遊戯王A(アナザー)

製作者:混沌さん




※キャラクター紹介は少したったら書きます
この小説は80%程度はオリカです
ちなみにこの世界はGXなどに似た世界
アナザーワールド(俗にいうパラレルワールド)です






第1話 筆記テスト

「まぁ、このペースでいけば余裕で間に合うかな。」
と、少年の口から独り言が漏れる。

この少年の名は獅子沢竜鬼(ししざわりゅうき)。
私立東が丘中学校3年B組に所属している。
そして今日、そんな彼に試練が待ち受けている。


その試練の名は   ”  受験  ”


中学3年生といえば、もう立派な受験生。
そして今日、彼はある高等学校の受験を受けようとしている。
その高校の名はデュエルアカデミア。
デュエルアカデミアとは、エリートデュエリストを養成するために設けられた学校である。

そしてこの日、デュエルアカデミアの試験が海馬ランドで行われていた。
デュエルアカデミアの試験は筆記と実技の2つに分かれている。
筆記試験で選抜されたものだけが実技試験に進められる。

実技・・・つまり決闘に絶対的な自信がある獅子沢にとって、今日・・・つまり筆記試験
が一番のヤマなのである。
まぁ、筆記試験が1番のヤマだというのはほとんどの受験生にいえることなのだが・・・。


〜2004年3月13日AM8:30 海馬ランド前〜


さて、そんなこんなのうちに海馬ランドに着いたようだ。

「受験番号4430番 獅子沢竜鬼です。」

獅子沢は会場入り口にいる教師に身分を証明し、自分の席に着く。

(しかし受験番号4430(ししさわ)て・・・。)
単なる作者の遊び心です。

ここは海馬ランド内にあるブルーアイズドーム(で、あってるか?)の部屋のひとつである。
普通の学校の教室と同じくらいの広さで、こんな部屋があと8つくらいあった。おそらく各教室に40人くらいは入るんだろう。

「(筆記試験かぁ。・・・ま、昨日は徹夜もしたしその前の日からもしっかり勉強した。)」

と、今までのことを振り返り、その後で勉強した内容を振り返る。
途中で眠くなったりしたが、イカンイカンと首を横に振り眠気を覚ます。

(う〜ん・・・早く来すぎたかなぁ・・・。)

”会場に早く来て多めに勉強しよう”と考えていたが、学校の授業ではいつも寝ていた獅子沢にとって 机=寝るもの という方程式が出来上がってしまっていて勉強どころではない。そんなこんなのうちに他の受験生がぞろぞろと入ってくる。
獅子沢は眠気を覚ますために顔を洗いに行こうと思い、席を立とうとする・・・しかし、


「――――まもなく、試験が始まります。受験生の皆さんは席について試験官の指示に従ってください――――」


という女性の声でアナウンスが流れるので仕方なく席に着く。
獅子沢の内心は眠くて仕方がない。しかしもう席を立つわけにはいかない。
1分ほどすると、試験官から問題用紙と解答用紙が配られてきた。
獅子沢は深呼吸をし、腹を決めることにした。


「――――では、解答を始めてください――――」


再び先ほどと同じ声でアナウンスが入る。
獅子沢はさっと解答用紙と問題用紙を開き、問題に取り組む。
デュエルアカデミアの筆記試験は国語、数学、英語、そしてデュエル知識。


国語力がなければカード効果を把握することができない。

数学力がなければライフ計算などをすることができない。

英語力がなければ世界の決闘者と決闘することができない。


という理由でこの教科が受験内容となっている。
そして何より目を引くのが”デュエル知識”。
ちなみに出題内容はこのホームページのコンテンツのひとつである”遊戯王クイズ”で出るような問題となっている。暇な人はやってみたらどうだろうか。

ちなみに最初の教科は英語であるが、獅子沢のもっとも苦手とする教科である。

(う〜ん・・・思ってたよりも難しいな・・・。)

と、大苦戦中である。マークシート式なのが唯一の救いである。
それでも英語のテストで50点以上取ったことのない獅子沢にとって、それは超過酷なものである。

「なんだよこれぇ〜、・・・難しすぎるだろ。」
ふと後ろのほうの席から自分と同じ悩みを抱えているものの声が聞こえてくる。
その少年こそ後の遊城十代である。(一応今も名前は遊城十代)

獅子沢はいくら考えても分からないため、適当に数字を塗りつぶすことにした。
次の教科の数学・国語は思ったよりも簡単だったため、そこそこできた。

時計は12時を回るころであるため、昼食の時間となった。
獅子沢は一人で眠たそうにコンビ二弁当を頬張る。
弁当を食べたら少し眠ろうと思ったが、弁当を全て食べ終わったちょうどそのとき昼食休憩は終わりを告げてしまった。


そして、デュエル知識――――――――
(みんなも一緒に考えよう!)


問1、テラ・フォーミングで手札に加えられるカードはどれ?
1: 装備魔法カード
2: 永続魔法カード
3: フィールド魔法カード
4: 儀式魔法カード


問2、次のうち、キラー・トマトの効果で特殊召喚出来ないモンスターはどれ?
1: クリッター
2: ならず者傭兵部隊
3: 魂を削る死霊
4: 魔導サイエンティスト


問3、激流葬が発動できない特殊召喚はどれ?
1: キラー・トマトの特殊召喚
2: 反転召喚したサイバーポッドの効果で、相手の場だけに裏側守備表示でモンスター2体    
 が特殊召喚
3: 早すぎた埋葬による特殊召喚
4: 切り込み隊長による特殊召喚


問4、次の4つのカードのうち「暗黒界の尖兵 ベージの効果を発動させることができる効
 果」を持つものはどれ?
1: 死のデッキ破壊ウイルス
2: 暗黒界の騎士 ズール
3: 魔轟神 レイヴン
4: 魔法石の採掘


問5、次のうち、魔力の棘の効果でダメージを与える事のできないモンスターの効果はど                        れ?
1: クリボー
2: ニードルワーム
3: 白い泥棒
4: メタモルポット


問6、自分先攻でデュエルが開始された。自分ターンで天使の施しで引いた手札が以下の ようになった時、どのカードを捨てれば確実に1ターンでデュエルに勝利できる?
 「遺言状、早すぎた埋葬、非常食、太陽の書、魔導サイエンティスト、キャノン・ソルジャ   ー、黒き森のウィッチ」
1: 遺言状、黒き森のウィッチ
2: 早すぎた埋葬、キャノン・ソルジャー
3: 非常食、黒き森のウィッチ
4: 太陽の書、キャノン・ソルジャー



問7、自分ライフ1400、相手ライフ1000の時に、破壊輪を発動した。この破壊輪で確実にデュエルで勝利するには、どのモンスターを対象に取ればいい?
1: 自分フィールド上の表側攻撃表示のヘルポーンデーモン
2: 自分フィールド上の裏側守備表示の黒き森のウィッチ
3: 相手フィールド上の表側攻撃表示のキラー・トマト
4: 相手フィールド上の表側守備表示のツインヘッド・ケルベロス




こんな様な問題が50問並んでいる。中には詰めデュエル問題まである。
しかし、 デュエル知識に長けている獅子沢にとってそれは簡単なものだった。

――クラッ・・・。

急な睡魔が獅子沢を襲う。おそらくは一分程ボーっとしていたのだろう。
(いかんいかん・・・集中しなければ・・・。)
獅子沢は再び問題に挑んだ。

――――――――――20分後。

(よし・・・・・できた。)
ふぅっと一息つくと、獅子沢は自分の答案用紙を眺める。
多分この解答にミスはないだろう、といった表情である。
少なくとも、英語などでできた穴を埋めることができるほどの点数は十分にあるだろう。
獅子沢の顔には合格を確信した表情が浮かんでいた。
そして獅子沢は安堵の表情のまま深い眠りについてしまった・・・。


―――――――――さらに20分後。


「――――これで筆記テストは終了です、受験生の皆さんお疲れ様でした。試験官は答案用紙を回収してください――――」

再び女性の声でアナウンスが入ると同時に試験官が動き出し答案用紙の回収に回る。
しかし、獅子沢はアナウンスが入っても起きようとしない。
それを見た試験官が獅子沢を起こす。獅子沢は、少しだけ起きるも試験官が過ぎて行ったのを確認すると再び眠りについた。

「―――――これから採点を行いますので、試験官の指示があるまで静かにしていてください―――――」

再びアナウンスが入る。解答は全てがマークシート形式のため、すぐに採点ができる。
しかし最低でも20分は時間がかかるため、受験生は各々の余韻を過ごす。
獅子沢は専ら昼寝である。他にも獅子沢のように昼寝をしている者もいれば、読書をする者、ただボーっとしている者、デッキ調整をしている者とさまざまである。
さて、採点に少し時間がかかるようなので先ほどの問題の答え発表〜。


問1、B 問2、A 問3、@ 問4、B 問5、A 問6、C 問7、@




――――――――――


―――――――――――――――


―――――――――――――――――――――



30分程たってようやくアナウンスが入る。

「――――これから、テストの合否の入っている封筒を配布します。試験官より封筒を受け取ったものから速やかに退室してください。尚、合格者は1週間後に海馬ランドで実技試験を行いますので忘れないように来てください。これにて、本日のアナウンスを終わります―――――」


アナウンスが終わると、試験官が受験生一人一人に手渡す。決して学校でプリントをまわす感覚で渡したりはしない。
獅子沢はまだ寝続けている。無論、アナウンスなど耳に入っていない。試験官は何も言わずに封筒を獅子沢の机の中に入れる。大切なものなんだから起こして渡せよ・・・。

他の受験生はというと、封筒を家で見るために早々と退室するものもいれば、同じ高校の受験生と話をしているものもいる。
中にはその場で封筒を開けて合否を確認するものもいる。そして合格を喜んでいる者と、不合格であったため泣き崩れる者の二つに分かれる。前者はともかく後者は惨めである。
こういうこと(主に後者)がないようにその場での発表ではなく封筒制にしたのにこれでは全く意味がない。

そんなこんなのうちに獅子沢以外の受験生の全員が退室した。
そして受験生全員が退室して20分ほどで獅子沢は目を覚ました。

「・・・・・あれ、俺どんくらい寝てたんだろ・・・・・。」

時計を見てみると3時を過ぎている。つまり、かれこれ2時間ほど寝ていたということだ。
獅子沢は荷物をかばんにいれてすぐさま退室した。

「あれ?そういえば実技試験てどうするんだっけ?」
と、海馬ランド入り口辺りで疑問に気づいた。獅子沢は振り返ってきた道を戻る。

ブルーアイズドーム付近で先ほど試験官をやっていた人にを見かけたので声をかけた。

「あの、実技試験ってどうなってるんですか?」
その試験官は成人男性の平均的な身長だが極端にやせ細っている。
肌の色も極端に白いため、開口一番に「どこか悪いんですか?」と聞くところだった。
試験中は帽子をかぶっていたため気づかなかったが白髪で丸坊主である。

「ん?・・・ああ、君物凄い勢いで寝てた子だろ。」

それにしても、名前と姿が一致しすぎていて困る。
「(骸賄斗(むくろワイト)。・・・ワイト・・・。)」
獅子沢は名前を見た瞬間吹き出してしまった。

「なにかおかしいことでもあったのかい?」
ヒント・・・名前と姿
ちなみに、ワイトとはこんなカードである。

ワイト
星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。攻撃は弱いが集まると大変。
ちなみにどう大変かというと、墓地に集まるとワイトキングの攻撃力が上がってしまい、大変である。フィールドに集まり、トライアングルパワーで強化されても大変である。


「まぁいいや。君、封筒が配られたことに気づかなかったのかい?」
獅子沢はいきなり当たり障りのないことを言われて困ってしまった。
それもそのはず、デュエル知識からつい先ほどまで爆睡していた彼が封筒の存在を知るはずがないのだ。
「その封筒って今どこにあります?」

「君の机の上に置いてあるはずだよ。」
それを聞くや否や獅子沢は一目散に教室に向かった。

〜同日 PM3:18 ブルーアイズドーム内〜

獅子沢は今、物凄く焦っている。
全ての教室を探してみたが、どの机の上にも封筒らしきものは置いてないのだ。
念のためもう一度探してみた・・・・が、結果は同じである。

「やべぇ・・・どこにもないぞ?」

と、独り言を呟いても出てこないものは出てこない・・・・・かに見えた。

「これって・・・・例の封筒ってやつなんじゃないか?」

なんと!足元に捜し求めた封筒とやらが落ちていたのだ!
獅子沢はその封筒を広いすぐに合否の確認を取る。
その封筒には3枚のカードが入っていた。

 合格
あなたはデュエルアカデミア筆記試験に合格しました。

 実技への船出
3月20日AM1:30海馬ランド

 受験票
これが無き者決闘者にあらず


「来週・・・ね。」
合格の文字を見ながら獅子沢は呟いた。
そしてすぐにその「来週」は訪れる。

〜3月20日AM12:30 海馬ランド〜

「1時間も早く着いちまったけど、まぁいいか。遅れるよりは・・・。」
海馬ランドに着いた獅子沢は携帯の時計を見ながら呟いた。
辺りには受験生が何人もいる。
海馬ランド内では、すでに試験官が受付を行っている。

「受験番号4430番、獅子沢竜鬼です。」

獅子沢は試験官に先週までの受験番号を言った。

ちなみにあくまでもこの小説内での設定だが、
受験生は受付で先週までの受験番号をいい、実技試験時の受験番号をもらう。
後者の受験番号が、筆記の順位および、実技の順番を表している。
アニメで翔が「受験番号119の僕が――」と言っていたのがこれである。
ちなみに十代は草むら(森?)から「受験番号110遊城十代――」と言っていて、
さらに試験官Aがクロノス教諭に「受験番号110です。」と言っていたが、
これはたまたま筆記と実技の受験番号が同じだったということにしておいてもらいたい。


「え〜っと、4430番・・・・・・・アレ?」
試験官が受付の机の上にあるパソコンで受験番号を検索している。
しかし、何か様子が変である。
「すまない、もう一度受験番号を・・・。」
「4430番です。」
獅子沢はついでに試験官の名札を確認する。そこには「水神英人(みずかみえいと)」
とかいてある。
「ワイト先生、すこし受付変わってもらってもいいですか?」
ちょうどそこを通りかかった試験官がこちらにやってきた。
「すまない・・・君、ちょっと来てくれるかな?」
「はい?」
獅子沢は水神の言われるがままについていく。

〜同日AM12:42 海馬ランド器具室〜

その部屋に入るときふとその部屋の名前を確認したが、中には器具どころかほとんど何もない。人の気配も全くない。
「やばい、なんかめちゃくちゃいやな予感がする・・・。」
獅子沢はその試験官にとても少年誌には書けない様なことをされるんじゃないかと身構えた。しかし、ある意味そちらのほうがまだよかったと思うようなことが告げられる。

「え〜っと、非常に申し上げにくいんだが・・・・・。」
一拍置いた後で水神は真実を告げる。
「君は今日の実技試験を受けることができないんだ。」
獅子沢は一瞬何を言ってるのか意味が分からなかった。
「え?どういうことですか?」


「君は筆記試験で落ちてるんだ。」



それは、突然のことだった。




第2話 獅子沢竜鬼

「俺が・・・・・不合格・・・?」
獅子沢は試験の結果を信じることができない。いや、正確には信じたくない。
「でも俺の封筒にはしっかりと合格のカードが入っていた。」
獅子沢は右肩にかけられた鞄から合格と書かれたカードをつきつける。

「あなたの発言はこのカードと明らかに矛盾していm」
某裁判ゲーム風に反論している途中でその試験官はパソコンを取り出した。
カタカタという音と共にパソコンの画面の内容が変わっていく。

1分ほどしてその試験官は獅子沢に画面を見るように指示する。
「これって・・・」
獅子沢は少し見てそれが何なのかに気づいた。

「そう、これは先週君がやったテストの答案用紙だ。」

そこには赤で正解までついたマークシート式の答案用紙が映されていた。
ちなみに獅子沢が何故分かったかと言うと、上に「4430」と書いてあったからである。
そして獅子沢は自分の解答と正解の赤印を見比べる。

獅子沢が自分の犯したミスに気づくのにさほど時間はかからなかった。
「・・・解答が一欄ずつづれてる・・・。」
つまり、獅子沢の解答の上の欄に正答が・・・というのがほとんどと言うことである。
中には獅子沢の解答ミスだったり、2問連続での同記号だったりで何問かは正解している。
だが、「正解95%が正解30%」になったのは事実である。
「なんでこんな・・・」
獅子沢は自分がこんなミスを犯した原因を必死に脳内検索した。

――――――

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―――――――――――――――

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――クラッ・・・。

急な睡魔が獅子沢を襲う。おそらくは一分程ボーっとしていたのだろう。
(いかんいかん・・・集中しなければ・・・。)
獅子沢は再び問題に挑んだ。

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(あの時・・・か。)
獅子沢はミスの理由の結論にたどり着いた。

「つまり・・・君は自分の無様なミスで合格のチャンスを逃したと言うことだ。」
確かに、このミスは見直しを行えば簡単に修正がきく。
それをしなかった獅子沢はある意味無様である。

「ちょっと待てよ?!こんなの納得できねぇよ!」

獅子沢は必死に反論する。・・・がその声はむなしく部屋中に響き渡る。

「つうか、俺が不合格ならこの封筒はどう説明するんだよ?!」
そういって獅子沢は合格と書かれたカードを取り出した。
「・・・・・・・・。」
試験官・水神は自分の懐から獅子沢の持つ封筒によく似た封筒を取り出す。
「君の正しい封筒はこれだよ。」
水神は手に持つ封筒を獅子沢に手渡す。
そこには「不合格」と書かれたカードと「4430」と書かれたカードとスカゴブリンの3枚が入って
いた。
「それが君の正しい封筒だよ。」
「正しい・・・?・・ってどういうことだよそれ?」
「ワイト先生に聞いたんだが、君は封筒の説明のときに寝てて封筒の存在を知らぬまま帰ろうとし、
一度教室に戻って封筒を探したそうだね?」
「それが何か・・・?」
「実は1週間前(つまり筆記試験日)こんなことがあってね・・。」

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〜2004年3月13日PM3:05 ブルーアイズドーム内〜

「さて、もう生徒は皆下校したかな・・・。」
水神の本日の残された業務は忘れ物の有無である。
そのため水神はブルーアイズドーム内の教室を廊下から見て回っている。
本来なら教室に入って机の中まで調べるのだが早く帰りたいため大雑把にやっている。

ちなみに時刻としては、獅子沢が起きて帰ろうとした直後である。

「この教室で最後か・・・ん?」
水神は最後の教室の机の上に置いてある封筒を見つけた。面倒くさそうにそこまで歩く。
「未開封・・・か。結果は・・・不合格、受験番号は・・4430。」
水神はその封筒の中身を取り出しそれを眺める。そしてカードを封筒に戻し懐に入れ教室を後にした。

―――――――なお、獅子沢が教室に見に来るのはもう少し後の話。

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「じゃあ、何で俺の元に合格の封筒が?」
獅子沢は半信半疑のまま水神に問う。
「考えてみな。今までの話を聞いて、君がその封筒を手にできた可能性を・・・。」
それに対して水神は問いを問いで返す。

(俺が・・・封筒を手にできた可能性?)
獅子沢は目を閉じて親指をあごに、人差し指を口につけながらロジックを組み立てる。
これは獅子沢が物事を深く考えるときの癖である。

――――――――俺が封筒を手にしたのはさっきの話の数分後

――――――――つまり、この人が見回りを終えた後もその封筒は教室内にあったってことになる

――――――――でもこの人は俺のいた教室内だけはちゃんと見てる

――――――――ということは他の教室はあまりよく見ていないってことか

――――――――そういや俺はどうやってで封筒を手に入れたんだっけ

――――――――たしかこの人と同じように教室の外から見渡してもなかった

――――――――そんでその後教室の床に落ちてたんだったなぁ

――――――――そういやおれが封筒を見つけた教室って・・・

「そういうこと・・・か。」
3分ほどで獅子沢は目を開けた。そこには電話をしている水神の姿があった。
「―――はい、ではまたあとで・・失礼します。・・・で、分かったのかい?」
水神は右手の携帯電話を閉じてそっとポケットに入れた。

「あんたは俺の受けた教室だけはしっかり見ていた。つまり俺は封筒を拾うことができるはずがない。
 それなのに俺が封筒を拾えたのはなぜか?」
「何故だい?」
「俺が封筒を拾ったのは別の教室・・・つまり俺はテストを受けた教室とは違う教室で他の誰か
 の封筒を拾ったんだ!」
「・・・・正解だ。」
獅子沢は水神の言葉を聞いて小さくガッツポーズをする。・・・が同時に空しさがこみあげてきた。

―――――俺は何をやってるんだろう・・・。

獅子沢は深く溜め息をして歩き出す。そして水神の横を通り過ぎようとした。
「何処へ行くつもりだ?話はまだ終わってないよ?」
その言葉に獅子沢は足を止める。
「こんな惨めな俺にまだ何か言いたいことでも?」
獅子沢は振り返り、水神に対して強い口調で言う。
「考えてみな・・・さっきの話でk」
「また考えろ・・・かよ?もう単刀直入に言えよ!」
水神の問いかけに割り込んで再び強い口調で獅子沢が言う。

(まぁ・・いっか)
水神は一息ついて説明を始める。
「毎年、筆記試験の合計点数で上位120人が実技試験を受けられるんだ。だが、今年は何故か119人
 しかいない。・・・何故だか分かるかい?」
「おれが・・・一人分の封筒を持ち出したから・・?」
「そのとおり。しかし困ったことに毎年120人は受けないといけないと言う決まりなんだ。」

「じゃ、じゃあその一人分に俺を入れてください、お願いします!」
獅子沢は土下座をしそうな勢いで水神に頼み込む。
「あ、いや・・元々そのつもりで言ったんだよ。」
水神はいきなりのことにやや戸惑いながら答える。

「さっきの電話も一人連絡がないけどどうするかって相談だったんだ。そこで既にここにいると言っと いた。」
「は?どこにいるんだよ?」
意味が分からないと言う表情で言う獅子沢に、水神が面倒くさそうに答える。
「君だよキミ。キミがその封筒の本来の持ち主に代わって試験を受けるの。当然受かったとき入学するのはキミ本人だけどね。」
その一言に獅子沢は驚きと喜びを同時に感じた。
「それじゃあ、試験会場に案内するよ。」
そう言うと、水神は器具室から出て行った。それについていくように獅子沢も器具室を出た。


「あ、そういえば・・・。」
現在、水神と獅子沢は並んで廊下を歩いている。
そんななか、水神は足を進めたままあることを思い出した。
「何すか急に?」
獅子沢が思わず聞き返す。
「すまない、言い忘れていたけど君の相手のレベルは8だから。」
獅子沢は水神の言っていることの意味が全く分からない。
この後水神からそれについての説明がされた。それをまとめるとこういうことになる。


・獅子沢の相手はデュエル専用のコンピュータである。
・そのコンピュータの使用するカードは特別製で、そのコンピュータでしか読み取れない。
 その代わり超入手困難カード(青眼の白龍やブラマジガールなど)も平気で使う。
 ただし神のカードのデータは入っていない。
・レベルとはコンピュータで設定できるデッキ構築、プレイングレベルなどの総合評価。
・獅子沢の対戦相手はレベル8。
・そのコンピュータの最高レベルは10である。
・ちなみに8レベルとはプロデュエリストの平均レベルである。
・ワイト先生はダルク萌え


「要するに俺はプロレベルの相手と戦って勝てばいいわけ?」
「まぁ、勝てなくても内容によっては合格できるかもしれないけど、勝てば100%合格だね。」

そんなこんなの内に実技試験会場に着いたようである。

〜同日 PM1:30 海馬ランド内特別実技試験会場〜

試験会場に入るとそこには物凄く広い空間が広がっていた。
百聞は一見にしかず。
物凄い空間がどういう空間か知りたい人は、ぜひ遊戯王GXのDVD一巻の第一話を見ましょう。
これは決して作者の手抜きではない。本当だぞ?!手抜きじゃないぞ?!

