・ミラー）を発動しＦ・Ｇ・Ｄを召喚！！！！」
龍の鏡 魔法
自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、ドラゴン族の融合モンスター１体を融合デッキから特殊召喚する。（この特殊召喚は融合召喚扱いとする）。
Ｆ・Ｇ・Ｄ
闇 星12 攻5000 守5000
ドラゴン族・効果／効果
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。ドラゴン族モンスター５体を融合素材として融合召喚する。このカードは地・水・炎・風・闇属性のモンスターからは戦闘ダメージを受けない。
地・水・炎・風・闇、５つの頭を持つ巨龍が召喚された。攻撃力5000とＯＣＧ最高の数値を誇る。
奈多岡「俺の負けのようだな……さあ、攻撃しろ！！！」
奈多岡は負けを認めたようだ。俺は内心、喜びながらも攻撃宣言をした。
須藤「ホルスでエアーマンを攻撃、エンシェント・ノヴァＬＶ８！！！！」
ホルスはＬＶ６の時とは比にならない程の炎を放つ。エアーマンは抵抗も出来ずに消えて行く。
奈多岡「がはっ！！……………」
奈多岡LP2600
須藤「更に、Ｆ・Ｇ・Ｄでキングガジェットに攻撃！！！！！」
奈多岡「……………楽しかったよ。」
奈多岡の言葉の後、Ｆ・Ｇ・Ｄは五つの口からそれぞれの属性の砲撃を放った。
ズドォォォォォォォオオオオ！！！！！！
キングガジェットは一瞬にして砕け散った。
奈多岡「グアァァァァァァァアアア！！！！」
奈多岡LP0
アナウンス「第一試合は龍河高校、須藤尚輝選手の勝利です。」
俺が…………勝ったのか？
奈多岡「…………いつの間にかお前に先をこされてしまったな……………。」
須藤「今回は偶然さ。もしあの時、お触れを破壊されていれば俺が負けていただろうからな。」
奈多岡「でも、勝ちは勝ちさ。今度は俺がお前を追いかける番だな。」
須藤「また、全国大会で会おう。」
そう言い俺たちは退場した。次会うときはかなりの強敵になっているはずだ。
第五話 奇跡！？ゲート・ガーディアンＶＳグレート・モス
５月２４日（日）午前11時30分
某々高校、大会会場
大崎「よし、次は俺だな！」
豪「頑張って来てください。」
アナウンス「二回戦の出場選手はデュエル場にお上がり下さい。」
さて、俺の相手は誰だ？
アナウンス「東側より龍河高校二年、大崎仁志選手、西側より某々高校二年、死愚魔吉狼（しぐま よしろう）選手です。先行は死愚魔選手です。」
死愚魔「ギュヒヒヒヒヒ、貴様が、貴様が、貴様が、我の相手かぁぁぁぁぁ。」
死愚魔は身長180㎝ぐらいで結構大柄の男だ。そして髪が異常に長く肩にかかる位だ。
死愚魔「我に、我に、我に、挑むなんて、無謀なりぃぃぃ。ギュフフフフ。」
大崎（なんて奴だ……………）
死愚魔「さてここに完全究極体グレート・モスデッキと、マシンナーズ・フォースデッキがある。さあ、さあ、さあ、どちらかを選べぇぇぇーーーーー！！！｣
完全究極体グレート・モスにマシンナーズ・フォース、どちらも召喚困難といわれるモンスターだが…………………
大崎「よし、マシンナーズ・フォースデッキでかかってこい！！」
死愚魔「フフッ、ならばグレート・モスデッキにしてやるぅぅぅ！！！」
大崎（な！？コイツ、ひでぇ…………）
死愚魔「ギュフヒヒヒヒヒ。騙されたーーーー！！！バーロ！バーロ！バーロー！ニュハハハハ！」
大崎｢（か、帰りたい…………。）｣
戦意喪失しそうになったが、どうにか立ち直り俺は一つのデッキを取り出した。
大崎「フフフ、なら俺も便乗してゲート・ガーディアンで戦うとするか。｣
俺は死愚魔を挑発する。
死愚魔「ギュハハハハハ、せいぜい、せいぜい、せいぜい頑張るがいい！」
大崎「……………」
大崎、死愚魔「デュエル！！！」
大崎LP8000
死愚魔LP8000
死愚魔「我の、我の、我の、先行ヅォルォー！！！！！！むぁふぉうカードォォォォォ、強欲な壺発動！」
強欲な壺 魔法
自分のデッキからカードを２枚ドローする。1ターン目から使われた日にゃー。
剣護「なあみんな、あの死愚魔って奴、なんでグレート・モスなんて使うんだ？」
神谷「いや、私はあの喋り方の方が気になるわよ。」
確かに観客も死愚魔の言動に笑いをこらえているようにも見える。
死愚魔「ピュゥチィィィモォォスゥゥゥゥをしょーかぁぁぁぁぁーん！！！！」
プチモス
地 星１ 攻300 守200
昆虫族
成長したらどんなモンスターになるか分からない、小さな幼虫。
死愚魔「そして！進化の繭をピュゥチィムォスにしょぉぉぉぉちゃーくぅ！！！！」
進化の繭
地 星3 攻0 守2000
昆虫族・効果
魔法カードのように「プチモス」に装着する。装着中の攻撃・守備力は「進化の繭」の数値を活用する。
プチモスは一瞬にして繭に包まれた。
死愚魔「リバースカードを一枚伏せて、伏せて、伏せて、タァァァァァァンエンドォォォォォォ！！！」
大崎「俺のターン、ドロー！………強欲な壺発動！」
強欲な壺 魔法
皆さん、ご一緒に。アン・ドゥ・ドロー、アン・ドゥ・ドロー！！
俺はカードを２枚ドローした。
大崎「俺は、ヒツジーを召喚！！」
ヒツジー
光 星4 攻1900 守2000
魔法使い族
白魔導士ピケルの執事さん。何気にステータスが高いぞ！
紳士服を着た二足歩行の羊が現れた。
大崎「更に、ディメンション・マジックを発動！」
ディメンション・マジック 速攻魔法
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。その後フィールド上のモンスター1体を破壊することができる。
大崎「ヒツジーを生け贄に捧げ、風魔神―ヒューガを特殊召喚する！！」
風魔神―ヒューガ
風 星7 攻2400 守2200
魔法使い族・効果
相手モンスターからのダメージを一回だけ０にする。この効果の発動タイミングはプレイヤーが選んでよい。
ヒツジーは消え去り、全身が緑色の魔神が現れた。足が無く、頭部に風と書かれているのが特徴だ。
豪「（そんな…ヒツジーさん……）」
大崎「更にディメンション・マジックの効果でプチモスを破壊！！」
死愚魔「リィバァースゥカァードォー、オォプゥーン！！魔法反射鏡―シャイニングミラー！！！」
魔法反射鏡―シャイニングミラー 永続罠
フィールド上に存在するモンスターが破壊された瞬間に発動する。その破壊を無効にする。この効果の対象になったモンスターは破壊されなくなる。このカードが破壊されたとき、このカードの効果を受けたモンスターも破壊する。
プチモスは一枚の鏡に守られた。
死愚魔「ギュハハハハハ、これでプチモスは破壊されな～～～～～～い！」
大崎「だが、プチモスは攻撃表示だ！そしてプレイヤーへの戦闘ダメージは防げない。風魔神―ヒューガでプチモスを攻撃、ストーム・ブラスト！！」
死愚魔「ギュエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ！！！！！」
プチモスの攻撃力は進化の繭により攻撃力は０だ！魔法反射鏡によりプチモスは守られるが、こぼれ球はすべて死愚魔に降りそそぐ。
大崎「（だからって、ソリッドビジョンであんなに反応しなくても……………）」
死愚魔LP5600
死愚魔「ギュハハハハハ…………。」
大崎「…リバースカードを三枚伏せてターンエンド。」
死愚魔「俺の、俺の、俺の、ターンドロー！手札から魔法カードォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ、ハリケーンを発動ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ！！」
ハリケーン 魔法
全フィールド上に存在する魔法、罠カードをすべて手札に戻す。
大崎「何っ！？魔法反射鏡は破壊されずに手札に戻った、つまり……」
死愚魔「そぉうぅだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー、つまりプチモスは絶対破壊されないって事だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
少年Ａ「うわーん！ママー！あのお兄ちゃん怖いよーーーーー！！」
とうとうギャラリーの子供が泣き出してしまった。
死愚魔「攻撃…――をすると思うか？しないね…ここはしない！攻撃力０のプチモスが攻撃しても自分がダメージを受けるだけだからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」
大崎「（誰も聞いてないぞ！！）」
死愚魔「我は、我は、我はぁぁぁぁぁぁ、リバースカードを一枚伏せてぇぇぇぇぇぇぇターンエンド。」
大崎「俺のターンドロー！俺は平和的な壺を発動！お互いにカードを三枚ドロー！」
平和的な壺 魔法
お互いに自分のデッキからカードを３枚ドローする。
大崎「よし来たぜ、生け贄ゾンビを召喚！」
生け贄ゾンビ
闇 星1 攻0 守0
アンデット族・効果
このモンスターを1体を生け贄に捧げることでレベル6以上のモンスターを1体特殊召喚する。このモンスターが生け贄に捧げられた時、墓地へ行かずに手札に戻る。
大崎「そして、生け贄ゾンビの効果で、水魔神―スーガを特殊召喚！」
水魔神―スーガ
水 星7 攻2500 守2400
水族・効果
相手モンスターからのダメージを1回だけ０にする。この効果発動タイミングはプレイヤーが選んでよい。
これで俺のフィールドには上級モンスターが２体。相手モンスターは攻撃力０のプチモス1体、しかも攻撃表示だ。
大崎「（しかし、さっきのターンで死愚魔はプチモスを守備表示にできたはずだ………これは罠だな……）」
死愚魔「ギュヘヘ、攻撃して来ないのかぁぁぁ！！」
大崎「……ターンエンド。」
死愚魔「ギュヘヘ、そんなにこのリバースカードが恐いのか？このチキン野郎めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！我の、我の、我の、タァァァァァァァァァァァァァァァァン！！！！ドローォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ギュハハハハハ破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派母派。」
大崎「(´・Д・`)」
死愚魔「我は、我は、我はぁぁぁぁぁぁぁ、リバースカードを１枚伏せてぇぇぇぇ、剣豪ＫＥＮＧＯを発動ォォォォォォォォォォ！」
剣豪ＫＥＮＧＯ 魔法
相手に一発殴ってよいかたずねる。
受け入れた場合:自分のデッキからカードを１枚選び手札に加える。
拒否された場合:自分のライフを５０００ポイント回復する。
大崎「なんてふざけたカードだ……。」
死愚魔「ギュフュフュフュ、さぁ、さぁ、さぁ、殴られたいのか殴られたくないのか、どっちだぁぁぁ！」
俺はもう帰ろうかと本気で思ったがどうにか理性で立ち止まった。
大崎「……拒否する。」
死愚魔「ギュハハハハハァァァァァァァァァ、残念だったなあぁぁぁぁぁ！リバースカードォッオォォォォォプン！！！骨折り損のくたびれ儲けを発動ォォォォォォォォォォォォォォ！！！！！！！」
骨折り損のくたびれ儲け 速攻魔法
