DIMENSIONAL STORY マッチキルモンスターの脅威

製作者:某・伝説達さん




DIMENSIONAL STORY  マッチキルモンスターの脅威 開始編





 この小説は『遊戯王5D’s「WRGP編」』の2年後の世界を作者が勝手に妄想して書いたものです。
 遊戯王5D's本編及び、遊戯王ZAXAL本編と大いに矛盾が生じる場合がありますが、
 パラレルワールドとして受け取ってください。
 禁止・制限カードは基本的に「2010年 9月」のものを使用してます。
 ただし、ストーリーの都合上、一部の禁止カードや公式デュエルに使用できないカードが使用されます。
 (【強欲な壺】等の単純に強力なカードではなく、ストーリーに大きく関わってくるカードのみ。)




  プロローグ  思い出




WRGP』から数ヵ月後。
 ここは、『全国ライディングデュエルジュニア大会』の会場。
 会場内は参加者の家族や友人でいっぱい。
 変わったところには未来のプロデュエリストになり得る人材を探しにくる人もいる。

 そして今は決勝戦。
 試合は3人1組のチーム戦。
 戦績表は以下のようになってる。


【チーム・シンクロアンデ】:1勝1敗

【チーム・ミカヅキ】   :1勝1敗



 こっちは【チーム・ミカヅキ】っていうチームだよ。
 それぞれ1勝1敗だから試合は大将戦に持ち込まれている。



 司会のDJ風のお兄さんが叫ぶ。


「イエーイ!!!『全国ライディングデュエルジュニア大会』もいよいよ大詰めだ!!!!それぞれのエースが激突する最終試合を始めるぜ!!!!!」


 さすがにジュニア大会だから、リーゼントと赤い服が特徴的なオジサンの司会者はいない。
 でも、このお兄さんの実況も上手いよ。


 コースには2人の男の子がそれぞれスケボーに似た機械に乗っていて、デュエルディスクがケーブルで繋がっている。
 あの機械はデュエルボード。
 バイクの免許を持っていない人でもライディングデュエルを楽しむための機械だよ。
 【チーム・ニューワールド】が使っていた物はDホイールと変わらないくらい速かったけど、
 この大会で使われている物はそこまで速くない。
 それでも車と同じくらいの速度だけどね。


「まずは選手の紹介だ!赤コーナー、
 前回大会優勝チーム【チーム・シンクロアンデ】のエース、
 栄沢 英太(えいざわ えいた)選手!!!」



 ・・・kunaiさん作の「ハピフラシリーズ」に出てくるサブキャラと同じようなネーミングの男の子は会場に向かって大きく手を振っている。
 年は13歳くらいかな?


「そして、青コーナー、
 今大会初出場にして決勝まで登り詰めた【チーム・ミカヅキ】のエース、
 優凪 信間(ゆうなぎ しんま)選手!!!」



 そして、こっちが内のチームのエースのシンマ。
 黄緑色の髪と青いヘッドフォンが一番の特徴。
 年齢は12歳
 緊張しているのかな?デュエルボードに乗ってからずーっとコースの方を睨みつけてるけど。
 でも、シンマってちぃーっとも緊張するタイプじゃないから、きっと試合に集中してるだけだよね♪


「それじゃあデュエル開始だ!!みんなも一緒に開始宣言頼むぜ!!!」



 「「フィールド魔法『スピード・ワールド2』セット。」」




『ライディング・デュエル!!!アクセラレーション!!!!!』



【スピード・ワールド2】
 フィールド魔法
 「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードをプレイした時、
 そのプレイヤーは2000ポイントダメージを受ける。
 お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、
 自分用スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
 自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
 ●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数
  ×800ポイントダメージを相手ライフに与える。
 ●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 ●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。



 第1コーナーを選手したのは栄沢、だからあいつが先攻になる。


「おれのターン、ドロー!おれは『ゾンビ・マスター』を召喚!!」


 うえーっ!アンデット苦手・・・。第1試合これが原因で負けたし・・・。
 栄沢のフィールドに青白い肌の若者が現れる。
 着ている衣服はボッロボロ、顔は薄っすらと不気味な笑みを浮かべてるよ。怖ーー!


【ゾンビ・マスター】
 効果モンスター
 星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守 0
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事で、
 自分または相手の墓地に存在するレベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。


「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 続いてシンマのターン。

「んじゃ、俺のターンだな・・・。ドロー。」



【シンマ】のスピードカウンター:0→1

 【栄沢】のスピードカウンター:0→1




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 スピード・ワールド2のテキストに言及されてないけど、スピードカウンターが溜まるのは後攻1ターン目からだよ。
 理由は「スピードスペル」は基本的に2つ以上スピードカウンターが必要だから。

 せっかく先攻を取ったのにスピードスペルを使うのが後攻より遅いなんておかしいもんね。
 原理としてはええっと何でだっけ。


「デュエル開始前に『スピード・ワールド2』をセット。先攻第1ターンのメインフェイズ開始時に発動するからでしょ。」

 チームメイトでもある弟があたしの考えていることを読んでいるかのように答えてくる。


「えっ!?聞こえてたの!??」


「姉さんがさっきからブツブツと・・・また精霊と話してたの?」


『ナレーションしてました。』なんて言えない^^;
 「そうです」と適当にあしらっておいた。


●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●



「俺は『LS(リンク・スピリット)‐フレム・ドラゴ』を召喚。」
 シンマのフィールドに赤地に竜のシルエットが付いた宝石のような球体が現れた。
 球体の周りを赤いエネルギーが覆って小さな竜に変わる。ちょっと可愛い。
 光る球体、『コア』はちょうど胸の中心に移動したよ。


【LS(リンク・スピリット)‐フレム・ドラゴ】
 効果モンスター
 星4/炎属性/ドラゴン族/攻1900/守 200
 このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、
 自分のデッキ・手札からこのカードに装備可能なユニオンモンスター1枚を
 このカードに装備できる。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。


「『フレム・ドラゴ』の効果発動!デッキからユニオンモンスター1体をこのカードに装備できる。俺は『LS‐スパーク・イーグル』を装備、そして装備を解除して攻撃表示で特殊召喚!!」


 シンマのフレム・ドラゴが両腕からエネルギーを集めてコアを作った。
 コアは電気を帯びた鷲なってシンマのフィールドを元気に飛び回る。



【LS‐スパーク・イーグル】
 ユニオンモンスター
 星3/光属性/鳥獣族/攻1400/守 0
 このカードが闇属性モンスターおよび裏側表示のモンスターと戦闘を行う場合、
 ダメージ計算を行わずにそのモンスターを破壊する。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の「LS」と名のつくモンスター及び闇属性以外の鳥獣族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)



「バトルだ!『LS‐フレム・ドラゴ』で『ゾンビ・マスター』を攻撃!!」


 ― 火龍斬(かりゅうざん) ―  


 ズバァァ!!



 フレムドラゴが真っ赤に燃えた爪で目の前のゾンビを焼き切った!


「続けて『LS‐スパーク・イーグル』でプレイヤーにダイレクトアック!!!」


 ― ボルト・チャージ ― 


 続けてスパークイーグルが栄沢に体当たり!!!


 ドカッ!



「うぐっ!」


【栄沢】のライフ:4000→3900→2500



「おおーっと!!先手を打ったのは優凪選手!!!」



 出だしは好調♪
 栄沢のライフを半分くらい削ったよ!


「カードを2枚セットして、ターンエンド。」


 シンマのフィールドにはモンスターが2体と伏せカード2枚の状態でターン終了。
 相手の伏せカードもたぶん攻撃反応型のカードじゃない。
 好展開なのはあたしだってわかる。



シンマ後攻
ライフ4000
モンスターLS‐フレム・ドラゴ(攻:1900)
LS‐スパーク・イーグル(攻:1400)
魔法・罠無し
手札3枚
墓地0枚
スピードカウンター


栄沢先攻
ライフ2500
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
手札4枚
墓地1枚
スピードカウンター



「お、おれのターンドロー!!」



【シンマ】のスピードカウンター:1→2

 【栄沢】のスピードカウンター:1→2



「よし、おれは『Sp(スピードスペル)エンジェル・バトン』発動!デッキからカードを2枚ドローし、手札を1枚捨てる。」


【Sp‐エンジェル・バトン】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。
 デッキからカードを2枚ドローし、その後に手札1枚を墓地へ送る。



「なんて言うかさ・・・お前のアンデット、その天使の力で昇天するんじゃねぇ?」


 シンマのダメだし攻撃!
 効果は抜群だ!!!


「うるせーよ!!ルールを守っていればデッキにどんなカードを入れたっておれの勝手だろ!
 とにかくおれは2体目の『ゾンビ・マスター(B)』を召喚!」


 ウギャーッ!またゾンビ!!


「『ゾンビ・マスター』の効果発動!手札のモンスターカードを1枚捨てて墓地のアンデットを復活させる。蘇れ『ゾンビ・マスター(A)!』」


【ゾンビ・マスター】
 効果モンスター
 星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守 0
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事で、
 自分または相手の墓地に存在するレベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。


 あ、栄沢のゾンビが両手から変なビームを地面に放った。
 げ!地面からそのゾンビと同じ姿のモンスターが地面から這い出てきたよ・・・。
 それも、ライディングデュエル中だからズルズル引きずられながら・・・。



「そして、『ゾンビ・マスター(A)』の効果も発動する!さっき手札コストにしたチューナーモンスター『ゾンビキャリア』を復活!!」

 今度は何個もの動物の死体を合成したような気持ち悪いモンスター。
 ただでさえアンデット嫌いなあたしはもう気分が・・・。


【ゾンビキャリア】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/闇属性/アンデット族/攻 400/守 200
 手札を1枚デッキの一番上に戻して発動する。
 墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚されたこのカードは、
 フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。



「(不死者の媒介体[ゾンビキャリア]か・・・シンクロされる前に倒しておくか。)」

 あ、シンマが伏せカードを表にした。


「トラップ発動!『ゴッドバードアタック』!!自分の鳥獣族モンスター1体をリリースし、相手フィールド上のカード2枚を破壊する。スパーク・イーグルをリリースし、あんたの『ゾンビキャリア』と『ゾンビ・マスター』を破壊!!!」

 スパーク・イーグルが不死鳥のようなオーラを纏って栄沢の二体のゾンビに激突、大爆発!!!
 ゾンビが減って気分爽快♪


【ゴッドバードアタック】
 通常罠
 自分フィールド上に存在する鳥獣族モンスター1体をリリースし、
 フィールド上に存在するカードを2枚選択して発動する。
 選択したカードを破壊する。


「ならば、おれは伏せカードオープン『リミット・リバース』。墓地から『ゾンビキャリア』を復活!!」


【リミット・リバース】
 永続罠
 自分の墓地から攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。
 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


 ・・・って破壊されてすぐ復活!?
 しつこい・・・。
 あ〜、シンマも苦々しそうな顔をしているよ。
 仕方ないよ・・・あんなの伏せられたら対策なんてでk・・・。



「ありゃ・・・プレイングミスだな。復活した『ゾンビ・マスター』の効果発動時にチェーンすれば相手が一方的に損するのに・・・。」

 あーあ、とシンマは残念がる。

 って対策出来たの!!?



「へっ残念だったな!!さらにおれはエンジェル・バトンの効果で墓地に送った『レベル・コープス』の効果発動だ!!自分フィールド上のアンデットモンスターのレベルを2つ下げ墓地から特殊召喚する!!おれは『ゾンビ・マスター(A)』のレベルを2つ下げ、『レベル・コープス』復活!!!」

 今度のゾンビは『レベル・スティーラー』の背中と同じような模様の肩当てを付けた兵士の死体。
 死んでそんなに時間がたってないだと思う、体は殆んど生前のまま・・・でも怖いよ!!!



【レベル・コープス】
 効果モンスター
 星2/地属性/アンデット族/攻1100/守 800
 このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル3以上のアンデット族モンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターのレベルを2つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
 このカードはアンデット族モンスター以外モンスターの召喚・特殊召喚には使用できない。



「レベル2『レベル・コープス』とレベル2となった『ゾンビマスター』にレベル2の『ゾンビキャリア』をチューニング!!」



「暗雲の骸、その雷で生ある者に引導を渡せ!!!
 シンクロ召喚!!!!
 動き出せ悪魔、【アンデット・スカル・デーモン】!!!!






「キターーッ!!栄沢選手の切り札、『アンデット・スカル・デーモン』の登場だ!!!このモンスターはフィールドに存在する限り、自分のアンデット族モンスターにカードの効果では破壊されない強力な耐性を持たせる!!!!高い攻撃力も相まってそう簡単には突破できない強力なモンスターだ!!!!」


 栄沢がシンクロ召喚したのは、『デーモンの召喚』によく似たアンデット。
 ところどころ腐りかけているその体から、不死の者を守る瘴気が湧き出ている。
 あたしの弟もアンデット嫌いだけどあのモンスターは割りと平気なんだって。なんで!??理解できないよ!!!


【アンデット・スカル・デーモン】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/アンデット族/攻2500/守1200
 「ゾンビキャリア」+チューナー以外のアンデット族モンスター2体以上
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 アンデット族モンスターはカードの効果では破壊されない。


「まだ、アンデットの展開力はこんなもんじゃないぜ!!おれは『ゾンビ・マスター(A)』の効果で墓地に送った『馬頭鬼』の効果発動!!このカードを除外して『ゾンビ・マスター(A)』を復活!!さらに『ゾンビ・マスター(A)』の効果で『ゾンビ・マスター(B)』も復活!!!『ゾンビ・マスター(B)』の効果で『ゾンビキャリア』を三たび復活!!!」


【馬頭鬼】
 効果モンスター(制限カード)
 星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800
 墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
 自分の墓地からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。


 一瞬にして栄沢のフィールドがアンデットが4体も・・・((((゚Д゚;))))ガクガクブルブル。

「レベル4『ゾンビ・マスター(A)』にレベル2『ゾンビキャリア』をチューニング!!!」



「打ち砕かれし冥界の王。今、報復の時は来た!!その掌で生命を握り潰せ!!!
 シンクロ召喚!!!!
 現れたまえ、【蘇りし魔王 ハ・デス】!!!!




 さらに栄沢のフィールドには『冥界の魔王 ハ・デス』に似たアンデットが大地に開いた地獄の扉から這い出てくる。
 角が折れて衣服もボロボロだけど、その威圧感は元となったモンスターと変わらないくらい凄い。・・・と言うより怖い!


【蘇りし魔王 ハ・デス】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/アンデット族/攻2450/守 0
 「ゾンビキャリア」+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 自分フィールド上に存在するアンデット族モンスターが
 戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。


「念のためだ、『蘇りし魔王 ハ・デス』のレベルを2つ下げ、『レベル・コープス』を墓地から守備表示で特殊召喚!」

 栄沢のフィールドに上級アンデットが2体、下級アンデットも2体、ホラー映画並みに・・・怖い・・・。TоT


「栄沢選手!ここで2体目のシンクロ・アンデットモンスター、
 『蘇りし魔王 ハ・デス』をシンクロ召喚!!
  『アンデット・スカル・デーモン』
   『蘇りし魔王 ハ・デス』
    『ゾンビ・マスター』の攻撃が全て通れば、栄沢選手の勝利だ!!!
   はたして優凪選手はこのピンチを乗り切る事が出来るのか!!!?」


 そーだったーーーーー!!!このままじゃシンマが負けちゃうよーーーーー!!!!!!\(゚Д゚;)/


「これで終わりだ!!!『アンデット・スカル・デーモン』で『LS‐フレム・ドラゴ』を攻撃!!!」



 ― 死屍・魔降雷(しし・まこうらい) ― 



 ビシャァァァァン!!!



 うわわっっ!アンデット・スカル・デーモンが怨念の篭った雷をシンマのフレムドラゴに向かって放ってくる!
 雷がシンマのフレムドラゴに直げk・・・。

「トラップ発動!『カインドネス・サンクチュアリ』!このターンお互いのプレイヤーのライフは変化せず、モンスターも破壊されない!!!」


 シンマの発動したカードからフィールド全体に空色の結界が放たれる。
 結界の力でアンデット・スカル・デーモンの雷が消えていく。
 あっぶな〜!、どうにかこのターンは凌げそうだね。
 あたしも一安心。

【カインドネス・サンクチュアリ】
 通常罠
 発動ターン、お互いのプレイヤーのライフは変化せず、
 モンスターも破壊されない。
 ???


「くっそー!!あと少しだったのに!!!だけど、次のターンでおれの勝ちだ!!!ターンエンド!!!!」

 栄沢が悔しそうにターンを終わらせた。
 ところで「次のターンでおれの勝ち」は負けフラグだったような・・・。
 『カインドネス・サンクチュアリ』のモンスター防護効果はこのターンのみ。
 だけど空色の結界はターン終了してもまだ消えていない。


シンマ後攻
ライフ4000
モンスターLS‐フレム・ドラゴ(攻:1900)
魔法・罠無し
手札3枚
墓地3枚
スピードカウンター


栄沢先攻
ライフ2500
モンスターアンデット・スカル・デーモン(攻:2500)
蘇りし魔王 ハ・デス(攻:2450)
ゾンビ・マスター(攻:1800)
レベル・コープス(守: 800)
魔法・罠無し
手札0枚
墓地6枚
スピードカウンター



「俺のターン!ドロー!!!」

 シンマが勢い良くドローする。
 出るか!?デスティニードロー!!!


「俺は『見習い勇者 アルト』を召喚!!!」

 シンマのフィールドに青い服を着た、金髪の少年剣士が現れた。
 持っている剣は・・・とても何かを斬ることが出来るとは・・・思えない・・・よ・・・。
 短いし、分厚いし。


【見習い勇者アルト】
 効果モンスター
 星3/無属性/戦士族/攻1000/守1000
 ルール上、このモンスターは全ての属性を持つ。



「優凪選手も自身の相棒、『見習い勇者 アルト』を召喚したぞ!この大会で何度も優凪選手を勝利へと導いてきたこのモンスターが、今度はどんな奇跡を起こすのか!!!!」



「来たか!だが、おれの『アンデット・スカル・デーモン』はアンデット族を効果破壊から守る効果を持つ!!『風林火山』じゃこの状況は打開できないぜ!!!!」

 そ、そういえばそうだった!
 アルトには神属性・属性無しを含めた全ての属性を持つから、
 発動条件が厳しいけど効果が強力な『風林火山』を単独で使用できる。
 でも、アンデット・スカル・デーモンに破壊効果は通用しないんだ!
 で、でもシンマにはこの大会で一度も使ってない「切り札」がある。


「それはどうかな?速攻魔法発動!!!『勇者の紋章』!!!!!」

 来た!シンマの最後の切り札、『勇者の紋章』!!!
 今、フィールドのモンスターの数はアルトを除いて5体。
 この状況で使うと、とんでもないことになる!!!!!


「なぁぁぁっっ!!!?ら、ライディング・デュエルで速攻魔法!!!??おまえだってそれ使ったらどうなるかわかってんだろ!!!!!!???」


「分かってるさ。『Sp』と名のつかない魔法を使用したプレイヤーは2000ポイントのペナルティダメージを受ける。

 あ、そうだった!!!で、でもシンマに限ってそんなプレイングミスはしないよね!?そうだよね!??


「さっきのターンに発動した『カインドネス・サンクチュアリ』のもう一つの効果。発動してから次の俺のターン終了まで、お互いのプレイヤーは戦闘ダメージ以外のダメージを受けない!!!」

 さっすがシンマ。
 空色の結界がスピード・ワールド2のペナルティダメージを受け流した。


【カインドネス・サンクチュアリ】
 通常罠
 発動ターン、お互いのプレイヤーのライフは変化せず、
 モンスターも破壊されない。
 また、発動ターンから次の自分のターン終了時まで、
 お互いのプレイヤーは戦闘ダメージ以外のダメージを受けない。


「そんでもって、『勇者の紋章』の効果発動!!攻撃力1000以下の戦士族モンスター1体の攻撃力・守備力は常に、お互いのフィールド上の自身と同じ属性を持つモンスターの攻撃力の合計+1000となり、完全効果耐性を得る!!!まぁ、1ターンの間だけなんだけどな。」


【勇者の紋章】
 速攻魔法
 フィールド上の攻撃力1000以下の戦士族モンスター1体を選択して発動する。
 このターン選択したモンスターの攻撃力と守備力は常に、
 お互いのフィールド上に存在するそのモンスターと同じ属性を持つモンスターの
 攻撃力を合計した数値+1000となる。

 また、このカードの効果が適用されたモンスターはターン終了時まで、
 「勇者の紋章」と自身以外の全ての効果を受けない。
 このカードは発動と効果を無効にされず、
 「発動できない」「チェーンできない」「効果を受けない」効果も無視する。


「そして『見習い勇者 アルト』はルール上全ての属性を持つ!
つまりフィールド上の自身を除く全モンスターの攻撃力の合計+1000となる。よって攻撃力は・・・・・・。」



【シンマのフィールド】:【LS‐フレム・ドラゴ】(攻1900)

【栄沢のフィールド】:【アンデット・スカル・デーモン】(攻2500)【蘇りし魔王 ハ・デス】(攻2450)
           【ゾンビ・マスター】(攻1800)【レベル・コープス】(攻1100)

1900+2500+2450+1800+1100=9750
【見習い勇者 アルト】の攻・守はこのターンの間、上記の数値+1000

9750+1000=10750


「こ、攻撃力10750!!!
 『WRGP』に出場した『チーム・ニューワールド』の切り札、
 『機皇神マシニクル∞3』を超える攻撃力をこの小中学生大会でたたき出したぞ!!!」




【機皇神(きこうしん)マシニクル∞3(インフィニティキュービック)】 (アニメ5D's ver)
 効果モンスター
 星12/光属性/機械族/攻4000/守4000
 1ターンに1度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体を選択し、
 装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
 この時、このカードの攻撃力は装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。
 手札の「T(トップ)」「A(アタック)」「G(ガード)」「C(キャリアー)」
 と名のついたモンスター1体を墓地へ送る事で、そのモンスター効果を得る。
 自分の墓地に存在する「T(トップ)」「A(アタック)」「G(ガード)」
 「C(キャリアー)」と名のついたモンスター1体をゲームから除外する事で、
 このカードの破壊を無効にする事ができる。
 エンドフェイズ時に、このカードに装備されたシンクロモンスター1体を墓地へ送る事で、
 そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 当時の最高攻撃力:10300



 どひゃーーーー\(>o<)/ーーーーー!!!!!
 相変わらず常識破りの攻撃力!!!!
 会場も大騒ぎ!!!!


「バトルだ!!!『見習い勇者 アルト』で『アンデット・スカル・デーモン』を攻撃!!!!!」










 ― 勇者の剣(ブレイブ・ソード) ―








 バキィィィッッ!!!!





 光の剣がアンデット・スカル・デーモンを吹っ飛ばす!!!!


「うわあぁぁぁっっっっっ!!!!」


【栄沢】のライフ:2500→0



「試合終了!勝者、優凪 信間選手!
 よって、全国ライディング・デュエルジュニア大会の優勝チームは
    前回大会優勝チーム『チーム・シンクロアンデ』を打ち破った
『チーム・ミカヅキ』!!!!!」





会場が一気に盛り上がる。
あたし達はと言うと・・・言うまでもないよね!






  第一話  騒々しい朝焼け




  登場人物 紹介


 優凪 信間 (ゆうなぎ しんま)

年齢:14歳
性別:男
誕生日:4月1日 おひつじ座
所属:デュエルアカデミア・ネオ童実野シティ校中等部2年生
使用デッキ:メイン「LS(リンク・スピリット)」、サブ「次元シンクロビート」
好きな食べ物:みたらし団子。天ぷら蕎麦。緑茶。炭酸飲料。
嫌いな食べ物:(普通の人が不味くて食べられない物も含めて)特に無し。
●本作の主人公。
●黄緑色の髪と青いヘッドフォンがトレードマーク。
●デュエル以外にも家事・運動・機械技術も得意。
●但し、デュエルと料理以外は専門家等に一歩劣る。
●愛用しているデュエルボードは2輪式。
●「LS(リンク・スピリット)」は『WRGP』が始まる直前から使い始めた。


 露月 藍奈 (つゆづき あいな)

年齢:13歳
性別:女
誕生日:9月18日 おとめ座
所属:デュエルアカデミア・ネオ童実野シティ校中等部2年生
使用デッキ:メイン「トライアーツ」初期「クリボー(ただ強化して攻撃するだけ)」
好きな食べ物:スイーツ全般。シンマ特製チーズスープ。食堂の甘口カレー。
嫌いな食べ物:自分で作った料理、辛い物。
●本作のヒロイン
●名家のお嬢様。・・・なのだが、振る舞いや衣服が普通の人と大して変わらない。
●料理が下手(決して才能が壊滅している訳じゃない。)
●お化け(アンデッド)嫌い。
●精霊を見ることができる。
●お人よしなのだが、自称『他人助け』でシンマと弟のソウヤを振り回す。


 露月 蒼也 (つゆづき そうや)

年齢:10歳
性別:男
誕生日:10月20日 てんびん座
所属:デュエルアカデミア・ネオ童実野シティ校小等部5年生
使用デッキ:「シンクロン」(クイック・ダンディ)
好きな食べ物:フルーツパフェ。甘口カレー。
嫌いな食べ物:アイナの作った料理。お茶を除く苦いもの全般。
●アイナの弟。
●気弱だが礼儀正しい。
●姉ほどではないが、お化け嫌い。
●姉と同じく精霊が見える。
●「不動 遊星」の大ファン。














7月18日 AM 5:00 三ヶ月町。


 都会と違って、透き通るような空気。
 もう夏なのに凍えそうなほど寒い風が吹く。
 周囲の山に住むセミ達は静かに鳴く。
 まだ多くの人達は寝静まっている。
 
 そんな静かな田舎町の外れにある、一軒の家で、一人の少年が目覚める。


「ふぁぁ…あぁぁ・・・。っと。夢か・・・懐かしいな、2年前だっけ『全国ライディングデュエルジュニア大会』。」

 ・・・。

 ・・・ ・・・おっと俺視点か。
 無理があるぜ、この流れ。
 ま、作品の評価が下がって困るのは作者だし、別にいっか。

 俺の名前は『優凪 信間(ゆうなぎ しんま)』。まぁ『シンマ』と呼んでおくれ。
 容姿はまぁまぁ、人気もまぁまぁ。
 どっかの、

「ヒィィィィィィィィ〜!ヒ…助けて…来る来る来る助けて…来るああああ!
 来る…来る……来る…来る…マリク様が……ヒィィィヤァァァ〜!!!」


って叫ぶ人と違って、

 俺は、至って謙虚だ!


 俺の住んでいる町は『三ヶ月町(みかづきちょう)』。
 2年前の大会に参加した時のチーム名の由来がこの町。
 (そういや、なんで夢のなかでチームメイトがナレーションしてたんだろ?)


 周囲が山々に囲まれた田舎町で、都会に比べてかなり静かな町。
 ネオ童実野シティからは、電車で10分ほどの距離にある。(その電車が速いからなんだけど。)
 名前の通り月の綺麗な町で、観光地・宿場町として有名だから他の田舎よりは活気がある。

 俺はこの町の外れに一人で住んでいるんだ。


 ・・・いや、別に親がいないってわけじゃないぞ。


 両親はI2社(インダストリアルイリュージョン社)の社員で、『WRGP』の後二人とも仕事の都合で海外に出張中。
 英会話がメンドイのと、この町が気に入っているという理由で、俺は一人留守番してんのさ。


 今日はネオ童美野シティにあるデュエルアカデミアの終業式。って事で、余った時間で夏休みの計画を立てy・・・。



「コラー!!!起きろ起きろ起きろーーー!!!!!」



 ・・・ ・・・。


 騒がしい奴らが来たよ・・・。


●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●




「起きろ起きろシンマーーー!起きろーーー!!!」


 俺の家の玄関前で群青色のバンダナを付けた女の子が叫んでる。
 その子の弟が慌てて注意している。

「だ、駄目だよ姉さん。近所迷惑だって!」


「こんな、町外れに近所も何もあるかーーー!!!」


「そうだけど、もっと普通に起こしてあげようよ!」


「だってシンマの奴!この前あたしが起こしに来たら泥棒と間違えて殴りかかってきたじゃない!!!」


「それは姉さんが『日頃の恨み〜!』って、顔に落書きしようとしたから!大体、窓から入ってきた時点で不審人物でしょ!」


「あーもーうっさい!!!とにかく、シンマにはこれが一番なの!起きろーシンマ、朝だよ!!!」




●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●



 ・・・アイナとソウヤ、朝っぱらから元気だねぇ。

「起きてるよ!今、降りてくるからそこで待ってろ!!!」

 俺は夏用の制服に素早く着替える。
 トレードマークの青いヘッドフォンを付けて、と・・・。

 俺は騒がしい露月姉弟の待つ玄関まで突っ走る。



 ガチャ。



「ったくお前ら、そんだけ大声出したら近所じゃなくても迷惑だぞ。まだ、朝5時。」


「なーに言ってんの。『若者は常に早寝早起き。』でしょ。」

 なんだそりゃ?
 今ババ臭い言葉を言ったのは俺の幼馴染、『露月 藍奈(つゆづき あいな)』。俺は『アイナ』って呼んでる。
 この町の町長さんの娘で、まぁいわゆる「お嬢様」・・・・・・ってやつなんだけど。

 言葉遣いはお嬢様らしくないし、
 服装も洒落ているけど安物っぽいし、
 自称「他人助け」で逆に騒ぎを大きくするし、
 『庇護者(ひごしゃ)』って単語にに過剰反応するし。

 ちっとも名家の娘って感じじゃない。


「だぁーれが『ババ臭い』ですってーーー!!?あと『庇護者』って言わなかったーーー!!!??\(#`Д´)/」」

 ん?おかしいな。口は閉じてたはずだけど。


「ごめんなさい、シンマさん。姉さんがいつも迷惑をかけて・・・。」

 で、俺に謝ってるのはアイナの弟、『露月 蒼也(つゆづき そうや)』。こっちは『ソウヤ』って呼んでる。
 姉と違って結構気弱。
 言葉遣いは名家の息子らしく丁寧だけど、言いたいことをハッキリ言わないから、時々イラッとくる。
 まぁ、小さい頃からこんな姉に振り回されているから仕方ないか。


「気にすんなって。ちなみにソウヤ、お前も騒がしかった。」


「ご、ごめんなさい!」


 と、こんな感じにあんまり似てない姉弟なんだよな・・・。


「で、お前らこんな朝早くに何しに来た?いくらなんでも早すぎ。」

 『早寝早起き』とは言うが、こんな朝早くに起きて外出する中学生なんて運動部くらいだろ。

 アレか?今度は
『謎の秘密結社がこの町で良からぬ事を企んでるかもしれないから自分達で捜査する。』とか、
『ジョギングしていた御老人がぎっくり腰になってるかもしれないから町中のジョギングコースを視て回る。』
 とか言うんじゃねぇだろな。

 アイナの『迷 惑 武 勇 伝』に今度は何が刻まるのやら・・・。










 ・・・。

 ・・・ ・・・。

 ・・・ ・・・ ・・・。

 え?今度はあたし視点!?
 無理やり過ぎない!!?この展開!!!!

 と、とにかく自己紹介。
 あたしの名前は『露月 藍奈(つゆづき あいな)』。『アイナ』って呼んでね。
 容姿は上々、人気も上々。
 どこかの、

『顔面に消火器をぶっかけや「うずまき」が代名詞のヒロインさん』


 と違って、あたしは


 ただ、事実を述べているだけだよ。


 ホントだよ。

 今、幼馴染のシンマの家にとある訳があって来ている。
 うん、朝5時くらいに来る理由もちゃんとある。本当は4時くらいが良かったんだけど。


「シンマ!これから三人d・・・。」


「『謎の秘密結社がこの町で良からぬ事を企んでるかもしれないから自分達で捜査する。』とか、
『ジョギングしていた御老人がぎっくり腰になってるかもしれないから町中のジョギングコースを視て回る。』
 とかはお断りな。」


 なあぁぁぁぁ(゚Д゚;)にぃぃぃぃぃ!!!!???



 え!?なんで!!?なんでわかったの!!!??
 心を読めるの!???マインド・スキャン!!???
 シンマは両目とも普通の目だよね!!!????黄金の義眼じゃないよね!!!??



「あっさり見破られちゃったね・・・。シンマさん鋭すぎ・・・。」

 うっさい、このガキ!!!顔面に消火器ぶっかけてやろかいボケェ(#゚Д゚)!!!!
 ・・・あいにく近くに消火器はない。今回は見逃してやろう・・・。


 くっ、だからと言って『はいそうですか』引き下がる訳にはいかない!
 こうなったら・・・。



「シンマ!君にデュエルを申し込むよ!あたしが勝ったら用事に付き合ってね!!!」


【Get Your Game On!(ゲームしようぜ!)】
 通常魔法
 あらゆるトラブルを、ゲーム1つで片付ける。
 (作・あっぷるぱいさん)


 *OCG版↓

  永続魔法
  あなたが「2007 Yu-Gi-Oh! TRADING CARD GAME World Championship」に
  参加していた場合のみ発動可能。
  自分フィールド上の「E・HERO」と名のついたモンスターと
  「N(ネオスペーシアン)」と名のついたモンスターの攻撃力は2倍になる。
  このカードは公式デュエルで使用できない。



「・・・ ・・・まぁ、いいぜ。けど、この朝っぱらにソリッド・ビジョンの音量は周囲に迷惑だから家の中でな。ソウヤも一緒にどうぞ。」

 さっすが主人公。おかげで物語が円滑に進むよ。


【Opportunism(ご都合主義)】
 通常魔法
 都合のいい展開でストーリーを進行させる。
 (作・あっぷるぱいさん)



 『あっぷるぱい』さんのネタを、何回も(無断で)パクリました。スイマセーン、反省シテマース。


「ごめんなさい、シンマさん。こんな朝早くから姉さんのワガママを聞いてくれて・・・。」

 ソウヤがなんかシンマに謝ってるケド、気にしなーい。気にしなーい♪


「別にいいって。『迷惑武勇伝』に新たな1ページが刻まれないだけマシだっての。」

 誰が『迷惑武勇伝』だーーー!!!ムキャーーー!!!
 ・・・って、ん?まさかシンマ、やる前から勝った気でいるね?
 フフフ・・・これまでのあたしだと思うなよ〜?この時のために組んだデッキでコテンパンにしてやる〜!!!






















 ・・・と、言うわけで視点変更♪

 俺の名前は『優凪 信間』。
 容姿はまぁまぁ、人気は以下略!
 とにかく


 俺は、至って謙虚だ!


 『アレ?なんか、テンション高くなってねぇ?』と、思ったそこの君!大・正・解!!!
 アイナの『迷惑武勇伝』に新たな1ページが刻まれないだけでも、いつもより1000倍マシ!!!


 ・・・ん?なんで始まる前からそんなことが言えるって?
 早い話アイナって弱いんだよ。

 デッキ内容が『可愛い系のモンスター』を片っ端から突っ込んだだけ魔法罠は攻撃力強化カードばかり

 その上、プレイングタイプがデッキタイプと完全に相性が悪いからな。

 ただ、攻撃力を強化して殴るだけなのに、
 モンスターは時間をかけてアドバンテージを稼いでいく方が強い奴ばっかり。


 これじゃぁ、これまでと違うと言っても、せいぜいデッキの爆発力が増した代わりに事故率が上がったんだろ・・・。


 ん?なんでアイナが心の中で言ったことがわかるかって?

 ・・・ ・・・あいつが口で言ってたのを聞いただけ。




 と、散々心の中でぼやきながら、俺とアイナはデュエルできるくらいの距離をとる。
 場所は俺の家のリビング。
 アイナ達の家ほどじゃないけど俺の家も結構デカイ。
 少なくともリビングにデュエルディスクを付けてデュエルが出来るくらいのスペースがある。


「それじゃ!シンマの不敗神話を今日こそ打ち破るよ〜!!!」

 ワーオ、アイナは自信満々だな。

 そういや俺、デュエルアカデミアの中等部で未だ負けたことが無いんだよな。
 尤もまだ戦ってない人も多いけどな。

「それじゃ、がんばりなよ。ソウヤ、審判頼んだ!」


「は、はい!それじゃぁ、デュエル開始!」


 デュエルディスクが先攻・後攻を決定する。
 俺のデュエルディスクに「First(先攻)」の文字が浮かぶ。つまり、先攻は俺。

 よく、「先攻後攻は先に宣言した人が云々」聞くけど、
 デュエルディスクが(恐らく初代から)自動で決めてくれるからな。安心しろ(少なくとも5D’sはそうだった)。



「俺のターン、ドロー。」

 さて、手札に『勇者の紋章』は来ないしどうするかな。

「俺は『巨大ネズミ』を守備表示で召喚。カードを1枚セット、ターンエンド。」

 まぁ、一応リクルーター1体とフリーチェーン防御カード1枚で様子見かな。


【巨大ネズミ】
 効果モンスター
 星4/地属性/獣族/攻1400/守1450
 このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の
 地属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 その後デッキをシャッフルする。


「あたしのターン!ドロー!!手札から永続魔法『トゥインクル・ストロング・スター』発動!このカードの効果で一部の低レベルモンスターの攻撃力を1600ポイントアップするよ!!!」


【トゥインクル・ストロング・スター】
 永続魔法
 自分フィールド上に存在する元々のレベル2以下且つ攻・守300以下のモンスターは、
 攻撃力が1600ポイントアップする。


「そして、手札から『クリブー』を召喚!!!」

 アイナのフィールドに白いクリボーが現れた。
 あのモンスターは手札罠カードを捨てることで相手モンスターの攻撃力を1500ポイントダウンさせる厄介なカードだったな。


【クリブー】 (本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 手札から罠カードを1枚捨て、
 フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択されたモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで1500ポイントダウンする。
 この効果は相手ターンでも発動できる。

 (このカードに限らず「クリボー5兄弟」はアニメより強化されています。)


「トゥインクル・ストロング・スターの効果で、クリブーの攻撃力は1600ポイントアップ!」


【クリブー】の攻撃力:300→1900


「バトル!クリブーでシンマの巨大ネズミに攻撃!!!」

 クリブーが巨大ネズミに向かって突進する。
 小さな毛むくじゃらの生き物が自分より何倍も大きい動物を吹っ飛ばす様は、なんかシュール。


「やったー!!!出だしは好ty…」


「あ、巨大ネズミの効果。戦闘で破壊されたからデッキから『マシンナーズ・ピースキーパー』特殊召喚な。」

 巨大ネズミに仕掛けられた通信装置が作動して1体の小型ロボットが駆けつける。

 とりあえず、手札で待機している『あいつ』の攻撃力を上げることができるし、追撃されてもユニオンを手札に加えられるな。



【マシンナーズ・ピースキーパー】
 ユニオンモンスター
 星2/地属性/機械族/攻 500/守 400
 フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
 自分のデッキからユニオンモンスター1体を手札に加える事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)



「う〜っそんな効果を持つカードがあったなんて・・・。」

 アイナがものすごく悔しそうな顔してぼやいてるケド、まさかこいつ・・・。


「あのさ、超有名な6大リクルーターだぞ・・・。デュエルアカデミアに通ってる奴が知らないってどういう事だよ。」


「え!??い、いや、しし、し、知ってたよ!こ、ここ、これはそ、そう!作戦!シンマを油断させるっていう!」

 あー、やっぱ知らなかったんだな。


「大体さ・・・そんな作戦、普通口にだして言わないぞ。お前ちゃんと授業受けてたのか?」


「あーもーうっさい!!!ととと、とにかくあたしはカードを2枚伏せてターンエンド!!!」


 まぁ、いいか。その『作戦』に乗って・・・やんないよ(笑)


「な、なんかシンマさん、顔が笑ってますよ・・・。」

 ん?なんか言ったかソウヤ。
 ま、いいや。



シンマ
先攻
ライフ40004000
モンスターマシンナーズ・ピースキーパー(攻:500)
魔法・罠伏せカード1枚
手札4枚
墓地1枚




アイナ
後攻
ライフ40004000
モンスタークリブー(攻:1900)
魔法・罠トゥインクル・ストロング・スター
伏せカード2枚
手札2枚
墓地なし









  第二話  ユニオンラッシュ





「んじゃ、俺のターン。ドロー。」


 おっ!これは良いカードを引いたな。


 俺は引いたカードをすぐさま発動した。

「俺はデッキのユニオンモンスター3枚を除外して永続魔法『異次元格納庫』発動。」


【異次元格納庫】(アニメGX)
 デッキからレベル4以下のユニオンモンスター3枚を除外して発動する。
 自分はモンスターを召喚・特殊召喚に成功した時、
 そのカードに装備可能な除外された自分のユニオンモンスターを、
 任意の枚数特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃できず、
 アドバンス召喚の為にリリースすることもできない。


「そして俺は手札の『LS(リンク・スピリット)‐フォレスト・ウルフ』の効果発動。1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在するこのカードの種族・属性を変更できる。俺はフォレスト・ウルフを機械族に変更。そして攻撃表示で召喚!」

 俺のフィールドにブラウンの色地に獣のシルエットが描かれた『コア』が現れた。
 『コア』はエネルギーを放ち、エネルギーは若葉のような毛皮を持つ狼に姿を変える。
 そして『コア』は狼の胸部に移動した。
 元気なフレム・ドラゴと違ってこいつは落ち着いた雰囲気があるな。

 俺の手札にいた時に発動した自身の効果で、狼のコアのシルエットは獣から歯車に変化する。
 機械族になったという証だ。


【LS(リンク・スピリット)‐フォレスト・ウルフ】
 効果モンスター
 星4/地属性/獣族/攻1400/守1900
 このカードの攻撃力は、
 お互いのフィールド上に存在するユニオンモンスターカードの数×300ポイントアップする。
 1ターンに1度、
 自分フィールド上のユニオンモンスターカード1枚を墓地に送ることで
 相手フィールド上のカード1枚を破壊する。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。


「そして、フォレスト・ウルフが召喚されたことにより、『異次元格納庫』の効果発動!除外された、『マシンナーズ・ギアフレーム』『LS(リンク・スピリット)‐スパークイーグル』『LS‐シールドサーペント』を特殊召喚!」


 異次元の扉から「オレンジ色が基調の人型の機械」「雷を纏った鷲」「鎧のような鱗を持つ海竜」が現れ俺のフィールドはモンスターで埋めつくされた。
 しかもLS(リンク・スピリット)でレベル3のユニオンモンスターは攻撃力1000以下の相手なら一方的に戦闘破壊できるから、
 自分で言うのもアレだけど他のユニオンより性質(たち)が悪い。
 こりゃ、『異次元格納庫』制限カードになるかもな。


【マシンナーズ・ギアフレーム】
 ユニオンモンスター
 星4/地属性/機械族/攻1800/守 0
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキから「マシンナーズ・ギアフレーム」以外の
 「マシンナーズ」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)


【LS‐スパーク・イーグル】
 ユニオンモンスター
 星3/光属性/鳥獣族/攻1400/守 0
 このカードが闇属性モンスターおよび裏側表示モンスターと戦闘を行う場合、
 ダメージ計算を行わずにそのモンスターを破壊する。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の闇属性以外の鳥獣族、及び「LS」と名のついたモンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)


【LS‐シールド・サーペント】
 ユニオンモンスター
 星3/水属性/海竜族/攻1100/守2300
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の「LS」と名のつくモンスター及び海竜族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターとこのカードは1ターンに1度、相手の効果モンスターの効果を受けない。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)


「えぇぇ!!?そ、そんな凶悪カードがあるなんて・・・。」

 アイナが慌てふためく。


「あ、けどこの効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃とアドバンス召喚の為のリリースが封じられるからな。」

 これだけ強力な効果を持つ魔法カードなんだ。一応デメリットくらいある。
 いや、それでも十二分に凶悪なんだけど。


「なーんだ、良かったぁ。それじゃぁ総攻撃ってことは無いよね・・・。」

 なにを安心したのかアイナがホッとため息をつく。
 個人的に、これだけモンスターが展開されているのだから、もっと警戒を強めるべきだと思うぞ、普通。


「姉さん。アドバンス召喚には使えなくても、シンクロ召喚や融合召喚には使えるし効果も発動できるよ・・・。

 ソウヤがツッコミを入れる。
 ソウヤの言うとおり融合・儀式・シンクロ・その他の特殊召喚には使えるからな。


「わ〜〜!!!!そういえばシンマのエースモンスターは融合モンスターだった〜〜〜〜〜!!!!!!!」


「いや、今回はそいつを使わなくても勝てそうだ。フォレスト・ウルフの攻撃力は、フィールド上に存在するユニオンモンスターカードの数×300アップする。この効果にカウントされるのは魔法・罠ゾーンのカードも含むからな。」

 いま、俺のフィールドには3体のユニオンモンスターがいる。
 つまり、フォレスト・ウルフの攻撃力は下級モンスターで最高クラスの攻撃力を持つ『ゴブリン突撃部隊』と同じ2300だ。


【LS‐フォレスト・ウルフ】
 効果モンスター
 星4/地属性/獣族/攻1400/守1900
 このカードの攻撃力は、
 お互いのフィールド上に存在するユニオンモンスターカードの数×300ポイントアップする。
 1ターンに1度、
 自分フィールド上のユニオンモンスターカード1枚を墓地に送ることで
 相手フィールド上のモンスター1体を墓地に送る。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。
 (この効果は無効化されない。)


【LS‐フォレスト・ウルフ】の攻撃力:1400→2300


「そして、速攻魔法『緊急脱出装置』自分フィールド上のモンスターを1体手札に戻し、2つの効果の内1つを選択して発動する。俺は『LS‐スパーク・イーグル』を手札に戻し、手札からモンスターを通常召喚する効果を発動!これによりスパーク・イーグルを再び召喚。」


【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。



 俺のフィールドに現れたカタパルトがスパーク・イーグルを手札に向かって吹っ飛ばす。
 直後にフィールドに現れた魔法陣からスパーク・イーグルが再び出現する。
 まぁ、なんだ・・・お疲れ。

「これでスパーク・イーグルは攻撃できない制約が無くなった。さらにギアフレームをフォレスト・ウルフにユニオン装備。」


「え!?え!!?なんで、スパーク・イーグルの攻撃できない制約がなくなったの!!!??」

 おいおいアイナ、それも授業で習ったぞ。


「スパーク・イーグルが一度シンマさんのフィールドを離れたから。制約効果は基本的にモンスターゾーンから離れるか、裏側表示になると消えるんだよ。」

 その点ソウヤは流石だな。そう、『モンスターゾーン』から離れれば良いんだ。


「バトルだ!『LS‐スパーク・イーグル』でアイナの『クリブー』を攻撃!」


 ― ボルト・チャージ ―


「えぇ!?『クリブー』の攻撃力は『トゥインクル・ストロング・スター』の効果で1900だよ!??シンマ、幾らなんでも甘く見すぎ!伏せカード2枚オープン!『ライジング・エナジー』&『突進』!さらに『クリブー』の効果発動!手札の罠カードを1枚捨てて相手モンスター1体の攻撃力を1500ポイントダウンさせる!これでワンターンキルだよ!いっけ〜!!!」



 ― クリボール ―



 クリブーがボール状になって俺のスパーク・イーグルに突進する。
 スパーク・イーグルはよろけて大幅に攻撃力がダウンする。
 おまけに『ライジング・エナジー』と『突進』で攻撃力は2200ポイントアップした。
 攻撃力4100か、おー怖い怖い♪


【ライジング・エナジー】
 通常罠
 手札を1枚捨てる。発動ターンのエンドフェイズ時まで、
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は
 1500ポイントアップする。


【突進】
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は
 エンドフェイズ時まで700ポイントアップする。


【クリブー】 (本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 手札から罠カードを1枚捨て、
 フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択されたモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで1500ポイントダウンする。
 この効果は相手ターンでも発動できる。


【クリブー】の攻撃力:1900→4100

【LS‐スパーク・イーグル】の攻撃力:1400→0


 攻撃力を失ってもスパーク・イーグルはクリブーに突進する。
 クリブーはそれを返り討ちにしてワンターンキル・・・できると思ったか?




 バリバリバリ!!!




 スパーク・イーグルが全身から浄化の雷を放ち、クリブーを破壊する。


「え!?え!??えぇぇぇぇ!!!!? な、なんで!!!?なんで、クリブーが破壊されたの!!!!???」


「よし決まった!『LS‐スパーク・イーグル』の効果。『闇属性モンスター及び裏側表示モンスターと戦闘を行った場合、ダメージ計算を行わずに破壊する』!」


【LS‐スパーク・イーグル】
 ユニオンモンスター
 星3/光属性/鳥獣族/攻1400/守 0
 このカードが闇属性モンスターおよび裏側表示のモンスターと戦闘を行う場合、
 ダメージ計算を行わずにそのモンスターを破壊する。

 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の闇属性以外の鳥獣族及び「LS」と名のついたモンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)




「ええええええぇぇぇぇぇぇーーΣ(゚Д゚)ーーーー!!!!!!!????
        酷い!!酷すぎる!!!それじゃぁスパーク・イーグル破壊できないじゃん!!!勝てないじゃん!!!!」


「いや、下級モンスター1体で詰むデッキを作るお前が悪い。」

 どんだけ悪いかって言うと、『A・O・Jコアデストロイ』1枚出されただけで敗北が決定するデッキを作るくらい悪い。


【A・O・Jコアデストロイ】
 効果モンスター
 星3/闇属性/機械族/攻1200/守 200
 このカードが光属性モンスターと戦闘を行う場合、
 ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。

 ↑これを見ると作者のオリカがOCGに比べてオーバースペックなのがよく分かる。


「し、シンマさんちょっと酷すぎ・・・。」

 ソウヤがボソッとつぶやく。


「別にいいだろ審判さん。反則行為は全くないんだし。」


「それはそうだけど・・・容赦しないんですね・・・。」

 うん。容赦しないよ(笑)。
 大体、アイナは手加減されるのを嫌うからな。


「んじゃ、そろそろいいか?『LS‐フォレスト・ウルフ』でダイレクト・アタック!」

 フォレスト・ウルフがアイナに噛み付こうと突進する!




 ― 森狼牙(しんろうが) ―





「うわわわわ!!!て、手札の『クリボー』の効果発動!戦闘ダメージを0にするよ!!!」


【クリボー】
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時、このカードを手札から捨てて発動する。
 その戦闘によって発生するコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。




 うーん。やっぱ、構成が滅茶苦茶とはいえクリボーデッキが相手じゃそう簡単にはいかないか・・・。
 けど、このターンで止めを刺す!!!



「それなら、手札から速攻魔法『コンビネーション・アタック』発動!戦闘を行ったモンスターのユニオンを解除する。俺は『LS−フォレスト・ウルフ』に装備された『マシンナーズ・ギアフレーム』の装備を解除!この効果でユニオン装備が解除されたフォレスト・ウルフはもう一度攻撃ができる!!!」




【コンビネーション・アタック】
 速攻魔法
 ユニオンモンスターを装備したモンスターが戦闘を行った
 バトルフェイズ時のみ発動する事ができる。
 ユニオンモンスターを装備して戦闘を行ったモンスター1体を選択し、
 装備されたユニオンを解除する。
 選択したモンスターはこのターンもう1度攻撃する事ができる。




 俺のフォレスト・ウルフの背中に取り付けられたギアフレームが分離する。
 ギアフレームの援護を受けてフォレスト・ウルフはさらに爪で引っかいた!





 ― 森狼爪(しんろうそう) ―





「きゃぁっ!」


【アイナ】のライフ:4000→1700


「そして、装備を解除した『マシンナーズ・ギアフレーム』も『異次元格納庫』の攻撃できないデメリットが解除されて攻撃できるようになるぜ!ギアフレームでアイナにダイレクト・アタック!!!」

 ギアフレームの攻撃は空中回転キックだ。





 ― ブースター・シュート ―





「わあぁっっ!」



【アイナ】のライフ:1700→0



「じゃあ、試合終了。勝者はやっぱりシンマさんだね。」


 よしっ完璧!これで『迷 惑 武 勇 伝』を阻止できたな。一件落着。天晴れ(あっぱれ)。天晴れ。

「んじゃ、アイナの用事はお断りって事で。」


「あ、待って!今のは練習!!次が本番だよ!!!」

 おい、アイナ卑怯だぞ・・・。








 ぐぅぅうぅぅぅ。





 ん?なんだ、今の音。


「あ、あははは・・・。///

 なるほど。アイナの腹の虫が鳴いたのか。


「なんだよ、お前らいっつも朝っぱらに俺の家来る時、朝飯抜いてくるよな。」


「すいません。お屋敷の人達が起きる前に抜け出してきたかr・・・。」



 ぐぅぅ。



「あう。///

 ソウヤの腹の虫も鳴いたよ。

 ったく、しゃーない姉弟だな・・・。

「まぁ、そろそろ腹も減る頃だし、俺が朝飯作ってやるよ。」


「え!いいの!!?」
「いいんですか!!?」

 おいおい。お前ら目が輝いてるぞ・・・。


「どーせ、それも目当てなんだろ?とにかく朝飯食ったらすぐ帰れよ。」


「「わーい!!!」」


 と、まぁいつもこんな騒がしい日常だけど、『世界の危機!』とか『悪の組織暗躍!』とかは無縁な町だ。

 残念だが、この物語に日常は続かない。
 いつまでも続くならこれ以上語って聞かせるほどの事はこの町には無いんだよな〜。







 朝食の支度をしている途中、俺はなんとな〜く、窓から空を見上げた。






 ・・・空は青いねぇ。どんなに雲や大地が荒れてもずっと青いままなんだろうなぁ。









  第三話  イヤミな賢者



  以降からの主要登場人物



 ディメンショナル・ワイズマン

年齢:本人曰く「人間年齢で21歳」
性別:男
愛称(本名?):『ディジョン』
生年月日:不明
分類:デュエルモンスター・闇属性/星7/魔法使い族/融合
趣味:他人の不幸を笑う事。
嫌いな物:からかい甲斐のない奴。
●シンマのエースモンスター
●かなり気まぐれでイヤミな性格。そして、騒乱を好む。
●自分の意思で実体化できる。
●その為精霊が見えない人とも会話等が出来る。
●時間と空間の力を自在に操る。












AM6:30 三ヶ月町 シンマ宅

 前回に引き続き、ナレーターはこの俺『シンマ』が担当するぞ。
 フルネームは『優凪 信間(ゆうなぎ しんま)』。
 容姿は・・・今このネタやらなくていいよな。
 とにかく、


 俺は、至って謙虚だ!


 今、俺の家で幼馴染の『アイナ』『ソウヤ』と一緒に朝食をとってるとこだ。

 ちなみに全部俺の手作り。
 献立はご飯・サケの塩焼き・味噌汁・カボチャの煮付・ほうれん草のお浸し・デザートに大福。


 おい!いま『近未来の世界で和食?』って思った奴。この時代でも和食くらいある。
 まぁ、単に俺が和食好きな傾向もあるんだけどな。


「それにしても、シンマさんって本当に何でもできますよね。」


「そうそう。テストは学年8位、デュエルと調理実習の成績はぶっちぎりの1位、運動神経も良いほうだし、機械にも強いし。」


「それと、基本的な物なら医療の心得もあるんでしょ。本当にすごいですね!」

 ソウヤとアイナが俺のことを絶賛する。


「そうは言っても、器用貧乏って感じだけどな。」

 褒めてくれるのは嬉しいんだがちょい照れる。まともな返し方が思いつかない。

「つーかよ、お前らなんで自分達の家で朝飯食わないんだ?飯だって豪華だろ?」

 とりあえず、前から気になっていたことを聞いてみる。
 はっきり言って小等部4年生の頃からずっと疑問だった。


「うーん、なんて言うかね。田舎独特の味って感じ?田舎育ちなのにお屋敷で食べる物って、みぃーんなネオ童実野シティのレストランに売ってそうな物ばっかりだし。」

 おいコラ、アイナ・・・仮にも使用人さんが作ってくれる食い物にケチつけんなよ。
 専属の料理人が作るんだから高級レストランに売ってそうな物に決まってんだろ。
 まぁ、それがアイナの理由なのな。


「・・・というよりも理屈じゃないんだよ。食べていると温かい気持ちになる気がするんです。」

 ふーん。それがソウヤの理由か。
 って言うかただ単に、ご飯とか味噌汁とかサケの塩焼きとか、温かいもん食ってるからじゃないか?
 作った俺自身にもそこん所よくわからん。


「とにかく。あたし達はシンマの作った料理が好きってこと。」


「ふーん。それよりお前ら、デザートの大福一人につき4つ作ったハズだけどもう一個目食ったのか?おかずとかご飯とかまだ残ってるケド。」


「「え!?」」


 いつの間にかアイナとソウヤの皿から大福が一つずつ無くなってる。


「あ、あたしはまだ食べてないよ!ソウヤは!?」


「ぼ、僕だってデザートは一番最後に食べますよ!」


 あーなるほど。って事はまた『あいつ』が犯人だな。
 と、そうこう言ってるうちに突然、俺の皿にあった大福が一つ宙に浮かび上がる。


「うわあ〜〜!!??し、シンマさんの大福が浮かび上がりましたよ!!!!!」


「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!??お化け!!!??悪魔!!?ポルターガイスト!!???」


 こんな朝っぱらに幽霊とかが出てくるかよ。
 つーか『あいつ』ホントに趣味悪いな。


「おい、さっさと姿を見せろ。あと、大福食いたいなら『食いたい。』って言え!」

 俺は宙に浮く大福に・・・正確には姿を消して大福を盗み取った奴に向かって叫ぶ。


「ぷっふー!アイナ、ソウヤ、お前ぇらはいつからかっても飽きねぇなぁ。ククク・・・。」


 なにも無かった空間に突然、銀髪の青年が現れた。
 瞳の色は真っ赤、碧いコートの下に着ている衣服はサムライの上衣に近く、下衣もシワが無い『馬乗り袴』に似ている。
 まさに『和洋混合』、奇抜な服装だな。
 あ、『馬乗り袴』ってのは、ズボンのように股の部分で分かれている袴(はかま)のことな。


「でぃ、『ディジョン』!!?お、驚かすなーーーー!!!!」


「クハハハッ・・・いや〜、やっぱお前らは面白いな。物を宙に浮かすなんて5年前からやってんのに『悪魔だ!』『幽霊だ!』ってビビッてんの!」


 こいつの名前は『ディメンショナル・ワイズマン』。
 名前長いから『ディジョン』って通称で呼んでることの方が多いケドな。
 俺のエースモンスターで、レベル7・闇属性・魔法使い族・攻2500・守2500の融合モンスターだ
 攻・守はともかく効果はレベル7にしちゃ超ハイスペックだけどな。
 ちなみに俺にはデュエルモンスターの精霊は見えない。
 こいつが自分の意思で実体化できるんだ。

 ・・・で、かなりのイヤミな奴だ。





【ディメンショナル・ワイズマン】
 融合・効果モンスター
 星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2500
 ..so....re..............ス..........
 上..のモn.スターを....の............ル..から....することで、
 エクsuト..デッキか..融合..喚でkiる。
 (こno場..「融合」のkaード..必要と..ず、
 「特..召喚を..効にする」「特..召喚でki....」効..を....すru。)
 ..の....do......力......力ha....さ....か....ノ.........い........プ..ru。
 コのカー........の力..奪..、....da......の......si..発........。
 ....カー..........る..........時..
 オ..i.............to..ち........ヲ..........ル。
 (unknowntext)





「おい、ディジョン。アイナとソウヤの大福を一個づつ食ったのお前だろ。」


「大・正・解!ついでにシンマ、お前の分も頂きま〜す。」

 ディジョンが手に取った大福を口の中に放り込む。


「ムキーーーッ!あたし達の大福返せ!元あった状態そのままにして返せ!!!」

 アイナが大福を返せ、返せ、と叫ぶ。


「むぐむぐ・・・ざんね〜ん!・・・もごもご・・・お前ら分は、既に〜オレの〜腹の中〜!・・・もぐもぐ・・・ゴックン。」

 おーおー。
 『13歳のお嬢様』と『次元の賢者様』達が低〜レベルな戦いを繰り広げ始めたよ。


「つーか、ディジョン。さっき言った通り、大福食いたいなら『食いたい』って言え。言ってくれれば作ってたぞ。」

 まぁ、大体理由は分かるんだけどさ。


「クハハハハッ・・・別に良いじゃん。どうせ大福の合計は12個、4人で分けて一人につき3個食えるんだしよ。・・・一番の理由はアイナとソウヤのアホ面を見たかった事だがなぁ!」

 やっぱりな。そうだよな。


「そんじゃ俺はこれで消えるな。じゃ〜ね〜、ばいば〜い。」

 あ、ディジョンが消えた。


「むっかー!あんたゼッッッッッッタイにデュエルでぶっ飛ばしてやるーーーー!!!(#`Д´)」

 無駄無駄。
 お前がディジョンに挑むって事は、俺に挑むって事だからね〜。
 今のアイナじゃ絶対に無・理。


「その前にシンマさんを本気にさせないとダメだと思うよ・・・・・・。」


「ん?ソウヤ、俺だってアイナが手加減される事を嫌うことくらい分かってるぞ。さっきのデュエルも、ディジョンを出さなかっただけで本気だったぜ。」

 アイナの『迷惑武勇伝』は絶対に阻止しないといけないからな。


「それと、さっさと飯食わないと冷めちまうぜ。」


 俺は、わーわー叫びながら暴れるアイナを無視して朝食の残りを口の中に運ぶ。







(15分後。)








 ピーンポーン!




「「「・・・・・・・・・!」」」


 インターホンの音が聞こえた。

 この朝っぱらに俺ん家に来る人といえばアイナとソウヤとたぶん・・・あの人だろうな。

 すぐに俺は玄関に向かう。



 ガチャ。



 俺が戸を開けると、怒った顔をした女の人が入ってきた。
 年齢は30代半ばくらいで、顔つきはアイナとソウヤに似ている。

 女の人は軽くお辞儀をして家に入ると、アイナ達に向かって怒鳴りつける。

「アイナ!ソウヤ!勝手にお屋敷を抜け出して何処へ行ってるのかと思ったら、またシンマさんの家に来てたのですか!」


「ゲ、何でこんなときにママが来るの・・・。」


「うわわわわ、ご、ごめんなさい母さん!!!」


 アイナ達を叱りつけているこの人は『露月 三葉(つゆづき みつば)』さん。
 アイナとソウヤのお母さん。
 なんて言うか、キレると怖い。


「使用人の方々が折角作って下さった料理を放っておいて、他人様のお宅でご馳走して貰うとはどういうことです!!!それから・・・。」

 ん?何故か三葉さんの視線がこっちに向いたんだけど・・・・・・。

「シンマさん!!!なんで、あなたもアイナ達にガツンと言わないのですか!!?」


「え!?俺!!!?」


「そうですよ・・・、臨時保護者のシンマさんからも自重するように言っていただければ、娘達・・・特にアイナも名家の娘としての自覚を持つでしょうに・・・。」


 あらら、保護者って冗談で言い始めたのに母親公認?
 まさかアイナが騒ぐ度に、俺が町の人達に文句を言われんのってこれが理由か?


「アイナ、ソウヤ、シンマさんのお皿洗いの手伝いをしたら、すぐ帰って学校に行く準備をしなさい。今日はアカデミアの終業式よ。」


「「はーい・・・。」」


 あの後、アイナとソウヤは三葉さんに言われた通り、皿洗いして自分達の家に帰っていった。

 みんなも友達の家でお世話になったら後片付けくらいしような。
 「親しき者にも礼儀あり。」って奴さ。


 結構早かったケド、第三話はこれでお終いな。







 あ、ついでに言うと

 次のナレーターは少しの間だけ作者視点だからな。

 とっても大事なことだから文字を大きくして言ったぞ。


 読者の皆様、毎回、視点を強引に変えてスイマセン。by某・伝説達(以下、某・伝)








  第四話  World Championship in ネオ童実野シティ 開催予告














 AM11:00 デュエルアカデミア・ネオ童実野校・中等部


 ここはネオ童実野シティのデュエルアカデミア。
 教室内は席を立って友達とおしゃべりをする生徒。
 配られた通信簿を見せ合う生徒。
 そして通信簿を見て撃沈する生徒などでにぎわっている。

「はぁ〜〜〜。シンマ、この成績見て。」

 アイナが撃沈しながらシンマに自分の通信簿を見せる。

 勉学の成績はギリギリ1は付いていない、が・・・。

「なになに、
 『あなたのデッキには攻撃力の低いモンスターが多数入っていますが、
  魔法・罠カードがそれらのモンスターを生かすカードが殆んど入っていません。
  性質上、攻撃力が低いモンスター達の多くは相手の攻撃を封じることで真価を発揮します。
  それらをサポートするカードを多く投入しましょう。
  デッキに好きなカードを入れることは決して悪いことではありません。
  ですが、それらのカードを生かすカードを使わなければデュエリストとしてはいつまでも強くなれません。
  また、あなたの戦術はモンスターを強化して攻撃しますが、
  ●強化系カードが多すぎて肝心のモンスターが手札に来ない。
  ●ロックカードを破壊する事ができない。
  ●戦闘で破壊されないモンスターや高攻撃力のモンスターに対処できない
  といった状態に陥ることが多いです。
  強化系カードを減らして防御系カード、魔法・罠破壊系カード、妨害系カードを増やしましょう。
  そして・・・・・・。

って、長すぎ!どんだけ課題点あんだよ!これ書いた教師もご丁寧に書いてるな。素人でも分かるわ!」


「ううぅ、そうだけど、ここまで徹底的に書く必要ある?ただでさえ、成績1で落ち込んでいるのに・・・・・・(ToT)。」


「小等部1〜6年生と中等部1年生の合計7年と1学期連続 成績1じゃここまでこっ酷く書くに決まってんだろ。つーか、今まで書かれなかった事と先生からの呼び出しが1度も無かったのが不思議なくらいだ!」


 普通の学校の科目なら間違いなく先生方に呼び出されてます。


「むぅ、・・・そう言うシンマの成績はどうなの?」


「ん?デュエルと家庭科は5だぜ。見るか?」


 アイナはシンマの通信簿にどこか成績の悪い部分はないか徹底的にさがす。
 ほぼ、全てが4で僅かに3が付く科目があるが評価も『これからも頑張りましょう』程度である。  そして、デュエルと家庭科はブッチギリの5だった。

「うぐぐぐぐ・・・。あ、けどデュエルの項目に、
 『総ダメージ4000超えのオーバーキルが多々あります。
  上級者同士の試合では、余計な戦法が仇となり敗北する例が多々あるので気を付ける様に。

って書いてあるよ!!!」

 アイナがどうにか欠点を見つけた。


「『少々無駄のある戦法を除けば、戦術・デッキ構築共に素晴らしく、
  特に戦術は、予め用意されたデッキでのデュエル等、
  特殊な状況下に置かれても臨機応変に立ち回る力がずば抜けています。
  これからもより一層の努力を心がけましょう。

とも書いてあるけどな。」
 シンマが自慢げに言い返す。










 ウィーン。


 教室にシンマ達の担任が入ってきた。

「よし、全員席に着いてくれ。」

 すぐに自分の席に座る生徒もいるが、大抵の学校ではおしゃべりに夢中で聞き流し、結局10分くらいかかる。
 このクラスも例外ではない。


 ・・・が、今回、担任としてはとある理由ですぐに座ってほしいのだ。
 結局1分も経たずにクラス中に怒号が轟くハメになった。


「それじゃ、モニターを見てくれ。校長先生からの挨拶だ。」

 シンマ達の担任はリモコンでモニターの電源を入れる。



 キィーーーン!!!!!



 マイクのノイズが響き渡る。
 シンマ達は思わず耳を両手で塞いだ。

『え〜、失礼。マイク〜テスト、マイク〜テスト。』

 モニターに50代後半の温厚そうな男性が映る。
 この男性がこのデュエルアカデミアの校長先生である。


『さて、皆さん。これから夏休みですg・・・



(30分経過)




 ・・・と、言うことで熱中症には十分気をつけてくださいね。さて、これから皆さんにとって非常に重大な発表があります。』


 先ほどから退屈していた生徒達の一部も『重大な発表』と聞いてようやく話しを聞く姿勢になる。
 それでもまだ、寝ている生徒もいるのだが・・・。


『来年の夏に、このネオ童実野シティで非常に大きな大会が開催されます。その大会がこちらです。』


 校長先生が机にしまってあった大きなポスターを広げる。
 ポスターにはこう書いてあった。




 デュエルモンスターズ World Championship in ネオ童実野シティ




『この大会は世界中の強豪デュエリスト達がネオ童実野シティを舞台に競う大会です。入賞者は大量の賞金が、
そして優勝者には『デュエル・キング』の称号が与えられます。主な参加者は、
 ●現在のデュエルキングである『不動 遊星』。
 ●前デュエルキングの『ジャック・アトラス』。
 ●プロデュエリスト史上初の女性世界チャンピオン『ガブリエラ・ティンバー』。
 ●4年連続アメリカ大陸の覇者『キッド・ウェスト』。
 ●僅か12歳にしてイギリス大会の優勝者『ユリウス・アンゼルフ』。
 ●サティス・ファクション・タウンの死神『鬼柳 京介』。
 ●18歳でプロデュエリスト3部門制覇した『リヒター・デア』。
と、いった有名なデュエリスト達から、WRGPに出場した『チーム太陽』のような思わぬ強力選手もいるかもしれません。
 本来なら、参加資格を持つものは『プロデュエリスト
 又は『各国の全国大会上位32位以内の選手』、
 そして『特別招待状が送られた方々』のみなのですが・・・。』




 ざわざわざわ!




 教室内が騒がしくなる。
 世界中の強豪デュエリスト達がこの街に集まり『デュエル・キング』の称号を賭けて競う。
 デュエルモンスターズの大会でこれほど熱い大会はない。
 勘の良い生徒は校長先生の『本来なら』『なのですが』という単語にも反応する。
 『本来なら』『なのですが』・・・つまり、その続きがある訳で・・・・・・。



『実は!全世界のデュエルアカデミアに在学する全ての生徒にこの『World Championship』の参加資格が特別に与えられました!!!』



 ぶわっ!!!


 一瞬シンマは教室が爆発したように感じた。
 それほど生徒達が大騒ぎしたのだ。
 当然、寝ている者などいない。
 隣の教室からも・・・いや、小等部と高等部の教室からも歓喜の叫びが聞こえる。


 おそらく、アカデミアの外を歩いていた通行人は何事だろうかと目を丸くしているだろう。

 だが、そんな事はビッグニュースでテンションが最高になった生徒達にそんな事を気にしている者は、殆んどいない。

 世界中のデュエリスト達が集い鎬を削りあう大会に出場する権利。
 もしかしたら一生に一度しか来ないかもしれない機会。
 こんなことを聞いて落ち着いていられる人は果たして世界に何人いるだろうか?



 校長先生がより生徒達に聞こえるように、より大きな声で話す。

『参加受付は今年の8月から来年の5月までです。つまり、今年卒業する高等部3年の皆さんも参加可能ということですね。』


 やはり、高等部3年の生徒に対する措置も忘れてはいない。


『参加を希望する方は念入りにデッキ調整をし、万全の体制で大会に挑んでください。
 また、第一次予選はネオ童実野シティ全体が舞台ですので体力が多少は必要になります。
 運動をして体力を付けることをお勧めしますよ。
 それと、小等部の皆さんは必ず保護者に付いて来てもらうように。それでは…』


 校長先生が話し終えようとした時、ハッと思い出したように付け加える。


『それから、夏休みの間に全日本大会が開催されます。
 World Championshipはデュエルアカデミアの生徒以外は全員
 プロデュエリスト及び各国の全国大会32位以内の方々です。
 この大会で自分の実力がどの程度のものなのか試してみると良いでしょう。
 では、私からの挨拶と重大発表はこれで終了します。』



モニターの電源が切れた。



「よし、じゃあこの大会の詳しい資料を『DAT』に送信しとくぞ。」


 『DAT』(ダット)というのは、デュエルアカデミアで使われている『PAD』の後継機のことだ。
 『D』uelist『A』ssist『T』erminal(デュエリスト アシスト ターミナル)の略で
 近い内に一般販売も予定されているらしい。
 インターネットに接続する、メール・電話による通信機能の他、
 デュエル・ディスクに取り付けることで相手の墓地・除外されたカードの確認もできる。
 この機能の為デュエルアカデミアの生徒はデュエル・ディスクでデュエルする場合、一般人より少しだけ有利に闘える。












 ・・・ ・・・。

 ・・・ん?早速俺視点だな。

 俺の名前は『優凪 信間』
 容姿はまぁまぁ、人気もまぁまぁ。
 どっかの

「ヒィィィィィ〜! ヒ…助けて…来る来る来る助けて…来るああああ!
 来る…来る……来る…来る…マリク様が…ヒィィヤァァ〜!!!」



って叫ぶ人と違って、


 俺は、至って謙虚だ!


 前述の通り校長先生から世界大会の出場権というとんでもない物を頂いた。
 俺だけじゃなく、世界中のデュエルアカデミアの生徒全員にだ。
 もちろん俺は出場するぜ。
 けど、その前に全国大会に出場して今の自分の実力がどの位のものか試さねえとな。


 担任が教卓のところまで戻る。

「よし、じゃぁ号令だ。松葉(まつば)、今回はお前が日直だろ。号令頼む。」

「はい。起立、気を付け、礼。」


 教室はまだ騒がしいな。
 先ほどの大会の話題で大盛り上がりする人達。
 すぐに帰宅する人、寮に泊まる手続きに行く人。
 大会の資料を睨みつけるように見る人や部活動に行く人。食堂へ行く人。
 購買部へ全速力で突っ走る人や大会に向けて友人同士でデュエルドームに行き試合しにいく人達もいるな。


「いよう、シンマ!お前もこの大会でるんじゃろな?」


 クラスメイトの一人が俺に話しかけてきた。
 こいつの名前は『大門寺(だいもんじ)』
 このクラスじゃ比較的しゃべることが多いな。
 なんか、べらんめぇ口調っていうのか?特徴的な話し方をする。


「当ったり前だろ。こんな大会に参加できる権利なんてもしかしたらこの先、一生ないかもしれないんだぜ!」


「おう、やっぱりか!ワシも挑戦するつもりぜよ!」

 やっぱ大門寺も参加するんだな。
 デュエル・アカデミアに通っておいて『参加しない』は余りにも勿体無いぜ・・・。

 まぁ、参加しないのはデュエルに関心のない奴とか、ごく一部だろうな・・・。


「けど、その前に全国大会で少なくとも32位以内に入るかそれに匹敵するほどの実力があるか試さないとな。」


「そうじゃな。恐らく第一次予選はバトルシティみたいな感じぜよ。そうなればアカデミアの連中の殆んどは第一次予選敗退じゃ。そんぐらいワシだってわかるぜよ。」


 全くだ。

 出場権を得られただけで全く強くなってない奴が
 プロデュエリストや上級者たちに狩られ、逃げ惑う姿は容易に目に浮かぶな。

 そして、その『狩られ、逃げ惑う奴ら』の一人が俺、って可能性も十分にある。

 全国大会で今の自分の実力を確かめて、
 少なくとも第一次予選を突破できる位の実力を付けるように特訓しないとな。




「シンマ〜!この大会出るよね!?後で練習試合しない?」

 おーおー、アイナがこっちに向かって突っ走ってきたよ。


 とりあえずダメだしするか。

「アイナ、お前は試合をする前に通信簿に書いてあった通りデッキをリニューアルしろ。
こんなんじゃ『World Championship』どころか全国大会、いや町内大会でも予選敗退だ。」


「ぐぅ、それじゃあシンマ的にはどんな感じにするの?アドバイスよろしく。」

 少しは自分で考えろ。


「おや〜どうしたんじゃ藍奈ちゃ〜ん。恋人にデッキのご相談か〜?」

 大門寺がアイナをからかう。
 ついでに俺もからかっているつもりか?


「な〜に言ってんの!大体、恋人って両思いのカップルのことでしょ!」

 う〜ん、『恋人』って別に両思いだけじゃないだろ。
 たぶん。


「あれ〜?面白い話してんじゃ〜ん。」

 アイナの友人の松葉も加わる。
 フルネームは『松葉 美代(まつば みよ)』さっき号令をかけた奴な。


「なに〜?恋の話〜?」

 女の子ってこうゆう話題好きだよな〜。


「まぁ、そんなとこかもな。」

 よし、俺も空気読んでそうゆう事にしよう。


「あーーっ!!!もう!!!!あたしは自分のデッキの評価を先生達にボロクソ言われてるから真剣に悩んでるの!!!!なのにどーしてそーゆー話になる訳!!!!!?」

 うぉっ!アイナがぶち切れた。
 まぁ、本人は真剣に話してるみたいだし、ちゃんと聞いてやるか。


「悪かったって。んで、具体的にどうしたいんだ?俺的には、まず、『次元幽閉』2枚くらい入れたら『サイクロン』や『砂塵の大竜巻』も2・3枚入れる。それから、『怒れるもけもけ』すら入ってない『もけもけ』を抜いて、攻撃力の高い『デーモンの召喚』とかシナジーの強い『ジャンク・シンクロン』とか入れるけど。」


「うっ、そういうのじゃなくて、もっとこう、可愛い系のモンスターを入れたいんだけど。」

 うわっ、メンドクセー注文。


「そ、それよりワシは藍奈ちゃんの評価がどんなもんだったのか知らんぜよ。具体的にどう書いてあったんじゃ?」

 大門寺もアイナが真剣になってるのを察したのか、相談に乗る気でいる。
 ・・・というか、キレたアイナにビビってるのか。


「いや、なんつーか『防御系カード』と『ロック突破カード』が圧倒的に不足している状態。つまり、始めたばかりの素人以下のデッキ構築なんだ。7年近くデュエルやってんのに。」

 アイナの代わりに俺が答える。


「な、なんか致命的な構築ぜよ・・・。とりあえずシンマの言うとおり、まずは『次元幽閉』とか『ミラフォ』とか入れて、それから『サイクロン』や『ツイスター』を入れるべきじゃろ。かわゆいモンスターが好きなら『ナチュル』とかどうじゃ?結構フィールドに残りやすい奴多いし、うまく使えば相手の行動を大きく制限できるぜよ。」

「あっ、それだったら3枚くらいデッキに入ってるよ。」

 「そうか、それがあった。」って俺も言いたいんだけど・・・。


「入っているけど、わざわざ『ナチュル・フライトフライ』で攻撃するのは何故だ?」


「え?だってあの時は『ライジング・エナジー』使ったんだよ。攻撃するのは当然でしょ?」


 大門寺が急いで『DAT』で『ナチュル・フライトフライ』を調べた直後「もったいねー!」という顔をした。
 本当に勿体ねぇよ。『ナチュル・フライトフライ』は有力なサポーターだろ。


【ナチュル・フライトフライ】
 効果モンスター
 星3/地属性/昆虫族/攻 800/守1500
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの
 攻撃力・守備力は、自分フィールド上に表側表示で存在する
 「ナチュル」と名のついたモンスターの数×300ポイントダウンする。
 1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在する
 守備力が0のモンスター1体のコントロールを
 エンドフェイズ時まで得る事ができる。


「そ・れ・よ・り、優凪君。優凪君はアイナの事どー思ってんのかなぁ〜?」

 おい、折角真面目な話題になったのに何でそうなる。
 空気読めよ松葉・・・・・・。


「マッツー!どれだけ空気読めないの!!!」

 まぁ、アイナと同じくらいだろ。



「う〜ん、恋人とはちょっと違うぜ。」


「ホラね!ってえ!?シンマ、今なんて言った・・・?」


「へ〜「ちょっと」ねぇ。ってことは何〜?具体的に言うと〜?」






「俺はこいつ(アイナ)と、こいつの弟(ソウヤ)の保護者だ。」








「がーーーーーーΣ(TДT)ーーーーーーーん!!!!!

 (ひ、ひどい!酷すぎるっ!!!
 どれだけ酷いかって言うと、デザートの大福を横取りされたくらい酷いよ!!!
 読者のみんなも考えてみてよ。同年代に庇護者扱いされてるんだよ!!!
 シンマ、君はそれでも主人公なの!!!?
 作者は、シンマが時々主人公らしくない台詞を言うっていう設定があるらしいけど、
 まさかカードに「ゴミ」とか「使えない」とか言わせるんじゃないよね!!!?)」

                    流石にそこまで言いません。グレファー以外には。by某・伝



「んじゃ、俺は食堂行って飯食ったら帰るぞ。」

 アイナの大袈裟な妄想を無視して、俺は帰る仕度をする。
 幸い松葉もアイナがショックを受けているのを見て言葉を失っているしな。


「おっと待つんじゃシンマ。その前にワシとデュエルするぜよ。」


「・・・ま、いいぜ。別に俺は部活とかやってないし急ぎの用事もない。断る理由は無いし。」


「おっしゃー!そんじゃ早速デュエルドームに行こうぜよ!!!」

 俺と大門寺はアカデミアのデュエルドームに向かって突っ走っていった。




 ちなみにアイナはというと・・・。


「それじゃ、アイナ。私達もドームに行きましょ・・・って、アイナ?」


 ピキピキッ・・・カッチーーン!


