MIMIC−Magic Knight of Bond

製作者:ASさん




*このストーリーは前作「MIMIC」ほぼ同じ時間であり、同じ世界の住人です。


しかし、MIMICとはイベントでの時期が違っていたり、「MIMIC」との関連が微妙におかしいと思われる場面があると思います。

今回はデュエル・アカデミアを中心にした物語ですが、前作のように別の場所に移動する可能性もあります。

ルールは「マスター・ルール」で、カードもそれに対応したカードテキストにしています。





【フェイズ2 0】忘れられた事件……

今から約4年前……


デュエル・アカデミア‐特待生寮…

その地中深くにある、広く明るい施設…


そこには3枚の壁画と非常に大きな蒸留窯があり、その中央に二人の人物がデュエルを行っていた…

一人は青いワンピースを着た少女であり、小学高学年くらいの少女であった…


彼女の場にはブラック・マジシャン・ガールによく似た魔法剣士が攻撃表示で存在し、あと1ターンほどで消滅しそうな光の護封剣が発動していた…

だが彼女はどう言うわけか傷だらけで、足には血が流れ出ていた…

そして寒いのか体をガタガタと震わせながら立っているのがやっとであった……


いや、寒いのではない…相手の場にいるモンスターを彼女は恐怖していたのだ…

そしてその相手のターン…

ものすごく闇に近い黒いローブをまとった男はカードをドローする…

そして手札からカードを墓地に送りあるカードを発動する…

次の瞬間、彼女と彼女のしもべが悲鳴をあげ、苦しみだす…

彼女は気を失い、光の護封剣が消滅した……

だが、彼女のしもべはなぜか消滅せずまだ立っていた…


そして男の場に巨大な次元空間が現れ、彼女のしもべはそれに吸い込まれ、フィールド上のカードが姿を消した…

そして気を失った彼女はその次の日意識不明のまま、特待生寮より離れた場所で発見され、一時は騒然となったが……


次第にその事件は徐々に忘れ去られ…

特待生寮もある出来事から廃寮となった…


そして、彼女を発見した第一発見者の名は…




「大徳寺」という一人の教師だったということも忘れられたのであった…




【フェイズ2 1】2人の魔法剣士

4年後、現在のデュエル・アカデミア……時間は夕方6時…

アカデミアから離れた草原で1人の少年1匹の大きな猫を撫でながら木に寝そべって夕陽を見ていた…


右前髪の長いアシンメトリーの赤茶色の髪で、目の赤いオベリスク・ブルーの少年名は―

「大徳寺」 梨音(ダイトクジ リオン)

彼は非常に優秀な成績でデュエルの実力も高いトップクラスの1年であり、独特のデュエルセンスで相手を叩きのめすところからアカデミアでは「魔剣士」という異名を持つほどであった…


だが梨音はそんなものに興味はあまり持たずただ一人(時々人と話すこともあるが…)でここにいることがあるのだ……

ちなみに彼のそばで撫でている猫の名前はファラオ。


最初、梨音はこの猫のことはあまり気にしなかったが、どう言うわけかファラオは梨音に非常になついていた…

ただ、それだけのことだった……


梨音は決闘盤と一緒に付けていた腕時計を見て、すっと立ちあがり…そのまま自分の寮に帰ることにしたのだ…


梨音はゆっくりと歩いて帰る…

ファラオもそれにつられて歩く……


そしてその途中…今日とは違うことが起きた…

「ニャーン…」

ファラオは上を目掛けて鳴く…そして梨音はファラオを見て、そしてそのまま上を見る…


「……?」

空から1枚のカードが梨音にめがけて落ちてくる…

そしてそのカードを梨音は拾う…

デュエルモンスターズのカードだ……

「……」

そのカードはモンスターカードで絵には剣を持った一人の魔法使いの少女が描かれていた…


エンチャート・ソードガール
光属性 魔法使い族 ☆6

「エンチャート…ソードガール……?」


見たこともないそのカードに不思議に思う梨音…

彼はそのままポケットに入れ、そのまま帰ることにした……



その目の前を一人の少女が通りかかる…

しかしその姿に梨音は驚きを隠せなかった……

「え…?」


そこにいた少女の髪は黄金色に輝き、目は青く…来ている服はマジシャン衣装のような姿であり…

いや、簡単に言えば、ブラック・マジシャン・ガールが普通のよりも赤みがかった服を着て、ロッドの代わりに剣を持った姿をしていたのだ。


それだけでも驚いたのだが…梨音の心の中ではもっと驚いていた…

それもそのはず…今さっき拾ったカードの絵柄に似た人物が目の前にいたのだ…


梨音は驚きながらも信じたくはなかった…

まさか…そんなことあるはず―


その時、彼女は梨音に気づいたのか梨音に顔を振り向く…

梨音はビクッとする…


そして数分間の時間が流れる……

が、お互いにとっては数秒間と言うほどの短さにしか感じなかった…


梨音はどう言えば分からなかった…

何しろ体全体半透明で魔法使いのような少女にどのように話しかければいいか…


いや、それ以前の問題が山ほどあってどう言えばいいかわからなかった……

梨音はあれこれ考えているうちに、その魔法少女から話始めた…


(あ、あのひょっとして…君……私が見えるのか?)

その少女は恐る恐る話始めた…

梨音は黙っていようと思った……


しかし、彼女は困って助けを求めているような顔をしていた…

仕方がない…ここは正直に……話してみよう…

「あ…あぁ……そう…見えるけど…」

(ホント!?ホントなのか!?!?)

その少女は梨音の肩に自分の手を乗せ、梨音を揺さぶる…

梨音は驚いた…


なぜなら『半透明』の…カードのはずのエンチャート・ソードガールが自分の揺らしているのだ…

「わっ、わっ!お、お前何だ?何で俺に触れれるんだ!?」

(それはこっちのセリフだ!…そっちこそ何で私の姿が見えるのだ?)

「いや、それはわからないけど…とにかく揺らすのやめてくれない!?正直なんか…苦しいんだけど…」

(だ〜か〜ら〜何で私のことが見えるのだぁ〜!?!?)


な…なんて自己中なやつだ……やはり、見えていないフリをしとけばよかったのだろうか…?


ん!?

彼女の前髪がピンとアンテナのように立っているのが目に見えた…

それだけなら「気のせいか」と思って考えられた…


だが、その立っている前髪が、不思議にも『生きている』かの如く何かを差しかいるかのように動き回るのだ…

「うおぉ!?お前!髪の毛が動いているぞ!?」

(え…)

ソードガールは動いている髪の毛を見て、ハッとなり梨音を引き離す…

(君!ここから離れていろ!!クソ!こんなところまで追ってくるとは…!!)


「え?…」


梨音は彼女の言葉が分からなかったが、その直後そのことをよく納得した…

周りから巨大な声のような物が聞こえ、夕日が沈むにつれ、獣のような光った眼が森から出てくる…

そしてついに、その獣は不気味な唸り声をあげてその姿を現し…ソードガールに襲いかかってきた!!


いや…頭までは狼のような獣ではあったが……体が人型で紫色の…「人狼」という巨大な化け物であった…

(な!?こいつは…!!)


「エ…エンド・オブ・……アヌビス…?」

エンド・オブ・アヌビス
闇属性 悪魔族 ☆6 ATK2500 DEF   0
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、墓地のカードを対象にする、または墓地で効果が発動する魔法・罠・モンスターの効果は全て無効になる。

「そんな…攻撃力が『元』悪魔族最強と言われたデーモンの召喚と同じ攻撃力を誇り、墓地に対して効果を発揮するモンスターが…あんな形で実体化しているなんて……」


梨音が話しているうちに、エンド・オブ・アヌビスは場にいたエンチャート・ソードガール目掛けて突進する…

(く……)

彼女は攻撃してきたモンスターの攻撃を飛んでよけ、木の枝に、しがみつきすぐ体制を整え、持っていた剣を握る…


その剣から光の刃が現れ、彼女はそのモンスターに目掛けて光の刃を放った…

攻撃は命中した…が……

(チィ…やはりダメか…)

エンド・オブ・アヌビスは傷一つ付いていなかった…

エンド・オブ・アヌビスは再び攻撃しようとした…だが、このモンスターは攻撃せず立ちあがり、かなりの大声咆哮を上げる…

―グオオォォォォォォォオォォ―!!

ものすごい音圧…梨音と少女は過ぎに手で耳を塞いだ。

「う…うるせぇ!!……!!!?」


その直後、梨音の目の前で森からなんと、もう2体のエンド・オブ・アヌビスがまるで特殊召喚されたように姿を現した…

さすがのソードガールも不利な状況に追い詰められた…

(エンド・オブ・アヌビスが3体もだと…)

3体のアヌビスが一気にソードガールに詰め寄り攻撃してくる…

梨音はこの状況を見て…ふと頭によぎった……

「これは…デュエル……なのか?」


彼はそう思い…さっきポケットに入れた…エンチャート・ソードガールのカードを見て…ゾッとした…

「な…攻撃力2200?……このままじゃやられるじゃないか!?」

梨音は顔をあげてその少女を見続ける…


次第に劣勢になっていくソードガール…

そしてついに…


―ズガン!!

(うわぁ!!)

−!!!


ソードガールは、エンド・オブ・アヌビスの攻撃を受け、一気に別の木に体をぶつけた…

(う…うぅ……)

口から僅かだが血のような物が流れ出ていた…

(し、死んで…たまるか…私は……元の姿に…戻るんだ……)

元に…戻る……?


そして3体のエンド・オブ・アヌビスは、少しずつ動いてソードガールの所に近づいてくる…

その次の瞬間―!!

梨音は立ち上って決闘盤を起動させる…

そしてデッキにエンチャート・ソードガールのカードを無作為にデッキに入れ、シャッフルせずに決闘盤に装着させそこから一気に5枚ドローした…


「ソードガール!!」

(……!)


「必ずお前を…助ける!!」

(な?何をいって―)


「デュエル!!」

梨音:LP4000

相手:エンド・オブ・アヌビス×3


「俺のターン、ドロー!!見せてやる!俺の力を!!魔法カード、マジックソード・ホール!!俺の場にモンスターがいない場合、デッキからレベル4以下の魔法剣を出現させる!出でよ、魔法剣‐ブレイズソード!!」

梨音の右手から炎が現れ、その炎が剣の形を形成する。

形成された魔法剣を梨音は強く握った…

(な…何なのだ……それは…?)

「魔法剣…このカード達は俺の場のモンスターゾーン1つを使用不可にする代わりに、連続攻撃を可能にする魔法の掛けられた剣だ!!」

魔法剣‐ブレイズソード
炎属性 魔法使い族 ☆4 ATK1900 DEF 700
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、相手に500ポイントのダメージを与える。

マジックソード・ホール
通常魔法カード
自分フィールド上にモンスターが存在しない発動できる。自分のデッキからレベル4以下の「魔法剣」と名のついたモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。このカードで特殊召喚したモンスターはリリースできない。

「そして手札より魔法剣‐ブリザードソードを召喚!!」

今度は梨音の左手が凍り付き、それが次第に剣の形に形成された。

魔法剣‐ブリザードソード
水属性 魔法使い族 ☆3 ATK1400 DEF1200 
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。「魔法剣」と名のついたモンスターが戦闘を行う場合のみ、相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。


「そして…2つの魔法剣が姿を現すとき……俺は真の魔法剣士と変わる…その名は―」

梨音の周りを黒い闇のような物が包み込む…

ソードガールは眼を凝らし、彼女を襲おうとしたエンド・オブ・アヌビス達は梨音へと方向を向ける…

そして彼女の目の前に現れたのは…

剣のような悪魔羽が生え、黒く長いコートを着た…「梨音」という、2刀流の魔法剣士であった…

「漆黒の魔法剣士―サバティエル・ナイト!!」

漆黒の魔法剣士―サバティエル・ナイト:ATK2500

「行くぜ!…バトルだ!!」


彼はその瞬間、エンド・オブ・アヌビスに目掛けて常人とは思えないスピードで走っていく!!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


(む…無茶だ!エンド・オブ・アヌビスと同等の攻撃力じゃ同志討ちに―…?冷たい…!?)

ソードガールは急な寒さに気づき周りを見渡す…

すると…3体のエンド・オブ・アヌビスの両足が凍りついていたのだ…

(な?何で凍りついて―…まさか…あの氷の魔法剣が!?)

「そう…氷の魔法剣は戦闘時、全ての敵を氷漬けにし、攻撃力を500下げる…」

エンド・オブ・アヌビス:ATK2500→2000


「そして、サバティエル・ナイトの攻撃!!」

梨音は俊敏に動きながら、エンド・オブ・アヌビスの後ろを取り、炎の剣で一気に切り裂いた。

―ブレード・デストラクション!!


切り裂かれたアヌビスは炎で燃やしつくされ消滅する…


(や、やった…でも残りの2体が…)

「まだだ!サバティエル・ナイトの効果!!俺の場にある魔法剣と名のついた数だけ更なる連続攻撃が可能!!」

(な…まさか……お前のデッキ…連続攻撃に特化した戦術なのか!?)


漆黒の魔法剣士―サバティエル・ナイト
闇属性 魔法使い族 ☆7 ATK2500 DEF1700
自分フィールド上に「魔法剣」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードを手札から特殊召喚することができる。このカードが相手モンスターを戦闘で破壊し墓地に送った場合、このカードを除く「魔法剣」と名のついたモンスターの数だけ続けて攻撃を行うことができる。この効果を使用する場合、「魔法剣」と名のついたモンスターは攻撃宣言できない。このカードは自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

梨音は両方に持っている剣で一気に残りのエンド・オブ・アヌビスに攻撃した。


―ネクスト・オブ・ブレード・デストラクションズ!!

炎と氷の剣でエンド・オブ・アヌビスを切り裂く…

1体は凍りつき罅が入って砕け散り、もう1体は1体目と同じように燃え尽きた…

ソードガールは3体もいたエンド・オブ・アヌビスを一瞬にして撃破した梨音にとても驚いていた…

私はこの世界と異世界でいろんなデュエルを見てみたが…こんなデュエルをした少年は今まで見たこともない…あいつはいったい……何者なのだ…?


「大丈夫か……!」

(あぁ…大丈夫だ…ところで……)

その少女はあることを聞こうとする…。梨音もゾクっとして聞くことにした……


(今日…君の家に…留めてくれないか?)

「…………い、いいけど…見つからなきゃ…」

「ニャーン?」




【フェイズ2 2】エンチャート・ソードガールの秘密…

PM 7:08、デュエル・アカデミア・オベリスク・ブルー男子寮

その外で梨音はエンチャート・ソードガールという半透明の魔法少女と一緒に歩きながら寮に無事帰宅した…


すると梨音はちょうど入口にいた3人のうち、アカデミア生徒が来ている服ではない黒いスーツで金髪の少年に声をかけられる…

「やぁ、梨音!今日は帰り遅かったのかい。」

「リーフ…お前、帰って来てたのか…」

「あぁ…今日から数日間ほど、プロの日がオフになったからね……」


黒のスーツを着た少年の名はリーフ・フォルセティ…梨音の友達でありプロリーグで活躍するプロデュエリストである…

(梨音…あの人…お前の仲間なのか…?)

ソードガールは質問する…。

梨音は何も言わず、コクッと首を下に動かして「ウン」という意味でうなずく…

「フン…お前…いつもそのデブ猫と一緒にいるが…お気に入りか?」


リーフの横にいた背の低い眼鏡の少年―福間 臼木(フクマ ウスキ)は梨音の下にいるファラオを見て、嫌味を言う。

梨音はムッとするが、冷静でいた…だが、ソードガールは福間にムカつきを覚えた…

(何こいつ!…すっごいムカつくんだけど!!)

「まぁ…落ち着けって……」

梨音は小声で言うと、ファラオは自分だと思ったのか「ニャーン?」と叫んだ…


「フン!まぁいいさ…それに明日の実技試験、この私が相手だ…まぁ、どの道勝つのはこの私だがな……」

「まぁまぁ…福間もいい加減に……」

リーフは福間に説得を試みた…

だが…すでに一人だけ、すでにキレていた者がいた。

(おい……)


ソードガールは福間に声をかける…そしてどこから持ってきたのか…ビックバン・シュートを自分のきき足に装着する…その様子を梨音は見ていた…

「お…おい、お前……何を…」

「…どうした?またその―」


福間が梨音の反応に気づき、振り向いた。


その次の瞬間―!!

