光を求める帝

製作者:ジンさん




こういう創作ストーリーを書くのは初めてなので、至らない部分もあるかと思いますが、
そこはどうぞ目を瞑ってやってください。
この物語は、基本的にOCG中心です。禁止・制限カードやルールも全てOCGと同じです。
またオリカも多少含むかもしれませんし、一部のカードは原作効果だったりしますが、ご了承ください。




【登場人物紹介】

天月 空(あまつき そら) 17歳
この物語の主人公。「清竜学園」に転校してきた。
世界に1枚しか存在しないと言う「帝」モンスターを使う。
やや無口。どんな状況でも冷静に判断する性格。

深海 鈴(ふかみ すず) 16歳
この物語のヒロインだと思われる。明るく活発な少女。
小学校時代から親友の(下に紹介)聖也、彩と共にデュエルをやっている。
使うデッキは、使用者に似合わない「E-HERO」デッキ。

影宮 聖也(かげみや せいや) 16歳
鈴の小学校時代からの親友。比較的、大人しい方。
性格も優しいので密かに女子から人気がある。
魔法使い族が主軸のトリッキーなデッキを扱う。

城崎 彩(しろさき あや) 17歳
鈴、聖也の親友。城崎コーポレーションの社長の娘。
鈴ととても仲が良い。男女問わず平等に接するのでどちらの人気も高め。
昔からずっと「宝玉獣」デッキを使用している。



【第1話:転校生】


   ある11月の朝・・・
   ・・・ここはこの付近で入学者数が最も多い高校「清竜学園」である。


   この高校では、2年前に校長が変わり、新しい授業が取り入れられた。
   その名は「デュエルモンスターズ」というカードゲームだ。


   校長曰く、このカードゲームはこの社会を生きていくために非常に大切な、洞察力や観察力を
   身に付けられる素晴らしいゲームだという。


   だが、実際にこの国でもこのカードゲームを授業または、部活などに取り入れる学校が増えてきている。


   大人気のカードゲームの授業があると言うことで、入学者数も必然的に多くなるわけである。



   さて・・・場所が変わってここは、清竜学園の2学年の教室がある3階廊下。


   この物語はこの2年D組で始まるのである。



   「う〜・・・寒いよ〜」


   1人の女子生徒がいかにも寒そうに呟く。
   彼女の名前は、深海鈴。恐らく、ヒロインであろう少女だ。


   そんな彼女に1人の少年が声をかける。


   「おはよう、鈴ちゃん。」


   「・・・う?」


   「いや、『う?』って・・・」


   「ああ・・・ごめんごめん、おはよ聖也。」


   少年の名前は、影宮聖也。
   小学校のときから鈴と友達のいわば親友である。


   「彩ちゃんはまだ来てないみたいだね。」


   「うん・・・。」


   「ところで、聖也は寒くないの?」


   「え?うん、まあ・・・あんまり寒くないよ。」


   「人間?」


   「そこまで言う・・・?」


   「おはよ〜、鈴、聖也!」


   いきなり声をかけてきた少女。
   彼女は、城崎彩。鈴、聖也との昔からの親友である。
   更に城崎コーポレーションというデュエルモンスターズの会社の社長の娘。つまりお嬢様なのだ。


   「おはよ、彩。」


   「おはよう。彩ちゃん。」


   律儀に挨拶を返す2人。
   そんな2人に彩はニュースを伝える。


   「ねぇ!今日ね、転校生が来るんだって!」


   「・・・転校生?」


   「あれ?聖也、リアクション薄いね。」


   「え?そうかな?」


   「ねぇ、転校生って男子?女子?」


   「うん・・・男子っぽいよ。」


   「イケメン?」


   「さあ・・・そこまでは分からないけど。」


   「イケメンだと良いね〜」


   「そうね〜・・・そろそろ彼氏欲しいし〜」


   「・・・(会話に入れない・・・)」



   「お〜し、席に着け〜!!」


   朝っぱらから大声を出す担任の教師・三沢準。
   (アニメを見ていたら聞き(見)覚えがあるだろう。)


   担任の後から、1人の男子が入ってくる。
   とてつもなく珍しい青いヘアーに、青っぽい瞳。


   「・・・(イケメンだ〜!!)」


   密かに喜ぶ鈴と彩。ちなみに、鈴、彩、聖也ともに教室の窓際の一番後ろのほうが席だ。
   しかも、一人分の席が空いているので、ここに座るのでは?と思っている。


   「よし!じゃあ、自己紹介してくれ。」


   「天月空です・・・よろしく。」


   「それじゃ・・・天月の席は・・・」


   席を決めようとしている三沢にある1人の男子生徒が声を上げる。


   「テメェはデュエルできんのか?」


   いきなり聞いてきた彼は、定池五郎。
   喧嘩もデュエルも強く、他の生徒から恐れられている。


   「何だ?定池。いきなりそんな事を・・・」


   「アンタには聞いてねぇよ。そっちの転校生に聞いてんだよ!」


   「・・・・・・」


   転校生は無言。


   「おい!聞いてんのか!?」


   「・・・・・・」


   またしても無言。
   そして、定池がキレる。


   「シカトしてんじゃねえぞ!コラ!」


   とうとう、前に出てきた。


   「・・・俺がデュエルができたら何だって言うんだ?」


   とうとう、口を開いた。


   「その態度が気に食わねぇな。自分の立場ってのを思い知らせてやるぜ!」


   手で何か合図をすると子分たちがデュエルディスクを2つ持ってくる。
   デュエルディスクとは、立体映像によりより高度にデュエルが出来るようにと、
   城崎コーポレーションの会長が作り出した物である。今でも、改良が重ねられている。


