蒼い空へ
- CHAPTER 2 VS黒虎(1)-

製作者:SPHEREさん




※チャプター1に目を通してから読まないと展開が微妙にわからないかもです。
※一応書くと全て(でもないけど)オリキャラです。




序章 『石屋兄弟の憂鬱』


「――で、ワシ以外負けてしまったと。」

「そうじゃ・・・・まさかワシの完全無欠と思っていたブレード・アイとゾンビネス・アイにあんな弱点があるだなんて・・・・。」

「ワシは直接負けたわけではないんじゃが――どうしても崩れるクリスタルノーズを見るとショックを受けて気絶してしまってのぅ・・・あれがはじめての召喚だったのに!!

「そういう口一郎兄さんも引き分けじゃないか!しかもセコイ方法で!」

「せ、セコクなんぞないわい!負けるくらいなら引き分けで終わったほうがなんぼかましじゃ!後攻2ターンで終わった目次郎に言われたかないわい!」

「そんなこといったら、失神でデュエル中断になった鼻三郎はどうするんじゃ!」

「そこをつかないでくれ〜!」


・・・・・・・・・・・・・・・・


『ハァ・・・・』



――黒虎の廃墟。

「ホウ。それで倒せなかったと。」

『面目ない・・・』

「後攻2ターン、後攻3ターンで終わった二人は再利用は厳しいな・・・」

「そ、そんな、黒虎様、もう一度この目使いこと目次郎にチャンスを!」

「この鼻三郎、次こそ完膚なきまでに叩きのめしてまいりますぞ!」

「・・・。口一郎はもう二回、貴様らはもう一回だけやろう。ただし、失敗したときは記憶行きだ。いいな?」

「・・・・・・・・ハ!」

「まぁ、貴様らがいなくなっても部下はまだ貴様ら除いて4人いるからな。別にいなくなって困ることもないがな。」

『ガーン!』




「どうするよ、兄弟。」

「どうするって、兄さんは二回チャンスがあるじゃないか。ワシらはたったの一回じゃぞ一回。酷すぎるとは思わんか?」

「しかも失敗したら即記憶行き・・・・兄さんより先に死にたくはないぞよ。」

「さらっと酷いこと言わないでくれんか・・・あいつら3人強すぎるんじゃ・・・・せめてやつらの仲間に一人でも弱いのが混じってたら・・・」

――直哉、完全に忘れられてます。

「――なぁ、4人ってどんなやつらなんじゃ?目次郎兄さん。」

「知らないさ。口一郎兄さんは知らないのかのう?」

「ああ。知らない。知らなくて悪かったのぅ。でもやっぱりワシらよりはずっと強そうじゃの・・・」

「なんだ貴様ら、屋上にいたのか。」

「く・・・黒虎様!」

「新しく二枚のカードを作成しておいた。チャンスが一回の奴にな。口一郎にはない。」

二人はカードを手に取る。鼻三郎には融合モンスター、目次郎には罠カードのようだが・・・

二人は効果を読むなり顔が一気ににやけていった。

「こ・・・・このカードは!」

「あ、ありがとうございます黒虎様!これで雪辱を晴らしてまいりますゆえ・・・!」

「・・・・・・」



第一章 『黒虎 ガーディアンズ』


「奴らがここに到着するのも時間の問題だな。3手に分かれさせてつぶしてやろう・・・ククク。」

「――黒虎様、屋上で見張っている水城から報告がありました。奴らが見えたとのことです。」

「そうか、では準備しておけ。まぁ、焦らずとも我が混沌三神と「邪念 混沌のパワーフォース」の前には歯が立たないであろうな・・・・ククク。」


「あれが黒虎の居城です。黒虎のことですから、何か罠があるかもしれませんけど、準備はよろしいでしょうか?」

「ああ。あんまり時間かけるとみんな死んでしまうしね・・・・」

