第三回バトル・シティ大会
〜番外編U〜
製作者:表さん






トレード0 ワイト長者物語

 ――それは三月、第三回バトル・シティ大会を間近に控えた頃のこと。
 童実野高校のある教室は、早朝からざわついていた。今日から学期末テスト、それに向けてテキストを読み返す者、一夜漬けだのヤマ当てだのと会話する生徒がいる中――“事件”は起こった。

「――なんじゃこりゃああああ!!!!」

 城之内克也の、悲鳴にも似た叫びが教室中に響き渡った。
「ど、どうしたの、城之内くん!?」
 それを聞きつけ、遊戯は慌てて駆けつける。
 テスト範囲の勘違いでもしていたのだろうか――と一瞬思ったが、彼はそんなタマではないとすぐに思い直す。そしてその予想は、案の定当たっていた。
「見てくれよ遊戯! コレをよぉ!!」
 城之内が突き出した2枚のカードに、遊戯の両目は点になった。


ワイト  /闇
★★
【アンデッド族】
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
攻300 守200
ワイト  /闇
★★
【アンデッド族】
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
攻300 守200


「……エート。城之内くん、これは……?」
「テスト前の運試しと思って買ったんだよ! 『第三回バトル・シティ大会開催記念 スペシャルパック』って書いてあるから、期待して1パック買ったのに……こんなのが2枚も入ってやがった! くそっ、あのコンビニめ。すっかり騙されたぜ!!」
 別に騙されてはいないのでは……と思うが、遊戯はその言葉を呑み込んだ。
「ハイ解散〜。ま、そんなことだろうと思ったわよ」
 遊戯は杏子に背中を押されながら、本田はぶつぶつとボヤきながら、獏良はアクビをしながら自席へ帰ってゆく。
 普段ならさておき、今はテスト開始前だ。この貴重な時間帯に、城之内のタワゴトに付き合う余裕などない。
 しかしそんな状況下で、すれ違いざま、彼の奇行にコメントする者がいた。

「――フン……凡骨上がりごとき、『ワイト』がお似合いだな」

 登校してきたばかりのその男の言葉に、城之内はピクリと反応する。
 勢いよく立ち上がると、人差し指を彼に突き付けた。
「んだと海馬ぁ! テメー言ってくれんじゃねーか!!」
 海馬は足を止め、鼻で笑ってみせる。
 遊戯は仲裁しようかと考えるが、「アンタはそんな場合じゃないでしょ」と杏子にクギを刺された。
「最強のデュエリストの手元には、常に最強のカードが舞い込むものだ。クク、そんなカード、オレは1枚も持っていないよ」
 多分ウソだな、と遊戯は思った。
 城之内はその後もわめき散らしているが、海馬は涼しい顔で自席についた。
 普段は学校を休みがちな彼だが、テスト期間中だけは渋々登校している。あるいはその八つ当たり、ということなのかも知れない。

「……いま決めたぜ! 次のバトル・シティ大会、このカードを使って――テメーのブルーアイズをケチョンケチョンにしてやる!!」
「面白い。寝言は寝てから言うんだな、凡骨上がり」

 と、そこでチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってくる。
 これはまたとんでもない宣言をしたものだな――と思いながら、遊戯は手元の教科書に目を走らせた。





「――と、いうわけで……何かアドバイスくれよ、遊戯」
「え〜」

 学期末テスト1日目終了後、城之内は遊戯に両手を合わせていた。
 そのやり取りを見たある生徒は、「ドラ○もんのの○太に似てるな」と思ったという。
「つーかハズレカードの1枚や2枚、入ってたって不思議じゃねーだろ? 何ムキになってんだよ?」
「む……2枚じゃねーよ、3枚だ! 前にも1枚当てちまったからな!」
 2枚のワイトを眺める本田に、城之内はいきり立って答える。
 威張ることじゃないでしょ、と杏子がツッコミを入れた。
「くそーI2社め! こんなカードをデッキに入れるヤツなんているわきゃねーのに……なあ遊戯!?」
「……そ、そんなことないと思うケド?」
 遊戯は視線を逸らしながら答える。
 まあ実際、今のデッキには入ってない……ケド。
「ワイトを使ってブルーアイズを倒す……とか言ってたよね。装備カードを何枚も付けるとか?」
「てゆーかアンタ、そんなカードをデッキに入れて、次の大会は大丈夫なわけ?」
 獏良と杏子の質問に、城之内は言葉を詰まらせる。
 だからこそ遊戯えもんに相談したわけなのだが――すると彼は閃いた様子で、人差し指を立てて提案した。
「――じゃあさ、交換(トレード)するのはどうかな? TCG(トレーディングカードゲーム)って、そもそもそういうものだし」
 カードの入手方法には、購入・譲渡の他に、交換(トレード)という道がある。……あと、拾うという選択肢もなくはない。窃盗はダメ、絶対。
「でもよー、元手は『ワイト』なんだぜ? ブルーアイズを倒せるカードなんて……」
「だから、何回もトレードするんだよ。自分が納得できるカードになるまでさ」
 2枚の『ワイト』を眺めながら、城之内はウームと唸る。
 提案してくれた遊戯には悪いが、そう上手くいくとは思えない……などと考えていると、横から杏子が口を出した。
「なんだか“わらしべ長者”みたいね、それ」

 わらしべ長者とは――日本のおとぎ話の一つ。
 昔々、ある貧乏人が、最初に持っていたワラを物々交換してゆき、最終的に“長者”――つまり、大金持ちになるという物語だ。

「――ワラで大金持ち!? スゲェな、ホントかよそれ!」
 おおよその解説を受けた貧乏人、もとい城之内が目を輝かせる。
 だからおとぎ話だってば、と杏子は言い加えておいた。
 しかし俄然やる気を出した城之内は、右拳を大きく突き上げる。
「よっしゃ! 名付けて“わらしべワイト計画(プロジェクト)”――今日から始動だぜっ!!」
 名前としては“ワイト長者計画”になるのではなかろうか――と杏子はツッコみかけるが、それ以上に言うべきことに気づき、指摘した。
「ちょっと! テスト期間が終わってからにしなさい!!」
 学期末テスト期間は三日間。その一日目のことである。




トレード1 ワイトさん→?

「くそ〜、まさか獏良にも断られるとは……わらしべワイト計画、早くも暗礁に乗り上げたぜ」
 学期末テスト期間を無事(かどうかは疑問が残るが)乗り切った城之内は、遊戯と歩きながら頭を抱えていた。
「せっかく前に引き当てた『ワイト』も探して、3枚揃えたってのに。アンデット族だから、獏良を当てにしてたんだがなあ」
「まあ普通のデッキには入らないカードだからね。ボクも要らないし」
 二度とデッキに入れる気は無い、と遊戯は心の中で念を押した。
「つーかそもそも、その昔話のヤツはどうやって“ワラ”なんか交換できたんだよ?」
「えーっと。たしかワラにアブを結び付けたら、赤ん坊が喜んで、ミカンと交換……とかじゃなかったかな?」
「ゲッ! それじゃあ『ワイト』にも、それなりのオマケ付けなくちゃダメか!?」
 いっそ『伝説の剣』でも付けてやるか……などと城之内が悩んでいると、「そうとも限らないよ」と遊戯は返した。
「カードの価値は人によって様々だからね。他のカードとのコンボの組み合わせとか、コレクション目的とか。だからこそトレードが成り立つわけだし」
「……でも『ワイト』だしなあ」
 胡散臭げに『ワイト』を眺める城之内を横目に、遊戯は真面目に考察する。
(たしか『ワイト』のカードには、組み合わせるとすごい力を発揮するレアカードがあるって聞いたことがあるけど……)
 遊戯も話に聞くだけで、目にしたことは一度も無い。
 ともあれ、案じていても仕方がない。仲間内でトレードできないなら、次は――ということで、2人の現在の目的地は“亀のゲーム屋”であった。