相手が殴られる事を拒否した瞬間に発動する。相手を一発殴り、拒否された場合の効果に加えて受け入れた場合の効果も適用する。
バキッ！！！
大崎「（⊃Д`）ぐわっ！！！！！！」
死愚魔「ギュハハハハハ破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破破。俺はデッキからカードを１枚手札に加えて、さらにライフを５０００ポイント回復だぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！」
死愚魔LP10600
大崎「（本当に嫌になってきた…………）」
死愚魔「さらにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、リバースカード１枚を伏せて、タァァァァァァンエンドォォォォォォォォォォォォォォォォォ！」
大崎「俺、のター」
死愚魔「ギュハハハハハ、手が震えているぞ！！！！」
大崎「（さっきお前が殴ったからだろ………。てゆーか、台詞の途中で割り込むなよ！）俺のターン、ド」
死愚魔「まったぁぁぁぁ！！！」
また、遮られた………
大崎「なんだよ！？」
死愚魔「今何時だ！！！！」
俺は腕時計を見た。
大崎「11時…50分だが……。」
死愚魔「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。それじゃあ、遊実子（ゆみこ）ちゃまとのデートに間に合わないじゃねーかぁぁぁぁぁぁ！！！！！許さんぞ貴様ぁぁぁぁぁぁぁ」
大崎「（俺に言うなよ！！）」
剣豪「（何でこの日にデートの約束するんだよ！！）」
神谷「（てゆーか、彼女いるんだ！！）」
須藤「（あいつ………デュエルをなめてやがる…………）」
豪「（なんて人だ。）」
死愚魔「とにかく、次のターンで終わりにしてやるぅぅぅぅぅ。早く引けバカやろー。何だ？そんなに我に負けるのが恐いのか？ならサレンダーをすればいいだろ。貴様は地味すぎだぞぉ。だいたい何だよ我がグレート・モスデッキを使うからって便乗してゲート・ガーディアンなんか使いやがって…だから存在感が薄いんだよォォォォォォォ！！悔しがったら、我に勝てばいいだろ！まあ貴様ごときじゃ逆立ちしても勝てんがな。ギュハハハハハ、何突っ立てんだよ！！さっさとドローしろよヴァーロォォー！！｣
ブチッ
俺の頭の中で何かが切れた音がした。
大崎「俺のターン、ドロー…………、生け贄ゾンビを召喚！！そして、雷魔神―サンガを召喚！！｣
雷魔神―サンガ
光 星7 攻2600 守2200
相手モンスターからのダメージを1回だけ０にする。この発動タイミングはプレイヤーが選んでよい。
大崎「そして、ゲート・ガーディアンを召喚！！」
ゲート・ガーディアン
地 星11 攻3750 守3400
戦士族・効果
「雷魔神―サンガ」「風魔神―ヒューガ」「水魔神―スーガ」を生け贄に捧げなければ召喚できない！！
絶対召喚無理！！迷宮兄弟や大崎君が鬼引きなだけだ！！！さり気なく星11。
大崎「そんなリバースカード、怖くないぜ、ゲート・ガーディアンで攻撃！！激流雷神波！！！」
雷、風、水の３つの力が合わさり、プチモスに襲いかかる。
死愚魔「かかったな～～～～～!!リバースカードォォォォォォォォォオープン！！！！！！超急激成長を発動ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！」
超急激成長 速攻魔法
手札、デッキから「完全究極体・グレート・モス」を自分フィールド上に存在する「進化の繭」を装備して４ターン経過した「プチモス」を生け贄に捧げる事で、召喚条件を無視して特殊召喚する。このカードで特殊召喚した「完全究極体・グレート・モス」の攻撃力は倍になる。その後自分は5000ライフポイントを払い相手はカードを２枚ドローする。
プチモスを覆っていた繭が崩れていき、中から巨大な蛾が現れた。
死愚魔LP5600
完全究極体・グレート・モス
地 星8 攻3500 守3000
昆虫族・効果
進化の繭をつけられて６ターン後のプチモスを捧げない限り召喚できない。
うん！こっちも召喚無理だねo(^▽^)o
完全究極体・グレート・モス攻撃力3500→7000
死愚魔「そんな、しょぼい攻撃なんかぁぁぁぁぁきかないぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！」
ゲート・ガーディアンの攻撃ははじかれ、反撃を受けて破壊された。
大崎「くっ………！」
大崎LP4750
死愚魔「ギュハハハハハ、どうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、我の、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、われの、勝ちだぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！」
大崎「フフッ、モンスター1体倒したぐらいでそんなに態度がでかいとは、相当重症らしいな。」
死愚魔「キュニュニュニュニュ、とは言うものの貴様はもうモンスターを召喚できな～～～～～～～～～～い！！！！！！次ターン、グレート・モスのダイレクトアタックで、我の、我の、我の、勝ちだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
大崎「それだけで、喜ぶなんて初心者でもあり得ないぞ！！先に教えてやる、実は私も万丈目並みの詰め込みデッキでね。このデッキのもう一つのコンセプトそれは………エクゾディアだ！！」
エクゾディアとは右腕、右足、左腕、左足、胴体の五枚のカードを手札に揃えればデュエルに勝利するという一撃必殺の戦術だ！
今のセリフに対し笑いをこらえた顔でこう答えた。
死愚魔「ギュプププププププププププププププ！！！！！！何ヴァカな事言ってんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！エグゾディアなんてそんな簡単に揃う訳ないぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！」
大崎「確かに今の俺の手札には右腕しかない、だがさっきお前が引かせてくれたカードで簡単に揃うぜ！！魔法カード、魔法再生術―リターン・オヴ・マジック！！！」
魔法再生術―リターン・オヴ・マジック 魔法
ライフを3000ポイント払う。自分または相手の墓地に存在する魔法カードを１枚自分の手札に加える。この効果で手札に加えたカードが墓地に送られる時は持ち主の墓地に送られる。
大崎「さらに、リバースカードオープン！永続魔法化を発動！！！」
永続魔法化 速攻魔法
フィールド上に存在する通常魔法を１枚選択する。選択したカードは永続魔法扱いになる。この効果の対象になったカードは次の自分のスタンバイフェイズ時に破壊される。その後相手はカードを２枚ドローする。
大崎「俺は魔法再生術の効果を二回使い、剣豪と骨折り損のくたびれ儲けを手札に加える。…………これがどういうことかわかるかな？」
死愚魔「ギュヒイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
簡単に説明すると剣豪と骨折り損のくたびれ儲けのコンボでエグゾディアパーツを引き魔法再生術の効果を使いまた剣豪と骨折り損のくたびれ儲けを墓地から回収する。このループを繰り返せばエクゾディアパーツを全て揃える事が出来る。
大崎「魔法再生術は3000ポイント払わないと発動出来ないが、剣豪のライフ回復の効果で俺のライフはギリギリ残る！！さっきの仕返しだぁぁぁ！」
俺は16年間の人生の中で一番の怒りを死愚魔にぶつけた。……………無論、グーで。
バキバキドカバキ
死愚魔「(ノД;´)ギュエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ！」
大崎「そして、エクゾディアパーツが揃った！俺の勝ちだぁ！」
封印されし者エクゾディア
闇 星３ 攻1000 守1000
魔法使い族・効果
このカードに加えて「封印されし者の右腕」「封印されし者の右足」「封印されし者の左腕」「封印されし者の左足」が手札にある時、自分はゲームに勝利する。
死愚魔「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！！！」
大崎「（ふー、この上なく無駄な時間だった………………………。）」
デュエル終了後の俺の顔は何かがふっきれた笑顔だった。
（#´∀`#）←こんな感じで。
めでたし、めでたし！
第六話 三回戦、カードの奪い合い！？
５月２４日（日）午後１時00時
某々高校、大会会場
神谷「では、行って来まーす☆！」
私はこんな感じで、デュエル場に立った。既に龍河高校の勝利は確定しているので緊張感ゼロだった。
アナウンス「東側より龍河高校二年神谷清華選手、西側より、某々高校三年射婦紙論（いぷし ろん）選手です。先行は神谷選手です。」
神谷、射婦紙「デュエル！！！」
私の相手、射婦紙さんは眼鏡をかけていて色白のいかにも知的そうな顔の男性だった。
神谷「私の先行ドロー！！洗脳術師―マインド・ハッカーを召喚。」
洗脳術士―マインド・ハッカー
闇 星４ 攻1500 守900
魔法使い族・効果
ライフを1000ポイント払う。このモンスターの攻撃力以下の相手モンスター1体のコントロールを得る。このカードが破壊された時、コントロールを得たモンスターも破壊する。
黒装束に身を潜めた男が現れた。
神谷「カードを２枚伏せてターン終了です！」
さて、射婦紙さんはどんな手挑んで来るのか…
射婦紙「わたくしのターン、ドローで御座います。わたくしはモンスターを1体セットし、手札から魔法カードエクスチェンジを発動します。では、あなたの手札を拝見します。」
エクスチェンジ 魔法
お互いに手札を公開し、それぞれのカードを１枚選択する。選択したカードを自分の手札に加え、そのデュエル中使用する事ができる。（墓地へ送られる場合は元々の持ち主の墓地へ送られる。）
このカードによりお互いの手札を見せ合わなければいけない。
私の手札は…
創世神（ザ・クリエーター）
光 星8 攻2300 守3000
雷族・効果
自分の墓地からモンスター1体を選択する。手札を１枚墓地に送り、選択したモンスター1体を特殊召喚する。この効果は1ターンに一度しか召喚できない。このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
Ｘ・Ｅ・Ｎ・Ｏ（ゼノ）
水 星２ 攻200 守100
悪魔族・効果
リバース：ターン終了時まで相手フィールド上1体のコントロールを得る。コントロールを得たモンスターは、相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。
所有者の刻印 魔法
フィールド上に存在する全てのコントロールは、元々の持ち主に戻る。
それに対して射婦紙さんの手札は…
デビル・フランケン
闇 星2 攻700 守500
機械族・効果
5000ライフポイントを払う。自分の融合デッキから融合モンスター1体を選択して自分のフィールドに特殊召喚する事ができる。
