プロジェクトGL

製作者:あっぷるぱいさん




「プロジェクトVD」が未読の方は、まずそちらからお読みください。



 皆さん、僕を覚えてますか?
 そう、僕の名は……公式的には無い。
 でも、「プロジェクトVD」を読んでくれた人なら、分かるんじゃないかと思う。

 さて、僕はあれから永遠のライバル「鷹野麗子」をギャフンと言わせるために、いろいろと準備を進めている。
 もう勝ち方は決めている。奴から渡された『ゴキボール』のカードを使って倒す。それが僕の、フィナーレのヴィジョン!!

ゴキボール
★4/地属性/昆虫族
攻1200 守1400
ファッキン! どう見てもチョコレートには見えねえよ!!

 今、僕の手元にある『ゴキボール』のカードは2枚。これだけでは足りない。本気で『ゴキボール使い』になるつもりならば、あと1枚『ゴキボール』が必要だ。あと1枚……。
 しかし、『ゴキボール』のカードはもう絶版になってるみたいで、カードショップに行ってもまず手に入らない。友人などに聞いてみても、「ドブに捨てた」とかぬかすので、やっぱり手に入らない。

何だよ、このカード雑魚じゃん! ドブに捨ててやれ!
(魔法カード)
Oh! No!!
カードを粗末にするとは許せまセ〜ン!
パニッシュメントゲ〜ム!!

 だが、僕は苦労の末に、『ゴキボール』を持つ人間を見つけ出した。これから、その人間に『ゴキボール』を手渡してくれるよう、交渉に行くところだ。
 何が何でも、『ゴキボール』をこの手に取り込んでやる!!
「ちょっと君、いいかね?」
 ん? 誰かが僕を呼んだ。振り向くと、スーツ姿の男性がいる。何だろう? は!? まさか、悪徳セールスの類か!? く! やばい!
「……はい。何でしょう」
「ちょっと署まで来てもらおうか?」


●     ●     ●     ●     ●     ●     ●


「ストーカー行為なんてしてませんよ」
「けどね〜キミ。被害者の証言があるのよ。『毎日誰かにつけられてる』って。で、この写真。被害者が自分をつけてくる奴の顔を写真に収めたの」
 僕の目の前にいる「刑事」を名乗る男は、テーブルに置かれた数枚の写真を示した。あぁ、確かに僕が写ってるね。この甘いマスクは僕以外の誰でもない。
「それが何か?」
「要するにね、キミが被害者をストーキングしてたってことでしょ? 分かる?」
 馬鹿じゃないのかこいつ。僕はストーキングなんかしてない。僕がやったのは尾行だ。
 大体さ、被害者の名をよく見ろよ。

被害者:鷹野麗子

 こんな女の言うこと真に受けて、痛い目見るのはお前らなのに。絶対騙されてるよこいつら。ププーッ!! バーカバーカ!! 『ゴキボール』がお似合いだ!
 こんな奴らに日本の治安は任されているのか。何だか情けなくなってきた。全くもって時間の無駄だよ。さっさと無実を証明して帰ろう。
「あのですね〜。僕、ストーカー行為なんてしてませんよ。これはアレです……」
「ほぉ〜。アレ? 何ですか?」
 僕は目の前にいるアホウどもにも分かるように、分かりやすく説明してやった。
敵の調査です。敵と戦うにはまず、敵を知らなければならない
「……ほぉ」
 このくらいは理解できるようだ。安心したよ。じゃあ、続けようか。
「故あって、僕と彼女は敵同士でね。しかし、今の僕の実力じゃあ、彼女には到底及ばない。だが、どんな人間でも弱点はある。だから、まずは彼女の戦力を調査することにより……」

かくかくしかじか
(魔法カード)
話を短縮し、ストーリーを高速回転させる。




 かくかくしかじかで、僕は牢屋にぶち込まれた。ふざけんなよあのクソ刑事! 人の話は最後まで聞けっての!!
 しかし……、周りが犯罪者だらけってのは恐ろしい。あちこちから身の毛もよだつ犯罪者のうめき声、叫び声、呟きが聞こえてくる。くそ! 僕は無実だ! 魔法カード発動!!

