第三回バトル・シティ大会
〜おまけU〜
製作者:表さん






決闘60.5 こちら えそら総合病院

※決闘50.5「絵空の初夢」の続編……かも。


 わたしの名は神里絵空。
 かつて、童実野町内に位置する大病院――童実野病院、その入院患者だった女だ。
 容姿はロリっ娘。人気は上々。
 今ではここ“えそら総合病院”の病院長であり、トップレベルの女医でも……あったらいいなあ。


絵「――と、いうわけで……好評につき、2回目なんだよ〜」
天「……またやるんだ、このネタ……」


 おねえちゃんが悩ましげに頭を抱えた。

 彼女の名は月村天恵。
 かつて、童実野町内に位置する大病院――童実野病院、その入院患者だった女だ。
 容姿は上々。人気も上々。
 今ではここ“えそら総合病院”の看護師長であり、トップレベルの看護師でもある。


絵「――と、お約束の前口上が終わったところで……今回もはりきっていこっか、お姉ちゃん♪」
天「はりきってと言われても……どうせ今回もグダグダなんでしょ、これ? やる意味あるの? そもそも前回、明らかに医療行為やってないし。強いて言うなら“相談所”っぽかったわよね……アナタ、本当に医者になりたいわけ?」

 うぐっ……厳しいツッコミ。相変わらず、このシリーズのお姉ちゃんはやさぐれてるなあ。

絵「でも、ご心配には及ばないよ? 「前回の二番煎じ」と言われないように、今回はちゃ〜んとプランを練ってきたんだからねっ。今回はこのスペースを使って、色々複雑になってきた本編のストーリーを、Q&A形式で補強していこうと思います♪」
天「アラ、意外。今回はギャグじゃなくて、ちゃんと実のある内容なの?」
絵「ウン、そうだよ〜。本編を読むだけだと分からない裏設定とか、分かり辛い詳細設定とかね。以前、「感想掲示板」の方で質問してもらったものも結構多いかな。「別にそんな細かい設定なんて興味ないよ」って人は、遠慮なくすっ飛ばしちゃってねっ♪」
天「ぶっちゃけたわね……。でもこんなの書いてるヒマあるなら、さっさと本編を書き進めた方が――」
絵「――ハイッ! では、はりきっていってみましょ〜っ♪」




Q1.海馬コーポレーションの決める「デュエリストレベル」の設定基準は何ですか?


天「あーこれ、私けっこう気になってたわ。ていうか、作者がテキトーに決めてたわけじゃなかったんだ?」
絵「いちおう少しは、設定基準も考えてあるみたいだよ。この問題に関しては、特別ゲストをお招きしておりま〜す」
磯「こんにちは。“第三回バトル・シティ大会運営委員長”、磯野でございます。エー、ご質問いただきました件ですが……そうですね。今大会の参加資格はレベル5、と定められておりますので……レベル5以上の認定基準について、簡単に説明させていただきたいと思います。まず、以下のリストをご覧下さい」


・ヴァルドー:5(本戦出場決定者)
・神無雫:5(本戦出場決定者)
・ゴキブリデッキ使いの少年:5
・城之内克也:5(凡骨上がり)(本戦出場決定者)
・太倉深冬:5(本戦出場決定者)
・珍札狩郎:5


磯「以上の方々が、本作に登場した、デュエリストレベル5の方ですね。現在のところ、このランクの決闘者は、世界に1000人近くいらっしゃいます。一概には言えませんが……中規模大会での上位入賞経験が複数回あれば、おおよそ獲得できますでしょうか」
絵「……って、人数多っ! そんなにいるんだ?」
天「そう? 世界で1000人、って考えれば、そんなに多くもないと思うけど。決闘盤の普及のお陰で、世界の決闘者人口は爆発的に増えているそうだし……」
絵「フーン……なるほどね。あれっ? ところで何で、城之内くんのレベルが5なの?」
磯「あ……ハイ。えー、それはその……瀬人様の指示でして……」
天「……だろうと思った」


・岩槻瞳子:6
・インセクター羽蛾:6
・梶木漁太:6(本戦出場決定者)
・ゴースト骨塚:6(本戦出場決定者)
・ダイナソー竜崎:6
・パンドラ鈴木:6
・光の仮面:6
・闇の仮面:6
・絽場:6
・ワイトデッキ使いの青年:6


磯「続きまして、レベル6について。このランクは現在、世界に300〜400人ほどいらっしゃいます。基本的には、大規模大会での上位入賞経験や、中規模大会での優勝経験が複数回必要ですね」
絵「あれっ……見覚えのない名前の子がいる。“岩槻瞳子”って誰?」
天「あー……その子は未登場キャラね。63話あたりで出てくるわよ」


・イシズ・イシュタール:7
・サラ・イマノ:7(本戦出場決定者)
・シン・ランバート:7(本戦出場決定者)
・獏良了:7(本戦出場決定者)
・武藤双六:7
・リシド・イシュタール:7


磯「そしてレベル7以上のランクを得るためには原則、各国で行われる全国チャンピオンシップレベルの大会に出場し、ベスト8以上の成績を残す必要があります。レベル6と7の間には、割と大きな溝が存在すると考えて良いでしょう。ちなみに、現在日本で行われているバトル・シティ大会は、全国チャンピオンシップと同レベルの大会として扱われており……バトル・シティ大会ベスト8以上の決闘者も当然、このランクを得ることができます。このランクは現在、世界に100人前後……といったところでしょうか」
絵「あれっ……双六おじいさんがココにいる。何で?」
天「ここまで見てきた感じだと、KC認定のデュエリストレベルは戦績重視よね? 何か特別な大会で上位入賞経験があるのかしら?」
磯「いえ。双六様に関しては、その道では高名なゲームマスターということですし……初代決闘王・武藤遊戯にM&Wを教えた人物という点も考慮しまして。ご本人様が今大会参加希望の意志を示された際、テストを受けていただき、特例措置としてレベル7を付けさせていただきました」
天「……割とテキトーなのねぇ」


・孔雀舞:8(本戦出場決定者)
・マリク・イシュタール:8(本戦出場決定者)


磯「レベル8に関しては原則、全国チャンピオンシップレベルの大会で、ベスト4以上の戦績を残される必要があります。現在、世界に40人前後……といったところかと。ただし、M&Wの普及率が若干低いと判断される国に関しましては、一国の王者であろうとも、このランク以下に位置される場合もあります。ご承知下さい」
絵「ん……あれ? ちょっと待って。たしか『幕間』に付いてた「登場デュエリスト簡易データ」によると、サラ・イマノさんとシン・ランバートさんは、全米ベスト4だったと思うんだけど……レベル8じゃないの?」
磯「ああ……その二人に関しましては、「全米ベスト4」の戦績を得たのが、前々回の大会でのことですので。以来、目立った大会成績の更新がなされなかったため、認定レベルが落ちてしまったのです」
天「なるほど……いちど得たレベルは、そのまま維持されるとは限らないのね。その2人は、前回の全米大会では大した成績を残せなかったのかしら?」
磯「いえ、そもそも大会出場されていないようですね。事情の方は分かりかねますが……」


・アルベルト・レオ:9
・エマルフ・アダン:9(本戦出場決定者)
・カール・ストリンガー:9
・キース・ハワード:9(本戦出場決定者)
・ティモー・ホーリー:9
・ペガサス・J・クロフォード:9


磯「レベル9は、“デュエル先進国”と判断される国の現役チャンピオンのみ、保持することが許される栄誉です。現在、世界に10人といらっしゃらない、非常に名誉な称号ですね」
絵「あれっ? M&W製作者のペガサスが入ってるのは何で? この人、アメリカのチャンピオンシップで優勝とかしたことあったっけ?」
磯「エー……それはその……瀬人様の指示による、特別な措置でして。……あまり大きな声では言えませんが、その……「自分より格下だ」とアピールしたい……のかと……」
天「何というワガママ社長」