 さっき俺に庇護者(ひごしゃ)扱いされたのが、よっぽどショックだったのか凍りついていた。

 後で松葉に聞いたところ、アイナを覆っていた氷はトンカチで砕いたらしい。









  第五話  シンマVS大門寺 前編:波乱の1ターン目







 PM12:28 デュエルアカデミア・ネオ童実野校・デュエルドーム








 俺と大門寺がドームに着く頃には既に大勢の生徒がドームに来ていた。
 観客も大勢いるんだが、その殆んどはデュエルを行なった生徒やこれから順番待ちの生徒達ばっかり。
 おかげで11時41分〜43分くらいに到着したのに結局45分くらい待ったぞ。



 今、デュエルしている奴らの番が終わったら、ようやく俺達の番だな。
 ・・・っと、そろそろ決着がつくな。





【生徒A】(TURN PLAYER)
ライフ1000
モンスター【不死武士】(攻:2000)
【切り込み隊長】(攻:2000)
魔法・罠【一族の結束】
手札2枚
【生徒B】  
ライフ1400
モンスター裏側守備表示モンスター×2
(どちらも【ステルスバード】)
魔法・罠【グラヴィティ・バインド−超重力の網−】
【波動キャノン】(カウント0)
手札0枚




【不死武士】
 効果モンスター
 星3/闇属性/戦士族/攻1200/守 600
 このカードは戦士族モンスターの生け贄召喚以外の生け贄にはできない。
 自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
 自分フィールド上にモンスターカードが存在しない場合、
 このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
 この効果は自分の墓地に戦士族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。


【切り込み隊長】
 効果モンスター
 星3/地属性/戦士族/攻1200/守 400
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手は表側表示で存在する他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択する事はできない。
 このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスター1体を
 特殊召喚する事ができる。


【一族の結束】
 永続魔法
 自分の墓地に存在するモンスターの元々の種族が
 1種類のみの場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
 その種族のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする。


【ステルスバード】
 効果モンスター
 星3/闇属性/鳥獣族/攻 700/守1700
 このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
 このカードが反転召喚に成功した時、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。


【グラヴィティ・バインド−超重力の網−】
 永続罠
 フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。


【波動キャノン】
 永続魔法
 自分のメインフェイズ時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、
 このカードの発動後に経過した自分のスタンバイフェイズの数
 ×1000ポイントダメージを相手ライフに与える。





「おれのターン、ドロー!手札から『抹殺の使徒』発動。『ステルスバード』1体を除外!」


「げっ!やばっ!!!」


 抹殺の使徒の効果で除外か・・・。
 もう一人の生徒はデュエル開始から墓地肥やしを行なったことはないから、『ネクロ・ガードナー』も墓地にない。
 手札も無い。
 こりゃ勝負ありだな。



【抹殺の使徒】
 通常魔法
 フィールド上に裏側表示で存在するモンスター1体を破壊しゲームから除外する。
 それがリバース効果モンスターだった場合、お互いのデッキを確認し、
 同名カードを全てゲームから除外する。


【ネクロ・ガードナー】
 効果モンスター
 星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300
 自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
 相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。



「不死武士で裏側守備表示のステルスバードに攻撃だ!」


 ズバァ!!


 不死武士が両手の刀でステルスバードに剣戟を放つ。
 ステルスバードはソリッドビジョンの演出でガラスのように砕けた。


「そして切り込み隊長でダイレクトアタック!」



 ― 隊長スラッシュ ―



 おいwwなんだよそのネーミング。



「うわぁぁぁ!!!」


【生徒B】のライフ:1400→0



「よし、終わったぜ。次の奴らに交代だ。」


 ようやく俺達の順番が回ってきたか。

 俺と大門寺はデュエルフィールドに登る。


「いくぜいシンマ!お前のアカデミア不敗神話を1番最初に破るのは、このワシぜよ!!!」


「どうかな?俺もそう簡単には負けないぜ。」



「「デュエル!!!!!」」



 すぐにデュエルディスクの画面に目を向ける。「First(先攻)」は…俺か!

「俺のターン。ドロー。」


 ドローカード:【エレメントの宝札】


 !・・・調度いい。墓地に落として置きたいモンスターが手札にいるからな。そんじゃ早速使うか。


「俺は『エレメントの宝札』を発動。手札からそれぞれ違う属性のモンスターを2枚捨て、デッキからカードを3枚ドロー。俺が捨てるのは『魔轟神獣ガナシア』と『メタル化寄生生物−ルナタイト』だ。



【エレメントの宝札】
 通常魔法
 手札からそれぞれ違う属性のモンスター2枚を捨て、
 デッキからカードを3枚ドローする。
 このターン、自分はスペルスピード2の魔法・罠カードを発動できない。


【メタル化寄生生物−ルナタイト】
 ユニオンモンスター
 星7/水属性/水族/攻1000/守 500
 1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして、
 フィールド上のこのカードを自分フィールド上表側表示のモンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 装備モンスターは相手がコントロールする魔法の効果を受けなくなる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。)



「そして、『魔轟神獣ガナシア』の効果発動。手札から墓地へ捨てられた時、フィールド上に特殊召喚される。この効果で特殊召喚されたガナシアは攻撃力が200ポイントアップし、フィールドを離れた場合除外される。

 俺のフィールドに象のような二足歩行の怪物が、青くて丸っこい使い魔と共に現れる。

 ・・・って、おい!今こいつ、使い魔を踏み付けたぞ!!!

 大丈夫か・・・?あの使い魔、ペシャンコになってるぞ・・・。


【魔轟神獣ガナシア】
 効果モンスター
 星3/光属性/獣族/攻1600/守1000
 このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
 このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は200ポイントアップし、
 フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。


「うぉいっ!?し、シンマ・・・その使い方・・・禁止カードの『天使の施し』と変わらんぜよ・・・。

「否定はしないな。手札から『LS(リンク・スピリット)‐フレムドラゴ』を攻撃表示で召喚。


 フィールドに現れた赤いコアが炎に包まれ、小竜の姿になる。
 俺のデッキじゃ、
 ●シンクロ・融合素材の確保、
 ●微弱ながらデッキ圧縮、
 ●モンスターの展開、
 ●下級アタッカー、
 ●多くの種族・属性サポートを受ける等、
 重要なカードの一枚だな。


【LS(リンク・スピリット)‐フレム・ドラゴ】
 効果モンスター
 星4/炎属性/ドラゴン族/攻1900/守 200
 このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、
 自分のデッキ・手札からこのカードに装備可能なユニオンモンスター1枚を
 このカードに装備できる。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。


フレム・ドラゴの効果発動。デッキから装備可能なユニオンモンスター1枚を装備できる。俺はデッキから『LS‐ターボ・フライト』を装備する。

 俺のフィールドに出現したモンスターはビークロイドのように乗り物に顔がついたような外見をした戦闘機だ。
 似たような外見の『ジェットロイド』に比べると、平成のウル○ラマンに出てきそうなフォルムだ。


 ターボ・フライトはアームを展開し、フレム・ドラゴの体を掴むようにユニオンする。


【LS‐ターボ・フライト】
 ユニオンモンスター
 星3/風属性/機械族/攻1300/守 500
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 フィールド上の「LS」と名のつくモンスター及び機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
 また、自分のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)




【LS‐フレム・ドラゴ】の攻撃力:1900→2200



「カードを1枚セット、ターンエンドだ。」

 とりあえず今回は積極的にモンスターを展開してみるかな。


【シンマ】先攻
ライフ4000
モンスター【LS‐フレム・ドラゴ】(攻:2200)
【魔轟神獣ガナシア】(攻:1800)
魔法・罠伏せカード1枚、
ユニオン状態の【LS‐ターボ・フライト】
手札4枚
墓地2枚
除外無し
【大門寺】後攻
ライフ4000
モンスター無し
魔法・罠無し
手札5枚
墓地無し
除外無し



「ぐっ・・・たった2枚の手札消費でなんちゅう展開力じゃ・・・。だったら、ワシはパワーで勝負するぜよ!ワシのターン、ドロー!!!」


 たぶん、大門寺にとってそれなりのキーカードが引けなきゃマズイ状況なんだろうな。
 ドローにも気合が入っている。
 実際、フィールドにモンスター2体以上、魔法・罠が2枚あって手札が4枚なんて光景は
 『BF』とか『六武衆』くらいだからな。


「よし!ワシはフィールド魔法『伝説の都 アトランティス』を発動するぜよ!!!


 フィールドに超巨大な建造物が出現する。
 その大きさはデュエルドームの天井に届きそうなくらいだ。
 建造物が出現すると同時に俺たちの腰のあたりまで大量の海水が流れ込んできた。
 ソリッド・ビジョンの演出上、デュエルフィールドは見えない水槽のように四角く海水が流れ込む映像が見えるのだから観客からは奇妙な光景に見えるだろうなぁ。



【伝説の都 アトランティス】
 フィールド魔法
 このカードのカード名は「海」として扱う。
 手札とフィールド上の水属性モンスターはレベルが1つ少なくなる。
 フィールド上の水属性モンスターは攻撃力と守備力が200ポイントアップする。





●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●






 一方そのころ、デュエルドームの観客席では・・・。

「あ〜も〜!すでにデュエル始まってるよ!んもぅアイナがどーでもいい事でウジウジしてるからよ。」


 ぶつぶつ文句を言いながらマッツー(松葉のこと)がデュエルドームの観客席に座る。
 遅れてあたし(アイナだよ)もやってきた。


「どーでもいいわけ無いでしょ〜〜。同年代に庇護者扱いされたんだよ〜〜。TдT」


「そういう所がどーでもいい事って言ってるの。で、状況は・・・・・・な、なんか、とんでもない状態になってない・・・?」


 マッツーが唖然としているの。
 あたしは顔を上げてデュエルフィールドを見てみた。
 って・・・うわ、何この光景・・・。
 シンマのフィールドには二本の足だけで立つ顔つきの悪いゾウとジェット機のような機械に体を掴まれているフレム・ドラゴ、そして伏せカードがある。
 大門寺のフィールドには物凄く大きなお城みたいなものがある。
 そして何故かフィールド『だけ』に水が流れ込んでいる。


「ねぇ、マッツー。なんかすごいことになっていること以外、状況がさっぱりわかんないんだけど。」


「簡単に言うと今は後攻1ターン目。大門寺がアトランティスを発動して、優凪君のフィールドにはモンスター2体、装備状態のユニオンモンスター1体、伏せカードが1枚ってこと。」


「うーん。それじゃ分からないよ・・・。もっと詳しく・・・。」


「あーもー!これ以上詳しくも何もないでしょ!」

 う〜〜。そんなこと言われても・・・。


「ねぇ、マッツー。そういえば、大門寺のデッキって海デッキなの?」

 もぅ、わかんないから話題を変えてみた。


「うん。なんでも伝説のデュエリスト『梶木 漁太』さんと、現役のプロデュエリストで『海竜の歌姫』っていう二つ名を持つ『ネプト・セイルーン』さんに憧れてるんだって。あいつは漁師村出身だからねぇ。ところでアイナいつもの背後霊はいないの?」


「背後霊じゃなーーいっ!『精霊』だよっ!あたしのデッキのモンスター達だよっ!!!」

 全く、失礼なこと言わないでよ!
 あ、なんであたしだけじゃなくてマッツーにも精霊が見えるのかは、また今度話すね。





●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●





 と、まぁアイナ達が来たみたいだな。
 やかましいからすぐ分かる。



「ワシは手札からアトランティスの効果でレベル4となった『海竜‐デウカリオン』を召喚するぜよ!デウカリオンは召喚された場合、エンドフェイズまで元々の攻撃力が2800になるんじゃ!当然水属性じゃからアトランティスの効果も受け、その攻撃力は3000になるぜよ!!!」

 大門寺のフィールドに大型の海蛇が現れた。
 ただ、デカイだけじゃない。
 いわゆる『フクロウナギ』のように頭が体の1/3くらいの大きさで、小さな目が頭の先端にある。
 そして口は頭と殆んど同じくらいの大きさで関節は頭の付け根にある。歯は殆んど見えないくらい小さい。
 獲物を丸呑みにして食べる為だけのような口だな。
 海蛇はアトランティスの力を受けて力を増した。



【海竜‐デウカリオン】
 効果モンスター
 星5/水属性/海竜族/攻2300/守1100
 このカードが召喚に成功した時、
 エンドフェイズまで元々の攻撃力は「2800」となる。



【海竜‐デウカリオン】の攻撃力:2300→2800→3000



「うっひゃ・・・手札消費2枚からの攻撃力3000かよ・・・今まで『歯車街』と『古代の機械巨竜』コンボの特権かと思ってたけど洒落になんねぇ。」


 特殊召喚じゃない事とエンドフェイズまでってのが唯一の救い・・・だな。





「バトルじゃ!!!『海竜‐デウカリオン』で『魔轟神獣ガナシア』をこうg・・・。」


「おっと待った。メインフェイズ1終了時にトラップ発動『威嚇する咆哮』!このターン相手は攻撃できない。

 俺はすぐに伏せカードを表にする。
 流石に攻撃力3000はちょっとね・・・。



【威嚇する咆哮】
 通常罠
 このターン相手は攻撃宣言をする事ができない。



「なんの!ワシは手札から速攻魔法『サイクロン』を発動するぜよ!これで『威嚇する咆哮』を破壊じゃ!!!


 ・・・ん?何が狙いだ?『サモンチェーン』や『連鎖爆撃(チェーン・ストライク)』でも使うのか?



【サイクロン】
 速攻魔法
 フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。

【サモンチェーン】  速攻魔法  チェーン3以降に発動する事ができる。  このカードを発動したターン、自分は合計で3回の通常召喚を行う事ができる。  同一チェーン上に複数回同名カードの効果が発動されている場合、  このカードは発動できない。


【連鎖爆撃】
 速攻魔法
 このカードの発動時に積まれているチェーン数
 ×400ポイントダメージを相手ライフに与える。
 同一チェーン上に複数回同名カードの効果が発動されている場合、
 このカードは発動できない。



 小規模の竜巻が『威嚇する咆哮』を粉々に破壊した。が、大門寺がそれ以上の行動を起こす気配がない。


 結局、威嚇する咆哮の効果により、俺のモンスター達が一斉に咆哮を上げる(うち一体は機械だからノイズかな)。
 デウカリオンは怯み、攻撃を諦めて大門寺のフィールドに戻った。



「な、な、なんでじゃ!!?なんで攻撃をやめるんじゃ!!!???」

 大門寺がうろたえる。





  ・・・って、え!?

 いや、冗談だよな。だって基本的なことだもんな。
 あー、そうか、分かった!俺を油断させる作戦だよな?
 だって超超超基本的な事だもんなうん。


「シンマ!お前、なんか手札から発動するカードでも使ったのか!?いや、でもお前の手札減っておらんし・・・。」



 え!?
 なんの事!??
 いや、まーさか、そんなねぇ。流石にそんな程度の作戦には引っかかんねぇよ。


 ・・・。

 ・・・ ・・・。

 ・・・ ・・・ ・・・。

 ・・・一応、説明してみるか・・・ ・・・。

「お前・・・基本的にカードの効果はな・・・『永続効果』や『このカードがフィールドに存在する限り』とでも書かれてなきゃ『破壊』しても『無効』には出来ないぞ・・・。





 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・。







 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・。








 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・。










「あー、やっぱそんぐらい知ってるy・・・。」










「なんじゃってえぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇ
えぇぇえええぇぇぇぇぇええええぇぇぇええー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」











 叫びたいのは俺の方だぁーーー!!!!!!
 嘘だろ!!?嘘だよな!!!??
 あー、そうか!夢だよなこれ?

 自分の頬を思いっきり引っ張ってみた。
 痛い。つまり夢じゃないと・・・。

 ええぇぇ!?!?!?
 だってさ、だってさ。
 デュエルを始めたばっかりの奴や『俺ルール』とかやる奴でそういうミスをやらかした為にソリッド・ビジョンで混乱する奴は結構いたりするけどさ。
 『デュエルアカデミアに7年以上通っている奴』がそういう超基本的なルールを知らないってどういうことだよ!!!?

 観客からも強烈なブーイングが巻き起こる。



「当っったり前だろ!!!」



「ジョーシキでしょ!!!」



「じゃあなんで『やりくりターボ』や『チェーンバーン』ができるんだよ!!!」






●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●



 じゃ、じゃあ、このあたし、アイナ視点ね。
 な、なんか大門寺が基本的なミスをやっちゃったせいで大ブーイングが起きてるけど。
 えぇっと・・・そ、そんなに基本的な事だったの?
 マッツーも顔を真っ赤にして怒鳴ってるけど・・・。


「基本中の基本中の基本でしょ!!?今の今の今の今まで知らなかったの!!!?アイナだってこれくらい分かるよね?」


「え!?もも、も、もちろん!そ、そうだよね!ここここ、これくらい当然だよね!!!」

 ど、どどど、どーしよー!!!知らなかったーーー!!!Σ(゚Д゚;)・゚・。



「(・・・知らなかったようね・・・・・・。)」


 なんか・・・バレた気がする・・・。


 あわてて周囲を見渡してみた。
 よかったぁ!
 ほっ、とため息をついてる子も何人かいるよぉ・・・。
 ・・・殆んど・・・小等部の子ばっかりだけど・・・。




●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●






 ピンポンパンポーン。





 ん?呼び出し音・・・職員室からって電光掲示板に書かれてるな。


「えー、中等部2年B−1所属の『大門寺 港台(だいもんじ こうだい)君』。この後、14:00から『魔法・罠カードの基本』と『〈発動〉と〈無効〉の関係』の補習講座を急遽行ないます。必ず、14:00に第8講義室に来るように。また、心当たりのある者、そしてこの講座の復習を志願する者も、同じく14:00に第8講義室に来るように。以上。」



 あーらら。ご愁傷様・・・。
 つーか、『必ず』の他に『心当たりのある者』まで強調してたけど、アイナとかの事だな。
 ・・・が、まずアイナは行かないだろうな講義室・・・。



「ちっくしょー!!なんで夏休み早々補習なんじゃー!!!」

 大門寺が頭を抱えて、ある意味悲痛な叫び声を上げる。



「いや、デュエルアカデミアに7年以上通っていて、そんな初歩的なミスは補習で済むだけマシだと思え・・・。」


 下手すりゃ落第になるかもしれないミスだぞ・・・。


「しかもワシ、『サイクロン』とか『砂塵の大竜巻』とか魔法・罠カード破壊系はフル投入しちまったぜよー!!!」



 ま、まぁ、永続魔法・罠を軸にしているデッキには強いからいいんじゃない?



「と、とにかくまだワシのターンじゃ。ワシはカードを1枚・・・いや、2枚セットしてターンエンドじゃ。エンドフェイズに『海竜‐デウカリオン』の攻撃力は元に戻るぜよ・・・はぁ・・・。」



 大門寺はため息を吐きながらターンを終了させた。
 海蛇は深海から急に上がった反動がきたのか、少し元気が無くなったな。
 ・・・心なしか、大門寺の落ち込みぶりにシンクロしてる気がする・・・。
 さ、流石に考えすぎか・・・。



【海竜‐デウカリオン】の攻撃力:3000→2500



【シンマ】先攻
ライフ4000
モンスター【LS‐フレム・ドラゴ】(攻:2200)
【魔轟神獣ガナシア】(攻:1800)
魔法・罠ユニオン状態の【LS‐ターボ・フライト】
手札4枚
墓地3枚
除外無し
スピードカウンター
【大門寺】後攻
ライフ4000
モンスター【海竜‐デウカリオン】(攻:2500)
魔法・罠伏せカード2枚
手札2枚
墓地1枚
除外無し
フィールド【伝説の都 アトランティス】










  第六話  シンマVS大門寺 中編:海神のビッグウェーブ






「そんじゃぁ…俺のターンな。ドロー。」



 さて、大門寺の言葉が本当なら、十中八九伏せカードの内1枚は魔法・罠破壊カードだ。

 とすると『聖なるバリア―ミラーフォース―』のような発動タイミングが限定されるようなカードはダメだな。
 発動する前に割られる。

 それから、ターボ・フライトの効果を止めに行かないなら、ほぼ確実にエンドサイクを決めてくる…と。


「スタンバイフェイズに『LS(リンク・スピリット)‐ターボ・フライト』の効果発動!スタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。」

 さて、どう来るかな?


「な、なぁシンマ…。そいつは破壊すれば無効にできるんじゃろな?」

 あ、じゃあやっぱり最低1枚は伏せてあるな。


「まぁ、装備魔法系も破壊された時発動する効果とかがなきゃ基本的に無効に出来るぜ。もちろんターボ・フライトの効果もな。」


【LS‐ターボ・フライト】
 ユニオンモンスター
 星3/風属性/機械族/攻1300/守 500
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 フィールド上の「LS」と名のつくモンスター及び機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
 また、自分のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)




「ぐぅ。ここは…破壊するぜよ!罠カード発動『砂塵の大竜巻』!破壊対象は『LS‐ターボ・フライト』じゃ!」

 大門寺の発動した罠カードから砂埃(すなぼこり)を巻き上げながら竜巻が発生した。
 あーあ、ターボ・フライト、粉々にされちまったな…。


「そして、『砂塵の大竜巻』の第2の効果で手札のリバースカード1枚をセットするぜよ!!!」


【砂塵の大竜巻】
 通常罠
 相手フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。
 その後、自分の手札から魔法または罠カード1枚をセットする事ができる。


 ということは、あのカードは次のターンに発動できると都合の良い罠カードの確率が高いな。
 そして、今、俺の手札には 『見習い勇者‐アルト‐』も『勇者の紋章』も無い。
 『サイクロン』のような魔法・罠破壊手段すら無い。
 次のターンに大門寺がシンクロモンスターを出してきたらちょいヤバイな……。


「う〜ん。そんじゃ、手札から『LS‐スノウ・マジシャン』を守備表示で召喚だ。

 フィールドに白地に青い色の服を着た女の子の魔術師が現れた。
 髪飾りは雪の結晶のような形をしている。
 服装は、ぱっと見て『魔術師』と言うより日本の『巫女』に近い外見だな。
 フレム・ドラゴやフォレスト・ウルフと違って、コアは数珠に存在する。
 コアは青色で渦巻き状の杖の形のシルエットが内部に浮かんでいた。


【LS‐スノウ・マジシャン】
 効果モンスター
 星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、
 自分の墓地のユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外することで、
 1枚に付き200ポイントのダメージを相手に与える。
 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。



手札から速攻魔法『月の書』を発動。このカードの効果で『海竜‐デウカリオン』の裏側守備表示に変更。」



 書物に込められた月の魔力でデウカリオンのカードは裏側になる。
 カードが非公開情報になったので、デウカリオンのソリッドビジョンも消滅した。
 これでデウカリオンを倒す準備は整った!



【月の書】
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、裏側守備表示にする。



「いくぞ!『魔轟神獣ガナシア』で裏側守備表示の『海竜‐デウカリオン』を攻撃!

 ガナシアが裏側のカードに向かって突っ込んでいく。



 って、おい!今度は踏みつけていた使い魔を蹴っ飛ばしたぞ!
 あの使い魔も大変だな…。





「ぐおっ、そうはいかんぜよ!トラップ発動『炸裂装甲』!『魔轟神獣ガナシア』を破壊じゃ!


【炸裂装甲(リアクティブアーマー)】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 その攻撃モンスター1体を破壊する。


 ガナシアの目の前に薄いバリアが張られた。
 バリアはガナシアが触れた瞬間、爆発した。


ガナシアは自身の効果で特殊召喚された場合除外される。けど、もう伏せカードは存在しない!『LS‐フレム・ドラゴ』で裏側表示のデウカリオンに攻撃!





 ― 火龍斬(かりゅうざん)  ―





 ズガァ!



 今度の攻撃はクリーンヒットした。


「そして、メインフェイズ2にスノウ・マジシャンの効果発動!1ターンに1度、自分の墓地に存在するユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外し、除外した数×200ポイントのダメージを相手に与える!俺は墓地の『メタル化寄生生物‐ルナタイト』『エレメントの宝札』『威嚇する咆哮』『LS‐ターボライト』『月の書』を除外して、1000ポイントのダメージ!



 ― 祈氷雪弾(きひょうせつだん) ―






 スノウ・マジシャンが墓地に眠る魔力を巨大な雪球に変えて大門寺の顔面にぶつける。



 ボフッ!!!


「ぶへっ!?」


【大門寺】のライフ:4000→3000


「カードを2枚セットしてターンエンド。」





【シンマ】先攻
ライフ4000
モンスター【LS‐フレム・ドラゴ】(攻:1900)
【LS‐スノウ・マジシャン】(守:2000)
魔法・罠伏せカード2枚
手札1枚
墓地無し
除外6枚

【大門寺】後攻
ライフ3000
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
手札1枚
墓地4枚
フィールド【伝説の都 アトランティス】











「ぐ…こいつは本気でまずいぜよ…。ワシのターン!!!ドロー!!!!」

 大門寺が力強くドローする。
 こういう時に限ってデスティニードローが起こるんだよな。


 ドローカード:【深海のディーヴァ】


「(!…来たぜよ!!!)」



 大門寺が引いたカードをデュエル・ディスクに叩き付けるように置く。


「ワシはチューナーモンスター『深海のディーヴァ』を召喚するぜよ!『深海のディーヴァ』は召喚されたとき、デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを特殊召喚できるんじゃ!!!

 大門寺のフィールドにチョウチンアンコウのような触覚を持つ人魚が現れた。
 人魚が歌を歌いだすと海の底から一匹の海竜が出現した。



【深海のディーヴァ】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/水属性/海竜族/攻 200/守 400
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を
 特殊召喚する事ができる。



「ワシが『深海のディーヴァ』の効果で呼び出すのは『プチダロス』じゃ!シンクロ召喚じゃアトランティスはかえって足を引っ張るぜよ。」


 大門寺の言うとおり、レベルを下げる効果を持つ『伝説の都 アトランティス』はレベルを合わせる必要があるのシンクロ召喚の邪魔になってしまう。
 『プチダロス』も『海』をコストにする事で発揮する効果を持つからな。
 それで解除する気だろう。


【プチダロス】
 効果モンスター
 星3/水属性/海竜族/攻1200/守 800
 自分フィールド上に表側表示で存在する「海」を墓地へ送る事で、
 相手フィールド上のモンスターを1体破壊し、
 自分のデッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を手札に加える。



『プチダロス』の効果発動!『海』を墓地に送ることで相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、デッキから海竜族モンスターを手札に加えるぜよ!ワシはお前の『LS‐フレム・ドラゴ』を破壊じゃ!!!


 プチダロスの起こした波がフレム・ドラゴに襲い掛かる。


 俺はすぐさま伏せカードを1枚表にした。


フィールド上のフレム・ドラゴを手札に戻して速攻魔法発動『緊急脱出装置』!効果でデッキからカード1枚ドローを選択!

 カタパルトがフレム・ドラゴを俺の手札に帰還させる。
 今度は俺のデッキに小さな発射装置が現れてカードを1枚発射する。


【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。


「ぐっ!かわされちまったか…。じゃがデッキから海竜族モンスターは手札に加えられるぜよ!ワシはデッキから2枚目の『深海のディーヴァ』を手札に加えるぜよ!


 まずいな…。
 以降のターンにドローしたカードにアトランティスが含まれていれば最大2回は除去とシンクロ召喚が飛んでくる。
 流石にジリ貧になって負けるぞ…。


「そして、ワシのフィールドに海竜族のチューナーが存在するとき手札から『神海竜の使い』を特殊召喚するぜよ!!!


 今度は槍を持った人型の海蛇か…。


【神海竜の使い】
 効果モンスター
 星3/水属性/海竜族/攻 500/守1700
 自分フィールド上に海竜族モンスターのチューナーが存在するとき、
 このカードを手札・墓地から特殊召喚できる。
 メインフェイズにフィールド上のこのカードを墓地に送ることで、
 自分フィールド上の元々の種族が海竜族のモンスターはエンドフェイズまで
 相手の罠・効果モンスターの効果を受けない。
 この効果で墓地に送られたこのカードは
 エンドフェイズに墓地から自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果は相手のターンにも発動できる。



 ってやばい!名前の通り海竜族シンクロモンスターと相性抜群じゃねぇか!



レベル3の『プチダロス』にレベル2の『深海のディーヴァ』をチューニングじゃ!






「大いなる海に住まう竜の化身、ワシらの前に具現化せん!

 シンクロ召喚!!!

 押し流せ!!!【神海竜ギシルノドン】!!!!!









 フィールドの水が一点に集まっていく。
 水の塊は縦に細く伸び、中央の部分が胴体の大きさの割りに小さめの腕と足になる。
 さらに、コウモリのような翼が生え、先端部分は横に角が伸びた頭部に変化する。
 水は体が透明で神秘的なドラゴンの姿になった。




【神海竜ギシルノドン】
 シンクロ・効果モンスター
 星5/水属性/海竜族/攻2300/1800
 チューナー+チューナー以外のレベル3モンスター1体
 フィールド上に表側表示で存在する
 レベル3以下のモンスターが墓地へ送られた時、
 このカードの攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで3000になる。




「そして、ワシは永続罠カード発動!『スーパー・ビッグウェーブ!』!!!このカードは自分の海竜族モンスターに貫通能力と2回攻撃能力を与えるんじゃ!!!

 大門寺の発動したカードから凄まじい津波が巻き起こった。




 クゥオオオォォォ!!!!!!!



 ギシルノドンはその波を喜ぶかのように咆哮を上げた。



【スーパー・ビッグウェーブ!】
 永続罠
 自分フィールド上の海竜族モンスターは
 相手モンスターを攻撃したとき、もう一度続けて攻撃できる。
 また、守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。



「そして、『神海竜の使い』の効果発動じゃ!こいつを墓地に送ることでワシのフィールド上の海竜族モンスターはエンドフェイズまで相手の罠・効果モンスターの効果を受けないぜよ!さらにギシルノドンはレベル3以下のモンスターがフィールドから墓地に送られたときに攻撃力が3000になるぜよ!!!


 神海竜の使いが海の奥底に潜ってい行く。
 途端に海に神秘の力が満ち溢れ、ギシルノドンは呪術を遮るオーラを纏った。


【神海竜の使い】
 効果モンスター
 星3/水属性/海竜族/攻 500/守1700
 自分フィールド上に海竜族モンスターのチューナーが存在するとき、
 このカードを手札・墓地から特殊召喚できる。
 メインフェイズにフィールド上のこのカードを墓地に送ることで、
 自分フィールド上の元々の種族が海竜族のモンスターはエンドフェイズまで
 相手の罠・効果モンスターの効果を受けない。
 この効果で墓地に送られたこのカードは
 エンドフェイズに墓地から自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果は相手のターンにも発動できる。



「バトルじゃ!『神海竜ギシルノドン』で『LS‐スノウ・マジシャン』を攻撃!!!」






 ― ハイドロ・バースト ― 












 ゴオオォォォゥゥッッッ!!!!






 ギシルノドンの口から凄まじい勢いで水が吹きだされた。



「くっ、デッキの上からカードを3枚除外してトラップ発動『ディメンション・ゲットライド!』。除外されたユニオンモンスターを装備させる!この効果で装備されたモンスターはこのターンの間だけ戦闘で破壊されない!俺は『LS‐ターボ・フライト』をユニオンさせる!!!


 異次元からターボ・フライトが盾の形になりスノウ・マジシャンに装備される。
 次元の余波はこの2体を僅かな間だけ守るバリアになった。

 ふぅ、危ない。
 もし、伏せカードが攻撃妨害カードだったら確実に負けてたぞ…。



 除外されたカード: 【ブラック・ホール】 【冥府の使者ゴーズ】 【死者蘇生】




 …あるよね。こういうこと…。



【ディメンション・ゲットライド!】
 通常罠
 デッキの上からカードを3枚除外して発動する。
 除外された自分のユニオンモンスター1体を選択し、
 フィールド上に表側表示で存在する装備可能なモンスターに装備する。
 このターン、
 この効果でユニオンモンスターを装備したモンスターは戦闘で破壊されない。



【LS‐ターボ・フライト】
 ユニオンモンスター
 星3/風属性/機械族/攻1300/守 500
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 フィールド上の「LS」と名のつくモンスター及び機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
 また、自分のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)





【LS‐スノウ・マジシャン】の守備力:2000→2300



「じゃが、貫通ダメージは受けてもらうぜよ!!!」



 次元の余波で作られたバリアはスノウ・マジシャンを守ることが出来ても、俺まで守ることは出来なかった。
 勢いが殺されても尚、激しい水の大砲が直撃した。



「うぐっ!!!」



【シンマ】のライフ:4000→3300



「そして、『スーパー・ビッグウェーブ!』の効果によるギシルノドンの2回目の攻撃じゃ!!!










 ― ビッグウェーブ・ストライク ―












 ドッッパーーーーン!!!!







 津波の力による更なる一撃が襲い掛かってきた。


「うおぁっっ!!!」


 演出とはいえ衝撃が無茶苦茶大きい。
 もちろん、闇のゲームみたいに本当に『痛い』ってわけじゃないけど…今のは効いた…。


【シンマ】のライフ:3300→2600


「くっ!削りきれなかったぜよ。このままターンエンドじゃ・・・。エンドフェイズに『神海竜の使い』は復活するぜよ。」


【神海竜ギシルノドン】の攻撃力:3000→2300





【シンマ】先攻
ライフ2600
モンスター【LS‐スノウ・マジシャン】(守:2300)
魔法・罠ユニオン状態の【LS‐ターボ・フライト】
手札3枚
墓地2枚
除外8枚


【大門寺】後攻
ライフ3000
モンスター【神海竜ギシルノドン】(攻:2300)
【神海竜の使い】(守:1700)
魔法・罠【スーパー・ビッグウェーブ】
手札1枚
墓地7枚
















  第七話  シンマVS大門寺 後編:賢者の嘲笑




















 さ〜て、結構ヒヤヒヤしてきたな…。
 手札とライフに余裕があるケド、大門寺の『神海竜の使い』の効果は相手ターンにも使える。
 つまり、除外しない限り毎ターン『神海竜ギシルノドン』は攻撃力3000。
 そして海竜族全てが罠・モンスター効果の耐性が与えられる。
 『スーパー・ビッグウェーブ!』も強力だ。
 海竜族モンスター全てに相手モンスターへの2回攻撃効果、貫通効果を与える。


 『勇者の紋章』があれば早いんだけど…今、手札にない。







 一方でディジョンの召喚条件は満たせそうなんだよな…。
 手札とフィールドは…。



 手札:【LS−フレム・ドラゴ】(炎属性)  【LS‐スパーク・イーグル】(光属性)  【カインドネス・サンクチュアリ】

 フィールド:【LS‐スノウ・マジシャン】(水属性)  【LS‐ターボ・フライト】(風属性)〈ユニオン状態〉

 フレム・ドラゴの効果でユニオンモンスターを最低1体は展開できるから、後1体モンスターが必要だな。

 『緊急脱出装置』の効果でドローした『カインドネス・サンクチュアリ』で1ターンは凌ぐことが出来る。



 と、言うことは出てきてほしいモンスターは光と風以外のモンスター。もしくは除去効果を持った魔法カード。
 そして、それを引く確率を高めるドロー系カード。相手に影響しない防御系カード。
 45枚デッキだけど、そこまで確率は低くない。このドローに賭ける。



「俺のターン!ドロー!!!」



 ドローカード:【異世界からの訪問者】



【異世界からの訪問者】
 通常罠
 このカードの発動と効果は
 フィールド・墓地に存在するカードで無効にできない。
 以下の効果の内、1つを選択して発動する。
 ●???
 ●???
 ●???







 うわっ。最悪…。
 よりによってディジョンの専用召喚カードかよ…。今来るなよ…。


 で、でも、まだターボ・フライトの効果が残っている。


スタンバイフェイズにユニオン状態の『LS−ターボ・フライト』の効果発動。デッキからカードを1枚ドローできる!



【LS‐ターボ・フライト】
 ユニオンモンスター
 星3/風属性/機械族/攻1300/守 500
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 フィールド上の「LS」と名のつくモンスター及び機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
 また、自分のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)




 今度こそ。



 ドローカード:【バトルフェーダー】(闇属性)



 よし!来た!!!  大門寺の手札は『プチダロス』の効果で手札に加えた『深海のディーヴァ』のみ。



 念のため『DAT(ダット)』で大門寺の墓地のカードのリストを調べる。
 墓地にも『ネクロ・ガードナー』のようなカードは無い。
 よし、いける!!!



「俺は手札の『LS(リンク・スピリット)‐フレム・ドラゴ』の効果発動!自身の種族を『機械族』に変更。そして、攻撃表示で召喚!!!



【LS(リンク・スピリット)‐フレム・ドラゴ】
 効果モンスター
 星4/炎属性/ドラゴン族/攻1900/守 200
 このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、
 自分のデッキ・手札からこのカードに装備可能なユニオンモンスター1枚を
 このカードに装備できる。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。



 俺のフィールドにフレム・ドラゴが現れた。
 そして、フレム・ドラゴの胸部のコアに浮かぶ模様が『竜』から『歯車』に変化した。


フレム・ドラゴの効果。召喚に成功した時、デッキから装備可能なユニオンモンスターを装備する。俺は『マシンナーズ・ギアフレーム』を装備、そして装備を解除して特殊召喚!『LS−ターボ・フライト』の装備も解除だ!


【マシンナーズ・ギアフレーム】
 ユニオンモンスター
 星4/地属性/機械族/攻1800/守 0
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキから「マシンナーズ・ギアフレーム」以外の
 「マシンナーズ」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)





 これで、準備OK。
 だが、まだやることがある。
 このままじゃ、このターンに大門寺のライフを0にする事ができない。


『LS‐スノウ・マジシャン』の効果発動。自分の墓地のユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外し、相手に除外した数×200ポイントのダメージを与える。俺は『ディメンジョン・ゲットライド!』と『緊急脱出装置』を除外して400ポイントのダメージ。




【LS‐スノウ・マジシャン】
 効果モンスター
 星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、
 自分の墓地のユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外することで、
 1枚に付き200ポイントのダメージを相手に与える。
 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。






 スノウ・マジシャンが再び墓地の魔力を集めて雪玉を作り大門寺にぶつける。
 魔力が少ないせいか小さめだが、それでもダメージは通る。






 ― 祈氷雪弾(きひょうせつだん) ―






 バフッ!



「ぶふっ!?またか!!!」



 大門寺がリアクションをしている間に俺は融合召喚に必要な6枚のカードをデュエル・ディスクの除外ゾーンに差し込む。



「俺は手札の光属性『LS(リンク・スピリット)スパーク・イーグル』闇属性『バトルフェーダー』
 フィールドの炎属性『LS‐フレム・ドラゴ』水属性『LS‐スノウ・マジシャン』
         風属性『LS‐ターボ・フライト』地属性『マシンナーズ・ギアフレーム』

                       の6体をゲームから除外する!!!」



「な、それぞれ違う属性のモンスター6体除外じゃと!?ってことはまさか…!!?」



「そう、そのまさか!俺のエースモンスターを融合召喚する!!!










『12の次元を飛び越えし訪問者よ!…え〜っと面倒くさいから省略!

 融合召喚!!!

 こいつが俺の切り札。【ディメンショナル・ワイズマン】!!!』











 6枚のカードが大型の魔法陣を描く。
 描かれた魔法陣に一瞬、漆黒の影がみえた。

 直後に魔法陣を砕いて白銀の髪を持つ魔導師が現れた。
 手には今朝は持っていなかった太陽と月を模した黄金の装飾が施された杖が握られている。





「ククク…。」





 導師は密かに笑う。  その真紅の瞳は、目の前の神秘の竜を嘲笑うかのように睨みつけていた。



 何度も言うけど、これが俺の切り札『ディメンショナル・ワイズマン』。  通称『ディジョン』。







【ディメンショナル・ワイズマン】
 融合・効果モンスター
 星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2500
 「それぞれ違う属性のモンスター」×6
 上記のモンスターを自分の手札・フィールドから除外することで、
 エクストラデッキから融合召喚できる。
 (この場合「融合」のカードは必要とせず、
 「特殊召喚を無効にする」「特殊召喚できない」効果を無視する。)
 このカードの攻撃力・守備力は除外されたカードの数×200ポイントアップする。
 コのカー....................の力....奪......、...........da..............の...............si.....発...................。
 .........カー......................る........................時..
 オ.......i......................................ち...................ヲ..........................ル。
 (unknown text)









ディジョンの攻撃力・守備力は除外されたカードの数×200ポイントアップする。除外されたカードは16枚!よって攻撃力は5700!!!まぁ今、除外されているのは俺のカードだけだから、このままだと『紅蓮磨獣ダ・イーザ』の方が攻撃力で勝つけどな。」





【ディメンショナル・ワイズマン】の攻撃力:2500→5700





【紅蓮魔獣ダ・イーザ】
 効果モンスター
 星3/炎属性/悪魔族/攻 ?/守 ?
 このカードの攻撃力と守備力は、
 ゲームから除外されている自分のカードの数×400ポイントになる。

【紅蓮魔獣ダ・イーザ】の同条件時の攻撃力:6400





「だけど、この攻撃力なら大門寺のライフを0にするには十分だ!」




「おっと待つんじゃシンマ!ギシルノドンの攻撃力は神海竜の使いとのコンボで3000になるぜよ。超過ダメージは2700で、ワシのライフ3000には…。」


 大門寺が言いかけた所で「あっ!」と声を上げた。







●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●



 ディジョンを召喚する直前…。











「そして『LS‐スノウ・マジシャン』の効果発動。自分の墓地のユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外し、相手に除外した数×200ポイントのダメージを与える。俺は『ディメンジョン・ゲットライド!』と『緊急脱出装置』を除外して400ポイントのダメージ。」








●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●





【大門寺】のライフ:3000→2600





「そう、ディジョンを融合召喚する直前にスノウ・マジシャンの効果で400ポイントのダメージを与えている。つまり、お前のライフは残り2600!超過ダメージで吹き飛ばせる!」





「し、しまったぜよーーー!!!」

 気付いたときにはもう遅い。







 スチャ…。





 俺は左手をヘッドフォンに沿えて右腕を振り下ろす。




「バトルだ!『ディメンショナル・ワイズマン』で『神海竜ギシルノドン』に攻撃!!!」







 ディジョンの右手の平からギシルノドンと同じくらい巨大な黄金の魔法陣が出現する。









 ― ディメンション・ストリーム ―











  ズオオオォォォッッッ!!!









 魔法陣から時空の放流が放たれた。
 ギシルノドンは放流に押し流され、断末魔の叫び声を上げながら消えていった。




【大門寺】のライフ:2600→0






「よしっ完璧!俺の勝ちだな。」



「ぐおぉぉ…か、完敗ぜy…。」



「ククククク…アーーハッハッハッハッハッ!!!」





 大門寺がガックリとうなだれる所を、追い討ちと言わんばかりにディジョンが大声で笑う。
 しかも、他のソリッド・ビジョンが消えているのに、  こいつだけわざわざ実体化して…。
こいつ、鬼だ!!!





 『主人公のエースモンスターらしくない。』って?
 そんなの第三話で分かりきってるだろ…。






「ま、まぁ、ギシルノドンの攻撃の時、伏せカードが『次元幽閉』とかだったら俺のライフが0になっていたんだ。大健闘だったんじゃない?」

 俺に負けた上にモンスターに笑われる二段攻撃ですっかり元気をなくしてしまった大門寺に、一応手を差し伸べた。


「お、おう…つ、次は負けんぜよ…ガクッ。」


 うわっ。完全にディジョンの追い討ちが効いたな…。


 たしか、大門寺ってこの後14:00から補習…。
 いや、ただでさえ落ち込んでいるこいつに言うのは残酷すぎる。



「ぷくくくく…大門寺ぃ。たしかお前この後、補習やらされるんだってなぁ。ヘッ…ざまぁ!」



「グ…ハァ…。」



 ディジョンが更なる追い討ちをかける。
 こいつホントに鬼だ!悪魔だ!人でなしーーーーーっ!!!!!!


「と、とにかく!腹も減ったし食堂いこうぜ!」



 あわてて、大門寺の腕を引っ張りその場を離れる。

 これ以上追い討ちかけたらホントに傷つくぞ…。





























 PM12:45 デュエルアカデミア・ネオ童実野校・食堂















 …それじゃあ、あたしの視点ね。


 あたしの名前は『露月 藍奈(つゆづき あいな)』。『アイナ』って呼んでね。
 容姿は上々、人気も上々。

 どこかの(以下略。



 ちなみに身長は156cmで初代デュエルキング『武藤 遊戯』さんが高校1年生の頃の身長より3cmだけ高いの。


 …シンマは161cmだけど。



 あと、一応言っとくケド、まだ中学2年生だから「大きい」って訳じゃないけど



 決してツルペタじゃないよ。
       アレ?そうだっk…グハッ!ゴハッ!by某・伝説達


 ホントだよ。ホントだってば。(ゴゴゴゴゴ…。





 今、あたしはシンマとマッツーと大門寺の4人で食堂にきたの。
 席は空いているのに長蛇の列が出来るのは、受付が1〜3くらいしかない食堂ならではかも。



「食堂のおばちゃん。甘口のカレーください。」


「あら、藍奈ちゃん。やっぱり中辛は苦手かい?」

 食堂のおばちゃんが忙しそうにしながらも笑顔で聞いてきた。


「うん。どうしても…ね。」

 カレーは好きだけど中辛や辛口は苦手〜〜っ!


「あらら、そうかい。そんじゃ福神漬け大盛りにしとくね。」


「ありがとうおばちゃん。」

 気前がいいよね〜。しかも、殆んどの生徒の好きな食べ物を良く理解してるもの。



「そのかわり、しっかりニンジンを食べるんだよ。」


「ちょっと!あたしは別にニンジンは平気だってば〜〜〜っ!!!



 苦手なのは辛すぎる物と苦い物!!!





「おばちゃん!私は味噌チャーシュー麺大盛りね!」

 マッツーって結構大食いだよね…。

「おや、松葉ちゃん。そんじゃ野菜も大盛りにしとくね。それとしっかり運動しないとアタシみたいに太っちまうよ。」


「へーキ、ヘーキ!私は育ち盛りだもん!」

 うん、13〜14歳でたくさん運動してるのに太る子はいないでしょ♪




「そんじゃぁ、おばさん。俺は天ぷら蕎麦と緑茶をください。」


 シンマ、渋っ!  渋すぎでしょ…天ぷら蕎麦はともかく、昼食に緑茶って…。


「優凪ちゃんは相変わらず和食好きだねぇ。ヘルシーで健康に良からどんどん食べてね。」


「今時、珍しいってよく言われます。」



 そして…と、シンマの次に並んでいるのは…あーあ、まだ落ち込んでたんだ。



「それじゃぁワシは海鮮丼にするぜよ…。(ボソッ。」


 大門寺、暗い!暗いって!


「ほ〜ら、大門寺!補習くらいでそんなにしょげない。しっかり食べないと補習も頭に入んないよ。具もご飯も大盛りにしとくから、たくさん食べるんだよ!」



「おう、ありがたいぜよ…。(ボソッ。」








 く、暗い!暗すぎるっ!  そりゃまぁ、試合中初歩的なルールミスにより補習&シンマに逆転負け&ディジョンの追い討ちがあったけどさ。
 男の子ならもっとこう、「気にしないぜ!オレは常に前だけを見て、ひたすら突き進むっ!!!」的なやつ。
 『ポジティブシンキング』って言うの?そうゆう感じにならないのかなぁ?








「個人的に、(物理的にはもちろん精神的にも)後ろを振り向かないで前だけ見る奴なんて、
 フィクションの世界だけだと思うけどな。」






なあぁぁぁぁ(゚Д゚;)にぃぃぃぃぃ!!!!???

 だから、なんでわかったの!!??シンマは心を読めるの!???マインド・スキャン!!???
 シンマは両目とも普通の目だよね!!!????黄金の義眼じゃないよね!!!??




「アイナ、さっきからお前ボソボソと口に出してるぞ。



 うぐぐ…。そんなに独り言多いかなぁ?











「いただきまーす。」


 と、いうことで。(どういうことで?)  あたし達は同じテーブルに座って食べることにしたよ。


 うん。やっぱり、食堂の料理はおいしい♪







「キュゥ〜。」




「「「……!」」」




 あっ、デッキケースから1本の角と針の様な耳を持った栗鼠(リス)が出てきた。


 この子は『ラタトスク』。
 あたしの持っているただ一つのレベル11のモンスターなの。
 他のカードと違って、

 『スケッチブックにデッサンしたような肌色と黒だけのイラスト。』
 『レベルを現す星は赤地に黄色じゃなくて白地に黒の五芒星。』


 っていう、ちょっと不思議なカード。
 この子とっても可愛いから、いつもデッキに入れてるんだ。


 シンマは『お前じゃなくても事故る』とか『コスト以外に使い道無い』って言うけど、
 肝心なのは『カードの能力』じゃなくて『カードへの愛』!!!



 みんなは何故か『フレーバー・テキストの無い通常モンスター』って言ってるけど、
 この子は効果モンスターだよ。
 だってテキスト欄に金色の文字で効果が書いてあるもん





【RATATOSK‐ラタトスク‐】
 通常モンスター?
 星11(?)/無属性(記述無しの為。)/種族:記述無し/攻撃力:記述無し/守備力:記述無し
 フレーバーテキスト記述無し。
 このカードはデュエルモンスターのカード以外の干渉を一切受け付けない。(例:光の力・闇の力、等。)







「ラタトスクも食べる?」



「キュ〜♪」



「はい、どうぞ。」


 あたしはカレーを別のスプーンで少しすくってラタトスクにあげる。
 うん、おいしそうに食べてるね。



「それにしても、不思議な能力だよね…。アイナの周りにいる人みーんなに精霊が見えるようになるなんてさ。」


 マッツーがぼんやりとつぶやく。


 そう、あたしには精霊が見えるの。
 ただ精霊が見えるだけじゃなくて、あたしから一定の範囲内にいる人全員が見えるようになるんだ。



 どうしてこんな能力があるのか分かんないけど、折角あるんだからなんか他人助けに使えないかなぁ。



「以外と何かの呪いだったりして?」

 シ、シンマ…。  悪戯っぽく言ってるけど、もしホントにそうだったら本気でヘコむんだけど…。



「ワシも生まれて初めて見た時は幽霊かと思ったぜよ…。」

 あ、大門寺ようやく復活。


「ようやく、立ち直ったみたいだな。」


「いつまでもウジウジしてるからこっちが心配だったわよ。」

 うんうん。シンマとマッツーの言うとおり。


「当ったり前じゃ!あんぐらいの事でいつまでもウジウジしているワシじゃないぜよ!!!」


 うん。男の子はポジティブ、ポジティブ!










「ん〜?…な〜んだもう復活したのか。」

 って、うわぁ!またディジョンが出てきたよ!


「おっ!美味そうなもん食ってんじゃん。一口分けてくんねぇか?」



「「「「却下っ!」」」」



 あたし達四人は異口同音に答える。


 今朝、大福を盗み食いしたんだから今回はゼッッッタイにあげないよ!



「ちっ。ツマンネー奴等。」


 そう言ってディジョンはそのまま消えちゃった。























「もぐもぐ…ゴックン。そういえばさ、結局アイナのデッキテーマ全然決まらなかったな。」


 うぅっ。シンマが結構キツイ発言…。


「そ、そういうのは後にしよ…。」



デッキテーマっていえばさ、優凪くんって「LS(リンク・スピリット)」はいつから使い始めたの?アイナは知ってる?」


「え?いや、いつからだろ…。何度も何度もシンマとデュエルしてるから忘れちゃったよ。」


「ん? 「LS」は2年前までは「ユニオンモンスターだけ」だったんだけど、『WRGP』が終わる直前に、「種族・属性を変更できる。」っていう共通効果を持つ『6大リンク・スピリット』が販売されたんだ。だからその頃から本格的に使い始めたな。

 あ、思い出した!確かにその頃だった。

「ほーう。そんならその前はどんなデッキを使ってたんじゃ?」


 大門寺が大盛りの海鮮丼を食べながら聞いてきた。  …お行儀が悪いよ…。


「2年前までは、『次元シンクロVWXYZ』だったな。今はサブデッキだけどね。」



「あ、そうだシンマ!ネオ童実野校ではシンマ以外に「LS」使ってる人見ないけど、「LS」ってマイナーなの?」


「いや、それは無いだろ。偶然同じデッキを使っている人が周りにいないだけでそこそこメジャーなデッキだとは思うぞ。」


 へぇ、そうなんだ。




 あ、言っておくケド、「お話の都合です。」っていうリアル過ぎる答えは返ってこないからね。



























 ガヤガヤガヤ。




 どうしたんだろ?なんか食堂のモニターのリモコンを何人もの子が取り合ってるみたいだけど。










「このチャンネルで合ってるんだ!」



「だから違えよ!お前が言ってるのは昨日のもんだ!ほら、当たってる!」










「な、なんか騒がしいね。」

 あたしはとりあえず何でも知ってそうなシンマにたずねて見る。




「ん?この後、プロデュエリストのエキシビションマッチがあるんだ。リヒターさんの…ね。」


「あ、リヒターさんの試合なんだ!」




 リヒターさんはあたし達の知り合いのプロデュエリストで、すっごく強いんだ。


 どんな試合になるのか気になるなぁ。














  第八話  ATOMIC・LEVEL・DISTRACTION!!!



  以降からの主要登場人物


 リヒター・デア

年齢:18歳
性別:男
誕生日:8月9日 しし座
所属:プロデュエリスト。海馬コーポレーション専属ハッカー兼メカニック
使用デッキ:「エクス・マキナ&ギア・マシンガジェット」
好きな食べ物:ツヴィーベル・ズッペ。シュバイネハクセ(いずれもドイツ出身の料理)。
         手巻き寿司。
嫌いな食べ物:虫のつくだ煮。
●シンマ達と同じ三ヶ月町に住むドイツ人と日本人のハーフ(生まれは日本)。
●金髪と整った顔立ち、瞳孔が見えないくらい漆黒に染まった目が特徴。
●冷静で、あまり感情を表に出さない。
●機械・コンピュータのプロフェショナルで「モーメント」の知識・技術も豊富。
●圧倒的な実力の持ち主で、シンマやアイナはもちろん、並みのプロデュエリストをも瞬殺する。
●名前の由来は、「デア・リヒター」(ドイツ語で「裁判官」)。








「そういえばさ。アイナと優凪君ってリヒターさんと知り合いなの?」

 マッツーの疑問にシンマがすぐさま答える。

「知り合いも何も、あの人は三ケ月町(みかづきちょう)に住んでるんだ。近所付き合いってこと。」

「うわっ、そうだったんだ。」


 食堂が騒がしくなってきた。

「ん、そろそろ始まるみたいだな。」

「リヒターさんの相手ってどんな人だろう…。」




●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●





「さーて、いよいよプロデュエリスト・メカニック部門のエキシビションマッチの開始だ!」


 モニターに映る会場は超満員。
 みんな盛り上がっているね。



「挑戦者は『デュエル物理学の若き星』エディアス・トムソン!!!」



 挑戦者の方はなんかエラソーな態度で胡散臭い白衣を着ている人。髪もボサボサの茶髪。
 いかにも『変人科学者』って感じの格好。
 プロデュエリストでこういうタイプってロール(演技)の人と素の人がいるケド、この人は素かなぁ〜。




「そして迎え撃つは、幾つも存在するプロデュエリスト部門の内、
  機械族主体のデュエリストが集うこのメカニック部門。
  シンクロ召喚を使用できないアンシンクロ部門。
  そして、超高速で試合が終了するスピードデュエル部門。
          僅か18歳でこれらの部門を全て制覇した者。
                『機神の申し子』リヒター・デア!!!」





 対するリヒターさんは、金髪と整った顔立ち、そして漆黒に染まった瞳が特徴の人。
 クールで怖いように見えるけど、面倒見が良くて、格好良くて、とても良い人だよ。



「まさに若き天才対決。果たして如何なる試合が展開されるのか!!?」




「フフフ…リヒター・デアさーん。直接お目にかかるのはー、初ーめてーです。どーちらが最強のキカーイ使いか今っ!決めようーではあーりませんか!?ワータクシの華麗ーなるプレイングでー、あーなたに打ち勝って見せましょう!!!」

 うっわ、何この特徴てきる口調…。
 あの、エディアスって人、ホントに変人だよ。


「ほぅ、それは『リクルーターを召喚して防御カードを伏せて終了なんて戦術では古い』と解釈して良いか?」

 リヒターさんはこんな特徴てきる人相手でも殆んど無表情に話すけど、心の中ではどんな評価付けてんだろ?


「なーにを言う!そんな誰でもやるよーうな戦術はワタクシはもう飽ーきたのですっ!!!ワータクシの新た〜なる戦〜術を、と〜くとご覧にあれ!!!」




「先攻は挑戦者のエディアスからだ!さぁ試合開始だ!!!」




「「デュエル!!!」」



「ワータクシのターン!ドッロー!!!」

 う、動きまで特徴てきる…。
 具体的に言うとデュエル・ディスクを縦にして、上方向に引き抜くようなドローの仕方…。
 ドローしたカードとか手札とか見えちゃうって!!!

「ワータクシは〜手札のチューナーモンスター『ジェネクス・コントローラー』を見せーることでー『ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク』を攻撃表示で、特・殊・召・喚!!!


 エディアスさんのフィールドに杖を持ったサイボーグの魔術師が召喚された。
 なんか持ち主と違って厳格な表情だけど、あの精霊は特徴てきる持ち主の事どー思ってるんだろ?
 えーっと、ステータスは…。


【ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク】
 効果モンスター
 星8/光属性/機械族/攻2600/守2400
 このカードは自分の手札のチューナーを相手に見せることで
 手札から特殊召喚できる。
 このカードは融合素材・シンクロ素材として使用できない。
 1ターンに1度、
 自分の手札から「ジェネクス」と名のつくチューナー1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターは、
 「ジェネクス」と名の付くシンクロモンスターしかシンクロ召喚できない。
 自分フィールド上にこのカード以外の機械族モンスターが存在する限り、
 このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果・攻撃の対象にされない。



 え!!?えええぇぇぇぇ!!!!??レベル8!!!!!???
 召喚条件簡単過ぎでしょ!!!



「エディアスは早速、自身のデッキのキーカード『ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク』を召喚したぞ!このカードは1ターンに1度、手札の『ジェネクス』チューナーを特殊召喚できる。まさに発明王『メンロパークの魔術師』が機械の体を得ての復活だ!」




ウィザード・メンロパークの効果〜発・動!ワータクシは『ジェネクス・コントローラー』を特・殊・召・喚!!!

 あ、ちっちゃいロボットが出てきた。かわいい〜。


【ジェネクス・コントローラー】
 チューナー・通常モンスター
 星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
 仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。
 様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。


ウィザード・メンロパークは〜シンクロ・融合の素材には使用できないデメーリットがありまーす。しか〜し、ワタクシはマーダ通常召喚を行なっていません!ワータクシは『レアル・ジェネクス・ターボ』を召・喚!

 今度はトラ○スフォーマーみたいな人型ロボットが登場。


【レアル・ジェネクス・ターボ】
 効果モンスター
 星4/風属性/機械族/攻1500/守1300
 このカードが召喚に成功した時、自分のデッキからレベル1の
 「ジェネクス」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。



『レアル・ジェネクス・ターボ』の召喚に成功した時、デッキから〜、レベル1のジェネクスを手札に、加える。ワータクシが手札に加えるのは『レアル・ジェネクス・オラル』!!!そして〜、『レアル・ジェネクス・オラル』はデッキから手札に加わった時、特殊召喚できます。

 …なんで「オラクル」の部分だけネイティブ風な発音なの。

 今度出てきたのは機械の箱?
 あ、よく見たらこれまたちっちゃなロボが一生懸命背負ってるんだ!この子もかわいい〜。


【レアル・ジェネクス・オラクル】
 チューナー・効果モンスター
 星1/闇属性/魔法使い族/攻 300/守 300
 このカードが「ジェネクス」と名のついたモンスターの効果によって
 自分のデッキから手札に加わった場合、
 このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
 このカードをシンクロ素材とする場合、
 「ジェネクス」と名のついたモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。



レベル4の『レアル・ジェネクス・ターボ』に〜レベル3の『ジェネクス・コントローラー』を〜チューニングッ!



『風の元素よ!今こそ、機界の同志に宿らん!

 シンクロ召喚!!!

 発・明!【ウィンドファーム・ジェネクス】!!!』



【ウィンド・ファーム・ジェネクス】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/風属性/機械族/攻2000/守1600
 「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の風属性モンスター1体以上
 このカードの攻撃力はフィールド上にセットされた
 魔法・罠カードの数×300ポイントアップする。
 手札を1枚墓地に送る事で、フィールド上にセットされた
 魔法・罠カード1枚を破壊する。



そしてっ!レベル7の『ウィンド・ファーム・ジェネクス』に〜レベル1の『レアル・ジェネクス・オラル』を〜チューニングッ!!!




『大いなる大気の神秘、科学の体を得て空を翔けよ!

 シンクロ召喚!!!

 大・発・明!【レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト】!!!』





【レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト】
 シンクロ・効果モンスター
 星8/風属性/機械族/攻2400/守1000
 「ジェネクス」と名のついたチューナー+チューナー以外の風属性モンスター1体以上
 相手はこのカードを攻撃対象に選択する事はできない。
 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
 自分のデッキから「ジェネクス」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。





 エディアスさんが連続シンクロで召喚したのは緑色が基調で星型の戦闘機のようなロケットのようなモンスター。

 小等部の男の子達から「カッコイイ!!!」って声が聞こえてきた。
 うん。いかにも男の子が好きそうな姿のモンスターだもんね。


「さ〜らに!『ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク』を手札に戻して〜、手札から速攻魔法『緊急脱出装置』発・動!ワータクシは『緊急脱出装置』の効果で『ジェネクス・ウンディーネ』を通・常・召・喚!!!

 うわ〜。今度は宇宙人みたいなモンスターだ。
 ジェネクスってホントに沢山の姿を持つモンスターが多いね。

 あと、作者って『緊急脱出装置』ってオリカをよく使うよね。


【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。


【ジェネクス・ウンディーネ】
 効果モンスター
 星3/水属性/水族/攻1200/守 600
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキに存在する水属性モンスター1体を墓地に送る事で、
 自分のデッキから「ジェネクス・コントローラー」1体を手札に加える。



『ジェネクス・ウンディーネ』の〜効果・発動!召〜喚に成功した時、デッキから『黄泉ガエル』を墓地に送り〜、デッキから2体目の『ジェネクス・コントローラー』を手札に〜加えます!そしてっ、手札のチューナーモンスター『ジェネクス・コントローラー』を〜相手に見せて、手札の『ザ・ウィザード・オブ・メンロパーク』を〜再び・特・殊・召・喚!さらにさらに〜、『ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク』の効果によりっ!手札の2体目のジェネクスコントローラーを特殊召喚しま〜〜す!


【ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク】
 効果モンスター
 星8/光属性/機械族/攻2600/守2400
 このカードは自分の手札のチューナーを相手に見せることで
 手札から特殊召喚できる。
 このカードは融合素材・シンクロ素材として使用できない。
 1ターンに1度、
 自分の手札から「ジェネクス」と名のつくチューナー1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターは、
 「ジェネクス」と名の付くシンクロモンスターしかシンクロ召喚できない。
 自分フィールド上にこのカード以外の機械族モンスターが存在する限り、
 このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果・攻撃の対象にされない。



レベル3『ジェネクス・ウンディーネ』にレベル3の『ジェネクス・コントローラー』を〜…チューニングッ!!!


『水の元素よ!今こそ機界の同志に宿らん!!

 シンクロ召喚!!!

 発・明!【ハイドロ・ジェネクス】!!!!』


 エディアスさんが2体目のジェネクス・シンクロを召喚した。
 そのモンスターの容姿は『ジェネクス・ウンディーネ』が銃のような武器を持ったモンスター。

 「ジェネクスは基本的に流れが遅めのデッキ」ってシンマから聞いたけど、
 こんなに沢山のシンクロ召喚を1ターンで決めるあたり、流石プロデュエリスト。


【ハイドロ・ジェネクス】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/水属性/機械族/攻2300/守1800
 「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の水属性モンスター1体以上
 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
 破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。



「エディアスの場に三体の上級クラスモンスターが並んだぞ!さらに、ヴィンディカイトとウィザード・メンロパークには攻撃対象にならない効果を持っている!!!戦闘破壊を得意とするリヒターには少々手痛い一撃か!!!?」


「ワータクシはさらに〜永続魔法『ジェネクス・ユニティ』を発・動します!ワータクシのフィールドにジェネクスが2体以上存在するとき〜、ワタクシのジェネクスは〜攻撃力が800ポイントアップし〜の、対象を取らない相手のカードの効果を受けませ〜ん。そして、『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』のよ〜うなモンスターに吸収されもしま・せん。ターーーーーン…エンド!」


 えええぇぇぇぇ!!!??さ、さらに鉄壁の布陣になるってこと!!!!!???


【ジェネクス・ユニティ】
 永続魔法
 自分フィールド上に「ジェネクス」と名の付いたモンスターが
 2体以上表側表示で存在する場合、
 自分フィールド上の「ジェネクス」と名の付いたモンスターは
 攻撃力が800ポイントアップし、
 対象を取らない相手のカードの効果を受けない。
 元々の持ち主が自分の「ジェネクス」と名のつくモンスターは
 相手モンスターの通常召喚・特殊召喚には使用できない。




 【ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク】攻撃力:2600→3400

 【レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト】攻撃力:2400→3200

 【ハイドロ・ジェネクス】攻撃力:2300→3100



「先攻1ターン目から凄まじい展開だ!対するリヒターはどう出る!!!?」



【リヒター】後攻
ライフ4000
モンスター無し
魔法・罠無し
手札5枚
墓地無し
【エディアス】先攻
ライフ4000
モンスター【ジェネクス・ウィザード・オブ・メンロパーク】(攻:3400)
【レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト】(攻:3200)
【ハイドロ・ジェネクス】(攻:3100)
魔法・罠【ジェネクス・ユニティ】
手札無し
墓地8枚




「俺のターン、ドロー。」

 リヒターさんはこの状況でも冷静にカードをドローした。



 ドローカード:【エネミーコントローラー】



(…試合終了の合図だな。)俺は『グリーン・ガジェット』を召喚。

 リヒターさんのフィールドに緑色の歯車のようなロボットが出てきた。

【グリーン・ガジェット】
 効果モンスター
 星4/地属性/機械族/攻1400/守 600
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 デッキから「レッド・ガジェット」1体を手札に加えることが出来る。


『グリーン・ガジェット』の効果発動。チェーンして速攻魔法『エネミーコントローラー』発動だ。そして、チェーン3に速攻魔法『サモンチェーン』を発動する。

 リヒターさんが一気に3枚ものカードを使った!
 あ…あたしの理解力じゃ追いつかない…。

「逆処理だ。『サモンチェーン』の効果によりこのターン俺は3回通常召喚が行なえる『エネミーコントローラー』の第一の効果により『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』を守備表示に変更そして、『グリーン・ガジェット』の効果によりデッキから『レッド・ガジェット』を手札に加える


【エネミーコントローラー】
 速攻魔法
 次の効果から1つを選択して発動する。
 ●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の表示形式を変更する。
 ●自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。
 このターンのエンドフェイズ時まで、相手フィールド上に表側表示で存在する
 モンスター1体のコントロールを得る。

【サモンチェーン】
 速攻魔法
 チェーン3以降に発動する事ができる。
 このカードを発動したターン、自分は合計で3回の通常召喚を行う事ができる。
 同一チェーン上に複数回同名カードの効果が発動されている場合、
 このカードは発動できない。


手札から『レッド・ガジェット』を召喚。効果によりデッキから『イエロー・ガジェット』を手札に加える

【レッド・ガジェット】
 効果モンスター
 星4/地属性/機械族/攻1300/守1500
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 デッキから「イエロー・ガジェット」1体を手札に加える事ができる。

【イエロー・ガジェット】
 効果モンスター
 星4/地属性/機械族/攻1200/守1200
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 デッキから「グリーン・ガジェット」1体を手札に加える事ができる。


「そして、このモンスターは自分の手札・フィールドの機械族モンスターを2体以上リリースしてアドバンス召喚できる。フィールドの『グリーン・ガジェット』『レッド・ガジェット』手札の『イエロー・ガジェット』『古代の機械巨竜』をリリースする。





『アドバンス召喚。

 誤りし務めは戦の興し。真なる使命は戦の終幕。

 荒ぶる神霊よ、内なる力を解き放ち、その存在を此処に示せ。

 【マルス・エクス・マキナ】。

 戦神の鼓動、制裁を与えよ。此の惨き戦場に。』









 ヴオオオォォォォッッッ!!!!






 うわぁぁぁぁっっ!!!  リヒターさんのフィールドに大きな機械族モンスターが物凄い咆哮を上げて出てきた!!!!

 身長は8メートルをゆうに超えている。  頭部の装甲はトラの頭のような兜になっていて、体の装甲はまるで動物の毛皮のようにしなやかに曲がる。
 頭の2倍の大きさはある両腕にはブースターのような機関が付いていた。
 足も大きくて、あの重そうな体を支えるには十分な大きさだよ。
 エディアスさんのモンスターなんか一撃で踏み潰しちゃいそう。


【マルス・エクス・マキナ】
 効果モンスター
 星9/地属性/機械族/攻3500/守2800
 このカードは「エクス・マキナ」と名の付かないモンスターの
 通常召喚・特殊召喚には使用できない。
 このカードは自分の手札・フィールドの機械族モンスターを
 2体以上リリースしてアドバンス召喚できる。
 このカードはこのカードの召喚・特殊召喚に使用された機械族モンスターの効果を得る。
 ???
 ???



「リヒターも切り札『機械仕掛けの神々オリュンポス・エクス・マキナ』の内1体、
 戦神【マルス・エクス・マキナ】を召喚した!!!
  このまま一気に決着を付けるのか!!!!??」




『エクス・マキナ』達は召喚・特殊召喚に使用された機械族モンスターの効果を得る永続効果を持っている。召喚に使用された『グリーン・ガジェット』『レッド・ガジェット』『イエロー・ガジェット』の効果発動。デッキからそれぞれ『レッド・ガジェット』『イエロー・ガジェット』『グリーン・ガジェット』を手札に加える。

「なっ、召喚に使用されたディスアドバンテージをほぼ完全に回復するですと!!!??」

【リヒター】の手札:1→4

「そして『古代の機械巨竜』の効果をコピーした事によって自身の攻撃宣言時からダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠が発動できない。さらに『マルス・エクス・マキナ』自身特有の効果によって全ての効果に関係なく相手モンスターに攻撃宣言できる。『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』も当然攻撃対象に選択可能。


古代の機械巨竜アンティーク・ギアガジェルドラゴン
 効果モンスター
 星8/地属性/機械族/攻3000/守2000
 このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
 ???

【マルス・エクス・マキナ】
 効果モンスター
 星9/地属性/機械族/攻3500/守2800
 このカードは「エクス・マキナ」と名の付かないモンスターの
 通常召喚・特殊召喚には使用できない。
 このカードは自分の手札・フィールドの機械族モンスターを
 2体以上リリースしてアドバンス召喚できる。
 このカードはこのカードの召喚・特殊召喚に使用された機械族モンスターの効果を得る。
 このカードは全ての効果に関係なく相手モンスターに攻撃宣言できる。

 ???



「バトルだ!『マルス・エクス・マキナ』で『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』を攻撃。」



 バキバキバキッ!!!…ズガッ!!!



 こ、攻撃方法が凄い!!!
 リヒターさんのモンスターはヴィンディカイトの装甲を引き剥がして動力源に思いっきりパンチした!!!!!

「くっっ!!で、ですがヴィンディカイトはあなたの『エネミーコントローラー』の効果で守備表示、戦闘ダメージは…。」

「忘れてないか?『古代の機械巨竜』の第2の効果を。『マルス・エクス・マキナ』はアドバンス召喚されたんだぞ。」


古代の機械巨竜アンティーク・ギアガジェルドラゴン
 効果モンスター
 星8/地属性/機械族/攻3000/守2000
 このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
 以下のモンスターをリリースしてアドバンス召喚した場合、
 このカードはそれぞれの効果を得る。
 ●グリーン・ガジェット:このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 ●レッド・ガジェット:相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、
 相手ライフに400ポイントダメージを与える。
 ●イエロー・ガジェット:戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
 相手ライフに600ポイントダメージを与える。




「ま、まさかっ!!!そんな効果までコピーしているのか!!!??」

「それを狙わなかったら、わざわざガジェットを3体もリリースしない、『エネミーコントローラー』は第1の効果で守備表示にせず、第2の効果でコントロールを奪っていた。『古代の機械巨竜』もリリースしたりなんかしないさ。『グリーン・ガジェット』をリリースした時の効果、守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える。



 ― グリーン・ギア・ピアース ―



「ぐあっっ!!!」


【エディアス】のライフ:4000→1500


「そして『レッド・ガジェット』『イエロー・ガジェット』をリリースした時の効果、『相手に戦闘ダメージを与えた時、400ポイントの追加ダメージを与える』。さらに、『相手モンスターを戦闘破壊した場合、600ポイントダメージを与える』。



 ― レッド・ギア・ボム ―


 ― イエロー・ギア・カノン ―



「ぐうっ!!うわっ!!!」


【エディアス】のライフ:1500→1100→500


「これで最後だ。『マルス・エクス・マキナ』第2の効果。このカードは全ての相手モンスターに1回ずつ攻撃できる。『マルス・エクス・マキナ』で『ハイドロ・ジェネクス』を攻撃。戦闘破壊すれば、コピーした『古代の機械巨竜』の追加ダメージ効果で試合終了だ。



【マルス・エクス・マキナ】
 効果モンスター
 星9/地属性/機械族/攻3500/守2800
 このカードは「エクス・マキナ」と名の付かないモンスターの
 通常召喚・特殊召喚には使用できない。
 このカードは自分の手札・フィールドの機械族モンスターを
 2体以上リリースしてアドバンス召喚できる。
 このカードはこのカードの召喚・特殊召喚に使用された機械族モンスターの効果を得る。
 このカードは全ての効果に関係なく相手モンスターを攻撃対象にできる。
 機械族モンスターのみを使用して召喚・特殊召喚されたこのカードは
 相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。





 ガコン…。




 リヒターさんのモンスターの大きな右手の平に大砲のような穴が開いた。
 それとブースターも展開したよ。

 あ、そのままハイドロ・ジェネクスに向かって走り出した!!!









 ― アトミック・レベル・デストラクション ―
















   … … … …ドクン。








  なんだろう。









  リヒターさんのモンスターが走り出してから。








   … … … … … …ドクン。








  モニターに映る会場が。











  ううん。モニターに映る会場だけじゃなくて、あたし達が、食堂全体がスローモーションに見える。
















   … … … … … … …ドクン。






































  ドゴオオオオォォォッッッ!!!!














 うううぅぅぅわあぁぁぁぁぁっっっ!!!!!

 リヒターさんのモンスターがハイドロ・ジェネクスに右手の平を叩き付ける!!!
 と同時に手の平の穴から強力なエネルギー砲を発射!!!!!




 ハイドロ・ジェネクスが…文字どうり「跡形も無く」消し飛んだ…。



「ぐわぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」



【エディアス】のライフ:500→100→0

 て…、鉄壁の100ラインを潰した〜〜っ!

「強い!強すぎる!!流石は機神の申し子!プロデュエリスト同士の対決で鮮やかに後攻1ターンキルだ!!!勝者はリヒター・デア!!!!」




 ワアアァァァァァ!!!!



 会場は歓声に包まれた。








「さ、流石です…。ここまで華麗に1ターンキルを決められるとかえって清々しいです。」


「ありがとう。正直、カードパワーに物を言わせただけにも見えるがな。」


「そんな事ありません!
 ヴィンディカイトを守備表示にする為の『エネミーコントローラー』
 貫通とダメージ効果を与える為の『古代の機械巨竜』
 そしてその条件に必要な3色のガジェット、
 ガジェットを手札とフィールドに揃える為の『サモンチェーン』
 最後に連続攻撃と『古代の機械巨竜』の第2の効果を全て適用する為の『マルス・エクス・マキナ』
  どれか1つでも抜けていれば成し得ません。」



「そうか。…それと良いのか?演技ロール、忘れてるぞ。」




「…コホン。や〜れやれ、さ〜すがですね〜、リヒター・デアさん。しか〜〜しっ!『World Championship』では〜、今度こそワータクシが華麗〜〜に勝たせて貰います、よ!!!」





「フッ、何度だって返り討ちにしてやるさ。」







●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●     ●








「… …。やっぱり強いね。リヒターさんは。」

 たくさんの生徒が食堂で試合を見ながら大騒ぎしている中、あたしは唖然としていた。

「だな…。俺も一度だってあの人に勝ったことが無いからな…。」

 シンマでも勝てないんだ…。  やっぱり、リヒターさんは凄いよ…。



















  第九話  『一撃』の怪物(モンスター)達








 PM14:20 ネオ童実野シティ 街中







 今回のお話は、この俺、『シンマ』がナレーションするぞ。

 フルネームは『優凪 信間(ゆうなぎ しんま)』。
 容姿は…っと行きたい所なんだが、今回は内容的にちょっと場違いだから省略な。


 今、俺とアイナはデュエルアカデミアから帰るとこなんだけど、
 さっきから話題は『致命的過ぎるアイナのデッキをどうするか。』ってのになってるんだ。

 これがまたメンドイ注文でな。
 『可愛い系モンスター』がアイナは大好きなんだけどさ、
 『可愛い系モンスター』って大抵コントロール向きだろ?
 アイナはそういうコントロールやパーミッションがとにかく苦手なんだ。

 それ以前にアイナにとってロックやパーミッションとかのイメージは
 『ネチネチネチネチ人の邪魔ばっかりして、いつ不利な状況に陥るか怯えるような戦術』っていう
 ビックリするほど悪いイメージなんだよな…。
 もう、得意・不得意以前に戦術そのものを根本的に嫌っているって感じ。


 だから、多くのテーマデッキから探ってるんだが、どーも決まんなくてさ。
 沢山浮かびはしたんだけど、

 1:「シンクロン」
     「主力になるシンクロモンスター・上級モンスターが格好良いけど可愛くない。」との事。

 2:「LS(リンク・スピリット)」
     同上。

 3:「ジェネクス」
     同上。

 4:「雲魔物」
     イラストに関しては文句なし。…が、戦術はアイナにとって相性最悪。

 5:「ナチュル」
     今のところ最有力候補。しかし、このレベルでもアイナにとっては難しいらしい。
     主力の『ナチュル・ビースト』、『ナチュル・パルキオン』の容姿は
     「融合形態の『エクストリオ』に免じてギリギリセーフ。」だとさ。

 6:「一部の機械族」や「ドラゴン族」、「一部の天使族」など上級モンスター多用型。
     事故率が高いケド、アイナの戦術との相性は良い。
     が、「見た目的な面でOUT。」らしい。

 7:2次創作でヒロインキャラの使用率が高い「パーミッション」
     論外。


 と、まぁこんな感じでしばらくの間は『ナチュル』にするって事に決定。…で、良いのか?

「とりあえず、決まったと言えば決まったな。」


「うん。それじゃ、早速カードショップに行こう!」

 そうだな。
 俺も新しいカードパックが欲しいから、さっさと行くか。





















 …と、思った矢先に俺はある意味恐ろしいものを見てしまった。







「あのさ…、あの長蛇の列はもしかしてカードショップに並んでいるんじゃねぇの?」

 俺は「わー!わー!ぎゃー!ぎゃー!」と、ごった返しの行列を指差した。

「え?まっさかぁ!幾らなんでもそんな事…が…ある…ね。あの列、明らかにカードショップに続いてるよ…。」

 アイナは呆然とした。
 俺も予想くらいはしていたけど、まさか約100メートル以上もの行列になってるとは…。

「これじゃ、『ナチュル』が入ったパックも売り切れになってるかもな…。」

「ええぇぇぇーーーーっ!!!!そんなぁ…。」

「まぁ…なんていうか、『デュエル・アカデミアに在学する全生徒に世界大会への出場権利が与えられる。』って発表したばっかりだしな…。仕方ねぇよ。普段なら在庫が大量に余るアカデミアの購買部もカードは見事に売り切れ。となれば次はネオ童実野シティのカードショップだからな。」

「がーん。どうしよう…。」

 アイナはガックリとうな垂れた。

「安心…は出来ないかもしれないケド、俺達はそれでも他人より有利な条件が1つだけあるな。」

「え!?なになに!!??」

「俺達の住んでいる町はネオ童実野シティじゃなくて何町だっけ?」

「え、それは三ヶ月町みかづきちょう…あっ!」

 アイナも気が付いたみたいだな。

「そう、俺達は田舎からネオ童実野シティのデュエルアカデミアに通ってるんだ。田舎っていっても三ヶ月町は大きいけど、それでもネオ童実野シティのようにカードショップに集るたかる人は確実に少ない。最新カードは少ないかもしれないケド、必ずカードパックの残りはあると思うぜ。」

「よーし!それじゃ、さっさと帰り…あっ、ちょっと待って。」

 ん、どうした?