(おりゃあああああああああああああああ!!!!!)



―バッゴ―――――――ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「おうぅ!!!?」

ソードガールが履いていたビックバン・シュートで福間を蹴り飛ばす。

そして梨音はあることを思い出す…

こ、これは…俺が以前漫画で見たことがある…


黒いスーツを着た料理人が、狼男に真っ赤に燃える足で思いっきり蹴ったのと、とてもそっくりだ…!!

そっくりなのはそっくりだが……

当たったところが…少し下だというのが…最悪なところであった…


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ―」

あぁ!…こ、これは…痛いとかというレベルってもんじゃない…


福間は自分に何が起こったかわからないまま、オベリスク・ブルーの中にある階段まで一気に吹っ飛んだ…

(フン!どんなものなのだ!!)

ソードガールは両手を腰に置き、福間に対してえばる。

だが梨音はそんなやんちゃな彼女の手を掴み、ファラオを別の腕で持ちながらそのまま寮へと入って自分の部屋まで行った…


「お、おい…何があったかわからんが…大丈夫か福間?」

リーフの横にいた灰色の寡黙な少年、銃塚 功瑛(ツツヅカ コウエイ)は福間に声をかける…


「ぐ……おおお…い…今……大切な…所…から……ビック…バン……が…」

福間はそのビックバンの起こったところを抑え、そのまま気を失ってしまった…




梨音の部屋……

「ったく!何で急に福間の大切な社会の窓をビックバンするんだよ…」

梨音は2つのティーカップに紅茶を入れ、ミルクを別の容器で温めてそれらをソードガールの座っているテーブルに置いた。

(ムカついたのだ!あいつお前のことさんざん馬鹿にしているから…)

ソードガールはテーブルからちょっと離れて足を上下に振り回す。

「まぁいいさ…気に入らないのは仕方がないけど…あいつはかなり有能な頭脳を持ってて、なかなか頭はいい方なんだよ…それに……」

(それに…?)

ソードガールは紅茶の入ったカップを持ち、ミルクを入れて飲み始める…


「あいつ…日本の現在の総理大臣の息子さんなんだ。」

ソードガールは一瞬にして口にした紅茶を水鉄砲のように吐いてしまう。

一応梨音はそれを紙一重でカワした。


(あ、あいつって総理の息子だったのか!?)

「そ、そうだが…?」

(いやぁ、驚いたのだ…以前は鯉瓜総理の時代だったのに…)

ソードガールは少し、感心してしまう…


「ところで……」

(ん?何なのだ……私がいったい何者なのか…か?)

「そ、そうだけど…」

梨音は一番知りたかったことをついに聞くことにした。

ソードガールは少し息を吐き…カップをおいて語り始めた…


(私の名は美香月 愛華(ミカツキ アイカ)…今はある理由でカードの精霊、エンチャート・ソードガールと魂を融合して生きている…)

「カードの…精霊……?魂と融合??」

梨音はそのことを聞いて頭がチンプンカンプンになる。


(やはり分からないと思うが…カードの精霊とは、デュエルモンスターズのカードにごく稀に、宿主にそのカードに宿る精霊がいて、その所持者にしか見えない物がカードの精霊なのだ…宿主はその精霊と喋ったり、触れたりすることができるのだ。)

「ん〜………要するに、自分を守る守護霊やジョジョの漫画で出てくるスタンドみたいなもの…か?」

(……まぁ、全く意味は違うと思うが…だいたいそんな感じなのだ…)

「そうか…!俺がお前のカードを拾ったから…だからお前の姿を見ることができたんだ!!」

梨音はデッキに入れていた「エンチャート・ソードガール」のカードをデッキから抜いてカードを見る…

(な?まさかお前!?そのカードを拾っていたのか!!)

「あ…やっぱりあんたのカードだったの?」

(そうなのだ!偶然にもそのカードが決闘盤から外れて気づいたらそのカードがあったから今まで大事にしていたのだ……ここに来た時に失くしてしまったのだが…ひ、拾ってくれて…あ、ありがとう…)

「どうも…」


愛華は紅茶を啜りながら話をする…

(私も幼いころにエンチャート・ソードガールを手に入れたとき、そのカードに精霊が宿っていて、よく話したことがあったのだ…。)

「幼い頃って…やっぱりお前元は女の子だったの?」

梨音はテーブルに右ひじをつき、話を聞く。

(あぁ…確かに私は4年前までどこにでもいる女の子だったのだ…だが4年前、このアカデミアに見学に来た時…不運にも道に迷ってどこかの寮に迷い込み、その中にあった何か研究所のような所で一人の男にあって…その人に元に戻りたいから話したらデュエルに勝てたら教えてやろうと言ったのだ…)

「それで…デュエルして?」

(そう…それでデュエルしたのだ……それが私の一番の後悔だったのだ…デュエルしたらダメージを受けるたびに体に痛みが出て、奴が世にも恐ろしいモンスターを出してきて…それでも頑張ってソードガールを召喚して何とか乗り越えようとしたんだけど…)


愛華は肘をテーブルに置き頭に手をつけ顔を下げる…

(そしたらあいつが発動した「超融合」とかというカードを発動してきた瞬間、私の体に強烈な痛みが走って、そしたら一瞬気を失って…気がつくと私の場にモンスターが消え去ったの…あたりを見渡して、後ろを見たら…私が……倒れていたのだ…)


梨音は一瞬驚くが…不意に質問してしまう…

「お…おい、それって自分が死んじゃって幽霊になっちゃったってことなんじゃ…」


(違う!そんなんじゃないのだ!!)

愛華は少し半泣きになりながらテーブルをバンっと叩く。

(確かにあれは私だった!眼の瞳孔は開いていたが、息はしていた!だがら、私はちゃんと生きているのだ!!)


梨音は反論しようと思っていたが…彼女の顔を見て反論することを止めた…

「し、しかし…体から魂が抜けたとしたら……すぐに体の中に入って元に戻れたんじゃないのか?」

(そ、それはそうだとしたら、そうだと思っていたのだが…あの超融合によってエンチャート・ソードガールと私の魂が融合した後、突如不気味な黒い穴が出てきて…そこに思いっきり吸い込まれてしまったのだ…そして気づいた時には、見覚えのない世界が目に見えたのだ…)


「見たこともない……世界…」

梨音はふと、あることを2つ思い出した……


一つは去年、このデュエル・アカデミアが突如島から消え去るというものだった…

その時梨音はここにはいなかったが、このことは新聞やニュースで騒がれていけど、数日でこの学園は元に戻っていた…


そしてもうひとつ…これは梨音自身が経験したことだが…

誰かとデュエルした際に、不運にも1ターンKILLで敗北し、突如目の前が真っ黒に染まった…


そして気づいた時には世界が海のように青く、カードや人型のシェルエットがたくさん見えていた……

一体誰が誰であるかわからないのだが…その間に、シェルエットではない一人の少女が見えたのを思い出す…

そして何事もなかったまま自分は元の世界に戻っていた…


−見たこともない世界…もしかしたら彼女は後者の方を4年間も過ごしたんじゃないだろうか…

とりあえず聞いてみよう…

「な、なぁ…ソードガ…いや、愛華……」

(?…なんだ……?)

「その世界って海のような所で、人やカードの形をしたカードの精霊じゃないのか…?」

(…いや…私が来た世界はデュエルモンスターズのカードが実体化した世界で、他は地球とほとんど変わらないのだ……)

「そ、そうか……(やはり…俺の思い違いか……)」


(私はその世界でモンスターと数年間闘いながら生きてきた…そして数日前……私が吸い込まれた穴とほぼ同じものを偶然にも発見し、そこに入ったら私はこの世界に帰ってこれたのだ…)


愛華は話を終えるとカップに入っていた残りの紅茶を一気に飲み干す…

飲み干した後…彼女の頬に一筋の涙がこぼれ落ちる……

(私は元に戻りたい…!!カードの精霊なんかじゃなく…元の普通の女の子に……そして同じ子と遊んだり喋ったり!……そして…そして……母さんや父さん…それにお姉ちゃんと………家族に会いたいよ!!)

−!!


愛華は叫んだ瞬間、大声をあげて泣き出した……泣いても…彼にしか…聞こえない声をただただ大きく泣き叫ぶ…



そして梨音に…「家族」の言葉が響いた……


「…………」

梨音は思った……

この少女を助けたい…と……

「なぁ…愛華…」

(う…うぇ……何なのだ…梨音……)


「そのさ…要するに…君の体に君の魂を入れたら…元に…戻れるんだよな…」

(……そうなのだ…きっと……そうなのだ……)


「では…無理かもしれないけど……俺に手伝えることがあれば…手伝うぜ……君を元に戻すことを…!」

(ホント!?…ホント……なのか!?)

「ホントって言いたいところだが…はたしてどうなるか分からない…それでも頑張ってみるさ…」


(そ…そうなのか……あ…ありがとう……梨音…)

愛華は涙を拭い…そっと笑顔を作る……








こうして俺は…絶対に不可能と思われることに……挑戦することに……なった…

















その頃、愛華にビックバン・シュートで蹴り飛ばされた福間は……



「が…ガガガガガ……またビックバンが…」




蹴られた部分を手と氷で押さえながらベッドで意識不明になっていた…




【フェイズ2 3】恨みの結束…

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


梨音は俊足の足でジャンプし、炎の剣で二頭を持つキングレックスを真っ二つに切り裂き消滅させた…

(やったな梨音!!)

「あぁ…しかしまさか朝二回連続でモンスターが出現するなんて思ってもなかったぜ……」


梨音は持っていた炎の剣を肩に置く…

(そうだな…私が出た時にはもう穴は消え去ったと思ったのだが……)


梨音は炎の剣を戻し、う〜ん、と考えていた…

(う〜ん…俺がテーブルで寝ていたところを愛華に起こされて言ったはいいものの…もし、授業中なんかに襲われたらどうしよう…)

梨音はもう既に自分の生活に不安になり始める…


愛華が来てから彼女の分の料理を作ってあげたり、愛華にふすまの中で青メカタヌキのようにそこで寝貸せようとして文句言われたり、…もしかしたら永遠に続くのか?と思うことがたくさんあっていてもたってもいられなかった…



「お〜い!梨音ク〜ン!!」

「…この声は……亜美(アミ)か……」


後ろからピンク色の髪を持った少女―茜色 亜美(アカネイロ)が梨音のそばに寄ってくる。

「どうしたの〜こんな所で?」

「あぁ…デュエルの……朝連だけど…」

「そっかぁ〜早いね梨音君は!」

「そ…そうかなぁ……」


梨音は照れくさそうに自分の髪をかく。

「あ!そうそう昨日から噂になってるんだけど……」

「え!?…な、なんだ?」


梨音は一瞬ビクッとする。

(ま、まさか愛華のことがばれたのか!?…た、たしか昨日あいつと一緒に紅茶飲んでたし…それが幽霊とお茶を飲んで立って言われたのだろうか…それにしてもこんな半透明な精霊も現世の料理を食べれるのか…?疑問がますます深まるばかりだ…)


「あ…あのその……君が福間君を思いっきり蹴って階段までぶっ飛ばしたってホント…?」

梨音は予想外のことに頭がポカンとなる。

「ハイ?」

「いや…昨日ね……噂で流れたんだけど、君が福間君に嫌み言われたからそれにキレて思いっきり蹴り飛ばして重傷を負わせたって…り、梨音君かなり運動神経が高いから……」


ち、違う!それは愛華が……

梨音は必死に言い訳を考える…だが、言い訳が全く思いつかない…


それどころか―

「けど、すごいね梨音君は…総理の息子さんに対して、危険を顧みず蹴り飛ばすなんて……」


「い…いや違うって俺なんかじゃなくあいつが―」



「そうだ…私が悪かったのさ……」


梨音達は声のした方に振り向くと、福間が不機嫌そうに立っていた…

「ふ、福間いつの間に……」

「フン!たまたまここを通っただけだ…それに今日は月に1度行われる定期テストでの実技では貴様とのデュエルだからな…覚悟しておけ!!」


―っと言って福間はそのまま一人でアカデミアに行ってしまった……

「……やっぱり…謝った方がいいんじゃない梨音…」

「そ、そうかもしれないな………ホントは俺じゃないんだけど…」


(何を言ってるのだ梨音!どう考えても悪いのは福間ではないか!!)


お、お前が言うなよ!


−数分後…

デュエル・アカデミア…1年教室


「それでーハ!今から筆記試験行うノーネ!」

教壇の上でクロノス教頭が筆記試験開始の開始を宣言する。


そして教室にいる生徒全員が一斉にテストプリントを捲り、それぞれ回答用紙に答えを書いていく。

梨音もうまく考えて回答用紙に回答を書いていくのだが……

(なぁ、梨音……リーフやさっきの女の子答案にはユベルの効果をスキルドレインで無効にするって書いてあるぞ!)

「(超小声)マジでか…………あ、そうかスキルドレインで無効にすれば戦闘ダメージは与えられるし…って何やってんだあんたは!!」


と愛華が他人のテストを勝手に見ながら梨音に伝えようとする。

梨音は嫌がったが、渋々聞いてみることにした…(明らかに不正行為だから精霊を使って他人の回答を見るのは『絶対』に止めましょう。下手すりゃ退学にもなりうるし…)





そして筆記試験の授業が終了し……ついに最悪の実技試験が始まることとなった…


「え〜それで〜はセニョール大徳寺と、セニョール福間!早速デュエルをしてもらうノーネ!」


そう…教頭の言うとおり今回は福間とのデュエルとなっているのであった。


「フン!とうとうこの時がやってきたな!」

福間はやはり不機嫌であった…


「お…おいおい……そんな不機嫌なままデュエルするのは止めた方が…」

「言い訳無駄!とっととデュエルを開始するぞ!!」

「やはり……無理だったか…」

梨音は説得をするも失敗しため息をつく…

(梨音!あんな奴なんか軽くぶっ飛ばすのだ!!)

「わかってるって…」


「「デュエル!!」」

梨音:LP4000

福間:LP4000


「私の先行!ドローフェイズ!私は六武衆―カモンを攻撃表示で召喚!!そしてカードを3枚セットしターンエンド!」

六武衆―カモン
炎属性 戦士族 ☆3 ATK1500 DEF1000
自分フィールド上に「六武衆−カモン」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが存在する限り、1ターンに1度だけ表側表示で存在する魔法または罠カード1枚を破壊する事ができる。この効果を使用したターンこのモンスターは攻撃宣言をする事ができない。このカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の「六武衆」と名のついたモンスターを破壊する事ができる。


「序盤から攻撃力1500以上のモンスターを攻撃表示……俺のターン、ドロー!」

「この瞬間永続罠カード、魔封じの芳香を発動!お互いの魔法カードは1度セットし、次の自分のターンまで待たなければ発動することができない。

魔封じの芳香
永続罠カード
このカードがフィールド上にある限り、魔法カードは一度フィールドにセットし、次の自分のターンが来るまで使用できない。

「いきなり魔法カード封じか…ならば!俺は魔法剣‐エア・ブレードを攻撃表示で召喚!!」

梨音の右手から竜巻のような剣が形成される…

魔法剣‐エア・ブレード
風属性 魔法使い族 ☆3 ATK1600 DEF 800
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。このカードが2回戦闘を行った場合、エンドフェイズにフィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。

「バトルだ!エア・ブレードで六武衆カモンに攻撃する!ストリーム・セイバー!!」

梨音は自分が持っていた剣から竜巻を形成して相手に放ち、カモンを切り刻んだ。

「ぐ、ぐぅ…なんのこれしき……」

「まだだ!エア・ブレードが戦闘を行ったことによりもう1度攻撃する!ストリーム・セイバー!!」

「ぐわぁぁぁぁぁ―!!!」


福間:LP4000→3900→2300

「俺はカードを1枚セットし、エア・ブレードの効果発動!このカードが2回攻撃を行った場合、フィールド上の魔法・罠カードを選択して破壊する…対象はモチロン!魔封じの芳香!!」

「私はこの効果にチェーンし、永続罠カード、神速の具足を発動!!」

福間はカードを発動したが何も起こらず、そのままエア・ブレードの突風で魔封じの芳香を破壊した…

(よし!このまま押し切るのだ!梨音!!)