「そうだな・・・・特に、リオラの言う4人の部下ってのがどれほどの力を持っているかわからないけど、・・・・兄貴、リオラ、負けるなよ。」

「お前こそな!」

「俺、忘れてない?」

直哉の寂しげな視線が聖人達をつくが、気にせず聖人達は進んでしまった。

「・・・・」


「3つの扉・・・か。」

――直哉が忘れられていることを意味する部分です。

「どうせどこ行っても一緒だろ。俺真ん中な。」

「じゃあボクは左。」

「私は右に行きます。」

「じゃあ・・・・みんな、必ず生きて遭おう!」

「ああ!」



聖サイド

『暗いし暑いし――むさくるしい場所だな。』

聖は鼻にたまった汗を拭きながら言った。しかし、声が重なったことに気がつく。

『な・・・なんだ・・・?』

恐る恐る角から横をみると、頭と頭がぶつかった!

「いってぇ!・・・・ってお前!鼻野郎!」

「誰が鼻野郎じゃこわっぱめが!リオラじゃないのが残念じゃが、貴様でもいい、記憶に飛んでもらおうか!貴様なら勝てそうじゃし――今のワシには最強の鼻が備わっておるしのう!」

「ごちゃごちゃうっせぇ鼻野郎!邪魔するならさっさとお前倒して黒虎んとこ行ってやるぜ!」


『デュエル!』

聖 LP 4000 VS 鼻野郎 LP 4000

「ちょっとまて、作者までワシを鼻野郎というのか!?それはあんまりではないか!?」

「――俺先いくぜ鼻。ドロー!」

「ガーン!」

「俺は手札からフィールド・アトランティスを展開!さらに・・・「ギガ・ガガギゴ」!」

聖の得意なフィールドに変わり、爬虫類の戦士が召喚された。

「リバースカードをセットしてターンエンド。」

「ワシのターン・・・ドロー・・・」

ドローカード: クリスタル・ノーズ BLACK & WHITE CROSS

――見た瞬間、鼻の目に輝きがネフティスのように蘇った。鼻は同時に手札を確認する。

「!!!――いける、いけるぞぉ!」

「!?なんだ鼻、ついに壊れたか!?」

「フハハハハハ!手札より魔法カード「融合」を発動する!」

「何!?いきなり融合だと!?」

「手札の「クリスタル・ノーズ BLACK & WHITE CROSS」2枚を融合する!出でよ、ダイヤンモンド・ノーズ!」

ダイヤモンド・ノーズ 岩石族/光
★★★★★★★★★★
ATK 4200 DEF 4000
クリスタル・ノーズ BLACK & WHITE CROSS + クリスタル・ノーズ BLACK & WHITE CROSS
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。1ターンに一度、サイコロを二回振ることができる。このとき、最初に振ったサイコロの出目よりも後に振ったサイコロの出目のほうが大きかったとき、その差分、相手のフィールド上または手札(両方指定も可)からカードを墓地に送ることができる(足りない場合、あまった数値×300ポイントのダメージを与える)。後に振ったサイコロの出目のほうが小さかったとき、その差×500ポイントのダメージを受けるか、差分だけ自分フィールド上または手札(両方指定も可)からカードを墓地に送る(足りない場合、あまった数値×400ポイントのダメージを受ける)。この効果は無効化されず、この効果に対していかなる効果もチェーンすることはできない。また、このカードはリバースモンスターの効果をうけない。このモンスターが破壊されたとき、サイコロを振る。1,2,5の目がでたならば、このカードをフィールド上に特殊召喚する。

