残花を惜しむ

製作者:谷上永慶さん








一章 照らす光と燃やす炎

 夕日に桜の花びらが照らされている。
 思い出したいからここに着たのか、忘れてしまったことを確認するためにここに来たのか
 日月光矢(ひづきみつや)はわからない。
「いいからこっちにきなさい。ここで会った以上……」
 末摘(すえつむ)ひきりが笑みを浮かべながら言った。
 中学校からの知り合いで、今の霜春高校でも同じクラスになってしまった。いわゆる腐れ縁だった。
 肩まで伸びた黒髪、赤い瞳。負けん気が強いところがある。
「決闘だろわかってるよ」
 日月光矢はため息をつき、霜春公園の決闘ができる場所の1つに向かう。
 デュエルモンスターズというカードゲームをするために設けられた場所だった。
 公園の一角にデュエルスペースがあるのは決闘盤を使った決闘ができるようにしたものだ。
 決闘盤を使うことでセットされたカードは立体映像により実体化する。
「はあ、何であんたがここにいたのかな?」
「こっちが聞きたいぐらいだけどな」
「まあいいわ」
 お互いに距離をとり、決闘盤を構える。

「デュエル」

 お互いの声が重なった。
 俺の先攻、ドロー。マハー・ヴァイロを攻撃表示で召喚」
 紺色の魔道服を着た魔法使いがソリッドビジョンシステムにより場に現れる。

 マハー・ヴァイロ
 星4/光属性/ 魔法使い族/ATK1550 /DEF1400
 このカードに装備された装備カード一枚につき、
 このカードの攻撃力は500ポイントアップする。

「そしてカードを二枚セット。ターンエンド」
「あたしのターンドロー。」
ひきりは考えながらカードを決闘盤におく。
「炎の剣豪を攻撃表示で召喚」
 その名のとおり炎を身にまとった剣豪だった。
 
 炎の剣豪
 通常モンスター
 星4/炎属性/炎族/ATK1700 /DEF1100
 火山に落ちて、炎を身にまとう能力を身につけた武士

「そして、炎の剣豪で攻撃の前にサイクロンを発動。私から見て左のカードを破壊」
 場に風が起こり、伏せていた鎖付きブーメランが破壊される。
「思ったとおり。攻撃したときに発動して返り討ちにするところだったみたいね」
「ああ、そのとおりだよ。でもさ、何度もデュエルしたことがあるからわかっていただろ」
「うるさい。それじゃああらためて炎の剣豪で攻撃」
炎の剣豪がマハー・ヴァイロに斬りかかってくる。
「だけど、もう一枚の伏せカードを発動する。ミニチュアライズ。
 これにより、炎の剣豪のレベルをひとつ下げ、さらに攻撃力を1000ポイントダウンさせる。
 これで攻撃力はマハー・ヴァイロが上回った」

 ミニチュアライズ
 罠 永続
 フィールド上に表側表示で存在する元々の攻撃力が1000より上のモンスターを選択して発動する。
 選択したモンスターのレベルを1つ下げ、攻撃力は1000ポイントダウンする。
 そのモンスターがフィールド上に存在しなくなったとき、このカードを破壊する。

 炎の剣豪 星4→3 
      ATK1700→700

 炎の剣豪は小さくなるものの果敢にいどもうとするも、
 マハー・ヴァイロが放った魔法によりあえなく破壊される。

 ひきり LP4000→3150

「あーもう。もう少しだったんだけどね」
 悔しそうにひきりが言う
「それじゃあ、カードを二枚伏せてターンエンド」
 
 日月光矢  LP4000
       場マハー・ヴァイロ
       手札3枚

 末摘ひきり LP3150
       場伏せカード2枚
       手札2枚

「俺のターンドロー」
 光矢は手札を見る。
「そして、マハー・ヴァイロをリリース。マテリアルドラゴンをアドバンス召喚する」
 金色の竜がフィールドに舞い降りる。

 マテリアルドラゴン
 効果モンスター
 星6/光属性/ドラゴン族/ATK2400 /DEF2000
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 ライフポイントにダメージを与える効果は、ライフポイントを回復する効果になる。
 また、「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つ
 魔法・罠・効果モンスターの効果が発動したとき、
 手札を一枚墓地へ送ることでその発動を無効にし破壊する。