「―――――続いて、受験番号1から10の人は各位置についてください――――」
一週間前と同じようにアナウンスが入る。
「ちなみにキミの受験番号は6番だから。」
「・・・それって俺今からって事じゃん。」
水神が受験番号の入ったカードを獅子沢に差し出す。
獅子沢はそれを受け取ると急いで自分の位置まで走り出した。


獅子沢の位置の数メートル前にはすでにデュエル用ロボットが置いてあった。
ロボットは身長1.2メートル程度でなんとなく丸っこい。
獅子沢は初めて見るロボットに興味を持ってなんとなく触れようとする。・・・が、
「受験票ヲ入レテ下サイ。」
いきなり目の前のが起動ししゃべりだす。
あまりに唐突だったため、獅子沢は寿命が数年縮まったような気がした。
「受験票ってここに入れればいいのか?」
獅子沢はさっき水神からもらったカードをロボットの口辺りに押し込んだ。
「受験番号6番 獅子沢竜鬼―――スタンバイオーケーデス。」
数秒後、ロボットの左右から決闘盤(デュエルディスク)が取り出される。
「試験開始ってことだな・・・よし。」
獅子沢も鞄から決闘盤を取り出す。そしてカードケースからデッキを取り出しセットする。

「決闘!!」

獅子沢LP4000

ロボットLP4000

「俺の先行、ドロー!」
獅子沢は勢いよくカードを引く。
そして、数秒考えてから元々持っていた右から2番目のカードを選び決闘盤にセットする。

「俺は、獅子幻獣 狼を攻撃表示で召喚!!」
獅子沢に前に日本狼の立体映像が現れる。


獅子幻獣 狼
星4/地属性/獣族/攻1800/守300
このカードが召喚された時、各プレイヤーは手札を一枚墓地に送ることができる。
そうした場合、カードを捨てたプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローする。
このカードが召喚、特殊召喚された後、最初に攻撃を受けるとき発動する。
その攻撃を無効にする。



「獅子幻獣 狼の効果発動!お互いのプレイヤーは手札を一枚墓地に送ることでカードを1枚ドローで きる!俺はこの効果を行使し、手札を1枚墓地に送って1枚ドロー!」
獅子沢は手札から1枚選んで墓地ゾーンにスライドさせる。そしてすぐにカードを引く。

ドロー:獅子幻獣 虎豹

「ワタシモ獅子幻獣 狼ノ効果ヲ使イマス。」
そう言ってロボットも手札を1枚捨ててデッキからカードを引く。
「俺はこれでターンを終了する。」


<獅子沢>LP4000
手札5枚
モンスターカード 獅子幻獣 狼
魔法・罠カード なし

<決闘用ロボット>LP4000
手札5枚
モンスターカード なし
魔法・罠カード なし


「ワタシノターンドロー」
ロボットは先ほどと全く同じようにカードをドローする。
「さぁ・・どっからでもかかってきやがれ!!」




第3話 獅子幻獣


「ワタシノターンドロー」

ロボがカードをドローする。そして

「手札カラ天使の施しヲ発動シマス」

そういうとロボはデッキからカードを3枚引き、2枚カードをすてた。

「早すぎた埋葬ヲ発動シマス」

その時、某社長が使っていた「あの龍」が現れた・・・!!

「なんで・・・ブルーアイズが・・・?!」

「ブルーアイズノ攻撃・・・。」

そういうと、龍の口にエネルギーがたまり始めた。

「バーストストリーム!!」

「へっ、させるかよ!モンスター効果発動!獅子幻影!!」

その言葉と同時に、そのモンスターの体が、どんどんうすくなっていく・・。
そして、バーストストリームがそのモンスターを突き抜ける。

バヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ

「?!」

「こいつが、獅子幻獣のすべてが持つ獅子幻影!!相手の攻撃を、一度だけ無力化する!!」

・獅子幻影
獅子幻獣が共通して持つ能力
相手モンスターが獅子幻獣を攻撃するとき、その戦闘ダメージと戦闘での破壊を無効にする。この効果は1体につき、1度まで使える。

「ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

ドローカード:強欲な壷

「俺は、強欲な壷を発動!!」

そして、デッキからカードを2枚ドローした。

「狼を生贄に捧げて、来い!獅子幻獣虎豹!!」

獅子幻獣 虎豹
☆6 獣族 ATK/2400 DEF/1400
相手の守備モンスターを戦闘で破壊したとき、貫通ダメージを与える。

「さらにフィールド魔法 獅子幻獣の森 発動!!」

まわりが森に覆われた。

獅子幻獣の森
フィールド魔法
「獅子幻獣」が攻撃するときの攻撃力を1000ポイントアップする。

さっき場に出た虎豹が、どんどん大きくなっていく。

ATK/2400→ATK/3400

「ブルーアイズに攻撃!!」

爪により傷だらけになったブルーアイズは、消え去った。

ロボLP3200→LP2800

「ターンエンドだ」

「ワタシノターンドロー」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「って、なんか言えよ!!!!」

「ワタシハ手札カラ魔法発動 死者蘇生!!」

その言葉と同時に、1人の魔法使いがあらわれた。

「混沌の黒魔術師ヲ特殊召還」

「ちっ、やっかいなモンスターを・・・・」

「効果ニヨリ、再ビ死者蘇生ヲ手札二加エテ発動!!」

再び龍が舞い戻ってきた。

「混沌の黒魔術師デ攻撃」

「ちっ、獅子幻影!!」

体がうすくなり、攻撃が無効化される。・・・が

「続ケテ、ブルーアイズノ攻撃」

つづく攻撃により、虎豹が破壊された。

「ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

ドローカード:獅子幻獣の降臨

(よし!)
「俺は魔法カード 獅子幻獣の降臨 発動!!」

獅子幻獣の降臨
儀式魔法
手札から☆10以上になるようにモンスターを墓地に送る。
手札から☆10の獅子幻獣を特殊召喚する。

「来い!獅子幻獣!!フェニックス!!!」

その時、とても美しい鳳凰が姿をあらわした。

獅子幻獣フェニックス
☆10 鳥獣族 ATK/4000 DEF/4000
相手モンスターが存在する限り、なんどでも攻撃できる。

「くらえ。フェニックスゴッドバァァァァァァァド!!」

鳳凰が2体に分離し、2体のモンスターに攻撃した。

ロボLP2800→LP800→LP0

「オメデトウゴザイマス、アナタノ・・勝利デス」

「よっしゃぁ!!」

「おめでとう、これで君はアカデミアの生徒だ!・・・・・
 そういえばきみ、名前は?」

「おれは・・・獅子沢!獅子沢竜鬼だ!!」



そこは、無限に広がる海。
そして、1航の船・・・・・・・・・。

「ついに、着いたんだ。デュエルアカデミア・・・。」


第4話  おいでませアカデミア

第3話から1ヶ月。ついに、入学式であった。

10月1日

これが小説上の日にちである。
そして、1時間が経過した・・・・。




「ふあぁ〜・・・・・・。かったり〜・・・。」



これは決してアカデミアがたるい分けではない。
校長の話がとても長いのである。

「ふあぁ〜・・・・・・。眠い・・・」

後ろに、似たようなやつがいた。

(この人・・・、あのときの・・・。)

遊城十代である。・・・・・・・が、
獅子沢が名を知るはずがない。そんなときに後ろから、

「ん?お前、前にデュエル見てたんだぜ、俺。」

(そういえば、おれこの人の次に受けたんだっけ・・・・・あれ?)

「そういえば筆記試験どうだったの?」

と、獅子沢が暇を紛らわすために聞いた。

「ああ。記号問題を、全部やま張ってみたら以外とできたぜ。」

(じゃあ俺、徹夜した意味は?!)

ちょっとむなしくなってきた獅子沢であった。

「おれ、遊城十代。お前は?」

「おれは獅子沢竜鬼。よろしくな。」

そして、2人は握手をかわした。

「では、これで話を終わります。」

はげた(?)校長の話が終わると、盛大な拍手があがった。

「それデーワ、みなさん、各自の寮に戻るノーネ」

「俺たちは、オシリスレッドか。」

いうまでもないかもしれないが、デュエルアカデミアは
   オシリスレッド(危ないやつら)
   ラーイエロー(優等生)
   オベリスクブルー(中学校からの成績優秀者)
の3つに分かれるのである。

「なぁ、獅子沢。」

といって獅子沢の肩をたたいた。

「十代。どうしたんだ?_」

「この後、デュエルしねーか?1」

(よっぽどデュエルが好きなんだな、こいつ・・・)
「ああいいぜ。やろ!」

そして、1時間が経過した。
そこはオシリスレッド寮の近辺の浜辺であった。

「いくぜ、獅子沢!」

「来い!」

「「デュエル」」

獅子沢 LP4000

十代 LP4000



第5話 E・HERO

「俺のターンだぜ。ドロー!」

先攻は十代である。そして、ドローしたカードは・・・

ドロー・ E・HERO フェザーマン

「来い!フェザーマン!!」

すると、十代の前に、翼をまとった戦士が現れた。

「カードを1枚セットして、ターンエンド。」

「俺のターンか。ドロー!」

ドロー・ 獅子幻獣 狼

「なら俺は、獅子幻獣 狼を召換!}

今度は獅子沢の前に、日本狼が現れた。

「効果発動!お互いのプレイヤーは、相手のモンスターの数だけカードを引く。」

(第2話から効果がかわってない?とか思わないでください。)

「いけ!フェザーマンに攻撃!」

狼が戦士に飛びかかろうとする。・・・が、

「甘いぜ獅子沢!罠カード発動!!ヒーローバリア!!」

フェザーマンの前に、壁が現れ狼の攻撃を防いだ。

「やるなぁ!なら、カードを1枚セットしてターンエンド。」

「いくぜ、俺のターン、ドロー!!」

ドロー・融合

(よし!)「おれはバーストレディを召喚!さらに融合!!」

赤色の女性が現れた。そして2人の英雄の後ろに渦があらわれた。

「こい!マイフェリバリットカード!フレイムウィングマン!」

片手に龍をまとった英雄があらわれた。

「いけ!フレイムシュート!!」

「ちっ、獅子幻影!」

「させるかぁ!速攻魔法神速!!」

神速
自分モンスターが攻撃するとき、他の効果を使用することができない。

狼が消えかけたとき、フレイムウイングマンは、狼をつかんだ。
そして、その龍の中が炎をはきだし、狼は焼けて散った。

「さらに、攻撃力分1800のダメージを与える!!」

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

獅子沢LP4000→3700→1900

獅子沢もその炎によりダメージを受けた。

(前にフェニックスっての使ってたな・・・。なら、)

「カードを2枚伏せてターンエンド。」

「ちっ・・・やるな。俺のターン、ドロー!!」

ドロー・天空の宝玉

「よし!カードを3枚セット!」

「さ、3枚?!」

十代は少しびっくりした様子である。

「さらに、天空の宝玉を発動!!」

天空の宝玉
お互いのプレイヤーは、手札が6枚になるようにカードを引く。

こうして2人の手札は満たされた。

(なるほど。それで3枚も伏せたのか・・・・。)

「リバースカードオープン!獅子幻獣の降臨!」

「なっ?!さっき手札にあったのか?!」

「来い!第2の切り札!獅子幻獣 ケルベロス!!」

英雄の前に2つの頭を持つ獣が現れた。

獅子幻獣 ケルベロス
攻守4000
このモンスターが攻撃するとき、手札のモンスターを1枚捨てる。
このモンスターの攻撃力は捨てたモンスターの攻撃力分アップする。

「いけ!ケルベロス!!」

「なら、罠カード発動!聖なるバリアーミラーフォース!!」

フレイムウィングマンを守る壁が出現した・・・が、

「甘い!!速攻魔法神速発動!!!」

「!!」

ケルベロスのスピードがとても速くなった。

「俺がすてるのは虎豹!よって、2400ポイントアップ!!」

ケルベロス4000→6400

「これで終わりだぁ!!」

ケルベロスは1人の英雄をたおした。

6400ー2100=4300ダメージ

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」

十代5000→700

「なっ?!何でお前、」

すると十代が1枚のカードを手にとって見せた。

「速攻魔法 非常食。こいつを神速にチェーンさせてもらったぜ。」

「・・・お前強いな・・・ターンエンド。」

十代はデッキに手をおいた。

「・・・おまえもな。・・・俺のターン、ドロー!!」

ドロー・強欲な壷

「強欲な壷発動!!」

十代の前に緑色の壷が現れた。

「俺のドローは奇跡を呼ぶぜ!ドロー!!」

十代は2枚カードをドローした。

「融合発動!!来い!俺の切り札!!サンダーバブルマン!!」

サンダーバブルマン
攻2400守1400
このモンスターが攻撃する時、攻撃力1000をアップする。

「さらにフィールド魔法 スカイスクレイパー!!」

2人のまわりがビルによって覆われた。

「いっけーサンダーバブルマン!!サンダーバブルショット!!」

泡におおわれた電気が、ケルベロスを襲う。

「十代・・・・お前は強い!けどな・・・俺が勝つ!!」

獅子沢の伏せカードが開かれた。

「速攻魔法 収縮!サンダーバブルマンの攻撃力を半減!!」

サンダーバブルマンの体が小さくなっていく。

4400→3200 

そして、ケルベロスが反撃する。


ぐおぉぉぉぉぉ


サンダーバブルマンが噛み砕かれた。

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

十代LP700→0

「よっしゃぁぁぁ!」

「へっ、お前つよいな・・・ガッチャ!」

「楽しいデュエルだったぜ。十代」

「ぐっ。先に言うなって」

「んじゃ、もう1回。」


今回のデュエルで、十代と獅子沢の2人の友情が、


「「ガッチャ」」


深まっていったのだった。



第6話 新入生デュエル大会

十代とのデュエルから、1週間がたった。
ようやくこの島での生活に慣れてきたとき、獅子沢に1通の手紙が届いた。

獅子沢竜鬼 様
本日6時より行われる「新入生デュエル大会」のBチームに選ばれました。
なので、5時までに準備を済まして体育館に来るようにしてください。
                         水神

「はい?!」

獅子沢は思いもよらない手紙にやや動揺気味のようだ。



話はありえないスピードで5:30までとんでいった。


体育館

「Bチームの控え席は・・・・・」

「獅子沢、あった。あっちにあるぜ」

と、十代が声をかけてきた。

話がとんでいるのでわかりずらいが、十代にも同じ手紙が届いていた。

すでに席には、3人が座っていた。


「おいお前ら!オシリスレッドのくせに30分も遅刻してんじゃねーよ!!」

と、青い制服を着た少年が話しかけてきた。
(というよりも、どなってきた。)

「すみません(青ってことはオベリスクブルーか。)」

「そんなことより、Bチームのデュエル順を発表していくぞ。」

と、1人の先生が話をはじめた。

「今回は、Aチーム対Bチームの団体戦を行う。では発表するぞ」


     1・・・・蒼鷺(アオサギ)今日也(さっきのブルー)
     2・・・・初心守(イエロー)
     3・・・・遊城十代
     4・・・・天草四郎(イエロー)
     5・・・・獅子沢竜鬼

「!!ちょっとまってください!なんであんなオシリスレッドどもが重要なところに!!」

さっきの蒼鷺さんがどなりはじめた・・・・。

「・・・・・ということだ。獅子沢かわってやってもいいか?」

(っていうか蒼鷺って人のわがままじゃん!)
「まぁ、別にいいっすけど・・・」

こうして獅子沢と蒼鷺は入れ替わった。(人格じゃないよぉ)




「それデーワ、新入生デュエル大会を行いまスーノ!!」


ワアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!


「けっこう人が集まってんなぁ・・・。」

と、獅子沢がつぶやいたが、会場の音によりかき消されてしまった。

「それデーワ1戦目・・・・A!シニョーラ暁メーーーイですーの!!」

そしてあがってきたのは、1人の少女であった。少女が上がってきたとき、


オォォォォォォォォ!!


という、男子の歓声があがった。

その少女は色白で透き通るような青い目。
ただ、みているとキセラを想像してしまう。

「B!ドロップアウトボーーーイ!・・・ではなくて、獅子沢竜鬼なノーネ!!」

獅子沢があがると

キャァァァァァァァァァァ!!

という、女子の歓声があがった。

実のところ、獅子沢は女子にとても評判がいい。
作者とは正反対である。(ほっといてくれ。)

なお、獅子沢はこの手のことはとても無関心なので、

(?!この喝采はおれに負けろというのか?!)

というごかいをする。

「それデーワァ。デュエルをはじめるノーネ!!」

2人はデッキをシャッフルしはじめた。

「よろしくね☆」

と冥が話かけてきた。しかもウインクをして・・・

(あの目は俺に何かを訴えかけているのか?!)

獅子沢はとても勘違いをしているようだ。

そして2人のシャッフルが終わった。

「フッフッフ・・・・」
と、冥が不気味に笑い始めた・・・。

「なっ、なんだ?!」

と、獅子沢が思った瞬間、

「獅子沢君!あなたに・・・私のデッキの切り札を教えてあげる!」

と、いきなり大声で話し始めた。

「それは・・・・・・・・・・ワイトよ!!!」


















    ・・・・・・・まわりは沈黙に覆われた・・・・。














その時、1人がカードケースから1枚とりだした


   
ワイト /闇
★★
【アンデッド族】
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
攻300 守200















「ワ・・・・ワイト?!」

と獅子沢が問い詰めた。

「だって、ワイトは・・・・・・・・・・・・神様なんだもん!!」
















ワイト /闇
★★
【アンデッド族】
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
・・・・・ちなみに、ワイトは神ではない。
攻300 守200

















「見せてあげるわ!私の・・・・ワイト1キルデッキを!!」













ワイト /闇
★★
【アンデッド族】
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
・・・・・・ワイトで1キルは不可能である。
攻300 守200

















あたりはひたすらの沈黙である。











「と、とりあえずはじめるぞ・・・・」

この空気に耐え切れないのか、デッキからカードを5枚ひいた。


それにつられるように、冥もカードを引いた。

「!!!」

冥は少し驚いた。そして獅子沢に対して・・・

「ふふ。特別に私の神引きを見せてあげる。

     見なさい!私の手札を!!        」



冥手札・ワイト
     ワイト
     ワイト
     ワイトキング
     ワイトキング

















再び・・・あたりは沈黙と化した。






彼女の手札を2文字で表すなら・・・








                <事故>






まさかあんなきれいな子がワイトマニアなんて・・・
その場にいた1人でもそんなこと考えるやつがいただろうか・・・。





「俺のターン・・・・・ドロー。」

また耐え切れないのだろうか・・。
先攻は獅子沢のものとなった。

(まぁ、さっき言ってた1ターンキルがどんなものか知りたいしな。)


「おれは獅子幻獣 大水亀と、カードを1枚セットして、ターンエンド。

獅子沢の場に、2枚のカードと、大きな亀が現れた。

「さぁ見せてもらおうか・・・ワイトでの1キルを!!」



第7話  ワイト

 「私のターン、ドロー!!」

 ドロー・手札抹殺

 (ふふ、この手札を見て「手札事故」と思うと思うけど、これが、1ターンキルへの布石だってこと教えてあげる。)

「手札抹殺を発動するわ!5枚捨てて、再びドロー!」


(ちっ・・・ここで手札抹殺を引くか・・・。)

「おれは3枚だ。」

そういうと、2人はカードを引き合った。

「私の1ターンキルを見なさい!まず大嵐発動!!」

2人の周りを風が覆った。そして、獅子沢の2枚のカードが消えていってしまった。

「ちっ。(1ターンキルの手札が揃ったってのか?!)」

「さぁいくわよ!いでよ!ワイトキング!!」

冥の場に紫色の布を着た凡・・・・ガイコツがあらわれた。
しかも、通常のワイトよりでかい。

「このモンスターの攻撃力は、墓地のワイト様とワイトキング様の数X1000!!
 ・・・・・・・よって攻撃力5000!!!!!」

ワイトキングの体が、さきほどの3倍程の大きさになっていった。

ワイトキング ?→5000

「さらに、光学迷彩アーマー!ワイトキングに装備!!」

ワイトキングの体がうすくなり、見えなくなってしまった。

「!そうか!ワイトキングのレベルは1!つまり光学迷彩アーマーで・・・」

「そう。ダイレクトアタックが可能となるのよ。」

ワイトキングが攻撃の体勢にうつる。・・・そして、


「ワイトキングでダイレクトアタック!!」


ワイトキングが獅子沢へと殴りこみにいった。

「これがあたれば・・・・・・獅子沢ーーーー!!」

十代が叫んだ・・・・・・・・・・・・と、同時に・・・・・、








ドガアァァァァァァァァァァン








いくらワイト(キング)といえども、攻撃力5000。

あの青眼究極龍より強く、F・G・Dと同等の力をもつ今のワイトの衝撃は
弱いものではなかった。

冥の手札はまだ2枚のこっている。
これがLP8000のデュエルだったとしても手札1枚をコストに、
「閃光の双剣ートライス」を装備して2回攻撃できれば、
ダメージ9000。   1ターンキル成立である。・・・・・・・・・ただし、







この攻撃が通ればの話だが・・・・・。


















      獅子沢LP 4000


















獅子沢はその場に立っていた。

「な?!ワイトキング様の攻撃は通ったはずじゃ」

「ああ。たしかに通ったよ。ただし・・・・こいつにな。」


というと、獅子沢は場の1枚のカードを手にとってみせた。

「獅子幻獣 大水亀。こいつは、攻撃対象をこいつに変更できる。
 ・・・・・・・・ただし、獅子幻影はつかえねぇけどな。」

獅子幻獣 大水亀
☆☆☆☆ ATK/200 BEF/1800
上記のとおり。

「やるわねぇ。ターンエンド。」

「俺のターン、ドロー!!」

ドロー・獣王の巣荒らし

「いくぜ。獅子幻獣の降臨!!」

お馴染みのカードが発動した。そして、

「いくぜ!来い!!獅子幻獣 フェニックス!!!」

フェニックスの名にふさわしいきれいなモンスターが出現した。

「き、きれいだけど、ワイト様程ではないわね。」

(((どこら辺が?!)))

そこにいた全員がそう思っただろう。

「さらに、獣王の荒らしを発動!!」

獣王の荒らし
墓地から獅子幻獣を好きなだけ除外する。
その枚数分だけ相手のの墓地から除外する。

「これで、お互いに4まいずつ。お前のワイトとワイトキングを除外する。」

ワイトキング5000→1000

ワイトキングの体がどんどん縮んで行った。

「いっけー!フェニックスの攻げk」




「ちょっとまったーーーーーーーーーーーー!!」





声の主は冥だった。


よくみると、デッキの上に手を置いていた。







サレンダーである。







「私はこのターンでワイト様が傷つくところなんてみたくないの。」


カードをしまいながら、獅子沢はこう思った。




(お前はどこの孔雀舞だ?!)