「――いいよ。トレードしようか、『ワイト』3枚」
「マジで!? マジでいいのか!?」
 店に着いてものの数分、カバンを置きに行った遊戯が戻るよりも前に、あまりにもあっさりとトレード先は見つかった。
 相手は一見するに清爽な雰囲気の青年で、城之内達より幾つか年上の大学生だった。
「ホホッ。骨川(ほねかわ)くんはワイトマニアじゃからのう。これで何枚目になるんじゃ?」
 店主・双六の質問に「110枚くらいですかね」などと答えながら、骨川は背中のリュックを下ろし、カードケースを取り出す。ちなみにスネ○ではない、断じて。
「骨川くんは結構前からウチの常連さんでの。中学では“非電脳ゲーム部”を創部したほどの熱心さでな……バトル・シティ大会にも2回とも参加しとる猛者じゃよ。今度の大会も参加するんじゃろ?」
 意外そうな表情を露にする城之内に対し、骨川は思わず苦笑を漏らした。
「ハハ、生憎と毎回予選落ちだけどね。でも今年は自信があるよ? 念願のカードも3枚揃ったし。大会で当たる機会があったらよろしく頼むよ。城之内克也くん?」
 一方的に知られていたことに照れ臭さを感じながら、城之内は彼と握手を交わす。
 その後、「今回はダークホースが出場するがのう!」などと唐突に盛り上がる双六をスルーし、2人はトレードの話へ戻ることにした。
「しかし、僕は確かに『ワイト』が好きだけど、すでに結構な枚数を所持しているからね。大したカードとは交換できないよ? 何か要望はあるかな?」
「ああ。それならブルーアイ……いや」
 城之内は口を閉じる。いかに図々しい彼といえども「ブルーアイズを倒せるカードと交換してくれ」とはまさか言えない。
(“わらしべ長者”だって、ちっとずつ良い物に交換してったらしいし……高望みしちゃいけねぇよな)
 ならば――と、城之内は思い直し、言い直した。
「『ワイト』よりちょっとでも攻撃力の高いモンスター……ってのはダメかな?」
「ふむ。その条件で、今あるカードの中で交換しても良いのは……」
 骨川がカードを漁ること1分、その手の動きがぴたりと止まる。
「……少しでも攻撃力が高ければ、それでいいかい?」
 骨川は少し躊躇いながら、3枚のカードを城之内に示した。


はにわ  /地
★★
【岩石族】
攻 500  守 500
はにわ  /地
★★
【岩石族】
攻 500  守 500
はにわ  /地
★★
【岩石族】
攻 500  守 500


「は、『はにわ』……っすか」
 城之内の顔が若干引きつる。何とも言えない表情で、『はにわ』のカードイラストと見つめ合う。
「不服かい? まあ枚数を減らしていいなら、もう少し強いカードにもできるけど」
 城之内はウームと唸り、そして認識を改めた。
(“わらしべ長者”ってヤツも、ちょっとずつ良い物に変えてもらったわけだよな。攻撃力は200上がってるし……)
 そのペースでいけば、十数回のトレードでブルーアイズを倒せるハズ――などと意味不明な計算をすると、城之内は納得顔で頷いた。
「いや、『はにわ』でいいよ。じゃあトレード成立だな」

 その後、遊戯が戻り、城之内は店内でさらなるトレード相手を探すが――生憎と『はにわ』でトレードに応じる奇特なデュエリストは見つからなかった。
 それを見かねたらしい骨川は、帰り際、城之内に耳打ちしていった。

「――僕の住む隣町に最近、新しいゲーム店ができてね。週末は大会が開かれて、人が多く集まるみたいだから……そこで呼び掛けたらどうかな?」

 かくして、城之内の次の目的地は定まる。
 双六の制止を振り切り、3枚の『はにわ』を携え、週末――遊戯とともにその店を訪ねた。




トレード2 はにわさん→?

 ――訪れたその店に対する遊戯の第一印象は、かなり好評なものであった。
 駅前のビルのワンフロアを占めるそのカードショップは、亀のゲーム屋よりも断然広い。品揃えも良いし、雰囲気も良い。何よりお客が活気に溢れていた。

 しかし遊戯は、自分がこの店を再び訪れることは恐らくあるまい――そう思った。その理由は2つ存在する。
 ひとつめは祖父、双六の問題。あまり他のゲーム屋に通おうとすると、彼は激しくいじけるのだ。実際、今日この店に向かう際にも散々泣きつかれた。
 そしてふたつめ、これが決定的なのだが――それを伝えるには、現在の彼の状況を説明せねばならない。

「――遊戯さん、どうすか!? おれのデッキ!」
「―― 一緒に写真お願いします! それからサインも!!」
「――おい横入りするな! ぼくが先だぞ!」

 何人もの小学生たちに揉みくちゃにされ、遊戯は悲鳴をあげていた。
 嬉しい悲鳴、と言いたいところなのだが、ただの悲鳴だ。そもそもこうなったのは、店主と思しき男の仕業であり――遊戯の存在に気付くや否や、あっという間に客寄せパンダにされてしまったのだ。
 おまけに現在開催中の大会に強制参加させられ、自動的に決勝戦相手にシード登録されてしまう始末。実に強引……というかマイペースな店員で、遊戯は拒みきることができなかった。
(亀のゲーム屋は子どもの常連客少ないしなあ……どちらかというと、コアな人向けだし)
 客層の違いをしみじみと感じる。じーちゃんのセンスは古臭いから――などと失礼なことを考えながら、子どもたちに翻弄される。

 その一方で、店内ではデュエル大会が進行していた。
 遊戯の人気っぷりに嫉妬した城之内は、当初目的を忘れて大会参加を表明した。
 そしていま行われているのは準決勝戦(シードの遊戯を除けば決勝戦)なのであるが――そのデュエルを垣間見ながら、遊戯は舌を巻いていた。

(あの女の子……強いな。城之内くん相手に、戦況を一気に引っくり返した)
 大会を間近に控え、城之内のデッキは強化されている。彼の今日のプレイングも決して悪くはなかった――それなのに、ギリギリまで追い詰められている。
 眼鏡をかけた、おっとりとした雰囲気の少女。背まで伸びた髪を三つ編みで一つに纏めていて、推測するに中学生くらいの年齢だ。
 当初、守備寄りと思われた彼女の戦術に、城之内は前のめりに攻め続けたのだが――戦況は1ターンにして覆った。彼女が満を持して召喚した、最上級モンスターによって。

