Make haste slowly

製作者:しゃけさん




ゲスト:昆布さん

小説の出来具合はこちらで書きますので興味のある人は覗いてください。



序章

四月の初め、澄み切った青い空。
ほのぼのとするような良い天気だった。
が、その青空の下の住宅街の一角から全くほのぼのとしない叫び声が聞こえてきた。

「クソッ、寝過ぎた。昨日、デッキ調整なんかしなけりゃ良かった。」
そう言いながら川瀬 翔(かわせかける)はドタバタと家の中を走り回っていた。
昨晩、翔は「遊戯王オフィシャルカードゲーム」俗に言う「遊戯王OCG」の
デッキ調整をしていたのだ。
そして、調整が終わると学校の用意もせずベッドへGO!という
夜更かし+学校への装備なしの状態で寝てしまい今の状態となってしまった。
翔は素早く朝の支度を終わらせて、
通学路へと駆けだした。

翔が扉を開けると、肩にかかるぐらいのロングヘアーで身長の低い少女が待っていた。
その少女は笑いながら翔に挨拶した。
「おはよう翔くん」
「よう、理奈。見れば分かると思うけど今急いでんだ。」
理奈と呼ばれた少女は手慣れているかのように翔のスピードに合わせながら
学校に駆けていった。

しばらく走ると学校の校門に着いた。
「はぁはぁ、なんとかたどり着いたね。翔くん」
「あぁそうだな。はぁ」
二人は校門の前で息切れしていた。
翔と共に走ってきた少女は、和泉 理奈(いずみりな)という名で、
翔の幼なじみである。
校門にはずっしりとした石の柱が立っており、その柱には表札が掛かっている。
その表札に、彫られている文字はこうである。
           「私立龍城学園 中等部」
翔と理奈は、龍城学園の生徒であり今日から二年生である。
今日は始業式なのだ。
翔が私立中学校に通っている理由は、
「正直、高校受験めんどくさい」という理由によるものであり
翔がエリートというわけではない。
この学校は中高一貫となっており、中学で受かれば六年間は入試とオサラバできるのだ。

二人は校舎に入り、靴箱のある広場まで歩く。
今日は始業式なので、クラス替えがあり広場に名簿が貼ってある。
それを見ると翔は1組、理奈は3組だった。
「じゃ、オレは1組だから。」
「わたしは3組だ。じゃあね。」
翔は1組の教室へ、理奈は3組の教室へ歩いていった。

翔が1組の教室に着くと、入り口付近で同じく幼なじみの少年
新久保 輝(にいくぼひかる)が話していたので声をかけてみた。
「おい、輝」
「お〜、春休みぶりだな。」
「あのさ、まさかとは思うけどお前1組か?」
「そうだけど、何かあるのか?」

「マジかよ!!?!?」

思わず翔は叫んでしまった。
なぜなら翔と輝は幼稚園の頃から今までずっと同じクラスなのである。
幼稚園3年間、小学校6年間、中学校2年間(今年を含む)合計11年間
ずっと全5クラスであったが、11年間ずっと同じクラスの可能性は
0.0002048%(作者計算結果)
なのである。

もう奇跡としか言いようがない。
もうミラクルの領域なんですよ、これは。
「まあまあ、落ち込むなよ」
輝が翔の肩をポンポンとたたく。
「イヤ、落ち込むというか何というか、もう奇跡的というか
 この不幸の手紙を1日以内に4096人の人に回さなければ地球が
 栗まんじゅうの底に埋まってしまうでしょう(?)」
翔はこのミラクルに気がおかしくなっているようだ。

キーンコーン カーンコーン……

チャイムが鳴った。
担任が教室に入り、生徒は急いで席に着いた。
その後は、平凡に始業式などが過ぎていった。
学校からの帰り、翔は輝と遊ぶ約束をして帰った。

数十分後…
輝は家で翔を待っていた。輝の家で遊ぶという約束だったのだ。
「翔遅いな。」

ピンポーン

「おっ、きたきた」
輝が戸を開けると、来客が待っていた。
そう翔、と理奈が待っていた。
「あれ理奈ちゃん、何の用で?」
「いや、翔くんから聞いたんだけど面白そうだなぁ、と思って」
「でも今日やるの遊戯王OCGだよ。理奈ちゃんもってないでしょ。」
「えっ、持ってるよホラ」
理奈は鞄の中からデッキケースを取り出す。
翔が笑いながら言った。
「俺が教えた。」
「お前か…」
「まあいいや、とりあえず入れよ」
二人は家に入り、輝の部屋まで歩いていった。
輝の部屋は●ンプラが並んだオタク趣味少年らしい部屋だ。
輝の部屋では隣の部屋から音楽が聞こえてきた。輝には姉がいるのだ。
「さて、それじゃアミダくじでもやって、組み合わせ決めるか。」
輝が言った。
そのアミダくじによって、一回戦の組み合わせが決定した。
一回戦の組み合わせは