    初心  負け

    十代  勝ち

    天草  負け

    蒼鷺  負け
    
    結果  2勝3敗

「くっ、ま・・・・・負けた?!」

と、蒼鷺が、呟いた・・・・。

結果的に、勝ったのは、オシリスレッドの2人だけである。

この結果に、蒼鷺が、怒鳴ってきた・・・・・・。





「くっ、獅子沢、貴様はおれが変わってやらなければ、勝てなかったんだ!!
 つまり、すべては貴様のせいなんだ!!」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



これは、完璧な、負け惜しみである。
しかも、かわれといったのは蒼鷺本人である。


「(こいつに・・・・・・・あのワイトワンキルが、止めれたってのか?!)」


獅子沢はこう思ったに違いない・・・・・・うん。



第8話  兄の影

デュエル大会から2週間がたとうとしている。

「(4時・・・・・か。そろそろ散歩の時間かな。)」

実は、獅子沢は犬並みの散歩好きである。(獅子だからかな?)
獅子沢はすぐに部屋を飛び出して出て行った。
・・・・・・・・・そして、森へと足を進めていった。




それから20分がたった・・・・。




そこには1人の男が立っていた。・・・・・・・いや、2人いる。



そして、空から声が聞こえてきた。その声の主。

















「こいつ・・・・・・フェニックス?!」

















いや、少し違う。その大空を羽ばたく鳥は、黒いオーラをまとっていた。


「・・・・・・・・・・・・・・!!」



その時、獅子沢は、その正体に気づいた。




「ブラック・・・・・・・フェニックス・・・・」


なぜ獅子沢が、その正体に気づいたのか・・・・



「・・・・・・・ブラックフェニックス・・・・・・とどめを刺せ。」



さっきのとr・・・・ブラックフェニックスは、黒いオーラを全体に放出した。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

少年T LP0
 
少年は、その場に倒れこんだ。

「まちがぇねえ。あの人は・・・・・。  おーーーい!!」

獅子沢は大声で男を呼んだ。














同日同時刻。

「(行方不明者ファイル・・・・か。)」

男が1つのファイルをとりだした。


この男の名は水神英人。
約2ヶ月前に獅子沢竜鬼という少年を入学させた男である。


「・・・・・・・・ここにはない。・・・・・・・・・・・こっちか?」



と、独り言をつぶやく。なにを探しているのだろうか・・・・・?


「・・・・・・・・・・・・・・!・・・あった。」


水神が、ファイルしてある紙をとりだした。

その紙には、黒い髪で、長い後ろ髪、黒炎の目をした
獅子沢によく似た男が、写っていた。(獅子沢は赤く短い髪と、藍色の目)



獅子沢龍神  Aブロック 3年
20XX年9月より、行方不明となる。



「(獅子沢竜鬼・・・君は、何か知っているのかい?)」

















「兄貴!久しぶり!」



話は戻り、森の中へ。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男は再び歩きだした。

「ち、ちょっと待ってよ。兄k・・」


「・・・邪魔だ。失せろ。」

男は、鋭いまなざしで、獅子沢をにらんだ。

「どうしても退かないというのなら・・・」


男は、デュエルディスクを起動させた。


(ちっ、やるしかねぇのか・・・。)


獅子沢も、デュエルディスクを構えた。・・・・そして、





「「デュエル!!」」



獅子沢 LP 4000

男    LP 4000















また話はかわって、(随分うざい作者だな。)

「さて、これで、準備は整った。」

水神が、紙をとんとんと、整えた。

「(獅子沢、どうやら、君の兄は、この学校にいるようだ。そして、・・・・)」











今彼と戦っても、圧倒的だろうね・・・・・。




















獅子沢 LP 1200    手札 なし
     場  獅子幻獣 フェニックス


男    LP 4000    手札X4
     場  黒いモンスターX3

















「あ・・・・・、圧倒的。」

獅子沢は、おもわず、呟いた。


「来い・・・獅子幻黒獣 ブラックフェニックス!!」

さきほどの黒い鳥が現れた。
しかも、黒いオーラの周りを3つの黒い球体がまわっている




「ブラックフェニックスの攻撃・・・・。」




黒い球体が、ブラックフェニックスに溶け込んだ。



そして、黒い不死鳥へと、姿をかえた。



「獅子幻影!!」



フェニックスの体が、うすくなっていく。

その瞬間、男が手札のカードに、手をかけた。・・・・そして


「えっ?!」






黒い不死鳥が、幻影をつきぬける。そこまではよかったのだが、その黒い不死鳥が、






自分へと飛んできたのだった。









ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン

















獅子沢 LP 0

















最後に見た光景、それは男の去っていく姿、そして1枚のカードだった。






     突破
   速攻魔法

  このターン、自分のモンスターの攻撃が無効化されたとき、
  そのモンスターを生贄に捧げ、その攻撃力分のダメージを相手に与える。











おそらく最後に使ったカードであろう。

(自分に・・・・とどめをさし・・・た・・・カー・・・・・・)









   「さらばだ、我が弟よ・・・・・・・・・・・・。」



  最後に、そう聞こえた気がした・・・・・・・・・・・・・・・・。

















         獅子沢は死んだ。









第9話    もう1人の自分<前編>ー精霊ー

ーーーーーーーーーーここは・・・・・・どこだ?


ーーーーーーーーーー暗い・ ・ ・


ーーーーーーーーーーここは・・・・・・どこだ?


ーーーーーーーーーーとても冷たい・・・・・・





「ブラックフェニックス・・・・・攻撃!!」





頭の中でよぎった兄のセリフ・・・・・・・・・・いや、




あれは兄ではない。



あれは兄ではない。



じゃあ、あれは、なんだったんだ?



簡単な答えだ・・・・・。


















          悪魔


















もういい。すべてが嫌になってきた・・・・・・・・・。


もうやめよう。兄のことを考えるのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
















死んだんだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。









ーーーーーーーーーーーーーーーそうだ、死んだんだ。




ーーーーーーーーーーーーーーー忘れてた・・・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーーいや、忘れたかった・・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーー死ぬことなんか・・・・・・・。







ーーーーーーーーーーーーーーーじゃあ、ここは、どこだ?





ーーーーーーーー天国?地獄?・・・・・・・・・それとも、






















[ミー・・・・・・ミー]


















ーーーーーーーーあっ、死んだんだ・・・・・。幻聴が、聞こえてきた・・・。








[ミー、ミー、ミー]










・・・・・・・・・・・・・・・もしも、これが幻聴でないとすれば・・・・。







ふと獅子沢は、後ろを見てみた。


















そこには、翼の生えた小さな三毛猫がその小さな翼を精一杯動かして浮いていた。















「げ、幻聴だけでなく・・・・・・・・・幻覚までもが・・・・・。」











・・・・・・・・・まてよ、十代に、聞いたことがある・・・。







「獅子沢、知ってるか?カードの精霊のこと。」

十代が、獅子沢に、何気なく問う。

「カードの・・・精霊って、そのハネクリボーのこと?」

獅子沢も何気なく答える。それに、十代は、

「えっ、お前見えてたの?」

と、驚いたように答えた。









「カードの・・・・・・精霊?」



といって、三毛猫に問う。するとその三毛猫は、


[ミー]と、うなづいた。








すると、どこからか声がしてきた。
















「そいつの名は、[獅子幻獣 ミアル]。お前と、俺の精霊だ。」














「俺と・・・・・・・・・・・お前の?」




この2人は、出会うべきでない2人だった・・・・・・・。



第10話 もう一人の自分(中編)ーアナザーマインドー

「おれと・・・・・・・・・・・・・・・お前の?」

獅子沢が、興味深そうにその男に問う。



「ああ。・・・・・・・なぜなら俺は、お前自身なのだからな・・・・。」



その言葉を聞いた獅子沢は、おどろくように

「どういう意味だ?」

と聞いた。するとその男は、


「ようするに、俺は、お前のもうひとつの人格。A(アナザー)マインドってことだ。」


平然と答えたことを不気味に思いながら、

「そんな非現実的なこと言われて、信用できると思うか?」

と、もっともなことを言った。・・・・・・・・・・・・・しかし、現状を考えると、
獅子沢も獅子沢で非現実的状況であることに、本人は気づいていない。






「・・・・・・まぁいい。詳しいことは、俺に勝ったら教えてやる。」

と、もう一人の獅子沢(以降アナザー)は、デュエルディスクを取り出した。


「・・・・このデュエルに勝ったら、ここからの出方も教えてくれ。」

と、獅子沢が言う。するとアナザーも、

「・・・・・・ああ。いいだろう。」







「「デュエル!!」」


獅子沢 LP4000

アナザーLP4000


「俺のターン!ドロー!」

先攻は獅子沢である。

ドロー・獅子幻獣 狼

獅子沢は、引いたカードを手札に加え、別カードを手に取った。


「俺は、獅子幻獣ペガサスを召喚。」

獅子沢のフィールドに角と翼の生えた白馬が現れた。
しかも、たてがみが、とてもきれいに並んでいる。


獅子幻獣 ペガサス
☆☆☆☆ 獣族  地 ATK/1800 DEF/700

相手モンスターを戦闘で破壊したとき、相手に500ダメージをあたえる。


「(・・・・リバースするカードは・・ねえな。)ターンエンドだ。」


獅子沢は、カードをふせずに、次のターンへ突入した。

「・・・・・俺のターン、ドロー。」

落ち着いた様子で、アナザーはカードを引いた。

「(本当にもう一人の俺なら、使うカードは・・・)」


「獅子幻獣ーーーーー」

「やっぱ、獅子幻獣か・・・・!」

と、獅子沢は思ったとおりのことに、若干にやけた。・・・・・・・・が、




召喚したのは、予想とは、違うモンスターだった・・・。





「獅子幻獣ミストウルフを召喚・・・・・・!」


アナザーの出したモンスターは、「獅子幻獣 狼」に、よく似たモンスターだった。

しかし、狼より色が薄い。まるで、水滴でできてるようだ。



「ミスト・・・・ウルフ?!(はじめてみるモンスターだ・・・。)」

獅子沢は、はじめてみるモンスターに、驚いた。
その後に、獅子沢は、そのモンスターの、能力値を見てみた。



ATK/1200 DEF/1200


「(この程度の攻撃力・・・・?なんでわざわざ攻撃表示で・・・・・)」


攻撃力1200。
これは、けっして高い数字ではない。
この数値は、あの幼・・・・少女「ピケル」とおなじである。
相手が、攻撃力の低いDーHEROなどなら別だが、
獅子沢のモンスターの攻撃力は1800。それより600も高い。

「(なのに・・・・・・なんで・・・・・。)」

獅子沢は首をかしげた。・・・が、わかるはずがない。

「(何かのリバースカードを使う気か?)」

たしかに、何かのカードが伏せてあるならわかる。・・・・が、


「おれは、カードを伏せずにターンエンド。」

アナザーの言葉に、獅子沢は、驚愕した。・・・・・・が、


「俺のターン、ドロー!」

考えても仕方ないといわんばかりに獅子沢はカードを引いた。



ドロー・獅子幻獣の降臨

「(今は使えねーカード・・・・か。なら、)狼を攻撃表示!」

獅子沢のフィールドに、日本狼が現れた。さっき引いたカードである。


「いっくぜぇ!狼で、ミストウルフに攻撃!!」

狼は、勢いよく飛び掛る。・・・・・・・が、

「当然・・・・・・・獅子幻影。」

アナザーは、平然とそう命令を下す。

ミストウルフの体が霧状にかわり、その攻撃を受け流した。・・・が、


「獅子幻影は、一体につき一回まで。・・・・ペガサスの攻撃!!」

ペガサスは、翼を大きく羽ばたかせ風を起こした。
その風はとても強く、たっているのが困難になるほどだ。

すでに獅子幻影を使ってしまっているため、攻撃を防ぐ術はない。













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はずだった。

















             
「ミストウルフ・・・・・・・獅子幻影・・・・・・・・!!」








再びミストウルフの体が霧となり、攻撃をかわした。

獅子沢は驚いた様子で、

「バカな?!獅子幻影は、もう使ったはずなのに・・・・・。」

という。獅子幻影に何度も助けられているので、その驚きはかくせない。
するとアナザーが、


「こいつの能力さ。」

と、説明をはじめた。指差した先にいたのは・・・・。



第11話  もう一人の自分(後編)ー憑依ー

そこには、本来なら死んだはずの「ミストウルフ」がのこっていた。


ミストウルフ ATK1200→1100→1000


「?!攻撃力が、下がってる?!」

2つの疑問を抱いている獅子沢に対して、アナザーは、その口を開いた。

「ミストウルフ・・・・・・・。こいつは、獅子幻影のスペシャリスト・・・・。
 攻撃力を100ダウンさせることにより、獅子幻影を使うことができる。
 しかも、1ターンに何度でも・・・・・。」


獅子幻影とは、1体につき1回しか使うことが許されない。
しかし、ミストウルフは異質である。
その理由は、上記の能力。
これにより、ほぼ100%の生贄確保が可能となる。


獅子沢は、手札のカードを手に取った。

「なら、これならどうだ!地砕き発動!!」


現実的にも強いカードにより、ミストウルフは破壊された。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かに思われた。





「?!こ、これは・・・・・・一体?!」




なんと、獅子沢の実体化された地砕きのカードを、
ミストウルフが、霧状になって覆っているのだ!!





再びアナザーは、口を開いた。

「ミストウルフの能力だ・・・・。攻撃力を500下げる代わりに、
 効果をひとつ無効にして・・・・・・・破壊する。」


という最後の「破壊する」というせりふと共に、地砕きは消滅した。

獅子幻獣  ミストウルフ

攻撃力を100下げることにより、獅子幻影を使用することができる。
攻撃力を500下げることにより、相手のカードの効果をひとつ無効にして破壊する。



「ターン・・・・エンド。」

獅子沢には、他に選択肢が残っていなかった。
アナザーは無言でカードを引いた。


「ミストウルフを生贄に‐―ーーーーーーーー」


ミストウルフが、アナザーの前から消え去った。

「召喚・・・・・・・・獅子幻獣 ケンタウロス!!」


アナザーの後ろに、黒い渦が発生する。

その渦の大きさは、2mを越すだろう・・・・・。

その渦は、雷をまとっていて、それに触ってしまったら感電して死に至るかもしれない




その渦の中から、上半身は人、下半身は馬の2m程の怪物が現れた。

片手に雷をまとっている。




「いくぞ。・・・・・・・・ケンタウロスの攻撃!!」



アナザーは、その怪物に、攻撃の指令を出した。



ケンタウロスは、ターゲットに雷をまとう右手をさしだした。

その右手は、不思議なエネルギーをチャージしている。


「させるか!獅子幻えi」




「無駄だ。ケンタウロスの攻撃は、相手のモンスター効果を無効化させる!!」


アナザーが、獅子沢をさえぎるようにそういった。



「くっ・・・・・・・・・・・・・・。」


ケンタウロスの雷が、ペガサスに直撃した。
そしてペガサスは、跡形もなく消えてなくなってしまった。


「まだだ。ケンタウロスの攻撃は、2体のモンスターを灰にする!!」


「な、なに?!」


左手から放たれた雷により、もう一方の狼が跡形もなく消え去ってしまった。


「ケンタウロスの攻撃力は3400!!よって、3200ポイントのダメージを受けろ!!」



2つの雷は、モンスターを貫通して獅子沢を襲う。



「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




獅子沢LP4000→2400→800




「くっ・・・・・・・・俺の・・・・・・ター・・・・ン。」


当然獅子沢のターンである。


なぜなら、ケンタウロスはそのつよさがゆえに、召喚時手札をすべて捨てなければならない。それだけ強いのだ。


獅子沢は、ドローしたカードを見て思わず笑みをうかべた。
それを見たアナザーは、

「何か引いたか?」

と、たずねた。
実際、アナザーはこのデュエルに負けなければならない。
獅子沢は、自分のターンを再びはじめた。


「手札から、獅子幻獣の降臨を発動!来い!フェニックス!!」



フィールドに、1枚の輝かしい羽根が落ちてきた。
上をみると、神々しい羽根を体全体にまとった鳥が優雅に空を舞っていた。


「さらに、最後の手札・・・・獅子幻獣の鎧を発動!!」

獅子幻獣の鎧
通常魔法
このターン、獅子幻獣が戦闘によって破壊したモンスターの
攻撃力分のダメージを相手に与える。



「こいつでおわりだぁーーーーーーーーー!!」


フェニックスの体の神々しさがいっそう増す。
その光に包まれて、ケンタウロスは消滅した。



「くっ・・・・・・。」



アナザーLP4000→3400→0

















「で、どうしたらここから出られるんだ?」


デュエル終了後、獅子沢は約束どおり問う。


「ふふふ・・・・・・・。」







アナザーは、かすかに笑った。



「どうしたんだ?一体・・・・・・・。」


獅子沢は不気味なアナザーに聞く。






「無理なんだ。」

















短い沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

















「無理?」






獅子沢が聞きなおす。









「無理なんだよ。お前がここから出るのは・・・・・・。」













「無理?」





再び聞きなおす獅子沢。






「ふざけんな!何でこっからでれねぇんだよ?!」



「おそらく、お前の兄が原因だろう。
 あの、獅子幻黒獣・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 あれには、不思議な力が入っている。」



「不思議な・・・・・・・・力?」

獅子沢は聞きなおしてばかりである。












「人の魂を分解し、半分を奪う力だ。」



「人の・・・・・・・・魂を?」



「目的は不明だが、おそらく悪用するだろうな。」



 兄貴が・・・・・・・・・・魂を悪用?







「ただし、ひとつだけ方法がある・・・・・・・。」



「方・・・・・・・・法?」

















「おれがお前の体に憑依して、兄と戦い勝利する。
 そして魂をとりもどす。」






「本当に、できるんだろうな?!」

用心深い獅子沢が問う。それにアナザーは・・・。


「うそをついたところで、得することはない・・・・・・・・・・いくぞ。」



現実世界で死んでいる獅子沢は、再び息を吹き返した。





「ふぅ・・・・・・・なかなかいいな。生の肉体は・・・・・・。」

と、アナザーが関心しながらいう。・・・・そんなアナザーに獅子沢は、


「(おい、はやく兄貴を倒してくれよ・・・・・・。)」


「ああそうだったな。・・・・・・・・・・いくぞ。」


アナザーは、新たな肉体で走り始めた・・・・・。





第12話  兄を知る者(前編)ー暁探ー




「・・・・・・。いや、少し待て。」


アナザーは、ぴたりと足を止めた。比喩ではなく、本当に・・・・・。


「(?どうしたんだ、アナザー?)」


「今、お前の兄の居場所がわかると思うか?」


「(あ・・・・・。)」














短い沈黙・  ・  ・  ・  ・  ・  ・。














とりあえず、森を抜け出すことにした。




「(おい、アナザー・・・。森を抜け出して、どうするつもりだ?)」


「ああ、お前の兄の情報を、手当たりしだいに聞いて回る」


アナザーは、真顔でそう答えた。



「(なら、まずはあいつにきいてみようぜ!)」



「あいつ?」


アナザーの知らない「あいつ」というものに疑問をもつアナザー。

















「何よ、獅子沢竜鬼?」


「あいつ」というのは、どうやらこの少女「暁冥」のようである。



「(フルネームで呼ぶな・・・・・。)」



獅子沢は今、身体があったらムッとしながらいっているだろう。


「(少し静かにしてろ。)獅子沢でいい。・・・・ところで暁。」



「冥でいいよ。」


「そうか、なら冥。ひとつ聞いていいか?」


と、アナザーが聞いた数秒後・・・・・冥は右手を差し出した。
アナザーが「理解不能」という信号をだしていると冥が


「情報両。」
















短い沈黙



「(アナザー。ここは出しておいたほうが・・・・・。)」


「・・・・・・わかった。・・・・・・・・・いくらだ?」


アナザーが、懐から財布を取り出した。
・・・・・・・・すると冥は、右手をアナザーにむけて


「お金じゃないわ。」と、一言。



「じゃあ、なんなんだ?」

と、再び財布をしまいながら聞いた。









「ワイトを1枚。」


















再び、短い沈黙・  ・  ・  ・  ・





ワイト /闇
★★
【アンデッド族】
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
攻300 守200

















「多分、私のお兄ちゃんがしってると思うわ。」

と、冥は質問に答えた。



アナザーは、かばんの中に都合よく入っていて、それを渡していた。



「で、どうしたらその人にあえるんだ?」


と、アナザー。
すると、冥はポケットからPDA(パスポート・デュエル・アカデミア)を取り出した。
PDAは、この学校での生徒手帳として扱われている。
ただ、メール機能などもありなにかと便利である。
そして冥は、


「この人が、私のお兄ちゃんよ。」


そこには、青い目、青くストレートの髪で、制服まで青い(どこまでも青い)
美男子という言葉がぴったりの青少年が写っていた。


「この人が「暁探」。オベリスクブルーの3年生。」


なので、制服まで青いのである。



「よし。・・・・・・・・まずはブルー寮から・・・・」


それを引き止めるように

「ちょっと待って!」

という声がした。・・・・・・・・・・・当然、冥の声である。



「お兄ちゃんは、いつも決まって火山にいるの。」



「・・・・・・そうか。なら今も火山だろう・・・・・。」


そういって、アナザーは火山に向かって歩いていった。
なぜ火山なのかという理由は、明かされないままである。












PM・6:25   火山



この時期、さすがに噴火はしないが、火山のせいかとても暑い。
どうして「暁探」がこんなところを好むのかが不明である。








その時、アナザーは火山にいる一人の男を発見した。





・・・・・・・・・・・・・・が、話しかける気になれなかった。




なぜなら、彼は猛暑の火山で「瞑想」をしていたのだ。




しかも、5分ほどいただけで、アナザーは汗をかいているのに、
彼は、むしろ涼しい顔で汗がまったくない。




「(仕方がない。アナザー、また今度にしようぜ。)」

「ああ。仕方がないな・・・・・。」


アナザーが帰ろうとした。その時・・・・・。











「妹からきいたよ。獅子沢くんだね?龍神のこと・・・・しりたいんだよね?」










穏やかでやさしそうな声。
さっきから目を瞑っていた男の方向からである。



いきなりのことに、アナザーは無表情のまま身構えた。




「はじめましてだね。僕は、暁探。探でいいよ。」


彼は、穏やかにそういった。
するとアナザーが・・・・・・・・・・・・・・・。


「それじゃあ、おしえてくれ。獅子沢龍神について」




「・・・・・・・うん。でも、ただ普通に教えるだけじゃ、おもしろくないね。」




「と、いうと?」



「デュエルをしないか?僕に勝ったら、教えてあげるよ。」

と、穏やかな声で、穏やかでないことをいいだした。


「・・・・・・・・・・わかった。」





二人は、デュエル板を取り付け、構えた。




「「デュエル」」



アナザー LP4000

探 LP4000



第13話  兄を知る者(中編)ー剣闘獣ー

「俺の先攻・・・・・・・ドロー!」

アナザーの先攻のようである。

ドロー・獅子幻獣 ペガサス

「獅子幻獣ペガサスを召喚・・・・・。」


アナザーの前に、きれいに揃ったたてがみをもつ馬が現れた。


「さらに・・・・・カードをセットしてターンエンド。」

「じゃあ、いかせてもらおうかな。僕のターン。」


探のターンだが、いささか余裕な表情をうかべている。

一方アナザーは、表情をまったく変えていない。
いわゆるポーカーフェイスである。(ハーピィダンディさん、すみません。)

