saviour's soul

製作者:カオスマンSPさん




この話は、「遊戯王5D’s」の二次創作ストーリーで、遊星がフォーチューンカップに出場するまでの間を描いたオリジナルストーリーです。 ……ですので、あくまでオリジナルストーリーと思って頂ければ幸いです。





 ある日の夜……アルカディア・ムーブメントにて……

ガシャン!
     ガシャン!

……パリーン!

『た、大変です!ディヴァイン様!監禁されていた男が脱走しました!』
「何?……シャッターを降ろせ。ここから逃がすな。」
 ディヴァインが携帯電話でそう支持すると……脱走者の通る通路に、何枚もシャッターが現れた……!

「くっ……シャッターか……!……『城壁壊しの大槍』!」
 脱走者は、『城壁壊しの大槍』のカードをシャッターにかざすと……そのカードのイラストに書かれた大槍が実体化し、その槍が、シャッターを何枚もバキバキと大きな音を立てながら連続して打ち破った!

「ほう、相変わらず力は衰えていないか。……それだけに残念だ。アキの兵士利用に反対しなければ、あいつも優秀な素体として活躍可能だった物を……。」
 ディヴァインは、脱走者に向かって醜悪な笑みを浮かべながら、そう呟いた……。

「シャッターで奴を止めるのは無理があるな……。なら……これだな。」
 そう言いながらディヴァインは、通路を走る脱走者に向かって1枚のカードをかざした……!

「魔法カード……『悪夢の鉄檻』を発動。」
 ……すると、脱走者の周りに、非常に強固な織が発生した!

「『悪夢の鉄檻』か……こんな物……!」
 脱走者は、1枚の魔法カードをかざすと……そのカードから闇が発生し、脱走者と檻を暗闇が包み込んだ……。

「……『闇の訪れ』か……。愚かな。そんな物……このカードでかき消してやる……!魔法カード『闇をかき消す光』を発動!さあ、じわじわと炙り出してやる!」
 そう言って、光で闇がかき消されそうになったが……その闇の中から、突然矢が放たれ、ディヴァインを襲った!

「矢だと?くっ、『サイコ・ソード』!」
 ディヴァインは、闇の中から放たれ、ガラスを突き破る矢を、出現させた『サイコ・ソード』によって弾き飛ばした……。











「『魔法効果の矢』か……。『悪夢の鉄檻』を破り、逃げ出したか……!」
 闇にまぎれて逃げ出した脱走者に対し、ディヴァインは吐き捨てる様に呟いたが……


「まあいい。奴もそう遠くへは逃げられまい……。ククク……しばらく泳がせておいて、脱走を試みた事を後悔させてやるか。」












「ハァ……ハァ……何とか脱出したけど……いつ処刑されるか分からないな……。」
 脱走者は、心臓を押さえて息を切らしながら、路地裏に隠れていた……。
「待っていてくれ……私が処刑される前に、君にとっての白馬の救世主を捜し出してあげるよ……!……アキたぁぁぁぁーん……。」






第1話 危険なヤツ(視点・龍亞)

「龍可(るか)!もっと早く歩けよ!そんなノロノロ歩いてたら、日が暮れちゃうぞ!」
「そんな急がなくてもいいじゃん、龍亞(るあ)。まだ午前中なんだから、日はそう簡単には暮れないよ。」
 やあみんな。おれ、龍亞って言うんだ。
 今おれと妹の龍可は、遊星のいる町……ダイモンエリアを歩いてるんだ。

「ふふふ。きっと驚くぞ、遊星!連絡も入れずに遊びにきたら!」
「どうだか。……はぁ〜あ……。ダイモンエリアは龍亞1人じゃ危ないからついてきたんだけど……何でこんな朝早くに出なきゃいけないの……。」

 まったく……乗り気じゃないなあ、龍可は。
「ダイモンエリアには色々と危ない人がいるから、一人で行くのは危ない」……なんて言うから龍可も連れていったんだけど、眠たそうに目をしょぼしょぼさせて……。

……やっぱ、朝早くに叩き起こしたのがいけなかったのか?


「何言ってんだよ、龍可!遊星なら、きっと俺達の事歓迎して……」
 曲がり角付近で振り向いて、龍可に話し掛けたら……曲がり角の死角から手が伸びてきて、ハンカチみたいな物でおれの口と鼻を誰かが押さえ付けてきたんだ!

「る、龍亞!」
「む……む………あ……(る……龍………可……)」
 おれも、誰かの手から逃れようと必死に抵抗したんだけど……口をハンカチに…封じられ……た………状態で……息を吸……ったら、急に………目蓋が重………くな………っ…………て……………




第2話 ねんねして抱っこして……?(視点・龍可)

 さっきまでうるさい程に元気いっぱいだった龍亞が、まるで事切れた人形の様に眠りこけちゃった……。
 それから、曲がり角の死角から細身の男が出てきて……意識を失った龍亞の足にもう1本の手を伸ばして……そのままお姫様を抱き抱える様に龍亞を抱っこしちゃったの!

「だ……誰なの?」
 わたしは、龍亞を抱っこしている男の人に話し掛けたんだけど……男の人は私の言葉を聞かないで、逃げるように走り去っちゃった!

――もしかして、これって『ユウカイ』ってやつ……?

「ま、待って!」
 龍亞が何で『ユウカイ』されちゃうのかは、全然分からなかったんだけど……とにかく必死に人通りの少ない路地で、その男の人をを追い掛けたの……。


 2分ぐらいかな……。走ったのは……。窓が少ない、誰も住んでなさそうな古びた建物の中に、男の人が龍亞を抱っこしたまま入ったの……。

「……こ……この建物の中に……龍亞が連れてかれたのを見たんだけど……」
 わたしは、走りすぎて息が苦しかったんだけど……龍亞を見失わなくてよかった……とも思ったわ……。

「とりあえず……中の様子を確認しなきゃ……。……龍亞……大丈夫かな……。」
 あの男の人……龍亞に何しようとしてるのか不安で不安でしょうがなかったから、わたしは建物の小窓から部屋の中を見たの……。

そしたら……

「る……龍亞!」
 ……龍亞が目をつぶったまま、天井から釣り下げられてる!




第3話 真・危険なヤツ(視点・龍亞)

「………ぅ………ん……?」
 おれは……手首に何かが当たっているみたいな変な感覚があったから、何とか目をを開いたんだ……。
 そして、目をこすろうと、右手を顔に持っていこうとしたけど……


 て…手が……動かせな…い……?

 おれの腕……背中で手首を合わせられた状態でロープか何かで縛られてて、その上縛られた腕を、腰の辺りと肩の辺りの二ヶ所で体にこれまたロープで縛り付けられてて、まったく腕を動かせないんだ……。
 それに……

「(足を……いくら動かしても……地面にさわれな…い?……おれ…釣り下げられて…る………?)」
 その状態で、天井に鎖でぶら下げられていたんだ……。
 足が地面につかない程度の高さで釣り下げられてて、体を揺らすたびに、鎖が擦れ合って、キィ……キィ……と、無機質な金属音が、部屋全体に染み渡ったんだ……。

「おれ……何でこんな事に……?」
「……やっと目を覚ましたね……?」
 おれが自分の置かれている状況を必死に理解しようとしている時に、一人の男が話し掛けてきたんだ……。
 痩せてる男だけど……何か不気味だ……。

「お、お前は……ひいぃっ!」
 おれが男に話し掛けようとした時……な、何だよぉ……こいつ……!
 こいつ……おれの太股の辺りを、にやつきながら優しく撫でてきたんだ……。

「…いい……生足だ……。」
 男は、顔を引きつらせてるおれの足を撫でながら、そうボソッと呟いた……。

「……それに……引きつった…その表情……。寝顔も……良かったけど……その表情も…捨てがたいな……。」
 し……しかもこいつ……おれのあごの辺りに親指と人差し指を付け……スゥッ……と軽く撫でてきた。

「(な………何なんだよ…………こいつは…………。)」
 おれ……こんな奴に体を撫でられたことを、完全に気持ち悪く感じていたんだ……。

「私は……飢えていたよ……渇いていたよ……少年に………。」
 そんなおれの気持ちなんかまったく考えずにこいつは、おれのお腹の辺りに、指で円を書きながら話した……。
 おれ……この男の考えていることが理解できなかった――いや、絶対理解したくない――……!



「だから…君が…私の心の飢え……渇きを……満たしてくれ………。……龍亞きゅん…………。」
 この言葉を聞いた瞬間……おれ……多分全身真っ青になったと思うんだ……。

 ――この男は危険だ――
 ――早く逃げたい――

 もう、おれの頭の中はその感情で埋め尽くされて、思わずこう叫んだんだ……。











「い、い…い、い……嫌だぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!助けてぇぇぇぇ〜〜〜〜!!遊星ぇぇぇぇ〜〜〜〜!!!!」
 おれ……もう怖くて怖くて、足を激しくばたつかせて、喉が潰れてしまうんじゃないかと思えるくらいの、部屋全体に響き渡るほどの大声で泣き叫んだんだ……。

「遊…星?それは……誰なんだい?龍亞きゅん……。」
 男は、おれの両肩をつかみながら話したんだ。
 きゅ……きゅんって……き…気持ちわりい……。早く離れてくれよ……。
 

「……話して……くれないのかい?龍亞きゅん……。なら……」
 男は、残念そうな声を出しながら、肩に置いた手を、オレのの上半身の脇とか腰とかを手で撫でていきながら……突然半ズボンに手を掛けた!

「!! なっ……ちょ……止め………」
 おれ、ちょっと、あいつが何しようとしてるのか分かっちゃったから、突然声を上げたんだ……。

「……いい……な……。やっぱり……半ズボンの……少年…は………。」
 男は、興奮しながら、おれの半ズボンを下に……

「わ、分かった!言う!言うから!服を脱がすのだけは止めてくれ!」
「……いい…な……。龍亞きゅんの、その……朱に染まった頬……。」
 男は、おれの腰を抱き締め、おれの体に頬摺りしたんだ……。

「(ひぃぃぃぃ……こ、こいつ……絶対おかしいって……)」
 おれ……この男が恐くって、ガクガク震えながら、重い口を開いたんだ……。

「ゆ……遊星は、すっごく優しくて、デュエルもすっごく強いんだ!お前なんて、ケチョンケチョンに……」
「なら……こうしようか…な、龍亞きゅん……。」
 男は、軽くにやついた……。
 絶対……ろくなこと考えてないよ……。

「その……遊星と言う奴と……私が…デュエルして、もし……私が負けたら、龍亞きゅんを解放する……よ…。でも……私が勝った…ら、龍亞きゅん…は……永遠に……私の物だ……よ。」
 男は、おれの顔を覗き込んで……おれの頭を愛しそうに撫でながら話してきたんだ……。

「うぅぅっ……。」
 おれ……もう恐くて怖くて、べそかきながら首を縦に振ったんだ……。

「決まりだ……ね。……じゃあ……伝達要員は……そこで覗いている女に頼もうか……な。」
 男は、そう言ってから窓の方に歩いていったんだ……

 女って……まさか……

「る、龍可!」
 やっぱり……龍可だ!
 おれが意識を失ってからここに連れてこられるまで、後をつけていたのか!

「や……やめろ!龍可に手を出すな!」
 あいつは……もがくことしかできないおれのことを、まるでおもちゃか何かのように扱っていた!
 龍可がそんな目にあうなんて……考えたくもない!龍可……。俺のことはいいから、早く逃げてくれよ……。

「安心して……いいよ。龍亞きゅん……。私……は、……龍可たんには、手を……出さないから……。」
 あいつは……不気味に笑いながらそう言って、龍可に近づいていった……。
 それより、おれのことを「きゅん」付け……龍可のことを「たん」付けって……何でそんな呼び方をするのか、全然意味が分からない……。

「ふふふふふ……、龍可たん……。君に頼みが……」
「……あ………あぁ………」
 男の声を聞いた龍可は、顔を思いっきり引きつらせて……

「いっ……嫌あぁぁぁぁ!来ないで〜〜〜〜!!!きゃああぁぁぁぁぁぁあぁ〜!!!!」
 叫びながら、逃げ出したんだ……。



ザァァッ……



「……っ……あぁぁぁぁ!」
 あまりに慌てて、一回転んじゃったみたいだ……。



「……残念だったね……。龍亞きゅん……。龍可たん、君を見捨てて逃げ出しちゃった……よ……。」
 男は、を哀れむように話してきたんだ……。
 あいつの言葉を聞くたびに、おれの体感温度がどんどん下がって、まるで冷蔵庫のなかに入れられたみたいだ……。

「い……いいんだ……。龍可が、お前の手にかからなかっただけでも……」
「気丈だ……ね。龍亞きゅん……。君みたいな少年……私の物に……したい…な…。」
 って言いながらあいつ、俺の足をギュッと抱き締めてきたんだ……。
誰か……早く助けにきてくれよ……。




第4話 突然の来訪者(視点・雑賀)

「何々……。『黒薔薇の魔女、再び襲来!』?……ったく、最近のマスメディアは何やってんだ?ワンパターンな記事ばっか書きやがって。」
 俺は、浅煎りのコーヒーを飲みながら、今日の朝刊を確認していた。
 『何でも屋』を名乗るからには、世間の一般常識ぐらいは熟知しておくのが、当然って物だからな。



ブウゥ…………ン……

 下のガレージから聞こえてくるこのエンジン音は……遊星のDホイールのだな。

「……どれ。様子でも見に行ってやるか。」











「生が出るな、遊星。」
「……雑賀か。」
 俺の声を耳にした遊星は、軽く話した。



「フォーチュンカップ……。奴とのデュエルは、確実にライディングデュエルで行うだろうからな。」
「……ジャック・アトラスか。」
「ああ。」
 俺の言葉を聞いた遊星は、軽くうなずいた。

「……遊星。お前は、あいつから『スターダスト・ドラゴン』を返還されたな。」
「ああ。」
「……フォーチュンカップでは、予選から使っていくのか?」
 俺は、遊星に軽く話し掛けた。

「オレがスターダストを使う時は……その力を必要とされた時だけだ。」
「……言うじゃねえか。」
 必要とされた時……か。
 確かに……あのカードには、何か特別な力が込められている見てえだな。……おいそれと使う訳には行かねえ……って事だな。



 バタンッ!