「フハハハハハ!復活能力を持つ鼻だ!フハハハハハハ!行くぞ、特殊能力発動!ダイス・ザ・ノーズ!」

出目 4 出目 6

「フハハハハハ!貴様のガガギゴと伏せカ・・・・」

「待て鼻。俺は召喚にチェーンするんだが。お前のペースに合わせてらんないからよ。」

「ガーン!」

「つーわけで――罠カード「奈落の落とし穴」!」

「!!!!」

鼻はまたもや予想外だったらしく、同じく陸に上がった魚のように口をパクパクさせている。そしてそのまま失神・・・・しなかった。

「また失神で終わるわけにはイカ・・・ン・・・・」

ふらふらだ。慣れない人の操る人形のような感じだ。その目にはやっぱり輝きが感じられなかった。

「リバースモンスターをセットしてターンエンド・・・じゃ。」

「お、俺のターン・・・;」

ドローカード: ダイヤモンド・クロス

「(昨日投入したカードか・・・)手札からもう一体ギガ・ガガギゴを召喚し、ガガギゴAで攻撃!」

伏せモンスターはゾンビランプ。鼻のような感じがするそうだ。

「・・・。ガガギゴBでダイレクトアタック。」

「・・・・・・・かかったなこわっぱめが。」

「何?」

「くく、ワシがこの程度だと思ってもらったらこまるのじゃ!手札より「マジカル・ノーズ」を特殊召喚!」

マジカル・ノーズ 魔法使い族/闇

ATK 400 DEF 400
このカードは相手の直接攻撃時に特殊召喚できる。そうした場合、相手バトルフェイズを終了させ、1500ポイントのダメージを与える。

「な!?――グァァ!」

聖 LP 4000 → 2500

「ク・・・」

聖 LP 2500 手札3枚
場 ギガ・ガガギゴ×2
フィールド魔法 伝説の都アトランティス
鼻 LP 4000 手札2枚
場 マジカル・ノーズ


忘れられた人サイド

「クク、私の計画に狂いは無い・・・・やつらさえ消えれば、この世界は我がものとなるのだ・・・」

「――そうはこの直哉様が許さないぜ!」

「何!?まさか、もう着たのか!?」

「は、存在感薄すぎてだれも気がつかなかったからすぐこれたぜ!」

「・・・・貴様、やつらの仲間にいたか?」

「・・・・」

「まぁよい、私は事情の無いときにデュエルを断らない主義だ。私の「邪念 混沌のパワーフォース」の餌食にしてくれる!」



第二章 『2デュエル同時進行』


「貴様の先攻でもかまわん。だが、この部屋内でのデュエルは全て混沌のパワーフォースのフィールドパワーを受けている。それを忘れないことだ。PTEに埋め込まれたこのカードがな!」

「ようし、行かせてもらうぜ、俺のターン!俺は「怒れる類人猿」を攻撃表示、さらにリバースカードをセットしてターンエンド!」

「私のターン、私は「ブラッド・ヴォルス」を攻撃表示。リバースカードを一枚セット。」

ブラッド・ヴォルスが混沌でパワーアップした。しかし、フィールドパワーなので、こっちだってパワーアップするだろうと踏んだ直哉はあえて落とし穴を発動しなかった。

「攻撃!」

「何!?」

直哉は黒虎の意外な行動に驚く。しかし、類人猿はあっけなくブラッド・ヴォルスに切り刻まれてしまった。

「何だ!?」

直哉 LP 4000 → 3530

ライフが不可解な数値まで削られている。

「馬鹿な!?」

「クク、この「邪念 混沌のパワーフォース」フィールドはわがモンスターに対して効力を持つのだ。のこのこと攻撃表示で出してくるからこうなるのだ。」

邪念 混沌のパワーフォース
フィールド魔法
自分のモンスターは混沌の力を得てパワーアップする!また、このカードが存在する限りカードは除外されない。

「な・・・・!?」

「このカードによってパワーアップするのはちょうど約30%。ブラッド・ヴォルスを見てみるがいい!」

ブラッド・ヴォルスが混沌によってパワーアップしているのがわかる。通常のブラッド・ヴォルスよりもいくらか巨大だ。それに筋肉も初めとは比べ物にならない。

ブラッド・ヴォルス 攻撃力 1900 → 2470

「攻撃力・・・・2470だって!?」

直哉が驚くのも無理はなかった。LV6の最高攻撃力にかなり近かったし、聖の主力であるギガ・ガガギゴよりも攻撃力が高くなっているからだった。

「そ、そんな反則じみたカード、存在したのか!?」

「クク、リオラから聞いてはいないか?『邪念そのものとしか形容しがたいカード』・・・・とな!加え――このカードの生みの親は私だ!どのような効果でもかまわん!フハハハハハ!」