ニュードリュア
闇 星4 攻1200 守800
悪魔族・効果
このカードが戦闘によって墓地に送られた時、フィールド上のモンスター1体を破壊する。
地獄戦士
闇 星4 攻1200 守1400
戦士族・効果
このカードが相手モンスターの攻撃のよって破壊され墓地へ送られた時、この戦闘によって自分が受けた戦闘ダメージを相手ライフにも与える。
幻影コオロギ
地 星２ 攻300 守1000
昆虫族・効果
リバース：フィールド上に裏側表示で存在するモンスター1体を持ち主のデッキの一番上に置く。
神谷「（うーん、どれも使いにくいカードね……。）」
射婦紙「なら、わたくしはＸ・Ｅ・Ｎ・Ｏを頂きます。」
神谷「私は地獄戦士をもらうわ。」
射婦紙「ターン終了です。」
神谷LP8000
手札３枚
モンスター
【洗脳術士―マインド・ハッカー】
魔法、罠
リバースカード２枚
射婦紙LP8000
手札４枚
モンスター
裏守備モンスター1体
魔法、罠
無し
神谷「私のターンです！ドロ～♪」
射婦紙「……………」
神谷「悪魔の蜃気楼を発動！」
豪「………………」
悪魔の蜃気楼 永続魔法
えー、このカードの効果は相手スタンバイフェイズ時にカードを４枚ドローして自分のスタンバイフェイズ時に手札を４枚捨てないと行けません。実際に手札の増える枚数は０なのに何故あなたの世界では禁止カードなのでしょう？それは相手ターンにこのカードを破壊すれば手札を捨てずに済むからです。アニメでは非常食とのコンボで有名ですね。さらにバブルマン→強欲な壺→バブルシャッフル→エッジマン召喚を実行できたら今日からあなたも遊戯十代だぜ！この鬼引きくんっ！！ちょっと惚れるわ。か、勘違いしないでよ。別にあなたを男として認めたワケじゃないんだから！！！デュエルが強いからって何よ！別にあなたのことなんて……あなたのことなんて……。でもデュエル中のあなたは素敵よ……。バ、バカ！今の言葉を本気で受け止めないでよ。
神谷「そして、地獄戦士を召喚！そしてマインド・ハッカーでリバースモンスターを攻撃！！｣
マインド・ハッカーは特殊な電波を放った。
復活の銅像
地 星4 攻0 守2100
岩石族・効果
このモンスターが戦闘によって破壊された時、デッキまたは墓地からレベル6以下のモンスターを特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚されたモンスターは次ターンのエンドフェイズ時に破壊される。
射婦紙「復活の銅像の効果発動！デッキから竹取の翁（おきな）―バンブーハンターを特殊召喚します。」
竹取の翁―バンブーハンター
地 星６ 攻2450 守2300
戦士族・効果
このカードが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、デッキから「折れ竹光」を任意の枚数手札に加える。その後デッキをシャッフルする。
斧を持った老人が現れた。
射婦紙「竹取の翁の効果で折れ竹光をデッキから３枚手札に加えさせて頂きます。」
折れ竹光 装備魔法
装備モンスターの攻撃力が0ポイントアップする。
神谷「私もマインド・ハッカーの効果でそのモンスターをもらうわ。そして、ターンエンド。」
射婦紙「わたくしのターン、ドロー。」
神谷「ここで速攻魔法、非常食を発動！破壊するのはもちろん悪魔の蜃気楼よ！」
非常食 速攻魔法
このカードを除く自分フィールド上の魔法または罠カードを墓地に送る。墓地へ送ったカード１枚につき、自分は1000ライフポイント回復する。
剣護「お約束だな……；」
豪「うん……；」
神谷LP9000
射婦紙「わたくしは陰気な壺を発動！」
陰気な壺 魔法
相手のデッキの一番下からカードを１枚を相手に見せてから自分の手札に加える（この効果で手札に加えたカードは墓地に送られた時は元々の持ち主の墓地へ置く）。
射婦紙「わたくしが引いたカードはトラックロイドです。まずは竹取の翁に折れ竹光を３枚装備！そして、折れ竹光を３枚破壊して、竹姫（たけひめ）カグヤを特殊召喚！！」
竹姫カグヤ
光 星8 攻3000 守2200
魔法使い族・効果
このモンスターは通常召喚できない。このモンスターは自分のフィールド上に存在する「折れ竹光」を３枚破壊する事でのみ特殊召喚することができる。1000ライフポイントを払うことでこのカードより攻撃力の低いモンスター1体のコントロールを得ることができる。この効果は1ターンに一度だけ発動する事ができる。
射婦紙のフィールドに十二単を身に着けた女性が現れた。背中にかかる濃い黒髪と純白の肌が特徴でどこか神秘的な風貌である。
射婦紙「そしてカグヤの効果発動！地獄戦士を頂きます！！」
これで相手のフィールドにはモンスターが３体に対してこちらは２体、しかし相手モンスターはこちらよりも攻撃力が高いモンスターばかりだ。
射婦紙「では、攻撃させてもらいます。竹取の翁で、マインド・ハッカーを攻撃！バンブー・クラッシャー！！」
竹取の翁の持つ斧にとてつもないエネルギーが集まりそれをマインド・ハッカーに叩きつける。
ズドォッ！！ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ！！
神谷「ウアァァァ！！」
神谷LP8050
射婦紙「そしてマインド・ハッカーが破壊された時、洗脳したモンスターも破壊されるはずです。」
神谷「くっ！私のモンスターが全滅……。」
私の額からは冷や汗が流れていた。
射婦紙「では地獄戦士でプレイヤーにダイレクトアタック！ヘル・ブレイド！！」
神谷「トラップカード、マジックアーム・シールドを発動よ！！」
マジックアーム・シールド
相手が攻撃を宣言した時に発動。攻撃モンスター以外の表側表示モンスター1体のコントロールを得て、自分のモンスターのかわりに攻撃を受けさせる。バトルフェイズ終了後そのモンスターは相手のコントロールに戻る。
神谷「カグヤを身代わりにさせてもらうね！」
カグヤは巨大なマジックハンドにつかまれ地獄戦士の攻撃の瞬間に私の前に突き出され変わりに攻撃を受けた。カグヤは地獄戦士よりも攻撃力が高いため、地獄戦士の攻撃は弾き返して反撃した。地獄戦士はカグヤの魔力弾を受けて消滅した。
射婦紙「フッ、しかし地獄戦士の効果であなたも戦闘ダメージを受けます…」
神谷「………！」
神谷LP6650
射婦紙LP6200
射婦紙「さらに、カグヤで攻撃します。」
カグヤはさっき撃った魔力弾を今度は私に向けた。
神谷「クアァァァァァァアッ！！！」
神谷LP3650
神谷「…手札から冥府の使者ゴーズを特殊召喚！」
須藤「（ほぉ…ゴーズを引いたのか……。）」
冥府の使者ゴーズ
闇 星7 攻2700 守2500
悪魔族・効果
自分フィールド上にカードが存在しない場合、相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した時、受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。●戦闘ダメージの場合自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」（天使族・光・星7・攻／守？）を１体特殊召喚する。このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。●カードの効果によるダメージの場合、受けたダメージと同じダメージを相手に与える。
神谷「ふぅ、相変わらず長いテキストだわ…（作者の本音）。」
射婦紙「……？」
男性と女性の２人の剣士が現れた。
射婦紙「わたくしはモンスターを1体セットしてターンエンド。」
神谷「私のターン、ドロー！！まずはカイエントークンで攻撃！！邪霊滅砕斬（じゃれいめっさいざん）！！！｣
射婦紙「カグヤも反撃です、慈悲亡き魔力弾（ロストハート・バースト）」
お互いの攻撃は相打ちとなり両者とも消滅した。
神谷「（あのリバースモンスターは何かしら…………。ここでゴーズがいなくなったら危険だわ………。そういえば相手の手札にはデビフラもあった気が…。）うーーーーーーん。」
私は1分ほど悩む。
神谷「封印の黄金櫃を発動！」
封印の黄金櫃 魔法
自分のデッキからカードを１枚選択し、ゲームから除外する。発動後２回目のスタンバイフェイズ時にそのカードを手札に加える。
神谷「リバースカードを２枚伏せてターンエンド～。」
射婦紙「わたくしのターン、ドロー！！！モンスター1体をセットしてリバースカードを１枚伏せてターンエンドです。」
剣護「なんか………地味なデュエルだな………。」
大崎「（うぅ……耳が痛い……。）」
今回も、感想はあまり来そうにないね……
神谷「わ、私のターン、ドロー！あなたのモンスター２体を生け贄にラヴァ・ゴーレムを特殊召喚します！」
溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
炎 星8 攻3000 守2500
悪魔族・効果
このモンスターを召喚する場合、相手フィールド上のモンスター２体を生け贄に捧げて相手フィールド上に特殊召喚しなければならない。このカードのコントローラーのスタンバイフェイズ毎に、コントローラーに1000ポイントのダメージを与える。このモンスターを特殊召喚する場合、このターン通常召喚はできない。
射婦紙のフィールドに悪魔の形をした溶岩が現れた。
神谷「さらに魔法カード、所有者の刻印を発動します！これでラヴァ・ゴーレムのコントロールは私になります。そして、攻撃！！ゴーレムボルケーノ！！！」
ラヴァ・ゴーレムの口から炎が放たれた。どこかの真紅眼使いみたいにヘンテコな名前を付けるほど私はアホじゃないわ。
ゴｵｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｵオ………
射婦紙「ここで、リバースカード、この傷み貴様に解るか？を発動です。」
この傷み貴様に解るか！？ 罠
相手のバトルフェイズ時に発動。このターンに自分が受けるダメージを相手にも与える。
神谷「えっ！？」
射婦紙「ウァァァァァァァ！！！！！！」
神谷「ウァァァァァァァァ！！！！！」
神谷LP650
射婦紙LP3200
射婦紙「フフ……勝負が見えてきましたね………。」
確かに射婦紙さんの言うとおり次のターンにラヴァ・ゴーレムの効果でライフを1000ポイント払わないといけない。
神谷「まだよ！ゴーズを守備表示にして、リバースカードを１枚伏せます。ターン終了ですわ。」
射婦紙「わたくしのターン、ドロー！モンスターをセット！」
神谷「ここで罠カードポールポジションを発動！ラヴァ・ゴーレムに装備！」
ポールポジション 永続罠
フィールド上に表側表示で存在する、攻撃力が一番高いモンスターは魔法の効果を受けない「ポールポジション」がフィールド上に存在しなくなった時、フィールド上に表側表示で存在する攻撃力が一番高いモンスターを破壊する。
神谷「さらに、非常食を発動！ポールポジションを破壊します。」
神谷LP1650
射婦紙「ターン終了です。」
神谷「私のターン、ドロー！………このターンできめるわ。封印の黄金櫃で除外したカードを手札に加えます。そしてそのカードを発動します。私が引いたカードは幻魔の扉です！」