   「貸してやるぜ。光栄に思え!」


   「・・・・・・」


   やはり、無言で受け取る空。


   「あのな・・・今はホームルームって事、分かってるか?」


   「良いです・・・・・・先生。」
   「・・・相手になるぜ。立場と言うのを教えてくれ。」


   「・・・良くないんだけどなぁ。」


   アニメの誰かのごとく、忘れられている先生。
   だが、そんな先生を可哀相などとは思わずに生徒たちはデュエルを見始める。


   『デュエル!!』


   空 LP8000
   五郎 LP8000


   やや無理やりながらも2人のデュエルが始まった。





【第2話:世界に1枚だけのカード】


   「どんなデッキ使うんだろうね?聖也。」


   「何で僕に聞くのさ・・・」


   ちなみにこの3人の席は、2×2だとしたら前に聖也と彩。
   そして後ろに鈴と空いている席がある。どうでも良いのだが。


   「やっぱり、イケメンだからイケメンデッキとか?」


   「・・・(どんなデッキですか・・・?)」




   「へっ、テメェの先攻で良いぜ!」


   「・・・ああ・・・ありがたく受け取ろう。」
   「俺の先攻、ドロー!」


   「・・・俺は場にモンスターをセットする。」


   場に裏側守備表示でカードが現れる。勿論、立体映像だが。


   「更にカードを1枚伏せてターンエンドだ。」


   空 LP8000
   モ 伏せモンスター
   魔 伏せカード×1
   手 4枚


   五郎 LP8000
   モ なし
   魔 なし
   手 5枚



   「んじゃ、俺のターンドロー!」
   「【激昂のミノタウルス】を攻撃表示で召喚!」


   場に斧を持った獣戦士が現れる。


   「・・・貫通効果モンスターか。」


   「そうだ。こいつの前には壁なんて無意味!」


   「・・・なら、攻撃してくれば良いさ。」


   「へっ!罠ってのがバレバレだぜ?」


   「・・・・・・」


   「手札から速攻魔法【サイクロン】発動!その伏せカードを破壊させてもらうぜ。」


   「・・・伏せカードは【次元幽閉】だ。」


   「危なかったな。まあ、お前にとっては最悪か?」
   「【激昂のミノタウルス】で守備モンスターに攻撃!」


   「残念だが、守備モンスターは【墓守の偵察者】だ。」


   「何!」


   五郎 LP8000→7700


   「更に【墓守の偵察者】のリバース効果によりデッキから同じモンスターを守備で出す。」


   「初手からそんなの伏せてちゃデッキがバレバレだぜ?」


   「・・・・・・」
   「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ。」


   空 LP8000
   モ 墓守の偵察者×2
   魔 なし
   手 4枚


   五郎 LP7700
   モ 激昂のミノタウルス
   魔 伏せカード×2
   手 3枚



   「俺のターン、ドロー。」


   「・・・へっ。(最上級モンスターでも出すか?まあ、俺の場にはミラフォと炸裂装甲があるがな・・・)」


   「・・・俺は【墓守の偵察者】を1体生け贄に捧げ・・・」


   「・・・(掛かったな。まあ、1体ってのが惜しいところだが・・・)」






   「【氷帝メビウス】を召喚・・・!」






   その瞬間、教室は驚きに包まれた。




   「・・・ねぇ、彩・・・あれって、もしかしてさ・・・」


   「うん。・・・あれは絶対・・・」




   「そ、そいつは・・・!」


   「こいつは水属性の帝・・・【氷帝メビウス】」


   「くっ・・・(だが、こっちには罠が・・・)」


   「【氷帝メビウス】の効果発動!」


   「な、何だ?」


   氷帝メビウスが地面に手をつけたと同時に五郎の伏せカードを氷の刃が貫いた。


   「このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カードを2枚まで破壊する。」


   「お、俺の罠が・・・」


   「【氷帝メビウス】で【激昂のミノタウルス】を攻撃。」


   氷帝の放った氷の刃でミノタウルスは破壊される。同時に氷の粒が定池にぶつかった。


   「ぐあっ!」


   五郎 LP7700→7000


   「俺はカードを1枚伏せてターン終了。」


   空 LP8000
   モ 氷帝メビウス
     墓守の偵察者
   魔 伏せカード
   手 3枚


   五郎 LP7000
   モ なし
   魔 なし
   手 3枚



   「ちっ・・・やってくれるじゃねぇか・・・俺のターン、ドロー!」


   「俺はモンスターをセット!これでターンエンドだ!」


   空 LP8000
   モ 氷帝メビウス
     墓守の偵察者
   魔 伏せカード
   手 3枚


   五郎 LP7000
   モ 伏せモンスター
   魔 なし
   手 3枚



   「俺のターン、ドロー。」
   「手札から、速攻魔法カード【手札断札】を発動。」


   「お互いはカードを2枚墓地へ送り、2枚ドローする・・・。」


   そう言うと、自分の手札を2枚墓地に送り、2枚ドローする。


   「・・・【氷帝メビウス】で伏せモンスターに攻撃だ!」


   伏せモンスターは【ジェネティック・ワーウルフ】という獣戦士族。
   レベル4の通常モンスターで最高の攻撃力を持つモンスターである。


   「ターン終了だ。」


   空 LP8000
   モ 氷帝メビウス
     墓守の偵察者
   魔 伏せカード
   手 3枚


   五郎 LP7000
   モ なし
   魔 なし
   手 3枚



   「俺のターン!ドロー!」
   「・・・へっ!【イグザリオン・ユニバース】召喚!」


   攻撃力を下げることで、貫通効果を得ることが出来るモンスターである。


   「【イグザリオン・ユニバース】で【氷帝メビウス】を攻撃!」


   「何・・・!」


   「そして、ダメージステップで【突進】を発動だ!」


   イグザリオン・ユニバース ATK1800→ATK2500


   走る速度が【突進】により、かなり加速し【氷帝メビウス】を槍で貫く。


   空 LP8000→LP7900


   そして、僅かに空のライフが減った。


   「カードを1枚伏せる!これで、ターン終了だ。」
   「まだまだ、勝負は分からないぜ・・・!」


   イグザリオン・ユニバースATK2500→ATK1800


   空 LP7900
   モ 墓守の偵察者
   魔 伏せカード
   手 3枚


   五郎 LP7000
   モ イグザリオン・ユニバース
   魔 伏せカード
   手 1枚






【第3話:迸るイカヅチ】


   「俺のターン、ドロー・・・モンスターをセットする。」
   「そして、魔法カード【封印の黄金櫃】を発動。」


   制限カードに指定されている強力なサーチカード。
   【タイムカプセル】との相違点は、発動後に墓地に送られる事とカードを表側表示で出すという事である。


   「俺は、【デビルズ・サンクチュアリ】を除外する。」


   「【デビルズ・サンクチュアリ】・・・!」
   「また、帝モンスターを出す気か・・・?」


   「さあな・・・?ターンエンドだ。」


   空 LP7900
   モ 墓守の偵察者
     伏せモンスター
   魔 伏せカード
   手 2枚


   五郎 LP7000
   モ イグザリオン・ユニバース
   魔 伏せカード
   手 1枚



   「俺のターン、ドロー!」
   「へっ、こりゃ良いカードだぜ・・・。」


   「・・・・・・」


   「まずは、伏せカード【ミクロ光線】を発動!」


   「【ミクロ光線】・・・モンスターの守備力を0にするカードか・・・」


   「そうだ。そして、【イグザリオン・ユニバース】は貫通効果を持っている。」
   「これが、どういうことか分かるな・・・?【墓守の偵察者】の守備力は0だ!」


   「・・・・・・」




   「だが、それだけじゃない!【野生解放】を発動!」




   「こいつの効果で【イグザリオン・ユニバース】の守備力を攻撃力に加える!」


   イグザリオン・ユニバースATK1800→ATK3700


   攻撃力1800という高い数値に加え、守備力は1900を誇る。
   更に貫通効果を持つとは、【野生解放】のために出てきたのでは・・・?と思ってしまう。


   「【イグザリオン・ユニバース】効果発動!」


   イグザリオン・ユニバースATK3700→ATK3300


   「行くぜ!【墓守の偵察者】に攻撃!」


   「くっ・・・伏せカード発動!【聖なるバリア-ミラー・フォース-】!」


   攻撃宣言時のみではあるが、かなり強力な部類に入る罠カード。


   「勿体無いが、大ダメージよりはマシだな・・・。」


   「おっと、そうは行かないぜ!手札から速攻魔法【我が身を盾に】発動!」


   五郎 LP7000→LP5500


   「1500ライフと引き換えに【聖なるバリア-ミラー・フォース-】を無効!」


   「【我が身を盾に】だと・・・!ぐあっ・・・!」


   空 LP7900→LP4600


   「俺はこれでターンエンド!」


   エンド宣言と共に疲れ果てた【イグザリオン・ユニバース】が破壊された。


   空 LP4600
   モ 伏せモンスター
   魔 なし
   手 2枚


   五郎 LP5500
   モ なし
   魔 なし
   手 0枚






   「何か、凄い戦いね〜」


   「うん、そうだね。でも、定池君は手札が0・・・天月君の方はまだ2枚残ってるよ。」


   「彼、強いわね。」
   「生け贄召喚もそれほど苦にしてないし、手札消費も抑えてる・・・。」


   「何か・・・デュエリストも帝王っぽいね。」


   「そうね・・・。やっぱり、良いわね〜」


   「私を話に加えろ〜!」




   「俺のターン、ドロー。【恩恵の犠牲】を発動する。」


   恩恵の犠牲
   通常魔法
    自分フィールド上のモンスターを1体墓地に送る。
   自分はデッキからカードを2枚ドローする。



   【トレード・イン】【デステニー・ドロー】の様な2枚の消費で2枚ドローするカード。
   フィールドのモンスターを墓地に送らなければいけないからコスト的には割高・・・かもしれない。


   「俺の伏せモンスター・・・【ダンディライオン】を墓地に送り、2枚ドロー。」


   「【ダンディライオン】・・・トコトン生け贄を並べやがって・・・。」


   「俺の【ダンディライオン】が墓地に送られたことで、効果が発動。」
   「2体の綿毛トークンを守備表示で特殊召喚する。」


   2体の綿毛が精一杯、守備体制をとっている。


   「カードを2枚セット。ターンエンドだ。」


   空 LP4600
   モ 綿毛トークン×2
   魔 伏せカード×2
   手 2枚


   五郎 LP5500
   モ なし
   魔 なし
   手 0枚



   「攻めるチャンスだったのに、見逃すとはな・・・!」
   「俺のターン、ドロー!」


   「俺はついてるぜ!魔法カード【天よりの宝札】を発動するぜ!」


   天よりの宝札
   通常魔法
   お互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにドローする。



   最強のドローカードである。一応、オリカ扱いで・・・。
   この物語のオリジナル禁止・制限カードで制限カード指定されている。
   また、禁止カード予告されているかもしれないカードでもある。