「だ、誰だ……」
 突然俺のガレージに入ってきた奴に話し掛けようとしたが……

 ドサッ……

 突然、息を切らしながら倒れこんじまった……。
 2つに分けた黄緑色の髪……ダイモンエリアの住人じゃねえ見てえだが……

「どうした!龍可!!」
 遊星は腰を低くし、その来客に話し掛けたか……。どうやら、遊星の知り合いだったらしいな……。




第5話 仲間だからだ(視点・遊星)

 小さな女の子の龍可が、1人でこのダイモンエリアに来るのは不可解だ……。いったい何が……?

「しっかりしろ!龍可!!」
 オレは、目を潤ませている龍可の顔を覗き込みながら話した途端に、龍可は……

「〜〜〜〜る゛、る゛あ゛が……る゛あ゛が〜〜」
 よほど恐い目にあったのか、オレに向かって、まるで覆い被さるように飛び付いて泣きじゃくってきた……。

「お、落ち着け!いったい何があったんだ!?」
 いきなりの龍可の行動に面食らったオレだが、すぐにオレは、龍可の両肩をつかみ、落ち着かせようとした……。
 その際に、ふと左足のひざに目をやると……



「……転んだのか?」
 龍可は、オレの言葉を聞き、涙ぐんで声を震わせながら「う゛ん゛……。」と言いながらコクンとうなずいた……。

「……雑賀!救急箱を頼む!」
「もう用意してるぜ。」
 オレが後ろに目をやりながら話すと、すでに救急箱を用意した雑賀の姿があった……。

「……仕事が速いな、雑賀。」











………………………………

「……っっ!!」
「しみるか?……ったく、そんな足でよくここまで来れたな。」
 雑賀は、龍可をいすに座らせ、怪我した左足を伸ばした状態にさせ、軽く消毒液を吹き掛けていた。

「水を持ってきたぞ、龍可。」
「あ……ありがとう……。」
 そう言いながら龍可は、オレが汲んできた水を少し口に含んで、コクリと飲み込んだ。

「……話してもらうぞ、龍可。いったい何があった?」
 オレの問い掛けを耳にした龍可は、少しうつむき、小さく口を開いた。

「……わたし……龍亞といっしょにここに行こうとしたんだけど……いきなり龍亞が、痩せてる男の人に『ユウカイ』されちゃったの……。その人を追い掛けたんだけど……その男の人、龍亞に抱きついたり龍亞の体をなでなでしてたり……もう見てるだけで、気分が悪くなっちゃったの……。」
 龍可は、足の上に握りこぶしを置き、手と声を震わせながら話していた……。

「おい……お嬢ちゃん。足動かすなよ。包帯巻けねえじゃねえか……。」
「ご……ごめんなさい……。」
 雑賀に注意された龍可は、思わず頬を赤らめながら手の震えを止めた。

「……龍可。龍亞はどこに捕われている?」
 オレは、龍可に軽く話し掛けた。

「ん?……遊星、何を……」
 龍可のひざに包帯を巻き終えた雑賀が、不意に尋ねた。

「ああ。……龍亞を助けに行く。案内してくれ、龍可。」
 オレがそう言いながら、龍可を立たせようとした時……



「待ちな、遊星。」
「……何だ、雑賀。」
 声がした方に目をやると……

「……気をつけな、遊星。」
「ああ。」 




第6話 やりたいほーだい(視点・龍亞)

 ううっ……











 もう……何分たったんだろう……











 体の震えが止まらない……











 誰か……











 来てよ……



「……喉が渇いたかい?龍亞きゅん……。」
 ひぃぃ……まただ……。あの話し方を聞くと、鳥肌が……!

「渇いてるみたいだね……。」
 何にも言ってない!……飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくないぃぃ……


「さあ……ストローだよ……。加えて、クイッ……と言ってくれ……。」
 そう言いながら、ストローが2本刺さり、サイダーが入ったコップを突きつけてきた……。
 まさか……こいつと飲むのか……?

「い……いいよ……。おれ……一人で飲むから…………」


「いや……せっかくだから、一緒に飲もうよ……龍亞きゅん……。」











 ――オトコドオシデ?











 フタリッキリデ?――

「……ィ……ィィ…………」
 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくないぃぃ……



「ストローも使えないのかい?なら……」
 男は、グラスの中のサイダーを口に含み…………いやだ……絶対想像したくない……!

「さあ、口移ししてあげる……。」
 ひぃぃぃぃ!!!!や、やっぱり!!!!
 嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ
嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ嫌だいやだイヤだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!

 こんな奴とするくらいなら、龍可とやっとけばよかった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!

「ひぃぃぃぃ〜〜!来るな!来るな!来るな!来るなぁぁぁぁ〜〜!」
 おれ、もう恐くて恐くて、叫びながら足をばたつかせて、男を何度も蹴りつけたら……

「あぅっ……。」
 口に含んでいたジュースを吐き出して、おれの靴と靴下

「ふふふ……。いいねえ、龍亞きゅん……。やんちゃな男の子は、好きだよ……。」
 そう言いながら、おれにさらに近付いてきたぁぁぁ……!

「……ベタベタになっちゃったね……靴と靴下……。」
 そう言いながらあいつは、サイダーがかかったおれの靴と靴下を脱がせて……口を近づけて…………近…………づけ…………て……………………











 ペロッ……。











「ひい……ぃ……っ……!」
 ……おれの足の裏を、ペロリと舐めてきた……!











 それから……多分おれ、気を失ったと思うんだ……。
 ああっ……何でおれ、こんな目にあってんだ……?掃除をサボって遊びに行っちゃったからかな……?龍可の隠してたお菓子を勝手に食べちゃったからかな……?




第7話 待ってる(視点・龍可)

「ここなのか?龍可。」
「うん……。」
 
 あの建物の中に龍亞が……。


「だが、龍可は帰るんだ。お前が行って、生きて帰れる保障は無い。」


「そんな!……わたしだって、龍亞を助けたい!」
「駄目だ。」
 そう言っていた(たぶん駄々こねてたと思うけど)わたしに対して、遊星はわたしの肩に手をやって……


「大丈夫だ。……必ず戻ってくる。」
 そして、腰を低くしてわたしの目を見てそう言ってくれた……。
 大丈夫……。……遊星なら、きっと龍亞を助け出せる……!











「分かった……待ってる。」
 わたしがそう言うと、遊星は軽く微笑んで……右手の親指を立てて、倉庫の方に歩いて行ったの……。





















 ……大丈夫だよね?帰って来るよね?




第8話 救出開始 

 バタンッ!

「待たせたな……龍亞。」
 オレは、そう言いながら扉を開けた……。

「ん……?なるほど……君が遊星くんだね……。」
 龍亞の傍らにいた男は、オレの方に目をやり、そう言った……。

「何故お前は、オレの名前を知っている?」
「何だ……。君は、龍可たんに聞かされていなかったのかい……?君が私に負けてしまったら、龍亞きゅんは、永遠に私の物になると言う事を……。」
 奴は、笑みを浮かべながら話した……。つまり、オレの登場は想定済みだったか……。
 オレは、デッキケースからデッキを取り出し、デュエルディスクを左手に装着した……。


「オレは勝つ!そして龍亞を救い出す!」
「……できるのかな……?君に……。」
 近藤は、不敵な笑みを浮かべながらデュエルディスクを構えた……。

「デュエルの前に、名前は聞いておこう。」
「……私の名前は、近藤 翔太(こんどう しょうた)だ……。さあ、始めるよ……。」
 奴の名前を聞いたオレは、デュエルディスクを構え……











「「デュエル!!」」
 先攻は近藤か……。奴はどんなデッキを使う?

「私のターン……ドロー。手札から、永続魔法『生還の宝札』を発動しよう……。」
「『生還の宝札』……墓地からモンスターを蘇生させる度にカードを1枚ドローする永続魔法か……。」
 オレは、近藤が発動させたカードの効果を、軽く確認していた……。
 だが……オレはこの時気付いていなかった……。あのたった1枚のカードが、究極の絶望への引き金となる事を……!


生還の宝札
永続魔法
自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、
自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。


「さらに手札から、魔法カード『おろかな埋葬』を発動だ……。デッキから、『魔轟神ソルキウス』を墓地へと送ろう……。」
「『魔轟神』だと?……何だ、そのカードは?」
 近藤が墓地に落としたカードのカテゴリーに、少し疑問を持っていた……。

「『魔轟神ソルキウス』は、手札を2枚墓地へと送る事で、墓地から特殊召喚する事ができる……。手札から『魔轟神クシャノ』と『魔轟神レイブン』を墓地へと送り、特殊召喚……!」
「何……蘇生能力だと?」
 近藤の墓地から、仮面を付けた悪魔の男性が蘇った。

魔轟神グリムロ
光 レベル6
【悪魔族・効果】
手札から「魔轟神ソルキウス」以外のカード2枚を墓地へ送って発動する。
このカードを墓地から特殊召喚する。
攻撃力2200 守備力2100


 墓地のモンスターが蘇ったと言う事は、つまり……

「『生還の宝札』の効果で、1枚ドロー……。私の場に『魔轟神』が存在する事により、手札から『魔轟神グリムロ』の効果を発動しよう……。手札のこのカードを墓地に送り、デッキから『魔轟神クルス』を手札に加えよう……。」
 近藤は、ドローした後、デッキから1枚のカードを探し出し、自分の手札に加えた。


魔轟神グリムロ
光 レベル4
【悪魔族・効果】
自分フィールド上に「魔轟神」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、
手札からこのカードを墓地へ送る事で自分のデッキから「魔轟神グリムロ」以外の
「魔轟神」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
攻撃力1700 守備力1000


「墓地の『魔轟神クシャノ』の効果を発動しよう……。手札の『魔轟神クルス』を捨て、『魔轟神クシャノ』を手札に戻すよ……。」
 近藤は、『魔轟神ソルキウス』の蘇生コストとして墓地に送られた『魔轟神クシャノ』を墓地から手札に戻した……。


魔轟神クシャノ
光 レベル3
【悪魔族・チューナー・効果】
手札から「魔轟神クシャノ」以外の「魔轟神」
と名のついたモンスター1体を墓地へ捨てて発動する。
自分の墓地に存在するこのカードを手札に加える。
攻撃力1100 守備力800


「手札から捨てられた『魔轟神クルス』は、墓地から自身以外のレベル4以下の『魔轟神』を蘇生させる……。墓地から、チューナーモンスター『魔轟神レイブン』を蘇生するよ……。『生還の宝札』の効果で1枚ドロー……。」
 捨てられた『魔轟神クルス』は、自身の代わりに墓地から黒い翼を生やした男性型の悪魔を蘇らせた……。
 そして1枚ドロー……無駄が少ない戦法だ……。


魔轟神クシャノ
光 レベル2
【悪魔族・効果】
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、自分の墓地に存在するこのカード以外の
レベル4以下の「魔轟神」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
攻撃力1000 守備力800


「さらに……レベル6の『魔轟神ソルキウス』に、レベル2の『魔轟神レイブン』をチューニングしよう……。」
「何……!先攻1ターン目から、レベル8のシンクロ召喚だと!?」
 近藤は、両腕を高くかかげると……『魔轟神レイブン』が2本の光の輪に、『魔轟神ソルキウス』が6個の星と変化した……!
 これは……シンクロ召喚か!











「光を抱きし悪魔は……私に大いなる恵みをもたらす……。混沌に渦巻きし力を見よ……!シンクロ召喚!出でよ……『魔轟神ヴァルキュルス』!!」
 近藤がそう語ると、奴の場に黒い翼を持ち、金縁の鎧で身を包んだ1体のシンクロモンスターが出現した!

「……『魔轟神ヴァルキュルス』の効果を発動しよう……。手札の『魔轟神ルリー』を捨て、カードを1枚ドローする……。」
 近藤は、手札の悪魔族を捨て、カードを1枚ドロー……つまり、手札交換をした……。


魔轟神ヴァルキュルス
光 レベル8
【悪魔族・シンクロ・効果】
「魔轟神」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
手札から悪魔族モンスター1体を捨てて発動する。
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
攻撃力2900 守備力1700


 いや……これは、ただの手札交換じゃ無い!

「『魔轟神ルリー』は、手札から捨てられた時、墓地から特殊召喚される……。来てくれ……『魔轟神ルリー』……。『生還の宝札』の効果で、カードを1枚ドローする……。」
 近藤の場に、コウモリみたいに小さな悪魔が蘇った……。
 ただの手札交換だったはずが……2枚のアドバンテージを得る事になった!?『生還の宝札』を早めに破壊しなければ、危険だ……!


魔轟神ルリー
光 レベル1
【悪魔族・効果】
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
攻撃力200 守備力400


「さらに、まだ私には通常召喚が残されている……。手札から、チューナーモンスター『魔轟神クシャノ』を召喚しよう……。」
 近藤の場に、天使の様な羽を生やした学者の様な悪魔が現れた。
 墓地にいるだけで、手札の『魔轟神』を捨てる事ができるチューナー……奴のデッキの力を最大限に引き出す1枚……と言った所か。

「『魔轟神クシャノ』は、レベル3のチューナーだ……。私が何を呼ぶか分かるかい?遊星くん……。」
「……『アームズ・エイド』か。」
 オレは、近藤の問い掛けに対して、軽く答えた……。

「そうだよ……遊星くん。レベル1の『魔轟神ルリー』に、レベル3の『魔轟神クシャノ』をチューニング……!出でよ……『アームズ・エイド』!」
 オレの予想通り、『魔轟神クシャノ』が3本の光の輪に、『魔轟神ルリー』が1個の星となり……星と輪が混じり合い、1つの鋼の爪へと姿を変えた!

「『魔轟神ヴァルキュルス』に、ダークネスフィンガー……『アームズ・エイド』を装備させる……!」
 近藤がそう言うと『アームズ・エイド』が『魔轟神ヴァルキュルス』の右手に装着され……『魔轟神ヴァルキュルス』の攻撃力を大きく高めた!


アームズ・エイド
光 レベル4
【機械族・シンクロ・効果】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
攻撃力1800 守備力1200


魔轟神ヴァルキュルス 攻撃力2900→3900

「これで私は、ターンエンド……。」


現在の状況
近藤 LP…4000
   手札…3枚
   場…魔轟神ヴァルキュルス(攻撃力3900・攻撃表示)
     アームズ・エイド(魔轟神ヴァルキュルスに装備)
     生還の宝札(表側表示)

遊星 LP…4000
   手札…5枚
   場…無し


「1ターン目で攻撃力3900のモンスターを呼び出した上に、手札をまだ3枚も残しているだと……!」
 だが……今のオレの手札には、『生還の宝札』を破壊するカードは無い……!

