The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜

製作者:軟弱ヅュエリストさん




折り返し地点を過ぎたので、あらすじと主な登場人物紹介を再び行います。


 大地耕介はちょっとバイオレンスだが普通な少年である。ただ、幼馴染の親からI2社のコネで試作版アウスを貰っただけである…はずだった。周囲に集まるヘンテコデュエリストを面白おかしく苛めて過ごしている…はずだった。だが、自身と、アウスと、そしてダイ・グレファーとは切っても切れぬ因縁がある事をまだ知らなかった… 忘れられた地霊使いの『物語』が再び動き出す…


三沢「ちょっと待った、主役は俺だ」


大地耕介 15歳 高校1年
この物語の主役的人物
女性的な容姿を持つが、心はきれいで腹は黒い
デッキコンセプト:アウス+ドリル+グレ○ァーデッキ 除去して一気に乗り込む
趣味:相手をビミョーな気分にする嫌がらせ
特技:大地流武古術 未来予測
得意料理:10倍モウヤンのカレー

 1000年前の大魔導師、アウスの生まれ変わりと言われた事もある男。それ以外のある者の力も秘めているらしいが…


エリカ=ツヴァインシュタイン 16歳 高校1年
この物語のヒロイン的人物
日本生まれで日本育ちの博士の孫
デッキコンセプト:エリアガガギゴデッキ
趣味:日本文化…もとい、時代劇
好みのタイプ:耕介
嫌いなカード:掘削HEROドリル・ガイ

 耕介の幼馴染みにて、ガガギゴの飼い主。ネジの数本外れた頭の持ち主。


飛騨朱里(あかり) 16歳?
二重人格少女
デッキコンセプト:ヒータ狐デッキ
好きなもの:油揚げ
特技:火霊術
嫌いな人:しっぽを凝視する人

 本人は気付かれている事に気付いていないが、狐。よく見れば、耳と9本の尾が見え隠れしている。


花京院典子 12歳?
驚異的な家元と思考回路を持った子供
デッキコンセプト:ウィン合成魔法デッキ
夢:打倒、海馬瀬人
邪魔な奴:海馬モクバ
興味のある人間:自分の話を相手にしてくれる人

 科学から魔術まで学識が深い。耕介がアウスの生まれ変わりと占った(?)張本人。


あ、1人忘れているような…? この人かな?


木更津幻白(ましろ) 年齢は秘密(3ケタ)
瀬人様を愛する海馬コーポレーションの受付嬢
デッキ:ブルーアイズデッキ
前世:キサラとかブルーアイズとか
攻撃力:3000
好きな人:瀬人様
嫌いな人:セト様のお父様  瀬人様のお義父様  ビッグ5  私を全滅させたエクゾディア  瀬人様のカードを盗む人  私に腐ったマンモス引っ付けて喜ぶ王様  瀬人様を付け狙う凡骨  私の技をパクッた盗賊  本社ビルを乗っ取った人達  私を邪神の生贄にして悦に浸った人  攻撃力2500のくせにライバルっぽいポジションの黒魔術師  アイドル気取りの黒魔術少女  攻撃力2400のくせに対等気取りの黒竜  究極恐獣  トゥーンブルーアイズ  ブルーアイス


三沢「俺だよ、俺」





第8.5話 三沢、母校へ帰る

 やあ、俺だ。三沢大地だ。今は年末年始の休みだ。どうせだからアカデミアに戻ってみる事にした。みんな俺がいなくて寂しがっているだろうな。




   〜校舎〜


 だ、誰もいない? なぜだ? まさか、光の結社の仕業か? とりあえず、生き残りがいるかもしれない。探してみよう。


 数分後…


「12月29〜1月4日 完全閉鎖」BY張り紙


 し、しまった… みんな帰郷していたのか…


謎の声「あ〜、誰だっけ? 誰でもいいや、丁度退屈してたところだったにゃ〜」
三「誰かいるのか?」
ファラオ「ふにゃ〜」


 何だったんだ今のは? 大徳寺先生のような気もしたが、あの人はもういない。俺はオカルトなど信じん。だが…次の船が来るのは1週間後か…サバイバル生活だな…





第8.75話 ブラックプリンセス

 三沢? ああ、あいつならどっか行っちゃったよ。だから今日は僕、大地耕介が代役ね。あー面倒。今日は1月1日、別に大晦日だろうと元旦だろうと世界に変わりは無い。近所の割と大きい神社にエリカの付き添いで仕方なく初詣。本当に無宗教だね。典子も庶民の生活に興味があるらしく、物見遊山に来ている。何が楽しいんだか。朱里も一緒のはずなんだけど、妖狐は結界に阻まれて鳥居を潜れないみたいだ。実家は稲荷神社らしいけど。




   〜某所の神社・鳥居の前〜


朱「…」
木更津「あ、朱里ちゃん。奇遇ね」
白い女の子「…」
朱「あけましておめでとう…」
木「あら、もう年明けたの? 3バレルも呑んじゃったから何日寝込んだか分からなくて…」
朱「その子は…?」
木「遠い知り合いから預かったの、邪悪な輩から守ってくれって」
朱「最近物騒だもんね…」
白い女の子「悠久の時を生きる狐の精霊、求めた果ては真実なのか?」
朱「…」




   〜某所の神社〜


 こんな事を言っているうちにエリカがはぐれた。方向オンチで僕がいないと何も出来ないんだよね。


典「こんな事もあろうかとエリカ探知機を持って来た」
耕「必要ないよ」
典「なぜだ?」
耕「目立つようにしておいたから」


 そう、今日のエリカはこんな事もあろうかと派手に真っ赤な振袖を着せておいた。こんな場違いな外国人は視線が集まるだろうし、何より異様だ。


エ「あー、コーチン。何してたの?」
耕「どっかの迷子を探してたの」
エ「この子の事?」
黒い女の子?「…」


 さすがはエリカだ。自分が迷子になりながらも迷子の子を見つけているとはね。類は友を呼んだ。推定年齢5歳。黒いウサ耳フードに、自身と同等の大きさのウサギのぬいぐるみ。はっきり言ってこっちの子も目立つ。


耕「で、どうするの?」
エ「どうしよっか?」
耕「だったら拾って来ないでよ」
典「そうだ、保護者の名前を言ってくれ。連絡先か住所でも構わん」
?「…」
エ「そんな言い方しちゃだめ。ねえ、お名前は?」
?「くろじまらん…」
エ「じゃあランちゃん、お母さんは〜?」
黒嶋藍「知らない」
エ「え〜と、お父さんは〜?」
藍「知らない」
エ「どこから来たの〜?」
藍「知らない」
エ「…」
藍「…」
エ「そのぬいぐるみ、かわいいね〜」
藍「ウサ子」
エ「ウサ子って言うんだー、お友達?」
藍「生贄」
エ「生贄? 何の生贄にするのかなー?」
藍「生贄の代わり、ハラワタを抉り出されて邪神に捧げられる哀れな子ウサギ。血の一滴まで残らず吸い尽くされる」
エ「楽しそうだねー」
典「楽しいのか?」
藍「楽しい」
耕「今の会話で手がかりは?」
典「近頃の流行はさっぱり分からない」
耕「たぶん1人限定だけどね」


 かなり特異な環境に恵まれた子みたいだ。家庭内暴力か、それとも邪教徒の家なのか。どっちにしても深入りはしない方がよさそうだけど。


藍「失われた時代、四霊を司る者」
典「…!?」
藍「千年の時を彷徨う風使い」
典「何者だ?」
藍「記憶の断片が見えただけ」
典「…(最近この新手との接触が多いな…)」




   〜神社の外れ〜


 十数分後… 黒嶋藍の保護者は見つからなかった。


エ「ウサギ好きなんだね〜」
藍「生贄にうってつけ。哀れな子ウサギ」
典「子羊の間違えではないか?」
藍「羊は生贄にならない。羊嫌い」
典「羊トークンか? 別に召喚以外の生贄なら平気だ」
藍「嫌い」
典「そうか…」
耕「そろそろ神社の人に手伝ってもらおうか。僕達のやれる事はやったし」
エ「えー、せっかく友達になれたのに。ねえ?」
藍「…」
エ「…」
藍「友達」
典「私か?」
エ「あー、誰か来たよー」


 誰か来たね。でもそれ以前に何か言う事がありそうだ。


アイツ「イーッ!」
コイツ「イーッ!」
ソイツ「イーッ!」
ドイツ「イーッ!」
その他「「「イーッ!」」」


 色とりどりの全身タイツ集団。見覚えのあるカラーを合わせて7人。しかも戦闘員っぽい掛け声。しかも囲むように陣を組んだ。今まで色んな敵をを作ってきたけど、このタイプは初めてだ。三沢ならいいツッコミを言いそうだね。僕が狙いならそれでいいけど、あの子が狙いだとしたら、面倒な事件の予感がする。


エ「ランちゃんの家族ですか〜?」
タイツ衆「「「イーッ!」」」
エ「ニホンゴムズカシ、ワカリマセ〜ン」
耕「正月ドッキリ企画? そうだったら僕達は忙しいんだ、別の人相手にしてくれないかな?」
タイツ衆「「「イーッ!」」」
典「いいなら早く消えてくれ。その格好は見るに耐えない」
タイツ衆「「「イーッ!」」」
藍「…」
耕「そうじゃないなら…」
タイツ衆「「「イーッ!」」」
耕「力でねじ伏せちゃうぞ」
タイツ衆「「「イーッ!?」」」


 他愛も無い。2秒フラットで7人全てが地に這いつくばった。刺客の格闘家の方がまだましだ。殴り慣れてないんじゃないの?


エ「暴力はダメだよ」
耕「あと5秒したらこっちが殴られてたよ」
エ「じゃあいいや」
耕「相手が悪かったね。50人まとめて来ても余裕」
新規タイツ衆50人「「「イーッ!」」」
耕「本当に来たよ」
典「日本の治安は大丈夫なのか?」
耕「うっとい」
タイツ衆50人「「「イーッ!?」」」


 もう50人にもおねんねしてもらった。合計30秒。弱すぎ。


謎の男「ふっふっふっ、やるようだな小娘ぇっ!」


 どこからか響く声。定番からすると悪の幹部の登場かな? どっちにしても拳でねじ伏せるけどね。


エ「誰誰〜?」
耕「これでも僕はれっきとした男の子なんだ。なんなら見てみる?」
男「散り逝く者の戯言になど興味はないわぁっ!」
耕「自覚してるならいいや、どうやってやられたい?」
男「首領よぉっ、見ていてくださいぃ。この逆田禁太郎がブラックプリンセスを見事手に入れてごらんに入れましょうぅっ!」


 熊に乗った変な男が上から飛び降りて来た。たぶん近くの木に乗ってたんだね、ごくろうさん。坂田金時、幼名金太郎。大の男がその恥ずかしい髪型に扮装をしている事で情けなさを倍増させていた。覆面がイヤ度倍増。たぶんマサカリだけは本物。前掛け(?)は「金」ではなく「禁」の文字になっている。なんかウザイ。


エ「金太郎だ、金太郎〜」
典「刃物に猛獣か。今日に限って磯野も風丸も休暇とは。どうする、耕介?」
耕「どうするもこうするも、やれる事をやるだけさ」
典「こんな事もあろうかとSOS信号弾を用意しておいた。使うか?」
耕「いいよ別に、どうせオチは『ぼすけて』あたりだから。それよりあの服、どうにかならないのかな?」
典「同感だ。あの布の下…何か着けているのか?」
耕「マスク外して三沢が出て来たら面白いよね」
典「それは嫌だ」
禁「俺を無視するなぁーっ! い・い・かぁ、俺は逆田禁太郎。ブラックプリンセスを手に入れるためにはるばるこんな場所まで来たんだっ。命が惜しければ今すぐその娘をよこせぇっ!」
耕「ブラックプリンセス? この子?」
藍「…」
禁「その存在は我等が組織の安泰を脅かす。さあ、よこせぇっ!」
耕「ぶっちゃけ安泰して欲しくない。むしろこんなのが山ほどいる集団を考えると…大爆笑の予感…」
エ「桃太郎とか浦島太郎とかウワシベ長者とか〜?」
典「言うな…」
禁「ええい、聞き分けの無い奴め。このマサカリの露と消えろぉっ!」
典「もうだめだ、笑いを抑えられん…」
謎の声「待てっ! ぜえぜぇ…」


 また誰かが来た。たぶん女の声。定番からすると正義の味方かな? 息切れしてるけど。


禁「誰だぁっ!?」
謎の声「ぜえ、はあっ… え〜と…」


―闇に潜み人々の脅かす者を―



謎の声「それからそれから…あ、そうだ」


―元旦の爽やかな気分をぶち壊す者を―



謎の声「何か違うな…もうやけだ」


―卑猥な姿で迫り寄る悪漢を、乙女の敵を許しませんっ!―

―闇をかき消す魔法使い、黒嶋マナ、見・参っ!―



謎の声「決まった…はぁ…ひぃ…」
一同「「「「…」」」」


 ごめん、僕でさえ絶句した。魔法少女っぽい扮装をした子が息切れしながら走って来た。髪とか服とか乱れてるけど、急いで着替えて来たんだろうね。気の利いたセリフじゃないのも急いでたから? パンパンになったカバンはたぶん着替え入れ。変身シーンはさぞ地味なんだろう。


エ「黒嶋? もしかしてランちゃんのお姉さん?」
藍「親戚」
エ「よかった〜」
耕「恥ずかしい親戚持ったね」
マナ「ランちゃん…お姉ちゃんが来たからもう大丈夫…ぜぇぜぇ…」
典「お前こそ大丈夫か?」
藍「足手まとい」
マ「あ、別に疲れてるわけじゃないよ。怪しげな黒魔術であっという間に元気元気っ!」
マ「さあ来い、悪党っ!」
一同「「「「…」」」」
典「1つ言っていいか?」
マ「悪者かっ!?」
典「お前の言う悪党はそこの耕介が全部片付けた」
マ「なーんだ急いで着替…じゃなくて変身して来た意味ないじゃん」
禁「待て待て待てぃっ、俺の事をすっかり忘れてないかぁっ!」
耕「そうだった、あとはあの変質者を現行犯逮捕すればいいんだったね」
禁「俺とデュエルだ、万が一にも俺に勝てれば見逃してやろうっ! だが、俺が勝てばブラックプリンセスは戴くぞっ!」
耕「やっぱ変質者」
典「救えないな」
マ「望む所よ」
「「デュエルッ!」」
マ「あれ?」
禁「どうしたどうしたぁっ、ディスクを構えろぉっ!」
マ「デュエルディ…じゃなくて、ステッキ置いてきちゃった。ちょっと待ってて」


 そう言って、魔法少女マナ(仮)は来た道を引き返して行った。


エ「楽しいお姉さんだね〜」
藍「…」




   〜某所の神社・鳥居の前〜


白い女の子「器の形ではない、その先が真実」
朱「分かってるよ…コウちゃんはアウスじゃないしエリカもエリアじゃない…」
木「仲良くなったところで、参拝と行きましょうか。私は瀬人様以外は信じない性質だけど」
朱「結界…入れない…」
木「あなたの攻撃力ならこんなのイチコロよ」
朱「無理だよ…」
木「だったら話は簡単、私の超攻撃力で…破滅のバースト…」
朱「それはだめ…」
木「あらあら、弱気ね」





The Lost Ground 〜忘却の大地〜  第9話 禁断のデュエル

 再び三沢に代わり大地耕介。どうせだからタイトルも変更しちゃおう。


The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第9話 禁断のデュエル

初詣のつもりが、迷子の面倒見る事になって、全身タイツ軍団に襲われて、変質者が降って来て、魔法少女が来たら忘れ物を取りに帰った。さすがは元旦、平日の3倍も変な人に会った。




   〜神社の外れ〜


禁「まだか、まだかぁ、まだかぁーっ!」
耕「ねえ、変質者」
禁「誰が変質者だぁっ!」
耕「今ならチャンスじゃない?」
禁「それもそうだな、ブラックプリンセスは俺のものだぁーっ!」
耕「あとさ、僕とデュエルしない?」
禁「貴様のような小娘は興味ないわぁっ!」
耕「やっぱ変質者」
禁「その減らず口、二度と開かぬようしてくれるぅっ!」


 それ、マサカリじゃなくてデュエルディスクなんだ。手作り?


「「デュエルッ!」」


 どうせだし徹底的におちょくってあげよう。それが変質者への最大の礼儀だからね。


典「楽しんでいるな、耕介」
エ「だって楽しいもん。ねー、コーチン」
禁「俺の先攻、ドローッ! 俺は『テラフォーミング』を使い手札にフィールドカードを加え、『禁断の部屋』を出すぅっ!」


禁断の部屋 フィールド魔法
 デッキもしくは手札から融合カードによって決められたカードを墓地へ送り、融合デッキから「禁断」と名の付くモンスターを融合召喚する。この効果は1ターンに1度のみ行える。


典「拷問器具か?」
エ「見て、お代官様もあんなの使ってたよ〜」


 確かに禁断の部屋だね。どの辺がかって? 書いたら年齢制限モノだから想像に任せるよ。


禁「禁断の部屋の効果発動、デッキから『避雷針』を3枚を落としぃっ、出でよぉ、禁断の飛来神んっ!」


禁断の飛来神 光 雷族 LV6
ATK2100 DEF1900
融合 「避雷針」+「避雷針」+「避雷針」
 このカードは「禁断の部屋」の効果での融合召喚でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードがフィールドから墓地へ送られる時、相手モンスターを全て破壊する。


飛来神「平井です、よろしく」


 僕の目の前に現れたのは、避雷針を背負った変なギリシャ神話系マッチョだった。笑っていい?


典「誰だ?」
禁「俺様の禁断デッキはなぁっ、禁止されて使えないカードを使えるんだよぉっ!」
典「だから平井とは誰なのだ?」


 たぶんサンボルと同じ効果を得られるって言いたいんだろうね。でもさ、避雷針は無制限だよ。


禁「俺はカードを1枚伏せてぇっ、ターンエンドォッ!」
耕「そんなに気合入れないでいいから。僕のターン、『地割れ』」
飛来神「ぎょえ〜っ!?」


禁断の飛来神、破壊。
効果発動、不発。


耕「えーと、ドリルビーク呼んで攻撃」


ドリルビーク 地 鳥獣族 LV4
ATK1600 DEF500
 このカードは貫通ダメージを与えられる。


ドリルビーク ATK1600
ダイレクト。
禁太郎 LP4000→2400


禁「なかなかやるなぁっ」
耕「後攻の1ターン目なら当然。2枚伏せて終わり」


禁太郎 LP2400
手札:5
魔罠:禁断の部屋 伏せ


禁「俺のターンッ! デッキから『ホワイト・ホール』を3枚落としぃっ、出でよぉっ禁断のホ・ワイト・フォールゥッ!」


禁断のホ・ワイト・フォール 闇 アンデット族 LV1
ATK300 DEF200
融合 「ホワイト・ホール」+「ホワイト・ホール」+「ホワイト・ホール」
 このカードは「禁断の部屋」の効果での融合召喚でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。サイドデッキから「ワイト」を見せびらかす事でこのカード以外の全モンスターを破壊できる。この効果はサイドデッキの「ワイト」の数だけ行える。


ホ・ワイト「骨の髄までフォーリンラブ〜」


 世界には凄い人もいるんだね、ワイトにホの字? 禁断デッキの意味が分かってきたよ。


禁「効果発動っ、このワイト様が目に入らんかぁっ!」
エ「ははー」


 見なきゃダメ?


ホ・ワイト「ワイト萌え〜」
耕「あっそ」


ドリルビーク、破壊。


禁「さらにぃ、生贄召喚でフロストザウルスを召喚っ! 攻撃ぃっ!」
耕「普通のカードだね。まあいいや、「銅」」


地霊術−「銅」(あかがね) 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動可能。相手モンスター種族によって効果が変わる。
地属性:戦闘を無効にし、次の自分ターンのエンドフェイズまで相手攻撃モンスターのコントロールを得る。
他の属性:戦闘を無効にし、相手の攻撃力分のLPを回復する。


フロストザウルス ATK2600
戦闘無効。
耕介 LP4000→6600


禁「なんだとぉっ!?」
耕「うっさい」
禁「ターンエンドだぁっ!」


耕介 LP6600
手札:4
魔罠:伏せ


耕「じゃあ『スパイラルフュージョン』ね、ドリルロイドとドリルヘッドを融合させてドリルキマイラ召喚。効果はヘッド、攻撃力はロイドね」


スパイラルフュージョン 通常魔法
 手札またはフィールド上から融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地に送り、「ドリル」と名の付く融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する。このカードで召喚された融合モンスターは召喚ターンのみ攻撃力が1500アップする。


ドリルヘッド 地 恐竜族 LV4
ATK1500 DEF1200
 このカードが戦闘でモンスターを破壊した時、持ち主のデッキの一番上に戻す事ができる。


ドリルキマイラ 地 獣 LV6
ATK1000 DEF2000
融合 「ドリル」と名の付くモンスター+「ドリル」と名の付くモンスター
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードが融合召喚に成功した時、このカードの攻撃力は融合素材となったどちらかの「ドリル」と名の付くモンスターの攻撃力分だけ上昇する。このカードは融合素材となったどちらかの「ドリル」と名の付くモンスターの効果を得る事が出来る。


ドリルキマイラ ATK1000+1600+1500=4100


 ドリルキマイラ。僕の持つ7枚の融合モンスターの1枚。たぶん7枚のうちで1番マシなカードなんだろうね。


禁「攻撃力4100だとぉっ!?」
耕「驚き過ぎ、攻撃ね」
禁「ぬおぉっ!? よくもフロストザウルスをっ!」


ドリルキマイラ ATK4100  フロストザウルス ATK2600
フロストザウルス、破壊。
禁太郎 LP2400→900


耕「そうそう、その冷凍食品、デッキの上に戻るよ。1枚伏せてターンエンドで、キマイラはパワーダウン」


ドリルキマイラ ATK4100−1500=2600


禁太郎 LP900
手札:5
魔罠:禁断の部屋 伏せ


禁「俺のターンッ! デッキから『グリフォンの翼』を3枚落としぃっ、出でよぉっ禁断のハーピィ・ニューハーフッ!」


禁断のハーピィ・ニューハーフ・SB 風 鳥獣族 LV5
ATK2000 DEF1400
融合 「グリフォンの翼」+「グリフォンの翼」+「グリフォンの翼」
 このカードは「禁断の部屋」の効果での融合召喚でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードの名はフィールド上では「ハーピィ・レディ」として扱う。このカードがフィールドから墓地へ送られる時、相手の罠・魔法カードを全て破壊する。


 確かにニューハーフだね。どの辺でそう判断できるかは想像に任せるよ。


ハーピィ「あら、可愛いボ・ウ・ヤ」
耕「楽しい、楽しいよ禁太郎」
禁「さらにぃっ、『禁断の部屋』新たな物にするぅっ! デッキから『原初の種』を3枚落としぃっ、出でよぉっ禁断の開闢混沌竜ぅっ!」


禁断の開闢混沌竜 光 ドラゴン族 LV8
ATK3000 DEF2500
融合 「原初の種」+「原初の種」+「原初の種」
 このカードは「禁断の部屋」の効果での融合召喚でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。1ターンに1度以下の効果のうちの1つを発動できる。
・LPを2000支払う事で、このカード以外のお互いの手札と場のカードを全て墓地へ送る。
・場のモンスターを1枚除外する。
どちらかの効果を発動したターン、このカードは戦闘に参加できない。


 確かに混沌だね。無理矢理2人くっつけただけって感じもするけどね。


開闢混沌「なんかワイくっつてもうた」
耕「そうだね」
禁「さらにさらにぃっ、『テラフォーミング』で呼んだ『禁断の部屋』を新たな物にするぅっ! 手札とデッキから『ガーディアン・エルマ』を3枚落としぃっ、出でよぉっ禁断の蝶人エルマァッ!」


禁断の蝶人エルマ 光 昆虫族 LV6
ATK2600 DEF2400
融合 「ガーディアン・エルマ」+「ガーディアン・エルマ」+「ガーディアン・エルマ」
 このカードは「禁断の部屋」の効果での融合召喚でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手の手札を確認し、1枚墓地に送る。


エルマ「エ・ル・マ、愛を込めて」
耕「蝶違い」
禁「そしてぇっ、ハーピィ・ニューハーフを生贄に捧げぇっ、再び出でよぉっ、フロストザウルスゥッ! ハーピィ・ニューハーフの効果発動っ、貴様の伏せカードは全て破壊だぁっ!」
ハーピィ「お姉さんに全て委ねて、ボ・ウ・ヤ」


 キショイ。


炸裂装甲、破壊。
炸裂装甲、破壊。


 まあ、僕のカードも結構えげつなかったけどね。


耕「ふーん、それで?」
禁「一斉攻撃だぁっ!」


禁断の開闢混沌竜 ATK3000  ドリルキマイラ ATK2600
ドリルキマイラ、破壊。
耕介 LP6600→6200
フロストザウルス ATK2600
ダイレクト。
耕介 LP6200→3600
禁断の蝶人エルマ ATK2600
ダイレクト。
耕介 LP3600→1000


エルマ「蝶最高っ!」


 あ、手札のミラーフォースも落ちちゃった。こりゃ大変だ。


耕介:手札1→0


禁「ターンエンドォッ!」


耕介 LP1000
手札:1


耕「『その手札で何が出来る』、と言う」
禁「その手札で何が出来るぅっ! 何ぃっ!?」
耕「そうそう、禁断モンスター持ってるのは君だけじゃないんだよね。フィールドカードはこっちも使える。行くよ、ドリル・ガイ」
ドリル・ガイ「呼ばれて飛び出て何とやら。俺達の結束見せてやろうぜっ、相棒っ!」
耕「デッキからドリル・ガイを3枚墓地に送ってと」
ド「人の夢っ、人の望みっ、人の業っ! 知れば誰もが望むであろうっ、俺のようでありたいとっ! 禁断HEROっ、ドリルッ・エンドォッ・ガイィィィッッッ!!!」
藍「漆黒の魔王の抜け殻、魔王の力を宿す地使い」
典「分かるのか?」
藍「記憶の断片」
典「ならば教えてくれ、漆黒の魔王は無力化したのか?」
藍「地使いと共に在る」
典「そうか…」


掘削HEROドリル・ガイ 地 戦士族 LV4
ATK1700 DEF1600
 墓地の「ドリル」と名の付くカードをゲームから除外する事で特殊召喚できる。このカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。


禁断HEROドリル・エンド・ガイ 地 戦士族 LV9
ATK3400 DEF3200
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「戦士ダイ・グレファー」+「戦士ダイ・グレファー」
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。フィールド上のこのカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。このカードは3回攻撃する事が出来る。


禁「ドリル・エンド・ガイだとぉっ!?」
ド「アームドリルとドリルブリーフがうなるぜぇっ!」
耕「一応言っておくよ。両手のドリルと股間のドリルで3回攻撃できるんだ」
ド「言っておくが、俺のドリルに貫けぬものなどな〜いっ!」
エ「コーチンのバカバカ〜ッ!」
耕「いいじゃん別に」
エ「やだ〜」
耕「攻撃するよ、まずは…」
ド「その女だっ!」
禁「待ったぁっ、『アストラル・バリア』を使うぅっ! モンスターが残っていれば戦闘ダメージは無いぜぇっ!」
ド「もらったぁっ! はーはっはっはっはっっ!」
エルマ「イ、イヤ…もうパピヨンの真似なんてしないから許してぇ〜〜〜」


禁断HEROドリル・エンド・ガイ ATK3400  禁断の蝶人エルマ ATK2600
禁断の蝶人エルマ、破壊。


ド「ふう…」
エルマ「もうお嫁に行けない…」
耕「もらわれちゃったね、じゃあ次」
ド「恐竜なんてクソ食らえっ!」


禁断HEROドリル・エンド・ガイ ATK3400  フロストザウルス ATK2600
フロストザウルス、破壊。


ド「なんじゃお前ぇっ! どっちなんだ?」
開闢混沌竜「俺が知りてえよ」


禁断HEROドリル・エンド・ガイ ATK3400  禁断の開闢混沌竜 ATK3000
禁断の開闢混沌竜、破壊。
禁太郎 LP900→500


禁「や、やるなっ、だがなぁっ! 俺にはまだ究極強欲神が残っているんだぜぇっ!」
耕「さっき言ったよね、その手札で何が出来るって? まだバトル中だし『融合解除』」


ド「分裂っ!」
ドリル・ガイA「ダイッ!」
ドリル・ガイB「グレッ!」
ドリル・ガイC「ファーッ!」
耕「本名言っちゃダメ」
ド「「「さーて、このフォーメーションから抜けられるかな〜」」」
禁「ひ、ヒィィ〜〜ッッ!!??」


掘削HEROドリル・ガイ ATK1700…×3
ダイレクト…と精神的大ダメージ。
禁太郎 LP500→0


ド「「「正義は必ず勝つっ、さらばっ!」」」
耕「ガッチャマン、楽しくないデュエルだったね」
エ「最低最低最低〜」
禁「…」
耕「もしもーし、生きてる?」
禁「こうなったら一か八かだ…」
耕「一か八かで?」
禁「逃げるぅっ!」
耕「はい、さようなら」
典「追わないでいいのか?」
耕「いいよ、別に」
典「耕介がそう言うのであれば問題ないだろう」


 そうそう、読者さんにはまだ言ってなかったね。僕には少しばかり未来が見えるんだ。禁太郎の運命は…


遠くの声A「燃えろっ!」
遠くの声B「破滅の炸裂疾風弾っ!」


 ほらね、よく知ってる声が成敗してくれた。


耕「これにて一件落着」
エ「だね〜」
耕「あとは待ってれば迎えが来るよね?」
エ「よかったね、ランちゃん」
藍「…」


 …


 数分後… ある人が藍を迎えに来た。これは第六感じゃないけど分かっていた。僕の予測通りの人だった。親父の知り合いの神宮さん。


エ「あれ? 魔法少女マナ(仮)じゃないの?」
神宮さん「何やってるんだあいつは…」
藍「遅い」
神「すまん、屋台が思った以上に長くなった」
耕「やっぱり神宮さんだったんだ」
神「君とはつくづく縁があるな。今日は礼を言おう」
耕「よくある事じゃないですか」
神「そうだな…礼と言ってはなんだが、ドローパンを分けてあげよう。どうやら巷では人気らしい」
耕「ど、どうも…」
エ「わあ…」