   五郎が6枚、空が4枚のカードをドローする。




   「うわ〜・・・この状況で大量にドロー・・・苦しくない?」


   「そうだね・・・ターンプレイヤーは定池君だし・・・」


   「まあ、そこは帝王様の実力を見ましょうよ〜」


   「・・・帝王様って・・・」




   「俺はライフを800払い【早すぎた埋葬】を発動!墓地から【激昂のミノタウルス】を復活させる!」


   五郎 LP5500→LP4700


   モンスター蘇生の装備魔法。【継承の印】【戦線復活の代償】など何気に多い。


   「更に、【ビースト・ベイビー】を特殊召喚するぜ!」


   ビースト・ベイビー
   ★★  地属性
   獣族/効果 ATK500 DEF500
    このカードは自分フィールド上に獣戦士族がいる場合、特殊召喚することができる。
   このカードを特殊召喚したターンに生け贄召喚した場合、相手プレイヤーはカードを2枚ドローする。



   「【ビースト・ベイビー】【激昂のミノタウルス】を生け贄に捧げ、【百獣王騎士 ガルム】を召喚!」


   百獣王騎士 ガルム
   ★★★★★★★★ 地属性
   獣戦士族/効果 ATK2600 DEF1000
    このカードは生け贄1体で召喚することができる。そうした場合、このカードの元々の攻撃力は1700になる。
   このカードの生け贄召喚に成功した時、自分の墓地からレベル4以下の獣戦士族モンスターを1体守備表示で特殊召喚する。
   但し、このカードを2体の生け贄を捧げて特殊召喚した場合、攻撃表示で特殊召喚しても良い。



   「墓地から再び【激昂のミノタウルス】を攻撃表示で特殊召喚!」


   「くっ・・・」


   「【百獣王騎士 ガルム】でそのトークンを攻撃!」
   「勿論、【激昂のミノタウルス】の効果で貫通効果持ちだぜ!」


   空 LP4600→LP2000


   綿毛トークンは守備力が0なので、ダイレクトアタック同然となる。


   「更に【激昂のミノタウルス】で綿毛トークンを攻撃!」


   「伏せカード発動・・・【ダメージ緩和装置】!」


   ダメージ緩和装置
   通常罠
    このターン、自分が2000ポイント以上の戦闘ダメージを受けている場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動可能。
   その戦闘で受けるダメージを0にし、墓地からカードを1枚選択し、デッキの一番上に加えることが出来る。



   「ちっ・・・!」


   「墓地から【氷帝メビウス】をデッキの一番上に加える。」


   「カードを3枚伏せてターンエンドだ!」


   空 LP2000
   モ なし
   魔 伏せカード
   手 8枚


   五郎 LP4700
   モ 百獣王騎士 ガルム
     激昂のミノタウルス
   魔 伏せカード×3
   手 0枚





   「これは・・・大ピンチだね。」


   「でも、次のターンに【デビルズ・サンクチュアリ】が手札に加わるわよ?」


   「それは、そうだけどね・・・。」


   「いや、大丈夫だよ!」


   「・・・何でそう思うの?鈴ちゃん・・・?」




   「だって、イケメンだし!」



   「・・・いや・・・それは違・・・」



   「うん!そうね!」



   「・・・いや・・・だから・・・」


   「・・・・・・(ダメだ・・・僕には理解できない・・・)」




   「俺のターン、ドロー。【封印の黄金櫃】で除外されていた【デビルズ・サンクチュアリ】を手札に加える。」


   これで、ドローカードとあわせて空の手札は10枚・・・。
   まず、OCGでは不可能だと思われる。【大暴落】されたらどうするんだ・・・。


   「【デビルズ・サンクチュアリ】発動。メタルデビルトークンを特殊召喚し、生け贄に捧げる。」
   「【氷帝メビウス】を召喚!効果により・・・両側の伏せカードを破壊だ!」


   「ちっ・・・(ブラフだけ残りやがった)」
   「だが、そいつじゃ【激昂のミノタウルス】しか倒せないぜ?」


   「・・・いや・・・このターンで終わりだ。」
   「伏せカード発動!【血の代償】!」


   「何だと!?」


   「更に墓地の【手札断殺】を除外し、手札から【マジック・ストライカー】を特殊召喚!」
   「【マジック・ストライカー】を生け贄に捧げ・・・出でよ!【雷帝ザボルグ】!」


   空 LP2000→LP1500


   「なっ!?新たな帝モンスター・・・」


   「こいつの生け贄召喚に成功した時、フィールド上のモンスターを1体破壊する・・・勿論、【百獣王騎士 ガルム】だ!」


   強力な雷撃を浴び、百獣王騎士は消滅した。


   「だ、だがまだ攻撃力は足りない!」


   「俺の手札はまだ有り余ってるぜ・・・ライフを500払い、【マシュマロン】を召喚!」


   空 LP1500→LP1000


   戦闘無敵モンスターの代表かもしれないカード。
   無敵効果に加え、セットされたこのカードを攻撃すると噛み付かれて、1000ダメージを食らう。


   「更に500払い、【地帝グランマーグ】召喚!」


   空 LP1000→LP500


   「このモンスターの効果はセットされたカードの破壊だ。」
   「その伏せカードを破壊。」


   「へっ・・・ブラフだよ・・・」




   「すっごいね・・・帝が一気に3体も出てきちゃったよ・・・。」


   「まあ、定池君がドローさせすぎたんだけどね・・・。」




   「バトルフェイズ・・・!【氷帝メビウス】で【激昂のミノタウルス】を攻撃!撃破!」


   五郎 LP4700→LP4000


   「【地帝グランマーグ】で攻撃!」


   「ぐわぁっ!」


   五郎 LP4000→LP1600


   「トドメだ・・・【雷帝ザボルグ】の攻撃!」


   「ぐはぁ!」


   五郎 LP1600→LP0




   「お〜・・・やっと終わったか。」


   「あれ?三沢先生、居たの?」


   ・・・アニメでお馴染みのセリフを言う鈴。


   「居たんだよ!悪かったな、影薄くて!」


   「そんな事、一言も言って無いよぉ〜」


   「まあ、とにかくだ・・・天月の席は・・・深海の隣しか空いて無いな。あそこが席だ。」


   「・・・はい。」




   「私、深海鈴!よろしくね〜!」


   「あ・・・ああ。」


   「私、城崎彩!よろしくね〜!」


   「・・・ああ。」


   「・・・・・・」


   無言で苦笑いする聖也。


   「・・・・・・(いきなりそれじゃ、驚くから・・)」





そして、物語が始まる・・・。



   蒼い髪の帝使い・・・天月空

              
              