翔VS輝


に決定した。
翔は鞄から、輝は部屋に置いてある、デュエルディスクを腕にはめる。
デッキをはめ込むと、変形し、LP8000を示した。

      ―――――――――――――――決闘!!――――――――――――――――
二人の闘いが始まった。



第2章 翔VS輝

輝の先攻で、デュエルが始まった。
「オレの先攻、ドロー!オレはモンスターを裏守備表示で召喚。さらにカードを1枚伏せてターンエンド。」

翔のターンとなる。
「オレのターン、ドロー。天使の施し発動。3枚ドローし、2枚手札を捨てる。」

【天使の施し】通常魔法
自分のデッキの一番上からカードを3枚ドローする。
その後手札(ドローしたカードを含む)の中から2枚選んで捨てる。

「さらに、シールドクラッシュ発動。裏側守備表示モンスターを破壊。」
輝の場の魔装機関車デコイチが破壊される。

【魔装機関車 デコイチ】
レベル4/闇/攻1400/守1000
機械族・効果
リバース:カードを1枚ドローする。
自分フィールド上に「魔貨物車両 ボコイチ」が表側表示で存在する場合、さらにその枚数分カードをドローする。

「手札からミラージュ・ドラゴンを召喚。プレイヤーにダイレクトアタック!」

【シールドクラッシュ】通常魔法
フィールド上に守備表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。

【ミラージュ・ドラゴン】
レベル4/光/攻1600/守600
ドラゴン族・効果
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手はバトルフェイズに罠カードを発動する事はできない.

輝LP8000→6400

「ターン終了」

「オレのターン、ドロー。洗脳−ブレインコントロール発動。」

【洗脳−ブレインコントロール】通常魔法
800ライフポイントを払う。
相手フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する。
発動ターンのエンドフェイズまで、選択したカードのコントロールを得る。

翔の場のミラージュ・ドラゴンが操られ、輝の場に移動する。

輝LP6400→5600

「ミラージュ・ドラゴンを生け贄に古代に、古代の機械獣を召喚。」

【古代の機械獣】
レベル6/地/攻2000/守2000
機械族・効果
このカードは特殊召喚できない。
このカードが戦闘によって破壊した相手効果モンスターの効果は無効化される。
このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

「プレイヤーへのダイレクトアタック!」

翔LP8000→6000

「ターン終了」
翔は苦虫を噛みつぶした。
ライフポイントは勝っているものの、かなり翔が不利だ。
「(畜生、次のターンで古代の機械獣を何とかしなきゃ。)」

翔のターンとなる。
「オレのターン、ドロー。」
「(……来た。)」
翔は、この状態の時に引き当てたカードに感謝する。
「オレは、手札を1枚捨てて振り出しを発動!」

【振り出し】通常魔法
手札を1枚捨てる。
フィールド上のモンスター1体を持ち主のデッキの一番上に戻す。

古代の機械獣は、輝のデッキの上に戻されてしまう。
「さらに、ホルスの黒炎竜Lv4を召喚。」

【ホルスの黒炎竜 Lv4】
レベル4/炎/攻1600/守1000
ドラゴン族・効果
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、コントロールを変更する事はできない。
このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、
このカードを墓地に送る事で「ホルスの黒炎竜
LV6」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。

「プレイヤーに攻撃!」
この攻撃に、輝はすかさず罠カードを発動する。
「メタル・リフレクト・スライム発動。」

【メタル・リフレクト・スライム】永続罠
このカードは発動後モンスターカード(水族・水・星10・攻0/守3000)となり、
自分のモンスターカードゾーンに守備表示で特殊召喚する。
このカードは攻撃をする事ができない。(このカードは罠カードとしても扱う)

輝の場に、大きなスライムが現れる。
「チィ、ターンエンド。」
メタル・リフレクト・スライムの出現に、攻撃を断念し、ターンを終える。

輝のターンとなる。
「オレのターン、ドロー」
前のターン、振り出しの効果を受けた古代の機械獣が手札に来る。
「地砕きを発動。ホルスの黒炎竜を破壊。」

【地砕き】通常魔法
相手フィールド上の守備力が一番高い表側表示モンスター1体を破壊する。

「さらに、突然変異を発動!」

【突然変異】通常魔法
自分フィールド上モンスター1体を生け贄に捧げる。
生け贄に捧げたモンスターのレベルと同じレベルの融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。

輝の場のメタル・リフレクト・スライムが変異を始める。
そして、変異したスライムは三つの頭を持つ機械竜を形成した。
「サイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!」

【サイバー・エンド・ドラゴン】
レベル10/光/攻4000/守2800
機械族・効果
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「プレイヤーへの、直接攻撃!」
翔の体を衝撃が駆けめぐった。

LP6000→2000

「カードを1枚伏せてターンエンド。」

翔のターンとなった。
「オレのターン、ドロー。オレは、龍の鏡を発動。」

【龍の鏡】通常魔法
自分のフィールド上または墓地から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

翔は、墓地のドラゴン族5体を融合させる。
「F・G・Dを融合召喚!」
輝は翔が融合に使った、5体のモンスターについて考える。
「(墓地に、モンスターカードが送られた、または送られた可能性があった時は合計4回。
  天使の施し、オレが生け贄にしたミラージュ・ドラゴン、振り出しのコスト、地砕きで破壊されたホルスの黒炎竜Lv4
  まさか、天使の施し、振り出しの使用時のコストが全てドラゴン族モンスターだったのか!?)」