 長蛇の列で買って来たドローパンとか言う中身がバクチのパンを貰った。中身は…梅干し? ま、まあ…最初から見えてたんだけどね。色とりどりのタイツ男が倒れている中で梅干しパンを食べる、これもまた風流。


典「この感じは…」
耕「神宮雅人さん。本業は手品師で副業は魔術的武力集団」
典「そうか、そういう事か。つくづく縁があるようだ…」
耕「いわく付きの子を託されたって話は本当だったんだね」
神「藍は黒の王女と呼ばれる特殊な血を引く子なのだ。対となる白の王女と魔力を重ねる事で、光と闇の相反する力を複合させられるらしい」
耕「魔力とか何とかはよく分からないけど」


 神宮さんら黒魔術団が悪の組織が戦い続ける物語、それは僕達の物語とはまた別の話。語られる日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。


神「こう見えても追われる身なのでな。また会おう、君にもファラオの導きがあらん事を」
エ「ランちゃん、またねー」
藍「水使いであって水使いでない者、虚ろな魂の持ち主。破滅の光、過ぎた愛は狂気の源。気をつけろ」
典「…」


 こうして、神宮さん達は去って行った。


耕「僕達も帰ろうか」
エ「うん」
典「…(まだ終わっていないのか? 私達の『物語』は…)」


 すっかり忘れていた1人を残して。


マ「え? ええっ!? 悪者はどこだーっ、お師匠さまどこーっ!?」







―はるか昔―


―ある1人の男が漆黒の魔王に肉体を奪われた―


―その名はダイ・グレファー―


―随一の豪傑と呼ばれた男だった―


漆黒の魔王「俺は世界制服をするっ!」


―魔王の野望、それは世界を揺るがすものであった―


漆黒の魔王「全ての女は俺のものだっ!」


―魔王の野望、それは不可能とも思えるものであった―


漆黒の魔王「人類女性化計画を実行に移す」


―魔王の野望、それは人類を滅ぼすものであった―


―そして、私達は立ち上がった―


―数年の後に、戦いにこそ勝った―


―だが、失ったものも大きかった―


―私は肉体を失った―


―エリアは魂さえ残さず消し飛んだ―


エリア「我魂が世界を救う礎にならん事を… 禁術、真・激流葬…」


―アウスは―


漆黒の魔王「な、何をするぅっ!?」
アウス「これで兄貴だけは助かるから…」


―魔王の邪気を身に受けて死んだ―


―この『物語』は完結した―


―だが―


―肉体を失った私は生き残ってしまった―


―魔導人形の器と共に永き時を彷徨っている―


―もう1人の友と共に―


―失った影を探し続けた―


―そして千年の後―


―捜し求めた影は見つかった―


―しかし―


―あの『物語』は本当に終わったのだろうか?―


―それとも単なる風使いの戯言なのか?―






The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第10話 マリク様が見てる

 私は花京院典子、今はその名で通っている。三沢は年末以来帰ってきていないので私が引き継ぐ。今日は鶴のゲーム屋に行く事にした。エジプトからはるばる来賓する変わり者がいるらしい。たぶんうちの取引相手でシスコンのあいつだ。それに、なぜかエリカが1日店長をすると聞いた。暇つぶしにはなるだろう。




   〜鶴のゲーム屋〜


ギ「客ギゴ」
エ「いらっしゃいませ〜 なんだノリちゃんか」
典「今日は買い物に来た」
エ「えええ〜っ!?」
典「そう驚くな、私だって1人で買い物ぐらいはする」
エ「でもさ、磯野さん見えるよー」
典「磯野は家にいる」
エ「忍者も隠れてるよー」
典「風丸は待機中だ」
エ「見間違えかな?」
典「だろうな」


 私の目にも入った。尾行が下手な連中だ。後で問い詰めよう。


エ「何買うー?」
典「三沢はどうした?」
エ「音信不通だよ」
典「よくある事だな」
エ「そうだね〜」


 とりあえず、ツヴァインシュタイン博士のカード置き場に行く事にした。


磯「私の事は内密に」
ギ「嫌ギゴ」
風「喋れば命は無いと思え」
ギ「は、はひ…」




   〜鶴のゲーム屋・地下〜


 この地下室は常連のみを入れるいわば隠し部屋だ。希少性の高いカードを保管する博士の趣味の部屋でもある。私は常連ではないがよしみは深い、別に構わないだろう。


典「これは何だ?」
エ「ネコ耳族…だよね?」
典「絵が違うぞ。これは…」


「今の時代、萌えが大事デ〜ス。イラストを一新しマース」BYペガサス


 部下に止められて試作品の1枚のみが残ったらしい。その手のボツカード達が眠っている場所でもあるようだ。ペガサスとのよしみで手に入れたボツカード墓場とも言う。私もその手のカードを愛用する1人なのだが。


典「…」
エ「見ちゃダメ〜」


「もう我慢できマセーン、これは男の性デース」BYペガサス


 魅惑の女王もLV15になるともはや服など無きに等しいのか。むしろ脱ぎ捨てた方が潔いぞ。


典「これは何だ?」
エ「エクゾディアパーツだね」
典「しおれているな」


「なんか海に流れ着いておった」BY博士


 誰だ、エクゾディアを海に捨てたのは? (模範解答:インセクター羽蛾)


典「…」
エ「…」
謎の男「…」
典「使えるのか?」
エ「ボロボロだよね〜」
謎の男「ククク… エクゾディア神に不可能など無い…」
典「それもそうだ、スリープにでも入れればいい」
エ「だねー」
典「…」
エ「…」


 ん? 3人? 磯野か? ガガギゴか?


典「お前は誰だ?」
謎の男「フフ…エクゾディア神の使いだ…」
エ「ええー?」


 いつかどこかで見たような顔だ。確かバトルシティのビデオで…


典「レアハンターが何の用だ?」
謎の男「いかにも、またの名をレアハンター(1)。ツヴァインシュタイン博士が多数所持するという世界に1枚しかないカードを貰い受けに来た」


 泥棒か。こちらは女2人、常識的な泥棒であれば腕力に物を言わせるだろう。その瞬間がお前の最期でもあるが。


典「グールズの仕事か? 確か解散したはずだぞ」
レアハンター(1)「私も今や一会社の社長なのだ。そう社長、あの海馬瀬人と同じ身分なのだ」
エ「今日の私は一日店長〜」
典「それがどうした?」
レ「怖ろしいだろう?」
典「使える会社ならうちが買収してやってもいい」


 あまり趣味ではないが、拳ほどの大きさのエメラルドの付いたペンダントを見せてみた。この手の成金は資金力を見せれば簡単に屈する。反応は…無い。


レ「我が社を買収できる者などいない…」


 エメラルドの価値も分からない奴、その程度か。


典「…」
エ「…」
レ「私は優しい人間だ。デュエルをしてやる、もしも君達が勝てばおとなしく退散してやろう。だが、私が勝てば…このイラストの違うネコ耳族は私の物だ…」


 もっといいカードを欲しがってくれ。小悪党そのものだ。


典「…」
エ「…」
レ「考えてみろ…このまま力ずくで奪って行ってもいいのだ…」


 どちらにせよ痛い目に遭ってもらった方がいいな。


典「分かった。エリカ、相手してやれ」
エ「え…あ、うん」
「「デュエルッ!」」


 この程度の奴はエリカで十分…いや、「葵」1枚でエクゾディアなど崩せる。


エ「私の先攻、ドローするよ」
レ「ククク、待て…」
エ「先攻がいいの?」
レ「エクゾディア降臨…怒りの業火、エクゾードフレイムッ!」


レアハンター(1)の手札
 封印されしエクゾディア
 封印されし者の右腕
 封印されし者の右腕
 封印されし者の右足
 封印されし者の左足


エ「ま、負けた…ぎゃふん…」


 40枚デッキの場合、パーツが初期手札に来る可能性、658008分の1。不可能ではない。すまないエリカ、いざとなったら札束を押し付けてカードを返してもらおう。ん?


レ「私の勝ちだ…このカードは私の物…」


 そう言うと、レアハンターは手札をデッキに片付け、ネコ耳族に手を伸ばした。


典「もう一度エクゾディアパーツを見せてみろ」
レ「何だと?」


 封印されしエクゾディア
 封印されし者の右腕(みぎうで)
 封印されし者の右腕(みぎうで)
 封印されし者の右足
 封印されし者の左足


典「両腕が右だぞ」
エ「本当だー」
典「制限カードを2枚入れていた。そして、手札をデッキに戻したという事は試合放棄したという事だ」
レ「な、何ぃ!?」
典「試合放棄、お前の負けだ。さて、少し風で扇いでやろう」


 私は訳あって弱体化こそしたが、今でも魔術は使える。軽く魂を直接風で扇いだだけだが、常人にはこたえるだろう。


レ「ヒィィィィィィィィ〜! ヒ…助けて…来る来る来る助けて…来るああああ! 来る…来る……来る…来る…マリク様が……」
エ「くるくる〜」


 得体の知れない絶叫と共に逃げて行った。さらばだ、レアハンター。もう来るな。エリカも回るな。


典「エジプトからの客というのはマリクか?」
エ「そうだよ」


 難儀な時にドロボウしに来たものだな。




   〜鶴のゲーム屋〜


 1時間後…


レ「フフフ…」
エ「あー」
典「また来たか…」


 懲りずに再来した。


レ「考えてみれば青いのには負けたが緑のには負けてはいない… つまり、私にはまだチャンスがあるというわけだ…」


 青とはエリカ、緑とは私の事らしい。どうやら自己完結して負けを無効にしたようだ。この調子では私が相手をしなければならない。


典「しつこいぞ」
レ「もしもあの時エクゾディアが本物であれば負けたのは貴様等だったのだ、つまりは引き分けだ…」
エ「そう言えばそうだね」
レ「そうだろう? そうだろう?」
典「馬鹿を調子付かせるな」
レ「緑の、今度は貴様の番だ」
典「分かった、両右手のエクゾディア使い。我が名は花京院典子、我が友人エリカの無念のために、ネコ耳族の魂の安らぎのために、命をもってつぐなわせてやる」
レ「後悔するなよ…今度こそネコ耳族は我が物に…ククク…」
エ「ノリちゃん負けるな〜」


 何とかなるだろう、相手はただの小悪党だ。


「「デュエルッ!」」
レ「私の先攻だ… 5枚伏せターンエンド」
典「私のタ…」
レ「待て…『強欲な瓶』『八汰鴉の骸』『ゴブリンのやりくり上手』を発動だ、そして『ウィジャ板』を使う…」
典「お前、エクゾディア使いではないのか?」
レ「フフフ…」
典「翠玉竜LV4を召喚だ。攻撃するぞ」


翠玉竜LV4 ATK1600
ダイレクト。
レアハンター(1) LP4000→2400


レ「フフフ…」
典「ターンエンドだ」
レ「そして、死のメッセージ「E」が現れる」


レアハンター(1) LP2400
手札:4
魔罠:伏せ「D」「E」


レ「私のターン… 『トゥーンのもくじ』、『トゥーンのもくじ』、『トゥーンのもくじ』、トゥーン・アリゲーターを守備表示で召喚し、2枚伏せターンエンドだ…」


典子 LP4000
手札:6
モン:翠玉竜LV4


典「どうせだ、いい物を見せてやろう。『エメラルドスプラッシュ』を発動させる、私自身が相手をしよう」


エメラルドスプラッシュ 通常魔法
 LP半分と手札3枚をコストに発動する。デッキもしくは手札から「翠玉教皇竜」もしくは「翠玉教皇−ウィン」1体を召喚条件を無視して召喚する事ができる。


翠玉教皇−ウィン 風 魔法使い族 LV8
ATK1850 DEF1500
 このカードは通常召喚できない。このカードは「風霊術−「翠玉憑着法」」の効果でのみ特殊召喚可能。
 このカードの攻撃力は墓地もしくはフィールドの、このカード以外の「風霊術」、「翠玉」、のいずれかの名の付くカード1枚につき300ポイントアップする。
 このカードが場に出た時、もしくは「風霊術−「重奏」」を発動した後、墓地から「風霊術−「重奏」」を1枚手札に戻す事ができる。


典子 LP:4000→2000
   手札:5→2


翠玉教皇−ウィン ATK1850+300×3=2750


レ「そこで『威圧する咆哮』、バトルフェイズに不能だぞ? それと『ゴブリンのやりくり上手』を発動」
典「構わん、ターンエンドだ」
レ「そして、「E」の文字が現れる」


レアハンター(1) LP2400
手札:3
モン:トゥーン・アリゲーター
魔罠:伏せ「D」「E」「A」


レ「私のターン… いい事を教えてやろう、手札にはすでに3枚のエクゾディアパーツが揃っている」
典「そうか、今度は両右腕は無しだぞ。やったら針串刺しの刑だ」
レ「ターンエンドだ」


典子 LP2000
手札:3
モン:翠玉教皇−ウィン 翠玉竜LV4


典「私のターン」
レ「そこで『和睦の使者』を発動する」
典「ならば2枚伏せてターンエンドだ」
レ「そして、「T」の文字が現れる」


レアハンター(1) LP2400
手札:4
モン:トゥーン・アリゲーター
魔罠:「D」「E」「A」「T」


レ「ファイナルターンだ… 私は1枚伏せてターンエンドだ」


典子 LP2000
手札:2
モン:翠玉教皇−ウィン 翠玉竜LV4
魔罠:伏せ2


典「私のターン。バトルだ」
レ「『攻撃の無力化』。フフフ…これで戦闘での勝利は不可能となった…」
典「ターンエンドだ」
レ「ファイナルアンサー?」
典「ファイナルアンサー」
レ「「H」の文字が現れた、「DEATH」は揃った。私の勝ちだ…」
典「よく見てみろ」


 ウィジャ盤
 E−エマージェンシーコール
 「A」細胞培養装置
 TM−1ランチャースパイダー
 H−ヒートハート


 本気か? 冗談か? どちらにせよ、言う言葉は無い。


レ「…」
典「…」
エ「…」
典「ルール違反にも程がある、お前の負けだ。それとも、この状態のまま続行するか?」
レ「ヒィィィィィィィィ〜! ヒ…助けて…来る来る来る助けて…来るああああ! 来る…来る……来る…来る…マリク様が……」
エ「くるくるくるくる〜」


 本日2回目の逃走となった。今度こそ、もう来るな。エリカ、回転速度が上がっているぞ。


 …


 さらに1時間後… 誰かが来た。


典「レアハンターか?」


 残念(?)、朱里だった。


朱「典子…来てたんだ…」
エ「ヒーちゃんだ」
典「さすがにもう来ないか」


 また自動ドアが開いた。また来たか…


レ「今度は負けんぞ… 何しろ最強にチューンしたエクゾディアデッキだからな…」
典「朱里、相手してやれ」
朱「よく分からないけど…」
レ「今度こそネコ耳族は私の物だ…」
「「デュエルッ!」」


レ「私の先攻だ… 『トゥーンのもくじ』、『トゥーンのもくじ』、『トゥーンのもくじ』、『サンダー・ドラゴン』の効果、『手札抹殺』、『精神統一』、『光の護封剣』、3枚伏せて、ターンエンド… あー疲れた」
朱「私のターンだっ」
レ「『強欲な瓶』発動」
朱「きつね火を召喚、生贄に捧げて狐憑きを特殊召喚っ! 1枚伏せてターンエンドだっ!」


レアハンター(1) LP4000
手札:4
魔罠:伏せ2 光の護封剣


レ「『精神統一』。そして、クリッターを召喚し、攻撃する…」
朱「そんなにエクゾディアが好きかっ!?」
レ「もちろんだ…」


クリッター ATK1000  狐憑き ATK2000
クリッター、破壊。
レアハンター(1) LP4000→3000


レ「パーツを手札に加える… さらに『リビングデッドの呼び声』でクリッターを復活させ、攻撃する…」


クリッター ATK1000  狐憑き ATK2000
クリッター、破壊。
レアハンター(1) LP3000→2000


レ「パーツを手札に加え…あと3枚。1枚伏せターンエンドだ…」


朱里 LP4000
手札:4
モン:狐憑き
魔罠:伏せ


朱「『サイクロン』で護封剣を飛ばすぜっ、直接燃やせるっ!」
レ「グラヴィティ・バインド…フフフ…」
朱「ちっ、運のいい奴め。戦場の女狐を召喚、1枚伏せてターンエンドだ」


レアハンター(1) LP2000
手札:5(パーツ2)
魔罠:伏せ グラヴィティ・バインド


レ「フフフ…勝利確定だ… すでに左腕が手札抹殺で落ちていた事を教えてやろう…」
朱「知るかっ!」
レ「『愚かな埋葬』を2枚使い、右足と右腕を墓地へ落とす。左足と本体は我が手札にある…その意味が分かるか?」
朱「まさか…」
レ「ククク…『補充要員』で左腕・右足・右腕を手札に戻す…」


レアハンター(1)の手札
 封印されしエクゾディア
 封印されし者の右腕
 封印されし者の左腕
 封印されし者の右足
 封印されし者の左足
 精神統一


レ「エクゾディア降臨…怒りの業火、エクゾードフレイムッ!」
朱「くそっ…私が炎に焼かれるなんてっ!?」
レ「三度目の正直だ…素直にネコ耳族を渡せ…」
典「今のは本物だ…どうする?」
エ「どうしよう〜」
???「今の勝負待った、そいつのデッキを数えてみるんだ」


 何者かが言う。店の前には車検に通るかどうかも微妙な改造バイクがある。バイクから降りたばかりなのか、ヘルメットは着けたままで顔は分からない。サイドカーに見覚えのあるエジプト人女性が乗っている事からすると、シスコンのあいつである事は確定だ。


典「何だと?」
朱「見せろっ!」


 39枚。意味が分からない変わり者はルールブックを開いてくれ。


典「また反則か、小ずるいぞ」
レ「ヒィィィィィィィィ〜! ヒ…助けて…来る来る来る助けて…来るああああ! 来る…来る……来る…来る…マリク様が……」
エ「くるくる〜」
典「もういるぞ」
マリク「呼んだかい?」


 その者はヘルメットを取った。エジプトからはるばる渡航してきた来賓、それはマリク=イシュタールそのものだった。要はシスコンで有名な元グールズのトップだ。そして、私の知り合いでもある。


エ「あ、いらっしゃいませ〜」
レ「マリク様が……」
マ「もう来てるよ。君のやった事はボクがこの目でちゃんと見た」


 ほんの一瞬だがマリクから闇の力のなごりを感じた。精神支配系の周波数だ。


レ「マリク様が…見てる…ヒィィィィィィィィ〜!」
エ「マリア様じゃないの〜?」


 エリカの妄想モード、開始。


 …


「パンドラよ…我がスールになれ… 今日からはお兄様と呼ぶのだ…」
「私の存在全てに賭けて、断わりましょう」
「ヒィィ〜」


 …


 妄想モード、完。


エ「なんか変なのー」
レ「…」
典「あれはどうする?」
マ「放っておいていいよ」


 レアハンターは走り去った。もう今度こそ来るな。


風「ニンニン」
レ「ヒィッ!?」


 …と思ったら風丸がマンホールに引き込んだ。下水道で成敗か。


マ「何してたんだあいつ?」
典「コソ泥だ」
エ「改めて、いらっしゃいませ〜」
マ「博士は?」
エ「『老いぼれ寄り若い娘が出迎えた方が萌える』って言って研究室に篭っちゃった」
マ「『アレ』は保管してあるね?」
エ「はい、『アレ』でーす」


 エリカは謎の小包をマリクに渡した。小包の中からとてつもない感じがする。


朱「典子…あれ…」
典「まさか、ラーの偽造品か?」
イシズ「その通りです」


 改造バイクのサイドカーからもう1人が降りて来た。マリクの姉か。


典「なぜこんな所にある?」
エ「えーと、ペガサス会長から送られて来たんだよ」
イ「隠し場所にはうってつけだからです」


 確かに、海馬コーポレーションもI2社もよく襲撃される。ついでに亀のゲーム屋もな。


典「この厚さ、威圧感、1枚とは思えないな」
イ「マリクのコピーした100枚のうちの41枚です。これであと6枚で全てが回収できます」


 後の調べによると、ラーのコピーはグールズの解散のドサクサでほとんどが流出してしまったらしい。話によるとアカデミアでもその1枚が回収されたとある。この41枚はアカデミアでの物も含む、日本で回収されたコピー品という事になる。グールズも管理がずさんだ。ラー回収にうちも資金と人材を提供しよう。


 十数分後…


マ「じゃあ用も済んだし、行こうか姉さん。早くバイク屋行こう、バイク屋っ」
イ「ちゃんと礼を言ってからです」
マ「は、はい…」
イ「ありがとうございました」
マ「あ、ありがとうございました…」


 イシュタール姉弟は行ってしまった。ラーの残り6枚の無事回収を祈りたい。




   〜道路〜


イ「…!?」
マ「大丈夫、姉さん?」
イ「私と同じ能力を持った誰かが近くにいるようです…」
マ「まさか、闇の…」
イ「いえ、おそらくは彼女の知り合いの…」


 …


耕「…!? まあいいや」




   〜鶴のゲーム屋〜


典「行ったな…」
朱「うん…」
典「ラーのコピー、私達に何かを起こすと思うか?」
朱「たぶんない…」
典「この手の接触が多い、そろそろ覚悟を決めないといけないな」
朱「うん…」
エ「大変大変〜」
朱「どうしたの…? ゴキブリ…?」
エ「『コマンダー』のカードがごっそり消えちゃった」
朱「コマンダー?」
典「いや、ただの角刈りだ」


コマンダー 闇 機械族 LV2
ATK750 DEF700
 ロケットランチャーとバズーカ砲を装備した実戦部隊。


典「確か、こんな感じだ」
朱「角刈り…何か忘れてるような…」
エ「気のせいだよ」
典「何枚消えたんだ? それとも限定レアがあるのか?」
エ「普通のが500枚ぐらい」
典「なぜそんな在庫がある?」
エ「お爺ちゃんザコカードファンだもん」
典「他のは?」
エ「全部無事ー」
典「レアハンターの仕業だな」


 レアハンターとコマンダー、その繋がりが分かった時、私達の『物語』は再び動き始める事になる…






―ペガサス=J=クロフォード―


―この男がエジプトで千年眼を手に入れた事から全てが始まった―


―武藤遊戯―


―この男がファラオの魂を覚醒させた事が引き金となった―


―海馬瀬人―


―この男がデュエルディスクを開発した事が引き金となった―


―闇の錬金術はカードとサーバーの中で転生を果たす―


―呼応するかのように―


―デュエルモンスターズというカードを寄り代とし―


―神話や伝説なったはずの数多くの『物語』は蘇った―


―さらには異世界の存在さえも呼び寄せる結果となった―


―そして―


―現代と言う舞台に『物語』が共存する事となった―


―いくつもの『物語』が交錯する世界―


―偶然なのか、運命なのか―


―ならばアウス、なぜこの時代に転生したのだ?―


―私達に何の役目があるというのだ?―







第10.5話 僕らの愛した角刈り

 僕は大地耕介。もう1月もなかばになるというのに三沢は帰って来ない。もう代わりの店番なんてしたくないのにね。そして、事件は起きた。




   〜鶴のゲーム屋〜


城之内「なあ、本田って奴見なかったか? こんな髪型で日本の星ハチマキをした奴だ」


 急な無礼な来客、それはどこかで見たような人物だった。


耕「あ、最強の凡骨デュエリスト・城之内克也だ」
城「俺は凡骨じゃねえっ!」


 海馬コーポレーションのデュエリスト名鑑『粉砕・玉砕・大名鑑』ではそう書いてある。凡骨と認めない言いぶりからして本物みたいだ。


耕「知らないね」
城「この辺だって聞いたんだけどよ、誰かが角刈りばかりをさらって集めてるって話なんだ」


 そう言えば、数日前にレアハンターがコマンダー(角刈り)を500枚盗んだらしい。近所では休業という文字を知らないような大工のゲンさん(角刈り)や寿司屋の親方(角刈り)も昨日は休業だった。まさかね。


耕「で、角刈り集めてどうするの? 美女をさらうならまだいいとして」
城「俺が知りてーよ」


 僕も知りたいよ。とりあえず、典子に聞いてみよう。こんな事もあろうかと角刈り探知機を作っているかもしれない。




   〜花京院邸〜


 どうせだし、いつものメンバーも集まってもらった。


エ「凡骨だ〜」
ギ「凡骨ギゴ」
朱「ぼんこつ…?」
典「有名なのはいい事だな、凡骨」
城「揃いも揃って凡骨言うなーっ!」
耕「そうだよ、本当の事でも言っていい事と悪い事があるんだぞ。ねえ、凡骨」
城「お前も言うなーっ!」
典「悪い、角刈りだったな。先日の盗難事件もあってな、コマンダー探知機を作ってみた。磯野、出せ」
磯「かしこまりました、お嬢様」


 磯野さん、高級料理みたいに探知機出さないでよね。試験用のコマンダーも豪勢なスリープに入れちゃって。


エ「角刈りだ〜」
耕「誰か忘れてる気がしない?」
典「気のせいだろう。さて、カードをセットするぞ」


 コマンダー探知機と呼ばれる携帯テレビのような装置にカードがセットされた。


典「見ろ、ここに集まっているぞ」


 レーダーのような画面に点が集中している箇所が見える。それにしてもコマンダーは流通してるね。もはや一家に1枚?


耕「方向からすると…港だね。たぶん倉庫かな?」
典「言ってみよう」
エ「おーっ!」
典「車を出せ、磯野」
磯「かしこまりました、お嬢様」
城「なあ耕介、典子って何者なんだ?」
耕「気があるの?」
城「ちげーよっ!」
耕「そうだったね、本命は舞さんだっけ? それともシスコンロードまっしぐら?」
城「ちげーってのっ!」
耕「ウソウソ、典子はただの才能のある良家の娘ってとこだね。それよりこっちは気にならない? トカゲが2足歩行で喋ってるよ」
ギ「ギゴ?」
城「よくある事だろ」
耕「やっぱり」


 さすがは最強の凡骨、言う事が違う。磯野さんのリムジンで港まで送迎してもらう事になった。




   〜港〜


典「あの倉庫だ」
耕「見るからに廃屋だね」
朱「嫌な感じがする…」
典「思ったより早かったな、時は来たのか…」
城「ちょっと待て、あれを見ろ!」


 日本の星ハチマキが落ちていた。すごいセンスだね。とりあえず、事件は本物らしい。コマンダー泥棒も誘拐犯も実在する。


城「本田のだ…くそぉっ」
典「この倉庫、どうやら入り口は1つだけらしい。抜け道もなさそうだ」
耕「突入しちゃう?」
城「おうよっ!」
エ「おーっ!」


 そして、僕達は突入した。




   〜倉庫〜


 扉が開く…


城「お前かっ、本田をさらった…ぷふーっ!?」
エ「楽しいねー」
ギ「角刈り逆ハーレムみたいギゴ」
耕「もう最高、誘拐犯」


 そこは脅威の倉庫だった。中央には仰々しい祭壇が置かれている。それと角刈りの野郎共が約100人ほど大きめの檻の中に詰め込まれている。ゲンさんも親方もいる。


レアハンター(1)「来たか、邪魔者共…」


 しかも犯人はやはりレアハンター。エクゾディア使いとしてもグールズとしてもイレギュラーな行為にしか見えない。よく見ると、無数のカードが幾何学模様を描いて並んでいた。これがコマンダーでなければそれなりの儀式に見えなくもない。


城「本田っ!」
本田「助けてくれ…」


 その本田とやらはちょっとエッチな縛り方で縛られて祭壇(?)の右側に供物のように置かれていた。そして…


三沢「おい、俺もいるぞ」
耕「三沢、いたの?」
三「俺はいつだっているさ」


 9話と10話ですっかり消えていた三沢大地が祭壇左側の供物として転がっていた。本田とシンメトリックな不気味さだね。それにしても…レアハンター、もしも角刈りフェチだったら褒めてつかわすよ。


↓反転して読んでね
三沢大地 17歳 アカデミア・ラーイエロー2年
誰からも忘れられる事で皆に覚えられた伝説の男
称号:頭脳派デュエリスト 桃色デュエリスト 放置される者 変態デュエリスト
性癖:一度計算を始めると壁だろうが何だろうが数式を書きまくる
特技:天然素材の光学迷彩アーマー
悩み:自分のポジションをレイに譲渡してしまった事
好きなカード:アマゾネス

 実はその存在感の無さには、宇宙開闢以前に匹敵するほどの無と零によって成り立っている。そんな怖ろしい力を内包しているが、自他共に知覚するはずもない。
 よもや、自分が異世界へ飛ばされたまま帰れなくなる未来が待っているなど彼は知る由も無い…

 だが、ここに宣言する…あの存在感こそが三沢人気がここまで上昇した源であると!





The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第11話 究極封印神の目覚め、そして…

 やあ、俺は三沢大地。すっかり出番が無いと思っていただろう? それもそのはず、アカデミアから帰る途中、悪党に囚われていたのだ。おのれ元グールズ、世界の財産たる俺の頭脳が目当てか? そう言えば、博士の家に向かう途中にこのレアハンターと会ったような気がする。 …あれ? タイトル変わってない? 地霊使いって…耕介ーっ!