「僕は、剣闘獣ラクエルを召喚するよ。」

探の前に、炎の輪をまとった獣が、出現した。
アナザーは、その炎と火山で体温が上がってきているのを察知した。
そんなアナザーを見た獅子沢は、

「(大丈夫か、アナザー。)」

「ああ、だいじょうぶだ。・・・・・・安心しろ、すぐ終わる。」

そういうと、アナザーは、後ろの獅子沢にカードを見せるように手札を広げた。


「(獅子幻獣 ケンタウロス・・・・・。)」

「わかったら静かにしていてくれ・・・・。」


獅子沢は安心したように相手をみた。



剣闘獣ラクエル
炎属性/星4/獣戦士族/ATK1800/DEF400
このカードが「剣闘獣」と名の付いたモンスターの効果によって特殊召喚に成功した場合、このカードの元々の攻撃力は2100になる。このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に、このカードをデッキに戻すことで、デッキから「剣闘獣ラクエル」以外の「剣闘獣」と名の付いたモンスター1体を自分フィールド上に特殊
召喚する。



「・・・・・いくよ、獅子沢君。ラクエルの攻撃!」


探は、右手をかざした。
ラクエルは、口から炎の輪を吐き出した。


「(相打ち覚悟の特攻・・・・・・か。)」

その瞬間、探は手元にある1枚のカードを手にとった。


「ダメージステップにはいり、速攻魔法 収縮を発動するよ。」

アナザーの前に存在していた白馬は、みるみるうちに小さくなっていった。

「フレイムループブレス!!」


ペガサスは無数の輪により、焼け死んでしまった。

アナザーLP4000→3100


「・・・・・この瞬間、リバースカードオープン!獅子幻獣の復讐!!」


獅子幻獣の復讐
通常罠
自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され
墓地へ送られた時に発動する事ができる。
自分の手札またはデッキから「獅子幻獣」という名のついた
レベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。


「・・・・・これにより、獅子幻獣ペガサスを特殊召喚する。」

先ほどやられたはずの白馬が、ふたたびまいもどった 

「そう。・・・・・・・・・でも、」

フィールドにいた炎の輪をまとった獣が、フィールドから消え去った。


「(なっ、一体どうなってんだ?!)」

「・・・・・・・・・・・いやな予感がする。」


「ふふ。剣闘獣は、戦闘を行ったターンのバトルフェイズ終了時、
 このモンスターをデッキに戻すことで、剣闘獣をデッキから特殊召喚する。」


探は、デッキを取り出して一枚のカードを選び、フィールドに出した。

「剣闘獣ムルミロを特殊召喚!!」

さっきの炎の獣は、水をまとった魚と入れ替わった。

剣闘獣 ムルミロ
星3/水属性/魚族/攻 800/守 400
このカードが「剣闘獣」と名のついたモンスターの効果によって
特殊召喚に成功した時、フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊する。
このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に
このカードをデッキに戻す事で、デッキから「剣闘獣ムルミロ」以外の
「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。


「効果で、ペガサスを破壊させてもらおう。」

魚の吐き出した大きな泡に覆われた白馬は、跡形もなく消え去ってしまった。

「最後に、カードを1枚セットしてターンエンド。」



第14話 兄を知るもの(後編)ー獅子幻獣ミアルー

「俺のターン・・・・・・ドロー。」

ドロー・獅子幻獣 ミストウルフ

「・・・・・・俺は、ミストウルフを守備表示で召喚。」

アナザーの前に、霧でできた狼が出現した。


「(確かに・・・今、こいつを出すのはいいかも。)」

ここで今の状況を確認してみよう。


アナザーLP3100  手札X4(内1枚がケンタウロス)
場 獅子幻獣 ミストウルフ 

探    LP4000 手札X3
     場 剣闘獣 ムルミロ 伏せカードX1


「さらに、カードをふせてターンエンド。(あの魚のおかげで少し涼しくなったな。)」

アナザーの前にカードのビジョンが現れた。


「さぁ、いくよ。僕のターン。」

探はおちついた表情でカードを引いた。

「剣闘獣 ディカエリィを召喚!」

3体目の剣闘獣が現れた。
今度は、紫の牛のようだ。まわりには太鼓のようなものがうかんでいる。



剣闘獣 ディカエリィ
星4/地属性/獣族/攻1600/守1200
このカードが「剣闘獣」と名のついたモンスターの効果によって
特殊召喚に成功した場合、このカードは1度のバトルフェイズ中に
2回攻撃をする事ができる。
このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に
このカードをデッキに戻す事で、デッキから「剣闘獣ディカエリィ」以外の
「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する


「攻撃するけど・・・獅子幻影を使うかい?」


「なっ?!(なぜ獅子幻影を知っているんだ?!)」

アナザーは無表情で驚いた。・・・・・・・・・・すると探は、

「なんで知っているんだって思ったね?」

「(ひ、人の心を読みやがった、超能力?!)」


今度は、獅子沢が驚いた様子。


「ちなみに、超能力でもエスパーでもないよ。」


「・・・・・・・・・すでにオカルトだ。」


「さぁ、君のターンだよ。」



よくわからない内に、あの牛の攻撃の終わっていた。


「・・・・・・・・・ドロー!!」


ドロー・獅子幻獣 ミアル

「!!よし。獅子幻獣 ミアルを召喚!」

フィールドに、可愛らしい三毛猫が現れた。
ちなみにカードの絵柄は、「レスキューキャット」に酷似している。


「そのモンスターは・・・、見たことがないね。」


探も見たことのないカードに少し驚いた。


獅子幻獣  ミアル
☆2 光属性/獣族/攻300/守200
このモンスターが召喚された時、相手の手札を1枚選択する。
このカードの効果はそのカードの効果となる。


「・・・・・・おれは一番左のカードを選択する。」


選んだカード・二重召喚

二重召喚
通常魔法
このターン中もう一度だけ通常召喚を行う事ができる

「この効果により、俺はミアルを生贄に捧げる。」



ミアルは、後ろに出現した黒い渦に飲み込まれた。
そして、その中から背の高い上半身は人、下半身は馬の怪物が現れた。


獅子幻獣 ケンタウロス
☆10光属性/獣族/3400/0
???


「これは・・・・・・やばそうなカードだね。」

探もその強大な力にすぐにきづいた。


「いくぞ・・・・・。ケンタウロスの攻撃!」


ケンタウロスは、ターゲットに雷をまとう右手をさしだした。
その雷で、牛の獣は灰となった。


探LP4000→2200

「(さすがケンタウロスだな。)」


アナザーは、手札のカードを手にとって探にみせた。

「・・・・このカードは貫通ダメージを与えるカード。
 こいつで、そこの魚を倒せば・・・・・終了だ。」


探は、手札を束ねた。そして、デッキの上に手を置いた。





ーーーーーーーサレンダーである。






「(なんか、暁兄妹とのデュエルはいつもサレンダーで終わるな・・・。)」



獅子沢は、一人でそうつぶやいた。





その後、探は伏せてあったカードを手にとって眺めた。


破壊輪
通常罠
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊し、
お互いにその攻撃力分のダメージを受ける。


「(このカードでケンタウロスを破壊すれば負けはしない。・・・・・・・でも、)」




「おめでとう。君の勝ちだよ。」

























それじゃあおもしろくないし、勝ってしまったら兄について教えれない。






<次回予告>頂上決戦!!  






「来なよ、獅子沢君。教えてあげるよ。龍神について。」

探が手をさしだした。そして、獅子沢(魂の方)は、若干にやっとした。


「よかったよかった。」

冥は笑いながらそういった。




・・・・・・・・・・すると後ろから声がした。




「見つけたぞーーーーーーーーーーー!!」


3人が後ろを振り向いた。そこには1人の少年が立ってぜぇぜぇいっていた。



第15話 頂上決戦!!


「(なっ、なんだ?!)」

と、獅子沢。
その少年が、走ってこっちにきた。・・・・・・・・・・・・が、そのペースはとてもゆっくりだ。





「(俺たちになんか用なのかな・・・・・。アナザー、どう思う?)」


その言葉をきいたアナザーは、つぶやくように答えた。


「あの男・・・・・・・・・・目当ては俺たちじゃないな・・・・。」


「(えっ・・・・・・あ!)」


その少年はアナザーの横をとおり、その後ろの一人に話しかけた。



















「ついに見つけたぞ!暁冥」


















思いがけないことに、獅子沢(の魂)は口をあんぐりさせていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肉体があればの話だが。




「俺の名は竹屋光男!!暁冥!デュエルを挑む!!」


その少年(以降竹屋)は大声で言った。
竹屋はねずみ色の髪に青色の服をきたオベリスクブルーの生徒だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・余談だが、ポニーテールである。(どうでもいい)


「いいわ。・・・・・・・・・・・・きなさい!!」




「「決闘!!」」


冥LP4000

竹屋LP4000



冥は手札を見た。そして少しにやけてこういった。


「フッフッフッフッフッ。私が誰だか・・・・・あなたわかってるの?」


そういって、冥はドローした5枚のカードを見せびらかした。


   冥手札・ワイト
        ワイト
        ワイト
        ワイトキング
        ワイトキング


「(でた!冥のワンキル手札!!)」


獅子沢は自分がされかけたコンボなだけに、ちょっとした関心をもった。

















・・・・・・・・・が、それをこえる手札を持つものがいた。



 
  













       竹屋手札・折れ竹光
              折れ竹光
              魂を吸う竹光
              魂を吸う竹光
              魂を吸う竹光






(この結果から竹屋→竹光に変更)

















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿か、こいつらは。」




アナザーが、もっともな反応をした。





題名どおり「頂上決戦」だ。

















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・別の意味で。



















 先攻14ターン目
   冥   LP1200 手札X3
       場・ワイトキング(ATK/5000)
       
   竹光 LP900  手札X5
       場・伏せカードX2







「(・・・・・・・・・・・・・・一気に飛びすぎだろ?!!!!!作者ふざけんな!!)」



「・・・・・・・・・・何をいってるんだ?」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すんません。






「私のターン!」


冥が勢いよくドローした。








その瞬間、ワイトキングがいくつもの刀に刺された。



「?!」


冥は状況把握に困っている。




「ひゃははは母は母!!リバースカードオープン!竹光の怒り!!」




竹光の怒り
通常罠
手札の竹光と名のつくカードを5枚墓地におくる。
相手モンスターを破壊し、その攻撃力の2倍のダメージを相手に与える。



「これで、10000のダメージを・・・・・・・・・・・・?!」




竹光LP0



「なっ?!これは・・・・・」


竹光はとてもあせった様子。


「このカードは、ワイトの逆襲。このカードで、そのダメージをそのままお返ししただけ」


ワイトの逆襲
速攻魔法
自分の手札からワイトと名のつくカードを3枚捨てる。
このターン自分が受けるダメージをあいてに与える。




冥LP1200

















「今回はまけたが次は負けねーからな!!・・・・・・・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん」





竹光は走り去っていった・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣きながら



















「(今回、本当にどうでもよかったね・・・・・・・・・・・)」


「ああ、そうだな。」



第16話  アナザーVS竜神@ー思い出の場所ー

獅子沢(アナザー)復活から3時間。







暁探とのデュエル終了から2時間半。







今・・・・・・・おれ、獅子沢竜鬼(の魂)は2人の男といる。







一人は俺の体に憑依している・・・・・通称「アナザー」。






こいつとは3時間ちょっと前に出会い、ある目的のために憑依させている。






その目的・・・・・・・・・それは・・・・・・・・・・・











兄をたおし、









おれの魂を復活させること。













そしてもう一人はこの、暁探。






この男の妹、暁冥に紹介してもらった男だ。













兄の情報を知るために・・・・・・・・・。











「来なよ、獅子沢君。教えてあげるよ。龍神について。」









この言葉を聞いて30分・・・・。







今、アナザーはある場所につれてこられた。



















             滝の前。


















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひとつ聞いていいか・・・・・。」


アナザーはたっぷりとマイナスイオンを浴びながらたずねた。


「なんだい、獅子沢君。」


こちらも、マイナスイオンをたっぷり浴びながら聞き返した。



だが実際、聞きたいことは山ほどある・・・・・・・・・・・・・。




なぜ、こんな激しい滝の前なのか。




なぜ、この男は火山で瞑想をしていたのか。(さっき聞いとけばよかった。)




なぜ、この男は滝や火山のような正反対の場所を好むのか。




なぜ、作者はさっきからマイナスイオンのことばかりはなしているのか




なぜ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?もうないや。




そんなこんなを考えているうちに、探は口をひらいた。


「なぜ、滝なのかが知りたいみたいだね。」


心読むなって・・・・・・・・・・・・・・!!


「いいよ。教えてあげるよ」


さっきまでうるさかった滝の音が、急に静かになった。


「ここはもともと、僕の瞑想の場だったんだ・・・・・・・・・・・・。」


そのことを聞いていた獅子沢(の魂)の第一声。(これぞ、心の声)



「(それだけの理由でこんなマイナスイオンたっぷりの場所なのかよ?!)」


その言葉を耳にした(もはやエスパー)探は口をひらいた。





「そして・・・・・・・・・・龍神との思い出の場所なんだ。」



その言葉を耳にした獅子沢(の魂)はさっきの態度とは一変した表情で答えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・心の中で。












「(兄との・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思い出の場所・・・・・・・・・・・・・・・?!)」









確かに、さっきから思い当たる節はいくつもある。




この男はさっきから、兄のことを「龍神」と呼んでいること。




獅子幻影の存在を知っていること。






探は顔をあげて話し始めた。





「あれは・・・・・・・・・・・・・・・・・2年前か。僕らが一年の頃。」






ーーーー「二年前」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すーーーーーーーーはーーーーーーすーーーーーーはーーーーーー



探はいつものように滝に打たれ、マイナスイオンを浴びながら瞑想をしていた。


そんなある日のこと・・・・・・・・・・・・・。



「・・・・・あんた、そんな場所いたら風邪ひくぞ・・・・・・・・。」


獅子沢龍神、当時16歳。



これが、龍神と探の最初の会話だった。



数日後。



「「決闘!!」」


探LP4000

龍神LP4000


これが、二人の最初のデュエル。






そしてそこは、滝の前の岩場。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十分後。



「ブラックフェニックスの攻撃・・・・・・・・!!」



黒い体の不死鳥が攻撃体勢に入った。



まだこのとき、ブラックフェニックスには黒いオーラがなかった。




「罠カード発動、破壊輪!!」


破壊輪
通常罠
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊し、
お互いにその攻撃力分のダメージを受ける。


黒い鳳凰の首に、炎をまとった輪が出現した。
ちなみに、探の使った破壊輪はアジア版である。





どがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん



探 LP0

龍神LP0



引き分け







「ハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「ハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」



二人は笑いあい、打ち解けた。











そして、ライバルと認め、友として認めた。






この時、探はブルーで、龍神はイエローだったが、














「友情さえあれば、格差なんて関係ない」









二人はそう実感した。



第17話   アナザーVS竜神Aー異変ー 

ーーーーーーーーーー前回の続きで過去の話ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後二人は2年生に進級し、それと同時に龍神はオベリスクブルーになった。


「よかったじゃないか、オベリスクブルーになれて。」

と探。当然ブルーである。
だが探は、オベリスクブルーであっても、レッドやイエローにもやさしく
また、下級生にもやさしいため女性に人気である。

一方の龍神も、ルックスや性格が良いため女性に人気がある。

・・・・・・・・・この人気が、獅子沢に影響があるとかないとか・・・・・・。





某日
二人は職員室に呼ばれていた。


「獅子沢、暁。君たちに、これをあげるよ。」


その教師の手には「GR」と書かれた金色のバッジが2つ置かれていた。
それをみて、一番はじめに口を開いたのは探だった。

「水神先生・・・・・・・・・・なんですか、これ? (随分ときれいなバッジだな) 」


「探。たしかこいつはGoldRank「ゴールドランク」(金の称号)の証明。」


「よく知ってるな、獅子沢。そう、通称「GRバッジ」。」

探は、龍神を不思議そうに見た後で、

「しかし、なんでこれを僕たちに?」




「ああ、校長が君たちを「金の称号を持つべき者」として認めたんだ。」



「「!!!!!!」」


二人は唖然としていた。・・・・・・・・・・・・・そして龍神が、


「恩師。おれたちはまだ二年生です。
 たしか、「GR」を持つ者は5人。・・・・・・・・・後の3方は三年でしょう?」


その言葉を聞いた水神は、懐から、1枚の紙を取り出した。



「ここに、新しい「GR」を継ぐ奴が書かれている。これを見てからよく考えるんだ。」


二人はその紙を手に取り、確認した。





龍神と探の他に、三人の名が書かれていた。
二年生の名前が二人分と、三年生の名前が一人書かれていた。
























      獅子沢龍神 

  
      暁探


      丸藤亮


      天上院吹雪


      白夜鴉(カラス)

















この紙を水神に返却して、龍神が発した第一声。






「恩師。俺たちでよければ・・・・・・・・・。」


それに続くように、探も・・・・・・・


「もう、断る理由はありませんよ。先生。」

















そして、月日が流れた。





某日・第一体育館
GRになると、2ヶ月に一回教師とデュエルをするという習慣がある。
理由として、実は教師になる者は全員GRを獲得した元生徒である。
そのため、教師のタクティクスをみたりして、将来に備えるのだ。
この決闘では特別に二種類のデッキからひとつを選ぶことができる。
自分のデッキを信じて「自分のデッキ」
他のデッキも使ってみたい場合「レンタルデッキ」
ちなみに、対戦相手はくじで決まる。

まずはカイザー亮こと丸藤亮である。









「火海炎(ヒノウミエン)先生・・・・・・・・・・・・お願いします。」


カイザーが引き当てたのは、身長180cmで炎のように逆立った髪とたらこ唇が特徴の
28歳独身、超熱血教師である。
その熱血ぶりは、同じ教師である灘晋平を上回るとか下回るとか・・・・・・・。
・・・・・・・・・・とってもあつくるしいが、地球温暖化の原因は彼ではない。



「おう。丸藤、よく俺を引いたな。
 よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!熱いデュエルにしようぜ!!!」






それを見た教師含む一同がほぼ同時に思った一言(口には出さない。)























(あいかわらず、暑苦しい人だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。)

















次は、天上院吹雪である。
カイザー亮と並び評されたほどの実力と片手にギターを持つ。
いろんな意味で苦手なキャラなので、とっとと終わらせてしまおう。






「フフッ、さっ、お願いします。ワイト先生。」



吹雪かひいたのは、とってもやせ細っていて貧乏感があふれて出てくる
アンデット使いの教師である骸賄斗(ムクロワイト)。
ちなみに、外見も名前も「ワイト」に似ていることから、
小学校のころからずっとあだ名はワイトである。
・・・教師になっても、生徒だけでなく同じ教師からも「ワイト先生」で呼ばれている。
現在も健在なので、暁冥に大人気である。



その後、白夜カラスがクロノス教諭をひきあてた。
そして、探の番。


「!水神先生。あなたです。」



水神英人。獅子沢竜鬼をみつけた、教師。
使うデッキは「ダイダロスデッキ」。

そのあと、探は涼しい顔で


「あ、先生。レンタルデッキもらっていいですか?」


そういうと、別の教師がレンタルデッキの入ったパックをわたした。
その光景をみていた水神は、



「にゃろ〜。おれにはレンタルデッキで十分ってわけか。」

「まさか。ただ・・・・・・・・・・・・・」


その瞬間、そこに桜吹雪が舞っていたらすべてが真っ二つになっていただろう。














「決闘王を目指すもの、どんなデッキでも使いこなせなきゃだめですよ。」















今世紀最大(まだ始まったばかり)の爆弾発言である。





最後に龍神が引こうとした瞬間ーーーーーーーーーーーーー







「エターナルエポリューションバースト!!!!」




カイザーの背丈の何倍もの大きさの機械龍が光線的なものを放った。





「あついぜえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」





火海LP0





「(まだ俺引いてないんだけど・・・・・・・・。)」






龍神が引き当てたのは、初めて見る教師だった。




「(新任・・・・・・・・・・・・・・・・・・・か。)」


















「ブリザードドラゴンの攻撃!!アイスバースト!!」

と、吹雪。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・直接攻撃」

と、白夜。



ワイトLP0
クロノスLP0




そして、探。



「ぐっ!!」

探LP4000→1200




「ふふふ。どうした、暁。やっぱり、レンタルデッキじゃきついか?」

一方の水神には、早すぎた埋葬で蘇生されたダイタロスとアトランティス。


一方の探には、永続魔法が一枚。




「僕のターン、ドロー。」


余裕の表情でカードをひいた。



ドロー・ホーリーエルフ



「凡骨の意地の効果で、もう一枚ドロー。」


探は再びデッキに手を置き、カードを引いた。


















「ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モンスターカード。 
 ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モンスターカード。
 ドロー、モn・・・・・・貪欲の壷・・・・・。」




「ふぅ、やっと終わったかい?」


















「何を勘違いしてるんですか?」






「えっ?」













「まだ、僕のドローフェイズは終了していませんよ。」









「はっ?」







探は手札のカードを一枚手に取った。


「速攻魔法、リロード!!」







「(´・Д・`)」






こうして、探は水神に勝利した。







しかし、龍神は















龍神LP1300





「ぐっ、まさか・・・・・・・・ブラックフェニックスがやられるなんて?!」




龍神の前には、先ほどまで黒々しく輝いていた鳳凰が
黒焦げになって(元々黒い)地面に倒れていた。





「とどめだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブラックアブゾリュート!!」








龍神LP0







「負けました。恩師。」


龍神は、その教師の元に向かって歩いた。・・・・・・・・・・・・・・恩師・・・・。



「龍神。貴方には才能がある。ちょっと・・・・デッキを見せてくれないか?」



龍神はデュエルディスクからデッキをとりだし、その教師にわたした。




「なるほど。獅子幻黒獣か。ブラックカウンターを操るタイプだね。」
















「・・・・・・・・・・・・・・・・・すばらしい。」

その言葉を発した瞬間、その教師はかすかににやけた。
















そして、手から謎の黒いオーラをそのデッキに送り始めた。





「あの、そろそろいいですか?」


龍神が、その教師にいった。


「ああ、すまない。ありがとう、なかなか楽しかったよ。」



その教師は、龍神にデッキをかえした。
そして、右ポケットから一枚のカードを龍神に渡した。





「このカードを、君にあげるよ。」


そこにあったのは、一枚の効果モンスターカードだった。
そのカードの絵柄をみると、全体的に黒っぽく中心には
兵隊のようなモンスターがいる。



そして、後ろには両目の色が違う悪魔のようなモンスターが描かれていた。


「闇の・・・・・・・・化身。」
















そのモンスターのカード名を読み上げた瞬間
龍神の眼の色が灰色にかわった。
















そして一週間後。龍神は僕らの前から姿を消した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在。



「今考えたら、あの日からだったな。龍神が変わったのは。」

その探の話を聞き終わってのアナザーの感想はというと、




「・・・・・・・・・・いったい・・・その教師は何者なんだ?」



謎は深まるばかりと言おうとした瞬間・・・・・・・・
















ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!