【F・G・D】
レベル12/闇/攻5000/守5000
ドラゴン族・融合
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。ドラゴン族モンスター5体を融合素材として融合召喚する。
このカードは地・炎・風・闇属性のモンスターから戦闘ダメージを受けない。

「F・G・Dでサイバー・エンド・ドラゴンを攻撃!」
F・G・Dの五つの頭から、攻撃が放たれた。

「収縮を発動!」

【収縮】速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択する。
そのモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズまで半分になる。

F・G・Dの放った攻撃が小さくなり、サイバー・エンド・ドラゴンが反撃する。
攻撃力が2500へと半減してしまったF・G・Dは無惨にも破壊されてしまう。

翔LP2000→500

「…………モンスターを裏守備表示で召喚して、ターンエンド。」
翔はがっくりとうなだれている。

「俺のターン、ドロー。」
「サイバー・エンド・ドラゴンで裏守備表示モンスターを攻撃!」
サイバー・エンド・ドラゴンの攻撃は伏せられていた仮面竜を貫き、翔を襲う。

【仮面竜】
レベル3/炎/攻1400/守1100
ドラゴン族・効果
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、
デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。

翔LP500→0
輝が勝った。



第3章 輝VS理奈

輝に負けた翔は、ショックを受けていた。
「立ち直れ、翔…」
「ショックは色々あるだろうが俺がなんとかしてやる、だから立ち直れ、お前は…」
そう言い、輝は翔を励ます。
だが、依然として翔は立ち直っていない。
「翔はダメっぽいな。まあ、とりあえず次のデュエルやろうか。」
翔のことは、放置して次のデュエルをやろうと輝が言う。
「うん、そうだね。」
理奈も翔のことは放置して、次のデュエルの用意をする。
輝、理奈はデッキをシャッフルして決闘盤に差し込む。
理奈の先攻ということに決まった。

      ―――――――――――――――決闘!!――――――――――――――――

理奈のターンからデュエルは始まる。
デュエル中の理奈の表情は普段のあどけなさが無く、凛とした表情だ。
「わたしのターン、ドロー。黒魔導士クランを召喚。」

【黒魔導士クラン】
レベル2/闇/攻1200/守0
魔法使い族・効果
自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在する
モンスターの数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。

理奈のフィールドに鞭を持ちながらも、うさぎのフードを被った可愛らしい黒魔導士が現れる。
「さらに、カードを2枚伏せ、ターンエンド。」

輝のターンとなる。
輝は、まず理奈の場び伏せられた2枚のカードに警戒する。
「(クランを、攻撃表示で出すということはあの2枚のカードのうちどちらかが、
  攻撃を止めるカードということか?)」
輝は考え、そしてカードを出す。
「手札から、サイクロンを発動。オレから見て右側のカードを破壊!」
輝は、2枚のうちの右側のカードを指さす。

【サイクロン】速攻魔法
フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を選択する。

すかさず、理奈もチェーンを仕掛ける。
「マジックドレインを発動。」

【マジック・ドレイン】カウンター罠
相手が魔法カードをプレイした時に、発動してもよい。
相手は手札から魔法カードを1枚捨てなければ、その魔法の発動を無効にし、それを破壊する。

輝の手札には魔法カードは無い。
サイクロンは不発に、終わってしまった。
「オレは、魔鏡導士リフレクト・バウンダーを召喚。ターンエンド。」
「エンドフェイズにスケープ・ゴートを発動!」

【魔鏡導士リフレクト・バウンダー】レベル4/光/攻1700/守1000
機械族・効果
攻撃表示のこのカードが相手モンスターに攻撃された場合、
相手攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与え、
ダメージ計算後にこのカードを破壊する。

【スケープ・ゴート】速攻魔法
このカードを発動する場合、自分は発動ターン内に召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
自分フィールド上に「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)を4体守備表示で特殊召喚する。
(生け贄召喚のための生け贄にはできない)

理奈のターンとなる。
「わたしのターン、ドロー。クランの効果を発動。」
クランが鞭を振り上げる。
「クランの効果で、1500ダメージ!」

輝LP8000→6500

「手札から悪夢の拷問部屋、マスドライバーを発動!」

【悪夢の拷問部屋】永続魔法
相手ライフに戦闘ダメージ以外のダメージを与える度に、相手ライフに300ポイントダメージを与える。
「悪夢の拷問部屋」の効果では、このカードの効果は適用されない。

【マスドライバー】永続魔法
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる度に、相手ライフに400ポイントダメージを与える。

「そして、手札からデス・メテオを発動!」

【デス・メテオ】通常魔法
相手ライフに1000ポイントダメージを与える。
相手ライフが3000ポイント以下の場合このカードは発動できない。

輝LP6500→5500→5200

輝は、だんだん窮地に追いつめられているような気がしてきた。
輝は、理奈にデュエルモンスターズを教えた翔を見る。
見ると、先程までがっくりしていた翔がニヤニヤしてこちらを見ている。
「(ヤツ、オレのいたぶられる様を見て喜んでやがる!!?)」
なんだか、輝は急に腹が立ってきた。
「(おのれぇ!翔のやつめ!このデュエルに勝って、ボコボコにしてやる!)」
翔に対する、密かな殺意を抱きつつデュエルに気をやる。