   紅い瞳の帝使い・・・桐生始音



   「闇に魅せられし帝」を操る者が・・・



   帝と共に光を求める・・・






【第4話:帝の秘密】



   ――城崎コーポレーション――


   柱時計が鐘の音を4回鳴った。午後4時である。
   1人のスーツ姿の男が部屋に入ってきた・・・。


   「会長・・・」


   「ん? どうした?」


   口に煙管を咥えながら、聞く老人。
   この城崎コーポレーションの会長、城崎玄である。


   「お嬢様が訪ねて来ましたのですが・・・」


   「・・・?彩が?」


   「はい。」


   「うむ。通して良いぞ。」


   2〜3分経って部屋に彩が入ってきた。


   「こんにちは、おじいちゃん。」


   「うむ。何か用か?」


   「うん。」


   「まあ、座れ。長話なんだろう?」


   「・・・短くは無い、と思う。」


   そう言いつつ、玄の向かい側のソファーに腰掛ける彩。


   「で?話と言うのは?」


   「うん。今日ね、うちのクラスに転校生が来たの。」


   「転校生?」


   「うん。天月空君って言うの。」


   「うむ、それがどうかしたのか?」


   「で、定池っていう奴が、空君とデュエルすることになったの。」


   「何でまた・・・?」


   「いや・・・しょうもない理由だから省くけどさ・・・」
   「・・・で、ここからが本題なんだけど・・・」


   と言いかけたところで扉をノックする音が聞こえる。


   「失礼します・・・」


   「どうした?」


   「コーヒーをお持ちしました。」


   「そうか・・・」


   「え・・・私、苦いのはダメなんだけど・・・」


   「ああ・・・そうだったな。」


   「申し訳ありません、お嬢様・・・」


   「ううん。別に良いよ。」


   「では、紅茶でよろしいですか?」


   「いい。話が終わったら帰るから。」


   「そうですか・・・」
   「では、失礼しました・・・」


   扉を静かに開け、出て行った。


   「・・・で、本題だったな?」


   「うん。」
   「その空君の使ったモンスターが・・・」



   「例の【帝】モンスターだったのよ。」



   「・・・【帝】だと・・・?」


   「そう。私もビックリしたんだけどね・・・」


   「どれくらい使っていたのだ?」


   「えっと、確認したのは3体。」
   「【雷帝ザボルグ】【氷帝メビウス】【地帝グランマーグ】の3体。」


   「半分以上持っているのか。」
   「と言うことは、全ての帝を持っている可能性は高いな・・・」


   「そうだね。」


   「明日、その子を連れてきてくれんか?」


   「分かった、できたら連れてくる・・・」


   「頼んだぞ、彩。」


   「うん。」
   「じゃ、私はそろそろ帰るね。」


   「ああ、気をつけるんだぞ。」


   「分かってる。バイバイ、おじいちゃん。」


   そういって、彩は部屋から出て行った。



   「ふぅ・・・帝使いか・・・」



   「14年前に我が社から盗まれた2対の帝のうちの片方・・・」
   「【雷帝ザボルグ】【氷帝メビウス】【地帝グランマーグ】だけを確認・・・」


   「そして残る3体・・・【炎帝テスタロス】【風帝ライザー】【邪帝ガイウス】も所持している可能性が高い・・・」
   「・・・早めに対処するにこしたことは無いな・・・」



   「何故なら、世界に1枚だけしか存在しないのだから・・・」
   「あの2対の帝王たちは・・・」



   ――翌日


   火曜日の5時間目の授業は、デュエルモンスターズの実技授業となっている。
   クラスの生徒が二人一組になって、デュエルをするという実にシンプルな内容となっている。


   本来、偶数人数だった2年D組だが、天月空の転入により、
   奇数となってしまったため、誰か1人ができなくなるわけなのだが・・・



   「今日は定池が休みなので、偶数人数となっている!」
   「各自、いつも通りに進めるように!以上!始め!」



   体育館より少し狭いデュエルホールという教室でこの実技授業は行われる。
   このホールは、2年前に校長が変わり、デュエルモンスターズ授業が導入されてから出来たものである。



   「ねぇ、聖人・・・私、相手がいないんだけど。」


   「そう・・・不運だね。」


   「・・・・・・」


   「いや・・・分かったよ。組めば良いんでしょ・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・組むってば・・・」


   「・・・じゃあ、私が先攻ね。」


   「うん。まあ、いつも通りの展開だし・・・良いよ。」


   「うんうん!やっぱり、私の相手は聖人じゃなきゃね!」


   「どういう意味・・・?」


   「じゃ、行くよ〜」


   「無視・・・」


   『デュエル!!』


   鈴 LP8000
   聖人 LP8000


   「・・・良い手札だな〜 さすが、私ね。」


   「・・・相変わらず・・・運だけは最高レベルなんだから・・・」


   「何か言った?」


   「いや、別に。」


   「そう・・・なら良いけどね。」
   「私の先攻、ドロー!」
   「私は・・・カードを2枚伏せてターンエンド!」


   鈴 LP8000
   モ なし
   魔 伏せカード×2
   手 4枚

   聖人 LP8000
   モ なし
   魔 なし
   手 5枚



   「それじゃ、僕のターンだね。ドロー!」
   「【魔導戦士 ブレイカー】を召喚!同時に誘発効果発動!」


   魔導戦士 ブレイカーATK1600→ATK1900


   「いきなり、それ?もっとこう、女の子に優しく接しようとか思わないわけ?」


   「【魔導戦士 ブレイカー】の魔力カウンターを取り除き・・・僕から見て左側のカードを破壊!」


   魔導戦士 ブレイカーATK1900→ATK1600


   「無視・・・もう、怒ったよ!」


   「・・・いや、早いから・・・」


   「チェーン発動!【イービル・コール】」


   イービル・コール
   通常罠
    自分のデッキからレベル4以下の「E-HERO」と名のついたモンスターを1体、手札に加える。


   「デッキから【E-HERO ダーク・フラッシュ】を手札に加えるね。」


   その後、逆順処理により【イービル・コール】が破壊された。


   「じゃあ、バトルフェイズ!【魔導戦士 ブレイカー】でダイレクトアタック!」


   「もっとこう、女の子に優しく接しようとか思わないわけ?」


   鈴 LP8000→6400


   「いった〜・・・もう!誰も優しくしてくれないんだから・・・」


   「カードを1枚伏せて、ターン終了だよ。」


   鈴 LP6400
   モ なし
   魔 伏せカード×1
   手 5枚

   聖人 LP8000
   モ 魔導戦士 ブレイカー
   魔 伏せカード×1
   手 4枚






【第5話:悪魔の戦士たち】



   「私のターン、ドロー!」
   「手札から【E-HERO シャドウ・バブル】を攻撃表示特殊召喚!」


   E-HERO シャドウ・バブル
   ★★★ 水属性
   悪魔族/効果 ATK800 DEF1200
    このカードのカード名は「E・HERO バブルマン」としても扱う。
   このカードは自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、手札から特殊召喚することができる。
   このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札が0枚の場合、デッキからカードを1枚ドローする。



   「更に【E-HERO ダーク・フラッシュ】を召喚!」


   E-HERO ダーク・フラッシュ
   ★★★★ 闇属性
   悪魔族/効果 ATK1600 DEF1400
    このカードのカード名は「E・HERO スパークマン」としても扱う。
   自分フィールド上にこのカード以外の「E-HERO」と名のついたモンスターが存在する場合、
   このカードは戦闘によって破壊されない(ダメージ計算は適用する)。



   イメージとしては、E・HEROが悪に染まったような感じです。


   「バトルフェイズ!【E-HERO ダーク・フラッシュ】で【魔導戦士 ブレイカー】を攻撃!」


   「同じ攻撃力だけどそっちは戦闘では破壊されないか・・・」
   「なら、伏せカード発動!【マジシャンズ・トリック】!」


   マジシャンズ・トリック
   通常罠
    自分フィールド場の魔法使い族モンスターが攻撃対象に選択された時に発動可能。
   そのモンスターを手札に戻し、手札から戻したモンスターのレベル未満のモンスターを特殊召喚する。



   「【魔導戦士 ブレイカー】を戻して、【見習い魔術師】を守備表示で特殊召喚!」


   「むぅ・・・【E-HERO ダーク・フラッシュ】で【見習い魔術師】に攻撃!」


   なすすべもなく【見習い魔術師】が破壊される。


   「【見習い魔術師】の効果で同名モンスターをセット。」


   「えっと・・・守備力800だよね。確か・・・」
   「あ、でもそのままだと・・・う〜ん。」


   「何してるの・・・?」


   「【E-HERO シャドウ・バブル】で攻撃!」


   攻守は同じ値なので、どちらも無傷で終わる。


   「じゃあ、カードを1枚伏せてエンド。」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO シャドウ・バブル
     E-HERO ダーク・フラッシュ
   魔 伏せカード×2
   手 3枚