悲鳴が聞こえてきた。





第18話 アナザーVS竜神Bー憎しみと怒りー

二人はすぐに悲鳴の方向へと走り出した。




「大丈夫かい?!おい!!」

と、探は抱きかかえるようにしてその少年によびかけた。












・・・・・・・・・・・・・・が、もちろん返事があるはずがない。










・・・・・・・・そこに魂はないのだから・・・・・・・・・・・・・・・。






すると獅子沢は後ろからその状況をみていて、




「アナザー、この現象・・・・・・・・。」


「ああ、俺たちのときと同じと見て間違いなさそうだな。」


と、アナザーもうなずいた。
そしてその後で洞察力抜群のアナザーが首筋にあるものを見つけた。





ーーーーーーーーそこには勾玉がえがれていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・!!」






アナザーは何かに気づいたように探に呼びかけた。



「探・・・・・・・・さん、俺の首筋・・・・・・・・・・ちょっと見てみてください!」





探は指示されたとおりにアナザーの首筋(体は獅子沢のもの)を確かめた。


















そこにはこの少年と同じような勾玉が描かれていた。
その勾玉の穴の部分には「3」と書かれていた。その数字はにじんでいた・・・・。










ーーーーーーーーーーーーーーそれは、血の字のように・・・・・・







ーーーーーーーーーーーーーーそれは、悪魔の字のように・・・・・








ーーーーーーーーーーーーーーそれは、死神の字のように・・・・・

















ーーーーーーーーーーーーーーにじんでいた・・・・・・・・。











アナザーは、倒れている・・・・・・魂の抜き取られた体の首筋を確かめた。










案の定・・・・・・「48」と書かれていた。
だが、その字はまだ書かれたてのように鮮麗(せんれい)にととのっていた。







その字を見た瞬間、アナザーにある予感がよぎった。


















この字が完全ににじみきった時・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


















ーーーーーーーーーー魂の破滅。
















「急ごう、獅子沢君。龍神が遠くへ行かないうちに・・・・・・。」





その声を合図に、二人は再び走り出した。



















・・・・・・・・・・・・数分後。ある人影が二人の眼球にはいってきた。

















ーーーーーーーーーーーー兄だ。




ーーーーーーーーーーーー龍神だ。




ーーーーーーーーーーーー我が魂を奪った兄だ。





ーーーーーーーーーーーー憎き兄だ。




ーーーーーーーーーーーー憎キ兄ダ。




ーーーーーーーーーーーー我ガ魂ヲ奪ッタ。




ーーーーーーーーーーーー憎キ兄ダ。




ーーーーーーーーーーーー復讐スルンダ。




ーーーーーーーーーーーー憎イ。




ーーーーーーーーーーーー憎イ。




ーーーーーーーーーーーー憎イ。











「久しぶりだな・・・・・・・・・・と、いいたいところだが・・・・・・違う。」



第一声を発したのは探だった。





「君は・・・・・・・・・・・・龍神ではない。」



何をいっているんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・奴は・・・・・・。








ーーーーーーーーーーーーーーーー憎き兄だ。








見たところ、その龍神は眼を隠しきる仮面をつけていた。
その形は「ダークネス吹雪」のつけているものとほぼ同じ形。
違うとすれば・・・・・・その色だ。
どす黒い。ただそれだけである。
すると龍神はデュエルディスクを構えた。
そのデュエルディスクは、仮面同様どす黒い。
しかもライフポイントゲージの数字はウィジャ盤の文字のような形である。


龍神のようにアナザーも構える。・・・・・・・・・・・・・・・・が、






探は、それを右腕で引き止めた。







「なんだ?」

アナザーは探に問う。


「僕にやらせてくれないか?龍神を・・・・・・・・闇から取り戻す・・・・。」



反論しようとしたとき・・・・アナザーは気づいた。


彼の怒りに・・・・・・・・・・・・・・。






「貴様が49人目の生贄か・・・・・・。それもいいだろう。」



龍神は確かにそういった。・・・・・・・・・・・・・・・生贄?!




「(ちょっと待って兄貴!生贄ってどういうことだよ?!)」


獅子沢はいう・・・・・・・・・・・・・・が、その声とどくはずがない。






「龍神・・・・・・いや・・・・・そこにいる闇・・・・・。」


探は、デッキをデュエルディスクにセットしてからいった。



「これより・・・・・・・剣闘獣の3つある封印のうち・・・・・・ひとつを解く。」






三つの封印。封印されるほどの強力な力・・・・・・・。







「「決闘!!」」


探 LP4000

龍神LP4000



第19話  アナザーVS龍神Cー剣闘獣VS獅子幻黒獣ー

「僕の先攻だ!ドロー!!」


探はカードを山札から引いた。
その様子は何かを込めているような感じである。



ーーーーーーーーーーーーーーーー 一枚にかける思い。








ーーーーーーーーーーーーーーーー その、たった一枚にかける願い。






ーーーーーーーーーーーーーーーーー怒り?哀しみ?それとも・・・・・・。







ーーーーーーーーーーーーーーーーそれは早すぎたのか?





ーーーーーーーーーーーーーーーーそれは遅すぎたのか?





ーーーーーーーーーーーーーーーーでも、そんなの関係ない。





ーーーーーーーーーーーーーーーーどんな時も最初の一枚に掛けるのは・・







「そのゲームの主導権を握ることのできるカード」





ドロー・剣闘獣 ラクエル




「(頼むぞ・・・・剣闘獣達・・・・)いでよ!剣闘獣ラクエル!!」


探の前に炎の輪をまとった猿人が現れた。
その炎は、メラメラと燃えている。・・・・・・・・・・・・彼の怒りのように・・。




剣闘獣(グラディアルビースト) ラクエル

☆4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守 400
このカードが「剣闘獣」と名のついたモンスターの効果によって
特殊召喚に成功した場合、このカードの元々の攻撃力は2100になる。
このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に
このカードをデッキに戻す事で、デッキから「剣闘獣ラクエル」以外の
「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。



「さらにカードを2枚セットして・・・・・ターンエンド。」


探は手札に存在していた魔法、罠カードをそれぞれ1枚ずつ場に出した。




探の手札   ・剣闘獣 ムルミロ
         ・ライトニングボルテックス 
         ・剣闘獣の闘器 マニカ



「(このターン・・・マニカを装備させるという手もあった。・・・・けど)」


と、手札を見つめていた視線を今度は龍神に向けた。

「(そうすると・・・あいつは攻撃してこない・・・。)」


剣闘獣の闘器 マニカ
装備魔法
「剣闘獣」と名のついたモンスターにのみ装備可能。
このカードを装備している限り、装備モンスターは
戦闘によっては破壊されない(ダメージ計算は適用する)。
装備モンスターが自分フィールド上からデッキに戻る事によって
このカードが墓地へ送られた時、このカードを手札に戻す。



「(たとえあいつが1900以上で攻撃してこようと・・・・。)」

と、フィールドの2枚のカードに眼をやった。


収縮
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択する。
そのモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズまで半分になる。


和睦の使者
通常罠
このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージを0にする。
このターン自分モンスターは戦闘によっては破壊されない。


この決闘での探は絶好調といっていいだろう。
おそらく8割の決闘者に負けることはないだろう。
だから、今回のデュエルで負けることはまずないだろう。

ーーーーーーーーーーーーただし・・・・・・・・・・・・・・・


















ーーーーーーー相手がその8割にはいっていたらの話だが・・・・・・・・・・・・。






「まず・・・・・・獅子幻黒獣 黒狼(こくおおかみ)を攻撃表示で召喚・・・・・。」



龍神の前に現れたのは獅子沢の持つ「獅子幻獣 狼」によく似ていた。
違うのはその色。
名前から容易に察することができるが黒である。




獅子幻黒獣  黒狼
闇・獣族・☆☆☆☆・攻1800 守300
このモンスターが召喚された時お互いのプレイヤーは
デッキからカードを1枚引く。その後で手札を一枚墓地に送る。
このモンスターが場に召喚されたとき黒カウンターをひとつ乗せる。
このモンスターの攻撃力は黒カウンターひとつにつき400ポイントアップする。
このモンスターが戦闘を行うとき、黒カウンターをひとつ取り除くことで、
その戦闘を無効にする。


この黒き獣のまわりを黒い球体がひとつ浮かんでいる。
これが上記に書かれた「黒カウンター」である。



「・・・・・・・黒狼の攻撃・・・・。」


龍神は右腕を探に向けてかざした。
そのまま黒き獣は炎の輪をまとっているラクエルへと体当たりしようとした。
・・・・・・・・・・が、その瞬間に探の前に伏せられていた緑色のカードが動いた。



「速攻魔法 収縮 発動!!これにより・・・そいつの攻撃力は半分!!」


さきほどまで馬くらい高かった黒き獣の背丈が見る見るうちに小さくなってしまった。


獅子幻黒獣 黒狼 2200→1300


その小さな体で無謀にも挑んでいった獣は軽く殴っただけで宙へと飛んでいってしまった。
落ちてこないところを見ると、空中で消えたのだろう。


龍神LP4000→3500

「この瞬間、ラクエルのモンスター効果発動!!」


探の一声と共に、ラクエルの身体が紅の炎で燃え上がり始めた。


ーーーーーーーーーーグラディアルチェンジ!!!


ラクエルの炎は一瞬光に変わり、そして炎は消え去った。
その炎の中から二足歩行の牛がファイティングポーズをとりながら現れた。


「剣闘獣 ディカエリィを特殊召喚!!」

剣闘獣  ディカエリィ

星4/地属性/獣族/攻1600/守1200
このカードが「剣闘獣」と名のついたモンスターの効果によって
特殊召喚に成功した場合、このカードは1度のバトルフェイズ中に
2回攻撃をする事ができる。
このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に
このカードをデッキに戻す事で、デッキから「剣闘獣ディカエリィ」以外の
「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。


「・・・・・カ−ドを一枚セット・・・・・・・ターンエンドだ。」

龍神の前に1枚のカードのビジョンが現れた。



「僕のターン・・・・・・ドロー!!!」

ドロー・野性解放

今の状況的にあきらかに探の方が有利だろう。
探の手札は4枚。場には2枚のカードが存在する。
一枚はまだ龍神に知られていない裏のカード「和睦の使者」。
もう一枚は今もなおファイティングポーズをとっている。
・・・・・・・・・・・片足をずっと上げさせているのは疲れそうなので早く攻撃させてやろう。
一方の龍神には正体不明の伏せカードが一枚。手札は4枚。
探は手札の一枚のカードを手に取った。


「魔法カード!野性解放!!!」

その瞬間その牛の筋肉が1.3倍ほど大きくなった。
正確にいえば1.33333333333333333333333333333333333・・・・・・倍である。

野性解放
通常魔法
フィールド上に表側表示で存在する獣族・獣戦士族モンスター1体の攻撃力は、
そのモンスターの守備力の数値分だけアップする。
エンドフェイズ時そのモンスターを破壊する。


ディカエリィ 攻撃力1600→2800


「ディエリィで直接攻撃!!ディカエリィスマッシュ!!」


先ほどまでファイティングポーズをとっていた獣が大暴れしながら突進をしかけた。
暴れ馬ならぬ暴れ牛といっていいだろう。その一撃が龍神を襲った。

龍神LP3500→700


「くっ・・・・・。」

「まただ・・・。まだ僕の怒りはおさまっていない・・・・!!」


再び暴れ牛は突進のポーズをとった。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・探の怒りのように興奮している・・。


「剣闘獣の効果によって特殊召喚されたディカエリィは・・・2回攻撃ができる・・。」


先ほどから探の後ろで見物していたアナザーがつぶやいた。


「これで・・・・・・・決まる・・・・。」


だが、決まってしまっていいのだろうか・・・・。



まだこの後ろの勾玉の意味を聞いていない。
それに・・・・獅子沢竜鬼の魂はちゃんと戻ってくるのだろうか・・・。



「ディカエリィの追加攻撃!ディカエリィスマッシュセカンド!!」



怒りの一撃が龍神を襲った・・・・。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かに見えた。・・・・・しかし、










龍神LP700


彼は・・・・・・・・・・・・・・・・・無傷だったのである。


第20話 アナザーVS龍神Dー闇の化身ー




「リバースカード・・・・・・・ダメージプリズムを発動。獅子幻黒獣ブラックバットを2体特殊召喚・・・・・・。」

龍神の前に一体のこうもりが飛んでいた。
どうやら一体は先ほどの暴れ馬によって倒されてしまったのだろう。
死体が地面に転がっていた・・・・ソリットビジョンなんだから消してあげようよ・・・・。



ダメージプリズム
通常罠
このターン直接攻撃によりダメージを受けている場合発動できる。
そのダメージの半分以下になるようにデッキからモンスターを2体特殊召喚する。
この時特殊召喚したモンスターの攻撃力の合計分のダメージを自分は受ける。
ただし、この効果によって攻撃力0のモンスターを特殊召喚することはできない。


獅子幻黒獣 ブラックバット
闇・鳥獣族・星1・攻200 守300
このモンスターが破壊され墓地に送られたとき、
「黒こうもりトークン/闇/鳥獣族/☆/攻・守0」を2体特殊召喚する。
このモンスターが場に召喚されたとき黒カウンターをひとつ乗せる。
このモンスターが戦闘を行うとき、黒カウンターをひとつ取り除くことで、
その戦闘を無効にする。




先ほどの忌々しい死体から黒い小さなこうもりが2体生えてきた。
ちょっとした細胞分裂である・・・・・・・・(作者は理科が苦手である。)


龍神LP700→300



ここで状況を整理してみよう。

先攻2ターン目。探のバトルフェイズ。
探のLPはいまだ無傷の4000。手札は三枚。
場には暴れ牛が一体と伏せカードが一枚。暴れ牛はこのターンでおさらばだ。
一方の龍神のLPはたったの300。伝説のバーンカード「雷鳴」で終わってしまう。
場には家族のようにとび回っているこうもりが3匹。そして手札は4枚。
この状況・・・・・・・・明らかに探の方が有利である。・・・・・・・・・・・・だが

















龍神の手札の左から2番目のカード。・・・・・・・・・・・・・・・・感じる・・・・・。








ーーーーーーーーーーーーー強力な威圧感を。






ーーーーーーーーーーーーー強力な殺気を。






ーーーーーーーーーーーーー強力な闇を・・・・・・。







「(あのカードだけは使わせてはだめだ・・・・・・。)」





探は場にすでにセットしてあるモンスターカードに手をかけた。


「ディカエリィのモンスター効果発動!こいつをデッキに戻す!!」


それと共にディカエリィは光におおわれた。
その光はやがて人一人分程度の泡へとかわり、その中から奇妙な魚が飛び出した。

「剣闘獣 ムルミロを特殊召喚!この効果により、ブラックバットを破壊する!」


剣闘獣 ムルミロ
星3/水属性/魚族/攻 800/守 400
このカードが「剣闘獣」と名のついたモンスターの効果によって
特殊召喚に成功した時、フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊する。
このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に
このカードをデッキに戻す事で、デッキから「剣闘獣ムルミロ」以外の
「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。



仲良く遊んでいた3匹のこうもりの内1体が泡に覆われて破壊された。
・・・・・・・・それにしてもこんなにいるこうもりの内1体だけを器用に覆うなんて・・・。
だが、その破壊されたこうもりの中から2体のこうもりが現れた。




「仲良く遊んでいるところすまないが君たちには消えてもらうよ。」



と、いいながら手札3枚ある内の2枚のカードに手をとった。
そのうちの一方を墓地へ、もう一方は魔法・罠ゾーンにおかれた。
その瞬間、雷が仲良くたわむれていたこうもり共におちた。



ライトニング・ボルテックス
通常魔法
手札を1枚捨てる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。




なぜ探が今のライボルの発動宣言をしなかったのか・・・・・。
それにはある大きなわけがあった。








時間がない・・・・・。



先ほどから探はあることが気になっていた。
獅子沢やさっきの少年についていた「勾玉」の数字。
ただ、探にはひとつの予想があった・・・・・・・・・・・・ただし・・・・、
その予想はとっても残酷なものであった。
そのため、探はあせっていた。とまどっていた。
だが所詮は予想でしかない。そう、ただの予測なのだ。・・・・・・・・・・・・・・だが、
探は昔から勘が良い。つまりあたる可能性が高いのだ。
探が予想している勾玉の意味は・・・・・・・・・・・










「タイムリミット」







その勾玉の数字が0に変わった時に起こるもの・・・・・・・・・








            「死」

















ーーーーーーーーーーーーーーー急がなければ、死ぬ。






ーーーーーーーーーーーーーーー人が一人、死ぬ。





ーーーーーーーーーーーーーーーまた一人、死ぬ。






ーーーーーーーーーーーーーーー魂が消える。






ーーーーーーーーーーーーーーー命が消える。






ーーーーーーーーーーーーーーー心が消える。






ーーーーーーーーーーーーーーーそして・・・・・・・・・闇がーーーーー






ーーーーーーーーーーーーーーー自分の中に住む心の闇がーーーーー






ーーーーーーーーーーーーーーーその忌々しい姿をさらしだす。





ーーーーーーーーーーーーーーー復活する・・・・・・・・闇が。






ーーーーーーーーーーーーーーー現れる・・・・・・・・・・闇が。






ーーーーーーーーーーーーーーー蘇る・・・・・・・・・・・・闇が。






ーーーーーーーーーーーーーーー闇が再び・・・・・・・・蘇る。






「ターンエンドだ、龍神。」




龍神の手札に存在する謎の闇のカード。
だが、とりあえずこのターンに出現することはないだろう。
・・・・・・・なぜなら、そんな強力なモンスターには2体以上の生贄が必要。
(でも、このページの小説って結構特殊な召喚法って多いよね。)
その証拠に先ほどの「ブラックバット」明らかな生贄保持用。
それもさっきのライボルで処理した。
確実に次のターンでたたみかけれると思っていた時・・・・・・・・




















「・・・・・・・・・・・・・・・何勘違いしてんだ。」



















その声の主は探の目と鼻の先にいる男「獅子沢龍神」であった。


「勘違い・・・・・・・だと?!」


すかさず探は聞き返した。今の思わぬ一言に動揺している様子である。



「貴様が気にしているこのカード・・・・・・召喚して見せよう。」







ばかな?!召喚できるはずがない!
生贄用のモンスターもいないのに・・・・・・・・不可能だ!!









「・・・・・・・・墓地の獅子幻黒獣を3体ゲームから除外する・・・・・。」




龍神が破壊されたカードを入れる部分に手を乗せると3枚のカードがスライドしながら出てきた。


「獅子幻黒獣 黒狼」

「獅子幻黒獣 ブラックバット」

「獅子幻黒獣 ブラックバット」


以下の3枚のカードが出てきた。
普通は除外されるカードはポケットに入れることになっている。
なぜなら、まだデュエルディスクには除外ゾーンが存在しないからである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかし・・・・・龍神は違った。
なんと龍神は、カードをごみのように捨てたのである・・・・・・・・・。




「龍神・・・・・・。お前は・・・・・・カードを何だと思っているんだ!!!」



探は怒鳴るように叫んだ。
ただ・・・・・・・・・・怒りに我を忘れて・・・・・・・・怒鳴った。
もうそこに、あの穏やかでやさしい暁探はどこにもいなかった。





「そんなことを言っている場合か?・・・・・3体の除外により・・・モンスターを特殊召喚。」





龍神がデュエルディスクにカードをセットすると、龍神の後ろに次元の狭間のようなものが出現した。
そして・・・・・・そこからサーベルタイガーに良く似た黒いトラが出てきた。


獅子幻黒獣 ブラックサーベルタイガー
星7/闇属性/獣族/攻 2300/守 1200
このモンスターは通常召喚できない。
墓地の獅子幻黒獣と名のつくモンスターを任意の枚数ゲームから除外することで手札からこのモンスターを特殊召喚する。
このモンスターの特殊召喚に成功したとき墓地から除外したカード1枚につき黒カウンターを1つ乗せる。
このモンスターの黒カウンター1つを除外することにより、自分の場に(ブラックビーストトークン/星4/地属性/獣族/攻400/守400)を特殊召喚する。
このモンスターが戦闘を行うとき、黒カウンターをひとつ取り除くことで、その戦闘を無効にする。




「・・・・・・効果によりブラックビーストトークンを3体特殊召喚する。」


サーベルタイガーのまわりに浮いていた黒い球体が全て離れて形を変えていった。
その形は犬のような形だった。





「さぁ・・・・・・・・・・・・・・・いくぞ。」





龍神の声のトーンや表情が変わった。

















その瞬間サーベルタイガー含む4体のモンスターが全て1つに合わさった。
その合わさった魂はやがて闇に飲み込まれ・・・・・・・・・


















完璧な悪魔へと姿を変えた。


















闇の化身
星10/闇属性/悪魔族/攻?/守?
このモンスターは通常召喚できない。
このモンスターは自分フィールド上の2体以上の闇属性モンスターを
生贄にささげた場合のみ特殊召喚できる。
このモンスターの攻撃力と守備力は生贄に捧げたモンスターの攻撃力の合計分となる。
このモンスターは魔法・罠の対象にならない。
???




闇の化身 攻撃力3500








{フッフッフ。ヤット元ノ姿ニ戻ルコトガ出来ソウダ}




龍神がそう呟いた。
いや、あきらかにその龍神ではない。龍神にとり憑いている「悪魔」がそう呟いた。
この悪魔のようなモンスターの顔は龍神のつけている仮面で目の部分が隠れていて
口元が少しだけ見える。からだは黒いローブによりできている。手に大きな鎌を持っている。イメージをするのが難しいという人「カードを狩る死神」を想像していてもよい。
・・・・・・・がその威圧感はカードを狩る死神の何倍にもいたる。







{ダガ・・・・・マダダ。マダ生贄ガタリナイ・・・・・。50人マデアト2人タリナイ・・・・・。}



その言葉の威圧感はすさまじいものであった。






ーーーーーーーーーーーーーー生贄?!