「あぁ!…ターンエンドだ!!」

「私のターン、ドロー!!」


福間がドローした瞬間、ドローしたカードがバチっと静電気を帯びた。

ドローカード:六武衆―イロウ

「この瞬間!神速の装具の効果発動!!ドローフェイズ時に六武衆と名のついたモンスターをドローした場合、そのカードを見せることで私のフィールドに特殊召喚できる!」

神速の装具
永続罠カード
自分のドローフェイズにドローしたカードが「六武衆」と名のついたモンスターカードだった場合、そのカードを相手に見せる事で自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

「ドローしたカードは六武衆―イロウ…よってこのカードを特殊召喚する!そして手札から六武衆−ニサシを召喚!!」


一瞬にして六武衆のモンスターが2体も召喚される…

六武衆―イロウ
闇属性 戦士族 ☆4 ATK1700 DEF1200
自分フィールド上に「六武衆−イロウ」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが存在する限り、裏側守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わず裏側守備表示のままそのモンスターを破壊する。このカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の「六武衆」と名のついたモンスターを破壊する事ができる。

六武衆―ニサシ
風属性 戦士族 ☆4 ATK1400 DEF 700
自分フィールド上に「六武衆−ヤリザ」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが存在する限り、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。このカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の「六武衆」と名のついたモンスターを破壊する事ができる。

(い…一瞬で2体も召喚するとは…あいつもなかなかの腕前なのだ…)

愛華は歯を食いしばる…

しかし梨音はいたって冷静だった…


「バトル!イロウでエア・ブレードを攻撃!!」

イロウの持つ闇の刀が風の剣を切り裂く。

「ぐ…」


梨音:LP4000→3900
「そしてニサシで直接攻撃だ!!」

「させるか!罠モンスター、パワード・ソード!相手のバトルフェイズ時に俺の場に攻撃力2000のモンスターとなって特殊召喚される!」

梨音の場に透明なバリアの剣が出現した。

魔法剣‐パワード・ソード
永続罠カード
相手モンスターの直接攻撃時に発動できる。このカードは発動後モンスターカード(魔法使い族・光・星4・攻2000/守1000)となり、自分のモンスターカードゾーンに攻撃表示で特殊召喚する。自分フィールド上に「魔法剣‐リフレクト・ソード」以外の「魔法剣」と名のついたモンスターが存在しない場合、このカードは攻撃をする事ができない。(このカードは罠カードとしても扱う)


「これで二サシの攻撃を封じ込めることができたぜ!!」

「フン!確かにそうだが…これぐらいすぐに対処できる……私は速攻魔法六武衆の理を発動!場の六武衆―ニサシを墓地に送り、墓地にいるカモンを私の場に特殊召喚する!!」

「!?」


六武衆の理
速効魔法カード
自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を墓地へ送って発動する。墓地に存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

「そして六武衆―カモンの効果により、このカード以外の他の六武衆が存在すれば、フィールド上で表になっている魔法・罠カードを破壊する!破壊するのはパワード・ソードだ!!」

カモンは持っていた爆弾をキセルで火をつけ、それをブン投げて梨音のパワード・ソードを爆破した。

「ぐぁ…」

「ターンエンドだ!」


自分のライフは変わらないものの、梨音は劣勢に立たされていた。

「お、俺のターンドロー!…これは!!」

「ん?どうした梨音…」


やはりムッとして梨音を睨みつける福間…

「福間!俺はこのカードで逆転につなげるぜ!」

「なに!?」


梨音はドローしたカードを手札に加えず右手に持ったままだった。

(なんだ?何を引いたのだ…!?)




「俺は手札よりこのカードを場に出す!」

そう言って梨音は決闘盤にカードをセットした。




【フェイズ2 4】エンチャート・ソードガール召喚!!

なんだ…なにを発動するんだ!?

福間はいろいろと梨音の行動を考える…


そして梨音はドローしたカードを決闘盤にセットする。


「へへ!行くぜ、福間…これが逆転の可能性を持つキーカードだ!手札より装備魔法発動!!」


梨音は装備カードをイロウに装備する…

イロウの刀は…木刀の先がトゲトゲのような物に変貌した…いや、よく見ると…左手にその先のような物を持っているのが見えた…


このデュエルを生徒や教師…そしてその対戦相手の福間までもがなんて言えばいいか分からなかった…

(り…梨音……そのカードは…いったい……)

「装備魔法!―折れ竹光!!」


折れ竹光
装備魔法カード
装備モンスターの攻撃力は0ポイントアップする。

「ふ…ふふふ……ふざけるなぁー!!!」

大激怒する福間…

「貴様!そんなカードを装備しても何のネタにもならんぞ!私をナメテいるのか!?」

「いいや!このカードも何か無限の可能性を誇るカードの1枚!!そして今、逆転の可能性を作り上げる!!魔法カード、黄金色の竹光!俺の場に竹光と名のついたカードが存在するとき発動可能!デッキから2枚ドローする!!」


黄金色の竹光
装備魔法カード
自分フィールド上に「竹光」と名のついた装備魔法カードが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローする。

梨音はデッキからカードをドローしてカードを確認する…

「よし!行ける!!俺はフィールド魔法、ソーディアン・グラウンドを発動する!!」

梨音はフィールドカードゾーンを開け、そこにフィールド魔法を置く。

フィールドは大きな魔法陣の描かれた荒れ果てた荒野となり、そこに無数の剣が大量に刺さっていた…


「そしてソーディアン・グラウンドの効果発動!俺は手札の魔法剣‐ブリザードソードを捨て、デッキから別の魔法剣のカードを攻撃表示で特殊召喚する!!」

「な…なにぃ!?」


ソーディアン・グラウンド
フィールド魔法カード
自分フィールド上に表側表示で存在する「魔法剣」と名のついたモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。また、自分フィールド上に「魔法剣」と名のついたモンスターが存在しない場合、デッキからレベル3以下の「魔法剣」と名のついたモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。この効果を使用する場合、このターン通常召喚を行うことはできない。

「俺はデッキからエンジェル・セイバーを特殊召喚!そしてこのカードの特殊召喚に成功した場合、デッキから2枚ドローし、そのうち1枚をデッキに戻す。」

彼の右手には、葉っぱと植物のツルのような物が生え、そこから羽根と天使の輪の付いた光の剣が生まれた。


魔法剣‐エンジェル・セイバー
光属性 魔法使い族 ☆3 ATK1500 DEF 800
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。このカードが自分の魔法カードの効果で特殊召喚に成功した場合、自分のデッキからカードを2枚ドローし、そのうち1枚を選択して自分のデッキに戻す。

「そしてソーディアン・グラウンドのもう1つの効果により、魔法剣の攻撃力と守備力を500アップ!」

魔法剣‐エンジェル・セイバー:ATK1500 DEF 800
                 →ATK2000 DEF1300

「バトル!エンジェル・セイバーで六武衆―カモンを攻撃!−グランス・ブレイブ!!」

梨音は光の剣を振り付きのような斬撃を放ちカモンは爆発を起こした…

だが…

(な!?…何でイロウが……!?)

愛華は仰天した。


なんとイロウがカモンの前に立ち、代わりに攻撃を受けたのである。

「六武衆は自分以外に他の六武衆がいる場合、代わりに破壊することで破壊をまぬがれる…見方が自分の身を犠牲にしてまでも見方を救うのだ……」

福間:LP2300→1800


「……カードを1枚セットし、ターンエンドだ!」

「フン!俺のターン、ドロー!……ドローしたカードは六武衆ではない…だが!罠カード、六武衆推参!発動!墓地に存在する六武衆―イロウを1体特殊召喚する!!」

六武衆推参!
通常罠カード
自分の墓地に存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に破壊される。


「く…フィールド上にまた2体の六武衆が…」

「そして私はドローした大将軍 紫炎を特殊召喚!このカードは私の場に2体の六武衆がいることで特殊召喚できる!!」

福間の場に紫色の炎が燃え盛り、その中から赤い甲冑を着た将軍が姿を現した。

大将軍 紫炎
炎属性 戦士族 ☆7 ATK2500 DEF2400
自分フィールド上の「六武衆」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手プレイヤーは1ターンに1度しか魔法・罠カードの発動ができない。このカードが破壊される場合、代わりに「六武衆」という名のついたモンスターを破壊する事ができる。

「こ、攻撃力2500だと…」

「そしてカモンの効果により、このターン攻撃しない代わりに、場に表側表示で存在する魔法・罠カードを破壊する!対象はソーディアン・グラウンド!!」


カモンは大量の爆弾の導火線にキセルで全てに火を付けて投げ、ソーディアン・グラウンドをすべて爆発させた。


「これでお前のエンジェル・セイバーの攻撃力は下がった…」

魔法剣―エンジェル・セイバー:ATK2000→1500

「バトルだ!大将軍 紫炎でエンジェル・セイバーを攻撃!!」


紫炎は持っていた刀で梨音の魔法剣を切ろうとする…

「掛った!リバース罠!ブレード・ブラスト!!このカードは相手が俺の魔法剣を攻撃対象にした場合、相手に700ポイントのダメージを与え、攻撃したモンスターを破壊する!!」


ブレード・ブラスト
通常罠カード
相手モンスターが自分フィールド上に表側表示で存在する「魔法剣」と名のついたモンスターに攻撃宣言した場合発動可能。相手に700ポイントのダメージを与え、攻撃宣言したモンスターを破壊する。

梨音のエンジェル・セイバーが再び光りだし、また、さっきの攻撃のように大爆発が起こる…

福間:LP1800→1100


だが…

「無駄だ!大将軍 紫炎の効果発動!!私の場の六武衆―カモンを代わりに破壊する!!」

「な…なにぃ!?」


爆風でカモンが代わりに吹き飛ばされる…だが、紫炎はカモンの死を心に刻みながら一気に梨音のエンジェル・セイバーを切り砕いた…

「ぐわ!!」

梨音:LP3900→2900


「まだだ!イロウでプレイヤーにダイレクトアタック!!」

イロウの漆黒の刀が梨音を一気に切り裂く―


−ズバァァン!!

「ぐはぁぁぁ―!!!」

梨音:LP2900→1200


「ターンエンド!大将軍 紫炎が私の場にいる限り、貴様が発動できる魔法・罠カードは1枚までだ!!さぁ、お前のターンだ!!」

「く…俺のターン……」


今、この状況を逆転する可能性があるのは死者蘇生のカード…このカードで魔法剣を復活させて別の魔法剣を召喚できれば、一気にサバティエル・パラディンを召喚することができる…

だが…そのサバティエル・パラディンは俺のデッキに眠ったまま…

ならば…一気にドローするしかない…!…

「ドロー!!」

梨音はカードをドローした瞬間…ドローしたカードが少し光ったのを感じた…

(梨音!…そのカード……!!)

愛華は梨音がドローしたカードの反応を言う…

そして梨音はそのカードを確認し、カードを見つめ…決心する。


「俺は手札より魔法カード死者蘇生を発動!!墓地より蘇れ!―エンジェル・セイバー!!そしてこのカードの特殊召喚によりカードを2枚ドローし、そのうち1枚をデッキに戻す!」

死者蘇生
通常魔法カード
自分または相手の墓地からモンスターを1体選択する。選択したモンスターを自分のフィールド上に特殊召喚する。


「だが、死者蘇生を使ったことにより、もうお前は魔法を使うことが許させない!例えアドバンス召喚をしようとしても攻撃力2500の紫炎を倒すことはできまい!!」

「確かもそうかもな…だが、やってみなきゃ分からない!行くぜ、俺はエンジェル・セイバーをリリースし―」


梨音の魔法剣が解かれ…そこから赤いオーラが立ち込める…

そこから赤いマジシャン衣装を着た、一人の魔法剣士の少女が姿を現した…


「アドバンス召喚!エンチャート・ソードガール!!」

その直後だった―!!


『カワイイ〜!!!!!!!!!!』

突然観衆から女の子達がキャーキャーと喚き散らす…

召喚された愛華がそれほど可愛かったのだろうか……梨音達は頬を少し赤くした…

(な…なんだか…す、すごいことなっているぞ梨音…)

「お…おう……」

「き…ききききき…きさまも…な、なかなか…いいいいいい女の子に…きょ、興味が…あ、あ、あ…あるんだな……」


福間も召喚された愛華を見て、顔を真っ赤にしながら鼻血をドバドバ垂らしていた…

『お前もかい!!』

「し…しかし……いくらアドバンス召喚したところで…この紫炎は簡単に破壊できないぞ!!」

「エンチャート・ソードガールの攻撃力は2200…だが、このカードには特殊能力がある!エンチャート・ソードガールの効果発動!!」


愛華は持っていた魔法の剣を天に指す…そこから赤い桜のような光を出す…

その光の魔力により、紫炎達の力が弱まっていくのを感じた…

「な、何だ…何の能力だ!?」


「エンチャート・ソードガールの特殊効果…このカードが場にいる限り、相手モンスターの全ての効果を無効にする!!」

「な、なんだとぉー!?」

エンチャート・ソードガール
光属性 魔法使い族 ☆6 ATK2200 DEF1800
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上と墓地に存在する効果モンスターは全て効果が無効化される。

「これで俺は再び魔法カードが使いたい放題になった!!装備魔法、シンクロ・ヒーローをソードガールに装備!装備したモンスターのレベルを1上げ、攻撃力を500アップする!!」


シンクロ・ヒーロー
装備魔法カード
装備モンスターのレベルを1つ上げ、攻撃力は500ポイントアップする。

エンチャート・ソードガール:☆6 ATK2200→☆7 ATK2700

「そして行くぜ!ライフを1000払い―魔法カード、拡散する波動発動!!このターン選択したレベル7以上の魔法使い族モンスターだけが攻撃可能となり、そのモンスターは連続攻撃を行うことができる!!」

「な、なにぃ!?シンクロ・ヒーローは拡散する波動の発動条件をクリアするための戦術だったのか!!」


梨音:LP1200→ 200

拡散する波動
通常魔法カード
1000ライフポイントを払う。自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体を選択する。このターン、選択したモンスターのみが攻撃可能になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃する。この攻撃で破壊された効果モンスターの効果は発動しない。

愛華は剣に膨大な魔力を蓄え…それが巨大な魔力の球体となる。

「行くぜ!エンチャート・ソードガールの攻撃!!」


愛華は剣を天につき膨大に溜まった魔力の斬撃を一気に放出した。

(くらえ!!ドリームズ!オブ・ブレード・マジック!!)



−ドッカーン!!