・海馬瀬人:10(本戦出場決定者)
・武藤遊戯:10(本戦出場決定者)


磯「そして最後にレベル10、KC認定のデュエリストレベルとしては最高ランクとなります。バトル・シティ王者にのみ与えられる称号で、現在のところ2人にしか与えられておりません」
絵「あれっ? バトル・シティ大会って「チャンピオンシップと同レベルの大会」なんでしょ? だったら、この2人もレベル9なんじゃ……」
天「……察しなさいな。ワンマン社長だから許されるのよ」
絵「フーン……まあでも、大体分かったかな。ここまでの情報を整理すると、大体↓な感じになるのかな?」


・デュエリストレベル10:世界ランキング2位以内
・デュエリストレベル9:世界ランキング約10位以内
・デュエリストレベル8:世界ランキング約50位以内
・デュエリストレベル7:世界ランキング約150位以内
・デュエリストレベル6:世界ランキング約500位以内
・デュエリストレベル5:世界ランキング約1500位以内


磯「まあそうですね……現在、KCの定めるデュエリストレベルは定員制ではありませんので、少し経てばまた変わることと思いますが。現時点では概ね、このような割合でしょうか」
天「そういえば……絵空のデュエリストレベルって「?」のままよね? これって一体、どういう扱いになっているの?」


・神里絵空:?(本戦出場決定者)


磯「神里様に関しましては、初代決闘王・武藤遊戯の推薦による特別措置ですので。現在のところは、暫定措置として「レベル?」とさせて頂いております。今大会が終了しましたら、その戦績に見合ったランクが適用されます」
絵「なるほどねえ。今大会の戦績次第で、得られるランクが違ってくるんだ」
天「……どうでもいいけど、一つ目の質問に文字数使いすぎでしょ……。そろそろ次いってもいいかしら?」
磯「はい。予定より長々と説明してしまいました。申し訳ございません。失礼いたします」
絵「どうもありがとうございました〜♪」



Q2.本作でのデュエルは、何ルールで行われているのですか?

絵「あっ、これ知ってる。原作ルールだよね?」
天「スーパーエキスパートルールよ。読者の皆様がOCGで楽しんでいる“マスタールール”とは色々と異なるルールです。詳しくは原作コミックス18巻をご参照ください……と、言いたい所なんだけど。補足説明しておきたい点が2つあります。融合召喚と儀式召喚について」
絵「え……何か原作ルールと違ったっけ?」
天「まず融合について。OCGのルールでは、いわゆる手札融合(手札に存在するモンスター2体を融合させるコト)が可能だけど……原作ではいつも、場に存在するモンスターしか融合しないのよね」
絵「うんうん。手札融合すればいいのにって良く思うよね」
天「たぶん原作ルールでは手札融合不可なのよ。……多分ね。で、結論から言うと……本作では、「融合素材1体がフィールドに存在すれば融合可能」ということにしました。悪しからず」
絵「へー、中間をとったんだ。何で?」
天「その方がやりやすいからよ。以上」
絵「あ……そ、そうなんだ;」
天「それからもう一点、儀式召喚について。これは別に原作ルールに反してないんだけど……誤解を生み易そうなので念のため。原作ルールには「儀式モンスターカード」というものは存在しません。原作だと多分、トークン扱いね。それに伴い、OCGに存在する「儀式魔法カード」を本作で登場させる際は、少し効果をいじっています。具体的には……」


エンド・オブ・ザ・ワールド
(儀式魔法カード)
「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に使用する事ができる。
フィールドか手札から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように
生け贄を捧げなければならない。


天「上がOCG効果、下が本編で登場したカード効果よ。違いが分かるかしら?」


エンド・オブ・ザ・ワールド
(儀式魔法カード)
「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に必要。
フィールドから、レベルが8になるように、
光または闇属性モンスターを生け贄に捧げなければならない。


絵「一文目の違いはどうでもいいとして……。生け贄モンスターの制約が厳しくなってるね。フィールド限定&属性指定あり、になってる」
天「「儀式モンスターカード」がない状態で、OCG効果のまま使わせると、ものすごく簡単に儀式モンスターを喚べちゃうのよ。そういう都合上、既存カードの効果をいじっちゃってますがご了承下さい……ということで」
絵「フーン、意外なコダワリだね」
天「まあ他にも、色々てきとうにルール調整しちゃってる所もあるし……原作ルールというよりは、もはや表ルールでいいような気もするわね」
絵「OCGルールと違う効果処理とかしちゃったら「表ルールではこうなるのです」って言い逃れるんだねっ♪」
天「何という便利ルール」


Q3.絵空の身長「143cm」って、要するにどれくらい低いの?

絵「『らき☆すた』のこなちゃんより1cm高くて、『ひだまりスケッチ』のゆのさんより1cm低いです♪」
天「どんな解説よそれ」
絵「これで分からない人は、メジャーとか使って測ってみましょう。以上



Q4.絵空に『カオス・ソルジャー −開闢の使者−』が召喚できない理屈って結局何なの?

絵「召喚できないっていうか……『カオス・ソルジャー』として召喚されちゃうんだよね。作中の推測では確か、「KCのデータベースに『カオス・ソルジャー −開闢の使者−』が登録されていないんじゃないか」っていうことになってたけど……」
天「まあぶっちゃけた話、実際には登録されています。それでも召喚できないのは……そのカードがそれだけ特殊なカード、ってことね。“神のカード”を常人が召喚できないのと、似たような理屈かしら」
絵「……それってどんな理屈?」
天「考えるんじゃない、感じるんだ。ソリッドビジョンシステムに不具合を生じさせちゃうとか……まあとにかく、そんな感じの不思議な力が宿っちゃってるカードなのよ。ちなみに宿らせたのは、51話で登場した、『開闢の使者』のモデルになった青年だそうな」
絵「フーン……今後の重要キャラになってきそうだね。『開闢の使者』の残り3枚は、その人が持ってるんだっけ?」
天「そうね。ペガサスが作った『開闢の使者』は5枚……3枚はその青年に渡して、1枚はペガサス自身が、残る1枚はガオス・ランバートが受け取った。ペガサスの持っていた方は、私のお父さんの手を経てアナタの手に渡って……ガオスの持っていた方は、シャーディーの手を経て58話で受け取ったのよね」
絵「あっ、そうだ。ついでに質問しておきたいんだけど……わたしが『開闢の使者』を出したとき、『カオス・ソルジャー』(1ターン限定)になっちゃうのは何でなの?」
天「ぶっちゃけた話、バグです。システムの誤作動です。『開闢の使者』を『カオス・ソルジャー』(儀式モンスター)として誤認識しちゃって……でも誤認識だから1ターンで消滅しちゃう……みたいな」
絵「……みたいな?」
天「考えるんじゃない、感じるんだ
絵「……おねえちゃん、それ結構好きだね……。じゃあ、わたしが『終焉の使者』を召喚しようとすると、何も出てこないのは?」
天「んー……誤認識できるような類似モンスターがいないから、かしらね。考えるんじゃ(ry」



Q5.大会予選中に、絵空が聴いた「ドラゴンの咆哮」って何だったの?

絵「15話で聴いたやつだね。『心の在り処』の終章でも聴いたっけ」
天「正解は『混沌帝龍 −終焉の使者−』の咆哮ね。別に誰かが召喚したとかじゃなく、私の“魂”の中から聴こえていた……みたいな。だから杏子さんには聴こえなかったのよ」
絵「フーン……? でもそれだと、おねえちゃんにも聴こえなかったのは何でなの?」
天「スカンクが自分の屁で気絶しないのと同じよ。ちなみに、『心の在り処』終章で“神のカード”が脈動してたのは別の理由……「シンが召喚した“魔神”に反応した」んだそうな」
絵「女の子が「屁」とか……どうかと思うよ、おねえちゃん」



Q6.43話あたりでの、絵空の身体の不調の原因は、結局何だったの?