理奈がカードを出すところだった。
「マスドライバーの効果発動!羊トークンを1体生け贄に捧げ、ダメージ!」

輝LP5200→4800→4500

「モンスターを裏守備表示で召喚して、ターンエンド。」


輝のターンとなる。
「(このターン、なんとかしなければマズい!)」
「オレのターン、ドロー!手札から、賢者ケイローンを召喚!」

【賢者ケイローン】レベル4/地/攻1800/守1000
獣戦士族・効果
手札の魔法カードを1枚捨てる。相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。
この効果は1ターンに1度だけ使用する事ができる。

「オレは、手札の押収を捨て、ケイローンの効果発動。」

【押収】通常魔法
1000ポイントのライフを払う。
相手の手札を見て、その中からカードを1枚選んで墓地に捨てる。

伏せてあるカードが破壊される。
破壊されたカードはグラヴィティ・バインド −超重力の網−だった。

【グラヴィティ・バインド −超重力の網−】永続罠
フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。

「(やっぱり攻撃を止めるカードだったか。)」
「賢者ケイローンで、黒魔導士クランを攻撃!」
賢者ケイローンの攻撃にクランは、破壊されてしまう。

理奈LP8000→7400

「リフレクト・バウンダーで裏守備表示モンスターを攻撃!」
裏守備表示モンスターは聖なる魔術師だった。

【聖なる魔術師】レベル1/光/攻300/守400
魔法使い族・効果
リバース:自分の墓地から魔法カードを1枚選択する。
選択したカードを自分の手札に加える。

聖なる魔術師は、破壊されてしまう。
「わたしは、聖なる魔術師の効果でスケープ・ゴートを手札に。」
理奈は手札にスケープ・ゴートを手札に加える。
「ターンエンド。」
輝は、ターンを終了した。

理奈のターンとなる。
「わたしのターン、ドロー。」
「手札から、キラー・トマトを召喚。賢者ケイローンに攻撃。」

【キラー・トマト】レベル4/闇/攻1400/守1100
植物族・効果
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の
闇属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。

当然のことながら、賢者ケイローンにキラー・トマトは破壊されてしまう。

理奈LP7400→7000

「キラー・トマトの効果発動。デッキからキャノン・ソルジャーを召喚!」

【キャノン・ソルジャー】レベル4/闇/攻1400/守1300
機械族・効果
自分のフィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げる度に、
相手ライフに500ポイントダメージを与える。

輝は思った。
「(むむ、なんかオレ、ヤバくないですか!?)」
翔は、相変わらずニヤニヤして輝のやられっぷりを見ている。
輝の予想通り、輝に危機が迫っていた。

「わたしは、羊トークンを生け贄にキャノン・ソルジャーの効果発動!」

輝LP4000→3500→3200

悪夢の拷問部屋の効果で500ポイントのライフポイントと共に
300ポイントのライフポイントも削られてしまう。
理奈は、どんどんモンスターを生け贄にしていく。
「残りの羊トークン2体も生け贄にするよ。」

輝LP3200→2700→2400→1900→1600

「さらに、さっき回収したスケープ・ゴートを発動!」
再び、理奈の場に身代わり羊が4体現れる。
「羊トークン2体を生け贄にして、キャノン・ソルジャーの効果発動!」

輝の頭の中に、考えがよぎる。
「(あぁ、オレ負けちゃうな。勝って、翔をボコボコにしたかった…
  いや、わざわざ勝たなくてもいいや。とりあえず、殴ろう。よし。)」

輝LP1600→1100→800→300→0
理奈の勝利だった。


そして、デュエルの終了と共に翔への攻撃を仕掛ける……はずだった。
輝は、隣の部屋から近づく殺気を感じた。
そして、その殺気の持ち主が輝の部屋のドアを開ける。
姿を現したのは、輝の姉である美紀。
「輝!家の中でデュエルディスク使うたぁ、イイ度胸してるなぁ!オイ。」
先程まで、デュエルが行われていたのは新久保家の家の
明らかに、口調が変わっている姉に、輝は動くことすらできない。
「貴様、どうなるかは分かっているな?」
体が凍り付いて、首を横に振ることもできない。
ただ、このままでは確実に冥界行きは免れないので、謝る。

「マジすみま………ぎゃあああああああああああああああああ

輝が言い終わる前に、姉の美紀の拳が輝の頬を捉えていた。
輝は、きれいに六回転して宙を舞う。

ガシャン!