   〜倉庫〜


 助けが来た。ありがとう、本当にありがとう。城之内と四霊使い、合わせて5人。ついでにガガギゴ。


「「「「「…」」」」」


 だが、この凄惨な現状に動揺して声が出ないらしい。主役で冷静な俺が一つ、気迫の足りない仲間に一括してやろう。


三「みみんななな、落ちち着つけっ!」


 さすがは俺だ、俺がいなくなるだけで総崩れするなんてふがいないぞ。


エ「何て言ったの?」
耕「みんな、お乳つつけ?」
典「三沢も動揺して意味不明な言葉を吐いただけだ」


 他にも三沢さんがいるのか。この危機的状況、俺のように冷静沈着にならないと生き延びられないぞ。


城「えーと、このレアハンター何て名前だ?」
典「設定上はレアハンター(1)だ」
城「やいレアハンター(1)っ、本田を返せっ!」
レ「それは無理な注文だ… この角刈り達は究極封印神の封印を解くための生贄となるのだ、フフフ…」
本「マジかよおい…」


 そうか、やはり俺の頭脳が目当てか、無限の力に俺の知恵が加われば世界など数日で消し飛ぶ。行為は悪だが理屈は十分成り立っている。


・[苦しそうにもがく
>[嬉しそうにもがく


耕「三沢は本望っぽいけどね」
典「前々から感付いていたがな」


 そういう意味じゃない、こんなアホにさえ俺の超頭脳が理解されたこの喜び、共に分かち合おうではないか。


レ「まあ、私は全てを力で解決しようという鬼畜ではない… そうだ、デュエルで勝利すればこの角刈り共を開放してやろう」
城「望む所だっ!」
本「頼むぞ、城之内」


 城之内、それは武藤遊戯の無二の友であり、最強の凡骨デュエリストだ。彼ならこのアホハンターを叩きのめしてくれる。てゆーか、絶対叩きのめしてくれ。俺は生贄になどなりたくない。


城「バトルシティ…のちょっと前の汚名、挽回させてもらうぜっ!」
レ「フフフ…」
「「デュエルッ!」


 そして、デュエル界最初で最後の果てしなき死闘が始まった…


 …


 数十ターン後…


 …


レ「揃ったぞ…エクゾディア…」


レアハンター(1)の手札
 封印されしエクゾディア
 封印されし者の右腕
 封印されし者の左腕
 封印されし者の右足
 封印されし者の左足


 別にそれはもはや驚くべき事だとは思わない。さてと、場はこうなっている。


レアハンター(1)のモンスターゾーン
 究極完全体・グレート・モス
 ゲート・ガーディアン
 VWXYZ−ドラゴン・カタパルトキャノン
 ファイブ・ゴッド・ドラゴン
 スピリット・オブ・ファラオ


レアハンター(1)の魔法罠ゾーン
 ウィジャ盤
 死のメッセージ「E」
 死のメッセージ「A」
 死のメッセージ「T」

(終焉へのカウントダウン・あと1ターン)
(ハイパーヴェノムカウンター・あと1発)


城「…」


城之内 LP100
手札:0
デッキ:0
場:空っぽ
墓地:全部除外されて無い


 すごい状態になったぞ。これは真実だ、超スピードだとか催眠術だとかそんなチャチなものではない。ここまで耐え凌いだ城之内も凄いが、この期に及んでエクゾディアを使うレアハンターもアホだ。


レ「怒りの業火、エクゾードフレイムッ!」
城「うわぁっっ!!??」


 古びたコンテナに吹っ飛ばされる凡骨。ちょっと待て、負けるな凡骨。そうだった、崖っぷちの状況になるまで実力出ないのが凡骨だった。結構危機的状況でしょ? 俺はどうなる? どうなっちゃうの? ねえ?


レ「所詮は力押ししか出来ぬ輩…我が敵ではない…」
城「いっつー…ちっくしょぉ…」
レ「ククク… このデュエルによって究極封印神を目覚めさせるデュエルエナジーは貯まった… 4人の力溢れる角刈りを生贄に捧げ…目覚めよっ!」


 しかし何も起こらなかった。


レ「契約の名において命じる、出でよエクゾディアッ!」


 しかし何も起こらなかった。


レ「目覚めよっ!」


 しかし何も起こらなかった。


レ「よっ!」


 しかし何も起こらなかった。


レ「YO! YO! YO・YO・YO! め・め・目覚めよエクゾディアーッ! HEY! 召喚・召喚・わ・が・神・をっ! WAO! 来る来る助けて来い来い助けてエ・ク・ゾ・ディ・アッ! ヒィーッ!」


 レアハンターは不気味な歌を歌った。レアハンターは不思議な踊りを踊った。しかし何も起こらなかった。


レ「ホント、マジ、出て来て。お願いだから…お願いします、お願いしますエクゾディア様…」


 お願いしても何も起こらなかった。まあ、非科学的なオカルトなど俺は信じんがな。


典「よくやった、城之内。お前がデュエルをしている隙に角刈り達は解放した」
朱「私が格子を溶かした…」
城「そ、そうか…俺のおかげだぜっ!」


 おお、角刈りの檻が開放されている。よくやった、飛騨君、典子ちゃん。


ゲンさん「おうよ、俺たちゃピンピンしてるぜぇっ!」
親方「あとで旨いネタ握ってやっからよ」


 それはうれしい。100人の角刈り達はそれぞれの帰るべき所へと帰って行った。


本「で、俺は?」


 そうだ、早く開放してくれ。本田などどうでもいいから俺が先だ。マニアックな縛り方で大変なんだ。むしろ変態?


耕「生贄がいなけりゃ何も出来ないよね?」
エ「これにて一件落着〜」
レ「私の究極封印神が…崩れる…」


 俺はレアハンターの握っているカードを見た。エクゾディオス?


三「甘いな、レアハンター。そのカードの名をよく読め! 本当の名は究極封印神エクゾディオスだっ!」


 何かが変だ、祭壇が光り出している。俺が本名言ったからか?


朱「エクゾディアが来る…」
典「なぜだ、生贄は4人なのだろう?」


 確かに。どんなに頑張っても俺と本田しかいない。


本「城之内、頭、頭っ!」
城「何じゃこりゃーっ!?」
本「俺達仲間だな」
城「そんなの嫌だーっ!」


 何てこった、エクゾディアの直撃を食らった反動でなぜか城之内の髪が角刈りになっている。3人目。


レ「かくなる上は…」


 レアハンターの野郎まで、自分の髪を切り落として角刈りになりやがった。4人目。揃っちゃった、揃っちゃったよコンチクショウ。


レ「エクゾディア様ーっ! 出来ましたよーっ!」


 祭壇の中央が光輝く。ついに封印されし者が…


コマンダーの精霊「この時が来るとは…」


 じゃない、変な精霊来たーっ!


典「お前、コマンダーじゃないな?」
コマンダー「ご名答、我は究極封印神エクゾディオス。珍札狩郎を傀儡とし、ついに封印の解かれる日が来たのだ…」


 どんな封印だ? 角刈りを生贄にか? そりゃ俺だって思いつかん開呪方法だ。封印した奴の顔が見てみたい。


レ「エクゾディア神…我が肉体を糧に復活を…」
朱「エクゾディアの精霊…」
耕「だめだ、危険だっ、逃げるんだーっ!」


 耕介、逃げるなーっ!


エ「よく分かんないよー」
ギ「ギゴー」
典「くそっ、これが新しい私達の『物語』か…」
朱「…」


 動けるみなさん、真っ先に逃げないで下さい。お願いです、逃げないで下さい。俺を助けて下さい。


朱「止めてみせる…」


 ありがとう飛騨君。その火炎放射で祭壇を破壊…してねーよ。ちょっと祭壇の位置がずれただけじゃないか。どうしてくれんだよ?


三「うわーーーっっっ!!!」
本「ぎゃーーーっっっ!!!」
城「何で俺までこうなるのーーーっっっ!!!???」
レ「エクゾディアーーーッッッ!!!」
コマンダー「我の復活だ…」


 俺達、角刈りファイブは祭壇の定位置へと空中浮遊した。無数のカードが宙を舞う。そして、祭壇は光に包まれた。誰か誰でもいいから助けて…


―角刈りよ、我が四肢となれ―



 なんじゃそりゃ、嫌だ、嫌だ、嫌だーっ! 俺は今後悔している、この髪型に生まれた事を…ああ……


 …


 俺はアカデミアの仲間達の事を懐かしい遠い思い出のように思い出していた… あの頃は…楽しかった…ってこれ走馬灯か? みんな、俺の墓の前で泣くな…って何自分が死んだ場面を考える… もういいや…なんだか………体の感覚が……………




   〜港〜


 …


 光が収まった。俺は生きているのか? 空が見える、青くて目に染みるぜ。天井が吹き飛んだのか?


典「城之内…本田…」


 典子ちゃん? 確かに、レアハンターとあの2人は見えない。俺だけ助かったのか?


典「エクゾディアッ、これでお前は満足かっ!?」


 え? エクゾディア? どっち見てるの? 俺?


朱「まだ間に合う…あの中で4人の肉体と魂は生きてる…」
典「こっちを見ろ、エクゾディアッ!」
耕「違う、あれはエクゾディアじゃない。三沢だ」
エ「え、三沢先輩って忍者だけじゃなくてエクゾディアなの?」
耕「たぶん朱里の火炎が儀式のパーツを入れ替えたんだ」


 なんか心なしか体が大きくなったような… よく自分の手を見てみよう。封印されし者の手だ。まさか、まさかまさか…


三「これが俺か…」


 かくして、無限力のエクゾディアと最高の頭脳三沢大地は1つとなった。究極生命体三沢ディオスの完成だ。I2社(コ○ミでもいいよ)、カードの量産頼む。


典「三沢…」
朱「違う…もうあれは三沢じゃない…」
エ「そうだね〜」
耕「放っておいたらどうなるわけ?」
典「力が制御できなければ無限の攻撃力が暴発し、日本もしくはアジアは丸ごと消し飛ぶ。制御できる場合は…人間とは相容れぬ存在だ、人類の敵になる… 今の文明でエクゾディアには…」


 ちょっと待てくれ、俺はそんな危険因子なのか? 核弾頭なんて目じゃないのか? ふっ、俺はアメリカを超えたのか(意味不明)。


耕「止める方法はあるの?」
典「いくら力は無限であっても源は人間の命だ、使い果たせば終わる。巨大な力で抑え込めば…それこそ三幻神並の力で… だが、中の者は…」
朱「手に負えないよ…」
典「一応、木更津を呼ぶ。あいつなら神にだって匹敵する。間に合えばいいが…」


 なぜだ? 俺はこんなに物を壊したい性格だったか? なぜか心の底から壊したい。うおおおっっっ!!!


・[たたかう
>[まほう


三「エクゾディオスフレームッ!」
耕「伏せろっ!」


 俺は今、巨大な火球を出した。気分がいい。


究極生命体三沢ディオス 神 消失族 LV330
ATK∞ DEF∞
 このカードは三沢大地のみが使用可能。このカードは戦闘ダメージを与えない。このカードは戦闘でカードを破壊しない。このカードが攻撃した時、攻撃対象の存在感は消える。このカードはあらゆる事象を透過する。


―俺は三沢ディオス―


―全ての存在感、存在感、存在感を消し去り―


―俺も消えよう―


―永遠に―



耕「エクスデス?」
典「何て事だ…三沢の自我が崩壊を始めた…」
朱「蒸発でも爆発でもない…三沢の炎を浴びると空間レベルで存在感が薄くなる…」
典「無の力… このままでは存在はするが知覚できない世界になってしまう…」


 見ろ、倉庫がゴミのようだっ! 大型船舶がゴミのようだっ! 爆風と熱で海が裂けたぞっ! フハハハッ! 最高にハイな気分だっ!


耕「典子、朱里、よく分からないけどこの場は退いてこの事態を解決する方法を考えて欲しい」
朱「コウちゃん…」
耕「2人ならやれるような気がする… あとエリカ、君は逃げるんだ。何が何でも生き抜いてくれ」
エ「だめだよコーチン…」
耕「何かさ、こんな事がいつかあったような気がする。たぶん大丈夫だよ」
典「お前、まさか…」
耕「前世なんて信じないけどさ、僕は大魔導師とアレの魂を持ってるんだろ?」
典「…」
朱「…」
典「行くぞヒータ、私達があの時と同じ過ちを繰り返すわけにはいかない」
朱「うん…」
典「行くぞ、エリカ。お前は無力だ」
エ「でも…」
朱「いいから来やがれっ!」
エ「コーチンッ!」
耕「…(まあいいや、どっちにしても僕の見る未来には大災害しか見えない。腹くくらないとな…)」


 逃げるのか? 俺を前にして逃げるのか? なぜだ、破壊したくてたまらないこの衝動は何だ? エリカ君だぞ、飛騨君だぞ、典子ちゃんだぞ。なぜだ、なぜなんだ? ぶち壊せーっ!


>[目の前の耕介を消そう
・[逃げる3人を消そう


三「うおおおーーーっっっ!!!」
耕「ねえ、三沢」
三「何だ耕介っ!?」
耕「僕とデュエルしない?」
三「邪魔をするな耕介っ!」
耕「まあいいや、精霊ってのはソリッドビジョンと同じらしいからね。『スパイラルフュージョン』3連発で粉砕HEROドリル・ツイン・ガイ、ドリル・ヴァルキリー・エリーさん、地帝ドリルマーグ召喚」


粉砕HEROツイン・ドリル・ガイ 地 戦士族 LV6
ATK1700 DEF1600
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「ドリル」と名の付くモンスター
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードが融合召喚に成功した時、このカードの攻撃力は融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの攻撃力分だけ上昇する。このカードは融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの効果を得る事が出来る。フィールド上のこのカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。


ドリル・ヴァルキリー・エリー 地 魔法使い族 LV6
ATK400 DEF1500
融合 「ドリル天使エリー」+「ドリル」と名の付くモンスター
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードが融合召喚に成功した時、このカードの攻撃力は融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの攻撃力分だけ上昇する。このカードは融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの効果を得る事が出来る。このカードが戦闘を行う場合、ダメージステップに発動可能。LPを1000払う事で、ダメージステップ中のみ攻撃力を2000上げる事ができる。重ねがけはできない。


地帝ドリルマーグ 地 岩石族 LV8
ATK2400 DEF1000
融合 「地帝ドリルマーグ」+「ドリル」と名の付くモンスター
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードが融合召喚に成功した時、このカードの攻撃力は融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの攻撃力分だけ上昇する。このカードは融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの効果を得る事が出来る。このカードの融合召喚に成功した時、場のカードを2枚まで破壊してもいい。


 何だ? ドリルモンスターが小さく見えるぞ。


エリーさん「虫歯の治療に丁度いいサイズね」
地帝「フンガー」
耕「みんな、一斉攻撃だっ!」
ドリル・ガイ「俺は女専門なのによおっ! 武器くれ、武器。ドリル装備だっ!」
耕「『マッハドリル』を使うよっ!」


マッハドリル 装備魔法
 「ドリル」と名の付くモンスターにのみ装備可能。攻撃力を500アップ。フィールドの他の「ドリル」と名の付くモンスター1体につき攻撃力が300アップ。


三「お前は!?」
ドリル・ガイ「とっくにご存知なんだろ? スケベな心を持ちながら激しい盛りによって目覚めた伝説の戦士…粉砕HEROダイ・グレファーだぁっ!」


 本名言っちゃったよ、こいつ。だがな…


三「敵が小さく見えると言う事は、俺が勝つと言う事っ!」


粉砕HEROツイン・ドリル・ガイ ATK1700+1700+1500+1100=6000
ドリル・ヴァルキリー・エリー ATK400+1600+1500+2000=5500
地帝ドリルマーグ ATK2400+1600+1500=5500


地帝「ドスコイ」


―三沢の法則が乱れる―



地帝ドリルマーグ ATK5500  究極生命体三沢ディオス ATK∞
三沢に攻撃はできない。


地帝「ドコダ?」
三「俺は一歩も動いていない」


 ふっ、俺に挑もうなんて身の程を知れ、マーグ。三沢ゾーンを使えば絶対に攻撃を受けないのだ。手塚ゾーンとは逆なのだ。


究極生命体三沢ディオス ATK∞  地帝ドリルマーグ ATK5500
マーグの存在感、消失。


地帝「マケタ…」
エリーさん「マーグッ?」
耕「三沢に攻撃しようとすると軌道が外にずれる…」
ドリル・ガイ「いい方法はねえのか?」
耕「あったらもうやってるよ」
エリーさん「私がその虫歯男を治療しますっ!」


ドリル・ヴァルキリー・エリー ATK5500  究極生命体三沢ディオス ATK∞
三沢に攻撃はできない。


三「この際だから宣言しよう。俺は1日に6回歯を磨いているぞ」
エリーさん「そんな…」


究極生命体三沢ディオス ATK∞  ドリル・ヴァルキリー・エリー ATK5500
エリーさんの存在感、消失。


エリーさん「不治の病でした…」
ドリル・ガイ「マイハニーッ!?」
エリーさん「不覚、ガクッ…」
ドリル・ガイ「行くぞっ! 必中っ! 熱血っ! ツインドリルッ!」


粉砕HEROツイン・ドリル・ガイ ATK5400  究極生命体三沢ディオス ATK∞
三沢に攻撃はできない。


ドリル・ガイ「何だと? 精神コマンドで命中率100にしたはずだぞ?」


 三沢ゾーンは必中よりも優先されるのだよ。


ドリル・ガイ「目を覚ませ、三沢っ! 一緒にブラジャーハンティングしようって約束したじゃねえかっ!?」


 何だそれは? そんなけったいな約束した覚えなどないぞ。


ドリル・ガイ「帰ろうぜ、三沢。エロ友だろ? あの楽しかった日々を思い出すんだ…」


 いや、それは一方的な押し付けだろう。


 …


 ドリル・ガイの妄想モード、開始。


三「こ、これが…」
ドリル・ガイ「秘宝・ブラマジガールのブラだ」
鬼警部「グレファ〜、今日こそお前を逮捕する〜」
ドリル・ガイ「ずらかるぜ、三沢」
三「あ〜ばよ〜とっつあ〜ん」
鬼警部「待て〜い」


 妄想モード、完。


 …


ドリル・ガイ「あの頃を…」


 どの頃だ? 俺は全く記憶にないぞ。本当だぞ?


ドリル・ガイ「もう、俺の声は届かないのか…くそっ…」


 むしろ届いているから迷惑だ。


ドリル・ガイ「やるしかないのかよっ!」


粉砕HEROツイン・ドリル・ガイ ATK5400  究極生命体三沢ディオス ATK∞
三沢に攻撃はできない。


 さあ消えろ、変態。忌まわしき記憶と共に…


究極生命体三沢ディオス ATK∞  粉砕HEROツイン・ドリル・ガイ ATK5400
グレファーの存在感、低下?


ドリル・ガイ「相棒、こいつちょっとばかしやばいぜ…」
三「はーはっはっはっはっ!」


 攻撃力5000オーバーの敵を一瞬で全滅? これが俺の…俺の力なのか? エークゾーディアーッ!


ドリル・ガイ「俺の存在感が…消える…?」


 消えろ、消えるのだ。とっとと消えろ。


ドリル・ガイ「あれ?」
三「む?」
耕「コレを使わなきゃいけないなんて…」


 奴の本体は残っている。服の存在感しか消えなかった。外見的には存在感が上がっているぞ。ええい、グレファーの存在感はバケモノか?


ネイキッド・グレファー・パーフェクト・フォーム 地 戦士族 LV7
ATK3000 DEF0
 このカードは通常召喚できない。自分の場の「戦士ダイ・グレファー」が破壊された時、人間としての良心と手札を全て捨てる事でのみデッキから特殊召喚できる。このカードは子供の目にする場所に置いてはいけない。


ドリル・ガイ「信じられねえ…俺は服を着ている…なのに俺は裸だ…どっちなんだ…?」
耕「やっぱり戻れ、相棒」
ドリル・ガイ「そうだ、三沢。この技で世界の婦女子の服を透け透けにしてやろうぜっ!」


>[破壊する
・[OK、行こうぜ


ドリル・ガイ「うおーーーーーっっっっっ!!!!!」
三「はあーーーーーっっっっっ!!!!!」


ネイキッド・グレファー・パーフェクト・フォーム ATK3000  究極生命体三沢ディオス ATK∞
三沢に攻撃はできない。


究極生命体三沢ディオス ATK∞  ネイキッド・グレファー・パーフェクト・フォーム ATK3000
グレファーの存在感、低下?


ドリル・ガイ「俺の○○○が…しぼんでいく…」


 最強の敵だった。これでお前を守る連中は消えたぞ、耕介。


耕「『地割れ』、『地砕き』、『ハンマーシュート』」
三「効かん効かんーっ!」
エ「コーチンッ!」
ギ「行くギゴッ!」


 なぜ戻ってくるエリカ君、君を見ていると壊したくてたまらなくなるじゃないか。


ゴギガ・ガガギゴATK2950  究極生命体三沢ディオス ATK∞
三沢に攻撃はできない。


究極生命体三沢ディオス ATK∞  ゴギガ・ガガギゴATK2950
ガガギゴの存在感、危険域。


ギ「もうダメ、ギゴ…」
耕「何で来たんだっ!?」
エ「コーチンのバカーッ!」
耕「バカはエリカだっ!」
エ「やだよ、やだやだ〜っ」


 なぜだ、無性に腹が立つ。全てをブチ壊してやりたくなる。


・[ラブラブオーラをブチ壊す
>[面倒だから全部ブチ壊す


三「イチャつくなーっ!」
耕「来るぞ、エリカーッ!」
エ「え、ええっ!?」
ギ「やらせない…ギゴ……」
耕「くそっ!」


究極生命体三沢ディオス ATK∞  ギゴバイト ATK350
ガガギゴの存在感、消失。
究極生命体三沢ディオス ATK∞  地霊使いアウス DEF1500
耕介の存在感、危険域。


耕「つっ…」
ギ「グ、ギゴ…」
エ「ギゴちゃん? ウソでしょ…」
ギ「約束したギゴ…エリカちゃんを守るって……」
耕「ガガギゴ…例え君の存在感がゼロになっても…想いがある限り存在は…」
エ「コーチン…体…」
耕「僕の存在感も…消える…?」


 ガガギゴの奴、光になって消え去りやがった。いい様だ。ヒャハハッ! 耕介、お前が消えれば俺が主役だっ!


耕「…(僕の記憶が薄れる…)」
エ「…」


 何だ? まるで葬式みたいな顔しやがって。


耕「…(何だ…この映像は…? 僕は…アウス?)」
エ「…」
耕「僕が指示を出す…エリカ、僕の言う通りに動くんだ」
エ「うん…」
耕「今から見せる事は…ちゃんと目を逸らさないで見て欲しい…」
エ「うん…」
耕「裏融合解除、全てを除外し…」


―漆黒の魔王を、本来の形で復活させる―


 ―コード―


―Dynamic―


―Great―


―Fighter―


―Dy・Gre・Fer―


―解除完了―


―ダーク・ルシアフ・D・G・F―


―憑着―



漆黒の魔王D・G・F 地 悪魔族 LV12
ATK5000 DEF5000
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「地霊使いアウス」
 このカードは、融合素材となる2枚のモンスターを自分の墓地から除外し、自分の場のカード・手札・デッキ・墓地を全て除外し、自身のLPを1にする事でのみ場に出せる。このカードが場に存在する限り、自分はこのカード以外のカードを全て使えない。このカードは相手モンスターが存在する場合でもダイレクトアタックが可能。このカードの存在するバトルフェイス時、あらゆる効果の発動が出来ない。このカードが戦闘ダメージを与えた時、相手のデッキの一番下のカードのみを残し、相手の場のカード・手札・デッキ・墓地を全て除外する。このカードが場から離れる時、自分はサレンダーする。


 何だと? 耕介が悪魔の形になった。デビルマンか? まあ、俺はその上を行っているがな。


エ「コーチン…それ…」
耕「よく分からないけどさ、前世の僕はこの力を取り込んで死んだらしいんだ」
エ「カッコイイ…」
耕「たぶん、珍しい意見だよ」
エ「きゃうっ…変なトコ触んないで……」
耕「ゴメン、漆黒の魔王って手癖悪いみたいでさ…」
エ「いいよ、コーチンなら…」


 待て待て待て待て待て待て待てーっ! 風紀の乱れはこの三沢大地が許さーんっ!


三「俺は認めんぞ、許さんぞーっ!」
耕「デッキの装備カード、全部使えるだけ使って」
エ「うん…」


漆黒の魔王D・G・F ATK5000+6400=11400


三「それがどうした、攻撃力ならこっちが上っ!」


究極生命体三沢ディオス ATK∞


耕「言ったよね、そのセリフを言ったら絶対返り討ちに遭うって」
三「三沢フレーーーイムッッッ!!!」
耕「漆黒の…一撃っ!」


漆黒の魔王D・G・F ATK11400
ダイレクト。
三沢本体 LP4000→0


三「効かん効かーんっ!」
耕「そうれはどうかな? 三沢、お前の運命は決まった」
三「何っ?」
耕「今、君の場のカード・手札・デッキ・墓地は全て除外された。言い換えれば、エクゾディオスを構成していた三沢大地は粉々に砕け散り、取り込まれた3人は外に除外される」
三「何だとぉっ!? この究極神たるエクゾディオスがぁっ!?」
耕「人呼んで、奥義マインド・クラッシュッ! 1から心を組み直すんだね」
三「うぅ………」


 俺は心の砕ける感触を覚えた…


 …


 三沢は精神崩壊し、倒れた。だから実況は僕が引き継ぐよ。


エ「…」


 エリカは無事だ。城乃内(角刈り)も本田もレアハンターも無事だ。たぶん港は再起不能の被害だろう。


耕「精魂使い果たしたって感じだよ…」


 僕はいつもの姿に戻っていた。外見だけは… 頭の中では魔王の意識と前世の記憶が暴れ回っている。


エ「すごいねコーチン…」
耕「僕に近付くなっ!」
エ「大丈夫だって…」
耕「全然大丈夫じゃないんだ、これをやると…これやると…女癖が悪くなるんだ…あははは…」


 前に1回だけ試した事がある。あの時は副作用で朱里と一線を越える一歩手前まで行ってしまった。何だかんだ言っても好意のあるエリカにそんな真似は出来ない。するならば自分の意思でなければならない。


エ「私は平気…」
耕「…」
エ「だから…」
耕「…」
エ「ね?」
耕「…」


 エリカも何かに毒されてるんじゃないのか? 僕も声が出せない、体が勝手に動く。このままじゃ、色んな意味でヤバイ…


エ「いいよね?」
耕「ああ…」


 あーあ、僕の理性は完全に機能してない。もうダメだ。こんな時に限ってエリカめ、積極的になりががって。それ以上顔近づけるな、唇がぶつかるって。何で冷静になってられるんだ。動け、自分。


エ「そうかい、漆黒の魔王の力は、ボクのものだよ」


 エリカは突然声色を変え、僕のディスクから漆黒の魔王を抜き取った。このまま数時間後にベッドイン…なんて無様な事はしないで済んだ…なんて言っている場合じゃない。今度は別の力で体が動かない。


耕「エリカ…?」
エ「エリカ? この抜け殻の事だね? 君には全力で戦って欲しかった、全力でエリカを愛して欲しかった。なぜだか分かるかい?」
耕「…!?」
エ「漆黒の魔王の力を奪うたため、そして君の最高の絶望を味わってもうらため…」
耕「お前は…誰だ?」
エ「ユベル」


―零に限りなく近き者よ―


―無限に限りなく近き者よ―


―漆黒の力と共に―


―新たなる世界を創れ―


―ボクの愛する者のために―



 エリカはエリカではなくなっていた。瞳が左右違う色だ。異質な何かであると直感した。三沢から何かが噴き出している、漆黒の魔王とエクゾディオスのカードからも何かが噴き出している。空間が歪み始めた。だが、心身ともに疲れ切った僕はその先を見る事なく、まぶたは塞がってしまった…


典「まずいっ!」
朱「空間が歪んでる…」
典「飛び込むぞっ!」


 典子の言葉を借りると、最悪の形で『物語』は始まってしまった。






―僕は長い夢を見ていた―


―アウス=グラウンドマスター=モウヤン―


―彼女は僕であって僕でない―


―大魔導師の称号を得た地霊使い―


―アウスのパートナー、エリア―


―アウスの後を付けて回る見習い、ウィン―


―精霊界からの来た妖狐、ヒータ―


―兄貴と慕っていた、戦士グレファー―


―そして、戦争―


―蘇るはずのないエリアに禁術を使うアウス―


―ウィンを人でなくしてまで生かしたアウス―


―漆黒の魔王となったグレファー―


―最高位の禁術で漆黒の力を身に取り込み、自らを滅したアウス―


―最高位禁術の名は―


―超融合―






第11.5話 そして、三沢は大地となり空気となった

 (注)…11.5話〜13話は書いている私自身にも意味不明な三沢的描写が含まれます。覚悟してから読んで下さい。


 僕は目を覚ました。今の僕は大地耕介であるが、アウスでもある。過去の記憶と現在の記憶、両方の負の部分に押し潰されそうだ。エリアの事、ウィンの事、エリカの事…




  〜耕介の部屋?〜


朱「…」
典「起きたか?」
耕「典子…? ウィン…? だめだ、どっちで呼べばいいんだ?」
典「思い出したのか?」
耕「頭がごちゃ付いて何言えばいいのか分からない無いけど…とにかくそんな体にしてゴメン」
典「微妙に変なセリフだな」
耕「例の後遺症だよ、うん」
典「気にするな、人形の体も意外と便利なものだぞ。出来が良くなれば人間と変わりはない」
耕「1000年も放っておいたらこうなるんだ。すっかり口が悪くなったね」
典「まあ、な…」
耕「やっと言えるね、ただいま」
典「アウ姉…」


 ウィン。アウスに関わってしまったばかりに死なせてしまった子。そして、人形の体で生き続ける運命を押し付けてしまった子。1000年も僕の帰りを待たせてしまった。


朱「…」
耕「尻尾、ちゃんと9本になってたんだ」
朱「コウちゃん…アウスにならないで…私は男のコウちゃんが好きだから…」
耕「参ったな…」
朱「ひっ…触っちゃ…」
耕「だから後遺症、不可抗力」
朱「…」


 ヒータ。元々万年単位で生きる狐の精霊。長寿な生物だけに増えた尾だけが時の経過を感じさせる。多重人格も発火も昔のままだ。


耕「そうだ、エリカはっ?」
典「分からない。ただ、言える事はエリカがエリアである可能性は100%であるが0%でもあるという事だ」
耕「僕のせいだ…」


 アウスの親友エリア。禁術を連発し、魂さえも魔力に変換し消えた。まるで昨日の事のようだ。そのエリカを転生の術で蘇らせようとし失敗した事も。そのせいで『空っぽの魂の情報』を引き継いだ存在としてエリカは生まれたんだ。だから100でもあるが0でもある。


典「ああ、失敗によって生み出された『魂の空き』が何者かに乗っ取られていたのだろう」
耕「…」


 という事は…エリカに魂はあったのか? そもそも存在しえるのか?