「――この攻撃が通れば……! 『メガロック・ドラゴン』で『真紅眼の黒竜』に攻撃です!」
「ク……まだだ! トラップカード『悪魔のサイコロ』!!」

 最新の“デュエルテーブル”により映し出された小型ソリッドビジョンが、人間の手によらずサイコロを放つ。そしてその出目は――なんと“6”。最高の数字を当ててしまった。
「うっしゃああ! レッドアイズの反撃だ! 黒炎弾!!」
 これで決着だ。
 件の店員が城之内の右腕を高らかに挙げさせ、店内はわっと盛り上がる。
「――決ちゃぁ〜く! 決勝戦進出は、城之内克也選手ぅ!!」
 ノリの良い店員だな、と遊戯は思った。あるいは“亀のゲーム屋”に一番足りない要素は、こういう若々しさなのかも知れない――などとジジくさく考えていると、雰囲気にすっかり毒された城之内が、人差し指を突き付けてきた。

「来たぜ決勝戦!! 今こそお前との宿命に決着を――デュエルキングの称号を賭け、勝負だ!!」

 たかだかショップ大会が、いつからそんなスケールの舞台となったのだろうか――しかし店内は盛り上がり、2人のデュエルは注目される。
 多くの熱い視線が集まる、その中心で――城之内が完膚なき“4ターンキル”を喫したのは、ここだけの話である。





(そうだ……オレは『はにわ』をトレードしに来たんだった。目的を忘れるところだったぜ)
 大会結果を忘れんとするかのように、城之内は当初目的に立ち返る。
 大会後、余計に人気を集めてしまった遊戯を見捨て、城之内はトレード相手を模索した。

「――え、『はにわ』? いらないよ」
「――本物の埴輪とならトレードしてもいいけど?」

 城之内は膝を折りかける。
 まあ、予想できた事態ではあるのだが――『ワイト』はすぐにトレードできたし、と淡い期待は抱いていた。
(ここはやはり『伝説の剣』を……いや『勇気の旗印』も付けるべきか?)
 などと、ブツブツと呟きながら思案していると、不意に声を掛けてくる少女がいた。
「あっ……あの。ちょっとよろしいですか?」
 城之内は顔を上げる。
 そこに立っていたのは、眼鏡の三つ編み少女――先ほど準決勝戦で闘った女の子だった。
「えと、さっきはありがとうございました。バトル・シティ大会ベスト4の城之内さんとデュエルできるなんて、とても嬉しかったです」
 城之内の耳がピクリと動く。
 鼻を高く伸ばし、偉そうに胸を張った。
「そーかそーか! まあお前も結構強かったぜ! オレを本気にさせたデュエリストはお前で六十三番目だ!」
「あ……ありがとうございます。あの、それで、『はにわ』3枚のトレード相手を探しているって聞いたんですが――」
 鼻と胸が即座に引っ込む。
 これには深い事情があってだな――などと言い訳を始めようとするが、その前に彼女が言葉を繋げた。
「――ちょうど探してたんです、『はにわ』。よければトレードしてもらえませんか?」
「……なぬ?」
 城之内は耳を疑った。
「エート……実は『はにわ』マニアとかか? イラストが気に入ってて、コレクションとか?」
「いえ。デッキに入れたくて」
「……1枚だけ?」
「いいえ。3枚入れてみようかと」
 彼の背を戦慄が走った。
(『はにわ』3枚をデッキに入れる……!? どう考えても弱くなるじゃねえか。血迷ったか!?)
 柄にもなく城之内は悩む。
 この未来有望なデュエリストに、果たしてこの『はにわ』を渡して良いものだろうか――などと、上から目線に思い悩む。
「――それで、是非トレードしてほしいんですが……どんなカードがご希望ですか?」
「あ……ああ。そうだな、じゃあ……」
 城之内は言い澱み、そして判断する。
 やはりこの少女に『はにわ』を渡すべきではない――そう結論し、機転を利かせた。
「……ブルーアイズを倒せるモンスターとなら、交換してやるよ」
「!? ブ、ブルーアイズですか!?」
 少女は明らかな狼狽を見せる。
 それは当然だろう――ブルーアイズといえば、M&Wで最強レベルのモンスター。それと同等以上のモンスターなど、どう考えても『はにわ』とは釣り合わない。誰にでも分かる“シャークトレード”だ。
(な、何かのトンチとかかな? 『メガロック・ドラゴン』は渡せないし、他の強いカードも……)
 必死に悩んでいる彼女の様子に、城之内はしたり顔で続ける。
「……無理なのか? じゃあトレードは不成立だな! ブルーアイズを倒せるモンスターじゃねえと、トレードには――」
「――あ、わかりました。ブルーアイズを倒せるモンスターなら良いんですよね?」
 少女は何やら閃いた様子で、手提げバッグからカードケースを取り出す。
 目が点になった城之内に対し、1枚のカードを提示してみせた。


ムカムカ  /地
★★
【岩石族】
このカードの攻撃力・守備力は、
自分の手札の枚数×300ポイントアップする。
攻 600  守 300


「れ、レベル2のモンスター……? 攻撃力600じゃねえか。こんなんじゃブルーアイズは――」
「――いえ、倒せますよ。このモンスターは自分の手札1枚につき、300ポイントずつステータスが上がるんです。なので手札8枚ならブルーアイズと互角、9枚ならそれ以上です! どうですか?」
 クイズの正否を求めるかのように、少女は得意げに問い返す。
 しかし唖然とした表情の城之内に、少女は顔を曇らせた。
 やはり手札8枚というのは無理があったか――と、そのカードを引っ込めようとした、のだが、

「――すげぇ……ホントだ! いいのかよ、『はにわ』なんかとトレードで!!?」

 かくして、妙にハイテンションな城之内の合意により、トレードは成立。
 城之内は「これで“わらしべワイト計画”完結だぜ!」などと意味不明に叫び、異様な喜びを見せながらショップを出て行った。
(なんか……どことなく深冬ちゃんに似てる人だったなあ)
 呆然と、手元に残った3枚の『はにわ』を見つめながら、その少女――岩槻瞳子は微笑を漏らした。




トレード3 ムカムカ→?

 モニター前の皆さん、こんにちは。
 早速だけど、僕のことを覚えているだろうか?
 そう、僕の名はパラコンボーイ……じゃない! たしかにパラサイド混入少年だけど、パラコンボーイじゃない! 決して!!

 あれは違う世界線なんだ。パラレルワールドなんだ。そもそもこの『ワイト長者物語』のプロットは実は“プロジェクトシリーズ”が始まるより前に出来ていたものなんだ。多分。
 つまりこれは、あっぷるぱいさんのストーリーとは関係ない。僕はパラコンボーイじゃない、いいね?

 まあそれはさておき、僕はいま1枚のカードを睨みながら街中を歩いている。
 僕はとても不機嫌だった。それというのも、ついさっき参加したデュエル大会で一回戦負けしてしまったからである。
 くそー鷹野さんめ、相変わらず『うずまき』なんて無茶苦茶な手を……おっといけない、違う世界線だった。あっぷるぱいさんの許可もとってないしね。

 ともかく、僕がデュエルで勝てない原因は、いま睨み続けているカード――『ゴキボール』なんだ。間違いない。
 だって僕は第一回バトル・シティ大会のあの日、羽蛾さん……もとい虫野郎からレアカードをもらう約束だったんだ。それがゴキボールとか。「守備が意外と高いぞ」じゃねーよ! エルフの剣士で倒せないとか、どこのテラフォーマーだオマエは!
 ステータスはさておき、とにかく外見がキモい。せめて増殖とか飛翔とかしてくれたら……いや、やっぱナシ。食事中だった人はスミマセン。

 くそー、未練がましく持ち続けてるけど、誰かコレをレアカードとトレードしてくれないかなあ。たとえばブルーアイズを倒せるような強力モンスターに。って、そりゃいくらなんでも無理が――

 ――ドンッ!!