「マテリアルドラゴンで攻撃する」
 ひきりに向かって勢いよく飛び、ブレスをはく。
「簡単にダイレクトアタックは受けないよ。リバースカードオープン、ガード・ブロック。
 自分への戦闘ダメージをゼロにする」
 金色の竜がはいたブレスはひきりの前で二つに分かれ、ひきりにはあたらなかった。
「そして、ガード・ブロックのもう1つの効果でデッキからカードを一枚ドローする」

 ガード・ブロック
 罠
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動することができる。
 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

「さすがに通らないか。カードを1枚セット。ターンエンド」
「そう簡単に負けない。あたしのターン、ドロー。プロミネンス・ドラゴンを召喚。
 さらに、怨念の魂、業火を特殊召喚する。そして、業火の効果で火の玉トークンを守備表示で召喚」
 炎を撒き散らす竜と怨念の魂が出てくる。そして、火の玉が場に出てくる。あわせて3体のモンスター。

 プロミネンス・ドラゴン
 効果モンスター
 星4/炎属性/炎族/ATK1500 /DEF1000
 自分フィールド上にこのカード以外の炎族モンスターが存在する場合、
 このカードを攻撃することはできない。
 自分のターンのエンドフェイズ時、
 このカードは相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 怨念の魂 業火
 効果モンスター
 星6/炎属性/アンデット族/ATK2200 /DEF1900
 自分フィールド上に炎属性モンスターが表側表示で存在する場合、
 このカードは手札から特殊召喚することができる。この方法で特殊召喚に成功したとき、
 自分フィールド上に「火の玉トークン」(炎族・炎・星1・攻/守100)1体を
 守備表示で特殊召喚する。
 自分フィールド上に存在するこのカード以外の炎属性モンスター1体をリリースすることで、
 このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。

「業火でマテリアルドラゴンに攻撃」
「業火の効果を使わず、攻撃力が劣ったままで攻撃するのか?」
「違うよ。リバースカードオープン、スキル・サクセサー。このカードの効果で業火の攻撃力を
 400ポイントアップする」
 
 怨念の魂 業火 2200→2600

 業火が大火球を放つ。マテリアルドラゴンは炎の中に消えた。
 
 日月光矢LP4000→3800
 
 スキル・サクセサー
 罠 
 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
 このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで、
 自分フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで
 800ポイントアップする。
 この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動することができず、
 自分のターンのみ発動することができる。

「さらにプロミネンス・ドラゴンでダイレクトアタック」
 竜が赤いブレスを吐き出し光矢を襲った。

 日月光矢LP3800→2200

「そして、カードを一枚セットしてターンエンド。プロミネンス・ドラゴンの効果で相手に
 500のダメージを与える。業火の攻撃力は元に戻る」

 日月光矢LP2200→1700

 日月光矢  LP1700
       場伏せカード一枚
       手札3枚

 末摘ひきり LP3150
       場プロミネンス・ドラゴン
        怨念の魂 業火
        火の玉トークン
        伏せカード1枚
       手札1枚

「くっ。一気に逆転されたな。俺のターン、ドロー。よしきた。二重召喚(デュアルサモン)を発動。」

 二重召喚(デュアルサモン)
 魔法
 このターン自分は通常召喚を二回まで行うことができる。

「そして俺は二体のモンスターを通常召喚する。神竜ラグナロクとチューナーモンスター、
 マジカルフィシアリストを召喚」

 神竜ラグナロク
 通常モンスター
 星4/光属性/ドラゴン族/ATK1500 /DEF1000
 神の使いと言い伝えられていた伝説の竜。その怒りに触れたとき、
 世界は海に沈むといわれている。

 マジカルフィシアリスト
 効果モンスター
 2星/光属性/魔法使い族・チューナー/ATK 800/DEF400
 このカードが召喚に成功したとき、
 このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。
 このカードに乗っている魔力カウンターを1つ取り除くことで、
 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力を、
 エンドフェイズまで500ポイントアップする。