   聖人 LP8000
   モ 見習い魔術師
   魔 なし
   手 4枚



   「僕のターン、ドロー!」
   「魔法カード【大嵐】を発動するよ。」


   「え〜?酷いよ〜」
   「もっとこう、女の子に優しく接しようとか思わないわけ?」


   「何回言ったら気が済むの・・・?」


   「・・・・・・」


   「(拗ねたし・・・)【見習い魔術師】を生け贄に、【サイバネティック・マジシャン】を召喚!」


   「・・・・・・」


   「【サイバネティック・マジシャン】で【E-HERO シャドウ・バブル】に攻撃!」


   鈴 LP6400→6400


   「あれ?何か発動したの?」


   「・・・【大嵐】で破壊された【グレイブ・ガード】の効果発動・・・」


   グレイブ・ガード
   通常魔法
    相手のカードの効果でこのカードが破壊され墓地へ送られたとき、
   このカードを除外することで、このターン受けるダメージを全て0にする。



   「成る程・・・対ブレイカー用に伏せてたんだね。僕はこれでターンエンドだよ。」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO ダーク・フラッシュ
   魔 なし
   手 3枚

   聖人 LP8000
   モ サイバネティック・マジシャン
   魔 なし
   手 4枚



   「私のターン・・・ドロー!」
   「カードを1枚伏せて、永続魔法【未来融合―フューチャー・フュージョン】を発動!」


   「・・・(ブレイカー居るんだけどな・・・)」


   「デッキから【E-HERO ダーク・ウィング】と【E-HERO ヘル・ブレイズ】を墓地へ送り・・・」
   「2ターン後に【E-HERO インフェルノ・ウィング】を特殊召喚するよ・・・」


   E-HERO ダーク・ウィング
   ★★★ 風属性
   悪魔族/効果 ATK1000 DEF1000
    このカードのカード名は「E・HERO フェザーマン」としても扱う。
   このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、フィールド上のカード1枚を選択し、持ち主の手札に戻す。


   E-HERO ヘル・ブレイズ
   ★★★ 炎属性
   悪魔族/効果 ATK1200 DEF800
    このカードのカード名は「E・HERO バーストレディ」としても扱う。
   このカードを生け贄に捧げることで、フィールド上に存在するカード1枚につき200ポイントのダメージをお互いは受ける。



   「何か、厄介そうなのが出てきそうだね。」


   「更に手札から【ダーク・フュージョン】を発動!」
   「手札の【E-HERO デビル・クレイ】と場の【E-HERO ダーク・フラッシュ】を融合。」
   「出でよ!【E-HERO ライトニング・ゴーレム】!」


   E-HERO デビル・クレイ
   ★★★★ 地属性
   悪魔族/効果 ATK800 DEF2000
    このカードのカード名は「E・HERO クレイマン」としても扱う。
   このカードの反転召喚に成功した時、自分フィールド上に「クレイトークン」(悪魔族・地・星4・攻800/守2000)を
   1体、守備表示で特殊召喚する。このトークンは特殊召喚したターン、生け贄に捧げることはできない。



   「【E-HERO ライトニング・ゴーレム】の効果により、【サイバネティック・マジシャン】を破壊!」


   【E-HERO ライトニング・ゴーレム】の手から放たれた黒い雷に撃たれ【サイバネティック・マジシャン】は破壊される。


   「【E-HERO ライトニング・ゴーレム】でダイレクトアタック!」


   「うわぁっ!」


   聖人 LP8000→5600


   「お返しよ!エンド!」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO ライトニング・ゴーレム
   魔 伏せカード×1
     未来融合―フューチャー・フュージョン
   手 0枚


   聖人 LP5600
   モ なし
   魔 なし
   手 4枚



   「僕のターン、ドロー。【魔導戦士 ブレイカー】を召喚。」


   魔導戦士 ブレイカーATK1600→ATK1900


   「効果発動!【未来融合―フューチャー・フュージョン】を破壊するよ!」


   「やったね!掛かってくれた!」


   「う゛、やっぱり・・・?」


   「伏せカード【アヌビスの怒り】を発動!」


   アヌビスの怒り
   通常罠
    モンスターの効果で自分フィールド上の魔法・罠が破壊される場合、
   その効果を無効にし、相手フィールド上のモンスターを1体破壊する。



   「【魔導戦士 ブレイカー】の効果を無効にして、破壊するよ。」


   「仕方ない・・・カードを1枚セットしてターンエンド。」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO ライトニング・ゴーレム
   魔 未来融合―フューチャー・フュージョン
   手 0枚


   聖人 LP5600
   モ なし
   魔 伏せカード×1
   手 3枚



   「私のターン、ドロー!」
   「うん、やっぱり私って凄い!」


   「・・・?」


   「【E-HERO ヘル・ゲイナー】を召喚!」


   「・・・何という運・・・」


   「運も実力の内、ってね♪【E-HERO ヘル・ゲイナー】の効果発動!」


   【E-HERO ヘル・ゲイナー】が場から消え去る。



   「このターン、【E-HERO ライトニング・ゴーレム】は2回攻撃が出来るよ!」
   「と言うことで、【E-HERO ライトニング・ゴーレム】でダイレクトアタック!」



   「伏せカード【ザ・サイレンス】を発動。」


   ザ・サイレンス
   速攻魔法
    相手モンスターの攻撃宣言時に発動可能。
   その戦闘によって発生するプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする。
   その後、自分はカードを1枚ドローする。



   「むぅ・・・じゃあ、もう1回攻撃!」


   「うわあっ!」


   聖人 LP5600→LP3200


   「これでターンエンドよ♪」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO ライトニング・ゴーレム
   魔 未来融合―フューチャー・フュージョン
   手 0枚


   聖人 LP3200
   モ なし
   魔 なし
   手 4枚



   「僕のターン、ドロー!」
   「【蜃気楼の導き】を発動。」


   蜃気楼の導き
   通常魔法
    自分の手札を1枚除外する。デッキからカードを2枚ドローする。



   「カードを1枚伏せてモンスターをセット。ターン終了。」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO ライトニング・ゴーレム
   魔 未来融合―フューチャー・フュージョン
   手 0枚


   聖人 LP3200
   モ 伏せモンスター×1
   魔 伏せカード×1
   手 3枚



   「私のターン、ドロー!【未来融合―フューチャー・フュージョン】の効果発動!」
   「【E-HERO インフェルノ・ウィング】を特殊召喚!」


   鈴のフィールドに2体目の融合E-HEROが現れる。


   「このターンで終わりじゃないの?」


   「まだ、粘らせてもらうよ。」


   「むぅ・・・【E-HERO ライトニング・ゴーレム】の効果で伏せモンスターを破壊するよ!」


   破壊されたカードは【執念深き老魔術師】だった。


   「【E-HERO インフェルノ・ウィング】でダイレクトアタック!」


   「粘らせてもらうって言っただろ!」
   「伏せカード【闇次元の解放】を発動!」


   「な!?」





   「何だっけ・・・?」





   「・・・除外されている闇属性モンスターを特殊召喚する罠だよ。」


   「除外・・・?ああ・・・蜃気楼の何とかね。」


   「【蜃気楼の導き】だよ。メジャーなカードなんだから名前ぐらい覚えようよ・・・」
   「まあ、とにかく除外されている【混沌の黒魔術師】を特殊召喚!」


   「ふぅ〜ん。そんなモンスターを除外してたのね・・・」


   「え〜っと・・・攻撃続行するの?」


   「攻撃力・・・2800!?いやいや・・・やめるやめる!中断中断!」


   「大丈夫?ボーっとしてたけど・・・」
   「っと【混沌の黒魔術師】の効果で【蜃気楼の導き】を手札に加えるよ。」


   「はぁ〜・・・ビックリした・・・」
   「それはそうと、そんな罠持ってなかったじゃん!」


   「昨日、当てた奴だからね。」


   「良いな〜交換して〜良いことしてあげるよ〜?」


   「・・・・・・」
   「・・・してほしくないから、やめとく・・・」


   「え〜?・・・勿体無いな〜・・・」


   「じゃあ、エンドだね?」


   「また無視・・・【E-HERO ライトニング・ゴーレム】は守備表示にしてターン終了。」


   鈴 LP6400
   モ E-HERO ライトニング・ゴーレム
     E-HERO インフェルノ・ウィング
   魔 未来融合―フューチャー・フュージョン
   手 1枚


