プロジェクトNT
〜人気投票結果発表〜

製作者:あっぷるぱいさん




 人気投票結果発表とか言っちゃってますが、全てフィクションであると考えてお読みください。



「さて、ついに人気投票の結果発表をする時が来たわね」
 どこか感慨深げに言う鷹野さん。そう……ついに、『第1回プロジェクトシリーズ・キャラクター人気投票』略して『プロジェクトNT』の結果が発表されるのである。
 実を言うと、人気投票が開始されてからまだ10分も経っていない。にもかかわらず、もう結果発表が行われる。非常に不自然な展開だが、鷹野さんが言うにはこれで問題ないんだとか。
 彼女曰く、投票システムに宿ったゾーク・ネクロファデスの力によって、時の流れが歪められたため、既に182人の方からの投票が得られたらしい。まったく、世の中も便利になったものである(?)。
「じゃ、さっそく結果発表……の前に、今回の人気投票の形式を再確認しておくわ」

〜人気投票の形式〜
 投票可能なキャラクター全22人にそれぞれ0〜3つチェックする、という方式を取りました。
 お気に入りのキャラクターほどたくさんチェックすることを想定しています。(例:すごく好きなキャラには3つチェックを入れて、まあまあ好きなキャラには2つチェックを入れて、ちょっと好きなキャラには1つチェックを入れる)
 各キャラクターのポイントは、以下の計算式に基づいて算出されています。
{(3つチェックした投票者の数×600)+(2つチェックした投票者の数×450)+(1つチェックした投票者の数×300)}÷(全投票者の数)

「今回の人気投票は、各キャラクターに最大3つまでチェックでき、そのチェックの入り方によってポイントが算出されるという、2009年に『遊戯王カード原作HP』で行われた創作ストーリー人気投票のやり方を完全にパクった形になっているわ」
 再びパクリであることを明言した鷹野さんは、机上にあるノートパソコンのエンターキーを押した。
「さて、じゃあそろそろ結果発表と行きましょうか! 結果はもう既にWeb上にアップされているわ。具体的に言うと、このページ(読者さんが今見ているページ)にアップされているわ。このページを読み進めていけば、すぐに結果が見られるはずよ」
 鷹野さんによると、このページを読み進めていけば、結果が分かるらしい。
 色々あったけど、なんやかんやで人気投票だ。果たしてどのような結果になっているか、正直気になる。
 まあ、キャラの人気投票っていうのは、大抵は主人公が1位になるものだから、僕が1位であることは確定だろう。主人公が一番人気出るのは確実だからね。
「ちなみに、投票結果については、これも『遊戯王カード原作HP』のやり方を丸パクリして、グラフでまとめておいたわ。だから視覚的に分かりやすくなってるはずよ」
 鷹野さんは、投票方法のみならず、結果のまとめ方まで原作HPのやり方をパクったらしい。……あのさ、せめて、「パクった」じゃなくて「参考にした」って言わない?
 まあいいや。とりあえず、結果を見てみようじゃないか。僕が圧勝していることは確かだろうけど、実際にこの目で確認してみなくてはね……。
 そんなこんなで、『第1回プロジェクトシリーズ・キャラクター人気投票』略して『プロジェクトNT』の結果はこちら!

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人気投票結果


投票人数:182人
順位 キャラクター名 ポイント 投票状況
1 鷹野 麗子 594 pts. 100.0 %
(177/3/2)
2 ゴキボール 40 pts. 8.8 %
(7/3/6)
3 轟 桃花 38 pts. 8.8 %
(5/4/7)
4 パロ(エスパー絽場の弟) 36 pts. 8.8 %
(3/6/7)
5 代々木 祐二 35 pts. 8.2 %
(4/5/6)
6 パラコンボーイ 34 pts. 8.2 %
(3/5/7)
7 真田 杏奈 28 pts. 6.0 %
(5/2/4)
8 川原 静江 27 pts. 6.6 %
(3/3/6)
9 《E・HERO プリズマー》3枚を強硬手段で入手した小学生 26 pts. 5.5 %
(5/1/4)
10 カトリーヌ(鷹野さんの母) 19 pts. 3.8 %
(3/3/1)
11 ブルーレイ化された『ボッキンパラダイス 育ち盛りの○学生編』 18 pts. 3.8 %
(2/4/1)
12 プロジェクトGYに出てた代々木ファンの皆さん 15 pts. 3.3 %
(1/4/1)
13 鬼ヶ島まで乗せてくれたタクシー運転手 14 pts. 2.7 %
(3/1/1)
14 シルベスター(鷹野さんの父) 13 pts. 3.3 %
(1/2/3)
15 男A(カメハメ波を使った男) 13 pts. 2.7 %
(2/2/1)
16 男B(ゴムゴムのガトリングを使った男) 12 pts. 2.7 %
(2/1/2)
17 男C(波動球を使った男) 12 pts. 2.7 %
(1/2/2)
18 プロジェクトCTに出てた鷹野ファンの皆さん 11 pts. 2.7 %
(1/1/3)
19 牛尾とマリクを捕まえた白バイ警官 10 pts. 2.2 %
(1/2/1)
20 パラコンをストーカーの容疑で取り調べた刑事 10 pts. 2.2 %
(1/2/1)
21 ぷろじぇくとRVで《魔のデッキ破壊ウイルス》による手札確認を邪魔した女の子 9 pts. 2.2 %
(1/1/2)
22 あっぷるぱい 7 pts. 1.6 %
(1/1/1)

【補足1】
表の右側にある『投票状況』に書かれた数字の意味は以下の通りです。

●上段の%つきの数字:投票(1つ以上チェック)してくれた人の割合
●下段の3つの数字:左から順に「3つチェックした投票者の数」「2つチェックした投票者の数」「1つチェックした投票者の数」

【補足2】
ポイントが同じなのに順位が異なる作品がありますが、これは、小数点以下で差があるためです。



 …………。

 …………。

 …………は?