絵「ぶっちゃけ疲労です。元・ヒキコモリの体力の無さを見くびっちゃいけません。「ただの疲労じゃないのでは」というのは、心配性なおねえちゃんの取り越し苦労〜♪」
天「そ、そういうこともあるのよっ///」



Q7.48話で、天恵の背中に生えていた“終焉の翼”。どういうものなのですか?

天「私の特殊な“魔力(ヘカ)”を媒介として発現した“魂(バー)”の塊。これを出すと、私の“魂”と“魔力”の強さがハネ上がります。ちなみに飛翔も可能」
絵「飛べるんだ!? スゴッ!」
天「ちなみにコレを出さないと、47話の時のように、『終焉の使者』を“神化”させることはできないです。ウーン、融通が利かないわねえ」
絵「ところでガオスがソレに関して、「“生みの親”さえも殺した血濡れの翼」とか言ってるんだけど……何か心当たりはある?」
天「いいえ、全く。秋葉(あきは)お母さんは交通事故で亡くなったはずだし……」
絵「わ。さり気なく新キャラの名前が出てきた」



Q8.“千年聖書(ミレニアム・バイブル)”にはどんな力があるのですか?

天「闇の神・ゾーク様からの預言書……というのが基本性能。後はまあ、相当な魔力量のアイテムなので、色んなオプション機能つきね」
絵「空飛んでついて来るよね、アレ。あと闇のゲームの時、わたしをダメージから守ってくれたり」
天「持ち主をオートで追尾&守護する機能があるみたいね。あと忘れてはいけないのが、絵空の胸に入れられた“心臓のコピー”が、“千年聖書”の魔力で維持されているという点……。“千年聖書”が消滅すると、“心臓のコピー”も消滅して、絵空死亡……というわけなので、私はコレを安易に破棄することができません。というかそもそも本編では、私は“千年聖書”内に魂を封じ込められた状態なので、破棄したくてもできませんけど。超頑丈だし。普通の手段じゃ、絶対に破壊できないようになっています」
絵「お陰でお風呂にも持ち込めるんだけどね〜。あとは……53話あたりで、杏子さんと本田君が持てない展開があったよね。城之内君と獏良君は少し重たがってて、遊戯くんは軽そうだった。あれは何だったの?」
天「あれは、各人の“魂”の強さに依存しています。“魂”が強い人ほど軽く感じる仕組みみたいよ」
絵「え……そうなの? だったらわたし、超軽いんだけど……もしかしてスゴイ?」
天「あー……残念だけど、所持者本人は例外なのよね。“魂”の強さに関わらず軽いわよ」
絵「なーんだ、ガッカリ」



Q9.53話〜58話の絵空って私服だったんですか? それとも制服?

絵「私服だよ〜。そう言えば、服装描写皆無だったね、作者さんの落ち度で。それじゃ、この場でお見せしよっかな〜♪(脱ぎ脱ぎ」
天「……ところでアナタ、その私服の上に白衣ってどうかと思うんだけど……。パーカーだから威厳ないし」
絵「そう? お腹にポケットがあるから便利なんだけど……。えーっとね、上は空色のパーカーで、下は……赤と黒のチェック柄のミニスカート。あとは……靴下が白だね」
天「パンツの色は?」
絵「ウン。パンツもし――って、わ〜っ! なに訊いちゃってるのっ!?」
天「いやあ……ここまで頑張って読んでくれた読者様に、少しは潤いが必要かなと思って」



Q10.54話に名前だけ出た、神官“オグド”、神官“ネフェルテム”、天才魔術師“シャイ”って誰ですか?

天「“オグド”は私のお父さん……つまり月村浩一の前世の名で、“ネフェルテム”は城之内さんの前世の名です。二人はそれぞれ、古代エジプトにおいて、“千年秤”と“千年輪”の所持者でした」
絵「わ。サラリとすごく重要そうなこと言ってない!?」
天「うーん……でもこれに関しては、本当に裏設定みたいなものだから……。ちなみに後者の方に関しては、“光の戦士”さん作の『闇マリクの再臨』と『ネフェルテムの記憶』を読むと割とスッキリするかと」
絵「他作者さんの作品の宣伝とは珍しい……相当気に入ってるんだね。……で、“シャイ”さんについては誰なの?」
天「ノーコメント。今後の展開をお読み下さい」



Q11.ガオス・ランバートは4年前、一度死んでいるのですか? 行方不明になった以降の流れが、複雑でイマイチ分かりません。

天「ウーン……この辺りは確かに複雑なので、少し整理して書きたいと思います」

・ガオス・ランバート、月村浩一と“闇のゲーム”を行う(『心のゆくえ』参照。4年半前)
→邪魔者・シャーディーを抹殺するため、エジプトへ旅立つ(その間、“ルーラー”の留守はシン・ランバートに任せる)
→シャーディーは優秀な墓守の魔術師たちと手を組み、ガオスを返り討ちにする(ガオス・ランバートはこの時点で殺される。ガオスの所持する『開闢の使者』はシャーディーの手に渡る)
→残った“千年聖書”を滅することができず、シャーディーがそれをエジプト王家の谷に厳重に封印する(25話で、イシズが海馬に話してたのがこれ。ちなみにエジプト政府も関与している)
→一ヶ月前。“千年聖書”の魔力により復活したガオス・ランバートが封印を破壊。“千年聖書”とともに姿を消す

天「……とまあ、こんな具合かしら。ちなみに、ガオス・ランバートが留守のうちに、マリク・イシュタールが“千年杖”を使って“ルーラー”を乗っ取り、“グールズ”を作り上げました。このことからシン・ランバート=超ヘタレ説が浮上するわけですね♪」
絵「やっぱり黒いなあ……このシリーズのおねえちゃん」



Q12.“アヌビス使徒”って何なんですか?

絵「“アヌビスの使徒”っていうと……原作にも出てきた用語だよね?」
天「まあ、本作では独自の解釈が付されているわけですが……。本作での“アヌビスの使徒”は――」

・“アヌビスの使徒”は基本的に、現世の人間側が魔術的儀式を通し、冥界神“アヌビス”とコンタクトをとり、契約を結ぶことで初めてなることができる。誰にでもなれるわけではなく、ある程度以上の能力が必須。シャーディー以外には数名いるだけ。
・ただし、正規の“アヌビスの使徒”の部下が、“使徒”を名乗るケースもある。
・“アヌビスの使徒”になれば、その際、アヌビスから大量の魔力を得られる。その代わり、アヌビスの指示には絶対服従。逆らうと死ぬ。

天「――みたいな裏設定だそうな」
絵「うへえ、無駄に凝った設定だね。ていうかサラリと、冥界神“アヌビス”とか出て来たけど……敵なの? 味方なの?」
天「うーん……どちらとも言いがたいわね。ただ“アヌビス”には、ガオス・ランバートの狙いを阻止する意図はあるようよ。シャーディーを使って、彼を殺させたわけだし。ちなみに裏設定では」

・「冥界」で一番偉い神様。能力的にはホルアクティ、ゾーク・アクヴァデス以上のものを有している。
・ただし、「現世」への干渉能力は上記二神に大きく劣っている。シャーディーみたいな“使徒”を通しての干渉が限界。
・エジプト王家と何らかの関与アリ

絵「うーん……頼りになるのかならないのか、イマイチ良く分からないね」
天「……というか、シャーディーが私達の所に来たのって、“アヌビス”の指示らしいんだけど……。今後、この神がどう介入してくるかもポイントなのかも知れないわね」



Q13.結局シャーディーの正体は?

絵「高橋先生に訊いて下さい……と言いたいところだけれど」
天「本作での解釈では、「アクナムカノン王が遺した“精霊(カー)”」というもの。アクナムカノン王の子息……つまりアテムさんを守ることが使命であり存在理由。アテムさんが冥界での旅を終え、現世に生まれ変わった時、彼の使命は完遂するらしいです」
絵「んー……でもこの人、“アヌビスの使徒”でもあるんだよね? どういうことなの?」
天「何千年もの間、存在し続けるためには力が足りなかったから。そのために“アヌビスの使徒”となり、使命を全うするための力を得たの。ちなみに不死身。殺してもそのうち自己修復して蘇ります」



Q14.キースって原作で死んでなかった? 本作でのキースは、プロたんさん仕様のサイボーグですか?