   聖人 LP3200
   モ 混沌の黒魔術師
   魔 闇次元の解放
   手 3枚



   「僕のターン、ドロー!」
   「【混沌の黒魔術師】で回収した【蜃気楼の導き】を発動するよ。」


   「【サイクロン】とか来ないかな〜」


   「・・・【霊滅術師カイクウ】を召喚!」


   「そんな除外モンスター出して・・・まだ苛める気?」


   「苛めてるわけじゃ・・・」
   「とにかく・・・【霊滅術師カイクウ】で【E-HERO ライトニング・ゴーレム】に攻撃!」


   「あ〜・・・ちょっとピンチ・・・」


   「【混沌の黒魔術師】で【E-HERO インフェルノ・ウィング】に攻撃!」


   鈴 LP6400→LP5700


   「あれが来ればまだ良いのに〜!」


   「何?【サイクロン】とか?」


   「やっぱり苛める・・・ヒドい・・・」


   「苛めて無いって!」
   「まあ良いや。カードを1枚伏せてターンエンド。」


   鈴 LP5700
   モ なし
   魔 なし
   手 1枚


   聖人 LP3200
   モ 混沌の黒魔術師
     霊滅術師カイクウ
   魔 闇次元の解放
     伏せカード×1
   手 2枚






【第6話:悪魔の鬼引き】



   「もう・・・怒った・・・」
   「私の・・・ターン・・・ドロー・・・」


   「・・・(何かヤバい・・・)」


   「・・・【E-HERO ヘル・ゲイナー】が・・・特殊召喚されるよ・・・」


   「・・・(かなりヤバい・・・)」


   「・・・【ダーク・コーリング】を・・・発動・・・!」
   「墓地の・・・【E-HERO インフェルノ・ウィング】と・・・手札の・・・【E-HERO マリシャス・エッジ】を融合・・・」


   「・・・な・・・何という鬼引き・・・」
   「(これは・・・悪魔の鬼引きかな・・・)」


   「【E-HERO マリシャス・デビル】を・・・召喚・・・」


   「3500か・・・ちょっと高すぎでしょ・・・【マジシャンズ・クロス】しても倒せないよ・・・」


   「【E-HERO ヘル・ゲイナー】の効果を発動・・・」
   「・・・このターン・・・【E-HERO マリシャス・デビル】は・・・2回攻撃・・・できる・・・」


   「え〜っと・・・鈴ちゃん、ゴメンね・・・」


   「【E-HERO マリシャス・デビル】で・・・【混沌の黒魔術師】に攻撃・・・」


   強大な魔力を有する【混沌の黒魔術師】がいとも簡単に倒される。


   聖人 LP3200→2500


   「・・・続いて・・・【霊滅術師カイクウ】にも・・・攻撃・・・」


   勝てるはずも無く、なすすべも無く破壊されてしまう。


   聖人 LP2500→LP800


   「・・・エンド・・・」


   鈴 LP5700
   モ E-HERO マリシャス・デビル
   魔 なし
   手 0枚


   聖人 LP800
   モ なし
   魔 伏せカード×1
   手 2枚



   「・・・(心なしかE-HEROたちが鈴ちゃんを怖がってるような・・・)」
   「僕のターン、ドロー!」
   「モンスターをセットしてターンエンド。」


   鈴 LP5700
   モ E-HERO マリシャス・デビル
   魔 なし
   手 0枚

   聖人 LP800
   モ 伏せモンスター×1
   魔 伏せカード×1
   手 2枚



   「私のターン・・・ドロー・・・【抹殺の使徒】発動・・・」


   「・・・(鬼だな・・・怒らせないようにしよう・・・)」


   「【E-HERO マリシャス・デビル】で攻撃・・・」


   「伏せカード【マジシャンズ・シールド】発動。バトルフェイズを終了するよ。」


   マジシャンズ・シールド
   通常罠
    自分の除外されている魔法使い族モンスターを墓地に戻すことで、このターンのバトルフェイズを終了する。



   「・・・エンド・・・」


   鈴 LP5700
   モ E-HERO マリシャス・デビル
   魔 なし
   手 0枚


   聖人 LP800
   モ なし
   魔 なし
   手 2枚



   「僕のターン、ぐっ・・・エンド。」


   鈴 LP5700
   モ E-HERO マリシャス・デビル
   魔 なし
   手 0枚


   聖人 LP800
   モ なし
   魔 なし
   手 3枚



   「私のターン・・・【E-HERO ヘル・ゲイナー】が戻ってくるよ・・・」
   「【E-HERO マリシャス・デビル】の攻撃・・・」


   強大な闇の力が聖人に直撃する。


   「うわあっ!」


   聖人 LP800→LP0


   「ふぅ・・・強い・・・」


   「・・・・・・」


   「えっと・・・鈴ちゃん、まだ怒ってるの・・・?」


   「今日・・・パック3つ奢ってくれたら許してあげる・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・はい・・・」


   そして、聖人は5パック奢る羽目になる・・・
   理由:「否定的な沈黙をしたから」だそうです。



【第7話:7枚目の帝】



   ―翌日・放課後―


    空と共に帰途に着く彩。
   昨日は都合があり無理との事だったが、今日は大丈夫みたいなので、
   自分の祖父のことを話し、一緒に祖父のもとへ行く途中である。


   「・・・・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・・・・(気まずい・・・)」


   先程からあまり喋っていなく、沈黙が流れ続ける。
   話題を探しているのだが、とりあえず思い当たったのをぶつけてみた。


   「ねぇ・・・空君のお母さんとお父さんってどんな人・・・?」


   「・・・・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・母さんは、俺が10歳ぐらいの頃に病死したよ。」