 超・展・開
 (魔法カード)
 読者は3cmくらい動揺する。

「何この鷹野さんの超ワンサイドゲームぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!?????」
 投票結果を見て、僕は開いた口がふさがらなかった!
 いや、だってこの結果、どう見てもおかしいだろ!? 何この鷹野さんのぶっちぎりっぷりは!? 2位との差が開き過ぎだろ!? つーか、鷹野さんのグラフ、なんか形がおかしくないか!?
「オ〜ッホッホッホ!! まあ、私が1位になるのは当然だけど、まさかここまで大差をつけるとはね! あまりにもグラフが伸びすぎたものだから、ヒロイン権限でグラフをうずまき型にしてやったわ!」
 どうやら鷹野さんのグラフについては、グラフが伸びすぎたため、うずまき型にしたらしい。あんたのグラフは蚊取り線香か?
 ていうか、いくらなんでもこの結果はひどい。鷹野さんのグラフがうずまきになったのはまだ良い。それよりも、鷹野さん以外のキャラに票がちっとも入ってないのはどういうことだ!?
 投票結果をよく見てほしい。鷹野さん以外のキャラには、それほど多くの票が入ってないのだ。2位のゴキボールですら、投票したのは全体のわずか8.8%! 少なすぎだろ!!
 それ以前に、2位がゴキボールってどういうことだよ!? ありとあらゆるオリジナルキャラ(一部原作キャラ含む)が、1名を除いてみんなみんなみ〜んなゴキボールよりも人気が劣ってるって、異常事態じゃないか!!
 そして、最もおかしな部分は僕の順位についてだ。あのさ、代々木に負けるのはまあ仕方ないとしても、なんでパロのヤローにまで負けてるわけ? どう見ても変だろこれ! スゲームカつくんだけど!! あいつ、今日の給食で僕に牛乳吹かせた奴だぞ!! そんな奴がなんで僕よりも人気あるんだよ!? それだけじゃない! なんでパロの奴、ちゃっかり代々木よりも順位高いの!? うわぁ〜腹立つわぁ〜〜……!
「というわけで、『第1回プロジェクトシリーズ・キャラクター人気投票』は、私が堂々の1位を収めるという納得の結果に終わったわね。それにしても、他の人たち人気ないわねぇ〜……」
 堂々の1位を収めた鷹野さんは、どこか見下すような口調で言った。くそっ……! 分かっていることをいちいち言うんじゃねえ!
「特にパラコン。あなた、主人公のくせに6位とか、ずいぶんと微妙な順位じゃない。情けないわ。それで主人公とかよく言ってられるわね」
 うるせぇぇぇぇ! 余計なお世話だよ!! ちょっと黙ってろよこのアホ女!!
「ま、これが現実というわけね。あなたはしょせん、私を超えることなどできないってことよ。よって、これからも大人しく、私に振り回される主人公を演じ続けなさい」
 …………。
 この女……調子に乗りやがって……。いくら1位になったからって、そういう言い方はないんじゃないの? そうやって天狗になってると、後できっとロクなことにならないよ?
「しょせん、あなたは負け犬のパラコンボーイ略してマボーイなのよ。マボーイ……マボーイ……マボーイ……6位のマボーイ……」
 くっ……そっぉぉぉぉおおおお!!! マボーイって言うんじゃねーよこのクソ女が!!! 図に乗るんじゃねえええええええええええええ!!!!!
「鷹野さん! 突然だけど、君にデュエルを申し込むよ!」
 頭にきた僕は、鷹野さんにデュエルを挑むことにした。
 確かに僕は、人気投票では完全に鷹野さんに負けた。けど、だったらせめて、デュエルではこの人に勝っておきたい! デュエルで一矢報いてやる!
 というか、いい加減そろそろ本当にマジでこの人にデュエルで勝ちたい! 何だかんだで、僕はまだ彼女とのデュエルで一度も勝ってないし……これ以上連敗記録を更新し続けるわけにはいかない!
「あら、6位・34ポイントのあなたが、1位・594ポイントの私にデュエルを挑むって言うの? ずいぶんと身の程知らずね。あなたなんかがこの私と互角に戦えるとは到底思えな―――」
「デッキシャッフルだ! 鷹野さん!!」
 図に乗る鷹野さんの言葉を遮りつつ、僕は自分のデッキを鷹野さんに提示した。デッキシャッフルをさせるためだ。
 つーか、ホントに傲慢になったなこの女。いや、元から傲慢だったけど、余計に傲慢になったと言うか。
「ふ……まあいいわ。相手になってあげる」
 とは言え、やはり鷹野さんもデュエリスト。売られたデュエルから逃げるような真似はせず、あっさりと僕からの挑戦を受けた。
 フッ……それでこそ我がライバル! 今日こそその首、貰い受ける!!

 こうして、僕と鷹野さんのデュエルが幕を開けるのであった。


 ★


 デッキシャッフルを済ませた僕らは、机を挟んで向かい合う形で席に着いた。
 互いにシャッフルしたデッキを手元に置き、準備は完了だ。
 さて、デュエルの前に、先攻・後攻を決めなくては―――。
「私の先攻ド――」
「ジャンケンだ! 鷹野さん!」
 いつものように勝手に先攻を取ろうとした鷹野さんを妨害するように、僕は彼女にジャンケンを挑んだ!
 フッ! 残念だったな鷹野さん! 君の考えは読めている!
「……成長したわね」
 不満そうな表情を浮かべつつ、鷹野さんは右拳を前に出した。大人しくジャンケンに応じるつもりのようだ。よし……。
「じゃあ、行くよ。じゃ〜ん、け〜ん……」
「私の先攻ドロー!! リバース・カードを1枚セットし、《処刑人−マキュラ》を召喚! ターンエンド!」
 チキショオ!! ジャンケンに応じたふりして先攻取りやがったこの女ぁぁぁぁぁ!!! くそっ!! だまされた!!
「まだまだ甘いわねパラコン。さ、あなたのターンよ」
 おのれぇぇぇ!! この屈辱は忘れんぞ!!
 くっ……落ち着け、僕。とりあえず、僕のターンと行こうじゃないか。
「僕のターン、ドロー!」

 ドローカード:聖なるバリア−ミラーフォース−

 カードを引いた僕は、鷹野さんの場に目を向けた。
 今、彼女の場にあるカードは2枚。正体不明のリバース・カードが1枚と、攻撃表示の《処刑人−マキュラ》が1体。
 《処刑人−マキュラ》が倒されると、マキュラの持ち主は手札からトラップカードを発動することができる。ただし、代わりに他の手札は全て墓地へ置かなければならない。
 もし、僕がここでマキュラを倒せば、鷹野さんは手札からトラップを発動してくるかもしれない。けど、そうなった場合、鷹野さんはマキュラの効果のリスクとして、手札を全て失うことになる……。
 ならば……!
「僕は《ガジェット・ソルジャー》を召喚! 《処刑人−マキュラ》に攻撃するよ!」
「!」
 僕は、手札にいた下級モンスターの中で最も高い攻撃力を持つ《ガジェット・ソルジャー》を召喚し、攻撃を仕掛けた。
 《ガジェット・ソルジャー》の攻撃力は1800。《処刑人−マキュラ》の攻撃力は1600。このままバトルが成立すれば、《処刑人−マキュラ》を倒すことができる。
 そうなった場合、鷹野さんが《処刑人−マキュラ》の効果を使ってくるかもしれない。けど問題はない。仮に《処刑人−マキュラ》の効果を使われた場合、僕はトラップに引っかかってしまうが、代わりに彼女は手札をすべて失うことになる。そうなれば、次のターンから戦いづらくなるはず!
 それを狙い、僕はバトルを仕掛けた。フッ……我ながら完璧な作戦だな。さすがは僕だ!