「チューナーが出てきたってことはシンクロ召喚をする気なの」
「ああ、レベル2、マジカルフィシアリストにレベル4、神竜ラグナロクをチューニング。日の出(いずる)
 ところより、竜の魔力を得て、その魔力を開放せよ。シンクロ召喚、輝け、光竜魔導師アス」
 白い魔道服の鎧を身にまとい、手にもつ白杖の先には翠の玉がついている。
 杖をすばやくまわし、末摘ひきりの場にいるモンスターに杖先を向ける。

 光竜魔導師アス
 シンクロモンスター
 星6/光属性/魔法使い族/ATK2400 /DEF1800
 光属性+チューナー以外のドラゴン族モンスター1体以上
 墓地に存在するレベル4以下のドラゴン族モンスターを一体ゲームから除外することで、
 攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。

「そして、アスの効果を発動。神竜ラグナロクをゲームから除外することで攻撃力を1000アップする」

 アス ATK2400→3400

 アスの持つ杖先に魔力が宿る。
「アスでプロミネンス・ドラゴンに攻撃。アウレウスの魔弾」
 アスの放った魔弾がプロミネンス・ドラゴンを飲み込んだ。

 末摘ひきり LP3150→1250

「カードを一枚伏せターンエンド」
「あたしのターンドロー。シンクロモンスターで反撃されちゃったか。ならこっちもシンクロ召喚するよ。
 ゾンビキャリアを召喚」
 ところどころ腐った不気味なモンスターが現れる。

 ゾンビキャリア
 効果モンスター
 星2/闇属性/アンデット族・チューナー/ATK400 /DEF200
 手札を1枚デッキの一番上に戻して発動する。
 墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚されたこのカードは、
 フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

「レベル2、ゾンビキャリアにレベル1、火の玉トークンとレベル6、怨念の魂 業火をチューニング。
 煉獄を断ち進みて、怨敵を灰へと化せ。シンクロ召喚、葬り去れ、炎獄の主」
 深紅の鎧をまとい、紅衣の外套がたなびく。手には炎の鎌を持っている。
「物騒なのが出てきたな」

 炎獄の主 
 シンクロモンスター
 星9/炎属性/アンデット族/ATK3000 /DEF1000
 アンデット族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上。
 シンクロ召喚に成功したとき、自分の墓地にいる炎属性モンスター1体につき、
 400ポイントのダメージを相手に与える。
 エンドフェイズに自分のフィールド上にモンスターがいないとき、
 特殊召喚することができる
 
「炎獄の主の効果発動。墓地にいる炎属性モンスター1体につき400ポイントのダメージを相手に与える。
 今墓地にいるのは3体。つまり1200ポイントダメージを与える。炎走爪」
 炎獄の主の足元から炎が発生し、光矢に向かって走ってきた。

 日月光矢  LP1700 →500

「炎獄の主の攻撃。炎鎌(えんれん)の一振り」
 炎獄の主が鎌を振り上げ、アスに襲い掛かってくる。
「罠カード発動。シンクロン・リフレクト」
 
 シンクロン・リフレクト
 罠
 自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスターが
 攻撃対象になったときに発動することができる。
 その攻撃を無効にし、相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

 振り下ろした鎌がアスの持つ杖にはじき返され、鎌が折れる。折れた鎌は炎獄の主に直撃した。
 ひきりは主力モンスターが破壊されても慌てない。
「伏せカード一枚セット。エンドフェイズに自分のフィールド上にモンスターがいないとき、
 特殊召喚することができる。よみがえれ、炎獄の主」

 日月光矢  LP 500
       場光竜魔導師アス
       伏せカード一枚
       手札0枚

 末摘ひきり LP1250
       場炎獄の主
        伏せカード2枚
       手札0枚

「俺のターンドロー」
「ごめんね、火霊術−「紅」を発動」

 火霊術−「紅」
 通常罠
 自分フィールド上に存在する炎属性モンスター1体をリリースして発動する。
 リリースしたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「って、火霊術−「紅」か」
 ひきりが手を合わせている。

 日月光矢  LP 500→ 0


「ふー、危なかった。もう少しで負けるとこだった」
 公園のベンチに座り、ひきりが言った。
「まあ、これで勝敗は同じだよな?」
「あれ、これで私のほうが勝ったの一つ多くなかった?」
「いや違うだろ」
「まあ、次もあたしが勝つからいいけど」
「次は負けないけどな」