朱「大丈夫…?」
典「そう驚くな、乗っ取られたのならば取り返せばいい」
耕「じゃあここは? 僕の家なのか? 何か変だぞ」


 そう、見慣れた家にいるはずなのに何かが違う。配置や色彩、その他諸々に違和感がある。


典「今この世界にいるのは私達3人だけだ」
朱「エリカの造った世界…」
耕「それにしてはリアリティあり過ぎるような… 少し違和感があるような…」
典「答えはすでに出ている」


 ウィン…いや、典子は数組のカードと数冊ノートを差し出した。


耕「カードの中身が…白紙?」


 パックのカードは全て白紙だった。逆に内容の決まっているストラクチャーデッキや付録は絵がはっきりと描かれている。そして、開封済みの店頭に飾られたカードもはっきりと描かれている。


耕「まるで誰かの記憶だけで造られたような感じだね」


 自分のカードを引き出しから出す。これは…白紙どころか空間レベルで何も存在していない。机の中もタンスの中も、鞄の中でさえ虚空となっている。何かがあるのに何も無い感覚だけが存在する。


耕「そして僕の引き出しの中身を知らない者の記憶」
典「そうだ」


 僕のノートは白紙。エリカのノートも白紙。そして、三沢のノートは…小難しい事を羅列してある…と思ったら、自画自賛ノート。


耕「夢や精神世界とは何かが違う… まさか、三沢の造り出した世界なのか? 確かに僕は三沢の心を砕いた。三沢の心を土台にした世界?」
典「もしくは、私達にそう誤認させるための世界だ」
耕「とにかく、作戦を練ろう」


 本当の自分の家ではないが、ここは自宅だ。冷蔵庫の中身もある。空白じゃないのか? まさか三沢の奴、僕の家の冷蔵庫を勝手に開けたのか? そうか、あの時ヨーグルトを食べたのは三沢だったのか、エリカに悪い事言ったな。それにしても、耕介のままだったら現状にこんな冷静でいられただろうか? こんな言い方をしているという事は、僕はアウスに戻ってしまったのか?


耕「…」
朱「…」
典「…」
耕「食事中悪いけどさ、空間研究の事、覚えてるよね?」
典「異空間計画の一端か、当事者だからな」
耕「宇宙創成の前は何があったのか? その答えの1つとして、新しい空間を作るのに物質も魔力もいらないという仮説が出た」
朱「うん…」
耕「零に限りなく近い者と無限に限りなく近い者。エリカ…いや、ユベルが言ってた言葉だよ。もしかしてさ、三沢の存在感とエクゾディアの力を指すんじゃないかな? 零と無限の間には全ての数がある、全ての存在が」
典「まさかな…」
耕「始まるきっかけさえあれば、1人の肉体と魂からでも世界は造れる。すなわち、この世界は三沢そのものだ」
朱「絶対有り得ないよ…」
耕「そしたらさ、今吸ってる空気も、その油揚げも、そのシュークリームも全て三沢。三沢は大地となり、空気となり、世界そのものとなった。どう、気分悪くなった?」
朱「げほっ…」
典「う…」
耕「冗談はやめにしてと」
典「またバカにしないでよ、アウ姉っ!」
朱「あ…」
耕「お、懐かしいフレーズ」
典「あう…あ、忘れろ…」
耕「まあいいや、外に出てみようか。三沢なりエクゾディアなりを探さないと僕達はエリカを見つけるどころか外に出る事さえ出来ない。早くしないと体を構成する物質が三沢由来の原料だらけになっちゃうよ」


 そう、ユベルとやらからエリカを助け出さなければならない。この意思はエリアに対するアウスの固執なのか? それとも耕介のありふれた恋愛感情なのか? どちらにしても、エリアの魂をこんな形でこの時代に蘇らせた元凶は僕だ。僕がどうにかしなければならない。だが、僕の中のアウスは知っている。絶対に否定したいものを、真実を…





The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第12話 錯綜する記憶の中で

 僕はアウス=グラウンドマスター=モウヤン。1000年の時を超えて現代に蘇った魔導師。今、僕がいるのは三沢大地という人物の心が造り出した世界なんだ。この世界を突破しないとエリア…いや、エリアの抜け殻として生まれたエリカ…いや、それを乗っ取ったユベルに会えない。エリアはもういないんだ、エリカは存在さえしない…ちゃんと冥界に送ってあげないと…



   〜外〜


 外に出た。そこは不思議空間だった。太陽は無く、それにも関わらず明るい。周囲は知っている風景そのままだが、左を見ればアカデミア、右を見れば海馬コーポレーション本社。三沢の造り出した世界らしい情景だ。だが、僕の感覚も壊れていた。日常生活を送っていた場の複製品に、まるで1000年前を故郷を見るかのような錯覚を覚えた。逆に、アウスのラボがつい昨日までいた家のように頭に浮かぶ。


朱「どうしたの…?」
耕「ちょっと記憶がゴチャ混ぜになってて… ここって絶対変な地理になってるよね?」
典「当たり前だ、ついさっきまで本物のここにいたはずだろう?」
耕「そうだね、ウィン。あとさ、女の子ならもっと言葉使いに気を付けた方がいいよ」
朱「え…?」
典「お前…」
耕「あれ?」


 いよいよもっておかしくなって来た。僕は大地耕介。そう、アウス=モウヤンはすでにこの世にいない。だけど…自分が耕介だと思うと心の中でそれを否定しようとしてしまう…


??「やはりそこにいたか」


 あれは…誰だっけ? 遠い記憶の片隅にある誰かの声だ。どちらにせよ変だ、ここにはウィンとヒータ以外はいないはずだ。


典「三沢…だよな?」
朱「三沢じゃない…」
三沢?「そうだ、俺は三沢大地だ」


 そう、三沢だ。変だ、なぜそこにいる?


三沢?「俺は耕介に粉々に砕かれた三沢大地の心の欠片。最も表層的な部分である『客観』たる三沢大地だ」


 はい?


客観の三沢「つまりは君達の心に潜在的に存在する三沢大地が顕在化した存在、それがこの三沢大地だ」
耕「三沢の断片が何の用?」
客「もう一度言うが、俺は『客観』たる三沢大地だ。この大地を構成している三沢大地でなければ、欠片となった三沢大地の心でもない」


 ものすごく腹立つ。


客「『客観』たる俺は君達の望む情報を与え、この大地の道しるべとなる使命がある」


 殴っていい?


客「すでに感付いているかも知れないが、この大地は三沢大地の肉体を寄り代として構成されている大地だ。つまり、空気、水、土、街並み、全てが三沢大地だ」
朱「げふっ…」
典「耕介の言った通りになったな…」
耕「僕は冗談で言っただけなんだけどね」


 ちょっと後悔した。三沢と同じ発想なのだから。


客「分かりやすく言えば閉鎖空間だ。外に出る手段も無い、三沢大地の憂鬱とでも思ってくれ」


 本当だよ、三沢のクセに涼○ハ○ヒみたいな事するなよ。で、この世界の名前どうしよう? ミサワールドでいいか。


客「これから君達は欠片となった三沢大地の心1つ1つと向き合わなければならない。三沢大地の葛藤、苦しみ、悩み… 様々な心の闇の断片が独立した三沢大地を成し、この大地を彷徨っている」


 怖いって。


客「330個の心の欠片が1つとなった時、三沢大地は完全たる三沢大地となり、大地の門は開かれるだろう」


 いや、大地の門って何? それに細かく砕け過ぎ。前も330人に分身しなかった? あとさっきから大地大地うるさい。


客「俺に語れる事はここまでだ。これから『客観』たる俺は君達と行動を共にし、大地の成り行きを見守る」


 そりゃどうも。


朱「どうしよう…」
典「大変だな、どうやら私達は三沢の心とやらを330回も見なければいけないようだ」
耕「無視しよっか?」
典「その手もあるが、空間を知らなければ何も出来ない」
朱「じゃあ…」
耕「大地の欠片、コンプリートしようか。三沢、ゲットだぜっ!」


 こうして、僕達は異常な世界ミサワールドを歩き回る使命を受けた。


典「そんな事もあろうかと、コマンダー探知機を三沢探知機に改造しておいた」
耕「どんな事を予期したの?」
客「それは無駄な事だ。この大地は現実の三沢大地同様、ミサワスキー粒子が散布されている。ミサワスキー粒子の恩恵で三沢大地は有視界以外での存在感を遮断され、ミサワスキークラフトで浮いた存在になっていた事は既に知っているはずだ」


 初耳だよ。




   〜主席の間〜


 たぶんここはアカデミアの教室なのだろう。さっそく1人の三沢を見つけた。どうやら、大地の欠片それぞれが三沢になっているというのは真実のようだ。


三沢?「…」
耕「あれは?」
客「ラーイエローの『主席たる三沢大地』だ」


 ごめん、三沢が2人並ぶなんて…笑いを抑えられるか微妙だ。


主席の三沢「俺はラーイエロー主席だ、いつオベリスクブルーに編入されてもおかしくない実力の持ち主だ…」


 なんか三沢の戯言が始まった。


主「学力においてはアカデミアトップだ…いや、世界最高峰と言っても過言ではない…」


 過言だよ。


主「だが、俺はオベリスクブルーに入る勇気が無い、なぜだか分かるか?」


 知るか。


主「怖いんだ… イエローのトップであってもブルーの中に入ってしまえばただの一生徒に過ぎない…」


 今さっき世界最高峰って言わなかった?


主「そうだ、俺は…」


 主席の三沢がウダウダモードに入った。放置する事30分。


 …


主「考えてみれば、あの時も…」


 主席の三沢が回想モードに入った。放置する事30分。


 …


主「どうすればいいんだ俺は…」
耕「どうしよっか?」


・[優しく励ます
・[叱咤激励っ!


 なんかギャルゲの選択肢っぽいよ。じゃあ、選択肢の強制追加ね。


・[優しく励ます
・[叱咤激励っ!
>[ブチのめす


 いいかげん飽きてきたのでこの選択が有効だと思う。


耕「アタァッ!」
主「な、何をする…? 俺はラーイエロー主席だぞ?」
耕「大体さ、人にウダウダ言ってられる悩みなんて悩みのうちに入らないんだよね。『私は悩んでます』なんて自己主張してどうする気? 落ち込んで気を引いてるつもり? 三沢のくせに」
主「それもそうだ…」
耕「だからもっと殴られろ、アタタタァッ!」
主「あべしっ…」


 何度も殴っているうちに主席の三沢はまるでドライアイスのように気化していった。やっぱり三沢は気体なんだね。主席の三沢はガラスのような一欠片を残して胡散霧消した。ふう、やっと静かになった。


典「これが大地の欠片か」
朱「三沢の魂をほんの少し感じる…」
耕「じゃあさ、これ紛失したら三沢の再起不能は決まりだね」
典「急ごう、あと329個あるんだ」




   〜天才の間〜


 ここもアカデミアの一室なのだろう。また三沢を発見した。


客「あれは『天才たる三沢大地』だ」
耕「自分で言うなっての」
天才の三沢「俺の頭脳は、世界一ィィィーーーッッッ!!!」
耕「黙れ」


 天才の三沢も蹴りの前に散った。ふう、うっとうしいのが消えた。大地の欠片2個目入手。


典「まさか、力ずくで叩きのめせばいいのか?」
客「おかしい、心に抱えた問題を解決する事で三沢大地の断片は大地の欠片になるはずだ」
耕「じゃあ戯言聞く必要ないね」


 バグだよ。創造主が三沢の世界なんだしね。穴の1つや100個あって当たり前だよ。


朱「見て…」


 2つの大地の欠片は溶け合うように1つになり、1つの欠片になった。なるほど、異物を混ぜたらどんな三沢が組みあがるのだろう? 後で試そう。


朱「あと328個…」




   〜全裸の間〜


 アカデミアの外に出ると…


客「あれは『全裸の三沢大地』だ」
耕「そうだね。うん、そうだね」
全裸の三沢「はーっはっはっはっはっ!」
耕「これでもさ…僕、女の子なんだよ。はっきり言って見苦しい」
典「待て…」
客「今度こそ心の断片と正面から向き合ってくれ」


 絶対正面は御免だね。


朱「…」
全「さあ、飛騨君も俗世の全てを脱ぎ捨てて心も体も軽くなろうっ!」
朱「燃えてなくなれっ! 消えろ消えろ消えろっ!」


 お、ヒータが燃えた。三沢も燃えた。三沢が燃え尽きた。焼け跡から大地の欠片が発見された。あと327個。


典「よくやった」
朱「やっと…消えた…」
典「だが…耕介」
耕「…」
典「耕介っ!」
耕「何だい、ウィン? なんかその名前で呼ばれてもしっくり来ないんだよね」
典「しっくり来ないのはお前の方だ」
耕「僕的にはウィンの言葉使いが心配だよ」
典「お前、何しにここに来たのか憶えているか?」
耕「僕の不始末で出来たエリアの抜け殻をちゃんと片付けないとね」
典「エリカはどうなるんだ? エリアは死んだがエリカは今生きている」
耕「最初から存在してないよ。抜け殻は抜け殻、魂は無い。だから最初からユベルって奴が憑いてただけなんだよ」


 僕自身の使った禁術だ。無を死者転生させても魂の無い抜け殻しか出来ない事ぐらい、自分がよく知っている。


朱「コウちゃんおかしいよ…」
典「ああ、まるで耕介の記憶が上塗りされたようにな」
耕「そう? 何ならこっちの時代で初めて会った時の話しようか?」
典「この際、耕介かアウスなのかはどうでもいい。今のお前は男だ、不気味だぞ」
耕「その辺は問題無し、グレファー兄貴の残した術にいいのがあるから安心」
典「人類女性化計画のか?」
耕「そう、全部元通り。昔のままに戻れる、僕の転生は完全。それとも僕の事好きになっちゃった?」
典「…」
耕「図星?」
朱「コウちゃん…」
耕「だからアウスだって」
朱「黙って付いて来て…」


 ヒータは僕を無理矢理連れ出した。




   〜漢気の間〜


 でも、何で三沢の場所に来るわけ? ここ男子更衣室だし。


朱「あれ…」
客「あれは『漢気たる三沢大地』だ」


 確かに。漢気三沢の『漢』と書かれた赤いフンドシは漢気に溢れている。三沢のどんな心の化身なんだ?


漢気の三沢「よく来た、耕介っ! ここは漢と漢が語り合う場だっ!」
耕「ごめん、もう男はやめるから。ぶっちゃけ性別なんて超越したし」
漢「男ではなく漢だっ! 女々しい顔をするなっ!」
耕「だからさ、明日にはどっちでもないの。分かる?」
漢「ふっ、俺から逃げようなんて1000年早いっ、デュエルだっ!」


 あれ? 1000年前にも似たような事言われたような…


 回想モード、開始。


「兄貴、僕も連れてってよ。地霊術には自信があるんだよ」
「女が戦場に立とうなんて1000年早いんだっ!」
「1000年経ったら… 役に立つよ…」
「だったら長生きしろよ。その時は…」


 回想モード、終了。


 あれから1000年か…あの後、兄貴は何て言ったんだろう…


耕「兄貴…」


 グレファー兄貴…今はカードの精霊… そして三沢に存在感を消されて…見えるけど見えないものとなった…


耕「兄貴…僕はどうすればいい? エリカを助けたい。無理だと頭では分かってるんだけど…」
典「いない奴に頼るな」
漢「さあ、デュエルだっ!」
典「まあ、少しは楽しんで気晴らししたらどうだ?」
耕「分かった…兄貴がそう言うなら…」
「「デュエルッ!」」


 あまり乗り気じゃないけど、目の前のフンドシ三沢とデュエルしてみる事にした。


漢「俺の先攻、ドローッ! オキシゲドンを召喚し、ターンエンドだ」
耕「僕のターン…?」


 僕はやっと気付いた。この世界でのデッキの異変を。僕の手札は6枚全てが白紙だった。


耕「何で…三沢が知らないデッキだから?」
朱「違う…」
耕「ヒータは…ヒータはは知ってるの?」
朱「自分で考えて…コウちゃんなら分かる…」


 何も教えてくれない。その答えさえ分かればこのカードは元に戻るはず。


耕「ターンエンド…」


 そう、答えさえ分かれば…


漢気の三沢 LP4000
手札:6
モン:オキシゲドン


漢「俺はハイドロゲドンを召喚、2体で攻撃だっ!」


オキシゲドン ATK1800
ダイレクト。
耕介? LP4000→2200
ハイドロゲドン ATK1600
ダイレクト。
耕介? LP2200→600


耕「く…うっ!?」


 僕の体に本物の苦痛が走った。ソリッドビジョンの映像ではない、恐竜に叩かれた感触そのままだ。


漢「他愛もないな、耕介っ! 俺は1枚伏せてターンエンドだっ!」


 何が起こっているんだ…よく考えろ…


耕「守るカード…守るカード…」


耕介? LP600
手札:7


 僕の引いたカードは…白紙じゃない、『攻撃の無力化』? デッキに入れた覚えは無い。


耕「1枚伏せてターンエンド…」


 僕はLMコンバーターの存在を思い出した。生命力を魔力に変換する装置。あれを使った時と同じ感触がする。デュエルディスクから?


漢気の三沢 LP4000
手札:6
モン:オキシゲドン ハイドロゲドン


漢「ハイドロゲドンを召喚。ボンディングを使い…水素と酸素を1つにし、ウォーター・ドラゴン召喚っ! 攻撃っ!」


 ペガサス、海馬瀬人、共に古代エジプト縁の者だ。意図か無意識かあれをシステムに組み込んでいてもおかしくはない。特にこんな物質や精神の概念が歪んだ世界、機械としてのシステムを魔術のシステムが凌駕してもおかしくはない。だとしたら…


耕「『攻撃の無力化』」


ウォーター・ドラゴン ATK2800
戦闘無効


 水という存在が過去の記憶を呼び覚ます…水…エリアを…


漢「どうしたっ! 漢気が足りんぞっ!」


 分かっている。僕に今足りないもの。魔力でもデュエリストとしてのスタンスでもない。僕の頭の中にある願望と現実の矛盾。僕は耕介だ、エリカを取り戻したいという願望がある。僕はアウスだ、自分の使った術の原理も結果も分かってしまう。前世の自分は抜け殻の魂を造り出した。アウスとしての知識はエリカが抜け殻であると知っている。僕が今まで見て来たエリカは実在しないと。ユベルという存在により造り出された虚構の存在であったと。魔力は精神そのもの、こんな揺れた心ではまともな魔力は流れない。だとしたらLMコンバーターの機能は働かず、デュエルディスクも誤作動する。


耕介? LP600
手札:7


 今引いたカードはカエルスライム。レア度は高いけどザコなカード。今の僕の精神状況に相応しい、滑稽だ。


耕「僕は守備表示で召喚してターンエンド」


漢気の三沢 LP4000
手札:5
モン:ウォーター・ドラゴン


漢「俺はウォーター・ドラゴンに『団結の力』と『魔導師の力』と『デーモンの斧』を装備させっ、攻撃っ!」


ウォーター・ドラゴン ATK6100  カエルスライム DEF500
カエルスライム、破壊。


漢「だらしないぞ耕介っ! それでも漢かっ!? 漢には絶対に曲がらないモノが心の底にあるだろうっ!?」


 分かってる…僕は自分がアウスであると言い聞かせる事で…嘘を吐く事で全てを誤魔化そうとしていた。だけど、僕の嘘は僕自身を納得させていない。だから、僕自身を納得させられる嘘を…


耕「あるある、フンドシ漢に言われるまでも無いって」
漢「だったら声に出して叫べっ! カードは応えてくれるぞっ!」
耕「あ、そうか…」
漢「思いついたかっ!?」
耕「2人とも、完璧な存在ってあると思う?」
朱「ないよ…」
典「あると仮定したところで完璧な証明方法が必要になる」
耕「だったら僕は…自分が失敗していた事に賭けてみようかな」


 エリアの転生は完全に失敗していた、空っぽの魂を形成さえしないほどに… それがエリカの存在を証明する唯一の方法… あの時のアウスの狼狽はこんなものではなかった… それが過去の自分の術が機能していなかった事を証明する脆い理論… こんな呆けた理由で自分を言いかせる自分がいた。それに、無から有が生まれる事は、目の前にいる人物が証明している。我ながらボロボロの理論だ。


耕介 LP600
手札:7


 こんな不純な動機でも、精神が安定すれば魔力の回りは良くなる。魔力が回れば、この世界でのカードは在るべき形になる。魂から直に力を得る為のLM(ライフ・マジック)コンバーター、これを使う事で多大な魔力を得る事が出来る。代償は極度の疲労、内臓疾患、精神への支障、あるいは死。闇のゲームと呼ばれる原理であり、エリアの存在を無に還した代物でもある。やはり、デュエルディスクはLMコンバーターとしての機能を果たしている。引いたカードもまるで呼び寄せたかのように都合の良いカードだ。


耕「典子、デュエルディスクはLMコンバータなんだね?」
典「そうだ、海馬瀬人が無意識に組み込んだようだ。向こうの呼び方もあるようだが」
耕「道理で、超常人物がデュエルモンスターズやってるはずだ。僕を含めてね」
漢「さあ、来いっ!」
耕「いい?」
漢「おうよっ!」


 試験的にドローするカードを完全コントロールしてみる事にした。デッキに入っていないカードも、存在しないカードも、自由自在。数十ターン後…


耕「え〜くぞ〜でぃあ〜」


耕介の手札
 封印されしエクゾディア
 封印されし者の右腕
 封印されし者の左腕
 封印されし者の右足
 封印されし者の左足


耕介のモンスターゾーン
 究極完全体・グレート・モス
 ゲート・ガーディアン
 VWXYZ−ドラゴン・カタパルトキャノン
 ファイブ・ゴッド・ドラゴン
 スピリット・オブ・ファラオ


耕介の魔法罠ゾーン
 ウィジャ盤
 死のメッセージ「E」
 死のメッセージ「A」
 死のメッセージ「T」

(終焉へのカウントダウン・あと1ターン)
(ハイパーヴェノムカウンター・あと1発)


漢「…」


漢気の三沢 LP100
手札:0
デッキ:0
場:空っぽ
墓地:全部除外されて無い


 本当に便利だ、いつぞやの奇跡的状況を完全再現。ちょっと魔力を使えばドローするカードの改ざんもお手の物だ。持っていないカードさえ引いてしまう。ぶっちゃけ、裏システムはカードを信じたりすれば無意識的に働くのだろうけど、今の僕には意図的に起こせる。これぞ、ディスティニードローの正体。意図的に行えば精神異常も心臓発作も簡単には起こらない。


漢「我が人生、一片の悔いなし…」
耕「あっそ」
漢「耕介よ、このフンドシを使え…」


 フンドシと大地の欠片を残し、漢気の三沢は消え去った。あと326個。


耕「ちょっと心が晴れたかな?」
典「お前は耕介だな?」
耕「当然、アウスも混じってるけどね」
朱「コウちゃん…」
耕「ありがとう、朱里。あの三沢の漢気に当たらなかったら踏ん切りが付かなかったかもしれない」
朱「結果オーライだよ…」
耕「じゃあ行こうか、エリカを取り戻しに」
典「存在しないのではなかったのか?」
耕「簡単な話さ、1000年前の術が失敗していれば前提は覆る」
典「そう、だがな…」
耕「親友が死んだって時に難解な禁術に成功する方がおかしいんだ」
ドリル・ガイ「待て」
耕「兄貴?」


 兄貴の存在感は残っていた。一糸まとわぬその姿は、むしろ誇らしそうだ。…ってより、存在感全然消えてないし…


典「あ…」
耕「分かってるよ、兄貴の存在感は…あれ?」
典「お前、三沢に消されかけたよな?」
耕「そういえば僕も…」


 僕(耕介)の存在感も薄れてたんだった。そりゃ、前世(アウス)の記憶と考えが優先されても仕方ないよ。今頃気付くなんて… まったく、何をさせても世話のかかる奴だよ、三沢。


ド「そのフンドシ、俺にくれ。三沢に消された服が元に戻らねえんだ」
耕「別に僕のじゃないし… 早く着ろっ!」


 …


 かくして、ドリル・ガイはフンドシ一丁の漢になった。


ド「似合うか?」
耕「そこそこ」
ド「だったらどれでどうだ?」


 額に輝くのは日本の星ハチマキ。イヤ度倍増。


耕「じゃあ、行こうか」
ド「待て、アウ…いや、相棒」


 ダイ・グレファーは、赤フンHEROドリル・ガイにクラスチェンジした!
 攻撃力が200上がった!
 守備力が1600下がった!
 漢気が倍になった!
 露出度が極端に上がった!
 存在感が激増した!
 変態指数がリミットブレイクした!
 夜1人で出歩くと危険な世の中になった!


 人の心は矛盾だらけだ。自分の満足のためなら死者を蘇らせようともする。自分の満足のためなら存在しないかもしれない人の事を信じてしまう。自分を納得させるためならどんな理屈や嘘も並べてしまう。今の僕だって、在りもしない希望で安心した振りをしているだけなのかもしれない。そんな希望であっても僕はエリカを求めている事を実感した。そして、エリアはこの世にいない事も実感した…


典「さっきからどこ触ってるんだ?」
耕「胸」
典「後遺症でごまかす気か?」
耕「ちっちゃい。どうせ体が作り物ならさ、もっとこう…」
典「考えておく」


 自分を耕介と自覚すると手癖の悪さが再発した。元を辿るとグレファー兄貴から伝染したんだけど。






―僕には未来が見える―


―ほんの数秒であり制御も利かない―


―アウスとしても耕介としても生まれつきの特技―


―この特技に人は憧れる―


―だけど未来なんて見るものじゃない―


―嫌でも先が分かってしまう―


―見たくない未来も否応なしに頭に入って来る―


―何よりも同じ時を生きている気がしない―


―僕は数秒先の世界で孤独なのかもしれない―


―とは言っても―


―別にどうでもいいんだけど―





第12.5話 集結

   〜明日香君ラブの間〜

客観の三沢「あれは『天上院明日香を愛する三沢大地』だ」
耕「誰それ? まあいいや」
愛する三沢「天上院く…ぐほっ………」
耕「先手必勝」


 僕は大地耕介。1000年前の大魔術師アウスの生まれ変わりでもある。今の僕達は三沢大地の大地、通称ミサワールドで330の大地の欠片を集めている。途中で落ち込んだりもしたけど、エリカを取り戻したい気持ちは固まった。三沢の大地を突破し、ユベルとか言う黒幕をブチのめすべく、欠片を早く集めたい。


耕「これで何個目?」
典「23個、残り307個だ」
耕「まだこれだけか… 6時間かけて」
朱「少し休もう…」


 三沢は徐々に手ごわくなっていた。強いわけではない。便利な三沢ネットワークで危険を感知して隠れているのかもしれない。ここ2時間で5人しか撃破していない。


客「これも当然の報いだ」


 この客観の三沢が情報流してるとしか思えないけど。


 …


典「そろそろ来るぞ」
耕「来るって何が?」
朱「マリク様…?」
典「違う、味方だ」


 三沢の世界の空が歪んだ。一筋の光の線が歪みから飛び出した。空間が割れる、割れ目から白い龍が舞い降りた。ついでに無数の人影が落下する様の見えた。


朱「木更津さん…」
耕「メチャクチャ心強い味方じゃない?」


 当然、味方の落下地点に向かう事にした。あの単体では最上級のモンスター(?)さえいれば怖いものなしだね。




   〜落下地点〜


木「今朝、瀬人様にお姫様だっこされる夢を見ました、木更津です。今日もし・あ・わ・せ…きゃはっ」
典「そ、そうか…」


 意味が分からない人はコミックを読み返してみよう。不謹慎かもしれないよ。


木「お嬢様、ご無事で何よりです」
典「よく来てくれた、木更津」
木「お嬢様の緊急事態と聞いて、知る人知らない人、片っ端から集めて来ました」
耕「…」
朱「…」
木「私が少し息をかければこんなものです。海馬コーポレーションと言えばみなさん素直に来てくれました。人徳、バンザイです。瀬人様、最高です」


 息ってバーストストリーム? 社長の人望ってすごいね、うん。すごいすごい。


典「まあいい、本当に頭数だけは集めて来たな」


 ある意味、木更津さんの連れて来た味方(?)に僕は正直言って驚いた。本当に片っ端だから。


木「童実野から連れて参りました」


城之内「やっと追いついたぜっ! …ってこの頭、どうしてくれんだよっ!?」
本田「いいじゃないか、俺とお揃いで。なあ、静香ちゃん?」
「こんなお兄ちゃん見たくない… 目、治らなきゃよかった…」
「あ、君達もいたの? 僕はDDMの営業の帰りでね」
「龍児や、なぜワシはアニメ版では影も形もないんじゃ…?」
「ウヒョヒョヒョ…」
「羽蛾さん、これムシキ○グカードなんかじゃない、恐竜キン○ッ!」
「そんなのしないで龍札やろうよ」
「龍札、開始ィィーーッッ!!」
「な、なあ…誰かレッドアイズ7万で買ってくれへんか? 今なら激安や、どうやっ!?」
「ねえ、死者の腹話術師って誰? 俺マンガ版にいないんだけど?」
「わざわざショーを休んで来たらこれか…珍札、元グールズとして問題起こさないで下さいよ…」
「…」
「おもろ〜〜っ!」
「どこが面白いんだよ、チビッ!」
「みんな、私の事覚えてるよね? レベッカ」
「エアトスは我が永遠の伴侶だ、OCG化などさせるか」