 次の瞬間、僕の身体は後ろに投げ出され、尻餅をついていた。どうやら誰かとぶつかって転んでしまったらしい。
 常識的に考えるなら、悪いのは前を見ていなかった僕だろう。しかし僕はムシャクシャしていた。その怒りを発散するかのように、衝動的に叫んでしまった。

「いってーな!! どこ見て歩いてるん――」

 その瞬間、僕は咄嗟に顔を俯けた。
 な、なぜここに……マズイ、これはマズイ、マズすぎる。
 ぶつかった相手はあろうことか、例のパラサイド混入事件の被害者――城之内克也だった。

「わりーわりー、ちょっと浮かれててよ。大丈夫か?」

 城之内は軽く詫びながら右手を差し出してきた。まだ僕には気付いていないらしい。
 ど、どうする……? すでに半年以上の時が過ぎている。時効か? これは時効なのか??
 いやいやヤバイって。城之内は元不良ってウワサだし、きっとレアカードのカツアゲとかしてるって! 僕の友達の兄貴からサイコ・ショッカー奪ったらしいし! レッドアイズもダイナソー竜崎のカードだったらしいし! 「カードは拾った」とかじゃなく「奪った」とか、それなんてグールズ!?

「すっ……すみません! 大丈夫です! それじゃあっ!!」

 僕は落としたカードを拾うと、一目散に駆け出した。
 城之内の制止に耳など貸さず、全力疾走で。まさしくゴキブリのような逃げ足で――って、今の例えはダメだな。ナシナシ。とにかく全速力で逃げおおせた。





 暗い裏路地の物陰に隠れながら、僕は肩で息をしていた。
 こ、ここまで来れば大丈夫だろう……疲れた、本当に疲れた。
 まったく、今日はロクでもない一日だった。これというのもやっぱりゴキボールのせいだ。
 そもそもこんなカード拾ってないで、一秒でも早く逃げ出せば良かっ……


ムカムカ  /地
★★
【岩石族】
このカードの攻撃力・守備力は、
自分の手札の枚数×300ポイントアップする。
攻 600  守 300


( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …?!


 こ、これはどういうことなんだキバヤシ!?
 カードがゴキボールじゃなくなってる! 相変わらずキモイ感じだけれども! 岩石族なのに昆虫族っぽいけども!!
 これはまさか噂の……リ・コントラクト・ユニバース! 伝説のデュエリストのみが扱えるとかいうチート技か!!?

 い、いや落ち着けよ僕。たしかにゴキボールじゃなくなってるけど、むしろ弱体化してないか? レベル2だし、攻撃力600しかないとか。
 ……ん? これ特殊能力付きなのか。最近のカードって効果モンスターばっかりだよな。まあレベル2じゃどうせ大した能力持ってないだろうけど、いちおう読んでみるか。えーっと……

 ………………………(黙読中)

 ……うおおおお! なんだこのカード!? めちゃくちゃ強いじゃないか!
 手札枚数に応じて攻撃力上がるとか、あの『オシリスの天空竜』と同じってことだろ!? プチオシリス! プチオシリスじゃないか!!
 なんてこった……「ブルーアイズを倒せるような強力モンスターが欲しい」とか思ってたら、本当に手に入ってしまった。手札8枚以上あればブルーアイズも倒せる!!
 ……え? 手札8枚も持てないって? HAHAHA、これだからシロートは困るんだよ。『無限の手札』って知らない? 永続魔法の。あれ使えば手札何枚でも持てるから。つまり攻撃力無限! 一瞬でこんなコンボを思いつくなんて僕は天才だな! 他に誰も思いつかないに違いない!

「いける……いけるぞこれで! 待ってろ鷹野さん! これで僕の勝ちだ!!」

 ゴキボールを書き換えたことで、僕は完全に“プロジェクトシリーズ”と決別したのだ。
 作者の数だけ世界がある! 僕が鷹野さんに圧勝する世界線だってあっていいはずなんだ!
 僕は新たなる切札『ムカムカ』とともにのぼりはじめた……このはてしなく遠いデュエル坂を……!




トレード4 ゴキボール→?

「くそーっ、油断したぜ! あのガキどこ行きやがった!?」
 パラコン少年が連載打ち切りを喰らったその頃、城之内は街中を走り回っていた。
(思い出したぜ、あのガキ。羽蛾の手下でデッキにパラサイドを入れたヤツだ! てことはこれも羽蛾の策略か!?)
 彼の手にはいま『ゴキボール』のカードが握られている。『ムカムカ』だったはずのカードが、いつの間にか『ゴキボール』になってしまった。
 第三回バトル・シティ大会を間近に控え、城之内の戦力ダウンを画策した羽蛾が新たなる切札『ムカムカ』を奪い去り、おちょくる目的で『ゴキボール』を残したに違いない――というのが城之内の推理だ。まあもちろん違うんだけども。

 一応かいつまんで解説すると、ぶつかった拍子に地面に落ちた2枚のカードが入れ替わった。そんだけの話だ。

 その後、小一時間走り回った末に、城之内は捜索を断念した。
 街中のベンチに腰掛け、手元に残った『ゴキボール』のカードを見つめながら、深い深いため息を吐く。
(『ゴキボール』じゃ誰もトレードしてくれねぇだろうし……ここまでか)
 『ワイト』や『はにわ』に比べれば、確かにステータスは上がっている。上がってはいるのだが……如何せんGだ。増殖したり飛翔しているならともかく、欲しがる人間がいるとは思えない。

「あーあ。捨てちまうのもなんだし……タダでもいいから『ゴキボール』、もらってくれるヤツいねぇかなあ」
「――ここにいますよ」

 城之内はギョッとする。
 いつの間にか目の前に、小中学生とおぼしき少年が立っていたのだ。
「……これは失礼、“G”の名が耳に入ったもので。どこのどなたか知りませんが、そのG……僕に譲っていただけませんか?」
「なっ……なに? 『ゴキボール』をか? マジで??」
 あまりの急展開に、思考が上手く追いつかない。というか正直、展開が雑だ。
「驚くのも無理はありません。しかし僕には、それを求める理由がある。何故なら僕は昔――Gに命を救われた経験があるのです!!」
「なん……だと……!?」
 それから約5分間、城之内は少年の話に耳を傾け続けた。



「――なんてこった……Gがまさか、そんなことをっ……!」
 城之内の全身は、感激に打ち震えていた。
「僕はその日、心に誓ったのです……Gのために生きると! 世界中の人に知ってほしいのです……“G”とはガ○ダムや重力のことではなく、ゴキのことなのだと!!」
「ああ! よく分かったぜ……このカードはお前にこそ相応しい。もらってやってくれ!」
 城之内は惜しげもなく『ゴキボール』を差し出し、少年はしっかりと受け取る。
「ありがとうございます! 次のバトル・シティで、僕は必ず起こしてみせます、“Gのレコン○スタ”を! ……あ、それからこれは僕の気持ちです。Gほどの価値はありませんが……お受け取りください」
 奇しくもトレードが成立し、城之内は確かめることもせず、そのカードを受け取る。
 その少年と別れた後、そのカードを確かめ――見たことの無い効果に、小首を傾げた。


簡易融合(インスタント・フュージョン)
(魔法カード)
1000ライフポイントを払う。
レベル5以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚した融合モンスターは
攻撃する事ができず、エンドフェイズ時に破壊する。
「簡易融合」は1ターンに1度しか発動できない。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)




トレード5 簡易融合→?