 ガジェット・ソルジャー 攻:1800
 処刑人−マキュラ 攻:1600

 鷹野麗子 LP:4000→3800

「《処刑人−マキュラ》が倒されたことで、私は手札からトラップカードを発動できるわ。トラップカード《魂の綱》を発動!」
 鷹野さんは迷うことなく、《処刑人−マキュラ》の効果を使用してきた。クク……僕の計算通りだな!
 さて、《魂の綱》は確か、自軍の場のモンスターがやられたとき、1000のライフと引き換えに、デッキからレベル4モンスターを1体特殊召喚できるトラップだったな。
「1000ライフを払い、私はデッキからレベル4モンスターを特殊召喚できる! 《処刑人−マキュラ》の効果で手札は全て失うけどね」
 そう言って、鷹野さんは残り3枚となった手札を全て墓地へ置くと、デッキからモンスターを1体選び取った。

 鷹野麗子 LP:3800→2800

 よし、これで鷹野さんの手札は0! かなり戦いづらくなったはずだ!
 しかし、わざわざ手札を全部捨ててまで発動したトラップが《魂の綱》とは……。そこまでするかね? それだったら、普通に場に伏せておけばよかったんじゃないの? 戦術ミスにしか見えないな……。
 と思っていた僕だったが、すぐにその考えはぶち破られることとなった。
「私が特殊召喚するのは、レベル4モンスター《インフェルニティ・デーモン》! このカードが特殊召喚されたとき、私の手札が0枚ならば、デッキから『インフェルニティ』と名のついたカードを1枚手札に加えることができる!」
 …………なっ!?
 手札が0枚のときに効果を発揮できるモンスターだと!? そ……そんなモンスターがいたのか!
 ……そう言えば、鷹野さんは《処刑人−マキュラ》の効果のリスクとして、手札を全て失ってるんだよな……。つまり、彼女の手札は0枚……。
「私の手札は0枚! よって《インフェルニティ・デーモン》の効果が発動する! デッキから《インフェルニティガン》を手札に加えるわ!」
 くっ……! そうか! この効果につなげるために、《処刑人−マキュラ》の効果を利用して手札を消去したのか! 抜け目のない人だ……。
「……カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」
 ひとまず、攻撃してきた敵モンスターを全滅させる必殺のトラップ《聖なるバリア−ミラーフォース−》をセットして、僕はターンを終えた。

【パラコン】 LP:4000 手札:4枚
 モンスター:ガジェット・ソルジャー(攻1800)
  魔法・罠:伏せ×1(聖なるバリア−ミラーフォース−)

【鷹野麗子】 LP:2800 手札:1枚(インフェルニティガン)
 モンスター:インフェルニティ・デーモン(攻1800)
  魔法・罠:伏せ×1

「私のターン、ドロー!」
 鷹野さんのターン。このターン、彼女は攻めてくるだろうか?
 まあ、仮に攻めてきたとしても、僕の場には必殺のミラーフォースが仕掛けてあるから大丈夫なはず……。
「パラコン。おそらく、あなたの場のリバース・カードは、私の攻撃に対して発動するモンスター抹殺のトラップカード……そんなところでしょ?」
「うぐっ!? さ……さあ……ど……どうだろうね!? はっはっは!」
 鷹野さんがカマをかけてきたが、僕は冷静かつ華麗に回避した。フッ……鷹野さんめ、そんな言葉で僕が動揺するとでも思ったか!
 さあ、攻めてこい鷹野さん。トラップが待ち受けてるぜ!
「じゃあ、私は《キャノン・ソルジャー》を召喚するわ」
 鷹野さんが、このターンに引き当てたカードを場に出した。
 《キャノン・ソルジャー》は、味方モンスターを1体生贄に捧げる度に、相手ライフに500ダメージを与える能力を持つモンスター。この効果は攻撃扱いじゃないから、《聖なるバリア−ミラーフォース−》は発動できない……。
「さらに、前のターンに手札に加えた永続魔法カード《インフェルニティガン》を発動。そして、自分の手札が0枚のとき、《インフェルニティガン》を墓地へ送ることで、自分の墓地から『インフェルニティ』と名のついたモンスター2体を復活させることができるわ」
 むっ!? 今度は《インフェルニティガン》か! 自身を墓地送りにする代わり、インフェルニティモンスター2体を蘇生させるとは……なかなか強力な効果じゃないか!
「私は、《インフェルニティガン》を墓地へ送り、墓地から2体のインフェルニティ……《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・デストロイヤー》を復活させる!」
 《インフェルニティガン》の効果により、鷹野さんの場に新たなモンスターが現れた!
 くそっ……《処刑人−マキュラ》の効果で墓地送りにされていたモンスターか! 鷹野さんめ……ここまで考えて《処刑人−マキュラ》の効果を……!

【パラコン】 LP:4000 手札:4枚
 モンスター:ガジェット・ソルジャー(攻1800)
  魔法・罠:伏せ×1(聖なるバリア−ミラーフォース−)

【鷹野麗子】 LP:2800 手札:0枚
 モンスター:インフェルニティ・デーモン(攻1800)、キャノン・ソルジャー(攻1400)、インフェルニティ・ネクロマンサー(守2000)、インフェルニティ・デストロイヤー(攻2300)
  魔法・罠:伏せ×1

「そして、《キャノン・ソルジャー》の効果を発動! 自軍の場のモンスターを生贄に捧げる度、相手に500ダメージを与えるわ! 私はまず、《インフェルニティ・デーモン》と《インフェルニティ・デストロイヤー》を生贄に捧げる!」
 先のターンに特殊召喚された《インフェルニティ・デーモン》と、《インフェルニティガン》の効果で復活した《インフェルニティ・デストロイヤー》が、《キャノン・ソルジャー》の効果の生贄となった!
 くっ……! 2体のモンスターが生贄にされたことにより、僕は1000ポイントのダメージを受けることになる……!