もの凄い勢いで、飛ばされた輝の頭と窓ガラスが衝突した音だった。
姉の美紀は、弟が窓ガラスと接触してすごい音を出したが気が晴れたので、
鼻歌を歌いつつ、輝の部屋から歩いてゆく。
翔は、美紀を呼び止めようと思ったが六回転するのが嫌なのでやめておく。
「(それにしても、凄かったな。あのパンチ力。オレには、見えなかった。
  六回転させて、飛ばすってどうやるんだ?オレにはムリだろうけど。)」
「って、こんなこと考えてるヒマは無かった!
 おいっ!輝!大丈夫か!?聞こえてたら返事をしろ!」
…すると、輝が返事をした。
「大丈夫だ。今日のはいつもよりパンチを手加減してくれたっぽいしな。」
六回転して窓ガラスとぶつかってガシャン!で手加減だと!?
普段のパンチ力が知りたいと思ったが、聞くのも怖い。
本気を出せば、インド象ぐらい軽く殺せるんじゃないかとも思った。
まあ、アレを食らって生きてる輝もすごいが。
新久保兄弟恐るべし…
そう、思いながら翔は言う。
「で、立てるか?」
「おう。大丈夫、大丈夫!」
輝が元気そうに立ち、もたれかかっていた窓ガラスから離れた。




翔は見逃さなかった。理奈も見逃さなかった。
さっき、輝がぶつかった窓ガラスが真紅に染まっているのを。

……輝が元気そうなので、二人とも見なかったことにしておいた。















あの後は、普通に遊んだ。
………………………もちろん、デュエルディスクは使わずに。

翔は、家に帰ると夕食を済ませ、さっさと自分の部屋へと向かう。
デッキから、ホルスの黒炎竜Lv4,Lv6,Lv8を取り出し眺める。
この3枚を、翔は気に入っていた。
今日は、地砕きでやられて終わったが、今度は活躍させようと考える。
それにしても、今日は楽しかった。
この世界が続くだろう。漠然と思う。
もう眠たくなってきた。
「寝よ。」
翔は、眠りについた。







この時、
この世界が続くだろう。という翔の思いも虚しく、この世界が歪み始めていた。



第4章 世界の歪み

翌日、翔には珍しく朝早く目が覚めた。
なぜなら、翔には何者かのものかは分からないが声が聞こえていたからだった。
音ではなく直接、意識に働きかけるような声。
《翔…起きるがよい…。》
誰が、話しているのかは分からない。だが、翔は指示に従い、起きる。
殺意などは感じられないが、従ったほうが安全であると考えたからだ。
《そして、部屋にある汝の決闘盤を持ってこい。》
「決闘盤?」
《とにかく、汝の決闘盤を持ってこい。》
翔は言われるがままに、決闘盤を持ってくる。
《それを持って、ちょっと外へ出ろ。》
翔は自分の部屋のドアを開け、外へ出る。 《ホルスの黒炎竜を召喚しろ。》
「へ?ホルスの黒炎竜の召喚?」
翔は思ってもいなかったホルスの黒炎竜の召喚という命令に目を白黒させる。
《いいから、召喚してみろ。》
翔は、しぶしぶとホルスの黒炎竜Lv4を召喚する。
「で、召喚したけどどうすればいい?」
《触れてみろ。》
簡潔に述べられた命令に翔は疑問を抱きながらも黒炎竜に触れた。
竜の鱗で覆われた固い体。
《どうだ?》
「どうも、こうも、ねえよ。普通に触れただけだし。」
《そうか……汝は気付かないか……。》
翔に語りかける者は少し考え、翔に言う。
《翔、決闘盤について説明してみろ。》
翔は、意外な質問に混乱しながらも頭の中で思い出す。
(う〜んと……確か……。
 デュエルディスクが、ソリッドビジョンを映し出すんだよな…。
 それで、ソリッドビジョンってのはなんだったっけな………。
 …………………………………。
 え〜と。そうだ!立体映像だ!よし、これで説明できる!















 ………………………。
 ってアレ?デュエルディスクで映し出されるのは、立体映像なんだよな…。
 さっき、オレ触れなかったっけ………………?
 それで、鱗で覆われて固いって思わなかったか……?
 つーか、「普通に触れただけだし。」って言ったよな………………。)

「っておい!!なんで立体映像に触れられるんだ!?」
《やっと気付いたか…。》
「《やっと気付いたか…。》じゃなくて教えてくれよ!つか、オマエ誰!?」
《汝のすぐそばにいるであろう。》
「オレのすぐそばってホルスの黒炎竜しか………ってまさか!?」
《そのまさかだ。》
「ああ、なるほど〜。
 ………ってホルスの黒炎竜と話ができるって事自体おかしいだろ!?
 あんたがおかしいのか!?それともオレの頭おかしくなったのか!?」
《どちらでもない。》
「だって自称ホルスの黒炎竜って絶対、アンタの頭おかしいよ!」
《我を、おかしいというならば立体映像に触れられたのはどうだ?》
「オレが聞きたいくらいだよ!」
《そんなことが起きるような状況で常識が通じると思うのか?》
「思いません…。」
翔は何一つこの世界が理解できなかった。
朝、起きたら立体映像のはずが実体化していたりカードのモンスターが話したり…。
あまりに、急な変化だった。
《よく聞け、翔。今、この世界は歪んでいる…。》
「歪んでいる…?」
《そうだ。歪んでいる。辺りを見回してみるがよい。》
急いで、翔は辺りを見回してみる。
まず翔の目に映ったのは、いつも通りの自分の家……ではなくアパートの1階。
普段、自分が住んでいたはずの建物が、アパートとなっていた。