 城之内(角刈り)、本田を含む、原作で見た事があるような顔が17人。


木「こちらは海馬コーポレーションを乗っ取ったプロフェッサーの面々です」


「ブービートラップどこに落としたんだろう…」
「俺って運悪い…」
「あのブルーアイズ女め…観賞用のくせに俺にこんな事させやがって」
「孫達に嫌なみやげ話が出来そうだわ…」
「… ごめんなさい、デュエリストの頭の中ってちょっと怖かったので…つい…」


 誰だかよく分からないけど5人。R読めば名前分かるよ。


木「それとアカデミアと関わりがありそうな方々です」


「カレー食べ放題だから、ラーイエローに帰って来て…」
「ウキーッ!」
「そうだ、スイッチ1つで全てを消し去ってやろうではないか」
「いけません王子っ!」
「みんな〜、そんな張り切らないでもけもけしようよ〜」
「いや、テニスで青春しようぜ」
「それよりドローパン開けるぞっ!」
「そこで問題です、百獣行進には何体のモンスターが描かれているでしょう?」
「カエルではなく王子様ですわ」
「「「「「黒蠍っ、盗・掘・団っ!」」」」」


 微妙なのも混じってるGXな14人。


木「最後に、お嬢様の近所の皆様です」


「事情はよく分かりませんがエリカさんの危機なのですね? 先生がご先祖様に代わって…」
「お嬢様、不肖磯野めが助太刀いたします」
「これが三沢殿の心の闇…拙者が打ち払うっ!」
「コウちゃん、今日はマスターとして手伝おう」
「開けジッパーッ!」
「Yes I Im」
「何やってんのーっ!」


 このストーリーに出た7人。木更津さんに僕たち3人、総勢47人のデュエリスト(?)がミサワールドに踏み込んだ事になる。47人全部の名前が言えた人には、もれなく『32×32グレファードット絵』と対面できるよ。でも、この文章を読んだ時点で、嫌がおうにも『32×32グレファードット絵』を見る事になるけどね。これは僕の決めた絶対運命決定力だよ。


典「よく集めたな、数だけは」
木「瀬人様の次に大切なお嬢様のためです」
耕「ぶっちゃけ、戦力になりそうなのは10人ぐらいかな」
木「耕介君、戦いは数なの。質より量で押し潰せばいいのよ」
耕「ぶっちゃけ、三沢の方が多いけどね」
木「デュエリストのみなさーん、三沢をどんどん狩って下さーいっ!」
「「「「「おおっ!!!」」」」」


 こうして、47人のデュエリストは三沢大地の欠片を探すべく、三沢の大地へと散って行った。47人、なんとおあつらえ向きな人数なのだろう。エリカが喜びそうなシチュエーションだ。もちろん、説得などせずに、武力鎮圧の方面で。


 …


 数時間が過ぎた…




   〜三沢ハウス〜


 モンスターハウスの意味は分かるよね? ここは…全部三沢のモンスターハウス。全部で13人。心ときめくよ、ミサワールド。


耕「三沢ホーム?」
客「三沢ハウスだ」
耕「三沢ホーム?」
客「三沢ハウスだ」
耕「三沢ハウス?」
客「ミ・サ・ワ・ホ・ー・ムだ」
耕「引っかかった、やーい」
客「… あれは『孤独を恐れる三沢大地』だ。あれは『仲間の輪に入りたい三沢大地』だ。あれは『計算し続ける三沢大地』だ。あれは…」
耕「もういいって。マップ兵器使っていい? 木更津さんお願いします。ほら、チェンジ・ドラゴン・スイッチ・オン」
木「はい、チェーンジ・ドラゴン・スイッチ…ありません…」
龍「…が、出て来ました。ブルーアイズです。破滅の炸裂疾風弾っ! ワーハハハハハッッッ!!!」
13人「「「うわーっ!?」」」


 13人、まとめて撃破。ふう、木更津さんがいると楽でいい。


耕「あれ?」


 バーストストリームって『爆裂』疾風弾だったような…


ド「いい女だぜ…」


 当て字の勘違い、致命的だよ。兄貴の心の炸裂装甲(リアクティブアーマー)が炸裂しちゃう。早く…兄貴の興味の対象から逸らさないと…




   〜変態の間〜


耕「今度のは?」
客「あれは『変態たる三沢大地』だ」


 確かに、目つきが違うね。


変態の三沢「典子ちゃん…俺のチェリーをレロレロしてくれ…(以下略) 飛騨君…そんなに好きなら俺のお稲荷さんを…(以下略)」
耕「終わってる…」
典「最悪だ…」
朱「…」
変「耕介…お前…本当は女なんだろ…? 耕介…隠さなくたっていい…包み隠さず全てを…(以下略)」
耕「僕は男だ、アウスが男で何が悪い? そんな三沢修正してやるっ!」


 拳、拳、拳、拳、蹴り、拳。


変「修正パワーッ! 誕生、『変態たる三沢大地・モザイク』ッ!」
耕「こうなったら…兄貴、君に決めたっ!」
ド「ぴかちゅう」


 兄貴…僕のセリフに合わせないでよ…


耕「汚らわしい。10万ボルトだ、兄貴」
ド「ぴーかーちゅーっ!」
変「だねだねーっ!」
ド「見える、見えるよ…敵の急所がっ!」
変「そうだ、もっと見ろっ! もはや…この闘いに服は不要…これはエロ友を越えた…宿命のデュエルッ!」
ド「俺もだ、俺は自分でも止められない力をフンドシで封じている…キャスト・オフッ!」
変「拘束解除っ!」


 兄貴、最高に輝いてるよ。運命は変えられない、『32×32グレファードット絵』はすぐ下ね。


 …


 変態頂上決戦が始まりました。お見苦しい展開をお詫びします。昔ながらのステータス画面っぽいのを眺めつつ、しばらくお待ち下さい。


  グレファー、ゲットだぜっ! ダイ・グレファー

ジョブ…戦士
属性…地
HP(変態パワー)…9999
MP(むっつりパワー)…9999
LP(ラブリーポイント)…−8000
攻撃力…1700
守備力…1600
理性…0
煩悩…108

 ドラゴン族を操る才能を秘めた戦士。過去は謎に包まれている。どうせなら謎のまま終わってくれるに越した事は無い。


 やっぱりドット絵っていいなぁ…グレファーは別だけどなっ! あー、書いて損した。じゃあ書くなっての。さてと、そろそろ再開しますか。


 …


ド「ワン・ツー・スリー、グレファーキックッ! クロックオーバーッ!」
変「…」
ド「手ごわい敵だったぜ」
耕「まあね」


 変態の消えた跡には大地の欠片1つ。ただの残骸なのに触りたくないのは気のせい?


 では、もうなんだか面倒になってきたのでハイライトで済ませます。


 …


客「あれは『考える三沢大地』と『考えるのをやめた三沢大地』だ」
考える三沢「人は考える足とはよく言ったものだ。見よ、この美しく知性に溢れるつま先、かかと、すね、ひざ、もも…  おおっ!」
やめた三沢「…」
朱「焼き尽くすっ!」
典「三沢の脳内世界のアホさ加減が分かってきた」


 考える三沢、焼却。考えるのをやめた三沢、典子内蔵バズーカに吹き飛ばされる。


 …


神出鬼没「ぬ〜り〜か〜べ〜」
客「あれは『神出鬼没の三沢大地』だ」
耕「だからって地面から生えて来ないでもいいのに」
客「この大地は三沢大地そのものだ。なにも不自然ではない」
耕「不自然を自然にするあたりが不自然なんだって。ホアタァッ!」


 神出鬼没の三沢、破裂。中から1人出現。


中の三沢「ヌリカベアーマー、排除っ!」
客「あれは『三沢大地の中の三沢大地』だ」
耕「なおさら意味不明だって。オラオラオラオラァッ!」


 三沢の中の三沢、タコ殴り。


 …


客「どうやら本格的な武装集団のお出ましだ。あれこそ『三沢特戦隊』だ」
三沢A「三沢っ!」
三沢B「二沢っ!」
三沢C「三沢っ!」
三沢D「三沢っ!」
三沢E「三沢っ!」
5人「「「「「5人合わせて…十五沢っ! 我ら三沢の…」」」」」
耕「地霊術・岩石投げっ!」
5人「「「「「最後まで名乗らせ…て…」」」」」


 三沢特戦隊、生き埋め。


 …


 330人も付き合ってられないので、この辺で省略します。


 …


   〜集合地点〜


 数時間後、合流してみるとほとんどの欠片が集まっていた。


城「よっ、大事なピース、見つけて来たぜ」
耕「ヘタレもいるけど、これだけいると早いね」
城「だろ?」
耕「もしかしてさ、こんな状況初めてじゃない?」
城「ああっ、遊戯達と何度も闇のゲームを戦い抜いて来たぜっ!」
耕「城之内ってデュエリストよりケンカ向きだよね」
城「なんだとーっ!」


 現在、大地の欠片は327個。あと3つ。


羽蛾「三沢を倒した…ウヒョヒョ…」
耕「どうも、変な顔の人」
羽「…」


 328個。あと2つ。ここまで来るとただでも存在感の薄い三沢の中でもさらに薄い存在である事も思い知る。知りたくもないけど。


 …


 数時間が過ぎた…




   〜削除の間〜


客「あれは『削除を願望する三沢』だ」
削除の三沢「削除削除削除削除ーっ!」
耕「どこのキラ信者? 47人で討ち入る方の吉良じゃないって」
削「削除削除削除削除ーっ!」
耕「訳分からないって。やっちゃって、典子」
典「吹き飛べ」


 典子の…右腕内蔵ガトリング砲で削除の三沢もあえなく欠片となった。あと1人。


 …


 数時間が過ぎた… だが、47人かけても最後の1人は見つからない。本当に見つからない。未来が少しだけ見える僕にさえ分からない。見えると言っても数秒後なのだから意味はないけど。


耕「…」
客「…」
耕「あのさ、お前本当に客観の三沢?」
客「とはどういう事だ?」
耕「僕達の客観が三沢を作り出せるのかって事だよ。この世界は三沢のみで出来ているはずだからね。しかも、客観のクセに僕達の知り得ない情報を知っていた。つまり、お前は最後の三沢だ」
客「ふっふっふっふっふっ、あーっはっはっはっはっはっ!」
耕「気でも触れた?」
客「ならば俺からの問いだ、俺は三沢大地の何たる存在か当ててみよ」
耕「無視とか空気とかそんなん? じゃあ、存在感の三沢」
客「…」
耕「…」
客「それでいいのか?」
耕「見えちゃったから、結果。そういう訳で、汝のあるべき姿に戻れ」
自己主張の三沢「正解だ…ひでぶっ」


 正解ついでにこいつも欠片に戻してやった。仮に間違えだったとしても欠片になる事には変わりない。これで大地の欠片コンプリート。思い出だしてみると…本当に三沢の断片だった事を思い知る。これも47人の力あってのものだ。僕と朱里と木更津さんの撃墜星が異常に多い事は言うまでもないけど。


「「「「「えい、えい、おーっ!」」」」」


朱「集まったね…」
木「これが私の呼んだ増援の力」
耕「何だっけこれ? えーと、ピュアな大地の結晶?」
典「三沢大地の心だ」


 330個の欠片は1つのピンポン球ほどの大きさに固まった。三沢の心だ。三沢に似つかず、水晶のように透明だ。よーく見ると、中に不純物が1つだけ混じっている。僕が混ぜ込んだのは、僕の爪の垢。ありがたみ最高だね。


朱「何も起きないね…」
典「他に条件があるのかもしれないな」
耕「タッカラプト、ポッポルンガ、プピリットパロ」


 急に三沢の心が光り始めた。空も夜のように暗くなる。いや、冗談で言ったつもりなんだけど。願い叶うわけ? 三沢の心の輝きが頂点に達した。眩しさで辺りが見えなくなる。


 …


三沢「…」


 光が消えると、三沢が立っていた。


「「「「「誰だーっ!?」」」」」
三「お前らこそ誰だ?」


 木更津さんの寄せ集めメンバーは未知の人物ばかりだからね。三沢の仲間が大団円すればそのままエンディングなんだろうけど。


典「今度は何の三沢だ?」
耕「1つ目の願いね、僕の願いを100個にして」
三「何を寝ぼけている?」
耕「起きたばっかなのはどっちかな?」
三「俺は完全体の三沢大地だ。一度砕かれた心がゼロから再構築された事により、洗練され純粋な三沢大地へと昇華した」
耕「じゃあリユニオン三沢ゼロって呼んでいい?」
三「み、未来が見える…これは…」


 あ、それ僕の爪の垢の成分だ。あとでお礼言いに来てね。


耕「僕にケンカ売る予定だよね?」
三「さっきから俺の事をことごとく殴り飛ばしたな、決着を付けるぞ」
耕「ことごとく殴り飛ばされたら負けじゃない?」
三「いや、決着だ。俺は主役のはずだ、エリカ君フラグを成立させたはずだ、俺は無限の力と一体化したはずだ。耕介、お前は俺の大切なものをそうやって奪い去る」
耕「主役は僕だよ、口約束だけどエリカとは10年前から婚約してるし、裸も見たし、ほぼ毎日同じ床で寝てるし。三沢だって無限なんて言って負けたばっかりだし。三沢、勘違いも甚だしいよ」
三「何だと、婚約? 俺はそんな話聞いていないぞ!?」


 5歳の時の話なんだけど、真に受けるかな? エリカも僕も真に受けてるクチだけど。


三「それ以前にタイトルは『The Lost Ground 〜忘却の大地〜』だ。大地とは俺の事だ」
耕「そうだ、宇○猿人ゴリの主役ヒーローは?」
三「スペク○ルマン」
耕「じゃあS○ED・DEST○NYの主役メカは?」
三「ス○ライクフリーダム」
耕「どっちかって言うとタイトルの方の人は悪役っぽくない?」
三「俺が悪役だって言うのか?」
耕「さっきエクゾディア化して暴れ回ったのは?」
三「うっ…」
耕「僕はこれからエリカを助けに行かなきゃいけないんだ。遊んでるヒマなんてないね」
三「そうはどうかな? 俺を倒さなければ大地の扉は開かれんぞ」
耕「だから言うんだよね、『ここで決着をつけるぞ』って」
三「ここで決着をつけ…ん? 話は決まったようだな」
耕「はいはい、やればいいんだよね?」
三「それでこそライバルだ」
耕「いつの間に?」
「「デュエルッ!」」


 本当は簡単に勝てるつもり。だって、デュエルディスク裏システム、LMコンバーター(別名闇のゲーム発生装置)を起動させれば僕の引きは極限まで上がる。ついでに未来が見えれば負ける要素なんてないんだよね。





The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第13話 ゼロと呼ばれた三沢

 僕は大地耕介。1000年前の大魔術師アウスの生まれ変わりでもある。エリカを助け出したい一心なのに三沢にライバル視されてデュエルするはめになった。エクゾディア化を解いて、心も組み直してあげたのに恩知らずだと思わない? どっちにしても叩き潰さないとエリカ…そしてユベルの元には行けない。瞬殺瞬殺。




   〜三沢の大地〜


三「再構成された事により、俺は内に眠っていたゼロの力に目覚めた」
耕「マジで?」
三「ゼロを使いこなせるようになった俺の試し斬りをさせてもらおうか。さあゼロよ、俺の勝利する未来を見せてくれ」
耕「『俺の先攻』と言う」
三「俺の先攻だっ! …ってしまった?」
耕「はいはい、とっとと来てよ。ゼロの三沢、使い魔でもモンスターでもじゃんじゃん呼んじゃって」
三「使い魔? いや、俺はそんなつもりでゼロと言ったつもりは…」
耕「大丈夫、不気味な想像しか働かないから」
三「…」
耕「僕の見る未来は絶対だよ。そうだね…この文章を読んだ人は『32×32三沢ドット絵』も見る事になる。これは運命だよ」
三「意味が分からん。俺は5枚カードをセット、ゼロ式魔導戦闘機を攻撃表示で召喚。ターンエンドだ」


ゼロ式魔導戦闘機 風 機械族 LV4
ATK1900 DEF0


 なるほどね、守備が0のゼロ戦。色んな意味でゼロの三沢にふさわしいカードだね。


耕「行くよ、『大嵐』」
三「しまった?」


 三沢の伏せカード、全滅。


耕「本当に未来見えてるの? じゃあ、僕はドリルビーク呼んで、『ドリルプレッシャー』使ってから」


ドリルビーク 地 鳥獣族 LV4
ATK1600 DEF500
 このカードは貫通ダメージを与えられる。


ドリルプレッシャー 速攻魔法
 自分フィールドに「ドリル」と名の付くモンスターが存在する時のみ発動可能。場のモンスター1体を破壊する。手札を1枚捨てる事でもう1体破壊してもいい。


 ゼロ式魔導戦闘機、破壊。


耕「ダイレクト」


ドリルビーク ATK1600
ダイレクト。
三沢 LP4000→2400


三「うわあっ!?」


 どうやら三沢にも痛みが走っている。同調してLMコンバーターが起動したみたいだ。要は闇のゲーム。


耕「1枚伏せて終わり」


三沢 LP2400
手札:1


三「だが、この未来は見えていた。全てはゼロが教えてくれる」
耕「本当に三沢? 三沢エピオンとかいない?」
三「俺は『ゼロ式ドロー』を発動する。効果により5枚ドロー」


ゼロ式ドロー 通常魔法
 自分の場と手札にこのカード以外のカードが存在ぜず、墓地に「ゼロ」と名の付くカードが存在する時のみ発動できる。デッキから5枚ドローする。


三沢の手札:5


耕「いいカードだね、ゼロ式ドロップ」
三「ドローだ」
耕「で、破壊するんだよね?」
三「『地割れ』」


 ドリルビーク、破壊。


耕「次は嵐のお返し」
三「お互いに未来が見えると会話の必要も無いな、『サイクロン』」


 耕介の伏せカード、破壊。


耕「インド人呼ぶんでしょ?」
三「マスター・オブ・ガンジス―ゼロを見つけし者―を召喚する」
ガンジス「なますて」


 改めて、未来予知と現実を踏まえて言わせてもらうよ。誰だよ、このカレー片手に持った人? なぜガンジス? インド人がゼロの概念見つけのだけは本当だけど。偏見だらけだよ。日本人は侍になるわけ?


マスター・オブ・ガンジス―ゼロを見つけし者― 光 魔法使い族 LV4
ATK0 DEF0
 このカードは自分の墓地に存在する「ゼロ」と名の付くモンスター1体につき攻撃力が1000アップする。


耕「そろそろ疑問で言ってあげるよ、攻撃力いくつ?」
三「ゼロ戦が落ちている。よって、攻撃力は1000となる」
耕「低っ!」
ガンジス「なますてっ!」


マスター・オブ・ガンジス―ゼロを見つけし者― ATK0+1000=1000


耕「次は?」
三「『ゼロセイバー』を装備だ。攻撃力はさらに2000上がる」
耕「次はエックスバスターとか出しちゃう? 名犬ラッシュでもいいよ」
ガンジス「なますてぇーっ!」


ゼロセイバー 装備魔法
 「ゼロ」と名の付くモンスターにのみ装備可能。元々の攻撃力が0のカードならば、攻撃力と守備力は1000アップ。元々の守備力が0のカードならば、攻撃力と守備力は1000アップ。


マスター・オブ・ガンジス―ゼロを見つけし者― ATK1000+1000+1000=3000


三「攻撃するぞ、インド数千年のカレーッ!」
ガンジス「なますてぇーーいっっ!!」


 もしかしたら数千年寝かしたのかもしれないとんでもカレーが僕の口に投げ込まれた。あと三沢、ナマステ以外のインド語知らないだろ?


マスター・オブ・ガンジス―ゼロを見つけし者― ATK3000
ダイレクト。
耕介 LP4000→1000


耕「味なら僕の10倍カレーの方が上だね」
三「さらに1枚伏せてターンエンドだ」


耕介 LP1000
手札:3


耕「いい事教えてあげるよ。僕のデッキはどんなカードでも引けるんだ。例えば…禁止されたはずの『天使の施し』も引けるし使える。捨てたカードに『おジャマジック』があるからおジャマを3枚手札に加える。さらに『リロード』でカードを入れ替える。弱点としては、これから後もおジャマを引く可能性が出る事なんだけどね」


耕介の手札:5


三「反則だぞ。それに禁止カードを使うな」
耕「禁止カード、つまり禁術の制限はLMコンバーターの起動で解いた。ゼロの三沢も、魔力とか想いがあればどんなドローだって出来るさ。魔力に自信があるなら試してみれば? じゃあ行くよ、ドリルビークを除外してパワーアップした兄貴を召喚」


赤フンHEROドリル・ガイ 地 戦士族 LV4
ATK1900 DEF0
 墓地の「ドリル」と名の付くカードをゲームから除外する事で特殊召喚できる。このカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。


ド「うおおっ! フンドシがっ、赤く燃えているぅっ!」
三「だが、攻撃力ならこっちが上だ」
耕「…って言った奴はこうなるんだって、『地砕き』」
ガンジス「なますて…」


 マスター・オブ・ガンジス―ゼロを見つけし者―、破壊。


耕「ダイレクト」
ド「うおっしゃあっ! 赤いフンドシのグレファーの力だぁっ! フンドシパワー全開っ!」
三「『万能地雷クレイモヤ』発動」
ド「何でやねんっ!?」


 赤フンHEROドリル・ガイ、破壊。


耕「じゃあ、守備表示でモンスター呼んで、2枚伏せてターンエンド」


三沢 LP2400
手札:2


三「俺は『抹殺の使徒』を使う、その裏モンスターを除外する」
おジャマイエロー「うっそぉ〜ん、ひっどぉーい…」


 おジャマイエロー、除外。


三「さらに、手札が1枚になったので『ゼロ式ドロー』を使う」


三沢の手札:5


三「さらにさらに『ゼロシステム』を発動。そして、『早すぎた埋葬』でガンジスを復活させ、『ゼロの仮面』でお前の墓地から赤フンHEROドリル・ガイを奪う」
ド「なんだこりゃあ? 何だよこの仮面?」


三沢 LP2400→1600


 反逆のグレファー? 黒の騎士団首領の仮面を被ったフンドシ男、さすがは兄貴。


耕「兄貴…色んな意味で、目を合わせたくないよ…」
ド「よろしくな、三沢」
三「…」
耕「奪って損した? 損した?」
三「生贄召喚。このカードを使う時が来た…ゼロを司る者DDMを召喚っ!」


 もう未来は見えているけど、DDMはディスアペアド・ダイチ・ミサワの略、つまり見えない三沢大地。ディファレント・ディメンション・マスターでもダンジョン・ダイス・モンスターズでもない。


ゼロシステム 永続魔法
 自分の「ゼロ」と名の付くモンスターが与える戦闘ダメージは10倍になる。


ゼロの仮面 装備魔法
 相手の墓地から元々の攻撃力か守備力が0のモンスターを1体選び、自分の場に特殊召喚する。装備モンスターは「ゼロ」と名の付くカードとなる。このカードを装備したモンスターの正面の相手モンスターゾーンに存在するモンスターのコントロールを奪える。


誰だっけ?みんな〜〜〜!!! 俺がカードになったぞーーーーーっっっっっ!!!!!
ゼロを司る者DDM(ディスアペアド・ダイチ・ミサワ) 地 戦士族 LV8
ATK3300 DEF3300
 このカードを生贄召喚で召喚した場合、生贄の「ゼロ」と名の付くモンスターの数によって以下の効果を得る。
0枚もしくは特殊召喚:エンドフェイズに除外。
1枚以上:LPを500支払う事で相手モンスターのこのカードへの戦闘を無効化できる。
2枚:相手のあらゆるカードの効果を受けない。


 僕達のパクリだ。三沢がついにモンスターとして場に出た。しかも攻撃力もミサワワ。


耕「ゼロの三沢がついにカード化、おめでとう」
三「俺はゼロとして洗練された、この超ハイスペックな三沢大地のダイレクトアタックを受けろっ! 戦闘レベル、ターゲット確認、排除開始」
耕「ダメ、『和睦の使者』」


ゼロを司る者DDM ATK3300
ダイレクト。
ダメージ、無効。


三「伏せカード1枚か、無様だな耕介。このままターン終了するが、この俺に勝つ手段はあると思うか?」


耕介 LP1000
手札:1
魔罠:1


耕「未来が見えるなら言わない約束だよね? 『第六感』を使うよ」
三「ま、まさか…」
耕「未来が見えるなら、もう答えは分かるはずさ。4」


 的中。


三「待て、反則だろ?」
耕「ルールにある? 未来見るなって。三沢だって見てるだろ?」


耕介の手札:5


ド「おい、相棒。そろそろ俺の出番じゃないのか?」
耕「じゃあ決めようか、『スパイラルフュージョン』しようか?」
ド「融合素材を選べっ!」
耕「赤フンHEROドリル・ガイ、地霊使いアウス、ドリルロイド。OK?」
ド「いや、変だ。この融合素材パターンは存在しないぞ」
耕「本当だ、3枚の融合って禁断エンド以外ないはずだったね。分かってるって、LMコンバーター・フルドライブ。グレファー・イマジネーション・システム、起動」
ド「考えるぜぇっ! グレファー・イマジネーションッ!」
耕「ご勝手に」


 例え存在しないカードでも勝手に作れてしまうこの状況。どうせ兄貴が素材になるんだ、ハジケたカードになってもらおう。答えはもう見えてるんだけど。


ド「説明しよう、大地耕介は戦うウェイトレスなのだ。そして未来も見える…つまりはっ!」
耕「まあいいや」
ド「禁則HEROミラクル・ドリル・ガイ、変身完了だっ!」
耕「こうなるって分かってたんだけどね、外見さえ気にしなきゃ」


禁則HEROミラクル・ドリル・ガイ 地 魔法使い族 LV8
ATK2200 DEF1600
融合 地霊使いアウス+戦士ダイ・グレファー+「ドリル」と名の付くモンスター
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードが融合召喚に成功した時、このカードの攻撃力は融合素材となったどちらかの「ドリル」と名の付くモンスターの攻撃力分だけ上昇する。このカードは素材にしたモンスターの効果を全て使う事が出来る。


 ドリル・ガイシリーズなのに僕がベースの融合が捏造された。


 意味のある効果をまとめようか。
1、このカードの攻撃力は墓地もしくはフィールドの「ドリル」と名の付くカード1枚につき100ポイントアップする。
2、守備表示モンスターをダメージステップ前に破壊。
3、このカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。


禁則HEROミラクル・ドリル・ガイ ATK2200+1600+100×5+1500=5800


耕「この服、どう思う?」
三「色んな意味で禁則事項だ」


 どんな意味なのかは妄想に任せるよ。兄貴がこんなの思い付いた元凶は三沢大地の憂鬱なんてホザいた奴なんだけど。


三「だがな、俺は戦闘では簡単に破壊されんぞ。ターンエンドを宣言すれば…」
耕「『ハンマーシュートで破壊して直接攻撃をする』と言う」
三「何だと?」
耕「僕の爪の垢をあげたのはいいけど、予知能力は僕の方が上みたいだね。今から出すカードの名は言えるかな?」
三「な、なぜだ…見えん…教えてくれゼロ、教えてくれ五飛… 教えておじいさん…」
耕「見えない方が幸せだったね、『禁断の部屋』を使う。効果で禁断HEROドリル・エンド・ガイを融合召喚する」
ド「うなれドリルッ! お前が俺を信じるように、俺もお前を信じるぜっ! 天元とっ…」
耕「それ以上言ったらヤバイって」


禁断の部屋 フィールド魔法
 デッキもしくは手札から融合カードによって決められたカードを墓地へ送り、融合デッキから「禁断」と名の付くモンスターを融合召喚する。この効果は1ターンに1度のみ行える。


禁断HEROドリル・エンド・ガイ 地 戦士族 LV9
ATK3400 DEF3200
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「戦士ダイ・グレファー」+「戦士ダイ・グレファー」
 上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。フィールド上のこのカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。このカードは3回攻撃する事が出来る。


耕「ドリルが増えたから攻撃力上げるね」


禁則HEROミラクル・ドリル・ガイ ATK5800+100×4=6200


 僕、兄貴、三沢が3人ともモンスターとして場に出た。結構珍しい場面だと思わない?


三「我ながら思うが、パロディ多くないか?」
耕「気にしない気にしない、それ言ったら自己否定になっちゃうから」
三「お前もこれ以上言ったらヤバイぞ…」
耕「パーフェクト機械王なんてア○トアイゼンそっくりだし、ゲットライドなんてそのまんまアム○ライバーだし、ザ・ワールドで時間止めるし、他にも色々あるよ?」
三「…」
耕「あはははは」
ド「はーっはっはっはっ!」
三「ん? ちょっと待て、それではグレファーを5枚デッキに入れていた事になるぞ?」
耕「LMコンバーターで全部カバー。このデュエルはカードゲームでありながら、魔力が全てを決める魔法戦なんだ。エジプトでは闇のゲームなんて呼んでたけど、優しいゲームだと思わない?」
三「禁則事項だっ!」
耕「優しいじゃないか。誰も巻き込まず、何も壊さない。君の言葉は殺し合いをした事の無い人間だから吐ける言葉だ。始めるよ」
ド「まずは俺から行くぜぇっ! 1つっ、右腕のドリルゥッ!」


禁断HEROドリル・エンド・ガイ ATK3400  ゼロを司る者DDM ATK3300


三「LPを払って無効にする…」


三沢 LP1600→1100
禁断HEROドリル・エンド・ガイの攻撃1、無効。


ド「こうやってエロ友と直接戦えるなんてなあ。2つっ、左腕のドリルゥッ!」


禁断HEROドリル・エンド・ガイ ATK3400  ゼロを司る者DDM ATK3300


三「LPを払って無効にする…」


三沢 LP1100→600
禁断HEROドリル・エンド・ガイの攻撃2、無効。


耕「さて、賢い三沢君に質問です。このまま攻撃を続けたらどうなるでしょう?」
ド「3つっ、股間のスペシャルドリルゥッ!」


禁断HEROドリル・エンド・ガイ ATK3400  ゼロを司る者DDM ATK3300


三「ヒィーッ!」


三沢 LP600→100
禁断HEROドリル・エンド・ガイの攻撃3、無効。


耕「もう、この先は言うまでもないよね? 確定事項」
三「…」
耕「兄貴、必殺技の名前は何にする?」
ド「ミラクル・ドリル・アイだっ!」
耕「じゃあ、トドメ。ミラクル・ドリル・アイ、ドリル・ビームッ!」


 ドリル関係ないし。目からビーム。あ、ビームじゃなくて凝縮光か。


禁則HEROミラクル・ドリル・ガイ ATK6200  ゼロを司る者DDM ATK3300
ゼロを司る者DDM、破壊。
三沢 LP100→0


 完全勝利。ルール捻じ曲げる程度の魔力を何度か使ったから疲れたけど、所詮は三沢だった。


三「か、完敗だ…」
耕「はい終わり、三沢ごときじゃ僕の運命を覆せない。大地の門は開けてもらうよ」
三「いいだろう…」


 三沢が上着のボタンを外し始めた。正気?