弁護士を呼べ!!
(魔法カード)
このカードは牢獄の中では発動できない。
自分の士気が50ポイントアップする。

 牢獄の中からじゃ、弁護士は召喚できない。ダメだ! 打つ手が無い!!
 と、その時突然、僕の耳に、遠くの牢屋から犯罪者の叫び声が聞こえた!





「ヒィィィィィィィィ〜! ヒ……助けて……来る来る来る助けて……来るああああ! 来る……来る……来る……来る……マリク様が……」



 うわわぁ〜〜やっぱり怖い! 絶対あの人狂ってるよ! のやりすぎで幻覚を見てるんだ! やだやだやだ! もう帰りたい!!
 僕は頭を抱えた。何とかこの空間から抜け出す方法を考えなければ!
 そう考えていた時だった……。
「よぉ。お前新人か?」
「??」
 隣の牢屋から壁越しに男の声が聞こえた。うわぁ〜、やだよ〜! 犯罪者に話しかけられたよ〜! 怖い! 助けて!! 顔が見えないというシチュエーションが余計怖い!!
 でも、無視したら何されるか分かんないから、とりあえず応じておこう。
「う……うん。今日連れてこられたんだ……」
「ほぉ、そうか。罪名は?」
 罪名だと!? 僕は何もやってないよ! で……でも、何か言わないと殺されるかも知れない……。とりあえず、本当のことを……。
「うん。何か、ストーカーの濡れ衣を着せられて……」
「濡れ衣? ってことはアレか? お前無実なのか?」
「う……うん……」
 しばらく沈黙。やばいよ。心臓止まりそうだ……。僕を救ってください、神様ぁぁぁああぁああぁ!!
「負けるなよ」
「!? ……?」
 ……え? 今何て言った?
「絶対に警察に屈するなよ。闘い続けてりゃ、いつか必ず希望は見えてくるぜ」
「?? ……うん」
 あれ? 応援してくれてるのか? ……そんな悪い人でもないのかな? あ! ひょっとして、この人も無実の罪を着せられて……
「ちなみの俺の罪名は、恐喝、暴行、窃盗、殺人未遂、狂戦士の魂、その他9種類だ。ま、仲良くやろうや」
 キィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!
 もう止めて!! とっくに僕のライフは0よ!!




 しばらくして、隣の男――「囚人番号99番」がまた話しかけてきた(ちなみに僕は「囚人番号44番」。9とか4とか、何で縁起の悪い数字ばっかなんだよ!!)。
「お前さ、趣味とかってあるか?」
 今度は趣味か……。この人は、恐喝、暴行、窃盗、殺人未遂、狂戦士の魂、その他9種類の罪を犯しているほどの男だ。無視してはいけない。

俺は強い奴の味方
(装備魔法カード)
自分の安全率は40ポイントアップ!
自分の主張率は20ポイントダウン!