福間は六武衆達ごと、一瞬にして無限の斬撃に飲み込まれた。

「ぎゃああああああああああああああああ―!!!!!」


福間:LP1100→   0


「そこまでナノーネ!勝者―はセニョーラ梨音ナノーネ!!」

「おっしゃ〜!勝ったぜ愛華!お前のおかげだぜ!!」

(あぁ!それに君への声援が、周りから聞こえるのだ…)


確かにフィールドでは確かに歓声の声が聞こえていた…


『ソードガール!ソードガール!ソードガール!!』


「って愛華の方かよ!!」




【フェイズ2 5】語る過去……

定期試験終了後…


梨音は彼女のあった出来事を調べるため、一人コンピューター室に入って行く…

「ここがコンピューター室か…」

梨音は持っていた生徒手帳を使い入口を開ける…


そしてコンピューター室の電源を入れ、早速ある調査を開始した。

もちろんそれは4年前、愛華が巻き込まれたという忘れられた事件のこと…

愛華が経験したという情報だけでは事件は解決できない、そこで元に戻す手掛かりが掴めるかもしれないと、このコンピューター室に忍び込んだ。(正確には堂々と入ったのだが……)


この学園のコンピューターは普通にある学校のコンピューターとは違い、政界などで使われるスーパーコンピューターだ。なので、愛華の巻き込まれた事件にも何か情報があるだろうと梨音は考えていた。


そして梨音はコンピューターの画面を見て調べ始めた。

「ん〜…過去の出来事が消去されてなきゃいいけど……」

梨音は情報を見ながら調べ続ける…

今出ているのは制服や寮を白く塗られた光の結社事件である。

「…三幻魔事件……セブンスターズとの戦い………あった!」


梨音は愛華についての情報をついに見つけた。

「え〜と……」


200X年 3月2X日…

一人の見学者が特対生用の寮から離れた所で意識不明の重体で発見される。

意識不明の重体になっているのは美香月 愛華(12)で、当時彼女はこの学園に見学しに来たが、昨夜から行方不明となり、捜索が続けられていた。最近この特対生寮で多数の生徒が相次いで行方不明になっている。


「相次いで行方不明……か…どうやらこの学園…以前から不可解な出来事が起こっていたみたいだな……」

さらに梨音はその情報を読み続ける…



その被害者の第一発見者はオシリス・レッド寮長を務める大徳寺教授。



「?……俺と同じ苗字を持つ先生がいたなんて…」


梨音はとても驚く…そして、少し淋しげな表情で……あることを思い出し始めた…

****************************************

「ねぇあなた……本当にあの子にあのことを言わなくていいの…」

「もう少し待とう…今の梨音が聞いたら、ショックは受けきれない……」


****************************************



「……」

「梨音………梨音?」

「え…うわぁい!?」


突如後ろから一人の少年の声が聞こえる…

喋っていたのは銃塚であった。

「な、なんだ、銃塚か…一体どうしたんだ?」


「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………いや…たまたま通りかかっただけだ…」

「あ…そう……」


今、1分ほど長い沈黙があったものの特にツッコムことはできなかった…









(それで…それだけなのか……)

愛華は俺のベッドに寝転びながら梨音の話を聞いていた。

「ん…そ、それだけだ……」


梨音はさっき調べたことを愛華に知らせる…

(ん〜…やはりヒィ科学的なものなのか梨音と同じ苗字の人が助けたって言うことだけか…でもよかった。私の肉体があって。)

ほっとする愛華…

「でもさぁ…意識不明の重体でその肉体があっても、その中に戻る方法がなきゃ意味がないんじゃ…」

(ん〜問題はそこなのだ…さすがにこのようなことは誰にも分からないし、仮に方法があったとしても、精霊と融合した状態で中に入る方法があればいいのだが…)


しばらく考え込む梨音達…

でも梨音はどうしても気になることが一つあった……


「……な、なぁ愛華…」

(なんなのだ?)

「あの…少し気になることがあって……」


(気になること?…あぁ、気持ちはわかるが…お前のように年頃の―)

「いや、違う……そんなはしたないものじゃないから…」

梨音は顔を赤くして反論した。

(では何なのだ?…怒ったりしないから言ってみるのだ。)

「そ、それじゃぁ…言うけど……異世界に来た時…どんなのがあったんだ…?」


(あぁ、それかぁ……あまり口にするのもあれだけど…わかった、話してみよう…)



愛華は静かに語り始める……・


****************************************


そうだな…最初私がこの世界に来た時、正直私はどうすればいいか分からなかった…

ただただ歩くしかなかったのだ…

だが、それが最初に苦しんだことだ……

どこを行けばいいか…どこまでさ迷わなければならないのかわからない…ゴールのない道のりだった…



「く…苦しい……もう疲れたのだ…」

私は疲れ果てたのでしばらく木陰に座って休憩することにしたのだが、私には背入れになってしまっても、ある致命的な欠点があった…

「よ〜いしょっと…ってひやぁ!?」

私は座った瞬間、反射的に立ち上がる。

地面に僅かだが水たまりがあったのだ…


だが、私は泣きながら体をブルブルと震わせていた。

そう、私の体が生まれつき敏感であり、精霊状態になっても体が敏感なのが映ってしまったのだ。

本来ならある程度は平気なのだが、露出度の高い衣装のせいでさらに体が敏感になってしまって座ることもやっとであるのだ。(涙


でも、さすがに数年たてばこの衣装も来ても平気なのだが…暗黒界のようにネバネバしているところとかがどうしても無理なのだ…

次に困ったことは食料の確保とかなのだ。


非常食やモウヤンのカレーなど、異世界にはそれなりにあったのだが、私が一番つらかったのは釣りをしていた時だ…

その日、私はある程度釣りになれて楽しく釣りをしていたところ釣り竿に何かが引っかかり釣りあげたらマッド・ロブスターというモンスターを引き上げたのだ。

それで私は即座に自分の剣でそれを突き刺し、焼いて食べたのだ…


そして数分後…私の体に何かが起こったのだ…

体が……いや…お腹が急におかしくなったのだ


「う…うぉぉぉぉぉ!?!?!?!???な、何なのだこれはぁ〜!??」

震えるぞハート!熱く燃えるほどヒート!!というくらいに自分のおなかの中が数時間もオーバーヒートしてしまったのだ…


「あ、あがぁぁぁぁ……ぐ、苦しい〜…」

私は手でお腹を支えながらのたうち回る。


そして数分後お注射天使リリーのいる病院にたどり着きなんとか災難なことから救われたのだ。

****************************************



(っとまぁ……今考えれば…もうウンザリなことが山ほどあったのだ…)

「ほ……ホントにお前の過ごした異世界って散々なものだったんだな…」

梨音は愛華の異世界での話を聞いたとき…悲しそうな顔で愛華の方を見た。


「一体どんな病院なんだよ…そこは…」


(最初来た時は散々なものだったけど…通い慣れればいい病院だったのだ。例えば、腕が?げた時にすぐに超再生能力で直してもらったり、ウィルスに掛った時に武装解除で戻してもらったり…な。)


「そ、それは…よ、よかったな……」

(とまぁ、散々な目にあったものの、世の中捨てたもんじゃないってこともあったのだ…でも去年……)

「去年…?」


(去年その異世界を、一人のデュエリストが莫大な軍勢で征服しようとした人物がいたのだ…)

「異世界を征服…!?そんなモンスターがいるなんて……」

(モンスターじゃない…デュエリストだったのだ……それも格別に恐ろしい…な…)

「そ、その人物の名は……」

その人物の名に、恐る恐る話す梨音と愛華…

だが、1階の入り口で何かが割れる音が愛華達の雑談の邪魔をした。




【フェイズ2 6】怪人仮面のデーモン

−ガシャン!!


1階からガラスのような物が割れた音がした。

「!?な、なんだ…」

(梨音!行ってみるのだ!!)


梨音は自分の部屋を飛び出し、音のした所に急いで駆け付ける。

そして駆け付けた時には既に数人の人物が玄関に来ていた。

「!…リーフ、銃塚、それに福間まで……いったい何があったんだ!?」

「あぁ梨音か、突然この人が急に玄関のガラスを割って入ってきたんだ。」


リーフが倒れている人に指を指す。

そこには、ここの寮にいる生徒のような人がガタガタと震えながら、割れた窓のガラスが散乱していた。

「あ…あぁ…化け物だぁ〜!!」

その少年は福間に抱きついで非情に怯えていた。

「お、おい!は、離せって!!」

「お、落ち着くんだ君!!」

慌てる福間は必死でその男を引き離そうとし、隣にいた深緑の少年―刹那が引き離そうとする。そしてしがみ付いた生徒のポケットから生徒手帳が落ちる。

「あ…おい…ポケットから手帳が‐」

刹那は落ちた手帳を拾おうとしたときだった。


急に寮の電源が切れ天井の光が消え去る。


「!?お、おい…急に天井の電源が切れたぞ!!」

「落ち着け梨音………………これはただことじゃないみたいだぞ…………」

「お、おい福間!しがみ付いていた男は!?」

「え?そいつは…あ、あれ!?」

福間は自分にしがみついていた少年を見回す。


だが…しがみついていたはずの少年は……

正面にいた大男が片手で持っていた…


「う…うおぉぉぉぉぉ!?な、何だぁこいつはぁ!?!?」

(あぁー!あいつさっき福間にしがみついていた少年をかついでいるのだ!!)

「な、なにぃ!?マジでかついでやがる!!」


「「えぇ!?」」

その大男は、さっきの少年を担いだまま、後ろ足で消え去っていった…

「あ!おい待てって!!」

(梨音!行くぞ!!)


梨音と愛華は急いでその大男の後を追う。

「あ、待て、梨音!一人で行動するな!!」

「俺達も後を追いかけよう!彼を一人にするのはいけない…」


リーフは福間に話しかけ、福間達も追いかけることにした。

「……………なぁ……」

「なんだ、刹那!」

「大したことではないが…あいつ誰かと話してなかったか?」







森の深い所で誰かが走っている音が聞こえる…

「……クソ!一体どこに行ったんだ、あの大男!!」

梨音は一人、正確には愛華と一緒に大男がいないか周りを見渡す…


(梨音!あそこ!!)

愛華が指を指しているところにさっきのさらわれた少年が倒れていた…

「!お、おいさっきの!大丈夫‐うおぉ!?」


梨音はその少年に近づこうとした瞬間―さっきの大男が目の前にまた現れた。

「だ、誰だ、お前は!!」

大男に話しかける梨音…


その男の外見は、黒いスーツのような服に銀色のサイボーグのような決闘盤をつけた、仮面の男であった…

やがて、その男が喋り始めた…

「我が名はタイタン…闇のデュエリストの一人であり…セブンスターズの一人である……」

「闇のデュエリスト……セブンスターズ………!そうか!!数年前三幻魔とか言うカードを強奪するために侵入してきた刺客の一人なのか…」

「そう…私は数年前6人目の刺客となり、ここにやってきたが敗北し…数年間闇の世界に閉じ込められていた…だが最近闇が枯渇し、私はそこから抜け出すことができたのだ……」

「それじゃぁ、今回の騒動はその復讐ってわけなのか……」

「そうだ…闇がなくても私には闇のゲームができるほど闇の力が僅かながら残っている…貴様がこのデュエルに勝たない限り、この男は返さない……」


彼がそう言った瞬間、倒れていた少年が消え去ってしまう…

「き、貴様!さっきの男をどうした!!」

「どこかに隠した…それに行ったはずだ、私をデュエルで倒さない限りこの男は返さないと…」


梨音は動揺したが…ふと、愛華に質問する……

「愛華…お前を精霊にしたのはこいつか……」

(違う!こんなごつい男ではないのだ!!)


「そうか…だが、こいつには何か手掛かりを持ってそうだ……危険は覚悟も承知!貴様をデュエルでぶっ飛ばす!!」

梨音はデッキをセットし、決闘盤をセットする。

「それではまずは貴様から復讐の犠牲になってもらおう…」


タイタンの右腕から悪魔の羽のような決闘盤を出し、デッキからカードを5枚ドローする。



「「デュエル!!」」


「あぁ!遅かったか……!!」

福間達がやっと梨音の所にたどり着いた時には既にデュエルが開始されたところであった…


梨音:LP4000

タイタン:LP4000

「私のターン、ドロー!私は手札のジェネラルデーモンを墓地に送り効果発動…、デッキから万魔殿―悪魔の巣窟−を手札に加え…発動―」

タイタンが決闘盤にフィールド魔法を入れると、場が無気味な洞窟へと変貌した。

ジェネラルデーモン
闇属性 悪魔族 ☆4 ATK2100 DEF 800
このカードを手札から墓地に捨てる。デッキから「万魔殿−悪魔の巣窟−」1枚を手札に加える。フィールド上に「万魔殿−悪魔の巣窟−」が存在しない場合、フィールド上のこのカードを破壊する。


万魔殿‐悪魔の巣窟‐
フィールド魔法カード
「デーモン」という名のついたモンスターはスタンバイフェイズにライフを払わなくてよい。戦闘以外で「デーモン」という名のついたモンスターカードが破壊されて墓地に送られた時、そのカードのレベル未満の「デーモン」という名のついたモンスターカードをデッキから1枚選択して手札に加える事ができる。



「デーモンデッキか……」

「そう…私のデッキはデーモンデッキ…だが私がこのターン召喚するのはデーモンではない……私はゼラの戦士を通常召喚…」


タイタンが召喚したのはデーモンではない、特に特徴のなさそうな唯の戦士族モンスターだった…


ゼラの戦士
地属性 戦士族 ☆4 ATK1600 DEF1600
大天使の力を手に入れる事ができるという聖域を探し求める戦士。邪悪な魔族からの誘惑から逃れるため、孤独な戦いの日々を送る。

「………ゼラの戦士……確かあのカードは…天空の聖域が場にあるとき、大天使ゼラ―トに進化するモンスター…」

「天使に進化するモンスター……じゃぁまさか!!」

「そう…ゼラの戦士は天使に進化するモンスター…だが、逆に悪魔の力に堕ちた力を得ることもできる…私はゼラの戦士をリリースし―出でよ!デビルマゼラ!!」



巣窟から不気味な黒い煙がゼラの戦士を包み込む、やがて煙が消え、そこから醜い悪魔になったゼラの姿があった。


デビルマゼラ
闇属性 悪魔族 ☆8 ATK2800 DEF2300
このカードは通常召喚できない。このカードは「万魔殿−悪魔の巣窟−」がフィールド上に存在し、自分フィールド上に表側表示で存在する「ゼラの戦士」1体をリリースする場合のみ特殊召喚できる。このカードが特殊召喚に成功した場合、相手からランダムに手札を3枚捨てる。この効果は自分フィールド上に「万魔殿−悪魔の巣窟−」が存在しなければ適用できない。


「いきなり攻撃力2800だと!?」


「だが…先行1ターンなら攻撃はできない…となると……特殊効果か…」

「デビルマゼラの効果発動…私の場に万魔殿が存在するときにこのカードが特殊召喚に成功した場合…貴様は自分の手札をランダムに3枚捨てる……」


「いきなり手札を3枚も捨てろ…だと!?」

梨音の手札から3枚の手札が光になって消えていく…


捨てられたカード

魔法剣−ブレイズソード、魔法剣−エア・ブレード、魂を吸う竹光


「私はターンを終了する…」

序盤から手札を3枚も奪われ、攻撃力2800のモンスターが立ちはだかって非常に不利な梨音のターンが始まる…


(り、梨音いきなり大丈夫なのか!?)