幻魔の扉 魔法
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。その後、自分の墓地からモンスター1体選択し、召喚条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する。発動ターンのエンドフェイズ毎、自分のライフポイントは10分の１になる
フィールドに巨大な扉が現れた射婦紙さんのモンスターを吸い込んでいく。
神谷「私が召喚するのは竹姫カグヤです。」
神谷「さらにゴーズを生け贄に捧げ、人造人間―サイコ・ショッカーを召喚します！」
人造人間―サイコ・ショッカー
闇 星6 攻2400 守1500
機械族・効果
このカードがフィールド上で表になっている限り、罠カードの発動と効果を無効にする。
射婦紙「くっ！（わたくしの炸裂装甲もただの紙キレに………。）」
神谷「サイコ・ショッカーで攻撃！！電脳（サイバー）エナジーショック！！」
サイバー・ショッカーは巨大な光球を撃ち込んだ。
射婦紙「ぐふぅっ！！」
射婦紙LP800
神谷「トドメよ！カグヤでダイレクトアタック、慈悲亡き魔力弾！！！」
ズドドドォォォォ
射婦紙「ウグゥゥゥゥ！！！」
射婦紙LP０
第七章 ＶＳムハラ（前編）-魔導少女の奇跡-
６月２９日（月）午後３時３０分
龍河高校・１年Ａ組教室
男子生徒Ａ「あーーー、掃除めんどくせーなー。」
男子生徒Ｂ「なあ、帰っちまおうぜ！おい豪、お前ひとりで全部やってけよ。」
豪「え、それはいけな」
男子生徒Ｂ「うるせーなー。黙ってやってりゃいいんだよ。オイ、帰るぞ。」
そういって、２人は帰って行った。教室には僕しかいない。
僕はいつもこうだ。
――消極的で
――内面的で
――特別な才能もなく
――いつも１人でいる僕
客観的に見れば弱い人間に見えるかも知れない。
剣護「おーい豪、掃除は終わったかー。――ちっ、またあいつ等帰りやがったな。たく情けない奴ばかりだ。しょうがない、俺も手伝ってやるよ。」
僕はいつも剣護君に助けられる。
――１０分後
剣護「ふぅ、疲れたな。さて部活に行こうか。」
豪「う、うん………」
僕はいつも考える。
――このままでいいのだろうか？
――もし彼がいなくなったら僕はどうなる？
剣護「………ん、どうした豪？」
豪「いや、何でもないよ。早く行こうよ。」
同日４時３０分
龍河高校・ＯＣＧ部、部室
僕たちはいつものように部室のドアノブを握る。
剣護「失礼しま～す！！」
中には、須藤さん、神谷さん、大崎さんが座っている。
豪「あれ、今日は佐渡さんは来ていないんですか？」
神谷「ああ、あの人なら今日はテニス部に行っているわよ。」
豪「えっ！佐渡さんってテニス部もやっているんですか！？」
剣護「まあ、俺はいない方が嬉しいけどな。なんかイラつくんだよな～。性格悪いし、すぐ暴力ふるうし、キレやすいし、それから○○で××で―――――――でなんたらかんたら……………。」
………………
剣護「ん…みんなどうしたの？」
須藤「う、後ろ……………」
グォン、メショッ！！！！
剣護LP0
佐渡「――なあみんな昨日、空手初段とってねー、いやーあの時は飛び上がるほど嬉しかったよ。あっ、ちょっと忘れ物があったからとりに来たんだけど――」
豪「は…ははははは、おめでとうございます。」
剣護「（おのれぇーーーー、おのれぇぇぇぇぇーーーーーーーーーー！！！！）」
剣護君は頭を抱え込んでいた。
佐渡「じゃ、私はもう行くけど今度何かをやらかしたらズッバと行くぞ、ズッバと！！」
そう言いながら佐渡さんは帰っていった。
須藤「と、とりあいず今日もデュエルをするか………」
――一時間後
須藤「究極竜騎士でダイレクトアタック、ギャラクシー・クラッシャー！！！」
豪「うぁぁぁぁぁ！！！！」
豪LP0
…………今日も負けてばかりだった。
須藤「ま、まぁ入部当時よりはだいぶレベルが上がっていると思うよ。大崎君と神谷さんには何回かは勝っているし。」
豪「はぁ………………」
神谷さんと大崎さんは十回戦って一回勝てばいい方で、須藤さんと剣護君には至っては……………
剣護「落ち込むことはないぜ！！これからもっと強くなればいいんだから。」
須藤「――っともうこんな時間か、今日は帰っていいぞ。」
同日５時３０分
龍河町
僕は剣護君と一緒に帰り道を歩いていた。
梅雨があけ、夏の訪れを感じる明るい夕暮れだった。
豪「はぁ………。何で勝てないんだろう。」
剣護「うーん、お前のデッキは汎用性の高いカードが少ないんじゃないのかな！！明日、デッキを見てやるよ。」
豪「ありがとう、剣護君。」
剣護「ああ、礼には及ばないぜ。」
――彼に感謝したのは何回目だろう？
こう考えると同時にこうも考える。
――誰かが僕に感謝したことがあるのか？
――誰かが僕を必要としているのか？
だけど、僕には人を守る力なんてない。それでも…………
――守られるだけなのは嫌だ
――僕も必要とされたい
こんな事を考えながら僕は前へ進んだ。
？〈ボクト……ゲームヲシヨウヨ。〉
豪、剣護「………………!？」
突然誰かの声がした。声質は明るかったが発音は機械的でどこか殺気を感じるものであった。
僕達は周りを見回すが誰もいない。
再び前に振り向いたとき、目の前に僕と同じぐらいの年齢の少年が１人いた。見た感じ中近東の人だと思う。
剣護「キミは……一体何者なんだ！！」
？「はははは、そんなに気構えることないよ。僕はただキミたちとゲームがしたいだけだよ……ゲームをね。」
目の前の少年は愛想笑いをしながら話してきた。
豪「――きみは誰なの…………？」
僕は不信感を感じながらも、訪ねた。
？「僕はムハラ、ムハラ・ヴェンリルだよ。さあ、早くゲームをしようよ。」
剣護「なんか怪しい奴だな………。こんな奴にかまうな。行くぞ、豪。」
豪「う、うん………。」
確かに、怪しい風貌だった。見た目は普通だったが、直感的に拒絶反応が僕の中からこみ上げてくる。おそらく、剣護君も同じことを考えていると思う。
ムハラ「酷いなぁ……せっかく平和的に済ませようと思ったのに…………。やむを得ないね……………。」
……………ゴゴゴゴゴゴゴ―――
豪、剣護「…………………！？」
突然、ムハラの周りから黒い霧が湧き出てきた。あっという間に僕達の周りまで広がった。
ムハラ「確か、きみ豪くんっていったよね。悪いけどきみのお友達には少しの間、眠ってもらうよ。」
ムハラは剣護君に指を指した。
豪「え…………!?」
剣護「グォォァァァァウギャハァ！！！」
剣護君は異様な断末魔と共に気絶して倒れた。
豪「――なっ！？け、剣護君に一体何をした！！」
僕は目の前の状況に混乱していた。
ムハラ「フフフ、大丈夫だよ。ちょっとの間、コレに封印しただけだよ。僕とのゲームに勝ったら元に戻すよ。」
ムハラはポケットから二等身の人形を取り出した。姿は剣護君に酷似していた。
ムハラ「ゲームの内容はもちろん君たちお得意のデュエルだよ。おっと、この道端じゃ狭すぎるか？向こうにある公園に来てよ。」
同日午後６時００分
龍河東公園
僕は剣護君を運んで公園に来た。剣護君は近くのベンチ寝かせた。
ムハラ「さぁ………これで準備は整ったね。君が勝ったらあの子は返してあげるよ。その代わり、僕が勝ったら君のデッキをもらうよ。」
豪「ぼ、僕のデッキを………!?」
僕は理不尽な条件に驚いた。
ムハラ「駄目かな………」
豪「――くっ！！分かったよ……………。」
正直、不本意極まりないが剣護君が人質にとられているので反抗できなかった。
そして、僕とムハラは公園の広場にたちデュエルディスクを構えた。
豪、ムハラ「デュエル！！！！」
豪LP8000
ムハラLP8000
豪「僕の先行ドロー！生け贄ゾンビを召喚！」
生け贄ゾンビ
闇 星1 攻0 守0
アンデット族・効果
このモンスターを1体を生け贄に捧げることでレベル6以上のモンスターを1体特殊召喚する。このモンスターが生け贄に捧げられた時、墓地へ行かずに手札に戻る。
豪「そして生け贄ゾンビを生け贄に捧げ、カオス・マジシャンを特殊召喚！！」
カオス・マジシャン
光 星6 攻2400 守1900
魔法使い族・効果
このカード1枚を対象にするモンスターの効果を無効にする。
黒い帽子とコートに身を包んだ男の魔術師が現れた。先端に赤い丸石がつけられた黒い杖を持っている。
豪「生け贄ゾンビは生け贄に捧げられたとき手札に戻る能力を持っている。リバースカードを２枚伏せターンエンド！！」
ムハラ「僕のターン、ドロー！！Ｐ-ＨＥＲＯ（ファントムヒーロー）ファイアエルフを召喚！！」
Ｐ-ＨＥＲＯファイアエルフ
炎 星4 攻1450 守1200
天使族・ファントム
このモンスターダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。
全身が炎に包まれた男性の天使を召喚した。
ムハラ「さらに永続魔法カード、凶暴化する影を発動！！」
凶暴化する影 永続魔法
フィールド上に存在する全てのファントムモンスターのレベルは１上がる。
凶暴化する影の影響でファイアエルフの影はさっきより大きくなったように見える。
ムハラ「さらに、リバースカードを一枚伏せてターンエンドだよ。」
豪LP8000
手札３
モンスター
【カオス・マジシャン】
魔法・罠
リバースカード２枚
ムハラLP8000
手札３
モンスター
【Ｐ-ＨＥＲＯファイアエルフ】
魔法・罠
【凶暴化する影】
リバースカード１枚
僕のフィールドには相手モンスターの攻撃力を上回るモンスターがいる。これは攻め込むチャンスだ。
豪「僕のターン、ドロー！！」
僕は手札をよく確認した。デュエルでは何気ないプレイングミスが敗北につながるのだ。特に僕の場合は重症で何回も勝てる勝負をおとした記憶がある。
豪「よし、僕は連弾の魔術師を召喚！！｣
白銀でできた杖を両手に持つ薄紫色の髪の青年が召喚された。
連弾の魔術師
闇 星4 攻1600 守1200
魔法使い族・効果
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分が通常魔法を発動する度に、相手ライフに400ポイントダメージを与える。
豪「そしてバトルフェイズ、連弾の魔術師でファイアエルフを攻撃！！マジカル・ラッシュ！！」
連弾の魔術師の両手に持つ２つの杖から無数の魔力弾（まりょくだま）がファイアエルフに向けて放たれた。
ムハラ「フフフ、ここでファントム効果を発動させてもらうよ。場のファイアエルフと手札からアクアマジシャンを入れ換えるよ。」
ムハラの表情はとても明るい。
Ｐ-ＨＥＲＯアクアマジシャン
水 星5 攻2000 守1500
魔法使い族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる。このカードとバトルをおこなったモンスターはダメージステップ終了後にゲームから除外される。
ファイアエルフの影からアクアマジシャン現れた。それと同時にファイアエルフは自分の影の中に消えた。
アクアマジシャンは水色の衣装を羽織っていて、水色の杖を持った少女だった。表情はとても哀愁に満ちていた。
ムハラ「アクアマジシャンの反撃、アクアランス！！」
アクアマジシャンの魔力で湧き出た水の塊が一筋の槍となり連弾の魔術師に襲いかかる。アクアランスはマジック・ラッシュを全て貫き、連弾の魔術師に直撃した。
