それは、ファラオの魂が冥界へ旅立ってから、
ちょうど1年が経った夏の日のことだった。
その日、私の所属するエジプト考古局にひとつの手紙が届いた。
エジプト考古局 イシズ・イシュタール様
相変わらず暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?
今回お手紙を差し上げたのは、お願いしたいことがあったためです。
イシズ様は、王家の谷の外れにある遺跡のことをご存知でしょうか? 目立たない場所にある遺跡ですので、未だに発見されていないかもしれません。
お願いというのは、その遺跡のことです。
私はちょっとした墓泥棒でして、先日、その遺跡で仕事にいそしんでおりました。その時、私は『あるもの』がこの遺跡に眠っていることを知りました。
ですが、それに到達するためには、7枚のカードが必要なのです。
7枚のカードは遺跡の中に隠されているそうですが、私のようなしがない墓泥棒には集められませんでした。
そこで、イシズ様にお願いです。私の代わりにカードを集めて欲しいのです。
遺跡までの地図は手紙の中に同封させていただきます。
わがままは十分承知しておりますが、どうかよろしくお願いします。
追伸
実は、同様のお願いをマリク様にもしたのですが、一向に聞き入れてくれなかったため、『あるもの』のための生け贄になってもらうことにします。
これが、新たな悪夢の始まりだった。