天「混乱を招きそうなので事前説明しておきますが、本作に登場するキースは、プロたんさん作品とは無関係です。「じゃあ何で生きているの?」という疑問に関しては……本編をご覧下さい」



Q15.今までに様々なオリカが登場してきていますが、作者が一番気に入っているオリカは何ですか?

絵「ズバリ『禁忌の合成』だね! 間違いない!」
天「いいえ、『混沌魔導戦士(カオス・パラディン)−混沌の覇者−』でしょう。常識的に考えて」
表「……『フォビドゥン・マジック』です」





絵「――と、いうわけで、Q&Aコーナーはこれにて終了〜。ここまでお読み下さった読者様は、本当にお疲れ様でした〜♪」
天「なお、この他に何か質問のある方は、遠慮なく「感想掲示板」の方でご質問下さい。ネタバレにならないレベルでお答えしていきたいと思います」

絵「いや〜……それにしても、ギャグ要素がほとんどなかったね〜。これで良かったのかな〜?」
天「まあ良かったんじゃない? たまには。このまま何事もなく終わるのもアリよ。Q&Aコーナーだったんだもの」



?「――そいつはどうかな……」



絵「!? え……っ?」


 わたしは驚きに目を見開いた。
 部屋に中にはいつの間にか、黒のヘルメットを被った、黒マントの怪しげな男が入り込んでいたのだ!


御伽「――我が名はゼロ(出番的な意味で)! 出番ある者に対する反逆者である!」

なあにこれえ





決闘60.75 やさしい御伽

※この作品はフィクションです。原作の御伽・御伽・御伽などには、いっさい関係ありません。


 僕の名は御伽龍児。
 かつて、亀のゲーム屋近所の人気ゲーム店――ブラッククラウン、そのおかかえ天才ゲーム発明家だった男だ。
 容姿は上々。人気も上々。
 かつては人気ゲームDDM(ダンジョン・ダイス・モンスターズ)を開発し、トップレベルのゲームデザイナーであった……のだが。

 いつの間にか背景キャラにされてしまった。何故だ……どういうことなんだこれは!?
 初登場時とか、超輝いてたじゃない!? 主人公相手に超善戦してたじゃん!!
 なのに何で、記憶編で連れてってくれなかったわけ!? 闘いの儀では全然喋らなかったし!!

 何がいけなかったんだ……? 相手(遊戯)にロクにルールも説明せず、不意討ち同然で勝とうとしたのがいけなかったのか!? そのくせ何故か、正々堂々勝負してるっぽく闘ってたし!

 いや……悪くない。
 間違っていたのは俺じゃない! 世界の方だ!!


 というわけで、反逆してみることにしました。
 全ては出番を得るために! 僕はこの世界に反逆する!!



御伽「――と、いうわけで……ゲームで勝負だ! 私が勝利した際には、「御伽龍児」という青年に出番を与えること……いいな!?」

 俺は今、黒の仮面で顔を隠している。出番欲しさで因縁つけに来たとか思われたら格好悪いからな……あくまで正義の味方“ゼロ(出番的な意味で)”として反逆するのだ!

天「……何してはるんですか、御伽さん……」

 はうあっ!? 何かもうバレてる! 何で!?
 ク……何故だか知らんが、バレてしまっては仕方がない。

御伽「そうだ……俺がゼロ(出番的な意味で)だ。背景の騎士団を率い、作者・表に挑み、そして出番を手に入れる男だ」

 仮面を外し、正体を明かす。正体不明の仮面キャラが正体を明かすのは、衝撃の展開だ……フフフ、読者のみんなもさぞ驚きのことだろう。

絵「……どちらさまですか?」

 あどけない顔で首を傾げられた。
 チクショウ、何となく言われるような気はしてたよ! 前回のこのシリーズで顔見せしたじゃんか!!

御伽「ええい、御託はどうでもいい! とにかくゲームを受けてもらおう! 『遊☆戯☆王』らしく! 僕が勝ったら『第三回バトル・シティ大会』本編に登場させてもらう! いいな!?」


ゲームをしようぜ!
(魔法カード)
あらゆるトラブルを、ゲーム1つで片付ける。


絵「えー……何で?」
天「こちらが勝った場合のメリットはあるの?」

 ク……ダメだこいつら。『遊☆戯☆王』世界にあるべからざるノリの悪さだ。

御伽「い……いいだろう。万一お前達が勝利した暁には、ブラッククラウンで利用できる商品券5枚をくれてやる……どうだ?」
絵「……いや、どうせこれ夢だし」
天「商品券とかもらっても、使いようがないわよね……」

 ク……本当にダメだこいつら。それでもヒロインキャラかよ!?
 仕方がない……これは最後の手段にと思っていたが……。

御伽「ならばこれならどうだ!? 先日の深夜、武藤家に忍び込んで隠し撮りした、遊戯の寝顔ブロマイ――」
天「――やるわ!(きっぱり)」

 予想してたけど決断早いなオイ!!

天「……ただし、私は今デッキを持っていないから……絵空に代役を頼むわ。お願いね!」
絵「うんっ! おねえちゃんの今夜のお楽しみのためだね! がんばるよっ!」

 ワケ分からんことを言うな。少しはヒロインキャラの自覚持てよお前ら。
 おっといけない。それよりも、もっと大事なツッコミを忘れていた。

御伽「なに勘違いしているんだ……? まだ俺のバ……じゃなくて。ゲームの内容がM&Wだといつ言った? これから行うゲームはずばり……DDM(ダンジョン・ダイス・モンスターズ)だっ!!」

 二人の表情が驚愕に染まった。
 ククク……期待以上の反応だ。動揺が色濃く現れているぞ。

絵「……おねえちゃん、ルール知ってる?」
天「いいえ全く……そもそももう、一般販売終了しているんじゃないの?」

 傷つくことをサラリと言うなよコンチクショウ!

御伽「フフ……嫌とは言わせないぜ! 前回のこのシリーズでお前は、DDMで勝負すると言っていたはずだ!!」

 月村天恵を指差すと、本人は小首を傾げていた。
 忘れたとは言わせない……証拠の文章は『遊☆戯☆王カード原作HP』内にしっかりと残っているはずだ!


●     ●     ●     ●     ●     ●

最終話「ダイスを胸に」
作者:神里絵空
煽り文:出番を終わらせる時…! 『ダイスマスター御伽』第1巻は、発売しません。

(中略)

天恵「御伽よ…戦う前に一つ言っておくことがある。お前は私を倒すのに、“M&W”による“闇のゲーム”が必要だと思っているようだが…ハンデとして“DDM”で闘ってやろう」
御伽「な、何だって!?」
天恵「ちなみに私は、“DDM”のルールすら知らない……。つまり、お前に圧倒的に有利な条件というわけだ。あとは私を瞬殺するだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)

(以下略)

●     ●     ●     ●     ●     ●


 ホラね、言ってた! さあ約束通り、DDMで勝負してもらうZE!!

絵「ウーン……仕方がないなあ。じゃあ説明書とかある?」

 ……!?

 僕は、自分の目と耳と鼻を疑った。

 何を言っているんだコイツは……? こういう時は、説明書も何も見ずにぶっつけ本番だろ!? 現に遊戯もそうやっていたZE!!

 説明書など持っていない旨を告げると、彼女らは露骨に顔をしかめていた。
 ヤレヤレだ。これだから、ゆとり教育は困る。少しでも自分の思い通りにならないと、簡単にヘソを曲げるのだ。

 そして、しばらく相談した末に、彼女ら2人は、信じがたい提案をしてきたのだった。

絵「……やっぱりM&Wにしない?」

 ……!?