「確かに不利な状況に見えるが…すでに突破口はある!……俺のターン、ドロー!手札より魔法カード、ソーディアン・プライド発動!!自分の墓地から魔法剣を2枚まで手札に戻す!!」



ソーディアン・プライド
速効魔法カード
自分の墓地からレベル4以下の「魔法剣」と名のついた魔法使い族モンスターを2枚まで自分の手札に加える。

「俺は墓地のブレイズソードと、エア・ブレードを手札に戻し、手札より融合を発動!」


「なに…融合だと……!?」

融合
通常魔法カード
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。



「俺は手札に加えたブレイズソードとエア・ブレードを融合!融合魔法剣‐フレアトルネード・ソードを特殊召喚!!」

梨音の右手から激しく渦巻く爆炎の剣が姿を現した。


融合魔法剣‐フレアトルネード・ソード
炎属性 魔法使い族・融合 ☆6 ATK2100 DEF1500
「魔法剣‐ブレイズソード」+「魔法剣‐エア・ブレード」
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。このカードが攻撃を行う時、攻撃対象モンスターの攻撃力の半分の数値だけこのカードの攻撃力をアップする。この効果を使用する場合、このターン、このカードはもう1度攻撃することができない。



「融合魔法剣だと!?あいつ、密かにそんなカードを持っていたとは…」

「ワリィ、リーフ…とっておきは隠す主義なんでね…フレアトルネード・ソードの効果発動!このターン連続攻撃を放棄することで、敵モンスター1体の攻撃力の半分を、このカードの攻撃力に加える!!」


融合魔法剣‐フレアトルネード・ソード:ATK2100→3500

「攻撃力3500だと!?」


「バトル!フレアトルネード・ソードでデビルマゼラを攻撃!ドラゴニック・バーニング!!」

梨音は剣を振り回すと、サラマンドラのような炎の竜が現れ、デビルマゼラを焼き尽くした。


「ぐ…う……」

タイタン:LP4000→3500

「俺はターンエンドだ!!」

「私のターン、ドロー…手札より黄金時代発動……私の手札が3枚以下の場合、相手はカードを1枚ドローする…」

梨音はカードを1枚ドローし、自分の手札が2枚になった…

黄金時代
通常魔法カード
自分の手札が3枚以下の場合のみ発動できる。相手はカードを1枚ドローする。その後、お互いに自分の手札の数だけカードをドローする。

「そしてこのカードの効果により…お互いの手札は持っている自分の手札の枚数分ドローする…」

「ほう……さんざん俺の手札を枯らしたのに、今度は手札を増やしてくれるとはな…」

お互いにカードをドローし、タイタンは6枚、梨音は4枚の手札を得た。

(だが…あいつはまた梨音の手札を減らすためにわざとドローさせたのでは……)

「できれば2度も喰らいたくないね…そんなこと……」


「私はミストデーモンを攻撃表示で召喚…」

突如フィールドに霧が出始め、そこから霧状のデーモンが召喚され、梨音は驚く…

「な?攻撃力2400のレベル5モンスターが召喚されただと!?」

「このカードはリリースなしで召喚できる…そしてエンドフェイズに破壊され…私は1000ポイントダメージを受ける…」


ミストデーモン
闇属性 悪魔族 ☆5 ATK2400 DEF   0
このカードはリリースなしで召喚する事ができる。この方法で召喚した場合、このカードはエンドフェイズ時に破壊され、自分は1000ポイントダメージを受ける。

「バトル…ミストデーモンでフレアトルネード・ソードを攻撃…!!」

「ぐわぁ!」


梨音:LP4000→3600

「く…くそ……」

「そして、見るがいい…今の貴様の姿を……」


「おい!梨音!!君の左足が‐」

「え……な、何だ、コリャ!?」


梨音は刹那の言った自分の左足を見て驚愕する。

なんと、自分の左足の一部が消えているのだ。

梨音は驚きながらも自分の左足を動かすが、別に運動機能には何も障害はなかった…


(一体どうなって‐……まさか…!!)

愛華はハッとタイタンの方を向く…

タイタンも、自分の右腕が一部消えていた。

「そう……これが闇のゲーム…ライフが減るにつれ…自分の肉体が消え去り…ライフが0になったとき肉体と魂は闇と同化するのだ…私はカードを1枚セットし、ターンエンド…」

エンド宣言と同時にミストデーモンは爆発し、タイタンのライフと肉体が消え去った。

タイタン:LP3500→2500


「ミストデーモンが戦闘以外で破壊されたため、万魔殿の効果でデッキからジェノサイドキングデーモンを手札に加える…さぁ、これからが本当の戦いだ……本当の闇のデュエルだ……」

タイタンはそう言った後、不気味な声で笑い始めた…








この時梨音は…生れてはじめて闇のゲームの恐ろしさに気づいた……




【フェイズ2 7】決着!マジックソード・ドラゴンVSスカル・デーモンズ・ドラゴン!!

「俺の…ターン……」

梨音は恐る恐るデッキからカードをドローする…

お互いの場にモンスターは存在せず、ライフは梨音の方が上回っている……

だが、ライフを失うたびに自分の肉体が消え去るというデュエルの恐ろしさに、梨音は恐怖を感じていたのだった。


「(こ、こんな所で…死んでたまるか…!!)ドロー!俺は手札の連続魔法を墓地に送り、手札より魔法カード、二重魔法発動!相手の墓地にある魔法カードを1枚を自分のカードとして発動する!!」

二重魔法
通常魔法カード
手札の魔法カードを1枚捨てる。相手の墓地から魔法カードを1枚選択し、自分のカードとして使用する。

「俺が選ぶカードは黄金時代!このカードの効果により、お前はカードをドローし、その後お互いに自分の手札の数だけカードをドローする!!」

お互いにカードをドローし、梨音の手札は6枚になったが、タイタンの手札は倍の12枚になった。


「俺は魔法剣‐ブリザード・ブレードを召喚!そしてこのカードでプレイヤーにダイレクトアタック!!」

「リバース罠発動!デーモンの雄叫び!!」


再び、タイタンの肉体が消滅し始める…

「ライフを500払い、私の墓地からデーモンと名のついたモンスターを特殊召喚する…蘇れ、ミストデーモン!!」

「なに!?」

「また、攻撃力2400のモンスターか!!」


デーモンの雄叫び
通常罠カード
500ライフポイントを払い発動する。自分の墓地から「デーモン」という名のついたモンスターカード1枚を自分のフィールド上に特殊召喚する。このモンスターは、いかなる場合にもリリースする事ができず、このターンのエンドフェイズに破壊される。



「く…梨音の奴、闇のデュエルで頭が混乱していやがる……このままではあいつ、負けてしまうぞ!!」


「……カードを2枚セットし、ターンエンドだ!!」

「この瞬間、ミストデーモンは消滅し、デッキからレベル4以下のデーモンを手札に加える!そして私のターン、ドロー!!」

このドローにより、タイタンの手札は14枚になる……そしてここからが本当に恐ろしいターンが始まった…


「手札より儀式魔法発動…マタドール降臨の儀式‐ダーク・パセオ!手札からダークビショップデーモンと、デーモン・バンデリジェーロをリリースし―デーモンズ・マタドールを特殊召喚…!!」

「儀式召喚だと!?」

タイタンの場に細長い姿をしたデーモンが現れる…


マタドール降臨の儀式‐ダーク・パセオ
儀式魔法カード
「デーモンズ・マタドール」の降臨に必要。自分の場か手札からレベルが6以上になるようにリリースしなければならない。

デーモンズ・マタドール
闇属性 悪魔族 ☆6 ATK   0 DEF   0
「マタドール降臨の儀式 ダーク・パセオ」により降臨。自分の場か手札からレベルが6以上になるようカードをリリースしなければならない。このカードは戦闘では破壊されず、このカードが戦闘を行うことによって受けるコントローラーの戦闘ダメージは0になる。このカードと戦闘したモンスターは破壊される。


「さらに私の場にデーモンが存在することにより、私はこのジェノサイドキングデーモンを召喚する……」

タイタンの言うとおり、王様の王冠のような頭をしたデーモンが出現した。

ジェノサイドキングデーモン
闇属性 悪魔族 ☆4 ATK2000 DEF1500
自分フィールド上に「デーモン」という名のついたモンスターカードが存在しなければこのカードは召喚・反転召喚できない。このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に800ライフポイントを払う。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

「そして魔法カードディスカバード・アタックを発動!私の場のデーモン1体をリリースし―ジェノサイドキングデーモンはこのターンダイレクトアタックができる!!」

「な、なにぃ!?」


ディスカバード・アタック
通常魔法カード
自分フィールド上に存在する「デーモン」という名のついたモンスター1体をリリースする。このターン自分フィールド上の「ジェノサイドキングデーモン」1体は相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。

「デーモンズ・マタドールを生け贄に捧げ―ジェノサイドキングデーモンでダイレクトアタック!炸裂!五臓六腑!!」


梨音は絵柄通り手から攻撃すると思っていたが、なんとジェノサイドキングデーモンは胸を扉のように開き、そこから大量の蜂のような物を大量にぶちまけたのだ…

「ウワァァァァァァァァァァ―!!!」

梨音:LP3600→1600


「あぁ、梨音の体がどんどん消えていく…」

おろおろし始める刹那…梨音がよほど心配になったのだろう……

「く…このままでは、梨音のライフが一気に削られてしまうぞ…」


「どんどん貴様の姿が消えていくな…だが、さらに絶望と言うものを見せてやろう……速効魔法、セベクの祝福!!この効果でダイレクトアタック時に与えたダメージ分だけ、私のライフを回復する。」

セベクの祝福
速効魔法カード
自分のモンスターが相手プレイヤーへの直接攻撃に成功した時に発動する事ができる。その時相手に与えた戦闘ダメージの数値分だけ自分のライフポイントが回復する。

タイタン:LP2000→4000


「私はカードを2枚セットし、ターン終了だ……」

「俺の……ターン…」

う……ヤバい…意識がもうろうとしてきた…


梨音は意識を失い始め…今にも倒れそうな勢いで膝がガタガタになってきた…

「お、おい大丈夫か梨音!?」

「しっかりするんだ!梨音!!」


梨音にその言葉は届いていたが…なんて言っているか聞こえなかった……

ヤバい…もう……ダメだ…









(梨音…梨音!しっかりするのだ!!)

梨音の肩がグラグラと揺れる…そして、梨音はハッとなって気がついた……

梨音の肩を揺らしていたのは…愛華だった…


「!?……俺はいったい!!?」

(よかった…お前が急に気を失いそうになったからかなり心配になったのだぞ!!)

「…そうか!俺、あまりのダメージで…」

(そうなのだ。それに梨音、お前の体をよく見てみろ…)

梨音は愛華の言うとおりに自分の体を見る…


よく見てみると、失った体の部分に半透明に失ったはずの体の1部が見えていた。

(それはまだ、自分が大丈夫という証拠!だから実際には弱い闇のゲームなのだ!だから頑張れ!!)

「そ、そうか!…サンキュー愛華!!俺のターン、ドロー!!」

「?…愛…華……?」

ドローカード:漆黒の魔法剣士―サバティエル・ナイト


「よし!俺は魔法剣‐シャドー・レイピアを召喚!!そして俺の場に2体の魔法剣が存在していることで、手札からサバティエル・ナイトを攻撃表示で特殊召喚!!」

梨音の手に黒い闇のような物が現れ、剣の形に形成される。そして、梨音自身も黒い闇に包まれ、魔法剣士へとその姿を変貌させた。

魔法剣‐シャドー・レイピア
闇属性 魔法使い族 ☆2 ATK1000 DEF 100
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。自分の場に他の「魔法剣」と名のついたモンスターが存在する場合、「魔法剣」と名のついたモンスターを対象にした魔法・罠・モンスター効果を無効にし、破壊する。


「でた!梨音の十八番!!」

「あのモンスターで一気に形成逆転だ!」


「行くぜ!サバティエル・ナイトでジェノサイドキングデーモンを攻撃!!」

梨音は俊足の足で飛びあがり、一気にジェノサイドキングデーモンに攻撃した。

「おらぁ!喰らいやがれ!!―ブレード・デストラクション!!」


「ぐわぁ!!」

タイタン:LP4000→3000

「く…手札のデスルークデーモンを墓地に送り、墓地からジェノサイドキングデーモンを特殊召喚する!」

「く!…デーモンの蘇生か……」


デスルークデーモン
光属性 悪魔族 ☆3 ATK1100 DEF1800
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。3が出た場合、その効果を無効にし破壊する。自分フィールド上の「ジェノサイドキングデーモン」が破壊され墓地に送られた時、このカードを手札から墓地に送る事で、その「ジェノサイドキングデーモン」1体を特殊召喚する。

「俺はもう1度、ジェノサイドキングデーモンを攻撃する!ネクスト・オブ・ブレード・デストラクション!!そしてこの瞬間、速効魔法、スラッシュ・ブレイカーを発動!このターンのみ、サバティエル・ナイトの攻撃力を500アップさせ、貫通能力も付加させる!!」

「なにぃ!?」


スラッシュ・ブレイカー
速効魔法カード
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する「魔法剣」と名のついたモンスターの攻撃力を500ポイントアップする。そのカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。この効果は自分のターンのエンドフェイズまで続く。

漆黒の魔法剣士―サバティエル・ナイト:ATK2500→3000


‐ズバァァァァン!!

「ぐわぁぁぁぁぁぁ―」

タイタン:LP3000→1500


「く…手札のデスルークデーモンを捨て、再び現れよ!キングデーモン!!」

「何度やっても無駄だ!!3度目の攻撃!フィニッシュ・オブ・ブレード・デストラクション!!」

「甘い!リバース罠!生け贄の祭壇!!ジェノサイドキングデーモンを墓地に送り、元々の攻撃力分ライフを回復する!!」

生け贄の祭壇
通常罠カード
自分フィールド上のモンスターを1体選択して墓地に送る。このモンスターの元々の攻撃力分のライフポイントを回復する。

スドゥゥゥン―!!!

「ぐはぁぁぁ―!!」

梨音のダイレクトアタックが決まり、タイタンの体は残り僅かになった…


タイタン:LP1500→3500→ 500

「く…後僅かだったのに……カードを1枚セットし、ターンエンドだ!!」

「私のターン、ドロー…まさかここまで私を追い詰めるとはさすがに予想していなかった…ほめてやろう……だが、貴様はここまでだ!!」

「なに!?」

「私は魔法カード、死者蘇生を発動!墓地からジェノサイドキングデーモンを特殊召喚!そしてこのカードをリリースし、迅雷の魔王‐スカル・デーモンをアドバンス召喚!!」


墓地から蘇ったキングデーモンが消え去り、代わりにデーモンの召喚のリメイク版が姿を現した…

迅雷の魔王‐スカル・デーモン
闇属性 悪魔族 ☆6 ATK2500 DEF1200
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。1・3・6が出た場合、その効果を無効にし破壊する。


「そっちも切り札を召喚したのか……」

「まだだ!私はスカル・デーモンをリリースし、―スカル・デーモンズ・ドラゴンを特殊召喚する!!」

「スカル・デーモンズ・ドラゴンだと!?」

スカル・デーモンは雄叫びをあげながら自分の体を変化させ、その姿を悪魔の竜へと変化させた…

その姿は、ブラック・デーモンズ・ドラゴンのリメイク版である…


スカル・デーモンズ・ドラゴン
闇属性 悪魔族 ☆9 ATK3200 DEF2500
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在する「迅雷の魔王‐スカル・デーモン」1体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎にライフを半分払う。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。1・3・6が出た場合、その効果を無効にし破壊する。このモンスターが相手に戦闘ダメージを与える度に、その戦闘ダメージの半分の数値分だけこのカードの攻撃力がアップする。

「こ、攻撃力3200だと!?」

「これで終わりだ!スカル・デーモンズ・ドラゴンでシャドー・レイピアを攻撃!―獄炎・魔竜波!!」


「まずい!この攻撃を受けたら梨音が…」

「させるか!リバース罠、ライジング・エナジー!手札を1枚捨ててシャドー・レイピアの攻撃力を1500アップさせる。」


ライジング・エナジー
通常罠カード
手札を1枚捨てて発動する。発動ターンのエンドフェイズ時まで、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は1500ポイントアップする。


魔法剣‐シャドー・レイピア:ATK1000→2500

シャドー・レイピアの攻撃力が大幅に上がる…だが、スカル・デーモンズ・ドラゴンは真っ赤な火球を数弾連続で打ち、梨音のシャドー・レイピアを木っ端みじんにした。

「ぐわぁぁあぁぁぁぁ―!!!」


梨音:LP1600→1100

「く…小癪なマネを…だが、スカル・デーモンズ・ドラゴンは相手に与えたダメージの半分だけ攻撃力を上げる…ターンエンドだ……」

スカル・デーモンズ・ドラゴン:ATK3200→3450


「ふぅ…梨音の奴め……何とかこのターンを防いだな…」

「………………だが、攻撃力3450のスカル・デーモンズ・ドラゴンを何とかしなければ……奴は負けてしまう…」

「梨音を信じよう……奴なら考えはある!!」


「俺のターン…」

(り、梨音……大丈夫なのか…?)