「――インスタント・フュージョン……って、けっこう強いカードだよコレ!?」
 翌日、童実野病院のとある病室にて。
 城之内がそのカードを見せると、少女は驚きの声を上げた。

 彼女の名前は神里絵空。
 半年ほど前、とある事件を通し、友達となった少女だ。
 長期入院を強いられてきたため、大会実績は全く無い。しかしその実力は折り紙つきだ。
 近々退院を予定しており、今度のバトル・シティ大会ではダークホースとなろうデュエリストだ。

「……そーなのか? でもライフ1000も払ってレベル5以下の融合モンスターしか出せねぇし……そもそも攻撃できずに、しかも1ターンしかもたねぇんだろ?」
 正直に言って、使い道が良く分からない――というのが城之内の見解だ。
「それはそうだけど、色んな使い道があると思うよ。たとえばー……っと」
 と、絵空はそこで言葉を切り、視線を枕元のパズルボックスへと泳がせる。
 左手で触れると、それのウジャト眼の装飾が輝く。
 次の瞬間、彼女の雰囲気が変わったことに、城之内はすぐ気が付いた。
「――まず思いつくのは、生け贄召喚のサポート……ですよね。特殊召喚できるモンスターの自由度が高いので、生け贄モンスターのステータスや属性を参照する上級モンスターとは好相性だと思います。たとえば私たちの“ガーゼット”とか」
 なるほど、と城之内は相槌を打つ。絵空の――いや、“もうひとりの絵空”のその言葉に。
 パズルボックスに封印された、絵空のもうひとつの人格――裏絵空。あどけなく幼い印象の絵空と対照的に、彼女は落ち着いて大人びた雰囲気を持っている。
(……というか、どうして私に交替したわけ? アナタが説明したら良いじゃない)
『(いやー。こういうのはやっぱり、もうひとりのわたし向きかなーと思って。わたしだと説得力出ないよね)』
 何よソレ、と裏絵空はボヤく。
 一方、城之内はしばらく考えた後に「でもよー」と反論を口にした。
「オレのデッキにはそういう上級モンスターいねぇし……あんま相性良くねぇのかな? 生け贄確保なら他のカードでもできるし」
「いいえ、このカードは単体でも機能しますよ。使い方次第で、城之内さんの言う“ブルーアイズを倒せるカード”にもなります。たとえば……『重装機甲 パンツァードラゴン』という融合モンスター、知りませんか?」
「パ、パンツドラゴン!? 強ぇのかソレ!?」
「……パンツァードラゴンです」
 裏絵空はしっかりツッコんでから、その特殊能力を説明した。


重装機甲 パンツァードラゴン  /光
★★★★★
【機械族・融合】
機械族モンスター+ドラゴン族モンスター
このカードが破壊され墓地へ送られた場合、
フィールド上のカード1枚を選択して破壊できる。
攻1000  守2600


「エンドフェイズに自壊させる能力も“パンツァードラゴン”とは好相性ですし……それ以外にも、今後のカード環境の変遷次第でこのカードは十分に化けると思います」
「へー……そうなのか」
 気の無い返事を返しながら、城之内は想像する――頭に女性下着を被った変態ドラゴンが、ブルーアイズと対峙する姿を。
「うーん……強ぇのは分かったけど、何か違ぇなぁ。オレの理想としては、ブルーアイズを攻撃力で上回りたいんだよな。この魔法カードは使い方があんまピンと来ねぇし……」
「……そうなんですか? すごく良いカードだと思いますが……」
 手元の『簡易融合』と城之内を交互に見やり、裏絵空は目をパチクリさせる。
 想像の世界でパンツドラゴンとブルーアイズが相撃ちになったあたりで、城之内は決断した。
「――んじゃさ、神里のデッキと相性良いみたいだし、何か強いモンスターとトレードしてくれねぇか? ブルーアイズを倒せるカード、とまでは言わねぇから」
「え、いいんですか?」
 裏絵空は心底驚く。
 人生初の大会参加を前に、願ってもない申し出だろう。心の中で合意をとり、頷いてみせた。
(でもそうすると、何のカードとトレードするかよね……同じくらいの価値となると、けっこう強力なカードでないと。バトル・シティ用のデッキは八割方できているけれど、まだデッキに入れるかも知れないカードとはトレードできないし)
『(そうだねえ。何かちょうどいいカードは……あ、そうだ!)』
 ちょっと代わって、と伝え、絵空は再び表に出る。
 そして近くに置かれたカードケースから、1枚のカードを取り出した。


幻想の魔術師  /闇
★★★★
【魔法使い族】
1ターンに1度、自分のメインフェイズ及び相手のバトルフェイズに
ライフを500支払うことで、場のモンスター1体を選択する。
この効果で選択されたモンスターは、エンドフェイズまで
攻撃力が500下がり、攻撃できない。
この効果を使用したターン、このモンスターは攻撃できない。
攻1500  守1100


「これ……マジシャンカードか? 結構強ぇんだろうけど……」
 城之内は言い澱み、頭を掻いた。
 『簡易融合』を絶賛していたし、もっと分かりやすく強いカードを出してくれるかと期待したのだが――正直な話、少し期待外れだった。

『(ちょ、ちょっと待ってよ、もうひとりの私! そのカードは――)』
(――遊戯くんとトレードする予定のカード、でしょ? もっと言うと“半月前にパックから出てきて、もうひとりのわたしから渡す約束だったけど、ずっと渡しそびれてるカード”……だよね?)
『(なっ……そ、それは! 渡そうとする度にアナタが変なこと言うからでしょ!? 私はもっと普通に渡そうと……!)』
(え〜? それじゃツマンナイよ〜。せっかくのプレゼントなんだし〜)
 面白半分、呆れ半分に絵空は告げる。
 とはいえ、第三回バトル・シティを間近に控え、流石にそろそろ渡すべきだろう――ということで、絵空は閃いたのである。

「――あのね、城之内くん。このカード、遊戯くんのデッキとすごく相性良いと思うんだよね。だからこのカードで遊戯くんと再トレードする……っていうのはどうかな?」
「! 再トレード……なるほど、その手があったか」
 城之内は思いだす。
 遊戯自身が言っていたことだ――“カードの価値は人によって様々”だと。
 彼のエースモンスター『ブラック・マジシャン』と似た雰囲気を持つこのカードは、きっとそのマジシャンデッキでこそ真価を発揮するモンスターだろう。
 『ワイト』とのカードトレードは拒まれてしまったが、このカードなら遊戯も応じてくれるに違いない。確信めいた期待を抱き、城之内は頷く。
「ただし! ひとつだけ条件があります。このカードはもうひとりのわたしから遊戯くんに、ど〜〜〜〜しても渡してほしい、って言われたって伝えてほしいの! つまりこのカードは、もうひとりのわたしから遊戯くんへの愛の――むぐっ!?」
 突如として、絵空の口は塞がれる――彼女自身の両手で。
『(よ、余計なことは言わなくていいの!! わ、私は別に遊戯さんのことを……)
「む〜っ! む〜っ!!」
『(べ、べべべ別に、あ、あああアイシテナンカ……)
(も、もうひとりのわたしっ! 鼻っ! 鼻まで塞いでるからっ……!!)