三「大地の門、それは俺自身だ…」
耕「あっそ」
三「俺が敗北したからにはこの世界は崩壊を始める。大地の門を抜ければ俺を利用して空間を造り出した主の元へと行けるだろう」
耕「そしたらゼロの三沢はどうなる?」
三「俺を心配してくるのか… 元の三沢大地に戻るか、壊れた世界のまま存在し続けるか、それとも消え去るか… エクゾディアと同化し、業を重ねた俺には当然の報いだろう…薄々感付いていたよ… さあ、行け… 大地耕介よ…」


 三沢の腹が裂けるようにして、空間の割れ目が現れた。大地の門だ。そして、ミサワールドは崩壊を始めた。


耕「みんな、急げっ!」
「「「「「おおっ!」」」」」


 総勢40人以上の集団が三沢の腹めがけてダイブする。


三「ごふっぐふっげふっがふっ………」


 当然の報い、だよね?


朱「この先にエリカが…」
典「おそらくは漆黒の魔王以上の強敵となる。それはアウスの相討ちした相手を上回る事を意味する。耕介、勝算はあるのか?」
耕「愛とかそういう何かがあるし、どうにかなるんじゃね?」
三「いつまでも頼りない奴だ…俺のカードを使え…少しぐらいの助けにはなる…」


 ゼロを司る者DDMを押し付けられた。


耕「捨てていい?」
三「大事な物は捨てられないぞ?」


 あ、崩壊が限界近くまで来た。ふざけてる場合じゃないね。


耕「それじゃ、エルボードロップッ!」
ド「プラス追い打ちっ!」
三「無…念…………」


 僕達は大地の門へと飛び込んだ。この先はユベルの…エリカのいる世界。そして、さらば三沢大地。君との思い出はあまり思い出せないけど、心の中にずっと残るはずだ。心の引き出しに鍵かけて厳重に保存しておくよ。さようなら、三沢大地。さようなら…さようなら…


―三沢大地、エクゾディオスと共に異次元に眠る―


三「しんでねー………」






―過去の贖罪ではない―


―運命をなぞるわけでもない―


―ただ、僕は行く―


―時間の流れと共に―


―共にあるべき人と―





第13.5話 忘れられた精霊

 ふっ、こうやって解説役をするのも久しぶりだな。俺のナイストークに心躍らせていた読者は耕介の冷めた心のナレーションに飽き飽きしていたところだろう。俺は三沢大地の精霊だ。俺はほんの少しの時間で貴重な体験を連続した。レアハンターに捕らえられ、エクゾディアの生贄となり、三沢ディオスとなり、心を砕かれ、ミサワールドが完成し、330人の大地の欠片が撃破され、ゼロの三沢も撃破された。俺の肉体はどうなったかは分からない。だから今の俺は魂だけが抜け出した三沢大地の精霊だ。俺こそが遊戯さんの言う見えるけど見えないものだ。




   〜ユベルの空間〜


三沢の精霊「ついにここまで来たか…」
耕「いつの間に精霊になったんだよ?」
三「最強のカードの精霊とは俺の事だ。ブラマジやネオス並の存在感でブイブイ言わせてやるぞ」
耕「絶対ムリ」


 大地の扉の先、ユベルの空間には奇妙な建物があった。巨大な塔のようでもあり、近代建築のようでもある。不気味な建物だ。知性を感じさせない事から俺の世界でない事は確かだ。この感じはあの時感じたものと同じ…ここはユベルがいる。愛する人だか誰だかのために何をしようとしているかは分からない。俺の超頭脳を利用して造ったのか、元からあるのかは分からない。だが、これだけは言える。こんな大バカに愛されるヤツはそれ以上に超大バカに違いない。史上最悪のバカップルなのだろう。そんなのが俺の知り合いにいなくてホッとしたな。


木「行くぞ野郎共っ!」
「「「「「おおーっ!」」」」」
典「木更津、気合入り過ぎだ」
木「気分は出ましたよね?」


 合計47人の大部隊で一気に潰す気か、戦いは数なのか、木更津さん。




   〜ユベル城〜


 中は広い空間が広がっていた。ほとんど吹き抜けになっているようだ。光の模様が宙に浮かび上がり、道となる。同じ原理でエレベーターのような物が構築されている。俺達は最上階へと向かった。城と言っても、他には目ぼしい階も何も無ければ、生き物が住むような環境も何も無い。最上階に着いた。たぶん、得体の知れない集団は俺というリーダーを得てある種の団結が芽生えている。根拠の無い勝算を感じた。




   〜ユベル城・最上階〜


 最上階、あえて言うなれば屋上。無機的な飾り気の無い建物だったが、ここまで来ても何も無い。空は邪気を含んだ暗雲。見回すと、何かがあった。椅子か? 強いて言えば玉座だ。俺の座るべき天才の玉座とは似ても似つかない。大きさは不要に大きく、美しさを感じるものではない。1人だけであろうこの世界に1つだけ存在した生活の匂いを感じさせる物。そこに奴は座っていた。


ユベル
 時間軸的にはデスデュエル編より前のユベル。エリカの肉体を奪った張本人。おそらく別の物語での鍵となる人物。多くの強いデュエリストや精霊から力を奪い、自身の復活を企む。愛する人がいるらしいが?


↓この下は俺のユベルへの注進です。ヒマなら反転して読んで下さい。
 ユベル…お前は間違っている… なぜ…なぜ、人の孤独と闇に漬け込むんだ… コブラ…マルっち…アモン…みんな…みんな…中途半端なキャラじゃないかっ! あれだけ孤独を知っている君なら…ユベルなら…三沢大地の孤独を理解できるはずじゃなかったのか? 三沢となら分かり合えたはずだ。それとも…三沢は孤独を食い物にするユベルにさえスルーされる存在感だったのか?
 いや、違う。異世界に一番乗りしたのは三沢だ。三沢はすでにユベルに何かの力を吸われて抜け殻になってたんだ。そういうわけで、このストーリーのラスボスはユベルに決定。



ユベル「よく来たね」
耕「…」


 ユベル…エリカ君の肉体を乗っ取った憎き精霊。左右の瞳の色が違う。耕介のミラクル・○○ル・○イじゃあるまいし。常識なら着ないような服…例えるなら悪の貴公子のような服装だ。ちなみに悪の貴公子とはキャス○ル兄さんやリ○テル兄さんのような人物を指す。あのセンスからしてエリカ君であってエリカ君でない存在である事は明白だ。さあ、俺の為にエリカ君を救うんだ、耕介っ! お前の空手を見せてみろっ! あ、エリカ違いか…


ユ「来…」
耕「でやえーっ! マジックジャマー、トラップジャマー完全展開っ! 進めっ! 滅ぼせっ! 全てを破壊するのだっ!」
「「「「「おおーっ!」」」」」


 先手必勝か。つーか、お前こそ悪役だろ? 相手のウサン臭いセリフなんて言わせる前に全軍突撃。耕介らしい。だが、その現象は起きた。そろぞれが凶器や愛用モンスターを用いて集中攻撃をしていたはずだった。例えこの俺であったとしても、質と量の前には軽い手傷は負うはずだ。にも関わらず、ユベルは身動き1つせず、大集団に向かい合った。武力行使とモンスターの攻撃の嵐…だが、その1つ1つが振るわれる度に、攻撃した者が倒れて行く。まるで、自身を撃ったかのように。


「「「「「………」」」」」


 ほんの30秒もしないうちに、47人の軍勢はほとんど倒れていた。俺なら5秒で勝利のゴングを鳴らしていただろうな。


城「し、静香まで…何だってんだっ!?」
木「相当の強敵のようね」
典「物理的にも魔的にも何も動いていなかったぞ? それにジャマーは張っていた」
朱「モンスター効果…」
耕「カードゲームルール通りなら、僕の守りに穴があった…?」


 魔法でも罠でもない。ユベルのモンスター効果か? 天罰も使えばよかったんだよ。結局、残ったのは耕介、飛騨君、典子ちゃん、木更津さん、城之内(角刈り)だけだ。他は俺の足元に及ばないヘタレ揃いだったからな。でもなぜ城之内(角刈り)が残った?


ユ「野蛮だね、そうやって無駄に血を流そうとする。自らの力が襲い掛かる気分はどうだい?」
耕「最悪」
ユ「そうかい、ボクのしてあげられる精一杯の歓迎だったんだけどね」
耕「エリカがボクッ娘になってる…似合わね〜 じゃない、誰だか知らないけど、エリカは返してもらうよ」


 耕介、俺的にはお前も同類だぞ。


ユ「不意打ちを仕掛けたあげくに今度は交渉か、なかなか美味しそうな心の闇を持っていそうだね」
耕「さしずめ心の闇を食らう精霊ってとこか。絶望は最高のスパイスってやつ?」


 さあ、叫ぶんだ耕介。さよなら絶望耕介だ。ユベルの悪趣味っぷりに絶望したーーーっっっ!!!


ユ「さて、メインディッシュの前に片付けをしないとね」


 倒れた者達が1人1人消えていく。突然消える人間なんて俺は聞いた事ないぞ。どんなトリックだ?


耕「何をしたっ!? 別にどうでもいい人ばっかだけど」
ユ「元の世界へ送り返してあげただけさ」


 転送は終わった…が、なぜかダイナソー竜崎だけは残っている。哀れだ、俺のように存在感を示せばいいものを。


耕「悪役の割には優しいじゃないか」
ユ「君の闇を引き出すためにはこうした方が都合がいいのさ」
耕「分かってるじゃないか」
ユ「これは返すよ、ボクには使えないみたいだからね」


 ユベルは耕介に漆黒の魔王のカードを投げ返した。あんなゲテモノカードは使う気にはなれんか。


耕「ありがとさん。でもね、お前が何者なのか、何を企んでいるかなんてどうでもいい。ただ、エリカを返せ」
ユ「ボクだって君には何の興味は無い。ボクにとってあの人以外の存在には価値は持たない。ただ、完全な形となるためには君のような強い魔力と闇が必要なだけさ」


 本当に心の底から愛しているんだな。ここまで思い入れられるなんて…どんな変態がこの世にいるんだ?


耕「僕だってエリカのためなら世界の1つや2つ滅ぼす覚悟はある。似た者同士だね」
ユ「じゃあ、試してみるかい?」
耕「望む所だ」


 ユベルが悪の必殺武器のようなデュエルディスクを構えた。たぶん耕介と同じようなインチキシステムが起動しているのだろう。


ユ「そこの2人もおいで、3人まとめて相手してあげるよ。何なら飛び入りで味方を連れて来ても構わない」
典「気前のいい奴だ」
朱「焼かれて後悔するなよっ!」
「「「「デュエルッ!」」」」


 戦いは始まった。ラスボス戦だな。3対1という明らかに優勢な状況で。俺もカードの精霊として、早いところ助っ人に入らなければな。


 …


城「俺、忘れられてないか?」
ガガギゴ「くっくっくっくっ、我が相手をするギゴ」
城「か、怪獣!? ガガギゴか?」
ガガギゴ「俺の名は宇宙怪獣ギゴギゴガン、ユベル第一のしもべギゴッ! 新たなる存在感を得て生まれ変わった力を見せてやるギゴッ!」
城「丁度いい、相手になってやるぜっ!」
「「デュエルッ!」」
ギ「俺の先攻。『火炎地獄』『火炎地獄』『火炎地獄』『昼夜の大火事』『火の粉』」


城之内(角刈り) LP4000→3000
ギゴギゴガン LP4000→3500
城之内(角刈り) LP3000→2000
ギゴギゴガン LP4000→3500
城之内(角刈り) LP2000→1000
ギゴギゴガン LP4000→3500
城之内(角刈り) LP1000→200
城之内(角刈り) LP200→0


城「え、え…? ええっ!?」
ギ「弱い」
城「うっせえっ!」


 俺の大事なラスボス戦の横で異形の復活を遂げたガガギゴが勝ったりしていたが、そんな事を気にしている場合ではなかった。早く召喚してくれ、俺をっ!





The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第14話 星術使いエリア

 俺はゼロを司る者DDMのカードの精霊、三沢大地だ。ここはユベルの空間。そして、エリカ君を助けるため、ユベルとの3対1のデュエルが始まろうとしていた。耕介のデッキなどで寝ているヒマは俺にはない。気合と根性で耕介の初期手札に加わろう。げっ、グレファーも一緒かよ。


三「絶対勝とうぜ」
ドリル・ガイ「お前も精霊が板に付いてきたなぁ」


 しかしこのゼロの三沢…耕介などではなく飛騨君か典子ちゃんの使い魔になりたかった。それより隣のグレファーがカードなのに汗臭い。


耕「使い魔のクセに生意気。破っていい?」


 痛っ、やめて下さい。体が裂ける…ヒィーッ! もうバカな事は言わないから許してー。


耕「僕からだよ、守備で召喚、2枚伏せて終わり」
朱「行くぜっ! 赤いきつねを召喚、生贄に捧げて狐憑きを特殊召喚っ! 1枚伏せてターンエンドだっ!」


狐憑き 炎 炎族 LV5
ATK2000 DEF1500
 このカードは場の「狐」、「きつね」、「フォックス」、のいずれかの名の付くモンスターを生贄に捧げる事で特殊召喚できる。


典「翠玉竜LV4を召喚、2枚伏せてターンエンドだ」


 3人揃って様子見か。どんな相手なのかまだ分からないな。まあ、あんなセンスの輩にまともなカードはあるまい。


ユ「じゃあ、ボクは星術使いエリアを召喚する」


星術使いエリア 光 魔法使い族 LV4
ATK1850 DEF1500
 他のモンスターが自分の場に存在する場合、このカードは召喚できない。このカードのコントローラーはこのカードが場に存在する時、他のモンスターを召喚できない。このカードは墓地に存在するカードにより、以下の効果を得る。
五行星術−「歳星」:相手の対象を選ばない効果を受けない。
五行星術−「蛍惑」:戦闘でモンスターを破壊した時、自分の墓地のカードをデッキの一番上に置いてもよい。
五行星術−「鎮星」:貫通ダメージを与える。
五行星術−「太白」:墓地の「五行星術」と名の付くカード1種類につき攻撃力が500アップ。
五行星術−「辰星」:相手の罠の効果を受けない。


 やはり本人が出るか。五行、すなわち木火土金水の使い手か。オリエンタルだな。それに、あの悪の貴公子服が星術使いの衣という事か?


ユ「『五行陣』を発動させる。さらに『五行星術−「辰星」』を発動、場のモンスターは全滅する」


五行陣 フィールド魔法
 このカードは相手のカードで場から離れる事は無い。「五行星術」と名の付くカードの発動と効果は無効化できない。


五行星術−「辰星」 通常魔法
 手札を2枚墓地へ送り発動する。ただし、場に「星術使いエリア」が存在する場合は手札コストは必要無い。相手モンスターを全て破壊する。場に「五行陣」が存在する場合、発動ターンのエンドフェイズにデッキから『五行星術−「歳星」』を手札に加える。


 モンスター、全滅。


耕「僕の破壊されたカードはドリルビーバー、ドリルトークンを守備で特殊召喚」


ドリルビーバー 地 獣族 LV2
ATK600 DEF500
 このカードが墓地へ送られた時、デュエル中に一度だけ「ドリルトークン」(地・機械・LV1・0・0・生贄召喚の生贄も可)を特殊召喚できる。


 辰星…つまりは水星・商人の星か。かなり危ないカードだ。やはり俺が出ないと危険だな。


ユ「さらに、罠は受け付けない。誰に攻撃しようかな?」
耕「誰にしてもドリルトークンで守るけどね」


星術使いエリア ATK1850 ドリルトークン DEF0
ドリルトークン、破壊。


ユ「2枚伏せ、歳星を手札に加えターンエンド」
耕「ユベル、お前はここにいてはいけない存在だ」
ユ「そうかい?」
耕「かいつまんで言うとギャグが足りない」


 よく言った耕介。それでこそ…それが俺のご主人様。ギャーッ…だから破るのはダメーッ!


ユ「考えておくよ」
三「全くだ、早くクライマックスになって主役な俺を活躍させてくれ」
ド「うんうん」


 俺はこうしてグレファーと共に耕介を励ましている。これが精霊の務めだ。人間として最高級な俺は精霊としても最上級なのだ。数百年後の伝説では三沢の精霊が世界で最もポピュラーな精霊として親しまれているだろう。


耕「そうだ、こっちも引こうかな。五行星術…」


耕介 LP4000
手札:4
魔罠:伏せ2


 何でも引けるんじゃないのか? 失敗したぞ。なぜ『デスメテオ』? 星だからか?


ユ「君には使えない」
耕「と、見せかけて『デスメテオ』」


ユベル LP4000→3000


ユ「よくもボクに傷付けたね」
耕「やべ、エリカを傷モノにしちゃったよ、責任取らなきゃな。…ってなわけで、兄貴を特殊召喚。攻撃」


 おい、耕介… だが、おかげで隣の暑苦しい奴がいなくなった。


赤フンHEROドリル・ガイ 地 戦士族 LV4
ATK1900 DEF0
 墓地の「ドリル」と名の付くカードをゲームから除外する事で特殊召喚できる。このカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。


ド「フンドシパワー、全開っ! フンフンフンフンッ!」


 守備力0のクセにフンフンディフェンスみたいな動きするなーっ!


赤フンHEROドリル・ガイ ATK1900  星術使いエリア ATK1850


ユ「じゃあ、『鎖付きダイナマイト』発動」


星術使いエリア ATK1850+500=2350


赤フンHEROドリル・ガイ ATK1900  星術使いエリア ATK2350


ド「うおっ、危ねえっ!」
典「ならば、武器を飛ばすまでだ」


風霊術−「涼」 通常罠
 相手フィールドにセットされた魔法・罠カードを1枚破壊する。


ユ「じゃあ、ダイナマイト効果でドリル・ガイを破壊するよ」


赤フンHEROドリル・ガイ、破壊。


ド「俺のフンドシがっ!?」
耕「終わり」


 ドリル・ガイ…お前のことは絶対忘れないよ…


朱里 LP4000
手札:4
魔罠:伏せ


朱「『狐の恩返し』を使う、戦場の女狐を捨てて2枚ドローッ! 狐3枚を除外し、九尾を召喚だっ!」


九尾の妖狐 炎 炎族 LV9 
ATK2500 DEF2300
 このカードは通常召喚できない。「狐」、「きつね」、「フォックス」、のいずれかの名の付くモンスターを墓地から3枚除外した時のみ特殊召喚する事ができる。このカードは攻撃力を500減らす事で破壊を無効化できる。


朱「焼けっ、焼き尽くせっ!」


九尾の妖狐 ATK2500  星術使いエリア ATK1850


ユ「『天中殺』、そして太白を墓地へと送りボクは強化される」


天中殺 通常罠
 デッキから「五行星術」と名の付くカードを1枚墓地へ送り発動する。相手の場の罠・魔法カードを2枚まで破壊する。この効果にチェーンは出来ない。


耕介の伏せ(炸裂装甲)、破壊。
典子の伏せ(風霊術−「護」)、破壊。


星術使いエリア ATK1850+500×2=2850


九尾の妖狐 ATK2500  星術使いエリア ATK2850
九尾の妖狐、返り討ち。効果で生存。
朱里 LP4000→3650
九尾の妖狐 ATK2500−500=2000


朱「くそっ、1枚伏せて終わりだ」


典子 LP4000
手札:4


典「ならばそのまま除去されればいい。「重奏」だ、「雅」と『サイクロン』を融合させ、「嵐」を発動だ」


風霊術−「重奏」 通常魔法
 自分の手札またはフィールド上から融合魔法カードによって決められたカードを墓地に送り、融合デッキから「風霊術」と名の付く融合魔法を発動させる。


風霊術−「嵐」 融合魔法
 「風霊術」と名の付くカードとカードを破壊する効果を持つ魔法カードを墓地へ送り発動する。フィールド上のモンスターカード1枚を破壊し、相手に攻撃力分のダメージを与える。


ユ「『マジック・ドレイン』発動」
典「…」


 風霊術−「嵐」、無効。


典「ターンエンドだ…」


 何かがおかしい。耕介のドロー力が冴えない。まさか、ユベルの魔力とやらは耕介のインチキパワーを上回るオカルトパワーなのか?


ユベル LP3000
手札:2
モン:星術使いエリア
魔罠:五行陣


ユ「歳星を発動。3枚ドローし、さらにボクの効果は増強される」


五行星術−「歳星」 通常魔法
 手札を2枚墓地へ送り発動する。ただし、場に「星術使いエリア」が存在する場合は手札コストは必要無い。デッキからカードを3枚ドローする。場に「五行陣」が存在する場合、発動ターンのエンドフェイズにデッキから『五行星術−「蛍惑」』を手札に加える。


ユベルの手札:4


ユ「さらに鎮星を発動。3人とも1枚ずつ手札を捨てるんだ。さらにボクの効果は増強される」


五行星術−「鎮星」 通常魔法
 手札を2枚墓地へ送り発動する。ただし、場に「星術使いエリア」が存在する場合は手札コストは必要無い。相手の手札を3枚まで墓地へ送る。場に「五行陣」が存在する場合、発動ターンのエンドフェイズにデッキから『五行星術−「太白」』を手札に加える。


耕介の手札:2→1(ゼロを司る者DDM、墓地行き)
朱里の手札:2→1(早すぎた埋葬、墓地行き)
典子の手札:1→0(風霊使いウィン、墓地行き)


三「あ…」
耕「三沢…ささやかな自己主張だったね…」


 こんな事で諦める俺ではない。墓地から虎視眈々と活躍の機会を待とう。


ユ「五行星術は4種類になった。その狐にさらに痛手を負わせてあげるよ」


星術使いエリア ATK2850+500×2=3850


星術使いエリア ATK3850  九尾の妖狐 ATK2000
九尾の妖狐、破壊。効果で生存。
朱里 LP3850→2000
九尾の妖狐 ATK2000−500=1500


朱「ちっ…」
ユ「2枚カードを伏せ、蛍惑と太白を手札に加えターンエンドだ」


 カードもデッキさえ回れば反則クラスのものばかりだ。ヤバイんじゃないか、耕介?


典「耕介、分かるか?」
耕「何が?」
典「ユベルが魔法を使うたびに感じるだろう? エリアの魔力を」
耕「そりゃエリアだからね」
典「魔力の固有波形は指紋と同じ、なのだろう?」
耕「そうか…」
典「成功していたんだ、ほんの僅かでもエリアの魂は残っていたんだ。エリカはエリアなんだ」
朱「成功してたのかっ!?」
典「ああ、失敗を望むなどという愚考はもう必要ないんだ」
耕「…」
朱「何が何でも勝とうぜっ!」
耕「道理でエリカの人格面にも欠落があったわけだ」
典「どさくさに紛れて人格否定するな」
耕「単にパッパラパーなだけなんだけどね」
典「単に精神操作に弱かったという事だ。エリカは存在する」
朱「だからユベルは燃やすしかないっ、行くぜっ!」


 よし、逆転モードに入ったぞ。俺を復活させろ。俺のゼロの力…いや、ギア○の力でユベルだろうがエリカ君だろうが言いなりにさせてみせるぞ。


耕介 LP4000
手札:2
魔罠:伏せ


耕「魔力安定率よし、ディスティニーなドローをするよ。『強欲な壷』で2枚ドロー、アウスとドリルビードルを『スパイラルフュージョン』。兄貴みたいにはやれないけど、このドリルに貫けないものは無いっ!」


 …ってお前かい。それと、ドリルの兄貴は死亡フラグだぞ。あ、ドリル・ガイはさっきやられたか。


突貫執着−ドリルアウス 地 魔法使い族 LV7
ATK500 DEF1500
融合 「地霊使いアウス」+「ドリル」と名の付くモンスター
 このカードは融合召喚のみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードの攻撃力は墓地もしくはフィールドの、このカード以外の「ドリル」と名の付くカード1枚につき300ポイントアップする。
 このカードの攻撃力は融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの攻撃力分だけ上昇する。
 このカードは融合素材となった「ドリル」と名の付くモンスターの効果を得る事が出来る。


突貫執着−ドリルアウス ATK500+1600+300×2+1500=4200


耕「ユベルッ! お前は僕が砕くっ!」


突貫執着−ドリルアウス ATK4200  星術使いエリア ATK3850
星術使いエリア、破壊。
ユベル LP3000→2650


ユ「!?」
耕「チェックメイトッ! さあ、命乞いなら今のうちだよ。エリカの体から出て行けば、命の保障はする」


 チェックメイトか…どこのジャンヌだ? お前さ…たまに変身ヒロインみたいなセリフ言うよな…


ユ「今はまだボクの体も完全じゃなくてね」
耕「じゃあ極楽へ行かせてあげるよ、ターンエンド。2人とも、一気に蹴散らせっ!」


 今度はゴーストスイーパーかよ。


朱里 LP2000
手札:2
モン:九尾の妖弧
魔罠:伏せ


朱「分かってるっ! 私が全てを焼いてやるっ! 憑着っ!」


妖狐憑着−ヒータ 火 魔法使い族 LV9
ATK2500 DEF2300
融合 「火霊使いヒータ」+「九尾の妖狐」
 このカードは融合召喚できない。場の素材となるモンスターを除外する事でのみ特殊召喚できる。このカードの攻撃力は、墓地もしくはフィールドの、このカード以外の「狐」、「きつね」、「フォックス」、のいずれかの名の付くカード1枚につき300ポイントアップする。このカードは攻撃力を500減らす事で破壊を無効化できる。


妖狐憑着−ヒータ ATK2500+300×2=3100


朱「地獄に堕ちろっ! 火霊術奥義っ、爆炎火霊焼っ!」
ユ「地獄に堕ちるのは君の方だよ、狐っ! 『魔法の筒』」


 一気に蹴散らせなんて言ったお前が馬鹿だったな、耕介。飛騨君の危機だ。だが、俺は墓地にいる身。助けようにも動けない。


朱「だったら一緒に堕ちようじゃないか、地獄の業火ってわけにはいかないが…吹き飛ばすにはいい火薬だっ! 『破壊輪』っ!」


 やめるんだ、飛騨君。大ボスに中途半端なポジションのキャラが特攻すると… チャオズの法則だ、スレッガーの法則だ… ラスボス戦の自爆は俺のような輝ける主要人物のみに与えられた特権なんだ。


ユ「『地獄の扉越し銃』」
朱「何だとっ!?」


 さよなら天さん…悲しいけどコレ戦争なのよね…


地獄の扉越し銃 カウンター罠
 ダメージを与える効果が発動した時に発動する事ができる。自分が受ける効果ダメージを相手に与える。


朱里 LP2000→0
朱里 LP0→0


ユ「どちらにしても、焼かれるのは自分の方だったね」
耕「朱里っ! ヒータ…」


 2段構えで爆発した破壊輪の爆炎の中に、人の形をしたものは残っていなかった… お前のせいだぞ、耕介っ! 飛騨君…危なっかしくて訳わかんなくてすぐ泣いて…でも優しい…いいヤツだったよ…


典「耕介…」
耕「変に希望持ったツケは高かったな…」
典「よく見ろ」


 飛騨君の姿はもはや見えない。だが、部屋の端に1匹の狐がうずくまっていた。まさか、伝説の妖狐・蔵馬か?


耕「何だよ…驚かせやがって…」
典「さすがに人型の維持は無理か…」


 そうか、狐だったのか…いぬ○み読んで以来、薄々そうだとは思っていたが…


朱「くぅ〜」
耕「日本語も話せなくなって…」
典「まあいい、試合続行だ。このまま押し潰せば勝ちに行ける」
ユ「そうだね」
耕「だから潰されろ」


典子 LP4000
手札:1


典「ベタだが、こいつを特殊召喚だ。E・HEROバブルマン、効果で2枚ドロー。さらに『強欲な壷』で2枚ドロー。生贄召喚で翠玉竜LV6を召喚する。さらに『風霊術−「旋」』を使う。風霊術を使った事で翠玉教皇竜を特殊召喚だ」


 君も十代並の神引きだな。


翠玉竜LV6 風 ドラゴン族 LV6
ATK2400 DEF1000
 「風霊術」と名の付くカードが発動した時、生贄に捧げる事で「翠玉教皇竜」をデッキもしくは手札から特殊召喚できる。このカードが「翠玉竜LV4」の効果で特殊召喚された場合、墓地の「風霊術−「重奏」」を手札に加える。


風霊術−「旋」 通常魔法
 デッキからカードを1枚ドローする。このカードと同名のカードはこのターンに発動できない。


翠玉教皇竜 風 ドラゴン族 LV8
ATK2900 DEF2100
 このカードは通常召喚できない。「翠玉竜LV6」の効果でのみ特殊召喚可能。このカードが攻撃を行う時、相手は場のモンスター効果・魔法・罠を発動できない。このモンスターが戦闘でモンスターを破壊した時、破壊したモンスターを墓地へ送らず自分フィールド上に「翠玉トークン」の名で永続魔法扱いで場に残してもいい。このカードがフィールドから離れる時、『風霊術−「翠玉憑着法」』を融合デッキから発動させる事ができる。


典「お前のフィールドは空だ。もう終わりだな」
ユ「ボクはクリボーを手札から捨ててダメージを0にする」


 ここでクリボーっすか? 悪あがきですか?