ズシャ！！
豪「くっ！！」
豪LP7600
アクアマジシャンの効果で連弾の魔術師はゲームから除外された。
豪「まただ、カオス・マジシャンで攻撃！！」
カオス・マジシャンは手に持つ杖から光線が放たれた。矛先はもちろんアクアマジシャンだ。
ギュンッ！！……………ズバァァ！！
光線は見事にアクアマジシャンを貫いた。アクアマジシャンとバトルしたモンスターはゲームから除外されるが、カオス・マジシャン1体を対象としたモンスター効果は無効になる。
ムハラ「………」
ムハラLP7600
豪「――ターンエンド。」
ムハラ「へへっ、今のは結構うまかったよ。僕のターン、ドロー。再びファイアエルフを召喚！そして装備魔法、フレイムブレードを装備。」
フレイムブレード 装備魔法
フィールド上に存在する「Ｐ-ＨＥＲＯファイアエルフ」1体に装備すり。装備モンスターの攻撃力が1000ポイントアップする。このカードが破壊されたとき、自分は1000ライフポイント回復する。
Ｐ-ＨＥＲＯファイアエルフ攻撃力1450→2450
ムハラ「そしてファイアエルフの攻撃！！」
ファイアエルフはフレイムブレードでカオス・マジシャンに切りかかってきた。
豪「くっ、ここで速攻魔法、サイクロンを発動！！！破壊するのはフレイムブレードだよ。」
サイクロン 速攻魔法
全フィールド上の魔法、罠カード1枚を破壊。
ムハラ「フレイムブレードの効果で1000ライフポイント回復するよ。」
ムハラLP8600
豪「だけど、これでカオス・マジシャンの方が攻撃力は上だよ！！」
ムハラ「ここでファントム効果発動。手札のＰ-ＨＥＲＯマスターソーディアンと入れ換える。」
Ｐ-ＨＥＲＯマスターソーディアン
地 星5 攻2500 守1000
戦士族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。このカードは戦闘でモンスターを破壊した後、このカードは破壊される。
再び、ファイアエルフの影から他のモンスターが現れた、ファイアエルフは影の中に消えてゆく。
マスターソーディアンは手に持つ剣でカオス・マジシャンに切りかかった。今度こそ、カオス・マジシャンはやられた。
豪「なぁっ！？」
豪LP7500
ムハラ「マスターソーディアンは戦闘でモンスターを破壊したとき、破壊される。罠カード、血の代償を発動。ライフを500ポイント払い、ファイアエルフを召喚！！」
血の代償 永続罠
500ライフポイントを払う事で、モンスター１体を通常召喚する。
ムハラLP8100
一週間前から発令されたエラッタにより、血の代償の発動タイミングが無制限になった。
ムハラ「ファイアエルフでダイレクトアタック！！バーンフェザー・ブレイク」
ファイアエルフは背中に生えている翼の羽を飛ばしてきた。羽は燃えているのでかなりの恐さだった。
豪「うぅぅぅぅ！！」
豪LP6050
ムハラ「リバースカードを1枚伏せてターンエンド。」
豪「――何故…………」
ムハラ「…………？」
豪「どうしてキミは僕達の事を知っているの？どうしてキミは、人質を取ってまでして僕のデッキを奪おうとするの！？」
ムハラ「知る必要はないね。さぁキミのターンだよ。」
簡単に流されてしまった。
豪「（とにかく……今は勝つしかない。）僕のターン、ドロー！！生け贄ゾンビを召喚、そして生け贄ゾンビを生け贄に捧げ、モンスターをセット。ターンエンド。」
ムハラ「僕のターン、ドロー。抹殺の使徒を発動。裏守備モンスターを1体破壊する。残念だったね、せっかく召喚したモンスターだったのに。」
抹殺の使徒 魔法
裏守備表示のモンスター1体破壊しゲームから取り除く。もしそれがリバースモンスターだった場合お互いのデッキを確認し、破壊したモンスターと同じカードを全てゲームから取り除く。その後デッキをシャッフルする。
裏守備モンスター:忍びの達人
忍びの達人は消滅した。
ムハラ「そして攻撃、バーンフェザー・ブレイク！！」
ズザッ！！
豪「グアァァァァ！！」
豪LP5600
ムハラ「さらにリバースカード、オープン！！実体化する幻影を発動。」
実体化する幻影 速攻魔法
自分の手札を1枚すてる。自分フィールド上のファントムモンスター1体を生け贄に捧げ、生け贄に捧げたファントムモンスターのレベル以下のモンスター1体を特殊召喚する。
ムハラ「デッキからＰ-ＨＥＲＯロック・ソルジャーを特殊召喚。」
Ｐ-ＨＥＲＯロック・ソルジャー
地 星5 攻2200 守1900
岩石族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
ファイアエルフは消え、巨大な岩石の鎧を身に着けた男が現れた。
ムハラ「僕のバトルフェイズはまだ終了してないよ。ロック・ソルジャーで攻撃。」
ムハラのかけ声と同時にロック・ソルジャーは巨大な拳で僕に殴りかかってきた。
豪「グフゥッ！」
豪LP3400
ムハラ「ターンエンド。」
豪LP3400
手札3
モンスター
無し
魔法・罠
リバースカード1枚
ムハラLP8100
手札0
モンスター
【Ｐ-ＨＥＲＯロック・ソルジャー】
魔法・罠
【凶暴化する影】
【血の代償】
現在、相手フィールド上には中型モンスターが1体に対して僕のフィールド上にはモンスターが1体もいない。
ムハラ「さぁ、この状況でキミはどうするかな？」
ムハラは相変わらず挑発的な態度で話しかけてくる。
豪「僕のターンドロー……（使えるカードがない……）。」
僕は心の中で苦い表情をしていた。
豪「モンスター1体をセットしてターンエンド。」
ムハラ「僕のターン、ドロー！！強欲な壺を発動。カードを２枚ドロー。」
ムハラは勢いよくカード２枚ドローした。
強欲な壺 魔法
自分のデッキからカードを２枚ドローする。
ムハラ「そしてサイクロンを発動！！キミのリバースカードを破壊。」
豪「炸裂装甲（リアクティブアーマー）が……」
炸裂装甲 罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体を破壊する。
ムハラ「ふぅ、サイクロンがなかったら罠にかかっていたところだよ。」
僕は現在唯一の命綱である炸裂装甲を失って激しく動揺した。
ムハラ「さらに、Ｐ-ＨＥＲＯサーチスナイパーを召喚。」
Ｐ-ＨＥＲＯサーチスナイパー
地 星3 攻1200 守700
戦士族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。このモンスターは攻撃力を半分にする事で相手に直接攻撃する事ができる。
黒の鎧とライフルを装備した狙撃手が現れた。
ムハラ「バトルフェイズに突入。ロック・ソルジャーで裏守備モンスターに攻撃！！」
裏守備モンスター:生け贄ゾンビ
ロック・ソルジャーは生け贄ゾンビを粉々に粉砕させた。さらに貫通効果により衝撃は止まらずに僕にまでダメージが及んだ。
ズギャァァァァ！！
豪「うぅ…」
豪LP1300
ムハラ「容赦はしないよ。サーチスナイパーで攻撃、バースト・オブ・キル！！！」
サーチスナイパーは手に持つ銃で僕の胸を的確に射抜いた。もの凄い勢いだったので立体映像（ソリッドビジョン）と知りながらも前方に倒れ込んだ。
ﾋｭﾝｯ！！
豪「うあぁぁぁぁぁ！！」
豪LP100
ムハラ「期待ハズレだよ、キミ程度のレベルで《あのカード》を所有するとはね。」
ムハラはからかうような笑顔で僕に見下してくる。だけど内容に気になる部分がある。
豪「《あのカード》………？」
僕は立ち上がりながら聞き返す。
ムハラ「……いや、聞かなかったことにしてくれ。」
ムハラは一瞬だけ眉間にシワがより目つきが鋭くなった。
ムハラ「僕はターンを終了する。………どうせキミは負けるんだ、キミの手札ではこの状況をくつがえす事はできないでしょ。」
豪（悔しいけど、彼の言うとおりだ………。）
今、僕のライフは100でムハラのライフは8100。しかも相手フィールドにはモンスターが二体いるのに対して僕のフィールド上にはモンスターがいない。手札にも逆転できるカードはない……。
――僕は負けるのか？
確かに僕の実力なんかじゃ彼に勝つのは無理なのかもしれない。
豪（でも、それじゃあ剣護くんは……）
ムハラ「今のうちにサレンダーすればきみのお友達だけなら返してあげるよ。」
僕は悩んだ。確かに僕の手札には逆転のカードは無くこの状況をくつがえすのはかなり厳しいだろう。
豪（でも、このデッキにはあの日もらったカードが……）
ムハラ「さぁ、早く答えてよ。」
ムハラはやさしい声で僕をあわてさせる。
豪（ごめん、剣護くん。確かにキミからもらったカードは特別なものだけど……これもキミのためなんだ。）
僕は悩んだあげくデッキの上に手を向けた。
？（あきらめちゃダメだよ。）
豪「……………！！？」
デッキに触れそうになった瞬間――突然、僕の頭の中に誰かの声が響いてきた。ムハラと似た優しくて明るい声だが、ムハラと違い温かさと安心感を感じる声だった。
豪「きみは誰………！？」
ムハラ「きみは一体誰と話しているの？」
豪「あ、あれ？」
確かに周りを見渡しても剣護くんとムハラしかいない。それに声質も２人とは違うものだ。
？（声に出さないで心で僕に話しかけて。）
僕は頭の中に響く声の主の指示の通りに心で語りかけた。
豪（きみは一体…………）
？（ごめん、今はまだ言えない……）
どうやら訳ありのようだ。
でも、僕はそれよりもこの非現実的な現象に驚いていた。
？（ごめんね、きみを驚かして。）
豪（きみの声は僕にしか聞こえないの？）
？（そうだよ。それよりもこの状況をどうにかしないとね。）
豪（……もう限界だよ。サレンダーすれば剣護くんは助かるんだ。デッキを失いたくはないけど、剣護くんだってわかってくれるよ。）
？（いや、彼にこのデッキを与えたら大変な事になるよ。）
豪（た、大変なことってなんなの？）
？（世界が……破滅するよ。）
豪（……………え？）
僕は耳を疑った。デッキが破滅の力を持つなんて考えられない。
豪（ど、どういうことなの。）
？（それも…今は言えない……。ごめんね秘密ばかりで………。とにかくこのデュエルは絶対勝つんだ。）
豪（でもこんな状況じゃ………）
？（何を言っているの、逆境なんていつもの事じゃないか。いまさら恐れることじゃないよ。それにまだドローフェイズがまだ残っている。確かに一回のドローで逆転するのは難しいかもしれない……でもここでサレンダーしたってみんな終わってしまうぐらいなら、僕は戦って負けた方がいいと思うな。）
豪（………確かに………そう…だね。ありがとう、きみがいなかったらみんなは今頃……）
理由はよくわからないけど今まで僕は世界の生存をかけて戦っていたとおもうと急に額から冷や汗が流れてきた。
？（ど…やら、しば……おわ…れ…た…だね…………。）
急に謎の声は薄れてきた。
？（また、会おう。）
最後にはっきりと声が聞こえたが、その後は完全声は消えた。
豪（彼は一体……）
ムハラ「さあ、そろそろ答えを出してもらうよ。」
豪「僕のターン……。」
ムハラ「ふーん、あきらめる気は無いんだね。せいぜい頑張るといいよ。」
ムハラは変わらない態度でからかってくる。でも、そんな言葉を僕は全然気にしない。
豪「ドローー！！！！！！！！！！！！」
僕は今までで一番大きな声で叫んだ。