   「・・・え?」


   「・・・・・・」


   「・・・ゴ、ゴメンね・・・辛いことを・・・」


   「・・・別に・・・」
   「それと・・・もう1人の親は知らん・・・」


   「・・・知らない・・・って?」


   「病気の母さんを置いて、海外へ行ったまま音沙汰なしさ。」
   「母さんが病死して7年・・・帰ってきたことなんかない。」


   「・・・じゃあ、1人で暮らしてるんだ・・・」


   「・・・ああ。」


   「えっと・・・」


   「・・・・・・」



   その後は会話が弾まず、城崎コーポレーションに着く。



   「ここが会長室。おじいちゃんは城崎コーポレーションの会長だから。」


   「へぇ・・・会長ね。」


   「おじいちゃん、いるよね?」


   彩が秘書・・・のような人物に話しかける。


   「ええ。いることにはいるのですが・・・」


   「どうかしたの?」


   「只今、城崎社長とお話している最中でして・・・そろそろ終わる頃なのですが。」


   「じゃあ・・・待とうか。ゴメンね、空君。」


   「いや・・・良い。」


   「あ、じゃあこの会社の中にカードショップがあるからそこ行く?」


   「・・・そうだな。」


   階段を降りて、1階のカードショップに2人で入る。


   「・・・結構、広いな。」


   「そうでしょ?でも、そんなに人が来るわけでもないの。会社内だからね。」


   「それもそうだな。」


   その後30分の間、2人はいくつかパックを買い、会長室に戻った。


   「お嬢様、話は終わりましたよ。」


   「うん。じゃあ、行こうか。空君。」


   「・・・・・・」




   「こんにちは、おじいちゃん。」


   「うむ。今日は来てくれたかの?」


   「うん。」


   「・・・君が、天月空君・・・だね?」


   「・・・ええ。始めまして。」


   「では、いきなりだが本題に入らせてもらうとしよう。」
   「少々、予定が入ってしまったのでな。」


   「はい。」


   そして、ソファーに座る。彩は祖父の隣に座った。


   「・・・君は「帝」のカードを使っているようだね?」


   「・・・はい。」


   「すまないが、そのカードを何処で入手したか教えてくれんかね?」


   「これを・・・どこで・・・?」


   「ああ。」


   「・・・分かりません。」


   「・・・?どういうことだね?」


   「これは・・・2年前に家に届いていたんです。」
   「・・・そう・・・この7枚が。」


   そう言いながら、バッグから6枚の帝と1枚の融合モンスターを取り出し、机の上に置いた。


   「・・・コピーカードでは無いな・・・正真正銘の本物だ。」


   「・・・・・・」


   「誰から届いたのか分かるかね?」


   「いや・・・送り主が不明だった・・・」
   「・・・けど何故か・・・その時にこのカードたちを知っている気がした・・・」


   「知っている気がした・・・か。」


   「ええ。それから、デュエルモンスターズを始めたんです・・・」


   「そうか・・・」


   「・・・・・・」


   「・・・おじいちゃん?」


   「空君。良く聞いてくれ。」
   「そのカードたちは14年前にわが社から何者かによって盗まれたのだ。」


   「・・・・・・」
   「はい・・・知ってます。」


   「何だと・・・?この事は、私とこの会社の社長・・・そして、カードを製作した者しか知らないはずだ・・・」
   「どうしてそれを、君が知ってるのかね?」


   「手紙・・・カードと一緒に同封されていた手紙に書いてあった。」


   「何と・・・犯人は内部の人間だったのか・・・?」


   「・・・・・・」


   「まあ、とにかくだ。そのカードたちを返してはくれないか?」


   「・・・・・・」


   「元々、我が社のカード。もう1対の帝を探す手掛かりにもなる。」
   「・・・だがそれは、君の所有物でもある。だから、強制はしないつもりだ。」


   「・・・俺は・・・このカードたちを返すわけには行かない・・・」
   「・・・・・・」


   「・・・何故だね?」


   「・・・・・・」
   「それは言えない。」


   「・・・ならば、力づくで奪うことになるが・・・良いのかね?」


   「・・・俺は・・・俺の目的には帝が必要だ・・・」
   「・・・用事があるので失礼します。」


   空はそう言って、帝をデッキにしまい、そのまま出て行った。
   そして、部屋の中には、玄と彩の2人きりになる。


   「・・・おじいちゃん、良いの?」


   「・・・うむ。今の・・・今のあの子の目からは強い意志が感じられた。」
   「もしかしたら、もう1対の帝も近いうちに姿を現すやも知れぬ。」


   「・・・もう1対・・・?」


   「本来、帝は6体づつ2対、作られていた。」


   「今の子の持っている帝が光の帝。」
   「【雷帝ザボルグ】【地帝グランマーグ】【炎帝テスタロス】【氷帝メビウス】【風帝ライザー】【邪帝ガイウス】の6体だ。」


   「でも、空君は7体目も持ってたね。融合モンスターを。」


   「うむ。あれが何なのかは分からん。【神帝クロスネス】という名前だったが・・・」
   「テキストが英語で書かれていたから、全てを読むことは出来なかった。」


   「英語・・・かぁ・・・もしかしたら、帝は空君のお父さんが・・・?」


   そして部屋の柱時計が5時の鐘を鳴らした・・・





【第8話:始まり】


   空は港の倉庫に来ていた。
   何故ならば、手紙で呼ばれたから。


   しかし、ラブレターという手紙ではない。勿論、不幸の手紙でもない。


   とある組織からの手紙であった。
   その組織の名はクロスネス・・・見覚えのあるその文字。
   自分はクロスネスという単語を知っている。自分の持つ「神」と同じ名前だから。


   「・・・4番倉庫・・・ここか。」


   「4」と書かれた倉庫。日が暮れてきているが、気にも留めずに中に入る。
   中は薄暗く、やや狭い。どうやら、あまり使われていないようだった。


   「来ましたか。天月空君・・・」


   不意に声を掛けられる。
   声のした方向を見ると、人影があった。


   「お前か?手紙を出した奴は。」


   「・・・まあ、ある意味では。」


   良く意味の分からない返答を返してくる。声からして男だろう。


   「・・・手紙に書いてあった通り持ってきてくれましたか?「神」と「帝」を。」


   「・・・何が目的かは知らないけどな。一応、持ってきてやったぞ。」


   「そうですか。では、これをどうぞ。」


   そういって投げ渡されたのは決闘盤・・・・・・デュエルディスク。
   つまり、デュエルをしろ・・・と言うことらしい。


   「僕は、塞機(サイキ)。勿論、本名ではありませんよ。コードネームのようなものです。」


   「・・・始めるぞ。」


   『デュエル!!』


   空 LP8000
   塞機 LP8000


   「俺が先攻を取らせてもらう。ドロー!」


   少し薄暗いが手元のカードくらいは楽に分かる。


   「モンスターとカードを1体ずつ伏せてエンドだ。」


   空 LP8000
   モ 伏せ×1
   魔 伏せ×1
   手 4枚

   塞機 LP8000
   モ 伏せ×1
   魔 伏せ×1
   手 5枚



   「では、僕のターンですね、ドロー。」


   塞機は特に迷わずに1枚のカードを手に取り、場に出す。


   「自身の効果で【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚です。」


   フィールド上に機械竜が現れる。非常に強力な効果を持ったモンスターである。


   「・・・【サイバー・ドラゴン】か・・・厄介だな。」


   「更に【サイバー・フェニックス】を召喚し、バトルフェイズに入ります!」


   機械竜の隣に機械の不死鳥が現れ、すぐさま戦闘態勢に入る。


   「【サイバー・ドラゴン】で伏せモンスターを攻撃! エヴォリューション・バースト!」


   守備モンスター:クリッター


   「俺は【クリッター】の効果で【マシュマロン】を手札に加える。」


   「では、続けて【サイバー・フェニックス】で攻撃! サイバー・ブレイズ!」


   空 LP8000→6800


   「くっ・・・」


   「・・・カードを1枚伏せ、ターン終了です。」
   「どうしました?この程度の力じゃないでしょう?君は。」


   空 LP6800
   モ なし
   魔 伏せカード×1
   手 5枚

   塞機 LP8000
   モ サイバー・ドラゴン
     サイバー・フェニックス
   魔 伏せカード×1
   手 3枚



   「俺のターン、ドロー。モンスターを1体セット。ターン終了だ。」


   空 LP6800
   モ 伏せモンスター×1
   魔 伏せカード×1
   手 5枚

   塞機 LP8000
   モ サイバー・ドラゴン
     サイバー・フェニックス
   魔 伏せカード×1
   手 3枚



   「僕のターン、ドロー。 ・・・その伏せモンスターは【マシュマロン】でしょう?」


   「・・・さあ。」


   「まあ、この手札ではあまり関係ありませんがね。」
   「【ドリルロイド】を召喚!」


   守備モンスターを問答無用で破壊する上に攻撃力もそこそこ高い優秀な(多分)機械族モンスターである。


   「【ドリルロイド】で裏守備モンスターを攻撃! クラッシュ・ドリル!」


   守備モンスター:マシュマロン


   ドリルロイドのドリル(効果)によってマシュマロンはそのまま墓地へ送られる。


   「【サイバー・ドラゴン】と【サイバー・フェニックス】でダイレクトアタック!」


   空LP6800→4700→3500


   「このまま勝負が付くのは面白くないんですが、まあとにかくターンエンドです。」


   空 LP3500
   モ なし
   魔 伏せカード×1
   手 5枚

   塞機 LP8000
   モ サイバー・ドラゴン
   魔 伏せカード×1
   手 3枚



   「俺のターン、ドロー。・・・手札を1枚捨て【ライトニング・ボルテックス】を発動!」


   突如、落ちた落雷により塞機の場のモンスターは一瞬にして消え去った。


   「くっ・・・」


   「【ダンディライオン】を召喚し、更に伏せてあった【恩恵の犠牲】を発動。」
   「【ダンディライオン】を生け贄にカードを2枚ドローする。」


   【ダンディライオン】が消えたと同時に2つの綿毛が残された。


   「・・・カードを2枚伏せてターンエンド。」


   空 LP3500
   モ 綿毛トークン
     綿毛トークン
   魔 伏せカード×2
   手 3枚

   塞機 LP8000
   モ なし
   魔 伏せカード×1
   手 3枚



   「僕のターン・・・ドロー。」
   「やはり、流石と言うべきですね、君の実力は。」


   「・・・・・・。」


   「そう・・・彼女と同じような帝を操る『天才』だ。」


   「彼女・・・?」


   「おっと・・・まあ、近いうちに知ることになるでしょう。」
   「但し、ここで負けたら知ることは不可能ですが。」


   「・・・・・・。」


   「伏せてあった【リビングデッドの呼び声】を発動し、墓地の【サイバー・ドラゴン】を蘇生。」
   「そして、手札から【融合呪印生物―光】を召喚です。」


   「・・・【サイバー・ツイン・ドラゴン】か・・・?」


   「まあ、一応は。【融合呪印生物―光】の効果を発動。この2体を墓地へ送り、【サイバー・ツイン・ドラゴン】を召喚!」


   機械竜と謎の生物が光に包まれたかと思うと、2つの首を持った機械竜【サイバー・ツイン・ドラゴン】が姿を現した。


   「このモンスターは連続攻撃が可能です。最終形態ならば貫通効果を持っているのですが、今は我慢しましょう。」
   「【サイバー・ツイン・ドラゴン】で2体のトークンに攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!」