「なんじゃこりゃ!?」

「オイ、なんだこれは!?」
翔は、側にいる竜に聞く。
《だから歪んでいると言っただろう。》
「他も全部か!?」
《おそらく世界全体が歪んでいる。》
「なんで、お前がそんなこと知ってんだよ!?」
《知っているとかではなく世界が歪んでゆくところを見た。》
「歪んでいくところ?」
《ああ。どんどん世界が歪み、変わっていった。》
翔は、すぐ側のアパートの階段を駆け上り、自分の住んでいた・・・・・ 街を見る。

街は静かだった。
しかし、翔の見た光景は昨日までの街ではなかった。
家屋や建築物は現代のものだったが、街の中心部に場違いな塔が建っていた。
その塔は、遊戯王の『バベル・タワー』のように高くそびえ立っておりとても古く見える。
そんな場違いな塔を見ながらも、翔は自分の知っている建築物がないか確かめる。
翔の目に、一つの建物が目に入る。翔はその建築物をよく知っていた。
翔の通う、龍城学園だった。
ひとまず、変わっていない龍城学園にほっとする。


翔の中で、新たな疑問が湧いてきた。
浮かんできた疑問をそのまま黒炎竜にぶつける。
「なあ、こんなに世界が変わったのにどうして誰も騒がないんだ?」
《実のところ、それは我にも分からんのだ。》
「そうか…。」
当然と言えば当然のことだ。
彼(?)は世界が変わるのしか見ていない。
「そういえば、オレ、学校は行かなくていいのか?」
《ん…。行かねばならんはずだと思うが。制服を探せばよいのではないか?》
そう言われ、制服を探していると見知らぬドアが見つかった。
「あれ?こんなドアあったっけ?」
《おそらく、以前の家屋ではなくなったために新たに増えたのだと我は思うが。》
翔がドアを開けるとその部屋はリビングルームだった。
結構広い。
「そういえば、他の家族は?」
翔は黒炎竜に聞く。
《うむ…。歪んだ世界であるからな。
 我にも分からぬ。探していないのなら居なくなったと考えるべきだと我は思うが。》
「じゃ、居なくなったって可能性もあんのか!?」
《その可能性もある。》
「マジで!?ちょ…オレ一人暮らしか!?」
《かもしれぬな。》
「そうか。とりあえず、学校行って来る。」
翔は制服を引っ張り出し着替える。
「せっかくモンスターが実体化するんだしこれ持って行くか。」
鞄に決闘盤を入れ(無論、校則違反である。)、翔は駆けだした。
翔は、何故だか知らないがこの世界の通学路も全て憶えており意外と簡単に学校へ行くことができた。
異変に気付いたのはその後のことだった。
翔が教室へ入ると、見覚えのない生徒が数人いた。
だが、その生徒とまるで前からいたかのように話すクラスメイト達がいた。
翔は現在の世界について、前の世界・・・・でもいたクラスメイトに聞いた。
「オイ。お前、今の世界どう思う?」
「ハァ?お前、何聞いてんだ?別に普通じゃん。」
予想もしていなかった返答。
「お前、今の世界おかしいとは思わないのかよ!?」
そんなすがる思いで聞いた問いですら簡単に答える。
「お前、ホント何言ってんのか分からないしさあ。ちょっと、他のやつにも聞いてやるよ。」
5分も、待たない内に罵倒の声が響いた。
そんな罵倒の声に翔は酷い喪失感を憶えた。

その後の授業は全く頭に入ってこなかった。
(オレが異常なのだろうか…)
そう考えれば考えるほど、気力が失せていった。


そんな憂鬱な授業が全て終わり、帰ろうとした翔に声がかかった。
「この紙に書いてある場所まで来い。だってさ。」
そう言われ、翔は手紙を渡される。
知らない生徒だ。どうやら、伝言を任されたようだった。
その手紙にはこう書かれていた。