 アイナが突然駆け足になる。
 向かった先には…、泣いている女の子がいた。
 ランドセルにアカデミアの校章が付いているから、小等部の子か。

「ねぇ君。どうしたの?」


「うっぐ、ひっぐ…。」

 その子を泣き止ませるのに少し時間が掛かった。

 そして6分後、ようやく事情を聞くことができた。







 この子には高等部1年生のお兄さんがいるらしい。

 その兄と一昨日、アカデミアの帰り道で見知らぬ男の人に無理やりデュエルを申し込まれた。
 この子も兄に協力したんだってさ。



 が、2対1でハンデ無しにも関わらず、状況はほぼ男のワンサイドゲーム。


 この子から聞いたモンスターの特徴から男は、
 『タイラント・ドラゴン』『ストロング・ウィング・ドラゴン』『バイス・ドラゴン』
 『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』『ミンゲイドラゴン』『仮面竜』等、
 有名なドラゴン族モンスターを多用していた。


 女の子の方は殆んど相手にされず、この子のお兄さんはフィールドをズタズタにされた。
 そして、男の人はそのまま展開したドラゴン族モンスター達で直接攻撃すれば良いにも関わらず、『金色の竜』をアドバンス召喚し、そのモンスターでこの子のお兄さんにダイレクトアタックでとどめを刺した。



 そして、俺達は次の言葉に耳を疑った。

 『金色の竜』が直接攻撃した直後、この子のライフポイントまで0になったと言う。
 女の子に『攻撃宣言していない』にも関わらず。







「ねぇ、ホントーにその人が攻撃宣言してないのにライフが0になったの?」

「うっ…うっ、…うん。あの金色の竜が…お兄ちゃんにダイレクトアタックし…た後、わたしのライ…フポイントも無くなっ…ちゃったの…。」

 嫌な事を再び思い出したせいか、女の子はまた泣きそうになった。

「んで、その後はどうなったんだ?」

 たぶん、一番思い出したくない事なんだろうケド、一応聞いてみた。

「ひっく…ひぐ…うぅっ…。そのあ…と、そのあとね、お兄ちゃんの大切にしていたカードを取られちゃったの…。ホント…に、ホントに大切にしていたモンスターなの…。うぅ…。」

「ねぇ君、君と君のお兄さんはセキュリティの人達にその事を伝えたの?」

 今度はアイナが質問した。

 今、この子が言った事が本当なら、これは強制的にアンティールールを適用したことになる。
 セキュリティの人達だって捜索してくれるかもしれない。…信じてくれたらの話だが。

「ぐすっ…、うん。でも…お巡り…さん達も、パパ…もママも信じ…てくれな…かったの…。」

 だと思った。
 小学5年生くらいの子の証言は大人達は耳も貸さないだろうからな。

「わた…しのお兄ちゃ…ん、あれから…すっかり落ち…込んじゃって。わたし…一生…懸命…探したけど…ぐすっ、見つからなくて…。」

「う〜っ!セキュリティは何やってるの。わかった、あたしも一緒に犯人を追い詰めてその盗られたカードを取り返すよ!」

「え?『達』って事は誰とだよ?」

「シンマに決まってるでしょ!こんな小さな女の子を泣かす大人なんて最ッ低ーな奴!とっ捕まえようと思わないの!」

 あーあ、またメンドーな事になったな〜こりゃ。

「ねぇ、君。名前、なんていうの?」

「ぐすっ…。観津美(みつみ)…。ミツミっていうの。」

「ミツミちゃん…だね?よしっ、じゃぁ早速犯人探しに行くよ!!!」

 おい、俺はまだ『一緒に行く』って言ってないぞ!

 また、俺の意見も聞かずにアイナは突っ走って行った。


 しかも、観津美ちゃんを置いていく勢いで。







(3分後。)






「おい、君達。ちょっと良いか?」

 アイナを追いかけていると、セキュリティの刑事さんが近づいてきた。
 いつの間にか周りでも検問のような事をしている刑事さんが沢山いる。

「ちょうど良かった。刑事さん!なんで、こんな小さい子の話を聞いてあげないの!!?」

 アイナがブチ切れて刑事さんに食って掛かろうとした。
 俺は慌ててアイナの腕を掴んで止めた。

「離せシンマーーっ!!!この人にガツンと言ってやんないと気が済まないの!!!」

「だ〜からって食って掛かる必要ないだろ。えーっと刑事さん。なんか俺達に用ですか?」

 刑事さんはいきなりアイナがブチ切れたせいで、少し驚いていたが軽く咳払いして話始めた。

「えーっと君たち、レベルが8でイラストに『黄金の竜』が書かれたカードを持ってないか?念のため、デッキを見せて貰いたいんだが。あぁ、ちなみにエクストラデッキは見せなくてもいいぞ。」

「ちょっと!いきなり理由も話さず「デッキ見せろ。」って言われて見せるデュエリストなんかいないでしょ!!?」

 アイナは相変わらずわーわー!言っている。

「正論だけど落ち着け。…兎に角、理由を聞かせて貰いませんか?刑事さんが『セキュリティの振りして目ぼしいカードを奪う奴』って可能性、万が一にも無くはないと思いますよ。」

 今の俺の言葉を聞いて、刑事さんが少し怒ったような口調で話す。

「その『黄金の竜』は盗品の可能性があるんだ。余計な疑いを掛けられたく無いならデッキを見せなさい。」






「あー、待った。その子達は俺が引き受けるから、他の場所で続けてくれ。」

 もう一人、若い刑事さんがやって来た。
 「分かった。」っと言って最初に俺達に話しかけた刑事さんはその場を離れていった。

 今、気付いたんだケド、若い刑事さんは俺達と知り合いの人だった。

「あ、風馬かざまさん』。お久しぶりです。」

 俺はその若い刑事さんに挨拶した。


 この人は『風馬 走一(かざま そういち)』さん。

 セキュリティの中でもライディング・デュエルのトラブルや犯罪を専門に解決する『デュエル・チェイサーズ』っていう特別チームの一員。

 特に風馬さんは、そのチームの中でも一・二を争う実力者なんだ。

 もちろんデュエルも相当な腕前で
 2年前の『WRGP』で乱入してきた『ゴースト』っていう集団を多数撃破してるし、
 空から突然出てきた螺旋状の馬鹿でかい建造物からネオ童実野シティの市民を守る為に奮闘したりしてるからな。

 使用デッキは闇属性主体で、

 ●相手モンスター全ての攻・守を逆転させるっていう、
   派手さに欠けるケド堅実な強さを持つ『デーモン・カオス・キング』

 ●エンドフェイズに大ダメージを受ける危険性がある代わりに
   手札・フィールドから戦闘を完全にシャットアウトする『バトル・イーター』

 とか癖の強いカードを使いこなす。


 あ、念のため言っておくケド、『アニメ5D'sのキャラクター』だからな。
 オリキャラじゃないよ。



「よう!悪ガキ共。相変わらず元気みたいだな。」

 風馬さんが俺達を茶化すように笑う。

「風馬さん!なんでセキュリティの人たちが一般市民の悩みに耳を傾けようともs…。」

「おっと待った藍奈。いきなり食って掛かっても状況が理解できないぞ。兎に角それは、そこの小等部の女の子がセキュリティに1度通報した、って事でいいんだね?」


「…はい。」


「それじゃあ君、もう一度詳しく聞かせてくれないかな?」


 観津美ちゃんは俺たちに話した一昨日の出来事をゆっくりと…さっきよりは少しだけ落ち着きながら話した。

 途中でアイナが、『犯人がサイテー』だとか『趣味悪い』とか騒いで話が脱線しそうなことが何回もあった。
 そして、俺はその度に突っ込みを入れて話の論点を戻すハメになった。






「…なるほどな。その『金色の竜』、きっとセキュリティが捜索している『黄金の竜』と同一のモンスターだな。だとすれば、俺達が追っている事件について詳しく聞かせてやらないとな。」

 風馬さんはポケットから1枚の大きめな紙を取り出した。
 そこには様々なモンスターが描かれていた。

 狼のような頭と下半身がグリフィンの胴体になっているケンタウロスのような怪物。
 筋骨隆々で全身に奇妙な模様を持つ巨人。
 骸骨の頭を持ち斧を手にした使い魔を腕に乗せた美しい女王。
 全身が金色輝く巨大な魔導師の石像。
 4本の腕を持つ荒武者の甲冑。
 白い翼、蛇の頭になった尻尾、それぞれの頭に巨大な角を持つ双頭の獅子。
 背部に7つの電磁砲を搭載した鎧を着た雷神。
 真紅の鎧と輝く翼を持つ大天使。
 パイプオルガン・金管楽器・ドラムに女神像が合体したような機械。
 三叉戟(さんさげき)を持ち、仏にも似た気を放つ魔神。
 双頭のシーサーのような顔を持つ銀色の妖怪。
 背後を火の海とし、漆黒の甲冑を身に纏う大悪魔。

 そしてその中に凄まじい殺気を放つ『黄金の竜』がいた。



「うわ〜。どれもすっごく強そうですね。」

 アイナが思わずそのモンスター達に見とれた。
 それぐらいそのモンスター達は壮大な神威を放っていたんだ。

「このモンスター達は『マッチキル・モンスター』と呼ばれているんだ。」

 風馬さんは俺が見たことも聞いたことも無いモンスターの名前を出した。
 何か特別なカードなのか?

「えーっと、『まっつきる・もんすたー』ってなんですか?」

 アイナ早速間違えた!
 しかも、結構強引な間違いな気がすんだけど。

「『マッチキル・モンスター』だ。このカード群は元々、海馬コーポレーションとI2社が連携して行なっている『神のカードの一般化計画』の副産物なんだ。」

「『神のカード一般化計画』?なんでそんな事思い立ったんだよデュエルモンスターズの大手会社さん達は…。」

 そんなことして都市伝説とかでよく聞く『神の裁き』云々の事態は起きないのかよ…。

「そこの所は後で話す。兎に角、開発途中のそれらのカードが盗まれる窃盗事件が発生したんだ。

「ええぇぇ!??ぬ、盗まれたの!!???開発途中の物を!!!???」

「あぁ。始めは紛失したのかと思われたんだが、
 I2社日本支部にある保管庫の最新鋭電子ロックのプログラムに※クラッキングされた形跡が見つかったんだ。」

※クライム・ハッキングの略。一般的に犯罪で「ハッキング」というとこの事を指す。



 I2社のカード保管庫って会社の経営を支えているも同然の物を保管してるから凄まじく厳重な筈だよな。
 それをハッキングでこじ開けるって、しかも監視の目を掻い潜って…どんな奴だよソレ…。


 俺の頭に更に疑問が浮かんだ。

「ん?日本支部って事は、本社じゃないんですか?普通そうゆうモノって海馬コーポレーションかI2社の本社に置くもんでしょ?」


「いずれもネオ童実野シティにある以上
 『海馬コーポレーションと連携がとり易いこと』
 『もし情報の一部が漏れても「最新カードの開発は普通本社でやる」という先入観を利用してターゲットを反らすこと。』
 『逆に全ての情報が漏れたとしても本社じゃないから総合的なダメージが少ないこと。』
  という旨を海馬コーポレーション本社から聞いている。」

 なるほど。
 微妙に疑問が残るケド、大体納得。



「それじゃあ、『マッチキル・モンスター』生まれるきっかけになった『神のカード一般化計画』について話すぞ。『神のカード一般化計画』海馬コーポレーションI2社だけではなく、デュエルモンスターの販売等に関係する世界中の会社、そしてセキュリティ本部である『治安維持局』との合同で行なわれた大規模なプロジェクトなんだ。そもそも、その計画は治安維持局から提案されたものだからな。」

「どひゃーー!!!そ、そんな大きな計画だったんですか!!!???」

「あの…。みんなが噂してたんですけど…、『神さまのカードの偽者を使うと呪われちゃう』って…。大丈夫なんですか…。」

 そう、一番の問題点はそこだ
 俺が聞いた噂は『呪われる』んじゃなくて『原因不明の昏睡状態』っていうもっと具体的な物だったけど。

 兎に角、それを治安維持局が提案って、随分怖いもの知らずな計画だな。
 それとも、『神の裁き』なんて噂話に過ぎなかったのか?


「その噂は本当だよ。『三幻神』『三極神』等を始めとする、「神」の偽造カードを使った人が謎の意識不明状態に陥る。そんな事件が今でも多いんだ…。それでも多くの人は『神のカードを使ってみたい。』そう思っている。」

 じゃあ、「単なる噂」って訳じゃないんだな。
 確かに俺も『神のカードを一度は使ってみたい。』って思うことくらいある。

「だから、弱体化こそしているが神のカードを一般人でも安全に使用できる様にする為にこの『神のカード一般化計画』と呼ばれるものが誕生した。そして、その計画の過程で『マッチキル・モンスター』達は誕生したんだ。」


「要するに、『マッチキル・モンスター』達は『神のカード』程ではないにしても強力なモンスター…って解釈すりゃ良いんですよね。」

 確かにそれらを大きな大会の景品とかにすれば参加者の意欲も上がるし、
 元々『神のカード』は表舞台に出る予定だったんだろうからようやく日の目を浴びるんだろうな。
 なにより『原因不明の昏睡状態』って事件は確実に減るだろ。


「その通りだ。召喚条件も『自身と同じ種族のモンスター三体をリリースしてアドバンス召喚』と神のカードに似た様に、三体のモンスターが必要なんだ。
 そして共通効果は
 『バトルフェイズをスキップする事で直接攻撃を通しやすくする効果の発揮』
 『魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみ適用される』ルール効果、
 更に『マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外はこのカードを攻撃対象に選択する事はできない』永続効果、
 『攻撃を無効にされない』永続効果、
 そして最大の特徴として『直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する』という特殊勝利効果を持つんだ。」


「ええぇぇ!!!??マッチに勝利する!!!!???」

 アイナのは些かオーバーリアクションな気がするケド、確かにとんでもない効果だぞ。ソレ。

 しかも、全員、直接攻撃をサポートする効果を持つって事はカードアドバンテージを大幅に奪ってくる効果の可能性が高い。
 つまり、わざわざマッチキルを狙わなくても普通にビートダウンできる。

 そして、1発でも直接攻撃を喰らえば、たとえライフが「∞」でもマッチに敗北。

 おそらくシングル戦の場合は「デュエルに勝利する」と大差の無い効果だろうケド、その中ではかなり簡単な分類だ。

 さらに『魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみ適用』の耐性効果もかなり強力だ。
 【聖なるバリア‐ミラーフォース‐】のような使いきりのカードには効果が薄いケド、  【ネフティスの鳳凰神】のように効果で除去したら何度も復活するって言っているようなものだぞ!

 『攻撃を無効にされない』のだから【魔法の筒】や【攻撃の無力化】【速攻のかかし】も意味が無い。

 戦闘破壊しようにも『マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外は攻撃対象にできない』効果で
 【オネスト】や【BF‐月影のカルート】による戦闘補助、  【N・グラン・モール】に【A・O・Jカタストル】のような除去効果を持ったモンスターさえ使い物にならない。

 それどころか、マッチキル・モンスターのみの場合、
 直接攻撃効果を持ったモンスター以外は実質的に攻撃不可能なんてロックにもなる


 神のカードと何の変哲も無い位強力だろ…。

 まさに怪物(モンスター)


「そうか。だから観津美ちゃんはお兄さんが倒された直後にライフが0になったのか…。」


「えっ!?どういう事!?」

 相変わらずアイナは質問ばっかりだけど、流石にこれは結構コアなルールだから知らくても仕方無いな…。

チーム戦やタッグでマッチに勝利したプレイヤー側は相手に後続の選手や相方がまだ健在であっても強制的に勝利。ってルールがあるんだ。」

「その通りだ。だからテキストは『デュエルに勝利する』ではなく『マッチに勝利する』なんだ。もし『WRGP』のようなチーム戦の大会では先鋒が『マッチキル・モンスター』に止めを刺された瞬間チーム全体が敗北が決定するようなものだからな…。」

 20年くらい前にもマッチキルのカードが作られた時があったらしいんだ。
 だが、
 『余りにも召喚が難しいくせに攻撃力がたったの100、
  おまけに特殊召喚不可能。そして直接攻撃でライフを0にした場合のみ発動。』

 っていう半ばネタのような扱いのカードだ。結局色々な都合で製造中止になってある意味レアなカードになったケド。

 が、『マッチキル・モンスター』達はその『机上の空論』だった戦術を積極的に狙うカードだ。
 流石は『神のカード』の研究の副産物…だな。


「そして、君と君のお兄さんにアンティールールを強要した男…そいつの持つカードが『マッチキル・モンスター』の可能性が高い。こんな大規模な検問を行なっているのも、同一人物が起こしたと思われる『アンティルール強要事件』で何件も被害届けが出されたからな。」


「…!それじゃ、風馬さん。その犯人、沢山の人を苦しめているんだよね?犯人が持っているカードが『黄金の竜』なんだよね?」


「あぁ、恐らくその通りだ。だから真っ先に奪還できるだろうn…。」

『犯人と思わしき男を発見!容疑者は逃走!連絡を受けた者は至急追跡せよ!もう一度言う。容疑者は逃走!至急追跡せよ!』

 通信機から一人の警官の声が早口で聞こえた。


「悪い。どうやらこれ以上話している暇はなさそうだ。」

 風馬さんはヘルメットを被ってDホイールにまたがった。

「いいか、信間!藍奈!興味本位で首を突っ込むなよ。お前らもカードを盗られるぞ!特に藍奈、お前の『迷惑武勇伝』はセキュリティ内でも『最優先に解決すべき事態その52』に登録されてるからな!首を突っ込んで迷惑かけるなよ!!!」




 ブォン、ブォン、ブォォォォォォン!!!




 風馬さんはそう言ってDホイールで何処かへ行ってしまった。
















「って、風馬さん!『最優先に解決すべき事態その52』ってどういう事ーーーーーーーっっっ!!!!!??」


「…そのまんまの意味なんじゃないか?」

 セキュリティにある意味指名手配って……、俺の見ていない時になにやらかしたんだ?

 まぁ、大体、
 『旧サテライト方面のゴミ拾いのボランティア参加中に
   張り切りすぎて貴重なスクラップを駄目にしてジャンク屋に謝りに行くハメになった
』とか
 『「落し物を探す」とか言ってトップスの方面に勝手に入って警備員と一悶着起こした』とか、
 そんな所だろ。


「なあぁぁぁぁ(゚Д゚;)にぃぃぃぃぃ!!!!???
  なんで、いつもいつも分かるの!?シンマは記憶も読めるの!??
  シンマは黄金の鍵型金属器なんて持ってないよね!!!??」



 ……?おかしいな。
 口は閉じてた筈なんだケド。
 独り言の癖がアイナから感染ったか…?

 てか、予想が完璧に当たったのかよ!
 そりゃ、迷惑だ!
 いくら『他人助けを頑張る』って今年の目標とかに毎回書くからって、
 度が過ぎれば『迷惑』になるだろ!!!


 …読者のみんなも気付いただろうケド、
 アイナの起こす『迷惑』って、あくまで誰かを助けようとして暴走するって事なんだ。

 自分勝手な都合とかワガママが理由じゃないから悪気は無いんだろうケド、
 それが余計に厄介なんだよな…。
 とにかく、根は悪い子じゃないし本当になんかやらかした時はちゃんと謝るからさ。





「と、それはともかくシンマ。あたし達も犯人を引き続き捜そう。ミツミちゃんお兄さんが大切にしていたカードだもんね!」

「言いそびれてたケドそれ、無理 拒否 却下 お断り。無謀 無策 無知 無茶 ムチャクチャだな。」

「酷い!なんてこと言うの!!?」

「酷くない!!!常識だ!!!!!

 俺は自分でも珍しいくらいに大声で怒鳴った。

 アイナの起こす『迷惑武勇伝』は阻止できなくても後始末はちゃんと出来るから良いケド、今回ばかりは別だ!
 何としてでも阻止する!
 今回の相手はそこらのチンピラや不良ごときじゃない。
 正真正銘の犯罪者だ。
 そんな犯罪沙汰に自ら突っ込んでいくなんてフィクションの主役だけだ!!!

「あのな!今さっき風馬さん達が容疑者を追跡しに行っただろ?それなら犯人が捕まるのは時間の問題だって。」

「でも万が一にでも捕まらなかったらどーすんの!?それに『容疑者』だけど『犯人じゃない』って可能性は十分あるでしょ!!!」

「逃げた時点で犯人だろ!それに風馬さんはDホイールの犯罪を専門に取り締まる『デュエルチェイサーズ』の一員、それも1位2位を争う程の実力者だ。犯人はほぼ確実に牢屋行きだろ!!!万が一にでも犯人が逃げ出したとして、そいつを『平和な町で育った一般人A』の俺たちが捕まえられると本気で思ってんのか!!?」

「けどね!そいつのせいでミツミちゃんのお兄さんみたいに不幸な目にあった人が沢山いるんだよ!そんな困っている人達を見て見ぬ振りなんて出来ない!!!今すぐにでも探さないと!!!」

「あ、あの…。」

「大体な!仮にもそいつを見つけたとしよう。そしたらどうすんだ?まさか『奪ったカードを返せ』って言うのか!?返す気があるなら最初っから自首してる!それに犯人を捕まえるなんて中学生の俺達には出来ないだろ普通!!人質にされたら『他人助け』どころか『大迷惑』だ!いや、人質ならまだマシだ。下手したら殺されるかもしれないんだぞ!!!!もしそうなったら、もう二度と『他人助け』も出来なくなるんだ!!!!それで良いのか!!!!??お前はそんなに死にたいのか!!!!!!!???

 叫んでいる時は気にしなかったケド、
 後日思い返してみると、相当大袈裟に言っていたかもしれない。

 きっと、この時はアイナが…いや、『俺自身が』犯罪沙汰に関わるのを必死になって止めようとしていたのかもしれない。
 我ながらに臆病な奴だよ…。ホント人を見つけたらアイナを止めて、風馬さん達に連絡すれば済む話なのにさ。

「そんなのやって見ないと分かんないでしょ!!!」

「あぁ、分かんないよ!分かんないから命の保証なんて出来たもんじゃない!!!

「あの…。」

「シンマってそんなに臆病だったの!!!?目の前に困っている人がいる、その人が自分に助けを求めている。『それを怖いから見過ごそう』ってくだらない理由で見過ごそうって言うの!!!??シンマはそんな風に逃げる程の臆病者なの!!!!!???」

「言いやがったなこのy…。」


「あのっ!!!!」


 言い合いを続ける俺たちに向かって観津美ちゃんが思いっきり叫んだ。

「ごめんね…やっぱ…り迷惑だよね…。ぐすっ…わた…しがあんな事しゃべ…らなかったら…お姉ちゃん達ケンカしなかったもんね…。」

「そ、そんな事無いよ!それに迷惑なんかじゃない!困っている人を助けるのは当然の事なの!!!ミツミちゃんの言うことをに耳を貸さない大人達が悪いんだよ!!!!!」

 アイナが今にも泣きそうな観津美ちゃんに駆け寄った。



 …なんだよ。俺をキッと睨みつけて。
 俺のせいだってのかよ…。

 『シンマが「無視して見過ごそう」なんて酷い事言うから。ミツミちゃんが泣いちゃったんでしょ!!!』とでも言いたげだな。






 … … … 。







 … … … 。





 まぁ、なんだかんだいって一番ヒートアップしていたのは俺だけどさ。



 夏独特の暑い気温のせいで短気になりすぎたな。
 自分より年下の子が俺達の口喧嘩で泣きそうになっている所を見ると、なんか自分が情けなくなってくる。

 だんだん落ち着きを取り戻してきた…たぶん。

 落ち着いたついでに名案…とまでは行かないケド、アイナが納得しような案が思いついた。


「…わかった。ある程度の条件付なら手伝うよ…。」

「…!シンマ、それってマジ!?」

「一応、マジだ。俺とアイナでゲームをここで1回、明日か明後日にアカデミアで5回。合計6回やって、アイナが一回目で勝てば今すぐ、2〜6回目で勝てばその日から、6回目やっても勝てなかったら1週間後に犯人を捜す。それまではアイナも犯人は絶対に捜さない。って奴だ。」

 まぁ、つまりは『原作HPで最高の人気を誇るギャグ小説の主人公』の十八番、『Get Your Game On!』…。
 【ゲームしようぜ!】って訳さ。


【Get Your Game On!(ゲームしようぜ!)】
 通常魔法
 あらゆるトラブルを、ゲーム1つ…
 いや、今回は6つで片付ける。



「よぉし!それ乗った!!!…と、その前にゲームの内容は?」

「1回目は俺とアイナがデュエルする。アイナが勝てば直ぐに犯人を捜す。2〜6回目はアカデミアでデュエルしている奴のうちどっちが勝つか予想するゲームだ。どうだ?それとも他のゲームにs…。」

「わかった!じゃあ今すぐデュエルだよ。さっさと用意して!」

 相変わらず気が早いねぇ。
 まぁ、これがご都合主義って奴だ。

【Opportunism(ご都合主義)】
 通常魔法
 都合のいい展開でストーリーを進行させる。
 …結局主人公に不利な条件だけど。
 もっと頑張れよ主人公!


 またしても、あっぷるぱいさんの十八番ネタを無断で使い、さらにテキストの改造までしました。スイマセ〜ン。


「え…っと。がんばってね。お姉ちゃん。」

「うん!ミツミちゃんとミツミちゃんのお兄さんの為にもバシッと勝って犯人もバシッと捕まえるよ!」

「んじゃ、こっちも『準備おk』だ。それじゃ、さっさと終わらせるか。」

 やれやれ、今さっきまで
『酷くない!!!常識だ!!!!!』
 とか、
『お前はそんなに死にたいのか!!!!!!???』
 とか、怒鳴り散らしていた奴とは思えない台詞だよな…。我ながら。



 夏のあっつい日差しの中、短くも更に熱い闘いが始まった。

 もう、読者のみんなにだって結果見え見えのデュエルだと思うけど。














  第十話   『疾風の盗賊』









 今回もナレーターはこの俺、『優凪 信間(ゆうなぎ しんま)』が担当するぞ。
 容姿はまぁまぁ、人気もまぁまぁ

 どっかの誰かさん達と違って、

 俺は至って謙虚だ。


 さて、もう読者がいい加減に飽きているであろう恒例のネタも済ませたし、さっさと本題に移るか。


 超が付くほど簡単に言うと、マッチキル・モンスターの内1体を盗んだ犯人と思われる人物が最近、強制的なアンティールールでネオ童実野シティを騒がせている。
 その犯人を捜すか捜さないかを俺とアイナがデュエルして決めるって事。

 ●俺が勝てば少なくとも今日は犯人を捜さない。
 ●アイナが勝てば今から犯人を捜す。
   って事で落ち着いた。

 ちなみにもうセキュリティは容疑者を追跡してるから、
 アイナが勝っても犯人がセキュリティに逮捕されたらその時点で意味無いんだけど。



 そして今からそのデュエルが始まる。







 今日は7月18日。天気は晴れ。
 ハッキリ言って熱中症に気を付けないといけない季節だ。
 それなのに、屋内ではなく屋外でのデュエルだ。
 さっさと終わらせないと、観戦している観津美ちゃんにも悪影響だな。

「よぉーしっ!今度こそシンマに勝ーーーーーーつ!!!」

 そこん所分かってんのか?あのお嬢さん。
 一応、注意しておくか。

「分かってると思うケド、日射病や熱中症には気を付けろよ。観津美ちゃんも気分が悪くなったらすぐに言ってくれ。その時はすぐどっかの図書館とか冷房の効いた屋内に移動するからな。」

「…うん。わかったよ。あと、アイナお姉ちゃん…がんばってね。」

「もっちろん!シンマを倒して、ミツミちゃん達に酷い事した奴もぶっ飛ばすよ!」

 あのお嬢さん、完全に犯人に食って掛かる気だ。
 このデュエル、絶対に勝たないとな。



「「デュエル!!!」」




 俺のデュエルディスクに「Last(後攻)」の文字、つまり先攻はアイナだ。
 流石に「VSアイナ(1回目)」「VS大門寺」と来て、3回連続俺が先攻ってのもちょっとな…。

「あたしのターン、ドロー!よしっ、これならいける!」

 アイナが軽くガッツポーズした。
 『ただひたすら攻撃力を上げるデッキ』なのだから、引きが良ければフツーにワンターンキル出来てしまうくらいの攻撃力になる。
 だから、こっちの運が悪かったり防御カードの少ないノーガード戦法だと一撃で倒される場合もある。
 幸い、俺の手札に防御カードが2枚ある。
 アイナが『サイクロン』をデッキに入れてない位、構成が壊滅的なんだから、あんまり問題視しなくて良いな。


「あたしは『魔法の鍛冶屋 クー・シー』を手札から特殊召喚!クー・シーは自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚できる!

 アイナのフィールドに犬に似た獣人が現れた。
 手には金槌と鍛冶屋箸を持ち、茶色が基調の作業服と帽子を付けていた。
 なんかファンタジー系のアニメやゲームにマスコットとして出てきそうな外見だな。
 体の大きさは意外とでかく、丸太の椅子に座っている状態でもアイナの肩ほどの高さがある。


【魔法の鍛冶屋 クー・シー】
 効果モンスター
 星5/地属性/獣戦士族/攻1500/守2100
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚できる。
 墓地の魔法・罠カードを2枚デッキに戻すことで、
 自分の墓地から装備魔法を1枚発動する。
 この効果で発動した装備魔法はカードの効果では破壊されない。
 このカードがフィールドを離れた時、
 デッキから自分の装備魔法カードをランダムに1枚手札に加える。


「そして手札から魔法カード『ティンクル・ファイブ・スター』を発動するよ!自分フィールド上のレベル5のモンスターを1体リリースしてデッキ・手札・墓地から【クリボー5兄妹】を1体ずつ特殊召喚するの!あたしは『魔法の鍛冶屋 クー・シー』をリリースする。出てきて!クリボー5兄妹、『クリバー』『クリビー』『クリブー』『クリベー』『クリボー』!!!

 クー・シーはシンクロ召喚の演出のように、黄色いワイヤーフレームのポリゴン状になった後、レベルと同じ数の光の玉が現れた。
 光の玉は薄い紫、ピンク、白、青緑、濃いブラウンに色が変わり、それぞれの色に対応したクリボー達が現れた。

 薄い紫色の『クリバー』。
 ピンク色の『クリビー』。
 白い『クリブー』。
 青緑色の『クリベー』。


 そして5兄妹の中でも、単独での使用率も高い『クリボー』

 尤も、『クリバー』と『クリベー』は他の5兄妹が在ってこそ効果が発揮出来るんだケドな。
 ちなみにアイナの持つ『クリビー』と『クリベー』は女の子なんだとさ。だから『クリボー5兄妹』なんだ。

【ティンクル・ファイブ・スター】(本作オリジナルver)
 通常魔法
 自分フィールド上のレベル5のモンスター1体をリリースして発動する。
 自分のデッキ・手札・墓地から
 「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を
 それぞれ1体ずつ特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはシンクロ素材にする事ができない。

【クリバー】(本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 自分の手札・フィールドから
 「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を融合素材とし、
 エクストラデッキから「クリバビロン」1体を融合召喚する。

【クリビー】(本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 相手ターンに1度、
 自分の「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」の
 戦闘を無効にし、バトルフェイズを終了する。

【クリブー】(本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 手札から罠カードを1枚捨て、
 フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択されたモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで1500ポイントダウンする。
 この効果は相手ターンでも発動できる。

【クリベー】(本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 自分の手札・フィールドから
 「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を融合素材とし、
 エクストラデッキから「クリバンデット」1体を融合召喚する。

【クリボー】
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時、このカードを手札から捨てて発動する。
 その戦闘によって発生するコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。



『クリッ!』

『クリリッ!』

『クリ〜ッ!』

『クリクリッ!』

『ク〜リ〜ッ!』




 数が多い分うるせ〜っ!


『クリベー』の効果発動!「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を融合するよ!

 『クリベー』が他の『クリボー5兄妹』を蹴り飛ばす。
 クリボー達はピンボールのようにバウンドした後、凄い勢いで中央に集結した。



『クリボー5兄妹の合体劇。しかと見届けてね!

 融合召喚!!!

 いくよ!【クリバンデット】!!!』




 クリボー達は激突すると同時にポンッ!と音を立てて煙を上げた。
 煙が晴れるとそこにはクリボー達より一回り大きく、黄色のバンダナと眼帯を付けたモンスターがいた。

 あれが『クリバンデット』。初代デュエルキングの武藤遊戯さんも使用した凶悪なドロー効果を持つモンスターだ。


【クリバンデット】(本作オリジナルver)
 融合・効果モンスター
 星5/闇属性/悪魔族/攻1500/守1200
 「クリバー」+「クリビー」+「クリブー」+「クリベー」+「クリボー」
 このカードは「クリベー」の効果でのみ、融合召喚できる。
 フィールド上に表側表示で存在するこのカードをエクストラデッキに戻すことで、
 自分のデッキ・手札・墓地から「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を
 それぞれ1体ずつ特殊召喚する。
 「クリベー」の効果で特殊召喚された
 このカードをリリースすることで、デッキからカードを5枚ドローする。
 その後、ドローしたカードをお互いに確認しモンスターカードを全て墓地に送る。
 この効果は相手ターンにも発動できる。


『バンデット〜♪』



「クリバンデットの効果発動!このカードをリリースしてデッキからカードを5枚ドロー。そしてその中のモンスターカードを全て墓地に送る!

 ガガガガガッ!!

 クリバンデットは地面を掘り進み、やがて1個の大きな宝箱をアイナに差し出した。
 そして、そのまま地面深くへと潜っていった。
 さて、ドローしたカードは何なんだ?


 ドローカード:【魔導師の力】(装備魔法)、【地母神の奇跡】(装備魔法)、【死者蘇生】(通常魔法)、
         【団結の力】(装備魔法)、【団結の力】(2枚目)


 っておい!全部魔法カードかよ!!?洒落になんねぇ…。


【アイナ】の手札:4→9


「と、いうことで5枚全部手札ね♪今回は絶好調っ!!!」

「すごい!すごいよアイナお姉ちゃん!」

「うん。ミツミちゃんも応援しててね!ここでシンマに勝って、ミツミちゃんのお兄さんや沢山の人達に酷い事した奴をぶっ飛ばすよっ!!!」

 今回は何つーか…、天がアイナを味方してるみたいだな…。
 そしてこれ、フツーだったらソリティアフラグだよなオイ。

「あたしは『ナチュル・フライトフライ』を攻撃表示で召喚!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 アイナは手札に加えたカードをセットしていなかった。
 つまり、アイナの手札に最初からあったモンスターはあの『ナチュル・ドラゴンフライ』と『魔法の鍛冶屋 クー・シー』の2枚だけって事か。

 ナチュル・ドラゴンフライは頭がサクランボ、胴体がドングリ、腹が木の枝になったトンボだ。
 攻撃力を上げる効果と戦闘破壊耐性を持つ結構厄介なカードだな。

 …普通に『ナチュル』を使う人が使えば…ね。


【ナチュル・ドラゴンフライ】
 効果モンスター
 星4/地属性/昆虫族/攻1200/守 400
 このカードは攻撃力2000以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。
 このカードの攻撃力は自分の墓地に存在する
 「ナチュル」と名のついたモンスターの数×200ポイントアップする。



シンマ後攻
ライフ4000
モンスター無し
魔法・罠 無し
手札5枚
墓地0枚
アイナ先攻
ライフ4000
モンスター【ナチュル・ドラゴンフライ】(攻:1200)
魔法・罠伏せカード3枚
手札5枚
墓地8枚





「俺のターン。ドロー。」

 おっ、相手が魔法・罠をガン伏せしている状況でこのカードが来たか。
 まずはこのカードの能力を最大限に生かす為に、ギアフレームで手札のユニオンモンスターの割合を増やす。

「俺は『マシンナーズ・ギアフレーム』を召喚。ギアフレームの効果、召喚に成功した時、デッキから『マシンナーズ』と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。俺は『マシンナーズ・ピースキーパー』を手札に加える。

 俺のフィールドにオレンジ色が基調のロボットが現れた。
 ロボットは自身に内蔵された『援軍要請機能』を使い、小型のロボットを俺の手札に待機させた。


【マシンナーズ・ギアフレーム】
 ユニオンモンスター
 星4/地属性/機械族/攻1800/守 0
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキから「マシンナーズ・ギアフレーム」以外の
 「マシンナーズ」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)

【マシンナーズ・ピースキーパー】
 ユニオンモンスター
 星2/地属性/機械族/攻 500/守 400
 フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
 自分のデッキからユニオンモンスター1体を手札に加える事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして
 自分フィールド上の機械族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)


「そしてギアフレームを手札に戻して速攻魔法『緊急脱出装置』発動。2つの効果の内、俺は『モンスターを通常召喚』を選択。よって手札から『LS(リンク・スピリット)‐エアリアル・シーフ』を攻撃表示で召喚。

 フィールドに出現したカタパルトがギアフレームを手札に向かって吹っ飛ばす。

 そして新たに魔法陣から出現したモンスターは、
 巨大な木の葉に乗り、緑色の装束の所々に機械のような鎧が付いた忍者だ。
 「LS(リンク・スピリット)」共通の特徴であるコアは右手の小手に装着されている。
 コアは明るい緑色で内部は波紋のような模様になっている。

【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。

【LS(リンク・スピリット)‐エアリアル・シーフ】
 効果モンスター
 星4/風属性/サイキック族/攻1300/守 100
 このカードは使用不能なモンスターゾーンに召喚・特殊召喚が可能。
 ???
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。


エアリアル・シーフの効果発動。1ターンに1度、手札のユニオンモンスターを任意の数だけ相手に見せ、その枚数分まで相手フィールド上の魔法・罠カードのコントロールを得る。その後、コントロールを得た数×300ポイントライフを払う。俺の手札には『マシンナーズ・ギアフレーム』と『マシンナーズ・ピースキーパー』が存在する、って事で俺から見て右から1番目と2番目のカードのコントロールを得る!


「わーっちょっと待って!!!シンマが選んだカードは『ライジング・エナジー』と『突進』!だからどっちとも発d…。」


「おっと残念。『この効果の効果の同一チェーン上に魔法・罠カードはチェーンできない。』っておまけ付き。要するにアイナが大嫌いなパーミッションのメタ効果だな。」


【LS‐エアリアル・シーフ】
 効果モンスター
 星4/風属性/サイキック族/攻1300/守 100
 このカードは使用不能なモンスターゾーンに召喚・特殊召喚が可能。
 1ターンに1度、自分の手札のユニオンモンスターを任意の数だけ相手に見せ、
 その枚数分まで相手フィールド上の魔法・罠カードのコントロールを得る。
 その後、コントロールを得た数×300ポイントライフを払う。
 この効果の同一チェーン上に魔法・罠カードはチェーンできない。

 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。


がーーーΣ(ToT)ーーーーん!!!ずるいよ。シンマだけそんなカード持ってるなんて…。」


「いや結構あるぞ。同じようなチェーンさせないカード。あとアイナ、お陰でこれからコントロールを奪うカードが分かった。サンキュー♪んじゃ『LS‐エアリアル・シーフ』の効果でセットされた『ライジング・エナジー』と『突進』のコントロール奪取だ。行けっ、エアリアル・シーフ!!!」



 ― 疾風活劇 しっぷうかつげき呪法奪取ノ巻 じゅほうだっしゅのまき ―



 アイナのフィールドにセットされたカードが巻物に変わった。
 エアリアル・シーフは超高速でその巻物を奪い去った。


【アイナ】の伏せカード:3枚→1枚

【シンマ】のライフ:4000→3400
     伏せカード:0枚→2枚


「うわ〜ん!!!大福に続いて2枚の伏せカードまでシンマのモンスターに盗られたーーっ!!!!」

 今朝の事まだ根に持ってたのかよ!!!(第三話参照)

「兎に角、エアリアル・シーフで『ナチュル・ドラゴンフライ』に攻撃!!!



 ― 疾風殺劇 しっぷうさつげき裂空苦無刃 れっくうくないじん ―



 エアリアル・シーフが木の葉に乗りながらナチュル・ドラゴンフライに突撃。
 激突する…と思った瞬間巨大な木の葉だけが舞いエアリアル・シーフの姿が見えなくなる。


 ズガガガガッ!!!!


 背後から不意にエアリアル・シーフが現れた。

 そして念動波で出来た苦無を幾つも投げつけ、ナチュル・ドラゴンフライを仕留める。
 そのまま舞い落ちる巨大な木の葉に飛び乗り、再び空中を浮遊した。

「うぐぐ…。セットしているカードは使わないよ……。」

 【アイナ】のライフ:4000→3900

 多分、伏せカードを使っても俺のフィールドにはアイナからコントロール奪取した『突進』と『ライジング・エナジー』がある。だから使わなかったんだろうな。
 アイナにしては珍しい戦術だけど『ナチュル・ドラゴンフライ』は攻撃力2000以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。
 この場合むしろ攻撃力を上げて『突進』を誘発させればエアリアル・シーフの攻撃力は2000でナチュル・ドラゴンフライは破壊されなかったんだけどなぁ。
 この辺はプレイングミスだよな。明らかに。

「よしっ。カードを1枚セットしてターンエンドだ。」



シンマ後攻
ライフ3400
モンスター【LS‐エアリアル・シーフ】(攻:1300)
魔法・罠伏せカード3枚
(内2枚はアイナからコントロール奪取した
【突進】と【ライジング・エナジー】)
手札4枚
墓地1枚


アイナ先攻
ライフ3900
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
手札5枚
墓地9枚




「う〜っ。だけどこっちの方がライフは多いもん!あたしのターン、ドロー!」

 アイナが思いっきり力を込めてカードをドローする。
 かな〜り張り切ってるだけに今回はとんでもない攻撃力のモンスターが出てきそうだな。

 ドローカード:【団結の力】(3枚目)

「よし!あたしは魔法カード『死者蘇生』発動!この効果で墓地の 『クリバンデット』 を特殊召喚!さらに『クリバンデット』の効果発動。エクストラデッキに戻すことで墓地からクリボー5兄妹を特殊召喚!


【死者蘇生】
 通常魔法
 自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

【クリバンデット】(本作オリジナルver)
 融合・効果モンスター
 星5/闇属性/悪魔族/攻1500/守1200
 「クリバー」+「クリビー」+「クリブー」+「クリベー」+「クリボー」
 このカードは「クリベー」の効果でのみ、融合召喚できる。
 フィールド上に表側表示で存在するこのカードをエクストラデッキに戻すことで、
 自分のデッキ・手札・墓地から「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を
 それぞれ1体ずつ特殊召喚する。
 「クリベー」の効果で特殊召喚された
 このカードをリリースすることで、デッキからカードを5枚ドローする。
 その後、ドローしたカードをお互いに確認しモンスターカードを全て墓地に送る。
 この効果は相手ターンにも発動できる。


 アイナの発動したカードにより墓地からクリバンデットが再び現れて、
 クリバンデットが光る5つの星になる。直後に星はクリボー5兄妹に変化した。

「そして『団結の力(A)』を『クリバー』に、『団結の力(B)』を『クリビー』に、『団結の力(C)』を『クリブー』に、『魔導師の力(A)』を『クリベー』にそれぞれ装備!あたしのフィールドはモンスターも魔法・罠も5枚!だから『クリバー』と『クリビー』と『クリブー』は攻撃力が4000ポイントアップして、『クリベー』の攻撃力は2500ポイントアップ!!!

「おいおい、引いたカードは3枚目の『団結の力』かよ…。」

【団結の力】
 装備魔法
 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき、
 装備モンスターの攻撃力・守備力は800ポイントアップする。

【魔導師の力】
 装備魔法
 装備モンスターの攻撃力・守備力は、
 自分フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚につき
 500ポイントアップする。

【クリバー】の攻撃力:300→4300

【クリビー】の攻撃力:300→4300

【クリブー】の攻撃力:300→4300

【クリベー】の攻撃力:300→2800

【クリボー】の攻撃力:300

 ったく、予想通りとんでもない攻撃力になったな。
 ついでに1匹だけ攻撃力の低い『クリボー』が相当浮いてるよな。

「そして『クリバー』の効果発動!クリボー5兄妹を合体させるよ!」


【クリバー】(本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
 自分の手札・フィールドから
 「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を融合素材とし、
 エクストラデッキから「クリバビロン」1体を融合召喚する。





「これがクリボー5兄妹の怒りの姿っ!

 邪魔する奴を吹っ飛ばして!

 融合召喚!!!

 これがあたしの切り札!【クリバビロン】!!!」


 クリボー5兄妹たちが縦に重なり、またまたボンッと煙を上げる。
 出てきたのはこれまたクリボーより二回り大きく、一角獣のような角をもったモンスターだ。


『バビ〜☆』


『クリバビロン』の攻撃力と守備力は融合素材となったモンスターの攻撃力の合計になるの!だから、攻撃力は…4300×3が12900で12900+2800だからえ〜っと……5700だよ!!!

「いや、『クリボー』の攻撃力忘れてるから。16000だな。

 どっちにしたって恐ろしい攻撃力に変わりないケドさ。

【クリバビロン】(本作オリジナルver)
 融合・効果モンスター
 星5/闇属性/悪魔族/攻 ?/守 ?
 「クリバー」+「クリビー」+「クリブー」+「クリベー」+「クリボー」
 このカードは「クリバー」の効果でのみ、融合召喚できる。
 フィールド上に表側表示で存在するこのカードをエクストラデッキに戻すことで、
 自分のデッキ・手札・墓地から「クリバー」「クリビー」「クリブー」「クリベー」「クリボー」を
 それぞれ1体ずつ特殊召喚する。
 このカードの元々の攻撃力・守備力は
 融合素材となったモンスターの攻撃力を合計した数値となる。


【クリバビロン】の攻撃力: ?→16000


「さらに手札から装備魔法『地母神の奇跡』発動!墓地からレベル5以下の地属性モンスターを特殊召喚してこのカードを装備する。あたしは『魔法の鍛冶屋 クー・シー』を特殊召喚!

【地母神の奇跡】
 装備魔法
 このカードはフィールドから手札に戻すことが出来ない。
 自分の墓地からレベル5以下の地属性モンスターを1体選択して
 フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。
 装備モンスターの攻撃力は自分の墓地の
 地属性モンスターの数×100ポイントアップする。
 このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。


【魔法の鍛冶屋 クー・シー】の攻撃力:1500→1600


クー・シーは墓地の魔法・罠カードを2枚デッキに戻すことで墓地から装備魔法を発動する!この効果で発動されたカードは破壊されない!あたしは『死者蘇生』『ティンクル・ファイブスター』をデッキに戻して『団結の力(A)』を、『団結の力(C)』と『魔導師の力』をデッキに戻して『団結の力(B)』をいずれも『クリバビロン』に装備!!!フィールドのモンスターは2体だから『クリバビロン』の攻撃力はえっと…1600+1600だから…3200ポイントアップ!!そしてさらに『突進』発動!


【魔法の鍛冶屋 クー・シー】
 効果モンスター
 星5/地属性/獣戦士族/攻1500/守2100
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚できる。
 自分の墓地の魔法・罠カードを2枚デッキに戻すことで、
 自分の墓地から装備魔法を1枚発動する。
 この効果で発動した装備魔法はカードの効果では破壊されない。
 このカードがフィールドを離れた時、
 デッキから装備魔法カードをランダムに1枚手札に加える。


【突進】
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は
 エンドフェイズ時まで700ポイントアップする。



【アイナ】の墓地:12枚→6枚

【クリバビロン】の攻撃力:16000→19900

 なんだそりゃ!  もはや『WRGP』で出てきた『機皇帝グランエル∞(インフィニティ)』よりも高いし…。

 2年前の『全国ライディングデュエルジュニア大会』では俺が『見習い勇者 アルト』と『勇者の紋章』のコンボで10750を叩き出したケド(プロローグ参照)、あれは栄沢が大量のシンクロモンスターを展開したからであって俺一人による物じゃない。ほぼ、栄沢の自業自得だ。
 でもアイナの場合単独でとんでもない攻撃力を叩き出してるからな…。つーか、完全にオーバーキルじゃねえか。

【機皇帝グランエル∞】(アニメver)
 効果モンスター
 星1/地属性/機械族/攻 0/守 0
 このカード以外の自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃する事ができない。
 このカードの元々の攻撃力は、自分のライフポイントと同じになる。
 1ターンに1度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体を
 装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
 この効果で相手モンスターを装備している場合、
 このカードの攻撃力は装備したシンクロモンスターの元々の攻撃力分アップする。
 このカードが破壊された時、自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

【当時の最高攻撃力】:15500


「うわ〜!すごいっ!すごいよ!」

 観津美ちゃんが思わずはしゃぎ出した。

「ふっふーん。どう?凄いでしょ!それじゃあ、バトル!『クリバビロン』で『LS(リンク・スピリット)‐エアリアル・シーフ』に攻撃!」



 ― クリホーン ―



 クリバビロンが角を突きたて猛スピードで突進してくる。

 ケドさ…。相手の伏せカードくらい警戒しようぜ…。
 それに、今までアイナと何回デュエルしたと思ってるんだよ。
 お前みたいなタイプが『相手の伏せカードを無視して攻撃』は死亡フラグだぞ。

「はいはいトラップ発動『其の疾きこと旋風の如く』。このターン自分はダメージを受けず、お互いの風属性モンスターはバトルフェイズの間フィールドを離れない。そして風属性モンスターが戦闘を行う毎にフィールド上のカード1枚を手札に戻せるんだけど、可哀そうだから戻さなくて良いや。


【其の疾きこと旋風の如く。】
 通常罠
 自分フィールド上に風属性モンスターが
 表側表示で存在するのみの場合のみ発動する事ができる。
 このターン自分へのダメージは0になり、
 バトルフェイズの間お互いの風属性モンスターはフィールドを離れない。
 また、風属性モンスターが戦闘を行う毎に、
 フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻すことができる。




 ビュオオォォォォォォッ!!




 エアリアル・シーフが手を前にかざす。
 と同時に疾風の障壁が発生しアイナの『クリバビロン』を押し返した。

「あ〜も〜っ!手加減するな〜っ!!!…っていうかなんでシンマは防御カードをいつも引けるの!!?」

「さぁ?誰かさんがバカスカ攻撃力を上げるから魔法・罠に防御系が増えたのかもね?」

 最近は全く無いケド、小さい頃はアイナに負ける事だってあった。
 ただ、その頃からアイナはバカスカ攻撃力を上げるタイプだった影響なのか俺のデッキの魔法・罠は
 ●『ミラフォや収縮のように迎撃する』
 ●『モンスターを特殊召喚して壁にする』
 ●『耐性を与える』
   とかに傾き気味。
 正直言って『優勢時のダメ押し』のようなカードが少ない。
 尤も、「LS(リンク・スピリット)」は展開力が高いし、ユニオン主体の特徴で破壊に強いからそこまで問題にならないんだけどね。

「うぐぐぐぐ……。あたしはこのままターンエンド…。」



【クリバビロン】の攻撃力:19900→19200


シンマ後攻
ライフ3400
モンスター【LS‐エアリアル・シーフ】(攻:1300)
魔法・罠伏せカード2枚
アイナからコントロール奪取した
【突進】と【ライジング・エナジー】
手札4枚
(内2枚は【マシンナーズ・ギアフレーム】と
【マシンナーズ・ピースキーパー】)
墓地2枚


アイナ先攻
ライフ3900
モンスター【クリバビロン】(攻:19200)
【魔法の鍛冶屋 クー・シー】(攻:1600)
魔法・罠【団結の力】×2(装備対象:【クリバビロン】)
【地母神の奇跡】(装備対象【魔法の鍛冶屋 クー・シー】)
手札0枚
墓地6枚



「んじゃあ、俺のターン。ドロー。」

ドローカード:【エクストラ・フュージョン】

 ありゃ?

 う〜んどうしよう。【見習い勇者アルト】と【勇者の紋章】が手札にあるんだよな…。


 ……うん、わざわざ奥の手の一つを見せなくたって良いよな。
 なんせあれは『【毒蛇神ヴェノミナーガ】みたいに、どうしようもないモンスターが現れた時の為の切り札』だし。
 アイナにも隠しておく位が調度良いだろ。

 アルトと勇者の紋章にも同じ事が言えるんだけど、こちらはアイナも知っている。
 やっぱアイナが知らない方、つまりディジョンの進化形態はなるべく隠しておくか。


【エクストラ・フュージョン】(漫画5D’s)
 通常魔法
 エクストラデッキから融合モンスターカードによって決められた
 融合素材モンスターを墓地へ送り、
 その融合モンスター1体を融合召喚扱いとして
 エクストラデッキから特殊召喚する。


「俺は『見習い勇者アルト』を攻撃表示で召喚。

 青い服を着た金髪の少年剣士が俺のフィールドに現れる。
 ディジョンも『切り札』だけど、やっぱ使い慣れたこいつが『相棒』って感じだな。

【見習い勇者アルト】
 効果モンスター
 星3/無属性/戦士族/攻1000/守1000
 ルール上、このモンスターは全ての属性を持つ。

「そんじゃ、アルトでクリバビロンに攻撃だ。」

 アルトは手に持った剣を構え、クリバビロンに向かって走り出す。
 ちなみに待機している状態やカードのイラストでは、刀身の部分をがっちり握ってるから、あの剣はマジで切れないのか…。

「うわっ!何その嫌な予感しかしない攻撃!!!」

「その、嫌な予感は大当たりだ。速攻魔法発動『勇者の紋章』!攻撃力1000以下の戦士族モンスター1体はこのターン常に、フィールド上に存在する自身と同じ属性のモンスターの攻撃力の合計+1000が攻・守になる!

【勇者の紋章】
 速攻魔法
 フィールド上の攻撃力1000以下の戦士族モンスター1体を選択して発動する。
 このターン選択したモンスターの攻撃力と守備力は常に、
 お互いのフィールド上に存在するそのモンスターと同じ属性を持つモンスターの
 攻撃力を合計した数値+1000となる。

 また、このカードの効果が適用されたモンスターは、
 「勇者の紋章」と自身以外の全ての効果を受けない。
 このカードは発動と効果を無効にされず、
 「発動できない」「チェーンできない」「効果を受けない」効果も無視する。


 このターン【見習い勇者アルト】の攻撃力は実質、自身以外のフィールド上のモンスターの攻撃力の合計+1000

【シンマ】のフィールド:
 【LS‐エアリアル・シーフ】(攻:1300)

【アイナ】のフィールド:
 【クリバビロン】(攻:19200)
 【魔法の鍛冶屋 クー・シー】(攻:1600)

 1300+17700+1600+1000=22100


「ええぇぇぇっっっっっっ!!?!?こ、こここ、こ…こ、こ、攻撃力、に…ににに、22100!!?!?なにを…どうやればそうなるの!?!!?!?」

 おいおい……何をどうやればって…その内20800はアイナ、お前のモンスターの総攻撃力だぞ……。

「…… し、シンマさん凄すぎる………。」

 観津美ちゃんがあんぐりと口をあけた。

「だから俺じゃない!その内攻撃力20800はアイナのモンスターの合計だ!俺のフィールドに存在するモンスターの総攻撃力は2300だけだっての!!!」

 自分で言っといてアレだけど…。それはそれでなんか悲しい……。

 とにかく、アルトはクリバビロンの手前で大きく跳躍する。
 同時にアルトの剣が巨大な光の剣になる。
 光の剣は、風の力、地の力、闇の力を取り込み、より一層美しく鮮やかに輝く。







 ― 勇者の剣(ブレイブ・ソード) ―







『はあぁぁぁっっっっ!!!やあぁぁぁぁっっっっ!!!!!』


 ドガァッッッ!!!!!


 アルトは光の剣を思いっきり振り下ろしクリバビロンを天空の彼方へ吹き飛ばした!!!

 …うん、『吹き飛ばせたケド、切る事は出来なかったんだ』。結局…。


「うわわわわっっっ!」

 アイナが大袈裟に尻餅をつく。

 …ついでに読者の中で変態という名の紳士の方々
 アイナは制服でも普段着でも常に短パンをはいてるからな。
 要するに…、作者がアンタ等に言いたい事は…察しろ。

 「どうしても分からない」?それなら矢印の間をマウス・ドラッグして見な。気分を悪くしたって自己責任ですケド。
 →パンチラすると思ったかww?ざまぁっwww!!!(笑)by某・伝



【アイナ】のライフ:4000→100

「よ、よーし耐えた!鉄壁の100っ!!!次のターンからこの露月アイナが『ズババババーーーン!!!』と大・逆・転!!!!!」

「出来るといいな。エアリアル・シーフでクー・シーを攻撃!」

 エアリアル・シーフが木の葉で再び突撃する。

「えっ!?クー・シーはエアリアル・シーフよりも攻撃力は300ポイント上だよ!!(…って似たような展開が今朝もあったような……。)」

「んにゃ、そうでもないんだよな。エアリアル・シーフの効果で奪った『突進』と『ライジング・エナジー』がある。だからどっちも発動。」

「あ〜〜っ!わ、忘れてた〜〜っっっ!!!」

【突進】
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は
 エンドフェイズ時まで700ポイントアップする。

【ライジング・エナジー】
 通常罠
 手札を1枚捨てる。発動ターンのエンドフェイズ時まで、
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は
 1500ポイントアップする。

【LS‐エアリアル・シーフ】の攻撃力:1300→3500



 ― 疾風突劇 しっぷう とつげき木ノ葉 このは旋空波 せんくうは ―



 エアリアル・シーフがクー・シー突進して怯ませる。
 そのまま凄まじい旋風を起こしクー・シーを吹っ飛ばした。
 うん、流石にクー・シーみたいなファンシーな外見のモンスターを『仕留める』演出はマズイよな…。





 ヒュゥゥゥゥッ!


 クー・シーはそのまま尻餅を突いたままのアイナに落ちてった。


 ボフッ!!!


【アイナ】のライフ:100→0

「むぎゅぅっ!この鬼〜っ!悪魔〜っ!!!鉄壁の100を平気で無視するな〜〜〜っっっ!!!!!」

 鉄壁の100?なにそれ美味しいの?






「んじゃ、犯人捜索はお預けって事で…。」







 ドサッ。






 突然、観津美ちゃんが倒れた。
 顔が真っ青になっている。マズイ…熱中症か日射病だ!

「ミ、ミツミちゃん大丈夫!?シンマ、どうしよう!!?ミツミちゃんの顔が真っ青だよ!!!」

「パニクるのは後だ!直ぐにどっか涼しい所に運ぶぞ!アイナも手伝ってくれ!!!」

「うん、分かった!ミツミちゃんしっかりして!!!」

 俺とアイナ二人がかりでミツミちゃんを運ぶ。


 だめだ!一番近いカードショップにはまだ行列になっている。

 くそっ、よりにもよってそれ以外の一番近い公共施設の図書館まで100m近くあるぞ!
 通行人に協力を求めるしか…。

「ど〜した、困ってるみたいだなぁ?なんなら力を使ってやったっていいぜぇ…。ぷくくくくく…。」

 一瞬、ディジョンの声が聞こえて、視界が真っ暗になった。







 …次の瞬間、俺とアイナと観津美ちゃんは図書館の前にいた。

「え、え!?ええぇ!!?なんで急に図書館の前に…。」

「とにかく、早く中に入って役員さんに助けを求めるぞ!!!」


















 数分後。

 俺とアイナは図書館の中でジュースを買っていた。

「それにしても良かったね。ミツミちゃんの熱中症が軽くて済んで。」

 アイナはそう言って自動販売機からオレンジジュースを取り出した。

 俺は何を飲もうかな…。うん、『○ツ矢サイダー』にしよう。

「だな。しかし、迂闊だったな…。熱中症って自覚症状が出た時には、自力でどうにか出来ない状態になることもあるからな…。」


 あの後、観津美ちゃんは病院に運ばれたんだけど、救急車に入る前に意識を取り戻したから、一応問題は無いんだって救急隊員さん達から聞いた。
 ケド、念のため病院で詳しい検査を行なった後、保護者に迎えに来てもらうんだってさ。

「でも…なんであたし達、図書館の前に一瞬で来ちゃったんだろ?」

 ま、たぶんあいつだろ。
 「次元の賢者」って言われる位なんだし、瞬間移動もお手の物って訳か?

「ぷくくく…さぁ、なんでだろうな。不思議だよなぁ〜〜?」

「そうそう、不思議だよね…って、うわわわわっっっっ!!!何処からともなく声が!!!」

 ま〜た、あいつ姿を消したまんまだし。

「おい、ディジョン。さっさと出て来い。別に人通りも少ないから『いつの間にか変わった格好の男がいた』程度で済むだろ。」



 ズオオォォ…。



 周囲から真っ黒なエネルギーが渦巻く様に集まり、やがて人の形に変化した。
 相変わらず、和洋混合の奇妙な格好してるよな。ディジョンは。


「でぃ、ディジョン!!?二度も驚かすな〜〜っっ!そして大福返せ〜!!!」

 おいおいおい、ま〜だ根に持ってるのかよ…。

「ざんね〜ん、もう既に腹の中からも消えてるz…。」

「ディジョン。お前だろ?俺達をここまで瞬間移動させたのは。」

 低レベルな話をぶった切ってさっさと本題にうつる。

「おっ、流石って所だな。察しが良い。じゃ、『一つ貸し』って事で。」

 あ〜あ、やっぱ、タダな訳ないか…。相変わらずって言えば相変わらずだな。

「なに言ってんの!!?大福盗んどいて!!!」

 ん、ナイスだアイナ。いい事を思いついた。

「全くだ!お前は『3つも』大福を盗み食いしてるんだろ!まだ、俺の方に『二つ貸し』があるぞ。」

「ちっ…。だが、お前等3人を運んだんだ。だからこれでチャラって事だ。じゃ〜ね〜。」

 お前と始めて会って7〜8年位になるんだ。そーゆー事はもう、慣れっこだっての。
 ディジョンは悪態を付きながらまた消えていった。

「こら待てーっ!まだアンタをデュエルでブッ飛ばさないと気か済まないってばーーーーっっっ!!!!!」

 あのさ…。もういい加減その事は水に流せよ…。戻ってくる物じゃないんだし…。
 『諦めたらそこで云々』っていう名言あるケドさ…、いつまでも引きずってたってしょうがない事だろ…ソレ…。

 俺はぎゃー、ぎゃー、騒ぐアイナをどうにか落ち着かせる。
 ここは図書館だぞ。
 役員さんからの視線が痛い。










 15時54分



 俺は図書館でくつろいでいたら変わったニュースがモニターに表示されていた。

「昨日未明。パズルシティ郊外でデュエルギャング組織が何者かにより壊滅される事件が発生。
 目撃者の証言から、犯人は『グリフィンとケンタウロスが融合したようなモンスター』を使い、
 濃いグレーの民族衣装のようなローブとフードを着用している。
という特徴とセキュリティの調べで分かっています。
  デュエルギャング組織はセキュリティにより連行されましたが何名かの重軽傷をおった者が…。」




 ……グリフィンとケンタウロスが融合したようなモンスター…。

 まさか…。

「シンマ!あれって『マッチキル・モンスター』だよね!!?」

 アイナも俺と同じ事を考えていたみたいだ。

「多分そうだろ。それにしても…、パズルシティってあまり治安が良くないのかなぁ?去年の1月くらいだっけ?一度行った時もなんかピリピリした空気を感じたし。」

 またアイナが変な興味を持つ前に話題を反らしてみた。


「あ、パズルシティといえば!『ソガっぺ』と『セナちー』元気にしてるのかな?」

「おい、やめろ。お前や先輩たちがボケ倒したせいで、こっちは生きた心地がしなかったんだぞ……。

 図書館だからトーンこそ縮めていたケド俺は心の奥から声を上げた。


 アイナの言う『ソガっぺ』と『セナちー』って人は、1年と半年位前にパズルシティで…まぁ、色々な意味でお世話になった人達だ。
 状況が状況で、場所が場所だけにあんまり良い意味じゃない無い…。手助けしてもらった事もあったケドさ。

 俺とアイナと『ノナ』と『エリュー』っていう先輩達とパズルシティにどうしても行かなきゃならない用事があって、その時に知り合ったんだ。
 その時、何故か先輩達の間では、あだ名が大ブームだったらしくて…。男の人に『ソガっぺ』、女の人に『セナちー』ってあだ名が…。

 あぁ…、エリューさんが『ソガっぺ』ってあだ名つけた時、女の人がそりゃもう物凄い殺気を放っていたからな…。
 ノナさんが「女の人の機嫌が悪いのはニックネームを付けて貰えなかったからだよ。」なんて言い出して
 アイナが「なるほどー。」とか言って『セナちー』ってあだ名をつけた時には……。



 …ガクガク、ブルブル。
 これ以上思い出すのはやめよう。










 え〜っと、オウカさん(『血の刻印』の作者さん)ゴメンナサイ。
















 7月18日16時26分 ― 三ヶ月町(みかづきちょう) ―




 あの後、日が傾き始めていたからさっさと帰ることになった。
 帰り道の途中、カードショップに寄ってみたんだケド…。







「ええぇぇぇぇーーーっっっ!!!!な、なんでカード屋さんが閉まってるのーーーーーーっっっっっ!!!!!」

 な〜ぜか閉店時間でもないのに閉まっていたんだ。
 まさか…、幾ら『田舎の割には活気がある』って言ったって、こんな所までカードを求める群集でも居たのか?
 まぁ、俺等もこの『田舎町のカード屋』にカードを買いに来たんだけど、地元人だからねぇ。

「なんにせよ、これじゃカードは買えなさそうだ。どうする?」

 俺がふとアイナの方を見ると、早速落ち込んでいた。ずーっと前から思うケド、この子ってホントにその瞬間毎に表情が変わるよな。
 『感情表現が豊か』って言うか、『単純』って言うか…。

「はぁ〜、仕方ないよ……。あたしが無理に『開けろ開けろ』って騒いでも、シンマは『無いものは無いから仕方が無いだろ』って言うもんね…。うん、明日にしよう。」

 珍しく引き際が良いな。まぁ、無駄に迷惑をかける訳じゃないし、良いことなんだケド。

 それにしても、残念なのは俺も同じ。
 折角、『新しい【LS(リンク・スピリット)】が収録されているパックを買おう。』って思ってた矢先にこれだからな…。
 はぁ〜、無駄に時間を使い過ぎたk…。


「お〜っ、悪いね。信間くん、藍奈ちゃん。今、店を開けるからちょっと待っててくれ。」

 っと、俺達が諦めて帰ろうとした時、カード屋の店長さんが戻って来た。
 手には大量の食材が入ったレジ袋を提げている。

「あ〜良かったぁ。こっちのお店までカード切れだと思ったよ〜。」

 アイナがほっとため息をつく。

「いや〜悪い悪い、買い物に行ってたんだけど最近はちっと物騒だろ?女房は『仕事仲間と温泉にいく』って言ってたもんだから店を閉めてたんだよ。」

 店長さんがシャッターを開けてさっさと店を開く支度をした。

「はい、そういう事でいらっしゃい!何を買いたいんだい?オイラからのおススメは、もうすぐ登場する新しい召喚システム『エクシーズ召喚』に向けて、相性の良いカードが集まった特別パック『DUELIST EVOLUTION(デュエリスト・エヴォリューション)』だよ!

 『DAT』でインターネット検索をしてみるとカードリストには『デブリ・ドラゴン』『深海のディーヴァ』『切り込み隊長』『見習い魔術師』『召喚僧サモンプリースト』『墓守の偵察者』だのシンクロ召喚との相性も良いモンスターが沢山収録されていた。
 おっ、新しい「LS(リンク・スピリット)」のチューナーも数枚収録されているし、買う価値あるな。

「じゃあ俺はそれ5つ。」

「えーっと、あたしは…これ。構築済みデッキの『なつれ ふぁいりぃ たるえす』を3個!」

「『NATURE FAIRY TALES(ネイチャー・フェアリー・テイルズ)』な…。そのままローマ字で読むなよ。」

 この、構築済みデッキはナチュルモンスターが(シンクロも含めて)大量に収録されているんだ。
 ただ、大量に収録され過ぎているから同じカードが2つ以上って事がない。

「まぁまぁ、オイラ達は日本人なんだ。しょうがない事さ。それと小耳に挟んだ話なんだが、なんでも夏休み中に全国大会が開かれるんだって?二人とも頑張れよ!」

「はーい、ありがとうございます!」

「そんれじゃ、俺達はこれにて。」

 そう言って俺達は店を出る。

「毎度ー!」




 カードショップから少し歩いたら、俺とアイナ、それぞれの家に続く分かれ道に差し掛かった。

 二人とも三ヶ月町の町外れ辺りに家があるから、周りは林と畑だらけ。
 この町では、季節に合った作物を作るから、季節によって大分景色が変わる。


「そんじゃ、俺はこのまま帰るぞ。分かってると思うが、約束は守れよ。」

「分かってるよ!でも、明日『デュエルドームで試合してる子の内どっちが勝つか』ってゲームに勝てば良いんでしょ!」

 アイナは少し膨れっ面になった。
 そのまま、アイナは帰り道を走っていった。

 んじゃ、俺も帰るか。
 太陽はもう斜めになっているケド、辺りはまだ昼のように明るい。
 林の隙間から溢れる木漏れ日が眩しかった。
























  第十一話   夜街のカーチェイス







 21:34 三ヶ月町  シンマ宅





「(うーん、じゃあガナシアと巨大ネズミを外して、代わりにこの魔法を入れて…)ふう。んじゃ、これ位で良いかな。」

 そう言って俺はデッキ調整を済ませる。

 ん、デッキ内容が知りたい?
 まぁ、気分によって構築を変えているから別に問題ないケド。
 あと、テキストは見せないからな。


 デッキ:47枚

 モンスター21枚
 ・見習い勇者アルト
 ・LS(リンク・スピリット)−フレム・ドラゴ
 ・LS−スノウ・マジシャン
 ・LS−フォレスト・ウルフ
 ・LS−エアリアル・シーフ
 ・LS−???
 ・LS−???
 ・LS−スパーク・イーグル(ユニオン)
 ・LS−ターボ・フライト(ユニオン)
 ・LS−シールド・サーペント(ユニオン)
 ・LS−???(ユニオン)
 ・野生化共生生物−ソルタイト(ユニオン)
 ・メタル化寄生生物−ルナタイト(ユニオン)
 ・マシンナーズ・ギアフレーム(ユニオン)
 ・マシンナーズ・ピースキーパー(ユニオン)
 ・ローンファイア・ブロッサム
 ・オネスト
 ・???(チューナー)
 ・グローアップ・バルブ(チューナー)
 ・霞の谷の戦士(チューナー)

 魔法14枚
 ・勇者の紋章
 ・緊急脱出装置
 ・緊急脱出装置
 ・エレメントの宝札
 ・エレメントの宝札
 ・???
 ・エクストラ・フュージョン
 ・異次元格納庫
 ・月の書
 ・禁じられた聖槍
 ・禁じられた聖杯
 ・サイクロン
 ・コンビネーション・アタック
 ・死者蘇生

 罠12枚
 ・異世界からの訪問者
 ・其の疾きこと旋風の如く。
 ・???
 ・???
 ・???
 ・カインドネス・サンクチュアリ
 ・ディメンション・ゲットライド!
 ・ゲットライド!
 ・つり天井
 ・風林火山
 ・風林火山
 ・威嚇する咆哮



 …47枚中27枚がオリカか…。
 おまけにまだまだ増えるんだよな…。

 この小説にレビューが来たら絶対『オリカは、ほどほどに』って評価されるな。




「んじゃ、今日はこれ位にしt…っと忘れてた。今日買ったカードパックがあるじゃん。」


 クローゼットに掛けてあった制服のポッケから今日買った『DUELIST EVOLUTION』を5つ取り出す。
 カードパックってのは買って開けるまでが楽しいんだよな。

 カードパックの端にある切り込みに沿って封を切る。
 さて、な〜にが出〜るかな。



 1つ目:【デブリドラゴン】【シャインエンジェル】【ガンバラナイト】【シンクロキャンセル】【地獄の暴走召喚】Rare
 うん、『ガンバラナイト』ってカード以外見事なまでにダブったな…。

 ま、カードがダブるなんて事ちっとも珍しいことじゃないケド。
 しかし、『シンクロキャンセル』がノーマル…これは読者のみんなにとっては『そのパック現実によこせ!』だよな…。


 んじゃ次。
 2つ目:【ズババナイト】【マックス・テレポーター】【LS−小寒のキャオル】【カードガード】Super【トゥルース・リィンフォース】Rare
 『ズババナイト』…さっきの『ガンバラナイト』といい何だこのネーミング。

 っと、それは兎も角、この『LS(リンク・スピリット)−小寒のキャオル』ってのは「LS」だよな…。

【LS(リンク・スピリット)−小寒のキャオル】
 チューナー・ユニオンモンスター
 星2/水属性/水族/攻 400/守1200
 ???

 …強くね?フツーに強いよな。この性能でノーマルか…。


 3つ目:【ミノケンサテュロス】【LS−清明のチャンティエ】【くず鉄のかかし】【精神操作】【LS−白露のアゥトゥンノ】Rare
 おっ、今度は2体も。どれどれ…。

【LS−白露のアゥトゥンノ】
 チューナー・ユニオンモンスター
 星2/風属性/雷族/攻 700/守 500
 ???

 うん。結構使えるカードに違いは無いな。『ジャンク・シンクロン』ユニオン版か。

【LS−清明のチャンティエ】
 チューナー・ユニオンモンスター
 星2/地属性/天使族/攻 500/守1000
 ???

 何だこれ?  えぇっと、『DAT』のデータベースによると………。

 ………なるほど、マジで普通のデッキじゃ使えない。
 う〜ん。『エクシーズモンスターと相性の良いカードが多めに収録されたパック』に入ってたのは
 エクシーズモンスターへのメタカードにもなるから収録されたのかもな。



 それじゃ、次だ次。
 4つ目:【同盟軍のサイン】【千差万別】【ナチュル・チェリー】【LS−芒種のヴェラノ】Super【???】hyper
 おぉっ、ハイパーレアか!(現実世界で言うウルトラの事です。)
 …ってナチュル・チェリー以外全部オリカじゃねえか。


 何々…。この2つは、

【同盟軍のサイン】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊された時、
 そのモンスターよりレベルが低く、
 種族・属性が共に違うモンスター1体を
 自分のデッキから表側攻撃表示で特殊召喚する。

【千差万別】
 永続罠
 お互いのプレイヤーは
 それぞれ同じ属性・種族のモンスターが2体以上にならないように
 フィールド上の自分モンスターを墓地へ送る。
 このカードがフィールド上で存在する限り、
 お互いに同じ属性・種族のモンスターを2体以上自分フィールド上に出すことができない。


 2つ共、多属性・多種族デッキに相性の良いカードか。

 んで、ユニオン・チューナーのこいつは…。

【LS−芒種のヴェラノ】
 チューナー・ユニオンモンスター
 星2/炎属性/炎族/攻1000/守 200
 ???

 おー強い!これまた相当強いな…。
 特に、『白露のアゥトゥンノ』や『フレム・ドラゴ』との…ってかユニオンモンスター全部と相性いいじゃん!
 こりゃ、またデッキ構築を変えないとな。

 んでハイパーレアのは…。





 ……。








「マッチキルモンスターには『マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外はこのカードを攻撃対象に選択する事はできない』永続効果があるんだ。」




「ねぇ、シンマ。あたし達も犯人を捜そう。困っている人達を見て見ぬ振りなんて出来ないよ!」








 ………………。


 俺のデッキじゃ、アルトと6大リンク・スピリットしか単独で奴らを攻撃する事はできない。
 しかも、攻撃力をまともに上回れるのは『オネスト』か『勇者の紋章』の加護を受けたアルトだけ。

 だけど、このカードなら『マッチキル・モンスター』の攻撃ロック効果を3ターンの間、無視して攻撃できるな…。









 って何考えてるんだ俺は!

 風馬さん達セキュリティの人達が犯人を追跡してるじゃないか!
 うん。もう、あれから6時間近く経つ。
 今頃、犯人は牢屋の中だっての…。





 あーーーーっっっ、やめだやめだっ!!!

 デッキ構築はまた明日の朝!
 ちょっと早いケド、今日はもう寝る!
 どうせ、アイナ達は明日も5時とか4時位にギャーギャー言いながら家に来るんだろうし、寝る寝る!!!

 …っとその前に、まだ開けてないパックが1個あったな…。























 同刻 ネオ童実野シティ 街中





 ここからの、ナレーターは作者視点です。







 夜になっても尚、活気ある街。ネオ童実野シティ。

 夏独特の蒸し暑い夜の街で、セキュリティ達と窃盗犯との6時間に及ぶカーチェイスが繰り広げられていた。






セキュリティ隊員(A)  
ライフ1000
モンスター【ゲート・ブロッカー2】(守:3000)
魔法・罠【光の護封壁】(払ったライフ:3000)
【スピードエッジ】
スピードカウンター


セキュリティ隊員(B)  
ライフ2600
モンスター【エレキリン】(攻:1200)
【忍者マスターSASUKE】(攻:1800)
【神聖騎士パーシアス】(攻:2600)
魔法・罠伏せカード2枚(1枚はくず鉄のかかし)
スピードカウンター



犯人ターンプレイヤー
ライフ4300
モンスター【黄金の竜(マッチキルモンスター)】(攻:2400)
【タイラント・ドラゴン】(攻:2800)
【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
魔法・罠【竜の瞑想】
スピードカウンター




【ゲート・ブロッカー2】(本作オリジナルver)
 セキュリティ専用・効果モンスター
 星6/地属性/岩石族/攻 100/守3000
 このカードは自分フィールド上に存在する「ゲート・ブロッカー」1体を
 リリースして手札から特殊召喚する。
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手プレイヤーは「スピードワールド」と名の付くフィールド魔法の効果で
 スピードカウンターを乗せる効果を発動する事ができない。
 (このカードはセキュリティに属する者しか使用できない。)

 ※「ゲート・ブロッカー」シリーズは『スピード・ワールド2』にも対応できるようにエラッタしてます。

【光の護封壁】
 永続罠
 1000の倍数のライフポイントを払って発動する。
 このカードがフィールド上に存在する限り、
 払った数値以下の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃をする事ができない。

【スピード・エッジ】
 永続罠
 スタンバイフェイズ毎に、
 自分用スピードカウンターの数値が相手用スピードカウンターの数値より多い場合、
 その差の数値分×300ポイントのダメージを相手ライフに与える。





【エレキリン】
 効果モンスター
 星4/光属性/雷族/攻1200/守 100
 このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。
 このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
 相手はこのターンのエンドフェイズ時まで
 魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事ができない。

【忍者マスターSASUKE】
 効果モンスター
 星4/光属性/戦士族/攻1800/守1000
 このカードが表側守備表示のモンスターを攻撃した場合、
 ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。

【神聖騎士(ホーリーナイト)パーシアス】
 シンクロ・効果モンスター
 星8/光属性/天使族/攻2600/守2100
 チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上
 1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在する
 モンスター1体の表示形式を変更する事ができる。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。





【(黄金の竜)】
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。

 ルール上、このカードは
 このカード以外の魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみ適用される。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●???

【タイラント・ドラゴン】
 効果モンスター
 星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900/守2500
 相手フィールドにモンスターが存在する場合、
 このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。
 このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
 そのプレイヤーは自分フィールド上に存在する
 ドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。

【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

【竜の瞑想】  永続罠  相手ターンのエンドフェイズに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 ドラゴン族モンスターの数×300ポイント自分のライフを回復させる
 この効果によるライフを回復させる効果は
 ライフポイントにダメージを与える効果にできない。




「俺様のターン、ドロー!」

 犯人と思われる男は、オフロード車に似たDホイールに乗っていた。

 その隣に存在する竜達は、様々な姿をしており、「暴君」の名を冠する王道的な姿のドラゴンが咆哮を上げ、
 翼を持たない代わりに非常に長い爪とヒレのようになった後ろ足を持ち、全身が針のような鱗に覆われた竜は獲物を仕留める機会を、今か今かと待ち望んでいる。

 そして、飛び切り巨大な体と肥大化した下顎、金属のような爪と鱗を持つ黄金の竜が静かに佇んでいた。


『マッチキルモンスターは1ターンしかカードの効果を受けない。』よって【光の護封壁】も期限切れだ!!!」

「くっ、だがその『マッチキルモンスター』1体ではこの布陣は破れない!」

 セキュリティ隊員の内、犯人の攻撃ロックを担当している隊員が、やや負け惜しみ気味に叫ぶ。


「忘れてないか?前の俺様のターンに『バトルフェイズをスキップして』効果発動!ってな…。マッチキルモンスターの効果っ!」









 このモンスターは相手プレイヤーにダイレクトアタックできる!!!!







「なっ、なんだと!?」

「そ、そんな馬鹿な…。」

 セキュリティ隊員の間に動揺が広がる。
 事前情報で『マッチキル・モンスターはバトルフェイズをスキップする事で直接攻撃をサポートする効果を持つ』とは知らされていたが、まさかそのまま直接攻撃を行なう効果だとは予想できていなかったのだ。

「マッチキルモンスターでダイレクトアタックだ!!!」

【(黄金の竜)】
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。

 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果を1ターンのみ適用される。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、
 このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。




 黄金の竜が凄まじい殺気を纏いながらパーシアスを使う隊員に突撃する。


「くそぉ!!!『くず鉄のかかし』発動!!!!」

【くず鉄のかかし】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
 発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。

 パーシアス達を従えていた隊員が『くず鉄のかかし』を表にする。無駄な事と分かっていても、何もしないではいられなかった。
 この直接攻撃を通された瞬間、自分たちの敗北は決定するのだから。

「無駄だぁ!『マッチキル・モンスターは攻撃を無効にされない』!!!」





 ― The End Assault ―





「ぐおぉぉっっっっ!!!!!」

 【隊員B】のライフ:2600→200

「そして『マッチに勝利する効果』によりお前らまとめてジ・エンドだぁ!!!」

 黄金の竜は大きく口を開き、超巨大なブレスを吐き出す。






 ー Victory Burst Stream ー






「うわあぁぁぁっっっ!!!!」

「くそおおぉぉぉぉっっっっっっ!!!」

 【隊員(A)】のライフ:1000→0

 【隊員(B)】のライフ:200→0

 二人のセキュリティ隊員に普通のデュエルではありえない衝撃が発生する。
 犯人のDホイールに内蔵された衝撃発生装置のリミッターが外れていたのだ。
 隊員達はそのままクラッシュしてしまった。

「ハーッハッハッハァッ!!!まぁ、ガンバッタ方じゃないのかぁ?他の雑魚共はマッチキル・モンスターを出すまでもなく散ったからな!!!」

 犯人が品のない笑い声を上げ、まるでそれに共鳴するかのように黄金の竜は勝利の雄叫びを上げた。












 ブォン、ブォン、ブォォォォン!!!