「……オレのターン、ドロー。手札の『チューニング・サポーター』を捨て、手札から、チューナーモンスター『クイック・シンクロン』を特殊召喚!」
 オレの場に、1体のチューナーモンスター……『クイック・シンクロン』が特殊召喚された!


クイック・シンクロン
風 レベル5
【機械族・チューナー・効果】
このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードは「シンクロン」と名のついたチューナーの代わりに
シンクロ素材とする事ができる。
このカードをシンクロ素材とする場合、「シンクロン」と名のついた
チューナーをシンクロ素材とするモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
攻撃力700 守備力1400


「さらに……手札から『金華描』を攻撃表示で召喚!」
 オレの場に、魂の様な半透明の体をした小型のネコが現れた。

「『金華描』の召喚に成功した時、墓地のレベル1モンスターを1体特殊召喚できる!蘇れ!『チューニング・サポーター』!」
 オレがそう言うと、『金華描』は墓地から『チューニング・サポーター』のカードを取り出し、デュエルディスクに置いた。


金華描
闇 レベル1
【獣族・スピリット・効果】
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、
自分の墓地に存在するレベル1のモンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上から離れた時、
この効果で特殊召喚したモンスターをゲームから除外する。
攻撃力400 守備力200


「『クイック・シンクロン』はシンクロ素材となる時、他の『シンクロン』の名を持つチューナーの名前として扱う事ができる!」
 そう言った後、オレは『ターボ・シンクロン』の名前を宣言した……!

「レベル1『チューニング・サポーター』に、レベル5『クイック・シンクロン』をチューニング!」
 オレがそう言うと、『クイック・シンクロン』が5本の光の輪に……『チューニング・サポーター』が1個の星へと姿を変え……











「集いし絆が……更なる力を紡ぎだす!光差す道となれ!シンクロ召喚!出でよ、『ターボ・ウォリアー』!」
 星が輪の中で閃光へと姿を変え、その中から、赤いスポーツカーから人型へとトランスフォームしたかの様な容姿のシンクロモンスター……『ターボ・ウォリアー』が現れた!

「『ターボ・ウォリアー』のシンクロ素材となった『チューニング・サポーター』の効果発動!カードを1枚ドローする!」
 そう言いながらオレは、カードを1枚ドローした。
 

チューニング・サポーター
光 レベル1
【機械族・効果】
このカードをシンクロ召喚に使用する場合、
このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され
墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
攻撃力100 守備力300


「たった2枚……いや、『金華描』はエンドフェイズに手札に戻るから、たった1枚の手札消費で攻撃力2500のモンスターを呼び出した……。ふ…ふふ……やるねえ、遊星くん……。」
 近藤は、オレが『ターボ・ウォリアー』を少ない動きでシンクロ召喚した事に、少し賞賛していたか……。

「バトルだ!『ターボ・ウォリアー』で、『魔轟神ヴァルキュルス』に攻撃!アクセル・スラッシュ!」
「……?攻撃力2500で、攻撃力3900の『魔轟神ヴァルキュルス』に攻撃……?何を考えているんだい……?」
 近藤は、オレの発言に疑問の念を抱いているみたいだ……。
 だが、『ターボ・ウォリアー』には効果がある……!

「『ターボ・ウォリアー』が、レベル6以上のシンクロモンスターに攻撃する時、攻撃対象の攻撃力を半分にする!ハイレート・パワー!」
「……つまり、『魔轟神ヴァルキュルス』の攻撃力は、1950にまでダウンする……と言う訳だね……。」
 『ターボ・ウォリアー』が、攻撃する手から光を放つと……『魔轟神ヴァルキュルス』の攻撃力を半減させ、その体を『アームズ・エイド』ごと打ち砕いた!


ターボ・ウォリアー
風 レベル6
【戦士族・シンクロ・効果】
「ターボ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがレベル6以上のシンクロモンスターに攻撃する場合、
攻撃対象モンスターの攻撃力を半分にする。
このカードはレベル6以下の効果モンスターの効果の対象にならない。
攻撃力2500 守備力1500


魔轟神ヴァルキュルス 攻撃力3900→1950

「くぅぅっ……」(近藤LP 4000→3450)
 近藤は、『ターボ・ウォリアー』の攻撃によって発生した衝撃に、少し仰け反った……。

「『金華描』で、ダイレクトアタック!」
「つぅっ……」(近藤LP 3450→3050)
 さらに『金華描』に追い撃ちのごとく手を噛み付かれて小さな声を上げたが……

「ふ…ふふ……。可愛いねえ、ネコちゃんは……。」
 ……近藤は、『金華描』からのダイレクトアタックを楽しんでいるみたいだった……。……不気味だな。

「……カードを2枚場に伏せ、ターンエンドだ。エンドフェイズ時に『金華描』は手札に戻る。」
 『金華描』は、ニャーと鳴き声を上げながら、オレの手札に戻って行った……。


現在の状況
遊星 LP…4000
   手札…3枚(内1枚金華描)
   場…ターボ・ウォリアー(攻撃力2500・攻撃表示)
     伏せカード2枚

近藤 LP…3050
   手札…3枚
   場…生還の宝札(表側表示)



「ふ…ふふ……。面白いねぇ……遊星くん……。」
 攻撃力3900のモンスターを失ったにも関わらず、近藤は笑っていた……。

「……何が言いたい?」
「いや……ねぇ……。君に勝てば、龍亞きゅんが私の物になると思うと……ふふ…ふふふふ……興奮して、夜も寝られなくなりそうだよ……。」
 近藤は、右手の甲で口元を軽く撫でながら言った……。正直、不気味だな……。

「……私のターン、ドロー……。墓地の『魔轟神クシャノ』の効果を発動しよう……。手札の『魔轟神ルリー』を墓地に捨て、墓地の『魔轟神クシャノ』を手札に加える……。」
 近藤は、また『魔轟神ルリー』を捨てた……。『魔轟神ルリー』は蘇るか……。

「『魔轟神ルリー』は、手札から捨てられた時、墓地から特殊召喚される……。守備表示で特殊召喚して、『生還の宝札』の効果で1枚ドロー……。」
 近藤は、当然の様に蘇生・ドローを行った……。

「墓地の『魔轟神ソルキウス』の効果を発動するよ……。手札の『サイクロン』と『魔轟神クシャノ』を捨て、特殊召喚……!『生還の宝札』によって、1枚ドロー……。」
 
 奴が捨てた『サイクロン』……オレが今すぐにでも欲しい位だ……。


「手札から『魔轟神ミーズトージ』を捨て、効果を発動しよう……。私の場の『魔轟神ソルキウス』をチューナーに変化させるよ……。」
 そう言うと、近藤の手札から現れた老人の様な悪魔が『魔轟神ソルキウス』に取り付き……『魔轟神ソルキウス』は、チューナーの称号を得た!


魔轟神ミーズトージ
光 レベル2
【悪魔族・効果】
このカードを手札から墓地へ送り、自分フィールド上に表側表示で存在する
「魔轟神」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターはフィールド上に表側表示で存在する限りチューナーとして扱う。
攻撃力400 守備力200


「チューナーだと?またシンクロ召喚をするのか?」
「する……けど、それはメインフェイズ2のお楽しみだよ……遊星くん。手札から、『魔轟神ウルストス』を召喚……。」
 近藤の場に、黒いローブをまとい背中に骨のフレームをした黒翼を持った、生前は女性だったかの様に見える骸骨のモンスターが現れた。

「『魔轟神ウルストス』は、私の手札が2枚以下の時、場の魔轟神すべての攻撃力を400ポイントアップさせる……。」
 そう言いながら、近藤は2枚の手札を裏向きのまま突きつける様に見せるとと、『魔轟神ウルストス』は両手を合わせて祈り始め……自身を含む仲間の攻撃力を底上げした!


魔轟神ウルストス
光 レベル4
【悪魔族・効果】
自分の手札が2枚以下の場合、
自分フィールド上に表側表示で存在する
「魔轟神」と名のついたモンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
攻撃力1500 守備力200


魔轟神ウルストス 攻撃力1500→1900
魔轟神ソルキウス 攻撃力2200→2600
魔轟神ルリー 攻撃力200→600

「なるほど……。メインフェイズ1に『魔轟神ミーズトージ』の効果を発動したのは、それが狙いだったからか!」
「そうだよ……!バトルフェイズに入る……。『魔轟神ソルキウス』で、『ターボ・ウォリアー』に攻撃!」
 『魔轟神ソルキウス』は、まるで武闘家の様に跳び上がり、オレの『ターボ・ウォリアー』に向かって跳び蹴りを放ったが……その蹴りは、地面から生えてきたかかしによって防がれた!

「『魔轟神ソルキウス』の攻撃を防がれた……?まさか……」
「そのまさかだ。罠カード発動!『くず鉄のかかし』!この効果により『魔轟神ソルキウス』の攻撃は無効となり、『くず鉄のかかし』は再びセットされる!」
 オレは、そう軽く答えた。


くず鉄のかかし
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。


「残念……。でも……面白いねえ、遊星くん……。メインフェイズ2に入るよ……。『魔轟神ソルキウス』に『魔轟神ウルストス』をチューニング……!」
「何!……レベル10のシンクロモンスターだと!」
 近藤は、自分の場の『魔轟神ウルストス』と『魔轟神ソルキウス』を墓地に送りながら、そう言った……!
 オレのエクストラデッキに入っているあのカード以外にも、レベル10のシンクロモンスターがいたか……!

「光を抱きし悪魔は……現世と冥界を支配する……。下部達よ……私の下へ……!シンクロ召喚!出でよ……『魔轟神レヴュアタン』!!」
 近藤の言葉に呼応し、場にサングラスみたいな物をかけた赤毛の王が、玉座に座ったまま姿を現した!

「『魔轟神レヴュアタン』は守備表示……。今の手札をすべて墓地に送れば、『魔轟神ソルキウス』を蘇生できるけど……ここは止めておくよ。カードを2枚場に伏せ、ターンエンド……。」


現在の状況
近藤 LP…3050
   手札…0枚
   場…魔轟神レヴュアタン(守備力2000・守備表示)
     魔轟神ルリー(守備力400・守備表示)
     生還の宝札(表側表示)
     伏せカード2枚

遊星 LP…4000
   手札…3枚(内1枚金華描)
   場…ターボ・ウォリアー(攻撃力2500・攻撃表示)
     マッシブ・ウォリアー(攻撃力600・攻撃表示)
     伏せカード2枚(内1枚くず鉄のかかし)


「オレのターン、ドロー。……永続罠発動!『リミット・リバース』!この効果により……蘇れ!『クイック・シンクロン』!」
 オレが伏せカードを表にすると……墓地から『クイック・シンクロン』が蘇った!


リミット・リバース
永続罠
自分の墓地から攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、
攻撃表示で特殊召喚する。
そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


「さらに……手札から『金華描』を攻撃表示で召喚!」
 オレの場に、再び魂の様な半透明の体をした小型のネコが現れた。

「『金華描』の召喚に成功した時、墓地のレベル1モンスターを1体特殊召喚できる!蘇れ!『チューニング・サポーター』!」
 オレが、前のターンを再現するかの様にそう言うと、『金華描』は墓地から『チューニング・サポーター』のカードを取り出し、デュエルディスクに置いた。

「さらに……手札の『ワンショット・ブースター』を特殊召喚!」
 オレの場に、2本のブースターが装着された小さな機械が召喚された。
 それによって、今のオレの状況はこんな感じだ。


オレ LP…4000
   手札…2枚
   場…ターボ・ウォリアー(レベル6・攻撃力2500・攻撃表示)
     クイック・シンクロン(チューナー・レベル5・攻撃力700・攻撃表示)
     チューニング・サポーター(レベル1・攻撃力100・攻撃表示)
     金華描(レベル1・攻撃力400・攻撃表示)
     ワンショット・ブースター(レベル1・攻撃力0・攻撃表示)
     リミット・リバース(クイック・シンクロン対象)
     伏せカード1枚(くず鉄のかかし)


「『チューニング・サポーター』は、シンクロ素材とする時、レベル2として扱う事ができる!レベル2として扱う『チューニング・サポーター』と、レベル1『ワンショット・ブースター』に、レベル5『クイック・シンクロン』をチューニング!」
 オレがそう言うと、『クイック・シンクロン』が5本の光の輪に……『チューニング・サポーター』が2個の星へ、『ワンショット・ブースター』が1個の星へと姿を変え……3個の星が、5本の輪をくぐり……











「集いし希望が……新たな地平へいざなう!光差す道となれ!シンクロ召喚!駆け抜けろ、『ロード・ウォリアー』!!」
 ……オレの場に現れたモンスターは、支配者(ロード)の風格を漂わせた、レベル8のシンクロモンスターだ……!

「シンクロ素材となった『チューニング・サポーター』の効果で、カードを1枚ドロー!さらに『ロード・ウォリアー』の効果発動!デッキからレベル2以下の戦士族か機械族モンスターを1体特殊召喚する!出でよ!『ニトロ・シンクロン』!」
 オレがカードを1枚ドローした直後に、『ロード・ウォリアー』がオレのデッキのモンスターに対して勅命を行うと……デッキから『ニトロ・シンクロン』が1体召集された!


ロード・ウォリアー
地 レベル8
【戦士族・シンクロ・効果】
「ロード・シンクロン」+チューナー以外のモンスター2体以上
1ターンに1度、自分のデッキからレベル2以下の
戦士族または機械族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
攻撃力3000 守備力1500


「さらに……手札の『レベル・スティーラー』を捨て、魔法カード発動!『ワン・フォー・ワン』!!デッキから『チューニング・サポーター』を守備表示で特殊召喚!」
「『ワン・フォー・ワン』……いいカードだ。いや、『良すぎる』と言った方が妥当かな、遊星くん……。」
 近藤は、オレの発動させた『ワン・フォー・ワン』に対して、皮肉めいた口調で話した。


ワン・フォー・ワン
通常魔法
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。
手札またはデッキからレベル1モンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する。


 それによって、今のオレの状況はこんな感じだ。


オレ LP…4000
   手札…1枚
   場…ターボ・ウォリアー(レベル6・攻撃力2500・攻撃表示)
     ロード・ウォリアー(レベル8・攻撃力3000・攻撃表示)
     ニトロ・シンクロン(チューナー・レベル2・攻撃力300・攻撃表示)
     チューニング・サポーター(レベル1・守備力300・守備表示)
     金華描(レベル1・攻撃力400・攻撃表示)
     リミット・リバース(表側表示)
     伏せカード1枚(くず鉄のかかし)


「レベル2として扱う『チューニング・サポーター』に、レベル2『ニトロ・シンクロン』をチューニング!シンクロ召喚!出でよ!『アームズ・エイド』!」
 オレがそう言うと……オレの場にも、近藤が1度呼び出した鋼鉄の手甲が現れた!