探はある重大なことに気づいた。



「(もしかして・・・・・・あの勾玉の意味って・・・・・・。)」







そう、あの勾玉の表す意味は「生贄の番号」
はじめのほうに狙われた獅子沢は3。先ほどの男は48。
そう、このデュエルで負けた場合探も49番目の生贄にされてしまうのだ。






{イクゾ。私自身ノ攻撃!ダークネスアブソリュートォォォォォォォォォォォ!!!}




その悪魔が手に持っていた鎌を振り下ろした。
ものすごい勢いである。探は自分の目の前にある一枚の伏せカードに目をやった。



「リバース罠!和睦の使者!!このターン自分と自軍のモンスターが受けるダメージを0に  
 する。この効果の対象はプレイヤーだから、発動は可能!!」

大きな鎌により消え去ろうとしていた魚の前に、光の壁が出現した。
その壁は破れることなくその鎌の勢いをおさえる。
ただし、その壁は目で捉えることのできない。
いわば「見えない壁」である。

探の場に伏せられていたカードは「和睦の使者」。
剣闘獣との相性もよく、探のデッキにはぴったりのカードである。


{チッ・・・・姑息ナ手ヲツカイオッテ・・・。ターンエンドダ。}

龍神に取り憑いている「闇の化身」は悔しそうにターンエンドを宣言した。
仮面により表情を見ることできないが、声のトーンからして悔しがった表情をしているに違いないが・・・・・・・・・・口元がにやけている。




{生贄ノ前二生キテイラレル時間ガノビテヨカッタナ・・・・・小僧・・。}



「うるさい・・・・!僕のターン・・・・ドロー!!」


ドロー・剣闘獣の闘技場ーアリーナ


探は舌打ちをした。
ドローしたカードが単体では何の役にも立たないカードだったからである。
今の手札はたったの2枚。
一枚は初期から存在している「剣闘獣の闘器 マニカ」
現時点では使い物にならない「剣闘獣の闘技場ーアリーナ」
そして場には「剣闘獣 ムルミロ」が一枚。
とりあえず今やるべき行動はひとつ。


「手札から装備魔法「剣闘獣の闘器 マニカ」を発動し、ムルミロに装備!」


剣闘獣の闘器 マニカ

「剣闘獣」と名のついたモンスターにのみ装備可能。
このカードを装備している限り、装備モンスターは
戦闘によっては破壊されない(ダメージ計算は適用する)。
装備モンスターが自分フィールド上からデッキに戻る事によって
このカードが墓地へ送られた時、このカードを手札に戻す。


場に存在した魚に腕当てが装備された。
一応ムルミロという名の奇妙な魚にも腕のようなものをついている。
所持しているひとはカードイラストを見てみましょう。
また、もっていない人はお近くのお店にて GLADIATOR'S ASSAULTの購入をお勧めします。


「これで・・・・・ターンエンドだ。」


探は手札から目をはなし、前を見ながらターン終了を宣言した。


{私ノターンドロー!!}

と、龍神は自分のデッキからカードをドローした。
ただし、声と意識は龍神ではなく「闇の化身」のものである。
龍神(闇の化身)は引いたカードをそのまま魔法・罠ゾーンにセットした。


{魔法カードヲ発動スル・・・・「地砕き」!!}

地砕き
相手フィールド上の守備力が一番高い表側表示モンスター1体を破壊する。

このカードがセットされた瞬間
何の前触れもなくいきなり不気味な魚の下2m程度の地面が砕け、
その中に引きずり込まれるようにして破壊された。
なお、近くに水はないため浮遊していた不気味な魚が
なぜ地砕きの被害にあったかは大人の事情というものが存在するらしい。


{イクゾ・・・・・。私自身ノ攻撃!ダークネスアブソリュートォォォォォォォォォ!!!}




先ほどはうまくかわすことのできた鎌だが、今度はそうはいかない。
もうこの鎌をよける術(すべ)は残されていないのだ。


せまる・・・・・・・・・・・・・せまる・・・・・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーー鎌まで残り2mーーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーーーーー鎌まで残り1mーーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーーーーー鎌まで残り50cmーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーーーーー鎌まで残り10cmーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーーーーー鎌まで残り・・・・・・・・・・・・・・・0cm・・・



探 LP500




ソリットビジョンのはずなのに・・・・・・・・・激痛・・・・・・・。






ーーーーーーーーーーもう・・・・・・・・・・・だめだ・・・・・。




ーーーーーーーーーーもうこのまま寝てしまおうか・・・・・・・・永遠に・・・・。



ーーーーーーーーーーごめん・・・・・・・・生贄となるみんな・・・・。



ーーーーーーーーーーごめん・・・・・・・・獅子沢君・・・・・・・。



ーーーーーーーーーーごめん・・・・・・・・龍神・・・・・・。



ーーーーーーーーーーもう君を救うことはできそうもない・・・・・。



そう・・・・・・・僕があきらめかけていた・・・・・・その時・・・・・・

















「何を弱気になっているんだ・・・・・探。」







この声・・・・・・・・・・・・・・・・・・龍神?!なぜ君の声が・・・・・・?!





「いいか探・・・。お前は・・・・・独りじゃない。俺がいる。竜鬼がいる。
 お前の妹さんだっている。そして・・・・・デッキという仲間もいる。」




ーーーーーーーーーーーーそうだ・・・・・。



ーーーーーーーーーーーー僕は独りじゃない。



ーーーーーーーーーーーー獅子沢君がいる。



ーーーーーーーーーーーー冥がいる。



ーーーーーーーーーーーー剣闘獣達がいる。



ーーーーーーーーーーーーそして龍神・・・・・・お前がいる。



ーーーーーーーーーーーー僕は独りじゃない。



ーーーーーーーーーーーー孤独じゃないんだ。



探は再びたちあがった。



「今度は・・・・・・・僕のターンだ!」



負けられない・・・・・・・絶対に!!



第21話 アナザーVS龍神Eー第一の封印ー

「ドロー!!!」

探は力いっぱいにカードをドローした。
そのドローの仕方はタッグフォース2のディステニードローに似ていた。
探は最後になるかもしれないドローカードを調べた。








ドロー・天空の宝玉







このカードを見た瞬間探の表情は一変した。
「カードを一枚セット・・・・さらに魔法カード天空の宝玉を発動!!」


天空の宝玉
お互いのプレイヤーは、手札が6枚になるようにカードを引く。


ドロー増強カードといえば強欲な壷や天使の施しを想像するだろう。
だが、このカードは最大6枚のカードをドローすることができる。
原作やアニメでは「天よりの宝札」が同じ効果を持っている。
現在は探が0枚、龍神が3枚だったためお互いに大量ドローを行うことになった。

探ドロー・剣闘獣の檻ーコロッセウム
      剣闘獣 ホプロムス
      剣闘獣の集い
      二重召喚
      グラディアル・リターン
      剣闘獣の闘器 ハルバード



「(よし、揃った!!)」
探は願ったカードがきたことにほんの少し微笑した。
というか、怒りに我を忘れていたので笑みを浮かべるのは久しぶりな気がする。



そして今・・・・・・・・・探の逆転劇が始まる・・・・・・・!!



「まずは手札から魔法カード剣闘獣の集いを発動!!」


剣闘獣の集い
通常魔法
手札を任意の枚数捨てる。
この時捨てた枚数と同じ数だけデッキからカードをめくり、その中にある「剣闘獣」と名のつくモンスターを、可能な限り特殊召喚する。残った手札カードは墓地に送る。
この時特殊召喚できた枚数が2体以上だった場合、
デッキからカードを一枚ドローする。


探は手札からカードを取って龍神に提示した。


・二重召喚
・グラディアル・リターン
・剣闘獣の闘器 ハルバード


以下の3枚だった。
これで探の手札は早くも2枚になってしまった。
だが、探にはまだやっていないことがある。
「僕は捨てた枚数・・・・・つまり3枚のカードをめくらせてもらう・・・。」
探は最後の思いを託してカードを3枚デッキからめくった。


一枚目 サイクロン
二枚目 剣闘獣 ディカエリィ
三枚目 剣闘獣 ラクエル


探は先ほどと同じ表情を浮かべた。
なぜならこの手札で龍神を倒すことができるのだから・・・・・。
「ディカエリィとラクエルを特殊召喚!さらにカードを1枚ドロー!!」
炎の輪をまとった猿人とファイティングポーズをとった牛人が現れ、
探は再びカードを引いた。・・・・・これら行動は全て同時に行われた。
ところで、このディカエリィとラクエルのカードなのだが、実は先ほど探が使ったばかりのカードである。
たしかに探のデッキには複数枚ディカエリィとラクエルのカードは入っているが、先ほどのカードであること確かだ。別にこれといった目印などは存在しない。・・・・ただ・・


ーーーーーーーーーー感じる・・・・・このカードたちから・・・。




ーーーーーーーーーーいや、デッキの全ての剣闘獣から感じる。




ーーーーーーーーーー鼓動をーーーーーーー。





「こいつを倒したい」という鼓動を・・・・・・・・・・・・。




ドロー・早すぎた埋葬


探は引いたカードを手札にくわえ、他のカードを手に取った。
「僕は、剣闘獣 ホプロムスを召喚!!」
2体並んでいるモンスターの左側に浮遊している盾をまとったサイが現れた。















「そして・・・・・3体の剣闘獣が揃ったことにより・・・・・第一の封印を解く・・・!!」













探が右手を天にかざすと、3体の剣闘獣がその場で剣となり
その剣3本が遥か空のかなたへのぼっていった。
そして、やがて空から1本の巨大な剣と盾が降ってきた。
剣のほうは真っ赤な色をしている。
一方盾のほうは黄金色(こがねいろ)をしている。














そして獣は目覚め始める。



剣闘獣 ヘラクレイノス
星8/炎属性/獣戦士族/攻3000/守2800
「剣闘獣ラクエル」+「剣闘獣」と名のついたモンスター×2
自分フィールド上に存在する上記のカードをデッキに戻した場合のみ、
融合デッキから特殊召喚が可能(「融合」魔法カードは必要としない)。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、手札を1枚
捨てる事で魔法または罠カードの発動を無効にし、それを破壊する。



「これが・・・・・・・第一の封印だ・・・。龍神・・・僕は君を倒す!!!」
探は手札のカードを1枚手にとってディスクにセットした。


「フィールド魔法 剣闘獣の檻ーコロッセウム!!」


アナザー含む3人の辺りをコロシアムが囲み始めた。
足場はこれといって変わることがなかったが、辺りの変わりようにアナザーは驚きをかくしきれなかったが、がんばってこらえた。見物に集中するためだ。


剣闘獣の檻ーコロッセウム
フィールド魔法
モンスターがデッキからフィールド上に特殊召喚される度に、
このカードにカウンターを1つ置く。
フィールド上に表側表示で存在する「剣闘獣」と名のついたモンスターは、
このカードに乗っているカウンター1つにつき、
攻撃力と守備力が100ポイントアップする。
このカードがカードの効果によって破壊される時、
手札から「剣闘獣の檻−コロッセウム」1枚を捨てる事でこのカードは破壊されない




「まだだ、これが・・・・・・・・・最後の切り札・・・・・。」
探がこの言葉を口にした瞬間、辺りのコロシアムは足場の方から消え去っていった。
なかなか大きなフィールド魔法だったため、全てが消え去るまでに数秒かかった。
探は、フィールドゾーンのカードを取り出し、再びカードをセットした。




「フィールド魔法、剣闘獣の闘技場ーアリーナ!!」
全てが消え去った後で、再び同じようなフィールドが出現した。
今度は、足場が若干持ち上がりバランスを崩しそうになってしまった(アナザーが)
しかし2人はまったく動じない、それだけ決闘に集中しているということだろう。

剣闘獣の闘技場ーアリーナ
フィールド魔法
このカードは、自分フィールド上にある「剣闘獣」と名のついたフィールド魔法を墓地に送った場合のみ発動できる。
フィールド上に表側表示で存在する「剣闘獣」と名のつくモンスターが攻撃するとき、
そのモンスターの攻撃力の半分をダメージステップ時のみ攻撃力に加算する。
「剣闘獣」と名のつくモンスターが戦闘によって破壊されるとき手札から「剣闘獣」と名のつくカードを墓地に送ることで、その戦闘による破壊を無効にする。

「これで・・・・終わりにしてやる!ヘラクレイノスの攻撃!」


ヘラクレイノスは右腕に持っている剣を構えた。
すると、その剣は炎で燃え上がり巨体と共に突進していった。


ヘラクレイノス ATK3000→4500


このままいけば残りLP700などすぐに消し飛んでしまう。
この攻撃が何事もなく通れば勝利できる。
しかもヘラクレイノスの効果があれば魔法・罠の効果を無効化できる。

















{マサカ貴様ゴトキニコノ効果ヲ使ウコトニナロウトワナ・・・・・。}

















この言葉が終わった途端に辺りは光に包まれた。
何もみることができない、何が起こっているかさえも、音さえも・・・・。

















探 LP0






全てをかき消していた光は徐々に消え去り、辺りは再び先ほどの風景に戻った。
その後、アナザーは今やるべき最善の行動をとることにした。
その最善の行動とは、LPが0になった兄の存在の確認である。
なおアナザーは前回の最後の死神のセリフを聞いていない(正確には聞こえなかった)ためこのような誤解をしている。




本当に倒れたのは暁探のほうである。




第22話 アナザーVS龍神F −手札の可能性−


アナザーがまわりを見渡しても勝利したはずの探の姿が見当たらない。
不意にアナザーは足元を見てみる。



すると全ての現状を理解したようにアナザーはつぶやく。


「・・・・・どうして・・・・・こんなに悲しいんだ・・・・・。」


作者に文才がないため気がつかなかったが、
まだアナザー(獅子沢竜鬼)が暁探と出会ってからまだ数時間しかたっていない。
なのにこんなに悲しいのは何だ?!・・・・・・いや、そんなことはどうだっていい。
今やることはたった一つ、とても明白だ。


――――――実の兄である獅子沢龍神を今この手で倒す・・・。


アナザーは、考えがまとまってすぐに探の元に駆け寄った。
そして、探のデュエルディスクを取り外し自身の左腕に取り付けた。

「探さん・・・・・・あなたの仇は俺が討ちます・・・・・。
 だから・・・このデュエルディスク・・・お借りします。」

囁くようにそういうと、元々差し込まれていた「剣闘獣」のカードを
探の右側の腰辺りにあるデッキケースに差し込んだ。

アナザーはゆっくりと立ち上がって振り返り、まっすぐと獅子沢龍神を見つめた。
いや、見つめるというより睨むといった方が正しいだろう。
すると、龍神の方もアナザーを見つめデュエルディスクを構えた。
こちらは本当に見つめているだけである。
それどころかフッと笑みを浮かべ始めた。



―――――――そう、不気味な笑みを――――。



「後悔しないな?・・・・・・・・・・・我が弟よ。」


「黙れ。・・・・・俺はさっきのキサマの決闘を見ているんだぞ?
 キサマが我が兄の体を借りているということは知っている。
 とっとと・・・・・・・・・とっとと我が兄の体から離れろ!!」


「クックック・・・・。何を言う?この俺がお前の兄だぞ?」


「何度も言わせるな・・・・・・・・・・・構えろ。」


「クックック・・・・・いくぞ。」




「「決闘!!」」



アナザーLP4000

龍神LP4000



「俺の先攻―――ドロー!!」

先攻はアナザー。
元々は探のものである決闘盤からカードを引いた。
ただ、いつも冷静なアナザーからは考えられないほどの勢いである。

ドロー・獅子幻獣 ミストウルフ

(俺の手札は・・・・・・・・・・・・)


アナザーの手札 ・獅子幻獣 狼
           ・獅子幻獣の降臨
           ・獅子幻獣 虎豹
           ・サイクロン
           ・炸裂装甲


(・・・・・そしてミストウルフか・・・。ここは・・・・・・)
「獅子幻獣 ミストウルフを守備表示で召喚!」
アナザーの呼び声と共に現れたのは、水滴でできた日本狼。
体や眼の色が水色である。水滴でできているのに向こう側は見えない。
・・・ついでに言うとソリッドビジョンなので、臓器とかも見えません。


獅子幻獣  ミストウルフ
星3/水属性/獣族/攻 1200/守 1200
攻撃力を100下げることにより、獅子幻影を使用することができる。
攻撃力を500下げることにより、相手のカードの効果をひとつ無効にして破壊する。


「・・・・・カードを2枚セットして、ターンエンド・・・。」
アナザーは、モンスターゾーンにカードを置いた後で、
迷うことなく手札から2枚のカードを魔法・罠ゾーンに差し込んだ。
当然、差し込まれた2枚のカードのソリットビジョンも出現している。

(俺は伏せた「サイクロン」と「炸裂装甲」のカード・・・・・。)

サイクロン
速攻魔法
フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。

炸裂装甲
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体を破壊する。

(攻撃してくるのなら獅子幻影・・・防ぎきれないのなら炸裂装甲・・・カード効果なら
 霧状獅子幻影・・・そして伏せカードならサイクロン・・・。
 このターンはミストウルフを守り抜いて・・・虎豹に繋げる・・・・!)

「俺のターン・・・ドロー」
次は龍神のターンであるが、先ほどのアナザーとは裏腹にカードを引くスピードは
とてもゆっくりとしている。(のろのろしているわけではない。)

「俺は獅子幻黒獣 ブラックペガサスを召喚する。」

獅子幻黒獣 ブラックペガサス
星4/獣族/闇属性/攻1800/守700
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送る度に、
相手ライフに300ポイントダメージを与える。
このモンスターが召喚されたとき黒カウンターをひとつ乗せる。
このモンスターが戦闘を行うとき、黒カウンターをひとつ取り除くことで、その戦闘を無効にする。



龍神の前に出現したのは、黒きたてがみと漆黒の翼を生やした黒き馬である。
身長は龍神よりやや高い。龍神が183cmなので190cmちょいくらいである。
龍神は、黒いペガサスを場に出してすぐ手札からもう一枚のカードを手に取った。

「・・・手札から獅子幻黒獣の降臨を発動・・・!!」

龍神が手に取っていたのは「獅子幻黒獣の降臨」というカード。
アナザーの手札にも似たようなカードがある。

獅子幻黒獣の降臨
儀式魔法
「獅子幻黒獣」と名のついた儀式モンスターの儀式召喚に必要。
場か手札から、星の数が合計10個以上になるように
カードをリリースしなければならない。
自分フィールド上に「獅子幻黒獣」と名のつくモンスターが存在するとき、
このカードの発動と効果は相手の効果によっては無効化されない。

※作者は2008年3月15日からはじまっているマスタールールを応援しています。

「・・・・・・・・っ!!(無効化できない・・・・・だと?!)」

「・・・手札の星6と星4の2体を儀式召喚に使用する!!」
龍神は手札から2枚のモンスターカードを墓地ゾーンにスライドさせた。
すると頭上に謎の黒い穴が出現した。その穴からは鳴き声が聞こえてくる。


「いでよ!獅子幻黒獣 ブラックフェニックス!!!」


全長5m以上あろう黒い鳥が黒い穴から頭を出し、
降ってくるようその姿を現した。


「・・・ブラック・・・フェニックス・・・!!」


獅子幻黒獣 ブラックフェニックス
星10/闇属性/鳥獣族/攻4000/守2400
「獅子幻黒獣の降臨」により降臨。
このカードは儀式召喚でのみ特殊召喚できる。
相手フィールド上にモンスターが存在する時、このカードは攻撃回数制限を失う。 ただし、この効果で攻撃する時このカードは相手モンスターしか攻撃できない。
このカードの儀式召喚時に使用したカードの枚数分このカードに黒カウンターを乗せる。
このカードの攻撃力は黒カウンターひとつにつき400ポイントアップする。


ブラックフェニックス ATK4000→4800


ブラックフェニックスの威圧感におされ気味のアナザーだったが、
我に返って考えてみればどうってこともないということに気付いた。
アナザーは右側の伏せカードに目をやった。
「(伏せカードは炸裂装甲・・・これをつかえばブラックフェニックスも姿を消す・・・。)」

「・・・どうやら、伏せカードが厄介なカードのようだな・・・。」

「!!」
だが実際のところ、そう思われたところで対処するカードがなければどうってことはない。攻撃されないならされないでそれもまた良い。


(・・・虎豹と狼だけではブラックフェニックスを倒すことはできない・・・。
 ・・・次のドローにかけるしかない・・・か。)



「・・・手札から、大嵐を発動。」
「!!」


大嵐
通常魔法
フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。


龍神がそのカードをセットした直後、フィールドを大きな嵐が吹き荒れた。
その風に巻き込まれるように2枚のカードがはじけとんだ。
「何?!」

表情に出さずに驚くアナザーに対して右腕を前に出し・・・
「バトル・・・。ブラックフェニックスの攻撃・・・。」
攻撃命令をするとともに、黒き鳳凰の姿は黒炎に包まれた。



――――――――ブラックフェニックスゴッドバード!!!


そして、その黒い炎の鎧をまとった鳥はまっすぐ標的に向かって突っ込んでいく。

「・・・無駄だ!獅子幻影!!」


当たるかあたらないかすれすれのところでミストウルフはその姿を消して、
相手が通り過ぎるのを確認した後で、再び姿を現した。
ただ、通常の獅子幻影とは違うため、自身の効果によりやや弱り始める。



獅子幻獣 ミストウルフ 攻1200→1100

(・・・まぁ、「無駄」というのは「俺の行動」の方だが・・・。)

この「俺の行動」というのは、「ミストウルフの獅子幻影」を表している。
ブラックフェニックスは自身の効果により何度でも攻撃ができるため
どうあがいても破壊されてしまう。ワイルドジャギーマンとはその点が違う。


「・・・説明は不要というわけだな・・・ブラックフェニックスの攻撃!!」

先ほどのように黒き鳳凰は黒炎に包まれる。
「ミストウルフ!獅子幻影!!」

再びミストウルフは姿を消し黒い鳳凰が過ぎ去った後でまた姿を現した。
また、自身の力で弱り始める。


獅子幻獣 ミストウルフ 攻1100→1000


このあと、このやり取りが数分繰り返されることとなる。
卓上でカードを並べてやるだけなら10秒で解決するが
ソリットビジョンのため何倍も時間がかかってしまうのである。
まったく同じことが繰り返されるので省略します。


――――――――――


―――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――


獅子幻獣 ミストウルフ 攻100→0

「・・・これでミストウルフの効果はもう使えないな?」
龍神が問う。
それに対してアナザーは「答える必要はない」といったそぶりを見せる。
―――――数秒後、ミストウルフは跡形もなく消え去った。

「俺の攻撃はまだ終わっていないぞ?」
アナザーはもうこのターンの攻撃は終わったと勘違いしていた。
この龍神の言葉を聞いてハッとしたが、そのときはすでに攻撃を受ける寸前だった。


―――――――――ブラックウイング!!