 パラコン LP:4000→3000

 な……何のこれしき! 1000ポイントのダメージが何だ! ここから盛り返し―――
「じゃあ次は、《インフェルニティガン》で復活させた《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果を発動! このモンスターは、自分の手札が0枚のとき、墓地から《インフェルニティ・ネクロマンサー》以外のインフェルニティモンスター1体を復活させることができる!」
 ―――って、今度は《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果か! つーか、そいつも蘇生効果持ってんのかよ!? 何だこの展開力の強さは!?
「私は《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果で、さっき生贄に捧げられた《インフェルニティ・デーモン》を復活させる! そして、《インフェルニティ・デーモン》の効果発動! このカードが特殊召喚に成功したとき、自分の手札が0枚ならば、デッキから『インフェルニティ』と名のついたカードを1枚手札に加えることができる! 私は《インフェルニティ・ミラージュ》を手札に加えるわ!」
 ま……また《インフェルニティ・デーモン》の効果か! これで鷹野さんの手札が1枚増えたことに……。

【パラコン】 LP:3000 手札:4枚
 モンスター:ガジェット・ソルジャー(攻1800)
  魔法・罠:伏せ×1(聖なるバリア−ミラーフォース−)

【鷹野麗子】 LP:2800 手札:1枚(インフェルニティ・ミラージュ)
 モンスター:キャノン・ソルジャー(攻1400)、インフェルニティ・ネクロマンサー(守2000)、インフェルニティ・デーモン(攻1800)
  魔法・罠:伏せ×1

「そして、《キャノン・ソルジャー》の効果発動! 場の《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・デーモン》を生贄に捧げ、あなたに1000ダメージを与える!」
 復活したばかりの《インフェルニティ・デーモン》と、そいつを復活させた《インフェルニティ・ネクロマンサー》が《キャノン・ソルジャー》の効果の生贄となる。ま……また1000ダメージか!!

 パラコン LP:3000→2000

 ライフが半分に……! まさか、1ターンでライフを半分にされるとは……!
「まだ私のターンは終了してないわ! 私は伏せておいた《二重召喚(デュアルサモン)》を発動! このカードの効果で、私はこのターンもう一度だけ通常召喚が行える! よって私は、さっき手札に加えた《インフェルニティ・ミラージュ》を召喚!」
 まだ終わらないのかよ!? つーか、《インフェルニティ・ミラージュ》って何だよ!?
「《インフェルニティ・ミラージュ》の効果! 自分の手札が0枚のとき、《インフェルニティ・ミラージュ》を生贄に捧げることで、墓地からインフェルニティモンスター2体を特殊召喚することができる! ただし、《インフェルニティ・ミラージュ》自身は墓地からの特殊召喚はできないわ」
 ……って、また蘇生能力ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜!!!!! 何だよ!? 何度蘇生させりゃ気が済むんだよ!? いい加減にしろよ!!
「私は《インフェルニティ・ミラージュ》の効果で《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・ガーディアン》を蘇生!」
 あっと言う間に、鷹野さんの場がモンスターで埋まる。くそっ! 何だよこの展開力は!?
 ……あれ? そう言えば、いま鷹野さんが復活させた《インフェルニティ・ネクロマンサー》って、なんか嫌な効果を持っていたような……?
「さらに、《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果発動! 自分の手札が0枚のとき、墓地からインフェルニティモンスター1体を復活させる! 蘇れ! 《インフェルニティ・デストロイヤー》!」
 あああああ!! そうだったぁぁぁぁ!!! 《インフェルニティ・ネクロマンサー》も蘇生効果持ってたよそう言えば! うわぁ〜〜! これで鷹野さんの場にはモンスターが4体! い……インチキくせぇぇぇ〜〜〜!!!

【パラコン】 LP:2000 手札:4枚
 モンスター:ガジェット・ソルジャー(攻1800)
  魔法・罠:伏せ×1(聖なるバリア−ミラーフォース−)

【鷹野麗子】 LP:2800 手札:0枚
 モンスター:キャノン・ソルジャー(攻1400)、インフェルニティ・ネクロマンサー(守2000)、インフェルニティ・ガーディアン(守1700)、インフェルニティ・デストロイヤー(攻2300)
  魔法・罠:なし

「さて、また《キャノン・ソルジャー》の効果を使うわよ。場にいる《インフェルニティ・ネクロマンサー》、《インフェルニティ・ガーディアン》、《インフェルニティ・デストロイヤー》を生贄に捧げて1500ダメージ!」
 やはりと言うか何と言うか、鷹野さんは特殊召喚したインフェルニティモンスターをあっさりと生贄にして、ダメージを発生させた。
 こ……これで僕のライフは残り500……!

 パラコン LP:2000→500

「これでトドメよ。《キャノン・ソルジャー》自身を生贄に捧げ、500ダメージを与えるわ!」
 …………あ。

 パラコン LP:500→0

「私の勝ちね」
 《キャノン・ソルジャー》の効果によって僕のライフが0になり、デュエルは終了した。
 ……って、ちょっと待ったあああああああああ!!! 何この1ターンキル!? 理不尽極まりないだろいくらなんでも!! 僕、何にも良いとこなかったじゃんか!!
「ま、落ち込むことはないわパラコン。今のは私の手札が良すぎただけよ」
 そんなことを言いつつ、鷹野さんの目は思い切り僕を見下していた。くそったれがぁぁぁぁぁぁ!!!
「も……もう一度デュエルだ! 鷹野さん!」
 さすがに納得いかないので、もう一度デュエルを挑むことにする。さあ、カードを構えろ鷹野さん! 嫌だと言っても逃がさないぞ!!
「あら、もう一度やるの? まあいいけど」
 ものっすごい余裕の口調で鷹野さんは僕の挑戦に応じ、デッキシャッフルを始めた。くそっ……! 何だよあの余裕の態度は! 腹立つぅぅぅ!!
 くそぉ〜〜見てろよ! 次は絶対に僕が勝つからな!!

「「デュエル!!」」

 パラコン LP:4000
 鷹野麗子 LP:4000

「先攻は僕がもらうよ! カードドロー!」
 先のデュエルで負けたため、先攻・後攻の選択権は僕にある。ということで、僕は容赦なく先攻を取った。
 うん。いいカードを引いた!
「まずは、魔法カード《天使の施し》を発動! カードを3枚ドローし、その後2枚捨てる!」
「手札入れ替えのカード……」
 僕が引き当てたのは、手札入れ替えの魔法カード《天使の施し》! これにより、僕はさらに3枚のカードをドローできる!
「3枚ドロー! そして2枚を捨てる!」
 《天使の施し》のテキストに従い、僕は3枚のカードをドローし、そのあと手札から2枚のカードを選んで墓地へ捨てた。
 墓地へ捨てたのは、《ゴキボール》と《人造人間サイコ・ショッカー》の2枚。サイコ・ショッカーはレベル7の上級モンスターだが、こうして墓地に置いておけば、あとで《死者蘇生》で復活させることができる。完璧だぜ!
 そして、《天使の施し》で手札を入れ替えたことで、僕の手札にはかなり強力なカードが揃った! いやぁ、やっぱ《天使の施し》は強い! 頼りになる!