 俺は、自分の目と耳と鼻と舌を疑った。

天「実際問題、読者のほとんどもDDMのルールを覚えていないと思うし……そもそも作者も知らないし。ゲームの途中経過も説明しづらいし……。M&Wでデュエルをする方が無難だし、楽じゃない?」

 そんなの、16巻と17巻を根性で読み直せよ! あるいはGBAのソフトを買え! 中古とかでもいいから!!
 途中経過はテキトーに説明すればいい。それで読者も分かってくれるさ!

御伽「イヤだいイヤだい! ここでDDMのゲームをやって、少しでも読者に興味を持ってもらうんだい!!」

 僕は駄々をこねてみた。
 しかし2人は白い目で見ている!

 く……こういう時は駆け引きだ! 何せ、切札はこちらの手の内にあるのだからな!!
 軽く脅しをかけるように、俺は余裕の笑みで言ってやった。

御伽「フフ……どうしても嫌だというなら、ゲームは中止にするしかないな。しかしその場合、ブロマイドは手に入らないが良いのかい……?」
天「……そのことなんですけどね」

 月村天恵は、爽やかな笑顔でこう言った。

天「そちらがM&Wのデュエルをどうしても拒むのなら……何も無理して、ゲームでブロマイドを頂く必要ないと思うんですよね♪」

 ……はい? 何ソレ?

 何だか知らんが、月村天恵の背中に、ニョキニョキとグロテスクな翼が生えてきた。噂に聞く“終焉の翼”とかいうヤツだろう。本編ではコレのせいで、イタリアのイカサマ男が殺されかけていたのだ。

 ……アレレ? もしかして僕、逆に脅されてますか??





 30秒間の問答の末、結局M&Wのデュエルを行うことになった。どんなヒロインだよド畜生。暴力に訴えて敵を脅すな。

 まあいい、俺はやさしいのだ(←サブタイトルの由来)。それに、相手の土俵で勝利してこそ、真のゲーマーというものだ。かつて遊戯が、この僕に勝利したときのようにね。

 こんなこともあろうかと、デッキはしっかり用意してあった。
 秘策はある。百パーセントとまではいかないが、これでも十分勝機はあるはずだ。

 自信ありげな様子で、神里絵空は決闘盤を装備し、一歩前に出た。
 フフフ……その鼻っ柱、早々にへし折ってやるZE!!



絵&御「――デュエルっ!!」


 御伽のLP:4000
 絵空のLP:4000


御伽「先攻は僕だ! 俺のターン、ドローッ!!」

 さり気なく先攻をとり、カードを引いた。原作ではジャンケンしてないしな……先攻後攻の決定法は「早い者勝ち説」が割と有力だ。

 僕は手札6枚にざっと目を通すと、1枚のモンスターカードに指をかけた。

御伽「俺が召喚するのはコイツだ! 『ルーレットボマー』! 守備表示!!」


ルーレットボマー  /光
★★★★
【機械族】
自分のメインフェイズに2回サイコロを振る事ができる。
出た目を1つ選択し、その数と同じレベルの
フィールド上モンスター1体を破壊する。
攻1000  守2000


 ルーレットボマー……個人的な意見としては、レベル4以下で最強のモンスターと言ってもいいだろう。
 何が優れているかと言えば、当然ダイスロールを2回も行える点だ。ダイスを振ることは楽しい。それを2回も行うことができるのだ――それだけで素晴らし過ぎる。

 とはいえ先攻1ターン目では、相手の場にモンスターがいない。これでは流石にダイスロールをする意味がない。

御伽「……ターンエンドだ」

 次のターンのダイスロールを楽しみにしながら、俺はターンを終えた。


 御伽のLP:4000
     場:ルーレットボマー
    手札:5枚
 絵空のLP:4000
     場:
    手札:5枚


 ちなみに、ルーレットボマーの守備力は2000もある……並大抵のモンスターでは倒せない硬さだ。フフフ、これで次のターンは、確実にダイスロールを――

絵「――わたしはまず、『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚するね」
御伽「――って、いきなり攻撃力2100かいっ!!」

 まあどうせ、そうなるんだろうなとは思ってたけどさ!!


サイバー・ドラゴン  /光
★★★★★
【機械族】
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
攻2100  守1600


絵「さらに……『忍者マスターSASUKE』を通常召喚するよ」


忍者マスターSASUKE  /光
★★★★
【戦士族】
このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。
攻1800  守1000


 ぐ……マズイ、早くもモンスターを並べられてしまった。
 ところでコイツは何故にローマ字表記なんだ? 忍者なんだから日本語表記で良くないか?
 やはり某漫画を意識しているんだろうか……というか、某漫画も『SASUKE』でいいような気がするのは僕だけじゃないはずだ。

 閑話休題。とにかくマズイ、モンスターを並べられてしまった。
 このままでは一体でルーレットボマーを破壊され、もう一体に直接攻撃されてしまう。ライフがいきなり半分近く減るのかよ。

絵「……さらに、わたしは場の『サイバー・ドラゴン』と『ルーレットボマー』を墓地に送って――『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』を特殊召喚するよ!」

 ……はっ?

 俺はその瞬間、自分の目と耳と鼻と舌と皮膚を疑った。

 何それ!? 何で相手のモンスター使って融合してんの!? 何が何だか分からない……覇王かお前は!?


キメラテック・フォートレス・ドラゴン  /闇
★★★★★★★★
【機械族・融合】
「サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上
このカードは融合素材モンスターとして使用する事はできない。
フィールド上に存在する上記のカードを墓地へ送った場合のみ、
特殊召喚が可能(「融合」魔法カードは必要としない)。
このカードの元々の攻撃力は融合素材にした
モンスターの数×1000ポイントの数値になる。
攻 0  守 0


 キメラテック・フォートレス・ドラゴン:攻0→攻2000


 意味不明な展開で、俺の場のモンスターはいなくなってしまった。
 何だこれは……オリカか? オリカだよなこれ? 相手の場のモンスターを簡単に融合素材にできるとか、OCGカードのわけがない!!(※現実を見ましょう)


絵「いくよ……モンスター2体でダイレクトアタックっ!」

 ――バキィッ!! ズドォォンッ!!

 ぎゃああああっ!!


 御伽のLP:4000→2200→200


 くそっ……何か知らんが、いきなり追い詰められてしまった。開始2ターン目でこれはおかし過ぎるだろ。
 ……い、いや待て……冷静に考えてみよう。これは実はチャンス、もとい勝利フラグなんじゃなかろうか?
 僕はいちど頭を冷やし、『遊戯王』でありがちなデュエル構成のパターンを考えてみた。
 『遊戯王』では話を盛り上げる目的で、先にライフ3桁になった方が勝利する確率が高い。「逆転勝利」の方がストーリー的に盛り上がるからだ。

 ピンチの後にチャンスあり。そう、この窮地はむしろ、逆転勝利への布石なのだ!!

絵「わたしはさらに、カードを2枚セットして……ターン終了だよっ」

 フフフ……せいぜい粋がっているがいい。
 残りライフ200まで削られた俺は、次のターン、ディティニードローが発動するはずなのだ。


 御伽のLP:200
     場:
    手札:5枚
 絵空のLP:4000
     場:キメラテック・フォートレス・ドラゴン(攻2000),忍者マスターSASUKE,伏せカード2枚
    手札:2枚


御伽「いくぞっ! 僕のターン――ドロォォォォッッ!!!」

 俺は、明らかに不必要なオーバーアクションでカードを引き抜いた。
 こうして格好付けた方が、良いカードを引ける確率が高いのだ。フィクションの世界とはそういうものなのだ。

 そして引き当てたモンスターは何と……攻撃力300の低級モンスターだった。
 さて、モニター前の読者諸君に質問だ。ワイトだと思った人は素直に挙手して欲しい。
 ……あ、誰もいない? そもそも予想するつもりなんかないって? ……チェッ。

 役立たないカードを引いたと思った人は大ハズレだ。僕はそんじょそこらの珍札狩郎とは違うのだ。
 ちゃんと世間のカード事情をリサーチし、「強い」と言われているカードをチョイスし、デッキ構築している。今、その証拠をお見せしよう……!