豪（守るんだ！！）
――親友（かれ）を
――このデッキを
――そして、世界（すべて）を
僕は迷わずにカードを確認した。
豪「僕は白魔導士ピケルを召喚！！！」
僕のフィールドに白装束の幼い魔法使いの少女が現れた。
白魔導士ピケル
光 星2 攻1200 守0
魔法使い族 効果
自分のスタンバイフェイズ時、自分フィールド上に存在するモンスターの数×400ライフポイント回復する。
豪「リバースカードを２枚伏せてターンエンド。」
ムハラ「フッ、そんな苦し紛れに伏せたカードで攻撃を躊躇（ちゅうちょ）すると思うのかい。それにそんな貧弱なモンスターを攻撃表示で召喚しちゃいけないと思うよ。」
豪（ちがう！！このピケルこそが逆転への布石となるんだ！！！）
ムハラ「僕のターン、ドロー！！」
ムハラは勝利を確信した顔でカードを引いた。
ムハラ「バトルフェイズに入るよ。サーチスナイパーで攻撃！！！」
豪「今だぁ！！！リバースカード、を発動ぉ！！魔導師の絆！！」
魔導師の絆 速攻魔法
自分のフィールド上に次のモンスターが存在する場合、下記の効果を発動する。
●「白魔導士ピケル」:手札、デッキから「黒魔導師クラン」を特殊召喚する。
●「黒魔導師クラン」:手札、デッキから「白魔導士ピケル」を特殊召喚する。
豪「この効果でデッキからクランを特殊召喚！！」
フィールドにはピケルと対なす黒装束の幼い少女か出現した。
黒魔導師クラン
闇 星2 攻1200 守0
魔法使い族・効果
自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在するモンスターの数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。
ムハラ「ハハハハ、だからそんなモンスターを出したって何も変わらないじゃないか！！」
豪「…………さらに、リバースカードオープン！レラティヴマジック！！！！」
レラティヴマジック 速攻魔法
自分のフィールド上に闇属性の魔法使いモンスターと光属性の魔法使いモンスターがそれぞれ1体ずつ存在する時に発動可能。コイントスをする。表がでた場合は相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの攻撃力の合計した数値のダメージを相手は受けて自分はそのダメージ分のライフを回復する。裏がでた場合は自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。
ムハラ「…………!!」
豪（これで裏がでたら僕は負ける……）
コイントスはデュエルディスクがやってくれる。立体映像（ソリッドビジョン）のコインが現れてコイントスが始まる。「○」の面がでたら表で「×」の面がでたら裏である。
豪（たのむ………僕にチャンスを与えてくれ！！！）
出た目:○
豪「（一体、どっちなんだ？）」
僕は閉じていたまぶたを開いた。そしてコインを見た瞬間、数時間ぶりに僕の顔に笑顔が戻った。
豪「出た目は表！！よってきみのモンスターは全滅！！」
ピケルとクランはお互いの魔力弾（まりょくだま）を融合させた。
――光と闇
二つの相対的な魔力を組み合わせる事は至難の技で、失敗すれば魔力が相殺され、さらに命を失う可能性もある危険な行為だ。しかし融合は見事に成功し、物理的な概念では理解しきれないほどの衝撃がムハラのフィールドに襲いかかる。
ズドオォォォォォォンッ！！！！！！！
ムハラのモンスターは抵抗をする暇もなく、全てが無と化した。
豪「そして、キミは破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを受け、僕はその分のライフポイントを回復するよ。」
衝撃は勢いを止めずムハラにまで襲いかかる。
ムハラ「……………………。」
豪LP3500
ムハラLP4700
ムハラ「フフフ………どうやらまだ楽しめるようだね。」
戦いはまだ終わらず……………
-続く-
※第七章に登場した「復活の銅像」はmikeさんから頂いた作品です。ありがとうございました。
第八章 ＶＳムハラ（中編）-幻影の逆襲-
ムハラ「多少、きみのことを見くびっていたようだね。でも、もうこれからは本気できみを倒すよ。」
急にムハラの胸部が光り出した。それもただの蛍光灯みたいなレベルではなく、まるで小さな太陽が現れた感じの直接眼で確認できないほどの強力な光だ。
ムハラ「……これからはお互いの命も賭けよう……。」
豪「え……！？」
――ゴゴゴゴゴゴゴ……
光が消えた瞬間――僕達の周りが闇に包まれた。単なる煙とは違いかなり密度が濃く、煙たくは無いが全身に刃物を突きつけられている感覚に陥（おちい）った。
――恐い
――痛い
――苦しい
――悔しい
――悲しい
――疚（やま）しい
負（ふ）の感情ばかりが脳内の半分を蠢（うごめ）いていた。精神の状態も不安定になり、何かを考える事さえ苦痛だった。
豪「こ、こ……れは……。」
ムハラ「きみに分かり易（やす）く教えるとしたら闇のゲームってやつだね……。」
豪「……！？」
豪「そんな……もの、この世界には存在しない……はずなのに。」
――闇のゲーム
それは、ある物語ににしか存在しない架空のもの。僕は今、存在しないはずの光景を目撃している。
――魂を人形に封印された親友（ともだち）
――突然聞こえた謎の声
――そして、在（あ）るはずのない闇のゲーム……
ムハラ「さておしゃべりはこの位にしてデュエルの続きをしよう。」
豪LP3500
手札0
モンスター
【白魔導士ピケル】
【黒魔導師クラン】
魔法・罠
無し
ムハラLP4700
手札1
モンスター
無し
魔法・罠
【凶暴化する影】
【血の代償】
ムハラ「僕はここでターンエンド！！」
豪「僕……のターン、ドロー！！」
相手フィールドにはモンスターがいなく手札も1枚しかない。僕は確実に彼を追い詰めている。
豪「こ……こで、ピケルのモンスター効果……を発動。ピケルは自分フィールド上の……モンスター一体につき400ポイントのライフを自分は回復する。今僕のフィールド上にはモンスターが二体。よって、自分……は800ライフポイント回復する。」
豪LP4300
豪「さらにバトル……フェイズ！！ピケルで攻撃――」
ピケルのは手に持つ杖から一筋（ひとすじ）の太陽光ほど光線をムハラな向けて放った。まわりが闇に囲まれているせいか光はより輝いて見える。その光線がムハラの身体（からだ）を蝕（むしばむ）む。
ｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞ――
ムハラ「…………。」
ムハラLP3500
デュエル開始時からムハラは攻撃されても全く動揺しない。まるで恐怖を知らないかの如（ごと）く。
豪「さ…らにクランで攻撃！！ダークネス・スパイラル！！」
クランはムチをムハラに巻きつけた。さっきとは対称的なドス黒い闇がムチを辿（たど）って彼に流れ込む。強烈なエネルギーが彼の服の裏にまで入り込み、攻撃宣言した僕自身まで反吐（ヘド）を吐きそうな光景だった。
ゴゴゴゴ――
ムハラ「フッ……」
ムハラLP2300
豪「リバースカードを1枚伏せて、ターンエンド……、はぁ……はぁ……（息が苦しい）。」
周りを覆う闇が僕を苦しめる
――背中から汗が湧（わ）き上がり、
――手のひらは痙攣（けいれん）し、
――唇（くちびる）は潤（うるお）いを失い、
――そして全身の体温が奪われる。
豪「あああああああ……！！（ダメだ、ツラい）」
ムハラ「ハハハハ、そんなにこの闇がイヤなのかい、これはこれで結構気持ちいいのに……。」
豪（く……この人、壊れている。）
通常の人間ならこの状態はとても快（こころよ）いと思う者はいないだろう。
ムハラ「身体（からだ）の方は僕の方が元気だけどデュエルの方はそうでもないようだね。」
ムハラは今引いたカードをデュエルディスクの魔法・罠スロットにセットした。
ムハラ「魔法カード、光の護封剣を発動。」
光の護封剣 魔法
相手フィールド上に存在する全てのモンスターを表側表示にする。このカードは発動後（相手ターンで数えて）３ターンの間フィールド上に残り続ける。このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上のモンスターは攻撃宣言を行う事が出来ない。
剣の形をした光がピケルとクランを拘束（こうそく）する。
ムハラ「ターンエンド。」
豪「ぼ……うう、僕のターン、……う、ドロー（はやくこのデュエルを終わらせないと、体力がもたない）」
豪「ピ……ケルの効果を発動。」
再び、僕は光に癒（いや）され、ムハラは闇に蝕（むしば）まれる。
豪LP5100
光の護封剣は多くのデュエリストに愛用されている強力カードの1枚だが、攻略法がない訳ではなくサイクロン等の魔法破壊カードに対する抵抗力は無い。
しかし、それはあくまでも魔法破壊カードがあればの話で、今の僕の手札にはそのカードが存在しない。
豪「リバースカー……ドを1枚……伏せてターンエ……ンド！ んあああ！」
ほとんど悲鳴に近い声でエンド宣言をした。頬（ほほ）は汗のせいでビショビショに濡（ぬ）れていた。
ムハラ「フフフフ、アハ、アハハハハハハハ、僕のターンドロー！！天使の施しを発動。楽しい、楽しいよ。きみもそんなに恐がらないで楽しもうよ。」
相変わらず無邪気（むじゃき）な声だが内容はとても狂気にあふれている。
天使の施し 魔法
デッキからカードを３枚ドローし、その後手札からカードを２枚捨てる。
ムハラはカードを３枚ドローし、数秒確認した後、カード２枚を墓地ゾーンに捨てた。
ムハラ「そして～リバースカードを1枚伏せて、悪夢の蜃気楼発動。」
悪夢の蜃気楼 永続魔法
相手のスタンバイフェイズ時に、自分の手札が4枚になるようにカードをドローする。自分スタンバイフェイズ時に、その効果でドローした枚数分だけカードを手札からランダムに捨てる。
ムハラ「フフッ、ターンエンド！」
心の整理が終わらないまま、自分のターンを迎えた。
豪「ぼ……くのタ、ターン、ド、ドロー……」
ムハラ「ここで、悪夢の蜃気楼を発動するよ。」
ムハラはカードをドローした。
豪（でも次のターンに、手札を捨てないといけないから破壊するのか……？）
ムハラ「ん、何をしてるの？きみのターンだよ。」
豪（何もしない！？）
僕は疑問に思いながらターンを続行した。
豪「（とにかく、僕の優勢なんだ。このまま押し切るんだ。）ピケル、を発……動……。」
豪LP5900
光の護封剣を破壊するカードは手札になく、またしても攻撃はできない。
豪（今は耐えるんだ！！）
ガタガタふるえる足をささえた。
豪「ター……ンエンド……っ！！」
もう、精神は限界の状態だ。
――これが本当の闇。
ただ、黒い霧に包まれているだけなのに、言葉は乱れて、汗は止まらなくて、全身が身震（みぶる）いし、思考能力が徐々に奪われてゆく。
豪（壊れる！……頭も、手も、足も、腹も、内臓も！――僕のすべてが！！）
ムハラ「……僕のターン、ドロー……。」
急にムハラは下に振り向いた。
ムハラ「悪夢の蜃気楼の効果により、手札をランダムに4枚すてる……。」
下を向いたまま、手札4枚を墓地ゾーンに置いた。
ムハラ「…………ククク、ヒャハハハ、アハハハハハハッ！！」
豪「な！？」