 逢羽町18-2の廃ビルまで来い。
               T.K

ご丁寧に、地図まで書いてくれている。
この歪んだ世界で何をすればいいのか分からない翔は、とりあえず行ってみることにした。


地図に従って歩くと、意外と早く指定された場所に着いた。
その場所には一人の少年が待っていた。



第5章 歪みを知る者達

「お、来たか。」
待っていた少年は口を開く。
「で、あんた何者なんだ?」
翔が聞く。
「そんな緊張した口調にならなくてもいいじゃん。
 ワシの名前は香海山 タイ(こうかいざんたい)。同じ学年なんだし覚えろよ〜。
 T.KっていうのもTai Koukaizanのイニシャルな。」
気の抜けるような口調で香海山タイと名乗る少年は答える。
予想もしていなかった答えに翔は言う。
「覚えろよ、って言われてもな…。
 大体、自分のことを『ワシ』っていう中学生初めて見たぞ。
 それよりも何の用があってオレを呼び出したんだ?」
やっと翔は本題を聞く。
「よし。ここで本題だけど翔、世界がおかしい、って言ってたな?」
まさかここでそれを言われると思っていなかったが、表情には出さず聞き続ける。
「言ったけど、そのオレが言ってたのがどうしたって?」
「いや、実はワシも同じこと考えてる。」
「え?」
思わず翔は聞き返してしまう。予想外の返答に驚いてしまった。
そのまま、タイは話し続ける。
「昨日まで、普通の日本だったのに急にモンスターが実際に出てきたりして驚いてただろ。」
図星だった。
だが、そう言われることによって心の隙間が塞がったような気がした。
「なんでそんなこと分かるんだ?」
翔は聞く。
「ワシがそうだったから。」
簡単な返答だった。
「え?じゃあ、モンスターの声みたいなやつ分かるのか?」
「もちろん。
 イヤ〜。でも、朝起きたらブラック・マジシャン・ガールの声聞こえた時はさすがにビビった。
 でも、ブラック・マジシャン・ガールの声まで聞けるのってなんだか萌えるな。
 アニメを見てるような感覚で。」
この一言から、翔はタイが相当イタい人だと感じ取った。
「大体一緒だけど、オレにはお前がもの凄くイタい人に感じて仕方がない。」
「なら、デュエルで試してみるか?」
「お前には絶対負けない!つーか負けられん!
 お前に負けるとオレのプライド(中略)だから絶対お前には負けない!」

「じゃあ、とりあえずジャンケンから。最初はグー。ジャーンケンポン。」
タイがグー、翔がチョキだった。
「なら、ワシは先攻で。」
「それと、これ決闘盤に取り付けとけよ。」
タイが投げた見たことのない機械を翔はキャッチした。
「なんだコレ?」
「それを取り付ければ、普通に立体映像で出てくるらしい。」
「へぇ〜。」
翔はその機械を取り付ける。
「よし。準備完了。」

      ―――――――――――――――決闘!!――――――――――――――――

デュエルが始まる。
「ワシのターンドロー!」
タイが威勢良くカードを引く。
「手札から魔導戦士ブレイカーを攻撃表示で召喚!」

【魔導戦士ブレイカー】レベル4/闇/攻1600/守1000
魔法使い族・効果
このカードが召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを1個乗せる(最大1個まで)。
このカードに乗っている魔力カウンター1個につき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
また、魔力カウンターを1個取り除くことで、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。

魔力カウンターにより、ブレイカーの攻撃力が1900となる。
「ターン終了。」
タイのターンが終わる。

「オレのターン、ドロー!
 手札から、未来融合−フューチャー・フュージョン を発動。
 デッキの洞窟に潜む竜、軍隊竜3体、ランサー・ドラゴニュートを墓地へ送り、F・G・Dの融合素材とする。」

【未来融合−フューチャー・フュージョン】永続魔法
自分のデッキから融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、融合デッキから融合モンスター1体を選択する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に選択した融合モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

【洞窟に潜む竜】レベル4/風/攻1300/守2000
ドラゴン族
洞窟に潜む巨大なドラゴン。普段はおとなしいが、怒ると恐ろしい。財宝を守っていると伝えられている。

【軍隊竜】レベル2/風/攻700/守800
ドラゴン族・効果
このカードが戦闘で破壊され墓地に置かれた場合、同名カードをデッキから1枚選択しフィールド上に特殊召喚する。

【ランサー・ドラゴニュート】レベル4/闇/攻1500/守1800
ドラゴン族・効果
このモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

「さらに、手札からアックス・ドラゴニュートを召喚。」

【アックス・ドラゴニュート】レベル4/闇/攻2000/守1200
ドラゴン族・効果
このカードは攻撃した場合、ダメージステップ終了時に守備表示になる。

「魔導戦士ブレイカーに攻撃!」

タイLP8000→7900

「ターンエンド。」
アックス・ドラゴニュートは守備表示となる。

「ワシのターンドロー!手札から天使の施しを発動。」

【天使の施し】通常魔法
自分のデッキの一番上からカードを3枚ドローする。
その後手札(ドローしたカードを含む)の中から2枚選んで捨てる。

タイはカードを3枚引き、2枚捨てる。
「さらに、早すぎた埋葬を発動!」

【早すぎた埋葬】装備魔法
800ポイントライフポイントを払う。自分の墓地からモンスターカードを1体選んで攻撃表示でフィールド上に出し、このカードを装備する。
このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。

タイLP7900→7100

「ブラック・マジシャン・ガール召喚!」

【ブラック・マジシャン・ガール】レベル6/闇/攻2000/守1700
自分と相手の墓地にある「ブラック・マジシャン」と「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の枚数だけ、攻撃力が300ポイントアップする。

「さらに、マジシャンズ・ヴァルキリアを攻撃表示で召喚!」

【マジシャンズ・ヴァルキリア】レベル4/光/攻1600/守1800
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は他の表側表示の魔法使い族モンスターを攻撃対象に選択できない。

「シールドクラッシュを発動!」

【シールドクラッシュ 】通常魔法
フィールド上に守備表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。

