DUEL!!!

製作者:火炎龍さん




1章 凡骨の挑戦

真夏以上の日差しが照りつける、砂漠の地。

遊戯達はバトルシティ、記憶戦争を制し闘いの儀を受ける為、エジプトに来ていた。
他にも彼の仲間の城之内らや、宿命のライバルである海馬も来ている。

そして、闘いの儀を翌日に控えた夜。
一時間ほど前までは、闘いの儀を行うのは誰かという騒動が起きていたが今は落ち着いている。

「はぁ・・・暇だなあ・・・」

城之内は自分の部屋のベッドで、デッキを眺めていた。
彼は最近、決闘をしていない為、暇である。
しかし、遊戯は対戦を翌日に控えているので、もう寝てしまっている。
他の皆はカードを持ってきていない。


「・・・・・・・・・」

こちらは海馬の部屋。
海馬も城之内と同じ様に、デッキを眺めている。
彼もまた、城之内と同じ様な心境なのである。
暇で仕方が無い。

「ちきしょ・・・誰か対戦相手いねえかなぁ・・・マトモな」

城之内がそうぼやく。マトモな、と言うのは素でモンスターばかり入れている本田等の人の事ではない。
彼が常に追い求めるのは、自分より力が上だと思われる決闘者。

「・・・!!!そうだ、海馬!!!」

とっさの思いつきで、大声を出す城之内。
彼はさっそく、決闘盤を装着し、デッキをセットすると海馬の部屋に向かった。

ドンドンドンドン!!!

「何事だ!?」
海馬は立ち上がり、扉へと足を運ぶ。

「うおーい!!!海馬ぁ!居るんだろ!?」

城之内は夜だと言うのに、マナーそっちのけで大声で海馬を呼ぶ。

ガチャッ

海馬が扉を開けると、城之内を睨みつける。
「やはり貴様か・・・」
呆れた様にそう言うと、また中に入ろうとする。

「おい!待てよ、海馬」

城之内がそう呼びとめ、海馬が足を止める。

「何だ・・・?この俺に何か用か?」

「俺と・・・決闘しねえか?」

城之内の問いかけに対し、海馬はせせら笑うように答える。

「フッ・・・いいだろう、暇潰しになる。後悔しても知らんぞ」

「よっしゃあ!船のデッキで決闘だ!!!」

2人はデッキに足を運ぶと、すぐさま決闘盤を戦闘モードへと切り替える。

「いくぜ・・・」
「フン・・・」

「デュエル!!!」



2章 剣士の闘い

「凡骨よ、貴様に先攻を譲ってやる」

城之内はそれに苛立ちながらも、カードをドローする。

「チッ!ドロー!『リトル・ウィンガード』を守備表示!」

『リトル・ウィンガード』 ☆4 風 戦士
攻撃力1400 守備力1800 効果
このカードは自分のエンドフェイズに1度だけ表示形式を変更する事ができる。

城之内の場に守備が得意そうな、小柄の剣士が出現する。
攻撃力もそこそこあり、相手ターンを守備表示で通過できる有能な戦士族モンスターである。
また、レアリティも高くなく、城之内のお気に入りでもある。

「俺はさらに、場にカードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー!俺は『ブレイドナイト』を攻撃表示!」

『ブレイドナイト』 ☆4 光 戦士
攻撃力1600 守備力1000 効果
自分の手札が1枚以下の場合、フィールド上のこのカードの攻撃力は400ポイントアップする。
また、自分のフィールド上モンスターがこのカードしか存在しない時、このカードが破壊したリバース効果モンスターの効果は無効化される。