愛華は不安になり、梨音の肩に触れる…

「大丈夫さ…俺はこのカードを信じて、このデュエル!俺達が勝つ!!」


「……!なんだ…梨音のそばにいるのは…」

刹那は、梨音のそばにエンチャート・ソードガールが微かに見えた…

「俺のターン、ドロー!!」


梨音はドローしたカードを見てニッと笑う…


「見せてやる!俺のもう1つの切り札を!!場の魔法剣2体をリリースし、魔法剣竜‐マジックソード・ドラゴンを特殊召喚する!!」

「マジックソード・ドラゴンだと!?」


梨音の剣が2つ消滅し、天空から真紅眼の黒竜に酷似した刃の翼竜が姿を現した。

魔法剣竜‐マジックソード・ドラゴン
光属性 魔法使い族 ☆7 ATK2500 DEF1500
このカードは「魔法剣」と名のついたモンスター1体をリリースし、表側攻撃表示でアドバンス召喚する事ができる。このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在する「魔法剣」と名のついたカード1種類につき、攻撃力を200ポイントアップする。

「このカードの攻撃力は俺の墓地に存在する魔法剣1種類につき、攻撃力を200ポイントアップする!今、俺の墓地には魔法剣が5種類!よって攻撃力は―」

魔法剣竜‐マジックソード・ドラゴン:ATK2500→3500

「こ、攻撃力3500だとぉ!?」

「僅かだがスカル・デーモンズ・ドラゴンを超えたぜ!いけ、マジックソード・ドラゴン!!―スカイブレード・エクスクリーム!!!」


マジックソード・ドラゴンは空を飛ぶ。そして上空からカマイタチを大量に放出し、スカル・デーモンズ・ドラゴンをズタズタに切り刻む!!

「ぐわあぁぁぁぁぁぁ―!!!」


タイタン:LP 500→ 450

「そして……」


梨音は、右手から緑色に輝く光を収束し―黒い魔力の剣を造形した。

そしてその剣をタイタンに向ける。




「ひ…やめ‐」

「これでトドメだ!サバティエル・ナイトでダイレクトアタック!!ブレード・デストラクション!!」


梨音は一気にタイタンを切り裂く!


‐ズバアァァァァァァァァン!!!

「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―」


タイタン:LP 450→   0

次の瞬間―タイタンから膨大な光が放出した。

「な、なんだ!?ってうわぁぁぁぁぁぁぁ―」

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ」」」

梨音達はその膨大な光に包みこまれた……










「……う…うん…」

(梨音!気づいたか…?)

「すまない…大丈夫だ!……そう言えばあの大男は!?」

梨音はあたりを見渡す…


だが、タイタンはどこにもおらず……そこに連れ去られた少年が一人、気を失って倒れていた……




「いったい…なんだったんだ……あの男は…」


その後、タイタンというデュエリストは…二度とこの島から現れなかった…という……




【フェイズ2 8】望んだ日常?

梨音「うぉぉぉ―!くらえ!ブレード・デストラクション!!」

エンド・オブ・アヌビス「さぁ来い梨音!俺は一回攻撃を受けたら死ぬぞぉ!!」

ズバァ!!

エンド「ぐあぁぁぁ……」

キングレックス「エンドがやられたようだな…」

紫炎「フフフ…奴は魔王四天王の中では最弱……」

デビルマゼラ「コスプレイヤーごときに倒されるとは…四天王の面汚しですね…」

梨音「くらえええ!フィニッシュ・オブ・ブレード・デストラクション!!!」

ズバズバズバァ!!!

3人「ぐわぁぁぁぁぁぁ―」

梨音「よし!全ての四天王をかたづけたぜ!!待ってろ愛華!!」

タイタン「よく来たな魔法剣士梨音…待っていたぞ…」

ぎぃぃぃぃ…

梨音「こ、ここが魔王の城なのか…感じる……デーモンの力を…」

タイタン「梨音よ…貴様に一つ伝えることがある…愛華の魂を救うには私を倒さなくてはならないが、超融合のタイムラグが解けて元に戻っている。」

梨音「な、なんだって!?」

タイタン「さらに言えば私には闇の力がない…後は瞬殺することだな……」

梨音「そうか…俺も一つ言うことがある。このシーンがソードマスターネタブームになったかと思っていたがそんなことどうでもいい!!今、貴様をぶった斬るぜ!!」

タイタン「そうか、それはよかったな…」

梨音「行くぞタイタン!うおおおおお―!!!」

タイタン「さぁ、来い!梨音!!」


愛華「梨音が必ず勝つことを信じて…!ご愛読ありがとうござ」


****************************************

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

梨音は顔中に汗を垂らし荒々しく息を吸いながら悲鳴のような奇声をあげて思いっきり起きた。


「はぁ、はぁ、はぁー…なんて最悪な夢なんだ……俺にとってあのようなアルティメットなバッドエンドを夢で見るとは…」

梨音は汗ばんだ顔を手で拭きながらタオルをとって再び顔を拭いた。


(おい梨音!何をいきなり恐ろしい叫び声をあげているのだ!!危うく頭を天井にぶつけそうになったではないか!!)

愛華は押入れの戸を開けてそう叫んだ。


愛華の頭には少しぶつけたようで小さなタンコブが少し見えた。

「う…すまない……俺にとって最悪のイメージだったから…」


「ニャーン!」

(?…この声は……何なのだ?)

きょろきょろと見回す愛華。

すると愛華の寝ている布団の中から何かがうごめいているのに気づき中をのぞくと…


(ひゃぁ!?)

布団の中から何か動物みたいなのが現れる。


出てきたのは……

「……ファラオ!そこにいたのか。」

(ファ、ファラオ?)


愛華は驚くが、ファラオはそのことを思わずにそのまま梨音の膝に乗っかる。

「なんでこいつ俺ばっかりになつくんだろうな…」

梨音はクスクスと笑いながらそう思う。


(このデブ猫…たしかによくお前になつくな……いつ頃から一緒にいるのだ?)

「いつ頃?………そうだなぁ…確か…」

****************************************


アカデミア入学から数週間後…

愛華と出会う一週間前…


梨音はいつも通り「一人」で木に寝そべって何かを考えていた…

いや、考えていたというよりも、考えている「ふり」をしていたという方が正しいと思う…

正直、今日はだるくてここで眠っていた、それだけの話だ…


すると…

「ニャーン」

「…?」


梨音は声のした方に首を向けると…

そこには太った大きな猫がこっちを向いていた…


さらによく見てみるとその奥に赤い服を着た一人の青年らしき姿が見えかけたが…どんな顔までか見えなかった…

****************************************


「それでそのまま俺になついたままなんだ…こいつの名前を知ったのは赤い生徒服を着た少女がファラオを見て話した後だったな……」

(ふ〜ん……いろいろ面白いものだな…)

「そう…か?(しかし…あの服の色……去年まであったオシリス・レッドの服だったような…卒業生なのだろうか…)」


梨音はそう思いつつ、小皿に牛乳を入れファラオにあげる。

ファラオはピチャピチャとそれを飲み始め一気にたいらげてしまった。


(おぉ…やっぱり良く食べる猫なのだ…)

「外見からか?」

(そ、そうなのだが…)

互いに顔を見つめあって話す梨音と愛華

「ふ…ハハハハハハハ」

(ふ…ウフフフフフフ)

不思議に楽しく思ったのでお互いに笑いだしたのであった。


(ハハハハハハハ……あぁ〜なんか久しぶりに笑った気がするのだ。)

「ハハハハハハハ……俺もそう思う。」


それで梨音達は再び笑いだす…


それを数分も繰り返したが、さすがに梨音達は笑い疲れた。

「ふー…わ、笑い疲れた…」

(私も…なのだ……ホントに意味もなく笑ったが…まさかここまでとは…とても面白いのだ。)


そうだ…確かに久しぶりだな……



「あ!そうだな…確か昨日リーフのデュエルを録画したのがあったな…」

梨音はテレビから「プロリーグ」と書かれたDVDを愛華に見せた。

(まじてか!?見てみたいのだ!!)


そうして梨音達はそのビデオを見ることにした。





そしてそのビデオに映っていたのはそれぞれ別々のデュエリストが行っている2つのデュエル。

1つはリーフとマティマイカとのデュエル。


序盤はマティマイカのロックコンボによって押されるも、リーフが持つモンスター「罪神子」のモンスター効果によって容易にロックを打ち破り一気に逆転勝利した。

(罪神子……あんなモンスター見たこともないのだ…)

愛華はベッドに寝転びながら梨音に訪ねた。

「罪神子……あのカードは人間が持つ7つの大罪をモチーフにしたカード…そのカード軍はリーフしか持たず、デュエル界ではヨハン・アンデルセンの持つ宝玉獣とは対なるカード闇の宝玉獣とも言われているカードさ。」


(ふーん…そうなんだ………)




梨音はそう言ってテレビを消す。

画面には一瞬、サンダーという英語文字が書かれていたが…


(あれ?もう見なくていいのか?)

「?もう1度見たいのか…別にいいけど……」


梨音は巻き戻りボタンを押そうとするが、愛華は少し照れながら手を振る…

(いや、別にいいのだ……)

「な、何で?見たいんじゃないの!?」

(うん…本当にいいのだ…ただ……)

「…?」


(ただ…久しぶりに家族と楽しく会話した感じがしたのだ……それがうれしくてたまらない…それだけの話なのだ…。)

愛華はそう言ってニコッと笑う。


「家族か…それもそうかもな……」

(でしょ!梨音も家族とは会話するのは楽しいでしょ。)

「あぁ、そうだな…確かに家族との会話は楽しかったよ。
……けど…」


梨音はこの会話の後少し俯く…

****************************************



「ねぇあなた……本当にあの子にあのことを言わなくていいの…」

母の声が扉の隙間から聞こえる…


その隙間を幼い梨音がじっと見つめていた。

「もう少し待とう…今の梨音が聞いたら、ショックは受けきれない……」


梨音は何のことだろうと一生懸命聞こうとする…

だが…それは……







「でもあの子に……私達が            ことを…






だって言えるのかしら……」


梨音は驚きを隠すことができなかった…

その頃の梨音にとって、とても悲しく…とても辛い言葉であった……



(そうだ…その事実から逃れるように俺はこの学園に来たんだ……


繋がっていないのに…一緒にいることは……



ないはずだから…)




【フェイズ2 9】叶わぬ…思わぬ…

そこは異世界のある場所……

「御頭……新たなる異世界へのルートを開くことができました!」


洞窟のような場所で剣を持った悪魔‐デーモン・ソルジャーが御頭というものに報告する…

「そうか……ならば今すぐ全軍に突撃準備の命令を流せ…今から約1時間後だ……」


洞窟の奥深くでフードを着た頭領クククと笑いながら突撃の準備を始めた……





















同時刻…デュエル・アカデミア

梨音は今いつも通りアカデミアから離れた草原で寝そべっていた。


ただ、本人はぐっすりと眠っているのではなく、一人で何かを悩んでいたのである…



一つは愛華のことだ……

彼女は超融合というカードによって自分の魂と精霊エンチャート・ソードガールと融合させられ、人の魂でありながら精霊としてこの世で存在するという奇妙な状態のまま数年間異世界で過ごしてきた。


そして数週間前……彼女は現実世界につながる空間を発見し、やっと現実世界にたどり着いたものの、自分の存在に誰も気づかれず、新たな困難が待ち受けていたままだった…

だが数日後、梨音は彼女の魂の宿ったカードに触れたことで唯一彼女の存在を認識することができたため、彼女から自分を救ってほしいと頼まれたのである。


初めは彼女を救いたいと思い、異世界から現れたモンスターと戦ったり、過去の情報をもとに色々と調べたりもした。



だが、救おうと思い努力を続けても元に戻す方法が一向に見つからないことに不安を感じ始めた…

そして愛華は気づいていないが、自分の姿が少しずつ薄くなり始めているのである…

このままでは、愛華が透けていって…

死んでしまうのではと……思ったのである。


そして梨音が悩んでいるもう一つの理由は…

……家族のことである…


梨音は自分の父と母の血を継いでいない、つまり養子である。

彼は幼いことにその事実を知り、自分の心に深いショックを受けた。


それからというもの、自分の家族とのコミュニケーションをうまくやっているという実感がなく、心から深い孤独感を感じ続けていた。

そしてそこから逃げるようにしてこの学園にやってきたのだ。

だが、愛華にあった頃からか、少しずつ家族との会話のような日々が続き、家族に謝りたいと思い始めたのである……




はぁ……どうしよう…

梨音は深いため息をつき心からそう思った。


こんなに悩んだのは生れて初めてかもしれない………


彼は空を見上げながら悩む。


空は暗い雲に覆われ、夜のような雰囲気が漂っていた…


だがその雲は所々…不気味な色に輝いてもいたのだ…













(体が……透けてる…)


愛華は自分の体が透け始めているのを数日前に気づいた。

それは梨音が話したのではなく、自分自身が気づいたのだ。

それと同時に少しずつ、自分の力が弱まっているのを感じていた…


(どうやら現実世界にいる間…私の魂が徐々に消えかかっているかもしれない……)

愛華は焦った。


彼女は元々人間だったとしても今は魂だけの存在…失った肉体は精霊の力で補っているにすぎないのだ。

異世界にいる間は精霊の力が満ち足りている状態なのでそんなことはなかったのだが、現実世界に来てから僅かずつ弱体化が進行していたのである…



(クソ!このままでは私が消えるのは時間の問題だ…)


愛華は梨音のテーブルをドン!っと手で叩く。

だが、叩いても何の音は聞こえず、愛華は心に虚しさを感じ…

ただただ、俯くだけだった。


(……く…私が暴れてどうする…梨音も私を戻そうとするのに必死なのだ…なのに私は…梨音ばっかりに頼っているからなのか…)

自分の無力さに対し苦しみを感じる愛華…


その時、愛華の脳裏にある記憶が浮かび上がる。



(…な、なんだ……?)


飛び込んできたのは何もない荒野…

そこに一人で周りを見渡すエンチャート・ソードガール……


すると、目の前から金髪の戦士が現れる。

‐魔法剣士ネオだ……


魔法剣士ネオ
光属性 魔法使い族 ☆4 ATK1700 DEF1000
武術と剣に優れた風変わりな魔法使い。異空間を旅している。


愛華はその男をじっと見る…

すると…何故か自分の足が勝手に魔法剣士ネオの方に向かってく。


ネオはエンチャート・ソードガールに気づき、剣を構える。

そして、ネオはソードガールに対し、一気に剣を降った。





ソードガールはいつの間にか自分の剣を握っていた…

その剣は赤く染まり、自らも彼岸花の様に染まっていた…


そしてその足には…



自分と同じように真っ赤に染まった…


魔法剣士ネオ「だった」物が倒れていた……


(…!!!…………はぁ……はぁ……はぁ…)

愛華は突然脳裏に写った自分の記憶のショックで跪く。


(ま、また……あの記憶か…)

頭痛が起こったかのように頭に手をつけ、立ちあがり、近くにあった椅子に座った…


(せめて…せめてでも……家族に会いたいな…)



お姉ちゃんは今…どうしているのかな……



‐ガチャリ


愛華が一人考えている時、俯いたまま梨音が帰ってきた。

(あぁ……お帰り…梨音……)


愛華の言葉を聞いて少しキョトンとする梨音。

その後梨音は少し頬を赤くし小さな声で話した…



「た…ただいま……愛華…」



その頃、デュエル・アカデミアの図書館にて‐

梨音の行動に疑問を感じた刹那は梨音のデュエルを観察していた…


「おかしい……何でこいつは誰もいないのに一人でカードを出しているんだ?……しかも時間もバラバラに…」

梨音の日常に困惑する刹那……



そして、実技試験のデュエルの内容を見て、刹那は驚愕した。


「な…そんなバカな……」







「皆の者…準備はいいか……」


1体の精霊が、数十体いる精霊に対し声を上げる…

「我らはこれから未知なる異世界を

――侵略するぞ!!」


−おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!




【フェイズ2 10】コノ日カラ梨音ニトッテ長い運命ノ始マリ二ナルトハ誰モ知ナライ…

デュエル・アカデミア‐PM 7:20

梨音と愛華はデュエル・アカデミアの森の深くにいた…


「愛華〜ホントにモンスターがここにやって来るのか〜?」

(うむ…僅かだが、カードの精霊の存在が感知できるのだ……)


愛華は自分の髪が少しくねくねしているのを感じていた。



というのも数十分前に梨音達は部屋にいたのだが愛華が突然カードの精霊を感知したために梨音達は早速外に出たのである。


「しかし…近頃現れなくなった精霊達がなぜ突然に現れ始めたんだろうか?」

疑問に思う梨音だが、愛華がすぐに答え始める。

(梨音……カードの精霊達は簡単に異世界へ進出することはできないのだ…異世界に通じる穴を開けるにはかなりの力を消費する…なので簡単には開けられないのだ。……私もそれぐらいの力さえあれば、すぐにこの世界に戻れたかもしれないのに…)

「そ、そうか…確かに難しい話だぜ………」


梨音話したとき、愛華はピタッと立ち止まる。

「?どうした愛華?……何かあったのか?」

(……来る…精霊たちが!!)