 〜僕の手札〜
 ギガンテス、バトルフェーダー、死者蘇生、聖なるバリア−ミラーフォース−、デス・ウォンバット、天よりの宝札

「僕はリバース・カードを1枚セットし、《デス・ウォンバット》を召喚!」
「!」
 強力なガチトラップの《聖なるバリア−ミラーフォース−》を伏せつつ、攻撃力1600の《デス・ウォンバット》を出しておく。
 《デス・ウォンバット》がいる限り、カード効果によって発生する僕へのダメージは0となる。これで、前のデュエルのように、《キャノン・ソルジャー》による理不尽な1ターンキルを受ける恐れはない! もし、《デス・ウォンバット》が戦闘で破壊されそうになっても、《聖なるバリア−ミラーフォース−》が伏せてあるから問題はない!
 我ながら完璧な布陣だ。しかし、超一流のデュエリストである僕は、このくらいでは満足しない!
「さらに僕は、墓地の地属性モンスター《ゴキボール》をゲームから除外し、《ギガンテス》を特殊召喚! 攻撃表示!」
「……! 1ターン目から2体のモンスターを……」
 僕は、さっき《天使の施し》で捨てておいた《ゴキボール》を除外し、新たなモンスター《ギガンテス》を召喚した。
 《ギガンテス》は通常召喚ができず、「自分の墓地から地属性モンスター1体を取り除く」という特殊な方法で召喚されるモンスターだ。攻撃力は1900とそれなりに高く、戦闘で破壊されたとき、場の魔法・罠カードを全て破壊する能力を備えている。
 フッ! これで鷹野さんは、慎重に攻めざるを得ない! いいぞ僕! これなら行ける!
「ターンエンドだ!」

【パラコン】 LP:4000 手札:3枚
 モンスター:デス・ウォンバット(攻1600)、ギガンテス(攻1900)
  魔法・罠:伏せ×1

【鷹野麗子】 LP:4000 手札:5枚
 モンスター:なし
  魔法・罠:なし

「私のターン」
 鷹野さんのターンに移る。
 彼女はカードをドローすると、小さく笑みを浮かべた。
「パラコン。このデュエル、私の勝ちよ」
 …………。
 …………。
 …………は?
 え? 何? 後攻1ターン目にして勝利宣言? 早くない?
 そ……そんな……そんな……ことが……?
「私はまず、フィールド魔法《うずまき》を発動! デュエルのルールを原作ルールからOCGルールに切り替える!」
 ……って、《うずまき》ぃぃぃぃぃ!!!???
 史上最大級のチートカード来ちゃったよ!! そりゃ、勝利宣言もしたくなるわけだ! うわぁ〜〜!

 うずまき
 (フィールド魔法カード)
 フィールドは「うずまき」となり、全ての常識は覆る。

 パラコン LP:4000→8000
 鷹野麗子 LP:4000→8000

 《うずまき》の効果により、デュエルのルールがOCGルールに切り替わり、互いのライフが4000ポイント増大する。無茶苦茶なチート効果だが、これこそが《うずまき》の持つ効果なのだ!
 まずいな……《うずまき》を発動されたとなると、マジでこのターン中に息の根を止められる可能性が……。
「OCGルールでは、原作ルールと違って、1ターン中に場に出せる魔法カードの数に制限はない。よって、私は手札から魔法カード《左腕の代償》を発動!」
 OCGルールを利用し、鷹野さんが2枚目の魔法カードを場に出した。
 《左腕の代償》って確か、手札を全て墓地に置いて、デッキから魔法カードを1枚選んで手札にするカードだったっけな。原作でマリクが使ってたっけ。
 要するに、鷹野さんの手札が魔法カード1枚だけになるわけか……。
「私は《左腕の代償》の効果に従い、手札を全て墓地に置く。そして、デッキからこのカードを選んで手札とするわ」
 言いながら鷹野さんは、手札4枚を墓地に置き、迷うことなくデッキから1枚の魔法カードを選び取った。
「永続魔法《インフェルニティガン》を手札とするわ」
 …………。
 ……え〜と……。《インフェルニティガン》の効果って確か……?
「早速、《インフェルニティガン》を発動させてもらうわ。これで私の手札は0枚。よって、《インフェルニティガン》の効果を発動! このカードを墓地へ送ることで、墓地からインフェルニティモンスター2体を特殊召喚する!」
 あああああああああああ!!!! そういやそんな効果だったよ!! こ……これで鷹野さんの場には、2体のインフェルニティモンスターが出現してしまう!
「私は、2体のインフェルニティモンスター……《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・ドワーフ》を特殊召喚!」
 くっ……! 《左腕の代償》の効果で墓地に送られていたモンスターか! まさか、《左腕の代償》のデメリットを逆手に取るとは……。
「そして今、私の手札は0枚のまま。よって、《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果が発動できるわ。その効果により、墓地から《インフェルニティ・ネクロマンサー》以外のインフェルニティモンスター1体を特殊召喚する! 私は《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚!」
 あぁ……そういや、《インフェルニティ・ネクロマンサー》も蘇生効果を持ってたんだっけ。えーと……新たに《インフェルニティ・デーモン》が特殊召喚されたことで、鷹野さんの場のモンスターは3体……。
 ……って、ちょっと待てよ? 確か、《インフェルニティ・デーモン》には凶悪な能力が備わってた気が……?
「ふふ……《インフェルニティ・デーモン》が特殊召喚されたとき、私の手札が0枚ならば、デッキから『インフェルニティ』と名のついたカードを1枚手札に加えることができる! その効果で私は、《インフェルニティ・ミラージュ》を手札に!」
 そ……そうだった! 《インフェルニティ・デーモン》には、インフェルニティカードを1枚持ってくる効果があった! く……くそっ! 恐ろしい効果だな……!
「とりあえず、手札に加えた《インフェルニティ・ミラージュ》を召喚しておくわ」
 鷹野さんが《インフェルニティ・ミラージュ》を召喚した。そういやあの人、このターンはまだ通常召喚してなかったんだっけ……。