「『チューニング・サポーター』の効果でカードを1枚ドロー!墓地の『レベル・スティーラー』の効果発動!オレの場の『ロード・ウォリアー』のレベルを1つ下げ、墓地から特殊召喚!」
 オレの墓地の『レベル・スティーラー』は、『ロード・ウォリアー』から出てきた星1つを自分の餌にし、墓地から蘇った!


レベル・スティーラー
闇 レベル1
【昆虫族・効果】
このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
レベル5以上のモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
攻撃力600 守備力0

ロード・ウォリアー レベル8→7

「まだだ!カードを1枚場に伏せ……永続魔法発動!『弱者の意地』!」
 オレは、手札を0枚にしつつ、『弱者の意地』を発動させた。

「『ロード・ウォリアー』に『アームズ・エイド』を装備させる!これにより、『ロード・ウォリアー』の攻撃力は1000ポイントアップする!」
 『ロード・ウォリアー』は、右手に『アームズ・エイド』を装着し、攻撃力を大きく高めた……!
 つまり、オレの今の状況は……


オレ LP…4000
   手札…0枚
   場…ターボ・ウォリアー(レベル6・攻撃力2500・攻撃表示)
     ロード・ウォリアー(レベル7・攻撃力4000・攻撃表示)
     金華描(レベル1・攻撃力400・攻撃表示)
     レベル・スティーラー(レベル1・攻撃力600・攻撃表示)
     弱者の意地(表側表示)
     アームズ・エイド(ロード・ウォリアーに装備)
     リミット・リバース(表側表示)
     伏せカード2枚(内1枚くず鉄のかかし)


「バトルフェイズに入る!『レベル・スティーラー』で『魔轟神ルリー』に攻撃!」
 『レベル・スティーラー』は、『魔轟神ルリー』に跳びかかり、星を食らって破壊した!

「オレの手札が0枚の時に、レベル2以下のモンスターが相手モンスターを戦闘破壊した事により、『弱者の意地』の効果発動!カードを2枚ドロー!」
 そう言いながらオレは、カードを2枚ドローした。


弱者の意地
永続魔法
自分の手札が0枚の場合、自分フィールド上に存在する
レベル2以下のモンスターが戦闘によって
相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
自分のデッキからカードを2枚ドローする。


「『ロード・ウォリアー』で『魔轟神レヴュアタン』に攻撃!パワーギア・クロー!」
 『ロード・ウォリアー』は、装着された『アームズ・エイド』によって、『魔轟神レヴュアタン』を一瞬で引き裂いた!

「『ロード・ウォリアー』に装備された『アームズ・エイド』の効果発動!戦闘によって破壊したモンスターの攻撃力分のダメージ……つまり、3000ポイントのダメージを与える!」
「あぁうっ……。」(近藤LP 3050→50)
 近藤は、『アームズ・エイド』を装備した『ロード・ウォリアー』の攻撃によって発生した衝撃をまともに食らって致命的なほどにライフを消費し、地面に倒れこんだ。
 だが、奴は……

「ふふふ……いいねえ……。やんちゃな男の子は好きだよ……遊星くん……。」
 ……舌で唇をなめ、両目を爛々と輝かせて、まるで餌を見つけた犬の様にオレの方を見た……。
 ……不気味だな。龍可を置いていったのは正解だったな……。











「そして……地獄は始まる……。」
 だが……倒れこんだ近藤が、不敵にそう呟いた……。
 すると……『魔轟神レヴュアタン』の体の中から、3個の光の玉が出現した!

「何だ……いったい何が起こっている?」
「場の『魔轟神レヴュアタン』が破壊され墓地に送られた時……墓地の『魔轟神』と名のついたモンスターを3体まで手札に戻す事ができるんだよ……。私が戻すカードは『魔轟神グリムロ』、『魔轟神ルリー』、『魔轟神クルス』の3体だ……。」
「何……だと……!?」
 近藤は、墓地から3枚のカードをオレに見せつけながら、手札に加えた……!
 奴の手札には、サーチ効果を持つ『魔轟神グリムロ』に、捨てる事で蘇生効果が発動する『魔轟神ルリー』『魔轟神クルス』が加わった……!次のターン、どれほどの地獄が始まるんだ……!?


魔轟神レヴュアタン
光 レベル10
【悪魔族・シンクロ・効果】
「魔轟神」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地に存在する「魔轟神」と名のついた
モンスターを3体まで選択して発動する事ができる。
選択したモンスターを手札に加える。
攻撃力3000 守備力2000


「だが……まだ『ターボ・ウォリアー』の攻撃が残っている!『ターボ・ウォリアー』でダイレクトアタック!アクセル・スラッシュ!!」
 『ターボ・ウォリアー』は、近藤にトドメを刺そうと突撃を行ったが……近藤は、不敵な笑みを浮かべていた……!

「伏せ罠カード……『ロスト・スター・ディセント』を発動するよ……。墓地から『魔轟神レヴュアタン』を、守備力0で効果を無効にして、守備表示で特殊召喚……!」
 近藤と『ターボ・ウォリアー』の間に、破壊されたはずの『魔轟神レヴュアタン』が、息を切らして弱り切った状態で蘇った……。


ロスト・スター・ディセント
通常罠
自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択し、
自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、
レベルは1つ下がり守備力は0になる。
また、表示形式を変更する事はできない。


「『ロスト・スター・ディセント』で特殊召喚された『魔轟神レヴュアタン』の守備力は0……。攻撃するかい……?」
 近藤は、オレを挑発する様に話した。
 『魔轟神レヴュアタン』の効果は、墓地で発動する効果……『ロスト・スター・ディセント』で無効になる事は無い……。……だが!

「……攻撃続行だ!『ターボ・ウォリアー』!」
 ……いくら手札を稼がれようとも……このターンで決めれば関係無い!
 『ターボ・ウォリアー』は、オレの攻撃宣言と共に『魔導神レヴュアタン』に殴り掛かり、一瞬で破壊した……。

「『魔轟神レヴュアタン』の効果……墓地から『魔轟神ミーズトージ』、『魔轟神ウルストス』、『魔轟神ルリー』を手札に戻す……!」
 近藤は、また墓地から3枚のカードをオレに見せつけながら、手札に加えた……!
 0枚だった手札が一瞬で6枚に……あり得ない!

「だが……これで終わりだ!『金華描』で、ダイレクトアタック!」
 『金華描』は、近藤にトドメを刺そうと走って行ったが……

「手札から『魔轟神ルリー』を捨てて……伏せ罠カード『サンダー・ブレイク』を発動するよ……。この効果で『ロード・ウォリアー』を破壊する……!」
 近藤が1枚の罠カードを発動させると……『ターボ・ウォリアー』は、無抵抗な王『魔轟神レヴュアタン』を破壊した事への天罰の様に雷撃を浴び……一瞬で破壊された……!
 だが……奴はより攻撃力の高い『ロード・ウォリアー』を破壊しなかった……。何が目的だ……?


サンダー・ブレイク
通常罠
手札を1枚捨て、フィールド上に存在するカード1枚を選択して発動する。
選択したカードを破壊する。


「『魔轟神ルリー』を捨てたか。……墓地から特殊召喚だな。」
「そうだよ……。捨てられた『魔轟神ルリー』を、墓地から守備表示で特殊召喚……。『生還の宝札』で1枚ドロー……。」
 『魔轟神ルリー』は、近藤を守るかの様に墓地から蘇り、近藤はカードを1枚ドローした……。

「……『魔轟神ルリー』の守備力は400……『金華描』の攻撃力に匹敵するか……。これでオレは、ターンエンドだ。エンドフェイズ時に『金華描』は手札に戻る。」
 『金華描』は、前のターンを再現するかの様に、ニャーと鳴き声を上げながら、オレの手札に戻って行った……。


現在の状況
遊星 LP…4000
   手札…3枚(内1枚金華描)
   場…ロード・ウォリアー(攻撃力4000・攻撃表示)
     レベル・スティーラー(攻撃力600・攻撃表示)
     弱者の意地(表側表示)
     アームズ・エイド(ロード・ウォリアーに装備)
     リミット・リバース(表側表示)
     伏せカード2枚(内1枚くず鉄のかかし)

近藤 LP…50
   手札…6枚(内5枚魔轟神グリムロ、魔轟神ルリー、魔轟神クルス、魔轟神ミーズトージ、魔轟神ウルストス)
   場…魔轟神ルリー(守備力400・守備表示)
     生還の宝札(表側表示)


「……失望したよ……遊星くん。」
 近藤は、落胆した表情でそう呟いた……。

「……何が言いたい?」
 オレは、近藤の一言を、少し理解できなかった……。

「いや……ねえ、君は勝利を焦って、私の『魔轟神レヴュアタン』を2回も破壊してしまった……。その上君は、私を倒す事ができなかった……。そんな程度の脆弱なな力じゃ、君には誰一人救う事はできない……。」
「……黙れ。」
 救う事はできない……?いや、オレは救わなければならない!龍亞も……もちろん、治安維持局に囚われたラリー達も……!

「証明してあげるよ……君の無力さを……!」
 そう言いながら近藤は、自分のターンを開始した……。




第9話 究極のワンサイドゲーム(視点・遊星)

「私のターン、ドロー……。」
 ドローしたカードを確認した近藤は、突然顔をにやけさせた……。
 手札は7枚もある上、オレの場のモンスターはたったの2体……当然か……。

「私の場に『魔轟神ルリー』がいるから、手札の『魔轟神グリムロ』の効果を発動するよ……。手札の『魔轟神グリムロ』を墓地に送り、デッキから『魔轟神クルス』を手札に加える……。」
 『魔轟神グリムロ』は、自身を墓地に送る代わりに、デッキ内の『魔轟神クルス』を1体近藤に与えた……。

「墓地の『魔轟神クシャノ』の効果を発動するよ……。手札の『魔轟神クルス』を捨てて、墓地から『魔轟神クシャノ』を手札に戻す……。」
 近藤は、また『魔轟神クルス』と『魔轟神クシャノ』をバトンタッチさせる様に入れ替えた……。

「捨てられた『魔轟神クルス』の効果を発動するよ……。墓地から、チューナーモンスター『魔轟神レイブン』を特殊召喚……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 つまり、1ターン目の行動を再現するかの様に、墓地の『魔轟神レイブン』を蘇らせカードを1枚ドローした……。しかも、奴の手札は8枚に増えた……!?

「『魔轟神レイブン』の効果を発動するよ……。手札から『魔轟神クルス』、『魔轟神ウルストス』、『魔轟神オルトロ』、『ゾンビキャリア』を墓地に送り、『魔轟神レイブン』のレベルを4、攻撃力を1600ポイントアップさせる……!」
「何だと……!」
 近藤は、豪快に手札を4枚捨て、『魔轟神レイブン』のレベルと攻撃力を大きく高めた……!
 だが……それすら自然に見えてしまうのは、奴の手札が異常な枚数と言う事の証だ……!


魔轟神レイブン
光 レベル2
【悪魔族・チューナー・効果】
自分の手札を任意の枚数捨てて、その枚数分このカードの
レベルをエンドフェイズ時まで上げる事ができる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
この効果によって捨てた手札の枚数×400ポイントアップする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
攻撃力1300 守備力1000


魔轟神レイブン レベル2→6
        攻撃力1300→2900

「捨てられた『魔轟神クルス』の効果を発動するよ……。墓地から『魔轟神ウルストス』を特殊召喚……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 しかも、奴はまた捨て蘇生でカードを1枚ドローした……。
 今の奴の状況は……


近藤 LP…50
   手札…5枚(内2枚魔轟神ルリー、魔轟神ミーズトージ)
   場…魔轟神レイブン(チューナー・レベル6・攻撃力2900・攻撃表示)
     魔轟神ルリー(レベル1・守備力400・守備表示)
     魔轟神ウルストス(レベル4・攻撃力1500・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)



「レベル4『魔轟神ウルストス』に、レベル6『魔轟神レイブン』をチューニング……!」
 近藤がそう言うと、『魔轟神レイブン』が6本の光の輪に……『魔轟神ウルストス』が4個の星に姿を変えた……!
 奴は……この状況を作り出したあのシンクロモンスターを呼び出すのか!?











「光を抱きし悪魔は……現世と冥界を支配する……。下部達よ……私の下へ……!シンクロ召喚!出でよ……『魔轟神レヴュアタン』!!」
 近藤の言葉に呼応し、場にサングラスみたいな物をかけた赤毛の王の2体目が、玉座に座ったまま姿を現した!

「手札の『魔轟神ルリー』を捨て……手札から、魔法カード『死者転生』を発動するよ……。墓地から『魔轟神クルス』を手札に戻す……。」
 近藤は、手札の『魔轟神ルリー』と墓地の『魔轟神クルス』を軽く入れ替えた……。


死者転生
通常魔法
手札を1枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。


 当然、捨てられた『魔轟神ルリー』は……

「捨てられた『魔轟神ルリー』は、墓地から特殊召喚される……。『生還の宝札』の効果でカードを1枚ドロー……。」
 ……墓地から蘇り、近藤の場と手札を満たした……。

「墓地の『魔轟神ソルキウス』の効果を発動するよ……。手札の『黄泉ガエル』、『おろかな埋葬』を墓地に送り、墓地から特殊召喚……。『生還の宝札』の効果で、カードを1枚ドロー……。」
 近藤は、さらに手札を2枚コストに、墓地から『魔轟神ソルキウス』を蘇らせた……!奴の手札はまだ4枚……!