「なに!?本当かそれは!?」


梨音は決闘盤を起動させカードを5枚ドローした後、周りを見渡す。

だが、愛華は指で上を指し示した。

「上だ!!」


梨音は不気味な雲を見上げると、そこから5体のモンスターが召喚された。



デーモン・ソルジャー
闇属性 悪魔族 ☆4 ATK1900 DEF1500
デーモンの中でも精鋭だけを集めた部隊に所属する戦闘のエキスパート。与えられた任務を確実にこなす事で有名。

ギガ・ガガギゴ
水属性 爬虫類族 ☆5 ATK2450 DEF1500
強大な悪に立ち向かうため、様々な肉体改造をほどこした結果恐るべきパワーを手に入れたが、その代償として正義の心を失ってしまった。

暗黒のマンティコア
炎属性 獣戦士族 ☆6 ATK2300 DEF1000
このカードが墓地に送られたターンのエンドフェイズ時に発動する事ができる。獣族・獣戦士族・鳥獣族のいずれかのモンスターカード1枚を手札または自分フィールド上から墓地に送る事で、墓地に存在するこのカードを特殊召喚する。

戦士ダイ・グレファー
地属性 戦士族 ☆4 ATK1700 DEF1600
ドラゴン族を操る才能を秘めた戦士。過去は謎に包まれている。

レッサー・デーモン
闇属性 悪魔族 ☆5 ATK2100 DEF1000
このカードが表側表示でフィールド上に存在する限り、このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。


「な、いきなり上級モンスターが3体もだと!?く、俺のターンドロー!!」

(梨音、落ち着いて行動するのだ!!)

「わかっている…俺は手札のライトニング・ソードとエア・ブレードを手札融合して―魔法剣‐テンペスト・エクスカリバー!!」


梨音は雷の剣と風の剣を右手に包みこみ、暴風の魔法剣を作り出した。

魔法剣‐ライトニング・ソード
光属性 魔法使い族 ☆4 ATK1800 DEF 600
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。また、このカードが効果モンスターを戦闘で破壊した場合、そのモンスターの効果を無効にすることができる。この効果を使用する場合、このカードは攻撃することができない。


融合魔法剣‐テンペスト・エクスカリバー
風属性 魔法使い族・融合 ☆7 ATK2400 DEF1800
「魔法剣‐エア・ブレード」+「魔法剣‐ライトニング・ソード」
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のモンスターカードゾーンを1ヵ所だけ使用不可能にする。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、もう一度だけ続けて攻撃をする事ができる。また、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊する度に、相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊することができる。


(く…そのカードでも2体倒すのがやっと…しかもギガ・ガガギゴには勝てな)

「あわてるな愛華…俺のカードの力を甘く見るなよ…」

梨音はテンペスト・エクスカリバーを天にかざす。

その剣から暴風が起こり、上空にいるモンスターを渦に巻き込む。

「今俺はこの剣でデーモン・ソルジャーを攻撃する!」

−ギガスパーク・サイクロン!!


竜巻による風の摩擦によって、雷がデーモン・ソルジャーを打ち砕く。その雷はさらにギガ・ガガギゴまでも破壊した。

「このカードの攻撃後、フィールド上に存在するカード1枚を破壊する…今、デーモン・ソルジャーを破壊し、ギガ・ガガギゴを撃破した…そして次にダイ・グレファーを攻撃する!!」

梨音はダイ・グレファーを破壊した後、さらに暗黒のマンティコアを破壊した。


これで残りはレッサー・デーモン一体のみに……


いや…3体になった…

「な、馬鹿な!?…マンティコアが2体も召喚されただと!?」

そう、上空にさらにマンティコアがいたのだ…


(そうか…暗黒のマンティコアは墓地に行った時に手札か墓地から獣、獣戦士、鳥獣族を捨てることで自身を復活させる効果があった!!)

「それだけじゃない、暗黒のマンティコアも獣戦士族…片方のマンティコアを墓地に送ったとこで別のマンティコアは復活し、別のモンスターを捨てたことでもう片方のマンティコアを復活させた…これでは切りがない……」


焦りを感じ始めた梨音…

そして追い討ちをかけるかのように空から大量のモンスター達が降ってきたのだ









一方、別の森では刹那が梨音を追って走っていた。


「あいつ…何でエンチャート・ソードガールを持っているんだ!!」

梨音に対しての怒りをぶつける様に、独り言を話す刹那…


あのカードは…

そう、あのカードは!!


刹那の脳裏に嫌なイメージが流れ込んでくる…



!!


刹那の目の前に梨音の前に現れたモンスターの物と思われるモンスターが出現した…


激昂のミノタウルス
地属性 獣戦士族 ☆4 ATK1700 DEF1000
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターは、守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

灼熱ゾンビ
炎属性 炎族 ☆4 ATK1600 DEF 400
このカードが墓地から特殊召喚した時、このカードのコントローラーはカードを1枚ドローする。


「なぜデュエリストがいないのにモンスターが!?……そうか!梨音が相手がいないのにデュエルをしていたのはモンスターだったのか!!それなら!!」

刹那も決闘盤を展開し、カードをセットする。

フィールドに聖域が現れ、そこから光輝く天使と光の機械獣が舞い降りた。


神の居城‐ヴァルハラ
永続魔法カード
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札から天使族モンスター1体を特殊召喚できる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

The splendid VENUS
光属性 天使族 ☆8 ATK2800 DEF2400
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する天使族以外の全てのモンスターの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。また、自分がコントロールする魔法・罠カードの発動と効果は無効化されない。

光神機‐桜火
光属性 天使族 ☆6 ATK2400 DEF1400
このカードは生け贄なしで召喚する事ができる。この方法で召喚した場合、このカードはエンドフェイズ時に墓地へ送られる。


「いけ、桜火!ヴィーナス!!2体同時攻撃!!」

2体の放った閃光により一瞬にして消し去る。だが、さらに上から複数のモンスターが出現し攻撃してきたのだ。

「えぇい邪魔だ!攻撃の無力化!!」


攻撃の無力化
カウンター罠カード
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

刹那の場に渦が現れ、一気に攻撃を吸収した。











「えぇい!しつこい!!」

その頃梨音はサバティエル・ナイト状態になり、相手モンスターを次々に倒していった。


だが、何度も何度も不死のごとく復活する暗黒のマンティコア、梨音の攻撃をひらりひらりとかわす漆黒の黒い忍者、そして様々な効果を持つ効果モンスターが梨音を追い詰めていった。

「く…不条理な都合ばかり……」


梨音:LP1900
手札:2枚
フィールド:魔法剣‐フレアトルネード・ソード、ソーディアン・グラウンド

「く…こうなったらこのデッキの上のカードに賭ける!―ドロー!!」


ドローしたカードは…

「黄金時代発動!!こいつでさらに2枚ドロー……よし!貪欲な壺!墓地のカード5枚をデッキに戻しさらに2枚ドロー!!」

貪欲な壺
通常魔法カード
自分の墓地からモンスターカードを5枚選択し、デッキに加えてシャッフルする。その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

梨音は5枚の魔法剣をデッキに戻し手札を一気に5枚にする。

よし!行ける!!


「魔法カード、融合回収!!融合カードとライトニング・ブレードを手札に加える!!」


融合回収
通常魔法カード
自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚と、融合に使用した融合素材モンスター1体を手札に加える。


「そして魔法大学!このカードで場のモンスター1体をリリースし手札を2枚捨てて発動!!」

魔法大学
速効魔法カード
手札を2枚捨て、自分のフィールド上に存在するモンスターを1体リリースして発動する。自分の手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのレベルを2つ上げ、攻撃力は500ポイントアップする。


「いでよ!エンチャート・ソードガール!!」


梨音の魔法剣が消え去り、フィールドに一人の魔法少女剣士がチンプンカンプンになりながら現れる。

(え、私を…?確かに私の能力ならマンティコアの蘇生能力を封じることはできるのだが攻撃力は……)

「安心しろ愛華。もう手は打ってある…魔法大学の効果!それはこのカードで召喚したモンスターのレベルを2上げ、攻撃力を500ポイントアップさせる!!」

エンチャート・ソードガール:レベル6 ATK2200→レベル8 ATK2700


(おぉ!あの時のコンボで一気に倒すのか!!)

「そう!魔法カード拡散する波動!!ライフ1000ポイントを払い、レベル7以上の魔法使いの攻撃を全てのモンスターに拡散させる!!」


愛華は魔法剣を天に翳し、膨大な魔力を集中的に溜めて一気に拡散した。


‐ブレード・マジック・インパクト!!

放たれた魔法の斬撃は周りにいる大量のモンスター達に襲いかかる。


そしてマンティコアが撃破されたのが最初に、次々と撃破されていくモンスター……




最終的に、フィールド上に存在したモンスターを30体以上全て破壊した。

1体も残さずに……


(ふぅ…)

愛華はそっと剣をおろし、ほっと一息つく。


「サンキュー愛華!また助かったぜ。」

(別にいいのだ…まぁ、私が元に戻れたらいいそれだけでいいのだ。)

「まぁ、それだけなら‐」





ズキュウウウン!!!


梨音の目の前で、愛華が光線のようなもので撃たれる。





その光線は梨音の背後から発射され、愛華の胸部に貫通した。



その背後で撃ったのは

フードを被った大男であった。



(な……ぁ…!?)











「え…?」




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*これより先から、文章がちょっと変わります。
                           By AS
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【フェイズ2 11】絶体絶命!梨音と愛華と刹那

梨音(以下梨):「あ…愛華!」

突然の奇襲により撃たれた愛華に、俺は急いで駆けつけ愛華を抱き上げた。

幸いか、急所は外れたみたいで愛華の意識ははっきりしている…よかった……

愛華(以下愛:『リ、梨音…私は大丈夫なのだ……それより…』

梨:愛華は傷口を押えながら俺の後ろにいる者に指をさす。

そこにいたのは黄金に輝く体に、黒いマントで覆った大きなモンスターがそこに堂々と立っていた。


あのモンスターの名は「暗黒の侵略者」デュエルモンスターズでは悪魔族の中でかなりのレアカードだ。

こいつが…愛華を……


俺はあのモンスターに対し強く睨みつける!

暗黒の侵略者(以下侵略)『ほう…これは驚いた……この世に我々の存在を見ることのできる者がここにいるとは思わなかったぞ…』

梨:「お前が大将か!なぜ異世界の住人がこの世界に来た!!」

侵略:『我等の世界は邪悪なる力により汚染され始めた…だから我等は別世界へ移住することにしたのだ…人間の住む、弱い住民の異世界に…』

愛:『汚染され始めた?…それってどういうことなのだ!?なんでこの世界を選んだのだ!!』

侵略:『我々が住む場所はダークネスによって作られた安息の世界…だが、そのダークネスはある日を境に急激に枯渇したことで次々と死者の世界へと変貌を始めたのだ……』

梨:死者の世界…?それってアンデット族のフィールドなのか?

だが、そんなこと考えている場合じゃない!俺は愛華を救うために戦っているんだ!!


「お前が何を考えて侵略していても、お前は愛華を攻撃した!俺はお前を許すわけにはいかない!!」

侵略:『フン、下らん…我等と同じ同胞の小娘だけを助け、後は倒すのか……ならば貴様らを始末するだけだ…』

梨:「やってみろよ!!」

愛:『余計な挑発をするな梨音!・・・』

梨:「でもこいつがお前を―」

愛:『お前!…さっきの戦いで体力が大幅に落ちているだろ!!今の状態で戦ったら体が持たないのだ!!』

梨:「く…わかった……」


侵略:『愚かな!そんなことさせると思うか!!』

ギュイイイイイイ―



ズキュウウウウン―!!


梨「うぉ!?」

俺の足元にレーザーが!このままでは…!!


俺は愛華を背負い、大急ぎで走り去る。


ちなみに俺の足の速さは100mを約5秒(作者は約11秒)で走れるがあのレーザーの前では無力かもしれない…

愛『梨音!もっと早く走れないのか!?あのときみたいにもっと神速に!!』

梨「そんな無茶なこと言うな!さすがにそんな体力の自信はない!!」

侵略『フハハハハハハ!・・・お前たちをすぐに葬り去ってやるぞぉぉ!!!』









数十分後………





侵略『クソ!・・・どこに行ったんだあいつら!?……音速ダック以上の速さで消え去ったぞ……どこだぁ!どこにいるんだぁ!!!』



梨:一方俺達は……

「ふぅ…助かった……!まさか俺があんな速く逃げれるとは思わなかった…」

愛『だから言ったのだ!お前ならできるって…!!』

私達はあの後、梨音の神速級の足の速さで侵略者の現れた場所から遠く離れた大きな木の下まで移動したのだ。

しかし梨音……あんたのその足ならオリンピックに出れば新記録とメダルがたくさんとれると思うのだが…


梨「しかしどうする?…このまま逃げててもあいつは暴れたままアカデミアを侵略するんだぜ…あそこを攻められたら……キツイな…」

愛『そうでもないと思うのだ…あいつは私達をしつこく追い回していたからまだ私達を襲うつもりなのだ……』


でも、梨音の言うとおりこのままあのモンスターを手離すわけにはいかない…

いったいどうすればいいか打たれた箇所を押えながら必死で考えていた時だ。


?「あんた達こんなところで何してんの!?」

梨「刹、刹那!?…どうしてお前がここに!?」


愛:あの人は確か…タイタンとのデュエルで居合わせた人……?

あれ…?この人、以前っていうかずっと前から会っているような……

ん〜っと・・・いつ頃から…?


刹:「それはそうと梨音!あんたに聞きたいことがある!!」

梨:「な、なんだよ…急に―?」


刹:「なんであんたがエンチャート・ソードガールのカードを持ってんだよ!!」

梨:「え…?」


俺は正直言ってわからなかった。


なぜ刹那がソードガールのことを口にしたのか…

そして、刹那の理由が俺をさらに驚かせる。


刹:「そのカードはなぁ……俺の妹が一番大切にしていたカードなんだ!!」



梨:……!!

愛:(ちょ、ちょっと待って!?俺の妹って…まさか……そんな…まさか……−)




―お姉ちゃん!?


梨:「…な!?…こ…こいつが……お前の…姉ちゃん!!?」


刹:「…!そ、その声…あ…愛…華……?」

愛:や、やっぱりその声は私のお姉ちゃんだ!道理で聞き覚えのあるハズだ!!


でもお姉ちゃんは喜ぶよりも、ものすごく驚いた表情で私を見たあと突然梨音の胸倉を掴んで梨音に叫んだ。

刹:「貴様ぁぁぁ!!!愛華に何をしたぁ!!何で愛華がカードの精霊になってるんだぁ!!!」

梨:「ま、待て刹那…誤、誤解だ!!お、俺は……俺はただ…」






ポタッ!



梨:「……え?」


愛:梨音はお姉ちゃんの顔を見ながら驚いている…


さっきまで怒りでいっぱいだったお姉ちゃんの眼からポロポロと涙を出し、苦しい顔をしていた…



刹:「なんで…なんで愛華がこんな……こんな目に合わないといけないんだよぉ………いったい…愛華が何をしたんだって…言うんだよぉぉぉぉぉ…!!!」


梨:「……刹那………」











梨:その後…刹那が落ち着いた後、俺達はこれまでの経緯について説明をすることにした。


愛華が精霊と一体化している理由

あの日−発見される前日にあった事

俺が愛華のためにしていること

そしてカードの精霊が暴動を起こしていることを……



やはりと言うべきか…刹那は信じてないみたいだ・・・


刹:「ちょ、ちょっと待って…も、もし愛華が数年前に異世界に吸い込まれたのなら……俺が今まで見てきた愛華って…何者なの!?」

梨:「そ…それはわからない……」


驚くべき発言だった…

その言葉に愛華も驚きの顔を隠せていない。



刹那の話によるとあの事件の後、刹那の見た愛華はしばらく病院で3年半以上も昏睡状態に陥っていた。

だが、その愛華は突然と姿を消したと言っていた。


それで彼女はこの学園に来たのだという…



梨:「た、確かに…刹那の言う通りなら……その愛華はこの学園にいるのかもしれない……だが…あんたの見た愛華って一体…」




侵略:(見つけたぞ小僧ども!!)