 クラッシュしたセキュリティ隊員をすり抜けて1台のDホイールが接近する。セキュリティ共通の白いDホイール。

 乗っていたのは………風馬だ。



「『久我 辰也(くが たつや)』!お前は窃盗、暴行、賭博、公務執行妨害の四件の疑いによりセキュリティより指名手配が出ている。署までご同行願おうか!!!」

「はっ!お前が来る前の奴らはみぃーーーんな二人がかりで来た癖にズタボロだってのに、俺様に一人で挑もうったぁ、いい度胸じゃねぇか!!!お前なんざ、マッチキル・モンスターを出すまでもなく返り討ちにしてやるよ!!!」


 風馬は久我の挑発を無視してDホイールのライディング・デュエルモードボタンを押す。
 相手が衝撃発生装置のリミッターを外している以上、このまま市街地でライディング・デュエルを行なうと、一般の人達にも被害が出てしまうからだ。
 セキュリティのDホイールに内蔵されたプログラムによって強制的に、2台のDホイールはライディング・デュエルのコースに向かう。


「「フィールド魔法、【スピード・ワールド2】セット!!!」」

『らいでぃんぐ・でゅえるもーど。こーすヲ選択シマス。こーす決定!』


 ハイウェイのウォールが上がり、一般車両への退避案内が出される。

『らいでぃんぐ・でゅえるガ開始サレマス。
  一般車両ハ指定ノるーとニ従ッテ退避シテ下サイ。』





「「ライディング・デュエル!アクセラレーション!!!」」





【スピード・ワールド2】
 フィールド魔法
 「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードをプレイした時、
 そのプレイヤーは2000ポイントダメージを受ける。
 お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、
 自分用スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
 自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
 ●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数× 800ポイントダメージを相手ライフに与える。
 ●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 ●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。



 先攻は風馬だ。

「オレのターン、ドロー。『ゲート・ブロッカー』を召喚。カードを2枚セットしてターンエンド。」

 風馬のフィールドに現れたモンスターは岩石の板に目のような模様の付いたモンスターだ。

 『ゲート・ブロッカー』は久我の前に立ちふさがった。まるで、久我の進行を妨げるかのように。

【ゲート・ブロッカー】(本作オリジナルver)
 効果モンスター
 星4/地属性/岩石族/攻 100/守2000
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手プレイヤーは「スピードワールド」と名の付くフィールド魔法の効果で
 スピードカウンターを乗せる効果を発動する事ができない。


「はっ、お前もワンパターンなロックデッキかよ!俺様のターン、ドロー!」


 風馬のスピードカウンター:0→1

 久我のスピードカウンター:0(ゲート・ブロッカーの効果により乗せられない。)



相手フィールドにのみモンスターが存在する時、手札から『バイス・ドラゴン』を特殊召喚!この効果で特殊召喚した場合、『バイス・ドラゴン』の攻・守は半分になる!

 久我のフィールドに全身が悪意で毒々しい紫に染まったドラゴンが出現した。


【バイス・ドラゴン】
 効果モンスター
 星5/闇属性/ドラゴン族/攻2000/守2400
 相手フィールド上にモンスターが存在し、
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。

【バイス・ドラゴン】の攻撃力:2000→1000
            守備力:2400→1200

「さらに『バイス・ドラゴン』をリリースして『ストロング・ウィンド・ドラゴン』をアドバンス召喚!!!」

 久我の上空からコウモリに似た耳とレッド・デーモンズ・ドラゴンのような翼を持つ大型の竜が飛来した。
 その竜はバイス・ドラゴンの悪意を受け継ぎ、さらに力を増した。

「『ストロング・ウィンド・ドラゴン』の効果!!!このモンスターは…。」

『ドラゴン族モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、リリースしたドラゴン族モンスターの攻撃力の半分だけアップする』誘発効果、『同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘では破壊されない』永続効果、『貫通ダメージを与える』永続効果、だろ?ジャックが使っているんだ。それ位知ってるさ。」

 風馬が『ストロング・ウィンド・ドラゴン』の効果説明に割って入る。

【ストロング・ウィンド・ドラゴン】
 効果モンスター
 星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1000
 このカードは同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘では破壊されない。
 ドラゴン族モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、
 このカードの攻撃力はリリースした
 ドラゴン族モンスター1体の攻撃力の半分の数値分アップする。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値分だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。


「あの『キングさん』がねぇ…。…『ストロング・ウィンド・ドラゴン』はリリースしたモンスターの墓地での攻撃力を参照にする。『バイス・ドラゴン』の攻撃力は2000。よって1000ポイントアップし、攻撃力は3400。

【ストロング・ウィンド・ドラゴン】の攻撃力:2400→3400

 風馬が説明に割って入った為か、久我は不機嫌そうに効果の続きを説明する。

「バトルだ。『ストロング・ウィンド・ドラゴン』、あのウザったい『ゲート・ブロッカー』を粉々にしてやれ!!!」

 ストロング・ウィンド・ドラゴンが翼を使い豪風を巻き起こす。



 ― ストロング・ハリケーン ―



 豪風がゲート・ブロッカーを貫通し、文字どうり粉々になってしまう。
 突き抜けた豪風は風馬にも襲い掛かる。

「トラップ発動『緊急指令!クイック・ゲート』!このターン、自分の『ゲート・ブロッカー』と名の付くモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。更に相手によって『ゲート・ブロッカー』と名の付いたモンスターが破壊された時、デッキから『ゲート・ブロッカー』と名の付いたモンスター1体を特殊召喚、その後デッキからカードを2枚ドローし手札を1枚捨てる。オレは『グレイヴ・ゲート・ブロッカー』を守備表示で特殊召喚!!!

 風馬が発動したカードからサイレンの音が響く。
 即座に鋼鉄のシャッターが閉まり、ストロング・ウィンド・ドラゴンの風を防いだ。
 さらに、鋼鉄のシャッターからヒエログリフの様な模様が刻まれた石版が現れた。


【緊急指令!クイック・ゲート】
 セキュリティ専用・通常罠
 相手ターンにのみ発動可能。
 このターン、
 自分の『ゲート・ブロッカー』と名の付くモンスターの戦闘によって発生する
 自分への戦闘ダメージは0になる。
 相手によって『ゲート・ブロッカー』と名の付くモンスターが破壊される度に、
 デッキから『ゲート・ブロッカー』と名の付くモンスター1体を特殊召喚し、
 デッキからカードを2枚ドローする。その後手札を1枚墓地に捨てる。
 (このカードはセキュリティに属する者以外使用できない。)

【グレイヴ・ゲート・ブロッカー】
 セキュリティ専用・効果モンスター
 星6/闇属性/岩石族/攻 100/守2500
 このカードは自分フィールド上に存在する
 「グレイヴ・ゲート・ブロッカー」以外の岩石族モンスターをリリースし、
 墓地から特殊召喚する事ができる。
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手プレイヤーは「スピードワールド」と名の付くフィールド魔法の効果で
 スピードカウンターを乗せる効果を発動する事ができない。
 (このカードはセキュリティに属する者以外使用できない。)


 風馬の手札:3→4

 墓地に送ったカード:【シャドウナイトデーモン】


「チィッ!鬱陶しいなぁっっ!!!カードを1枚セットしてターン・エンドだ!!!!!」

 久我は声を荒げながら乱暴にカードをセットした。


風馬先攻
ライフ4000
モンスター【グレイヴ・ゲート・ブロッカー】(守:2500)
魔法・罠伏せカード1枚
手札4枚
墓地3枚
スピードカウンター



久我後攻
ライフ4000
モンスター【ストロング・ウィンド・ドラゴン】(攻:3400)
魔法・罠伏せカード1枚
手札3枚
墓地1枚
スピードカウンター





「オレのターン。ドロー!」


 【風馬】のスピードカウンター:1→2

 【久我】のスピードカウンター:0(グレイヴ・ゲート・ブロッカーの効果により乗せられない。)


手札から『ヘルウェイ・パトロール』を墓地に送り、『審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)』を特殊召喚!

 風馬のフィールドにチェスの駒のような装飾が施された大きめのローブを羽織った悪魔が召喚される。
 だが、外見は『悪魔』というより『人間の男性』であり、魔法使い族に近い姿をしている。
 そして、カードの背景は『プリズンクインデーモン』の背景を上下反転させた様な絵になっている。


【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)】
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2200/守2000
 このカードは通常召喚できない。
 このカードが攻撃対象に選択された時、
 攻撃対象を別の自分のモンスターに変更できる。
 自分の手札から闇属性・悪魔族モンスター1体を墓地に送る事で特殊召喚できる。
 このカード以外の自分の悪魔族モンスターが攻撃するターン、このカードは攻撃できない。
 1ターンに1度、自分の手札・墓地からレベル4以下の
 「ライフポイントを払う効果」を持つ「デーモン」と名の付くモンスター1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は以下の効果に変更される。
 ●相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。


『審判の悪魔』の効果発動。墓地から『シャドウナイトデーモン』を特殊召喚!


 ジャララララララッッッ!!!


 審判の悪魔が地面に現れた混沌から鎖を引き出す。
 鎖の先端は『剣』のように変化した右腕と『小手』のような左腕を持つ悪魔が繋がれていた。
 幾ら、『ナイトの駒』であっても『駒』である以上『審判』には逆らえないようだ。

【シャドウナイトデーモン】
 効果モンスター
 星4/風属性/悪魔族/攻2000/守1600
 このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に
 900ライフポイントを払う。
 このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、
 その処理を行う時にサイコロを1回振る。
 3が出た場合、その効果を無効にし破壊する。
 このカードが相手プレイヤーに与えるダメージは半分になる。


「バトルだ!『シャドウナイトデーモン』で『ストロング・ウィンド・ドラゴン』を攻撃!」

 『ナイト』の名を持つ悪魔は自分の何倍もある竜に向かって突っ込んでいった。

「ハァッ!?リクルート効果も持たないモンスターで自爆特攻だと!??気でも狂ったか!!?」

「そもそも『自爆特攻』という言葉自体が間違っている!永続罠『混沌王の親衛隊』を発動!エクストラデッキに『デーモン・カオス・キング』が存在する時、自分のレベル4以下の『デーモン』の攻撃宣言時に相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力・守備力を逆転させる!!!

「な、なにぃ!!?」


【混沌王の親衛隊】
 永続罠
 このカードは自分のエクストラデッキの『デーモン・カオス・キング』を
 相手に見せることで発動する。
 自分のレベル4以下の『デーモン』と名の付くモンスターの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 また、自分の『デーモン・カオス・キング』が攻撃する場合、
 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

【ストロング・ウィンド・ドラゴン】の攻撃力:3400→1000


 ズシャッ!!!


 シャドウナイトデーモンがストロング・ウィンド・ドラゴンに斬撃を放つ。
 ストロング・ウィンド・ドラゴンはそのまま爆散した。

【久我】のライフ:4000→3000


「グゥッッ…テメー…、やりやがったなぁぁっっっ!!!!」

 久我が狂気的に叫ぶ。  それはまるで……『怪物(モンスター)』のように。


「そして『審判の悪魔』の効果で特殊召喚したモンスターの効果は『モンスターを戦闘で破壊した時、デッキからカードを1枚ドロー』に変更される。『効果を変更する』のだから『シャドウナイトデーモン』のデメリット効果も消滅する。

 風馬の手札:2→3

「カードを1枚セットしてターンエンドだ!!!」

 『審判の悪魔』は自身以外の悪魔族モンスターが攻撃するターン、攻撃できないデメリットが存在する。
 だが、ノーコストの蘇生効果を考えれば安いものだろう。



「(さて…、奴が油断している状態での不意打ちだから上手くハメる事ができたが、奴は何人ものセキュリティを撃退している。用心しないとな…。)」



風馬先攻
ライフ4000
モンスター【グレイヴ・ゲート・ブロッカー】(守:2500)
【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)】(攻:2200)
【シャドウナイトデーモン】(攻:2000)〈審判の悪魔の効果により効果変更〉
魔法・罠【混沌王の親衛隊】、伏せカード1枚
手札2枚
墓地3枚
スピードカウンター



久我後攻
ライフ3000
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
手札3枚
墓地2枚
スピードカウンター
























 一方その頃、三ヶ月町シンマ宅では…




 ビターーーンッッッ!!!!




 シンマが5つ目のカードパックの内容を見てズッコケていた。
 トレードマークのヘッドフォンも衝撃で吹っ飛ぶ。


5つ目:

 【混沌帝龍 −終焉の使者−】(禁止カード)
 【八汰烏】(禁止カード)
 【魔導サイエンティスト】(禁止カード)
 【ダーク・ダイブ・ボンバー】(禁止カード)

 【罰 則 金】(全て『ボログラフィックレア』)




作者は何が言いたいんだあぁぁ!??アレか?『さーち注尾津』とでも言いたいのか!?
  俺はそんな卑怯な真似してないぞオおオぉぉオオおぉオオオおおォォッっッッ!!!!!!!
   何でよりにもよって最凶クラスの禁止カード4枚締めに『罰則金』が混ざってるんだ!??
    これは『一般の商品っていう設定』だろ!?
     なんで『コンセプトや設定を無視した物』が入ってるんだアあああァぁァァッっっッ!!!!???




 後日、シンマは一晩中、心の中で絶叫していたと語る。

   翌朝まで  夢の中で  延々と。















  第十二話   『勝利』の名を持つ魔竜






【風馬】先攻
ライフ4000
モンスター【グレイヴ・ゲート・ブロッカー】(守:2500)
【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)】(攻:2200)
【シャドウナイトデーモン】(攻:2000)(審判の悪魔の効果により効果変更)
魔法・罠【混沌王の親衛隊】、伏せカード1枚
手札2枚
墓地3枚
スピードカウンター

【久我】後攻
ライフ3000
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
手札3枚
墓地2枚
スピードカウンター




「俺様のターンッ!ドローッ!!!」

 【風馬】のスピードカウンター:2→3

 【久我】のスピードカウンター:0(『グレイヴ・ゲート・ブロッカー』の効果)



「ハーッハッハッハァッ!!ドローしたカードは『Sp−オーバー・ブースト』だぁっ!!!!」

「くっ、厄介なカードを引かれたな…。」



【Sp−オーバー・ブースト】
 通常魔法
 このターン自分用スピードカウンターを4つ増やす。
 エンドフェイズに自分用スピードカウンターを1つにする。


 【久我】のスピードカウンター:0→4



「さらに『Sp−アドバンス・リベンジャー!』を発動!こいつは発動条件が面倒な上、スピードカウンターを4つも取り除く代わりに、便利な効果が三つも有ってなぁ…。
 一つ目、1ターン前に破壊された自分のアドバンス召喚されたモンスター1体とそのモンスターを召喚する為にリリースされたモンスターを蘇生させる!蘇れ!『バイス・ドラゴン』、『ストロング・ウィンド・ドラゴン』!!!



 久我の墓地から復讐の念を纏った2体のドラゴンが復活する。



【Sp−アドバンス・リベンジャー!】
 通常魔法
 前のターンに自分のアドバンス召喚されたモンスターが破壊された場合、
 自分用スピードカウンターを4つ取り除いて発動する。
 そのモンスターとそのモンスターをアドバンス召喚する為にリリースされたモンスターを
 1体ずつ、自分の墓地から特殊召喚する。
 その後、特殊召喚されたモンスター1体のレベルの数だけ、
 お互いのデッキの上からカードを墓地に送り、お互いはデッキからカードを1枚ドローする。
 このカードの効果で特殊召喚されたモンスターは
 攻撃力・守備力が半分になり効果は無効化され、シンクロ素材にする事ができない。

【ストロング・ウィンド・ドラゴン】
 効果モンスター
 星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1000
 このカードは同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘では破壊されない。
 ドラゴン族モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、
 このカードの攻撃力はリリースした
 ドラゴン族モンスター1体の攻撃力の半分の数値分アップする。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値分だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

【バイス・ドラゴン】
 効果モンスター
 星5/闇属性/ドラゴン族/攻2000/守2400
 相手フィールド上にモンスターが存在し、
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。



【ストロング・ウィンド・ドラゴン】の攻/守:2400→1200/1000→500


【バイス・ドラゴン】の攻/守:2000→1000/2400→1200


二つ目!蘇生されたモンスター1体のレベルの数だけお互いのデッキからカードを墓地に送る!『ストロング・ウィンド・ドラゴン』のレベルの数だけデッキからカードを墓地に送らせて貰うぜ!!!

 風馬と久我のデッキから6枚ものカードが墓地に送られる。
 そして久我のデッキから墓地に送られた、ある厄介なカードを風馬は見逃さなかった。

 『ドラゴン・オブ・ブレイカー』。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上のカードを破壊し続ける強力なモンスターだ。

【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


【風馬】の墓地:3枚→9枚

【久我】の墓地:1枚→7枚


三つ目、お互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローする!!!


【風馬】の手札:2枚→3枚

【久我】の手札:2枚→3枚
      スピードカウンター:4→0



 ドローカード:【栄光の宝札】(通常罠)

 ドローしたカードを見て久我は更に、邪悪な笑みを浮かべる。

『バイス・ドラゴン』をゲームから除外して『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を特殊召喚!

 バイス・ドラゴンが黒いオーラに変化し姿を変えていく。
 オーラはやがて全身がメタリックに輝く漆黒のワイバーンに変化した。

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

レベル8以上のドラゴン族モンスターが特殊召喚された時、『紺眼の銀龍(ネイビーアイズ・シルバードラゴン)』を墓地から特殊召喚するっ!更に、レダメの効果発動ォ!!墓地から『ミンゲイドラゴン』を特殊召喚!!!


 久我の墓地から『青眼の白龍』によく似た小柄なワイバーンとトーテムポールのような模様の首が異様に長いドラゴンが現れる。


【紺眼の銀龍(ネイビーアイズ・シルバードラゴン)】
 効果モンスター
 星4/光属性/ドラゴン族/攻600/守500
 レベル8以上の自分のドラゴン族モンスターが特殊召喚された時、
 このカードを墓地から特殊召喚できる。
 このカードがフィールド上に表側表示存在する場合、
 モンスターがアドバンス召喚された時、
 リリースされたモンスターの枚数分、自分のデッキからカードをドローする。


【ミンゲイドラゴン】
 効果モンスター
 星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200
 ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、
 このモンスター1体で2体分のリリースとする事ができる。
 自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 このカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。
 この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。


「ハーッハッハッハッハッハッハァァッッッ!!!感謝するんだなぁぁ!お前は『マッチキル・モンスター』にぶっ潰される権利を得たんだァァッッッッ!!!!」

 久我は品の無い声で勝ち誇ったように叫ぶ。

「なっ、もう手札にいたのか!!!」

 もし、このカードを伏せていなかったら確実に負けていた。
 風馬はそう思った。

「おっと、最初っからいたぜぇ。『ミンゲイドラゴン』とボンクラになった『ストロング・ウィンド・ドラゴン』を生け贄に、出て来いっ!!!
 『マッチキル・モンスター』!!!!!









『我、求める!圧倒的な力を!!!


 我、誓う!真紅に染まりし戦場を!!!


 我、捧げる!仇なす者の骸を!!!


 アドバンス召喚!!!


 黄金に輝く魔竜よ!


 汝に刻まれし名の下に、


 哀れな敗者に滅びあれ!!!


 そして我に、栄光の「勝利」あれ!!!!


 【Victory Dragon】!!!!!』












 ガアアアアァァァァァァッッッッ!!!!!!!









 天空から黄金の竜が凄まじい咆哮を上げながら降りてきた。
 全長は10数メートルを軽々超えている。
 全身は刃物のように鋭く光沢のある金色の鱗に覆われ、
 刀のような銀色の牙と爪を持ち、異様なぐらいに肥大化した下顎がをその力の大きさを示していた。



 そして、その目には風馬と風馬が従えるモンスター達を写していた。
 『確実に止めを刺す。』とでも言いたげな目で。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。



『紺眼の銀龍』の効果発動ォ!モンスターのアドバンス召喚に成功した時、リリースされたモンスターの数だけでドローする!!!


【紺眼の銀龍(ネイビーアイズ・シルバードラゴン)】
 効果モンスター
 星4/光属性/ドラゴン族/攻600/守500
 レベル8以上の自分のドラゴン族モンスターが特殊召喚された時、
 このカードを墓地から特殊召喚できる。
 このカードがフィールド上に表側表示存在する場合、
 モンスターがアドバンス召喚された時、
 リリースされたモンスターの枚数分、自分のデッキからカードをドローする。


 【久我】の手札:1枚→3枚



「さらに、『紺眼の銀龍』を除外して2体目の『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を守備表示で特殊召喚っっっっ!!!!

 『紺眼の銀龍』が黒い影に包まれ2体目の黒い鋼鉄のワイバーンになった。


【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


『レダメ(B)』の効果発動ォォッッ!!!墓地よりボンクラの『S・W・D(ストロング・ウィンド・ドラゴン)』を復活ゥゥッッ!!!!

 幾ら、下級に殴り倒されたからって、もう許してくれよ…。by S・W・D

【ストロング・ウィンド・ドラゴン】
 効果モンスター
 星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1000
 このカードは同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘では破壊されない。
 ドラゴン族モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、
 このカードの攻撃力はリリースした
 ドラゴン族モンスター1体の攻撃力の半分の数値分アップする。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値分だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「バトルだァァ!『S・W・D』で『審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)』を攻撃ッッ!!」

 再び、悪魔のような耳をした巨竜が両翼で破壊の竜巻を起こす。

 竜巻は審判の悪魔へ向かって一直線に吹き荒れ、審判の悪魔に激突…。












 する直前で久我から見て左に反れた。
 審判の悪魔の代わりに攻撃を受けたのは、全身にヒエログリフが刻まれた石版。グレイヴ・ゲートブロッカーだった。

 【久我】のライフ:3000→2900

「何ぃぃっ…!?」

「『審判の悪魔」の効果、攻撃対象に選択された時、別のモンスターに攻撃対象を変更できる!」


【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)】
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2200/守2000
 このカードは通常召喚できない。
 自分の手札から闇属性・悪魔族モンスター1体を墓地に送る事で手札から特殊召喚できる。
 このカード以外の自分の悪魔族モンスターが攻撃するターン、このカードは攻撃できない。
 このカードが攻撃対象に選択された時、
 攻撃対象を別の自分のモンスターに変更できる。
 1ターンに1度、自分の手札・墓地からレベル4以下の
 「ライフポイントを払う効果」を持つ「デーモン」と名の付くモンスター1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は以下の効果に変更される。
 ●相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。



「成ぁる程ォッ!、だが、今度はどうだァ?『レダメ(A)』で攻撃ィッッ!!!」

 2体の鋼鉄のワイバーンの内、1体が口から漆黒の炎弾を吐こうとする。

 そんな最中、久我は自分の墓地のカードをチラリと見る。

「(…俺様の墓地には『ドラゴン・オブ・ブレイカー』が存在する。この攻撃が通れば…。)」

「さっきの『Sp−アドバンス・リベンジャー!』の効果で墓地にドラゴン・オブ・ブレイカーが墓地に送られた所は見ていた。その攻撃は通させはしないっ!トラップ発動『災厄の衝動』!お互いのフィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する!!!」



 ズガガガガガガガッッッッッ!!!!



 壊滅的な嵐が巻き起こり、瓦礫が降り注ぐ。
 フィールド上のモンスターは瓦礫の下敷きになってしまった。

【災厄の衝動】
 通常罠
 自分フィールド上にモンスターが存在する時、
 モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 表側表示のモンスターを全て破壊する。


「ハッ、このターンは凌いだか…。俺様はカードを1枚セットしてターンエンドォ!!!」

 久我は手札に残った『栄光の宝札』をセットしてターンを終えた。

「…だが、カードの効果で破壊したくらいで『マッチキル・モンスター』を倒せると思うなよぉ…。戻って来いっ!『ヴィクトリー・ドラゴン』ッッッッ!!!!」



 ゴゴゴゴゴ…。


 風馬達がとっくに通り過ぎた瓦礫の山。それが、地震でも起きたかのように震え始める。

 ズドォッッッ!!!

 つり天井の残骸を吹き飛ばして黄金の竜が再び飛翔する。



 ゥ゛ゥ゛ゥ゛………。



 グオオオオオォォォォォォッッッッ!!!!!



 黄金の竜、ヴィクトリー・ドラゴンはDホイールすら超える速度で風馬達の背後から追いつき、再び巨大な咆哮を上げた。
 燃えるようにギラギラ輝くその瞳に、1度自分を破壊した者、風馬を写すと更に全身に帯びた『殺気』は更に勢いを増した。



【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。









「(……?ヴィクトリー・ドラゴンの様子おかしい…。)」

 風馬はそう思った。


 風馬は先ほど、『ヴィクトリー・ドラゴン』止めを刺された隊員達と、ある作戦を練っていた。



 まず、久我は何人ものセキュリティを撃破している。
 おまけに、敗北した隊員はクラッシュした事により大怪我を負っているため、まともに久我の戦略が読めていない。

 その為、2人の隊員がロック側と攻撃側でペアを組み、久我のデッキのカードを可能な限り出させる。
 もちろん、このまま久我を倒せば十分なのだが、流石にそうはいかない。
 しかし、少し離れた所から追跡班の中で最も実力のある風馬がそのデュエルをよく観てサイドデッキで対策を練る。
 そして、二人が倒された瞬間、風馬が間髪入れずに久我にデュエルを仕掛けることで、ほぼ久我の戦略を知った上での勝負に持ち込む。



 と言うものだ。



 結果として久我のこれまで戦略は大方、風馬の予想通りだった。

 しかし、ヴィクトリー・ドラゴンが出現した瞬間から風馬はある違和感に気付いた。
 少し離れた所から見ていた時も、確かに威圧感があった。
 だが、あくまでもソリッド・ビジョンのように『立体映像』にしか見えなかった。

 が、今のヴィクトリー・ドラゴンはまるでソリッド・ビジョンが実体化したかのような雰囲気だ。
 風馬とそのモンスター達に向けられた『殺意』もまるで本物のような…。


「(まさか…また、『地縛神』だの『ゴースト』だのそういう厄介な類なのか…?)」

 マッチキル・モンスター達は『神のカード一般化計画』の副産物…。
 その可能性は十分にある。

「(しかし、そうなるとまた遊星やジャック達にこの街の命運が…。いや、今はデュエルに集中しよう。)」



【風馬】(先攻)  ライフ:4000  モンスター:無し  魔法・罠:【混沌王の親衛隊】  手札:3枚  墓地:13枚 スピードカウンター:3



【久我】(後攻)  ライフ:2900  モンスター:【ヴィクトリー・ドラゴン】(攻:2400)  魔法・罠:伏せカード1枚  手札:0枚  墓地:10枚  除外:2枚 スピードカウンター:0



「オレのターン、ドロー!」

【風馬】のスピードカウンター:3→4

【久我】のスピードカウンター:0→1

『Sp−エンジェル・バトン』を発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札を1枚捨てる。そして俺が捨てたのは『深淵の暗殺者』。よって効果により墓地から『闇の仮面』を手札に戻す。

【Sp−エンジェル・バトン】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。
 自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。

【深淵の暗殺者(ナイト・アサシン)
 効果モンスター
 星3/闇属性/悪魔族/攻 200/守 500
 リバース:相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する。
 また、このカードが手札から墓地へ送られた時、
 自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。

【闇の仮面】
 効果モンスター
 星2/闇属性/悪魔族/攻 900/守 400
 リバース:自分の墓地に存在する罠カード1枚を選択して手札に加える。


【風馬】の手札:4枚→5枚

「そして、オレのフィールド上にモンスターが存在せず、墓地に闇属性モンスターが5体以上存在する事により『ダーク・クリエイター』を守備尾表示で特殊召喚!『ダーク・クリエイター』の効果発動。墓地の『深淵の暗殺者』を除外して墓地から『審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)』を蘇生!

 風馬のフィールドに黒い雷を纏った巨人が現れる。
 巨人は手からエネルギーを集め、『審判の悪魔』を復活させた。

【ダーク・クリエイター】
 効果モンスター
 星8/闇属性/雷族/攻2300/守3000
 このカードは通常召喚できない。自分の墓地に闇属性モンスターが5体以上存在し、
 自分フィールド上にモンスターが存在していない場合に特殊召喚する事ができる。
 自分の墓地の闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
 自分の墓地の闇属性モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。


『審判の悪魔』の効果発動。墓地から『シャドウナイトデーモン』を特殊召喚!

 『審判の悪魔』が再び鎖を引き抜き、『シャドウナイトデーモン』を呼び出す。
 Dホイールの速度がさらに上がっている為、その様子は高速船での一本釣りのようにも見えた。


【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2200/守2000
 このカードは通常召喚できない。
 自分の手札から闇属性・悪魔族モンスター1体を墓地に送る事で手札から特殊召喚できる。
 このカード以外の自分の悪魔族モンスターが攻撃するターン、このカードは攻撃できない。
 このカードが攻撃対象に選択された時、
 攻撃対象を別の自分のモンスターに変更できる。
 1ターンに1度、自分の手札・墓地からレベル4以下の
 「ライフポイントを払う効果」を持つ「デーモン」と名の付くモンスター1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は以下の効果に変更される。
 ●相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

【シャドウナイトデーモン】
 効果モンスター
 星4/風属性/悪魔族/攻2000/守1600
 このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に
 900ライフポイントを払う。
 このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、
 その処理を行う時にサイコロを1回振る。
 3が出た場合、その効果を無効にし破壊する。
 このカードが相手プレイヤーに与えるダメージは半分になる。


「さらに『Sp−ジャマー・ガイスト』を発動!相手のフィールドに『ガイストトークン』を2体まで特殊召喚する。ガイストトークンの表示形式は相手が決定するから、単独ではサンドバックには出来ないけどな。

 久我のフィールドに真っ黒な亡霊が2体出現した。

【Sp−ジャマー・ガイスト】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが4つ以上存在する場合のみ発動できる。
 相手フィールド上に「ガイストトークン」(アンデット族・闇・星3・攻/守1900)を
 2体まで特殊召喚する。(表示形式は相手が決定する。)
 「ガイストトークン」が破壊された場合、墓地のカードを1枚除外する。


「まだだ、手札の『闇の仮面』を捨てる事で、2体目の『審判の悪魔』を特殊召喚。効果により墓地から『ジェノサイドキングデーモン』を蘇生!

 2体目の『審判の悪魔』が鎖を引き出し、冠のような頭を持つ悪魔を『ナイトの駒』と同じく一本釣りのように引きずり出した。
 えぇ、『キングの駒』だろうが何だろうが問答無用ですとも。

【ジェノサイドキングデーモン】
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500
 自分フィールド上に「デーモン」という名の付いた
 モンスターカードが存在しなければこのカードは召喚・反転召喚できない。
 このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に800ライフポイントを払う。
 このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、
 その処理を行う時にサイコロを1回振る。
 2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。
 このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。


「バトルだ!『シャドウナイトデーモン』『ジェノサイドキングデーモン』の2体で『ガイストトークン』を攻撃!!!」



 ― 炸裂!五臓六腑 ―



 シャドウナイトデーモンが1体目のガイストトークンを両断し、
 ジェノサイドキングデーモンが自らの体内から蟲を出現させ2体目のガイストトークンを粉々に砕いた。


 「『ディスカバード・アタック』のイラストは一体何なんだ」とツッコミを入れてはいけない。
 『炸裂!五臓六腑』はアニメGXでの攻撃名なのだから、これが正しい攻撃名なのだ。


『審判の悪魔』の効果で特殊召喚されたモンスターの効果は『戦闘で相手モンスターを破壊した時、デッキからカードを1枚ドローする』効果に変更される。さらに『ガイストトークン』が破壊される度に、墓地のカードを1枚除外する。オレはデッキからカードを合計2枚ドローし、お前の墓地から「ストロング・ウィンド・ドラゴン」と「ドラゴン・オブ・ブレイカー」を除外する!!!

「ちぃ、厄介な効果だ。」

【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)】
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2200/守2000
 このカードは通常召喚できない。
 自分の手札から闇属性・悪魔族モンスター1体を墓地に送る事で手札から特殊召喚できる。
 このカード以外の自分の悪魔族モンスターが攻撃するターン、このカードは攻撃できない。
 このカードが攻撃対象に選択された時、
 攻撃対象を別の自分のモンスターに変更できる。
 1ターンに1度、自分の手札・墓地からレベル4以下の
 「ライフポイントを払う効果」を持つ「デーモン」と名の付くモンスター1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は以下の効果に変更される。
 ●相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

【Sp−ジャマー・ガイスト】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが4つ以上存在する場合のみ発動できる。
 相手フィールド上に「ガイストトークン」(アンデット族・闇・星3・攻/守1900)を
 2体まで特殊召喚する。(表示形式は相手が決定する。)
 「ガイストトークン」が破壊された場合、墓地のカードを1枚除外する。


【風馬】の手札:1枚→3枚

【久我】の墓地:10枚→8枚



「カードを1枚セットしてターンエンドだ。(しかし、ヴィクトリー・ドラゴンの攻撃ロック効果のせいで上手くダメージを与えることができないな…。)」

 予め、久我の戦略が分かっている以上、ここまでは、完全に風馬が優性だ。
 …久我のフィールドに『ヴィクトリー・ドラゴン』が存在する事を除けば…だが…。









「ククククク……はーっはっはっは!」

 久我が突然大声で笑い出した。
 自分が追い詰められているにも関わらず。



「どうした?6時間も飲まず食わずでカーチェイスしてたせいで気でも狂ったか?」

 風馬の言うとおり久我はこのカーチェイスを1度も休まずにぶっ続けで行なっている。
 本当に疲労がたまってもおかしくない。

「キヒヒヒ…おっと失礼。いや、正直お前をそこらの雑魚だと思っててな…油断してたぜ…。だったら、俺様もこの『マッチキル・モンスター』の恐ろしさを教えてやるぜぇ!!!!エンドフェイズにトラップ発動『栄光の宝札』っっっっ!!!!デッキから相手のフィールド上のカードの枚数分ドローする!!そして、手札から魔法・罠カードを任意の枚数分セットできるんだよォ!!!よって俺様はお前のフィール上のカードの枚数、つまり7枚ドローする!!!そして、手札からカードを3枚セットッッ!!!!!

「なっ、なんだって!?滅茶苦茶なドロー強化じゃないか!!!」


【栄光の宝札】
 通常罠
 このカードの発動と効果は無効にされない。
 フィールド上の「マッチキル・モンスター」1体を選択して発動する。
 このカードの発動後、次の自分のターン終了時まで
 自分のモンスターは攻撃できない効果を無視する。
 また、以下の効果のから1つを選択して適用する。
 ●選択したモンスターのレベルの半分までデッキからカードをドローする。
 その後、自分の手札から魔法・罠カードを任意の枚数セットできる。
 ●相手フィールド上のカードの枚数分までデッキからカードをドローする。
 その後、自分の手札から魔法・罠カードを任意の枚数セットできる。


【久我】の手札:0枚→4枚
   伏せカード:0枚→3枚



【風馬】(先攻)  ライフ:4000  モンスター:【ダーク・クリエイター】(守:3000) 【シャドウナイトデーモン】(攻:2000)〈【審判の悪魔】の効果で効果変更〉 【ジェノサイドキングデーモン】(攻:2000)〈【審判の悪魔】の効果で効果変更〉 【審判の悪魔】(攻:2200) 【審判の悪魔】(攻:2200)  魔法・罠:【混沌王の親衛隊】伏せカード1枚  手札:2枚  墓地:12枚  除外:1枚 スピードカウンター:4

【久我】(後攻)  ライフ:2900  モンスター:【ヴィクトリー・ドラゴン】(攻:2400)  魔法・罠:伏せカード3枚  手札:4枚  墓地:9枚  除外:4枚 スピードカウンター:1



「俺様のターン!ドロォォォッッ!!!!」

【風馬】のスピードカウンター:4→5

【久我】のスピードカウンター:1→2

『Sp−ハイスピード・クラッシュ』発動ォ!破壊対象は『ダーク・クリエイター』と俺様のセットされたカード1枚っ!さらに破壊対象となった『無力の証明』をチェーン!お前のモンスターは全滅だぁっっっっ!!!!!」

「くっ、マズイ!!」

【Sp−ハイスピード・クラッシュ】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。
 フィールド上に存在するカード1枚と、
 自分フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。

【無力の証明】
 通常罠
 自分フィールド上にレベル7以上のモンスターが
 表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。
 相手フィールド上に表側表示で存在する
 レベル5以下のモンスターを全て破壊する。
 このカードを発動するターン、
 自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃する事ができない。


 Dホイールの加速による強烈なエネルギーで『ダーク・クリエイター』が粉砕され、
 ヴィクトリー・ドラゴンの一撃で風馬のデーモン達は一掃される。
 久我が『衝撃発生装置』のリミッターを外しているせいで衝撃は風馬にも及ぶ。

「ぐぅっっ…。」




 キキィィィィィィッッ!!!!




 衝撃によって風馬のDホイールはスピンしてしまう。
 が、そこはセキュリティの精鋭『デュエルチェイサーズ』で1、2を争う実力の風馬だ。素早く体勢を立て直す。

「そしてっ!『ミラージュ・ドラゴン』を攻撃表示で召喚っ!こいつの効果でバトルフェイズにお前は罠カードを使用できないぜェェッッ!!!そのまま、バトルフェイズに突入だァァァッッ!!!」



【ミラージュ・ドラゴン】
 効果モンスター
 星4/光属性/ドラゴン族/攻1600/守 600
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手はバトルフェイズに罠カードを発動する事はできない。



 シュオオォォォ……。



 幻影の龍が放つ霧が風馬の伏せカードを遮っていく。
 このままでは、その伏せカードは使えなくなり『ヴィクトリー・ドラゴン』の攻撃を遮るものは完全に無くなる。
 『無力の証明』の攻撃できないデメリットも『栄光の宝札』の効果で無視される。
 そして、一発でもマッチキル・モンスターの直接攻撃を通せば久我はマッチに勝利する。



 そうなってしまえば風馬は………負ける…………。



【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。




【栄光の宝札】
 通常罠
 このカードの発動と効果は無効にされない。
 フィールド上の「マッチキル・モンスター」1体を選択して発動する。
 このカードの発動後、次の自分のターン終了時まで
 自分のモンスターは攻撃できない効果を無視する。

 また、以下の効果のから1つを選択して適用する。
 ●選択したモンスターのレベルの半分までデッキからカードをドローする。
 その後、自分の手札から魔法・罠カードを任意の枚数セットできる。
 ●相手フィールド上のカードの枚数分までデッキからカードをドローする。
 その後、自分の手札から魔法・罠カードを任意の枚数セットできる。



















  第十三話   夜街の激走!











「くっ、まだだっ!メインフェイズ1終了宣言時にトラップカード『強制脱出装置』発動!このカードの効果で『ヴィクトリー・ドラゴン』を手札に戻す!!!

 バトルフェイズが開始する直前に、風馬が罠カードを発動した。
 カードから展開された装置の力により、十数メートルはある黄金の竜の巨体は天空へと吹き飛ばされていった。
 だが、マッチキル・モンスターに魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンしか適用されない。
 このターンが終われば『ヴィクトリー・ドラゴン』は直ぐさま天空から舞い戻ってくるだろう。

【強制脱出装置】
 通常罠
 フィールド上に存在するモンスター1体を持ち主の手札に戻す。


「だが、これでお前のフィールドはがら空きだ!『栄光の宝札』の効果により、このターン終了まで俺様のモンスターは攻撃できない効果を無視するぅ!ミラージュ・ドラゴンでプレイヤーにダイレクトアタックゥゥゥゥゥィェッッッッ!!!」


 ― ミラージュ・クラッシュ ―


 幻影の龍が爪を使って風馬に斬撃を加える。
 当然、衝撃発生装置のリミッターが外れている以上、風馬に本物のようなダメージが加わる。

「ぐあぁっっ!!!」

 【風馬】のライフ:4000→2400


「ハーッハッハッハァッ!ターンエンドだァァッッ!!戻って来いィィィ!!!!『ヴィクトリー・ドラゴン』ッッッッ!!!!!」


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは、魔法・罠・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。




 ズオオォォォォォォォ……。




 『強制脱出装置』の効果で天空へ追放された黄金の竜が再びフィールドに舞い降りる。








 …と同時に異変は起きた。






 ガシャーーーンッッ!!! バリーーーーンッッ!





 ハイウェイの強化ガラスで出来た壁が割れた。
 ヴィクトリー・ドラゴンが舞い降りた時に発生した風圧で。

 幾ら衝撃発生装置のリミッターが外れていても、発生させられる衝撃の方にも限界がある。
 そして、この強化ガラスの硬度は衝撃発生装置を最大出力にしてもヒビが入る程度なのだ。
 それなのに…ガラスは割れた。…………粉々に。

「なっ、どうなってやがる…。」

「おいおいどーしたぁ?お前のターンだぜぇ?」

 風馬が驚愕するのに対して久我はまるでこの現象を気にしていない。



 それも『これが普通』と思っている……、のでは無く『この奇怪な現象が何も見えていない』とでも言っているかのように。




【風馬】先攻
ライフ2400
モンスター無し
魔法・罠【混沌王の親衛隊】
手札2枚
墓地18枚
除外1枚
スピードカウンター


【久我】後攻
ライフ2900
モンスター【ヴィクトリー・ドラゴン】(攻:2400)
【ミラージュ・ドラゴン】(攻:1600)
魔法・罠伏せカード2枚
手札3枚
墓地11枚
除外4枚
スピードカウンター



「迷っていても仕方無い。オレのターン、ドロー!」

【風馬】のスピードカウンター:5→6

【久我】のスピードカウンター:2→3

「モンスターを裏守備表示で召喚。カードを1枚セットして、ターンエンドだ。」

 風馬がエンド宣言した瞬間、久我が伏せカードを表にする。

永続罠発動『竜の瞑想』ォォォ!!!相手ターンのエンドフェイズに自分のドラゴン族の数×300ポイントライフを回復ゥゥゥッッ!!!!」

【竜の瞑想】
 永続罠
 相手ターンのエンドフェイズに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 ドラゴン族モンスターの数×300ポイント自分のライフを回復させる
 この効果によるライフを回復させる効果は
 ライフポイントにダメージを与える効果にできない。

【久我】のライフ:2900→3500

「俺様のターン!ドロー!!!」

【風馬】のスピードカウンター:6→7

【久我】のスピードカウンター:3→4

「今度こそ終わりにしてやるっ!『ミラージュ・ドラゴン』で裏守備モンスターを攻撃ィィ!!!」

 ハイウェイのカーブに指しかかった所で、幻影の龍が風馬のモンスターに襲い掛かる。


「墓地から『ネクロ・ガードナー』の効果発動!『ミラージュ・ドラゴン』の攻撃を無効にする!」

 ミラージュ・ドラゴンの攻撃を半透明の戦士の影が受け止める。

【ネクロ・ガードナー】
 効果モンスター
 星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300
 自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
 相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

「だったら、『ヴィクトリー・ドラゴン』で攻撃だァァァァッッッッ!!!!」





 ― The End Assault ―





 黄金の竜が膨張し続ける『殺意』を『鎧』に変えて突進する。

「お前が攻撃したのは『ダーク・リゾネーター』だ!このモンスターは1ターンに1度、戦闘では破壊されない。

【ダーク・リゾネーター】
 チューナー・効果モンスター
 星3/闇属性/悪魔族/攻1300/守 300
 このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。


 小型の悪魔が音叉による音のバリアを張り、黄金の竜の攻撃を耐える。
 …が、



 ズガガガガガッッッッ!!!!



 黄金の竜の攻撃が反れハイウェイの床と壁に激突する。

 激突した跡は、ぽっかりと穴が開いてしまった。
 急なカーブであった為、風馬は一瞬しかその様子を見ることが出来なかったが、驚愕させるには十分だった。

「なっ、なんてこった…。コンクリートの床まで粉々に…。」

 ヴィクトリー・ドラゴンは壁を壊しながらコースアウトした後、空中でUターンしながら戻って来た。


メインフェイズ2に『Sp−エンジェル・バトン』を発動ゥッ!デッキからカードを2枚ドローし手札を1枚捨てるッッ!」

【Sp−エンジェル・バトン】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。
 自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。

「ククク……ぎぃぃっ!エンドフェイズ時にエンジェル・バトンの効果っで捨てた『真紅眼の飛竜』の効果発動ォッ!墓地からレダメを復活ゥゥッッ!!!!!」


【真紅眼の飛竜】
 効果モンスター
 星4/風属性/ドラゴン族/攻1800/守1600
 通常召喚を行っていないターンのエンドフェイズ時に、
 自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
 自分の墓地に存在する「レッドアイズ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


【風馬】先攻
ライフ2400
モンスター【ダーク・リゾネーター】(守:300)
魔法・罠【混沌王の親衛隊】、伏せカード1枚
手札1枚
墓地17枚
除外2枚
スピードカウンター


【久我】後攻
ライフ3500
モンスター【ヴィクトリー・ドラゴン】(攻:2400)
【ミラージュ・ドラゴン】(攻:1600)
【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】(攻:2800)
魔法・罠【竜の瞑想】、伏せカード1枚
手札4枚
墓地13枚
除外5枚
スピードカウンター



「(このままだと街に被害がでるのも時間の問題だ!)オレのターン、ドロー!」


【風馬】のスピードカウンター:7→8

【久我】のスピードカウンター:4→5


『Sp−フルアクセル!』発動!自分のスピードカウンターを全て取り除き、デッキから2枚ドローする。そして、自分で数えて4ターン後のスタンバイフェイズ終了時まで、『スピード・ワールド』と名の付くカードの効果で乗る自分用スピードカウンターは2倍になる!

【Sp−フルアクセル!】
 通常魔法・セキュリティ専用
 自分用スピードカウンターが8つ以上存在し、
 自分の手札・フィールドのカードの合計が相手の手札・フィールドの
 カードの合計より少ない場合のみ発動できる。
 自分用スピードカウンターを全て取り除き、デッキからカードを2枚ドローする。
 自分で数えて4ターン後のスタンバイフェイズ終了時まで
 「スピード・ワールド」と名の付くフィールド魔法の効果で乗せる
 自分用スピードカウンターは2倍になる。
 (このカードはセキュリティに属する者以外使用できない。)


【風馬】の手札:2枚→3枚
スピードカウンター:8→0

「そして永続罠『リビングデッドの呼び声』発動。墓地から『魔族召喚師(デビルズ・サモナー)』を特殊召喚さらに、『魔族召喚師』を再度召喚する!

 風馬のフィールドにどう見ても悪魔にしか見えない魔術師が現れた。
 魔術師は不気味な呪文をぶつぶつと唱え続けていた。


【リビングデッドの呼び声】
 永続罠
 自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 


【魔族召喚師】
 デュアルモンスター
 星6/闇属性/魔法使い族/攻2400/守2000
 このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
 通常モンスターとして扱う。
 フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
 このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
 ●手札または墓地に存在する悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 この効果によって特殊召喚された悪魔族モンスターを破壊する。


再度召喚した『魔族召喚師』の効果発動!墓地から『審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)』を特殊召喚する!続けて『審判の悪魔』の効果で『ジェノサイドキングデーモン』を特殊召喚する!

 風馬のフィールドにモンスター達が高速で並ぶ。

【審判の悪魔(ジャッジ・デーモン)】
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2200/守2000
 このカードは通常召喚できない。
 このカードが攻撃対象に選択された時、
 攻撃対象を別の自分のモンスターに変更できる。
 自分の手札から闇属性・悪魔族モンスター1体を墓地に送る事で特殊召喚できる。
 このカード以外の自分の悪魔族モンスターが攻撃するターン、このカードは攻撃できない。
 1ターンに1度、自分の手札・墓地からレベル4以下の
 「ライフポイントを払う効果」を持つ「デーモン」と名の付くモンスター1体を特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は以下の効果に変更される。
 ●相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。


【ジェノサイドキングデーモン】
 効果モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500
 自分フィールド上に「デーモン」という名の付いた
 モンスターカードが存在しなければこのカードは召喚・反転召喚できない。
 このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に800ライフポイントを払う。
 このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、
 その処理を行う時にサイコロを1回振る。
 2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。
 このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。



「いくぞっ!レベル4の『審判の悪魔』にレベル3の『ダークリゾネーター』をチューニングっっ!!!」





『煉獄を制する王者の脈動!

 混沌より来たりて、邪と交わりし者に獄炎の一閃を放て!!!

 シンクロ召喚!!!

 進撃せよ、誇り高き【デーモン・カオス・キング】!!!!!』




 ズズズ……。


 風馬のフィールドに仮面のような物が浮遊する。
 仮面の周りに黒煙が集まり始め、やがて体が細い不気味な魔王が出現する。

 悪魔の両腕と背中から生えた刀のような角のような物体から真紅の炎が噴出す。

 これが風馬のエースモンスター『デーモン・カオス・キング』だ。


【デーモン・カオス・キング】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/闇属性/悪魔族/攻2600/守2600
 悪魔族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。


「バトルだ!『デーモン・カオス・キング』で『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を攻撃!!!デーモン・カオス・キングが攻撃する時、相手フィールド上の全てのモンスターの攻・守を入れ替える!!!

 混沌の黒煙が久我のモンスター達を混乱させる。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 攻:2400→3000

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】 攻:2800→2400

【ミラージュ・ドラゴン】 攻:1600→600


「罠カード発動だ…うぅぅ…。『次元幽閉』ィィィッッ!!!!これで、手前ェのエースモンスターもあの世行きだァァァッッッッ!!!!」

 久我が最後の伏せカードを表にしようとする。
 だが、その目論見は叶わない。

「無駄だっ!永続罠『混沌王の親衛隊』の効果により、『デーモン・カオス・キング』が攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠を発動できない!!!


【混沌王の親衛隊】
 永続罠
 このカードは自分のエクストラデッキの『デーモン・カオス・キング』を
 相手に見せることで発動する。
 自分のレベル4以下の『デーモン』と名の付くモンスターの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 また、自分の『デーモン・カオス・キング』が攻撃する場合、
 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。


 デーモン・カオス・キングの両腕に付いた刀が更に激しく燃え上がり、真紅に染まる。
 仮面の魔王は鋼鉄のワイバーンに向かって獄炎の斬撃を放った。


 …、ところでこの『デーモン・カオス・キング』。アニメ5D’sの視聴者イラスト投稿で当選したモンスターの1つなのだが、(他には『ドリル・ウォリアー』『D・クリーナン』等がいる)ハガキに書いてあった攻撃名には『ファイア・ソード』と書かれてあるらしい。はたして風馬はその攻撃名を叫ぶのだろうか?





 ― ファイア・ソード ―




 …叫んだ。



 ジュワアアアァァッッッッ!!!!!



 それは兎も角、獄炎の斬撃はレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを一撃で焼き切った。



「グゥゥゥッッッッ……。」

【久我】のライフ:3500→3300

「さらに、『魔族召喚師』で『ミラージュ・ドラゴン』に攻撃っ!」

「今度こそトラップ発動ォッッ!『次元幽閉』ィィッッ!!」



【次元幽閉】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 その攻撃モンスター1体をゲームから除外する。


「だが、まだ『審判の悪魔』の効果で特殊召喚された『ジェノサイドキングデーモン』がいる!『ジェノサイドキングデーモン』で『ミラージュ・ドラゴン』を攻撃っ!『混沌王の親衛隊』の効果は発動しない。よって『ミラージュ・ドラゴン』の攻撃力は600のままだ!」

 ― 炸裂!五臓六腑 ―

「グォォォォ………。」

【久我】のライフ:3300→1900

「そして『審判の悪魔』の効果で特殊召喚されたモンスターの効果は『戦闘でモンスターを破壊した時、カードを1枚ドローするに変更される!

【風馬】の手札:3→4

 ドローカード:【D.D.クロウ】

「(…!)カードを2枚セットして、ターンエンド。」

 エンドフェイズに久我の『竜の瞑想』の効果により久我のライフを僅かに回復させる。

【竜の瞑想】
 永続罠
 相手ターンのエンドフェイズに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 ドラゴン族モンスターの数×300ポイント自分のライフを回復させる。
 この効果によるライフを回復させる効果は
 ライフポイントにダメージを与える効果にできない。


【久我】のライフ:1900→2200



【風馬】先攻
ライフ2400
モンスター【デーモン・カオス・キング】(攻:2600)
【ジェノサイドキングデーモン】(攻:2000)
魔法・罠【混沌王の親衛隊】、【リビングデッドの呼び声】(対象無し)、伏せカード2枚
手札2枚
墓地17枚
除外3枚
スピードカウンター


【久我】後攻
ライフ2200
モンスター【ヴィクトリー・ドラゴン】(攻:2400)
魔法・罠【竜の瞑想】
手札4枚
墓地16枚
除外5枚
スピードカウンター


「アーッハッハッh…うぅっ………。俺様の……タアアァァァン!!!ドロォォォッッッッ!!!!!!」

 だんだん久我の叫び声が大きくなってゆく。
 そもそも『栄光の宝札』を使用してから久我の言動に異変が生じていた。
 まるで、「風馬とはまた別の何かと戦っているかのように…。」


【風馬】のスピードカウンター:0→2(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我】のスピードカウンター:5→6


「キヒヒh…、『Sp−D・D・リターン』発動ォォォッッッッ!!!!手札から『タイラント・ドラゴン』を捨てて除外された『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を特殊召喚ッッッッ!!!!!!」

 異次元から翼の無い青い龍が現れた。
 全身は針のような鋭い鱗に覆われ、前足には非常に長い爪が生え、後ろ足はヒレのようになっている。
 青い龍は長い間、異次元に閉じ込められていた為か「待ってました」と言わんばかりに咆哮を上げる。
 溢れ出す破壊衝動は敵を全て切り裂いたは、味方すらその爪の染みに変え、最後には自分自身さえもその爪の赤い染みにしてしまうだろう。

【Sp−D・D・リターン】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが6個以上存在する場合のみ発動できる。
 手札を1枚捨て、ゲームから除外されている自分のモンスター1体を選択して
 攻撃表示でフィールド上に特殊召喚する。


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

「フー、ハー、フー、ハー…。……ククク…………ぐぅっっ!バァァァァァトォォォォォルゥゥゥゥゥだぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!『ヴィクトリー・ドラゴン』で『ジェノサイドキングデーモン』をォぉォ攻撃ィィィィィィッッッッッッッッ!!!!!!!!!」



 ガアアアアアァァァァァァァァッッッッッッ!!!!!



 黄金の竜が久我の叫び声に応じるように咆哮を上げ突進する。
 もし、ここに精霊の声を聞く事ができる者がいたら黄金の竜の声をこのように聞いていただろう。
 「一秒でも早くあの白バイに乗った奴をぶっ潰す」…と。





 ― The End Assault ―





 しかし、そう簡単にデュエルが終わる訳が無かった。

「トラップ発動『万能地雷グレイモヤ』!『ヴィクトリー・ドラゴン』を破壊だ!」

 ズドォンッ!ズドンッズドンッッ!!!

 黄金の竜の真下から大爆発が起こり、黄金の竜は爆風の中に消えてしまった。


【万能地雷グレイモヤ】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手フィールド上に表側攻撃表示で存在する
 攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する。


「ウウウゥゥゥッッッ!!!だがっっっ!『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を破壊しなかったのは失策だなぁぁぁぁっっっっ!!!!『ドラゴン・オブ・ブレイカー』で攻撃ェェェィィィィィィィィィィッッッッ!!!!!!」

 ズシャァァァァッッッッ!!!!!

 長い爪を持つ青い龍により『ジェノサイドキングデーモン』は両断された。

「くっっ!」

 風馬はこれ以上衝撃発生装置によるリアルダメージを喰らわない為にDホイールを素早く壁際に寄せた。

【風馬】のライフ:2400→2000


「ハーッ、ハーッ、ハァッ!…俺様は……カードを1枚セットしてぇぇぇッッ、タァァァン…エンドだァァァァァッッッッッッ!!!!!!」

 そう言いながらも久我のフィールドにセットされたカードは2枚だった。

「そしてぇっ『ヴィクトリー・ドラゴン』は…。」

「悪いが復活させはしない!エンドフェイズ終了時に手札から『D.D.クロウ』の効果発動!『ヴィクトリー・ドラゴン』は除外されるっ!!!マッチキル・モンスター達の耐性効果はフィールド及びフィールドから離れた直後の場所でのみ発揮される。言い換えれば『2回除去する』ことに弱いんだ!!!これでもう『ヴィクトリー・ドラゴン』は復活しない!!!!」

 黄金の竜が爆風の中から帰還している最中に次元の裂け目から何千羽ものカラス達が襲い掛かった。

【D.D.クロウ】
 効果モンスター
 星1/闇属性/鳥獣族/攻 100/守 100
 このカードを手札から墓地へ捨てて発動する。
 相手の墓地に存在するカード1枚を選択し、ゲームから除外する。
 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。



 ギャアアアアアァァァァァァッッッッ!!!!!



 黄金の竜が怒号を上げながらその爪で、牙で、尾で、カラス達を何羽も引き裂き、噛み砕き、打ち落とすがカラス達の数が多すぎる。
 やがて黄金の竜は異次元へと葬り去られた。


「ば…馬鹿な…そんな…マッチキル・モンスターが………セキュリティ一人如きに負けるだと………?ありえない……ありえない………ありえないッッありえないっっ!ありえないィィィィィィッッッッッッッッ!!!!!!!」


「いや、違うな。お前は6時間ぶっ続けでライディング・デュエルをしていた。お陰で、こっちはお前の戦術やデッキの内容は大体把握していたんだ。不確定要素だったマッチキル・モンスター共通の効果も『直接攻撃する』という、ある意味隙だらけな効果だった。『栄光の宝札』は流石に焦ったが、それでもどうにかここまで切り抜けることが出来た!お前はオレに負けるんじゃない!!!オレ達セキュリティに負けるんだ!!!!!

 まだ、完全に風馬の勝ちが決まった訳ではない。
 だが、これまで久我の最後の砦とも言えた『ヴィクトリー・ドラゴン』はもう……復活できない。
 厄介な除去効果を持つ『ドラゴン・オブ・ブレイカー』が久我のフィールドに残っているが、それを次のターンに倒す算段も風馬は思いついている。
 ハッキリ言って次のドローフェイズをスキップされても勝てると確信するくらいに。


「クソがぁぁぁぁぁっっっ!!そんな訳あるかっ………がっ…かぁぁぁぁぁっっっっ!!!?!?!?!!??!!!?」

 突然、久我が両手で頭を抑えた。

「(おいおいこんな時に何やってるんだ?この先はカーブだぞ。激突する。)」

 風馬の言うとおり二人のDホイールの前方にはやや急なカーブがある。
 このまま久我が曲がらなかったら壁に激突し、Dホイールが大破するか、壁を突き抜けて海に落下する。










 だが、突然久我のオフロード車に似たDホイールはギリギリのタイミングでカーブし、激突せずに済んだ。

 しかし問題は久我が激突しなかったことではない。
 久我がハンドルから手を離しているにも関わらず、Dホイールがカーブした事なのだ。

「おいおいおい…もう、これぐらいの事は驚きとか通り越して『また、滅茶苦茶な怪奇現象かよ』って思えてきたぞ。……って、今度はなんだ!!?」




 突然、久我の周りに黒い三日月のような形の影が幾つも噴き出した。

「ううぅぅっっ………お…おお…ぐががが……が………………が………………………。」

 黒い影は久我の周りを回転する様にねじれながら上へ上へと噴き出している。
 さらに久我自身からも暗い色のオーラが表れた。
 オーラは複数の色に変化しており、黒を基調に暗い青や赤の波動が混じっている。


「な、なんだ…あの黒い影とオーラは……、『マッチキル・モンスター』と関係があるのか。」



「うあ……あ…が、が…。………………。」











 ……………………。




















 …………………………………。




















 ……………………………………………。












「……ククククク…………。クハハハハハッッッッ……、アーッハッハッハッハッハ!!!!!!」


 久我がまた大声で笑う。
 同時に黒い影もそれに共鳴するように渦巻く。さっきよりも速いスピードで。

 久我の身体にも変化が現れた。
 両手の爪がまるで『竜』のように鋭くなり、背中から2本の角のような物が生えた。
 角のような物体の色合いは、辺りが暗くて分かり辛いが恐らく白に近い色だろう。


 そしてその瞳は、にごった赤色に発光している。


「ククククク…おおっと、悪いな時間取らせて。だがもう少〜し待ってくれ。『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の強制効果を忘れててな。『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の強制効果発動!エンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカード1枚を破壊する。破壊対象は『デーモン・カオス・キング』!………と、行きたい所なんだがこの先厄介になりそうな『混沌王の親衛隊』を破壊!

「なっ…。(まさか、伏せカードを読まれたか?)」


 ― ディープ・ブレイク・ネイル ―


 ズシャァァッッ!!!!


 青い破壊龍が風馬の永続罠を引き裂いた。


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


「んじゃ、今度こそホントにターンエンド。あ、そういや『カードを1枚セットして』って言ったけど、見ての通り『2枚』だからな、2・ま・い!」

 先ほどとは別人のような口調で久我はターンを終了させた。




【風馬】先攻
ライフ2000
モンスター【デーモン・カオス・キング】(攻:2600)
魔法・罠【リビングデッドの呼び声】(対象無し)、伏せカード1枚
手札2枚
墓地20枚
除外3枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ2200
モンスター【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
魔法・罠【竜の瞑想】、伏せカード2枚
手札1枚
墓地18枚
除外5枚
スピードカウンター




「オレのターン、ドロー!」

【風馬】のスピードカウンター:2→4(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我(?)】のスピードカウンター:6→7

『魔導戦士ブレイカー』を召喚。このカードの召喚に成功した時、魔力カウンターをこのモンスターに1つ置く。

 風馬のフィールドに赤いローブを纏った、騎士が召喚された。
 その魔剣には小さな魔力が込められている。
 ブレイカーはこの力を解放することで、相手の呪術を払う事ができるのだ。


【魔導戦士ブレイカー】
 効果モンスター
 星4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守1000
 このカードが召喚に成功した時、
 このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。
 このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、
 このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
 また、このカードに乗っている魔力カウンターを1つ取り除く事で、
 フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。


『魔導戦士ブレイカー』の効果発動!このカードの魔力カウンターを一つ取り除く事でフィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する!対象は…オレから見て右のカードだ!」

 ― マナ・ブレイク ―


 パリーンッ!

 ブレイカーが剣に秘められた魔力を解放して久我の伏せカード1枚を破壊する。

破壊されたカード:【聖なるバリア−ミラーフォース−】


「よしっ!そのままバトルだ!『デーモン・カオス・キング』で『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を攻撃!」

 仮面の魔王が青い破壊龍に斬りかかる。


 だが、その攻撃はがらくたで出来た案山子に防がれてしまった。

「おぉっと残・念!トラップ発動『くず鉄のかかし』。攻撃は無効!いや〜良かった良かった。前のターンで『デーモン・カオス・キング』を破壊してたら、きっと蘇生されて『混沌王の親衛隊』の効果で『くず鉄のかかし』は発動できず、そのまま俺の負けだったぜ〜。」

「だが、『デーモン・カオス・キング』の効果で『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の攻・守は逆転する。『魔導戦士ブレイカー』で追撃!」


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】の攻撃力:2400→100

 再び、仮面の魔王の黒煙により、青い破壊龍は混乱した。
 闇雲に爪を振り回す、その龍は隙だらけだ。
 その隙を逃さんとばかりに赤いローブの騎士が切りかかる。
 だが、それも1体の飛竜によって防がれる。

「おぉっと、何処からとも無く、『砦を守る飛竜』が〜。効果でバトルフェイズ終・了&1枚ドロー!

【砦を守る飛竜】
 効果モンスター
 星4/風属性/ドラゴン族/攻1400/守1200
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが
 自身より攻撃力の高いモンスターの攻撃対象に選択された時、
 このカードをデッキに戻す事で、その攻撃を無効にしバトルフェイズを終了する。
 その後、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
 「砦を守る飛竜」の効果はデュエル中1度しか発動できない。


「…?(奴の口調、体に異変が現れてから大分変わってないか?)カードを1枚セットして、ターンエンド。」



 ― ディープ・ブレイク・ネイル ―



 風馬がエンド宣言した瞬間に『ドラゴン・オブ・ブレイカー』が風馬の『デーモン・カオス・キング』を引き裂いた。


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


「おっと、悪い悪い。『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果は各ターンのエンドフェイズに必ず訪れるんだよな。更に『竜の瞑想』の効果で俺のライフは回復だ。


【久我(?)】のライフ:2200→2500


【竜の瞑想】
 永続罠
 相手ターンのエンドフェイズに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 ドラゴン族モンスターの数×300ポイント自分のライフを回復させる
 この効果によるライフを回復させる効果は
 ライフポイントにダメージを与える効果にできない。



【風馬】先攻
ライフ2000
モンスター【魔導戦士ブレイカー】(攻:1600)
魔法・罠【リビングデッドの呼び声】(対象無し)、伏せカード2枚
手札1枚
墓地21枚
除外3枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ2500
モンスター【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
魔法・罠【竜の瞑想】、伏せカード(『くず鉄のかかし』)
手札1枚
墓地19枚
除外5枚
スピードカウンター


 先ほどの凶暴な言動とは打って変わって、三日月のような黒い影を纏う久我の言動には余裕すら感じられた。






















  第14話  奇怪な死闘







 本編開始前にお詫び。
 第13話で風馬の『魔族召喚師』が『次元幽閉』で除外された際に『リビングデッドの呼び声』が破壊されていますが、
 『リビングデッドの呼び声』の自壊条件は「そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。」だった為、自壊していません。
 (2011年4月10日現在、既に管理人さんに修正を依頼しています。)  しかも、この後のデュエルの展開に響いています。
 「あれ?なんでリビデがあるの?」と思った方は第13話辺りの『魔族召喚師』が『次元幽閉』を喰らった部分を見てくれると助かります。
 ([Ctrl]+[F]キーで「次元幽閉」と検索して見ると楽です。)
 それでは、【DIMENSIONAL STORY マッチキルモンスターの脅威】を引き続きお楽しみください。
 by某・伝説達







「俺のターン。」


【風馬】のスピードカウンター:4→6(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我(?)】のスピードカウンター:7→8



「カードを2枚セット。ターンエンドだ。エンドフェイズに『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果発動。『魔導戦士ブレイカー』を破壊。



 ― ディープ・ブレイク・ネイル ―



【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。



【風馬】先攻
ライフ2000
モンスター無し
魔法・罠伏せカード2枚、
【リビングデッドの呼び声】(対象無し)
手札1枚
墓地22枚
除外3枚
デッキ11枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ2500
モンスター【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
魔法・罠【竜の瞑想】、
伏せカード3枚(1枚は『くず鉄のかかし』)
手札0枚
墓地19枚
除外5枚
デッキ14枚
スピードカウンター
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】



「オレのターン、ドロー!」


【風馬】のスピードカウンター:6→8(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我(?)】のスピードカウンター:8→9


『闇次元の解放』を発動!除外された『魔族召喚師』を特殊召喚。さらに『魔族召喚師』を再度召喚する!『魔族召喚師』の効果発動。戻って来い!『デーモン・カオス・キング』!!!」

 風馬のフィールドに再び悪魔のような容姿の魔導師が姿を現す。

 魔導師が念じると、仮面の魔王が復活した。


【闇次元の解放】
 永続罠
 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択し、
 自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 そのモンスターを破壊してゲームから除外する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【魔族召喚師】
 デュアルモンスター
 星6/闇属性/魔法使い族/攻2400/守2000
 このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
 通常モンスターとして扱う。
 フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
 このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
 ●手札または墓地に存在する悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 この効果によって特殊召喚された悪魔族モンスターを破壊する。


【デーモン・カオス・キング】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/闇属性/悪魔族/攻2600/守2600
 悪魔族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。



「バトルだ!『デーモン・カオス・キング』で『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を攻撃っ!」



 ― ファイア・ソード ―



「ククク……、分かっていると思うが、その攻撃は通用しないぜ。『くず鉄のかかし』再発動!攻撃は無効だ!


【くず鉄のかかし】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
 発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。


「だが、『デーモン・カオス・キング』の効果で『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の攻守は逆転するそのまま『魔族召喚師』で追撃!」

 悪魔にしか見えない魔導師が呪詛を唱え、青い破壊龍を打ち落とす。

【久我(?)】のライフ:2500→200

 久我のライフがセーフティゾーンを下回る。

「ひゅー、危ねぇ危ねぇ。だが、バトルフェイズ終了前に、トラップ発動『闇次元の解放』。効果により『ヴィクトリー・ドラゴン』を帰還させる。

 空間を切り裂いて黄金の竜が姿を現した。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。


「そんでもって、2枚目の『栄光の宝札』を発動。効果により、デッキから4枚ドローし、カードを2枚セットする。


【栄光の宝札】
 通常罠
 このカードの発動と効果は無効にされない。
 フィールド上の「マッチキル・モンスター」1体を選択して発動する。
 このカードの発動後、次の自分のターン終了時まで
 自分のモンスターは攻撃できない効果を無視する。
 また、以下の効果のから1つを選択して適用する。
 ●選択したモンスターのレベルの半分までデッキからカードをドローする。
 その後、自分の手札から魔法・罠カードを任意の枚数セットできる。
 ●相手フィールド上のカードの枚数分までデッキからカードをドローする。
 その後、自分の手札から魔法・罠カードを任意の枚数セットできる。



【久我(?)】の手札:0→2枚
     伏せカード:1→3枚



「あんな超絶ドローカードを2枚も…。だけど、これで終わりだ!メインフェイズ2に『スピード・ワールド2』の効果発動!スピードカウンターを4つ取り除き、手札の『Sp(スピードスペル)』1枚に付き800ポイントダメージを与える!オレの手札の『Sp』は1枚。つまり800ポイントのダメージ!お前のライフを削りきるには十分だ!!!」


【スピード・ワールド2】
 フィールド魔法
 「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードをプレイした時、
 そのプレイヤーは2000ポイントダメージを受ける。
 お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、
 自分用スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
 自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
 ●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数× 800ポイントダメージを相手ライフに与える。
 ●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 ●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。


 風馬の手札の「Sp」:【Sp−トークン・ブースト】

 風馬のスピードカウンター:8→4

 スピードから生み出された雷が久我に向かって放たれる。

 …が、


「おぉっと、残念。手札から『ハネワタ』を捨てて、ダメージはゼ・ロ。

 ドラゴン使いの筈の久我から何のシナジーもないカードが使われた。


【ハネワタ】
 チューナー(効果モンスター)
 星1/光属性/天使族/攻 200/守 300
 このカードを手札から捨てて発動する。
 このターン自分が受ける効果ダメージを0にする。
 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。


「くっ、ターンエンド。」

「そんじゃ、エンドフェイズに『竜の瞑想』の効果で300ポイント回復。あと、『マッチキル・モンスター』に魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンしか適用されないんだよな。って事で『ヴィクトリー・ドラゴン』は早速、退場退場。」

【久我(?)】のライフ:200→500



【竜の瞑想】
 永続罠
 相手ターンのエンドフェイズに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 ドラゴン族モンスターの数×300ポイント自分のライフを回復させる
 この効果によるライフを回復させる効果は
 ライフポイントにダメージを与える効果にできない。


【風馬】先攻
ライフ2000
モンスター【魔族召喚師】(攻:2400)
【デーモン・カオス・キング】(攻:2600)
魔法・罠【闇次元の解放】、伏せカード1枚、
【リビングデッドの呼び声】(対象無し)
手札2枚
墓地20枚
除外3枚
デッキ11枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ500
モンスター無し
魔法・罠【竜の瞑想】、
【闇次元の解放】(対象無し)、
伏せカード3枚(1枚は『くず鉄のかかし』)
手札1枚
墓地22枚
除外5枚
デッキ10枚
スピードカウンター
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】


「ひゅー、今は海の上のコースか…。景色が良いねぇ!それじゃあ、俺のターンだ。ドロー。」

 久我の言う通り、海を真下に臨む橋に差し掛かった。


【風馬】のスピードカウンター:4→6(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我(?)】のスピードカウンター:9→10



「ククククク………。セキュリティの兄さんよぉ。『闇の力』ってのに興味あるか?」

 突然、久我が物騒な事を聞いてきた。

「や、闇の力だと……?」


「ああ、別に欲しいか欲しくないか聞いてるんじゃない。『闇の力は偉大だ』って考えも興味の一つだし、逆に『闇の力は滅ぼすべきだ。』って考えとかも興味の一つだからな……。」


「だったら、『一応興味がある』って事になるな。なんせ、この手の事件で『闇の力』は一番厄介だ。」

 風馬はやや眉間にシワを寄せながら答えた。

「クハハハッ!だったら話が早い。なんせアンタ等が追っているであろうこの事件。『闇の力』が関わっているんだからな……。」


「なっ、それじゃあ、また遊星達に…それ以前に龍亜くんや龍可ちゃんのような子供達を巻き込むのか!!?」

 『罪の無い人々が巻き込まれるかもしれない』。そう直感した風馬が怒鳴る。

「おっと、それは本人の意思次第だ…。さて、それは兎も角、興味があるなら見せてやるよ。『真の闇の力』………の、ほんのごく一部をな…。」


 久我の周囲に渦巻く三日月型の影の動きがより一層速くなる。


「それじゃあ早速闇の力の一部を見せてやる…。トラップカード『インフィニティ・リバース』発動!お互いのプレイヤーは好きな魔法・罠カード名を1つ宣言できる。そしてデュエル終了まで宣言されたカードをターンプレイヤーは裏側表示に出来るのさ。発動コストとして俺はライフを半分失うが、たったの500だからなぁ!問題ないさ。さて、俺は『闇次元の解放』を宣言。お前はどうするんだ?ちなみに、相手プレイヤーが宣言したカードも裏側表示にできるぜ。」


【インフィニティ・リバース】
 通常罠
 ライフを半分払って発動する。
 お互いのプレイヤーはカード名を一つ宣言する。
 デュエル終了時までお互いのプレイヤーはそれぞれ自分のターンに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 宣言された魔法・罠カードを任意の枚数裏側表示にできる。


【久我(?)】のライフ:500→250


風馬は少し考えた後、「『リビングデッドの呼び声』だ。」と答えた。

「それじゃ、2枚目の『闇次元の解放』を発動!『ヴィクトリー・ドラゴン』を帰還させる!そんでもって早速『インフィニティ・リバース』の効果で2枚の『闇次元の解放』をセットする。


【闇次元の解放】
 永続罠
 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択し、
 自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 そのモンスターを破壊してゲームから除外する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。



 再び、空間を切り裂いて黄金の竜が舞い降りる。

 そして…



 ガシャーーーンッッ!!!



 舞い降りた際の風圧で強化ガラスのウォールが再び砕けた。

「うおぁっ!!?」



 キイイイィィィィィッッッッ!!!!



 ソリッドビジョンでは実際に起こりえない風圧により風馬のDホイールが吹っ飛ばされる。
 風馬は隣にある道路までジャンプして突風を凌いだ。


 風馬がハイウェイの合流地点まで追いついた時、久我のDホイールからナビゲータの電子音が響く。

『[ヴィクトリー・ドラゴン]ガ特殊召喚サレタ為、[ヴィクトリー・ドラゴン]ニ内蔵サレタるーるかーどヲ発動シマス。』

 電子音の内容を聞いて風馬は驚愕した。

「なっ、ルールカードだって!!?それは『ライディング・デュエル』だけしか発動されない筈じゃ……。」


「ククク…『マッチキル・モンスター』にはなぁ、とある共通した『ルールカード』が内臓されているのさ…。そして、それは特殊召喚された時のみ発動する権利が与えられる。そんな事より、『ルールカード』が発動されたって事は『追加ルール』が適用されるんだぜ。」

 風馬がDホイールのディスプレイに表示されたルールカードに目を通した。
 それには…。


【『一撃』の脅威】
 ルールカード
 このカードは「マッチキル・モンスター」が特殊召喚された場合のみ使用できる。
 以下のルールを追加ルールとして適用する。
 ●「マッチキル・モンスター」は特殊召喚されたターンの間のみ
 バトルフェイスをスキップせずに効果を発動できる。
 フィールド・墓地・除外ゾーンに「マッチキル・モンスター」が存在しないプレイヤーは
 それぞれから見て相手のターン開始時に1度、デッキからカードを1枚ドローできる。


「!?、じゃあまさか、『ヴィクトリー・ドラゴン』は!!?」

「その、ま〜さか!直接攻撃できるぜ〜♪」





 ― The End Assault ―






 ガアアアァァァァッッッッ!!!!


 黄金の竜が再び突進攻撃を放つ。

「まだだ!トラップ発動『ガード・ブロック』!戦闘ダメージを0にする!戦闘ダメージが0の場合は直接攻撃に成功した事にはならない!!


【ガード・ブロック】
 通常罠
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。


 風馬のフィールドに張られたバリアの力で間一髪、黄金の竜の攻撃を反らした。


 ガラガラガラッッッ!!!


 が、ヴィクトリー・ドラゴンの攻撃が今度はハイウェイに直撃する。
 ハイウェイは崩落しその残骸はヴィクトリー・ドラゴンごと海へ落ちていった。

「ひゅー、怖え〜っ!!!街中でこれと同じ現象が出たら大惨事だよな〜。」

 先程とは打って変って奇怪な現象が久我にも見えているようだ。

「くっ!さっきからガラスが割れるわ橋が崩れるわ、一体何が起きているんだ!!?」

 ヴィクトリー・ドラゴンが海から戻って来た瞬間、黒い霧となり漆黒のワイバーンに変化した。


【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


「どうせターン終了時に消えちまうんで、Vドラを除外して3体目にのレダメを特殊召喚だ。レダメの効果発動、墓地から『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を復活。
 黒いワイバーンの咆哮により、巨大な爪を持つ青い破壊龍が墓地より目覚めた。

「カードを1枚セットしてターンエンドだ。『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果により『闇次元の解放』を破壊。『闇次元の解放』が破壊された事により『魔族召喚師』もドカーン!『魔族召喚師』」がフィールドを離れた事により『デーモン・カオス・キング』も、ドカーンッ!

 ふざけた口調で久我はターンエンドする。

【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


【風馬】先攻
ライフ2000
モンスター無し
魔法・罠【リビングデッドの呼び声】(対象無し)
手札2枚
墓地23枚
除外4枚
デッキ11枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ250
モンスター【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】(攻:2800)
【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
魔法・罠【竜の瞑想】、伏せカード4枚
(『くず鉄のかかし』1枚、『闇次元の解放』2枚、不明1枚)
手札0枚
墓地22枚
除外5枚
デッキ9枚
スピードカウンター11
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】



「オレのターン、ドロー!」


【風馬】のスピードカウンター:6→8(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我(?)】のスピードカウンター:10→11



「(今度こそ!) スピードカウンターを4つ取り除いて『スピード・ワールド2』のダメージ効果発動。手札の「Sp」は『Sp−トークン・ブースト』と『Sp−ハーフ・シーズ』の2枚!よって1600ポイントのダメージだ!!!」


【スピード・ワールド2】
 フィールド魔法
 「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードをプレイした時、
 そのプレイヤーは2000ポイントダメージを受ける。
 お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、
 自分用スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
 自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
 ●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数× 800ポイントダメージを相手ライフに与える。
 ●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 ●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。


「おっと残念。ライディング・デュエル専用罠『ライト・ベロシティ・リカバリング』発動!俺のスピードカウンターの数×400ポイントライフを回復。更に、自分フィールド上のカードを1枚墓地に送ることで自分の墓地からモンスターカードを1枚手札に加える。って事で4400ポイントライフを回復して『くず鉄のかかし』を墓地に送り、墓地から『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を手札に加える。ククク……、危ない、危ない。もう少しで負ける所だったぜ。」


【ライト・ベロシティ・リカバリング】
 通常罠
 自分用スピードカウンターが4つ以上の場合のみ発動できる。
 自分用スピードカウンターの数×400ポイント自分のライフを回復させる。
 また、自分用スピードカウンターが8つ以上の場合、
 自分フィールド上のカードを1枚墓地に送ることで、
 自分の墓地からモンスターカードを1枚手札に加える。



【久我(?)】のライフ:250→4650→3050
      手札:0→1枚

【風馬】のスピードカウンター8→4



「くっ、ならば2回目の『スピード・ワールド2』の効果発動。1600ポイントダメージ。そしてお前が発動した『インフィニティ・リバース』の効果で『リビングデッドの呼び声』を裏側表示に変更。


【インフィニティ・リバース】
 通常罠
 ライフを半分払って発動する。
 お互いのプレイヤーはカード名を一つ宣言する。
 デュエル終了時までお互いのプレイヤーはそれぞれ自分のターンに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 宣言された魔法・罠カードを任意の枚数裏側表示にできる。


【久我(?)】のライフ:3050→1450

【風馬】のスピードカウンター:4→0



「そんじゃ、エンドフェイズに『竜の瞑想』の効果により600ポイントライフを回復。そして、『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果でお前のフィールドに存在する表側表示のカードを破壊させてもらうぜ!」


【竜の瞑想】
 永続罠
 相手ターンのエンドフェイズに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 ドラゴン族モンスターの数×300ポイント自分のライフを回復させる
 この効果によるライフを回復させる効果は
 ライフポイントにダメージを与える効果にできない。


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


【久我(?)】のライフ:1450→2050



「………ってアレ?あれ!?あれれーーっっ!?!?お前のフィールド伏せカードばっかりじゃん!!!?それってつまり……。」



 ― ディープ・ブレイク・ネイル ―



 久我の『竜の瞑想』が青き破壊龍の爪の餌食になった。

「オーノーッ!自滅かよ!?なんてこった、まさか本来メリットになる筈の効果が裏目に出やがった〜〜っ!!!!」

 久我は相変わらずふざけた口調で叫び声を上げる。



【風馬】先攻
ライフ2000
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚(【リビングデッドの呼び声】)
手札3枚
墓地23枚
除外4枚
デッキ10枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ2050
モンスター【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】(攻:2800)
【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
魔法・罠伏せカード3枚
(その内2枚が『闇次元の解放』)
手札1枚
墓地23枚
除外5枚
デッキ9枚
スピードカウンター11
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】



「トホホ…。さて、下らない冗談はこれぐらいにして、俺のターン…、ドロー。あ、ついでに【『一撃』の脅威】の第2の追加ルールによって『フィールド・墓地・除外ゾーン』にマッチキル・モンスターが存在しないプレイヤーはそれぞれ相手のスタンバイフェイズに1度デッキからカードを1枚ドローできるぜ。」

 久我が………もう、いい加減、久我ではない事くらい読者も気付いているだろう。久我を操っている『何か』が説明し終わる前に風馬は【『一撃』の脅威】のルール効果でカードをドローした。


【『一撃』の脅威】
 ルールカード
 このカードは「マッチキル・モンスター」が特殊召喚された場合のみ使用できる。
 以下のルールを追加ルールとして適用する。
 ●「マッチキル・モンスター」は特殊召喚されたターンの間のみ
 バトルフェイスをスキップせずに効果を発動できる。
 フィールド・墓地・除外ゾーンに「マッチキル・モンスター」が存在しないプレイヤーは
 それぞれから見て相手のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。


【風馬】のスピードカウンター:0→2(『Sp−フルアクセル!』の効果)
      手札:3→4枚

【久我(?)】のスピードカウンター:11→12


「んじゃ、『闇次元の解放』を発動。効果により『ヴィクトリー・ドラゴン』を特殊召喚。


【闇次元の解放】
 永続罠
 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択し、
 自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 そのモンスターを破壊してゲームから除外する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。


「そして、『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』の効果発動。『マテリアル・ドラゴン』を復活。

 黒い鋼鉄のワイバーンの咆哮が九尾の狐にも似た玉虫色に輝く龍を呼び寄せた。

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


【マテリアル・ドラゴン】
 効果モンスター
 星6/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 ライフポイントにダメージを与える効果は、ライフポイントを回復する効果になる。
 また、「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つ
 魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
 手札を1枚墓地へ送る事でその発動を無効にし破壊する。


「んでもって、Vドラで直接攻撃。」





 ― The End Assault ―





 黄金の竜のこのデュエル中、2度目の直接攻撃が放たれる。

「負ける訳にはいかない!手札から『バトルイーター』の効果発動!バトルフェイズを強制終了だ!!