「趣味は……M&Wかな」
 とりあえず本当のことを言っておく。嘘ついてバレたら、地獄の底まで追ってきそうだし……。
「M&W? 奇遇だな。俺も趣味はM&Wだぜ」
 お? 趣味が一致した。でも全然嬉しくない!
「へ……へぇ〜。どんなデッキを使うの?」
 会話が途切れないように、こっちからも質問をぶつけておく。今気付いたんだけど、話しかけられることより、沈黙してる間の方が怖いんだよ!!
「俺のデッキタイプか。聞いて驚くなよ。……俺、見た目はこんなんだけどさ……」
 ごめんなさい。ここからじゃ姿は見えません。
「……実はさ、『ゴキブリ・ロック』ってデッキを使うのよ」
 …………は?
 ……ごきぶりろっく? 何それ? そんな名前のデッキ、聞いたことないぞ……。
 「ロック」ってことは、敵の攻撃を封じるデッキ……ってことだよな……。じゃあ、「ゴキブリ」って……。
 ……まさか……『ゴキボール』を最大限に生かしたロック戦術のことか!? だとしたら聞き捨てならないぞ!!
「それって……どういうデッキなの?」
 実に興味深い。『ゴキブリ・ロック』って、一体何なんだ!? スゲー気になる!!
「聞きたいか?」
「う……うん……」
「……ちょっと話が長くなるが……いいか?」
 話が長くなる? そんなに難しいテーマのデッキなの? うわぁ〜……ますます気になるよ〜!
「うん、かまわない! 教えてよ!」
「……あまり言いふらすなよ。ちょいと危険な話だからな……」
 何だか、重たい雰囲気で話は始まった。……一体、どんな秘密が……?
「あれは……まだM&Wができたばかりの話なんだが……」
「う……うん……」
 僕たちは声のボリュームを下げて、壁に近寄って会話をする。周囲の者に聞かれないように……。
「……M&Wの生みの親である『ペガサス・J・クロフォード』が、ある巨大プロジェクトを立ち上げたんだ。その名も……『プロジェクトGL』!」
「!! あのペガサスが!?」
 何と!! これは……エライ展開になってきた! まさか、M&Wの生みの親が関わってくるとは!!

超・展・開
(魔法カード)
読者は3cmくらい動揺する。

「……な……何なの? その『プロジェクトGL』って!?」
 やばいよ、やばいよ。スッゲー気になる! 何なんだよ、『プロジェクトGL』って!!
 僕はドキドキしながら、囚人番号99番の話に耳を傾けた。
「その『プロジェクトGL』は、どんな計画かって言うと……」
「……(ゴク)」





ガチャリ


「囚人番号44番! 取調べだ!! 出ろ!!」
「!!!????」
 ちょ……ちょっと待ってよ!! こんな時に取り調べ?! 意味分かんねえよ!! すっごく気になるところで止まっちゃったじゃないか!! 空気読め!!! だぁぁああ!! 離せ! まだ僕の疑問は解決してないぜ!!
 く……くそ! 気になって気になってしょうがない!! 喉に魚の骨がつっかえた時の気分にそっくりだ!! た……助けて! あ! まだ扉を閉じるな! 痛い痛い!! 挟んだ!!

空気読まない
(KY罠カード)
場の雰囲気を全て破壊する。




「キミがあまりにも往生際が悪いからね、被害者に来てもらったよ」
 あ、鷹野さんが来てる。被害者? 何のこと? 知ったことじゃないやい! それよりも僕は、『ゴキブリ・ロック』の正体が気になってるんだ!
「はい、間違いなくこの人です。この人……私のあとをいつもつけてきて……私……怖くて……」
 近くにいた鷹野さんは俯いてしまった。一見泣いているようにも見えるけど、僕には分かる。あれは、周囲の人間の同情を誘うための常套手段だ。無駄だよ。私はユーの考えなどお見通しデ〜ス。鷹野ガ〜ル。
 何か「刑事」を名乗る男がウダウダ言っているが、こんな奴の戯言なんて、僕の耳には1oたりとも入らない。それよりも気になるんだよ、『ゴキブリ・ロック』の正体が。『ゴキブリ・ロック』の秘密が分かるまでは、死んでも死に切れない。
「キミ。人の話はちゃんと聞かなきゃダメだろ〜。そんなんじゃ、いつまで経っても出られないよ」
 うるさいなぁ〜〜!! 今(脳内が)忙しいんだよ!! くそ!! こうなったら……

ゲームをしようぜ!
(魔法カード)
あらゆるトラブルを、ゲーム1つで片付ける。

「あんたは俺の心の領域を冒した……。よって、俺の遊び相手になってもらうぜ!」
「大人をからかうんじゃない!!」
 空気読めよコイツら!! この小説が何の二次創作だと思ってんだよ!!!