先ほどの、リトル・ウィンガードと違い、攻撃力の高く気品のある鎧を装備した剣士が出現する。
レアリティもかなりの物で、効果もかなり便利な優秀カード。

「(俺のブレイドナイトでさえ、奴の『リトル・ウィンガード』は倒せない・・・ならば!」

海馬は手札を確認しつつ、右端のカードを見つめる。
そのカードとは、攻撃力が高めの上級モンスター。
もちろん、『リトル・ウィンガード』の守備力を越している。

「おら〜どうした海馬!?そんなんじゃ、俺のしもべは倒せないぜ」

城之内は手をクイクイさせて、挑発しつつそう言う。

「フン・・・今は攻撃しないでやる。ターンエンド!!」

海馬は挑発に動じず、余裕の表情でエンド宣言をした。

「俺のターン!(海馬は『ブレイドナイト』を生贄に上級モンスター召喚を狙ってる・・・ならば!)」

「俺はリトル・ウィンガードを攻撃表示に変更!」

「何だと!?『リトル・ウィンガード』の攻撃力では『ブレイドナイト』は倒せないはずだ・・・」

「へっへ〜甘いぜ、海馬チャン。俺は魔法カード『右手に盾を左手に剣を』発動!」

『右手に盾を左手に剣を』通常魔法
エンドフェイズ終了時まで、このカードの発動時に存在していたフィールド上の全ての表側表示モンスターの元々の攻撃力と元々の守備力を入れ替える。

ブレイドナイト攻撃力 1600→1000
リトル・ウィンガード攻撃力 1400→1800

「こいつで攻守逆転!『リトル・ウィンガード』を攻撃表示に変更!」

「何だと・・・攻守逆転・・・」
さっきまで、余裕の表情を見せていた海馬だが焦りの表情が見える。

「いけぇ!リトル・ウィンガード!ブレイドナイトを切り刻め!」

ズバァァァァ!!!

ブレイドナイトが無残に崩れ落ちる。

「く・・・おのれ、俺のモンスターを。。。」

海馬LP 4000→3200

実際に受けたダメージは大した事ではないが、海馬にとっては精神的ダメージが強い。

「ヘッ、どうだ海馬!」

「(馬鹿め・・・俺の手札には既に貴様を追い詰める、布石がある・・・)」

余裕綽々の城之内と、不敵な笑みを浮かべる海馬。

船にある時計の針が、夜の12時を指していた・・・

城之内克也 LP4000
リトル・ウィンガード、伏せカード

海馬瀬人 LP3200



3章 接戦

「俺はターン終了するぜ!『リトル・ウィンガード』を効果により、守備表示にしてな!」

さっきまで攻撃態勢だった剣士が、盾を構え守備耐性になる。

「フン、俺のターン!俺は『スピア・ドラゴン』を攻撃表示で召喚する!」

『スピア・ドラゴン』 ☆4 風 ドラゴン
攻撃力1900 守備力0 効果
守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
このカードは攻撃した場合、ダメージステップ終了時に守備表示になる。

大きな翼と細長く、槍の様な嘴が目立つ中型のドラゴンモンスターが場に舞い降りる。
その鋭い眼光は小さな剣士を確実に捕らえている。

「砕け散れ、雑魚モンスター!ドラゴン・スクリュー!!!」

ドラゴンの起こした竜巻により、
小さな剣士はあっけなく、倒れてしまう。

城之内LP 4000→3900

「ぐわ・・・!何で俺のライフが・・・」

「フン・・・、スピア・ドラゴンは貫通能力を持っている・・・最も、攻撃後は守備表示になるがな・・・・」

既に攻撃を終えたドラゴンが、翼を盾の様に丸め、守備耐性になっていた。

「俺は場にカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

「ちきしょう・・・ドロー!」

城之内は海馬の戦術に脅かされながら、自分のターンを浮かべる。
さっきまでの表情とは対照的な、冷や汗がたれた表情である。

「俺は『ワイバーンの戦士』召喚!」

『ワイバーンの戦士』 ☆4 地 獣
攻撃力1500 守備力1200 通常
剣技にすぐれたトカゲ人間。音の速さで剣をふるう。

剣を持った、トカゲ人間が城之内の場に風と共に姿を見せる。

「いけぇ!『ワイバーンの戦士』!ブレイク・スラッシャー!!!」

「フッ」

海馬は鼻で笑うと、決闘盤のセットゾーンにあるボタンを押す。

「罠カード発動!『破壊輪』!!!』

『破壊輪』 通常罠
フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊し、お互いにその攻撃力分のライフポイントダメージを受ける。