 肥満体系の魔術師が黄金の竜の放った衝撃波を吸収する。


【バトル・イーター】(アニメ5D’s)
 効果モンスター
 星10/闇/魔法使い族/ATK 2500/DEF 0
 自分への戦闘ダメージがこのカードの攻撃力以下の場合、
 このカードを墓地に送る事でその戦闘を無効にしバトルフェイズを終了する。
 その後、自分はこのカードの攻撃力分のダメージを受ける。
 ※アニメでの裁定では、手札から墓地に送っても発動可能でした。


「へぇ、この攻撃も防ぐか…。だが、闇の力を受けたVドラのリアルファイトに、もーちょっと付き合ってくれねぇか?」


 ズガンッ!ズドンッ!!ズゴォッ!!!


 『何か』が言い終わるよりも早く、黄金の竜は両腕を風馬に何度も叩きつけてくる。
 風馬は巧みなDホイール捌きでヴィクトリー・ドラゴンの攻撃をかわすが、次第に余裕が無くなって来る。


「くっ、こんな時に汗が目に……っ!?」

 目に冷や汗が入り、慌てて拭おうとした次の瞬間。


 ブウォンッッ!!!


 ガキィッッッ!!!!


「グアッ!!?うわあああああぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!!!!!」

 ヴィクトリー・ドラゴンが尻尾による強烈な一撃を放った。
 直撃こそ免れたが発生した衝撃波により風馬Dホイールが吹き飛ばされ、橋から海へと転落した。




「アーーハッハッハァッッ!!!!残念・無念!闇の力を使う相手にライディング・デュエルはちょーーっと不利だったかなぁ!!?ま、どっちにしろ『バトル・イーター』の効果ダメージでお前のライフはゼ・ロ。俺の勝ちだ!!!!!」

 久我の姿をした何かは大きな笑い声を上げ、ドリフトしながらコーナーを走り去っていった。





















  第十五話  ジ・エンド・アサルト!















「くっそ!こんな卑怯な手段で負けて堪るか!!!!」




 ブウォォォォォォンッッッッ!!!!!




 風馬はDホイールのアクセルを思いっきり踏んで海に浮かぶ瓦礫から瓦礫へ飛び移り、岸に着地。そのまま、ハイウェイに沿ってかっ飛ばす。
 ハイウェイが一番地面に近くなった所を狙って大ジャンプしてコースに復帰した。

 『何か』もそれを発見するが否や、Dホイールに寝そべるような座り方からまともな座り方になる。

「(ん?まぁ、そう簡単に『コースアウトして敗北』なんてチープな手段で負けて貰っても面白くないか。)」


「この卑怯者がっっ!!!」

 風馬は久我を操る『何か』に向かって思いっきり叫ぶ。

「クハハハハッッ!いや〜悪いね悪いね。でも嘘と卑怯は悪役の特権でしょうよ!それより、良いのか?『バトル・イーター』のデメリットダメージが残ってるケド?」


【バトル・イーター】(アニメ5D’s)
 効果モンスター
 星10/闇/魔法使い族/ATK 2500/DEF 0
 自分への戦闘ダメージがこのカードの攻撃力以下の場合、
 このカードを墓地に送る事でその戦闘を無効にしバトルフェイズを終了する。
 その後、自分はこのカードの攻撃力分のダメージを受ける。
 ※アニメでの裁定では、手札から墓地に送っても発動可能でした。


「心配ご無用!お前がレダメの効果で特殊召喚した『マテリアル・ドラゴン』の効果がある!」


【マテリアル・ドラゴン】
 効果モンスター
 星6/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
 ライフポイントにダメージを与える効果は、ライフポイントを回復する効果になる。

 また、「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つ
 魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
 手札を1枚墓地へ送る事でその発動を無効にし破壊する。


「あれれ〜?そうだったなぁ!!!じゃあ、お前のライフは4500かよ?すっげ〜〜!!!!!」


【風馬】のライフ:2000→4500


「んじゃ俺は『Sp−貪欲な壺』発動。『ミラージュ・ドラゴン』『レダメ(B)』『レダメ(C)』『ハネワタ』『タイラント・ドラゴン』をデッキに戻して、2枚ドロー。『インフィニティ・リバース』の効果で『闇次元の解放』を裏側表示に変更。そして、『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を守備表示にする。ターンエンドだ。」

【インフィニティ・リバース】
 通常罠
 ライフを半分払って発動する。
 お互いのプレイヤーはカード名を一つ宣言する。
 デュエル終了時までお互いのプレイヤーはそれぞれ自分のターンに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 宣言された魔法・罠カードを任意の枚数裏側表示にできる。


【Sp−貪欲な壺】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターを3つ取り除いて発動する。
 自分の墓地に存在するモンスター5体を選択し、
 デッキに加えてシャッフルする。
 その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。


【久我(?)】の手札:2→3
        デッキ:8→11
 スピードカウンター:12→9


【風馬】先攻
ライフ4500
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
(【リビングデッドの呼び声】)
手札3枚
墓地24枚
除外4枚
デッキ9枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ2050
モンスター【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】(攻:2800)
【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(守: 100)
【マテリアル・ドラゴン】(守:2000)
魔法・罠伏せカード3枚
(その内2枚が『闇次元の解放』)
手札3枚
墓地18枚
除外5枚
デッキ11枚
スピードカウンター
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】


「……!?『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果が発動していない!!!?」

 風馬の言うとおり、各ターンのエンドフェイズに必ず破壊効果が発動する筈の『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果で破壊されたカードが存在しないのだ。

「あー、そういえばそうだったな〜。ケドさ……、あるじゃん。破壊されない表側表示のカードが。」

「破壊されない………まさか!!?」

「たぶん、そのまさか〜!破壊対象は〜〜〜〜〜〜〜………………『スピード・ワールド2』〜〜っ!

 青い破壊龍が『スピード・ワールド』に向かって何度も何度も爪で斬り付ける。
 だが、その程度の攻撃でスピード・ワールドが破壊されることは無い。
 やがて破壊龍は諦めて、自分の持ち場に戻った。


「…つまり、さっき『竜の瞑想』を破壊したのは魔法・罠ゾーンを空ける為だったんだな…。」

「ん〜?いや〜今さっき思い出して後悔してたんだけど〜?てかお前のターンだぜ。さっさとドローしろ〜。」

 『何か』は、すっとぼけた口調でターンを終了させた。




「ふざけやがって…オレのターン、ドロー!!!」


【風馬】のスピードカウンター:2→4(『Sp−フルアクセル!』の効果)

【久我(?)】のスピードカウンター:9→10


『Sp−ハーフ・シーズ』発動!『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』の攻撃力を半分にしてその数値分ライフを回復させる!


【Sp−ハーフ・シーズ】
 通常魔法
 自分のスピードカウンターが3つ以上存在する場合に発動する事ができる。
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力を半分にし、
 自分はその数値分だけライフを回復する。


 
【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】の攻撃力:2800→1400

 【風馬】のライフ:4500→5900


「更に、永続罠『リビングデッドの呼び声』発動!墓地から『デーモン・カオス・キング』を特殊召喚!


【リビングデッドの呼び声】
 永続罠
 自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【デーモン・カオス・キング】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/闇属性/悪魔族/攻2600/守2600
 悪魔族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。


「さらに墓地からモンスターが特殊召喚されたことにより、手札から『ドッペル・ウォリアー』を特殊召喚!そして、手札からチューナーモンスター『ダーク・リゾネーター』を召喚!さらに、お前が発動した『インフィニティ・リバース』の効果で『リビングデッドの呼び声』を裏側表示に戻す。これで『デーモン・カオス・キング』は完全蘇生だ

 風馬の機密工作員のような戦士と音叉を持った子悪魔が現れた。

【ドッペル・ウォリアー】
 効果モンスター
 星2/闇属性/戦士族/攻 800/守 800
 自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、
 自分フィールド上に「ドッペル・トークン」
 (戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚する事ができる。


【ダーク・リゾネーター】
 チューナー(効果モンスター)
 星3/闇属性/悪魔族/攻1300/守 300
 このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。


【インフィニティ・リバース】
 通常罠
 ライフを半分払って発動する。
 お互いのプレイヤーはカード名を一つ宣言する。
 デュエル終了時までお互いのプレイヤーはそれぞれ自分のターンに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 宣言された魔法・罠カードを任意の枚数裏側表示にできる。


「レベル2『ドッペル・ウォリアー』にレベル3の『ダーク・リゾネーター』をチューニング!」


『泣く子も黙る双頭の鬼刑事、出て来い!シンクロ召喚!!!

 【ヘル・ツイン・コップ ジョー&キック】!!!!』


 双頭のドラゴンのような悪魔が風馬のフィールドに出現した。
 さらに、ドッペル・ウォリアーの分身が2体出現する。


【ヘル・ツイン・コップ ジョー&キック】(アニメ5D’s ver)
 シンクロ・効果モンスター
 星5/闇属性/悪魔族/攻2200/守1800
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
 このカードの攻撃力をバトルフェイズ終了時まで800ポイントアップし、
 もう1度だけ続けて攻撃する事ができる。


【ドッペル・ウォリアー】
 効果モンスター
 星2/闇属性/戦士族/攻 800/守 800
 自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、
 自分フィールド上に「ドッペル・トークン」
 (戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚する事ができる。


「まだだ!『Sp−トークン・ブースト』を発動!フィールド上のトークンの数×300ポイント自分フィールド上のモンスターの攻撃力をアップさせる!


【Sp−トークン・ブースト】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが2つ以上の場合のみ発動できる。
 エンドフェイズまで自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力を
 フィールド上のトークンの数×300ポイントアップする。
 このカードの同一チェーン上にトークンが破壊された場合、
 自分はデッキからカードを1枚ドローする。


「おっと、残念・無念!トラップ発動『無力の証明(2枚目)』!お前のフィールド上のレベル5以下のモンスターは全滅する。これで、お前のフィールドのトークンはゼ・ロ。」


【無力の証明】
 通常罠
 自分フィールド上にレベル7以上のモンスターが
 表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。
 相手フィールド上に表側表示で存在する
 レベル5以下のモンスターを全て破壊する。
 このカードを発動するターン、
 自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃する事ができない。


 鋼鉄のワイバーンは力を半減されつつも巨大な一撃を放ち、風馬のモンスター達を『デーモン・カオス・キング』を残して全滅させる。

「くそっ!だが、『トークン・ブースト』の同一チェーン上でトークンが破壊された時、オレはデッキからカードを1枚ドローする。そしてバトルだ!『デーモン・カオス・キング』で『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を攻撃!」



 ― ファイア・ソード ―



 ジュワアァァァッッッッ!!!

 仮面の魔王が放った獄炎の斬撃が鋼鉄のワイバーンを焼き斬る。


【久我(?)】のライフ:2050→850


「カードを1枚セットして、ターンエンド。」

 残りのデッキが少ない事も相まって風馬は焦り気味にターンを終了する。

「この瞬間、『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の〜効果発動。破壊対象は『デーモン・カオス・キング』。」

 久我を操る『何か』はライフがほぼ0なのに余裕な態度で破壊対象を決定する。


 ― ディープ・ブレイク・ネイル ―


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


【風馬】先攻
ライフ5900
モンスター無し
魔法・罠伏せカード2枚
(内、1枚は【リビングデッドの呼び声】)
手札1枚
墓地29枚
除外4枚
デッキ6枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ850
モンスター【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(守:100)
【マテリアル・ドラゴン】(守:2000)
魔法・罠伏せカード2枚
(どちらも『闇次元の解放』)
手札3枚
墓地20枚
除外5枚
デッキ11枚
スピードカウンター10
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】


「へい、それじゃあオレのターン。ドロー。やれやれ、ようやく『Sp−フルアクセル!』の効果が切れるのか。ついでにお前は1枚カードをドローできるけど?」

 言われるよりも早く風馬はドローした。

【『一撃』の脅威】
 ルールカード
 このカードは「マッチキル・モンスター」が特殊召喚された場合のみ使用できる。
 以下のルールを追加ルールとして適用する。
 ●「マッチキル・モンスター」は特殊召喚されたターンの間のみ
 バトルフェイスをスキップせずに効果を発動できる。
 フィールド・墓地・除外ゾーンに「マッチキル・モンスター」が存在しないプレイヤーは
 それぞれから見て相手のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。


【風馬】のスピードカウンター:4→5
      手札:1枚→2枚

【久我(?)】のスピードカウンター:10→11


【Sp−フルアクセル!】
 通常魔法・セキュリティ専用
 自分用スピードカウンターが8つ以上存在し、
 自分の手札・フィールドのカードの合計が相手の手札・フィールドの
 カードの合計より少ない場合のみ発動できる。
 自分用スピードカウンターを全て取り除き、デッキからカードを2枚ドローする。
 自分で数えて4ターン後のスタンバイフェイズ終了時まで
 「スピード・ワールド」と名の付くフィールド魔法の効果で乗せる
 自分用スピードカウンターは2倍になる。
 (このカードはセキュリティに属する者以外使用できない。)


「ククク…それじゃ、間髪入れずに行くぜ。『闇次元の解放』発動!『ヴィクトリー・ドラゴン』を帰還させる。そして『ヴィクトリー・ドラゴン』を除外して手札から『レダメ(B)』を特殊召喚。更に2枚目の『闇次元の解放』発動。もちろん『Vドラ』を再度帰還させる。更に更に、『インフィニティ・リバース』の効果で『闇次元の解放』は2枚とも裏側にセットされる。そんでもって『レダメ(B)』の効果発動。手札から『タイラント・ドラゴン』を特殊召喚。

【闇次元の解放】
 永続罠
 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択し、
 自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 そのモンスターを破壊してゲームから除外する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。


【インフィニティ・リバース】
 通常罠
 ライフを半分払って発動する。
 お互いのプレイヤーはカード名を一つ宣言する。
 デュエル終了時までお互いのプレイヤーはそれぞれ自分のターンに1度、
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 宣言された魔法・罠カードを任意の枚数裏側表示にできる。


【タイラント・ドラゴン】
 効果モンスター
 星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900/守2500
 相手フィールドにモンスターが存在する場合、
 このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。
 このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
 そのプレイヤーは自分フィールド上に存在する
 ドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。


 久我のフィールドは
 ・超巨大な黄金の竜、
 ・赤い『暴君』の名を持つ王道的な姿のドラゴン、
 ・漆黒に染まった鋼鉄のワイバーン、
 ・狐のようにも見える玉虫色の聖竜、
 ・長い爪を持つ青き破壊龍により埋め尽くされた。
 5体の大型の竜の咆哮は凄まじく、そこらの怪獣映画の比ではない。風馬さえも一瞬、思考が停止してしまった。


「ぷくく…。びびってやんの!んじゃバトルだバトルだ!『ヴィクトリー・ドラゴン』でダイレクトアタック!」




 ― The End Assault ―




「まだだっ!トラップ発動『ガード・ブロック』!戦闘ダメージを0にしてデッキからカードを1枚ドロー!

【ガード・ブロック】
 通常罠
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動することができる。
 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。


 風馬の手札:2枚→3枚
    デッキ:5枚→4枚

「アーッハッハッハ!もう、お前のデッキ『メタモルポッド』が出た瞬間ドローできずに終了になるまで磨り減ったな!さて、そんじゃ『タイラント・ドラゴン』で直接攻撃!」



 ― タイラント・バースト ―



 『暴君』の名を持つドラゴンが口から爆炎を放った。

「ぐあああああああっっっっっっ!!!!……………くそっ、普通のモンスターの攻撃まで実体化し始めたか…………!」

 もう、風馬のDホイールもボロボロになってきた。いつクラッシュするか分からない位に。

【風馬】のライフ:5900→3000


「さらに『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』で攻撃!」



 ― ダークネス・メタル・フレア ―



 鋼鉄のワイバーンは黒炎を纏った巨大な鉄球を放つ。

 風馬はリアルダメージを受けないようにDホイールのスピードを急激に落としてかわした。…が、当然ライフポイントは削られる。


【風馬】のライフ:3000→200


「ふぅ〜、ようやく終わりそうだな。『ドラゴン・オブ・ブレイカー』で直接攻撃。」

 『何か』は、やれやれとため息をつきながら攻撃宣言を行なう。
 青い破壊龍は爪で風馬に斬り付けてきた。


「トラップ発動!『リビングデッドの呼び声』により墓地から『デーモン・カオス・キング』を特殊召喚する!


【リビングデッドの呼び声】
 永続罠
 自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【デーモン・カオス・キング】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/闇属性/悪魔族/攻2600/守2600
 悪魔族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。


「ひゅー、しぶといっ!んじゃ、『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の攻撃は中断だ。だが、『タイラント・ドラゴン』は相手フィールド上にモンスターが存在する場合2回攻撃できるぞ。

【タイラント・ドラゴン】
 効果モンスター
 星8/炎属性/ドラゴン族/攻2900/守2500
 相手フィールドにモンスターが存在する場合、
 このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。
 このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
 そのプレイヤーは自分フィールド上に存在する
 ドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。




 ― タイラント・ツイン・バースト ―




 タイラント・ドラゴンが再び爆炎を放つ。
 爆炎は『デーモン・カオス・キング』を風馬ごと一瞬で焼きつくす

















 ことが出来なかった。
 風馬が手札からモンスター効果を発動したのだ。

ライフを半分払って、手札から『デコイポーンデーモン』を特殊召喚した。このカードは『デーモン』と名の付くモンスターの身代わりになるんだ!

 間抜けな顔をした悪魔が仮面の魔王の代わりにダメージを受けた。

【デコイポーンデーモン】
 効果モンスター
 星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守2000
 このカードの戦闘によって発生する自分へのダメージは0となる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手は「デコイポーンデーモン」以外の「デーモン」と名の付く
 モンスターを攻撃対象に選択できない。
 「デコイポーンデーモン」は以下の効果を相手ターンに1度しか使用できない。
 ●自分フィールド上に「デーモン」と名の付くモンスターが攻撃対象に選択された場合、
 ライフを半分払う事でこのカードを手札又は墓地から自分フィールド上に特殊召喚し、
 このカードに攻撃対象を移す。


【風馬】のライフ:200→100


「へぇ〜、この攻撃も凌いだか。んじゃ、残りの手札ぜ〜んぶ伏せてターンエンド。『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の破壊対象は、お前の『リビングデッドの呼び声』だ。『リビングデッドの呼び声』が破壊された事によりお前の『デーモン・カオス・キング』もドカ〜ンッ!!!」

【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


 青い破壊龍の爪により、『リビングデッドの呼び声』は引き裂かれる。
 そして『リビングデッドの呼び声』によって存在を保っていた『デーモン・カオス・キング』も消滅する。


【風馬】先攻
ライフ100
モンスター無し
魔法・罠無し
手札2枚
墓地32枚
除外4枚
デッキ4枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ850
モンスター【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(攻:2400)
【マテリアル・ドラゴン】(攻:2400)
【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】(攻:2800)
【タイラント・ドラゴン】(攻:2900)
魔法・罠魔法・罠:伏せカード4枚
(内、2枚は『闇次元の解放』)
手札0枚
墓地20枚
除外5枚
デッキ10枚
スピードカウンター11
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】


 風馬のデッキは残り4枚。
 ライフは更に厳しいがデッキも殆んど死んでいる。

 だが、同時にデュエル開始時からデッキに眠っているカードの中から引きたい物を引く確率も大幅に上昇していると言うことだ。



























  第十六話  腑に落ちない決着












「オレのターンッッ!」

 デュエルの最終盤になり、自然とドローする力にも気合が入る。


【風馬】のスピードカウンター:5→6

【久我(?)】のスピードカウンター:11→12

 ドローカード:『Sp−ダーク・リターン』


「(除外された闇属性モンスターをサルベージするカード……。これじゃ、だめだ。)オレはカードを…。」

 言いかけた所で風馬は手を止めた。

 今、久我の手札は0。つまり、『マテリアル・ドラゴン』の防御効果は使用できない。
 前のターンからある『Sp−デッド・シンクロン』を使えば切り札を呼び出すことができる。
 そして、その切り札は除去効果を持つ。
 『マテリアル・ドラゴン』が効果を使用できない今なら、厄介なカードを葬り去り、
 久我のモンスターを叩き潰して久我のライフを0にできる。

 しかし、久我のフィールドにはセットされた2枚の『闇次元の解放』の他にもう2枚カードが伏せている。この攻撃が通るかどうか分からない。
 下手に『マテリアル・ドラゴン』を除去してしまうと100ポイントでも効果ダメージを受ければ即敗北する。


 1分半近く悩んだ末に風馬は賭けに出ることにした。


「おいおい、カードをセットどうするのかハッキリしろよ!」

 久我を操る『何か』は大あくびをした。


「いや、このターンでお前を倒す!!!『Sp−デッド・シンクロン』を発動!墓地のモンスターでシンクロ召喚を行なう!!!レベル7の『デーモン・カオス・キング』とレベル1の『デコイポーンデーモン』に、レベル3の『ダーク・リゾネーター』をチューニングッッ!!!!


【Sp−デッド・シンクロン】
 通常魔法
 自分用のスピードカウンターが5個以上ある場合に発動する事ができる。
 自分のエクストラデッキのシンクロモンスター1体を選択する。
 選択したモンスターのシンクロ召喚に必要なチューナー及び
 チューナー以外のモンスターを自分の墓地から選択してゲームから除外し、
 選択したシンクロモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
 この特殊召喚はシンクロ召喚扱いとする。
 この方法で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時にゲームから除外される。





『無法なる者を断罪せし混沌の王者よ!

 今こそ眠りし力を解き放ち、司法の剣を振るえ!!!

 シンクロ召喚!!!

 至高なる【ジャッジ・ロード・デーモン】!!!!!』





 ズオオォォ……。


 『デーモン・カオス・キング』の鎧が異様なぐらい細いものから重装備に変わり、黒いマントを羽織った。
 仮面の形も変化し、やや顔の下半分が見えるようになった。
 その姿はもはや『魔王』というより『騎士』の様だった。
 そして腕と背中に生えていた赤黒い刀は一本に集まり、紅蓮の魔剣となる。


【ジャッジ・ロード・デーモン】
 シンクロ・効果モンスター
 星11/闇属性/悪魔族/攻3400/守3400
 悪魔族チューナー+「デーモン・カオス・キング」+悪魔族モンスター1体以上
 このカードが戦闘を行う場合、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 自分のメインフェイズに手札の悪魔族モンスターを1枚捨て、
 相手フィールド上のカードを2枚選択して発動する。選択したカードを破壊する。
 自分の「デーモン」と名の付くカードを対象とする相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を
 それぞれ1ターンに1度ずつ無効にして破壊する事ができる。
 このカードがフィールドを離れた時、
 エクストラデッキから「デーモン・カオス・キング」1体を表側表示で特殊召喚する。


『Sp−ダーク・リターン』を発動!除外された『深淵の暗殺者』を手札に加える。そして、『ジャッジ・ロード・デーモン』の効果発動!手札から『深淵の暗殺者』を捨て、相手フィールド上のカードを2枚破壊する!破壊対象はセットされた『闇次元の解放』2枚だ!


【Sp−ダーク・リターン】
 通常魔法
 自分用スピードカウンターが5つ以上の場合のみ発動できる。
 除外された自分の攻撃力1500以下の
 闇属性モンスターを1枚手札に加える。


【深淵の暗殺者(ナイト・アサシン)
 効果モンスター
 星3/闇属性/悪魔族/攻 200/守 500
 リバース:相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する。
 また、このカードが手札から墓地へ送られた時、
 自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。


【ジャッジ・ロード・デーモン】
 シンクロ・効果モンスター
 星11/闇属性/悪魔族/攻3400/守3400
 悪魔族チューナー+「デーモン・カオス・キング」+悪魔族モンスター1体以上
 このカードが戦闘を行う場合、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 自分のメインフェイズに手札の悪魔族モンスターを1枚捨て、
 相手フィールド上のカードを2枚選択して発動する。選択したカードを破壊する。

 自分の「デーモン」と名の付くカードを対象とする相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を
 それぞれ1ターンに1度ずつ無効にして破壊する事ができる。
 このカードがフィールドを離れた時、
 エクストラデッキから「デーモン・カオス・キング」1体を表側表示で特殊召喚する。


 ― ブラッディ・クロス ―


 ジャッジ・ロード・デーモンは紅蓮の魔剣で地面に十文字の衝撃波を放ち、久我のフィールドに存在する2枚のカードを破壊した。

「さらに『深淵の暗殺者』の効果により、墓地から『闇の仮面』を手札に加える。そして『闇の仮面』を捨ててもう一度『ジャッジ・ロード・デーモン』の効果発動!破壊対象は『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』と『ドラゴン・オブ・ブレイカー』だ!

 ジャッジ・ロード・デーモンは再び十文字の衝撃波を放ち、2体の竜を粉砕した。

「バトルだ!『ジャッジ・ロード・デーモン』で『タイラント・ドラゴン』を攻撃!このモンスターも相手モンスターの攻撃力と守備力を逆転させる効果を持っている!!!」


【ジャッジ・ロード・デーモン】
 シンクロ・効果モンスター
 星11/闇属性/悪魔族/攻3400/守3400
 悪魔族チューナー+「デーモン・カオス・キング」+悪魔族モンスター1体以上
 このカードが戦闘を行う場合、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 自分のメインフェイズに手札の悪魔族モンスターを1枚捨て、
 相手フィールド上のカードを2枚選択して発動する。選択したカードを破壊する。
 自分の「デーモン」と名の付くカードを対象とする相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を
 それぞれ1ターンに1度ずつ無効にして破壊する事ができる。
 このカードがフィールドを離れた時、
 自分のエクストラデッキから「デーモン・カオス・キング」1体を表側表示で特殊召喚する。


【タイラント・ドラゴン】の攻撃力:2900→2500


「おっと、それならトラップ発動『強制脱出装置』。これで『ジャッジ・ロード・デーモン』はエクストラデッキに逆戻り〜〜。

「無駄だ!『ジャッジ・ロード・デーモン』は「デーモン」と名の付くモンスターへの魔法・罠・効果モンスターの効果をそれぞれ1度ずつ無効にできる。


【ジャッジ・ロード・デーモン】
 シンクロ・効果モンスター
 星11/闇属性/悪魔族/攻3400/守3400
 悪魔族チューナー+「デーモン・カオス・キング」+悪魔族モンスター1体以上
 このカードが戦闘を行う場合、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 自分のメインフェイズに手札を1枚捨て、
 相手フィールド上のカードを2枚選択して発動する。選択したカードを破壊する。
 自分の「デーモン」と名の付くカードを対象とする相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を
 それぞれ1ターンに1度ずつ無効にして破壊する事ができる。

 このカードがフィールドを離れた時、
 エクストラデッキから「デーモン・カオス・キング」1体を表側表示で特殊召喚する。


 ジャッジ・ロード・デーモンが強制脱出装置をはじき返す。

 そして、紅蓮の魔剣で暴君の竜に斬りかかった。


 ― 魔神・獄炎波 ―





 ズシャアアアァァァァァ!!!!!!



 紅蓮の魔剣はタイラント・ドラゴンを焼き斬り、久我を操る『何か』にトドメを刺した。






























  ……………ハズだった。


【カインドネス・サンクチュアリ】
 通常罠
 発動ターン、お互いのプレイヤーのライフは変化せず、
 モンスターも破壊されない。
 また、発動ターンから次の自分のターン終了時まで、
 お互いのプレイヤーは戦闘ダメージ以外のダメージを受けない。


「ざんね〜ん!『カインドネス・サンクチュアリ』の効果によりダメージはゼ・ロ。ライフを払う事もできないケドな〜。」


「くっ………………。カードを1枚セットしてターンエンド……。エンドフェイズに『Sp−デッド・シンクロン』の効果で特殊召喚されたモンスターは除外される…。」

 騎士のような姿の魔王はフッと消えてしまった。
 渾身の一撃を防がれてしまった風馬は完全に焦っていた。



風馬】先攻
ライフ100
モンスター無し
魔法・罠伏せカード1枚
手札0枚
墓地32枚
除外7枚
デッキ3枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ850
モンスター【マテリアル・ドラゴン】(守:2000)
【タイラント・ドラゴン】(攻:2900)
魔法・罠無し
手札0枚
墓地26枚
除外5枚
デッキ7枚
スピードカウンター12
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】


「や〜れやれ、ようやく俺のターンか。ドロー。」

 風馬も【『一撃』の脅威】の効果でドローする。


【『一撃』の脅威】
 ルールカード
 このカードは「マッチキル・モンスター」が特殊召喚された場合のみ使用できる。
 以下のルールを追加ルールとして適用する。
 ●「マッチキル・モンスター」は特殊召喚されたターンの間のみ
 バトルフェイスをスキップせずに効果を発動できる。
 フィールド・墓地・除外ゾーンに「マッチキル・モンスター」が存在しないプレイヤーは
 それぞれから見て相手のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。


【風馬】のスピードカウンター:6→7
     手札:0枚→1枚
    デッキ:3枚→2枚。

【久我(?)】のスピードカウンター:12

「んじゃ、これ以上増えないスピードカウンターを使いますか。スピードカウンターを7つ取り除きデッキからカードを1枚ドローする。


【久我(?)】の手札:1枚→2枚
   スピードカウンター:12→5
        デッキ:6枚→5枚


「んで、『タイラント・ドラゴン』で攻撃。さ〜て今度の伏せカードは何かな〜〜?」



 ― タイラント・バースト ―



トラップ発動。『闇次元の解放』!除外された『ジャッジ・ロード・デーモン』を帰還させる!」

 騎士の姿をした魔王が異次元より帰還する。


【闇次元の解放】
 永続罠
 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択し、
 自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 そのモンスターを破壊してゲームから除外する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【ジャッジ・ロード・デーモン】
 シンクロ・効果モンスター
 星11/闇属性/悪魔族/攻3400/守3400
 悪魔族チューナー+「デーモン・カオス・キング」+悪魔族モンスター1体以上
 このカードが戦闘を行う場合、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。
 自分のメインフェイズに手札を1枚捨て、
 相手フィールド上のカードを2枚選択して発動する。選択したカードを破壊する。
 自分の「デーモン」と名の付くカードを対象とする相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を
 1ターンにそれぞれ1度ずつ無効にして破壊する事ができる。
 このカードがフィールドを離れた時、
 エクストラデッキから「デーモン・カオス・キング」1体を表側表示で特殊召喚する。


「へぇ〜そう来る?んじゃ、攻撃は中断だ。メインフェイズ2に『タイラント・ドラゴン』を除外して3枚目の『レダメ(C)』を守備表示で特殊召喚。『レダメ(C)』の効果発動。墓地から『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を守備表示で特殊召喚。カードを1枚セット。エンドフェイズに『ドラゴン・オブ・ブレイカー』の効果で『闇次元の解放』を破壊!『ジャッジ・ロード・デーモン』の耐性効果は相手のカード限定だ。よって破壊された『闇次元の解放』の効果により『ジャッジ・ロード・デーモン』も破壊される。」


【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】
 効果モンスター
 星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
 「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
 効果モンスター
 星6/水属性/ドラゴン族/攻2400/守 100
 自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手モンスターを破壊した時、
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 各ターンのエンドフェイズ毎にフィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。
 「ドラゴン・オブ・ブレイカー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。


 ― ディープ・ブレイク・ネイル ―


 『闇次元の解放』が破壊された事により『ジャッジ・ロード・デーモン』も消滅する。

「くっ、だが『ジャッジ・ロード・デーモン』には破壊された時、エクストラデッキから『デーモン・カオス・キング』を特殊召喚する効果が備わっている!2枚目の『デーモン・カオス・キング』を特殊召喚!」

 『ジャッジ・ロード・デーモン』は消滅する寸前に自身の魔力を身代わりにし、元の仮面の魔王の姿に戻った。


【デーモン・カオス・キング】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/闇属性/悪魔族/攻2600/守2600
 悪魔族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードの攻撃宣言時、
 相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの
 攻撃力・守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える事ができる。


【風馬】先攻
ライフ100
モンスター【デーモン・カオス・キング】(攻:2600)
魔法・罠無し
手札1枚
墓地33枚
除外7枚
デッキ2枚
スピードカウンター


【久我(?)】後攻
ライフ850
モンスター【マテリアル・ドラゴン】(守:2000)
【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】(守:2400)
【ドラゴン・オブ・ブレイカー】(守:100)
魔法・罠伏せカード1枚
手札0枚
墓地25枚
除外6枚
デッキ5枚
スピードカウンター
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】




「オレのターン。」

 風馬は自分のデッキを見つめる。
 このターン、久我をどうにか出来なければ勝ち目が見えない。
 相手のライフは僅か850。
 だが、モンスターは全て守備表示。おまけに伏せカードまである。
 そしてスピードカウンターを使ってドローすると、次に回る久我のターンまでにトドメを刺せなければデッキアウトで敗北する。

「ほ〜ら、どうした、どうした?どっかの漫画やアニメの主人公みたいに『ズババババーーーーーン!と大・逆・点』してみろよ!このターン、お前が『スピード・ワールド2』の効果を使おうが、使わなかろうがこれがお前のラストターンだぞ。」

 久我を操る『何か』は風馬を急かすように笑う。

「……っ!…ドロー!!!」


【風馬】のスピードカウンター:7→8

【久我(?)】のスピードカウンター:5→6


 引いたカードを見て風馬の頭に一つ考えが浮かぶ。
 だが、このカードを使っても勝利する事はできない。

「(だが、もうこれ以外に方法は無い!)手札から『デーモン・ソルジャー』を召喚!」


【デーモン・ソルジャー】
 通常モンスター
 星4/闇属性/悪魔族/攻1900/守1500
 デーモンの中でも精鋭だけを集めた部隊に所属する戦闘のエキスパート。
 与えられた任務を確実にこなす事で有名。


「バトルだ!『デーモン・カオス・キング』で『マテリアル・ドラゴン』を攻撃!」



 ― ファイア・ソード ―



 仮面の魔王が狐にも似た玉虫色の竜を焼き斬った。

「さらに、『デーモン・ソルジャー』で『ドラゴン・オブ・ブレイカー』を…。」

 風馬が続けて攻撃しようとした瞬間、『何か』がカードを1枚表にした。

墓地からトラップ発動『ロスト・インテリジェンス−閉ざされた文明−』。自分の墓地・除外ゾーンのカードが25枚以上の場合、自分のフィールドと墓地のカードを全て除外して発動する…………。」

「なっ、ただ単に墓地で発動するならまだしも、フィールドと墓地のカードを全て除外して発動する罠だと!?そんなの聞いたことがないぞ!!!?」


 ズズズズ…………。


 空間が歪み久我の墓地のカードを全て吸い込んでいく。

 そして空間の歪みから、黒い影に覆われたモンスターと3枚の伏せカードが出現した。

 黒い影に覆われたモンスターの眼の部分が赤く輝き、背中からは久我と同様、白い角の様な…どちらかと言えば木の枝に近い物が生えている。


【ロスト・インテリジェンス−閉ざされた文明−】
 通常罠
 このカードの発動と効果は無効にされず、「発動できない」効果も無視する。
 このカードが自分のフィールド・墓地に存在し、
 自分の墓地・除外ゾーンのカードが合計25枚以上の場合、
 自分のフィールド・墓地のカードを全て除外して発動する。
 ???を特殊召喚し、
 以下の効果から1つを選択して適用する。
 ●除外された自分のカードを1枚墓地に戻す毎に1枚、
 除外された自分の魔法・罠カードをセットできる。
 この効果でセットできるカードは3枚まで。
 ●???


???
 ???モンスター
 星?/?属性/?族/攻?/守?
 ???


「クハハハハッッ!ロスト・インテリジェンスは、特定のモンスターを特殊召喚し、除外された魔法・罠をフィールドにセットできるのさ。」

 驚いた事に声は久我の口からでは無く黒い影に覆われた『モンスター』から発せられた。


「今度はモンスターが喋った!!?お、お前は何者だ!!!!?」


「別に良いじゃんそんな事……。それより、お前は次の俺のターンで決着を付けようと思ってるんだろうが、果たしてどうなるかな?言っとくが俺の攻撃力は1万を超えているぞ。


【ロスト・インテリジェンス−閉ざされた文明】で墓地に戻したカード:

【マテリアル・ドラゴン】【ドラゴン・オブ・ブレイカー】
【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】

【???】の攻撃力:???ポイントアップし、13700


「こ、攻撃力13700………。それでも今、俺ができる事は1つ!『スピード・ワールド2』の効果発動!スピードカウンターを7つ取り除いてラストドロー!カードを2枚セットしてターン終了だ。」


【スピード・ワールド2】
 フィールド魔法
 「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードをプレイした時、
 そのプレイヤーは2000ポイントダメージを受ける。
 お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、
 自分用スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
 自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
 ●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数× 800ポイントダメージを相手ライフに与える。
 ●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 ●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。


【風馬】のスピードカウンター:8→1
     デッキ:1→0


 遂に風馬のデッキの枚数が0になる。
 長きに渡るデュエルの決着が今、付こうとしていた。


【風馬】先攻
ライフ100
モンスター【デーモン・カオス・キング】(攻:2600)
【デーモン・ソルジャー】(攻:1900)
魔法・罠伏せカード2枚
手札0枚
墓地33枚
除外7枚
デッキ0枚
スピードカウンター


【何か】後攻
ライフ850
モンスター【???】(攻:13700)
魔法・罠伏せカード3枚
手札0枚
墓地3枚
除外28枚
デッキ5枚
スピードカウンター
 フィールド魔法:【スピード・ワールド2】
 ルールカード:【『一撃』の脅威】


「ククク…いよいよラストターンだな。さ〜て、何が来るのやら。ドロー!」


【風馬】のスピードカウンター:0→2

【何か】のスピードカウンター:6→7


「んじゃ、折角だし『マッチキル・モンスター』でドドメを刺してやるよ!トラップ発動『闇次元の解放』!蘇生対象は勿論『ヴィクトリー・ドラゴン』!!!


 ガアアアァァァァァァァッッッッッッ!!!!!


 異次元から黄金の竜が特大の咆哮を上げて現れる。
 咆哮による衝撃波だけでも風馬のDホイールが吹き飛ばされそうだ。


【闇次元の解放】
 永続罠
 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択し、
 自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 そのモンスターを破壊してゲームから除外する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。


「【『一撃』の脅威】のルールでヴィクトリー・ドラゴンの効果をバトルフェイズをスキップせずに発動!ククク…直接攻撃できるようになる……。」


【『一撃』の脅威】
 ルールカード
 このカードは「マッチキル・モンスター」が特殊召喚された場合のみ使用できる。
 以下のルールを追加ルールとして適用する。
 ●「マッチキル・モンスター」は特殊召喚されたターンの間のみ
 バトルフェイスをスキップせずに効果を発動できる。
 フィールド・墓地・除外ゾーンに「マッチキル・モンスター」が存在しないプレイヤーは
 それぞれから見て相手のスタンバイフェイズに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。


「バトルだ。『ヴィクトリー・ドラゴン』でダイレクトアタックっっ!!!もう、わざわざ体当たりしてから使わなく良い!一気に焼き払えっっ!!!!」






 ― Victory Burst Stream ―






  黄金の竜が口から自身の何十倍もの大きさのブレスを放つ。


トラップ発動!『ショック・ウェーブ」!!!!自分のライフポイントが相手のライフポイントより少ない場合、フィールド上のモンスターを1体破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージをお互いのプレイヤーに与える!!!!


【ショック・ウェーブ】(アニメ5D’s)
 通常罠
 自分のライフポイントが相手のライフポイントより
 少ない場合にのみ発動する事ができる。
 フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。
 お互いのプレイヤーはそのモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。


 『何か』は、すかさず伏せカードを表にした。

「へぇ、道ずれってか?だが、そうは行かない。手札を一枚捨ててトラップ発動『レインボー・ライフ』!自分へのダメージを無効にし、その数値分ライフを回復させる!!!


【レインボー・ライフ】
 通常罠
 手札を1枚捨てる。
 このターンのエンドフェイズ時まで、自分が受けるダメージは無効になり、
 その数値分ライフポイントを回復する。


「ならば『レインボー・ライフ』にチェーンして2枚目の『ショック・ウェーブ』だ!!!破壊対象は『デーモン・カオス・キング』!!!!

 デーモン・カオス・キングが全身にエネルギーを溜め始める。

 そして溜めたエネルギーを巨大な破壊の衝撃波に変えて炸裂させた。



 ズガガガガガガガガガッッッッ!!!!!



 衝撃波は両者と周囲を巻き込んで辺り一面をなぎ払う。





 ギキキキーーーーッッ!!!! ガシャーーーーンッッッッ!!!!!




 「ぐおああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!!!!!!!!」


 久我の乗ったDホイールはハイウェイのガラスのウォールに激突。真下の森の中に姿を消した。





「ぐぅっ!うわああああっっっっっっ!!!!!」

 一方風馬のDホイールも衝撃により、大クラッシュを引き起こした。

「(……っ、左肩がやられたな…。)」






「おーい、風馬!!大丈夫か!!!?」

 後ろから2台のセキュリティのDホイールがやって来た。

 一人は中年くらいのゴツイ外見の刑事。牛尾 哲。
 ・遊戯王の記念すべき第一回目の罰ゲームを受けた人とか、
 ・喧嘩に関しては城之内より強いとか、
 ・アニメ皆勤賞とか、
 ・「これが権力だ!」の台詞が結構長い間ネタにされたとか、
 ・「あらー金だ金! うれしー! 楽しー! 金だーイヤッホー!!」のネタが原作HPの管理人さんに『もはや基本』と言われたとか、
 ・エースモンスターの『ゴヨウ・ガーディアン』自身が御用となったとか、
 ・途中経過が省略されていないデュエルで機皇帝ワイゼルの攻撃を始めて喰らった人とか、
    結構な有名人である。


 そして、もう一人は昼ごろに、シンマ達に声をかけた警官だ。

「悪いな、直ぐに助けに向かいたかったんだが、途中の海の上の橋が崩壊しちまってたもんだから、迂回してきたんだ。犯人とのデュエルで一体何があった?」

 牛尾は救急隊に連絡を入れながら、風馬に聞いた。

「すいません。それが犯人の様子が突然………ぐっ!……っ!!!」

 風馬は何とか立ち上がろうとしたが左肩の骨が割れた上に、足も地面に強く打ち付けたらしい。足と肩に激痛が走る。


『ショック・ウェーブ』で相打ちですか…。とすると、犯人はこの道路の下にある森に……。しかし、かなりの速度でDホイール同士を激突させないと、こんな大惨事にはならない筈だが…。」

 もう一人の警官が、睨みつけるように、破壊された道路と強化ガラスのウォール、そして風馬のDホイールのカードを調べる。

「それが…デュエル中に犯人の様子が突然おかしくなったと思った途端、モンスターの攻撃が実体化したように周りの壁や道路を破壊したんです…。」

「なっ、それは本当か!!?」

 牛尾は風馬の言葉に驚愕する。

「はい、犯人が『栄光の宝札』というカードを使った途端に…まず、声が叫び声のようになり、…次に辺りから三日月型の影の様な物が幾つも奴の周りに集まって…その後、まるで別人のよな口調でデュエルを進めたんです。その辺りから周囲が破壊されるように……。犯人…久我は『闇の力』とか何とか………。」


「なんてこった…。また、イリアステルだのダークシグナーだの面倒な奴の類かよ!」

 牛尾は「カンベンしてくれ」と言わんばかりに左手で頭をかかえた。

「それより、牛尾さんと常夜(とこよ)先輩も緊急招集を?」


「まぁ、そんな所ですよ。他の急用が私と牛尾さんは他の急用があったので7時ぐらいに召集されたのですが。」

 昼頃にシンマ達に声を掛けた警官…常夜は風馬の肩に応急処置を施しながら答えた。


「兎に角、あとは鑑識に森の中と現場を調べて貰うか。救急隊も到着したらしい。」

 牛尾があごをしゃくる。その先から救急車のサイレンが聞こえてきた。










 救急車の中で風馬はこのデュエルの決着に少し違和感を感じていた。

「(奴の『ロスト・インテリジェンス−閉ざされた文明−』はカードを3枚セットできた筈だ。
  だとすれば2枚目の『ショック・ウェーブ』も防げたんじゃないのか?
 ・だが、オレのライフは『ショック・ウェーブ』の効果で0になっている。
 ・つまり、『虚無の呼び声』や『トラップ・スタン』、『地獄の扉越し銃』等ではない。
 ・『レインボー・ライフ』のコストとして手札が0枚になっている以上手札コストを必要とする物でもない。
 ・ドローを促す電子音が流れなかったから『魔宮の賄賂』でもない。
 ・ライフが850しかない以上『盗賊の七つ道具』も不可能だ。
   だとすれば残りは『トラップ・ジャマー』か『神の宣告』、その他ダメージを防ぐカード……。このデュエル、本当に引き分けだったのか?)」


















 一方、ネオ童実野シティの森の中。


 高度な技術で発展したネオ童実野シティにも殆んど人の手が加えられていない場所くらいある。
 植物は光合成により二酸化炭素を吸収、酸素に還元する他、都市部によくある『ヒートアイランド現象』を防ぎやすくする働きもある。
 その為、街中にも木が植えられているし、一部の森は開発を禁止されているのだ。
 だから、一部の業者や研究者、今時珍しい森へ遊びに行く子供達以外は殆んど人は来ない。

 闇の力によって発生したダメージと高所からの転落により、規格外に大きな久我のDホイールはボロボロだ。
 Dホイールの心臓とも言えるモーメントの部分にまでダメージが通っている。

 風馬のDホイールより損傷が激しいのは、久我のDホイールが規格外のカスタマイズにより、僅かに装甲のバランスが歪み、強度が落ちていた上に、直ぐ近くで『ヴィクトリー・ドラゴン』が暴れまわっていた為だ。

 Dホイールに乗っていた久我は、闇の力に耐え切れず白目を剥き出しにし、背中から白い角の様な……注意してみるとただの白色では無く『石英のような色で材質も鉱物に近く見える物体』がまだ生えていた。
 そして、黒い影に覆われた『何か』はDホイールからカードを物色していた。


「…………さて、『ヴィクトリー・ドラゴン』と真の闇の力を起動させ、久我の体を乗っ取る為の『栄光の宝札』。それからデュエル開始前にこっそり入れといた『ハネワタ』と『ロスト・インテリジェンス−閉ざされた文明−』『インフィニティ・リバース』は回収しないとな。う〜ん、結構使えるカードもあるケド、全部ダブってるか。」

 黒い影に覆われた『何か』は回収対象の6枚のカードを久我のデッキから抜き出した。

「しっかし、まぁ………。予め対策を取られていたとは言え、あのセキュリティの隊員以外に強かったな〜。しかも最後は『ショック・ウェーブ』で道ずれを狙ってくるし、怖い怖い。」

 『何か』はそう言いながらDホイールのライフカウンターを見た。


【謎のモンスター】のライフ:3025

 発動したカード:【神の宣告】


【神の宣告】
 カウンター罠
 ライフポイントを半分払って発動する。
 魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚の
 どれか1つを無効にし破壊する。


 このデュエルの結末がどうなったの言えば風馬は負けたのである。

【風馬】の1枚目の『ショック・ウェーブ』にチェーンして【何か】が『レインボー・ライフ』を発動
 →【風馬】が更にチェーンして2枚目の『ショック・ウェーブ』を発動
 →【何か】が『神の宣告』を発動。
 →逆処理により、『神の宣告』よって2枚目の『ショック・ウェーブ』は無効。【何か】のライフ:450
 →『レインボー・ライフ』により、ダメージは回復になる。
 →1枚目『ショック・ウェーブ』の効果により、『デーモン・カオス・キング』を破壊。お互いに2600ダメージ
 →【何か】は『レインボー・ライフ』によってダメージは無効。

   よって【風馬】は自滅。【何か】は2600ポイント回復し、ライフが3050となり、風馬の敗北で幕を閉じたのだ。


「さ〜て、何かの手違いでこいつが『ヴィクトリー・ドラゴン』を俺達の組織から奪ったんだけど、どうしたもんかねぇ〜。……………まぁ、こちらのミスでこいつに渡ったんだし、元に戻してやるか…。」

 『何か』を覆っていた黒い影が晴れ、フードを被った魔導師が姿を現す。
 魔導師は解呪の呪文を唱え始めるが、何かを思いついたのか途中でやめてしまった。

「あ、ケドこいつって何だかんだ言ってマッチキル・モンスター無しでも十分強いよな?ククク…あえてこのまま闇の力を取り上げずにそのまま泳がせて見るか。幸い、セキュリティの刑事さん達も【カード・セーバーズ】の皆様方も、【あいつ等】も『ヴィクトリー・ドラゴンは久我が持っている』って思ってるだろうし、良い囮になるか。ククク………………。」

 そう言って魔導師は不気味な笑い声を残して夜の闇に溶け込んでいった。













 その夜、セキュリティが大人数で森林の捜索に当たったが全く久我を見つける事ができなかった。
 捜索中に濃い霧が発生し、危険と判断されセキュリティの隊員達が早めに引き上げた事もあり、久我が転落し場所以外殆んど手掛かりも見つからなかったのだ。























 一方、三ヶ月町(みかづきちょう)、露月邸(アイナの家)。



 PM11:27



 アイナの部屋


 部屋ではアイナが今日買ったばかりの構築済みデッキを開けてデッキ調整をしていた所だ。
 しかし、デッキの新調は困難を極めていた。

「う〜ん、あれがこうで、これがこうで………。シンマは『お前は魔法・罠を破壊するカードを全然入れてないせいで、ロックが突破できないし、最悪の場合『魔法の筒』や『ディメンション・ウォール』で返り討ちに遭う。』って言ってるけど、このカードを抜いちゃうと装備魔法が引けない時に押し切られちゃうし…。う〜ん。」

 今現在、アイナは『プライドの咆哮』を残すか『サイクロン』に入れ替えるか既に45分近く、悩んでいた。

 しかも、悩みはそれだけではない。
 アイナが買った構築済みデッキは地属性が主体の『ナチュル』だ。
 が、アイナが今まで組んでいたデッキは『可愛いモンスター』が中心だが、攻撃力アップカードを大量に詰め込んだアンバランスなデッキなのだ。

 『クリボー』が中心なので一応【闇属性】に傾いているが【ナチュル】は【地属性】。あまり相性は良くない。
 さらに【ナチュル】達の特徴である『相手の行動に反応して効果を発揮する。』という受動的なギミックが全然理解できていない。

 「デュエル・アカデミアの自由講習でこういった受動的なデッキに関する講習を受けていれば」と思っても遅い。


「うぐぐぐ……。え〜っと『DAT』のインターネット検索で【ナチュルデッキを作る】って調べると
『ナチュルデッキは大まかに分けて、【ナチュルシンクロモンスターを主体にし、効果で相手を制圧する植物族タイプ】と【下級モンスターのビートダウンやコントロールを主軸とする昆虫族タイプ】がある。』…って書いてあるけど。う〜ん…………。」





 (1時間後)






「とりあえず攻撃力が高い『ホーストニードル』と『ホワイトオーク』『マンティス』……あと、使い易そうな効果の『パンプキン』と『チェリー』かな…………。うん、残りは明日で良いね!明日から夏休みだけどデュエル・アカデミアに行く事はできるし、先生や先輩達、あとシンマに聞いてみればいっか!よし、そうと決まれば早速寝る!寝るったら寝る!!!」


 アイナは「寝る」と言ってる割には、ベッドに勢いよく飛び込んだ。

 ついでに、「寝るったら寝る!!!」の声が余りにも大きかったらしく、母親の三葉に「ドタンドタンしないで早く寝なさい!!!」と怒られた事も追記しておく。



























  第16.5話(A)  開かれた悪い集会

















 暗闇に包まれた建物があった。
 そこは、ネオ童実野シティではない。それより少し遠い所にある。
















 暗闇で閉ざされた建物があった。
 そこは、三ヶ月町(みかづきちょう)でもない。そこより緑が少ない。
















 暗闇で覆われた建物があった。
 そこは、普通の人が住む所ではない。住もうと思えば住めるだろうが、暗すぎて余りにも不便だ。
















 暗闇を抱いた建物があった。
 そこは、「安息」などと言う優しげなものは無い。闇が騒がしく動くのだ。
















 その建物は屋敷だった。
 「豪邸」と言う程では無いが「家」と言うには大きすぎる。
















 その屋敷には人がいる。
 元々、建物は人が入る為の物だ。捨てられていなければ当然だ。
















 その屋敷の奥の奥。更に隠れた地下通路。そこをくぐり抜けた時、ようやく光が見えた。
 暗い方が雰囲気は出るだろう。でも、やっぱり不便だ。
 だから光がある。日差しとは違う光が。

 光の源はシャンデリアのような形をしている。でも、炎のように命を感じる光ではない。
 蛍光灯のような人の技術が込められた光とも違う。



 光源は『光り輝く石だった』。
 石英のような物体から溢れ出す白い光。

 表面の模様は、風馬と久我のデュエル中に久我の背中から生えた角のような形の結晶に似ている。
















 そこでとある集会が開かれた。
 だが、参加している者はシャンデリアや屋敷が似合うとはお世辞にも言えない。
 そう、品があるとは言えない。
 そして、品が無くても、宝石やら貴金属やらがジャラジャラ付いた成り上がり貴族の様でもない。一応、あちらは屋敷が似合うと言えば似合う。


 その集会に参加している者の多くは、薄汚れた、絵に描いたようなゴロツキのような格好をしている。

 一方で、全く同じ柄の黒いローブをキチンと着たカルト教団のような者も多かった。



「… … …でよ、最近の稼ぎなんだけどさ…。ここ最近厳しいんだよな。」

「あー、分かる分かる。セキュリティの犬共が最近… … … …とかでウザくて仕方ねえ。」

「しかも、… …とかでさ、やってらんねえぜ!」

「だよな。そんぐらい厳しくするなら、せめて俺らみたいな奴にも稼ぎのいい仕事くらいよこせってんだ。」

 ゴロツキのような者達の話はセキュリティの愚痴話。





「我らが主… … …は… … …だ。キリス…などという偶像にすがる者共に天誅を…!」

「いや、待て… … …の教えは… …である。今は一人でも多く信者を増やすべきでは?」

「何を言う。偶像崇拝者共など… … …。」

「しかし、『神子様』のお考えは … … …だ。やはり偶像崇拝者にもある程度の救いは与えるべきでは?」

 カルト教信者らしき者達の話題は明らかに危険な空気が漂っていた。




 ギィィィィ………。




 広間の奥の扉が開き、三人のヒトが入ってきた。

 三人とも白い仮面を被り、フードをすっぽり被っている。

 一人は20〜30代くらいの男性だろう。その堂々とした態度からこの組織のリーダーだと思われる。
 あとの二人は背の高さがやや低めで、顔も髪も完全に隠れており、性別すら判別できない。

 リーダーと、残りの二人の内一人の仮面は模様が無いが、後の1人だけ額に太陽のような形の装飾がされた白い仮面を被っていた。



 リーダーと思われる男性は少し咳払いをしてから演説のように話を始めた。

「えー、皆の者よ。今夜は集まってもらった理由は他でもない。【カード・セーバーズ】の事についてだ。」

 集会の参加者達の間にピリッとした空気が流れる。

「どうやら、予測通りだったようだ。……我々が【マッチキル・モンスター】を奪取した際に何者かによる襲撃を受けた事は皆も知っているな?」

 参加者達はほぼ同時にうなずいた。

「あれは、【カード・セーバーズ】による襲撃と判明した。囮を使った捜査の結果、奴らは【マッチキルモ・ンスター】を所持していた。あの襲撃で失われた物と同様のカードをな…。」

 会場内がざわついた。
 仮面を付けた男性が「静粛に」と言いざわつきが収まりかけた時、一人のゴロツキが手を上げて質問した。

「おい。失われたって言っても俺らデュエルギャング【ビート・ザ・アフォウリィ】はそのカードがどんなのかは知らねぇぞ!実行したのはアンタとそこの『法皇』『神子』だろ?」

「おい貴様!『法皇様』『神子様』に気安く指を指すな!」

 ゴロツキが言いかけた所で一人の信者が怒鳴った。

「良いんだよ、気にしなくて。元々、【ビート・ザ・アフォウリィ】の皆々様方は雇い主と雇われた立場という以外はボク達と対等っていう条件でこの計画に協力して貰っているんだよ。」

 小柄な二人の内の仮面に模様を持たない方、『法皇』と呼ばれた少年が信者を窘める。

「し、しかし…。」


「『しかし』も『かかし』もありません。寧ろその様な事で心を乱している様では、結束が緩み計画に問題をきたします。」

 仮面に太陽のような装飾がされた方、『神子』は厳しい声で信者を叱る。
 声は男性や『法皇』と違いやや高い。年齢はまだ断定できないが、少なくとも女性のようだ。

「ですがっ!法皇様と神子様に、このような無礼を働く者を黙っている訳にはいきません!」

 他の信者達も「そうだ!無礼極まりない!」「いっその事、あの様な野蛮な者共等と組むなんてやめてしまえ!」と声が上がる。
 一方、ゴロツキ達も大人しく黙ってはいない。2つの組に一触即発の空気が流れる。いや、既に爆発しかけているだろうか。



「黙りなさいっっ!!!!!」



 『神子』の怒号で一瞬にして場は静まり返った。

「『教団』に属する者が私と『法皇』の前でこれ以上の醜態を晒してはなりません!直ちに静まりなさいっっ!!!」

 流石に『神子』の声には逆らえないのか『教団』の者達は静かになった。
 ゴロツキ達も、『神子』の小柄な体格からは想像も付かない気迫に押されたのか、一触即発の空気は一瞬にして取り払われた。


「話がだいぶズレたな。本題に戻そう。行方不明になったマッチキル・モンスターについてだな。」

 リーダーの男がもう一度咳払いをして話を元に戻した。

「【ビート・ザ・アフォウリィ】の皆が不満に思うのもわかる。もっと早く伝えておくべきだったな。その点は反省している。……では改めて、行方不明となったマッチキルモンスターは…。」


「鳥獣族の《アルエヴォ》。2体存在する天使族の内の1体《運命の女王エターニア》。魔法使い族の《魔導神のオブジェ》。戦士族の《武道神の甲冑》。獣族の《獣王キマイラ》。2体存在する獣戦士族の内の1体《羅漢獅子スクナ》。ドラゴン族の《ヴィクトリー・ドラゴン》。もう1体の天使族にして最強のマッチキル・モンスターの1つ《軍神テュール》の8枚だ。」

 突然リーダーの話に割って入る者がいた。

 その者は集会場の入り口から堂々と入ってきたのだ。
 銀髪と赤い目を持ち、太陽と月と星の模様が描かれた紺色のコートを着ている者。

 風馬と久我の戦いで途中から久我を操り、風馬との死闘の末に勝利した魔導師だ。

「随分と遅かったな。」

「いや〜悪い悪い。ちょ〜っと野暮用で時間喰っちゃってさ。」

 魔導師はチャラチャラした口調で広間をゆっくりと歩いていった。


「おい、結構な数だな!こっちが持っている枚数はいくつだよ?」

 マッチキル・モンスターの数は何枚だ、と聞いたゴロツキが魔導師にイライラしながら聞いた。

「ん〜?もう1体の獣戦士族《メテオ・ザ・マッチレス》。雷族の《エンペラー・オブ・ライトニング》。機械族の《音響兵器ローレライ》。悪魔族の内1体《破壊王ゼクセクス》。んで、こっちの『切り札』《羅阿邪神将アギバ》。の合計5体だな。」

 魔導師は余裕な態度を崩さずに、『切り札』の部分だけ強調してサラッと答えた。

「はぁ!!?【カード・セーバーズ】の奴らの方が3枚も多いじゃねえか!!!?」

 【ビート・ザ・アフォウリィ】のギャング達は一斉に騒ぎ出した。

「ふざけんじゃねえ!マッチキル・モンスターの強さは俺達だって分かってるんだ!!それを8枚もぶん盗られるって、何アホな事してんだ!!!!」

「おまけに最強の1枚が盗られたってどう言う事だよ!!!ふざけんのもいい加減にしろ!!!!!!」

 ギャング達から、怒号が飛びかう。


|ズガンッ!


 突然、ギャング達の背後で凄まじい音が鳴り響いた。

 パラパラパラ…。

 見ると、ギャング達の背後の壁に深い穴が開いていた。
 魔導師が衝撃波を飛ばしたのだ。
 誰も巻き込まれてはいなかったが、再び会場は静まり返った。

「まぁまぁ、落ち付きなよアフォウリィの皆々様方よぉ。【カード・セーバーズ】の奴らが持っているマッチキル・モンスターは4枚だ。」

 魔導師が静かに、しかし凄みを利かせて話す。


「おい……。4枚ってのに根拠はあるのか?」

 他のギャング達が恐れ慄く中、ギャング達の首領だけが堂々とした表情で魔導師に質問する。

「ん〜?あるぜ。なんせ、残りの4枚は【カード・セーバーズ】が俺達を急襲していた最中に消えたのを俺が目撃してるからな〜〜。」

 魔導師は相変わらずな態度で話す。
 その余裕な態度と服装は、この会場では浮いて見えた。

「魔導師殿、残りの4枚について皆に説明を。」

 教団とギャングを束ねるリーダーが魔導師に命令する。

「へいへ〜い。…んま、単純に言うと《運命の女神エターニア》と《アルエヴォ》は、『カードの精霊』が自らの意思を持った為に自分に相応しいであろう人間を捜しに何処かへ飛んでいったのを俺が見たわけよ。流石に誰の手に渡ったのかは分かんねえケド、一昨日、【カード・セーバーズ】に潜入捜査したときに少なくとも奴らは持っていなかったぜ。持っていたのは《魔導神のオブジェ》《武道神の甲冑》《獣王キマイラ》《軍神テュール》だ。」

 普通の人間なら「カードの精霊なんていないだろ!」と馬鹿にする話だが、【教団】の信者達は勿論、【ビート・ザ・アフォウリィ】のギャング達までもが『精霊』の存在を疑わなかった。

 何故か?それは、目の前にいるからだ。
 壁に穴を開ける程の衝撃波を飛ばすという人間にはとても出来ない事を今さっきやってのけた魔導師が精霊だ。


「それなら……、《羅漢獅子スクナ》と《ヴィクトリー・ドラゴン》は何処にある?お前の話ではその2枚は出てこなかったが。」


「ああ、そこからが俺の野暮用だ。いや〜、横取りした奴らが別々の人物で、おまけに何の接点も無かったから、探すのだけは苦労したよ。ほ〜れ。」

 魔導師は懐から2枚のカードを取り出した。
 1枚は先程、久我から回収した《ヴィクトリー・ドラゴン》。
 もう1枚は久我よりも先に回収したマッチキル・モンスターだ。


【羅漢獅子スクナ】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/獣戦士族/攻2600/守2000
 自分フィールド上の獣戦士族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●???


【ヴィクトリー・ドラゴン】 (本作オリジナルver)
 マッチキル・モンスター
 星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000  自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
 リリースしてアドバンス召喚しなければならない。
 このカードが直接攻撃に成功した時、自分はマッチに勝利する。
 ルール上、このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果は1ターンのみしか適用されない。
 マッチキル・モンスター及び神属性モンスター以外のモンスターは
 このカードを攻撃対象に選択できない。
 このカードの攻撃は無効にされない。
 自分のバトルフェイズをスキップする事で以下の効果を発動する。
 ●次の自分のバトルフェイズ終了時まで、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。


「これで7枚だ。

 魔導師は自慢げに話す。

「うむ、後は【カード・セーバーズ】を倒し、エターニアとアルエヴォを手に入れれば目的に大きく前進する訳か。では、皆の者。今夜の会議はこれで終わりにする。後は、各々おのおので宴を楽しもうではないか。」















 教団の信者とギャング達が宴で盛り上がる中、リーダー格の男と『法皇』と『神子』、そして魔導師は奥の部屋にいた。
 リーダーと『法皇』と『神子』はここでは仮面を外していた。
 魔導師はと言うと、広間に入ってきた時から仮面のような類は付けていない。
 一応、フードは付けていた為、顔はギャングや信者達に見えなかったが、ここでは外している。

「ひさしぶり。もう半年振りだね。」
「お久しぶりです。『賢者様』。」

 最初に『法皇』と『神子』が魔導師に声を掛けた。
 『神子』は何故か『賢者』と呼んだが、『賢者』と『魔導師』では別の意味になる。だが、間違えている訳ではないようだ。

 銀髪で赤い瞳を持つ青年は『魔導師』であり『賢者』でもあるらしい。

「いや〜二人共おひさだな。しっかし、この年頃の子は成長が早いね〜。法皇は、まだまだ見た目はガキっぽいケド、『大人の余裕』的なもんが漂うしな〜。」

 魔導師の外見も相当……少なくともリーダー格の男よりは若いはずなのに、ジジ臭い話題を出した。いちいち『様』を強調しながら。

「フフッ、褒め言葉として受け取っておくよ。」

「神子も、半年会わない内に威厳たっぷりになったじゃねぇか。『黙りなさい!』って怒号、外からも聞こえていたぜ。とても女の子とは思えないよな〜。仮面付けてりゃ、小柄な大人の女性にしか見えね〜〜〜。」

「……。」

「しかも心構えとか性格みたいな中身だけじゃなくて、見た目も更に可愛くなったじゃねえの〜。こりゃ、将来は男共が『誰が神子に相応しいか』とか言って壮絶な争いになるくらいの麗しの美女になるんじゃないのか?」

「……『賢者様』って女性好きしたっけ?」

「あ、だめだ。からかっても全然リアクション薄いわ。つまんねーの。」

 魔導師は「あーあ」と言いながら、子供みたいに椅子に寄りかかっていると、リーダーの男がこの集会の本題らしきことを話し始める。

「さて、我々だけ別の部屋に集まったのは、デュエルギャング共には余り聞かれたくない話しだからだ。」

「そうだよね。だって、君の目的の関係上、【ビート・ザ・アフォウリィ】のようなギャングは最終的に一番邪魔になる存在だからね。」

 『法皇』の少年も声のトーンを少し低くして話す。

「切り捨てるには少々惜しい人材もいるが仕方あるまい。仲間を切り捨てられて黙っている奴は殆んどいない。」

「んでもって、黙っている奴らは一見、『犬のように忠実です』って顔をしてるが、腹ん中じゃ俺達を亡き者にするって考えの奴らばっかだからなぁ。しっかし、【ビート・ザ・アフォウリィ】ねぇ……直訳すると『権力者を殴る』か。あいつ等の願望そのまんまだな。」

「彼らが殴りたい『権力者』とは恐らく『セキュリティ』の事です。だからこそ利害が一致する我々と手を組む事を選んだ、という所ですか。……彼らを放っておくと間違いなく、一般人にも被害が及ぶでしょう…。」

「だからこそ切り捨てる。例外なく、歴史の闇に葬る。……それにしても、あなた方【教団】の協力が無ければ私の目的もここまで順調に計画は進まなかった。」

「アレ?俺は、俺は?」

 魔導師は図々しく聞いてくる。

「魔導師殿は【教団】関係者だと思っていたのだが…。兎に角、協力に感謝する。」

「いえ、あなたの計画が完遂すれば、【教団】の過激派の人間を鎮める事に繋がるでしょう。【教団】を代表して、『神子』である私からもお礼を言わせていただきます。協力に感謝します。」

 神子は丁寧にお辞儀する。

「あのさ…。大切なお話のをぶった切って言いたい事があんだけど…。本当に良いのか?俺に協力を要請して。」

「…?どういう意味だ。」

 魔導師が珍しく冷静で真面目な表情で話し出したので、リーダーの男は少々驚き気味に理由を問い詰める。

「ん、だってよ…。確かに俺はあんた等に協力しているが、あくまで俺は【あいつ等】の味方だ。つまり、… ……… ……だ。もしも……  …  …… …になったら俺は躊躇なくアンタ等を裏切るぜ…。」

「……その時は仕方あるまい。その万が一の事態になったならば、我々も応戦する。なにより、【ビート・ザ・アフォウリィ】を丸め込んだり、【カード・セーバーズ】の情報の密告、さらに今回のマッチキル・モンスターの回収は魔導師殿のお陰だ。それに少なくとも今は味方なのだろう?それなら問題ない。」

 リーダーは魔導師の質問にあっさりと答えた。

「さて…、まだまだするべき事は多い上、目的を達成した後が最も大変だが、確実に私個人の目的に近づいている…。」




































 この国の腐った上層部を根こそぎ叩き出し、新たな秩序を作る為の………な。

































  第16.5話(B)  「気弱」≒「勇気が無い」=「無力」








 読者の皆さん、お久しぶりです。
 (当時、この小説で僕が初登場してから)3ヶ月ぶりなので忘れていた方も多いでしょうから、改めて自己紹介を。
 僕の名前は『露月 蒼也(つゆづき そうや)』と言います。『露月 藍奈(つゆづき あいな)』の弟です。

 容姿や人気に関しては、皆さんの評価にお任せします。


 今回のナレーターは僕が勤めさせていただきます。



 ここはネオ童実野シティから少し離れた田舎町。三ヶ月町(みかづきちょう)。
 シンマさんが第1話で紹介してくれた通り、周囲が山々に囲まれた平和でのどかな町です。

 まだ時刻は7月19日の朝4時半頃。
 寝ている人達も多いでしょう。
 でも、お屋敷にいる使用人の皆さんや農家の人達はそろそろ起き出す頃かな。


 夏場にしてはやや涼しい中、セミ達が静かにミンミン鳴いていました。
 太陽が昇り始め、この三ヶ月町を照らし出します。


 窓から射す暖かな光で僕は目覚め………。








「起床ッ!」








 う、うわあああああああぁぁぁあぁぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!?!?!?!!!????


 僕は一瞬何が何だか分からなくなった。
 突然、取り上げを掛け布団られて…じゃ無かった、掛け布団を取り上げられて、両肩を掴まれて体を前後に揺さぶられた。

 僕を揺さぶり起こしたのはアイナ姉さんだった。

「起きたまえ、ソウヤ君!もう朝だよ!」


 ボフッ!


 姉さんは無理やり僕を起こさせた後、何か布のような物を投げつけてきた。

 よ〜く確認すると僕の私服だった。
 「早く着替えろ」って意味なんだと思うけど、まだ……………朝の4時半だよ……。

「うぅ…。……ね、姉さん…もう、夏休みなんだから……もう少し寝かせてよ…………。」

 僕は半分涙声になりながら姉さんに抗議した。
 姉さんて、他の人達には優しいけど、僕やシンマさんに対しては人使いが荒いよ〜。

「あ〜もう!今日はシンマと会う約束してるでしょ!あたしは自分の部屋で準備してるから、さっさと着替えなさいよ!」

 そういって、姉さんは上の階にある自分の部屋に駆け足で上って行った。


 はぁぁぁ〜〜〜〜〜。


 幾らシンマさんと会う約束してるからって、どうせデュエルアカデミアに用がある訳だし朝の4時に起きる必要は無いでしょ………。
 デュエルアカデミアが開くのも、どんなに早くたって朝の8時からだよ。







 あ、読者の皆様は「どうして夏休みなのに学校が開いてるの?」、と疑問に思うでしょうから、簡単に説明します。


 デュエル・アカデミアが夏休みや冬休みでも開いている大まかな理由は、以下の人達が来るからです。

 ・そもそも、アカデミアに在る寮に泊まっている人。
 ・大門寺さんみたいに、先生から補習を言い渡された生徒の皆さん。(第5話参照)
 ・補習が無くても自主的に勉強する真面目な人。
 ・アカデミアにデュエル・ドームが存在する為、友達と練習試合に行く人達。
 ・そして、その試合を観戦する為に来る人。
 ・上記の理由で人が沢山集まるので、ただ単に友達に会いに行く人。

 と、いった感じで、ネオ童実野シティのデュエルアカデミアは一種の公共施設のようになっているんです。
 ちなみに、休みの日限定で私服OKです。




「ほら、ソウヤ!ボサッとしてないで早く着替えなよ!あたしは先に玄関で待ってるからね。」

 って、うわぁっ!

 いつの間にか姉さんが再び僕の部屋に入ってきてた。
 姉さんは僕に「あと、アカデミアに行くんだからデッキは忘れずに持っていくんだよ。」って言って1階の玄関まで走っていってしまった。

「わ、わかったよ…。」


 僕はすぐに赤と白が基調のジャケットとズボンを着て、帽子を被ると、僕は自分のデッキが仕舞ってある机に向かいました。

 現デュエルキングの『不動 遊星』さんに憧れて作った、【シンクロンデッキ】。
 流石に『スターダスト・ドラゴン』とその進化形態は入ってないけど、『ジャンク・シンクロン』や『ボルト・ヘッジホッグ』『ロードランナー』のような遊星さんを象徴とするカードは入っています。
 『ダンディ・ライオン』や『ナチュル・ビーンズ』のような遊星さんが使ってないカードを入れたりして、僕自身に合うように改良したけど、遊星さんに比べればデッキの完成度は遠く及ばないんだろうなぁ…。

 デッキのカードを一つに纏めていると、ふと1枚のカードが僕の目にとまりました。
 機械の鎧を纏った格闘家のような格好をした人型モンスター『ブレイヴ・シンクロン』。
 遊星さんも使っている、僕が特にお気に入りのカードです。


【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。


 『ブレイヴ』=『勇気』っていう単語が単純に好きだからエースカードにしていますけど、シンクロ形態の『ブレイヴ・ウォリアー』はとても強いですよ。




 って、ボサっとしてたらまた、姉さんが部屋に駆け上がってきそうだなぁ。
 姉さんが「早く、早く」と急かす前に、僕は階段を下りてお屋敷の玄関に向かいました。
 僕の私服が全体的に赤色が基調なのに対して、姉さんの私服は頭に群青色のバンダナ、水色と白が基調のワンピース、黒字に黄色いラインが入った半ズボンです。


「ソウヤ〜!デッキとか、電車代とか、忘れてない〜?」

 姉さんが悪戯っぽく聞いてきた。

「忘れてないよ。それより、姉さんは大丈夫なの?」


「へーき、へーき。ちゃーんと確認したもん!」

 ホントかなぁ、姉さんってせっかちだから心配だよ。





 …『心配』って単語でもう一つ思い出した事があった。姉さんが昨日話してた『あの事』についてだ。

「あのさ…。姉さん昨日の事なんだけど………。」


「……え?昨日の事って?急いでるから手短にね!」


「……………。」

 僕は「『あの事』に関わるのは反対だ」って姉さんに話そうとした。でも…。


 だめだ、姉さん聞き流しそうだよ…。聞いてくれても怒りそうだし…。

「あーーっもう!黙っていたって分かんないでしょ!?もう、さっさと行くよ!どうせ、難しくて理解しずらい事なんでしょ!!?」

 うわぁっ!!や、やっぱり怒っちゃった…。
 僕はそのまま黙り込んでしまった。

「はぁ…、まったく。それじゃ、さっさとシンマの家に行くよ!って事でいってきま〜s……。」






「あの…、藍奈様。蒼也様。朝のお食事はよろしいのですか?」

 うわっ、ビックリした。  …僕って朝から驚いてばっかりだな……。
 姉さんが勢いよく外に出ようとした時、後ろから執事のお兄さん声を掛けたんだ。



「えぇ!?だってまだ朝の5時前だよ!!?もう朝ゴハンの用意済ませちゃったの!?!?」

 姉さんが驚いたように声を上げた。
 驚いたのは僕も同じ。
 お父さんとお母さんは、8時頃まで寝る筈なのに。
 8時までそのままにしてたら朝ごはんが冷めちゃうよ!

「はい、藍奈様と蒼也様はいつも早く出掛けられるので、時間の空いている者達が朝の4時前程に起きて藍奈様と蒼也様の分のお食事は作っておく事にしたのです。」

「えぇぇっっ!?わざわざ、そんなに早く起きて!!?あたし達が出掛けているなら、わざわざ作らなくても良いのに…。」

 朝4時前って早すぎるよ…。
 僕達が朝早くに家を出るから、使用人の皆さんはそんな考えを…。

「あの…。藍奈様はお屋敷のお食事がお口に合わないのですか……?」

 執事のお兄さんが不安そうに聞いてきました。

「そっ、そんな事無いよ!ただね………う〜ん…………………。あっ、それじゃあ、これからは早くても朝6時ちょっと前に起きるよ。だから、あなたも使用人のみんなも、これからはもう少し寝てて大丈夫だよ!幾ら使用人が『ご主人様とその家族に尽くす』からって、働きすぎて倒れたら大変だもん。」

 姉さんが少しだけ考え込んだ後、変な提案をした。
 でも、お陰で僕も夏休みはもう少し眠れそう……。


「…(…なるほど、そういう事でしたか…。わたくし達へのお気遣い有難う御座います、藍奈様。)……そうですか。では、皆の者にもそう伝えておきます。お食事はお茶の間にございます。」

 執事のお兄さんは何かつぶやいた後、僕達をダイニングに案内してくれた。

「それじゃ、いただきま〜す♪」

「いただきます。」












 一方その頃シンマさんは。


「あれ?あいつ等今日は来ないのか?来ると思ったから、前の夜に多めに米を炊いて置いたんだけど、これじゃあ夕食でも余るな。」

 わざわざ、朝ゴハンを僕達の分まで用意してくれてたそうです。













 7月19日 8時  デュエルアカデミア・ネオ童実野校


 それでは場所と時間が変わって、ここはネオ童実野シティのデュエルアカデミアです。
 まだ、開いたばかりなのに校舎内は友達とお喋りしたり、図書室でデュエル戦術理論の本を読んだり、10時頃から始まる補習の事を考えてたのかグッタリしていたり、9時に開くデュエルドームに並んでいる生徒さん達で賑わっています。
 でも、これでも少ない方なんですよ。


「よーし、じゃシンマ!早速例の『デュエルの勝者予想』を始めよう!」

 姉さんが昨日シンマさんと決めた賭けを早速始めようとしました。
 でも、アカデミアのデュエル・ドームが開く時間は…。

「おっと待った。デュエル・ドームが開くのは9時からだ。あと1時間もある。だから、今の内にルール説明な。」

 シンマさんはそう言って、簡単にルールを説明してくれました。


・賭ける試合は全部で5試合。デュエル勝者の予想が当たった回数が多い人が勝利。
・予想が当たった回数が同じ場合、引き分けではなく姉さんの勝利となる。
・先攻第2ターン目終了時までに予想を決定。
・予想は口に出すのではなく、メモなどに書いてお互いに同時に見せ合う。
・また、賭ける試合はデュエルの成績が中級者VS中級者・中級者VS上級者・上級者VS上級者のみ行なう。
 (中級者・上級者云々はシンマさん曰く『DAT』のアカデミアのデータベースで調べることが出来るそうです。デュエル実技の結果によって初級・中級・上級に位分けされているんです。)


「……と言う事なんだけど質問とかは?」

「無い!…と思ったけどなんで『予想は口に出すのではなく、メモなどに書いてお互いに同時に見せ合う。』なの?『DAT』のメモ帳機能で書けば紙が勿体無くなる事は無いけど時間が掛かるでしょ?」

 姉さんが3番目のルールについてシンマさんに聞いた。

「ん?だってさ、お互いに口に出すと…。」

『例えば、1試合目はAさんとBさんの試合。
 俺がAさんに賭けて、アイナがBさんに賭ける。
 結果はAさんの勝利。 俺の予想が当たり、アイナがハズレ。

 【シンマ】1ポイント
 【アイナ】0ポイント

 ポイントの差は1ポイント俺が勝っている。


 2試合目はCさんとDさんの試合。
 アイナがCさんに賭けた後に、俺も『わざと』Cさんに賭ける。
 結果はCさんの勝利。 アイナの予想は大当たり、でも同じ方に賭けた俺も当然当たり。

 【シンマ】2ポイント
 【アイナ】1ポイント

 ポイントの差は1試合目と同じく1ポイント俺が勝っている。


 3試合目はEさんとFさんの試合。
 アイナはFさんに賭ける。だが、俺もアイナが選んだ後からFさんに賭ける。
 今度はEさんの勝利。 アイナの予想はハズレ、でも同じくEさんに賭けた俺もハズレ。

 【シンマ】2ポイント
 【アイナ】1ポイント

 ポイントの差は1試合目と2試合目同様、俺の方が1ポイント勝っているまま。


 シンマさんがここまで説明して僕は何か違和感を覚えた。
 あれ…?シンマさんがこのまま姉さんと同じ予想にしていくと、もしかして…………。


『4試合目。GさんとHさんの試合。
 アイナはGさんに賭ける、俺はまたしてもアイナが決めた後、同じくGさんの方に賭ける。
 結果はGさんの勝利。 アイナの予想は当たり。ケドやっぱり同じ方に賭けた俺も当たり。

 【シンマ】3ポイント
 【アイナ】2ポイント

 ポイントの差は相変わらず俺が1ポイント勝ったまま。


 最後の5試合目。IさんとJさんの試合。
 アイナはIさんに賭ける。で、俺もやっぱりアイナが決めた後から同じくIさんに賭ける。
 結果はIさんの勝利。 アイナの予想は当たり。でも、どうやったって同じ方に賭けた俺も当たり。

 【シンマ】4ポイント
 【アイナ】3ポイント

 ポイントの差は泣いても暴れても叫んでも2試合目以降ず〜っとアイナと同じ方に賭け続けた俺が1ポイントリードして俺の勝利。



「あーーーっ!!!シンマずるーーーーい!!!!!」

 や……やっぱり、そういう事なんですね…。
 一度でも差が付いたら勝っている方が負けている方と同じ人に賭け続ければ、どう足掻いたってその状態をキープできますもんね……。

「だーかーら、そういう不正を防止する為に『予想はメモに書いて二人で同時に見せ合う』んだ。」

 なるほど、このまま黙っていればシンマさんが勝つ確率が高かったですけど、正々堂々って事ですね。
 でも、シンマさんは姉さんが昨日話してた『あの事』に反対な筈なのにどうしてだろう?