刹:「う、うわぁぁぁ〜!?な、何なんだこいつは!?」

梨:「しまった!見つかってしまったか!!…気をつけろ刹那、こいつは精霊のボスだ!!」

侵略「ほう…小僧以外にも我が姿を見ることができるのがいるのだな……」

梨:「ぐ…逃げろ刹那!こいつは俺が引き受け…ぐっ!」


刹:…!?…あいつ…まさか今まで精霊達と闘っていたのか!?

梨:ぐ…今までの疲れが……こ、こんな時に…


侵略:「ほう…今まで我が手下共と闘って尚、まだ余力があるか……しかし、その余力とやらもここで終わりだ…」


梨:「今の俺にそんなことは許されない!!」

刹:…!?

梨:「貴様の言うとおり……俺の体力はもうだいぶ消費してる…だが、俺には大切な者の命が俺の背に乗っかている!もしここで俺が倒れれば、俺はそいつを一生救えなくなる!!だからこそ!俺は戦い続けるんだ!!」


愛:梨…梨音……

刹:……



侵略:「お前の後ろにいる小娘のことか…?ならば安心しろ!私の手で貴様もろとも殺してやる!!」

梨:「く…行くぞ!デュエ―」


刹:「そのデュエルちょっと待った―!!」



梨:「!!?」

愛:(ね、姉ちゃん!?)


刹:「さっきから聞いてみりゃ梨音梨音と弱ってる奴をボスが止めさすってのはハンデありすぎだろ!俺を混ぜろ!!」

梨:「お、おま…何を言って―」

刹:「当然2対1の変則デュエルじゃ私達のほうが有利だ…そこでお前のライフを8000ポイントとしてデュエルしろ!それなら文句ないだろ!!」


侵略:「ほう…威勢のいい小僧が1人いたか…まぁ。小僧の言うとおり弱ったやつを簡単に仕留めるのはつまらんものだ…せいぜい2人仲よく闘ってみるがいい…」


刹:「へへっ!後悔しても知らないぜ!!」

梨:「刹那!何考えてるんだ!?そんなことしたら―」



―パシィ!!

突然、刹那が梨音の頬を引っ叩く。

それを受けた梨音は一瞬わからなくなった。

愛:(お姉ちゃん…)


刹:「勘違いしないで!俺はあんたのことまだ許したわけじゃないから!!…それと………」

梨:「それと…?」



刹:「愛華の心を救ってくれてありがとう…!」

梨:「………あぁ!!」



侵略:「ふん…何を言ってるのかわからんが……行くぞ…!!」




「「「−デュエル!!」」」



梨音:LP4000

刹那:LP4000

暗黒の侵略者:LP8000




【フェイズ2 12】侵略者をぶっ飛ばせ!−冥王竜ヴァンダルギオン!!

刹:「俺から行かせてもらうぜ、カードドロー!!俺は手札からフィールド魔法、危険地帯を発動!俺の魔法・罠ゾーンにセットされたカードが存在しない場合、手札の罠カード1枚を捨てることで、デッキから捨てたカードと同じ種類の罠カードを2枚までセットする!!」


危険地帯
フィールド魔法カード
自分の魔法・罠カードゾーンにカードが存在しない場合、手札から罠カードを捨てて発動する。捨てた罠カードと同じ種類(通常・永続・カウンター)の罠カードをデッキから2枚まで選択してフィールド上にセットする。この効果を使用する場合、このターン魔法・罠カードをセットすることができない。

刹:「俺が捨てたカードはカウンター罠…よってデッキから魔宮の賄賂と攻撃の無力化をフィールド上にセット!さらに豊穣のアルテミスを召喚しターンエンド!!」

豊穣のアルテミス
光属性 天使族 ☆4 ATK1600 DEF1700
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、カウンター罠が発動される度に自分のデッキからカードを1枚ドローする。


梨:「俺のターン、ドロー!俺も手札から永続罠カードを墓地に送り、魔法剣‐チェーン・ブレードと魔法剣‐パワード・ソードをセット!さらにモンスターを1枚セットしてターンエンドだ!!」

侵略:「序盤からお互いにカードをそれぞれ2枚ずつセットするか…だが、そのカードがばれていては意味がないな…私のターン、私も危険地帯の効果を発動させてもらう!私は罠カードエナジー・ドレインを墓地に送り、デッキからアヌビスの呪いと強制脱出装置をフィールドにセットする。」


刹:このカードの効果によってお互いの場に2枚以上の罠カードがセットされた…

3人以上のデュエルの場合、すべてのプレイヤーは序盤から攻撃はできない…でも、次の私のターンから一気に叩きつければ一気に勝てる!!


侵略:「そして私は女忍者ヤエを攻撃表示で召喚!!そして手札からインセクト・プリンセスを墓地に送り効果発動!相手フィールド上の魔法・罠カードを手札に戻す!対象は…危険地帯を発動した小僧!貴様だ!!」

刹:な、も…モンスター効果だとぉ〜!?あぁ…せっかくセットしたカウンター罠が……


女忍者ヤエ
風属性 戦士族 ☆3 ATK1100 DEF 200
手札から風属性モンスター1枚を墓地に捨てて発動する。相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。

刹:「う…クソ!序盤からこれかよ!!」

梨:「落ち着け刹那!…まだ奴はバトルできない!!」


侵略:「だが…ダメージは与えることができる…手札から魔法カード盗人ゴブリンを発動!再びさっきの小僧に500ポイントのダメージを与え―私のライフを500回復する。」

刹:「また俺かよ!?」

盗人ゴブリン
通常魔法カード
相手ライフに500ライフポイントダメージを与え、自分は500ライフポイント回復する。


刹那:LP4000→3500

侵略者:LP8000→8500


侵略:「ターンエンドだ…」

刹:「俺のターン、ドロー!俺はコ―リング・ノヴァを召喚!!」

コ―リング・ノヴァ
光属性 天使族 ☆4 ATK1400 DEF 800
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下で光属性の天使族モンスター1体を自分フィールドに特殊召喚する事ができる。また、フィールド上に「天空の聖域」が存在する場合、代わりに「天空騎士パーシアス」1体を特殊召喚する事ができる。


刹:「そしてバトル!豊穣のアルテミスで女忍者ヤエを攻−」

侵略:「罠カード、アヌビスの呪い発動!このカードによりフィールド上の効果モンスターは全て守備表示になり、守備力も0となる!!」


アヌビスの呪い
通常罠カード
フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターは全て守備表示になる。発動ターン、それらの効果モンスターの元々の守備力は0になり、表示形式の変更ができない。


豊穣のアルテミス:守備表示 DEF1700→   0

コ―リング・ノヴァ:守備表示 DEF 800→   0

女忍者ヤエ:守備表示 DEF 200→   0


刹「ちっ…やはり発動したか…(だが、セットされたカードは強制脱出装置1枚だけになった…後は頼む梨音!)カードを3枚セットしてターンエンド!!」


梨:「(刹那…アヌビスの呪いを消し去るためにワザと攻撃を…礼を言うぜ…)俺のターン、ドロー!!俺は魔法剣‐ブレイズソードを反転召喚!そしてバトル、ブレイズソードで―」

侵略:「リバース罠!強制脱出装置を発動!!残念だがブレイズソードはここで退場させてもらう…」

強制脱出装置
通常罠カード
フィールド上のモンスター1体を持ち主の手札に戻す。


ギュォオオオオオオオ―!!

梨:「うおぉぉ!?…す、吸い込まれる!!どわぁああ!!?」

刹:「梨音まで退場させるつもりかよ!?カウンター罠発動!魔宮の賄賂!!魔法・罠カード1枚の発動を無効にし、相手はカードを1枚ドローする!!」


魔宮の賄賂
カウンター罠
相手の魔法・罠カードの発動と効果を無効にし、そのカードを破壊する。相手はデッキからカードを1枚ドローする。


バタン!

梨:「あたっ!あたたた……」


侵略:「もう発動してきたのか…まぁ、私は1枚ドローすることになるのだが……」

刹:「だがそれは私も同じこと!アルテミスの効果でさらにカードを1枚ドローする!」

梨:「さ、サンキュー刹那…マジで危ないところだったぜ……」

刹:「まぁ、ある程度は俺がサポートするからあんたはさっさとあのデカブツやっつけちゃいなさい!」

梨:「当たり前だ!喰らえ!ブレイズソード!!!」

侵略:「ぬぅぅぅ…」


侵略者:LP8500→8000

梨:「このカードはモンスターを破壊するたびに相手に500ポイントダメージを与える…そして魔法剣は連続攻撃も備えている!!もう一度!ブレイズソード!!」


侵略者:「ぐぬあぁ…」

侵略者:LP8000→6100


梨:「ターンエン…おととと…」

なんだ…足がフラフラと?


刹:「大丈夫か梨音!?やはりさっきの戦いの影響で…」

梨:「大丈夫…平気平気……」

愛:(梨音…)


侵略:「貴様らの友情には感動があるが……残念ながら私のターンだ…ドロー!私は冥界の使者を召喚!さらにこのカードをリリースし―魔法カードモンスター・ゲート発動!!」


冥界の使者
闇属性 悪魔族 ☆4 ATK1600 DEF 600
このカードがフィールド上から墓地に送られた時、お互いに自分のデッキからレベル3以下の通常モンスター1体を選択し、お互いに確認して手札に加える。その後デッキをシャッフルする。

モンスター・ゲート
通常魔法カード
自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。他のめくったカードは全て墓地に送る。


侵略:「モンスター・ゲートの効果によりデッキのカードをめくる


デッキからめくられたカード
・シルフィード
・神秘の中華鍋
・破壊指輪
・地砕き
・連鎖除外
・リロード
・リロード
・暗黒の呪縛
・エネミー・コントローラー
・忍法 変化の術
・暗黒ドリケラトプス

「めくったカード10枚を墓地に送り―出でよ、暗黒ドリケラトプス!!」


暗黒ドリケラトプス
地属性 恐竜族 ☆6 ATK2400 DEF1500
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

刹:「このタイミングで貫通能力モンスター…かよ!?」

侵略:「そして墓地に送られた冥界の使者の効果により、デッキからレベル3以下通常モンスター―封印師 メイセイを手札に加える…さぁ、お前たちもデッキからレベル3以下の通常モンスターを手札に加えるがいい……もっともそのカードがデッキにあればだが。」


梨:「俺のデッキに条件に会うモンスターはない。」

刹:「俺はデッキから神聖なる球体を手札に加える。」


侵略:「フン…バトルだ!暗黒ドリケラトプスでアルテミスを攻撃!!」

刹:「そうはいかないよ!カウンター罠!攻撃の無力化!!その攻撃を無効にし、バトルを強制終了する!!」


攻撃の無力化
カウンター罠カード
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

刹:「そしてアルテミスの効果でカードドロー!!」

侵略:「ぬぅぅぅ……厄介なカードをセットしおってぇ…カードを2枚セットしターンエンドだ!!」


刹:「俺のターン、ドロー!!俺は新たに光神機 桜火を召喚!そして桜火で暗黒ドリケラトプスに攻撃!!」

侵略:「相打ち…ならばリバースカード発動!邪悪なるバリア―ダークフォース!!このカードで全ての守備モンスターをゲームから除外する!!」


邪悪なるバリア―ダークフォース
通常罠カード
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手フィールド上の守備表示モンスターを全てゲームから除外する。


侵略:「消え失せろ!コ―リング・ノヴァ!アルテミス!!」

刹:「消え失せるのはあんたのほうだ!!カウンター罠!盗賊の七つ道具発動!1000ライフを払い罠カードの発動を無効にする!!」

刹那:LP3500→2500


盗賊の七つ道具
カウンター罠カード
1000ライフポイントを払い発動する。罠カードの発動を無効にし、それを破壊する。

「そしてアルテミスの効果でカードを1枚ドロー!そして今、カウンター罠の効果で罠カードを無効にしたことで手札から召喚できるモンスターがいる!!出でよ!冥王竜ヴァンダルギオン!!」

侵略:「バカなぁ!?カウンター罠で召喚できるモンスターだとぉ!?」


冥王竜ヴァンダルギオン
闇属性 ドラゴン族 ☆8 ATK2800 DEF2500
相手がコントロールするカードの発動をカウンター罠で無効にした場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した時、無効にしたカードの種類により以下の効果を発動する。●魔法:相手ライフに1500ポイントダメージを与える。●罠:相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。●効果モンスター:自分の墓地からモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

梨:「冥王竜……すげぇ…俺も始めてみた……」


刹:「ヴァンダルギオンはカウンター罠で罠カードを無効にした場合、相手のカード1枚を破壊する!!破壊するのは暗黒ドリゲラトプス

侵略:「ぐ…罠カード重力解除発動!フィールド上のモンスター全ての表示形式を変更する!!」


重力解除
通常罠カード
フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの表示形式を変更する。



刹:「でも!これでコ―リング・ノヴァとアルテミスは攻撃可能になった!!この2体でダイレクトアタック!!」

侵略:「グワァァァー!!」


侵略者:LP6100→4500→3100


刹:「たとえあんたがどれだけの野望があろうとも……俺達はその力に反逆する!!…なっ、梨音!」



梨:「あぁ!その通りだぜ!!」

愛:(二人ともかっこいいのだ!!)




【フェイズ2 LAST】侵略の末路、まるであの作品と同じ結末のように………

数ターン後…

梨音「行け!エンチャート・ソードガール!侵略者に攻撃だ!!」

愛華「食らえ!ブレードマジック!!」

侵略者「ぐわぁああああ―!!!」

刹那「やったな梨音、愛華!!」

愛華「あぁ、……うぅ!!?」

梨音「ど、どうした愛華!?」

愛華「体が…苦しい……あ、あああああああ―!!!」


バシュゥン!!

梨音「えぇ!?あ、愛華が2人に!!?」

刹那「違う!あ、愛華が……愛華が元に戻ったんだ!!」

愛華「……ん…!…あ、あれ…も、元に戻ってる!!やった、やったのだぁ〜!モドに戻れた―!!」

ソードガール「マ、マスター…私は一体何をしていたのでしょうか!?」


こうして愛華は元の姿に戻り、梨音に抱きついて感謝する。
そして愛華はポケットからいつの間にか持っていたヘルモスの爪をリオンに託すことにした。




そして一ヶ月後……


「それでーハ!これから1年生は今日1日インダストリアル・アカデミアとの交流戦に行くノーネ!」

と、クノロスの言うとおり、梨音達一同はインダストリアル・アカデミアに行くことになった。
そして梨音達はその学園で林檎達と知り合い仲間になるが、突然学園に林檎の姉―林祢が姿を現した。

林檎「ね、姉ちゃん!?どうしてこんなところに!!?ていうかロイヤルナイトメアにさらわれたんじゃなかったの!!?」

林祢「あぁ、そいつらならもうそこで全員ボコボコにしたから大丈夫よ。」


林祢の横にはロイヤルナイトメアの一人であった月宮と300人強もいるその仲間達、そしてそのボスらしき人物が一人残らずボッコボコになって倒れていた。

林檎「い、いったいどうやって…デュエルじゃ負けちゃったんじゃないの!?」



林祢「クリティウスの牙と……素手で?」

林檎一同『素手かよ!ってかどんだけ喧嘩強いんだよ!!』



FIN……orz


















後書き……

いや〜今回は正直言って大失敗でした。

言葉が滅茶苦茶だし、オリカばっかだし…リアクションも最悪だし…


それに途中からこうすればよかったということがただあって仕方がなかった。

そこで僕はこの「MIMIC」を止め、全く新しいストーリーを始めっから書き直すことに決めたのです。

「MIMIC」シリーズを読んでくれた皆様には大変ご迷惑なことを書いて仕方がないのですが、新しく再出発するこの僕をどうか見守っていてください……



それではここで僕の書いてきた小説「MIMIC」シリーズはこれにて完結します。







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