空気読まない
(KY罠カード)
場の雰囲気を全て破壊する。

 もうダメだ……と思ったその時だった。
「いいわ。私が相手になる。どんなゲーム?」
 お!! 空気の読める奴がいたか……ってあんたかよ、鷹野さん。
 まあ丁度いい。こないだ僕が受けた屈辱を100倍にして返してやるよ。
「うーん、そうだね。やっぱり決闘だ!」
「分かったわ」
 鷹野さんがデッキを取り出し、テーブルに着いた。僕は、捕まる際に没収されたデッキを返してもらい、鷹野さんと向き合うようにテーブルに着く。
 決闘スタート!!

僕 LP:4000
鷹野さん LP:4000

 腕相撲の結果、鷹野さんが先攻を取ることになった。
「私のターン、ドロー」
 鷹野さん……また、こないだみたいに、『ダーク・ネクロフィア』による攻撃封じを狙ってくるか……?

〜僕の手札〜
天よりの宝札  魔法除去細菌兵器  ゴキボール  カイザー・グライダー  『守備』封じ

 フフ……。まず『天よりの宝札』は、ご存知の通り、互いに手札が6枚になるようにカードをドローできる魔法カード。これがあれば、手札を多少使いすぎたとしても、問題はない!
 次に『魔法除去細菌兵器』。相手の手札及びデッキから魔法カードを10枚墓地に送るウイルスカード! これで奴のデッキに壊滅的な打撃を与えられる!
 そして僕の切り札、『ゴキボール』!! こいつで奴の息の根を止めれば、僕のミッションは達成だ!! ククク……。
 上級モンスター『カイザー・グライダー』。特殊能力は無いが、攻撃力は2400と高いので、隙があれば、召喚してやりたいところだ。
 最後に、罠カード『『守備』封じ』! 相手が「守備」を宣言した時に発動し、強制的に攻撃表示にするカード! 永続罠なのか使い切り罠なのかが曖昧だが、今回は永続罠として使わせてもらうよ。これで奴の逃げ道は無い!!
 さて、鷹野さんは何を出してくるのかな……?
「私は、魔法カード『うずまき』を発動!」
 !!? 『うずまき』ぃぃ〜〜!!??? 確かそのカードは、城之内の手札にあったものの、使われることは無かったカード! 故に効果は不明!! まさか……作者が勝手に考えたのか!?
 と……とりあえず、テキストを確認してみよう……。

うずまき
(フィールド魔法カード)
フィールドは「うずまき」となり、全ての常識は覆る。

 ……って何だこのテキスト! 意味不明だよ!! つーか、フィールド魔法なの??
 いや、待て。落ち着こう。テキストが意味不明な場合は、持ち主がちゃんと効果を説明してくれるから大丈夫だ(例:『地獄詩人ヘルポエマー』)。
 耳を研ぎ澄ませ、彼女の説明を聞こうじゃないか。
「このカードによって、場の地形は『うずまき』となり……全ての常識は覆る!!」
 ……って、そのままじゃねえか! ふざけるな!!
「『うずまき』の効果発動!!」

僕 LP:4000→8000
鷹野さん LP:4000→8000

 嘘ぉ!?! 何で?? 何でライフポイントが増えたの?!
「変化したのはライフポイントだけじゃない。手札を見てみなさい」
 僕の心中を察したかのような鷹野さん。く……手札を見てみろ、だと? 一体何が……?

〜僕の手札〜

天よりの宝札
(通常魔法)
自分の手札と自分のフィールド上に存在する全てのカードをゲームから除外する。
自分の手札が2枚になるようにカードをドローする。

魔法除去細菌兵器
(通常罠)
フィールド上の自分のモンスターを生け贄に捧げる。(トークンは除く)
生け贄に捧げたモンスターの数だけ、
相手プレイヤーはデッキから魔法カードを選択し墓地に送り、
その後デッキをシャッフルする。

ゴキボール
★4/地属性/昆虫族
攻1200 守1400
ファッキン! どう見てもチョコレートには見えねえよ!!