「まさか・・・・これが・・・・!?」

「そうだ。PTEの波動によるエネルギー消費は凄まじくでかいというのに、このプログラムは外にまで邪念を放出しているからな。」

「ぐ・・・」

「ターンエンドだ。」

「俺のターン・・・」

「トラップカード、死霊ゾーマ!」

死霊が場にでる。フィールドパワーで攻2340、守780まで上がっている。

「モンスターを守備でエンド。」

「私のターン。魔法カード「サイクロン」でリバースカードを破壊、そして2体のモンスターを生贄に――暗黒恐獣!」

「・・・・!」

「クク、もう貴様も蟲の息と化すな。ダイレクト・アタック!」

暗黒恐獣は守備モンスターお構いなしにダイレクトできるモンスター。今は混沌のパワーフォースで攻撃力はなんと3380である。

「グァァァァ!」

直哉 LP 3530 → 150

「ク・・・・強い・・・」

「ターンエンドだ。次がラストターンになるやもしれんな。」

「俺のターン・・・。」

直哉は半分あきらめたような表情をしている。だが、ドローカードを見た瞬間、輝きが舞い戻った。

「(うっしゃ、いける!)リバースカードをセット!守備モンスターを生贄に――出でよ、サイバティック・ワイバーン!」

「ふん、たかがその程度か。攻撃力の差は880ポイント・・・。やはり次がラストターンだな。」

「本当にそうかどうか証明してやるぜ、黒虎ぁ!」


直哉 LP 150 手札3枚
場 サイバティック・ワイバーン 伏せカード一枚
フィールド魔法 邪念 混沌のパワーフォース
黒虎 LP 4000 手札3枚
場 暗黒恐獣(攻3380) 



聖サイド

「ち、ターンエンド。」

現在聖のライフは2500.というのも、マジカル・ノーズの効果で削られたからだ。

「ワシのターン、ドロー!ワシはブラックノーズ LV3を攻撃表示で召喚!マジカル・ノーズを守備表示に変え、リバースカードをセットしてエンドじゃ。」

「俺のターン。リバースカードをセットし、ガガギゴ召喚、ブラックノーズに攻撃!」

「フハハハハハ!この瞬間リバースカードオープン、「サドゥンリィ・マジック」!相手ターンでも1000ライフ払うことで魔法の使用を可能にする!」

サドゥンリィ・マジック
罠カード
1000ライフを払い、手札の魔法カード一枚を選択して発動。選択した魔法を発動する。

「この効果で手札の次元融合を発動し――蘇れ、ダイヤモンド・ノーズ!」

鼻 LP 4000 → 3000 → 1000

聖は唖然とする。ダイヤモンド・ノーズの蘇生ではなく、鼻の言動そのものに対して。

「お前・・・・何がしたい?」

「なんじゃと?ふん、ダイヤモンド・ノーズを異次元より特殊召喚すると言った。」

「・・・・・。」

聖の言動を不思議に思う鼻。フィールドを見直す。しかし、次元融合は墓地にあるのに肝心のダイヤモンド・ノーズが出てこない。

「どうした!?ダイヤモンドノーズよ、何故でてこないのじゃ?」

「お前さ、ちゃんとテキスト読んだほうがいいぜ。」

「・・・・・!?」

ダイヤモンド・ノーズ 岩石族/光
★★★★★★★★★★
ATK 4200 DEF 4000
クリスタル・ノーズ BLACK & WHITE CROSS + クリスタル・ノーズ BLACK & WHITE
CROSS
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。1ターンに一度、サイコロを二回振ることができる。このとき、最初に振ったサイコロの出目よりも後に振ったサイコロの出目のほうが大きかったとき、その差分、相手のフィールド上または手札(両方指定も可)からカードを墓地に送ることができる(足りない場合、あまった数値×300ポイントのダメージを与える)。後に振ったサイコロの出目のほうが小さかったとき、その差×500ポイントのダメージを受けるか、差分だけ自分フィールド上または手札(両方指定も可)からカードを墓地に送る(足りない場合、あまった数値×400ポイントのダメージを受ける)。この効果は無効化されず、この効果に対していかなる効果もチェーンすることはできない。また、このカードはリバースモンスターの効果をうけない。このモンスターが破壊されたとき、サイコロを振る。1,2,5の目がでたならば、このカードをフィールド上に特殊召喚する。