「で、何であんたもこっちに来るわけ?」
「俺はこっちに用があるんだ」
 日月光矢と末摘ひきりが来たのは霧春博物館という赤レンガでできた二階建ての建物だった。
 ここに来たのは、夏に行われる、大会を記念として、入場すると記念にカードをもらえるからだった。
 奥に入りカードをもらった。光矢がもらったカードは光竜魔導師オクシデンという、
 場に光属性モンスターがいるとき、手札から捨てるとモンスター効果を無効にするカードだった。
「なんで私はこのカードのわけ」
 見ると火葬準備だった。確か、相手の墓地にあるモンスターを相手の場に復活させて、
 それは相手の墓地を対象に相手が使ったとするカードだった。
 ついでに中を回ろうと二人で、二階にある部屋に入った。
 一枚の壁画がおいてあった。
「これは古代エジプトの壁画での。カードの起源といわれておる」
 背後から声をかけられた。四白木館長だった。ところどころに白髪が混じっている老人だった。
「昔、童実野町で行われたバトルシティのころに日本に来たものでの。無理言ってここに越させたのじゃ」
「へえ、そうなんですか」
 光矢が答える。
 壁画には黒き魔術師を操る王と対立する白き幻獣使いの神官、三体の幻神獣が刻まれていた。
「古代エジプトでは人々の心に潜む魔物を石版に封じ込めた。しかし、魔物が邪悪な心を持って、
 それが原因で争いがあったときを描いたものといわれておる」
 この石版を見た、ペガサス・J・クロフォードがデュエルモンスターズを生み出した
 といわれているのを聞いたことがあった。
「しかし、二人とも仲のよさそうじゃのう、昔、ここに遊びに来た二人の子どもを思い出すわい」
「よくない、ここに来たのはたまたま一緒になっただけです!」
 二人が同時に言った。
「そんな二人に、ここへ来た記念にホレ」
 喫茶店の割引券だった。
「今度の日曜までが期限じゃからのう。早めにのう」
「って、聞いてないんですか!」
 二人がまた同時に言う。ただ、割引券は受け取った。
「まあ、ゆっくり見回ることじゃ」
 館長が言って、部屋を出て行った。




二章 雷鳴り、闇覆う

 なぜこうなったのかと日月秋成(ひづきあきなり)は心の中でため息を付く。
 今日も学校が終わり、兄の光矢と母がいる家まで帰るだけだった。
 たぶん「君は決闘者だよね」と声をかけられ、反射的に振り向いたのがいけなかった。
 目の前に細目で長身の男が決闘盤を構えている。二十いくかいかないかの年だという感じがした。
 いつのまにか、断るまもなく決闘することになった。
 とっとと終わらせて帰ろうと秋成は思った。
「ああ自己紹介はまだだったね。俺は空鳴周栄(そらなりしゅうえい)」
「僕は、日月秋成」
「デュエル」

「俺のターンドロー。モンスターを裏守備で出してカードを二枚セット。ターンエンド」
 空鳴と名乗った男が迷うことなくカードを出した。
「僕のターンドロー。ツイン・ブレイカーを攻撃表示で召喚」
 秋成が決闘盤にカードをおくと両手に剣を装着した戦士が現れる。
 二回攻撃と貫通攻撃ができるモンスターだ。

 ツイン・ブレイカー
 星4/闇属性/戦士族/ATK1600 /DEF1000
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
 もう1度だけ続けて攻撃することができる。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃したとき、
 その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「ツイン・ブレイカーで、裏守備モンスターに攻撃」
 ツイン・ブレイカーが近づき剣で突いた。表になって出てきたのはエレキッズという通常モンスターだった。
「えっ、そんなモンスターが入っているのか?」
「まあね」
「さらに貫通ダメージを与える」
 
 エレキッズ
 通常モンスター
 星3/光属性/雷族/ATK1000 /DEF500
 雷攻撃は意外と強い。甘く見ると感電するぞ。

 空鳴周栄 LP4000→2900

「もう一度、ツイン・ブレイカーは攻撃できる」
 空鳴に向かって剣を振りおろす。だが、その前に鉄でできたかかしが、現れ剣がはじかれた。
「くず鉄のかかしを発動した。これで一回攻撃を無効化するよ」

