有☆機☆王

製作者:三沢大地








 これはとある月面デュエルスタジアムにての戦いの記録。

【第70回バトルシティ大会決勝戦】

 2人のファイナリストが、ステージの上に立つ。

 1人はデュエルキング・武藤遊戯の、息子の同級生――

【無双有機】


 もう1人は『海馬コーポレーション』社長・海馬瀬人の、弟の親友の兄――

【白馬反吐】


 そう、まさに、カードゲーム界のサラブレットの2人による対決だった。

【ワハハハハ】


 白馬が人差し指を天空に挙げ、有機に語りかける。

「やはり貴様を倒してこそ、『デュエルキング』の名も輝きを増すというもの……」

「……え? なんだって?」

【聞き漏らし】


「やはり貴様を倒してこそ、『デュエルキング』の――」

「フッ、その通りだ。だが勝つのは俺だぜ、白馬!」

【一気に場を支配する緊迫感】

 有機と白馬はふくらはぎに装着したデュエルディスクを空に掲げ、地面にあてがい、そして胸に構えた。
 ついに始まったのだ。

【デュエル】

[有機]LP4000
[白馬]LP4000

「『デュエルキング』の血を見せてやるぜ! 俺の先攻、ドロー!」

【デュエルキング】

 その遠い身内の有機が、見事に先攻を奪い取った。

「いでよ“ワイト”!」

 紫のフードを羽織った骸骨が大見栄を切り、勢いよく地に降り立つ。

【足が折れた】

[ワイト]攻撃力300

「さらに“増殖”発動!“ワイト”増殖!」

“増殖”の効果で“ワイト”は増殖した。

【1兆体に】

「ターンエンド!」

「『ターンエンド』だと……? クックック……」

 白馬が鼻で笑い、有機を挑発する。

「この勝負、結果は見えた――」

【それをあした、証明してやろう】

「俺がターンだ! ドロー! つくづく俺は、『ドローの女神』に好かれているようだ」

 白馬はドローカードを場に出す。

「“ノミ”召喚!」

 文字通り“ノミ”が降り立つ。やたらと大ぶりだ。

【それは地球より大きかった】

[ノミ]攻撃力299

「さらに装備魔法“運”を“ノミ”に装備!」

[運]モンスター1体の攻撃力を2アップする

[ノミ]攻撃力301

 心なしか、“運”装備後の“ノミ”は――

【ちょっとかっこいい】

「リバースカードセット! さぁ、バトルフェイズ!“ノミ”で“ワイト”を攻撃だ!」

[ノミ]攻撃力301
[ワイト]攻撃力300

“ノミ”は“ワイト”の血を吸い取ろうと、つま先にくちばしを差して吸引する――が、“ノミ”の攻撃は“ワイト”に効かなかった。

【ついにずっこける白馬】

「な、なぜ効かん!?」

「“ワイト”は骸骨だ! 血なんて無いぜ!」

「……バカ……な……!? ターンエンド!」

「俺のターン!」

【衝撃の有機のラストターン】

[有機]
 LP4000
 場:“ワイト”1兆体
[白馬]
 LP4000
 場:“ノミ”
  :リバースカード1枚

「反撃するぜ白馬! これが俺と笑之内くんと、凡打くんと、爆破くんと、御伽くんと、毎々と、そして三途との団結の力だ! 装備魔法“団結の力”を“ワイト”に装備!」

【有機、魂の叫び】

[団結の力]モンスター1体は自軍の場のモンスター1体につき攻撃力800アップする

「俺の場のモンスターは、“ワイト”が1兆体! よって“団結の力”を装備した“ワイト”の攻撃力は――」

[ワイト]攻撃力800兆300

 その破格の数値に、海馬は激しく地団太を踏む。

「なんだと!? なんだと!? なんだとぉおっ!?」

「覚悟しろ!“団結の力”装備の“ワイト”で“ノミ”を攻撃!」

[ワイト]攻撃力800兆300
[ノミ]攻撃301

【その差799兆9999億9999万9999】

「あでもみあっ!」

「は、白馬!?
 お、お前――!?」

[有機]LPゼロ
[白馬]LPゼロ















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