御伽「まず、俺は手札から魔法カード……『大寒波』を発動する!!」


大寒波
(魔法カード)
メインフェイズ1の開始時に発動する事ができる。
次の自分のドローフェイズ時まで、お互いに
魔法・罠カードの効果の使用及び発動・セットはできない。


 発売されたのは大分昔なのだが……後に有用性を認められ、人気カードへと成り上がったカードだ。素晴らしい……何だか境遇に憧れを覚える。今の僕が使うに相応しいカードだろう。

御伽「フフフ……このカードの効果により、君はその2枚のリバースカードを発動できない! これで安心して攻撃できるというわけだ」

 神里絵空の表情が曇った。フフ、どうやら俺が唯のネタキャラでないことに、今更気が付いたらしい。

御伽「さあいくぞ、僕が召喚するのはコイツだ! いでよ『レスキューキャット』!!」


レスキューキャット  /地
★★★★
【獣族】
にゃ〜ん♪
攻 300  守 100


絵「わっ、カワイイ〜。にゃんにゃんだ〜。にゃんにゃ〜ん♪」

 ちょっと待て、効果テキストが何か違うぞ。


レスキューキャット  /地
★★★★
【獣族】
自分フィールド上に存在するこのカードを墓地に送る事で、
デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を
フィールド上に特殊召喚する。
この方法で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
攻 300  守 100


 そうそうこっちこっち。
 それはさておき、コイツの真価は可愛いことじゃない。いや、確かに可愛いけどさ。ウン……とにかく可愛い以外にも真価があるんだ。

御伽「いくぞ! レスキューキャットよ、特殊能力を発動だっ!!」

 俺がそう言うと、救助猫は首に下げたホイッスルを器用に口に咥え、鳴らした。


 ――ピッピィーーーーッ!!!


御伽「フフフ……この効果により、僕はデッキから、レベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚できるんだ!!」

 と、ご丁寧に説明してやったのだが、前方の二人は救助猫の仕草の虜(とりこ)になって、全く聞いていなかった。
 ウン……まあ確かに可愛いんだけどさ。ウンウン。

 俺は咳払いを一つすると、黙々とデッキから、2枚のカードを選び出した。

御伽「僕が喚び出すのはコイツラだ! いでよ、『X−セイバー エアベルン』! 『デス・ウォンバット』!」


X−セイバー エアベルン  /地
★★★
【獣族】
チューナー:このカードが直接攻撃によって相手ライフに
戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚捨てる。
攻1600  守 200

デス・ウォンバット  /地
★★★
【獣族】
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
コントローラーへのカードの効果によるダメージを0にする。
攻1600  守 300


 獣族2体が来るのと同時に、救助猫はフィールド上から退散した。

絵「ああっ、にゃんにゃんが行っちゃったっ!」
天「仕方ないわよ絵空……この世は所詮弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬのよ」

 どこの志々雄だお前は。
 というか少しは、デュエルの展開にも関心を向けて下さい。

御伽「ええいっ、これを見て腰を抜かすなよ! レベル3『デス・ウォンバット』に、レベル3『X−セイバー エアベルン』をチューニングっ!!」
絵「!? え……チューニング??」

 「何ソレ」と、神里絵空は面食らった顔をした。
 フフフ……驚くのも無理はない。知らなくて当然なのだ。
 今から俺が行おうとしているのは“シンクロ召喚”と呼ばれているもの――今より数十年後の未来に実装される、M&Wの新システムなのだ。この時代の人間には知る由も無い。

 ……え? 何でそれを僕が知ってるかって?

 いやまあホラ。毎週テレビで欠かさず見たんですよ。ちなみにカードはデュエルターミナルで手に入れたよ! ブラッククラウンにアーケード置いてあるからやりたい放題だったZE!! ……チビッ子の目がちょっと痛かったケド。

 とか何とか言ってる間に、エアベルンの身体が光の粒子となり、ウォンバットの周囲を巡り出した。
 おっといけない、決め台詞を言いそびれるところだった。


御伽「――集いし(出番が欲しいという)願いが……新たに輝く星(スター的な意味で)となる! 光差す道となれ! シンクロ召喚!!」

 モンスター2体のレベル合計は6。となれば、喚び出すシンクロモンスターは“アレ”しかいない――レベル6の強力シンクロモンスターは数多くいるが、中でも最強は間違いなくコイツなのだ!


御伽「――いでよ! 『大地の騎士ガイアナイト』ッ!!」


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
ゴヨウ・ガーディアンは禁止カードになる。
そう思っていた頃が私にもありました。
攻2600  守 800


 未知のモンスターの登場に、神里絵空は心底驚愕した様子だった。
 しかしその隣の月村天恵が、冷静に、諭すように彼女に語りかける。

天「アレが噂に聞く“シンクロ召喚”……! 気を付けなさい、絵空」

 何……知っているのか、月村天恵! 数十年先の未来のシステムなのに。

天「絶体絶命のピンチにのみ、まれに起こりうるD(デュエル)の奇跡。自分達でやろうと思っても、到底出来るものでは無い。窮地にこそモンスターを信頼し、どこまでプレイできるか。それによりモンスターの動き・思考・息づかいまでもが同調(シンクロ)し、次にどう動くのかお互い手に取るように分かってしまう。デュエルの世界のトッププロは言う……同調(シンクロ)なしにデュエルでは世界は獲れぬと。まさか高校生のデュエルで見ようとは…」

 節子、それ遊戯王やない! テニプリや!!

御伽「フ……ふざけていられるのも今のうちだけだZE! ゆけ、ガイアナイトよ! 『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』を攻撃――スパイラル・ゴヨウしねよ・シェイバー!!」


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
教えてくれ主よ……
あの糞野郎の攻撃力があと300くらい低ければ……
俺にも出番があったのだろうか?
攻2600  守 800


 ――ズガァァァァァッ!!!

絵「!! きゃあ……っ!」
 『(三沢)大地の騎士』の怒りの一撃が、巨大な機械族オリカモンスター(現実を見ましょう)を突き壊した。スゴイぞー! カッコいいぞー!

 絵空のLP:4000→3400

 神里絵空はその瞬間こそ悲鳴を上げ、動揺を見せたものの、すぐ表情に余裕を取り戻していた。
 まあ気持ちは分かる。受けたダメージはたったの600、対する俺のライフは僅か200……ゲームの形勢は全く揺るいでいない。そう考えているのだろうが――

御伽「――ソイツはどうかな……?」

 僕は、主人公とは思えない凶悪な笑みで、彼女を嘲笑ってみせた。

 今、全てのカードは我が手の内に……! 今、この瞬間から――御伽龍児の“反逆”が始まる!!

つづく





決闘60.875 逆襲の御伽

前回のあらすじ
『コード背景〜反逆のオトギ〜』



御伽「『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』が相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた瞬間――その特殊能力が発動する!!」


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
……へっ?
攻2600  守 800


絵「と、特殊能力……!? そんなのがあるの!?」

 神里絵空が再び動揺を見せた。
 さて、OCGプレイヤーである読者諸君は当然ご存知のことと思うが……実は『大地の騎士ガイアナイト』に特殊能力なんて無い。口からでまかせである。
 だが神里絵空・月村天恵の両名は、このカードの存在を全く知らない……未来の未知のカードなのだ。また、原作世界では、「融合モンスターカード」などというものは存在しない……当然「シンクロモンスターカード」も存在しないはずだ。すなわち彼女らは、『ガイアナイト』の特殊能力の有無を確かめようがないのだ!!