「さらに……手札の『魔轟神ミーズトージ』を捨てて、効果を発動するよ……。『魔轟神ソルキウス』をチューナーに変化させる……!」
 『魔轟神ミーズトージ』は、近藤の場の『魔轟神ソルキウス』に取り付き、チューナーへと変化させた……!
 今の奴の状況は……


近藤 LP…50
   手札…3枚(内1枚魔轟神クルス)
   場…魔轟神レヴュアタン(レベル10・攻撃力3000・攻撃表示)
     魔轟神ソルキウス(チューナー・レベル6・攻撃力2200・攻撃表示)
     魔轟神ルリー(レベル1・守備力400・守備表示)×2
     生還の宝札(表側表示)


「レベル1『魔轟神ルリー』2体に、レベル6『魔轟神ソルキウス』をチューニング……!光を抱きし悪魔は……私に大いなる恵みをもたらす……。混沌に渦巻きし力を見よ……!シンクロ召喚!出でよ……『魔轟神ヴァルキュルス』!!」
 近藤がそう言うと、2体の『魔轟神ルリー』がそれぞれ1個の星に姿を変え……2体目の『魔轟神ヴァルキュルス』を呼び出した!

「さて……そろそろ通常召喚しようかな……。」
 そう言いながら近藤は、手札のカードに手を掛けた……。そう言えば、まだ奴は通常召喚をしていない……!何を出す……?

「手札を1枚伏せ……手札から『魔轟神トピー』を召喚するよ……!」
 近藤の手札から、目の部分を隠す仮面をつけ、手にラジコンのコントローラーみたいな物を持った、少女型のモンスターが現れた……。

「『魔轟神トピー』は、自分の手札が相手より2枚以上少ない時、自身をリリースし、手札の『魔轟神』と名のつくモンスター1体を見せて、ようやく効果が発動できるんだよ……!その効果は、相手の場の魔法・罠カードを2枚まで選択し、それを破壊する……!」
「何だと……!」
 近藤が、残り1枚の手札……『魔轟神クルス』をオレに見せ付けると……『魔轟神トピー』は持っていたコントローラーを操作し……そのまま突撃を繰り出し、オレの『くず鉄のかかし』と『リミッター・ブレイク』を打ち砕いた……!


魔轟神トピー
光 レベル1
【悪魔族・効果】
自分の手札が相手の手札より2枚以上少ない場合、
手札の「魔轟神」と名のついたモンスター1体を相手に見せ、
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードをリリースして発動する。
相手フィールド上に存在する魔法・罠カード2枚を破壊する。
攻撃力500 守備力200


「だが……破壊された1枚は『リミッター・ブレイク』だ!『リミッター・ブレイク』が墓地へ送られた時、手札・デッキ・墓地から『スピード・ウォリアー』1体を特殊召喚する!来い!『スピード・ウォリアー』!」
 近藤の『魔轟神トピー』によって破壊された『リミッター・ブレイク』は、墓地に送られた瞬間に激しい光を放ち……オレのデッキから『スピード・ウォリアー』を守備表示で呼び出した!


リミッター・ブレイク
通常罠
このカードが墓地へ送られた時、
自分の手札・デッキ・墓地から「スピード・ウォリアー」1体を特殊召喚する。


「……まあいいかな……。墓地の『魔轟神クシャノ』の効果を発動するよ……。手札の『魔轟神クルス』を捨て、『魔轟神クシャノ』を手札に加える……。」
 『魔轟神クルス』と『魔轟神クシャノ』は、バトンタッチをする様に手札と墓地の間を入れ替わった……!つまり……

「『魔轟神クルス』が墓地に捨てられた事で、墓地の『魔轟神トピー』を特殊召喚する……。ここは『生還の宝札』の効果は使わないでおこうかな……。」
 『魔轟神クルス』は、墓地に捨てられた際に、墓地に眠る味方を代わりに蘇らせた……!
 もう1度『魔轟神トピー』の効果を発動させるために、『生還の宝札』のドローは自粛したか……!

「手札の『魔轟神クシャノ』を見せ、『魔轟神トピー』をリリースして、効果を発動するよ……。次は……『アームズ・エイド』と『弱者の意地』を破壊するよ……!」
 近藤が、残り1枚の手札……『魔轟神クルス』をオレに見せ付けると……『魔轟神トピー』は持っていたコントローラーを操作し……そのまま突撃を繰り出し、オレの『ロード・ウォリアー』に装備された『アームズ・エイド』を破壊し、『弱者の意地』を打ち砕いた……!
 これでオレの魔法・罠カードは、特に意味をなさない『リミット・リバース』ただ1枚か……。

ロード・ウォリアー 攻撃力4000→3000

「『弱者の意地』は、なかなか厄介なドローソースだからね……。すぐに消しておいたよ……。」
 近藤は、軽く笑みを浮かべながら話した……。

「『魔轟神ヴァルキュルス』の効果発動……。手札から『魔轟神クシャノ』を捨てて、カードを1枚ドロー……。」
 近藤は、手札に加えた『魔轟神クシャノ』を捨て、カードを1枚ドローした。
 今の状況は……


近藤 LP…50
   手札…1枚
   場…魔轟神ヴァルキュルス(レベル8・攻撃力2900・攻撃表示)
     魔轟神レヴュアタン(レベル10・攻撃力3000・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)
     伏せカード1枚

オレ LP…4000
   手札…3枚(内1枚金華描)
   場…ロード・ウォリアー(攻撃力3000・攻撃表示)
     レベル・スティーラー(攻撃力600・攻撃表示)
     スピード・ウォリアー(守備力400・守備表示)
     リミット・リバース(表側表示)


「稼いだ手札によってシンクロモンスターを展開した上、オレの魔法・罠カードを壊滅状態に持ち込むか……!」
 ――“普通です。”
 誰だ!

「ふふふ……言ったよね、遊星くん……。地獄が始まる……ってね。」
 近藤は、不敵な笑みを浮かべながら話した……。

「でも……これはまだ第一楽章だよ……!『魔轟神レヴュアタン』で、『ロード・ウォリアー』に攻撃……!」
 『魔轟神レヴュアタン』は、玉座に座ったまま右腕からエネルギー波を『ロード・ウォリアー』に向かって放った……!
 だが……オレの『ロード・ウォリアー』も攻撃をやり返し、互角の攻撃力でお互いに相打ちした……まさか!











「そうだよ……。戦闘で相打ちとなった『魔轟神レヴュアタン』の効果が発動するよ……!墓地から『魔轟神クルス』2体と『魔轟神ルリー』を手札に戻すよ……。」
「何……だと……!?」
 近藤はそう言いながら、墓地の3枚のモンスターを自分の手札に加えた……!
 『アームズ・エイド』を装備して攻撃力が4000になった『ロード・ウォリアー』をあえて生かしておいたのも……『魔轟神レイブン』で無駄なほどに手札を捨てたのも……この時のためか……!

「さらに……『魔轟神ヴァルキュルス』で『レベル・スティーラー』に攻撃……!」
 『レベル・スティーラー』は、『魔轟神ヴァルキュルス』の爪の一撃によって発生した衝撃をまともに受け、粉々に砕け散ってしまった……!

「ぐっ……!」(遊星LP 4000→1700)
 その結果、オレのライフが2300ポイントも削られた……。
 これで攻撃は終わりだが……奴の手札は4枚……!メインフェイズ2での展開も、十分可能だろう……。

「メインフェイズ2に入るよ……。墓地の『魔轟神クシャノ』の効果発動……。手札の『魔轟神クルス』を捨て、墓地の『魔轟神クシャノ』を手札に加える……。」
 メインフェイズ2に入った近藤は、当たり前の様に『魔轟神クシャノ』と『魔轟神クルス』を入れ替えた……!

「捨てられた『魔轟神クルス』の効果を発動するよ……。墓地から、レベル2のチューナーモンスター『魔轟神レイブン』を特殊召喚……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 近藤は、また当たり前の様に、墓地から『魔轟神レイブン』を蘇らせ、カードを1枚ドローした……。奴は『生還の宝札』1枚で何枚ドローする気だ……?











「…………。」
 ……近藤は、突然手の動きを止めた……。

「……どうした?」
「いや……ここでうまく回せば、名前を出すことすら恐ろしい、世界を3度滅ぼしたと唄われる究極殺戮兵器を呼べば勝てるんだけど、それはさすがに……ねえ。」
 近藤は、軽くそう言った……。奴の言うモンスターは、いったい何なんだ?

「そのモンスターは、ここは自重する事にするよ……。君の手札のカードも怖いしね……。『魔轟神レイブン』の効果を発動するよ……。手札の『魔轟神ルリー』を捨て、『魔轟神レイブン』のレベルを1、攻撃力を400ポイントアップさせる……!」
 『魔轟神レイブン』は、メインフェイス1を再現するかの様に手札を捨て、自らの力を高めた……!

「捨てられた『魔轟神ルリー』は、墓地から特殊召喚される……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 『魔轟神ルリー』は、お約束の様に墓地から蘇り、近藤はお約束の様にカードを1枚ドローした……!

魔轟神レイブン レベル2→3
        攻撃力1300→1700

「墓地の『魔轟神ソルキウス』の効果を発動するよ……。手札から『魔轟神クシャノ』、『大嵐』を墓地に送り、特殊召喚……!『生還の宝札』の効果で1枚ドロー……。」
 近藤が手札を墓地へと送ると、『魔轟神ソルキウス』はまた蘇生した……!何度蘇れば気が済む……?
 今の奴の状況は……


近藤 LP…50
   手札…4枚(内1枚魔轟神クルス)
   場…魔轟神ヴァルキュルス(レベル8・攻撃力2900・攻撃表示)
     魔轟神レイブン(レベル3・攻撃力1700・攻撃表示)
     魔轟神ソルキウス(レベル6・攻撃力2200・攻撃表示)
     魔轟神ルリー(レベル1・守備力400・守備表示)
     生還の宝札(表側表示)
     伏せカード1枚


「レベル6『魔轟神ソルキウス』、レベル1『魔轟神ルリー』に、レベル3『魔轟神レイブン』をチューニング……!光を抱きし悪魔は……現世と冥界を支配する……。下部達よ……私の下へ……!シンクロ召喚!出でよ……『魔轟神レヴュアタン』!!」
 近藤がそう言うと……3体目の『魔轟神レヴュアタン』がシンクロ召喚された!

「墓地の『魔轟神クシャノ』の効果発動……。手札の『魔轟神クルス』を捨て、墓地の『魔轟神クシャノ』を手札に加える……。」
 近藤は、メインフェイズ2開始時とまったく同じセリフと共に『魔轟神クシャノ』と『魔轟神クルス』を入れ替えた……!

「捨てられた『魔轟神クルス』の効果を発動するよ……。墓地から、レベル2のチューナーモンスター『魔轟神レイブン』を特殊召喚……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 さらに奴は、まったく同じセリフで墓地から『魔轟神レイブン』を蘇らせ、カードを1枚ドローした……。なんて長いんだ……奴のターンは……!

「墓地の『魔轟神ソルキウス』の効果を発動するよ……。手札から『魔轟神クシャノ』、『魔轟神ディフ』を墓地に送り、特殊召喚……!『生還の宝札』の効果で1枚ドロー……。」
 また『魔轟神ソルキウス』の蘇生か……。もう何度目だ……?
 今の奴の状況は……


近藤 LP…50
   手札…4枚
   場…魔轟神ヴァルキュルス(レベル8・攻撃力2900・攻撃表示)
     魔轟神レヴュアタン(レベル10・攻撃力3000・攻撃表示)
     魔轟神レイブン(チューナー・レベル2・攻撃力1300・攻撃表示)
     魔轟神ソルキウス(レベル6・攻撃力2200・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)
     伏せカード1枚


「レベル6『魔轟神ソルキウス』に、レベル2『魔轟神レイブン』をチューニング……!光を抱きし悪魔は……私に大いなる恵みをもたらす……。混沌に渦巻きし力を見よ……!シンクロ召喚!出でよ……『魔轟神ヴァルキュルス』!!」
 近藤の言葉と共に……また『魔轟神ヴァルキュルス』がシンクロ召喚された!
 1人の王と、それの両脇を補佐する2人の親衛隊……か。見た目の布陣としては、中々の物だな……。

「今シンクロ召喚した『魔轟神ヴァルキュルス』の効果発動……。手札の『魔轟神ルリー』を捨て、カードを1枚ドロー……。」
 近藤は、また『魔轟神ルリー』を捨て、カードを1枚ドローした……。
 あれは確か、3体目の『魔轟神ルリー』だったか……。

「捨てられた『魔轟神ルリー』は、墓地から特殊召喚される……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 『魔轟神ルリー』は当たり前の様に蘇り、さらに近藤はカードを1枚ドローした……。

「手札の『魔轟神ソルキウス』の効果を発動するよ……。手札の『魔法石の採掘』、『魔轟神アシェンヴェイル』を墓地に送り、墓地から特殊召喚……。『生還の宝札』で1枚ドロー……。」
 近藤は、また手札2枚をコストに、墓地から『魔轟神ソルキウス』を蘇らせた……。
 奴のターンが長すぎる……!『生還の宝札』がここまで危険なドローカードだったとは……!!
 “――普通です。”











 ……いや、オレのデッキにも、蘇生効果を持つカードが大量に入っている……。オレも『生還の宝札』を入れればよかったか……?

「カードを2枚場に伏せ、ターンエンド……。」
 長い長い近藤のターンを終え、ようやくオレのターンに移った……。


現在の状況
近藤 LP…50
   手札…2枚
   場…魔轟神ヴァルキュルス(攻撃力2900・攻撃表示)×2
     魔轟神レヴュアタン(攻撃力3000・攻撃表示)
     魔轟神ソルキウス(守備力2100・守備表示)
     魔轟神ルリー(守備力4000・守備表示)
     生還の宝札(表側表示)
     伏せカード3枚

遊星 LP…1700
   手札…3枚(内1枚金華描)
   場…スピード・ウォリアー(守備力400・守備表示)
     リミット・リバース(表側表示)




第10話 星屑の救世主(視点・遊星)

「……オレのターン、ドロー!」
 オレは、4枚の手札を確認し、このターンにすべき事を考えた……。

「手札から、魔法カード発動!『貪欲な壺』!墓地の『ロード・ウォリアー』、『ターボ・ウォリアー』、『アームズ・エイド』、『ニトロ・シンクロン』、『クイック・シンクロン』をデッキに戻し、カードを2枚ドロー!」
 オレは、3枚のカードをエクストラデッキに……2枚のカードをデッキに戻し……デッキから『手札抹殺』と『ハリケーン』をドローした……。

「…………!」
 2枚のカードを見た瞬間、オレの頭に1つの戦法が浮かんだ……!