【パラコン】 LP:8000 手札:3枚
 モンスター:デス・ウォンバット(攻1600)、ギガンテス(攻1900)
  魔法・罠:伏せ×1

【鷹野麗子】 LP:8000 手札:0枚
 モンスター:インフェルニティ・ネクロマンサー(守2000)、インフェルニティ・ドワーフ(守500)、インフェルニティ・デーモン(攻1800)、インフェルニティ・ミラージュ(攻0)
  魔法・罠:うずまき(フィールド)

 あっという間に、4体のモンスターを並べられてしまった。
 いや……でも落ち着こう。よくよく見てみれば、鷹野さんの場で攻撃要員として動けそうなのは《インフェルニティ・デーモン》だけじゃないか。しかも、鷹野さんの手札は0枚。これ以上カードを出すこともできない。
 このターン、鷹野さんができることは、《インフェルニティ・デーモン》で《デス・ウォンバット》を戦闘破壊する、ということくらいだろう。
 大丈夫だ、落ち着け。このくらいはどうってことない。M&Wは、数さえ揃えれば勝てる、なんてゲームじゃないんだ。重要なのは緻密な戦略であって―――










「時はきた! 今この瞬間、私の場の《インフェルニティ・ネクロマンサー》、《インフェルニティ・ドワーフ》、《インフェルニティ・デーモン》を生贄……もといリリースし、デッキから儀式魔法《トリシューラの鼓動》を発動するわ!」





 …………。

 …………。

 …………え?

 超・展・開
 (魔法カード)
 読者は3cmくらい動揺する。

 僕は一瞬、何が何やら分からなくなった。
 えーと……んーと……鷹野さんは何を言ってるんだ?
「よ……よく聞こえなかったんだけど……」
「儀式魔法《トリシューラの鼓動》を発動したのよ」
 と……《トリシューラの鼓動》!? そんな儀式魔法あったっけ!? 聞き覚えが全くないんだが!?
 僕は、鷹野さんがデッキから取り出した魔法カード《トリシューラの鼓動》のテキストを見てみた。一体どんなカードなんだ?

 トリシューラの鼓動
 (儀式魔法)
 自分の手札が0枚の場合、自分フィールド上に存在する「インフェルニティ」と名のついたモンスターを3体以上、レベルの合計が9になるようにリリースする事で、このカードはデッキから発動できる。
 この方法でこのカードを発動した場合、相手の手札・フィールド上・墓地のカードをそれぞれ1枚までゲームから除外する。
 その後、自分の墓地・デッキから「魔法少女トリシューラ」1体を降臨させる。
 上記の方法以外でこのカードを発動した場合、このカードをデッキに戻しシャッフルする。

 ……って、オリカじゃねーか!! どうりで聞き覚えがないわけだよ!!
「《トリシューラの鼓動》は、自分の手札が0枚のとき、自分の場のインフェルニティモンスターを3体以上、レベルの合計が9になるように生贄……じゃなくてリリースすることで、デッキから特殊発動できる儀式カード。私は、レベル3の《インフェルニティ・ネクロマンサー》、レベル2の《インフェルニティ・ドワーフ》、レベル4の《インフェルニティ・デーモン》の3体をリリースすることで、その発動条件を満たしたのよ」
 インフェルニティモンスターを生贄にして、デッキから発動する儀式カード……!つまりは、インフェルニティ専用のカードというわけか!
「そして! この方法でこのカードが発動したとき、相手の場・手札・墓地のカードをそれぞれ1枚まで除外する!
 …………!? えええええええええええええ!!!!???? 
 場と手札と墓地のカードを1枚除外って……なんだその効果!? マジでそんな効果なの!? 嘘だろ!? ……と思って《トリシューラの鼓動》のテキストを読み返してみたら、マジでそんな効果だった。ふざけんなよチキショオ!!
「オ〜ッホッホッホ! 消えなさぁ〜い!」
 《トリシューラの鼓動》の効果によって、僕の場の《聖なるバリア−ミラーフォース−》、手札の《死者蘇生》、墓地の《人造人間サイコ・ショッカー》が異次元の彼方に飛ばされてしまった。くそぉぉぉぉ!!
 しかし、悲劇はそれだけでは終わらなかった!
「さらに、《トリシューラの鼓動》の効果には続きがあるわ。カードを除外したあと、デッキまたは墓地から、儀式モンスター《魔法少女トリシューラ》1体を儀式召喚できる! デッキより降臨せよ、《魔法少女トリシューラ》!」
 そ……そうだよ! モンスター召喚効果まで持ってるんだよそのカード!! まあ、儀式魔法なんだから、あって当然なんだろうけど!!
 それにしても、《魔法少女トリシューラ》か……。一体、どんな能力を持つモンスターなんだ……? 正直、強力なモンスターは出てきてほしくなんだが……。

 魔法少女トリシューラ
 儀式・効果モンスター ★9 水属性 魔法使い族
 「トリシューラの鼓動」により降臨。
 手札からこのカードを墓地へ送る事で、自分の手札を任意の枚数墓地へ送る事ができる。
 攻2700  守2000

 テキストを見たところ、↑のような能力のモンスターらしい。
 うん……そんな凶悪な効果のモンスターじゃないな。なら一安心……なワケねーだろ!! なんで攻撃力2700もあんだよ!? こんなのどうやって倒せばいいんだよ!? もうミラーフォースないのに!!
 おのれぇ……! 他人の場と手札と墓地のカードを荒らしておきながら、攻撃力2700のモンスターを召喚するとは……! やることが汚すぎるぜ!!

【パラコン】 LP:8000 手札:2枚
 モンスター:デス・ウォンバット(攻1600)、ギガンテス(攻1900)
  魔法・罠:なし

【鷹野麗子】 LP:8000 手札:0枚
 モンスター:魔法少女トリシューラ(攻2700)、インフェルニティ・ミラージュ(攻0)
  魔法・罠:うずまき(フィールド)

 だが、僕はこのとき、まだ気づいていなかった。
 こんなことは、悲劇の序章にすぎない、ということに。
「じゃあ、《インフェルニティ・ミラージュ》の効果を発動するわ。手札が0枚のとき、《インフェルニティ・ミラージュ》をリリースすることで、墓地からインフェルニティモンスター2体を復活させる。ただし、《インフェルニティ・ミラージュ》は墓地からの特殊召喚ができないわ」
 あ……そうだった……! 《インフェルニティ・ミラージュ》には、《インフェルニティガン》と同じように、インフェルニティモンスター2体を蘇生させる効果がある! くそっ! またインフェルニティモンスターを展開するつもりか!
「《インフェルニティ・ミラージュ》の効果で、私はまた《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・ドワーフ》を特殊召喚。そして、《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果発動。私の手札が0枚だから、墓地からインフェルニティモンスター1体を特殊召喚できる。私は墓地から《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚。ここで《インフェルニティ・デーモン》の効果発動。手札が0枚のときにこのカードが特殊召喚に成功したため、私はデッキから『インフェルニティ』と名のついたカードを1枚手札に加えることができる。私は2枚目の《インフェルニティ・ミラージュ》を手札に加えるわ」
 ちょ……ちょちょちょちょっと待ってくれ……! もう何が何やら……。
 とりあえず、場を確認しよう。何が起こってるのかさっぱりだ……!