「当然、対象は『ワイバーンの戦士』!!!』

ワイバーンの戦士に手榴弾が沢山付いた、輪が装着されたと思うと一瞬の内に爆破された。

城之内LP 3900→2400
海馬LP 3200→1700

「チッ・・・ターンエンドだ・・・」

城之内はライフ差は変わらないものの、自分の場を見てあせりを感じる。
そう、城之内の場には伏せカード1枚しか存在しない。

「行くぞ!俺のターン、『カイザー・シーホース』を攻撃表示!」

『カイザー・シーホース』 ☆4 光 海竜
攻撃力1700 守備力1650 効果
光属性モンスターを生け贄召喚する場合、このカード1体で2体分の生贄とする事ができる。

「更に!『スピア・ドラゴン』を攻撃表示に変更!凡骨よ、終焉の時だ・・・」

もし、この2体の攻撃を受けたら城之内のライフは0になり敗北が決定する。
海馬は自信満々の表情で攻撃宣言をする。

「いけ!『カイザー・シーホース』」

海竜の姿をした、戦士が城之内に槍を構え襲い掛かってくる。

「そうは行くかよ!魔法カード『スケープ・ゴート』!」

『スケープ・ゴート』 速攻魔法
このカードを発動する場合、このターン内は召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
自分のフィールド上に「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)を守備表示で4つ置く。(生け贄召喚のため生け贄には出来ない)

場に伏せてあったカードがオープンすると、城之内の場にカラフルな姿をした小さな羊が4匹出現する。
シーホースの槍が、その内の1匹を貫いた。

「馬鹿め・・・『スピア・ドラゴン』よ!ドラゴン・スクリュー!」

ズガガガガガガガ!!!

「ちきしょう・・・貫通か。。。」

『スケープ・ゴート』によって生み出される羊トークンは、壁にはなるが守備力は0。
『スピア・ドラゴン』の様な、貫通能力を持ったモンスターが弱点である。

城之内LP 2400→500

「ワハハハハハ!!!これが力の差だ!」

「くそったれ・・・」

一転して追い詰められた城之内と、うって変わらず余裕の海馬。
逆転に続く逆転の連続が待っていた。

城之内 LP500
羊トークン×2

海馬 LP1700
スピア・ドラゴン(守備表示)、カイザー・シーホース



4章 大博打

「俺はこのままターンエンドだ。だが、凡骨。貴様には勝つ手段などないだろう」

海馬はあざ笑うように、そう言い放った。
しかし、城之内は真正面から否定するように返す。

「勝負は最後まで分からねえ・・・いくぜ!ドロー!」

城之内は神に祈るような気持ちでドローした。

「フン・・・サレンダーの心構えは出来たか」

海馬はさっきと同じ様な表情で言い放つ。

「ああ・・・心構えは出来た・・・大博打へのな!!!魔法カード『古の変化術』!!!」

『古の変化術』 通常魔法
自分フィールド上にトークンのみが存在する時、発動する事ができる。
自分フィールド上のトークンの数だけ、コイントスを行う。
それらが全て表だった場合、自分フィールド上のトークンを全て破壊し、デッキから☆4のモンスターを破壊した数だけ自分フィールド上に特殊召喚する。
一度でも裏だった場合、自分フィールド上のトークンを全て破壊し、破壊した数×300ポイントのダメージを受ける。