「なっるほど!さすがシンマ!!!んじゃ後は特に何も無いけど。どうしよっかな?」

「ん?まだ、デュエルドームが開くまでには時間があるから今のうちに先生に『ナチュルデッキ』について聞いてみれば?アイナが新調したデッキは【ナチュル】が中心なんだろ?」

 へぇ、姉さんの新しいデッキはナチュルだったんだ。
 僕はまた、可愛いモンスターの攻撃力をひたすら上げるデッキなのかと…。

「うっ、確かに………それじゃ、あたしは先生に早速聞いてくるね〜!」

 そう言って姉さんは職員室に向かって走っていってしまった。



 あ、そうだ。シンマさんに『あの事』について聞かないと!

「あの…シンマさん。なんで姉さんが『あの事』に関わるのを無理矢理にでも止めようとしなかったんですか?」


「…ん?『あの事』って?」


「『ドラゴン使いの男がアンティルールを強要する事件』です。僕のクラスでも話題になっていました。それに『マッチキル・モンスター』っていう物凄く強いモンスターを使っているかもしれない』って姉さんが言ってました。姉さんは『犯人を捕まえて、奪われたカードを持ち主に返してあげる』って言ってましたけど………。」


「この賭けにアイナが勝ったら明日から犯人捜し。俺が勝ったら1週間後に延期って奴か?」

「はい。この事件、そもそも関わるべきでは無いと思います。賭けなんてせずに、最初からセキュリティの人達に任せるべきです。」

 犯人はインダストリアル・イリュージョン社の日本支部のカード保管庫を破ったんだ。
 それならきっと単独犯じゃなくて複数犯です。子供の僕達じゃ絶対に勝ち目が無いよ。
 僕はその旨もシンマさんに話しました。
 シンマさんは黙って僕の話を聞いてくれました。





「……だな。普通に考えて、今回の事件は関わらない方が賢明だな。」

 うん、やっぱりシンマさんも関わるべきじゃないって思ってるんだ。

「それなら今すぐこの賭けは中止しましょう!シンマさんが姉さんにしっかり言い聞かせれば大丈夫ですって!」

 今頃、姉さんはきっと職員室か講義室にいるはず。
 僕とシンマさんは職員室に向かいましt………。

「あのさ、お前はアイナに『この事に関わるべきじゃない』って言ったのか?」

「……え?」

 突然、シンマさんが怖い声で聞いてきました…あまりにも意外な質問に僕が驚きすぎてそう聞こえただけかもしれないけど。

「昨日か今日、アイナに『賭けとかする以前に、この事件に関わるべきじゃない、危険すぎる』って言ったのか?って聞いているんだ。」

「………。」

 今日の朝、その事を姉さんに話そうとした。
 けど……








 …『心配』って事でもう一つ思い出した事があった。姉さんが昨日話してた『あの事』についてだ。

「あのさ…。姉さん昨日の事なんだけど………。」


「……え?昨日の事って?急いでるから手短にね!」


「……………。」

 僕は『あの事に関わるのは反対だ』って姉さんに話そうとした。でも…。
 だめだ、姉さん聞き流しそうだよ…。聞いてくれても怒りそうだし…。

「あーーっもう!黙っていたって分かんないでしょ!?もう、さっさと行くよ!どうせ、難しくて理解しずらい事なんでしょ!!?」

 うわぁっ!!や、やっぱり怒っちゃった…。
 僕はそのまま黙り込んでしまった。







 結局…、姉さんが怒りそうだから話せなかった。
 その後、結局怒っちゃったけどね……。

 ………「話せなかった」って言ったらシンマさん、なんて言うd…。

「話してないんだな?大方、アイナが怒りそうだからって。」

 ど、どうして分かったんですか!?本当にシンマさんは黄金の義眼でも持ってるんですか!!?

 僕が驚いているとシンマさんが「はぁ」と溜息を吐きながら話してくれた。

「お前のその表情見れば、誰でも分かるっての。お前ら姉弟って考えている事が顔見れば大体わかるな、その辺は数少ない姉弟の似ている所かね。……昔っから自己主張が苦手だもんな、ソウヤは。」

 か、顔を見ればわかるって………。そんなに分かり易いんですか……。

「…でも、犯人捜しは姉さんが良いことだって思ってしてる事だから、僕が止めたって無駄だよ……。それよりもシンマさんが止めたほうが…。」


「アイナが『犯人を捜そう』って言った時、止めなかったと思ってるのか?怒鳴ったぜ、自分でも珍しいくらいに。ケド、アイナは怒鳴られても諦めなかった。どうしても、犯人にカードを取られた人を見捨てられなかったんだろ。そんな奴を無理矢理止めたって、目を離している隙に勝手に飛び出すだろ?だから、犯人捜しの期間を少し延期してその間にセキュリティに捕まえてもらおうって思ってるんだ。

 そ、そうだったんだ…。
 シンマさんは、姉さんが止めたって無駄かもしれないから時間を稼ぐ事で姉さんが危ないことに関わるのを避けようとしているんだ。

「だったら、僕が姉さんに『この事件に関わるのはやめよう』って言わなくても良いんじゃないんですか?」

 今思えばこの言葉はかなり身勝手な言葉だったと思います。

「んで、もし俺がこの賭けに負けたり、セキュリティが一週間以内に犯人逮捕ができなかったら?」

「あ……。でも、シンマさんが怒鳴っても『犯人捜し』を諦めなかったんでしょ?それじゃあ、僕が姉さんに何を言っても無駄だと………。」

俺はアイナの幼馴染だ。幼馴染が怒鳴っても止まんなかったんだから、あいつはそう簡単に犯人捜しを諦めないな。

 うん、だから無理だy…。

「ケド、ソウヤ。お前はアイナの弟だ、肉親だ。 『所詮、幼馴染』である俺よりずっとアイナに近い存在だ。そのお前が本気で『やめよう』言えばアイナも犯人捜しを諦めるかもしれない。少なくとも俺が言うより、ずっと可能性が高いと思うぜ。

「だ、だ、だって!そんな事いったら姉さんが怒るかもしれないんですよ!」

 そんなの嫌だよ。




 怖いもの…。

「じゃ、黙ってれば?お前が『怒られるのが怖いから』って下らない理由で止めなかったせいでお前の姉が危険なことに巻き込まれても良いならな!………俺だって止めたいケド、言ってもアイナは止まろうとしなかったぜ。ケド、弟のお前はまだ行動すらしてないのに諦める………か。

「うっ、それは…。」

 それは、もっと嫌だ。
 姉さんはたった一人しかいない僕の姉弟だもの………。
 お父さんとお母さんは仕事から帰って来るのが遅めだし、使用人の皆さんは朝から晩まで忙しいから、家でまともに遊んでくれるのは姉さんだけだ…。


 ……ちょっと荒くて乱暴だけど。





「……もう良いか?俺も何時までもウジウジしている奴の相談を長々と聞いていられるほど大人じゃないんだ。だってまだ14歳のガキだぜ?」

 今度こそシンマさんは……静かだったけど怒った口調で、さっさと何処かに歩いていってしまいました。










 ………そうだよね……。結局、僕はウジウジしている弱虫だ…。

 ここまで弱虫で意気地なしなら誰だって愛想も尽き果てるよね…。


「……まぁ、ケド。お前がアイナにガツンと言ってやるなら、それなりに手伝うぜ。」





 ………え?

 一瞬、シンマさんがそんな事を言ったような気がした…。
 いや、確実に、ハッキリと言ったんだ。




「………僕は…。」


 僕はその場で立ち尽くしていた。


 どうしよう………。普通の人なら姉さんに怒らせてでも止めるのかな?……でも、弱虫の僕は…。



















 …………。







 なんとなく、デッキからカードを1枚取り出した。
 ずっと使ってる、僕のお気に入りのカード。でも、見つめていたって勇気は湧いてこなかった。


【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。


 「勇気が無い」って…ここまで無力なことなんだな……。































  第17話  気弱少年と野獣少女






  以降からの主要登場人物



 筒納木 ルオ (つつのぎ るお)

年齢:10歳
性別:女
誕生日:8月10日 しし座
所属:デュエルアカデミア・ネオ童実野シティ校小等部5年生
使用デッキ「???」
好きな食べ物:木の実。果物。焼き魚。ショートケーキ。
嫌いな食べ物:特に無し。強いて言うならフグ等の生で食べられないもの。
●ソウヤのクラスメイト。
●ある意味、目立つ服装をしている為、その格好と誕生日から「野獣少女」というニックネームがある。
●母親からは「女の子らしい綺麗な服を着なさい」と言われているが着たことが無い。
●基本的に野菜や果物は生で食べる。
●微妙に喋り方が片言。








 はぁ……。

 あ、すいません。今回もナレーターはこの僕、『露月 ソウヤ』が担当します。
 あの後、結局僕は姉さんに「『アンティルールを強要するドラゴン使いの事件』に関わるのはやめよう。」っていう事が出来ませんでした。

 シンマさんは「ガツンと言うなら手伝ってやる。」って言ってくれましたけど………、はぁ〜〜。

 今、僕がいるのはデュエルアカデミアの2階にある図書館です。
 「夏休みの自由研究を進める為。」…のつもりですけど、どちらかと言えば落ち込んだ気を紛らわせようとしてるんだと思う。
 そのせいで、全然本の内容が頭に入ってこない。

 はぁ〜〜〜………。



「やっほー♪」


 うわああああぁぁぁあああぁぁぁぁっっっっっっ!!!?!???!????!!!!???


 ドシンッ!

 いたた…ベンチから転落して思いっきり尻餅ついちゃった……。

 突然、女の子の真後ろで僕が……じゃなかった、僕の真後ろで女の子が声を掛けてきたんだ。
 それも、僕の肩に両手を付けて上から…。

「き…、君って『野獣少女』の……。」

 ここまで言いかけて僕はハッとした。
 あ、そういえば、『野獣少女』って仇名が嫌いなんだっけ…。

 野獣少女と言われた子は少し膨れっ面になった。

「むぅ…『野獣』言うな、『ルオ』だよ。……っと、それより何かあった?ソウヤ、随分元気無かったよ。」

 えっと、この子は野じゅ…じゃなくて『筒納木 ルオ(つつのぎ るお)』っていって、僕のクラスメイトなんです。

 膝の辺りでぶった切ったジーパンに薄い麻色で半袖のTシャツ姿っていう、飾りや模様が無い分、逆に目立つ服装をしている。
 しかも、冬の日だってその上にコートを羽織るだけ。
 赤茶色の伸ばしっ放しの髪は後ろの方に集めて一本の紐でポニーテールのようにまとめている。
 肌の色は日焼けした薄い褐色で服も薄汚れているから全体的に黒っぽく見える。だけど、歯だけは真っ白だった。
 靴は皮製の靴や運動靴とかじゃなくて、わらじを履いている。
 教科書やノートはランドセルや普通のカバンじゃなくて、木のつるを編みこんだヘンテコなカバンに入れて、腰にぶら下げた小さな袋に文房具を入れているんだ。
 周りの人と同じような物といえば、デュエルディスクとデッキ、遠足に行った時に持ってきたお弁当箱くらい。
 だから、デュエルディスクが物凄く浮いて見える。
 もう、まるで森やジャングルで育った風にしか見えないよ。

 …で、誕生日が8月10日だから、付いた仇名は『野(8)獣(10)少女』。
 本人は嫌ってるけど、仕方無いと思うよ…。

「どうしたの?ソウヤ、今度はわたし、じーっと見てるけど。」

「え?あ、いや、なんでも無いんだ…。ゴメン…。」

「謝らなくて良いよ。それより、ソウヤ、凄く元気ない。良かったら相談、乗るよ?」

 …どうしよう。
 相談に乗ってくれるのは嬉しいけど…。

「おい、ソーヤ!良いのか?折角、『相談に乗る』って言ってくれてるんだぜ?思い切って話してみたらどうだよ?オイラは普通そうするぜ!」

 あ、ブレイヴ・シンクロン…の精霊だね。
 だけど、言ったって困らせちゃうだけだよ。
 …いや、むしろ困るだけならマシだよ。この際、怒ったって良い。
 でも、それ以上に嫌なのは…。

「なんだよ、なんだよ!ダンマリしちゃってさぁ!!」

「うむ。蒼也殿は恐らくルオという少女が『例の事件に興味を持つ』事が嫌なのじゃろ?正確には『関係の無い者を巻き込む事』が…。」


 今度は《スターダスト・ドラゴン》によく似た小さな竜、デブリ・ドラゴンの精霊が小さめの声で話しかけてくれた。

 うん、その通り。
 万が一、ルオまで『例のアンティルールを強要するドラゴン使い事件』に興味を持って、そしてそれに巻き込まれたら…。
 そんなの絶対に駄目だ。無関係な誰かを巻き込むなんて事は、どんなに怒られても、脅されても、叩かれても絶対に嫌だ。

「じゃが、お主が悩んでいる事は『例の事件』ではなく『その事件に関わろうとする姉を止める勇気が出ない事』じゃろう?事件の内容さえ伏せて置けば問題ないじゃろ。」

 ……!

「それにあの子が『相談に乗る』と言った以上、お主が思っているくらい迷惑は覚悟しておるじゃろうに。」
「ま、そんな程度の事で悩むのなんて弱虫毛虫のお前くらいだし、相談した内容があんまりにもショボくて逆に困っちまうかもしれないけどな!」

 う…。ブレイヴ・シンクロンの言葉に言い返せないから更にキツイ…。
 それは兎も角、本当にルオは困ったりしないかな…。

「精霊には相談できる、でも、わたしには言えない事なの?わたし、ソウヤがどんな些細な事で悩んでいても困ったりしないよ。」
「あ、ありがとう。」


 ……って、え!?い、今ルオは何て…。


「る、ルオ。き、君って精霊がみえるの!??」

 い、いや、身近に何人も精霊が見える人がいるなんて事、そうそう無いはず…。

「うん。」

「ええぇぇぇ(゚Д゚)っっっ!!!?!?!?」

 あ…あっさりと答えちゃったよ…。
 っていうか…。こんな身近に精霊を見ることが出来る子がいるなんて…。

「うげげっっ!!?マジで!!??」
「ふぅ…、念の為に小声で話しておいて正解じゃったわい…。」

 ブレイヴ・シンクロン達もかなり驚いていたみたい。
 あと、デブリ・ドラゴンが小声で話していたり、『ドラゴン使い事件』の事を『例の事件』って言ってたのは、もしルオが精霊を見ることが出来るなら『ドラゴン使い事件』の事を聞かれるかもしれないから、だったんだね…。

「あ、そうそう。ブレイヴ・シンクロン、あんまりソウヤ、イジメちゃダメだよ。友達、大切にしないと。」
「けっ、こんなウジウジ野郎なんて友達でも何でもねぇよ〜だ!」

 そっ、そんなぁ…(泣)。

「そうじゃな。ブレイヴ・シンクロンは蒼也殿の手下じゃからな。」
「誰が手下だーーーーいっっっ!!!」


「まぁ、それは兎も角、ソウヤ、何を悩んでるの?」

「あ、えぇっと…。」

 僕は今朝から今まで悩んでいた事を話しました。
 姉さんが危険な事件に首を突っ込もうとしてる事。
 それを止められなかった事。
 シンマさんに頼もうとしたけど、「お前が言うべきだ」って言われた事。
 姉さんにガツンと言うなら協力するって言ってくれた事。
 でも、結局勇気が出なかった事。

「…………。」

 ルオは顔色一つ変えずに黙って聞いてくれた。
 でも…、なんて言うか、僕が話し出してからずっと表情が変わらないまま。

 やっぱり僕の悩みが余りにくだらないから呆れ果てちゃったのかな………。
 僕がそんな不安を持ちかけた時、ようやくルオが口を開いた。

「ふーん。だからソウヤ、凄く悩んでる、苦しんでるんだね。でも、ソウヤに味方いるよ。ソウヤの話、本当にそのままなら優凪さんは『協力する』言ってるんだよ。それにわたしも協力するよ。」

「あ、ありがとう…。」

 よかった…。呆れていた訳じゃないんだね…。

「なー、なー。別にどーでも良いんだけどさー。ルオってこのナヨナヨ野郎にやけに世話を焼くよなー。」

「うん。それがどしたの?」

「もしかしてさぁ〜。ソウヤの事が好きだったりして〜〜。」

 えっ!?あっ、ちょっ、ええぇぇ!!??
 ぶ、ブレイヴ・シンクロン。変な事言わないでよ!!!
 だ、だ、大体ルオが僕に世話を焼いてくれるのはきっと…………、同情か…何かだと…思う……よ。
 ……だってさ…。自分で言うのもアレだけど、僕ってほら………ナヨナヨ野郎だし…。

「これこれ、ブレイヴ・シンクロン。そういう事は無闇矢鱈に聞かない事が礼儀じゃぞ。」

「…? デブリ・ドラゴン、聞かないこと礼儀なら、言わない事も礼儀なの?」

「もちろんじゃ。ルオ殿、こんな馬鹿の言う事は放っておいて良いぞ。ソウヤ殿のように馬鹿が感染し難い特殊な体質ならまだしも、格好が少々変わっている事と精霊が見える事以外は普通の人間であるルオ殿には馬鹿がうつるぞい。」
「だーれーがー馬鹿だってーーーーーーっっっっ!!!この根暗ジジイーーーーーーっっっっ!!!!!!」
「ちょ、ちょっと二人(?)とも喧嘩はダメだってばーーーーっっ!!!!」

 あ、僕が思わず大声を上げてしまったせいで図書館の司書さんから睨まれちゃった…。
 ルオが少し声のトーンを小さくして話し出した。

「とりあえず、ソウヤ。なんでソウヤ怒られるのが嫌なの?」
「え?」
「もちろん、怒られるのが好きな人、ドM以外いないよ。でも、ソウヤがしようとしてる事、きっと良い事だよ。良い事なら、例え怒られてもするべきだと思うよ。」

 ………。

「なんで、ソウヤはそこまで怒られる事が嫌なの?」

「……えっと…ね…。随分前の話なんだけど、姉さんが1度だけ本気で怒った事があるんだ。」

 あんまり話したくない事の筈なのに、気が付いたら僕は勝手に話し始めていた。

「3年か…4年くらい前の事だったと思う…。前に姉さんがいつものように『他人助け』って言って無茶な事をしてたんだけど、その時はドシャ降りの大雨だったんだ。僕は『風邪引いちゃうし、滑って転んじゃうからだめ』って言って、父さんと母さんも一緒に止めてくれたから姉さんも渋々諦めたんだ。」

「………………。」

「でも、姉さんがその時しようとしていた事は、『近所に住む姉さんの友達が風邪で熱を出して、風邪薬が無くなってたから家にある風邪薬を届ける』って事だったんだ。その日、その子の病状が悪化して、ネオ童実野シティの病院に搬送される事になって………あ、命に別状は無かったよ。でも、姉さんは『どうして止めたの!お薬を届けていれば病院に行く事もなかったかもしれないのに!』って本気で怒ったんだ………。その時の姉さんの眼…何て言うか、心の奥底から怒りが溢れ出しているような感じで怖いって思ったんだけど、それ以上に物凄く悲しそうな眼をしていて……それが余計に怖かったんだ。」

 僕もあの時思った…、姉さんを止めていなければ、きっと姉さんの友達は病院に送られずに済んだんだ…って。

「だからそれ以降、『姉さんが他人助けをしようとしている時』はあまり強く言えないんだ。だって、それでまた誰かが傷ついたりするのは嫌だし、そして、それで姉さんが怒るのも。」


「…………ソウヤは優しいんだね。」

 そ、そうかなぁ…。
 僕はそうは思わないよ。

「それに、ソウヤがした事、別に間違ってないよ。だってソウヤがアイナ止めなかったら、きっとアイナが風邪引いて病院に行く事になってた。」
「けど…。そのせいで姉さんの友達は病院に運ばれたよ。」

「一度失敗したら、次失敗しなければ良い。」

 …?
 どういう事?

「ソウヤ、この事失敗だと思ってるでしょ?なら同じような事あったら、次、別の方法を考える。」
「……それで考えた事が姉さんを止めないって事だけど。」

「じゃあ、それも失敗。」

 えぇぇぇ……。
 それって…、今まで僕がしたこと全否定……。

「だから、別の方法考える。わたしがソウヤと同じ立場なら『お父さんとお母さんに代わりにお薬届けて貰う』って言うよ。」
「でも、そしたら今度は父さんと母さんが風邪引きそう…。」
「大丈夫。大人は子供より体、丈夫。だから子供行くより大人行った方が安全!」

「……じゃあ、もしそれで父さんか母さんが熱を出したら?」
「そしたら、また別の方法考える。これ繰り返す。そうすればいつか一番大丈夫な方法見つけれるよ。」

 失敗したら別の方法を考える。
 そして、また失敗したら別の方法をまた考える。
 そうすればいつかは一番大丈夫な方法を見つけることができる……かぁ。

 ルオって凄いなぁ。






 『ワアァァァァッッ!!』


「「?」」

 …???
 突然大きな歓声が広場の辺りから聞こえてきました。
 広場が見えるスロープまで行ってみると、モニターにデュエルの試合が映っていた。
 僕達がいるスロープにも沢山の生徒さん達が集まっている。


 試合をしているのは……遊星さんだ!

「あ、あの…。なんで遊星さんが試合をしているんですか?遊星さんって確か、モーメントの新しい研究をしているってニュースで見たけど…。」

 僕は同じくスロープで試合を見ていた人に聞いてみました。

「ああ、遊星さんって一応、現デュエルキングだろ?だから、エキシビションマッチが定期的に開かれる筈なんだけど、モーメント研究で暫く開かれてなかったんだ。んで、研究に一段落着いたから、エキシビションマッチが再開されたんだってさ。」

 へぇ、知らなかった。
 えーっと今の状況は…。










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『これは一体どういうことだ!?新人のプロデュエリストが現デュエルキングである不動遊星をここまで追い詰めるとは!!?』
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【遊星】
ライフ1000
モンスター《ワンショット・ブースター》(守: 0)
魔法・罠伏せカード1枚
手札3枚


【挑戦者】ターンプレイヤー
ライフ1700
モンスター《A・O・J ディサイシブ・アームズ》(攻:3300)
魔法・罠無し
手札0枚


【ワンショット・ブースター】
 効果モンスター
 星1/地属性/機械族/攻 0/守 0
 自分がモンスターの召喚に成功したターン、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードをリリースする事で、このターン自分のモンスターと戦闘を行った
 相手モンスター1体を破壊する。


【A・O・J ディサイシブ・アームズ】
 シンクロ・効果モンスター
 星10/闇属性/機械族/攻3300/守3300
 チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
 相手フィールドに光属性モンスターが表側表示で存在する場合、
 1ターンに1度、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
 ●相手フィールド上にセットされたカード1枚を破壊する。
 ●手札を1枚墓地へ送る事で、
 相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する。
 ●自分の手札を全て墓地へ送る事で、相手の手札を確認して
 その中から光属性モンスターを全て墓地へ送る。
 その後墓地へ送った相手モンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える。


 え!?これって遊星さんピンチじゃ…。


「行ける…行けるぞ!おいらだってデュエルキングを倒すことが出来るんだ……!」

 挑戦者はアカデミアの高等部生くらいの歳の男の人です。
 男の人はもうすぐ訪れるかもしれない勝利にテンションが上がっていました。

「バトルだ!ディサイシブ・アームズでワンショット・ブースターを攻撃!」

速攻魔法発動《緊急脱出装置》!《ワンショット・ブースター》を手札に戻して、手札から《ロードランナー》を守備表示で召喚!《ロードランナー》は攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない!


【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。


【ロードランナー】
 効果モンスター
 星1/地属性/鳥獣族/攻 300/守 300
 このカードは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。


「くっそー!ターンエンドだ!」


「オレのターン、ドロー!チューナーモンスター、《デブリ・ドラゴン》を召喚!


【デブリ・ドラゴン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
 このカードが召喚に成功した時、
 自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
 攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
 このカードをシンクロ素材とする場合、
 ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
 また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。


《デブリ・ドラゴン》は召喚に成功した時、墓地から攻撃力500以下のモンスターを蘇生できる!墓地から《ワンショット・ブースター》を特殊召喚!さらに、墓地から《ボルト・ヘッジホッグ》を特殊召喚!


【ワンショット・ブースター】
 効果モンスター
 星1/地属性/機械族/攻 0/守 0
 自分がモンスターの召喚に成功したターン、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードをリリースする事で、このターン自分のモンスターと戦闘を行った
 相手モンスター1体を破壊する。

【ボルト・ヘッジホッグ】
 効果モンスター
 星2/地属性/機械族/攻 800/守 800
 自分フィールド上にチューナーが表側表示で存在する場合、
 このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、
 ゲームから除外される。


「レベル2《ボルト・ヘッジホッグ》、レベル1の《ワンショット・ブースター》と《ロードランナー》にレベル4の《デブリ・ドラゴン》をチューニング!!!」

 あ、レベル8のドラゴン族シンクロ!って事はもしかして……!!?
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『集いし願いが新たに輝く星となる。
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 光さす道となれ!!!
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 シンクロ召喚!!!!!
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 飛翔せよ!【スターダスト・ドラゴン】!!!!!』
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 ギィィィィッッ、クオオォォォォォッッッ!!!!
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 来た!遊星さんのエースモンスター《スターダスト・ドラゴン》!!!
 やっぱり、カッコイイな…。


『来たぜ来たぜ!遊星のエースモンスター《スターダスト・ドラゴン》!このカードが逆転の切り札になり得るか!!!?』


【スターダスト・ドラゴン】
 シンクロ・効果モンスター
 星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ
 魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
 このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。
 この効果を適用したターンのエンドフェイズ時、
 この効果を発動するためにリリースされ墓地に存在するこのカードを、
 自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


「バトルだ!《スターダスト・ドラゴン》で《A・O・J ディサイシブ・アームズ》を攻撃!!!」

「なぁぁぁぁ!!!!?何考えてるだ遊星さん!!?このままじゃ返り討ちですよ!!!???」

 確かに、遊星さんの手札に残っているカードは攻撃をサポートするものかな?

「攻撃宣言時に手札から速攻魔法《コマンドサイレンサー》発動!《スターダスト・ドラゴン》の攻撃を無効にし、デッキからカードを1枚ドローする!


【コマンドサイレンサー】 (本作オリジナルver)
 速攻魔法
 モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
 そのモンスターの攻撃を無効にし、デッキからカードを1枚ドローする。
 その後、バトルフェイズを終了する事ができる。


【遊星】の手札:1枚→2枚


「さらに速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》発動!攻撃を無効されたモンスターはもう1度攻撃できる!!!


【ダブル・アップ・チャンス】
 速攻魔法
 モンスターの攻撃が無効になった時、
 そのモンスター1体を選択して発動する。
 このバトルフェイズ中、
 選択したモンスターはもう1度だけ攻撃する事ができる。
 その場合、選択したモンスターはダメージステップの間攻撃力が倍になる。


《スターダスト・ドラゴン》の攻撃力:2500→5000


「こ、攻撃力が上昇したぁ!!?!?!?」

《ダブル・アップ・チャンス》によって2回目の攻撃を行なうモンスターはダメージステップの間、攻撃力が2倍になる。行けっ!《スターダスト・ドラゴン》!!!!

 スターダスト・ドラゴンが強力な超音波のブレスを放った。
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 ― シューティング・ソニック ―
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「うわあああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

【挑戦者】のライフ:1700→0



『試合終了だぁ!現デュエルキング・不動遊星の逆転勝利だ!!!』



 ワアアァァァァ!!!!


 会場は歓声に包まれました。

 …ふぅ。僕の手も汗びっしょりだよ。
 やっぱり遊星さんは凄いや…。


「流石です遊星さん。やっぱり『プロデュエリストデビュー記念にデュエルキングに挑戦』とか、そんな無駄な挑戦なんてするべきじゃなかった…。」

「いや、挑戦する事は大切な事だ。例え失敗しても『何故失敗したのか、同じ事にならない為にはどうするべきか』を考え、次に生かす事が出来ればその挑戦は決して無駄なんかじゃない。」

「……はい!それじゃあ次は1年後に開かれる『World Championship』で、もう一度戦いましょう!その時、おいらは今とは比較にならないくらい強くなってあなたに挑みます!」

「ああ。その時は俺もいつだって全力で応える。」















「『失敗を次に生かす事が出来ればその挑戦は決して無駄なことじゃない』…かぁ。」

「そうだね。じゃ、アイナにガツンと言って見れば?それも『挑戦』だよ。」

「うん。よーし、それじゃあ姉さんにガツンと……………。」






 ……。







 …………。







 ………………。







「や…やっぱり……その勇気が出ないよ…。」

 あーあ、なんで僕って肝心なときに勇気が出ないのかなぁ…。

 流石にルオも苦笑いしちゃってるよ…。


「あ、あはははは………。それじゃあさ、優凪さん『協力する』言ってる。だから相談してみたら?」

「そ、そうだね…。」

 あーあ、結局シンマさん頼みか〜〜。























  第十八話  シンマからの課題?






「あ、いたいた。シンマさーん!」

 シンマさんは遊星さんの試合を映していたモニターがよく見える2階のラウンジにいました。
 もちろん、試合が一番よく見える場所だから、物凄い人ごみの中を僕達は進まなければなりませんでした。

 ふぅ…たった1メートル進むだけでも20秒くらい掛かったよ…。

 シンマさんは人ごみでモニターが見えなくなる事を防ぐために、作業用のハシゴを立ててその上に座っていました。

ちょっとズルイ…。

「ん?ソウヤ。やじゅ…じゃなくてルオちゃん…だっけ?その子と一緒にデート中か?」

「ち、違いますよーーっっっっ!!!ええ、え、え〜っと、そそそ、その、姉さんの事なんだけど……。」

「おー、ようやくガツンと言う気になったか?」

「え、え〜っとですね…。」

 僕がオドオドしているとルオが代わりに話してくれた。

「ソウヤはアイナにガツンと言う気になったよ。でも、勇気出ないんだって。」






「………それって早い話、ダメじゃん。」

 うぅ…そ、そうだけどさ………ストレート過ぎるよ〜。


「で…ですから、無茶な事かも知れませんけど、僕が姉さんに『ドラゴン使いの事件に関わるのはやめよう』って言うにはどうしようかと…。」

「おいおい、これまた厄介で面倒な質問だな。大体、なんでソウヤはアイナにガツンと言えないのか具体的な理由が分からないんだよな…。多少時間が掛かったり、途切れ途切れになっても最後まで言えば良いのに。」

 あ、そうだよね。
 よく考えてみたら、僕だってシンマさんと同じ立場だったらどう答えて良いのか分からないかも。

 でも、本当になんでだろう。
 シンマさんの言うとおり時間が掛かっても良いから話せば良い筈なのに…。

 ラウンジの人ごみが殆んどいなくなった頃に、ルオが話し始めた。

「ねぇ、優凪さん。たぶんソウヤが言えない理由は、中々本題に入れない。だからアイナ、イライラして怒るからだよ。」

「あー、なるほど。それは納得。」

 グサッグサッグサッ…。
 うぅぅ…確かに…。

「う〜ん……それじゃあ、俺がアイナに『ソウヤが中々本題に入れなくても怒らないように』って言っとけば良いか?」

「はい…。お願いします。」

 う〜ん、まだ不安は残るけど、きっとこれが一番効果があると思う。

「……その代わり、一つ条件だ。」

 …え?

「お前が本当にアイナにガツンと言う気があるのか、その誠意を示してくれ。…って言っても単純な事だ。勝敗は問わないから、このデュエルアカデミアの関係者10人とデュエルしろって事。」

「そ、それなら直ぐに…。」

「ただし、ルールがある。『DAT』のアカデミアのデータベースにデュエル実技の成績で『初級』『中級』『上級』って位分けされてるだろ?カウントして良いのはその中の『中級』以上の人とデュエルした場合だけだ。

「そ、そんなの当然ですよね。僕は『中級』にランク付けされてるから、弱いものイジメは…。」

「本当にそれだけだと思うか?」

 え?シンマさんは少し呆れ気味に話始めた。

「ソウヤ、お前、自分から自分より年上の奴にデュエルを申し込んだ事ってあるか?」

「………無い…です。」

「えぇぇ!?」

 僕の返答にルオが驚いた。
 そ、そんなに珍しいことなのかな…。

「やっぱりな…。んじゃ。『中級』以上に位分けされている小等部の子の割合はどれ位だと思う?」

 僕は直ぐに『DAT』のデータベースを調べてみた。

 あっ…。これって……。

「分かったか?『中級』以上に位分けされている在学生の9割以上は『中等部』『高等部』の生徒、そして教師だ。小等部も6年生ばかりで、5年生以下の奴はお前くらいしかいないんじゃないのか?」

 これは完全に予想外でした。
 まさか、ここまで『中級』以上の生徒に小等部生が少ないなんて…。

「つまりお前は必然的に年上にデュエルを申し込むことになる。さーて、上手くデュエルに持ち込む事が出来るのやら…。」

 うっ………。
 シンマさんの出してきた課題は僕にとって予想以上に難しい事だった。

 だって僕は言いたいことを中々ハッキリ言えないんだ。
 同い年くらいならまだしも相手は殆んどが年上。
 こんなのが10回も続くなんて…。

「あの、優凪さん。わたし、ソウヤ応援する以外に出来ることある?」

 ルオ……。
 気持ちは嬉しいけど、これは僕個人の問題だからなぁ…。

 と、思っていたら、シンマさんはしばらく考え込んだ後、こう言いました。

「1回だけ…、いや2回だな。2回だけルオちゃんがソウヤの代わりにデュエルして良いぞ。あと、当然だけどルオちゃんが闘った相手にソウヤがデュエルをしてもノーカウントだし、ソウヤが闘った相手にルオちゃんがデュエルしてもノーカウントだ。」

「うん、分かった。2回だけ、だよね!」

「え、え〜と。シンマさん。ルオ。二人ともありがとう。」

 シンマさんは『制限時間は俺達がデュエルアカデミアからでるまでな。』と付け加えました。
 ルオも手伝ってくれるんだ、僕が一番頑張らないと。

「よし、って事で早速、俺とデュエルだ。」

「えぇぇっっ!!?」

 い、いきなり!?
 って言うかなんでシンマさんなの!!?

「え、ホラ。俺も『上級』に位分けされてるし。」

「そ、そうですけど、なんでいきなり!?」

「いや〜なんて言うか、昨日は大門寺とデュエルしてアイナとは2度もデュエルした。それからから1日しか経っていない筈なのに『最近全然デュエルしてないな〜。(※)』って気になるんだよな。それに制限時間があるんだ早い方が良いだろ?」

※このお話が掲載された当時、一番最近シンマがデュエルしたお話から3ヶ月近く経っている。




「そうだね!ソウヤ、頑張れーー!!」

「うぅぅ…じゃ、じゃあ行きますよ。」


「「デュエル!!!」」

 先攻はシンマさんです。

「俺のターン、ドロー!飛ばしていくぞ。手札から魔法カード《エクストラ・フュージョン》を発動!

 あれは確か『エクストラデッキのモンスターを融合素材にする』カード…!

【エクストラ・フュージョン】(漫画5D’s ver)
 通常魔法
 エクストラデッキから融合モンスターカードによって決められた
 融合素材モンスターを墓地へ送り、
 その融合モンスター1体を融合召喚扱いとして
 エクストラデッキから特殊召喚する。


エクストラデッキの
 光属性《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》
 闇属性《ギガンテック・ファイター》、
 炎属性《フレムベル・ウルキサス》
 風属性《ミスト・ウォーム》
 地属性《大地の騎士ガイアナイト》
 水属性《氷結界の虎王ドゥローレン》を融合!!!


 こ、この融合素材はもしかして……!?
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『12の次元を飛び越えし訪問者よ!
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 ここに来たりて…あれ?来たりてだっけ?
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 え〜っと…あ〜も〜メンドイから省略!!!
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 融合召喚!!!
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 こいつが俺の切り札。
|
 【ディメンショナル・ワイズマン】!!!』
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|
|

 シンマさんのエクストラデッキから放たれた6枚のカードが、外側に6つ内側にも6つの円形が描かれた魔法陣を作り出した。
 黒い闇と共に現れたのは銀色の長い髪と真紅の眼、洋風のコートとブーツ、和服のような上着と袴のようなズボンを着た奇抜な格好の魔導師、ディジョンだ。

「ククク…よう、ナヨナヨソウヤ!なーんか面白そうなことしてんじゃねぇかぁ〜。」

 うぐぐ…、早速馬鹿にされた…。
 なんていうかディジョンって本当にイヤミな精霊だよね…。


【ディメンショナル・ワイズマン】
 融合・効果モンスター
 星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2500
 「それぞれ違う属性のモンスター」×6
 上記のモンスターを自分の手札・フィールドから除外することで、
 エクストラデッキから融合召喚できる。(この場合「融合」のカードは必要とせず、
 「特殊召喚を無効にする」「特殊召喚できない」効果を無視する。)
 このカードの攻撃力・守備力は除外されたカードの数×200ポイントアップする。
 …の…………………力…奪…、………け……………と………………る。
 このカー……………ル…………た……、
 ……い………ー……と……の………を………………る。
 (unknown text)



「そして、《LS(リンク・スピリット)−スノウ・マジシャン》を召喚!効果により墓地の《エクストラ・フュージョン》を除外してソウヤに200ダメージ!

【LS‐スノウ・マジシャン】
 効果モンスター
 星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、
 自分の墓地のユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外することで、
 1枚に付き200ポイントのダメージを相手に与える。
 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。



 ― 祈氷雪弾( きひょうせつだん) ―


 ボフッ!


 うわっ!スノウ・マジシャンが作りだした雪玉が僕に当たった。
 同時に除外されたカードが増えたことで、ディジョンの攻守も上がりました。

【ソウヤ】のライフ:4000→3800

《ディメンショナル・ワイズマン》の攻撃力・守備力:2500→2700

「カードを2枚セットしてターンエンドだ。」


【シンマ】先攻
ライフ4000
モンスター《ディメンショナル・ワイズマン》(攻:2700)
《LS−スノウ・マジシャン》(守:2000)
魔法・罠伏せカード2枚
手札2枚
墓地6枚
除外1枚


ソウヤ後攻
ライフ3800
モンスター無し
魔法・罠無し
手札5枚
墓地0枚
除外0枚


「うっ…いきなり先手を取られた……。けど、こんな所で挫けちゃダメだ…。僕のターン、ドロー!」

 よし、良いカードが来た!

「手札から《スターター・ウォリアー》を召喚!このカードの召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できます!僕は手札からチューナーモンスター《ニトロ・シンクロン》を特殊召喚、守備表示です。」

 僕のフィールドに運動会の競技で使うようなピストルを持ったモンスターが現れました。
 そのモンスターがピストルを鳴らすと後ろからガスタンクのようなモンスターが走ってきた。


【スターター・ウォリアー】
 効果モンスター
 星2/地属性/戦士族/攻0000/守1900
 このカードが召喚に成功した時、
 手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
 このカードが墓地から特殊召喚されたターンのエンドフェイズに
 自分の墓地からレベル3以下の戦士族または
 機械族モンスター1枚を手札に戻す事ができる。

【ニトロ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星2/炎属性/機械族/攻 300/守 100
 このカードが「ニトロ」と名のついたシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。


「そして、《スターター・ウォリアー》の効果が発動した時、デッキから《クラウチング・ウォリアー》を攻撃表示で特殊召喚します!」


 ドドドドドッッッッ!!!!


 今度は陸上選手のランナーのようなモンスターが走ってきた。
 そのモンスターはニトロ・シンクロンを追い抜いて僕のフィールドに現れました。


【クラウチング・ウォリアー】
 効果モンスター
 星2/地属性/戦士族/攻1900/守0000
 自分フィールド上の「スターター・ウォリアー」の効果が発動した時、
 自分のデッキ・墓地からこのカードを特殊召喚できる。
 このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に、
 このカードの攻撃力は0になる。



「レベル2の《スターター・ウォリアー》《クラウチング・ウォリアー》にレベル2の《ニトロ・シンクロン》をチューニング!」
|
|

『集いし志は勝機を示す槍となる。
|
 光さす道となれ!!
|
 シンクロ召喚!!!
|
 なぎ払え!【ニトロ・ランサー】!!!!!』
|
|

 歪な形をした大槍を持つモンスターが僕のフィールドに現れました。
 ニトロ・ウォリアーと同様、戦士と言うより『悪鬼』のような『竜人』のような凶悪な外見をしています。
 ニトロ・ランサーがシンクロ召喚されると同時に《ニトロ・シンクロン》の効果で僕はデッキからカードを1枚ドローしました。


【ニトロ・ランサー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/戦士族/攻2500/守1300
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 各ターンのバトルフェズ時に、自分の手札または墓地の魔法カード1枚を
 ゲームから除外することでモンスターの破壊を無効する。
 このカードが攻撃を行ったモンスターをダメージステップ終了時に表示形式を変更し、
 もう一度続けてそのモンスターに攻撃できる。

【ソウヤ】の手札:4→5枚


「バトルです!《ニトロ・ランサー》で《LS−スノウ・マジシャン》を攻撃!
|
|
 ― ダイナミック・ワイパー ―
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|
 ニトロ・ランサーが大槍を構えてスノウ・マジシャンに振りかざした。
 でも、やっぱりこの攻撃くらいはシンマさんも対策していたみたいです。

「速攻魔法発動。《緊急脱出装置》!《LS−スノウ・マジシャン》を手札に戻して、デッキからカードを1枚ドロー!

【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。


【シンマ】の手札:2→4枚


 あ……、シンマさんのフィールドに残るのは攻撃力2700のディジョンだけ…。
 これじゃあ、どうしようもない…。

「ぼ、僕はカードを1枚セットしてターンエンd…。」

「じゃ、エンドフェイズに速攻魔法《サイクロン》発動。伏せカードを破壊だ!」

 うぅ、エンドサイクの要領で破壊されちゃったよ〜〜…。

 破壊されたカード:《リビングデッドの呼び声》

【サイクロン】
 速攻魔法
 フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。


【シンマ】先攻
ライフ4000
モンスター《ディメンショナル・ワイズマン》(攻:2700)
魔法・罠無し
手札4枚
墓地8枚
除外1枚


ソウヤ後攻
ライフ3800
モンスター《ニトロ・ランサー》(攻:2500)
魔法・罠無し
手札4枚
墓地4枚
除外0枚


「んじゃ、俺のターン、ドロー。《ディメンショナル・ワイズマン》で《ニトロ・ランサー》を攻撃!
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 ― ディメンション・ストリーム ―
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 ズオオォォォォ!!!!


 ディジョンが召喚した魔法陣から黄金の波動が放たれ、ニトロ・ランサーは次元の彼方へ押し流された。

「うわぁっ!」

【ソウヤ】のライフ:3800→3600

《LS−スノウ・マジシャン》を召喚。効果により、《緊急脱出装置》と《サイクロン》を除外して400ダメージな。ついでに、除外されたカードが2枚増えたから《ディメンショナル・ワイズマン》の攻・守は400ポイントアップだ。

【LS‐スノウ・マジシャン】
 効果モンスター
 星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、
 自分の墓地のユニオンモンスター・魔法・罠カードを5枚まで除外することで、
 1枚に付き200ポイントのダメージを相手に与える。
 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。
 1ターンに1度、手札・フィールド・墓地に存在する
 このカードの種族・属性を変更できる。



 ― 祈氷雪弾( きひょうせつだん) ―


 バフッ!

 うわっ、さっきよりも雪玉のサイズが少し大きいし…。

「いいな〜。こんな真夏なら結構涼しいのかな?」

「る、ルオ……、ソリッドビジョンだからそこまで冷たくないって!」

【ソウヤ】のライフ:3600→3200

《ディメンショナル・ワイズマン》の攻撃力:2700→3100

 ど、どうしよう…。ディジョンの攻撃力と僕のライフが殆んど同じ数値に…。

「カードを2枚セットしてターンエンド!」


【シンマ】先攻
ライフ4000
モンスター《ディメンショナル・ワイズマン》(攻:3100)
《LS−スノウ・マジシャン》(守:2000)
魔法・罠伏せカード2枚
手札2枚
墓地6枚
除外3枚


ソウヤ後攻
ライフ3200
モンスター無し
魔法・罠無し
手札4枚
墓地5枚
除外0枚


「ぼ、僕のターン。ど、ドロー!」

 とても不利な状況に心が半分折れそうになりながらも、僕はカードをドローしました。

 って、あっ!これは…。

「よ、よし!僕は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!この効果で《スターター・ウォリアー》を復活させます!


【死者蘇生】
 通常魔法
 自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

【スターター・ウォリアー】
 効果モンスター
 星2/地属性/戦士族/攻0000/守1600
 このカードが召喚に成功した時、
 手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
 このカードが墓地から特殊召喚されたターンのエンドフェイズに
 自分の墓地からレベル3以下の戦士族または
 機械族モンスター1体を手札に戻す事ができる。


「そして、手札の《ボルト・ヘッジホッグ》を捨てて《クイック・シンクロン》を特殊召喚!そのまま《ボルト・ヘッジホッグ》を自己再生させます!」

 フィールドに西部劇のガンマンのような風貌のモンスターと背中の針がネジになったハリネズミが出てきました。

【クイック・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星5/風属性/機械族/攻 700/守1400
 このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、
 手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードは「シンクロン」と名のついたチューナーの代わりに
 シンクロ素材とする事ができる。
 このカードをシンクロ素材とする場合、「シンクロン」と名のついた
 チューナーをシンクロ素材とするモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。


【ボルト・ヘッジホッグ】
 効果モンスター
 星2/地属性/機械族/攻 800/守 800
 自分フィールド上にチューナーが表側表示で存在する場合、
 このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、
 ゲームから除外される。


「まだです!手札から《ブレイヴ・シンクロン》を召喚!さらに手札から《ブースト・ウォリアー》を特殊召喚!」
「よっしゃーっ!オイラの出番だーーー!!!!」

 格闘家のような格好のモンスターが元気よく登場!続けて、背中にブースターの付いた戦士が現れました。

【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。

【ブースト・ウォリアー】
 効果モンスター
 星1/炎属性/戦士族/攻 300/守 200
 自分フィールド上にチューナーが表側表示で存在する場合、
 このカードは手札から表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。


「レベル2の《ボルト・ヘッジホッグ》《スターター・ウォリアー》とレベル1の《ブースト・ウォリアー》にレベル4の《ブレイヴ・シンクロン》をチューニング!!!」
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『集いし思いの欠片が湧き上がる勇気になる!
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 光さす道となれ!
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 シンクロ召喚!!!
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 目覚めろ!【ブレイヴ・ウォリアー】!!!!!』
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 ブレイヴ・シンクロンの身長が伸びて衣装もやや落ち着いた雰囲気になる。
 さらに、全身の機械の鎧の部分も大きくなりました。
 僕の切り札、《ブレイヴ・ウォリアー》です。
 他の【シンクロン】をシンクロ素材に指定するモンスター達と比べて、このモンスターはチューナーの姿を大分留めているのが特徴です。


【ブレイヴ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星9/水属性/戦士族/攻2300/守3800
 「ブレイヴ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 ???
 ???


《ブレイヴ・シンクロン》の効果でシンクロ素材となったチューナー以外のモンスター達を僕の手札に戻す事ができます!…とは言っても《ボルト・ヘッジホッグ》は自分の効果で除外されちゃうけどね。でも、《ブースト・ウォリアー》は手札に戻せますフィールド上にチューナモンスター《クイック・シンクロン》が存在する事で手札から《ブースト・ウォリアー》を特殊召喚します!

 《ボルト・ヘッジホッグ》が除外されたことで、またディジョンの攻撃力が上がってしまう…。
 でも、ブレイヴ・ウォリアーの効果を使えば十分倒せるよ!

【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。

【ブースト・ウォリアー】
 効果モンスター
 星1/炎属性/戦士族/攻 300/守 200
 自分フィールド上にチューナーが表側表示で存在する場合、
 このカードは手札から表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。


《ディメンショナル・ワイズマン》の攻撃力:3100→3300


「レベル1《ブースト・ウォリアー》にレベル5の《クイック・シンクロン》をチューニング!」
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『集いし絆が更なる力を紡ぎだす!
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 光さす道となれ!
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 シンクロ召喚!!!
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 轟け!【ターボ・ウォリアー】!!!!!』


 トランスフォーマーのようなロボット型の戦士族モンスターが僕のフィールドに現れた。


【ターボ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/風属性/戦士族/攻2500/守1500
 「ターボ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードがレベル6以上のシンクロモンスターに攻撃する場合、
 攻撃対象モンスターの攻撃力を半分にする。
 このカードはレベル6以下の効果モンスターの効果の対象にならない。


「わぁ〜っ!凄いよソウヤ!これならきっと勝てるよ!」

 うん。シンマさんには1度も勝ったことが無いけど、これでシンマさんに大ダメージを与える事ができる!

「バトルです!《ブレイヴ・ウォリアー》で《ディメンショナル・ワイズマン》に攻撃!!!

 ズゴゴゴゴ……。

 ブレイヴ・ウォリアーが水の渦を右腕に纏ってディジョンに拳撃を放ちました。
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 ― ウェイブ・スマッシャー ―
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「……確か、ブレイヴ・ウォリアーには自分のモンスターの攻撃力を上げる効果が備わっていたな。」

「その通りです!」

【ブレイヴ・ウォリアー】の攻撃力:2300→6100

 これで攻撃力がディジョンを上回った!いける!














「……ってアレ!!?な、なんでシンマさんもディジョンもニヤニヤしてるの!!???」

「プククク……ソウヤぁ、お前なにか重要なことを一つ忘れてねぇかぁ?」

 え、え、え!?
 重要なこと………???

「あのさ…ソウヤ……。ディジョンの効果は全部覚えているか?」

「え、え、え〜っと確か…一つ目は除外されたカードが増えれば増える度に攻・守が上がる効果。二つ目は特殊で凄く独特なテキストで書かれた分類の無い効果。そして三つ目は………あっ!!!」

 言いかけた所で僕は思い出した!
|
 ああああああ〜\(ToT)/〜〜〜〜〜〜!!!
|

 し、しまった!すっかり忘れてた!!!!
 ディジョンの最も危険な第3の効果を!!!!!

「???……え〜っと、ソウヤ。何かプレイングミスしたの?」

 うん。特に僕のようなデッキタイプの人は絶対にやっちゃいけない致命的なミスを…。

「はぁ〜。んじゃ、ディジョンの効果発動な。

「ククク…アーッハッハッハッハッハッ!!!」

 ディジョンはブレイヴ・ウォリアーの攻撃をヒョイとかわして真っ黒な球体を作り出しました。




 ― 永久 とこしえ鎮魂歌 レクイエム ―




 ゴォォォォ…………。




 真っ黒な球体から噴き出した影がフィールドを飲み込んだ…。












                                                                       
 ―  一方その頃 アイナは  ―


「ええぇぇぇぇ〜〜〜〜!!!?」

「こら、露月さん!大きな声を出さないでください!」

「は、は〜い。」

 うぅぅ……なんでもっと早くこのカード群が出なかったのさ〜〜。

 ・《ゼンマイソルジャー》
 ・《ゼンマイマジシャン》
 ・《ゼンマイドッグ》
 ・《ゼンマイマイ》
 ・《ゼンマイニャンコ》
 ・《ゼンマイバッド》

 うわ〜ん!普通に使いやすそうで、強そうで、カワイイカード群あるじゃん!
 ナチュルデッキを作ろうとして講義を受けている、あたしがバカみないじゃ〜〜〜ん!!!!

 −全くだ!お陰で文章が無駄になった上にアイナに3000円近く無駄遣いさせた事になったじゃないか!by某・伝説達−











【シンマ】先攻
ライフ1000
モンスター《ディメンショナル・ワイズマン》(攻:6500)
《LS−スノウ・マジシャン》(守:2000)
魔法・罠無し
手札3枚


ソウヤ後攻
ライフ3200
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》(攻:2300)
魔法・罠無し
手札0枚


「…あ、…あわ…あわわわわ………。」

「……た、確かに凄い効果だね…………。」



「おい、ソウヤぁ〜。エンド宣言がまだだぜ〜。それとも他にまだやることがあるのか〜〜?」

「た……ターン…エンドです…。」


「んじゃ、俺のターン。ドロー。《禁じられた聖杯》発動。《ブレイヴ・ウォリアー》の効果は無効な。」

 あ〜あぁぁぁ〜〜〜。ま、負けた……。

【禁じられた聖杯】
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
 エンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は
 400ポイントアップし、効果は無効化される。

《ブレイヴ・ウォリアー》の攻撃力:2300→2700



「んじゃ、バトル。《ディメンショナル・ワイズマン》で《ブレイヴ・ウォリアー》を攻撃。
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 ― ディメンション・ストリーム ―
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「うわああああああっっっっっっ!!!!!!!」

【ソウヤ】のライフ:3200→0

「よしっ、完璧!…っと、ソウヤ。お前、もしかしたら勝てたかもしれないぞ、この試合。」

「や、やっぱりそうですか…。」

 勝てたのかもしれないんだ…。ガクッ。


「まぁ、今後はこういう事が無いように気をつけな。んじゃ、さっさと10戦終わらせて来いよ。」

「は、はい!」

「やじゅ…じゃなくて、ルオちゃん。ソウヤと仲良くしてやってくれ。」

「うん。ソウヤがんばろ。一緒に。あと優凪さん、わたしは『ルオ』でいいよ。」

「わかったよ。ルオ。あと俺も出来るだけ苗字じゃなくて名前で呼んでくれ。」

「はい。じゃあソウヤ、デュエルドーム行こ。」
「あ、ま、待ってよ〜。」







「あ、そうそう。言い忘れてたんだけど、しばらくデュエルドームが使えないらしいから、意外と制限時間は長いと思うぜ。」

 え?
 僕達がその場から離れようとした時、後ろからシンマさんが声を掛けてきた。
 僕はすぐに足を止めて、理由をシンマさんに聞きました。

「シンマさんそれってどういう事ですか?」

「ん?なんでも『新しいデュエルシステムの導入とテスト』ってことで、今日の正午くらいまで使えないんだよ。だから当然、アイナとの勝者予想も昼までお預けってこと。」

「わかりました。それじゃあ必然的に野試合になるんですね。それじゃあルオ、別の場所を探そう。」

 そう言って僕達は2階のラウンジから離れました。

























  第十九話  あっちもデュエルこっちもデュエル





 7月19日  午前9時半




 ………。










 ………………。










 ……………………………。









 ………………。ん?あ、俺の視点!?

 この強引な展開、久々だな。

 え〜っと、ほんの少しだけナレーターは俺視点な。

 ん?誰だって?
 俺だよ、俺、俺。…………なんかオレオレ詐欺みたいだな。

 えー、俺の名前は『優凪 信間』。
 一応、この物語の主人公だ。

 容姿はまぁまぁ、人気もまぁまぁ。
 どっかの「ひぃぃぃぃ(以下略」と言っている奴と違って、


 俺は至って謙虚だ。


 俺は今、アカデミアの中をふらついている途中だ。
 だって、することが無いんだよ…。


 あーあ、ホントに暇だ。
 まぁ、いいや。確か、今日はプロデュエリストの試合がまだ、幾つかあった筈だから、それを見れば良いか。
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『ワァァァァァッッッッ!!!!』
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 っと、始まったみたいだな。
 んじゃ、見に行きますか。

 その前に俺は『DAT』を取り出してニュースのテレビ欄を見る。

 確か、一つ目の試合は…4年連続でアメリカ大陸杯を制覇した『キッド・ウェスター』さんの試合か。
 んで、その対戦相手は……。

 あー、この対戦相手の人、ほぼ確実に負けるな。
 腕前とかそういうレベルじゃない。デッキの相性自体が最悪だ。



   

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『さぁ、遂に始まった!デュエルリーグ・サンフランシスコカップの特別試合!
 挑戦を受けるのは
 4年連続、アメリカンコンティネント・トーナメント(アメリカ大陸大会)の覇者
 【別名:早撃ちキッド】こと《キッド・ウェスター》!!!!!』
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『そして、今大会の大勢のルーキーによる奇想天外な試合運びの中、
 超高速のワンターンキルとバーンカードで一気に決勝まで登り詰めた
 【悪鬼の屋台】、《カセマアメ・ランヤ》 !!!!!』
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「ヘイヘーイ。ユーが今回のチャンピオンだNA。ルーキー達の中々面白いタクティクスが飛び交う試合のなか、ワンターンキルなんてシンプルなタクティクスで勝ち進むユーは浮いてみえたZE!」

 キッド・ウェスターさんはカウボーイの格好をして、拳銃のような形をしたデュエルディスクをしている、『早撃ちガンマン』というキャラを絵に描いたような人だ。
 なんていうか、口調はインダストリアル・イリュージョン社の名誉会長であるペガサス会長みたいな喋り方だな。

 陽気そうな口調と表情とは裏腹に話している内容は
 『面白いデッキを使う期待の新人達をワンパターンの先攻ワンキルで沈めるなんて酷い奴だな。』
 って言っているようにも解釈できるぞ。
 まぁ、あくまで俺の推測に過ぎないから、本当はあの言葉に他意はないのものしれないケド。


「キーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!今の内に好きなだけほざいとくッスァァァァッッ!!!!今日であんたの連続優勝記録は終わるんスからなァァァァァァッッッッ!!!!!」

 もう一方のプロデュエリストはなんていうかガラの悪そうな奴だな。
 しかも、しっかりと負けフラグ立ててるし。

 それにしても、この口調ってどっかの強盗ラーメン屋に似ているような……。
 あと、何て言うか……かませとは言え、一応コイツってBブロックの優勝者なんだよな?
 って事は作者って大会に参加した半分の選手を…しかも、恐らくコイツより性格がマシであろう名も無き選手達をこんな奴に負けさせる辺り、作者も中々鬼畜だな。
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『先攻はランヤからだ!!!さぁ、デュエルスタート!!!!』
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「オイラのタァァァン、ドロォッスァァァァッッ!!《ガトリング・オーガ》を召喚ンンンンッッッッッッ!!!!」


 出たよ、ワンキルの悪鬼《ガトリング・オーガ》。
 インダストリアル・イリュージョン社に勤めている父さんと母さんから半年前に次回の禁止・制限リストをメールで貰ったケド、『禁止カード』になってたんだよな…。あの、ガラの悪そうな奴、もうすぐ制限改訂だってのにまだあのカード使ってるのか。


【ガトリング・オーガ】
 効果モンスター
 星3/炎属性/悪魔族/攻800/守800
 自分の魔法&罠カードゾーンに存在するカード1枚を墓地へ送る事で、
 相手ライフに800ポイントダメージを与える。


「これで終わりッスァァァァァッッッッ!!!カードを5枚セットォォォォォッッッッッ!!!!ソシテェェェェァァァァ、《ガトリング・オーガ》の効k…………。」
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「おっとSTOP!」
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「なんスカァァァッッッッ!!!?命乞いなんざ聞きたk…。」

「ヘイ、ユー。そのままで、そのままDA。ユーがカードをセットした時、ミーの相棒の召喚条件は成立したZE!こいつは相手がカードをセットした場合、手札からSpecial SummonできるんDA!
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「COME ON!My Favourite Card!!!
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 【マッハ・ガンナー】!!!!!」
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『おーっと、キッドの相棒、《マッハ・ガンナー》が華麗に登場だ!』
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 あーあ、来ちゃったか《マッハ・ガンナー》。
 これで試合終了だな。

 西部劇の主人公のような格好をした戦士族モンスターがデュエルフィールドのどこからともなく、颯爽と現れた。
 両腕に構えた白銀の二丁拳銃がキラリと光る。


【マッハ・ガンナー】
 効果モンスター
 星6/風属性/戦士族/攻2000/守2000
 このカードは相手がカードをセットした場合、手札から特殊召喚できる。
 この方法で特殊召喚したこのカードはシンクロ素材にできず、直接攻撃できない。
 ???


「ま、《マッハ・ガンナー》ァァ??なんすかソイツはァァァァァァッッ!!?そんなの出てきた所で、《ガトリング・オーガ》は止められないッスァァァァァァァッッッッッッ!!!!!!」

「ホワッツ?ユーは《ガトリング・オーガ》使いなのに、コイツの事をドゥ・ノット・ノウなのKA?コイツは【ガトリング・オーガ】や【パーミッション】の天敵と言える永続効果コンティニュアス・エフェクトを持ってるんだZE!

 そう言ってキッドさんはデュエルディスクのスイッチを押しマッハ・ガンナーのカードの部分の映像を拡大させた。
 有名だから俺はもちろん効果を知っているんだケド、対戦相手の ガラの悪そうな奴はそれを見た瞬間、驚愕していた。
 ホントに知らないんだな、アイツ。


【マッハ・ガンナー】
 効果モンスター
 星6/風属性/戦士族/攻2000/守2000
 このカードは相手のカードがセットされた場合、手札から特殊召喚できる。
 この方法で特殊召喚したこのカードはシンクロ素材にできず、直接攻撃できない。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 全プレイヤーのセットされたカードは墓地に送られる。
 この効果で墓地に送られたカードのコントローラーに、
 1枚につき800ポイントのダメージを与える。



「なっっ、なんスかそのインチキ効果はァァァァァァッッッッッッ!!?!!!???!??!????」

「ヘイヘーイ…。人聞きのバッドな事言うんじゃねーZE。ユーの《ガトリング・オーガ》もリセンブルだRO?《マッハ・ガンナー》のエフェクト発動!!!」
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 ― クイック・ドロー・ストライク ―
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 ズドドドドドドッッッッ!!!!!
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 マッハ・ガンナーは《ガトリング・オーガ》が腹部に存在するガトリングの発射装置に手を掛けるより早く、ガトリングの銃口より僅かに大きい弾丸を超高速で放った。
 弾丸はキレイにガトリング・オーガの銃口に詰まる。
 当然、ガトリング・オーガの銃撃は暴発だ。爆風は ガラの悪そうな持ち主に襲い掛かった。

「ニギャアアアアァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」


ガラの悪そうな奴】のライフ:4000→0
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『試合終了!!!早撃ちキッドのゼロターンキルにより、デュエルリーグ・サンフランシスコカップ決勝戦の優勝者は早撃ちキッドことキッド・ウェスターだ!!!!』 |
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「ドント・マインド。ユーが弱かった訳でも、ミーが強すぎた訳じゃない。ただ、ユーがアンラッキー過ぎただけSA。」

 おー、おー。ずいぶんクールというかキザな台詞だな。
 キッドさんはそのままデュエルフィールドを去っていった。






   



 ― 一方、ソウヤ達は…。 ―


 では、ナレーターは一時的に、僕(ソウヤだよ)に移りますね。
 今、中等部の人と試合をしている所です。

「バトルです!《ハイパー・ウォリアー》でダイレクトアタック!


「ぐおおお!!!」

【中等部生】のライフ:800→0


【ハイパー・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/光属性/ドラゴン族/攻2700/守1300
 「ハイパー・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 ルール上、このカードの種族は戦士族としても扱う。
 このカードは除外された場合、自分フィールド上に特殊召喚できる。



「くっ…くっそー!ま、まさか小等部のガキに負けるなんて…。お、覚えてろー!」

 中等部生の人はそのまま走り去っていきました。

 ようやく、シンマさんとの試合も含めて3戦目が終了しました…。それにしても…。

「だ…、大丈夫かな…。あの人、仕返しして来たりしないよ…ね?」

「きっと大丈夫だよ!」

 僕が不安に思っているとルオが元気に励ましてくれた。

「それに、もし、あの人がソウヤにデュエリストらしくない方法や卑怯な手で仕返しに来たら、わたしが追い払うよ!」

「ちょっ…、ルオが相手だったら逆に追い払われる側が可哀そうだってばーっ!」

 え、えーっと、言い忘れていたんですが、ルオは物凄く強いんだ。……いわゆる…リアルファイトが…。

 ルオは僕が3年生の頃に転校して来たんだ。
 でもホラ……。ルオって格好が変わっているでしょ?だから『最初は』イジメる人もいたんです。
 けど、そのたびにルオはイジメっ子を撃退しちゃうんだ。

 以前に、中等部3年生の不良生徒5人にルオが絡まれたのを見たことがあったんだ。僕はすぐに先生を呼びに職員室まで走っていったんだけど、先生と一緒にその現場に着いた時、どうなっていたと思いますか?

 ルオがそれこそ『野獣』みたいに、引っ掻いたり、噛み付いたり、髪を引っ張って何本か髪の毛を引き抜いたり、目に指を刺したり、蹴ったりして、その不良全員を倒しちゃった後だったんだ。
 当時小学3年生の女の子一人が中学3年の男子生徒5人を相手に一方的に…だよ!

 それ以来、ルオへの露骨なイジメは全く無くなったし、机に落書きとかそうゆう陰湿なイジメも「臭い」で犯人を探し当てて仕返しするから、最近は全くと言って良いほど無いんだ。
 怖いって気持ちもあるけど、そんなに強いルオを羨ましいって思うんだ…。



 ………って、アレ!?い、いつの間にか、る、ルオが両頬を風船みたいに膨らませているよ!!?

「も、もしかして、ぼぼ僕が『追い払われる方が可哀そうだってばー!』って言ったから、怒って…る!!!?」

「むぅーー!当たり前だよ!そんな事を真面目に言われて喜ぶ人なんていないよ!」

「ご…ゴメン!」

 ああああ〜〜〜〜。ぼぼぼ僕の馬鹿〜〜〜!!!喧嘩が強い子なのに怒らせてどうするのさ〜〜〜!!!!


「久しぶりだな。ソウヤ。」

 ルオに叩かれる…って思った所で聞き覚えのある声が聞こえました。

「あ、り、リヒターさん!なんでデュエルアカデミアに!!?」
「え!?ソウヤ、リヒター・デアさんと知り合いなの!?」

 僕達に話しかけたのは現役プロデュエリストのリヒターさんでした。
 リヒターさんは黄土色のジャケットを着て、背中にパソコンや超小型モーメントが入っているリュックを背負っているんです。
 金髪で切れ目で瞳孔が分からない位真っ黒な瞳のいわゆる2枚目って感じの人なんですけど、なんか怖いなぁ…。
 悪い人じゃないんだけど…。

「海馬コーポレーションの方の仕事でアカデミアに来たんだ。ちょうど、君がデュエルしているところを見たから、声くらい掛けようと思ってな…。」


『おい、今、あそこの方から「リヒターさん!」って声聞こえたよな!??』
『いや…、DATのニュースに載ってただけじゃ…。』
『え、でも私も見かけたよ!金髪で黄土色のジャケット着た、カッコイイ人!』
『え、マジ!?ちょ、ちょっと行って見ようよ!』


「……、このままだと騒がしくなりそうだな。職員室付近に場所を変えよう。」

 生徒達が集まってくる前に僕達は職員室の近くに速やかに移動しました。





「……さて、ソウヤ…と君の名前は?」

「ルオです。『筒納木(つつのぎ)ルオ』。」

「そうか…ルオか。オレの名前h…。」

「『機神の申し子:リヒター・デア』さん…だよね?」

「ああ、その通りだ。で、ソウヤ。君からデュエルを挑むなんて珍しいと思ったんだが、何かあったのか?」

「えぇっと、実は…。」

 すぐに僕は今回の経緯を話しました。
 リヒターさんはきっと強いし、力になってくれると思いましたから。

「……なるほど。で、今ようやく3人とデュエルしたのか。」

「はい。」

 出来る限り元気そうな人よりも、ちょっと変わっている人がいるかもしれないけどインテリ系の人や物静かな人とデュエルしようって思ったんだけど意外なまでにいないんだ…。

「そうか、ならオレも僅かながら手伝えそうだな。」

 えっ、それってどういう…。

「オレも一応、関係者だからな。アカデミアの。」
「えぇっ!?でも、リヒターさんは卒業生なんじゃ…。」

「オレはプロデュエリストだから時々、小等部の特別講師として呼ばれるんだ。あと、KC社の専属ハッカーでもある。だからKC社がオーナーであるデュエルアカデミアの機器の調整や修理も担当しているのさ。当然デュエルレベルは『中級以上』だろ。」

 ちゅ、『中級』や『上級』どころの話じゃない気がするんですけど…。
 って、もしかしてリヒターさんが言う『手伝えそうなこと』って…。

「オレとデュエルする。とりあえず今すぐ出来るのがこれだな。デュエルする回数が一回分減るだろ?」

 や、やっぱり…。っていうかリヒターさんが相手だったら殆んどデュエルにならないよ!!!

「いや、そういう事かもしれないですけど、なんていうか…。」

「…?じゃあ、デュエルしなくて良いと…。まぁ、オレも仕事があるからな。」

「あ、いや、やっぱりデュエルしてください。」

「じゃあ、すぐに始めるか…。」

「ソウヤ〜!がんばれーー!」


 こうして僕とリヒターさんのデュエルが始まりました。
 結果は見え見えですけど。





 (50秒後)






《ディアナ・エクス・マキナ》でダイレクトアタック。ダメージステップ時に《リミッター解除》発動。
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 ― ムーン・ライツ・アロー ―
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「うわあああ!!!」

【ソウヤ】のライフ:4000→0

 青い月の女神が放った矢で僕は一撃で倒されました…(泣)


【ディアナ・エクス・マキナ】
 シンクロ・効果モンスター
 星10/水属性/機械族/攻3100/守3500
 「ルナ・エクス・マキナ」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードはシンクロ召喚以外の方法でエクストラデッキから特殊召喚できず、
 シンクロ召喚は正規の素材と方法でしか行なえない。
 このカードは「エクス・マキナ」と名の付かないモンスターの
 通常召喚・特殊召喚には使用できない。
 このカードはこのカードの特殊召喚に使用された機械族モンスターの効果を得る。
 ???



『リヒターさん。そろそろデュエルドームに向かってください!』

 遠くから作業員の人の声がした。

「わかった。すぐに向かいます。たしか『ARヴィジョン展開装置』の取り付けと調整でしたね。」

 ARヴィジョン?
 場所もデュエルドームみたいだし、シンマさんが言ってた『新しいデュエルシステムの導入』の事かな?

「それでは、オレはそろそろ行くぞ。ソウヤ、アイナにガツンというなら、オレも出来る限り協力する。」
「あ、ありがとうございます!」

「あとルオ、ソウヤと仲良くしてな。」
「はい。リヒターさんって怖そうな見た目だけど良い人ですね。」

「(こ…こわ…い…。……お、オレ…が……怖……い……。)」

 え、なにか今リヒターさんがつぶやいたような。

「…コホン。では、これにて失礼する。」

 リヒターさんはそう言ってデュエルドームの方へ行きました。





 約10分後







「ねぇ、ソウヤ。」

「なに、ルオ?」

 僕達が購買部でアイスを買って、別の校舎の3階にある広場で一休みしていた時、ルオが突然話しかけてきた。

「今度、わたしがデュエルして良い?シンマさん『2回だけソウヤの代わりにデュエルして良い』言ってたよ。」

「え…うん。」

 そういえばルオってどんなデッキなんだろ?
 それ以前にルオがデュエルしてる所ってみたことないや。

「じゃあ、決まり!誰とデュエルしよっかな〜。」

 そう言いながらルオは円形の校舎にいる人達を眺めていた。

「ねぇ、ソウヤ。誰とデュエルした方が良いと思う?」

 うわっ!突然顔を近づけてきたからビックリしたよ…。

「そ、そんな事僕に聞かれても…。」

 ルオは「ふ〜ん」って言いながらまた校舎に視線を戻した。



 そういえばルオの目ってキラキラしていて綺麗だったなぁ…。
 服もあんなワイルドでレトロな格好じゃなくて、ちゃんと髪を整えて女の子らしい服を着たら可愛いと思うんだけどなぁ…。




 ……って、なに変な事考えてるんだろ僕…。












 ― 一方その頃シンマは…。 ―


 おっと、また俺の視点だな。(分かってると思うケド、シンマだ。)
 今、ラウンジはかなり盛り上がっているぜ。
 なんせ、現プロリーグの総合部門で初の女性チャンピオンである『ガブリエラ・ティンバー』さんの試合中継だからな。
 もうすぐ終了だケド。






《マスター・ヒュペリオン》で《氷結界の龍ブリューナク》へ攻撃!


 ― サンライト・クロス ―


「キャアアアアッッッッッッ!!!!!!」

【挑戦者】のライフ:400→0



『試合終了!流石は現プロリーグチャンピオン、『ガブリエラ・ティンバー』!

 舞うが如く天使達の裁きは観客を実に魅了してくれたぞ!!!』


「……負けましたがベストを尽くせたので私に悔いはありません!」

「そう。ワタクシもまた貴方と闘う事が出来る事を楽しみにしています。」

「はい!『World Championship』で会いましょう!」


 『World Championship』か…。
 強い人は数え切れないくらい居るんだろうな……。
 アカデミアの生徒は全員、この大会に出る権利がある。
 俺には『アカデミア不敗神話』っていう変な記録があるケド、言い換えれば今のところアカデミアで俺より強い人と闘ってないって事だ。
 そんな俺の実力が、あの大会にどこまで通用するんだろうな…。








 (約20分後)








 ― 一方、ソウヤ達は ―

 また、僕の視点ですね。
 今、ルオの試合を観戦しているんだ。

 …なんて言うか…ルオって喧嘩だけじゃなくてデュエルも物凄く強いんだね…。
 今はルオのターン、ルオの方が少し有利な状態だよ。

【ルオ】
ライフ2300
モンスター《ガーディアン・エアトス》(攻:2500)
《???》(星:8・攻:2500)
《ガーディアン・エルマ》(攻:1600)
魔法・罠《胡蝶の細剣−エルマ》(装備対象:ガーディアン・エルマ)
《???》(装備対象:???)

【日居長 美射野】
ライフ1100
モンスター《ダイガスタ・イグルス》(攻:2600)
魔法・罠《霞の谷の神風》《攻通規制》




【ガーディアン・エアトス】
 効果モンスター
 星8/風属性/天使族/攻2500/守2000
 自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードに装備された装備魔法カード1枚を墓地へ送る事で、
 相手の墓地に存在するモンスターを3枚まで選択し、ゲームから除外する。
 この効果でゲームから除外したモンスター1体につき、
 エンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は500ポイントアップする。

【ガーディアン・エルマ】
 効果モンスター
 星3/風属性/天使族/攻1300/守1200
 「蝶の短剣−エルマ」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 自分の墓地の装備魔法カード1枚をこのカードに装備する事ができる。

【胡蝶の細剣−エルマ】
 装備魔法
 このカードの名前は「蝶の短剣−エルマ」として扱う。
 このカードの発動時、自分のデッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・エルマ」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
 ???



【ダイガスタ・イグルス】
 シンクロ・効果モンスター
 星7/風属性/サイキック族/攻2600/守1800
 チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上
 1ターンに1度、自分のエンドフェイズ時に
 自分の墓地から風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
 相手フィールド上に裏側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

【攻通規制】
 永続魔法
 相手フィールド上にモンスターが3体以上存在する場合、
 相手は攻撃宣言をすることができない。

【霞の谷の神風】
 フィールド魔法
 自分フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスターが手札に戻った場合、
 自分のデッキからレベル4以下の風属性モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。




「わたしはレベル8モンスター2体をオーバーレイ!!!

 …えっ、今、ルオは何て…?
 オーバー…レイ……?


『太古より受け継がれし自然の波長。

 わたしの元に集まり、新しい鼓動を作りだして!

 2体のモンスターで
 オーバーレイ・ネットワークを構築、

 エクシーズ召喚!!!

 力を貸して。

 【ガーディアン・レディアント】!!!!!』


 ルオのフィールドに見たことも無いモンスターがキラキラした光に包まれて現れた。
 その姿は女性のシャーマンのようで、《ガーディアン・エアトス》によく似た綺麗なモンスターだった。
 エアトスに比べると腕や足、胸の部分は金属製のアクセサリに覆われていて、頭飾りの鳥も鷹に似た意匠だ。


【ガーディアン・レディアント】
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク8/光属性/天使族/攻2900/守2400
 「ガーディアン・エアトス」+レベル8モンスター1体
 ???


《ガーディアン・レディアント》の攻撃力:2900→3700


「何!?何なのそのモンスターは!!?」

 対戦相手の中等部の女子学生さんも見たことの無いモンスターに驚きを隠せなかった。


「バトルだよ!《ガーディアン=レディアント》で《ダイガスタ・イグルス》に攻撃!!!

 レディアントが手に持った聖剣に光を集めて解き放った。




 ― フォビドゥン・クゥワイアー ―




 コォォォォォ………!