翠玉教皇竜 ATK2900
ダイレクト。
ダメージ、無効。


典「運のいい奴だ、1枚伏せてターン終了だ」


ユベル LP2650
手札:3
魔罠:五行陣



ユ「ボクは手札を2枚捨てて蛍惑を発動させる。翠玉教皇竜のコントロールはもらうよ」
典「さっきのお返しだ、『強制脱出装置』で翠玉教皇竜は手札へ戻った。 これでいよいよもって丸腰だな」


五行星術−「蛍惑」 通常魔法
 手札を2枚墓地へ送り発動する。ただし、場に「星術使いエリア」が存在する場合は手札コストは必要無い。相手のモンスター1体のコントロールを得る。場に「五行陣」が存在する場合、発動ターンのエンドフェイズにデッキから『五行星術−「鎮星」』を手札に加える。


五行星術−「蛍惑」、空撃ち。


典「そして、翠玉教皇竜が場から離れた事により、「翠玉憑着法」を発動だ。すでにウィンはお前の手札破壊で墓地にある。手札の「雅」をコストにし、翠玉教皇竜とウィンを除外。翠玉教皇−ウィンを召喚だ。効果で「重奏」を手札に戻す」


風霊術−「翠玉憑着法」 融合魔法
 手札もしくは場から「風霊術」と名の付くカード1枚を墓地へ送り発動する。手札・場・墓地いずれかの「翠玉教皇竜」と「風霊使いウィン」を除外する事で「翠玉教皇−ウィン」をデッキもしくは手札から特殊召喚する。


翠玉教皇−ウィン 風 魔法使い族 LV8
ATK1850 DEF1500
 このカードは通常召喚できない。このカードは「風霊術−「翠玉憑着法」」の効果でのみ特殊召喚可能。
 このカードの攻撃力は墓地もしくはフィールドの、このカード以外の「風霊術」、「翠玉」、のいずれかの名の付くカード1枚につき300ポイントアップする。
 このカードが場に出た時、もしくは「風霊術−「重奏」」を発動した後、墓地から「風霊術−「重奏」」を1枚手札に戻す事ができる。


翠玉教皇−ウィン ATK1850+300×10=4850


典「サレンダーして早くエリカから出て行け」
ユ「それは無理だね。ボクは愛しい人と2人きりで過ごす世界を創らなければならないんだ。そのためにはもっと力が必要なんだ」
典「お前とそいつがどんな仲なのかは知らない。だがな、こんな悪と言える行動に移らずとも目的は果たせるはずだ。罪にならない範囲ならば私も協力しよう。私とて迷える精霊は1000年間何度も面倒見て来たつもりだ」
ユ「なら、ボクの孤独は分かるはずは無い。何も無い暗い世界に永い間打ち捨てられたボクの心の闇を…」
典「分からない。だが、いつ転生するか分からない友を待ち続けた孤独なら分かる」
ユ「楽じゃないか、いつか必ず逢える保障があるのならね」
典「耕介、この愛に飢えた精霊に引導を渡してやれ」
ユ「ボクのターンはまだ終わっていないよ」
典「何だと?」
ユ「墓地に木火土金水、五行の力は揃った。『五行陣』はその上行く、七曜陣は開かれる」


七曜陣 フィールド魔法
 墓地の「五行星術」と名の付くカードが5種類除外し、場に「五行陣」が存在する時に場の「五行陣」を墓地へ送る事でのみ発動できる。デッキからの発動も可能である。このカードは相手のカードで場から離れる事は無い。「五行星術」「七曜星術」と名の付くカードの発動と効果は無効化できない。


ユ「さらに、墓地の星術使いエリアを除外し、七曜のエリアを召喚する」


 七曜だと? 七曜とは五行に陰陽を足し合わせたものであり、北斗七星も指す。まさか…胸に北斗七星の傷跡を持つ女なのか? さあ、ユベルよ、エリカ君の胸を…


七曜のエリア 光 魔法使い族 LV7
ATK4000 DEF3500
 このカードは通常召喚できない。「七曜陣」が発動した時、場もしくは墓地の「星術使いエリア」を除外する事でのみデッキもしくは手札から特殊召喚できる。
 このカードの名は場では「星術使いエリア」としても扱う。
 他のモンスターが自分の場に存在する場合、このカードは召喚できない。このカードのコントローラーはこのカードが場に存在する時、他のモンスターを召喚できない。
 このカードは相手のカードの効果を受けない。
 このカードが攻撃する時、デッキから「星術」と名の付くカードを手札に加える。


 ちぇっ…





The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第14.5話 白龍の本音

 あ、はい…私の番ですね? ん…こほん… パソコンの前のみんな、こんにちわーっ! ブルーアイズの木更津お姉さんですよーっ! 大きいお友達も小さいお友達も元気かなーっ!? こんなのでよろしいでしょうか? 瀬人様…私は今、変な世界にいます。瀬人様のいない世界です。三沢という存在感が無い少年の世界を越えて来ました。瀬人様の世界ならよかったのに、むしろ私の中に… あ、いえ…今はユベルとか言う人の世界にいます。何も無い世界なので瀬人様グッズとブルーアイズグッズで埋め尽くしたいです。横ではラスボス戦です。目の前では凡骨がガガギゴにワンキルされました。


ギ「さあ、凡骨め…勝ちたければ何度でも挑んで来るギゴ…」
城「絶対俺の扱い悪いぞーっ!」


 いえ、妥当です。瀬人様の判断は神の判断さえ上回ります。私のためなら神をも生贄に捧げたお方ですから。食物連鎖の頂点に立つお方ですから。だからあなたは凡骨です。地に伏す姿がお似合いです。負け犬と馬の骨に続く瀬人様の新しい命名があるまで凡骨です。余談ですが、私の頭の中には瀬人様のお子の名前の候補を常時100個以上取り揃えております。ああ…計画的です、私…


木「そうでしょうか?」
城「だったらお前がやってみろ、怪人海馬女ーっ!」
木「まあ…凡骨にも知られているなんて瀬人様ったらもうっ。でも、私の姓はまだ木更津です。どうせ呼ぶなら海馬幻白にしてください」
城「何言ってるかよく分からねーよ、とにかくお前がやってみろ」


 崇高なる瀬人様と意思を共有する私の考えを理解するには凡骨には何千万年か早かったようです。


木「凡骨なんか真紅眼の凡骨竜を使って喜んでいればいいんです」
城「真紅眼の黒竜だっ」
ギ「さあ来るギゴッ、木更津っ! 覚悟はいいギゴか?」
木「気持ちはありがたいですが、私の魂は永遠に瀬人様の○○もしくは○○○です。ああ、罪な女…」
城「誰もんな事言ってねえっつの」


 いえ、私は言いました。世界100億人のブルーアイズファンもそう思っているはずです。社内ではただ1人の社長と結婚できそうな女と言われています。


「「デュエルッ!」」
ギ「俺の先攻ギゴッ! 『昼夜の大火事』『昼夜の大火事』『火あぶりの刑』『ファイヤー・ボール』『ファイヤー・ボール』『ファイヤー・ボール』ターンエンドギゴ。お前は1ターンで俺のLPを0に出来るギゴか?」


木更津 LP4000→3200→2400→1800→1300→800→300


 さすがは燃える闘魂のトカゲ・ギゴギゴガンです。しかし、私と瀬人様の愛はもっと熱く燃えるものです。身も心も…瀬人様ったら大胆なんだからぁ… その完全燃焼っぷりは有毒ガスを出さないエコ夫婦として、環境問題に震えきった世界の救世主となるでしょう。


木「私のターンです、磯野専用ガジェット・ソルジャーKATUOを召喚します」


磯野専用ガジェット・ソルジャーKATUO 炎 機械族 LV4
ATK1850 DEF2000


 これは海馬コーポレーション年末アルティメットビンゴ大会(磯野主催)で当たった強力カードです。瀬人様とお揃いでLV4のガジェット・ソルジャーです。お揃いついでにペアルックも考えましたが…瀬人様ったら服着てない私(ブルーアイズ)の方が好きみたいです…私は観賞用なんかじゃありません…そんなに舐めるように見ないでください瀬人様ぁ…はぁはぁ… あ、いえ…とにかく、磯野さん専用なので攻撃力が50も上がっています。メカハンターも隠居を考えたくなる性能です。


城「カ、カツオ…?」
木「いえ、KATUOと書いてカーテュオゥと呼ぶそうです。他にもTARA(タールァ)・WAKAME(ヴァキャミィ)・SAZAE(サザイェー)・HUNE(ヒューネ)・NAMIHEY(ナミヒェ)が試作される予定です」
城「磯野一家勢ぞろい…いや、マスオさんがいねえ…」


 何の事を言っているのでしょう? これはガジェット・ソルジャーです。瀬人様の愛用するカードと同タイプのカードです。


ギ「そんな攻撃力で何ができるギゴか? 俺の超バーンデッキなら次のドローで80%勝利確定ギゴ」
木「でしたら私は400%です。シンクロ率は同化の域に達して…瀬人様と私の想いが重なれば…ああ、瀬人様ぁん…私もぉ…とろけちゃう………」


 10分後…


城「…」
ギ「…」
木「… はっ…ごめんなさい…幸せな未来を考えていましたら、つい…」
城「どんな未来だよ…」
木「だから凡骨はヤボなんです…限りなく続く果てしない栄光のバージンロードをブッチギリの独走体勢ですっ、大・喝・采っ、大・喝・采っ」
城「意味分からねえよっ!」
木「安心してください、式場に凡骨もいましたからっ。優しい優しい瀬人様に感謝してくださいっ、妹さんもご一緒でしたよっ。妹さんなんてブーケを走って追いかけちゃって…」
城「知るかーっ!」
木「意味不明な凡骨は放っておいて、『古のルール』で私を特殊召喚…」
青眼の白龍「…しました」


白き龍を宿す娘(キサラ) 光 ドラゴン族 LV8
ATK3000 DEF2500
 このカードは「青眼の白龍」として扱う。このカードは通常モンスターである。


 やはりブルーアイズの体の方がしっくり来ます。人型になっただけで私に気付かない瀬人様も…鈍可愛いですっ。


龍「攻撃しろぉぉぉっっっ、磯野ぉぉぉーーーっっっ!!!」
磯野ガジェ「磯野ぉぉぉーーーっっっ!!! 行っきまぁぁぁーーーっっっすぅっ!!! 全弾発射ぁぁぁーーーっっっ!!!」


磯野専用ガジェット・ソルジャーKATUO ATK1850
ダイレクト。
ギゴギゴガン LP4000→2150


ギ「ギゴーッ!?」
白「これが私の…破滅の威光っ! ワーハハハハハッッッ!!!」


白き龍を宿す娘 ATK3000
ダイレクト。
ギゴギゴガン LP2150→0


ギ「…」
木「ふう… 相手のLPを4000削って勝ちましたから、私は瀬人様に40歩近付いた事になります…」


 私の吐息と瀬人様のジュラルミンケースが世界を制する日が40歩近付きました…


ギ「メカギゴギゴガンになって…復活ギゴーッ!」
城「復活したぞ、次も頼むっ!」
木「いえ、私はこれから瀬人様が安心した老後が送れるよう、年金と保険の計算をしなければなりません。そのトカゲは任せました、凡骨」
城「めんどくせえっ! 拳で勝負だっ!」
ギ「ギゴーッ!」


 私、頑張ります…瀬人様を旦那サマと呼ぶ日が来るまで… もちろん本当の頑張りは…あぁ………







―行こうエリカ―


―答えは最初から決まっている―


―この物語に始まる場所へ―







The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  第15話 心を繋ぐ魔法

 俺は三沢大地の精霊。ついに最終決戦も佳境だ。エリカ君ボディのユベルとやらも第二形態になった。3対1の状況で飛騨君がやられてしまったが、勝ってみせろ。俺は何をしているかって? 俺は墓地に送られたカードの精霊。ドリル・ガイと逆転のカードを捏造中だ。それにしても、さっきの木更津さん、ものすごいな…




   〜ユベル城・最上階〜


ガガギゴ「ギゴギゴギゴギゴッ!」
城「うおっ!?」


 横では何度も消えては蘇るガガギゴと、城之内(角刈り)は果てしなく格闘戦を繰り広げていた。やはり城之内(角刈り)は肉体労働が似合う。もちろん俺は頭脳労働だ。


耕介 LP4000
手札:0
モン:突貫執着−ドリルアウス
魔罠:伏せ


典子 LP4000
手札:1
モン:翠玉教皇−ウィン


ユベル LP2650
手札:0
モン:七曜のエリア
魔罠:七曜陣


ユ「さて、これで少しはまともに戦えるね」
耕「エリアが強化された?」
典「名前通りなら、陰陽が来るな。おそらくは今まで以上の凶悪な効果のな」
ユ「まずは、その邪魔な地霊使いを叩いてあげるよ」


七曜のエリア ATK4000  突貫執着−ドリルアウス ATK2700
突貫執着−ドリルアウス、破壊。
耕介 LP4000→2700


耕「何だよあれ…」
ユ「効果でカードを手札に加える。そして陰を発動だ」


七曜星術−「陰」 通常魔法
 手札を2枚墓地へ送り発動する。ただし、場に「七曜のエリア」が存在する場合は手札コストは必要無い。対象の相手モンスター1体の効果は無効となり、元々の攻撃力と守備力を0とする。自分のモンスター1体に相手の無効となった効果モンスターの効果・元々の攻撃力と守備力を追加する。


ユ「風霊使いの効果、貰うよ」
典「しまった… 力が入らない? こんな事が?」
ユ「もちろん、今の状態では本当に魔力を奪う事になる」
典「甘いな、効果はあってないようなものだ。墓地に風霊術と翠玉はあるのか?」
ユ「甘いのはどちらかな? テキストにはどこの墓地かどうかは明記されていない。よって、ボクの攻撃力は上昇する」


七曜のエリア ATK4000+1850+300×11=9150
翠玉教皇−ウィン ATK0


 さすがは試作レベルのカード、表記が甘い。耕介達の試作霊使い系カードはほとんど「自分の場の」と書いていない。ルールを知り尽くした俺ならばそんなミスはしないがな。


ユ「ターンエンドだ」


耕介 LP2700
手札:1
魔罠:伏せ


耕「『光の護封剣』を使う。エリアは無敵だとしても、プレイヤーの行動は封じられる。ターンエンドだよ」


 人生守りに入ったら終わりだぞ、耕介。自己主張をするんだ、存在感を示せっ!


典子 LP4000
手札:2
モン:翠玉教皇−ウィン


典「我ながら、何も出来ないとは情けないな。1枚伏せ、守備表示に変更してターンエンドだ」


ユベル LP2650
手札:1
モン:七曜のエリア
魔罠:七曜陣


ユ「ターンエンド」
耕「ターンエンド」
典「ターンエンドだ」


ユベル LP2650
手札:2
モン:七曜のエリア
魔罠:七曜陣


ユ「戦線は安定したかな? ボクはこれから『サイクロン』で護封剣を破壊しようと思う」


 光の護封剣、破壊。


ユ「陽を発動」


七曜星術−「陽」 通常魔法
 手札を2枚墓地へ送り発動する。ただし、場に「七曜のエリア」が存在する場合は手札コストは必要無い。相手のデッキを半分もしくは10枚墓地へ送る。


 何というカードだ… しかし、墓地が肥えるということは俺の近くに…カードがいっぱい落ちて来たーっ!?


ユ「陰陽が墓地に揃った事で、ボクは最終形態へと進化する。五行、陰陽、そして計都、羅侯…すなわち九曜。宇宙を彷徨った末に手に入れた力の一端だよ」


九曜のエリア 光 魔法使い族 LV9
ATK4500 DEF4000
 このカードは通常召喚できない。墓地に2種類の「七曜星術」と名の付くカードが存在する時、自分の場の「七曜のエリア」と「七曜陣」を除外する事でのみデッキもしくは手札から特殊召喚できる。
 除外した「七曜のエリア」の受けていた効果は任意でこのカードに引き継がせる事ができる。
 このカードの名は場では「星術使いエリア」「七曜のエリア」としても扱う。
 他のモンスターが自分の場に存在する場合、このカードは召喚できない。このカードのコントローラーはこのカードが場に存在する時、他のモンスターを召喚できない。
 このカードは相手のカードの効果を受けない。
 このカードが攻撃する時、ダメージステップ前に相手のLPを0にする。


七曜のエリア ATK9650


 来るとは思っていたが、来たか九曜。最強じゃねーか。穴の無いカードじゃないか。攻撃宣言で勝利確定じゃないか。


耕「最悪だな」
典「計都と羅侯が揃ったか、しかも…」
ユ「まずは…何かと五月蝿い風霊使いに黙ってもらうよ」
典「!?」


九曜のエリア ATK9650  翠玉教皇−ウィン DEF0
効果発動。
典子 LP4000→0


典「私はここまでの…ようだ…」
耕「…!?」


 典子ちゃんがユベルによって砕かれた… 典子ちゃんを構成していた金属部品が散乱す…あれ…君、メカだったのか?


耕「…(今度は修理できるとは言え…またウィンの体を目の前で壊されるとは…)」
ユ「もうそろそろだね。地霊使いアウスに宿った漆黒の闇、出してもいいんじゃないかな?」


 そうだ、あのインチキカードを使え。油断していたとは言え俺を一度は倒したカードだ。さあ、レッツ漆黒。


耕「…(確かに、漆黒の魔王を使えば確実に勝てる。でも、それは相手の要望に応える事。もしも、想像通り目当てが漆黒の魔王の力なのだとしたら、出した瞬間がボクの最期だ。そう、僕が全てを捨ててでも勝たなければならないと思わせる事自体が、ユベルの本懐だ。何もかもを喰らい尽くされて終わってしまう。エリカがどうなるか以前の問題だ。だけど、エリカは無事返してくれるかもしれない。木更津さんなら次元の壁だって破って元の世界に戻してくれる。そう、僕の持つ全てを差し出せば…)」
典「耕介…」


 生首が喋った。メカだもんな。でもピンチだ典子ちゃん…16号の法則だ…


耕「生きてたの?」
典「魂が人形に憑依しただけの存在だ…」
耕「はっきり言ってグロい」
典「最後はお前の思ったままにやれ…」
朱「くぅ〜」
典「ヒータもそう言っている…」
朱「…」
典「悪い、パワー切れだ………」
耕「…(1000年前と同じだ。最後の最後で僕にこんな決断が回って来る。あの時はグレファー兄貴から漆黒を取り込む決断をした。今度は自滅覚悟で漆黒の力を使うかどうか。まったく、やれやれだ)」


 何を回想モードに入ろうとしている? 前を向け、カードを信じるんだ。俺を信じるんだっ!


ユ「ターンエンド」


耕介 LP2700
手札:2
魔罠:伏せ


耕「…(リビングデッドが伏せてあって、手札は『地霊術−「極」』…引いたカードは…『超融合』…? 全く、勝利の女神ってのはつくづく僕にバカ笑いしてくれるんだな)」
ド「どうするか、相棒?」
耕「また来ちゃったよ、こんな選択」
ド「お前の思ったままにやりな」
耕「典子みたいな物言いだね」
ド「もちろん、真似した」
耕「兄貴は兄貴だ」
ド「お前がどうなろうがどこに行こうがよ、俺はずっと見守ってやるぜ」
耕「うわ、変態ストーカー」
ド「俺は見届けるぜ…」
耕「分かった…(僕の選択肢…)」


漆黒の魔王D・G・F 地 悪魔族 LV12
ATK5000 DEF5000
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「地霊使いアウス」
 このカードは、融合素材となる2枚のモンスターを自分の墓地から除外し、自分の場のカード・手札・デッキ・墓地を全て除外し、自身のLPを1にする事でのみ場に出せる。このカードが場に存在する限り、自分はこのカード以外のカードを全て使えない。このカードは相手モンスターが存在する場合でもダイレクトアタックが可能。このカードの存在するバトルフェイス時、あらゆる効果の発動が出来ない。このカードが戦闘ダメージを与えた時、相手のデッキの一番下のカードのみを残し、相手の場のカード・手札・デッキ・墓地を全て除外する。このカードが場から離れる時、自分はサレンダーする。


耕「…(1つ、ユベルに取り込まれる覚悟で漆黒の魔王となる。確実に勝てる能力を持っているが…)」


地霊術−「極」 通常魔法
 LPを半分払う。フィールドもしくは墓地から融合モンスターカードによって決められたモンスターを除外する事で、レベル10以上の地属性融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する。


グラウンドマスター・アウス 地 魔法使い族 LV10
ATK? DEF0
融合 「地霊使いアウス」+1枚以上の地属性モンスター
 このカードは「地霊術−「極」」の効果でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。このカードの攻撃力は素材としたモンスターの枚数×1000となる。


耕「…(2つ、耕介という存在を否定し、過去の自分に逃避する。墓地の地属性カードは13枚。これも確実に勝てる能力を持っているが…)」


超融合 速攻魔法
 (未完成のため、解読不能)


耕「…(3つ、1000年前と同じ禁術を使う。ただ、このカードにはテキストも何も書いてない。そもそも、相手の効果を受けない敵に効くかどうか…)」


耕「…(4つ、諦める。迷うぐらいならこれもいいかもね…)」


 迷う事はない。俺達の今、造りつつある最強カードを呼ぶんだ。


ド「俺達はいつも一緒だ…」
三「耕介…俺達の力を使え… 勇気を信じるんだ…」


大勇者グレファイガー 地 機械族 LV12
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「ゼロを司る者DDM」


耕「…(却・下)」


 さあ、俺の得意科目、選択肢を出してやろう。さあ、グレファイガーを召喚するのだ。耕介よっ!


・[漆黒の魔王の力を使う
・[グラウンドマスターを使う
・[グレファイガーを使う
・[超融合を使う
・[サレンダー


耕「…(無理かもしれないけど、僕は下らない賭けに出る…)」


・[漆黒の魔王の力を使う
・[グラウンドマスターを使う
・[グレファイガーを使う
・[超融合を使う
・[サレンダー
>[別の方法


 え、ちょっ…なにそれ?


耕「僕は『リビングデッドの呼び声』で…」


・[赤フンHEROドリル・ガイ
・[ゼロを司る者DDM
・[地霊使いアウス
>[水霊使いエリア


耕「水霊使いエリアを墓地から蘇らせる…」


 俺じゃないの? 何で? どうして?


耕「…(さっき陽でデッキが半減した時に、なかばヤケで墓地に落とした事にしたカードだ。もしも、エリカの魂が不完全なエリアの転生したものなら、ユベルの支配も不完全なはずだ。そして、僕は認めよう。1000年前の僕がエリアを蘇らせようとした事こそが、今のエリカを生んだ事を…)」


水霊使いエリア ATK500


エリカ「あ、もう朝ー?」
耕「…成功した。肉体はユベルに盗られたままだけど、魂だけはこっちに引っ張り出せた。エリカ…すなわちエリアは僕のコントロールに戻った。やればできるものだね)」


 何考えてんだお前ーっ!


耕「寝るならちゃんと布団で寝てよね」
エ「コーチン、連れてってくれるよね?」
耕「二度寝は体に…じゃなくて、状況確認して」


 エリカ君は後を見た。後ではメカギゴギゴガンとなったガガギゴが城之内(角刈り)にボコられている。メカになっても弱いな、ガガギゴ。


エ「怪獣大決戦ー」
耕「角刈りで5倍のパワーゲインになってるんだ」
城「なるかーっ!」


 エリカ君は前を見た。正面には自分の体を乗っ取ったユベルが立っている。


耕「そっくりさんコンテストじゃないよ。ドッペルゲンガー見たら死ぬらしいね」
エ「ドッペルゲンガー?」


 エリカ君は横を見た。まだ見ている。いつまでもいつまでも耕介の事を睨んでいる。さあ、もっと耕介を恨むのだ。


エ「…」
耕「分かった?」
エ「全〜然〜」
耕「実はね、エリカは得体の知れない精霊に体を乗っ取られていたんだ。それで僕達は三沢の心の世界を旅してここまで辿り着いたんだ。了解?」
エ「了解〜」
耕「しかも僕達は前世から親友である事も判明した。アンダースタンド?」
エ「ヤダー、前世からの恋人がいいー」
耕「無理。僕の前世、女だから」
エ「うー、じゃあ私の前世は男?」
耕「ところが確率の問題はそんなに甘くない」
エ「危険な仲だったんだね〜」
耕「…(まあいいや、最後にエリカに逢えたんだ。そう、僕はユベルに勝ちに来たわけではない。心おきなく負けに行こう)」
ユ「…」


 な、何かユベルも拗ね気味だぞ。もちろん俺もだ。こんな場所でラブラブオーラを撒くな。


耕「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ(これでいいんだ、これで…)」
ユ「別れの挨拶は済んだかい? ボクのタ…」


エリカ LP4000
手札:6


エ「じゃなくて、私のターン」
ユ「何っ?」
耕「何で?」


 そうだった、飛び入り参加自由のデュエルだった。命拾いしたな、耕介。エリカ君に一生感謝するがいい。


エ「ダメ?」
耕「いいけどさ…ユベル、入れていい?」
ユ「別に構わないよ、デュエル前にも言ったさずさ。何人連れて来ても構わないと」


 そこの城之内と木更津さんも入ってきたらヤバイんじゃないか、ユベル?


耕「ぶっちゃけ言うけど、あらゆる効果を受けない攻撃力9650の相手が目の前にいる。それを1ターンで片付ける自信はある?」
エ「じゃあ攻撃力10000だね」
耕「そんなカードあるわけ?」
エ「手札にあるんだけど」
耕「じゃあ、やっちゃって」
エ「えーとね、『戦士の生還』2枚使って…コーチンの墓地から赤フンHEROドリル・ガイとゼロを司る者DDMを戻して〜」
耕「それ、グレファー兄貴と三沢だよ」
エ「…」
ド「絶対勝利の勇気の力、見せてやろうぜっ!」
三「不死鳥(ラー)は炎の中から蘇る… ラーイエロー主席・三沢大地を忘れるなっ!」


 ついに俺達は手札に帰って来た。よし、エリカ君に挨拶だ。行くぞ、ドリル・ガイ。


ド「デュエルは愛なんかで勝てるわけがねえっ! 結束だっ! 友情だっ! 見えるけど見えないものだっ!」
三「俺は見えるけど見えないものだ。エリカ君、ついに君の使い魔になれたよ。さあ、何なりと命令してくれ」
エ「や〜だ〜」
耕「早く墓地に送るんだ、Gスト〜ンの光を浴びたら変態になる。ミサワスキー粒子に包まれたら存在感が妨害される」
エ「う、うん… 『パワー・ボンド』…」
三「俺達の考えうる最強の勇者、今ここにっ! 俺の知る全てを具現化するっ!」
ド「グレファー・イマジネーション、全開っ! マジカル・ダンディー・テクニックッ! 略して、魔男手(マダンテ)ッ! おっ、思いつきで言ったら英語も漢字も意味同じだぜっ!」
「「グレファーフュージョン、発動承認っ!」」


 俺達の夢とロマンが1つになる。今、俺とドリル・ガイはジャッキンジャッキン変形しながら巨大ロボへと姿を変えていく。


大勇者グレファイガー 地 機械族 LV12
ATK3500 DEF3000
融合 「戦士ダイ・グレファー」+「ゼロを司る者DDM」
 融合召喚でのみ召喚可能。上記以外のカードを融合素材の代用にする事は出来ない。


 こうして、俺とドリル・ガイは1つになった。グレファーシリーズ最強にして究極の勇者がここに誕生。顔はグレファー。胸に俺の顔。肩は新幹線。背中はステルス機。膝はドリル。頭は羊トークン帽子。髪型はツインテール。委員長メガネも装備。両手はネコの肉球付きミトン。服はスクール水着の上にフリルエプロンの上に白衣。足は網タイツでピンヒール。ん? 待て、グレファー、途中でロマンの意味を間違えているぞ。何をどう間違えればこんな姿になるんだ? 俺はドリル・ガイを一瞬でも信じた事を後悔した…


勇者「「その名も…大勇者っ・グレッ・ファイッ・ガーーーッッッ!!!」」


 もうヤケだ、身も心もグレファーになって勇者の限りを尽くしてやるっ!


大勇者グレファイガー ATK3500×2=7000


耕「…」
エ「…」
ユ「た、確かに高い攻撃力だね。でも攻撃力はボクの方が上だよ」
耕「そのセリフを言うと、災いが訪れる…」
エ「『リミッター解除』」
勇「「燃え上がれっ、俺の煩悩っっっ!!!!」」


大勇者グレファイガー ATK7000×2=14000


 無敵効果に超攻撃力に強制勝利まで持ったカードに対抗する方法、それは超攻撃力を上回る超超攻撃力だ。さあ、サイバーエンドに続く前代未聞の攻撃力を味わうがいいっ!


ユ「攻撃力14000?」
耕「やったねエリカ、僕に出来ない事を平然とやってくれる。そこにシビれた、憧れたよ」
エ「それって愛?」
耕「愛とか何とか言うより、生活に欠かせない存在って奴?」
エ「じゃああれは?」
勇「「込み上げろっ、俺の欲望っっっ!!!」」
耕「…」
エ「…」
耕「と、とにかく攻撃するんだ、エリカはやれば出来る子だ。勇気を出して一撃を放り込むんだ」
エ「やってみる…大勇者なんとかで攻撃〜」
勇「「うおおおおおーーーーーっっっっっ!!!!! 三沢大地獄と天国(ミサワ・ヘル・アンド・ヘブン)ッ!」」
耕「いや、うん。もう呆れ通り越して超最高」


 俺達は輝く腕を前に突き出して突進した。グレファイガーが九曜のエリアの前まで詰めた。そして…エリア(エリカ君の肉体)の中から何者かを引きずり出す。ユベルの魂だ。


大勇者グレファイガー ATK14000  九曜のエリア ATK9650
九曜のエリア、破壊。
ユベル LP2650→0


ユ「…!?」
耕「今だ、『超融合』発動。エリカの魂と肉体を1つに戻すっ!」
ユ「うっ…」
エ「わえっ…」


 ナイスタイミングだ、耕介。これでエリカ君の肉体のコントロールは本人に戻る。


エ「…」


 エリカ君の魂は本人の元に戻った。本人からすれば何も変わっていないようだが。ただ、悪の貴公子のようなふざけた服の代わりに、エリアのものになっている。


ユ「…」
耕「…(あれがユベル…悪魔か竜人か… だけど僕には分かる気がする、厚い鱗の下には人間と変わらない心があるのだろう。僕も一応、漆黒の魔王だからね。やっぱり僕とユベルは似た者同士だったみたいだ)」


 何はともあれ、俺達の勇気の完全勝利だ。だが、まだ三沢大地獄と天国は完了したわけではない。


耕「成功」
ユ「ボクが…? こんな事で… 負けたのか…」
耕「昔っからこうなんだよ。加減を知らないって言うか、場の空気読まないって言うか、傍若無人で天真爛漫って言うか… パッパラパーなんだ」
エ「私、パパラッチじゃないもん」


 三沢大地獄によってユベルの魂はエリカ君から抜き出す事が出来た。次は…頼むぞっ! グレファー・ヘブンッ! その天国を我が手にーっ!