アックス・ドラゴニュートは呆気なく破壊されてしまう。
「そして、マジシャンズ・ヴァルキリア、ブラック・マジシャン・ガールで攻撃!」

翔LP8000→4400

「ターンエンド。」

翔のターンとなる。
「オレのターン、ドロー。」
翔の手札に一枚のカードがドローされる。
「オレは、手札から龍の鏡を発動!」

【龍の鏡】通常魔法
自分のフィールド上または墓地から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

「未来融合で墓地に送ったドラゴン族5体を融合素材とし、F・G・Dを特殊召喚!」
翔のフィールドに、巨大な龍が現れる。

【F・G・D】レベル12/闇/攻5000/守5000
ドラゴン族・融合
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。ドラゴン族モンスター5体を融合素材として融合召喚する。
このカードは地・炎・風・闇属性のモンスターから戦闘ダメージを受けない。

「そして、F・G・Dでマジシャンズ・ヴァルキリアに攻撃!」
マジシャンズ・ヴァルキリアは軽々と破壊されてしまった。

タイLP7100→3700

「カードを1枚伏せてターン終了。」
翔がそう言った時、翔はとてつもない殺気を感じた。
翔が探さずとも殺気の出所は簡単に察知できた。
出所は、向かいに立っているタイ。


殺気全開のタイのターンが始まる。
「ワシのターン、ドロー!ワシは手札から賢者の宝石を発動!」

【賢者の宝石】通常魔法
自分フィールド上に「ブラック・マジシャン・ガール」が表側表示で存在する時に発動する事ができる。
自分の手札またはデッキから、「ブラック・マジシャン」1体を特殊召喚する。

「デッキから、ブラック・マジシャンを特殊召喚!」

【ブラック・マジシャン】レベル7/闇/攻2500/守2100
魔法使い族
魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

タイのフィールドに魔術師の師弟が揃う。
「さらに、ブラック・マジシャンを生け贄にしてモンスターゲートを発動!」

【モンスターゲート】通常魔法
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。
通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。
他のめくったカードは全て墓地に送る。

タイのフィールドの先程現れたばかりの魔術師は姿を消した。

タイはデッキをめくり始める。
一枚目:賢者の宝石
二枚目:光の護封剣
三枚目:遺言状
四枚目:ブラック・マジシャン・ガール

「ブラック・マジシャン・ガールを召喚!」
タイのフィールドに二人目の魔女が現れる。
「さらに、手札から見習い魔術師を攻撃表示で召喚!」

【見習い魔術師】レベル2/闇/攻400/守800
魔法使い族・効果
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
フィールド上で表側表示の魔力カウンターを乗せる事ができるカード1枚に魔力カウンターを1個乗せる。
このカードが戦闘で破壊された場合、デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を選択して
自分のフィールド上にセットする事ができる。

「手札からディメンション・マジックを発動!」

【ディメンション・マジック】速攻魔法
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。
その後、フィールド上のモンスター1体を破壊する事ができる。

翔はそのカード名を聞いて、驚く。
F・G・Dが破壊されればブラック・マジシャン・ガールの攻撃で翔のライフポイントカウンターが示す値は間違いなく『0』。
翔はそれに気づき、前のターンに伏せたばかりのカードを発動させる。
不本意だが今はこれしか無いと思ったからだ。
「破壊輪発動!」

【破壊輪】通常罠
フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊しお互いにその攻撃力分のライフポイントダメージを受ける。

翔のフィールドの巨竜を破壊の輪が包み込む。
そして、それは大爆発を巻き起こした。

翔LP4400→0

タイLP3700→0


引き分けとなった。

「お前、イタいオタクなのに結構やるな。」
翔が言う。
「だから、オタクなめんなよぉぉぉぉぉぉぉ!」
タイが主張する。
「はいはい。それと言い忘れてたけど、馴れ馴れしく下の名前で呼ぶな。」
「女の子から『翔くん』って言われてたんだからいいじゃん。」
理奈のことである。
さらにタイは続ける。
「それと、あの女の子のことだけどさ。
 何!あの身長!ワシのストライクゾーンど真ん中じゃん!
 あんなロリっ娘と一緒にいるとかうらやましいかぎりだよ!
 ワシはロリ萌えな傾向にあるからさ!
 ちなみに、タイプは身長142cmの女の子な。」

[意訳]
「それと、あの女の子のことだけどさ。
 何だよ!あの身長は!ワシのすっごい好みの女の子じゃん!
 あんな、幼女のような女の子と一緒にいるなんてうらやましいかぎりだよ!
 ワシは幼女のような女の子が好きな傾向にあるからさ!
 ちなみに、タイプは身長142cmの女の子な。」



専門用語連発で話しまくるタイに対して、落ち着けさせるつもりで翔は言う。
「まあまあ、落ち着け。
 そんなに、うらやましいなら今度会わせてやるから。」
理奈がいることは朝に確認済みだった。

「マジで!?」
タイは目を輝かせて言った。
「じゃあ、メイド服持っていくからな。着てもらうために!」
タイはそんなものまで持っているようだ。つくづくスゴい男である。
翔はタイが喜んでいるのでそのままにしておいた。
メイド服は理奈がノリで着てくれるだろう。………たぶん。


翔はたった一日で突然の世界の歪みの感知と前代未聞のイタい人の発見という二つの出来事を成し遂げた。



続く...



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