 聖剣から解き放たれた光はフィールド全体を包み込んだ…。

【日居長 美射野】のライフ:1100→0























  第二十話 AR デュエル







 ― 午後2時ちょと前。 ―

 ネオ童実野シティ、デュエルアカデミア・ネオ童実野校付近。


 ここはデュエルアカデミアの屋外。
 真夏の為、物凄く蒸し暑く、セミのミンミンと鳴く音が辺り一面にうるさいくらい響き渡っていた。

「え〜っと、《『D』『U』『E』『L』 『A』『C』『A』『D』『E』『M』『I』『A』》は……ここで合っているね。それにしても日本の学校なんだからカタカナで書いて欲しかったよ…看板の文字。」

 デュエルアカデミアに二人の人影が近づいてくる。
 一人は暗い銀色の髪をしたシンプルな私服を着た高校1年か2年くらいの少年。
 もう一人は星柄のポップなイラストがプリントされた服を着た中学生くらいの少女だ。

「早く行こーよぉ。折角、転校して来たんだから、校舎を巡らないと勿体無いよぉ。それに暑いから早く涼しい所に行きたいよぉ…!」

 少女が待ちきれないと言わんばかりに(…の、割には随分ゆっくりとした口調だが)声をあげた。

「そうだね。でも、ボクは君と違って【カード・セーバーズ】の仕事もあるんだから、色々面倒くさいんだ。もちろん、ボクが【カード・セーバーズ】の一員という事も内緒にね。一応は隠密調査なんだから。」

 少年はアカデミアに向かって歩いていきながら『DAT』の中のファイルを1つ開いた。
 そこには海馬コーポレーションとI2社から【カード・セーバーズ】への依頼が書いてあった。

【指令1】
【依頼主】セキュリティ及びセーバーズ本部
【内容】
連続アンティルール強制事件の容疑者である久我辰也は《マッチキル》の1体である
《ヴィクトリー・ドラゴン》を所有している事が昨夜のセキュリティの追跡で判明。
ほぼ同刻、パズルシティのデュエルギャング【ビートダウン・ザ・アフォウリィ】の
行動が活発化したと近隣住民からの通報が多数寄せられた。
その証言からギャング達が《マッチキル》を所持している可能性が濃厚。
さらに一昨日にはパズルシティで《マッチキル》の一体、《Ulevo》を使用したデュエルギャング壊滅事件が発生。
以上の事から《マッチキル》の多くはネオ童実野シティ近辺に存在する可能性が高いと断定。
貴公には【指令2】の同時遂行も合わせてデュエルアカデミア近辺とその関係者からの情報収集を頼む。
任務の関係上、奇妙な時期に転校するという形になるが、
貴公とその親族は今秋にその学園に転校予定である為に、本件を依頼した。
期間は無期限。《マッチキル》の事態が終息すると同時に、任務完了とする。
《マッチキル》に関連するならどんな些細な事でも良いので、定期的に報告するように。以上。


【指令2】
【依頼主】インダストリアル・イリュージョン社
【内容】
最近、インタレスティングな噂を聞きマース。
20イヤーズ・ア・ゴウの『ゼロ・リバース』で海馬コーポレーション&I2社の
施設とデータベースに多大なダメージを受けマシタ。当然、大量のデータがロスト!
これにより、海馬コーポレーションとI2社が総力を挙げてもレストアできなかったカードデータが多数ありマース。
つまりは多くのカードがデュエルモンスターズの歴史からロストした、もしくはロストしていたという事デース。
(『赤き龍の使い』『地縛神』『星界の三極神』もその一部デース。)
ミーが聞いた噂というのはロストしたカードデータの内、ごく僅かに残ったネームデータと似たネームのカードが
ネオ童実野シティ付近で目撃されたという事デース。
ユーにはその噂の真偽を確かめてきてくだサーイ。その噂がリアリーならまた依頼を出しマース。
期間はアンリミテッドデース。《マッチキル》の方の調査を優先してOKデース。
追伸:インポータントな事を忘れてマシタ。調査対象の僅かに残ったネームデータデース。
添付ファイルにイラストデータと共に乗せてあるので、これを手掛かりにしてくだサーイ。


「(う〜ん。じゃ、簡単そうな【指令2】から済ませちゃおうかな?え〜っと『僅かに残ったデータ』は…と。)」

【...o...ld ...ink......】
 分類不明
 テキスト不明


「(え〜っと……『old ink』…『古いインク』?)」

 少年はイラストデータのファイルも開いた。

「(えー…、イラストも背景の部分がほんの少し残ってるだけだし、これじゃあ手掛かりなんて無いも同然かぁ…。折角《マッチキル》より楽な仕事だと思ったんだけどなぁ…。面倒臭いなぁ…。今日はサボっちゃおうかなぁ…)」
「にぃさーん。考え事は良いけど、そんな暑い所じゃ余計に暑くなるだけだよぉ。」

 少女が『にぃさーん=兄さん』と言っていた事と依頼にも『親族』と書かれているので恐らく二人は兄妹なのだろう。
 依頼を見て完全にやる気がゼロになった少年は自分の妹に急かされて、ノロノロとアカデミアの中に入っていった。







 午後1時55分 デュエルアカデミア・ネオ童実野校




「あ゛〜〜、わ゛〜れ゛〜わ゛〜れ゛〜は〜〜、う゛〜ち゛ゅ〜〜じん゛〜〜だ〜〜〜〜〜〜。(訳:あ〜、我々は宇宙人だ。)」 「何やってんだお前。そんな事してたらノド痛めるぞ。」

 おっと、ナレーターは俺(シンマだ。)が勤めるぞ。
 理由はサッパリなんだケド、アイナが小型扇風機に向かって「あ゛〜〜」と声を出していた。
 ケド、アカデミアの室内はフツーにエアコンが効いてるぞ。

「え゛〜〜、だ〜って゛さ゛〜〜、さ゛っき゛ま゛でほ゛し゛ゅう゛だった゛ん゛だも゛〜ん゛。ス゛ト゛レ゛ス゛は゛っさ゛ん゛に゛ち゛ょう゛どい゛い゛じゃ〜ん゛。(訳:え〜、だってさ〜、さっきまで補習だったんだもん。ストレス発散には調度良いじゃん。)」
「はぁ…。だったらデュエルの観戦しようぜ。もうすぐデュエルドームが開くからさ。」

 アカデミアのデュエルドームへの出入口には既にズラーっと行列が出来ていた。

「うわわわわっっ…ゲホッゲホッ!もうあんなに…ゴホッゴホッ、並んでるよ!あと、シンマ。デュエルの勝者予想の件…ゲホッ、忘れないでね!」

 早速、ノド痛めてるし。

「忘れてねえよ。あと、はいコレ。」
「…何?のど飴?ゴホッゴホッ。」
「ああ。なんでも毎年お前みたいに『扇風機に向かってで声出してノド痛める子が沢山いるから』って、購買部で一人3つまでタダで配られてた。別に俺は要らないケド、『折角タダなんだから貰って置こう』って思って貰ったんだよ。でも、まさか本当にノド痛める奴がいたとはな…。」
「さっすがシンマ!気が利くね!って事で早速、のど飴いただきまーす!」

 アイナは直ぐにのど飴の包装を破って口の中に放り込んだ。
 …今回、気を利かせたのは購買部だと思うケド。ま、いっか。

「それじゃ、あたし達も早く並びましょ!」
「へい、へい…。」

 さて、この賭けに勝たないとマジでアイナの奴、『アンティルール強要事件の犯人』を探しに行くぞ…。






 午後2時 デュエルアカデミア・ネオ童実野校 デュエルドーム



 って事で、ここはアカデミアのデュエルドームだ。
 しかし、なんと言うか…。
 夏休み初日なのに、デュエルに参加しようとする生徒は70組もいるし、
 第一ドームの観客席もほぼ満員…。『どっかのデュエル大会かよ』って思うぞ。

 昨日、俺と大門寺が試合をした時(第5話〜第7話)じゃ余り中の様子を説明してなかったケド、
 このデュエルドームは『アニメGX時代のアカデミアのデュエル場』より広いし、ドームの数自体もメインドーム1つの周りにサブドームが3つある。
 俺と大門寺が試合をしたのは第三ドームだ。
 なにせ、ネオ童実野シティのデュエルアカデミアは小中高等部が全部一つの敷地にある、小中高一貫校だ。

 小中高一貫校だと単純に考えて
 ・小等部が1クラス30人と数えて6クラスで540人それが6年まであるから1080人
 ・中等部が他から入ってくる生徒もいるから1クラス40人と数えて6クラス3学年で720人
 ・高等部も中等部と大体同じ、6クラス3学年で720人
 つまり合計は1080+720+720=2520人


 この時点でとんでもなく生徒数が多いのにネオ童実野シティのデュエルアカデミアはこの街の数少ない学校だからなぁ…。
 当然、生徒数もさらに跳ね上がる。

 …で、そのとんでもなく多い全校生徒全員がどうにか納まる位の観客席があり、
 デュエルスペース自体もギリギリまで使えば5組は入るのが中央のメインドーム。
 中等部生なら全員入りきれる程度の観客席があるのが第1〜第3サブドームって事。

 俺とアイナは観戦の場所をメインドームにしようかサブドームにしようか迷ったケド、人が多いしカードの発動とか召喚とかの宣言が入り乱れるメインドームは避けて、第1サブドームで観戦することにした。

「よーし!絶対にシンマより多く予想を当てるぞーーーーっっっっ!!!」
「はぁ…。相変わらず元気だな。んじゃ、その前にルールを再確認するぞ。」


・賭ける試合は全部で5試合。デュエル勝者の予想が当たった回数が多い人が勝利。
・予想が当たった回数が同じ場合、引き分けではなくアイナの勝利となる。
・アイナが勝利した場合、今日から『アンティールール強要事件の犯人』を捜索する。シンマも協力する。
・シンマが勝利した場合、『アンティールール強要事件の犯人』の捜索は1週間後まで禁止。
・先攻第2ターン目終了時までに予想を決定。
・予想は口に出すのではなく、メモなどに書いてお互いに同時に見せ合う。
・また、賭ける試合はデュエルの成績が中級者VS中級者・中級者VS上級者・上級者VS上級者のみ行なう。
 (中級者・上級者云々は『DAT』のアカデミアのデータベースで調べることが出来るという設定。)


「よーし、大丈夫!しっかり覚えているよ!」

 アイナはそう言って何故かガッツポーズをした。

 どうやらアイナは『あること』に全然気が付いてないみたいだな。
 その『あること』ってのは、
 そもそもアイナは犯人の捜索の手伝いを俺に頼んでそれを俺は断った。
 →直後に口喧嘩。直ぐに収拾する。
 →この後、俺は今回のデュエル勝者予想を提案した。
 →アイナはこれを承諾。

 ここで「アレ?」って違和感を感じる人もいるんじゃないか?

 だって、アイナが俺に「協力しろ」って言って俺がそれを断った。ケド、「アイナも犯人を捜すな」とはこの時、俺は言ってなかった。(正確には言おうと思ったんだケド、その時は熱くなり過ぎて言うのを忘れてたんだ。)
 つまり、アイナは今回の勝者予想を無視して「一人で犯人を捜す」って選択肢もあった。尤もそんな事言い出したら全力で止めたケド。
 要するに、アイナはわざわざ俺を犯人捜しに協力させる為に、自分まで犯人捜しを1週間できなくなる可能性のある賭けに乗ったってこと。

「ねぇ、シンマ。『ある事』って何?」
「は?何の事?」
「う〜ん、確かにシンマがそう呟いた気がするんだけど……ごめん、聞き間違いだと思う。」

 ふぅ〜。あっぶねーあっぶねー。
 こりゃ、本格的にアイナの独り言がうつったかもな。




 ピポンパンポーン。



 お、校内アナウンスだ。

「本日2時までこのデュエルドームが使用できなかった理由は、知っている方もいらっしゃると思いますが、新しいデュエルシステム『ARビジョン』の導入を行なった為です。」



 ふ〜ん、新しいデュエルシステムって『ARビジョン』って言うのか。



「『ARビジョン』はソリッド・ビジョンの発展系であり、現在はその装置が総じて巨大である為、KC社とI2社の合同会議で、現在は大会会場や各国のデュエルアカデミアのデュエルドームに設置する事になりました。」



「その装置の取り付け及び調整で今までデュエルドームは使用できませんでした。それでは生徒の皆様、この『ARビジョン』を使用したデュエル。『ARデュエル』をお楽しみください。」



「ルールは通常のスタンディングデュエルと同様です。」




 ルールはスタンディングと同じか…。
 『ソリッド・ビジョンの発展系』って言う位だし、『演出がより一層派手になっただけ』だったりして。
 でも、それだったらソリッド・ビジョンの演出を変えるだけで良いんじゃ…。

「へぇ〜、これが新しいデュエルシステムの名前なんだ!シンマ、ラッキーじゃん。きっとあたし達、ネオ童実野シティの誰よりも早く新しいデュエルを見られるんだよ!!!」

 アイナはテンション高いな。
 いや、テンションが高いのは別にアイナに限った話じゃないか。デュエル・ドームにいる大体の生徒は盛り上がっている。

 確かにネオ童実野シティでも『新しいデュエルシステム(たぶんARデュエル)』の噂くらいは聞いたことがあるケド、実際に見たっていう話は聞かない。テストプレイとかを除けば、きっと「ネオ童実野シティの誰よりも早く」って話はホントだろ。

 うん………そうだな。何事も先入観や想像だけで全く期待しないのは良くないよな。見てみなきゃ分かんないし。





 そうこう言っている間に一瞬だけ周囲の壁に七色の光が走った。きっと『ARビジョン』ってのが展開したんだ。
 よーし。じゃ、『ARデュエル』とやらがどんな物なのか楽しみにしてますか。



 デュエルドーム内に特大の歓声が響き渡ると共に、デュエルが始まった。









 午後2時 デュエルアカデミア校舎内





「はぁ…。ようやく8戦終わらせたのは良いけど……。人が殆んどいない……ね…。」
「きっと、みんなデュエルドーム行ったんだよ。もうここ、デュエルする人いないよ。きっと。」

 えっと、ナレーターは僕、『露月 蒼也』に交代します。

 どうにか、4勝4敗…。その内、一勝はルオに手伝ってもらって、シンマさんが出した『10戦デュエルしろ』って課題を8戦目までは終わらせました。(シンマさんとリヒターさんとの試合、それからルオに手伝ってもらった試合を除くと3勝2敗です…。)

 だけど、僕がモタモタしているうちに大体の生徒さんがアカデミアのデュエルドームの方に行っちゃいました…。
 あー。僕って沢山の人に見られながらの試合って苦手なんだよなぁ……。
 2年前の『全国ライディング・デュエル ジュニア大会』では試合中、シンマさんに「人が変わったようにカードの使用や攻撃とかの宣言以外なんにも喋らなくなってた。」って言われちゃうし。  さらに言うと、僕が試合している間の記憶が殆んど無いんだよ。

 あ、今、僕の目の前を通り掛かった人、高等部の人だ。でも、そんなに怖そうじゃないし、よし!

「あのー、すいません。ここで僕とデュエルしてくれませんか?」
「ここで?デュエルだったら、デュエルドームで出来るだろ?それに俺よ〜、補習があってそんな余裕無いんだよなぁ〜(泣)。」 「あ、そうですか。すいませんでした。」

 あーあ、やっぱりダメか…。
 ルオの言うとおり、デュエルしたい人はもういないのかなぁ…。

「ねぇソウヤ。ソウヤ、もしかして沢山の人に見られる試合、苦手?」
「う…、図星……。ルオは?」
「わたし?わたし だいだいだーい好きっ!だって、自分のデュエルたーーーっっっくさんの人見てくれるんだよ!」

 うわぁぁぁ〜〜〜いいなぁぁぁ〜〜〜〜〜。
 僕も生まれつきネガティブな性格で生まれずに、姉さんやルオみたいな前向きな性格で生まれたかったなぁぁぁぁ〜〜〜〜〜。
 …………ルオみたいなワイルドで野生的な服装はちょっと勘弁だけどね…。


【ワイルド】
 速攻魔法
 直訳すると「野生であるさま」=「野生的」
 つまりソウヤ、お前は「野生的で野生的」と言っているんだぞ。
 by作者



「う〜〜〜っ、どうしよ〜〜。大勢の人の前は緊張するよ〜〜。こんな状態であと2戦終わらせられるかな…。」
「ねぇ、その事だけど。わたし良い事思いついちゃった。」
「え?」 「えっとね……………。」




 ………。







 ………………。




 え……。


「でも、それってずるくないの?」
「良いよ。それにソウヤ、みんなが見てるとこでデュエル苦手でしょ?」
「う、うん。でも、それじゃシンマさんが『課題』で出した意味が無いよ…?」
「きっともう、シンマさんとアイナ デュエルの結果予想始めちゃってるよ。このままじゃ時間切れになっちゃう。」
「う〜〜っ確かにそうかも…。うん、わかった。そうしようよ。」

 ルオのが考えたのはルールの穴を上手く突いたものだった。
 でも、良いのかな?
 それでシンマさんの所に行って「ダメ」って言われちゃったらアウトだよね…。
 でも、これしか方法ないよ…。

 よ〜し。







 ピピピッ!



 わっ!ビックリした!『DAT』の電子音が急に鳴り出したんだもん。
 えっと…シンマさんからのメール?


【課題についての追伸】
《送信者》 SINMA
【内容】
既に10戦終わらせてるなら、このメール意味無いから削除しておいてくれ。
まだ10戦終わってないなら課題へ追記。
もうデュエルドームが開いたから「課題の続きはデュエルドームでする事」って条件追加しておく。
折角、新しいデュエルシステム(ARデュエル)が導入されたんだ。しないのは勿体無いだろ?
別に引き続きアカデミア校内でデュエルしても良いケド、もし、バレたら始めからやり直しな 。


 ヒィ〜ッ!  シンマさんは本当に黄金の義眼でも持ってるの!!?!??

「…で、でもソウヤ!デュエル開始したらすぐサレンダーすれば良いよ!」

 ルオが焦り気味に叫んだ。
 な、なんか…どんどんズルイ方法でこの課題終わらせそう……。



 ピピピッ!



 ま、またメール!?

【追記】
《送信者》 SINMA
【内容】
まさかとは思うケド、自分からサレンダーして試合を終わらせてないよな?
そんなんじゃ全く意味が無いからソウヤがサレンダーしても、ルオがサレンダーしても、
その試合はノーカウント、さらにその人と戦っちゃダメな。
(ルオがサレンダーした試合は、ルオがソウヤの代わりにデュエルして良い回数も1回分減るぞ。)
さらに『DAT』には試合経過のログが保存されているんだから、
あからさまにわざと負けたと思われる試合もノーカウントだ。



 あ、あわわ、あわわわわ………。
 ここまで来るとシンマさんって《死者蘇生》のマークみたいな形の鍵でも持っているんじゃないの!!?


「あーあ、……仕方無いよね。ソウヤ、デュエルドームでデュエルしよう。」
「そう…だね。それにここまで念入りにズルを封じられても、ルオの言った『一気に残り2戦を終わらせる』事はできるもんね…。」

 僕とルオはトボトボと歩きながらデュエルドームの第1サブドームへ向かいました。


 ガチャ…。


 僕達が扉を開けるとそこは…。




「バトルだ!《カース・オブ・ドラゴン》の攻撃!」


 ドガアアアアン!!!


 ええええっっ!??
 モンスターの攻撃で天井が壊れた!?

 わ!今度は《雷帝ザボルグ》が放った雷が地面を砕いた!



 わあああっっ!今度は僕達の方に水しぶきが大量に降りかかってきた!冷たいぃ!
 …え?なんでソリッド・ビジョンの筈なのに冷たいのさ!?

「あはははっ。ソウヤ、頭から上着までビショ濡れ〜〜♪」

 すぐ後ろからルオが声を上げて笑った。
 僕のすぐ後ろにいたから頭以外は殆んど濡れてない。なんかズルイ!

「そ、そう言うルオだって頭はずぶ濡れじゃないか!それより、なんでソリッド・ビジョンの筈なのに冷たいんだろう?」

 僕の疑問に、ルオは自分の頭に付いた雫を払いながらこう答えた。

「きっと、『ARデュエル』の『AR』って『A:水(アクア)で出来た、R:立体映像』なんじゃないの?夏だし。」

 えぇぇぇ……。そうかなあ?違う気がするんだけど…。だってAは水って言葉の英語なのにRは日本語だよ…。





「《ヘルフレイムエンペラー》の攻撃!」





 ― ニブルヘイム・ブレイズ ―




 ゴオオォォッ!!!!





「あっっっぢゃーーーーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!!」

 向こうの方でヘルフレイムエンペラーの直接攻撃を喰らった人の悲鳴が上がりました。
 わーーーっ!火の粉が僕の方にまで飛んできた!あちっ!あちっ!

「ね、ねぇ、ルオ。多分、水じゃないと思うよ…。」
「う〜〜ん……じゃ、何の略だろ?『AR』って…。」


「『ARデュエル』の『AR』って言うのはね…。『Augumented(アグメンテッド) Reality(リアリティ)』の略称…。『拡張現実』って意味だよ。」

 僕達が『ARデュエル』の『AR』の意味について考え込んでいると隣から高等部生くらいの人が声を掛けてくれた。
 髪の色は暗い銀色。だから結構目立つ。

「かくちょうげんじつ…?」
「つまり、ソリッドビジョンはあくまで立体映像だから、建物や地形を貫通しちゃうけど、ARビジョンデュエルで起きた事が、さも現実で起きたかの様に感じるんだ。例えば建物が崩れたり周囲が水浸しになったりとね。」

 うわぁ…。だから降りかかってきた水しぶきが「冷たい」って感じるんだ。

「…もちろん、建物が崩壊したり何かが燃えても、あくまでバーチャルの世界だからすぐに元通りにできる。さらに言うなら普通の方法で『ARビジョン』の外側から見た場合は普通のソリッド・ビジョンにしか見えないから周囲にも迷惑が掛からないんだ。外側から『ARビジョン』を見たい場合は専用のスタビライザー型の機器が必要になるからね。ちなみに、今やっているデュエルの『ARビジョン』はこのデュエルドーム全体に展開されているから今さっき話した専用の機器は要らないよ。」
「…詳しい…ですね。」
「ボクの知り合いが『ARビジョン』の開発に携わっているからね。それじゃ、ボクはもう、デュエルを終えたから観客席の方に行くよ。」

 そう言って、高等部の男子生徒さんは扉から外へ出て行きました。
 でも、この人、アカデミアにいたかなぁ?さっきの遊星さんの試合だったらアカデミアの殆んどの人が見てた筈だよね。
 結構目立つ髪色だから印象に残ると思うんだけどなぁ…。


 僕がそんな事を考えているとルオが僕の背中をポンと叩いてこう言った。

「それじゃ、ソウヤ。わたし達どうするか、覚えてるよね。」
「う、うん。『シンマさんが出した課題を一気に2戦分終わらせる方法』……僕とルオがデュエルするんだよね。

















  第二十一話 ソウヤVSルオ『@シンクロンVSガーディアン』





 午後3時




【デュエル結果予想:途中経過】
 シンマ:当たり2:ハズレ1 ポイント2
 アイナ:当たり0:ハズレ3 ポイント0


「おーい、アイナ。これは結構、俺が有利じゃないのか?」

 ムカっ!こんにゃろーーーーーーー!
 シンマが余裕たーーーーーーーっぷりの口調で全ハズレ中のあたし(アイナだよ)に声をかけた。

「むぐぐ…!ヘーキだよヘーキ!ここからあたしが、ぜーーーんぶ予想を当てればいいのっ!だって同点の時はあたしの勝ちでしょっ!?」
「まぁ、そうなんだケド。例えアイナが今から予想を全部的中させたとして、一回でも俺がアイナと予想が被った瞬間俺の勝ちが決定するな。」

 だだだだだだだだ、大丈夫だってっっっっっっ!!!!!!

 つまり、これからあたしが全問大正解してシンマが全問大ハズレすればいいんでしょっ!!!

 確率はえーっと、あたしが2回当ててシンマが2回外すから、2÷2で…2/2!

「おいおい。それって1/1、つまり100%って事だぞ。そんな訳ねえだろ…。二人の内どっちが勝利するかの予想を当てる確率が1/2。それが2回連続で続けると[1/2×1/2=1/4=25%]。2回連続で外す確率も1/4。つまりは[1/4×1/4=1/16=6.25%]の筈だケド。」



 なあぁぁぁぁ(゚Д゚;)にぃぃぃぃぃ!!!!?



 だからさ!なんでシンマは分かるの!?
 アレなの?シンマは実は、
『ある日渋谷の雑踏で目覚めたシンマ。何故、自分が渋谷に倒れていたのか分からないまま辺りを見渡したいると、シンマはある異変に気がついた。それは周りの人達の考えていることが次々と頭の中に流れ込んでくるということ。この能力がどうして身に付いたのかは不明だが、気がついた時に手にしていたバッジと関係がある様子。戸惑うシンマの元に不思議なメールが届く。その内容は、「ミッションをクリアしなければ存在が消える」という不条理なものだった。事態を理解する間もなく、タイムリミットがせま……。』

「随分と面白い筋書きだな。(とういか『す○らしき○のせ○い』のストーリーとほぼ一緒じゃん。)」
「でしょ♪…じゃなくてホラ!また、心を読んだじゃん!」

 やっぱりシn……。

「なぁ、みんな。コイツ明らかに変だろ?こんな大声で独り言を言うなんてさ。」

 あたし達の席の周りに居た中等部の人たちが、あたしの事をマジでイタイ子を見るような目をしながら、シンマの質問にうなずいた。
 ってヒドっ!なに、なんかあたしイタイ子認定!?  しかも、みんなの目が誰かをイジメるような目(それはそれで凄く嫌いだけど)というよりも「この子マジで大丈夫なの?冗談抜きに心配になんだけど。」って目してるよ!!!?


「ヒソヒソ…な、なぁ優凪…。アイナちゃん、ホントに平気なのか?あのさ、ホントに冗談抜きで精神科医に診て貰うほうが…。」
「う〜ん、平気だと思うぜ。以前、アイナの奴、アカデミアのカウンセラーさんに自分の独り言癖についてマジで聞いてきたらしいケド、そのカウンセラーさん『心身共に異常なし』って言ってたぞ。」
「ヒソヒソ…ねぇ…、それホントなの…?そのカウンセラーさんヤブじゃないの?私、アイナと友達だから心配なんだけど………。」
「少なくともそのカウンセラーさんはヤブじゃねぇよ。あの先生だぜ。みんなも一度はお世話になったろ?それに医学大学に進学した十六夜先輩も『平気』って言ってたらしいし。」
「十六夜先輩が、かぁ…。じゃ、何?露月って噂に聞く『サイコデュエリスト』って奴なの?ホラ、精霊見えるじゃんアイツ。」
「さぁ?アイナとは7歳からの知り合いだケド、デュエルで誰かが怪我したトコは見たこと無い……つーか、攻撃力をバカスカ上げるデッキなんだから、もしそうなら絶対大騒ぎになると思うケド。」


 うわーん!鬼ーーっ!!人でなしーーーっ!!!
 みんな揃ってあたしの事変人呼ばわりしてーーーーっ!!!!みんな嫌いだーーーーーっ!!!!!








 …あ、ドームの向かい側、ちょうどデュエルする人達専用のゲート付近にソウヤはっけーん!。

「ちっきしょーーーー!!!!!こうなったら、こうなったら…………。
 《自爆スイッチ》………発・動オオオォォォォォォォッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!






 ドッッッカーーーーーーーーーーン!!!!!!






 うわわわわっ!ARデュエルで爆発系の攻撃を使う奴って、どーゆー神経してるの!!?

 あ、ソウヤの方にも爆発で起きた瓦礫の粒が降りかかった。うん、そりゃ慌てるよね…。


 ん?ソウヤと一緒に居るのは……ルオちゃん?
 そういえば…ルオちゃんってソウヤの事……。あっ、いい事思いついた!
 確かにソウヤはデュエルが……悔しいけどあたしより強い!だけど、沢山の観客に見られながらのデュエルは苦手!

 でも、きっとシンマはデュエルの勝者予想はあまりよく知らないルオちゃんよりもソウヤの方を選ぶはず!
 だけどね……ルオちゃんも、そーとー強いよ!

 そうと決まれば行動開始っ!
 あたしはすぐに立ち上がった。

「ん?どうした、アイナ。」
「え、ああ、休憩休憩っ!ホラ、デュエルドームってデュエル三昧だから何ていうかこう…熱気って奴?が、凄いでしょ!?だから一旦、落ち着けば頭が冴えて予想が当たりやすくなると思って…!」
「……あ、ああ。確かにそうかもな。」
「って事で、じゃーねー!」

 あたしは駆け足でデュエルドームを出た。

「………(あいつ、細かいことは気にしないだろうケド…、やっぱ流石に今のは傷ついたか?後で謝っておくかねぇ……。)」

 シンマが何か言ったような……。うん。きっと、気のせい!



 デュエルドーム・選手用ゲート



 あたしは選手用ゲートからデュエルドームに入ると人ごみを掻き分けてソウヤとルオちゃんの所までたどり着いた。
 周りから「オイ、コラ横入りすんな」って目で見られた気がするけど、どーせ今日はデュエルドームでデュエルしようとは思ってないから良いじゃん。

「ソウヤ〜、ルオちゃ〜ん。こんなトコでなにやってんの〜?」
「うわわっ!ね、姉さんいつの間に!?」

 え。ソウヤの奴やけに大袈裟に驚いてるけど………ふふ〜ん、成〜る程〜。

「もしかして〜、二人でデ〜ト〜〜?」
「ちちち、違うよっっ!!!!」

 え〜、ホントに〜?やけに焦ってるけど〜?

「えっとね、シンマさん ソウヤに『デュエルアカデミアの生徒10人にデュエルを挑んで来い』って課題出したの。」
「ちょ、ルオ!そr…。」
「なーんだ。そういうとこ。でも、なんでシンマがそういう事を?」
「え、え、え〜っとそそ、それは…。」

 ……なんでソウヤは焦ってるの?

「シンマさん 『ソウヤは誰かと話すのが苦手』って言ってた。だから、その練習も兼ねたデュエルの修行だって。」
「あ、成る程〜。シンマって今も昔も相変わらず世話焼きなくせにまわりくどい所があるから納得。あ、そうだ!ルオちゃんに用事があったんだ。ちょっと耳貸して。」


 ヒソヒソヒソ………。


「アイナ。その約束、マジ?」
「マジマジ。絶対!誓うよ。」
「オッケー。約束、忘れないでね!」
「な、何を話してるの…?」

 おやおや、ソウヤく〜ん。乙女の内緒話を盗み聞きしようなんて100万億光年早いんじゃな〜い?


【100万億光年】
 カウンター罠?(スペルスピード3オーバー)
 億の単位は1000までなので正確には100兆光年が正しい。
 「〜光年早い」と言うキャラがたまにいるが「光年」は時間ではなく距離の単位。
 光が1年に進む距離が1光年である。(1光年は約9.46兆km。)
 つまり100万億光年=100兆光年は約946Uリq゚じょkm(946×1024km)
 省略無しだとこうなる→946,000,000,000,000,000,000,000,000km


 とにかく、作者のどーでもいいツッコミは無視して、あたしはさっさと観客席の方に戻った。
 シンマの隣の席についてすぐにシンマに声を掛けられた。

「よー、アイナ。変人呼ばわりに傷ついて出て行ったのかと思ったケド、随分うれしそうだな。
「そーだよ!傷ついたよ!刃渡り50pくらい!!!……じゃなくて、じゃなくて。今度の勝者予想、ソウヤとルオちゃんにしようよ!ホラ向かい側にいるじゃん♪」
「刃渡り50pってザックリいったな……じゃなくて。まぁ、良いケド。(やけに自信満々だな…。何か考えでもあるのか)」

 シンマはちょっと考えてから予想を口に出した。

「う〜ん。ソウヤってデュエル強いケド、大勢の前でのデュエルは苦手だし(そう、仕組んだの俺だケド)、ルオちゃんも結構強そうなんだよな……。でも、やっぱソウヤが勝つんじゃね?」

 よっしゃーーーーーーー!(>ω<)b作戦通りぃーーーーーーーーーーーーー!

「ふっ…シンマ君。『予想は口に出さずにDATのメモ帳で見せ合う』って約束だったよね…?ちゃ〜んと書いてみせてよね〜。」
「(いきなりなんだ…?)…ほい、この通り。」

 シンマのDATのメモ帳にはキッチリ『次の勝者予想:露月蒼也』ってちゃんと書いてあった。

「ふっふっふ。シンマ君。ルオちゃんの実力を甘ーく見て貰っちゃ困るよ…。それにソウヤが大勢の観客の前で緊張しまくって弱くなるのは、あたしだって、よーく知ってるんだよ。」
「………んで?それだけの根拠でお前、次の勝者予想。ルオちゃんにすんのか?」
「ふははははっ……!もちろんそれだけじゃないよ…。シンマ君!君は、この露月藍奈の『恋する乙女は朝趙帳徴帖張弔聴牒眺諜喋挺凋頂澄鯛彫庁腸丁調寵懲暢潮貼脹銚塚蔦吊釣跳肇挑重鳥兆町長蝶々超強い作戦』に敗れ果て、そのショックで次の勝者予想も外す!このデュエルの勝者予想は露月藍奈に逆転勝利で終わるのだーーーーーー!!!!!!♪」
「…なんだそりゃ?恋する乙女?…つーか、キャラ変わってねぇ?…おっと、どうやら始まったみたいだな。そのなんたらかんたら作戦の結果、のんびり待ってようぜ。」
「そーしましょー!」

※注:「朝趙帳徴帖張弔聴牒眺諜喋挺凋頂澄鯛彫庁腸丁調寵懲暢潮貼脹銚塚蔦吊釣跳肇挑重鳥兆町長蝶々超」は全て「ちょう」と読む。






 デュエルアカデミア・ネオ童実野校 デュエルドーム・第1サブドーム・デュエルリング






 では、ナレーターは僕(蒼也です。)に交代します。
 二十話で何故、僕とルオがデュエルすれば2戦一気に終わらせられるかと言うと……。
 説明していると長くなってしまうので後で説明します。
 ただ、「デュエルすれば何でも解決〜」みたいな無茶苦茶な理論じゃないので安心してください。

 それにしても…。やっぱり、沢山の人に見られながらのデュエルは緊張する…。

「ソウヤ!準備オーケー?」
「あ、うん。大丈夫だよ」



「「デュエル!」」



 先攻は僕だ。
 よっ、よし!ルオには悪いけど、緊張し過ぎてガタガタになる前に試合の流れを僕に引き寄せよう!

「僕のターン、ドロー!僕は手札の《ダンディライオン》を捨てて《クイック・シンクロン》を特殊召喚更に《ダンディライオン》の効果で『綿毛トークン』を2体特殊召喚!」

 僕のフィールドに西部劇のガンマンのような姿のロボット1体と綿毛型のモンスター2体が現れた。

【クイック・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星5/風属性/機械族/攻 700/守1400
 このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、
 手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードは「シンクロン」と名のついたチューナーの代わりに
 シンクロ素材とする事ができる。
 このカードをシンクロ素材とする場合、「シンクロン」と名のついた
 チューナーをシンクロ素材とするモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

【ダンディライオン】
 効果モンスター
 星3/地属性/植物族/攻 300/守 300
 このカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上に「綿毛トークン」
 (植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。
 このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

レベル1の《綿毛トークン》1体にレベル5の《クイック・シンクロン》をチューニング!

 クイック・シンクロンがルーレットのように回転するシンクロンチューナー達のカードを拳銃で打ち抜きました。
 当たったのは…《ドリル・シンクロン》!



「集いし力が大地を貫く槍となる。

 光さす道となれ!

 シンクロ召喚!!!!!

 砕け、《ドリル・ウォリアー》!!!!!」



 ギィィィィィィィンッッ!!!!



 大きな削石音と共に右腕と両肩がドリルになったウォリアーが地中から姿を現した。
 ドリル・ウォリアーの召喚と共に地面が砕けて大きな穴がフィールドに現れる。

【ドリル・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/地属性/戦士族/攻2400/守2000
 「ドリル・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にこのカードの攻撃力を半分にし、
 このターンこのカードは相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。
 また、自分のメインフェイズ時に1度だけ、
 手札を1枚捨ててこのカードをゲームから除外する事ができる。
 次の自分のスタンバイフェイズ時、このカードの効果で除外した
 このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
 その後、自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。

《ドリル・ウォリアー》の効果発動!手札から《ボルト・ヘッジホッグ》を捨てて自らを次のスタンバイフェイズまで除外するよ!

 ドリル・ウォリアー空間の壁を砕いて次元の狭間に姿を消した。

「そして、手札から《ニトロ・シンクロン》を召喚!フィールドにチューナーがいるから墓地から《ボルト・ヘッジホッグ》を特殊召喚!さらに墓地からモンスターが蘇生されたからで手札から《ドッペル・ウォリアー》を特殊召喚!

 僕のフィールドにガスタンクのような姿をしたシンクロン、針がネジのボルトになったハリネズミ、黒い工作員のようなスーツを着たウォリアーが一気に展開された。

【ニトロ・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/炎属性/機械族/攻 300/守 100
 このカードが「ニトロ」と名のついたシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【ボルト・ヘッジホッグ】
 効果モンスター
 星2/地属性/機械族/攻 800/守 800
 自分フィールド上にチューナーが表側表示で存在する場合、
 このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、
 ゲームから除外される。

レベル2の《ボルト・ヘッジホッグ》《ドッペル・ウォリアー》レベル2の《ニトロ・シンクロン》をチューニング!」




『集いし志は勝機を示す槍となる。


 光さす道となれ!!!


 シンクロ召喚!!!!!


 なぎ払え!【ニトロ・ランサー】!!!!!』




【ニトロ・ランサー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/戦士族/攻2500/守1300
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 各ターンのバトルフェズ時に1度、自分の手札または墓地の魔法カード1枚を
 ゲームから除外することでモンスターの破壊を無効する。
 このカードが攻撃を行ったモンスターをダメージステップ終了時に表示形式を変更し、
 もう一度続けてそのモンスターに攻撃できる。

《ニトロ・シンクロン》の効果で僕はカードを1枚ドロー!《ドッペル・ウォリアー》はシンクロ素材にされると《ドッペル・トークン》を2体攻撃表示で特殊召喚できるよ。そして《クイック・シンクロン》が特殊召喚されたターンに《バレット・シンクロン》は手札から特殊召喚できるよ!

【ドッペル・ウォリアー】
 効果モンスター
 星2/闇属性/戦士族/攻 800/守 800
 自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、
 自分フィールド上に「ドッペル・トークン」
 (戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚することができる。

【バレット・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/風属性/機械族/攻 0/守 0
 フィールド上に表側表示で存在するこのカードをレベル1にし、
 このカードはチューナーとして扱わないようにする事ができる。
 自分の「クイック・シンクロン」が手札から特殊召喚されたターン、
 手札・墓地からこのカードを特殊召喚できる。
 この方法で特殊召喚されたこのカードは
 「シンクロン」と名のついたチューナーの代わりにシンクロ素材とする事ができる。
 「バレット・シンクロン」は1ターンに1度しか特殊召喚できない。

レベル1《綿毛トークン》と《ドッペル・トークン》2体レベル2の《バレット・シンクロン》をチューニング!




『集いし星が新たな力を呼び起こす。


 光さす道となれ!!!


 シンクロ召喚!!!!!


 いでよ、《ジャンク・ウォリアー》!!!!!』




 両肩にブースターユニットの付いた青いウォリアーが出てきた。
 不動遊星さんの切り込み隊長兼エースの《ジャンク・ウォリアー》です!

【ジャンク・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星5/闇属性/戦士族/攻2300/守1300
 「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードの攻撃力は
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップする。

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 僕のフィールドにはシンクロモンスターが2体、次のターンには《ドリル・ウォリアー》も帰ってくる。
 防御用のカードもセットしたから余程の事がない限り、崩されることは無い!

ソウヤ先攻
ライフ4000
モンスター《ニトロ・ランサー》
《ジャンク・ウォリアー》
(攻:2500)
(攻:2300)
魔法・罠伏せカード1枚
手札0枚
墓地5枚
除外1枚+《ドリル・ウォリアー》

ルオ後攻
ライフ4000
モンスター無し
魔法・罠無し
手札5枚
墓地0枚
除外0枚







 一方、シンマとアイナは


「うぇ〜っ!?ソウヤ、全然緊張してないじゃん!!?」

 アイナが驚いたような声を上げた。

「んにゃ、ソウヤの奴、相当緊張してるな…。プレイングに焦りが見える。」
「へ?」
「あの連続シンクロは、なにも1ターンの間に行わなければ邪魔されるって訳じゃない。チューナー以外のシンクロ素材は《ドリル・ウォリアー》と《ダンディライオン》とのコンボで毎ターン用意できるんだから1ターン目からあんなに手札を消耗する必要はない。下手したら返しのルオちゃんのターンで壊滅するぞ…。」
「ふーん。まぁ、あたしは勝者予想はルオちゃんの方に賭けたから別にいいけど、ソウヤが厳しい戦いになりそうなのは分かったよ。」
「一応、ソウヤの戦術が完全に間違ってるとは言い切れないよ。高攻撃力モンスター軍団で相手を威嚇するってのも立派な戦術だ。ケドさ、今回は余ったシンクロ素材を壁にするのがベストだったかなぁ…。」







「じゃあ、わたしのターン。ドロー。」

 さっき見たルオの試合は、ルオ自身が使ったカードが少なかったけど、【ガーディアン】使いだった。
 あの《ガーディアン・レディアント》っていうルオのエースモンスターには気を付けないと。

わたしの墓地にモンスターいない。だから手札から《ガーディアン・サモナー》をリリース無しで召喚。守備表示。」

 半上級モンスター!?さっきのルオの試合では見なかったよ!
 ルオのフィールドに紺色のローブを纏った僧侶が現れました。

【ガーディアン・サモナー】
 効果モンスター
 星5/水属性/魔法使い族/攻1000/守2300
 自分の墓地にモンスターが存在しない場合、
 このカードをリリース無しで召喚できる。
 1ターンに1度、「ガーディアン」と名の付くモンスターまたは
 テキストに「ガーディアン」と記載された装備魔法を
 自分のデッキまたは墓地から1枚手札に加える。

「まだだよ。墓地にモンスターいないから手札から《ガーディアン・エアトス》を召喚!

 続けてルオが召喚したのは真っ白な羽と金色の髪をした女性型のモンスター。着ている衣装は何処かの民族衣装みたいだ。

【ガーディアン・エアトス】
 効果モンスター
 星8/風属性/天使族/攻2500/守2000
 自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードに装備された装備魔法カード1枚を墓地へ送る事で、
 相手の墓地に存在するモンスターを3枚まで選択し、ゲームから除外する。
 この効果でゲームから除外したモンスター1体につき、
 エンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は500ポイントアップする。

「カード1枚セット。手札から《守護神の宝札》発動!

 ルオがカードの発動宣言をすると同時に《守護神の宝札》以外の手札を全て捨ててカードを2枚ドローした。

【ルオ】の手札:3→2
      墓地:0→2

【守護神の宝札】(ディメストver)
 永続魔法
 自分の手札がこのカードを除いて2枚以上存在する場合、発動できる。
 このカードの発動時、自分は手札を全て捨て、
 デッキからカードを2枚ドローする。
 墓地にモンスターが存在しないプレイヤーは
 ドローフェイズを2回続けて行なえる。

《ガーディアン・サモナー》の効果。墓地の装備魔法1枚 手札に戻す。戻すのは《彗星の弩弓−シール》!」

【ガーディアン・サモナー】
 効果モンスター
 星5/水属性/魔法使い族/攻1000/守2300
 自分の墓地にモンスターが存在しない場合、
 このカードをリリース無しで召喚できる。
 1ターンに1度、「ガーディアン」と名の付くモンスターまたは
 テキストに「ガーディアン」と記載された装備魔法を
 自分のデッキまたは墓地から1枚手札に加える。

「そして、《彗星の弩弓−シール》発動。デッキから《ガーディアン・シール》を特殊召喚!

 ルオが発動した白い弓に導かれるように赤い鎧を付けた青いトカゲのようなモンスターが現れた。

【彗星の弩弓−シール】
 装備魔法
 このカードのカード名は「流星の弓−シール」として扱う。
 このカードが手札から発動された時、自分のデッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・シール」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 この効果を使用するターン、自分はこのカード以外の
 モンスターを特殊召喚する効果を発動できない。
 ???

【ガーディアン・シール】
 効果モンスター
 星4/炎属性/炎族/攻1700/守1400
 「流星の弓−シール」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 このカードに装備された自分の装備カード1枚を墓地へ送る事で、
 相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。

《ガーディアン・シール》の効果発動。シールが装備してるカード1枚墓地に送って相手モンスター1体破壊。破壊対象は《ニトロ・ランサー》


 ― 誠実の彗星 ―



 ズドンッ!


 うわっ!  ガーディアン・シールが自分に装備された《彗星の弩弓−シール》を炎の弓矢に変えてニトロ・ランサーを貫いた!

ちなみに《彗星の弩弓−シール》は墓地に送られると相手フィールドのカード1枚破壊するよ。破壊対象はソウヤの伏せカード!

 しまったっ!ニトロ・ランサーを貫いたエネルギーの矢で《次元幽閉》が焼き尽くされた!

【彗星の弩弓−シール】
 装備魔法
 このカードのカード名は「流星の弓−シール」として扱う。
 このカードが手札から発動された時、自分のデッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・シール」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 この効果を使用するターン、自分はこのカード以外の
 モンスターを特殊召喚する効果を発動できない。
 このカードがフィールドから墓地に送られた場合、
 相手フィールド上のカード1枚を破壊する。


「バトルだよ。《ガーディアン・エアトス》で《ジャンク・ウォリアー》を攻撃!








 ― 精霊のオペラ ―








「ル〜ルル〜、ラ〜ラ〜ラ〜。」


 え……?エアトスが歌い始めた途端にジャンク・ウォリアーが苦しみだした。
 ジャンク・ウォリアーはそのまま光の粉になって消えてしまった。
 エアトスの歌は超音波になって僕にも襲い掛かる。

「ううっ…!」

 超音波のせいでキーンと耳鳴りがする。

【ソウヤ】のライフ:4000→3800

「そして《ガーディアン・シール》の追撃!



 ― 誠実の炎閃 ―



「うわっ、熱っ!」

 ガーディアン・シールが炎の矢を作り出して僕に投げつけた!飛び散った火の粉が地面を焦がす。
 いくらバーチャルだからってARデュエルで炎系の攻撃は危ないと思うんだけどなぁ……。

【ソウヤ】のライフ:3800→2100

 まずい…デュエル開始早々にライフが半分近く削られちゃったよ……。

「カード1枚セット。ターンエンドだよ。……ソウヤ、調子悪いの?」

 トホホ……。いくら友達でもデュエルの対戦相手に心配されるのは悔しいなぁ…。




先攻
ライフ2100
モンスター無し
魔法・罠無し
手札0枚
墓地7枚(1枚は《ダンディライオン》)
除外1枚+《ドリル・ウォリアー》

ルオ後攻
ライフ4000
モンスター《ガーディアン・サモナー》
《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・シール》
(守:2300)
(攻:2500)
(攻:1700)
魔法・罠《守護神の宝札》》
伏せカード1枚
手札1枚
墓地2枚
除外0枚



「ぼ、僕のターン。ドロー!スタンバイフェイズに除外された《ドリル・ウォリアー》が戻ってくる。そして戻って来た《ドリル・ウォリアー》は僕の墓地からモンスターカードを手札に戻す効果を持ってる!僕が墓地から戻すのは《ダンディライオン》

 僕は緊張も相まってデュエル開始早々完全に弱気モード…。
 とにかく、まずは壁モンスターの確保と《ガーディアン・サモナー》《ガーディアン・シール》の除去コンボを崩さないと。

【ドリル・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/地属性/戦士族/攻2400/守2000
 「ドリル・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にこのカードの攻撃力を半分にし、
 このターンこのカードは相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。
 また、自分のメインフェイズ時に1度だけ、
 手札を1枚捨ててこのカードをゲームから除外する事ができる。
 次の自分のスタンバイフェイズ時、このカードの効果で除外した
 このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
 その後、自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。

魔法カード《貪欲な壺》発動。墓地の《ニトロ・ランサー》《ジャンク・ウォリアー》《ドッペル・ウォリアー》《バレット・シンクロン》《クイック・シンクロン》の5枚をデッキに戻してカードを2枚ドロー!

【『貪欲』な壺】
 通常魔法
 あのさー、ちょと聞いてくんな〜い。
 最近さー、ちょーっと暇なんだよね〜。
 だって、「強欲な壺」も「天使の施し」も禁止カードになったから
 「これで俺様の時代が来たぜー」って思ったら何アレ?「強欲で謙虚な壺」って奴。
 幾らデメリットがあるからってよー、汎用性高すぎやしねぇ?採用率もトップだろ〜?
 大体「強欲で謙虚」って言葉こそ本当の「ニホンゴオカシイ」って奴だろ?
 なんだよ「強欲」なのに「謙虚」ってさー。矛盾してねぇ?
 しかも暇なのはOCGだけじゃねぇ。創作デュエルでもなんだよな〜。
 み〜んな、「専用手札交換カード」とか言ってアホみたいに強力なオリカ作るんだもんな〜。
 作者だって「エレメントの宝札」ってカード作って、それにデメリット付けてるらしいけど、
 ぶっちゃけ、デメリットなんざ、有って無いようなもんじゃーん。
 さらに酷ぇ事に「六武の門」とか「黒き旋風」とかみたいなさ〜「毎ターンサーチカード」もフツーに存在するんだぜ?
 OCGのカードメインの小説でも「終わりの始まり」とか「アドバンスドロー」とか「エンシェント・リーフ」とか
 リアルじゃ事故要因のカードばっか使われてさ〜。
 はぁ〜〜〜。俺様は手札を1枚増やせるカードだぜ?数々の逆転のチャンスを作り出すカードだぜぇ?
 なのに「見た目や名前がちょっとアレ」って理由で別のオリカを使う奴(この小説の作者)までいる有様だ。
 ホント暇だからさー。皆たま〜には使ってくれよな〜。
 え?効果の説明?そりゃ、失礼。(今さっきソウヤくんが言ってくれたばっかだけどね。)
 ↓がOCGのテキストですよ。知ってました?ニョホホホホ。
【貪欲な壺】
 通常魔法
 自分の墓地に存在するモンスター5体を選択し、
 デッキに加えてシャッフルする。
 その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

※え、「お前、かなり出番あるだろ。」って?彼は「貪欲」だから仕方無いんです。

【ソウヤ】の墓地:6→1枚
       手札:2→3枚



 僕はドローしたカードを確認する……うん、どうにかなるかも。

手札から《ジャンク・シンクロン》を召喚。《ジャンク・シンクロン》は召喚された時、墓地のレベル2以下のモンスターを蘇生できるんだ!僕は墓地に残った《ニトロ・シンクロン》を特殊召喚!

 僕のフィールドに全身がガラクタで出来たような姿のシンクロンが現れる。
 ジャンク・シンクロンは自分の効果でニトロ・シンクロンを復活させました。

【ジャンク・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星3/闇属性/戦士族/攻1300/守 500
 このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する
 レベル2以下のモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

「バトル!《ドリル・ウォリアー》で《ガーディアン・サモナー》を攻撃!

 ドリル・ウォリアーは青いローブの魔術師へ一直線に突っ込む。
 お願いだからこの攻撃は通って……っ!じゃないと、ホントにマズイよ…。



 ― ドリル・ランサー ―





 ズガァッ!


 やった!攻撃が通った!
 ルオにダメージは無いけど、これで《ガーディアン・シール》と《彗星の弩弓−シール》のコンボを封じる事ができる!

「むぅっ。ガーディアン・サモナー…エンドフェイズまで待ってて。」

 え?なにか今、ルオが不吉なことを言った気がするんだけど…。
 と、とにかく、まだ僕のターンだ。
 僕はすぐさま《ドリル・ウォリアー》の効果を発動。手札の《ダンディライオン》を捨ててドリル・ウォリアーを除外しました。
 墓地に《ダンディ・ライオン》が送られた事で綿毛トークンが2体出現する。
 この綿毛トークンをシンクロ素材にしてシンクロ召喚を毎ターン行なうのが【シンクロン】の亜種、通称【クイック・ダンディ】の基本戦術です。

レベル1《綿毛トークン》2体にレベル2の《ニトロ・シンクロン》をチューニング!



『集いし心の静けさが、眠りし闘志に火を放つ!


 光射す道となれ!!!


 シンクロ召喚!!!!!



 出撃せよ!【ニトロ・コマンダー】!!!!!』



 僕が新たに召喚したシンクロモンスターは特殊部隊のような迷彩服を着た小さな恐竜と人が合体したようなモンスター。
 《ニトロ・ウォリアー》とはまた違っていて、顔にはちょっと愛嬌がある。そして、全体的なカラーリングにニトロ・シンクロンの面影が残っていた。
 【シンクロン】系のシンクロモンスターの例に溺れず戦士族のような外見じゃないけど、このモンスターも立派な戦士族モンスター。

【ニトロ・コマンダー】
 シンクロ・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1800/守1200
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 ???


 僕はこのままターンエンd…あっ!いけない、《ニトロ・シンクロン》の効果を忘れていた!
 《ニトロ・コマンダー》も「ニトロ」と名の付くシンクロモンスターだから《ニトロ・シンクロン》の効果は適用されるんだ。


【ニトロ・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/炎属性/機械族/攻 300/守 100
 このカードが「ニトロ」と名のついたシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【ソウヤ】の手札:1→2

 僕は《ニトロ・シンクロン》の効果でドローしたカードを確認してみた。…防御カード用でした。
 フリーチェーンじゃないから破壊されちゃうかもしれないけど、今の状況じゃ何も伏せないよりずっとマシだ。

「僕はカードを1枚セット。ターンエンド。」
エンドフェイズに罠カード《守護神の転生》発動。墓地のガーディアン全部戻して、次のターンわたしがドローしたカード、ガーディアンかガーディアンの装備魔法なら対応したカードもデッキから手札に加えれる!あとライフも回復するよ!

 手札増強カード…!しかも、ライフ回復にモンスター回収効果まで付いてるなんて!
 まずい、たしか《守護神の宝札》は墓地にモンスターが無いプレイヤーに大きな恩恵をもたらすカードだったような…。

【守護神の転生】
 通常罠
 自分の墓地の
 「ガーディアン」と名の付くモンスターを全てデッキの一番下に戻し、
 戻した枚数×600ポイント自分のライフを回復させる。
 次の自分のターン終了時までに自分がカードをドローした時、
 ドローしたカードを公開する事で公開したカードの種類により以下の効果を適用させる。
 ●「ガーディアン」と名の付くモンスター:そのモンスターのテキストに
 記載された装備魔法カード1枚を自分のデッキから一枚手札に加える。
 ●装備魔法:テキストに記載された「ガーディアン」と名の付くモンスター1枚を
 自分のデッキまたは墓地から手札に加える。

【ルオ】の墓地:3→2
      ライフ:4000→4600


ソウヤ先攻
ライフ2100
モンスター《ニトロ・コマンダー》
《ジャンク・シンクロン》
(守:1200)
(守:500)
魔法・罠伏せカード1枚
手札1枚
墓地3枚(1枚は《ダンディライオン》)
除外1枚+《ドリル・ウォリアー》

ルオ後攻
ライフ4600
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・シール》
(攻:2500)
(攻:1700)
魔法・罠《守護神の宝札》
手札1枚
墓地3枚
除外0枚


「いくよ。わたしのターン、ドロー。この時、《守護神の宝札》の効果発動。墓地にモンスター存在しないプレイヤー、ドローフェイズを2回続けてできるよ!だから、もう一回ドロー!」

【ルオ】の手札:1→3

 連続ドロー効果だったんだ!
 ってヤバイ、ヤバイよ!ルオがさっきのターン発動した《守護神の転生》と相性抜群って事!?

【守護神の宝札】(ディメストver)
 永続魔法
 自分の手札がこのカードを除いて2枚以上存在する場合、発動できる。
 このカードの発動時、自分は手札を全て捨て、
 デッキからカードを2枚ドローする。
 墓地にモンスターが存在しないプレイヤーは
 ドローフェイズを2回続けて行なえる。

「ドローしたカードの内、一枚が《ガーディアン・エルマ》《守護神の転生》の効果でデッキから《胡蝶の細剣−エルマ》手札に入れる。

【守護神の転生】
 通常罠
 自分の墓地の
 「ガーディアン」と名の付くモンスターを全て、デッキの一番下に戻し、
 戻した枚数×600ポイント自分のライフを回復させる。
 次の自分のターン終了時までに自分がカードをドローした時、
 ドローしたカードを公開する事で公開したカードの種類により以下の効果を適用させる。
 ●「ガーディアン」と名の付くモンスター:そのモンスターのテキストに
 記載された装備魔法カード1枚を自分のデッキから一枚手札に加える。
 ●装備魔法:テキストに記載された「ガーディアン」と名の付くモンスター1枚を
 自分のデッキから手札に加える。

【ルオ】の手札:3→4

「手札に加えた《胡蝶の細剣−エルマ》発動!胡蝶の細剣は手札から《ガーディアン・エルマ》特殊召喚できるよ。あと、エルマは召喚されたら、墓地の装備魔法1枚装備できる。装備させるのは………う〜んと……《ガーディアン・シールド》!

【ガーディアン・エルマ】
 効果モンスター
 星3/風属性/天使族/攻1300/守1200
 「蝶の短剣−エルマ」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 自分の墓地の装備魔法カード1枚をこのカードに装備する事ができる。

【胡蝶の細剣−エルマ】
 装備魔法
 このカードの名前は「蝶の短剣−エルマ」として扱う。
 このカードが手札から発動された時、自分のデッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・エルマ」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
 ???

【ガーディアン・シールド】(ディメストver)
 装備魔法
 装備モンスターの守備力は300ポイントアップする。
 自分フィールド上の「ガーディアン」と名の付くモンスターが
 戦闘・効果によって破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。


 柄の部分の飾りが禁止カードの《蝶の短剣−エルマ》に似たレイピアの魔力でエアトスとはまた違った民族衣装のような服を着たモンスターがルオのフィールドに出てきました。

《ガーディアン・エルマ》の攻撃力:1300→1600
               守備力:1200→1500

 どうしよう…。ルオのモンスターは三体、しかもルオはまだ通常召喚権を残してるなんて…。
 もしも、僕が伏せた防御カードが破壊されたら、僕…負けるかも…。

手札から《ガーディアン・ロンギヌス》を召喚。攻撃表示!」

 ようやくルオがモンスターを通常召喚した。
 新しく出てきたガーディアンは重厚な鎧を着た大槍を使う戦士です。
 鎧や体の所々に傷があって、歴戦の戦士というか…なんか荒廃したような雰囲気。
 目の部分には長くて白い包帯のような物を付けている。盲目…なのかな?

【ガーディアン・ロンギヌス】
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻2400/守800
 ???

 って、攻撃力高ーーーっ!しかも攻守共に《ゴブリン突撃部隊》よりも上!?も、もちろんデメリットアタッカーだよね!??

「バトルだよ!《ガーディアン・ロンギヌス》で《ニトロ・コマンダー》攻撃!

 ロンギヌスが大きく跳躍してニトロ・コマンダーに向かって大槍を投げつけてきました!!!




 ズガンッ!!!!




 わっ!大槍が地面に当たって岩の破片が飛んできた!

 僕は思わず両手を顔の前で交差させたけど、瓦礫は僕に当たる直前に光の粉となって消えました。
 あっ、そういえばこれって物凄くリアルなだけで仮想現実空間の出来事だから実際には平気なんだっけ?

 僕はとりあえず気持ちを落ち着かせた後、フィールドを確認しました。
 大槍の一撃で巻き上がった土煙が晴れると………。

 大槍はニトロ・コマンダーのすぐ手前に突き刺さっただけで、ニトロ・コマンダーは無事だった。
 ルオの隣には1〜6までの青い光の玉が円を描くように並んでいて、そうの内3の数字だけが黄色く発光していました。

「あーあ、やっぱり外れたかぁ〜〜〜。」

 ルオが残念そうに呟く。

「は、外れたって?」
「うん、ロンギヌス盲目だから、攻撃3分の2の確率で外れるの。それに《勝利の神槍−ロンギヌス》無いと相手に与えるダメージ半分になっちゃうんだ…。

 3分の2の確率で攻撃を外すデメリットアタッカー?
 僕はデュエルディスクに接続したDATを操作して《ガーディアン・ロンギヌス》のカードを拡大しました。

【ガーディアン・ロンギヌス】
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻2400/守1400
 フィールド上に「勝利の神槍−ロンギヌス」が表側表示で存在しない場合、
 このカードが相手に与える戦闘ダメージは半分になる。
 自分のバトルフェイズ開始時に1度、サイコロを1回振り、
 出た目によってエンドフェイズまで以下の効果を適用する。
 ●1:このカードの攻撃力は600ポイントアップする。
 ●2・3・4・5:このカードの攻撃は無効になる。
 ●6:このカードは相手モンスターを2体まで攻撃できる。

 こ、このモンスターは…デメリットアタッカーというよりギャンブルモンスターだ!
 確かに攻撃を無効にされる確立は半分よりも上だし、相手へのダメージも少ない。
 だけど残りの3分の1で攻撃が通るときは、一つは攻撃力が《青眼の白龍》と同じになって、もう一つは連続攻撃!?

「続けていくよ!エルマで《ニトロ・コマンダー》攻撃。



 ― 情熱の雷鳴 ―



 バリバリバリッ!



 エルマがレイピアから雷撃を放ってきた。
 雷撃は地面を裂きながらニトロ・コマンダーへと突っ込んでくる!
 でも、ニトロ・コマンダーは素早くジャンク・シンクロンの背後に転がりこんで、雷撃を避けた。

「あれ?避けた!?」
《ニトロ・コマンダー》は自分のフィールド上に『シンクロン』と名の付くチューナーがいれば、フィールドを離れないんだ!」

【ニトロ・コマンダー】
 シンクロ・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1800/守1200
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 自分フィールド上に「シンクロン」と名の付くチューナーが
 表側表示で存在する限り、このカードはフィールドを離れない。
 ???

「むぅ〜残念。それなら《ガーディアン・シール》で《ジャンク・シンクロン》攻撃。



 ― 誠実の炎閃 ―



 ガーディアン・シールが投げつけた炎の矢がジャンク・シンクロンを焼き尽くした。
 なんか、ちょっと焦げ臭い。演出だったらリアル過ぎ…。

「これでニトロ・コマンダーを倒せる!エアトスでニトロ・コマンダーこうげk…。
「わわわっ、僕は罠カード《くず鉄のかかし》を発動。エアトスの攻撃は無効になるよ!」

 エアトスが攻撃の体勢に入る前にガラクタで作られたかかしが立ちふさがった。

「ぶーぶー。せめてエアトスが攻撃を放ってから使ってよ!」

 うぅ…。ルオがほっぺを膨らませながら怒った。
 気のせいかもしれないけど、エアトスの顔もふくれっ面になっているのような気が…。

 で、でもっ、焦ったんだよ!このまま攻撃が通ったら、僕のモンスターは全滅!もう、勝ち目が無くなっちゃうかもしれなかったんだ!

【くず鉄のかかし】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
 発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。

「むぅ、カードを1枚セットしてターンエンド!」

 ふぅ…どうにかこのターンは耐え切れた…。


ソウヤ先攻
ライフ2100
モンスター《ニトロ・コマンダー》(守:1200)
魔法・罠伏せカード1枚(くず鉄のかかし)
手札1枚
墓地4枚
除外1枚+《ドリル・ウォリアー》


ルオ後攻
ライフ4600
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・シール》
《ガーディアン・ロンギヌス》
《ガーディアン・エルマ》
(攻:2500)
(攻:1700)
(攻:2400)
(攻:1600)
魔法・罠《守護神の宝札》
《胡蝶の細剣−エルマ》
《ガーディアン・シールド》
伏せカード1枚

装備対象:《ガーディアン・エルマ》
装備対象:《ガーディアン・エルマ》

手札1枚
墓地2枚
除外0枚
























  第二十二話  ソウヤVSルオ 『A目覚めろ!ブレイヴ・ウォリアー』











「僕のターン、ドロー!スタンバイフェイズにドリル・ウォリアーが帰還、効果で墓地の《ダンディライオン》を手札に加える!

【ソウヤ】の手札:2→3枚
       墓地:4→3枚

 あ…、ニトロ・コマンダーの効果を使うのを忘れていた!
 ニトロ・コマンダーの2つ目の効果は相手のターンにしか使えないんだ!

【ニトロ・コマンダー】
 シンクロ・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1800/守1200
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 自分フィールド上に「シンクロン」と名の付くチューナーが
 表側表示で存在する限り、このカードはフィールドを離れない。
 相手のターンに一度、デッキから魔法・罠カードを1枚ずつ墓地に送り、
 自分の墓地から「シンクロン」と名の付くモンスター1枚を
 自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚したモンスターはスタンバイフェイズに手札に戻る。


 と、兎に角、今できる事をしないと。

「僕は《カードガンナー》を召喚デッキからカードを3枚墓地に送る事で《カードガンナー》の攻撃力は1500ポイントアップ!そして《ニトロ・コマンダー》を攻撃表示に変更!」

【カードガンナー】
 効果モンスター
 星3/地属性/機械族/攻 400/守 400
 1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動する。
 このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
 墓地へ送ったカードの枚数×500ポイントアップする。
 また、自分フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【ソウヤ】の墓地:3→6枚
《カードガンナー》の攻撃力:400→1900

「バトル!《カード・ガンナー》で《ガーディアン・エルマ》を攻撃!」

 カードガンナーの両手からミサイルが発射される。
 でも、エルマは装備していた《ガーディアン・シールド》を身代わりにして攻撃を防いだ!

【ガーディアン・シールド】(ディメストver)
 装備魔法
 装備モンスターの守備力は300ポイントアップする。
 自分フィールド上の「ガーディアン」と名の付くモンスターが
 戦闘・効果によって破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。

【ルオ】のライフ:4600→4300

《ガーディアン・シールド》、ガーディアンの身代わりになる!ダメージ受けちゃうけどね。
「あっ、そうだった…。でも、まだ僕の攻撃は終わってない!《ニトロ・コマンダー》で《ガーディアン・エルマ》を攻撃!」



 ― パワード・アサルト ―



 ダダダダダッ!

 ニトロ・コマンダーが手に持ったアサルトライフルを連射してガーディアン・エルマに向かって攻撃!
 だけど、エルマの姿が突然消えて、手に持っていた《胡蝶の細剣−エルマ》だけがフィールドに残りました。

《胡蝶の細剣−エルマ》は装備モンスター破壊される時、装備モンスターと一緒に手札に戻せる。…もちろん戦闘ダメージ受けちゃうけどね。

【胡蝶の細剣−エルマ】
 装備魔法
 このカードの名前は「蝶の短剣−エルマ」として扱う。
 このカードが手札から発動された時、自分のデッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・エルマ」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
 装備モンスターが戦闘によって破壊される時、
 このカードと装備モンスターを持ち主の手札に戻す事ができる。


【ルオ】のライフ:4300→4100
      手札:0→2枚

 うっ、このままじゃ次のターンもルオは《守護神の宝札》の効果でドローフェイズを2回できる。
 ルオのモンスターを墓地に送ればこのドローブーストは止められるのに…!

「まだだよ!《ドリル・ウォリアー》で《ガーディアン・シール》を攻g…。」
速攻魔法《緊急脱出装置》発動。《ガーディアン・シール》戻して1枚ドロー。

 ドリル・ウォリアーがもう一度ドリル・ランサーを放とうとした瞬間にガーディアン・シールはカタパルトに乗ってルオの手札に戻っていった。
 ルオのフィールドに残っているのは…。攻撃力2500の《ガーディアン・エアトス》だけ。これじゃ攻撃できない!

【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。

【ルオ】の手札:2→4枚

「でも…なんで攻撃する直前に発動しちゃうの…?」
「えへへ。前のターンのソウヤのマネ♪」

 あああぁぁぁぁぁ…………。ね、根に持ってる………。

「ぼ、僕は《ドリル・ウォリアー》の効果発動。手札を1枚捨ててドリル・ウォリアー自身を除外すr…。


 ズガアアアアンッッッ!!!


 うわああぁあぁぁっっ!!?!?
 僕がドリル・ウォリアーの効果で手札の《ダンディライオン》を捨てようとした瞬間、…雷がドリル・ウォリアーを貫いた!?

墓地の《ガーディアン・シールド》除外して、手札からカウンター罠発動。《守護神罰》。カードを破壊・墓地に送る・除外する効果の発動、無効にして破壊!あと、このカード墓地にモンスターがいない時、手札から発動できるよ!

 しまった!ドリル・ウォリアーの手札を捨てるのはコストじゃなくて効果なんだ!
 これじゃあ、手札のダンディライオンを捨ててトークンを召喚できない…!

【守護神罰】
 カウンター罠
 自分の墓地に存在する名前かテキストに
 「ガーディアン」と記載されたカード1枚を除外して発動する。
 カードを破壊・墓地に送る・除外する効果を持つ
 魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
 自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合、
 このカードは手札から発動できる。

「僕は……カードを1枚セットして…ターン、エンド…。」

《カードガンナー》の攻撃力:1900→400

 ダメだ。全然、状況を打開できない…。


ソウヤ先攻
ライフ2100
モンスター《ニトロ・コマンダー》
《カードガンナー》
(攻:1800)
(攻:400)
魔法・罠伏せカード2枚その内1枚は《くず鉄のかかし》
手札1枚(《ダンディライオン》)
墓地7枚
除外1枚

ルオ後攻
ライフ4100
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・ロンギヌス》
(攻:2500)
(攻:2400)
魔法・罠《守護神の宝札》
伏せカード1枚
手札3枚
《ガーディアン・シール》
《ガーディアン・エルマ》
《胡蝶の細剣−エルマ》
墓地4枚
除外1枚

「(ソウヤ…絶対調子悪いよね……。)わたしのターン。《守護神の宝札》の効果で2枚ドロー!」

【守護神の宝札】(ディメストver)
 永続魔法
 自分の手札がこのカードを除いて2枚以上存在する場合、発動できる。
 このカードの発動時、自分は手札を全て捨て、
 デッキからカードを2枚ドローする。
 墓地にモンスターが存在しないプレイヤーは
 ドローフェイズを2回続けて行なえる。

【ルオ】の手札:3→5枚


《万有引力の戦斧−グラール》発動!デッキから《ガーディアン・グラール》特殊召喚!

 ルオのフィールドに装飾が《重力の斧−グラール》に似たハルバード(槍と斧が合体した武器の事です。)が地面から現れました。
 ハルバードの力に導かれて爬虫類のような頭と足を持つ巨人が姿を現した。

【万有引力の戦斧−グラール】
 装備魔法
 ルール上、このカード名は「重力の斧−グラール」として扱う。
 手札からこのカードを発動した時、デッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・グラール」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 この効果を使用するターン、
 自分はこのカード以外のモンスターを特殊召喚する効果を発動できない。
 ???

【ガーディアン・グラール】
 効果モンスター
 星5/地属性/恐竜族/攻2500/守1000
 「重力の斧−グラール」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 手札にこのカード1枚しかない場合、手札からこのカードを特殊召喚する事ができる。

「それじゃあ、バトルフェイズ開始時、《ガーディアン・ロンギヌス》の効果でサイコロを一回振るよ!

 出た目は…6。それって連続攻撃!?

【ガーディアン・ロンギヌス】
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻2400/守800
 フィールド上に「勝利の神槍−ロンギヌス」が表側表示で存在しない場合、
 このカードが相手に与える戦闘ダメージは半分になる。
 自分のバトルフェイズ開始時に1度、サイコロを1回振り、
 出た目によってエンドフェイズまで以下の効果を適用する。
 ●1:このカードの攻撃力は600ポイントアップする。
 ●2・3・4・5:このカードの攻撃は無効になる。
 ●6:このカードは相手モンスターを2体まで攻撃できる。

「だけど、まずはデュエルを終わらせにいくよ。グラールで《カードガンナー》を攻撃!」



 ― 英断の斬撃 ―



 えっと…《カードガンナー》の攻撃力は400。グラールの攻撃力は2500。
 だから戦闘ダメージは2100…。僕のライフと一緒だ!

「と、トラップカード発動、《ガード・ブロック》!戦闘ダメージを0にしてカードを1枚ドロー!《カードガンナー》は破壊された時、カードを1枚ドローする。だから合計2枚ドロー!


 バキィッ!


 グラールの一撃でカードガンナーが真っ二つになった。
 その斬撃の勢いで武器が地面に思いっきり当たって砂ぼこりが舞い上る。
 ゲホッゴホッ!カード・ブロックの効果でダメージは0になったけど…、砂ぼこり(多分、ARビジョンの演出)がノドに…。

 ゴホッゴホッ!と、とにかく…どうにか負けないで済んだ………。
 だけど、ゴホッ……。いっその事、このまま負けた方が楽だったかも…………ってダメだ!シンマさんにメールで「明らかにわざと負けた試合は無効」って言われてたんだ!

【ガード・ブロック】
 通常罠
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【カードガンナー】
 効果モンスター
 星3/地属性/機械族/攻 400/守 400
 1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動する。
 このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
 墓地へ送ったカードの枚数×500ポイントアップする。
 また、自分フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【ソウヤ】の手札:1→3枚

「じゃあ、《ガーディアン・ロンギヌス》で《ニトロ・コマンダー》攻撃!」
「に、《ニトロ・コマンダー》効果発動。デッキから魔法・罠カードを1枚ずつ墓地に送って、墓地の「シンクロン」と名の付くモンスターを守備表示で復活させる!

 僕は蘇生対象を何にしようか迷った時、墓地に《ブレイヴ・シンクロン》を見つけた。
 ほとんど反射的に《ブレイヴ・シンクロン》を墓地から抜き出し、デュエルディスクに置いた。
 緊張で手がガクガク震えている。

【ニトロ・コマンダー】
 シンクロ・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1800/守1200
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 自分フィールド上に「シンクロン」と名の付くチューナーが
 表側表示で存在する限り、このカードはフィールドを離れない。
 相手のターンに一度、デッキから魔法・罠カードを1枚ずつ墓地に送り、
 自分の墓地から「シンクロン」と名の付くモンスター1枚を
 自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚したモンスターはスタンバイフェイズに手札に戻る。

【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。

「おい、ソーヤ!さっきから全ッ然、デュエルのキレが悪いじゃねーか!」
「ご……ごめん…。大勢の人が見ている所でのデュエルは…。」
「苦手でもなんでも、言い訳になんねーよ!それじゃあシンマが出した課題をクリアしても、お前のねーちゃんにガツンとなんて言える訳ねーだろ!!!」
「う………うん…。ホントに…ごめん。」

 うぅぅ……。やっぱり、無理だったんだ…。

「ソウヤっ!!!緊張してるの分かってるけど、君、諦めてるようにも見えるよ!!!!デュエルまだ終盤にも差し掛かって無いのに諦めちゃ、絶・対・に・ダメっ!!!!!!!」

 うわああっっ!
 き、急にルオが怒鳴りだした。

「すぐに諦めちゃおうとすると、デュエルでもそれ以外の事も、なーーんにも上手くいかないよ!!!!!」
「わ、わかったよ…!分かったからそんな大声で怒らないでよ!」

 ふぅ…、怖かった…。

「(……でも「諦めるな」って言われても、少年漫画じゃあるまいし…。)」
「聞こえたぞ〜!少年漫画じゃなくても、お前は諦めが早すぎるっつーの!」

 う…そうかもしれないけど…。

「ぜーんぜん努力もしないのに諦めるってズルイだろ!?少年漫画で『諦めるな』って言われるキャラって意外に元々諦めないで頑張っていた奴が多いぜ。頑張って痛い目に遭って疲れ果てたからそいつは諦めたんだろ?でもお前ぜーんぜん痛い目に遭ってないし大して疲れてるわけでも無いじゃん!」
「いや…デュエルとかで痛い目に遭うのはちょっと異常じゃない…?」
「いーわけすんな!屁理屈ゆーな!お前さ、ルオの言うとーり普段から痛い目に遭いたくないからなにもしないって事多いじゃん!今回の『お前のねーちゃんにガツンと言う』って事だって、始めはシンマに頼りきりだったじゃん!!!」

 そ、そうだけど…。

「ソウヤ!シンマさん、ソウヤがアイナにガツンと言うなら手伝うって言ってた。「ソウヤが中々本題に入れなくても怒らないようにアイナに言っておく」って言ってたよ。」

 あ、そういえば、そうだった…。シンマさん、もうその事姉さんに伝えたのかな…?
 そういえばリヒターさんも「手伝う」って言ってくれた…。

「でも、ソウヤ。「手伝う」って事、結局、ソウヤ何もする気がないなら何もしてくれない…と言うより、したくても出来ないって事だよ。」

 そう…だね。
 ルオもシンマさんもリヒターさんも「手伝う」って言ってくれたのに僕だけがなにもしないのは失礼だ…よね。
 う〜ん……。自分で考えといてなんだけど、「3人に失礼だから頑張る」ってどうかと思うなぁ…。


 けど…うん。やっぱり失礼なのは失礼なんだからこんな理由でも頑張ってみるよ!

「……で…も。やっぱり、緊張するぅぅぅ………。」
「じゃ、観客が誰もいないと思えば良いんじゃね?」
「え?」
「だってさー、ARビジョンがあるんだからさー、机とかでデュエルするよりも観客が目に留まり辛いだろ?それに演出の効果音。風の音とか武器や魔法がぶつかる音とかを注意してみろよ。」
「『デュエルを見ている人以外に気を向けろ』って事…?」
「そうそう!お前、ライディング・デュエルじゃ観客多くても平気だったじゃん!」
「あれは…デュエルボードの操縦とデュエル自体に気を配るので手一杯だったんだ!デュエルが終わった後、風の感触や風景すら全然覚えてなかったもん!」
「そう、それ!アイナに面と向かってガツンと言うのと周りを気にしないのとじゃ、ちょっとちげーかもしんねーけど、まず度胸をつけるならそこから始めろっての!」

 ちょっとどころじゃない気がするんだけど…うん。まずはここから始めよう。
 『ここから始めるんだ』って言うと凄く聞こえが良いけど、『度胸を付ける為に』って最初に付けると台無しだよね…。
 あっ、そんな事よりルオ、自分のターンなのにずっと待ってくれてたんだ!
 えーっと、まずはARヴィジョンとデュエルに集中する…だよね!

「ごめん、ルオ!待たせちゃった?」
「すっごーーーく待ったよ!1ターンの制限時間オーバーしちゃったよ!DATで先生にメール送って、特別に試合、一時中断させてもらったくらいだもん!」

 え、えええ……。ぼ、僕って、そんなに長い時間、考えにふけってたの…?も、もしかしたら先生に怒られるかも…。
 僕が試合が終わった後に、先生に叱られる絵図を想像していたら、ルオがちょっと笑った

「冗談だよ♪大体1分くらいだった。」

 ルオ、酷い。(ToT)

「それじゃあいくよ!《ニトロ・コマンダー》はシンクロンいるとフィールド離れない。だからまずは《ガーディアン・ロンギヌス》で《ブレイヴ・シンクロン》攻撃!」
「くっ、罠カード発動、《くず鉄のかかし》!《ガーディアン・ロンギヌス》の攻撃は無効!

【くず鉄のかかし】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
 発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。

「だけど、《ガーディアン・ロンギヌス》バトルフェイズ開始時に6の目が出たからモンスター2体攻撃できるよ!ロンギヌスでニトロ・コマンダーに2回目の攻撃!



 ― 革命の投撃 ―



 ロンギヌスは身に着けている重そうな鎧をものともせずに大きく跳躍しました。
 光を失っている筈のロンギヌスの目。でも、構えたその槍には確かにニトロ・コマンダーの姿が映っていた。
 そのままロンギヌスは手に持った槍をもの凄い速さで投げてきた!

 キィンッ!

 ニトロ・コマンダーは手に持ったアサルトライフルで飛んできた槍を受け流す。
 でも、槍の勢いは完全には殺せなかったみたい………って、うわああああっっっっ!!!僕の方に飛んできた!!!!!


 ズドォンッッ!!!


「わああっっっっ!!!!」

 イタタ……尻餅突いちゃった……ゴホッゴホッ!うぅ…おまけにまた砂ぼこり吸い込んじゃったよ…ゴホッ!

【ソウヤ】のライフ:2100→1800
(《ガーディアン・ロンギヌス》のデメリットでダメージ半分)


「続けてエアトスでニトロ・コマンダー攻撃!」




 ― 精霊のオペラ ―





「ル〜ルル〜。ル〜ル〜、ラ〜ララ〜。」


 キィィィィィン!!!!!



 ビュオオオオッッ!!!



 エアトスが呪歌を歌い上げると共にもの凄い風が襲い掛かった。
 ニトロ・コマンダーは自衛隊が使うような盾を構えてその風を耐えようとする。
 だけど耐え切れずに吹き飛んだ。…………って、また僕の方に飛んできたあああああっっっっ!!!!

 ドンッ!

 アイタタタ……。吹き飛ばされたニトロコ・マンダーが僕にぶつかった。
 う〜、頭の周りに星が見える〜〜〜。
 おまけに、エアトスの呪歌にまた超音波が含まれてたみたい。頭がキーンとする…。

【ソウヤ】1800→1100

「それじゃ、カード1枚セットしてターンエンド!」

 なんだろう。ルオの表情がさっきよりも明るくなったような気がする…。でも、ひょっとしたら「気がする」だけで最初からルオはこんな明るい表情でデュエルを楽しんでいたのかもしれない。ただ単に僕がガッチガチに緊張してたから分からなかったのかなぁ?

 僕がそんな事を考えているとルオは僕の方を見てニッと笑った。
 え、あ、そ、そういえば僕のターンだ。


ソウヤ先攻
ライフ1100
モンスター《ニトロ・コマンダー》
《ブレイヴ・シンクロン》
(守:1200)
(守:1800)
魔法・罠伏せカード1枚《くず鉄のかかし》
手札3枚1枚は《ダンディライオン》
墓地11枚
除外1枚

ルオ後攻
ライフ4100
モンスター《ガーディアン・エアトス》(攻:2500)
《ガーディアン・ロンギヌス》(攻:2400)
《ガーディアン・グラール》(攻:2500)
魔法・罠《守護神の宝札》
《万有引力の戦斧−グラール》
伏せカード1枚
手札3枚
《ガーディアン・シール》
《ガーディアン・エルマ》
《胡蝶の細剣−エルマ》
墓地4枚
除外1枚


「僕のターン。ドロー。スタンバイフェイズに《ニトロ・コマンダー》の効果で特殊召喚した《ブレイヴ・シンクロン》は手札に戻るよ。

【ソウヤ】の手札:4→5枚

 もし、次のターン、ルオが《ガーディアン・サモナー》や《アームズ・ホール》のようなカードを使って《彗星の弩弓−シール》を回収したら、次の僕のターン、もう何も出来ない状態になる確率が高い。
 でも、今は危ない賭けだけどフィールドと手札の状況を整える。

「僕は《ブレイヴ・シンクロン》を守備表示で召喚《ニトロ・コマンダー》も守備表示に変更。カードを3枚セットしてターンエンドだよ。」


ソウヤ先攻
ライフ1100
モンスター《ニトロ・コマンダー》
《ブレイヴ・シンクロン》
(守:1200)
(守:1800)
魔法・罠伏せカード4枚《くず鉄のかかし》1枚・不明3枚
手札1枚(《ダンディライオン》)
墓地11枚
除外1枚

ルオ後攻
ライフ4100
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・ロンギヌス》
《ガーディアン・グラール》
(攻:2500)
(攻:2400)
(攻:2500)
魔法・罠《守護神の宝札》
《万有引力の戦斧−グラール》
伏せカード1枚
手札3枚
《ガーディアン・シール》
《ガーディアン・エルマ》
《胡蝶の細剣−エルマ》
墓地4枚
除外1枚


「わたしのターン、《守護神の宝札》の効果で2回ドローフェイズするよ。

【守護神の宝札】(ディメストver)
 永続魔法
 自分の手札がこのカードを除いて2枚以上存在する場合、発動できる。
 このカードの発動時、自分は手札を全て捨て、
 デッキからカードを2枚ドローする。
 墓地にモンスターが存在しないプレイヤーは
 ドローフェイズを2回続けて行なえる。

【ルオ】の手札:3→5枚

「むぅ。わたしのデッキ、確かにモンスター少ないけど…。とりあえず《カードトレーダー》を発動!

 ルオのフィールドにへんてこな仮面を被った手品師のような格好をした怪しい〜感じのオジサンが現れました。
 ルオ。デュエルならともかく、リアルでこんな格好のオジサンについていっちゃダメだよ。

【カードトレーダー】
 永続魔法
 自分のスタンバイフェイズ時に手札を1枚デッキに戻す事で、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「そして《勝利の神槍−ロンギヌス》を《ガーディアン・ロンギヌス》に装備!ロンギヌスは攻撃力200ポイントアップと貫通効果得るよ!」

 ロンギヌス専用の装備魔法……。そういえばロンギヌスって他のガーディアンと違ってエアトスのように召喚に専用の装備魔法を必要としてないよね…。

 ロンギヌスのすぐ隣に十字架にかけられた聖人の石像が地面から出てきました。
 聖人の脇腹にあたる部分には長い槍が突き刺さっている。
 ロンギヌスが槍を引き抜くと石像は音を立てて崩れた。
 槍の先端は綺麗な飾りが施されていて、鮮やかな真紅の色。柄の部分は深い青色で金色の装飾が螺旋状に巻きついている。
 歴戦の戦士のように荒廃した雰囲気のロンギヌスと比べて、槍のデザインは対照的に華やかでした。

【勝利の神槍−ロンギヌス】
 装備魔法
 装備モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。
 装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 ???