   2つの首から放たれた光線が綿毛トークンに当たる!・・・と思いきやその攻撃は時空の渦に飲み込まれていった・・・


   「伏せカード【攻撃の無力化】を発動した。バトルフェイズを終了。」


   「流石ですね。カードを2枚伏せてターン終了。」


   空 LP3500
   モ 綿毛トークン
     綿毛トークン
   魔 伏せカード×1
   手 3枚

   塞機 LP8000
   モ サイバー・ツイン・ドラゴン
   魔 リビングデッドの呼び声
     伏せカード×2
   手 1枚



   「俺のターン、ドロー!綿毛トークン1体を生け贄に【邪帝ガイウス】を召喚!」
   「効果により、【サイバー・ツイン・ドラゴン】は除外させてもらう。」


   「ならば、伏せカード発動。【分解作業】!」


   分解作業
   通常罠
    手札を1枚捨てる。自分フィールド上の機械族の融合モンスター1体を選択する。
   そのモンスターを融合デッキに戻し、そのモンスターに書かれている融合素材モンスターの内、どれか1体を墓地から特殊召喚する。



   「【サイバー・ツイン・ドラゴン】を融合デッキに戻し、【サイバー・ドラゴン】を守備表示で特殊召喚!」


   「・・・【邪帝ガイウス】の効果は不発か・・・ならば、【サイバー・ドラゴン】に攻撃! ブラック・スフィアー!」


   守備表示だったため、ライフは減らない。


   「俺はこれで、ターン終了。」


   空 LP3500
   モ 綿毛トークン
     邪帝ガイウス
   魔 伏せカード×1
   手 3枚

   塞機 LP8000
   モ なし
   魔 リビングデッドの呼び声
     伏せカード×1
   手 0枚



   「僕のターン、ドロー!・・・ターンエンドです。」


   空 LP3500
   モ 綿毛トークン
     邪帝ガイウス
   魔 伏せカード×1
   手 3枚

   塞機 LP8000
   モ なし
   魔 リビングデッドの呼び声
     伏せカード×1
   手 1枚



   「ドロー!綿毛トークンを生け贄に【炎帝テスタロス】を召喚!その手札を捨ててもらおうか。」


   「・・・これは【機械複製術】です。魔法カードなのでダメージはありませんね。」


   「だが、これから手痛いダメージを受けてもらう!2体のモンスターで攻撃! ブラック・スフィアー! バーニング・アロー!」


   塞機LP8000→5600→3200


   一瞬にして、空のライフを下回ってしまった。


   「ターンエンド!」


   空 LP3500
   モ 炎帝テスタロス
     邪帝ガイウス
   魔 伏せカード×1
   手 3枚

   塞機 LP3200
   モ なし
   魔 リビングデッドの呼び声
     伏せカード×1
   手 0枚



   「僕のターン、ドロー!・・・伏せカードを発動します。【DNA改造手術】!」


   全てのフィールド上モンスターを指定種族に変更する永続罠カード。
   使い方によっては強力なカードになる。


   「【DNA改造手術】・・・? ・・・っ!まさか・・・お前・・・」


   「機械族を選択し、手札から【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚します。」


   2体目の機械竜がまたしても現れる。通算4回目の登場だ。


   「では、君の予想通りの行動に出させてもらいます。」


   その瞬間、突如として【サイバー・ドラゴン】に2体の機械化した帝たちが吸い込まれていく。


   「【サイバー・ドラゴン】【炎帝テスタロス】【邪帝ガイウス】を融合させ、【キメラテック・フォートレス・ドラゴン】召喚!」


   キメラテック・フォートレス・ドラゴンATK0→3000


   「このモンスターは全フィールド上の機械族を取り込んで召喚されます。また、攻撃力はその素材×1000・・・今は3000です。」


   「・・・まさか・・・ここで、出されるとはな。」


   「【キメラテック・フォートレス・ドラゴン】でプレイヤーに攻撃! エヴォリューション・レザルト・アーティレリー!!」


   強力な光線3つが、一気に空に向かって放たれる。


   空LP3500→500


   「ぐっ・・・伏せカード発動!【エンペラー・サクリファイス】」


   エンペラー・サクリファイス
   通常罠
    相手モンスターから2500以上の戦闘ダメージを受けた時に発動することができる。
   デッキから「帝」と名のついたモンスターを2体選択して墓地に送る。その後、デッキからカードを2枚ドローする。



   「デッキの【地帝グランマーグ】と【氷帝メビウス】を墓地へ送り、2枚ドロー。」


   「僕はこれで、ターンエンドです。」


   空 LP500
   モ なし
   魔 なし
   手 5枚

   塞機 LP3200
   モ キメラテック・フォートレス・ドラゴン
   魔 リビングデッドの呼び声
     DNA改造手術
   手 0枚



   「俺のターン、ドロー!【クロス・ソウル】を発動し、【キメラテック・フォートレス・ドラゴン】を選択する。」


   「帝モンスターですか・・・?」


   「・・・【キメラテック・フォートレス・ドラゴン】を生け贄に【風帝ライザー】を召喚。」


   召喚と同時に風が巻き起こり、【DNA改造手術】が吹き飛ばされる。


   「こいつの効果は、召喚時にフィールド上のカードを1枚持ち主のデッキの一番上に戻す・・・だ。」


   「成る程・・・次のドローカードは固定ですか。」


   「【クロス・ソウル】を使ったターンはバトルフェイズに入れない。カードを2枚伏せてターンエンド。」


   空 LP500
   モ 風帝ライザー
   魔 伏せカード×2
   手 3枚

   塞機 LP3200
   モ なし
   魔 リビングデッドの呼び声
   手 0枚



   「ドロー・・・カードを1枚伏せてターンエンドです。」


   空 LP500
   モ 風帝ライザー
   魔 伏せカード×2
   手 3枚

   塞機 LP3200
   モ なし
   魔 リビングデッドの呼び声
     伏せカード×1
   手 0枚



   「俺のターン・・・ドロー。【墓守の偵察者】を召喚。2体のモンスターでダイレクトアタックだ!」


   塞機LP3200→2000→0


   「・・・負けましたか。流石ですね。」


   「・・・じゃあ、教えてもらおうか。」


   「僕から言うことは出来ません。禁じられてますから。」


   「どうすれば、聞けるんだ?」


   「5日後の土曜日・・・近々、完成予定のデュエル・タワーがあります。」


   「・・・・・・。」


   「そこに、来てください。貴方を含めてデュエリストが5人必要ですが。」


   「・・・そこに何があるんだ?」


   「来れば分かります。5日後の土曜日にデュエリスト5人ですよ?」


   「分かった。」


   そう言い、塞機という少年は去っていった。
   倉庫から出たときに日がとっくに暮れていたことはいうまでもない。




   次の日、一気にデュエリストは4人集まった。
   空の孤独だったこの世界で唯一の友達である・・・3人が。





続く...



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