「いくぜ・・・・コインよ、俺の思いに答えてくれえーーーーー!!!」

チリン・・・チリン・・・
1つ目のコインの音が止んだ。

「表・・・だと」

一つ目のコインは当たりである『表』
しかし、効果発動の為にはもう一度表を出さなければならない。

チリン・・・チリン・・・・・・・・・・

一時の沈黙の間、コインは回転し続け、やがて止まった。

「・・・よっしゃあ!表!!!」

「馬鹿な・・・この低確率の賭けを成功させただと・・・」

海馬は驚くようにそう言った。

「いくぜえ!羊トークン2体変化!『鉄の騎士 ギア・フリード』!『漆黒の豹戦士パンサーウォリアー』!」

『鉄の騎士 ギア・フリード』 ☆4 地 戦士
攻撃力1800 守備力1600 効果 
このカードに装備カードが装備された時、その装備カードを破壊する。

『漆黒の豹戦士パンサーウォリアー』 ☆4 地 獣戦士
攻撃力2000 守備力1600 効果
自分のフィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げない限り、攻撃できない。

城之内の場に、鋼鉄の鎧を全身に装備した騎士と剣と盾を備えた、豹戦士が羊が消えたと思うと現れた。

「く・・・・おのれ・・・」

さっきの羊とは比べ物にならない、攻撃力を備えたモンスターの出現に多少なりとも焦りを見せる海馬。

「まだだ!『漆黒の豹戦士パンサーウォリアー』を生贄に・・・『人造人間−サイコ・ショッカー』召喚!」

『人造人間−サイコ・ショッカー』 ☆6 闇 機械
攻撃力2400 守備力1500 効果
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り罠カードは発動できず、全てのフィールド上罠カードの効果は無効になる。

フィールドへ、少しグロテスクな人造人間がパンサーウォリアーを生贄に姿を見せる。

「いくぜ!『鉄の騎士 ギア・フリード』で『スピア・ドラゴン』を攻撃!鋼鉄の手刀!」

ズバァァァァ!!!

鋼鉄の騎士の持つ、手刀により身を裂かれドラゴンが消滅した。

「そして!『人造人間−サイコ・ショッカー』で『カイザー・シーホース』に攻撃!電脳エナジーショック!!!」

海馬LP 1700→1000

「ぐわ!おのれ・・・サイコ・ショッカー、だと・・・」

海馬は思わぬ、強力モンスターの出現に驚く。
それもそのはず、元はこのカード、城之内のカードではない。
このモンスターは城之内がかつて、決闘都市で手に入れた、かけがえの無いカードである。
もちろん、その力は強力で攻撃力も高く、効果が非常に恐ろしいものでもある。

「ヘッ、どうだ!俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

余裕でエンド宣言をした城之内。
しかし、次のドローフェイズ、ドロカードを見た時点で海馬の表情が変わった。

「俺のターン・・・フフフフフ、ワハハハハ!!!貴様の最後だ!」

「何だと!?」

「俺は魔法カード『ドラゴンの遺伝子』を発動!」

ドラゴンの遺伝子 通常魔法
前のターンで自分フィールド上モンスターが戦闘によって、2体以上破壊された時、発動する事ができる。
自分の手札からドラゴン族モンスターを1体通常召喚する。

「このカードにより・・・手札からドラゴンを1体通常召喚できる!!!」

「まさか・・・このタイミングで海馬が出す、ドラゴン族は・・」

城之内は冷や汗をかきながら、フィールドを見た。

「ワハハハハ!!!出でよ、『青眼の白龍』!!!」

『青眼の白龍』 ☆8 光 ドラゴン
攻撃力3000 守備力2500 通常
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。

場に、大きな翼を持ち、青い眼、鋭い牙を持つ大型のドラゴンが舞い降りた。
その姿からは、強者のみが放つ威光も感じ取れた・・・

城之内 LP500
人造人間−サイコ・ショッカー、鉄の騎士 ギア・フリード、伏せカード

海馬 LP1000
青眼の白龍



続く...



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