「・・・・・・・ゴファ!」

今度こそ鼻は失神した(駄



存在感の薄い人サイド

「行くぞ、暗黒恐獣の攻撃!」

「リバースカードオープン、「天邪鬼の呪い」!聖人の天邪鬼の呪詛とはちがうが、これで十分だぜ!」

「何!?」

暗黒恐竜 攻撃力 3380 → 2600 → 1820

「返り討ちにしろ!ワイバーン!」

「ぬぅぅ・・・・!」

黒虎 LP 4000 → 3340

「へ、そんな邪念なんざ、これで対抗できるってもんだぜ!」

「やってくれるな小僧。これだけあの小僧どもの中で存在感が薄いのにも関わらず、私にダメージを与えるとは・・・」

「ガーン!」

「ふん、だが、2500ごとき、私の手にかかればすぐにチリと化す!リバースカードとモンスターをセットしてターン終了!」

「俺のターン!魔法カード「闇をかき消す光」!」

直哉得意の古カードが炸裂する。これには黒虎も驚いた。

光に照らされて見えたリバースモンスターは「ビッグ・シールド・ガードナー」。混沌により、守備力は3380ポイントと化していた。

「ぐ、流石に倒せないか・・・リバースカードをセットしてターンエンド。」

「私のターン、ビッグ・シールド・ガードナーを生贄に――出でよ、サイバー・ドラゴン!」

機械の龍が場に現れる。パワーフォースにより、攻撃力は2100から2730へとパワーアップしている。

「終わりだ・・・エボリューション・バーストォォ!」

サイバー・ドラゴンの攻撃がサイバティック・ワイバーンに向かう。もしこの攻撃が通れば、230ポイントのダメージを受け、直哉の負けだ。しかし、そう簡単に通す直哉ではなかった。