唐突（とうとつ）にムハラは笑い出した。さっきまでの優しさを感じる声とは違い、ドスの効いた鋭い声になった。
ムハラ「ヒャヒャヒャ、僕をここまで追い詰めたのはほめてやる……でも僕は貴様みたいなウジ虫が嫌いなんだよ！目障（めざわ）りだ！消えろ！……せめて最後に僕の切り札を見てから他界しな！リバースカード、シャドー・フュージョンを発動。現れろ、メッセンジャー・オブ・シャドー！！」
凄い地響きの音がし、目の前には漆黒（しっこく）の身長20mは軽く超える、巨人が現れた。その巨人がわずかに揺れるだけでおぞましい轟音（ごうおん）がなり響いた。
第九章 ＶＳムハラ（後編）-縛るイバラを切り砕け！-
シャドー・フュージョン 魔法
自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターによって決められたモンスターをゲームから除外し、「Ｐ-ＨＥＲＯ（ファントムヒーロー）」と名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。（この特殊召喚は融合召喚扱いとする）
Ｐ-ＨＥＲＯメッセンジャー・オブ・シャドー
闇 星10 攻4000 守4000
悪魔族・融合ファントム
「Ｐ-ＨＥＲＯファイアエルフ」＋「Ｐ-ＨＥＲＯゼファーウィング」＋「Ｐ-ＨＥＲＯグランドマン」＋「Ｐ-ＨＥＲＯオーシャンランナー」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚する事ができない。このモンスターのダメージステップ開始時に自分の融合デッキに存在するこのカードのレベル以下の融合ファントムモンスター1体と入れ換えることができる。このモンスターが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを持ち主の手札に戻し、戻した数だけ相手フィールド上に「ローズトークン（闇 星2 植物族 攻1000 守0）｣を攻撃表示で特殊召喚する。「ローズトークン」がフィールド上に存在する限り、コントローラーは自分スタンバイフェイズ時に1000ライフポイントのダメージを受ける。
ムハラ「メッセンジャー・オブ・シャドーの特殊能力を発動！！貴様のフィールド上に存在する、モンスターは全て手札に戻す、消えなぁーッ！！」
ピケルとクランがフィールドから消え、僕の手札に戻ってきた。
豪「うぅ……そん……な。」
ムハラ「ヒャハハハ！安心しな、変わりに貴様貴様のフィールドにローズトークン二体が攻撃表示で特殊召喚されるぜ。」
僕のフィールド上に巨大で全体黒いバラが現れた。
ムハラ「ただ、そのバラを扱うのは少々危険が伴うけど可愛がってくれよ！まぁ、そんなことをほざきながらその内の1体に攻撃する僕はさぞ滑稽（こっけい）に見えるかもしれないな～、ヒャハハハハハ！！」
僕のフィールドには攻撃力1000のローズトークン二体のみ。そして、相手フィールドには攻撃力4000のモンスターが。そして、ローズトークンは攻撃表示だ……。
ムハラ「メッセンジャー・オブ・シャドーで、ローズトークンに攻撃！！ブラインド・エッジ！！」
豪「（何も起きない？）……。」
――ズザァッ！！
豪「……！？」
メッセンジャー・オブ・シャドーが巨大な拳を振りかざした数秒後、突如（とつじょ）空気を切り裂く音とともに、ローズトークンは無数の破片（はへん）に切り分けられた。そして、その見えない刃物が僕にも襲（おそ）いかかった。
豪「……ヴッ！？うあああ！うぐッ！ああああッ！！」
意味を持たない叫びがしばらく続いた。体には一つも傷は無いが実際に刃物で腹をえぐられたような鮮麗（せんれい）な痛みが続いた。
豪LP2900
豪「はぁはぁ……、うぅ……。」
ムハラ「貴様の苦しむ姿がとても愉快（ゆかい）だあぁっ！リバースカードを一枚伏せてターンエ……。」
豪「はぁ……う……はぁ……？」
このターン、ムハラに出来ることは無いはずなのに、何故かエンド宣言の途中で中断した。
ムハラ「このターンの思考時間は残り２分足らず…。もう少し貴様が苦しむ姿を拝んでやるぜ！！」
この時代のルールではプレイヤーの思考時間は５分で、モンスターの攻撃デモ時はカウントされない。
豪「そ……んな、あ、ああ、うっ！！はぁ……はぁ。」
ムハラは僕を焦（じ）らして楽しんでいる。既に初対面の時の面影（おもかげ）は消え去っていた。
豪「はぁ……はぁ、うああぁぁ！ああああ、うぅぅっ！！――」
延々（えんえん）と僕の悲鳴が響きわたった。闇に遮（さえぎ）られているせいか、反射して耳に届く自分の悲鳴が屈辱（くつじょく）を増幅（ぞうふく）させた。
ムハラ「ちっ、もう時間か！！まあ、どちらにせよ拷問（ごうもん）は終わらないけどよぉ！！ターンエンドだ！！」
豪「僕のターン……ド……ロー！！」
ムハラ「おっと、ローズトークンのコントローラーはスタンバイフェイズに1000ポイントダメージを食らう事を忘れられちゃ困るぜ……。」
ローズトークンの茎が触手のように僕の体を包み――
――足、
――腕、
――腹、
――首、
全身を締（し）め上げられた。
豪「うっ、あ、うあああぁぁ！！――」
豪LP1900
ムハラ「ククク、貴様には羞恥（しゅうち）というものを知らないみたいだなぁ……バカみたく叫びやがってぇよぉ。」
しばらくの呪縛（じゅばく）から解放された瞬間、僕は前に倒れ込んだ……。
――ドサッ！
ムハラ「ヒャハハハハハ、ギャハハハハ！！！腐っているぜ貴様！！こんな醜態（しゅうたい）をさらすぐらいなら死んだ方がマシだぜぇ！！」
豪「うっ……がはっ、ローズトークンを生……け贄に捧……げ、快楽の白魔術士を召……喚！」
僕は倒れた体を起こしながら１人の若い魔女を召喚した。ベレー帽、マント、杖が赤いラインが入った白で統一されていて、緑の瞳に水色のロングヘアーが特徴である。
快楽の白魔術士
光 星6 攻2100 守1900
魔法使い族・効果
このモンスターがフィールド上に存在する時、モンスターが1体特殊召喚されるたびに自分は1000ライフポイントを回復する。
豪「うぅ……ターン、エン……ド。」
光の護封剣は消滅した。
ムハラ「ヒャッハハハハハハハハハ！！僕のターン、ドロー……まずはその忌々（いまいま）しい女を攻撃！！ブラインド・エッジ！！」
豪「速攻魔法……、スケー……プゴートを発……動！！」
スケープゴート 速攻魔法
このカードを発動する場合、自分のターン内に召喚・反転召喚・特殊召喚できない。自分フィールド上に「羊トークン」（獣族・地・星1・攻/守0）を4体守備表示で特殊召喚する。（生け贄召喚のための生け贄にはできない）
右から水色、朱色、オレンジ色、ピンク色のそれぞれの色の体毛を持つ羊が現れた。
豪「さらに、快楽の白魔術師の……効果……を発動。」
快楽の白魔術師はモンスターが特殊召喚された時に1体につき1000ライフポイント回復する。羊トークンも例外ではなく4体特殊召喚されたため4000ライフポイントを回復する。
豪LP5900
ムハラ「小賢（こざか）しいぃ！攻撃再会だぁ！！」
再び、メッセンジャー・オブ・シャドーは拳を振りかざそうとした瞬間――
豪「はぁはぁ、罠……カード、聖なるバリア-ミラーフォース-を発……動！」
聖なるバリア-ミラーフォース- 罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する。
ムハラ「おのれぇ、くだらん罠をはりやがってぇ！！」
僕のフィールドは巨大なバリアに包まれて、メッセンジャー・オブ・シャドーが発した衝撃波（しょうげきは）を跳ね返した。鼓膜（こまく）が破れそうなぐらいの音の大きさだった。
立体映像（ソリッドビジョン）では考えられないほど物凄（ものすご）い爆風で僕は吹き飛ばされそうだった。
そして、メッセンジャー・オブ・シャドーは微塵（みじん）も残らずに消え去った。
ムハラ「ケッ、なら、リバースカード――異次元からの帰還を発動だ！！」
異次元からの帰還 罠
ライフポイントを半分払う。ゲームから除外されている自分のモンスターを可能な限り自分のフィールド上に特殊召喚する。エンドフェイズ時、このモンスターを全てゲームから除外する。
ムハラのフィールドに4体のモンスターが現れた。炎の翼を持つ天使、緑色の鳥人、黒い岩男、水を操る魔術師だ。
Ｐ-ＨＥＲＯファイアエルフ
炎 星4 攻1450 守1200
天使族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。
Ｐ-ＨＥＲＯゼファーウィング
風 星3 攻900 守1000
鳥獣族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。このモンスターは戦闘では破壊されない。
Ｐ-ＨＥＲＯグランドマン
地 星4 攻500 守1950
岩石族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。手札を一枚捨てる事でこのモンスター1体を対象とする魔法、罠カードの発動を無効にする。
Ｐ-ＨＥＲＯオーシャンランナー
水 星4 攻2000 守1000
魔法使い族・ファントム
このモンスターのダメージステップ開始時に自分の手札に存在するこのカードのレベル以下のファントムモンスター1体と入れ換えることができる（表情形式はこのモンスターと同じになる）。このモンスターは破壊された時、墓地へは行かずゲームから除外される。
ムハラ「さらに、融合を発動！2体目のメッセンジャー・オブ・シャドーを召喚！ハハハー！！」
融合 魔法
融合モンスターカードによって決められたモンスターをデッキ、手札から墓地に送り、融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
四体のモンスターは渦に吸い込まれ、その渦から再びメッセンジャー・オブ・シャドーが現れた。
ムハラ「ククク、貴様のフィールドにはモンスターが五体これがどういう事かわかるかな……？」
そう、僕のモンスターは全て手札に戻り代わりにローズトークンが召喚される。そして、ローズトークンは僕のスタンバイフェイズに1000ポイントダメージを与える。
豪「……そんな……う、うあぁ！うあああぁぁぁぁー！！」
ムハラ「残念だったな、メッセンジャー・オブ・シャドーを破壊しなければもっと軽いダメージで済んだのになぁ！！」
二度と見たくないと思っていたせいか、先ほどの時よりも巨大に見える気がした。
豪「う、うあああああ！――」
絶えず、僕は叫び続けた。
ムハラ「さ～て、このターンの残り時間はそんなに残ってないな、まあいいや、どうせ次のターンで、昇天（しょうてん）しそうだしよ、カードを1体伏せてターンエンドだ！！」
僕は必死に体制をささえながら、カードをドローした。
豪「ぼ、僕の……ターン、ドロー……ああ、あ、ああ！！」
ムハラ「さあお楽しみのお仕置きだぜぇ！ド派手な苦のシャウトを頼んだぜ！！」
豪「ううう！！！」
命乞（いのちご）いも虚しく五体のローズトークンの茎が再び僕を服の裏に入り込む。
ムハラ「ククク、この闇のゲームは自分の恐れる事が苦しみとなって現れるんだ。――だからそう、貴様は弱いんだ！！弱き者は必ず苦しまないと生きていけない、それがこの世界の掟なのだからなぁ！！」