【パラコン】 LP:8000 手札:2枚
 モンスター:デス・ウォンバット(攻1600)、ギガンテス(攻1900)
  魔法・罠:なし

【鷹野麗子】 LP:8000 手札:1枚(インフェルニティ・ミラージュ)
 モンスター:魔法少女トリシューラ(攻2700)、インフェルニティ・ネクロマンサー(守2000)、インフェルニティ・ドワーフ(守500)、インフェルニティ・デーモン(攻1800)
  魔法・罠:うずまき(フィールド)

 《インフェルニティ・ネクロマンサー》に《インフェルニティ・ドワーフ》に《インフェルニティ・デーモン》……。さっき、《トリシューラの鼓動》の生贄となった3体が、もう場に復活してやがる……。何だこれ……?
 しかも、鷹野さんの手札には、墓地のインフェルニティモンスター2体を復活させることができるモンスター《インフェルニティ・ミラージュ》が控えている。恐ろしい布陣だ……。
 でも、鷹野さんはこのターン、もう通常召喚しちゃったから、《インフェルニティ・ミラージュ》が召喚されることはないはず……。
「ここで私は、墓地の《ヘルウェイ・パトロール》を除外して効果を発動するわ。その効果により、私は手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚できる。《インフェルニティ・ミラージュ》を特殊召喚!」
 げぇぇぇぇぇ!!! 《ヘルウェイ・パトロール》ぅぅぅぅぅぅ!!!???
 《ヘルウェイ・パトロール》は、墓地にいる状態で効果を発揮できるモンスター。墓地に眠るこのモンスターをゲームから除外することで、手札にある攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚できるのだ。《インフェルニティ・ミラージュ》は悪魔族。しかも、攻撃力は0。余裕で特殊召喚できるわけだ。
 鷹野さんめ……《左腕の代償》の効果で、インフェルニティモンスターと一緒に《ヘルウェイ・パトロール》も墓地へ送っておいたのか! くそっ!
 こ……これで、鷹野さんの場のモンスターは5体! 異常だろこの展開力は……!
「さて、《インフェルニティ・ミラージュ》を場に出したことで、私の手札は0枚になったわね」
 …………。
 あれ? なんか……急に嫌な予感がしてきた。何だ、この感じは……?
「じゃあ、もう一度《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・ドワーフ》と《インフェルニティ・デーモン》をリリースして、デッキから2枚目の《トリシューラの鼓動》を特殊発動! その効果により、あなたの場と手札と墓地のカードをそれぞれ1枚除外する!」
 2枚目のトリシューラ来たぁぁぁぁぁぁ!!!!! 何だそりゃああああああああ!!!!????
 《トリシューラの鼓動》……つい今さっき鷹野さんが発動したオリカが、またも姿を現した。お……おかしいだろコレ!?

 トリシューラの鼓動
 (儀式魔法)
 自分の手札が0枚の場合、自分フィールド上に存在する「インフェルニティ」と名のついたモンスターを3体以上、レベルの合計が9になるようにリリースする事で、このカードはデッキから発動できる。
 この方法でこのカードを発動した場合、相手の手札・フィールド上・墓地のカードをそれぞれ1枚までゲームから除外する。
 その後、自分の墓地・デッキから「魔法少女トリシューラ」1体を降臨させる。
 上記の方法以外でこのカードを発動した場合、このカードをデッキに戻しシャッフルする。

「オ〜ッホッホッホ! 消えなさぁ〜い!」
 《トリシューラの鼓動》の効果によって、僕の場の《ギガンテス》、手札の《天よりの宝札》、墓地の《天使の施し》が除外された。チキショオ〜〜〜他人のカード荒らしやがって〜〜〜!!!
「そして、デッキから魔法少女が儀式召喚されるわ。降臨せよ、《魔法少女トリシューラ》!」
 さんざん他人のカードを荒らしておきながら、鷹野さんは2体目の魔法少女を降臨させた。そう、攻撃力2700を誇る魔法少女が降臨したのだ!

 魔法少女トリシューラ
 儀式・効果モンスター ★9 水属性 魔法使い族
 「トリシューラの鼓動」により降臨。
 手札からこのカードを墓地へ送る事で、自分の手札を任意の枚数墓地へ送る事ができる。
 攻2700  守2000


【パラコン】 LP:8000 手札:1枚
 モンスター:デス・ウォンバット(攻1600)
  魔法・罠:なし

【鷹野麗子】 LP:8000 手札:0枚
 モンスター:魔法少女トリシューラ(攻2700)、魔法少女トリシューラ(攻2700)、インフェルニティ・ミラージュ(攻0)
  魔法・罠:うずまき(フィールド)

 おかしい……これは絶対におかしい! 変だろこれどう見ても!!
 というか、今のデュエルの状況、ついさっきも見たような気がするんだけど。「《魔法少女トリシューラ》+《インフェルニティ・ミラージュ》+手札0枚」っていう状況、さっきも見たような気がするんだけど。気のせい?
「そろそろ仕上げと行くわ。《インフェルニティ・ミラージュ》の効果発動! 手札が0枚のとき、このカードをリリースすることで、墓地のインフェルニティモンスター2体を復活させる! 私は《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・ドワーフ》を復活! そして、《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果発動! 私の手札が0枚だから、墓地からインフェルニティモンスターを1体復活させる! その効果で《インフェルニティ・デーモン》を復活! さらに《インフェルニティ・デーモン》の効果! 手札が0枚のときに《インフェルニティ・デーモン》が特殊召喚されたため、デッキから『インフェルニティ』と名のついたカードを1枚手札に加えることができる! 私はトラップカード《インフェルニティ・ブレイク》を手札に加える! 《インフェルニティ・ブレイク》は場にセットしておくわ」