「(デッキ……破壊……?)」
 そうオレは思ったが……

「(だが……それで勝てるのか……?奴のデッキの消費枚数は……)」
 冷静に考えれば、奴のデッキ枚数が相当少なくなければ、上手くいかないな……。
 奴の今のデッキ枚数は……





















近藤のデッキ消費枚数……
始めのドロー(5)
1ターン目……ドロー+おろかな埋葬+魔轟神グリムロ+生還の宝札で3枚ドロー+魔轟神ヴァルキュルスのドロー(1+1+1+3+1=7)
2ターン目……ドロー+生還の宝札で2枚ドロー(1+2=3)
返しのオレのターン……生還の宝札で1枚ドロー(1)
前のターン……ドロー+魔轟神グリムロ+生還の宝札で11枚ドロー+魔轟神ヴァルキュルスのドロー2回(1+1+11+2=15)
合計……5+7+3+1+15=31枚

 ……今思えば、身の毛がよだつ枚数だな……。『生還の宝札』1枚で17枚ドロー……あり得ないだろ……。
 ……とにかく……奴のデッキ枚数が下減の40枚だとしても……まだ勝てない……!
 だが……手札を入れ替えるためには、使うしか無い!

「……手札から……魔法カード発動!『ハリケーン』!」
 近藤の場の罠カードを無くせば……50のライフは削り取れる!

「なら……それにチェーンして、カウンター罠『魔宮の賄賂』を発動するよ……。この効果で『ハリケーン』は無効となり、君はカードを1枚ドローする……。」
「くっ……。」
 やはり……妨害用の罠は伏せられていたか……。だが、代わりにオレは1枚ドローできる……!

「さらに……カードを1枚場に伏せ、手札から、魔法カード発動!『手札抹殺』!オレとお前は手札をすべて捨て、捨てた枚数分カードをドローする!」
「なるほど……。手札抹殺コンボで、私のデッキをすべて無くそうとした訳だね……。」
 そう言いながら、オレは3枚の手札……『スキル・サクセサー』、『神剣−フェニックスブレード』、『金華描』を捨て……近藤は2枚の手札を捨て、オレは3枚、近藤は2枚カードをドローした……。


手札抹殺
通常魔法
お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから
捨てた枚数分のカードをドローする。


「さらに……手札から、魔法カード発動!『ダーク・バースト』!この効果で、墓地の攻撃力1500以下の闇属性モンスター……『金華描』を手札に戻す!」
 そう言うと、墓地から『金華描』が飛び出し、オレの手札に戻って行った……。

「そして、手札から『金華描』を召喚!」
 そして、手札の『金華描』をデュエルディスクに置くと……ニャーと言う声を出しながら、オレの場に小さなネコのモンスターが現れた!

「『金華描』の召喚に成功した時、墓地のレベル1モンスターを1体特殊召喚できる!蘇れ!『チューニング・サポーター』!」
 オレがそう言うと、『金華描』は墓地から『チューニング・サポーター』のカードを取り出し、デュエルディスクに置いた。

「手札の『スターダスト・シャオロン』を捨て、手札から『クイック・シンクロン』を特殊召喚!」
 オレは、手札1枚をコストに『クイック・シンクロン』をまた特殊召喚した。
 それによって、今のオレの状況はこんな感じだ。


オレ LP…1700
   手札…0枚
   場…クイック・シンクロン(チューナー・レベル5・攻撃力700・攻撃表示)
     チューニング・サポーター(レベル1・守備力300・守備表示)
     スピード・ウォリアー(レベル2・守備力400・守備表示)
     金華描(レベル1・攻撃力400・攻撃表示)
     伏せカード1枚


 これでオレの手札は0、まともに使えるカードは、『手札抹殺』を逃れるために伏せておいた1枚の魔法カードだけだが……

「レベル2『スピード・ウォリアー』、レベル1『チューニング・サポーター』に、レベル5『クイック・シンクロン』をチューニング!!」
 デュエルディスクに置かれた3枚のモンスターを墓地に送ると、『スピード・ウォリアー』と『チューニング・サポーター』が跳び上がり、その2体が、『クイック・シンクロン』から発生した5本の緑色の輪をくぐり……











「集いし希望が……新たな地平へいざなう!光差す道となれ!シンクロ召喚!駆け抜けろ、『ロード・ウォリアー』!!」
 チューナー以外のモンスター2体が、一筋の閃光へと姿を変えると……オレの場に、支配者(ロード)の風格を漂わせた、レベル8のシンクロモンスターが現れた……!

「シンクロ素材となった『チューニング・サポーター』の効果で、カードを1枚ドロー!さらに『ロード・ウォリアー』の効果発動!デッキからレベル2以下の戦士族か機械族モンスターを1体特殊召喚する!出でよ!『チューニング・サポーター』!」
 『ロード・ウォリアー』が、オレのデッキのモンスターに対して勅命を行うと……デッキから『チューニング・サポーター』が1体召集された!
 その間に、オレは『チューニング・サポーター』の効果によってドローしたカードを確認し……次の展開方法を考えた。

「『ロード・ウォリアー』……。前のターンは私の手札を満たしてくれて、感謝してもしきれないよ……遊星くん……。」
 近藤は、軽く微笑みながらそう言った……。
 確かに……前のターンは奴に手札を与えてしまったが……今は違う!

「何を勘違いしている……!まだオレのメインフェイズは終了していない!」
 そう言いながらオレは、1枚の伏せカードに手を掛けた……!











「……魔法カード発動!『シンクロキャンセル』!『ロード・ウォリアー』のシンクロを解除する!」
 オレが伏せておいた魔法カードを表にすると……『ロード・ウォリアー』の体が3個の星と5本の光の輪へと姿を変え……3個の星の内2個が『スピード・ウォリアー』に、残りの星が『チューニング・サポーター』に、そして5本の光の輪が『クイック・シンクロン』に……つまり、同調(シンクロ)前の姿へと戻った!


シンクロキャンセル
通常魔法
フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻す。
さらに、エクストラデッキに戻したこのモンスターのシンクロ召喚に使用した
モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、
この一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


 それによって、今のオレの状況はこんな感じだ。

オレ LP…1700
   手札…1枚
   場…クイック・シンクロン(チューナー・レベル5・攻撃力700・攻撃表示)
     チューニング・サポーター(レベル1・攻撃力100・攻撃表示)×2
     スピード・ウォリアー(レベル2・攻撃力900・攻撃表示)
     金華描(レベル1・攻撃力400・攻撃表示)
     リミット・リバース(表側表示)


「まさか……『チューニング・サポーター』2体と『ロード・シンクロン』をシンクロ素材に、さらなるドローと特殊召喚を……!?」
「そのまさかだ。レベル2として扱う『チューニング・サポーター』と、レベル1『チューニング・サポーター』に、レベル5『クイック・シンクロン』をチューニング!」
 オレがそう言うと……『チューニング・サポーター』2体が跳び上がり、『クイック・シンクロン』から発生した5本の緑色の輪をくぐり……

「集いし希望が……新たな地平へいざなう!光差す道となれ!シンクロ召喚!駆け抜けろ、『ロード・ウォリアー』!!」
 オレは、全く同じ事を言いながら『ロード・ウォリアー』をシンクロ召喚した。

「シンクロ素材となった『チューニング・サポーター』2体の効果で、カードを2枚ドロー!」
 オレは、まるで『強欲な壺』を発動させたかの様にカードを2枚ドローした。
 これでオレの手札は3枚……次はこのモンスターだ!

「手札から……魔法カード『二重召喚』を発動!これにより、オレはこのターン2度の通常召喚が可能となった!」


「2度目の通常召喚!出でよ!『デブリ・ドラゴン』!」
 オレの場に、星屑のきらめきを少しまとったドラゴンが現れた。

「『デブリ・ドラゴン』の効果発動!墓地から攻撃力500以下のモンスター1体を、効果を無効にして攻撃表示で特殊召喚する!蘇れ!『チューニング・サポーター』!」
 オレの場に現れた『デブリ・ドラゴン』の力により、墓地の『チューニング・サポーター』が蘇った!


デブリ・ドラゴン
風 レベル4
【ドラゴン族・効果】
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターは
レベル4以外のモンスターでなければならない。
攻撃力1000 守備力2000


 それによって、今のオレの状況はこんな感じだ。

オレ LP…1700
   手札…1枚
   場…ロード・ウォリアー(レベル8・攻撃力3000・攻撃表示)
     デブリ・ドラゴン(チューナー・レベル4・攻撃力1000・攻撃表示)
     チューニング・サポーター(レベル1・攻撃力100・攻撃表示)
     金華描(レベル1・攻撃力400・攻撃表示)
     スピード・ウォリアー(レベル2・守備力400・守備表示)
     リミット・リバース(表側表示)


 ……期は熟した!今こそ、友を救うため……このモンスターを使う!


「……すべてのカードを信じる、デュエリストの魂!その魂が、スターダストをオレの下へ呼び寄せた……!」
 オレに力を貸してくれ……『スターダスト・ドラゴン』……!

「効果が無効になったレベル1『チューニング・サポーター』、レベル1『金華描』、レベル2『スピード・ウォリアー』に、レベル4『デブリ・ドラゴン』をチューニング!」
 オレがそう言うと……『デブリ・ドラゴン』が4本の光の輪に……2体の『チューニング・サポーター』がそれぞれ2個の星に姿を変え……





















「集いし願いが……新たに輝く星となる!光り差す道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ、『スターダスト・ドラゴン』!!」
 4本の輪を4個の星がくぐり、一筋の閃光へと姿を変え……現れたのは、白銀色の翼を持ち、星のキラめきをまとった、1体のドラゴンだった……!

「『スターダスト・ドラゴン』……?何だい……?そのカードは……。」
 近藤は、オレの場に現れた『スターダスト・ドラゴン』を軽く指差しながら話した……。

「……『スターダスト・ドラゴン』……。龍亞を救うために現れた、救世の使者……と言った感じか……。」
 オレは軽くそう答え、その間にオレは、『チューニング・サポーター』の効果で、カードを1枚ドローした。

「それと……何だい……?『スターダスト・ドラゴン』の脇にいる、その小さなドラゴンは……。」
 近藤は、オレの場を指差しながらそう言った……。

「オレの場の小さなドラゴンは……『スターダスト・シャオロン』!『スターダスト・ドラゴン』の星のキラめきを受け、蘇るモンスターだ……。」


スターダスト・シャオロン
光 レベル1
【ドラゴン族・効果】
自分が「スターダスト・ドラゴン」のシンクロ召喚に成功した時、
自分の墓地に存在するこのカードを
自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
このカードは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。
攻撃力100 守備力100


「シンクロ召喚し直された『ロード・ウォリアー』の効果発動!これによって呼び出すモンスターは……レベル2の機械族チューナー『ニトロ・シンクロン』!」
 『ロード・ウォリアー』は、再びオレのデッキに手をかざし……デッキから、金属ボンベの様な形をしたモンスターが姿を現した!

「さらにオレは……墓地の『レベル・スティーラー』の効果発動!『ロード・ウォリアー』のレベルを1つ下げ、墓地から特殊召喚!」
 『レベル・スティーラー』は、前のオレのターンを再現するかの様に、『ロード・ウォリアー』から出る星を1個食べ、墓地から蘇った……!
 それによって、今のオレの状況はこんな感じだ。


オレ LP…1700
   手札…2枚
   場…ロード・ウォリアー(レベル7・攻撃力3000・攻撃表示)
     スターダスト・ドラゴン(レベル8・攻撃力2500・攻撃表示)
     ニトロ・シンクロン(チューナー・レベル2・攻撃力300・攻撃表示)
     スターダスト・シャオロン(レベル1・攻撃力0・攻撃表示)
     レベル・スティーラー(レベル1・攻撃力600・攻撃表示)
     リミット・リバース(表側表示)


「レベル1『スターダスト・シャオロン』、レベル1『レベル・スティーラー』に、レベル2『ニトロ・シンクロン』をチューニング!シンクロ召喚!出でよ!『アームズ・エイド』!」
 オレの場に、1ターン前を再現するかの様に、『アームズ・エイド』のシンクロ召喚をした……!
 
「1ターンでシンクロモンスターが場に3体……か。」
 “――普通です。”

「さらに……もう1度墓地の『レベル・スティーラー』の効果発動!『ロード・ウォリアー』のレベルを1つ下げ、守備表示で特殊召喚!」
 『レベル・スティーラー』は、また『ロード・ウォリアー』のレベルを食らい、墓地から蘇った。

「バトル!『ロード・ウォリアー』で、『魔轟神ヴァルキュルス』に攻撃!ライトニング・クロー!!」
 『ロード・ウォリアー』は、高速で大地を駆け、手刀によって攻撃しようとしたが……

「伏せ罠カード……『ヘイト・バスター』を発動……!戦闘を行うモンスター同士を破壊し、遊星くんは攻撃を行ったモンスターの攻撃力分のダメージを受ける……!」
 『魔轟神ヴァルキュルス』は、カウンターの突撃を繰り出し『ロード・ウォリアー』を返り討ちにしようとした……。
 だが、破壊効果は……オレの『スターダスト・ドラゴン』の効果によって無効化できる!

「『スターダスト・ドラゴン』の効果発動!ヴィクティム・サンクチュアリ!」
 『スターダスト・ドラゴン』は、星屑のキラめきと共に場から消え去り、『ヘイト・バスター』の効果を無効にした!


ヘイト・バスター
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する悪魔族モンスターが
攻撃対象に選択された時に発動する事ができる。
相手の攻撃モンスター1体と、攻撃対象となった自分モンスター1体を破壊し、
破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。


「『スターダスト・ドラゴン』は、自身をリリースする事で破壊を行う効果を無効にする!さらに、この方法で墓地に送られた『スターダスト・ドラゴン』は、エンドフェイズ時に復活する!」
 オレは、『スターダスト・ドラゴン』の効果を軽く語った……。


スターダスト・ドラゴン
風 レベル8
【ドラゴン族・シンクロ・効果】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ
魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。
この効果を適用したターンのエンドフェイズ時、
この効果を発動するためにリリースされ墓地に存在するこのカードを、
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


「この攻撃が通れば……オレの勝ちだ!」
 『ヘイト・バスター』の妨害をかわした『ロード・ウォリアー』は、そのまま『魔轟神ヴァルキュルス』に向かって殴りかかろうとしたが……

「速攻魔法……『神秘の中華なべ』を発動……!『魔轟神ヴァルキュルス』をリリースして、その攻撃力分……つまり、2900ポイント回復するよ……!」
 そう言うと、攻撃対象になっていた『魔轟神ヴァルキュルス』の体が、光の粒子となって消え去り……近藤のライフを大きく回復させた!