 くず鉄のかかし
 罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動することができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
 発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。

「僕はカードを一枚セットしてターンを終了する」

 空鳴周栄  LP2900
       場伏せカード2枚
       手札3枚

 日月秋成  LP4000
       場ツイン・ブレイカー
        伏せカード1枚
       手札4枚

「俺のターンドロー。サンダー・ドラゴンを捨て、サンダー・ドラゴンを2枚手札に加える」

 サンダー・ドラゴン
 効果モンスター
 星5/光属性雷/族/ATK1600 /DEF1500
 手札からこのカードを捨てることで、
 デッキから別の「サンダー・ドラゴン」を2枚まで手札に加えることができる。
 その後デッキをシャッフルする。
 この効果は自分のメインフェイズ中のみ使用することができる。

「手札から融合を発動。サンダー・ドラゴン、二体を融合。双頭の雷龍(サンダー・ドラゴン)」
 二つの頭を持つ竜が場に出てくる。

 双頭の雷龍(サンダー・ドラゴン)
 融合モンスター
 星7/光属性/雷族/ATK2800 /DEF2100
 「サンダー・ドラゴン」+「サンダー・ドラゴン」

「双頭の雷龍でツイン・ブレイカーに攻撃」
 雷龍がツイン・ブレイカーに雷撃を浴びせる。

 日月秋成  LP4000→2800

「まだ終わりじゃないんだ。速攻魔法、融合解除発動。双頭の雷龍をエクストラデッキに戻し
 サンダー・ドラゴン二体を攻撃表示で特殊召喚する」
 
 融合解除
 魔法・速攻
 フィールド上に存在する融合モンスター1体をエクストラデッキに戻す。
 エクストラデッキに戻したこのモンスターの融合召喚に使用した
 融合素材モンスター一組が自分の墓地にそろっていれば、
 この一組を自分フィールド上に特殊召喚することができる。
 
 2体の雷竜が出てくる。
「トラップ発動。誘発召喚。このカードの効果で闇魔界の戦士ダークソードを攻撃表示で特殊召喚」

 誘発召喚
 罠
 相手フィールド上にモンスターが特殊召喚されたときに発動することができる。
 お互いは手札からレベル4以下のモンスター1体を
 フィールド上に特殊召喚することができる。
 
 闇魔界の戦士 ダークソード
 通常モンスター
 星4/闇属性/戦士族/ATK1800 /DEF1500
 ドラゴンを操るといわれている闇魔界の戦士。
 邪悪なパワーで切りかかる攻撃はすさまじい。

「俺は誘発召喚の効果を使わない。参った。あせりすぎたか。カードを一枚伏せてターンエンド」
「僕のターンドロー。漆黒の闘龍を召喚する。スタンピング・クラッシュを発動。
 このカードの効果により、裏側になっているくず鉄のかかしを破壊する」
 漆黒の闘龍が裏側になったカードを踏みつけ破壊する。

 闇魔界の戦士ダークソードATK1800→2200

 漆黒の闘龍
 星3/闇属性/ドラゴン族/ATK900 /DEF600
 効果モンスター
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分の「闇魔界の戦士ダークソード」に装備または装備を解除して
 表側攻撃表示で特殊召喚することができる。
 この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターの攻撃力・守備力は400ポイントアップし、
 守備表示モンスターを攻撃したとき、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが戦闘で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)

 スタンピング・クラッシュ
 魔法
 自分フィールド上に表側表示のドラゴン族モンスターが存在する時のみ
 発動することができる。
 フィールド上の魔法・罠カード1枚破壊し、そのコントローラーに500ポイントダメージを与える。

「ダークソードに漆黒の闘龍を装備」
 戦士が漆黒の竜に飛び乗る。

 闇魔界の戦士ダークソードATK1800→2200


「闇魔界の戦士で、サンダー・ドラゴンを攻撃」
 サンダー・ドラゴンが雷撃を放つが闇魔界の戦士がかわし、斬りつけられた。
「罠カード発動。オプションハンター。この効果でサンダー・ドラゴンの攻撃力1600分回復する」