 ……卑怯だって? 違うな、間違っているぞ読者諸君……これは勝つための立派な戦略である。
 勝てば官軍、負ければ賊軍。

 そもそもOCGプレイヤー諸君に問いたい。「ガイアナイトに特殊能力があればなあ」とか考えたことはないだろうか? 某牛尾カードに、全てにおいて負けているガイアナイトを、哀れんだことはないだろうか? 血の通った人間なら、必ずあるはずだ!!

 だから俺は、このカードに特殊能力を付けてやるのだ。天才ゲームデザイナーとして……コイツがエクストラデッキに入り得るような、素晴らしい効果を! 『ゴヨウ・ガーディアン』と肩を並べられるような、ゲームバランスとれまくりの能力をな!


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
……わくわく。
攻2600  守 800


御伽「『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』の特殊能力発動……ミサワ・エウレカ!! このモンスターの攻撃により戦闘ダメージを受けたプレイヤーは――衣服を一枚脱がなければならない!!」

絵「へっ……えええええええええっ!!!???」


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
……はい?
攻2600  守 800


絵「ふっ、服を脱ぐって……えええっ!? そ、そんなカードあるワケないよっ!!」

 チッ、察しがいいな……やっぱ無理か。

 とかなんとか思ってたら、思わぬところから援軍がやって来た。

天「いや……待ちなさい絵空。未来の世界では、バイクに乗りながらデュエルしたりするらしいし……あり得ない話じゃないわ、服を脱がされるくらい」

 ……そうか?

 何だか良く分からないが、月村天恵が、神里絵空に服を脱ぐよう説得し始めた。五分ほどの問答の末、神里絵空は渋々、上着のパーカーを一枚脱ぐ……チッ、下にTシャツを着ていたか。運の良いヤツだ。

 とはいえこれで、神里絵空の服装は、Tシャツ一枚にミニスカート……次の一枚が確実な致命打となろう。あ、ちなみに靴下は不許可ね。そういう需要もあるらしいので。

天恵「(グッジョブ! 御伽グッジョブ!)」

 何故だか良く分からないが、月村天恵がこちらに親指を立ててきていた。
 このシリーズの彼女は、何だか色々とタガが外れてしまっているらしい……深くは追求しないことにしよう。


 御伽のLP:200
     場:大地の騎士ガイアナイト
    手札:4枚
 絵空のLP:3400
     場:忍者マスターSASUKE,伏せカード2枚
    手札:2枚


 ところでOCGプレイヤーの諸兄、俺が設定した『大地の騎士ガイアナイト』の特殊能力はいかがだろうか? 『ゴヨウ・ガーディアン』の超強力効果に、真っ向からではなく、搦め手から対抗してみたのだ。我ながらなんという超発想。力に力で対抗するだけでは駄目なのだ。それではパワーインフレが進みまくってドラゴンボール化してしまう。フリーザとか指一本で殺せるようになってしまう。
 「この効果ならエクストラデッキに入れてもいいかも」とか思った健康優良男児は少なくないはずだ。何だったらサイドデッキにだっていい。対戦相手がカワイイ女の子だった時のために、エクストラデッキに1枚は必須のカードとなるのである。ワハハハハ!

 我ながら、自身のゲームデザイナーとしての才能が空恐ろしくなった。本作を読んだコンマイさんは、すぐにでもエラッタをかけてくれることだろう。間違いない。


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
…………。
攻2600  守 800


絵「…………。わたしはこのまま何もせずに……ターン終了だよ……」

 とか何とか色々考えているうちに、神里絵空のターンが終了していた。
 『忍者マスターSASUKE』を攻撃表示のままか……なるほど、リバースカードで迎撃するつもりなわけか。このターンで『大寒波』の効果が切れるからな。
 だが甘い……甘いぞ神里絵空よ! 僕の手札にはすでに、『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』専用の超強力コンボカードが存在しているのだ!

御伽「いくぞ! 俺のターンドローッ!」
 引き当てたのは、超ガチのトラップカードであった。我ながら、ちょっと大人げないような気もしてくるレベルに。


次元幽閉
罠カード
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体をゲームから除外する。


 だが最早関係ないだろう……恐らくデュエルは、このターンで終了する……この魔法カードの効果でな!!

御伽「手札から魔法カード……『変態戦士の魂(グーレーファー・ソウル)』を発動ッ!!」


変態戦士の魂
(魔法カード)
自分の場に『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』が存在するとき発動可能。
このターン、『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』の攻撃力は100となり、
相手プレイヤーの着ている衣服の枚数分だけ直接攻撃することができる。
このターン、『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』の攻撃は確実に成功する。
このカードを発動する場合、このターン自分はモンスターを召喚・特殊召喚できない。


絵「なっ……何そのピンポイントすぎるカードぉぉぉっ!!!???」

 神里絵空が露骨な動揺を見せた。ワハハ、悪く思うな神里絵空よ。これは男性読者全員による総意なのだ。てっとり早く人気を得るには、お色気展開に頼るのが一番……とか、作者・表もようやく悟ってくれたのだ。必要なのは手段じゃない、結果なのだ。


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
…………!
攻2600  守 800


 (三沢)大地の騎士ガイアナイト:攻2600→攻100

絵「どっ……どどどっ、どうしよう、おねえちゃんっ!?」
天「仕方ないわ絵空……読者サービスも時には大切よ」
絵「あーん! どうせ他人事だと思ってぇぇぇっ!!」

 というかむしろ、月村天恵自身が見たがっているようにも思えるが……まあ深くは追求すまい。そう決めたんだった。

御伽「フハハハハハハ!! やれぇ『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』よ! 神里絵空にダイレクトアタックっ! スパイラル・グレファー・シェイバー!!」
絵「――っ!!」

 やった……勝った! これで勝利することができる!!
 神里絵空は実際問題、もうサレンダーするしかないのだ。実際にスッポンポンになられては、プロたん氏に掲載不許可にされてしまうからな……作者もそこまで馬鹿ではあるまい。いや、馬鹿だったら馬鹿だったで、むしろ一向に構わないわけですが。

御伽「ワハハハハハハハh――って、アレ……?」

 だが次の瞬間、俺の両目は驚きに見開かされるのだった。
 どっ……どういうことだ!? 『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』が……攻撃……しない……!??

御伽「なっ……何をしている!? 攻撃だ! 早く攻撃をしろ!!」

 しかしどういうことか、『(三沢)大地の騎士ガイアナイト』はピクリとも動かない。なっ何だ? 決闘盤の故障か??

ガ『…………。私は……』

 へっ? “ガ”って誰?

ガ『私はこんな卑劣な真似をしてまで……出番が欲しいとは思わない……!』


大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
誇り高き騎士。
攻2600  守 800


 なっ……モンスターが喋り出した!? 何この超展開!?

御伽「おっ……オイ! 何を言っている!? ゴヨウやブリューナクを喚び出した方がいい状況で、わざわざ役立たずの貴様を出してやったんだぞ!? その恩に少しは報いようとは――」

ガ『黙れ!! この痴れ者がァ!!!

 ちょっ、何この……何?

ガ「我が主は元より、皇帝・“三沢大地”様のみ……! 貴様如きうつけの指示など、聞き入れるべき道理無し!!」

 なあにこれえ。


(三沢)大地の騎士ガイアナイト  /地
★★★★★★
【戦士族】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
異世界の皇帝・“三沢大地”に仕えし騎士。
“ナイト・オブ・ダイチ”の称号を持つ。
ゴヨウKY
攻2600  守 800


 神里絵空はポカンと口を開いていた。
 というか、モニター前の読者諸君も同じ反応なんじゃなかろうか。

ガ「……娘よ……名は何と申す?」

絵「へっ……? え、絵空です。神里絵空」

ガ「神里絵空……良き名だ。そして感じるぞ、お主に内在するデュエルエナジー……我が主に匹敵し得るほどだ。女の身でありながら、大したものよ……」

 何か勝手に話が進み始めた。
 あのー……僕の出番は……?

ガ「後ろのクズに代わり、非礼を詫びよう。我がターンはこのまま終了……見せてみよ、汝の力を」

 ちょっ……なに勝手にターン終わらしてんの!? そんなのアリなわけ!?