 その後、危うく呼吸困難で死にかけた絵空の手からカードを受け取り、城之内は病院を後にした。
 『簡易融合』をベタ褒めしていた彼女たちの言葉を思い返し、そろそろ目当てのカードが手に入るのではないか――そんな期待を胸に、軽やかな足取りで“亀のゲーム屋”へ向かった。




トレード6 幻想の魔術師→?

「――へえ……すごくいいカードだね。ボクのデッキと相性良いし……ウン、是非トレードしてよ」
 同日、亀のゲーム屋にて。
 つい先日、見捨てて置いて行かれた恨み言も口にせずに、遊戯は城之内にそう伝えた。
「それにしても、すごいね城之内くん。『ワイト』から始めて、もうこんな強いカードになるなんて。カードトレードの才能あるんじゃない?」
「へへ、そーか? まー色々あったんだけどな。羽蛾の陰謀とか、パンツドラゴンとか」
 意味不明な発言を聞き流しながら、遊戯は思い返す。
 決闘王国に向かう船の中でも、彼はキーカードをトレードにより入手していた。やはりそういった才能があるのではないか、と。
「……あ、そういや神里が、遊戯にこのカードをトレードしてほしいとか言ってたぜ。なんかそう伝えといてほしいとか何とか」
「? そうなの? 分かった、今度お礼言っとくよ。それで城之内くんは、どんなカードとトレードしてほしい?」
 待ってましたと言わんばかりに、城之内は食い気味に宣言した。
「――ずばり! “ブルーアイズより強いモンスターカード”で頼むぜ!!」
 遊戯の動きがピタリと止まる。
 もしかして『ワイト』からトレードを始めて以降、ずっとそんな無茶振りを続けてきたんじゃなかろうか――そんな懸念が頭をよぎる。それなんてシャークトレーダー?
「……え、えーっと。単体でブルーアイズを倒せるモンスター、ってなるとちょっと……。他のカードとのコンボが前提なら別だけど」
「むぅ……そうか。遊戯でも難しいのか……」
 城之内は唸り、考える。
 たしかに、遊戯は高攻撃力モンスターで攻め込むよりも、巧みなコンボ攻撃を駆使する印象の方が強い。特にマジシャンカードとのマジックコンボは一級品なのだが――生憎それを使いこなせる自信は、城之内には無かった。
「んー……そうだなあ。この際、マジックやトラップでも良いんだけど。オレにちょうど良さそうなヤツ、なんか無ぇかな?」
「うーん……“ミラーフォース”は1枚しか持ってないし、“ブルーアイズを倒せるカード”ってなると中々……。じゃあさ、城之内くんはボクが今まで使ってきた中で、何か欲しいカードとかある?」
 何でもはあげられないけど、と付け加えた上で、遊戯は城之内に意見を求める。
 それを聞き、城之内は真剣に悩み込んだ。
 今まで背中を追い続けてきた遊戯のカードを、1枚トレードしてもらえる――これはまたとない機会だ。両腕を組んで両目を閉じ、今まで見てきた遊戯の、そして“彼”のデュエルを真剣に思い返す。
(……オレが今まで見てきた中で、一番憧れを抱いたデュエル。その中で、オレが一番スゲェと思ったカード。それは――)
 城之内は両目を見開き、そのカードの名を告げる。
 遊戯は一瞬、驚きの表情を見せたが、「それでいいなら」と頷いてくれた。
 これでトレード成立。『幻想の魔術師』と引き換えに、城之内はカードを手に入れる。

 それは城之内にとって特別なカードだ。
 自分が今もこうしてデュエリストとして闘い続けられているのは、そのカードのおかげと言っても過言ではない――だから彼は誇らしげに、高らかに掲げてみせた。
(いける……いけるぜ! オレはこのカードとともに、次のバトル・シティを勝ち上がってみせる。“真のデュエリスト”として! 待ってろよ海馬、そしてブルーアイズ!!)
 そのカードをデッキに投入し、そして――その威力を確かめんと、店内のデュエルスペースへ向かった。




トレード7 連鎖破壊(チェーン・デストラクション)→?

 遊戯からトレードしてもらったカードを試すべく、城之内は店の常連客をつかまえ、デュエルを挑んだ。
 海馬コーポレーションから貸し出しされている“デュエルテーブル”を用いたデュエル。白熱した戦いの末、城之内はいよいよ相手を追い詰め、ラストターンを迎えんとしていた。

「――いくぜ、これでトドメだ! オレは『鉄の騎士ギア・フリード』を召喚し、守備モンスターを攻げ――」

 ――ブーッ! ブーッ!!

 と、次の瞬間、警告音が鳴る。
 なんだ故障かと城之内は首を傾げ、自分フィールドの伏せカードの下が点滅していることに気が付いた。それを試しにめくってみると、それは紛うことなく、遊戯から受け取ったばかりのカードだった。


連鎖破壊
(罠カード)
敵・味方を問わず場に攻撃力2000以下のモンスターが
出た時に発動!!
デッキの中の同じカードはすべて破壊される


 『連鎖破壊』――これはかつて“彼”が用い、レアハンターの“エクゾディア”を粉砕したカードだ。
 奪われたレッドアイズを取り戻し、“彼”は“道”を示してくれた。
 あの日の“彼”があったからこそ、城之内は“真のデュエリスト”を目指し、ここまで来ることができたのだ。

「……なになに? “敵・味方を問わず場に攻撃力2000以下のモンスターが出た時に発動。デッキの中の同じカードはすべて破壊される”……敵・味方を問わず?」
 城之内の目が点になる。
 『連鎖破壊』は場に仕掛けたら自分のモンスターカードさえも場に出せなくなる、リスクの大きいカード。何の考えもなくセットしてはいけないトラップなのだ。使いこなすにはデュエルの先を読む、広い視野が不可欠と言えよう。
「ぐ……ええい! パンサーウォリアーで壁モンスターを破壊して、ターンエンドだ!」
 その後、相手に逆転を許しそうになりながらも、城之内はなんとか辛勝した。
 まあ最初だしな、使いこなせなくても仕方ない――と、城之内は次なるデュエリストに声を掛ける。

「――オレは『俊足のワイバーンの戦士』を召喚して……って、しまったぁぁ!!」
「――攻撃力2100!? それだと発動できねぇ!!?」

 数度のデュエルの果てに、城之内は悟ってしまう。
 このカード、自分に向いてないんじゃね――と。
(つーかそもそもこのカード、どう使ってもブルーアイズは倒せねぇんじゃ……!?)
 原点回帰し、ハッとする。というか、気付くのが遅すぎる。
(いやいやいや! 諦めるにはまだ早い! そんなんじゃ“真のデュエリスト”の名が廃るぜ!!)
 次こそは『連鎖破壊』を使いこなしてみせる――そう心に誓い、次なる対戦相手を求める。
 すると、見覚えのある青年が視界に入り、城之内は思わず声を掛けた。