ムハラは急に顔をうつむけた。
ムハラ「僕も昔は貴様みたいなヘタレな時期もあったがな……だから余計に貴様の姿を見ると腹立たしいぜ！さぁ、苦しめ苦しめ～！！」
全てのローズトークンの茎が僕に絡まり、体を締（し）め上げる。
豪「うああぁ――」
今までとは違う濁（にご）った声で絶叫していた。全身を押さえつけられ、内臓をかき回される感覚だった。
ムハラ「ハハハハ…………ヒャハハハハハハハ！最高だ、愉快だ、快感だぁ！もっと苦しめ、あがけ、泣き叫べ！僕の支配欲を満たしてくれ！ギャッハハハハハハハハハハ、ヒャヒャヒャヒヒャヒャー！！――」
ムハラは顔を手で押さえながら、機械的な発音で笑い続けた。それは明らかに人間味等なく、残虐という言葉を象徴する景であった。
豪「ぐ、うぐあああああああっ！あ、ひ、あああああ、あがっ、あああああ！！――は、ははははは！！は、は、は、気持……ちいいは、ははははは、ははははは苦しい……はずなの……に、気持ち……いい？ははは、ははははは、ははははは！！――」
ムハラ「ハハハハハ、とうとう壊れやがったか！！」
突然力が抜け、拒絶すらできなくなり、僕は悦（よろこ）びに溺（おぼ）れだしたかのように壊れた。
僕の意識は薄れていった。
豪LP900
ムハラ「ギャハハハハハ、虫けらめがぁ！貴様なんかに生きる資格は無いんだぁ！」
――僕は死んだ？
気がつくと僕は真っ暗で地面もない宇宙のような空間に浮遊していた。
豪「ここは……どこなんだ……？」
僕は必死に辺りを見渡すが光が全くないため何も見えない……。
豪「いや、そんな事どうだっていい……僕は……死んだん…だ…。」
――強き者は勝ち、
――弱き者は負ける、
――それがこの世界の真理なのだから……。
豪「そう………僕は弱いんだ、だから負けた……。そうさ、弱い人間が強い人間に負けるのは当然じゃないか……。」
僕は再びまぶたを閉じた。
豪「もう、どうでもいいや……。このまま……ずっと目を覚まさない方が……いいんだ。ごめん、剣護君……ごめん、みんな……。」
僕は全てを失った気分だった。
――あまりにも悲しくて
――あまりにも切なくて
――あまりにもやるせなくて
自分が憎かった。どこまでも無力で、当たり前のように負けて、何ひとつ守る事ができない自分が……。
豪「さようなら……。」
豪「――だ！！」
僕は閉じていたまぶたを開いた。
豪「――やだ、いやだ！！こんなの悲しすぎる！！やっぱり……こんな終わり方はいやだよ！！」
僕は泣き声でわめいた。普段大声で、叫ぶ事のない僕にしてみればすごく異様な状況だったのかもしれない。
――再び、長い沈黙が続く。
不意に僕の口から鋭い言葉が吐かれた。
豪「弱くて何が悪い！」
自分が発した言葉の意味を理解できなかったが、何故か開放された気分になった。
視界に――
光が広がり――
視界は現実世界へ――
――そして――
ムハラ「ヒャハハハハハハハ、その虫けらをつぶしてしまえぇ！！！」
――ブチン
僕を縛り付けた茨（いばら）の内の一本が鋭い音とともに粉々に切り砕かれた。
ムハラ「……な！？バカなぁぁ！茨が砕けただと！」
――ブチ、ズバ、ザクン――
次々に茨は崩れてゆく……。まるで元々もろい物質だったと錯覚するほどあっけなかった。
豪「……はぁ…はぁ、苦しくな…い？」
ムハラ「あの茨は恐怖が見せる幻覚……奴はこの短期間であの恐怖を克服したというのか！？」
さっきまでの苦痛が嘘のように消え去り、体の奥から計り知れない力がみなぎってきた。
ムハラ「き、貴様ぁ！何だ、何だ！その目はぁ、この僕にぃ、勝てると思っているのか！！」
僕の目は今までとは違い鋭く、自信に満ちあふれていた。対象的にムハラの口調からは動揺が隠しきれていなかった。
豪「キミは一つミスを犯した。僕のフィールドにモンスターを5体もを呼び出した事だよ。それが無かったら僕は負けていたよ……。」
ムハラ「ま、まさかぁ！？既に貴様の手札には《あのカード》がぁ……！？」
僕は迷わずに手札から慣れた手つきで一枚のカードを取り出した。
豪「ローズトークン五体を生け贄に捧げ、来てくれ！……ソウル・サクセサー！」
フィールド上のローズトークンは全て消え去り、代わりに一体の青年が現れた。
緑の瞳に赤くサラサラしたロングヘアー、引き締まった唇が特徴である。随所に青い鎧が取り付けられた魔導師風の白装束を装い、両手で支えている片刃の太刀は白銀の光沢を放ち神々しさを感じさせた。
ソウル・サクセサー
光 星7 攻2500 守1100
魔法使い族・効果
このモンスターは戦士族モンスターとしても扱う。このモンスターは2体以上のモンスターを生け贄に捧げる事により通常召喚できる。この召喚方法で生け贄に捧げたモンスターの数によって以下の効果を得る。●3体以上:このモンスターは戦闘以外では破壊されない。●4体以上:このモンスターの元々の攻撃力は倍になる。●5体以上:相手スタンバイフェイズ時に自分の手札を2枚捨てる事でそのターンのメインフェイズ、メインフェイズ2をスキップする。
これが約二ヶ月前の僕をＯＣＧ部に誘ってくれたあの日、剣護くんからもらった僕の切り札であり――そして、彼とのライバルとしての証（あかし）でもある。
ムハラ「あれが、僕の探していたカード……でも、この手に入れる前にぼくがやられるだと……。」
さっきまでとは、対照的におとなしくなった。
豪「ソウル・サクセサーは5体のモンスターを生け贄に捧げて召喚した場合、元々の攻撃力は倍になる。」
ソウル・サクセサー 攻撃力5000
豪LP900
手札5
モンスター
【ソウル・サクセサー】
魔法・罠
無し
ムハラLP2300
手札1
モンスター
【Ｐ-ＨＥＲＯメッセンジャー・オブ・シャドー】
魔法・罠
【凶暴化する影】
【血の代償】
リバースカード1枚
豪「そしてバトルフェイズ！……ソウル・サクセサーでメッセンジャー・オブ・シャドーを攻撃、ソウル・ファルシオンッ！！」
僕は力いっぱい攻撃宣言をした。
ムハラ「くっ！！ソウル・サクセサーの効果で僕の炸裂装甲（リアクティブ・アーマー）は通用しない……。」
炸裂装甲 罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体を破壊する。
ソウル・サクセサーはスレンダーな体格に相応またはそれ以上の素早さで飛び上がり、魔力おびた刃先の太刀でメッセンジャー・オブ・シャドーの懐（ふところ）を斬りつけた。その太刀には生け贄になったローズトークンの霊魂が宿っているせいか実物よりも巨大に見えた。
メッセンジャー・オブ・シャドーは両手で構えて太刀を跳ね返そうとするが抵抗虚しく切り刻まれてしまった。このデュエルで目撃したどのシーンよりも強烈だった。
――ズサァァー！！――
ムハラ「…………。」
ムハラLP1300
もう、このターンに出来ることは何もない。
豪「ターン……エンド。」
ムハラ「……僕のターン、ドロー……。」
割り込むように僕はソウル・サクセサーの効果発動を宣言する。
豪「ソウル・サクセサーの効果を発動！！手札を2枚捨てて、このターンのメインフェイズ、メインフェイズ2をスキップする。」
ムハラ「……僕に出来る事はないなターンエンド……。」
ムハラは下を見ながら、全てが終わったと思わせる様子で、ターンを終了した。
豪「僕のターン、ドロー……。これに勝てば剣護君は剣護君は返してくれるんだね……？」
ムハラ「……ああ！！」
僕はムハラの返事に安心しながらも攻撃宣言した。
豪「これで終わりだー！ソウル・サクセサーでプレーヤーにダイレクトアタック、――ソウル・ファルシオン！！」
再びソウル・サクセサーは太刀を振り回し標的をムハラに変え切りかかった。先ほどと変わらない爆発的な衝撃で攻撃されていない僕が思わずのけぞった。
ムハラ「…………。」
ムハラLP0
豪（僕の………勝ち？）
しばらくの間沈黙が続いた。
――ズズズズズ――
豪「…………！？」
突然、ムハラの足元に渦潮が現れ彼はその渦潮に少しずつ沈んで行った…。渦潮は水などではなく、明らかに闇でできていた。
ムハラ「ヒャ、ハハハハ！」
突然、デュエル中の時の残虐な笑い声がよみがえった。
ムハラ「ギャハハハハハハハァ！！これで終わりだと思うなよぉっ！いつか貴様の前に戻りそのカードを奪いにくるからよ、ヒャハハハハハ――」
僕は必死にムハラに問い詰めた。
豪「いったいきみの目的は何なの！？何者なの？」
ムハラ「ギャヒャヒャヒャ、言っただろ、僕たちの戦いはまだ終わっていないんだ！！……敵に教えるわけないだろ！」
豪「…………。」
ムハラ「くっ、アハハハハハ、ウハハァァァ！！ハハハハ、ハハハハハ、クハハハハハ、こんな生ぬるい湯ごときで、屈服すると思ったのかぁ！！」
僕は闇のゲームによる疲労と、目の前の不可思議な光景により。言葉を失っていた。
ムハラ「気ィつけた方がいいぜぇ！！僕以外ににもそのカードを狙う奴は沢山いるぜぇ！クハハハハハ、あと剣護とかいうお友達の持つカードも一緒だぁ！ま、いつか僕も貴様の前に戻って来るがな。僕は執念深いぞ！ヒ、ヒ、ヒャヒャ！ハハハハハハハハハハハ――」
ムハラの狂った笑い声はしばらく続きそして――
ムハラ「――ヒャハハハハハハハハハハァ――」
完全に闇の渦潮に飲み込まれ姿は見えなくなった。
豪「…………。」
辺りの闇は少しずつ消えて行った。外の世界はすでに夜になっており、時計の針は既に午後8時を指していた。
豪「はぁはぁ、僕たち助かった……よ。よかった、僕……勝った……。」
――バタン
突然何かが吹っ切れたかのように頭が真っ白になって、気がついたら倒れており、意識が薄れて行った。
僕は嬉しかった。
――勝つことができて
――人を守ることが出来て
そして完全に意識は吹き飛んだ。
――ムハラの目的
――闇のゲーム
――突然聞こえた謎の声
結局、１つも謎は解けなかった。
でもいつかは分かる事だから、今は考える事をやめよう。
６月２９日（月）午後8時30分
御簾下（みすした）診療所・点滴室
目が覚めた時にはベッドの上で点滴を受けていた。
剣護「おっ、目を覚ましたか。」
ベッドの横には剣護君が心配そうに顔で立っていた。
豪「ところで君は大丈夫なの？」
剣護君だって気絶していたのだから、何か異常があってもおかしくないと僕は思い訪ねた。
剣護「ああ、俺は別に何とも無い。俺の意識が戻ったら今度はお前が倒れていてあわてたぞ！！とりあえず１日安静にしていれば回復するそうだ。」
豪「そうか……。」
僕は安心して再び体を寝かせた。
剣護「なあ、一体俺が気を失っている間に何が起きたんだ？」
本当に何も知らないらしい。気絶していたから無理も無いが……。
豪「実は……僕にも記憶が無いんだ。」
闇のゲームと言ったところで信じてもらえるはずもないので何も言わないことにした。
剣護「そうか。」
剣護君は愛想笑いをしながら僕に顔を向けた。
豪「うん。」
こうして僕は眠りについた。フカフカの布団が心地よく、眠りに入るのは容易であった。
戦いはまだ続くかもしれない。
だから僕は決意した。
みんなを守ってみせると。
生意気なセリフかもしれない。
でも、それが僕の希望であり感謝の気持ちである。
僕はやっぱり弱い。
でも何が悪い、
――弱いなら、
――弱さと戦えばいい。
――きっと――
――それが、
本当の強さなのだから……。
第一部 -終-