「・・・・・・ッ!!」


アナザーLP4000→2200


この一撃はアナザーにとってはなかなかきつい一撃である。
ライフだけで見るなら、まだ半分もきっていないため余裕はある。
・・・が注目するべきはフィールド。



<アナザー>LP2200
手札3枚
モンスターカード なし
魔法・罠カード なし

<龍神>LP4000
手札0枚
モンスターカード 獅子幻黒獣ブラックフェニックス 獅子幻黒獣 ブラックペガサス
魔法・罠カード なし



龍神の場には、攻撃力4000に連続攻撃能力搭載のブラックフェニックスに
戦闘破壊で300ダメージのブラックペガサスの2体。
対してアナザーに残されているのは手札3枚。



――――――――決闘者には手札の数だけ可能性がある



どこかのお偉い決闘者様のお言葉である。
確かに手札なしの龍神より手札3枚のアナザーのほうが戦略の幅は広い。
・・・が、それはあくまでも枚数だけで見た結果である。

<アナザーの手札>獅子幻獣 狼
           獅子幻獣の降臨
           獅子幻獣 虎豹

獅子幻獣  狼
星4/地属性/獣族/攻1800/守300
このモンスターが召喚された時お互いのプレイヤーは
デッキからカードを1枚引くことができる。そうした場合、手札を一枚墓地に送る。

獅子幻獣 虎豹
星6/地属性/獣族/攻2400/守1400
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

獅子幻獣の降臨
儀式魔法
「獅子幻獣」と名のついた儀式モンスターの儀式召喚に必要。
場か手札から、星の数が合計10個以上になるように
カードをリリースしなければならない。
自分フィールド上に「獅子幻獣」と名のつくモンスターが存在するとき、
このカードの発動と効果は相手の効果によっては無効化されない。



この手札でまともに使えるのはたった一枚だけ。
他のカードは星6のモンスターカード、そして儀式魔法カード。
一応「獅子幻獣 狼」の効果を使ってドローカードに賭けるという手もある。
・・・が、そんなに都合よくキーカードを引き当てられるわけがない。

゛ 攻撃力4800と1800のモンスター "
゛ 攻撃力1800のモンスターカードと役に立たない2枚のカード "

こんな状況なら、誰もが前者を欲しがるだろう。




「―――――どうした、貴様のターンだぞ?」
いつの間にか相手のターンが終了していた。
確かに、考えてみれば相手の手札は0。やることなどあるはずがない。

――さて、次はアナザーのターンである。

アナザーは無言のまま静かにドローした。

(アナザー・・・・・。)

アナザーの身体の宿主である獅子沢竜鬼が、今の自分の分身を静かに見守る。
一方のアナザーも静かにドローカードを確認する。



ドロー・獅子幻獣 翼コブラ



「(・・・だめ・・・か・・・。)」
ドローカードを確認したアナザーは軽く肩を落としかけたが、すぐにあることに気付いた。すると、引いたカードを手札の一番右に入れて一番左のカードを手に取った。
「獅子幻獣 狼を守備表示で召喚!!」

灰色の日本狼がアナザーの前に現れた。
現れた途端、雄たけびをあげながら丸まった、守備表示のグラフィックである。


獅子幻獣  狼
星4/地属性/獣族/攻1800/守300
このモンスターが召喚された時お互いのプレイヤーは
デッキからカードを1枚引くことができる。そうした場合、手札を一枚墓地に送る。

「・・・俺は効果を使用する。・・・おまえはどうする?」
とは聞いてみるが、龍神の手札は0。聞くだけ野暮である・・・が、
「・・・いいだろう。俺も効果を使用する・・・。」

若干驚いたが、ただの墓地肥やしであるというのが容易に理解できた。
証拠に、龍神は山札の一番上のカードを少し見てすぐに墓地に置いた。
「(・・・さて、俺のカードは・・・。)」


ドロー・獅子幻獣の森


獅子幻獣の森
フィールド魔法
「獅子幻獣」が攻撃するときの攻撃力を1000ポイントアップする。
このカードがフィールドに存在し、自分の手札が0の時
墓地から獅子幻獣と名のつくモンスターを除外することで、
デッキからカードを1枚ドローできる。


「(獅子幻獣の森・・・か。)」
アナザーは今引いたカードを手札に加えると、先程手札に加えたカードを手にとって
墓地ゾーンに置いた。

「ターンエンドだ・・・。」


<アナザー>LP2200
手札3枚(獅子幻獣の降臨  獅子幻獣 虎豹 獅子幻獣の森)
モンスターカード 獅子幻獣 狼
魔法・罠カード なし

<龍神>LP4000
手札0枚
モンスターカード 獅子幻黒獣ブラックフェニックス 獅子幻黒獣 ブラックペガサス
魔法・罠カード なし


さて、今のアナザーは前でも述べたとおりピンチに陥っている。
賭けるつもりでドローしてみたが、結果は攻撃時専用のフィールド魔法。
もしも次の龍神のドローで通常召喚可能なモンスターカードがきてしまったら・・・。



―――――――――――負ける。



「俺のターン・・・ドロー。」



―――――――――――どっちなんだ?!




―――――――――――モンスターカードを引かれて負けるのか?!




―――――――――――魔法・罠カードを引かれて次のターンの賭けるのか?!



















「――――――――――――ぐっ・・・。」
この声を発したのはアナザーではない・・・。


龍神である。






(・・・兄貴・・・どうしたんだ?) 「・・・そんなこと分かるはずがない・・・が、少なくとも首の皮一枚つながったな・・・。」
(えっ・・・?)


第23話  アナザーVS龍神G −絆のペンダント−




「・・・・・・・バト・・・・・・・ル・・・・ブラッ・・・・ク・・フェニッ・・・・クス・・・。」


攻撃命令をするとともに、黒き鳳凰の姿は黒炎に包まれた。



「ブラック・・・・フェニ・・・・・ックスゴッド・・・・・バード!!!」


黒い炎の鎧をまとった鳥はまっすぐ標的に向かって突っ込んでいく。
先程の丸まった狼は近づいてくる黒炎に身を包んだ鳳凰に向かって必死にほえ続けるが、そんな努力もむなしく黒い炎に包まれて跡形もなく消えてしまった。

「(獅子幻影をしても、時間の無駄だな。)」


これによって、アナザーの場のカードはなくなった。

「・・・・ブラック・・・ペガサ・・・・スの・・・攻撃!!」

つまり、成す術がないまま攻撃を受けることになる。
黒い翼を持つ馬がその翼を大きく広げながらこちらへと凄いスピードで突っ込んでくる。


―――――――――ブラックウイング!!


「・・・・・・・・・・ッ!!」

アナザーLP2200→400

「ターンエンド。」

これによりアナザーのライフポイントは3桁、手札はまともに使えないカード3枚。



「(・・・・・・が、一ターンしのげただけでも上出来だ・・・。)」
アナザーには、このターンのドローの権利がある。

(でも・・・もしもまた引けなかったら・・・)




――――――――――終わる・・・。




が、今のアナザーは強気だった。
「・・・引けなかったらじゃない・・・・引くんだ。」
アナザーはデッキに手を伸ばした。




[ミー、ミー]




この声はどこかのアメリカ出身組の一人称ではない。
アナザーは静かにカードを抜き取った。


ドロー・獅子幻獣  ミアル


「・・・やはり・・・お前だったか・・・。」
アナザーはドローしたカードを見ると心が楽になった。

しかし、アナザーの引いたカードは
゛レスキューキャットに羽根を生やした"ようなイラストである。
可愛らしいというだけで決して強そうなわけではない。


獅子幻獣  ミアル
星2/光属性/獣族/攻300/守200
このモンスターが召喚された時、相手の手札をランダムに1枚選択する。
このカードの効果はそのカードの効果となる。



効果は、簡単に言ってしまえばギャンブル効果。
相手の手札が良いカードでなければ使い物にならない。
しかし、アナザーと獅子沢はとても安心していた。





―――――――――なぜなら、このモンスターには精霊が宿っているから。





「さぁ、頼んだぞ!獅子幻獣 ミアルを守備表示で召喚!!」
精霊が宿っているアナザー自慢のカードが、先ほどの可愛らしいイラストに負けないくらいの可愛らしいしぐさで現れた。


[ミー、ミー]


「?!そのモンスター・・・・・・・まさか精霊が宿っているのか?!」
龍神が出現した子猫に激しく動揺した。
「さぁ・・・その真の力を解き放て!ミアルのモンスター効果発動!!」
ミアルが円を描くように翼を広げた。



―――――――――サーチライトコーリング!!


「くっ・・・。」
その円の中から龍神目がけて光を発すると、一枚の手札のビジョンが現れた。



<龍神の手札>絆のペンダント



(!!!あのカード・・・・・まさか?!)
そのカードの強大さに先に気付いたのは獅子沢であった。
が、この強大というのはその効果のではない・・・。






―――――――――ここで時は2年前にさかのぼる・・・。





●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   
 

「兄貴、デュエルアカデミアに行っても元気でね・・・。」
今、とある家の玄関でひとつの兄弟が話している。

――――――獅子沢竜鬼と獅子沢龍神という・・・。

玄関は一畳ほどとそこまで広くない。
この家は2階建ての1LDKで敷地面積は20坪ほどである。
たった二人しかすんでいないのだからそこまで広くなくても良い。

父は現在イタリアのデュエルアカデミアで教師をやっている。
母はすでに地球上には存在しない、昔は父と同じくデュエルアカデミアの教師をやっていた。

つまりこの家にはもうこの二人しかすんでいない。
・・・・・・そしてまた一人がいなくなろうとしている・・・。

「・・・まぁ夏休みになったらまた帰ってくるかもしれないがな・・・。」
兄である龍神は笑いながら返した。

獅子沢龍神は獅子沢家の長男で中学を卒業し、今日からデュエルアカデミア本校という名の小さな孤島に旅立とうとしている。 

「大丈夫だって兄貴!俺ももう中学二年生になるんだぜ?寂しくなんかないよ。」
対する弟も笑いながら返した。

獅子沢竜鬼は獅子沢家の次男で今年から中学二年生になる。
髪の色はこのころから赤なのだが、遊戯王の世界で髪型や髪の色にどうこう言うのはルール違反である。

「ああそうだな。・・・・じゃあ・・・父上もしばらく帰ってこれないだろうから3年間一人だけど本当に大丈夫なんだな?」
龍神がまた心配そうに聞いた。しかし竜鬼の方はというと強気な顔で

「大丈夫だよ。兄貴・・・2年後には俺もアカデミアに行ってるから。」

「・・・ああ、そうだな・・・。まぁテストは簡単だし、お前なら余裕で受かるだろ。」

「ハハハ、まぁね。・・・あっ、そうだ!兄貴、ちょっと待ってて!!」
そう言うと、竜鬼は二階にある自分の部屋めがけて走っていった。
足は速いほうだったのだが、3分ほどかかってしまった、当然だが理由がある。

「ハァ・・・ハァ・・・兄貴、これ・・・。」
全速力で走ってきたため喘いでいる竜鬼が手にある一枚のカードを差し出した。
龍神はその差し出されたカードを受け取り「これは?」と聞いた。

「餞別だよ。アカデミアに行っても兄貴が誰に負けないように、お守りとして。」

―――――――――――誰に負けない・・・。

デュエルアカデミアに行けば何百、何千とデュエルをするだろう。それの全てを勝利で収めるというのはあまりにも難しい。・・・しかし、

「・・・ああ・・・アカデミアに行ったら、全ての決闘者と戦って・・・その全てに勝とう・・・約束するよ・・・このカードに懸けて・・・。」


――――――――――――そういい残して龍神は家を後にした・・・。


――――――――――――1枚のカードをその手に持って・・・。


約束のカード・絆のペンダント


●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●


(兄貴・・・まだ・・・デッキに入れててくれたんだ・・・。)
獅子沢はそのカードを見て思わず泣きそうになった・・・もっとも、体があればの話だが・・・いや、正確に言うのなら、ないのは体ではなく魂の半分である・・・。
しかし、その魂を奪ったのは他ならぬ兄だ。だから今戦っている。
そしてその魂を取り戻す方法はたった一つ



―――――――――――兄貴を倒すこと・・・。




しかし、本当にほかに方法はないのだろうか・・・。
獅子沢は頭の全ての細胞を活かして考えた・・・。




―――――――――――――           





―――――――――――――――――――――





―――――――――――――――――――――――――――――――






 










あるかもしれない・・・・方法がひとつだけ・・・。
さっきあのカードを見たときなぜか兄貴は苦しそうだった・・・。
そして、ミアルが出たときも激しく動揺してた・・・。











――――――――――――――精霊と絆のカード。






――――――――――――――この二つのアイテムを使えばあるいは・・・。






(兄貴・・・・・目を覚ましてくれ、兄貴ィィィィィィィ!!)




――――――――――――俺は精一杯の声で叫んだ



――――――――――――でも今俺の声が聞こえるのはアナザーただ一人



――――――――――――やっぱり無理なのか・・・。



そうして獅子沢は完璧に諦めた・・・・・・・・・・・。








「・・・・あきらめるな・・・・・、獅子沢竜鬼・・・。」
アナザーの声が聞こえてきた。
(でも、あきらめるなって言ったって・・・俺にはどうすることも・・・。)
「確かにお前の声は龍神には届かない・・・が、俺にしか届かないというわけではない」
アナザーは右の人差し指であるものを指した。


(・・・ミアル・・・。)


その指の先には翼を生やした子猫がいた。
その子猫がこちらをチラッと見て、微笑んできた。


―――――――――――俺が見えているのか、ミアル?



ミアルが龍神に向けて浴びせていた光の力を少しずつ上げていく・・・。



[ミィィィィィィィィ!!]





光の強さが手札の部分から増大されている・・・。
その光は強いがとてもやさしい光だった。



「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



龍神が・・・いや、闇の化身がとても苦しそうに叫び続けた。
そして龍神の体から黒い影が抜けていった。






















「・・・・・・・り・・・・・・・ゅ・・・・・う・・・き・・・・。」


(あ、兄貴!!)

龍神の体から黒い影つまり「闇の化身」が抜けていき、元のやさしかった獅子沢龍神の人格へと戻った。
「バ、バカナ?!コンナコトガアリエルワケガナイ?!」
闇の化身もあまりにも予想外の出来事に困惑気味の様子である。
そしてアナザーが吐き捨てるように闇の化身に言った。
「・・・闇の化身・・・貴様もここまでだ!!」
「フン・・・ダガマタ貴様ノ体ニハイッテシマエバ同ジコトヨ・・・。」

そんな中龍神はずっと考えていた。



―――――――――――竜鬼は確か俺がのっとられている時に死んだはず




―――――――――――ということはあの人格が目覚めてしまったというのか?!




―――――――――――あの人格をこのままにしておくということは竜鬼に・・・




―――――――――――それだけはとめないといけない・・・だが、どうやって?




―――――――――――方法はひとつだけある・・・。




―――――――――――だが失敗したら・・・・・・・・・・・・いや、




―――――――――――俺が竜鬼にやってしまったことは大きい




―――――――――――竜鬼のためならこんな命惜しくない!!




龍神は右手の手のひらを大きく広げ精神を集中した。
するとそこに火の玉のようなものが球体で浮かび上がった。
そのことの重大さに気付いたのは闇の化身・・・そしてアナザーだった。


「なっ?!それをやったらあんたは?!」
アナザーは血相をかえて大声を出した。もはやポーカーフェイスの面影はない。
[キ、貴様ァ、ソレヲ一体ドコデ身ニツケタァァ?!]
闇の化身も血相を変えて叫んだ。すると龍神は疲れながらも答えに応じた。

「ハァ・・・ハァ・・・忘れたのか闇の化身・・・、貴様が俺の体を使っているときに同じことをやっていただろ・・・。」

[バ、バカナ?!アノ時ノタッタ一回デ覚エタトデモ言ウノカ?!]

「ふっ・・・貴様はのっとる側だからしらないだろ・・・。人が一番覚えやすい方法は実際に体の中に入ってやってもらうことだということをな・・・!!」

闇の化身がとても悔しそうにしている。するとアナザーがまた大きな声で叫んだ。

「やめるんだ!!その方法の危険さはあんたが一番良く知っているはずだ!!」

「とめるなぁ!!」

「!!」
アナザーがぴたりと動きを止めた。
(どういうことなんだ・・・?゛その方法"ってなんなんだ?)

[ソレダケハヤラセンゾォォォ!!]
闇の化身が龍神めがけて全速力で突っ込んでいった。


「受け取れぇ、竜鬼!!」


龍神は先ほどの火の玉をアナザーめがけて投げつけた。
火の玉はものすごいスピードでアナザーに近づいていく。


―――――――――――そしてアナザーに命中した


(兄・・・・・貴・・・・。)







―――――――――――――真っ赤な髪をたなびかせ



―――――――――――――その髪の奥からのぞく赤い瞳と



―――――――――――――その瞳に負けないくらい紅い情熱の魂を携えて



―――――――――――――獅子沢竜鬼は、ここに復活する



「兄貴・・・ありがとう・・・待っててね・・・今助けるから!!」



第24話 アナザーVS龍神H-逆転の果てに・・・-

<竜鬼>LP400
手札3枚(獅子幻獣の降臨  獅子幻獣 虎豹 獅子幻獣の森)
モンスターカード 獅子幻獣 ミアル
魔法・罠カード なし

<龍神>LP4000
手札1枚(絆のペンダント)
モンスターカード 獅子幻黒獣ブラックフェニックス 獅子幻黒獣 ブラックペガサス
魔法・罠カード なし










[ククク・・・コノ男モ意外トバカナノダナァ・・・。]


龍神が一人でつぶやき始めた。
いや、正確に言うのならば"龍神の身体の中の闇の化身の人格"である。


「アナザー、どういうことなんだ?」
(さっき龍神のやった"魂の具現化"は相当な精神力を使うものだ。)


"魂の具現化"
つまりこれは前回龍神がやった↓である。


"龍神は右手の手のひらを大きく広げ精神を集中した。
するとそこに火の玉のようなものが球体で浮かび上がった。"




「その"魂の具現化"がどうかしたのか?」


(・・・言っただろう?相当な精神力を使うと・・・。元々闇の化身の身体の支配が完璧でないのは、ひとつの体に2つの魂が共存していて龍神の魂が支配の妨害をしていたからだ。しかし、相当な精神力を使ったことにより今の龍神の魂は妨害するほどの力も残されていない・・・。だから一方的に身体を明け渡す事になってしまった・・・というわけだ。)


「じゃあ今闇の化身が身体から離れたら兄貴は倒れちまうってこと?」
(そういうことだ。)


アナザーからの長く分かりづらい説明が終わった。
・・・でも違うんだ!作者が説明下手なだけであってアナザーは悪くないんだ!!




・・・・・さて、ここで再び決闘は再開される。
決闘の状態は少し上にスクロールしていただければ分かるでしょう。
ちなみに現在は獅子沢のターンで、獅子幻獣ミアルの効果により龍神の絆のペンダント
を選択したところである。そこで回想シーンが入ったりでごちゃごちゃ・・・・・。


「俺は自身の効果により 絆のペンダント の効果を得たミアルの効果を発動!」


竜鬼は手札の獅子幻獣 虎豹を手に取り、墓地ゾーンにそれを置いた。




絆のペンダント
通常魔法
自分の場のモンスターを1体選択し、手札を1枚墓地に送って発動する。
選択したモンスターと同じ種族のモンスターを1体デッキから特殊召喚する。




つまり、現在のミアルの効果はこんな感じになる。




獅子幻獣  ミアル
星2/光属性/獣族/攻300/守200
このカードが表側表示で存在するとき、自分のモンスターを1体選択し
手札を1枚墓地に送って発動する。
選択したモンスターと同じ種族のモンスターを1体デッキから特殊召喚する。
この効果はこのターンのエンドフェイズまで使用できる。




竜鬼の場にはミアルしかいない。よって必然的に選択対象はミアルになる。
ミアルの種族は獣族。幸い竜鬼のデッキには獣族が豊富に入っている。
竜鬼はデッキを取ってお目当てのカードを探し出す。


(フェニックスは鳥獣族だからだめ・・・ケルベロスもありだけど・・・)


ちなみにこのフェニックスとケルベロスとは下のカードを指す。



獅子幻獣 フェニックス
星10/炎属性/鳥獣族/攻4000/守2400
このモンスターは儀式召喚でしか特殊召喚できない。
相手フィールド上にモンスターが存在する時、このモンスターは攻撃回数制限を失う。
ただし、この効果で攻撃する時このモンスターは相手モンスターしか攻撃できない




獅子幻獣 ケルベロス
星10/地属性/獣族/攻4000/守2400
このモンスターは儀式召喚でしか特殊召喚できない。
このモンスターが攻撃するとき、手札のモンスターを1枚捨てる。
このモンスターの攻撃力は捨てたモンスターの攻撃力分アップする




ケルベロスの効果で手札の虎豹を墓地に送って攻撃力を上昇させてブラックフェニックスを倒すというのもありだが、竜鬼はケルベロスの存在を忘れており、ケルベロスの効果コストではなくミアルの効果コストとして使ってしまったのである。
・・・・・・・しかし竜鬼にはこれらをも超えるモンスターを持っていたのである。
それをデッキから探し出し、左腕のディスクにセットする。
どうでもいいことだけど、セットというのは表示形式ではない。




(アナザー・・・力を貸してくれ!)
「俺が選択するのは、獅子幻獣 ケンタウロス!!」




ディスクにセットされたのはアナザーのエースカード。その力は恐ろしいもので、
作者自身もどんな効果にするかずっと迷っていたというのはつい最近のことである。


竜鬼の後ろに黒い渦が出現する。その渦はとても大きく5メートルを超えている。
その渦から上半身が人、下半身が馬な3メートルほどの身長をもつ伝説上の生物であるケンタウロスが現れた。その右腕には電気でできた球体がある。
ケンタウロスを知らない人はデ○モンのケンタルモンを想像してください。
ケンタルモンも想像できないという方は自分でググってください。





獅子幻獣 ケンタウロス
星10/風属性/獣族/攻2500/守2000
このモンスターは通常召喚できない。
「獅子幻獣」と名のつくモンスターを1体リリースして特殊召喚できる。
またこのカードは獅子幻獣と名のつくカードの効果以外で特殊召喚することができない。
このカードが攻撃を行う時、攻撃対象モンスターの攻撃力の半分の数値だけこのカードの攻撃力をアップする。さらに、攻撃対象モンスターの効果はすべて無効化される。
相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
このカードがカードの効果によって破壊され墓地に送られた時、そのターンのエンドフェイズに墓地からこのカードを特殊召喚する。




「お!やっとケンタウロスの効果テキストが出たぞ!」
と竜鬼。・・・余計なお世話である。


(・・・風属性だったんだな・・・14話では光属性だったのに・・・。)
とアナザー。・・・だから余計なお世話である。


「・・・って、攻撃力変わってんじゃん?!14話では3400だったぜ?!」
と竜鬼。・・・だから余計なおs(以下略


(・・・お前と俺の決闘はともかく探さんとの決闘でのダメージが変わるじゃないか?!)
とアナザー。・・・だからy(以下略




・・・・・・・・・・・オリカのテキストがよく変わる作者でごめんなさい・・・。




さてお遊びはここまでにして決闘に戻るとしよう。
竜鬼は手札のカードのうち一枚に手をかけ、フィールド魔法ゾーンにセットした。
「さらに、おれは手札からフィールド魔法を発動、獅子幻獣の森!!」
2人の回り全体を森が覆い包む。
・・・とは言っても、元々現在地は学園内の森の中。背景的には木が増えただけである。



獅子幻獣の森
フィールド魔法
「獅子幻獣」が攻撃するときの攻撃力を1000ポイントアップする。
このカードがフィールドに存在し、自分の手札が0の時
墓地から獅子幻獣と名のつくモンスターを除外することで、
デッキからカードを1枚ドローできる。この効果は1ターンに1度のみ使用できる。




「お、獅子幻獣の森に新しい効果が!」
もうどうだっていい(投げやり)




「俺はバトルフェイズに移行!」
竜鬼の声とともにケンタウロスの右腕にある電気の球体が大きく光りだす。
その電気の球体は龍神の場にあるブラックフェニックスを映し出す。
なお今後ケンタウロスの効果は上記のものを使用しますので・・・。


「この瞬間、ケンタウロスの効果発動!ブラックフェニックスの効果を無効にし、ケンタウロ     スの攻撃力を2000ポイントアップ!!」


電気の球体光出し、その球体の大きさが一層大きくなる。
それと同時にブラックフェニックスを取り巻いていた二つの黒い球体が消え去った。




獅子幻黒獣 ブラックフェニックス 4800→4000




獅子幻獣 ケンタウロス 2500→3500→5500






「いけぇ、ケンタウロスの攻撃!!」
ケンタウロスが右手の球体を真上に掲げるとその球体から膨大な量の電気が放出される。






―――――――――――――ボルテックサンライズ!!