「――やあ、城之内くん。『はにわ』は良いカードと交換できたかい?」

 “わらしべワイト計画”の始まり、最初に『ワイト』をトレードしてくれた青年である。
 ちょうどいい、この人なら――と、城之内はデュエルを申し込んだ。


<城之内克也>
LP:4000
場:
手札:5枚
<骨川>
LP:4000
場:
手札:5枚


「いくぜ、オレの先攻だ! ドローッ!!」
 城之内は勢いごんでカードを引く。
 そして、早速引き当てたキーカードに、目を見張らずにはいられなかった。

 ドローカード:連鎖破壊

(幸先いいぜ……! 早速コイツを仕掛けて――って、いやいや!)
 イカンイカン、と思い直す。
 このトラップは“敵・味方を問わず”に発動してしまうのだ。モンスターは先に出さねばならない。
 城之内は改めて手札を見返した。その中にモンスターカードは2枚、“ギルフォード・ザ・ライトニング”と“サイコ・ショッカー”――なるほど、と城之内は唸る。
 ただの手札事故だった。
(いやいや待て待て! 『連鎖破壊』で1ターン堪えれば、次のターンでモンスターを引き、直接攻撃を決められるぜ!)
 事態をポジティブに捉えると、改めて『連鎖破壊』に指を掛けた。
「オレはカードを1枚セットし――ターンエンドだ!」
 モンスターが出されなかったためか、骨川はかすかに眉をひそめた。
 好機と見るべきか、罠と見るべきか――そこを測りかねている様子だ。
「……僕のターン、ドロー。ここは……『ワイト』を召喚、守備表示だ」
 ワイトか――と、城之内は正直、拍子抜けした。
(なぜ『ワイト』がデッキに……? ワイトマニアとか言ってたし、趣味で入れてんのか??)
 とはいえ“攻撃力2000以下のモンスター”には違いない。「もったいないな……」などと思いつつも、強制発動されるべきカードを表返した。
「リバーストラップ発動『連鎖破壊』! そのモンスターと、デッキの同じモンスターは全て破壊されるぜ!!」
 これで骨川のフィールドからは壁モンスターが消える。次のターン、下級モンスターをドローできれば直接攻撃を決められる――そう思った、のだが、
「……デッキの『ワイト』も、全て破壊……?」
 骨川は驚き、戸惑った様子だった。『連鎖破壊』というカードの存在を、ここで初めて知った様子だった。
「ああ。もっともデッキに入ってなければ、別に破壊する必要は――」
「――いや、入っているよ」
 目を瞬かせる城之内の前で、骨川はデッキをその手に掴む。
 デッキから2枚目の『ワイト』を、そして3枚目の『ワイト』までも選び出し、墓地スペースに重ねた。
(デッキに『ワイト』が3枚……!? そんなに『ワイト』が好きなのか!?)
 なんか悪いことしたかな――城之内は心中で『ワイト』に手を合わせながら、そう思う。
 『ワイト』3枚積みのワイトマニアは押し黙り、城之内はその胸中を慮った――しかしその口元に、不意に微笑がこぼれた。
「……手札のモンスター1体を墓地へ送り――魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動! デッキからレベル1モンスターを特殊召喚するよ」
「!? レ、レベル1モンスターを特殊召喚??」
 なんだそりゃ、と、城之内の目は点になった。


ワン・フォー・ワン
(魔法カード)
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。
手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。


(レベル1モンスター……? そんなのを特殊召喚して、いったい何を――)
 その疑問はすぐに氷解する。
 骨川はやや興奮気味に、素早い手つきでカードを選び出した。
「これが僕の切札……! 来い、『ワイトキング』!!」
「わ、ワイト……キングぅ〜!?」
 見たことも聞いたことも無いそのモンスターに、城之内は口をあんぐりと開いた。


ワイトキング  /闇

【アンデット族】
このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する
「ワイトキング」「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体を
ゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。
攻 ?  守 0


「『ワイトキング』の攻撃力は、墓地の『ワイト』と『ワイトキング』の数×1000ポイントとなる! よって――」

『ワイトキング』
攻:?→4000

「こ、攻撃力……よんせん……!!?」
 開いた口が塞がらない。
 ブルーアイズどころの話ではない。神にも匹敵する攻撃力を持つモンスターがこうも容易く、1ターン目から召喚されるなどとは――予想だにできるはずもなかった。
 城之内にはもう対抗策などない。よって当然――このターンで決着だ。


<城之内克也>
LP:4000→0


「す……すげぇ。何だそのk――」
「――すごいねそのカード! よく見せてもらって良いかい!?」
 城之内の感嘆に被せ、骨川は叫んだ。
 城之内は何のことかと唖然としたが、どうやら『連鎖破壊』のことらしい。
「『ワイトキング』のコンボがこんなにスムーズに決まったのは初めてなんだよ! えーっと、“敵・味方を問わず場に攻撃力2000以下のモンスターが出た時に発動”……敵・味方を問わずに? 自分にも使えるのか! 素晴らしい!!」
 キラキラと目を輝かせ、骨川は城之内に詰め寄る。
「城之内くん! このカード、是非とも僕とトレードしてくれないかい!?」
「えっ。いや、このカードはオレが真のデュエリストを目指すキッカケとなったカードで――」
「――頼むよ! どんなカードとでも交換するからさ! この通りだ!!」
「ど、どんなカードとでも?」
 城之内の心が揺らぐ。
 そもそも“わらしべワイト計画”の目的とは何だったか。これまでにトレードしてきたカード達が、走馬灯のように蘇ってゆく。
 連鎖破壊、幻想の魔術師、簡易融合、ゴキボール、ムカムカ、はにわ、そしてワイト――思えば長い道のりだった。その始まりたる根源は、果たして何だったのか。
(海馬のブルーアイズを倒す……『連鎖破壊』じゃそれは叶わねぇ。オレが真に望むべきカード、それは――)
 城之内は顔を上げ、真っ直ぐに相手を見据えながら応えた。
「――ブルーアイズを倒せるカードと、トレードしてくれ」




決闘0 そしてはじまりへ

 それからおよそ半月後――三月下旬、高校二年生として最後の登校日、その放課後のこと。
「――そういえば、結局どうなったの? 以前に言ってた“わらしべワイト計画”っていうの」
 教室で何気なく発せられた獏良からの質問に、城之内はギクリと反応した。
「どーせ大したカードとは交換できなかったんだろ? そもそも試みからして無茶だったからな」
「………………」
 本田の茶化しに対し、城之内は無言で、1枚のカードを取り出してみせた。


ワイトキング  /闇

【アンデット族】
このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する
「ワイトキング」「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体を
ゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。
攻 ?  守 0


「『ワイトキング』……? スゴイ。結構なレアカードだよこれ。条件さえ揃えば、ブルーアイズだって倒せるし」
「なに?! そーなのか、コレ」
 感心した様子の獏良の言葉に、本田は大いに驚いた。
 しかし、当の城之内には覇気がない。一体どういうことなのか分からず、本田は首をひねった。
「――『ワイト』が墓地に3枚揃えば、攻撃力3000になるんだ。たしかにブルーアイズでも倒せるモンスターになれる……んだけど」
 2人の背後から、遊戯が苦笑気味に口を挟む。
 しかし未だに意味が分からず、本田は首を傾け続ける。
「ならいいじゃねーか。城之内は『ワイト』3枚持ってんだろ? それで条件は揃えられ……あ」
 言い掛けて、本田ははたと気が付く。「そーだよ」と、項垂れた本人の口から、投げ槍気味に続けられた。
「……肝心の『ワイト』が……1枚も残ってねぇんだよ……」
 迂闊だった。まったくもって迂闊だった。
 後でそのことに気が付き、骨川に分けてもらおうかとも考えたのだが、それ以来、彼とは会えなくなっていた。
 双六曰く、元々そこまで頻繁に来店するわけでもないらしく、また、大事な大会前になると来なくなることも多いのだそうだ。『連鎖破壊』という最後のキーカードを入手できたことで、デッキの最終調整にでも励んでいるのかもしれない。
「……長者になったと思ったら、今度はワラが欲しいってか」
 本田は『ワイトキング』を眺めながら、苦笑いをして茶化す。
「――というかそもそもこのカード、確かにすごく強いんだけど……専用デッキを作らないとダメだから、城之内くんのデッキには合わないと思うよ」
「ぐぅ……こ、こんなはずでは」
 遊戯の正論にトドメを刺され、城之内は息絶える。
 第三回バトル・シティ大会開催まで残り数日。たしかに、このタイミングでのデッキの大幅改築は現実的ではない。というか、無謀すぎる。