カイザー・グライダー
★6/光属性/ドラゴン族
攻2400 守2200
このカードは同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘では破壊されない。
このカードが破壊され墓地へ送られた時、
フィールド上のモンスター1体を持ち主の手札に戻す。

『守備』封じ
(通常魔法)
相手フィールド上の守備表示モンスターを1体選択し、表側攻撃表示にする。

 !??? ちょっと待て!! 何で『天よりの宝札』と『魔法除去細菌兵器』が弱体化してんの??! 扱いづらいことこの上ないじゃん!! 『ゴキボール』は……変化なしか。……あ、『カイザー・グライダー』は特殊効果がついてる。ラッキー! 『『守備』封じ』は……何か微妙……。
 しかし……、一体どういうことだ? カードのテキストが変化するなんて……。
「フィールドの地形が『うずまき』になっている限り、決闘のルールは、原作ルールからOCGのルールに変化するわよ」
 …………はい?
 ちょっと落ち着こうよ。何それ? ルールを変化させる魔法なんてアリかよ? て言うか、『うずまき』って原作出身のカードだろ? 二次創作とはいえ、勝手に効果を考えるというのは……。いや、効果を考えるのはいいとしてもだ。こんな無茶苦茶な効果にするのはまずいんじゃないか? 原作ファンは許さないと思うぞ?

超・展・開
(魔法カード)
読者は3cmくらい動揺する。

「じゃあ、魔法カード『天使の施し』を発動。デッキから3枚引いて、2枚を捨てるわ。捨てたカードの中に『処刑人−マキュラ』があったわね……」
 ……『処刑人−マキュラ』……。あのモンスターが墓地に送られた瞬間、手札から罠カードを発動できるんだよな。だが、手札を全て捨てるというリスクが……ん?

処刑人−マキュラ
★4/闇属性/戦士族
攻1600 守1200
このカードが墓地へ送られたターン、このカードの持ち主は手札から
罠カードを発動する事ができる。

 の……ノーコスト……。恐るべし、OCGルール……。
「私はこのターンだけ、手札から罠カードを発動できる。そしてOCGルールでは、1ターンに手札から出せる罠カードの枚数に制限は無い……」
「…………」

かくかくしかじか
(魔法カード)
話を短縮し、ストーリーを高速回転させる。



 かくかくしかじかで、僕はあの後、罠カードのオンパレードで1ターンキルされた。けど僕は、負けたとは思っていない。だって、あんなカード反則じゃん!!
 それで結局、僕は牢屋に戻ることになったわけだ。……あ、そうだ! 『プロジェクトGL』が何なのか、囚人番号99番に聞かなきゃ! 『ゴキブリ・ロック』の秘密を明らかにするぞ!!
 ……と思ったのはいいが、何だかんだ言って、実はもう夜なんだよな。みんな寝ちゃってるよ。あちこちから犯罪者のいびきやら、寝言やら、歯ぎしりやらが聞こえてくるし。
 囚人番号99番がいる牢屋を少し見てみる。……やっぱり、寝てるや。ようやく姿が拝めたけど、かなりデカイ体つきだ。無理やり起こしたら殺されるな、絶対。

 仕方ない……。今日は諦めて、明日続きを聞こう。大丈夫だ。まだ時間はあるんだから。僕ももう寝よう。……くそ! ベッド硬いな……。



「……ら……か……」



 ……何か聞こえる。これは寝言だな。隣の牢屋にいる、囚人番号99番の寝言だ。どんな夢を見てるんだろう? ちょっと、耳を澄ませてみよう。





「あら〜〜!! 金だ!! カネカネ!! 金だらけだ〜〜!! うれしぃ〜〜楽しぃ〜〜!!」



 ……どうやらいい夢を見ているらしい。億万長者にでもなったのかな? たとえ牢獄の中にいようと、夢を捨てないその精神の強さに、僕は感動を覚えた。
 そうだよな。諦めなければ、いつかは報われるはずだよな……。よし! 僕も囚人番号99番を見習って、希望を捨てずに闘い続けよう! 勝利を掴むその日まで!!
 待ってろよ! 鷹野麗子!!



 僕の戦いは始まったばかりなんだ!!



〜Fin〜








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