【パラコン】 LP:8000 手札:1枚
 モンスター:デス・ウォンバット(攻1600)
  魔法・罠:なし

【鷹野麗子】 LP:8000 手札:0枚
 モンスター:魔法少女トリシューラ(攻2700)、魔法少女トリシューラ(攻2700)、インフェルニティ・ネクロマンサー(守2000)、インフェルニティ・ドワーフ(守500)、インフェルニティ・デーモン(攻1800)
  魔法・罠:うずまき(フィールド)、伏せ×1(インフェルニティ・ブレイク)

 ……もう泣きたくなってきたんだけど。何この展開能力。しかも、今のデュエルの状況も、ついさっき見たよね? 「《インフェルニティ・ネクロマンサー》+《インフェルニティ・ドワーフ》+《インフェルニティ・デーモン》+手札0枚」って状況、さっきも見たよね?
 つまり、次に来るカードは……アレしかない。
「これで私の手札は0枚ね。また《インフェルニティ・ネクロマンサー》と《インフェルニティ・ドワーフ》と《インフェルニティ・デーモン》をリリースして、3枚目の《トリシューラの鼓動》をデッキから特殊発動! パラコン! あなたの場と手札と墓地のカードを除外する!」
 ほらほら! やっぱりトリシューラだよ!! もう嫌なんだけど!! 勘弁してくれよ!!

 トリシューラの鼓動
 (儀式魔法)
 自分の手札が0枚の場合、自分フィールド上に存在する「インフェルニティ」と名のついたモンスターを3体以上、レベルの合計が9になるようにリリースする事で、このカードはデッキから発動できる。
 この方法でこのカードを発動した場合、相手の手札・フィールド上・墓地のカードをそれぞれ1枚までゲームから除外する。
 その後、自分の墓地・デッキから「魔法少女トリシューラ」1体を降臨させる。
 上記の方法以外でこのカードを発動した場合、このカードをデッキに戻しシャッフルする。

「オ〜ッホッホッホ! 消えなさぁ〜い!」
 3枚目の《トリシューラの鼓動》の効果により、僕の場の《デス・ウォンバット》、手札の《バトルフェーダー》が除外された(墓地はスッカラカンだったため、もう除外されなかった)。これで、僕は場・手札・墓地のカードを全て消されたことになる。ひ……ひどい……!
「そして、3体目の《魔法少女トリシューラ》が、デッキから降臨するわ」
 んでもって攻撃力2700のモンスターがぁぁぁぁぁあああ!!!! もう嫌だぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!

 魔法少女トリシューラ
 儀式・効果モンスター ★9 水属性 魔法使い族
 「トリシューラの鼓動」により降臨。
 手札からこのカードを墓地へ送る事で、自分の手札を任意の枚数墓地へ送る事ができる。
 攻2700  守2000


【パラコン】 LP:8000 手札:0枚
 モンスター:なし
  魔法・罠:なし
    墓地:なし

【鷹野麗子】 LP:8000 手札:0枚
 モンスター:魔法少女トリシューラ(攻2700)、魔法少女トリシューラ(攻2700)、魔法少女トリシューラ(攻2700)
  魔法・罠:うずまき(フィールド)、伏せ×1(インフェルニティ・ブレイク)

 もうやだ……こんなのイジメだ。つーか、どう考えてもおかしいだろ! I2社は今すぐに《トリシューラの鼓動》に制限指定をかけるべきだよ! つーか、《トリシューラの鼓動》なんてオリカを作成した作者が、僕に対して土下座するべきだよ! なんでこんなオリカ作ったんだよ! いくらなんでもこれはひどすぎだろ!
「これで安心して攻撃できるわね。じゃあ、バトルフェイズ。3体の《魔法少女トリシューラ》でダイレクトアタック!」

 パラコン LP:8000→5300→2600→0

 《うずまき》の効果で8000まで増えたライフが、たった一度のバトルフェイズで消し飛んだ。ああああああ!!! もう何だよこれぇぇぇぇえええ!!!
「あら、また1ターンキルになっちゃったわね。つまらないわ。もっと頑張りなさいよパラコン」
 頑張れって……! いや、対戦相手の場・手札・墓地を空にしておいて、その言い方はないんじゃないの!? 頑張りようがないからね!? いくら頑張りたくても、頑張りようがないからね!? 僕、これでも精一杯頑張ったからね!? 本気で勝ちに行ってたからね!?
「そんなことだから、あなたは6位なのよ。まったく、だらしないわね。主人公のくせして、トリシューラの1匹や2匹や3匹倒せなくてどうするのよ」
 それは真面目に言ってるんですか? それともギャグで言ってるんですか?
「ま、しょせん6位のパラコンじゃあ、高が知れてるわよね。期待するだけ損かしら?」
 うるせぇぇよ!! 6位6位言うんじゃねーよ! 何が「高が知れてる」だよ! 僕だってやるときはやるんだからな! すげーんだからな! なめんじゃねーぞ!!
「鷹野さん、もう一度デュエルだ! 今度こそ僕が勝つ!」
 このまま引き下がるのは気に食わないので、僕はもう一度鷹野さんにデュエルを挑んだ。今度こそは絶対に勝つぞ! トリシューラが何匹出ようと僕が勝つ!
 しかし。
「嫌よ。もう飽きちゃったし。とりあえず、こいつを喰らいな!」

 ――シュウウウッ!

 鷹野さんはデュエルを拒否し、僕に向かって消火器をぶちまけてきた! チキショオ!! またかよ!? あああああああ!! 目がぁぁぁぁ!!!
 消火器がぶちまけられたことで周囲が真っ白になる。そして、真っ白な世界にあの女の声が響いた。
「じゃあね、ゴキボールに敗北した6位のパラコン。消火器はその辺に転がしとくから、テキトーに処分しといて」
 ふざけんな馬鹿女が!! 自分でぶちまけたんだから自分で処理しろよ!! つーか、いつもテメーが消火器をぶちまけたあと、誰が片付けてやってると思ってるんだよ! 今まで描かれることはなかったけど、実は僕がいつも後片付けしてやってたんだからな!! 少しは感謝しやがれコンチキショオが!!
「さらばだ! マボーイ!」
 マボーイって言うんじゃねーよアホッタレが!! あぁぁ〜〜目が痛い〜〜〜!
 くそぉぉぉ〜〜……あの女、覚えてろよ! いつか必ずギャフンと言わせてやるからな! 首を洗って待ってやがれ!


 真っ白な世界の中、僕は目を痛めつつ、「鷹野さんに勝つ」という決意を新たにするのだった。
 僕と彼女の因縁は、まだまだ終わりそうにない……。





〜Fin〜










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