遊闘1 校内M&W大会開催!


童実野高校・M&W大会開催!

童実野高校に在籍する人なら、教員、生徒を問わず参加可能!
校内のデュエリスト諸君! デッキを組んで、○月×日AM10:00に校庭に集まれ!

なお、この大会は海馬コーポレーションが開発したデュエルディスク一般発売のためのテストも兼ねており、参加者には海馬コーポレーションからデュエルディスクが貸し出されます。

海馬コーポレーション

童実野高校内に貼られた突然の掲示物。

当然、ほとんどの教師からは反感を買うわけだが、この大会を止めようとする者は結局現れなかった。

開催される日が日曜日であることもあるが、付け加えられるように書いてあった「優勝賞金100万円」という告知に、影響されたのだろう。

童実野高校には欲深い教師が多いとは、よく言ったものだ。



日曜日。

何かと天気の崩れやすい春にしては珍しく、雲ひとつ見当たらない。

風が少し強いが、何をするにも気持ちのいい一日。

冬の気配が残る少し肌寒い中、大会は開催される。

校庭にデュエリスト達が集まり、係員からデュエルディスクを受け取っている。

ほとんどの人は初めて触るのであろう。

興味深く、あれこれいじっている。

中にはカードをセットして、モンスターを立体化する者もいる。

その迫力に歓声が湧き上がる。

校庭には、体育祭、文化祭といった学校行事が始まる前のような活気が満ちている。

そんな中、風が強く吹いた。

風は校舎にぶつかり、小さな渦を作っていく。

その渦は次々に風を吸収し、次第に大きくなり、近くの新緑の木の葉を揺らす。

まだ、青々しい葉のいくつかは、無常にももぎ取られていく。

その渦巻は音を立て、うねりをあげていった。



城之内 「 うっしゃあ! 今度こそは、優勝を目指すぜ!」

杏子 「 気合入ってるわねー、城之内!
最初は、海馬くんの開いた大会には絶対出ない…って言ってたのに。」

城之内 「 ま、まぁな。確かに開催したのは海馬のヤローだが、実際奴は来ないしな。
だから出てやったってワケよ!」

本田 「 なーんて言ってるが、多分、こいつの頭ン中は優勝賞金のことしかないぜ。」

杏子 「 …だと思った。」

城之内 「 い、いいじゃねぇか別に!
バトル・シティベスト4! 城之内様に勝てるものなどいないぜ!
優勝は無理でも、準優勝で50万はゲットしてやるぜ!」

杏子 「 城之内様…とか言っちゃってるけど、最近の城之内は気合だけだからね…。
最近の私との戦績は12勝10敗程度だし…。
今日私も出ることにして正解だったわね!」

城之内 「 ケッ。」

杏子 「 普段の城之内は、なんだか気合が空回りしてるし、
それに――今回は秘密兵器もあるから、準優勝くらいは狙えるかもしれないなぁ。」

城之内 「 ひ、秘密兵器だとぉ!?」

杏子 「 それは秘密よ。敵に情報を教えられるわけないじゃない!」

城之内 「 お、男・城之内、秘密なんか嫌いだぜ!
隠し事なんかしねぇで、正々堂々と……」

本田 「 つまりだ! 城之内は、今回はバトル・シティの時と同じデッキで挑む…ってことだな。」

城之内 「 …う、うるせぇな。」

杏子 「 だったら、城之内の戦術なんか筒抜けね。」



遊戯 「 みんな! おはよう!」

城之内 「 オーッス、遊戯!
早く受け付け済ませて来いよ! そろそろ始まっちまうぞ!」

遊戯 「 うん。今日はみんな参加するみたいだね。」

本田 「 いつも遊戯のデュエル見てるからな、そう簡単には負けないぜ!」

杏子 「 ま、校内限定だから、私も結構いいセンまでいくと思うしね。」

獏良 「 おはよー。」

城之内 「 オーッス…って、バ、バクラ? やっぱり、お前も…出るのか?」

獏良 「 うん。徹夜でオカルトデッキを強化してきたから、今日は自信あるんだ。」

城之内 「 ま、またオカルト…」

係員 「 それでは、時間になったので、童実野高校・M&W大会を開始する!
試合はトーナメント方式で行う!
参加者16人は、トーナメント組み合わせのくじを引きにくるように!」



途端、ざわめきが収まり、緊張感が走る。

参加者達は、校庭の校舎側に向かって歩を進めていく。

風はまだ、強いままだった。



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