「リバースカードオープン、ホーリージャベリン!!」

場に天使を象(かたど)ったような杖が出現し、エボリューション・バーストの威力を吸収した。

直哉 LP 150 → 2880 → 2650

「ふん、この程度がどうしたという?リバーストラップ、「サドゥンリィ・マジック」!」

鼻の使った罠カード、サドゥンリィ・マジック。黒虎も所持していた。

「この効果で手札の「強欲な壷」を使い、2枚ドローする。」

黒虎はドローカードを見て笑った。

「クク、これが貴様のラストターンだ。「融合」発動!」

場のサイバー・ドラゴンと手札の2枚のサイバー・ドラゴンが融合していく。今の壷で2枚目を引いたようだ。

「出でよ、サイバー・エンド・ドラゴン!」

場に三つの首をもつ機械龍が出る。攻撃力が非常に高く、貫通能力をも重ね持つモンスターだ。

「攻撃力・・・・4000!!」

「それだけではない!混沌のパワーフォースにより、5200となる!だが・・・・バトルフェイズは過ぎている。ターンエンドだ。」

「く・・・俺のターン。(下手にリバースモンスターをセットしても貫通されて死ぬか・・・なら・・・)手札を一枚すてて――「ブラック・コア」!!」

場に黒色の球体が出現し、サイバー・エンド・ドラゴンを飲み込もうとする。しかし、黒虎はこの状況にもニヤリとわらった。

「バカが・・・・邪念の前に除外などは不可能だ!」

黒色の球体が今こそサイバー・エンド・ドラゴンを飲み込もうとした刹那、突如黒色の球体は消えた。

「何!?」

「邪念 混沌のパワーフォースは一切の除外を許さない・・・。そして、これで貴様の手札残り一枚。どうあがいても打破できる状態でもなかろう。」

「く・・・・・ターン・・・・エンド。」
「ラストターンだ。やれ、サイバー・エンド・ドラゴン!エターナル・エボリューション・バーストォォォォ!」



第三章 『火と神話』


聖人サイド

「暗いな・・・・」

聖人は少々ため息気味につぶやく。あまり光の入らない廃墟のようだ。

「黒虎のことだし、部下持ってるよなぁ。絶対どっかにいるって。」

聖人はあたりを見回しながら進む。心なしか、だんだん蒸し暑くなってきた気がした。

すでに汗びっしょりだ。鼻頭に水滴が結構たまっている。

「―――!誰かいる・・・か。」

曲がり角の奥に気配を感じた。かすかに赤く光ってるような気がしないでもない。

聖人は息を殺し、細心の注意を払って曲がった。そこには四方八方を石油ヒーターで囲んだ中で座禅を組む汗だくのむさいマッチョ男が座っていた。

マッチョだ。マスターモンクに勝るとも劣らない。見たとき、聖人は青ざめて下がった。

「(なんだよあれ・・・・今春とは言え・・・・)」

もう一回角から覗き込む。

目と鼻の先にさっきのマッチョ男が近づいていた。聖人は一瞬この世の終わりかと思った。

「貴様・・・・」

聖人は世界が真っ白になった気がした。汗が滝のように流れていた。

「な・・な・・・何用で・・・?」

聖人は笑っている。しかし声が笑っていない。

後ろではいまだに石油ヒーターが猛威を振るっていたが、燃料切れのアラームと共に止まった。ただし、一つだけ。

聖人にはこのアラームが非常に怖く聞こえた。

「―――ひ弱だ。」

マッチョがつぶやく。

「え・・・?今・・なんて?」

「――ひ弱じゃゆうてんじゃぁ――!!」

「ヒ!」

聖人は心臓が今にも砕けそうなほど驚いた。それから10秒ほど硬直して聖人はようやく我に返った。

ところがマッチョは燃料の切れた石油ヒーターのところに行って燃料タンクを取り出してぶん殴った。

・・・・聖人は見えた光景がにわかには信じられなかった。燃料タンクには直径8センチくらいの穴があいていた。

「こんのひ弱なタンクがぁぁ――!」

さらに2,3発続けて殴る。当然穴が開いた。

マッチョがこちらを向く。聖人は無意識のうちに後ずさった。



リオラサイド

こっちは聖人のほうと違ってかなり涼しかった。半そでのリオラはいくらか快適感を抱いた。

「外の温度は大体26度でしたが――ここは23度ほどでしょうか・・・。」

クーラーでもかかってるのだろうか・・・・とリオラは思った。春にクーラーつけるのもどうかと思うけど・・・。

誰もいない中をクーラーつけるのは少しおかしいと思ったリオラは注意しながら部屋に入ってみる。

「――やぁ、キミが私の相手かい?」

「!」

部屋に入ったとき、横から声が聞こえた。紛れも無く、リオラの見知る、黒虎の部下の一人だった。

「神谷――!」

「おっと、私はキミとデュエルをするだけ。負ければ記憶へ飛ぶのみ。まぁ、君達が飛ぶ予定の空間は厳密に言えばPTEの生み出す記憶とは違う別空間だけどね――!」

リオラと話しているこの男。名前は神谷 敏(かみや さとし)。どんなデッキを使うかはリオラ自身知らないらしい。

「私とのデュエルは避けることは敵わないよ。それじゃぁいこうか・・・。」

神谷は既にシャッフルを完了している。結構前からいる黒虎の部下なので実力もあるのだろう。

やるしかないと判断したリオラもデッキをシャッフルする。

『デュエル!!』

リオラ LP 4000 VS 神谷 LP 4000


『私の先攻だ。ドロー。私は「ゼミアの神」を攻撃表示で召喚、リバースカードをセットしてターンエンドさ。」

場に変な龍みたいなのが出る。攻撃力は1300だ。

「私のターンです。手札より「デーモン・ソルジャー」!リバースカードをセットして攻撃!」

「ふふ、せっかちだねキミも・・・・リバースカードオープン、「神の卵」!」

神の卵
速攻魔法
このカードは自分のターンには発動できない。自分フィールド上のモンスター一体を選択する。選択したモンスターにこのカードを装備する。このカードを装備したモンスターは攻撃力が0になり、守備力が1000ポイントアップして守備表示になる。また、自分のメインフェイズ時、このカードを装備したモンスターを生贄にささげることで、手札から装備モンスターのレベル+2までのモンスターを一体特殊召喚できる。