 オプションハンター
 罠
 自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され
 墓地へ送られたときに発動することができる。
 自分は破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のライフポイントを回復する。

 空鳴周栄  LP2900→2400→1800→3400

「カードを2枚セットしターンエンド」

 空鳴周栄 LP3400
      場サンダー・ドラゴン
       伏せカード1枚
      手札1枚

 日月秋成 LP2800
      場闇魔界の戦士ダークソード
       漆黒の闘龍
       伏せカード2枚
      手札1枚

「さあて、ここからだ。俺のターンドロー。リバースカードオープン。リミット・リバース。
 エレキッズを特殊召喚する。さらに、ナチュラル・チューンを発動しエレキッズをチューナーとして扱う」

 リミット・リバース
 罠・永続
 自分の墓地から攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 そのモンスターが守備表示になったとき、そのモンスターとこのカードを破壊する。
 このカードがフィールド上からはなれたとき、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊されたときこのカードを破壊する。

 ナチュラル・チューン
 魔法
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル4以下の通常モンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターはフィールド上に表側表示で存在する限りチューナーとして扱う

「レベル3のエレキッズにレベル5のサンダー・ドラゴンをチューニング。雷装をまとい暗雲を晴らせ。
 シンクロ召喚。轟け、霹靂操者(へきれきそうじゃ)ミカフツ」
 太刀を掲げる巨漢の戦士。太刀に雷が宿っている。

 霹靂操者ミカフツ
 シンクロモンスター
 星8/光属性/雷族/ATK2700 /DEF1800
 雷族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードがシンクロ召喚に成功した時、
 フィールド上に存在するカードを1枚破壊することができる。
 このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送ったとき、
 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

「ミカフツの効果により一体のモンスターを破壊する。稲光」
 闇魔界の戦士ダークソードが雷撃を受ける。
「効果破壊じゃ、漆黒の闘龍の効果は発動しない。ミカフツのダイレクトアタック。怒髪閃雷」
 ミカフツの髪が逆立ち、雷を太刀に溜める。秋成に雷が直撃する。

 日月秋成  LP2800→100

「うわ、残ったか。カードを一枚セットターンエンド」
「僕のターンドロー。トラップカード発動。正当なる血統。墓地にいる通常モンスターを特殊召喚する。
 闇魔界の戦士ダークソード。そして、トラパートを召喚」

 正当なる血統
 罠・永続
 自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上に存在しなくなったとき、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターがフィールド上に存在しなくなったとき、このカードを破壊する。

 トラパート
 効果モンスター
 星2/闇属性/戦士族・チューナー/ATK600 /DEF600
 このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターが攻撃する場合、
 相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動することができない。
 このカードをシンクロ素材とする場合、
 戦士族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

「トラパートに闇魔界の戦士ダークソードをチューニング。漆黒の世界より、戦士の魂が木霊(こだま)する。
 シンクロ召喚。漆黒の騎士ウルガギム」
 漆黒の鎧を着た戦士が光の中から現れる。

 漆黒の騎士ウルガギム
 星6/闇属性/戦士族/ATK2400 /DEF800
 このカードがシンクロ召喚に成功したとき、このカードを除く
 フィールド上に存在するすべてのモンスターを裏側守備表示にする。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃したとき、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「ウルガギムの効果により、ミカフツを裏側守備表示に変更。ウルガギムの攻撃。闇の一閃」
 ウルガギムは闇の中に溶ける。ミカフツの背後に回ると同時に、斬りつけた。
「そして、貫通ダメージを与える」
 
 空鳴周栄  LP3400→2800

「くっ。やられた。トラパートの効果で罠カードが発動できない」
「僕はこれでターンを終える」
「おっと。その前に、ウィキッド・リボーンを発動する。ライフを800払い、
 自分の墓地にいるシンクロモンスターを攻撃表示で召喚する。さあ、もどれ霹靂操者ミカフツ」

 空鳴周栄  LP2800→2000

 ウィキッド・リボーン
 罠・永続
 800ライフポイントを払い、
 自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、
 このターン攻撃宣言をすることができない。
 このカードがフィールド上に存在しなくなったとき、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊されたときこのカードを破壊する。