神秘の中華なべ
速攻魔法
自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。
リリースしたモンスターの攻撃力または守備力を選択し、
その数値分だけ自分のライフポイントを回復する。


近藤LP 50→2950

「だが……もう1体の『魔轟神ヴァルキュルス』へ攻撃対象を変更する!」
 『ロード・ウォリアー』は、勢いそのままに2体目の『魔轟神ヴァルキュルス』に向かって殴りかかった!

「ぅうっ……。」(近藤LP 2950→2850)
 近藤は、小さくそう呟いた……。

「『アームズ・エイド』で『魔轟神ルリー』に攻撃!」
 『アームズ・エイド』は、自慢の引っ掻きで『魔轟神ルリー』を軽く破壊した……。

「……メインフェイズ2に入る。カードを1枚場に伏せ、『アームズ・エイド』を『ロード・ウォリアー』に装備!」
 『アームズ・エイド』は、前のターンを再現するかの様に『ロード・ウォリアー』に装着された!

ロード・ウォリアー 攻撃力3000→4000

「エンドフェイズに、『スターダスト・ドラゴン』は蘇る!」
 オレの墓地から、星屑のきらめきによって破壊効果を無効にした『スターダスト・ドラゴン』が舞い戻ってきた。

「これでターンエンドだ。」


現在の状況
遊星 LP…1700
   手札…1枚
   場…ロード・ウォリアー(攻撃力4000・攻撃表示)
     スターダスト・ドラゴン(攻撃力2500・攻撃表示)
     レベル・スティーラー(守備力0・守備表示)
     アームズ・エイド(ロード・ウォリアーに装備)
     リミット・リバース(表側表示)
     伏せカード1枚

近藤 LP…2850
   手札…2枚
   場…魔轟神レヴュアタン(攻撃力3000・攻撃表示)
     魔轟神ソルキウス(守備力2100・守備表示)
     生還の宝札(表側表示)


「私のターン……ドロー……。」
 近藤は、カードを1枚ドローした……。奴のデッキ消費枚数は34枚……。そろそろドローは自重し……

「手札から……魔法カード『貪欲な壺』を発動するよ……。墓地から『魔轟神クルス』2体、『魔轟神ルリー』を3体デッキに戻して、カードを2枚ドロー……。」
 ……てくれそうにないか。奴の残りデッキはたぶん10枚ほどで、手札は4枚……!

「遊星くん……。君のエースがドラゴンなら、私もドラゴンを使おうかな……?」
 そう言いながら奴は、1体のモンスターを召喚した。

「手札から『召喚僧サモンプリースト』を召喚するよ……。」
 召喚したモンスターは、黒いローブをまとった老人召喚師が現れた。

「さらに……墓地の『魔轟神クシャノ』の効果を発動するよ……。手札の『魔轟神クルス』を捨てて、墓地の『魔轟神クシャノ』を手札に加える……。」
 そう言うと、近藤は墓地から『魔轟神クルス』を取り出し、手札に加えた……。捨てられた『魔轟神クルス』の効果は当然……!

「捨てられた『魔轟神クルス』の効果発動……。墓地から『魔轟神レイブン』を特殊召喚……。『生還の宝札』で1枚ドロー……。」
 近藤は、見飽きるほどに『魔轟神クルス』の効果で蘇生をした……。
 これで奴の手札は4枚……だが……!

「『サモンプリースト』の効果発動……。手札の魔法カードを1枚……『魔法石の採掘』を捨て、デッキからレベル4モンスターを1体特殊召喚する……!来てくれ……レベル4チューナーモンスター『魔轟神獣ルビィラーダ』……!」
 『サモンプリースト』が呪文を唱えると……デッキから、馬車みたいな物を引き、鳥の様な姿をしたモンスターが現れた……!


召喚僧サモンプリースト
闇 レベル4
【魔法使い族・効果】
このカードはリリースできない。
このカードは召喚・反転召喚に成功した時、守備表示になる。
1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てる事で、
自分のデッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、
そのターン攻撃する事ができない。
攻撃力800 守備力1600

 今の奴の状況は……


近藤 LP…2850
   手札…3枚
   場…魔轟神レヴュアタン(攻撃力3000・攻撃表示)
     魔轟神ソルキウス(守備力2100・守備表示)
     魔轟神獣ルビィラーダ(チューナー・攻撃力1100・攻撃表示)
     召喚僧サモンプリースト(守備力1600・守備表示)
     魔轟神レイブン(チューナー・レベル2・攻撃力1300・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)


「レベル4『召喚僧サモンプリースト』に、レベル4『魔轟神獣ルビィラーダ』をチューニング……!」
 近藤がそう言うと、『魔轟神獣ルビィラーダ』が4本の光の輪に……『召喚僧サモンプリースト』が4個の星へと姿を変え……











「……動かぬ体に残された瞳で、真の恐怖を味わうがいい……!参れ……黒竜!シンクロ召喚……!出でよ……『ダークエンド・ドラゴン』!」
 その輪と星が、首の上に顔があるのに腹にまで巨大な顔を持った、不気味な黒竜へと変化した!

「『ダークエンド・ドラゴン』の効果発動……!自身の攻撃力と守備力を500ポイントダウンさせて、『ロード・ウォリアー』を墓地に送るよ……!ダーク・イヴァポレイション……!」
 『ダークエンド・ドラゴン』は、腹の口から闇を吐き出し……オレの場の『ロード・ウォリアー』を『アームズ・エイド』ごと墓地へと送ってしまった……!

ダークエンド・ドラゴン 攻撃力2600→2100
            守備力2100→1600

「何だと……?『スターダスト・ドラゴン』の効果が発動しない……?」
「当然だよ……。『破壊』じゃ無くて、『墓地に送る』だからね……。」
 近藤は、軽くそう答えた……。


ダークエンド・ドラゴン
闇 レベル8
【ドラゴン族・シンクロ・効果】
チューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上
1ターンに1度、このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、
相手フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送る事ができる。
攻撃力2600 守備力2100


「『魔轟神レイブン』の効果発動……。手札から『魔轟神クルス』を捨てて、レベルを1、攻撃力を400ポイントアップさせる……。」
 近藤は、手札を1枚捨て、『魔轟神レイブン』のレベルを高めた……。

魔轟神レイブン レベル2→3
        攻撃力1300→1700

「捨てられた『魔轟神クルス』の効果が発動するよ……。墓地から、レベル2のチューナーモンスター『魔轟神ミーズトージ』を特殊召喚……。『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 さらに、『魔轟神クルス』の蘇生効果を発動し、今まで場に出る事の無かった『魔轟神ミーズトージ』を蘇生させたか……。

「レベル6『魔轟神ソルキウス』に、レベル2『魔轟神ミーズトージ』をチューニング……!」
 近藤がそう言うと、『魔轟神ミーズトージ』が2本の光の輪に……『魔轟神ソルキウス』が6個の星へと姿を変え……











「生きとし生きる物よ……閃光の波動にひれ伏せ……!参れ……白竜!シンクロ召喚……!出でよ……『ライトエンド・ドラゴン』!」
 その輪と星が、背中に何本もの天使の羽を持った白竜へと変化した!

「さらに……手札から、『魔轟神グリムロ』を召喚……。」
 それに加え、赤いハイヒールを履き、背中に黒い羽を持った女性型のモンスターが召喚された……。
 今の奴の状況は……


近藤 LP…2850
   手札…2枚
   場…魔轟神レヴュアタン(レベル10・攻撃力3000・攻撃表示)
     ライトエンド・ドラゴン(レベル8・攻撃力2100・攻撃表示)
     ダークエンド・ドラゴン(レベル8・守備力2100・守備表示)
     魔轟神レイブン(チューナ・レベル3・攻撃力1700・攻撃表示)
     魔轟神グリムロ(レベル4・攻撃力1700・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)


「合計レベル7……何を呼ぶか分かるかい……?遊星くん……。」
「いや……。世界を滅ぼしたと唄われる、究極殺戮兵器を呼び出すのか?」
 オレは、近藤の問い掛けに対し軽くそう答えた……。

「……私のエクストラデッキには、名前を出すことすら恐ろしい、世界を7度滅ぼしたと唄われる究極殺戮兵器は入っていない……から、他のシンクロモンスターを呼ぶ事にするよ……!」
 そう言いながら近藤は、自分の場の『魔轟神クシャノ』と『魔轟神グリムロ』を墓地に送ると……3本の光の輪と4個の星と出現した!











「私の飢え、渇きを満たすため……結合せよ……欲望と力よ……!シンクロ召喚……!」











「――『バワー・ツール・ドラゴン』!」




第11話 護る者(視点・遊星)

 ……近藤の場に、ドライバー等の多くの工具で体が形成された様な、機械でできたドラゴンが現れた!
 だが、そのドラゴンは全身を鎖で縛られ、どこか弱っている様な感じだった……。


「『パワー・ツール・ドラゴン』だと……?何故鎖で縛られている?」
「教えてあげるよ……。このカードは、龍亞きゅんの持っていたカード……借りる事に否定しなかったから、エクストラデッキから抜き取っておいたんだよ……。……少しわがままだったから、鎖で縛り上げたけどね……。」
 近藤は、軽く笑いながらそう言った……。気絶してる龍亞が、否定できるわけ無いだろ……。

「他人のカードを強引な手段で奪い取り、我がもの顔で使うお前に、勝利する資格は無い!」
 オレは、近藤を指差しながらそう言った。
 ジャックに言いそびれたセリフを、ここで消化しておくか……。

「『パワー・ツール・ドラゴン』の効果発動……。デッキから、3枚の装備魔法……『継承の印』2枚と『レアゴールド・アーマー』を選択し……その中から1枚がランダムで手札に加わる……!」
 『パワー・ツール・ドラゴン』は、嫌々効果を発動すると……デッキの装備魔法が1枚近藤の手札に舞い込んだ!


パワー・ツール・ドラゴン
地 レベル7
【機械族・シンクロ・効果】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。
自分のデッキから装備魔法カードを3枚選択し、
相手はその中からランダムに1枚選択する。
相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、
残りのカードをデッキに戻してシャッフルする。
また、装備魔法カードを装備したこのカードが破壊される場合、
代わりにこのカードに装備された装備魔法カード1枚を墓地へ送る事ができる。
攻撃力2300 守備力2500


「手札から、装備魔法『継承の印』を発動するよ……。墓地に『魔轟神ヴァルキュルス』が3体存在する事により、その内から1体を特殊召喚……!『生還の宝札』でカードを1枚ドロー……。」
 近藤がそう言うと……前のターンに破壊したはずの『魔轟神ヴァルキュルス』が、まるで何事も無かったかの様に蘇った……!


装備魔法
自分の墓地に同名モンスターカードが3枚存在する時に発動する事ができる。
そのモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。
このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。


近藤 LP…2850
   手札…2枚
   場…ライトエンド・ドラゴン(攻撃力2100・攻撃表示)
     ダークエンド・ドラゴン(攻撃力力2100・攻撃表示)
     魔轟神ヴァルキュルス(攻撃力2900・攻撃表示)
     パワー・ツール・ドラゴン(攻撃力2300・攻撃表示)
     魔轟神レヴュアタン(攻撃力3000・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)
     継承の印(魔轟神ヴァルキュルスに装備)


「行くよ……!『パワー・ツール・ドラゴン』で『レベル・スティーラー』に攻撃……!クラフティ・ブレイク……!」
 『パワー・ツール・ドラゴン』は、縛りつける鎖に操られ、オレのモンスターに攻撃を行った……。が……

「……罠カード発動!『和睦の使者』!このターン、オレへの戦闘ダメージは0になり、オレのモンスターは戦闘では破壊されない!」
 オレの場のモンスター達は不思議なバリアで包まれ、『パワー・ツール・ドラゴン』の攻撃による衝撃を受け付ける事は無かった……。


和睦の使者
通常罠
このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージは0になる。
このターン自分モンスターは戦闘によっては破壊されない。


「残念……。カードを2枚場に伏せ、ターンエンド……。」


現在の状況
近藤 LP…2850
   手札…0枚
   場…ライトエンド・ドラゴン(攻撃力2100・攻撃表示)
     ダークエンド・ドラゴン(攻撃力力2100・攻撃表示)
     魔轟神ヴァルキュルス(攻撃力2900・攻撃表示)
     パワー・ツール・ドラゴン(攻撃力2300・攻撃表示)
     魔轟神レヴュアタン(攻撃力3000・攻撃表示)
     生還の宝札(表側表示)
     継承の印(魔轟神ヴァルキュルスに装備)
     伏せカード2枚

遊星 LP…1700
   手札…1枚
   場…スターダスト・ドラゴン(攻撃力2500・攻撃表示)
     レベル・スティーラー(守備力0・守備表示)
     リミット・リバース(表側表示)


「……オレの……ターン……ドロー……!」
 ドローしたカードを確認したオレは、少し安堵した……。

「手札から、魔法カード発動!『貪欲な壺』!この効果で、墓地の『アームズ・エイド』、『金華描』、『クイック・シンクロン』、『チューニング・サポーター』、『ニトロ・シンクロン』をデッキに戻し、カードを2枚……っっ……」
 オレがデッキにカードを戻した後、ドローしようとすると……痣が浮かび上がった事のある右手の甲の部分が、まるで焼ける様に熱くなり、デッキの1番上のカードが、何故か光り輝いていた……。











「…………?遊星くんのデッキの1番上から発光現象が……。一種のマーキングかい……?」
 奴は、オレのデッキの1番上で光輝くカードを見て、そう呟いた……。
 この男……禁句に触れている!

「……2枚ドロー!」
 熱さを堪えながらカードを2枚ドローすると……光り輝いていたカードの正体は、『救世竜 セイヴァー・ドラゴン』だった……。
 ……頼むから、フォーチューンカップの時には発光しないでくれ……。奴との宿命の戦いの前に発光したら、マーキングと見られて失格になり、オレが薄幸になってしまう……!

「……っ……手札から、チューナーモンスター『救世竜 セイヴァー・ドラゴン』を召喚!」
 オレの場に、腕から発せられる激しい光とは対照的な、蛍の様な淡い光を放つ、小さなドラゴンみたいな生命体が現れた。

「合計レベル10……?いったい何を……」
「……レベル8『スターダスト・ドラゴン』、レベル1『レベル・スティーラー』に、レベル1『救世竜 セイヴァー・ドラゴン』をチューニング!!」
 近藤の問い掛けと同時に、オレは『救世竜 セイヴァー・ドラゴン』と『スターダスト・ドラゴン』、『レベル・スティーラー』を墓地へ送り、熱く輝く右手を突き出すと……突然『救世竜 セイヴァー・ドラゴン』の体が巨大化し、その中に『スターダスト・ドラゴン』と『レベル・スティーラー』が吸い寄せられ……1本の光の輪と、9個の星へと姿を変えた!
 仲間を救うため……オレに……力を貸してくれ!!





