エ「ひゃっ…」
耕「…(エリカのを…揉んでる…わしづかみで…僕だって時々しかしない事を………)」
エ「…」
勇「「まだ攻撃は終わってないぜっ! ああ…天国や〜」」
エ「きゃあーっ!」
耕「兄貴の大バカッ! 三沢の外道っ! 2人揃って三沢大地獄に送ってやるっ! エリカ、バトルフェイズを終わらせるんだっ!」
勇「「させんっ! その口、封じさせてもらうっ!」」
エ「いやぁーっ! 『融合解除』〜」


 歴史上、二度と生まれないだろう最強勇者はエリカ君の手によって消えた。そして、俺の夢もなかばに消えた…


ド「…」
三「…」
エ「女の敵〜」


 しまった…グレファーなんかと融合したせいで理性が消えていた…俺としたことが…


ユ「ボクの負けだ、これで満足かい?」
耕「全然、むしろ君に共感を持った、僕も漆黒の魔王だから… もう終わりにし…」


 そんな終わり方、俺は許さんぞーっ! この心の底から込み上げる怒りをどこに向かわせればいいんだーっ!


ド「ちくしょーっ!」
三「あと一歩だったんだぞーっ!」


 ユベルッ、俺はお前を倒すっ! 意味は無いけど叩きのめすっ!


ユ「こうなったら誰でもいい…心の闇をボクに…」
2人「「バトルはまだ終わってないぜっ!」」


赤フンHEROドリル・ガイ 地 戦士族 LV4
ATK1900 DEF0
 墓地の「ドリル」と名の付くカードをゲームから除外する事で特殊召喚できる。このカード名は「戦士ダイ・グレファー」としても扱う。


ゼロを司る者DDM(ディスアペアド・ダイチ・ミサワ) 地 戦士族 LV8
ATK3300 DEF3300
 このカードを生贄召喚で召喚した場合、生贄の「ゼロ」と名の付くモンスターの数によって以下の効果を得る。
0枚もしくは特殊召喚:エンドフェイズに除外。
1枚以上:LPを500支払う事で相手モンスターのこのカードへの戦闘を無効化できる。
2枚:相手のあらゆるカードの効果を受けない。


ユベル 闇 悪魔族 LV10
ATK0 DEF0
 このカードは戦闘によっては破壊されない。表側攻撃表示で存在するこのカードが相手モンスターに攻撃された場合、攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。このカードが戦闘を行う事によって受けるコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。このカードは自分のエンドフェイズ時に自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げなければ破壊される。このカードの効果以外の方法で破壊された時、自分の手札・デッキ・墓地から「ユベル−Das Abscheulich Ritter」1体を特殊召喚する。


赤フンHEROドリル・ガイ ATK1900  ユベル ATK0
反射ダメージ。
グレファーの精霊 LP4000→2100
ゼロを司る者DDM ATK3300  ユベル ATK0
反射ダメージ。
三沢の精霊 LP4000→700


 俺の行き場のない怒りとドリル・ガイの変態パワーとが、心の闇として解き放たれた。ここぞとばかりにユベルもそのドロドロした心の闇を吸収し始める。


ユ「なんて胸焼けのする闇だ…」
ド「まだまだーっ!」
三「負けるかーっ!」


赤フンHEROドリル・ガイ ATK1900  ユベル ATK0
反射ダメージ。
グレファーの精霊 LP2100→200
ゼロを司る者DDM ATK3300  ユベル ATK0
反射ダメージ。
三沢の精霊 LP700→0
三沢の精霊、消滅。


 だが、心の闇(煩悩)はあまりに強かった。耐え切れず破裂、ユベルと呼ばれた精霊はズタズタになった。ふっ…これが俺の実力…だ………


ユ「…」
エ「あれー?」
耕「どっちにしても…エリカのバカ…」
エ「バカじゃないもん、パッパラパーだもん」
耕「史上最悪のパッパラパーだね」
エ「リスペクトを忘れないのがデュエリストだよ。ガッチャピン、楽しいデュエルだったよ」
ユ「…」
耕「本当に、世話のかかるダメッ娘だ。こんなのに取り憑いてた君の事には同情するよ」
ユ「愛の力って…すごいよ…」
耕「僕達はもう帰るよ。選別としてこのカードをあげるから、許して。ついでに知り合いの治療の神様も紹介するから(もう僕に『超融合』は必要ない、繋がりを取り戻すカードは… あとディアン・ケトも置いちゃえ)」
ユ「…」
耕「このカードが完全なカードになれば、君と大事な人の絆も取り戻せるかもね…」
ユ「…」
耕「さあ、帰ろう…」




―僕達の物語は始まった―


―これは特別の「魔導師」の物語ではない―


―誰にも物語はあり―


―それは光の中に完結する物語だ―





ユ「超…融合…?」




―そして、ユベルの物語も始まろうとしていた―





竜崎「…」
?「あの力、使えそうだな」
?「全ての存在感を消し去るあの力を」
?「存在感を消し去れば、我らが一部とし易い」
?「ミサワスキー粒子の研究を進めるのだ」
?「全ての存在をダークネスに統合するために」




―だが―


―別の暗雲も立ち込めていた―


―全ては三沢を中心に―







The Lost Ground 〜失われた地霊使いの物語〜  エンディング

 あの後、廃墟となった港に僕達48人は倒れていた。47人ではなく48人。エリカは僕の横でイビキをかいていた。ついでにガガギゴも。特に脈絡も愛着も無い集団だったけど、これが結束の力なのだろうと僕は勝手に思う。城之内の髪も、海馬コーポレーションの最新育毛剤『終わらない毛根育成ロード』で完全復活した。壊れようとした僕の日常は何事も無かったかのように過ぎていた。この事件の港の破壊は、典子と海馬コーポレーションがうまく隠蔽してくれたようだ。


 …


 今日の事件は外からの者の仕業だった。それがユベル。1000年前、漆黒の魔王の力が僕と一体になった時に、アウスの物語は完結していた。歴史に記されない、失われた地霊使いの物語は。


 …


 エクゾディオス、超融合、あれらのカードが眠る世界はどうなるのだろうか? ユベルはどんな世界を創るのだろうか? 一方的だけど、友として幸運を祈りたい。人知れず孤独の地に住む精霊へ。


 …


 三沢とレアハンター(1)は数日後、沖で漁船に保護されていた。しぶとい奴だよ。エクゾディア事件から今までの記憶を失っていた事は、幸か不幸か。その代わりに『黒魔伝説クラン・発動編』なる謎の番組を見ていた記憶があるらしい。何それ? とにかく、忘却され続けた三沢大地の暴走は一端終わりを告げる。


 …




   〜耕介の家〜


 家に帰ると、事件が待っていた。


「だいぐれぐれぐれだいぐれふぁ〜」


 家に誰かがいる。しかもとてつもなく聞き覚えるある声での鼻歌だ。


「○○○にハマってさあ大変〜」


 うちの浴室だ。


「裸で出て来てコンニチワ〜」


 そう、湯船にはあいつがいた。


ド「嬢ちゃん一緒に遊びましょ〜」
耕「あ、兄貴…」
ド「俺はダイ・グレファーの名は捨てた。さすらいの土木戦士、掘削HEROドリル・ガイだっ!」


 その生物は仁王立ちになって叫んだ。だから早速、叫び返す。


耕「キャーッ! 全裸の不審な男が訳の分からない事を言って言い寄って来るっ! なんか貞操の危機が…」
ド「おいおいおい、本気か?」
耕「半分ね」
ド「ふっ、根性無しが」
耕「録音はしたけどね。でも何でうちにいるわけ? それ以前に実体化してない?」
ド「精霊って言っても努力と根性で実体化するもんだぜ」
耕「ふ〜ん」
ド「そうだ、エンディングついでに教えてやるか、漆黒の魔王から開放された俺がどうなったのかをなぁ」
耕「少しだけだよ」
ド「1000年前…剣を握らないと決めた俺は…その昔、荒野で会ったある女戦士と再会した」
耕「ウィルドさん? 記念すべき被害者1号の人だね」
ド「意気投合した俺達は土木工事で生計を立てた。そしてある日、黄金の国ジパングを目指して旅に出た」
耕「拉致監禁でみだらな行為を強要した上、指名手配されて国外逃亡」
ド「そして、安息の日々の中、大往生した」
耕「平安時代もさぞ外来種の危機にさらされたんだろうね」
ド「剣を捨てた俺はある武術を我流で広めた。それが大地流古武術の始祖となった」
耕「ちょっと待ってよ、確か開祖者は僕の先祖だって事は…」
ド「ちょうどお前は43代目だ」
耕「兄貴、1つ言っていい?」
ド「どうした?」
耕「末代までの恥なんだけど… 切腹して僕が末代になろうかな…」
ド「胸を張って叫ぶのだ『僕はグレファー四十三世』となぁっ!」


 たぶん、漆黒の魔王の支配力に耐性のある家系なんだ、だから…僕と兄貴は本当の意味で家族となってしまったんだ。そんなわけで、同居人が1人増えた。




   〜花京院邸〜


 そして、僕は典子が動けるようになったとの連絡を受け、典子の家へと向かった。この家に住む者は(磯野さん以外)皆人間ではない。こっちの世界在住の精霊の類。人間であったとしても、精霊などとの繋がりが深く人間社会で生きにくい者だという。同じ姿形をしていても、人は変わっていくもの、あの頃のウィンはもう過去の存在。


典「よく来たな」
耕「まあね」
典「とりあえずは終わったな」
耕「うん、兄貴終わってる」
ド「…」
典「私達の過去からは何も来る事はもう無いだろう。だが、今回のように他の時代、異次元の者が介入する可能性は残っている」
耕「その時はその時でいいんじゃない?」
典「気楽でいいものだ」
耕「むしろ、過去の物語の完結した僕達だからこそやれる事があるじゃないか」
典「言ってみろ」
耕「人様の危機に積極的に割り込んで話を乱そう」
典「あのな…」


 過去は過去、全ては時間の流れと共に…




   〜朱里の巣〜


 朱里の私生活は完全に獣だ。僕達の前に現れる時以外は狐として過ごしている。妖気が足りなくてまだ朱里は狐のままだ。日本語は話せるようになってるけど。手土産は当然油揚げ。


耕「はい」
朱「ありがとう…」
耕「もうちょっと文化の香りのする生活したら?」
朱「いいよ、こっちの方が落ち着くから…」
耕「うちで飼ってあげようか?」
朱「コウちゃんとそんな関係になりたくない…」
ド「自慢じゃないが、その手のプレイなら俺の得意…」
「「燃え尽きろ、ダイ変態っ!」」
ド「ぎゃふっ…」
朱「あの…」
耕「何?」
朱「どうして漆黒の魔王も「極」も使わなかったの…?」
耕「僕が僕でいるためさ。魔王もアウスも過去の名残、僕はただのカードとイタズラが好きな高校生」
朱「ユベル…放っておいてよかったの…? 嫌な予感がする…」
耕「大失恋の予感がね。でも、あの手の子は大喧嘩の1つでもすれば仲直りするだろうからどっちでいいさ」
朱「コウちゃんとエリカみたいに…?」
耕「一緒にいた頃の想いがあれば、ね…」


 いつの時代も変わらないのがヒータだった。これまでも、これからも、多重人格発火狐は元気にやっていくはずだ。たぶん。




   〜エリカの家〜


 何をどうしたって数秒先の未来は見え続ける。アウスの記憶も魔力も残り続ける。それでも日常は日常のままだ。


耕「…」
エ「…」
ド「俺は見届けるぜっ!」
ギ「ギゴッギゴー」


 ガガギゴはいつも通り。兄貴まで仲間入り。兄貴なんて毎日が警察沙汰だ。おかげでエリカと2人きりになれる時間は少ない。


ド「俺は全く構わん、心行くまでイチャついてくれっ!」
耕「したいのは山々なんだけど邪魔なんだよ、兄貴」
エ「したいの?」
耕「本っ当に邪魔だよね、精霊」
エ「ちょっと最悪だけど、大事な兄貴だよ」
ド「大丈夫だ、俺の頭の中でイチャつかせてやるぜっ! 巡れ、俺のイマジネーションッ!」
耕「いいけど…」
エ「…」
耕「…」
ド「おおっ、おおっ!」
エ「…」
耕「…」
ド「おおっ、グゥレイトッ! エクセレントッ! ワンダフォウッ!」
耕「…って何が楽しいんだよ!?」
ド「ちっ、羨ましい奴め」
耕「誰か、こいつ消してくれない?」
ド「つまりな、俺の頭の中ではお前とエリカが○○○(以下略)」
耕「最後の最後で放送コード切るなっ!」
ド「我に断てぬもの無しっ!」


 僕は誰にでも差し障り無く意地悪をしたくなる生物だ。だけど…いつか、エリカには特別な一生かけた最悪の嫌がらせをしようと思う。何かって? 教えるわけないじゃないか、読者さん。僕だって口に出すの恥ずかしいんだからね。











The Lost Ground 〜忘却の大地〜  エンディング

   〜博士の研究室〜


 やあ、みんな久しぶりだな。俺は三沢大地だ。正月のアカデミアの帰りあたりから記憶がはっきりしないが、それも急性もけもけ中毒の発作だろう。それより大変だ、博士が変な夢を見た。耕介が夢枕に立って物質転送装置の設計図を渡すという腹の立つものだ。しかも理論は完成しているらしく、今日になって完成に漕ぎ着けた。それにしても、先日から博士は耕介に『ひ孫を早く見せてくれ』と『孫はやらんぞ』を連呼している。博士…そろそろ俺に全てを託して隠居を考えても…


博士「この人は来年度からアカデミアに赴任する事になるプロフェッサー・コブラじゃ。この人類の文明が革新する瞬間をはるばる見に来て下さったのじゃ」
コブラ「よろしく」


 軍人だろ、どう見ても。


博「行くぞ、三沢君。君は人類初めての物質転送装置でワープする人間となる」
三「はい、博士」


 俺は転送装置に立った。未来永劫、俺の名は歴史書の中で語り継がれるだろう。


博「とは言っても、隣の部屋に飛ぶだけで。長距離移動にはならないがのう」
三「それでも俺は十分です。いつでも飛ばして下さい」
博「うむ。では行くぞ」


 さあ、博士。俺を人類の先駆者にしてくれ。


三「…」
博「…」
コ「…」


 何だこの沈黙は? 何だ、この転送装置の壊れちゃいそうスパークは?


博「制御が効かん、三沢君…逃げるのじゃ…」


 俺の体にスパークが集まった。まさか、今日からスパーク使い三沢になるのか? それはそれで歴史に名を刻めるぞ。


コ「…」


 何この人、左手がなんか化け物になってますよ? 新型のサイコガン? それとももしかして地獄先生?


ユベル「さあ三沢、また力を貸してくれ…ボクの世界のために…」


 変な声聞こえたぞ 誰? 妖怪? 退治して、地獄先生〜


三「うわあーーーーーっっっっっ!!!!!」


 これは、春も近いある日の事だった…


 …




   〜異次元の砂漠〜


三「…」


 気が付くと、俺は見知らぬ砂漠にいた。博士、長距離転送に成功しましたよ…と言いたかったが、携帯は圏外だった。ゴビか? サハナか? タクラマカンか? 俺のいなくなったデュエルモンスターズGXの末路なんかを考えてしまったが、俺はメインキャラだ。こんな場所で滅びるような人材ではない。世界は三沢を求めている。世界は俺を中心に回っている。俺は大地だ。


モンスター「ぐじゅるぐじゅる… 反転するぞ…マジで反転しちゃうぞ?」


 ちょっと待った、なんだこの生き物は? UMAか? いや、違う。これはモンスターカードのイラストで見た事がある。メデューサワームか。なぜだ? ここはどこなんだ? 夢なのか? いや、現実だ。まさか、博士の言っていた精霊の住む世界なのか?


三「俺は…どうして…こんな所へ来てしまったんだろう… 俺の…世界は…?」
メデューサ「反・転・召・喚」


 そして、俺は新天地を走り出した…


 …


 そして数週間…


 …


三「くそっ…」


 歩いても歩いても砂漠だ。あれから何日が過ぎたのだろうか? 救援はまだだろうか? 今頃、博士もアカデミアのみんなも世界の財産たる俺の心配をして夜も眠れぬ日々を送っているだろう。十代もカイザーも明日香君も…それこそ翔やティラノ剣山でさえ、俺の帰りを待ち望んでいるだろう。ああそうさ、アカデミアは意気消沈して有史以来の落ち込みに瀕しているに違いない。


三「耐えるんだ…」


 実際、俺はこの何も無い世界で生き抜く事には苦労している。俺の頭脳に込められた様々な面白いネタは使い果たされ、今や何もする事がない。


三「繰気弾っていつの間に操気弾になったんだろうな…気功砲っていつの間に気巧砲になったんだろうな…って、また同じ事を考えるな、三沢大地」


 どうやらリピート機能が自動で働いて同じ事を何度も考えてしまう脳になったらしい。便利だが俺向きではない。もっと別の事を考えよう。


三「猫の舌は甘さを感じないらしいぞ。馬のヒヅメって中指らしいぞ。ウミウシって貝の一種らしいぞ。レアってダチョウの一種らしいぞ。キョンって鹿の一種らしいぞ」


 うむ、素晴らしいぞ三沢大地。これでこそ世界に誇るデュエリストだ。俺の数ヶ月に及ぶ独り言を全て記録していればとんでもない知識を得られただろう。誰か、俺の前に来てくれ。むしろ、アカデミアもろともこっちの世界に来てくれないかな?


三「うっ…」


 しまった、俺も限界が近いようだ… この世界は怖ろしい…便所がどこにもないのだ…口に入れるものは無くとも出すものは出さなければいけない人の摂理を俺は恨むぞ。外で出してしまってもいいが、そんな原始的な真似は天才デュエリストたる俺に出来るわけがない。砂漠のどこかに公衆トイレの1つはあるはずだ。探すんだ、三沢大地。耐えるんだ、三沢大地。


サンドギャンブラー「ギャンブルしようぜ、コインを使ってな」
三「お、お前は…」
サ「表が出たらお前を破壊、裏が出たらお前を破壊。表も裏も平等だ…さあ、コイントスだ」
三「ヒィーッ! こっちに来るなーっ!」


 俺の戦いは続く… 俺はいつまでも冷静でいよう。知性があれば、どんな難局でも越えられるのだからな。


 …


 そしてさらに数週間…


 …


三「美少女とはこの地球の奇跡によって生まれた少数種である。限りある地球の資源である。限りない地球の神秘でありロマンである。それを重力に魂を引かれた人類は分かっていない。地球は食い物にされようとしている。環境は破壊され、美少女の無駄使いが悪化している。このままでは地球は荒れ果てすさんだ寒い星になってしまうだろう。そんな星に希望を持って人類は生きていけるだろうか? 諸君は地球が寒くなって人が住めなくなってもいいと思うのか? このままでいいのか? 否、誰しも思わないはずだ。だからこそ我らは人類の威信にかけて絶滅危惧種である美少女の保護に乗り出さなければならない。限りある資源を独占し、我らから希望を奪う悪しき輩を許してなどおけるものか。地球の資源を我らの手に取り戻すのだ。立ち上がれ、若人よ。立てよ、国民。この星の明日のためにっ! 青き清浄なる世界のためにっ! 緑萌える大地を蘇らせるためにっ! むしろ三沢大地のためにっ! さあ、大地の結社の一員となって世界を緑で埋め尽くすのだっ! ワハハハハハッッッ!!! ミ・サ・ワッ! ミ・サ・ワッ! ミ・サ・ワッ!」




 この後、数ヶ月の放浪を経てすっかりロン毛になった三沢はハーピィの巣に迷い込みます。そしてハーピィの下着を誤って盗み取ってしまう。怒りに震えるハーピィに追い回され、デュエルモンスターズGX120話「異世界での戦い! 宝玉獣VSハーピィレディ」へとリンクする事になる。ここで、三沢大地の補間ストーリーでありながら、三沢が全然出ないこの物語を終幕させて戴きます。



―さらば、三沢大地―


―三沢大地、新たなる旅立ち―


―三沢大地よ、永遠に―













デュエリストと戦績

大地耕介
8勝1敗1分
 主役はアウス。理由はタイトルの意味を変えるため。男です。がっかりです。胸は肉まんです。がっかしです。暴力的で意地悪です。がっくりです。先祖はグレファーです。してやったりです。今や未来が見える上にデッキのカードを操れる凶悪な魔法使い。生まれつき未来が見えるせいで人格に支障があります。同様の能力を持ったイシズや斎王とは違い、特に不幸な目に遭ってはいないので妙な方向に性格が歪んでいます。いわゆる熱い展開を期待できない人物です。


エリカ=ツヴァインシュタイン
2勝2敗1試合放棄
 故あって、頭のネジはかなり抜けてます。耕介の日々の行いの賜物でしょう。おかげで日常生活の95%は耕介に依存しています。依存症で脳がメルヘンになっています。中毒症状で思考回路が焼き切れています。禁断症状を起こすと視界に入るもの全てがコーチンに見えてしまいます。


飛騨朱里
1勝3敗1試合中断
 1300歳で九尾の妖狐。好きな食べ物は油揚げ。不要に正体がバレてはいけない(親友除く)という一族の掟があるとかないとか。でも尻尾と耳は隠れていない。正体がバレバレである事を本人に気付かれてはいけない事は暗黙の掟。悩みは幻術がヘタな事。


花京院典子
1勝3敗
 1000年ほど経て少し口調が年寄りっぽくなっていますが、ウィンです。年齢なんて概念ありません、ご安心を。ジョジョっぽいネーミングですが、偽名なのでご安心を。耕介に異性としての好意はありませんので、ご安心を。さあ、諸君、花京院邸は彼女の退屈を紛らわせられる人材を求めている。今ならお嬢様のスペアボディを整備し放題だぞ。


三沢大地(究極生命体三沢ディオスも含む)
0勝4敗1自爆の巻き添え
 三沢? ああ、青森県三沢市の事かい? あ、違うんだ。



早乙女レイ
1勝0敗
 GXキャラ。アニメでは三沢となぜか共存しない娘。三沢はアレなのに対し、レイちゃんの印象は強い。なので(?)ゲスト出演。気付けばオープニングテーマで三沢のポジションを奪っている女傑。三沢がいる時にレイちゃんはいない。そんなに三沢が嫌いか?

不良A
0勝1敗
 ザコ。デッキも謎のまま。

ダイナソー竜崎
1不戦勝1敗
 無印キャラ。恐竜もレッドアイズも他にいい使い手がおり、もはや関西弁とタコヤキの具しか残らない男。竜崎だがLではない。ダークネス竜崎は終盤まで暗躍する予定でした。しかし、今頃になってアニメでダークネスが出るとは… よって、ラスボス=ダークネスの案は消滅。竜崎、降板。

晩宙助
3連敗
 ドリル・ガイに○○○を削られても立ち上がった不死身の男。ネーミング由来は言うまでもない。ネズミなのは、2008年の干支だから。

アヴドゥルさん
4勝0敗1自爆
 「三沢」と聞くと自爆するマシーン。実はメチャクチャ強い。霊使い4人から勝ち星を奪う。

風丸
0勝0敗1試合中断
 今思えば、帝シリーズが「四帝」と呼ばれていた時代もあった。それじゃあミヅチの部下にライザーの使い手はいないのか? …ってな理由で誕生。響きが忍者っぽいので忍者に決定。三沢ほどではないが超存在感を持つ。邪丸や光丸はいるのか?

木更津幻白
1勝1敗
 何でキサラって現在に復活しないんでしょうね? そして、私の妄想が高速回転。セト様を想い続ける事ウン千年…キサラはどう壊れるか? その解答例です。この手のキャラは筆が進む。いっその事、この人が主役でもやれるかも…

武田レン
0勝1敗
 ドリアードと風林火山はベストコーディネート。いっその事、ドリアードが武田家って事にしたら…って何だこの人? 木更津さんの劣化版か? 発想源は、2007年の大河ドラマ風林火山から。

逆田禁太郎
0勝1敗
 テーマは、禁止カードのせいで事実上禁止カード化したカードの復讐。何だかよく分からない変質者。

レアハンター(1)
4勝0敗(ルール違反だが、それをツッコムと別の面々も反則になるので)
「YO! YO! YO・YO・YO! め・め・目覚めよエクゾディアーッ! HEY! 召喚・召喚・わ・が・神・をっ! WAO! 来る来る助けて来い来い助けてエ・ク・ゾ・ディ・アッ! ヒィーッ!」

城之内克也
0勝2敗
 無印キャラ。本田を出す以上、出さざるおえない状況になりました。都合で角刈りになりました。城之内ファンのみなさん、ごめんなさい… でも、城之内君ってドタンバ以外は3枚目ですよね?

ギゴギゴガン
1勝1敗
 LP4000戦で本格的にバーンデッキだとかなり強いね。

ユベル
2勝1敗1分(全て1戦で完了)
 ダークネスがアニメで再登場したため終盤の展開の構成が変更。急遽抜擢(?)されたラスボス。よって、ダークネスエリアではなく、ユベルinエリアとなった。俺的設定では、三沢のゼロの力などを奪って異世界に関わる能力を得た事になってしまった。すげーな、三沢…





あとがき

 本来は内輪用に書かれた作品です。それにより、至らない点があったと思いますがご了承下さい。ここで言っておきますが、「The Lost Ground」は、私「軟弱ヅュエリスト」と相方の「三沢マイスター」、2人の合作です。私だけですと面白味が足りず、三沢マイスターだけですと支離滅裂…まさに2人で1人。場所ごとにノリが違うのも合作だから起きた現象です。ベースはマイスター、私が全般的に構成し直し、マイスターが三沢トークとパロディ類を混入します。

 しかし…後半がグダグダだ… 原因は、私達のコンビプレイが不完全だったからです。マイスターに展開を一任してしまった私の責任です。本当に支離滅裂です。そのダメっぷりを外のデュエリストに評価してもらうことも含め、投稿に踏み切りました。ただ…書いていて分かった事は、私達はパロを含んだコメディしか書けない事です。それと、一度不協和音が始まると文章の品質がガク落ちする事です。登場人物においてもそうですが、私たちもマジな展開に向いていないようです。

 さて、予定では3部作でした。「忘却の大地」で三沢が忘れられ… 「失われた地霊使いの物語」で三沢とは関わりの無い物語に突入し… 「ミサワティック・レボリューション」で三沢がメインで完結のはずでした。 …が、3部は休止、もしくは中止です。むしろ打ち切りです。原因は…アニメで三沢がいまだ音信不通だからです。おかげで中だるみの2部で打ち切りです。せっかく考えた数学科学超デッキがお蔵入り… 早く帰って来て…三沢…

 「ミサワティック・レボリューション」の構想。自分が世界で最も優れた頭脳のデュエリストである事を示すため、各地の頭脳派デュエリスト(賢人のパロキャラ)と試合をして回るという三沢ストーリー。霊使いは錬金術やら哲学やらのトークを連発する上での説明係になります。舞台を異世界にしたら始められるかもしれませんが…三沢の居所が掴めない以上、設定しようがありません。どこにいるの…三沢…

 ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。それでは…


執筆期間2007年7月〜2008年1月 投稿2008年1月〜2月 軟弱ヅュエリスト …と、 三沢マイスター



ザ・誤植

NO.1…時おりあるタイプミス。
 私のドジです。打ち間違えます。


NO.2…時々起こる行がえミス。(例:0話の最初に「属性」でいきなり…)
 それは、私が手動でHTMLを入力しているからです。全て私の責任です。


NO.3…0話で「クロノス」が「黒の巣」になっている。
 本当だ…どんな巣だよ… まあ、イメージ崩れていないから、まあいいか。ありがとう掲示板のお方。


NO.4…7話以降各地で、木更津さんの「バーストストリーム」が「爆裂疾風弾」ではなく「炸裂疾風弾」になっている。
 これは意図的です。木更津さんの勘違いという設定です。「炸裂装甲」が誰のカードだか分かりますよね? つまり、「最強の龍女」と「竜を操る謎の戦士」が邂逅した時… 完結編でのアホ話の伏線になる…予定でした。掲示板でツッコミ入れたお方、よく気付きました。


NO.5…9話で禁太郎が「アストラルバリア」で戦闘ダメージを無効化している。
 「スピリットバリア」でした。いつも同時に使っていたので混同しました。逆にプレイヤー直撃になりますね…


NO.6…11話で「漆黒の魔王」のルビが「ダーク・ルシアフ」になっている。
 これも意図的です。OCGの悪魔グレファーは「ダーク・ルシアス」です。でも…うちの三沢マイスターが自分で考案しておきながら「アウスを悪魔グレファーと一緒にするな」とうるさいもので、棒を一本抜いて「ルシアフ」にしました。棒って何だろうね? でも、ドリル・ガイと融合はOKなのか…三沢マイスター?


NO.7…12.5話の三沢特戦隊に「二沢」なる人物が混ざっている。
 ニサワって誰だーっ!?


 恐るべし、掲示板。ありがとう、掲示板。時間的都合で何も書き込めなかったけど本当にためになりました。最初は三沢と同じでスルーされる覚悟でしたが…良くも悪くもありがたいです。







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