膨大な電気の前にブラックフェニックスは成す術もなく倒れた。
実はこのとき、ブラックフェニックスは電気で真っ黒焦げになってしまっていたのだが、
その体の色のせいで全く気づかれていない。




龍神LP4000→2500




龍神のライフポイントが半分近く削られる。
しかし、竜鬼の攻撃はこれで終わったわけではない。


「さらに俺は、ケンタウロスでブラックペガサスに攻撃!」


ケンタウロスが再び右腕の電気の球体が光を放つ。
そしてその球体に今度は黒いペガサスの姿が映し出される。




獅子幻獣 ケンタウロス 2500→3500→4400




ケンタウロスの攻撃力が4400となった。
龍神のライフは2500、そしてこの攻撃が通った場合のダメージは2600。


「これで終わりだ!」




――――――――――――ボルテックサンライズ!!




高らかにケンタウロスの技名が叫ばれる。
それと同時に膨大な量の電気がブラックペガサスに向かって放たれる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・が、




[浅ハカダナ、コノ程度デ終ワルトデモ思ッタカ?!]




龍神が墓地ゾーンからカードを1枚取り出し、そのカードをかざした。
かざしたカードは獅子幻黒獣ブラックスコーピオンというカードである。
「(・・・おそらくブラックフェニックスの媒体になったカードだろうな・・・。)」
と、アナザー。



獅子幻黒獣 ブラックスコーピオン
星4/闇属性/昆虫族/攻1600 /守0
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
このモンスターが場に召喚されたとき黒カウンターをひとつ乗せる。
このモンスターが戦闘を行うとき、黒カウンターをひとつ取り除くことで、
その戦闘を無効にする。




もはや獣でもなんでもないというのはさておき、この効果は要するにネクロガードナー
である。
ただし、攻撃力が1600あるため死のデッキ破壊ウイルスの媒体にできず、キラートマトからもだすことができない。
と、オリカの説明をグダグダやっても仕方がないので決闘に戻るとしよう。


ケンタウロスの放った膨大な量の電気もブラックペガサスの目の前で消えてしまった。
(ケンタウロスがフェニックスみたいな複数攻撃能力持ってたらなぁ・・・。)
一応ケンタウロスも全体攻撃能力を持っている。
しかし、あくまで1体に対して1回ずつであり、それに対してフェニックスは1体が戦闘破壊されていないなら何度でも攻撃できる能力である。
つまり、フェニックスの能力ならばこの局面でもう1度攻撃ができ、竜鬼の勝ち。


「(まぁ・・・そんなことグダグダ言ってもしょうがないか)ターンエンド。」
竜鬼の決勝打は惜しくも空振りに終わってしまったが、
それよりも驚くべきは竜鬼のたった1ターンでの逆転劇である。
決勝打といえば、これを書いている現在はWBCの決勝戦を見ている。(TVで)



<アナザー>LP400
手札3枚(獅子幻獣の降臨  獅子幻獣 虎豹 獅子幻獣の森)
モンスターカード 獅子幻獣 ミアル
魔法・罠カード なし

<龍神>LP4000
手札1枚(絆のペンダント)
モンスターカード 獅子幻黒獣ブラックフェニックス 獅子幻黒獣 ブラックペガサス
魔法・罠カード なし




こんな超危機的状況から、



<竜鬼>LP400
手札1枚(獅子幻獣の降臨)
モンスターカード 獅子幻獣 ケンタウロス
魔法・罠カード 獅子幻獣の森

<闇の化身>LP2500
手札1枚(絆のペンダント)
モンスターカード 獅子幻黒獣 ブラックペガサス
魔法・罠カード なし




と、超有利な状況にまで登りつめたのである。




――――――――――――まさに奇跡、そう言わざるをえない。




「(・・・しかし油断は禁物だぞ、獅子沢竜鬼・・・。)」
と、アナザー。竜鬼からしてみれば微塵も油断などしていない。


「なあアナザー、そのフルネームで呼ぶのやめてくれないか?仮にも同じ体を共有してる仲なんだし・・・。」


「(・・・そうか、じゃあなんて呼べばいい?)」


「フルネーム以外なら何でもいいよ。」


「(・・・そうか・・・。それよりも気になるな・・・。)」
と、アナザー。竜鬼には気になるところなど全く見当たらない。


「(今のブラックスコーピオンをブラックフェニックスに使えば、次のターンに生き残ったブラックフェニックスでケンタウロスを倒せたんじゃないか?)」


「でも、ダメージはブラックフェニックスのときのほうが小さいからライフポイントを優先したんじゃないか?」


「(だが、ブラックフェニックスを生かせば次の龍神のターンの戦闘ダメージは
4800-2500=1300。お前のライフは400。)」


「そっか、ライフ優先プレイングで勝ちを逃すなんてこと兄貴がするはずがない!」


「(・・・もっとも・・・今は"闇の化身"の人格だけどな・・・。)」


「でも・・・その"闇の化身"は何でそんなプレイングを?」


「(・・・おそらく何か別の策があるんだろうな・・、もっと効率よく魂を回収するような・・・。)」






[ワタシノターン・・・ドロー]
闇の化身は静かにカードをドローする。ドローしたカードを確認しにっと笑う。
[ワタシハ魔法カード、強欲な壺ヲ発動!]




強欲な壺
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
よって、手札をフルに使う作者からしてみればいい辻褄合わせカードである。




闇の化身はデッキから2枚のカードを抜き取る。そして元々手札にあったカードをセットする。


[ワタシハブラックペガサスヲリリースシ、魔法カード絆のペンダントヲ発動!]



絆のペンダント
通常魔法
自分の場のモンスターを1体選択し、手札を1枚墓地に送って発動する。
選択したモンスターと同じ種族のモンスターを1体デッキから特殊召喚する。




先ほどミアルの効果で使用したカードである。
ブラックペガサスは獣族。よって先ほどと同じく獣族のモンスターが特殊召喚される。
闇の化身は先ほどの竜鬼のようにデッキからカードを1枚選び出し決闘盤にセットする。


[イデヨ、獅子幻黒獣ブラッククローンゴート!!]


闇の化身の前に、標準サイズの黒い羊が現れた。
標準サイズが知りたい人はご自分でググってください。




獅子幻黒獣 ブラッククローンゴート
星2/闇属性/獣族/攻 300/守 600
このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから
「獅子幻黒獣ブラッククローンゴート」を任意の枚数特殊召喚する事ができる。




[ブラッククローンゴートノ効果ニヨリ、デッキヨリ2体ノ同名モンスターヲ特殊召喚!!]


ついさっき場に現れた黒い羊が分裂するようにして3体に増えた。


―――――――次の瞬間場の空気が凍りつく・・・。


「・・・・・・・来る・・・・。」
竜鬼は直感する。強大な化け物が来ることを・・・。
「(・・・だが、この状況で出しても攻撃力はたったの900・・・恐るるに足らない・・・が。)」
「わかってるよ、油断は禁物・・・だろ?」












[現レヨ我ガ分身、闇の化身!!]




その瞬間3体のモンスターが全て1つに合わさった。
その合わさった魂はやがて闇に飲み込まれ、悪魔のような姿になる。
この悪魔のようなモンスターの顔は龍神のつけている仮面で目の部分が隠れていて
口元が少しだけ見える。からだは黒いローブによりできている。手に大きな鎌を持っている。イメージをするのが難しいという人「カードを狩る死神」を想像していてもよい。
・・・・・・・がその威圧感はカードを狩る死神の何倍にもいたる。





闇の化身
星10/闇属性/悪魔族/攻?/守?
このモンスターは通常召喚できない。
このモンスターは自分フィールド上の2体以上の闇属性モンスターを
生贄にささげた場合のみ特殊召喚できる。
このモンスターの攻撃力と守備力は生贄に捧げたモンスターの攻撃力の合計分となる。
このモンスターは魔法・罠の対象にならない。
???







闇の化身 攻撃力?→900
      守備力?→900




攻撃力だけを見ればかなり貧弱である・・・・が、その威圧感がそれを何倍にも錯覚させる。


「当然、狙いは他にあるんだろう、闇の化身?」
竜鬼が目の前の敵に問う。それに闇の化身はニタッと笑いながら答える。
[クックックッ・・・マアソウ死ニ急グナ小僧・・・。スグニソノ男ト同ジ目ニアワセテヤル・・・。]


―――――その男


これは地面に倒れている暁探を指す。
―――数秒前
探は闇の化身の謎の力によって敗北し、そのまま意識を失った。










































[闇の化身ノ効果発動―――――――!!]




















































闇の化身の言葉とともに、闇の化身(ソリッドビジョンの方)の体が神々しく光だし辺りを埋め尽くす。
その光こそが闇の化身の隠された能力なのである。
























――――――――――――The root of the darkness(闇の根源)!!






















その光の中で闇の化身は見る見るうちに姿を変えていく・・・・。
その姿は・・・・・・。
































―――――――――まさに悪魔――――――








































闇の根源ーThe root of the darknessー(プロトタイプ)
星11/闇属性/悪魔族/攻?/守?
このモンスターは通常召喚できない。
このモンスターは闇の化身の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードの特殊召喚時、このカードをリリースし自分のLPを半分にすることで、
お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを破壊する。
この効果で破壊したカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える。

この効果は相手のカード効果では無効化されない。






闇の化身LP2500→1250










いつの間にか闇の化身のライフは半分になっていた。
そして、闇の根源から放たれている光がすべてを包み込む――――。














―――――――ある時は手札を―――――――――














―――――――ある時は森を――――――――――














―――――――ある時はケンタウロスを――――――














―――――――そしてすべてを包み込む――――――












[フハハハハハハハハハ!!闇ノ光二”支配”サレ”絶望”シ、”破滅”スルガイイ!!]


























































そして光は消え去り―――――――――――――








































そこには光の中で死んでいった獅子沢竜鬼の姿があった――――。


[ハハハ!!コノチカラニヨッテ死ンダ者ノ身体二アル魂ハ全テ我ガ物二ナル!!
 ヨッテ我ハ完璧二復活スル!!]


闇の化身はここまでの苦労を振り返りながら喜びに浸っている・・。
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
























しかし、闇の化身の姿は一向に元に戻ろうとしない・・・・・。


[一体・・・・・・ドウナッテイル・・・・・?!]


闇の化身は数ヶ月前のある男との会話を思い出す―――――――






●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●
 
「未練の残りし悲しき魂よ・・・・・・もし、50人の決闘者をたおし、それを全て生贄にささげることができたら、その魂は転生することができるだろう・・・・・。」


●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●
 
[アノ野郎!!ダマシヤガッタナ?!殺ス!今度ハアイツヲ―――――]
と、闇の化身は竜鬼に背を向けて走り出そうとする。


























































































「・・・・・・・・・・・おい、待てよ。」














しかし、それを引き止める声が後ろから聞こえて来た。
その声に闇の化身はあわてて振り返った。


その声の主は他でもない、獅子沢竜鬼である。




「そんなにあわててどこに行くんだよ、闇の化身・・・・。」




竜鬼が先ほどと全く変わらない姿で立っている。


[キ、貴様・・・・・何故・・・・生キテ・・・・・・?!]


闇の化身は尋常じゃないほど驚いている。
当然といえば当然である。先ほど死んだ人間が生きているのだ、誰だって驚く。


そんな姿を見た竜鬼がとぼけたように
「何だよ?幽霊見るような顔で?」
と、質問する。今の闇の化身はまさにそんな心境である。
自分の転生する権利が竜鬼に移ったのでないかとさえ思えた。






「あぁ、さっきの効果ダメージでなんで俺のライフが0になってないかってこと?」
と、竜鬼は自分の決闘盤を見ながら言う。たしかに竜鬼のライフカウンターは効果解決前と変わらず400を指している。
しかし、闇の化身の気になっているところはそんなところではない。
そんなことはお構いなしに竜鬼は説明を始める。


「お前のその効果にチェーンしてこのカードの効果を発動したのさ。」
と、竜鬼はポケットからカードを1枚取り出し闇の化身に見せ付ける。




獅子幻獣 翼コブラ
星3/風属性/爬虫類族/攻 600/守1300
自分の場のカードを破壊する効果が使用されたとき、
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
このターン自分が受けるダメージは0になる。




「こいつの効果で、カードが破壊されたときに俺に発生したダメージは0だったって訳。」
しかし、そんな説明で闇の化身が納得するわけがない。


[ナ、ナラバ何故死ンダ不利ナドシタノダ?!ソノ効果デ死ンデイナカッタノナラバ倒レル必要ハナカッタデハナイカ?!]


と、とても読みにくい字で闇の化身は反論する。
ちなみに闇の化身は「翼コブラで無事だったなら死んだ不利などする必要がなかった」
といっている。
しかし竜鬼自身は闇の化身の言ってることの意味がまるで分かっていない。




それもそのはず、先ほどの”死んでいった竜鬼”というのは闇の化身の思い込み、悪く言えば妄想なのである。
今までの長くつらかった試練がやっと終わるという喜びと油断が闇の化身に幻影を見せていたのである。
しかし、闇の化身本人にそんなことが分かるはずがない。
まさか、自分の心の油断が幻を見せていたなんて・・・。






「何言ってんだかさっぱりわかんねぇけど、お前にはカードがないから俺のターンだよな?」
と、竜鬼が確認を取るが闇の化身は事の収拾がまったくついていない。


しかし、先ほどの効果で闇の化身には場のカードはおろか手札もない、あるのは1250というわずかなライフポイントのみである。・・・しかしそれは竜鬼も同じことである。
そんな中、竜鬼の後ろに巨大な黒い渦が出現する。


「エンドフェイズに、ケンタウロスの効果発動!自身がカード効果で破壊されたターンに墓地から特殊召喚する!」


その渦から先ほどと同じように、巨大な獣が現れる。
「俺のターン、ドロ−!」
すでに意味がなくなってしまったが、一応とカードを引く。





<竜鬼>LP400
手札1枚
モンスターカード 獅子幻獣 ケンタウロス
魔法・罠カード なし

<闇の化身>LP1250
手札0枚
モンスターカード なし
魔法・罠カード なし




ケンタウロスが、右手に持つ電気の球体に力をためる。
その力はやがて膨大な量の光となる――――――。




「今度こそ・・・これで終わりだ!!」
竜鬼の一声とともに、ケンタウロスの球体から膨大な量の電気が放出される。


















―――――――――――――ボルテックサンライズ!!


















そしてその膨大な量の電気が闇の化身に襲いかかる。
[オ・・・・・・・ノレ・・・・・・・オノレ・・・・・・オノレェェェェェェェェェェェ!!]





闇の化身 LP 1250 → 0






ケンタウロスの攻撃によって、龍神の身体は数メートル後方に吹き飛ばされる。
そして、背中から地面に激突した。
残りライフ1250に対して2500のダメージ・・・結果、龍神の決闘盤のライフカウンターは0を指す。

残されたケンタウロスのソリットビジョンは跡形もなく消え去る。

そして、龍神を覆っていた黒い影・・・闇の化身もまた、跡形もなく消え去った。

「兄貴!」

獅子沢は龍神の元に駆け寄る。
しかし龍神から返事がない。ただの屍のy・・・気を失っているようだ。

「(そういえば探さんは大丈夫か?)」
アナザーは獅子沢に話しかける。
「そういえば・・・。」
獅子沢は龍神に背を向け、探の容態を見に行こうとする。


次の瞬間、龍神の決闘盤が薄い緑色の光を放つ――――

その光から無数の人魂のようなものが生まれ、上空へと昇っていく。

そして、上空十数メートルで別々の方向へと飛び去って行った。


その内のひとつが探の身体に入り込む。

「ぐっ・・・。」

探は目を覚まし、ゆっくりと体を起こす。

「探さん!!」

「獅子沢君・・・。」

探の目覚めを喜ぶ獅子沢を尻目に(?)アナザーは物思いに耽(ふけ)っていた。


―――――――これで本当に全ては終わったのか、それとも・・・



最終話 真の始まり


――――――ここは・・・どこだ・・・?



――――――ベットの上・・・か。



――――――ベットで眠るのはいつぶりだろう・・・



――――――そういえばどのくらい眠っているのだろう。




――――――何故俺はこんなところで眠っているのだろう・・・。



――――――そろそろ・・・目を覚まそうか。



目を覚ますとそこには学園の保健室の風景が広がっていた。
一応学校だから保健室なのだろうが、設備はそこらの病院とほとんど変わらない。
・・・いや、さすがに手術はできないけど。

彼、獅子沢龍神は保健室の一番左のベットで眠っていた。


―――――身体が妙に重い・・・。



―――――しかし、一度起きると決めたのだから、起きなければ。



龍神は重い身体を起き上がらせる。

上半身はなんとか起き上がったが、下半身が動かない。

何気なく下半身を見るとそこには一人の少年が寝息を立てて眠っていた。


「・・竜・・鬼・・。」


その少年とは、彼の弟の獅子沢竜鬼である。
獅子沢は龍神の声で目が覚めた。目をこすり、龍神の存在に気づく。

「  兄  貴  !!」

とても大きな声を上げて、獅子沢は龍神に抱きついた。

「兄貴・・・よかった・・。」

普通ならこういうことをするのは男女だけだろう。
男同士だと、一部の層にしか受けない。むしろ海外で規制されてしまう。

「じゃあ俺、鮎川先生呼んでくる。」

そういって、獅子沢は保健室から走り去った。

「・・・全く・・・せっかちなやつだな・・あいつは・・。」

龍神は軽く笑みを浮かべながら呟く。


―――――竜鬼が元気そうで何よりだ。


―――――俺も早く体調を戻さなければ。

ふと龍神はカレンダーと傍らの時計を見る。


〜2004年6月13日PM8:25 デュエルアカデミア本校ー保健室ー〜

それが現在の状況である。
アニメGXでいうと、あの三沢大地が主役な
TURN-12「酸素+水素=H2O(ウォーター)ドラゴン(2004年12月22日放送)」辺りである。


「兄貴!鮎川先生連れてきたよ!!」

保健室のドアが開くと、獅子沢をはじめとした数人の男女が入ってきた。

ひとりは先ほどから名前が出ている鮎川先生。保健・体育科担当で男子生徒の間ではファンがいるほど人気がある。
次に、水神先生。龍神が最も尊敬する数学教師。獅子沢の恩人でもある。
そして、龍神の一番の親友である暁探。

以上が獅子沢と一緒に入ってきた男女である。
話によると、3人で談笑しているところを獅子沢が連れてきたのだとか。




――――――――――――――――――


「もうほとんど大丈夫そうね。」
鮎川先生が聴診器をはずして龍神に告げる。
「良くなってよかったじゃないか、龍神。」
探はうれしそうに龍神に話しかける。
「ああ・・ありがとう、探。」
鮎川先生が去ったのを確認する水神。
正直、やっと回復したところで、こんな話をするのは気が引けるが・・と水神は断わってから問う。

「龍神・・覚えている範囲でいい。闇の化身に関する事を聞かせてもらっていいかい?」
龍神は小さくうなづいて今までの経緯を説明する。


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龍神の様子が変化したのはゴールドランカーと教師との交流戦。
そこで謎の新任教師に敗北し、あるカード「闇の化身」をもらった時からである。


〜2003年5月1日AM7:50 オベリスクブルー寮207号室〜

「身体が・・・だるい・・・。」

そんなことを考えながら、龍神は挑まれたデュエルを受けていた。

「ブラックフェニックスの攻撃!!」
空を飛んでいた黒い鳳凰が相手の青年に止めを刺す。


山田 山田男LP1250→0


ここまではいつも通り・・・だがそのとき事件が起きた。
相手の男がまるで魂が抜かれたかのように倒れてしまったのだ。



――――――自分のせいで一人の男が死んだ。




その不確定な事実に龍神はその場から逃げるように走り去った。
本来の龍神なら冷静に対応できるはずである。
しかし、このときの龍神はすでに正常ではなかった。
闇の化身の持つ「絶望をもたらす力」によって最悪の考えが強く押したのである。



次の日、それまで無遅刻無欠席だった龍神は授業を休んだ。

次の日も・・・、そのまた次の日も・・・。

龍神は結局5日授業を休んだ。
授業どころか部屋から出ることもなかった。
幸か不幸かブルー寮は各部屋にトイレも風呂もある。
しかし食べ物がないため、日に日に龍神はやつれていった。


一週間後、龍神は何の前触れもなく引きこもるのをやめて外に出た。
寮を出る途中探に話しかけられたがそっけない対応をとってしまった。

(あとで探に謝らないとな。)
森の中でふと龍神はそんなことを考えた。

〜2003年5月8日PM7:50 廃寮前〜

龍神は立ち入り禁止の廃寮の前まで来ていた。
闇の化身がその場所へ導いたのだ。


そして龍神はその廃寮に足を踏み入れる―――――


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「―――そこから先のことは覚えていません。」
龍神はそこで話をやめた。
「そこから先のことは全く覚えていないのかい?」
水神が問う。龍神は首を小さく縦に振る。
その話に探も獅子沢も興味ありげに聞いていた。

「・・・ただ・・・あることだけは今も覚えています。」
そう龍神が意味ありげに話し始める。
「兄貴、あることって?」
獅子沢が興味津々に聞き返す。


「―――奴らの狙い・・・そして全ての黒幕だ。」

その言葉に全員が反応する。
「全ての黒幕・・・とはどういうことだ?」
水神がおそりおそると聞き返す。
「・・・俺に闇の化身を渡したのは謎の新任教師ですが、やつは真の黒幕ではない。」







誰もが、そこから一歩踏み入れることができずにいた。
やつらの狙いと黒幕の名・・・そこに踏み入るのを躊躇していた。
保健室は沈黙に支配された。





「・・・単刀直入に聞く。やつらの狙い・・・そして黒幕の名は?」

沈黙は意外な人物に破られた。獅子沢竜鬼である。
いや、正確には彼の中に眠るもうひとつの人格「アナザー」である。
「わかった。答えよう・・。」
龍神はついにその先を口にした。


「―――――ッ」


それを聞いたその場の3人・・・いや、4人は驚愕した。
そしてこの先に待っている「真の始まり」を感じずに入られなかった。






――――――――”破滅の根源”の完全復活








――――――――そして黒幕の名は








〜????年?月?日?M??:?? ??????????〜

「やれやれ・・・龍神に憑いていた闇の化身は消え去ったか・・・。」

「調子はどうだ―――?」

「先生・・・いい感じに進んでいますよ。」

「フッ・・・そうか。・・やはり”生”に関して人は貪欲だな・・。」

「死者ならなお・・・ですか。」

「私も同じ経験をしているから分かる・・・。人は”死”んで初めて”生”きていることがどれだけ幸 福か分かる・・・。」

「ところで・・・”支配”と”絶望”のほうはどうなってますか?」

「問題ない、向こうも順調に進んでいるよ。」

「そうですか・・・俺もがんばらなくては・・・。」

「フッ・・・頼むぞ・・・」


「鴉・・・。」

――――――――黒幕の名はゴールドランカー”白夜鴉”



遊戯王A(アナザー)第1部 完





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