「集いし星の輝きが……新たな奇跡を照らし出す!光差す道となれ!シンクロ召喚!光来せよ、『セイヴァー・スター・ドラゴン』!!」
 オレの場に現れたのは、『スターダスト・ドラゴン』の面影を残しつつ、全身がクリスタルの様に光り輝く体へと強化された、オレのデッキの最強のモンスターだ……!

「『セイヴァー・スター・ドラゴン』の効果発動!相手モンスター1体の効果を無効にし、自らに吸収させる!『ライトエンド・ドラゴン』の効果を吸収!サプリメイション・ドレイン!!」
 『セイヴァー・スター・ドラゴン』は、クリスタルの体に『ライトエンド・ドラゴン』の力を光子化して吸収し……自らの体内に蓄えた!


セイヴァー・スター・ドラゴン
風 レベル10
【ドラゴン族・シンクロ・効果】
「救世竜 セイヴァー・ドラゴン」+「スターダスト・ドラゴン」
+チューナー以外のモンスター1体
相手が魔法・罠・効果モンスターの効果を発動した時、
このカードをリリースする事でその発動を無効にし、
相手フィールド上のカードを全て破壊する。
1ターンに1度、エンドフェイズ時まで相手の表側表示モンスター1体の効果を無効化できる。
また、無効化したモンスターに記された効果をこのカードの効果として1度だけ発動できる。
エンドフェイズ時にこのカードをエクストラデッキに戻し、
自分の墓地に存在する「スターダスト・ドラゴン」1体を特殊召喚する。
攻撃力3800 守備力3000



「墓地の『神剣−フェニックスブレード』の効果発動!『ロード・ウォリアー』、『スピード・ウォリアー』をゲームから除外し、手札に加える!」
 オレは、前のターンに『手札抹殺』の効果によって墓地に送った『神剣−フェニックスブレード』を、軽く自分の手札に加えた。


神剣−フェニックスブレード
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
自分のメインフェイズ時、自分の墓地に存在する
戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、
このカードを自分の墓地から手札に加える。


「手札の『神剣−フェニックスブレード』を捨て……手札から、速攻魔法発動!『トラップ・ブースター』!このカードの効果により、手札の罠カードを1枚発動する!オレが発動するカードは……『死霊の誘い』!!」
 オレはそう言いながら1枚の罠カードを発動すると……オレと近藤の墓地に、不思議な関所みたいな結界が発生した!

 
トラップ・ブースター
速攻魔法
手札を1枚捨てて発動する。
このターン、自分は手札から罠カード1枚を発動する事ができる。


「さらに……墓地の『スキル・サクセサー』を除外し、効果発動!オレの場のモンスター1体の攻撃力を、800ポイントアップさせる!」
 オレは、前のターンの『手札抹殺』によって墓地に送った『スキル・サクセサー』の効果を発動させ、『セイヴァー・スター・ドラゴン』の攻撃力を大きく高めた!


スキル・サクセサー
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
このターンのエンドフェイズ時まで、
選択したモンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の
攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動する事ができず、
自分のターンのみ発動する事ができる。


セイヴァー・スター・ドラゴン 攻撃力3800→4600

「バトル!『セイヴァー・スター・ドラゴン』で、『魔轟神レヴュアタン』に攻撃!『ライトエンド・ドラゴン』の効果で、『セイヴァー・スター・ドラゴン』の攻撃力を500ポイント……『魔轟神レヴュアタン』の攻撃力を1500ポイント下げる!ライト・イクスパンション!」
 オレがそう言うと『セイヴァー・スター・ドラゴン』は、吸収した『ライトエンド・ドラゴン』の力の光子をすべて解放し……『魔轟神レヴュアタン』の攻撃力を大幅にダウンさせた!

セイヴァー・スター・ドラゴン 攻撃力4600→4100
               守備力3000→2500
魔轟神レヴュアタン 攻撃力3000→1500
          守備力2000→500

「これで……終わりだ!シューティング・ブラスター・ソニック!!」
 『セイヴァー・スター・ドラゴン』は、両翼を大きく広げ、激しい衝撃波を『魔轟神レヴュアタン』に向けて放ったが……

「伏せ罠カード……『聖なるバリア−ミラーフォース−』を発動するよ……。この効果で、遊星くんの攻撃表示モンスターは……」
 近藤がそう言うと、近藤の場を鏡の様なバリアが包み込み……『セイヴァー・スター・ドラゴン』の攻撃を待ち構えた!
 ……だが、オレは……



「……オレは待っていた……。お前がカードの効果を発動させる、その瞬間を!」
「…………!?」
 オレがそう言うと、『セイヴァー・スター・ドラゴン』が飛翔し……自らから発せられる星の煌めきにより、『聖なるバリア−ミラーフォース−』の効果を無効にした!

「……『セイヴァー・スター・ドラゴン』は、相手の魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にし、破壊する効果を持っている!さらに……『セイヴァー・スター・ドラゴン』が相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にした場合……相手の場のカードをすべて破壊する!」
「…………!!」
 近藤が驚いている間にも、『セイヴァー・スター・ドラゴン』の構えた右の翼の先端に、膨大な光のエネルギーが集約していき……





















「すべてを浄化しろ!『セイヴァー・スター・ドラゴン』!神技・エーテルストライク!!」
 『セイヴァー・スター・ドラゴン』は、自身から発せられる閃光をすべて近藤の目の前へと放ち……近藤の『生還の宝札』、『レアゴールド・アーマー』、『継承の印』、『聖なるバリア−ミラーフォース−』、『サンダー・ブレイク』、『ライトエンド・ドラゴン』、『ダークエンド・ドラゴン』、『パワー・ツール・ドラゴン』、『魔轟神ヴァルキュルス』、『魔轟神レヴュアタン』が大量の瓦礫と化し、近藤の墓地へと吸い込まれていった!!
 さすが神技・エーテルストライク……圧倒的破壊力だ……。

「『死霊の誘い』の効果は……墓地にカードが送られる度に、そのカードの持ち主に1枚につき300ポイントのダメージを与える……。お前の墓地に送られたカードは10枚……つまり、お前のライフは……」
「0……か……。」
 近藤は、墓地に送られたカードが、『死霊の誘い』によって発生したバリアを通過する時に発せられた衝撃をまともに受け……自分の敗北を悟ったのか、小さくそう呟いた……。


死霊の誘い
永続罠
墓地にカードが送られる度に、
そのカードの持ち主に1枚につき300ポイントダメージを与える。


オレ LP1700→1400
近藤 LP2850→0




第12話 帰還

「約束だ。龍亞は返してもらうぞ。」
 遊星は、近藤に詰め寄りながらそう言った。

「そうだね……。残念だけど、約束は約束だからね……。」
 近藤は、残念そうに呟きながら、気絶している龍亞の近くに歩み寄り……











「(『闇の呪縛』……解除……。)」
 そう念じると、龍亞を縛り付けていた鎖が消え、落下する龍亞を近藤が優しく受け止めた……。

「(……!?鎖が……消えた?)」
 遊星は、跡形も無く消えた鎖に、少し戸惑っていた……。



「遊星くん……。」
 近藤は、抱きかかえている龍亞を、遊星に静かに手渡した……。

「信じられないかもしれないけど……私は、超能力によってカードの実体化を行う、ある組織から抜け出してきた……。」
 

「その組織のデュエリストの中には、その力をデュエルで発揮し、相手を傷つけてしまう変態型もいるけどね……。」
 近藤は、遊星に対してこうも言った。

「だが……オレは、お前とのデュエルで傷を負う事は無かった……。それは何故だ?」
「ああ……私は、年増の相手を傷つけたいとは思わないからね……。発揮しない様に注意しているんだよ……。」

「デュエルによって、物理的破壊を引き起こす……黒薔薇の魔女も、その組織の一員なのか……?」
「……!!遊星くん……。君は、アキたん……じゃなくて、黒薔薇の魔女を見た事があるのかい!?」
 近藤は、遊星の一言に少し驚いていた……。

「ああ……。1度だけだがな。」
 遊星は、軽くそう答えた……。

「そうか……。……遊星くん……君のその力なら、アキたんを救える……だろうね。」
「なるほど……。お前は、救う力を持つ者を捜していた……と言う訳か。」
 近藤の言葉を聞いた遊星は、腕を組みながら少しだけ納得したかの様な表情で話した……。



「だが……何故お前は、龍亞を連れ去った?必要は無かったはずだ……。」
「ふ……ふふ……真剣に挑んでもらわないと、選考に相応しくないからね……。……まあ、今まで飢えと渇きに全身を支配されていたから、龍亞きゅんをおかずにしたかった……と言うのもあるけどね……。」
 近藤は、また嫌らしく微笑んでいた……。



「……その考えは止めた方がいい。……組織以外に、セキュリティにも処刑されるぞ。」
 遊星は、軽くそう言い、近藤の元を後にした……。





















「龍亞……龍亞?」
 遊星は、抱えている龍亞に軽く呼びかけた……。

「ゆう……せい?」
「……気が付いたか。」
 遊星の呼びかけに気付いた龍亞は、虚ろな目で遊星の名を呼んだ……。

「おれ……助かったの……?」
「……ああ。」
 龍亞は、遊星のその一言を聞き、全身の緊張の糸がほどけた様な状態になり……











「う゛…ううぅっ……。……ゆ゛……ゆ゛う゛せ゛い゛ぃぃぃぃ……。こ゛わ゛か゛った゛よ゛ぉぉぉぉ!!」
「……もう安心だ、龍亞。」
 遊星は、泣きじゃくる龍亞をなだめる様に、頭を軽く撫でた……。




















 その頃、倉庫にて……

「遊星くん……。仲間との絆によって、友を救うデュエリスト……か。」
 近藤は、遊星の立ち去った後を見て、小さくそう呟いた……。



「それでいいのか?……死に際に残す台詞は……。」
「何……!」
 この声は……!











「ディ……ヴァイ……ン!」
「『サンダー・ボルト』……発動。」
 ディヴァインは、まったくためらわずに『サンダー・ボルト』を近藤に向かってとき放った……!

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
 ディヴァインの放った『サンダー・ボルト』を受けた近藤は、叫び声を上げて全身を激しく痙攣させ、そのまま地面に突っ伏した……。










「ふん……。所詮は裏切り者……。」
 『サンダー・ボルト』を放ち終わったディヴァインは、満足げに冷徹な笑みを浮かべながら、歩き去って行った……。





















「なっ……何!?今の音!おれ達がさっきまでいた所からじゃ……」
「……知らない方がいい。」
 遊星は、何も知らない龍亞に対してそう軽く答えた……。



「(近藤は……奴の言う組織に処刑されたのか……?)」





















 数分後……雑賀の家にて……


「龍亞!」
「龍可!」
 雑賀の家で再会した龍亞と龍可は、手を取り合って喜んだ。

「……龍可……足、大丈夫か!?」
「龍亞だって……大丈夫だった?」
「だーいじょうぶ大丈夫!何たって、おれは強いから!」
 龍亞は、自分の胸をトンと叩き、自信満々に話して見せた。

「…………。」
 遊星は、そんな龍亞の様子を微笑ましそうに見ていた。



「おうおう、一著前に強がっちゃってるねぇ。」
 雑賀は、龍亞を軽くからかう様に話し掛けた。

「そ、そんなんじゃ無い!……そうだよね、遊星。」
「……ああ。」
 遊星は、そう一言呟いた。

「遊星……おれ、絶対助けに来てくれるって、信じていたよ!」
「ああ……。」
 龍亞の感謝の一言を、遊星は軽く受け止めていた……。











「(近藤が言っていた言葉……アキたんを救える……か。)」
 遊星は、近藤に言われた言葉を軽く思い出し……

「(だが……計らずとも、黒薔薇の魔女とはいずれ相見えるだろう……痣を持つ者通し……。)」
 ……発光現象を起こさなくなった自分の右手の甲を軽く見て……

「(その時は……再び、オレに力を貸してくれ……『スターダスト・ドラゴン』……。)」
 自分のデッキに、軽く眼をやった……。





















 その頃……近藤は……

「ハァ……ハァ……私も……悪運が……強い……。ディヴァインの……処刑を……耐えきって……しまうとは……ね……。」
 近藤は、肩で息をしながら、自分の生を確認し……

「でも……遊星くん……彼なら大丈夫だ……。彼ならきっと、アキたんを…………」
 ……傷ついた体を引きずりながら、倉庫を後にした……。


――完









後書き

こんにちは、カオスマンSPです。

「saviour's soul」一読、ありがとうございました。

今回のストーリーとしては……不動遊星を活躍させたいがために執筆した……と言っても過言ではありませんでした(ぇ
本編(5D’s)との設定の食い違いも存在するのかもしれませんが……その辺りは、寛大な心で……(すいません)m(_ _)m




オマケ――近藤の使用デッキ

モンスター……25枚
魔轟神ソルキウス
召喚僧サモンプリースト
ゾンビキャリア
魔轟神アシャンヴェイル
魔轟神ウルストス
魔轟神オルトロ
魔轟神ガルバス
魔轟神クシャノ×2
魔轟神グリムロ×3
魔轟神クルス×3
魔轟神獣ルビィラーダ
魔轟神ディフ
魔轟神トピー
魔轟神ミーズトージ
魔轟神ルリー×3
魔轟神レイブン×2
黄泉ガエル

魔法……17枚
大嵐
おろかな埋葬×2
継承の印×3
サイクロン
死者転生
死者蘇生
神秘の中華なべ
生還の宝札
貪欲な壺×3
レアゴールド・アーマー
魔法石の採掘×2

罠……5枚
サンダー・ブレイク×2
聖なるバリア−ミラーフォース−
ヘイト・バスター
ロスト・スター・ディセント

エクストラデッキ……15枚
魔轟神レヴュアタン×3
ダークエンド・ドラゴン
魔轟神ヴァルキュルス×3
ライトエンド・ドラゴン
パワー・ツール・ドラゴン
ダーク・ダイブ・ボンバー
氷結界の龍 ブリューナク
魔轟神レイジオン×3
アームズ・エイド







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