「――ちょっと! そんなことより今日は、絵空ちゃんの退院祝いに行く約束でしょ!?」
 忘れてないでしょうね、と、杏子は全員に呼び掛けた。
 今日をもって、神里絵空の長かった入院生活に終止符が打たれる。そのお祝いをするべく、病院に行く約束だった。
 まだブツブツと不満げにごちる城之内を先頭に、皆は教室から出てゆく。
 ふと、遊戯は最後尾で振り返り、人気のなくなった教室を見返した。
(今日で高校二年生も終わり……この教室ともお別れかぁ)
 この一年間、色々なことがあった――その軌跡を、振り返らずにはいられない。
 神のカードを巡り争ったバトル・シティ大会。そして夏に“彼”と別れ、秋に神里絵空と出逢い、冬には第二回バトル・シティが開催された。
 そして春、第三回バトル・シティが終われば、すぐに高校三年生となる。高校生活も残り1年、泣いても笑っても最後の学年だ。
(杏子はアメリカに行っちゃうし……みんな一緒にいられるのは、次で最後なんだよね)
 しんみりとした気分になり、遊戯は首を横に振った。
 これから退院祝いに行くのに、そんな表情は見せられないから。
(あと一年あるんだ……気が早いよね。4月には神里さんも入学してくるんだし)
 少なくとも後1年は、みんな一緒にいられる。
 この楽しい日常が、ずっと続いていくんだ――遊戯はそう思い、心の哀愁を振り払う。
「――何してるのよ遊戯。早く行きましょ」
「ウン。ごめんごめん」
 遊戯も教室に背を向け、前進する。
 前へ――この先も続いてゆく、未来という時間へ。


 ――この頃の彼らは、まだ知らない。
 遊戯の期待するそれが、決して訪れぬ未来であることを。
 第三回バトル・シティ大会、その舞台で彼らが何を失うことになるのか――誰一人として知る由も無かった。





○オリジナルカードパック『THE BEST OF DUELISTS Volume.3』

BD3-001《光の創造神 ホルアクティ》Gold
BD3-002《闇の創造神 ゾーク・アクヴァデス》Gold
BD3-003《闇の破滅神 ゾーク・デリュジファガス》Gold-Secret
BD3-004《太陽神 ラー》Holographic
BD3-005《大地神 オベリスク》Ultimate
BD3-006《天空神 オシリス》Ultimate
BD3-007《魔神 エンディング・アーク》Holographic
BD3-008《魔神 ブラッド・ディバウア》Ultimate
BD3-009《魔神 カーカス・カーズ》Ultimate
BD3-010《黄金の翼神竜》N-Parallel
BD3-011《蒼の巨神兵》N-Parallel
BD3-012《紅の天空竜》N-Parallel
BD3-013《セイヴァー・アーク》Secret
BD3-014《カオス・マスター》Rare
BD3-015《鎮圧のサプレッション・デモン》Rare
BD3-016《ブラック・ダーク・マジシャン》Super
BD3-017《ダーク・スカル・デーモン》
BD3-018《カース・オブ・ダークドラゴン》
BD3-019《ジャックス・ダーク・ナイト》
BD3-020《キングス・ダーク・ナイト》
BD3-021《クィーンズ・ダーク・ナイト》
BD3-022《ダーク・ガゼル》
BD3-023《ヘル・バフォメット》
BD3-024《死霊道化師 ヘル・フェイカー》
BD3-025《シャイニング・ドラゴン》
BD3-026《エルフの暗黒剣士》Rare
BD3-027《闇を守る翼竜》
BD3-028《暗黒の岩兵》
BD3-029《ダーク・グレムリン》
BD3-030《シルバー・ダーク・フォング》
BD3-031《人骨亀》
BD3-032《精霊 ディアバウンド》
BD3-033《ダーク・クリボー》Rare
BD3-034《暗黒界の薬師 ビーレ》
BD3-035《フォーチュン・ドラゴン》
BD3-036《ライトレイ・ホルアクティ》Ul-Secret
BD3-037《暗黒界の混沌王 カラレス》Ultra
BD3-038《混沌神龍−混沌の創滅者−》Parallel
BD3-039《絶望の死神 ディズィーズ》Super
BD3-040《究極機獣−オーバー・スローター−》Rare
BD3-041《カオス・ルーラー −混沌の支配者−》Ultra
BD3-042《終焉魔龍 ガーゼット》Ex-Secret
BD3-043《カオス・ブレイザー・ドラゴン》Super
BD3-044《暗黒界の鬼神 ヤモン》
BD3-045《黒翼幻獣 ダーク・キマイラ》
BD3-046《偉大戦士−グレート・ソルジャー−》Super
BD3-047《灰色の魔法少女》Collectors
BD3-048《破壊魔導竜 ガンドラ》Super
BD3-049《マジック・マスター −漆黒の大賢者−》Parallel
BD3-050《精霊超獣 ディアバウンド・ダークネス》Super
BD3-051《精霊超獣 ディアバウンド》
BD3-052《精霊魔獣 ディアバウンド》
BD3-053《精霊獣 ディアバウンド・ダーク》
BD3-054《精霊獣 ディアバウンド》Rare
BD3-055《カオス・コンバート》
BD3-056《カオス・ユニオン》
BD3-057《強者の証》
BD3-058《禁じられた聖域》
BD3-059《死霊の村》Rare
BD3-060《絶望の闇》N-Rare
BD3-061《保存食》
BD3-062《滅びの威光》Super
BD3-063《魔剣 ダークソード》
BD3-064《冥府よりの宝札》
BD3-065《闇の封札剣》Rare
BD3-066《闇魔術の呪文書》
BD3-067《リバイバル・サクリファイス》
BD3-068《エンジェル・インヴォーク》Rare
BD3-069《黄金の解放》N-Rare
BD3-070《カオティック・フュージョン》Rare
BD3-071《カオティック・ノヴァ》
BD3-072《強制召喚装置》
BD3-073《白と黒の交差》
BD3-074《真紅の奇跡》Super
BD3-075《二重罠》Rare
BD3-076《ダメージ・リリース》
BD3-077《ドラゴニック・オーバーブレイズ》Rare
BD3-078《バーサーク・デッド・ドロー》
BD3-079《闇の綱》
BD3-080《闇霊術−痛−》


・『第三回バトル・シティ大会』本戦二日目〜聖戦に登場する新カードをほぼ全て収録!
・また、エピローグに登場予定の切札カードを先行収録!
・パッケージ絵は「光の創造神 ホルアクティ」と神里絵空(ゾーク・アクヴァデス)




決勝へ続く...





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