《ガーディアン・ロンギヌス》の攻撃力:2400→2600

 ロンギヌスが槍を大きく掲げた瞬間、槍から赤い光が溢れ出てきた。
 光はまるで血のようにロンギヌスの腕を伝っていきロンギヌスの目元へと流れ込んでいきました。
 赤い光が消えると、ロンギヌスは目元に巻いた白い包帯を外して目を開いた。
 一瞬、その目に光が全くないように見えたけど、ロンギヌスが包帯を投げ捨てた瞬間、目に光が戻っていきました。

「バトル!《ガーディアン・ロンギヌス》で《ブレイヴ・シンクロン》攻撃!」

 出た目は1。攻撃力600ポイントアップ…。攻撃力3200じゃないか!
 この攻撃が通ると僕のライフは残り400…。
 いや、ロンギヌスの戦闘ダメージを半分にする効果は《勝利の神槍−ロンギヌス》が無い時だけ。
 だから僕のライフは…0になる!

【ガーディアン・ロンギヌス】
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻2400/守 800
 フィールド上に「勝利の神槍−ロンギヌス」が表側表示で存在しない場合、
 このカードが相手に与える戦闘ダメージは半分になる。
 自分のバトルフェイズ開始時に1度、サイコロを1回振り、
 出た目によってエンドフェイズまで以下の効果を適用する。
 ●1:このカードの攻撃力は600ポイントアップする。
 ●2・3・4・5:このカードの攻撃は無効になる。
 ●6:このカードは相手モンスターを2体まで攻撃できる。

《ガーディアン・ロンギヌス》の攻撃力:2600→3200

 ロンギヌスは神槍を構えてブレイヴ・シンクロンの真上へ大きくジャンプ。



 ― 革命の瞬突 ―



 ロンギヌスが神槍を勢いよく投げた。神槍は隕石のように上空から降ってきた!!!

「トラップカード発動、《くず鉄のかかし》!ロンギヌスの攻撃を無効n……。」


 ズシャッ!!!


 く…くず鉄のかかしを貫通した!!?

【勝利の神槍−ロンギヌス】
 装備魔法
 装備モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。
 装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 このカードを装備した
 「ガーディアン・ロンギヌス」の攻撃は無効にされない。




 ドガアアアンッッッ!!!!



 神槍が地面に激突!砂煙でよく見えないけど、地面が抉れてクレーターのようになっているのが少しだけ見えた。

「うげーっ。オイラ、また墓地送りかよ!ソーヤ、こんなところでへばってるんじゃねぇぞ!」

 砂煙の中からブレイヴ・シンクロンの声が聞こえた。
 そうだ、まだ《くず鉄のかかし》以外に防御カードを伏せているんだ!
 僕はすぐに伏せカードを表にした。2枚目の《ガード・ブロック》だ。
 《ガード・ブロック》を表にして少しすると砂煙が晴れた。

「あっ、2枚目の《ガード・ブロック》?」
「うん。ダメージを0にしてデッキからカードを1枚ドローするよ。

 あっ!このカードなら逆転の布石になるかも…!

【ガード・ブロック】
 通常罠
 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【ソウヤ】の手札:1枚→2枚

「う〜ん。《ブレイヴ・シンクロン》倒したけど、ソウヤどうせ《ニトロ・コマンダー》の効果で復活させちゃうよね。」
「どうだろ。案外そうじゃないかもよ?」
「む、何それ?だったら行くよ!《ガーディアン・グラール》で《ニトロ・コマンダー》攻撃!英断の…。」
「うわわっ、本当に攻撃してきた!《ニトロ・コマンダー》の効果発動!デッキから魔法・罠カードを1枚づつ墓地に送って墓地の《ブレイヴ・シンクロン》を特殊召喚!

 ニトロ・コマンダーが無線で通信すると空から軍事用っぽいデザインのヘリが来た。
 ヘリに吊るしてあるボックスが地面に置かれると中からブレイヴ・シンクロンが出てきた。

【ソウヤ】の墓地:12→13枚

「あーあ、さっきから手札・フィールド・墓地を行ったり来たり。それにまたシンクロ素材になるんだろ?オイラ、過労死しちまいそうだぜ。」

 それはさっきまで《ダンディライオン》を回収し続けた《ドリル・ウォリアー》か、ずっとシンクロ素材になり続けてる《ニトロ・シンクロン》に言う事でしょ!?

,
【ニトロ・コマンダー】
 シンクロ・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1800/守1200
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 自分フィールド上に「シンクロン」と名の付くチューナーが
 表側表示で存在する限り、このカードはフィールドを離れない。
 相手のターンに一度、デッキから魔法・罠カードを1枚ずつ墓地に送り、
 自分の墓地から「シンクロン」と名の付くモンスター1枚を
 自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。
 この効果で特殊召喚したモンスターはスタンバイフェイズに手札に戻る。

【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。

「あ、やっぱ召喚した。む〜、それじゃあターンエンド。」

 トホホ…。
 本当は次のターンに伏せカードでブレイヴ・シンクロンを蘇生させてシンクロ素材にするつもりだったのに、僕の余計な一言で……。
 《ニトロ・コマンダー》の効果で特殊召喚されたモンスターはスタンバイフェイズに手札に戻るんだ。
 でも、流れがだんだんと僕の方に向かってる気がする。


ソウヤ先攻
ライフ1100
モンスター《ニトロ・コマンダー》
《ブレイヴ・シンクロン》
(守:1200)
(守:1800)
魔法・罠伏せカード3枚
手札2枚《ダンディライオン》1枚・不明1枚
墓地13枚
除外1枚

ルオ後攻
ライフ4100
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・ロンギヌス》
《ガーディアン・グラール》
(攻:2500)
(攻:2400)
(攻:2500)
魔法・罠《守護神の宝札》
《万有引力の戦斧−グラール》
《勝利の神槍−ロンギヌス》
《カードトレーダー》
伏せカード1枚
 
(装備対象:《ガーディアン・グラール》)
(装備対象:《ガーディアン・ロンギヌス》)
 
 
手札3枚
《ガーディアン・シール》
《ガーディアン・エルマ》
《胡蝶の細剣−エルマ》
墓地4枚
除外1枚

「僕のターン、ドロー!スタンバイフェイズにニトロ・コマンダーの効果で特殊召喚されたブレイヴ・シンクロンは手札に戻るよ。

【ソウヤ】の手札:3→4枚

罠カード発動、《エンジェル・リフト》。このカードはレベル2以下のモンスターを墓地から特殊召喚できるよ。僕は墓地から《チューニング・サポーター》を特殊召喚!

 頭に中華なべのようなものが付いた機械モンスターが天使達に吊り上げられてきた。

【エンジェル・リフト】
 永続罠
 自分の墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。

【チューニング・サポーター】
 効果モンスター
 星1/光属性/機械族/攻 100/守 300
 このカードをシンクロ召喚に使用する場合、
 このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
 このカードがシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分はデッキからカードを1枚ドローする。

「そして手札から《機械複製術》発動!僕のフィールドの攻撃力500以下の機械族モンスターの同名カードをデッキから2体まで特殊召喚できる!

 チューニング・サポーター達が続けざまに現れた。

【機械複製術】
 通常魔法
 自分フィールド上に表側表示で存在する
 攻撃力500以下の機械族モンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターと同名モンスターを2体まで自分のデッキから特殊召喚する。

「まだだよ!少し勿体無い気はするけど、《ニトロ・コマンダー》をリリースして《サルベージ・ウォリアー》を召喚!サルベージ・ウォリアーはアドバンス召喚に成功すると手札または墓地からチューナーモンスターを1体特殊召喚できる!僕は墓地の《ニトロ・シンクロン》を特殊召喚!

 僕のフィールドに青い肌の、太った…じゃ失礼だから、えっと…ふくよか?な体系をした海難救助隊のようなモンスターが現れた。
 サルベージ・ウォリアーは何処からともなく現れた水面に一旦潜って行き、海中から《ニトロ・シンクロン》を引き上げてきた。

【サルベージ・ウォリアー】
 効果モンスター
 星5/水属性/戦士族/攻1900/守1600
 このカードがアドバンス召喚に成功した時、
 手札または自分の墓地からチューナー1体を特殊召喚する事ができる。

【ニトロ・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/炎属性/機械族/攻 300/守 100
 このカードが「ニトロ」と名のついたシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 これで僕のフィールドは《チューニング・サポーター》が3体に《サルベージ・ウォリアー》と《ニトロ・シンクロン》で埋まった。
 《チューニング・サポーター》はシンクロ素材になる時、レベルを2にする事ができる効果を持ってるから、この状況で出せるシンクロモンスターはレベル3〜12!シンクロ素材に指定のあるモンスターを除けば、ほぼ全部だ!

 えっと、チューニング・サポーターの効果を全部使えばニトロ・シンクロンとチューニングしてレベル8になるよね。



 ………。




 ……………………。



 あー、言いたいっっ!!!



『集いし願いが新たに輝く星となる。


 光さす道となれ!!!


 シンクロ召喚!!!!!


 飛翔せよ!【スターダスト・ドラゴン】!!!!!』




 ………って、すうううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっごく言いたい!!!!
 なんで《スターダスト・ドラゴン》って世界に1枚しかないんだろ!!?レプリカも存在しないんだよ!!!!!
 レプリカで良いから欲しいっ!!!何処かの大会の景品に無いかな?《スターダスト・ドラゴン》のレプリカ!!!!!


「ふふっ。ねぇ、ソウヤ。ひょっとして『《スターダスト・ドラゴン》が出したい〜〜〜!』って思ってる?」
「えええ!!?な、なんで分かったの!!!!?」
「ソウヤ顔に出てるよ。こーんな感じに。」

 あ、ルオの表情見て納得。

 って、そ、それよりも、何しようとしたんだっけ。え〜っと…。あ、そうだ《ニトロ・ウォリアー》か《ニトロ・ランサー》のどっちを出すかだった!
 この状況は………。もう一度、《ニトロ・ランサー》だ!

《チューニング・サポーター》の効果を1体だけ発動!シンクロ素材になる時、レベルを2にできるレベル1の《チューニング・サポーター》2体レベル2になった《チューニング・サポーター》レベル2の《ニトロ・シンクロン》をチューニング!」


『集いし志は勝機を示す槍となる。

 光さす道となれ!!!

 シンクロ召喚!!!!!

 なぎ払え!【ニトロ・ランサー】!!!!!』


「シンクロ素材になった《ニトロ・シンクロン》《チューニング・サポーター》の効果でデッキからカードを合計4枚ドロー!」

【チューニング・サポーター】
 効果モンスター
 星1/光属性/機械族/攻 100/守 300
 このカードをシンクロ召喚に使用する場合、
 このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
 このカードがシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分はデッキからカードを1枚ドローする。

【ニトロ・シンクロン】
 チューナー(効果モンスター)
 星2/炎属性/機械族/攻 300/守 100
 このカードが「ニトロ」と名のついたシンクロモンスターの
 シンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【ソウヤ】の手札:2→6枚

 あっ!ドローしたカードの中に、こんなカードが入ってた!

《シンクロキャンセル》

 やった!きっと流れは確実に僕の方に向いているよ!

「魔法カード《シンクロキャンセル》発動。シンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻してシンクロ素材となったモンスター達を特殊召喚するよ。対象は勿論、《ニトロ・ランサー》!そのままレベル1の《チューニング・サポーター》2体レベル2になった《チューニング・サポーター》レベル2の《ニトロ・シンクロン》を再度チューニング!!!」

【シンクロキャンセル】
 通常魔法
 フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻す。
 さらに、エクストラデッキに戻したこのモンスターのシンクロ召喚に使用した
 モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、
 この一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。





『集いし志は勝機を示す槍となる。


 光さす道となれ!


 再度デュアル・シンクロ召喚!!!


 なぎ払え!【ニトロ・ランサー】!!!!!』






【ニトロ・ランサー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/戦士族/攻2500/守1300
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 各ターンのバトルフェズ時に1度、自分の手札または墓地の魔法カード1枚を
 ゲームから除外することでモンスターの破壊を無効する。
 このカードが攻撃を行ったモンスターをダメージステップ終了時に表示形式を変更し、
 もう一度続けてそのモンスターに攻撃できる。



 僕のフィールドにもう一度、歪な大槍を持った鬼のような姿のウォリアーが現れた。
 デュエルの最初で無計画に召喚しちゃってゴメン。でも、今度こそバッチリ決めるよ!

「《ニトロ・シンクロン》と《チューニング・サポーター》の効果で、もう一度合計4枚ドロー!」

【ソウヤ】の手札:5枚→9枚

 僕の手札は初期手札の倍近くまで膨れ上がりました。
 お陰でそろそろデッキ切れも見え始めてきたなぁ…。
 だって、今の僕の手札は僕のデッキの残りより多少、少ない位なんだもん。
 ただ…、ドローしたのがモンスターだらけなのはちょっと痛いかも…。

「僕は《サルベージ・ウォリアー》のレベルを一つ下げて墓地から《レベル・スティーラー》を特殊召喚!そして《サルベージ・ウォリアー》手札に戻して速攻魔法《緊急脱出装置》発動!《緊急脱出装置》の効果で《レベル・スティーラー》をリリースして再び《サルベージ・ウォリアー》をアドバンス召喚。《サルベージ・ウォリアー》の効果、《サルベージ・ウォリアー》がアドバンス召喚された事で手札から《ブレイヴ・シンクロン》を特殊召喚!さらにさらに、《サルベージ・ウォリアー》のレベルを1つ下げて《レベル・スティーラー》復活!

 僕のフィールドの状況が目まぐるしく変わっていく。

【レベル・スティーラー】
 効果モンスター
 星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
 このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル5以上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
 このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

【緊急脱出装置】
 速攻魔法
 自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻し、
 以下の効果の内1つを選択して発動する。
 ●手札のモンスター1体を通常召喚する。
 ●デッキからカードを1枚ドローする。

【サルベージ・ウォリアー】
 効果モンスター
 星5/水属性/戦士族/攻1900/守1600
 このカードがアドバンス召喚に成功した時、
 手札または自分の墓地からチューナー1体を特殊召喚する事ができる。

【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。

ソウヤ先攻
ライフ1100
モンスター《ニトロ・ランサーー》
《ブレイヴ・シンクロン》
《サルベージ・ウォリアー》
《レベル・スティーラー》
(攻:2500)
(攻:1300)
(攻:1900)
(攻:600)
魔法・罠伏せカード2枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明1枚)
手札8枚(《ダンディライオン》1枚・不明7枚)
墓地20枚
除外1枚

「ソーヤ!この状況って事は、本格的にオイラの出番か!」

 うん、僕のフィールドにはレベル4の《サルベージ・ウォリアー》レベル1の《レベル・スティーラー》とレベル4の《ブレイヴ・シンクロン》。
 これで《ブレイヴ・ウォリアー》の召喚条件が整ったんだ!

レベル4《サルベージ・ウォリアー》レベル1の《レベル・スティーラー》レベル4の《ブレイヴ・シンクロン》をチューニング!!!」













『集いし思いの欠片が湧き上がる勇気になる。


 光さす道となれ!


 シンクロ召喚!!!


 目覚めろ!【ブレイヴ・ウォリアー】!!!!!』













 「ウオオオオオオオッッッッ!!!!!!!」








 地面に亀裂が走り、そこから膨大な量の水が吹き出てきた。
 水は一点に集まって、竜巻のような渦がデュエルドームの天井にまで行き届きました。
 天井に跳ね返された水の粒が僕に降ってきた。ドームの照明を反射した水は、まるで光の雪のようです。

 やがて、水の竜巻が消えると渦の中心だった所には一体のウォリアーが立っていた。
 海のように青い装束を着ていて、その上には鋼の胸当てや肩当て、ガントレットが付けられている。
 その防具は機械仕掛けなのか所々に黄色い光が走っている。
 ウォリアーの髪の色は深海のように深い紺色をしている。
 全体的なシルエットは他の【シンクロン】系のシンクロモンスターと違って、シンクロ元の《ブレイヴ・シンクロン》の面影を多く残している。けど、顔は鋭い目つきと余裕のある大人びた表情に変わっていた。

 ブレイヴ・ウォリアー。僕のエースモンスターです。

【ブレイヴ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星9/水属性/戦士族/攻2300/守3800
 「ブレイヴ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター2体以上
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 1ターンに1度だけフィールドを離れない。
 自分のモンスターが自身より攻撃力の高いモンスターと戦闘を行う場合、
 エンドフェイズまで、そのモンスターの攻撃力・守備力は
 このカードの守備力の数値分アップする。
 この効果は往復1ターンに1度だけ発動できる。


《ブレイヴ・シンクロン》の効果。《ブレイヴ・ウォリアー》のシンクロ素材になったチューナー以外のモンスターを墓地に送る代わりに手札に戻せるよ!僕は《サルベージ・ウォリアー》を手札に戻す!

【ブレイヴ・シンクロン】
 チューナー・効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1300/守1800
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードはレベル5以上のモンスターによって破壊されない。
 このカードは「ブレイヴ・ウォリアー」のシンクロ素材となった場合、
 シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターを墓地に送らず
 自分の手札に戻すことができる。


【ソウヤ】の手札:8→9枚


「バトルだ!まずはニトロ・ランサーでロンギヌスに攻撃!」
「ソウヤ!わたし、ニトロ・ランサーの効果 ブレイヴ・ウォリアーの効果 両方知ってるよ!だからその攻撃は通させない!《万有引力の戦斧−グラール》効果発動!1ターンに1度、相手モンスター1体の効果と攻撃対象、自由に選べるよ!《ブレイヴ・ウォリアー》一番最初にグラールへ攻撃してね!

 うっ、そんな効果が…。やっぱり、一撃では倒させてくれないか…。
 グラールの持つ戦斧から放たれた引力がブレイヴ・ウォリアーを引き寄せた。

【万有引力の戦斧−グラール】
 装備魔法
 ルール上、このカード名は「重力の斧−グラール」として扱う。
 手札からこのカードを発動した時、デッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・グラール」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 この効果を使用するターン、
 自分はこのカード以外のモンスターを特殊召喚する効果を発動できない。
 相手のターンに一度、相手のモンスター1体を選択できる。
 このターン、選択したモンスターは1番最初に攻撃しなければならず、
 攻撃・効果の対象はこのカードのコントローラーが決める。
 また、そのモンスターはこのターンの
 ダメージ計算時に攻撃力・守備力が半分になる。


「でも、ブレイヴ・ウォリアーには自分のモンスターを強化させる効果があるよ!ブレイヴ・ウォリアーの効果発動!自分モンスターが自分より攻撃力の高いモンスターと戦闘する時、攻撃力・守備力をブレイヴ・ウォリアーの守備力分アップする!!!

【ブレイヴ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星9/水属性/戦士族/攻2300/守3800
 「ブレイヴ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター2体以上
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードは1ターンに1度だけフィールドを離れない。
 自分のモンスターが戦闘を行う時、
 そのモンスターの攻撃力が戦闘するモンスターよりも低い場合、
 ダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力・守備力は
 このカードの守備力の数値分アップする。
 この効果は往復1ターンに1度だけ発動できる。


《ブレイヴ・ウォリアー》の攻撃力:2300→6100

「さらに、万有引力の戦斧の効果!選択したモンスター、ダメージ計算時に攻撃力・守備力半分になる!

 グラールが戦斧を地面に突き立てると巨大な重力が発生しました。
 それでも、ブレイヴ・ウォリアーの攻撃の勢いは完全には相殺できない!

《ブレイヴ・ウォリアー》の攻撃力:6100→3050










 ― ウェイブ・スマッシャー ―










 ズオオオオオッッッッ!!!!!





 ブレイヴ・ウォリアーが念力を使って辺りの水を集めて津波を起こす。
 津波の勢いに乗ってブレイヴ・ウォリアーがグラールに強力な拳撃を放った!

 グラールはブレイヴ・ウォリアーに吹っ飛ばされた直後に津波に飲み込まれていきました。

「うわぅっ!冷たいっ!!!」

【ルオ】のライフ:4100→3550

「ニトロ・ランサー!今度こそ、ロンギヌスに攻撃だ!!!」



 ― ダイナミック・ワイパー ―



 ガキィンッ!



 ギチギチギチギチ…!


 ニトロ・ランサーの斧のような形の槍とロンギヌスの神槍がぶつかり合って、つばぜり合いのようになる。

「ロンギヌスの方が攻撃力100だけ高いよ!ニトロ・ランサーが自分の効果で破壊されなくても100ポイントだけソウヤにダメージ!」

 ルオの言うとおり、ニトロ・ランサーの攻撃力は2500。ロンギヌスの攻撃力は《勝利の神槍−ロンギヌス》の効果で2600。
 確かに100ポイントだけだけど、僕はダメージを受ける。
 でも、ニトロ・ランサーは破壊されない!

ニトロ・ランサーの効果発動!墓地の魔法カード1枚を除外してモンスターの破壊を無効にするよ!

 僕はそう言って、墓地のカードを確認しました。墓地のカードは21枚。
 ニトロ・コマンダーの効果で魔法・罠は2枚ずつ墓地に送ったからコストには事欠かない。
 モンスターは10枚、魔法は5枚、罠は6枚。
 僕のデッキに墓地の魔法カードを再利用する手段は無いから何でも良いかな…。と思っていたら僕は墓地にあるカードを見つけた…。

 《光の護封剣》

 ………。
 あああ〜〜〜〜。きっと、ニトロ・コマンダーの効果でデッキから魔法カードを墓地に送る時に間違えて送っちゃったんだ…。このデュエル中墓地を確認するたびにこのカードを見るのは嫌だ〜〜〜!
 僕はすぐに《光の護封剣》を除外しました。

【ニトロ・ランサー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/戦士族/攻2500/守1300
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 各ターンのバトルフェズ時に1度、自分の手札または墓地の魔法カード1枚を
 ゲームから除外することでモンスターの破壊を無効する。
 このカードが攻撃を行ったモンスターをダメージステップ終了時に表示形式を変更し、
 もう一度続けてそのモンスターに攻撃できる。

 ニトロ・ランサーとガーディアン・ロンギヌスの長いつばぜり合いはロンギヌスがニトロ・ランサーを弾き飛ばす形で決着しました。
 しかし、ニトロ・ランサーは弾き飛ばされる直前にロンギヌスの足を狙って槍を振り切った。
 足を攻撃されたロンギヌスは体勢を崩してしまう。

【ソウヤ】のライフ:1100→1000
       墓地:21→20枚
    除外ゾーン:1→2枚

《ガーディアン・ロンギヌス》:攻撃表示・攻:2600→守備表示・守:800

《ニトロ・ランサー》第3の効果!ニトロ・ランサーは攻撃を行なったモンスターの表示形式を変えて、もう一度追撃できるんだ!

【ニトロ・ランサー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/戦士族/攻2500/守1300
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 各ターンのバトルフェズ時に1度、自分の手札または墓地の魔法カード1枚を
 ゲームから除外することでモンスターの破壊を無効する。
 このカードが攻撃を行ったモンスターをダメージステップ終了時に表示形式を変更し、
 もう一度続けてそのモンスターに攻撃できる。

 ロンギヌスに吹き飛ばされたニトロ・ランサーはデュエル場の壁を蹴ってロンギヌスの真上の天井へジャンプした。
 ニトロ・ランサーはもう一度、天井を蹴ってロンギヌスに向かって大槍を突き立てた。







 ― ディストピア・ランシーズ ―








 ドガガガガッッッ!!!



 ニトロ・ランサーの歪な大槍はロンギヌスの調度、腹部辺りに当たったと思う。
 もの凄い勢いで激突したから、あたりに粉塵が舞い上がり、周囲の地面が針のような形に裂けてギザギザの山のような形になったからよく分からない。
 砂煙が晴れた時、モンスターが破壊された時の演出のように光の粉が舞い上がり、激突地点にはニトロ・ランサーだけが立っていた。
 ニトロ・ランサーが持つ大槍は斧のようにも見える歪な形をしています。
 だから槍の突き刺さった地面の形は『貫いた』というよりも『叩き割った』と表現したほうが良いかもしれない。

【ルオ】のライフ:3550→1850

 よしっ!ルオに大ダメージだ!

「むぅっ…!今のは効いたよ…。ソウヤ、調子戻ったみたいだね。」
「うん、ルオとブレイヴ・シンクロンのお陰でね。」
「ようやく、キレが戻って来たな。ソウヤ、この調子で行くぞ!」
「ブレイヴ・シンクロン、ブレイヴ・ウォリアーになると口調ちょっと変わるんだね。」
「うん、一応ね。僕はカードを1枚セット!《ブレイヴ・ウォリアー》のレベルを1つ下げる事で、墓地の《レベル・スティーラー》を特殊召喚。さらにエンドフェイズに手札制限で《ダンディライオン》を墓地に捨てるよ。これによって、《ダンディライオン》の効果発動。《綿毛トークン》が2体特殊召喚される。
「それじゃあ、わたしもエンドフェイズに《守護神の転生》発動。墓地のガーディアン、全部デッキに戻して1200ポイント回復。さらに次のターンにわたしがドローしたカード、【ガーディアン】か対になる装備魔法なら追加で手札に入れられるよ!

 AR・ビジョンに映されたブレイヴ・ウォリアーのカードの画像。そのレベルを現す星が一つ取れて、テントウムシになった。
 さらに、僕のフィールドに綿毛トークンが2体、出現した。

 対するルオも、墓地のガーディアンたちが光に包まれてルオのデッキに戻っていった。
 おまけに、折角大ダメージを与えたルオのライフが完全では無いけど、また回復した。
 ルオのポリシーと《守護神の宝札》の効果を通す為…、あと《守護神罰》を手札から発動させる為かな?
 ルオは墓地にモンスターを置かない事を徹底してるね…。

【レベル・スティーラー】
 効果モンスター
 星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
 このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル5以上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
 このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

【ダンディライオン】
 効果モンスター
 星3/地属性/植物族/攻 300/守 300
 このカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上に「綿毛トークン」
 (植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。
 このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

【守護神の転生】
 通常罠
 自分の墓地の
 「ガーディアン」と名の付くモンスターを全てデッキの一番下に戻し、
 戻した枚数×600ポイント自分のライフを回復させる。
 次の自分のターン終了時までに自分がカードをドローした時、
 ドローしたカードを公開する事で公開したカードの種類により以下の効果を適用させる。
 ●「ガーディアン」と名の付くモンスター:そのモンスターのテキストに
 記載された装備魔法カード1枚を自分のデッキから一枚手札に加える。
 ●装備魔法:テキストに記載された「ガーディアン」と名の付くモンスター1枚を
 自分のデッキまたは墓地から手札に加える。

【ソウヤ】の墓地:20→19→20

【ルオ】の墓地:8→6
【ルオ】のライフ:1850→3050


ソウヤ先攻
ライフ1000
モンスター《ニトロ・ランサー》
《ブレイヴ・ウォリアー》
《レベル・スティーラー》
(攻:2500)
(攻:2300)
(守: 0)
魔法・罠伏せカード3枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明2枚)
手札6枚
墓地20枚
除外2枚

ルオ後攻
ライフ3050
モンスター《ガーディアン・エアトス》(攻:2500)
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
手札3枚
《ガーディアン・シール》
《ガーディアン・エルマ》
《胡蝶の細剣−エルマ》
墓地7枚
除外1枚


 戦況は相変わらずライフポイントの面で僕が大きく不利かな…。
 でも、カードの枚数面ならフィールドも手札も墓地も僕の方が大きく有利だ!
 ここから一気に…は難しいかもしれないけど、少しずつ巻き返していこう!!!





















  第二十三話  ソウヤVSルオ 『Bガーディアン・レディアント』











 やっほ〜。ここからのナレーターは、ルオが担当するよ。

 ソウヤ、ちょっと緊張ほぐれたかな?
 それじゃ、次ドローするカードにもよるけど、もっともっとテンポアップ!
 ソウヤとのデュエル勝ったら、アイナに約束守って貰うの♪

 『どんな約束』って?ヒミツ、ヒミツ!

「わたしのターン、《守護神の宝札》の効果で2回ドロー!」

【守護神の宝札】(ディメストver)
 永続魔法
 自分の手札がこのカードを除いて2枚以上存在する場合、発動できる。
 このカードの発動時、自分は手札を全て捨て、
 デッキからカードを2枚ドローする。
 墓地にモンスターが存在しないプレイヤーは
 ドローフェイズを2回続けて行なえる。


【ルオ】の手札:3→5枚

「ドローしたの《ガーディアン・トライス》!《守護神の転生》の効果で《電光の飛刃−トライス》手札に加える!」

【守護神の転生】
 通常罠
 自分の墓地の
 「ガーディアン」と名の付くモンスターを全てデッキの一番下に戻し、
 戻した枚数×600ポイント自分のライフを回復させる。
 次の自分のターン終了時までに自分がカードをドローした時、
 ドローしたカードを公開する事で公開したカードの種類により以下の効果を適用させる。
 ●「ガーディアン」と名の付くモンスター:そのモンスターのテキストに
 記載された装備魔法カード1枚を自分のデッキから一枚手札に加える。

 ●装備魔法:テキストに記載された「ガーディアン」と名の付くモンスター1枚を
 自分のデッキまたは墓地から手札に加える。


【ルオ】の手札:5→6枚


「手っ札が増っえる〜、どんどん増っえる〜♪スタンバイフェイズに《カードトレーダー》の効果、《ガーディアン・シール》デッキに戻して1枚ドロー。」

【カードトレーダー】
 永続魔法
 自分のスタンバイフェイズ時に手札を1枚デッキに戻す事で、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。


【ルオ】の手札:6→5→6枚


 うん、いける!

「今、ドローしたフィールド魔法《守護者達の楽園−アヴァロン》発動!墓地にモンスターいないプレイヤー、自分のデッキか手札から通常召喚できるモンスター1体特殊召喚できる。わたしはデッキの《ガーディアン・サモナー》特殊召喚!」



ゴゴゴゴゴ…………。


 フィールドの地面がに幾何学的な模様が描かれた円盤に変わったよ。
 そして、わたしとソウヤの周り、青い空と生い茂る木々に変わった。あ、遠くに海も見える!
 ………一瞬、ARビジョンだ、って事忘れちゃった。だってすっごくリアルなんだよ!
 周りには

 地面の真ん中が回転しながら扉のように開くと、ガーディアン・サモナーが出てきた。

【守護者達の楽園−アヴァロン】
 フィールド魔法
 このカードはフィールド上に他のフィールド魔法が表側表示で存在しても破壊されず、
 このカードがフィールド上に表側表示で存在しても他のフィールド魔法は破壊されない。
 墓地にモンスターカードが存在しないプレイヤーはそれぞれ自分のメインフェイズに1度、
 デッキまたは手札から通常召喚可能なモンスター1体を表側表示で特殊召喚できる。

 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド以外からモンスターが
 墓地に送られた時、そのカードは持ち主のデッキの1番下に戻る。
 お互いのプレイヤーは通常召喚可能な「ガーディアン」と名の付くモンスターを
 召喚・特殊召喚・反転召喚する場合、そのカードの条件を無視できる。


【ガーディアン・サモナー】
 効果モンスター
 星5/水属性/魔法使い族/攻1000/守2300
 自分の墓地にモンスターが存在しない場合、
 このカードをリリース無しで召喚できる。
 1ターンに1度、「ガーディアン」と名の付くモンスターまたは
 テキストに「ガーディアン」と記載された装備魔法を
 自分のデッキまたは墓地から1枚手札に加える。


「《ガーディアン・サモナー》効果発動!わたしの墓地からガーディアンの装備魔法、1枚加える!墓地の《彗星の弩弓−シール》回しゅ…。」
「それだけは回収させない!手札の《D.D.クロウ》を捨てて効果発動!ルオの墓地にある《彗星の弩弓−シール》を除外!」

 わーー!ソウヤの手札から、もの凄い数のカラス飛んできた!!!
 痛い痛い痛いって!突くなーーー!

 ボカボカボカッ!
 カーッ、カーッ!

 わたしはカラス叩いて何羽か追い払ったけど、全然カラスの数減らない!
 あ〜!カラスに彗星の弩弓 盗られた!むぅーーー、返せーーーーー!!!

【D.D.クロウ】
 効果モンスター
 星1/闇属性/鳥獣族/攻 100/守 100
 このカードを手札から墓地へ捨てて発動する。
 相手の墓地に存在するカード1枚を選択し、ゲームから除外する。
 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。


《彗星の弩弓−シール》:除外
 【ルオ】の墓地:7→6枚
 【ソウヤ】の墓地:20→21枚
        手札:6枚→5枚


「むぅ…。それなら《電光の飛刃−トライス》発動。《ガーディアン・サモナー》リリースして《ガーディアン・トライス》召喚!」

 バチバチバチッ!

 わたしのフィールドに全身に電気 走る青い髪の人型モンスター出てきた。
 でも、電気流れると髪の毛 爆発したような形になるんじゃなかったっけ?

【ガーディアン・トライス】
 効果モンスター
 星5/光属性/雷族/攻1900/守1700
 「閃光の双剣−トライス」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 このカードが破壊され、墓地へ送られた時、墓地に存在するこのカードの
 アドバンス召喚に使用したモンスターを自分のフィールド上に特殊召喚する。


【Throwing Knife of Lightning - Tryce】(電光の飛刃−トライス)
 Equip Spell (装備魔法)
 このカードのカード名は「閃光の双剣−トライス」として扱う。
 手札からこのカードを発動した時、デッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・トライス」1体を召喚し、このカードを装備できる。

 ???


「いくよ!エアトスでブレイヴ・ウォリアー攻撃!」
「うっ…罠カード発動。《くず鉄のかかし》!エアトスの攻撃を無効にするよ!」

【くず鉄のかかし】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
 発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。


「それじゃあ、ガーディアン・トライスでブレイヴ・ウォリアーに特攻!」
「じ、自爆特攻!?」

 トライスは鋭い電撃を纏ったナイフでブレイヴ・ウォリアーに斬りかかった。
 でも、ブレイヴ・ウォリアーがそれより速くトライスに攻撃加えた。
 トライス、光の粉になって消えちゃった。 ホントにゴメンね。

【ルオ】のライフ:3050→2650


「《ガーディアン・トライス》は破壊されるとアドバンス召喚に使用されたモンスター蘇生できる。《ガーディアン・サモナー》復活!」


 ― 御雷の幻影 ―


【ガーディアン・トライス】
 効果モンスター
 星5/光属性/雷族/攻1900/守1700
 「閃光の双剣−トライス」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 このカードが破壊され、墓地へ送られた時、墓地に存在するこのカードの
 アドバンス召喚に使用したモンスターを自分のフィールド上に特殊召喚する。



 トライスが実体を持たない電気の幻になってもう一度現れた。
 幻が地面に吸い込まれると、アヴァロンの真ん中の丸い扉から《ガーディアン・サモナー》出てきた。
 サモナーの体にはトライスの電気 走ってる。トライスがサモナー 蘇らせたんだ。

【ガーディアン・サモナー】
 効果モンスター
 星5/水属性/魔法使い族/攻1000/守2300
 自分の墓地にモンスターが存在しない場合、
 このカードをリリース無しで召喚できる。
 1ターンに1度、「ガーディアン」と名の付くモンスターまたは
 テキストに「ガーディアン」と記載された装備魔法を
 自分のデッキまたは墓地から1枚手札に加える。


「蘇生効果…。まさか、《ガーディアン・サモナー》の効果をもう一度使う為に!?」
「ううん、そんなんじゃないよ。《電光の飛刃−トライス》効果発動!」


 バリバリバリッッ!!!


 ブレイヴ・ウォリアーの足元から突然、青白い雷の柱 たった。
 よく見ると雷の柱の根元、トライスが装備してたナイフがある。あれだけ光の粉になって消えなかったんだ。
 突然、ナイフ 中に浮かび上がった。ブレイヴ・ウォリアーが反射的に後ろに下がらなかったら、あのナイフに斬られていたかも。
 ナイフから放たれる雷が段々人の形に変わって…青白い半透明のトライスの形になった。
 半透明のトライスのちょうど心臓のところに雷のナイフがある。
 雷がもっと強くなると、心臓の部分から色が濃くなってトライスが完全に蘇った。
 トライス 胸に手を当てるとそこからトライスの心臓の部分にあったナイフが出てきた。

「と、トライスが復活した!?」
「うん!電光の飛刃、装備モンスターが墓地に行くと、そのモンスター復活させて1枚ドローするの。そしてそのモンスター、好きなタイミングにオーバーレイユニットにできる!!!」
「お、オーバーレイユニット…。もしかして、エクシーズ召喚!!!!??」

【Throwing Knife of Lightning - Tryce(電光の飛刃−トライス)】
 Equip Spell (装備魔法)
 このカードのカード名は「閃光の双剣−トライス」として扱う。
 手札からこのカードを発動した時、デッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・トライス」1体をアドバンス召喚し、このカードを装備できる。
 アドバンス召喚された装備モンスターは2体のモンスターに攻撃できる。
 装備モンスターが破壊され墓地に送られた時、このカードは破壊されず、
 墓地からそのモンスターを特殊召喚してこのカードを装備できる。
 その後、自分はデッキからカードを1枚ドローできる。
 自分は好きなフェイズにこの効果で特殊召喚したモンスターを
 エクシーズ素材としてエクシーズ召喚できる。




【ルオ】の墓地:7→6枚
      手札;3→4枚








 ザワザワ…。


「おいおい、なんだよ。『おーばーれいゆにっと』とか『えくしーず召喚』とかって』…?」
「知らないわよ。初めて聞いたわ……!」
「あ、聞いた事あるぜ!なんでも、もうすぐ登場する新しい召喚システムなんだろ?」
「ん?うちが聞いた話じゃ、もう、とっくに一部の人には配布されていて、今日、正式にソリッド・ヴィジョンでも映るようになったって聞いたよ?」
「えー!マジ!?じゃあ、あの子そのエクシーズモンスターってカードを持ってるの!?いいなぁ…。」


「シンマ!エクシーズ召喚だって!」
「聞こえたよ。三ヶ月町のカードショップじゃ『もうすぐ』って言ってたケド、実装自体はもう、とっくにされてるらしいな。今朝、アメリカに出張してる父さんと母さんから、そのカードが送られてきた。アメリカじゃ、早くも流行し始めてるってさ。」
「えーーー(゚Д゚;)ーーー!!!!??シンマも持ってるの!?」
「つーか、それをルオちゃんが持ってる事に驚けよ…。」
「そ、そうだった!シンマのパパとママはI2社の社員だから持っててもおかしくないけど、なんでルオちゃんが……あ!」
「どうした?」
「そういえば、ルオちゃんって去年の冬から今年の4月の終わりまで海外に居たんだ!きっとその時に手に入れたのかも!?」
「なーる程、だから《電光の飛刃−トライス》だけ英語なのか…。」







「いくよ、レベル5の《ガーディアン・トライス》と《ガーディアン・サモナー》 オーバーレイ!」


 コオオオオオ……。


 わー、綺麗!フィールドの真ん中、銀河のような光の渦 出てきた。
 トライスは金色の光に、ガーディアン・サモナーは青い光になって光の渦の中 吸い込まれてった。





『始原より紡がれし命の記録…それは煌く光!

 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワーク構築、

 エクシーズ召喚!!!

 出てきて、【Tiras, Keeper of Genesis始祖の守護者ティラス】!!!!!』





 ゴオオオオゥゥッッッ!!!!!


 光の渦 爆発したように、光の柱 たった。
 光の柱と渦 消えた後に聖騎士のようなモンスターが佇んでる。
 銀色の髪に金色の羽、赤が基調の鎧着て、白い剣と盾持っている。
 そして周りには光の玉が2つ回ってる。

【Tiras, Keeper of Genesis】(英語版)
 Xyz・Effect
 RANK5/LIGHT/Fairy/ATK2600/DEF1700
 レベル5モンスター×2
 このカードの効果はこのカードのエクシーズ素材がなければ適用されない。
 このカードはカードの効果では破壊されない。
 このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、
 相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
 自分のエンドフェイズ毎にこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く。


【ルオ】の墓地:6→7枚(墓地に送られたのは《電光の飛刃−トライス》のみ)


「え、素材になったモンスターが墓地に送られてない!?じゃ、じゃあ除外…にもなってない。手札…でもない、…え、じゃあデッキ…?これも違う。じゃあ、素材になったモンスターは何処に!??」

 あはは。ソウヤ、ビックリしすぎだよ〜。

「エクシーズモンスターの素材になったモンスター、オーバーレイユニットとしてエクシーズモンスターに重ねるの。あと、特殊なルールなんだけど、フィールド上のカードとしても扱われないんだって。」

 わたしはティラスの下に重ねたトライスとサモナー、ソウヤに見せながら言った。

「そ、それが新しい召喚システムなんだ…。」
「うん。あと、まだ、バトルフェイズ続いてるよ。ティラスでニトロ・ランサー攻撃!」

 ティラスが剣を構えると、剣の周りに見たことも無い文字が集まって魔法陣作った。



 ― 始祖しそ黎明れいめい ―



 魔法陣から金色のビームを放った。
 ニトロ・ランサー目掛けて一直線に飛んでった。

「うっ、《ブレイヴ・ウォリアー》の効果は往復1ターンに1度だけしか発動できない…。つまり、僕のターンに発動すると、ルオのターンには発動できないんだった…。でも、ニトロ・ランサーにも破壊耐性がある!墓地の《機械複製術》を除外してニトロ・ランサーの戦闘破壊を無効にするよ!」

 す、すごい!
 ソウヤのニトロ・ランサーの効果は知ってたから そこまで驚かないけど、効果じゃなくて演出の方すごい!
 ニトロ・ランサー、槍を回転させてティラスのビーム バラバラにしちゃった!
 でも、ソウヤ。その効果 使うの分かってたよ。
 分かってたから、最初にエアトスでブレイヴ・ウォリアー攻撃したの!

【ニトロ・ランサー】
 シンクロ・効果モンスター
 星6/闇属性/戦士族/攻2500/守1300
 「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
 各ターンのバトルフェズ時に1度、自分の手札または墓地の魔法カード1枚を
 ゲームから除外することでモンスターの破壊を無効する。

 このカードが攻撃を行ったモンスターをダメージステップ終了時に表示形式を変更し、
 もう一度続けてそのモンスターに攻撃できる。


【ソウヤ】のライフ:1000→900
       墓地:21→20枚
    除外ゾーン:2→3枚


「バトルフェイズ終了時にティラスの効果発動。ティラスが戦闘したバトルフェイズ終了時、相手のカード1枚破壊できる。ニトロ・ランサーの効果 1ターンに1度まで。だからニトロ・ランサー破壊!」





 ― フォビドゥン・ジェネシス ―









 ゴオオオオオッッッ!!!!!


 あ、暑っ!
 ティラスが翼で もの凄く熱い竜巻 起こしたんだ!
 ね、熱気がこっちにも伝わってくる〜〜〜〜。

「あ、暑い暑い〜〜〜〜!!!!!!」

 うわぁ…。観客のみんなにも熱気が……。
 うわっ、デュエルドームが急に暑くなったから冷却用ミスト発生装置 作動したよ!?

【始祖の守護者ティラス】
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク5/光属性/天使族/攻2600/守1700
 レベル5モンスター×2
 このカードの効果はこのカードのエクシーズ素材がなければ適用されない。
 このカードはカードの効果では破壊されない。
 このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、
 相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。

 自分のエンドフェイズ毎にこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く。


「る、ルオ〜〜。何やってるのさ…。」
「わ、わたしのせいじゃないよぉ〜〜〜。と、とにかく、カード1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズにティラスのオーバーレイユニット1つ取り除かれるよ。」

 ティラスの盾の中に光の玉が一つ、吸い込まれてった。

【ルオ】の墓地:7→8枚
 《始祖の守護者ティラス》のエクシーズ素材:2→1
 取り除かれたエクシーズ素材:《ガーディアン・サモナー》


「だけど、さっき言ったとおり、オーバーレイユニット フィールド上のカードとして扱われない。だから《守護者達の楽園−アヴァロン》の効果でデッキに戻る!」
「…!じゃ、じゃあ結局、ルオの墓地のモンスターはゼロ。つまりアヴァロンも《守護神の宝札》も問題なく効果を発動できるの!?」
「うん!」

【守護者達の楽園−アヴァロン】
 フィールド魔法
 このカードはフィールド上に他のフィールド魔法が表側表示で存在しても破壊されず、
 このカードがフィールド上に表側表示で存在しても他のフィールド魔法は破壊されない。
 墓地にモンスターカードが存在しないプレイヤーはそれぞれ自分のメインフェイズに1度、
 デッキまたは手札から通常召喚可能なモンスター1体を表側表示で特殊召喚できる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド以外からモンスターが
 墓地に送られた時、そのカードは持ち主のデッキの1番下に戻る。
 お互いのプレイヤーは通常召喚可能な「ガーディアン」と名の付くモンスターを
 召喚・特殊召喚・反転召喚する場合、そのカードの条件を無視できる。


【ルオ】の墓地:8→7枚



ソウヤ先攻
ライフ900
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》
《レベル・スティーラー》
(攻:2300)(レベル8)
(守: 0)
魔法・罠伏せカード3枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明2枚)
手札5枚
墓地21枚
除外3枚

ルオ後攻
ライフ2650
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《始祖の守護者ティラス》
(攻:2500)
(攻:2600)〈1〉※
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
伏せカード1枚
手札3枚

《ガーディアン・エルマ》
・《胡蝶の細剣−エルマ》・不明1枚
墓地7枚
除外1枚

フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》
※攻撃力or守備力の隣の〈〉内に記載された数字はエクシーズ素材の数

「僕のターン、ドロー!僕は《レベル・スティーラー》をリリースして《サルベージ・ウォリアー》をアドバンス召喚。サルベージ・ウォリアーの効果で墓地の《ジャンク・シンクロン》を特殊召喚!さらに、サルベージ・ウォリアーのレベルを1つ下げて墓地の《レベル・スティーラー》を特殊召喚するよ!」

【レベル・スティーラー】
 効果モンスター
 星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
 このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル5以上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
 このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。


【サルベージ・ウォリアー】
 効果モンスター
 星5/水属性/戦士族/攻1900/守1600
 このカードがアドバンス召喚に成功した時、
 手札または自分の墓地からチューナー1体を特殊召喚する事ができる。


 ソウヤのフィールドにチューナーモンスターとチューナー以外のモンスターが2体…。シンクロ召喚を狙ってくるね!

「レベル4になった《サルベージ・ウォリアー》とレベル1の《レベル・スティーラー》にレベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」




「集いし闘志が怒号の魔神を呼び覚ます。

 光さす道となれ!

 シンクロ召喚!!!

 粉砕せよ、《ジャンク・デストロイヤー》!!!!!」




 わーっっ!
 ソウヤがなんかガ○ダムみたいなロボット出したーーー!!!!

【ジャンク・デストロイヤー】
 シンクロ・効果モンスター
 星8/地属性/戦士族/攻2600/守2500
 「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードがシンクロ召喚に成功した時、
 このカードのシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの数まで
 フィールド上に存在するカードを選択して破壊する事ができる。


「ジャンク・デストロイヤーの効果はシンクロ素材になったチューナー以外のモンスターの数までフィールド上のカードを破壊できるよ!破壊対象は《始祖の守護者ティラス》とルオの伏せカード!!!」


 ― タイダル・エナジー ―


 ジャンク・デストロイヤーが胸部からビーム発射した!
 ビームはティラスとセットしたカードに向かって飛んできた。
 でも…ティラスには…。


 ガキィン!


 効果による破壊は通用しないよ!

「た、タイダル・エナジーを防いだ!?」
「ティラスはカードの効果じゃ破壊されないの!」
「うぅ…DATでカードテキスト確認しておけば………あ、僕、英語読めないんだった…。」
「あ、あはは………。」

 ソウヤって……意外と学力普通?
 あ、わたしも学力普通だよ。ただ、英語版カード何枚か持ってるから、DATのデータベースの日本語版のと照らし合わせてるだけ。
 英語ぜーんぜん読めない(笑)。

【Tiras, Keeper of Genesis】(英語版)
 Xyz・Effect
 RANK5/LIGHT/Fairy/ATK2600/DEF1700
 レベル5モンスター×2
 このカードの効果はこのカードのエクシーズ素材がなければ適用されない。
 このカードはカードの効果では破壊されない。
 このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、
 相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
 自分のエンドフェイズ毎にこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く。



「うっ…でも、伏せカードは破壊したよ。ブレイヴ・ウォリアーの攻撃力アップ効果があればルオのライフを削りきれる!《ブレイヴ・ウォリアー》で《ガーディアン・エアトス》を攻撃!!!」





 ― ウェイブ・スマッシャー ―






【ブレイヴ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星9/水属性/戦士族/攻2300/守3800
 「ブレイヴ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター2体以上
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードは1ターンに1度だけフィールドを離れない。
 自分のモンスターが戦闘を行う時、
 そのモンスターの攻撃力が戦闘するモンスターよりも低い場合、
 ダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力・守備力は
 このカードの守備力の数値分アップする。
 この効果は往復1ターンに1度だけ発動できる。



《ブレイヴ・ウォリアー》の攻撃力:2300→6100


 ブレイヴ・ウォリアー、念力で起こした津波で勢いを付けてこっちに突っ込んでくる。
 わたしの残りライフ2650。まだまだ余裕あるけど、ブレイヴ・ウォリアーの攻撃力6100、エアトスの攻撃力2500。
 戦闘ダメージ3600だから、この攻撃通ったら わたしの負け。
 でも、絶対に負けないよ!

「ソウヤ、《ジャンク・デストロイヤー》の効果で破壊された伏せカード、発動してたんだよ!」

 わたしのフィールドに金色のバリアー現れた。
 ブレイヴ・ウォリアーの攻撃、そのバリアに大きくヒビ入れたけど、破壊できなかった。

「わ、《和睦の使者》!?」
「うん、わたしのモンスターこのターンだけ戦闘で破壊されない。そして、ダメージも受けない!ホントはティラスに攻撃して欲しかったけどそうはいかないんだね。」
「危なかった…。ティラスに攻撃してたら、僕のカードが更に破壊されていたよ…。僕はこのままターンエンド。」

【和睦の使者】
 通常罠
 このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
 全ての戦闘ダメージは0になる。
 このターン自分のモンスターは戦闘では破壊されない。


ソウヤ先攻
ライフ900
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》
《ジャンク・デストロイヤー》
(攻:2300)(レベル8)
(攻:2600)
魔法・罠伏せカード3枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明2枚)
手札5枚
墓地23枚
除外3枚

ルオ後攻
ライフ2650
モンスター《ガーディアン・エアトス》
《始祖の守護者ティラス》
(攻:2500)
(攻:2600)〈1〉
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
手札3枚

《ガーディアン・エルマ》+2枚
《胡蝶の細剣−エルマ》
墓地8枚
除外1枚
フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》



 むぅ…。ソウヤがこれ以上何もしないって事は、《くず鉄のかかし》ともう2枚の伏せカードに自信あるのかな?

「わたしのターン、《守護神の宝札》の効果でドローフェイズ2回行なうよ。あと、スタンバイフェイズに《カードトレーダー》の効果、《ガーディアン・エルマ》デッキに戻して1枚ドロー!」

【守護神の宝札】(ディメストver)
 永続魔法
 自分の手札がこのカードを除いて2枚以上存在する場合、発動できる。
 このカードの発動時、自分は手札を全て捨て、
 デッキからカードを2枚ドローする。
 墓地にモンスターが存在しないプレイヤーは
 ドローフェイズを2回続けて行なえる。


【カードトレーダー】
 永続魔法
 自分のスタンバイフェイズ時に手札を1枚デッキに戻す事で、
 自分のデッキからカードを1枚ドローする。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。


【ルオ】の手札:3→5枚


「《守護者達の楽園−アヴァロン》の効果発動!墓地にモンスターいないプレイヤー、デッキか手札から通常召喚できるモンスター1体特殊召喚できる!わたしは《ガーディアン・サモナー》特殊召喚。」

【守護者達の楽園−アヴァロン】
 フィールド魔法
 このカードはフィールド上に他のフィールド魔法が表側表示で存在しても破壊されず、
 このカードがフィールド上に表側表示で存在しても他のフィールド魔法は破壊されない。
 墓地にモンスターカードが存在しないプレイヤーはそれぞれ自分のメインフェイズに1度、
 デッキまたは手札から通常召喚可能なモンスター1体を表側表示で特殊召喚できる。

 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド以外からモンスターが
 墓地に送られた時、そのカードは持ち主のデッキの1番下に戻る。
 お互いのプレイヤーは通常召喚可能な「ガーディアン」と名の付くモンスターを
 召喚・特殊召喚・反転召喚する場合、そのカードの条件を無視できる。


【ガーディアン・サモナー】
 効果モンスター
 星5/水属性/魔法使い族/攻1000/守2300
 自分の墓地にモンスターが存在しない場合、
 このカードをリリース無しで召喚できる。
 1ターンに1度、「ガーディアン」と名の付くモンスターまたは
 テキストに「ガーディアン」と記載された装備魔法を
 自分のデッキまたは墓地から1枚手札に加える。



「《ガーディアン・サモナー》の効果、墓地の万有引力の戦斧 手札に加える。そして万有引力の戦斧 発動。デッキから《ガーディアン・グラール》特殊召喚して装備する。」

【万有引力の戦斧−グラール】
 装備魔法
 このカードのカード名は「重力の斧−グラール」として扱う。
 手札からこのカードを発動した時、デッキ・手札・墓地から
 「ガーディアン・グラール」1体を特殊召喚し、このカードを装備できる。
 この効果を使用するターン、
 自分はこのカード以外のモンスターを特殊召喚する効果を発動できない。

 相手のターンに一度、相手の効果モンスター1体を選択できる。
 選択したモンスターは1番最初に攻撃しなければならず、
 攻撃・効果の対象はこのカードのコントローラーが決める。
 また、選択したモンスターは、このターンのダメージ計算時に
 一度だけ、攻撃力・守備力が半分になる。


【ガーディアン・グラール】
 効果モンスター
 星5/地属性/恐竜族/攻2500/守1000
 「重力の斧−グラール」が自分のフィールド上に存在する時のみ、
 このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
 手札にこのカード1枚しかない場合、手札からこのカードを特殊召喚する事ができる。


【ルオ】の墓地:8→7枚


「そして、レベル5の《ガーディアン・グラール》《ガーディアン・サモナー》オーバーレイ!」
「に、2体目のエクシーズモンスター!?」

 グラールがブラウンの光に、サモナーが青い光になってフィールドの真ん中に現れた銀河のような渦に吸い込まれてった。











『終末まで紡がれし命の記録…それは揺らめく闇!


 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワーク構築、


 エクシーズ召喚!!!


 出てきて、【Adreus, Keeper of Armageddon】!!!!!』








 グォォォォン……。







 光の渦から、ゆっくりと黒い柱たった。
 黒い柱が消えると佇んでたのは、ボロボロの黒い服着た剣士。
 髪の色も羽の色も薄い鎧のような物の色も真っ黒で、真っ赤な仮面付けてる。
 持ってる短剣の色は金色。ティラスと比べてくらーい雰囲気。

【Adreus, Keeper of Armageddon】(推定和名:終焉の守護者アドレウス)
 Xyz・Effect
 RANK5/DARK/Fiend/ATK2600/DEF1700
 2 Level 5 monsters
 Once per turn: You can detach 1 Xyz Material from this card
 to target 1 face-up card your opponent controls; destroy it.
 (レベル5モンスター×2
 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、
 相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。)


「アドレウスの効果発動。オーバーレイユニット1つ取り除いて、フィールドの表側表示カード1枚破壊するよ。破壊対象は《ブレイヴ・ウォリアー》!」



 ― フォビドゥン・ハルマゲドン ―




 ビュオオオオオ………!


 うぅぅぅ………寒いぃぃぃ。
 アドレウスが起こす風、ティラスと違って とっても寒い!

《Adreus, Keeper of Armageddon》のエクシーズ素材:2→1
 取り除かれたエクシーズ素材:《ガーディアン・サモナー》
 《守護者達の楽園−アヴァロン》の効果で《ガーディアン・サモナー》はルオのデッキへ。


「ルオも分かってると思うけど、《ブレイヴ・ウォリアー》は1ターンに1度だけフィールドを離れないよ!」



 ― レイジング・フォース ―



 ブレイヴ・ウォリアー 機械の鎧からエネルギー放って、アドレウスの冷たい風はじき返した。
 エネルギーは熱気帯びてる。だから跳ね返されても、そんな寒くない。

【ブレイヴ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星9/水属性/戦士族/攻2300/守3800
 「ブレイヴ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター2体以上
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードは1ターンに1度だけフィールドを離れない。
 自分のモンスターが戦闘を行う時、
 そのモンスターの攻撃力が戦闘を行うモンスターよりも低い場合、
 ダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力・守備力は
 このカードの守備力の数値分アップする。
 この効果は往復1ターンに1度だけ発動でき、相手のターンでも発動できる。


「でもソウヤ、分かってるよね?ブレイヴ・ウォリアーの除去耐性、1ターンに1度だけ。それにさっきのソウヤのターンでブレイヴ・ウォリアーの攻撃力アップの効果使ったから、その効果 次のソウヤのターンまで使えないよ。アドレウスでブレイヴ・ウォリアー攻撃!」



 ― 終焉しゅうえん黄昏たそがれ ―



 アドレウスが金色の剣から真っ黒な霧 打ち出す。
 この攻撃はソウヤの《くず鉄のかかし》で防がれちゃうけど、次のティラスの攻撃で…。


 ガキィィィィィィンッッッ!!!!!


 あ、《くず鉄のかかし》じゃない!?
 こ、このバリア、もしかして……。

「ルオ。僕だって、そう簡単にブレイヴ・ウォリアーを倒させはしないよ!トラップカード発動、《聖なるバリア−ミラーフォース−》!!!」

 うわぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜。そんなのあり〜〜〜〜〜〜!?
 ソウヤが発動した光のバリア、アドレウスの攻撃を防いだ後に強い光放った。
 光は わたしのモンスター達 貫いていった。
 ティラスだけ左手に持ってた盾でどうにか防いだけど、ソウヤのフィールド《くず鉄のかかし》がある。
 このターンは攻撃できないね…。

【聖なるバリア−ミラーフォース−】
 通常罠
 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
 相手フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て破壊する。


「むぅ…。アヴァロンの効果でアドレウスのオーバーレイユニット、デッキに戻るよ。そして、カード1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズにティラスのオーバーレイユニット1つ取り除かれるよ。」

【ルオ】の墓地:11→10枚
《始祖の守護者ティラス》のエクシーズ素材:1→0
《守護者達の楽園−アヴァロン》の効果で取り除かれたエクシーズ素材はルオのデッキに戻る。


【守護者達の楽園−アヴァロン】
 フィールド魔法
 このカードはフィールド上に他のフィールド魔法が表側表示で存在しても破壊されず、
 このカードがフィールド上に表側表示で存在しても他のフィールド魔法は破壊されない。
 墓地にモンスターカードが存在しないプレイヤーはそれぞれ自分のメインフェイズに1度、
 デッキまたは手札から通常召喚可能なモンスター1体を表側表示で特殊召喚できる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド以外からモンスターが
 墓地に送られた時、そのカードは持ち主のデッキの1番下に戻る。

 お互いのプレイヤーは通常召喚可能な「ガーディアン」と名の付くモンスターを
 召喚・特殊召喚・反転召喚する場合、そのカードの条件を無視できる。


ソウヤ先攻
ライフ900
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》
《ジャンク・デストロイヤー》
(攻:2300)(レベル8)
(攻:2600)
魔法・罠伏せカード3枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明2枚)
手札5枚
墓地24枚
除外3枚

ルオ後攻
ライフ2650
モンスター《始祖の守護者ティラス》(攻:2600)〈0〉
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
伏せカード1枚
手札4枚
《胡蝶の細剣−エルマ》+3枚
墓地10枚
除外1枚

フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》


 むーっ、墓地にモンスターが……。このままじゃ、守護神の宝札のドロー強化できないね……。

「僕のターン、ドロー。バトルだよ!《ブレイヴ・ウォリアー》で…。」
「ストーーップ!バトルフェイズ開始時、永続罠《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》発動するよ!」
「ええっ!?」

 わたしが発動したカードから大きな網 フィールド全体に覆いかぶさる。
 網はモンスターのレベルに反応して攻撃封じるの。

【グラヴィティ・バインド−超重力の網−】
 永続罠
 フィールド上に表側表示で存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。


「うっ…。それなら僕は《ブレイヴ・ウォリアー》のレベルを1つ下げて《レベル・スティーラー》を特殊召喚!」
「ソウヤ、一応言うけど《レベル・スティーラー》で下げれるレベル、4までだよ。3以下にはできないよ。」
「あっ!そ、そうだった…。でも、壁にはなるよ。僕はこれでターン終了!」

《ブレイヴ・ウォリアー》のレベル:8→7

【レベル・スティーラー】
 効果モンスター
 星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
 このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
 レベル5以上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
 このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。


ソウヤ先攻
ライフ900
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》
《ジャンク・デストロイヤー》
《レベル・スティーラー》
(攻:2300)(レベル7)
(攻:2600)
(守: 0)
魔法・罠伏せカード3枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明2枚)
手札6枚
墓地23枚
除外3枚


ルオ後攻
ライフ2650
モンスター《始祖の守護者ティラス》(攻:2600)〈0〉
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》
手札4枚
《胡蝶の細剣−エルマ》+3枚
墓地10枚
除外1枚

フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》


 ライフはわたしが凄く有利だけど、フィールドはソウヤの方が有利だね。
 《守護神の宝札》墓地にモンスターいると適用されない。
 でも、絶対負けないよ!

「わたしのターン、ドロー!」

 来た!レディアント呼ぶ為のカード!

「わたしは永続魔法《守護者の棺ガーディアンズコフィン》発動。墓地のエアトス攻守0にして復活させるよ!」

守護者の棺ガーディアンズコフィン
 永続魔法
 自分の墓地から「ガーディアン」と名のつくモンスターを
 条件を無視して表側攻撃表示で自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は0になる。
 そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。
 このカードがフィールドを離れた時、そのモンスターを破壊する。

 ???


 コォォォォ…。

 アヴァロンの中央にある丸い扉みたいな所から木で できた棺、出てきた。
 棺が開くと中からエアトスが出てきたよ。
 でも、エアトスは武器に宿る「ガーディアン」達の1体。
 武器ないから、聖棺に宿って、どうにか実体 保ってる状態だった。

【ルオ】の墓地:10→9枚
《ガーディアン・エアトス》の攻撃力・守備力:0


「行くよ、ソウヤ!わたしの切り札見せたげる!!!」
「え…?ま、まさか、《ガーディアン・レディアント》!!?」






 一方、観客席のシンマ達は。


「あのさ…アイナ。」
「ん、どうしたの?」
「デュエル開始時からずっと思ってたんだけど、ルオちゃんからもの凄い覇気を感じられるんだけど。なんかあった?」
「ふっふーん、よくぞ聞いてくれましたー!もう、『恋する乙女はty(中略)作戦』自体はあたしにできる事は全部済ませちゃったから教えるね!」
「で、なにやったのさ。」
「実はね、実はね………。」





「ソウヤ〜、ルオちゃ〜ん。こんなトコでなにやってんの〜?」
「うわわっ!ね、姉さんいつの間に!?」

 え。ソウヤの奴やけに大袈裟に驚いてるけど………ふふ〜ん、成〜る程〜。

「もしかして〜、二人でデ〜ト〜〜?」
「ちちち、違うよっっ!!!!」

 え〜、ホントに〜?やけに焦ってるけど〜?

「えっとね、シンマさん ソウヤに『デュエルアカデミアの生徒10人にデュエルを挑んで来い』って課題出したの。」
「ちょ、ルオ!そr…。」
「なーんだ。そういうとこ。でも、なんでシンマがそういう事を?」
「え、え、え〜っとそそ、それは…。」

 ……なんでソウヤは焦ってるの?

「シンマさん 『ソウヤは誰かと話すのが苦手』って言ってた。だから、その練習も兼ねたデュエルの修行だって。」
「あ、成る程〜。シンマって今も昔も相変わらず世話焼きなくせにまわりくどい所があるから納得。あ、そうだ!ルオちゃんに用事があったんだ。ちょっと耳貸して。」


 ヒソヒソ。





「ねぇ、ルオちゃん。ルオちゃんって確か『ソウヤの事が好き』なんだよね?」
「うん。」
「す、すこしも迷わずあっさり……。」
「あ、デブリ・ドラゴン『こーゆー事は無闇に言わない方が良い』って言ってたんだ。」
「大丈夫だよ。確かに好きな人の事を聞かれるのが嫌な人は多いけど、誰かを好きになる事も、それを誰かに話す事も悪いことじゃないって。……で、本題なんだけど、もしかしてこれからソウヤとデュエルするの?」
「うん。」
「じゃあ、もしもソウヤとのデュエルに勝ったら、ソウヤと付き合って良いよ。姉 公認のカップルだから、誰にも文句なんてぜーったい言わせないよ。」





「アイナ。その約束、マジ?」
「マジマジ。絶対!誓うよ。」
「オッケー。約束、忘れないでね!」
「な、何を話してるの…?」

 おやおや、ソウヤく〜ん。乙女の内緒話を盗み聞きしようなんて100万億光年早いんじゃな〜い?






「………な〜る程。だから並々ならぬ覇気を放ってる訳か…。」
「そう!恋する乙女はちょーーー強いの!!!もちろんそれだけじゃなくてルオちゃんは元々デュエルが強いよ!」
「まあ、元々強いのはなんとなく分かるよ。元々の強さにやる気全快となれば強いわな…。」
「そのとーり!だからこの勝負もらったーーーー!」
「(……ま、確かにソウヤは大苦戦を強いられるだろうな。それに、この様子だとソウヤもルオちゃんも気付いてないだろ。今、俺とアイナがソウヤとルオちゃんのデュエルの勝者予想してるって…。)」


「……あ、ところでシンマ。なんでソウヤにあんな回りくどい課題だしたの?」
「ん?」
「『ソウヤが人と話すの苦手だから自分より年上が多いデュエルレベルが中級以上の人にデュエル挑め』ってやつ。確かに効果的かもしれないけど、メンド臭くない?」
「(ん?ああ、そっか。ソウヤとルオちゃんはそういう事にしたのか。)あー確かに、その課題だしたのは俺だよ。ケドさ…、ホントのところはあの課題のホントの意味ってよ………。」








「《守護神の棺》のもう1つの効果!このカードはモンスターになる!」


守護者の棺ガーディアンズコフィン
 永続魔法
 自分の墓地から「ガーディアン」と名のつくモンスターを
 条件を無視して表側攻撃表示で自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は0になる。
 そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。
 このカードが破壊された時、そのモンスターを破壊する。
 このカードは「地属性/アンデット族/攻2500/守2000」のモンスターとして
 自分フィールド上に表側表示で特殊召喚する。
 (レベルは1番目の効果で特殊召喚したモンスターと同じ。)
 このカードは攻撃できない。

 ???


 エアトスを復活させた木の棺の形、変わっていく…。
 棺は「ガーディアン」の1体、デスサイスによく似た木の像に変わった。

「レベル8の《ガーディアン・エアトス》と《守護者の棺》オーバーレイ!ついでに召喚台詞修正!」




『太古より受け継がれし生命の波動。


 ここに集い、輝く奇跡 呼び起こせ!


 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワーク構築。


 エクシーズ召喚!!!


 力を貸して。


 【ガーディアン・レディアント】!!!!!』



 他のエクシーズ召喚と同じようにフィールドの真ん中に光の柱たった。
 光の柱はドームの天井にまで上った。色は虹色。
 光の柱 消えると、天井の辺りからエアトスに似たモンスター ゆっくりと降りてきた。
 鷲の形した帽子は少し鋭くなって、民族衣装のような服の上に鎧 着てる。
 鎧の形は白銀の色してる以外は「デスサイス」の鎧に似てた。
 髪の色、エアトスは金でデスサイスは暗い赤だけど、レディアントの髪の色は全体的に薄い金色で先っぽが明るい色の赤だよ。
 エアトスの進化系のように見えるけど、デスサイスが魂 浄化された姿とも言えるね。

【ガーディアン・レディアント】
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク8/光属性/天使族/攻2900/守2400
 「ガーディアンエアトス」を含むレベル8モンスター×2
 ???


「《守護者の棺》の最後の効果!オーバーレイユニットになった このカード除外する事で『ガーディアン』の装備魔法を1枚手札に加えるよ!手札に加えるの《奇跡の宝鎌−レディアント》、そしてレディアントに装備!」

守護者の棺ガーディアンズコフィン
 永続魔法
 自分の墓地から「ガーディアン」と名のつくモンスターを
 条件を無視して表側攻撃表示で自分フィールド上に特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は0になる。
 そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。
 このカードが破壊された時、そのモンスターを破壊する。
 このカードは「星X/地属性/アンデット族/攻2500/守2000」のモンスターとして
 自分フィールド上に表側表示で特殊召喚する。
 (レベルは1番目の効果で特殊召喚したモンスターと同じ。)
 このカードは攻撃できない。
 エクシーズ素材であるこのカードを除外する事で、
 デッキ・墓地からテキストに「ガーディアン」と記載されたカード1枚を手札に加える。



【ルオ】の除外ゾーン:1→2枚
《ガーディアン・レディアント》のエクシーズ素材:2→1枚
手札に加えたカード:《奇跡の宝鎌−レディアント》


 レディアントの周りにある光の玉が1つ異次元に吸い込まれると、一つの大鎌出てきた。
 刃の部分、虹の橋のような形と色で 先っぽも長方形のような形になってる。
 色や飾りも明るい色 基調で、鎌というより杖かも。

【奇跡の宝鎌−レディアント】
 装備魔法
 「ガーディアン」と名の付くモンスターにのみ装備できる。
 ???


「レディアントの効果発動!レディアント わたしのデッキ以外にあるモンスター2体までオーバーレイユニットにして吸収するの!オーバーレイユニットにするモンスター、墓地のアドレウスと手札の《ガーディアン・オブ・オーダー》!」
「…!それじゃあ、ルオの墓地のモンスターは、またゼロ…。」
「うん!」

【ガーディアン・レディアント】
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク8/光属性/天使族/攻2900/守2400
 「ガーディアンエアトス」を含むレベル8モンスター×2
 1ターンに1度、自分の手札・フィールド・墓地・除外ゾーンのモンスターを
 合計2枚までエクシーズ素材として、このカードに重ねる事ができる。
 ???




 ― 神霊のソウル ―



 レディアントが手を真上にかざすと、わたしの手札と墓地の2体のモンスター 光の玉に変化してレディアントの周り漂うようになった。

【ルオ】の手札:4→3枚
      墓地:9→8枚
《ガーディアン・レディアント》のエクシーズ素材:1→3


「そして《奇跡の宝鎌−レディアント−》効果発動だよ。対象は《ジャンク・デストロイヤー》!」

 レディアントが宝鎌を振り上げて呪文唱える。
 すると、ジャンク・デストロイヤーの真上から光の雨が降ってきた。
 光の雨を浴びたジャンク・デストロイヤー、虹のオーラに包まれたよ。

「…?ルオ、今のは一体…?」
「それは見てのお楽しみ。バトルだよ、レディアントでジャンク・デストロイヤー攻撃!」
「ええっ!?ルオのフィールドにはグラヴィティ・バインドがあるのに!?」
「エクシーズモンスターに書いてある星、『レベル』じゃなくて『ランク』って言うの。だからレベルに関係する全てのサポートも妨害も受けないんだよ!」



 ― スピリッツ・サイス ―




 レディアントは宝鎌 構えて、ジャンク・デストロイヤーに向かってった。

「でも、ルオ。《ブレイヴ・ウォリアー》の効果は往復1ターンに1度だけって言ったけど、前の僕のターンに効果は使っていないよ!《ブレイヴ・ウォリアー》の効果発動、僕のモンスターが自分より強いモンスターと戦闘を行う時、《ブレイヴ・ウォリアー》の守備力分、攻撃力・守備力をアップさせるよ!」


 ― パワード・ストリーム ―


【ブレイヴ・ウォリアー】
 シンクロ・効果モンスター
 星9/水属性/戦士族/攻2300/守3800
 「ブレイヴ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター2体以上
 このカードのコントロールは常に元々の持ち主に戻る。
 このカードは1ターンに1度だけフィールドを離れない。
 自分のモンスターが戦闘を行う時、
 そのモンスターの攻撃力が戦闘を行うモンスターよりも低い場合、
 ダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力・守備力は
 このカードの守備力の数値分アップする。
 この効果は往復1ターンに1度だけ発動でき、相手のターンでも発動できる。


 ブレイヴ・ウォリアーが念力で津波起こして、ジャンク・デストロイヤーを援護しようとする。
 でもね…。

《ジャンク・デストロイヤー》の攻撃力:2600→2600

「…!?こう、攻撃力がアップしてない!!?」
「いっけーレディアント!」


 ズザンッ!!!


 レディアントの宝鎌がジャンクデストロイヤー切り裂いた。

《ソウヤ》のライフ:900→600

「これが奇跡の宝鎌の効果だよ!『1ターンに1度、フィールド上のモンスター1体に魔法・罠・効果モンスターの効果耐性』付けるの!普通はメリットになる効果だけど、この効果を受けたモンスターはブレイヴ・ウォリアーのような攻撃力をアップさせるようなメリット効果も効かないんだよ!」
「え・・・!?それじゃあ、『ブレイヴ・ウォリアーの効果は事実上封じられた』って事!?」

【奇跡の宝鎌−レディアント】
 装備魔法
 「ガーディアン」と名の付くモンスターにのみ装備できる。
 各ターンに1度、フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターは、エンドフェイズまで魔法・罠・効果モンスターの効果を受けない。
 「ガーディアン・レディアント」に装備されている場合、以下の効果も適用する。

 ●???


「それと《ブレイヴ・ウォリアー》、効果発動しちゃったから次のわたしのターンまで効果使えないよ!これで、わたしのターン終了!ソウヤのターンだよ!」

ソウヤ先攻
ライフ600
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》
《レベル・スティーラー》
(攻:2300)(レベル7)
(守: 0)
魔法・罠伏せカード3枚(《くず鉄のかかし》1枚・不明2枚)
手札6枚
墓地24枚
除外3枚


ルオ後攻
ライフ2650
モンスター《ガーディアン・レディアント》
《始祖の守護者ティラス》
(攻:2900)〈3〉
(攻:2600)〈0〉
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》
手札3枚
《胡蝶の細剣−エルマ》+2枚
墓地8枚
除外2枚

フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》


「僕のターン、ドロー。よしっ、これなら…!」

 ソウヤ、良いカード引いたみたいだね。

「僕は墓地の《緊急脱出装置》をゲームから除外して《マジック・ストライカー》を特殊召喚。」

 ソウヤのフィールドに杖を持った小さな戦士モンスター現れた。

【マジック・ストライカー】
 効果モンスター
 星3/地属性/戦士族/攻 600/守 200
 このカードは自分の墓地に存在する魔法カード1枚を
 ゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。
 このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。


《ソウヤ》の墓地:25→24
       除外:3→4枚


「さらに、《マジック・ストライカー》に装備魔法《小手仕込みのスティンガー》を装備。このカードは装備したモンスターと戦闘を行った相手モンスターを破壊する魔法だよ。さらに1ターンに1度だけ戦闘で破壊されなくなるんだ!」

【小手仕込みのスティンガー】
 装備魔法
 レベル5以下の戦士族モンスターにのみ装備可能。
 装備モンスターは1ターンに1度だけ、戦闘によって破壊されない。
 装備モンスターと戦闘を行ったモンスターを、
 そのダメージ計算終了後に破壊する。


 マジック・ストライカー、とても鋭い短剣がついた小手 装備した。

「けど、ソウヤ。破壊効果あっても《奇跡の宝鎌−レディアント》があるよ!この効果で《ガーディアン・レディアント》に完全効果耐性与える!」
「僕はそれを待ってたんだ!」
「え…!?」
「魔法カード《シンクロ・ギフト》発動!これでマジック・ストライカーにブレイヴ・ウォリアーの攻撃力を与えるよ!これで攻撃力はガーディアン・レディアントと同じ2900!」

【シンクロ・ギフト】
 通常魔法
 自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体と
 シンクロモンスター以外のモンスター1体を選択して発動する。
 このターンのエンドフェイズ時まで、選択したシンクロモンスターの攻撃力を0にし、
 その元々の攻撃力分もう1体のモンスターの攻撃力はアップする。


《マジック・ストライカー》の攻撃力:600→2900
《ブレイヴ・ウォリアー》の攻撃力:2300→0


「バトル!マジック・ストライカーで《ガーディアン・レディアント》攻撃!」


 ズドォォォンッ!!!


 ブレイヴ・ウォリアーの力を加えたマジックストライカー、レディアントに向かって突っ込んでいった。
 2体の攻撃がぶつかって空中で大爆発起きた!

「よし、マジック・ストライカーは戦闘によるプレイヤーのダメージをゼロにする。それに《小手仕込みスティンガー》は装備モンスターの戦闘による破壊を1度だけ防ぐよ!これで《ガーディアン・レディアント》を…。」

ルオ後攻
ライフ2650
モンスター 《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・オブ・オーダー》
《Adreus, Keeper of Armageddon》
《始祖の守護者ティラス》
(攻:2500)
(攻:2500)
(攻:2600)〈0〉
(攻:2600)〈0〉
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》
手札3枚
《胡蝶の細剣−エルマ》+2枚
墓地9枚
除外2枚

フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》


【ガーディアン・エアトス】
 効果モンスター
 星8/風属性/天使族/攻2500/守2000
 自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードに装備された装備魔法カード1枚を墓地へ送る事で、
 相手の墓地に存在するモンスターを3枚まで選択し、ゲームから除外する。
 この効果でゲームから除外したモンスター1体につき、
 エンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は500ポイントアップする。


【ガーディアン・オブ・オーダー】
 効果モンスター
 星8/光属性/戦士族/攻2500/守1200
 自分フィールド上に光属性モンスターが表側表示で2体以上存在する場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 「ガーディアン・オブ・オーダー」は、
 自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。


【Adreus, Keeper of Armageddon】(推定和名:終焉の守護者アドレウス)
 Xyz・Effect
 RANK5/DARK/Fiend/ATK2600/DEF1700
 2 Level 5 monsters
 Once per turn: You can detach 1 Xyz Material from this card
 to target 1 face-up card your opponent controls; destroy it.
 (レベル5モンスター×2
 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、
 相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。)


【Tiras, Keeper of Genesis】(英語版)
 Xyz・Effect
 RANK5/LIGHT/Fairy/ATK2600/DEF1700
 レベル5モンスター×2
 このカードの効果はこのカードのエクシーズ素材がなければ適用されない。
 このカードはカードの効果では破壊されない。
 このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、
 相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
 自分のエンドフェイズ毎にこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く。


「ど、どうして…。どうして、ルオのフィールドに最上級クラスのモンスターが三体も追加されてるの……?。」
「これが《ガーディアン・レディアント》の効果!レディアントがフィールドを離れたら、オーバーレイユニットになったモンスター特殊召喚できる!そのあと、レディアントはエクストラデッキに戻るよ!」

【ガーディアン・レディアント】
 エクシーズ・効果モンスター
 ランク8/光属性/天使族/攻2900/守2400
 「ガーディアンエアトス」を含むレベル8モンスター×2
 1ターンに1度、自分の手札・フィールド・墓地・除外ゾーンのモンスターを
 合計2枚までエクシーズ素材としてこのカードに重ねる事ができる。
 このカードがフィールドを離れた時、このカードのエクシーズ素材のモンスターを
 可能な限り、条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する。
 (超過した分は持ち主のデッキに戻す。)
 その後、このカードはエクストラデッキに戻る。


《ガーディアン・レディアント》のエクシーズ素材だったカード:
《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・オブ・オーダー》
《終焉の守護者アドレウス》


「そ、そんな…。ルオの特殊召喚したモンスターには、レベル8の《ガーディアン・オブ・オーダー》と《ガーディアン・レディアント》がいる。次のルオのターンに、また《ガーディアン・レディアント》が…!」
「うん、ソウヤの予想通りだよ!」
「うぅ…。僕はブレイヴ・ウォリアーの表示形式を守備表示にし、カードを1枚セットしてターンエンド…。」

ソウヤ先攻
ライフ600
モンスター《ブレイヴ・ウォリアー》
《レベル・スティーラー》
《マジック・ストライカー》
(守:3800)(レベル7)
(守: 0)
(攻:600)
魔法・罠伏せカード4枚
《小手仕込みスティンガー》
(《くず鉄のかかし》1枚・不明3枚)
装備対象:《マジック・ストライカー》
手札3枚
墓地25枚
除外3枚


ルオ後攻
ライフ2650
モンスター 《ガーディアン・エアトス》
《ガーディアン・オブ・オーダー》
《Adreus, Keeper of Armageddon》
《始祖の守護者ティラス》
(攻:2500)
(攻:2500)
(攻:2600)〈0〉
(攻:2600)〈0〉
魔法・罠《カードトレーダー》
《守護神の宝札》
《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》
手札3枚
《胡蝶の細剣−エルマ》+2枚
墓地9枚
除外2枚

フィールド魔法:《守護者達の楽園−アヴァロン》




















続く...




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