 
 空鳴周栄  LP2200
       場 霹靂操者ミカフツ
       手札0枚

 日月秋成  LP 100
       場 漆黒の騎士ウルガギム
         伏せカード2枚
      手札0枚

「俺のターン。ドロー。ミカフツで攻撃」
「トラップ発動。シンクロン・リフレクト」
 ミカフツが放った雷撃をウルガギムが剣ではじき返す。

 シンクロン・リフレクト
 罠
 自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスターが
 攻撃対象になったときに発動することができる。
 その攻撃を無効にし、相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

「おおっと。速攻魔法、わが身を盾に を発動し、破壊する効果を無効にする」
 ミカフツは何とか雷撃をかわした。

 わが身を盾に
 魔法・速攻
 相手が「フィールド上モンスターを破壊する効果」を持つカードを発動したとき、
 1500ライフポイントを払うことでその発動を無効にし破壊する。

 空鳴周栄  LP2000→500

「さあ、これで終わるか。ミカフツ」
 再びミカフツが動き出す。
「まだだ、シンクロ・ストライクを発動する。シンクロ素材にしたモンスターの数×500ポイント
 攻撃力を上げる。素材にした数は2体。よって1000ポイントアップする」

 シンクロ・ストライク
 罠
 シンクロ召喚したモンスター1体の攻撃力はエンドフェイズ時まで、
 シンクロ素材にしたモンスターの数×500ポイントアップする。

 漆黒の騎士ウルガギムATK2400→3400
「迎撃しろ。ウルガギム」
 ミカフツが放った雷撃をかわし、胸に剣をつきたてた。
 
 空鳴周栄  LP500→0

「負けた。負けた」
 空鳴が笑う。
「君はいい魂をした決闘者だとは思っていたよ」
「いい魂って何ですか?」
「いやあ。そんなことより。俺町を迷ったから、道教えてくれない」
「まさか、道教えてもらうためだけにデュエルに挑んできたんですか?」
「まあ、そんなとこだ。それでさ、白いスーツを着て、赤いネクタイをしたやつなんか知らない?」
「知りません」
「はずれかなあ。でもここへ来そうな感じがするんだよなあ」
 周栄がつぶやく。 
 秋成は道を教え、周栄が礼を言って立ち去っていった。


「うーん。迷った」
 空鳴周栄は教えられたとおり歩いたはずだがつかない。すでに日は沈みかけている。どこで間違えたのだろうか。
「ちょっと、そこの決闘者」
 路地を入り、曲がったところで、声をかけられた。
 振り返ると背が高めの若い女性がいた。たぶん同じ年ぐらいだろう。笑顔でこっちを見ている。
「ちょっと、暇なら手伝ってほしいんだけど」
 そういいながら、周栄の手を引っ張り、小さな店のようなところへ入った。
 中には、デュエルできるテーブルがいくつかある。多くの子どもがデュエルをしていて少し騒がしい。
「えっと、やってほしいのはこの子どもたちにデュエルについて教えてやってくれない?」
「暇な時間がありますし。いいですよ」
「よかった。私と秋草(あきくさ)さんじゃ手が回らないから。あっ、私の名前は四白木咲笑(ししらぎさきえ)」
「俺の名前は空鳴周栄です」
「それと、あの奥の机に突っ伏しているのが秋草勇(ゆう)さん」
 四白木が指を指したところに若い男がいた。
 声で気づいたのか秋草が顔を上げる。
「そいつが手伝ってくれるのか?」
「ええ、とにかく道にいた人を連れてきたの」
「ふーん。見たことがないよな」
「俺は、最近こっちに引っ越してきたから見たことはないはずですよ」
「なるほど。まあ、手伝うといってもルールがわからない子どもたちにに教えてくれないかってことだ」
 周りではこのときのルールはどうなるのかとかいった言葉が飛び交っている。
「それぐらいならいいですよ。へえ、ここでデュエルのことと教えているんですね」
「ああ、俺は三年前までインダストリアル・イリュージョン社にいてな、
 まあ町の中で子どもたちにデュエルを教えるのも悪くないと思って、ここで、教えたりしているんだ」
 喧噪のなか周栄はデュエルしているテーブルのほうへ向かった。



続く...



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