 (三沢)大地の騎士ガイアナイト:攻100→攻2600


 御伽のLP:200
     場:大地の騎士ガイアナイト
    手札:4枚
 絵空のLP:3400
     場:忍者マスターSASUKE,伏せカード2枚
    手札:2枚


絵「……!! わたしのターン……ドローッ!」

 何か勝手にデュエル進んだ。路線完全に変わっとるがな……男性読者の需要読めよ。

絵「わたしは――『忍者マスターSASUKE』を生け贄に捧げて! いでよ、『偉大(グレート)魔獣 ガーゼット』ッ!!」

 オワタ\(^o^)/


偉大魔獣 ガーゼット  /闇
★★★★★★
【悪魔族】
このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に
生け贄に捧げたモンスター1体の元々の
攻撃力を倍にした数値になる。
攻 0  守 0


絵「ガーゼットの攻撃力は、生け贄にしたモンスターの攻撃力の2倍……! つまり、3600ポイントだよっ!!」

 偉大魔獣 ガーゼット:攻0→攻3600


 ところで今更だが、どう考えてもヒロインの使うべき切札じゃないよなあコレ。
 作者は何を思って、コイツを切札モンスターに設定したのか。簡単に高攻撃力を得られるあたり、原作世界に合ってない気がするし。何より見た目がグロイし。
 もっと可愛らしいモンスターを切札にすべきだったんじゃね? ウィンとかウィンとかウィンとかさ。


ガ「成程……それが汝の騎士か。神里絵空よ!」

 何かカッコ付けてるけど、攻撃力で圧倒的に負けてるからね君。
 あ、コイツが勝手にターン終わらせたせいで、トラップカード伏せ損ねたじゃん。ファッキン!

ガ「ならば、我が全身全霊をもって――汝の騎士に挑もう! ゆくぞ、ファルシオンよ!!」

 何か、下の馬の名前が判明した。どうでも良すぎるぞもう。

ガ「我が渾身の一撃――受けよ!! スパイラル・ガイア・シェイバーッ!!!」


 ――ズガァァァァァッッ!!!


 ガイアナイトの突撃槍2本が、ガーゼットの腹部に突き刺さる――って、おおお! もしかして勝っちゃったワケ!?

ガ「……!! 見事なり――我が魔槍“ロンギヌス”の一撃、正面より受け止めるとはっ!!」

 ――と思ったら、腹で普通に受け止められちゃったらしい。腹かてぇ。そこらの中年オヤジでは勝負にならない腹筋のようだ。
 ていうか、槍の名が“ロンギヌス”とか。名前負けしすぎワロタ(´∀`)

絵「いくよ――ガーゼットの反撃っ!!」

 神里絵空が握り拳をつくり、振りかざす。
 薄々感づいちゃいたが、決めポーズのつもりらしい。ガキくせぇ。

絵「――グレート・パンチッ!!!」


 ――ズガァァァァンッ!!!!


 そもそもこの必殺技名、結構ダサいよね――って、うおぅ! 攻撃力3600分の衝撃波ががが

 御伽のLP:200→0

 ガーゼットの拳に打ち砕かれ、ガイアナイトは消滅した。消える瞬間、彼は口元を綻ばせていた――負け犬の強がりってやつですね、分かります。
 情けないヤツだ。あれだけ大口叩いておいて、あっさり負けよるとは……使えねえ。やっぱり使うならゴヨウだな。もしくはブリューナク。ガイアナイトの存在価値なんざ微塵もないわ。
 せっかく俺が、ガイアナイト如きの人気を少しでも上げてやろうと思ったのに……読者諸君の、ヤツに対する評価もガタ落ちだろう。プレイヤーの指示を無視して、敵に塩を送るなど言語道断ですよ。


 ――って、あれ……? デュエルは終わったはずなのに、ガーゼットさんがのしのしと歩み寄って来ますよ??
 あれっ……絵空さん、もしかして怒ってます? 僕、ちょっと調子に乗りすぎちゃいました??

 ガーゼットが拳を振り上げるのとほぼ同時に、絵空はにっこりと微笑んだ。

――死ねよ、ヘンタイ

 ちょっ……もうやめて絵空! とっくに御伽のライフはゼ――


 ――ズガァァァァァン!!!!


 次の瞬間、俺はヒビ割れた床と、熱いベーゼを交わしていた。というか、いつの間に闇のゲーム化してたんだ、コレ。


絵「――おねえちゃ〜ん! 遊戯くんの寝顔ブロマイド、ゲットしたよ〜!」
天「はぅぅ〜! 遊戯さんかぁいいよぅ! おん持ち帰りぃぃぃ!!」


 もはや声しか聴こえないが、月村天恵のキャラが完全崩壊している模様だった。
 あ、ヤバイ。意識も朦朧としてきた。最後に何か、締めのセリフとか言わなきゃ。えーと。


 僕の名は御伽龍児。
 本編でこそ出番はないが、ここ「閑話」では主役級の扱いを受けている男だ。
 俺はいずれ、必ず戻ってくる――出番を得るために。出番ある者への反逆者として!

 それでは諸君! また会おう!!


また見て背景!!





付録 月刊デュエリスト・特別号外より

予選通過1位.ヴァルドー D・Lv.5  7勝0敗
総合評価:A+

2位.シン・ランバート D・Lv.7  7勝0敗
総合評価:AA

3位.海馬瀬人 D・Lv.10  7勝0敗
総合評価:S

4位.キース・ハワード D・Lv.9  7勝0敗
総合評価:AAA

5位.サラ・イマノ D・Lv.7  7勝0敗
総合評価:AA

6位.エマルフ・アダン D・Lv.9  7勝0敗
総合評価:AAA

7位.武藤遊戯 D・Lv.10  7勝0敗
総合評価:S

8位.獏良了 D・Lv.7  8勝1敗
総合評価:A

9位.ゴースト骨塚 D・Lv.6  8勝1敗
総合評価:B

10位.神無雫 D・Lv.5  7勝0敗
総合評価:C+

11位.マリク・イシュタール D・Lv.8  7勝0敗
総合評価:AA

12位.梶木漁太 D・Lv.6  9勝2敗
総合評価:B

13位.孔雀舞 D・Lv.8  8勝1敗
総合評価:AA

14位.城之内克也 D・Lv.5  7勝0敗
総合評価:AA

15位.太倉深冬 D・Lv.5  7勝0敗
総合評価:C+

16位.神里絵空 D・Lv.?  8勝2敗
総合評価:C


●第三回バトル・シティ大会 本戦一回戦結果予想
◎武藤遊戯VS太倉深冬
◎キース・ハワードVSゴースト骨塚
△シン・ランバートVSマリク・イシュタール△
○エマルフ・アダンVS城之内克也
△サラ・イマノVS孔雀舞△
◎海馬瀬人VS梶木漁太
◎ヴァルドーVS神里絵空
○獏良了VS神無雫


 今大会本戦は出場枠拡大に伴い、2日間に渡り行われる。本日1日目に行うのは一回戦計8試合、午前・午後に分けて4試合ずつ行う。二回戦以降は明日への持ち越しとなる。
 本戦枠拡大のためもあってか、今回は無名のルーキーが4名ほど見られた。中でも、予選一位通過のヴァルドーは、今大会最注目のルーキーと言えそうだ。
 また、今回は海外からの出場選手も多く見られ、日本のトップ決闘者達の実力が試される。全米王者キース・ハワード、全仏王者エマルフ・アダン、各国の覇者である両名は特に、優勝争いに関わる猛者と予想される。今大会のレベルの高さも容易に窺えよう。
 武藤遊戯・海馬瀬人が今大会でも最有力優勝候補と見られる中、彼らニューフェイスがどのような波乱を巻き起こしてくれるのか、実に目を離せないところである。
【文責:国崎康介】





本戦・一日目(午前)に続く




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