「この効果でゼミアの神の守備力は2000だ!反射ダメージを受けるがいい!」

「く・・・・ターンエンド。」

リオラ LP 4000 → 3900

「私のターンだ。神の卵装備モンスターを生贄に――「戦慄の巨人 アトラス」!」

戦慄の巨人 アトラス  獣戦士/地
★★★★★★
ATK 2200 DEF 2300
このカードが自分ターンでの戦闘で破壊されたとき、デッキまたは手札から「太陽の神 アポロン」または「神兵ダモクレス」一体を特殊召喚できる。

「これでわかったかい?私のデッキは「神話デッキ」さ。神々の力ほど魅力的な存在は私にとってないのだからね!通常召喚の権利で――ポリネシアのタンガロア!」

ポリネシアのタンガロア 獣族/地
★★★★
ATK 1800 DEF 1450
このカードが相手のコントロールするカードの効果で除外されたとき、デッキまたは手札から「水の神チャルチーウイトリクエ」または「火の神アグニ』一体を特殊召喚できる。

「(私の戦う相手のモンスターはよく繁殖しますね――)」

「ターンエンドさ!」

「私のターン、ドロー!」

ドローカード:カオス・ソーサラー

「(この効果ならばアトラスを除外できる・・・・でも、ポリネシアは下級モンスター。あれを生贄にアトラスを出されて自滅攻撃されるかも知れない・・・それに、ポリネシアを除外したら効果が発動してしまう・・ならば・・・)「聖鳥クレイン」召喚、ターンエンド。」

「フフ、キミのデッキ内容は把握しているさ。大方、そんな弱小モンスターをわざわざ攻撃表示ってことは――カオス・ソーサラーだろうね。」

「・・・・!」

「アトラスに「閃光の双剣 トライス」を装備!さらに、捨てたカードは「英雄オデュッセウス」!場に特殊召喚だ!」

英雄オデュッセウス 獣戦士族/地
★★★★★
ATK 2000 DEF 1550
このカードが対象を取る効果のコストとして墓地に送られたとき、このカードを場に特殊召喚する。

「まずはアトラスでクレイン撃破、続けてデーモン・ソルジャーに自滅攻撃!デッキより――「太陽の神 アポロン」!」

太陽の神 アポロン 炎族/光
★★★★★★★
ATK 2800 DEF 2900
このカードは「戦慄の巨人アトラス」または「神の卵」の効果でのみ特殊召喚が可能。このカードの特殊召喚成功時、自分の手札を4枚まで任意の枚数捨てる。捨てた枚数に応じて、次の効果を処理する。(それぞれの効果は重複しない)
一枚:相手のフィールド上のカード一枚を破壊する。
二枚:相手フィールド上の表側表示モンスター一体のコントロールをターン終了時まで得る。
三枚:自分または相手の墓地からモンスターカード一枚を選択して自分のフィールドに特殊召喚する。
四枚:デッキまたは手札から「神々の黄昏」を発動することができる。この時、発動に関わる効果は全て無視する。

※この場合の神々の黄昏はこのHPの再現を使用。

「当然、2枚すてるよ。これで、キミのデーモンソルジャーは1ターンのみ私のものだ。」

「・・・・・!!」

「終わりかな?太陽の神アポロンの攻撃!」

「そんなわけありませんよ、リバース魔法、「コマンド・サイレンサー」!」

「――へぇ!やっぱりこんな早く終わるわけないか!」



リオラ LP 3800 手札5枚
場 なし

神谷 LP 3800 手札0枚
場 太陽の神 アポロン  ポリネシアのタンガロア  英雄オデュッセウス



続く...



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