武藤遊戯 喜びの決闘

製作者:kunaiさん














ある晴れた日の午後。
















遊戯は海馬の紹介で、磯野家に居候することになった。


そして不注意で奪われてしまった相棒の魂。
遊戯に残されたものは5億の借金だけだった。
遊戯に与えられた使命は5億の回収と、
スターチップを10個集めること。


ラスボスは圧倒的な力を隠し持っていた“最後の敵”。
これまで遊戯王と呼ばれた遊戯が、ついにゲームで負けてしまうのか。







これは、ゲームなどではない。
デスゲームだ。







遊戯は10個のスターチップを集め、5億を回収し、相棒の魂を救えるのか!?









母性の1話「ヒエラティック・テキストを唱えてみた」

「いーそーのーくーん!」
「磯野ー! 野球しよーぜー!」

 磯野家に花沢さんと中島くんがやってきた。
 2人はカツオを迎えに来たのだ。
 カツオは今、自分の部屋で遊戯とヴァイスシュバルツで対戦していたところだ。

「じゃあ行ってくるよ、遊戯さん!」
「ああ。しっかり遊んでこい」

 カツオが帽子をかぶって部屋を飛び出した。
 遊戯はやれやれと呟き、カードの後片付けを始める。
 やっぱり、ぜかましは萌えるぜ。遊戯は艦これデッキなのだ。
 カードイラストを見てニヤニヤしていると突然、遊戯のスターフィッシュヘアーをかき混ぜる者、現れる。
 イクラちゃんのしわざだ。

「バーブー!」
「いけませんイクラ! ごめんなさいね、遊戯くん」
「チャーン!」

 タイコさんが慌ててイクラちゃんを抱きかかえる。
 遊戯はイクラちゃんを睨み、指差した。

「あんたはオレの頭の領域を冒した。よってオレの遊び相手になってもらうぜ!」
「ハーイ!」

 なんと、1話の対戦相手はイクラちゃんなのか。

「ごめんくださーい!」

 掛け声と同時に玄関扉が開けられた。
 磯野家の玄関扉は和風な横開きだ。

「遊戯く〜ん、悪いけど見てきて〜」

 サザエさんは居間で寝転がりながらテレビを見ている。
 愛憎のもつれ、嫉妬、不倫がドロドロに入り混じった昼ドラだ。
 遊戯はため息をつき、玄関へ向かった。

「お、お前は闇マリク!?」
「久しぶりだなァ! 遊戯!」

 磯野家に訪問したのはなんと、闇マリク。
 アニメでは独特の滑舌と顔芸で視聴者の心を鷲掴みにした人気者だ。
 声優は岩永哲哉さん。アニメ「あたしンち」でも店員Aや医者の声を当てていたらしいぞ。

「ここに何の用だ!」
「分かっているんだろ? お前の持っているスターチップをよこしな!」
「スターチップだと!?」

 遊戯は尻ポケットからスターチップを取り出した。
 現在の所持数は2つ。あと8個集めなければならない。
 だがなぜ、マリクもスターチップを集めようとしているのか。

「お前の真の目的はなんだ!」
「目的? フフ、オレにそんなモンはねぇよ」
「何っ!」
「まぁ、しいてあげるとすれば全ての秩序、そしてオレ以外のすべての肉体(いのち)の破壊!! 破壊だぁ!!」

 ?

「ならばオレとデュエルだ! マリク!」
「オレは既に8個のスターチップを持っている。2個賭けてもらおうか!」
「いや。お前にはスターチップを8個賭けてもらうぜ!」
「何ィ!?」
「オレが追加で賭けるのは、命だ!!」

 そういえばコミックス8巻とか10巻でも、遊戯は小学生みたいにすぐ命を賭けていた。
 著者も小学生の頃はよく命を賭けたものだが、なぜか今もこうして生きている。

「いいだろう! オレが勝ったら貴様のスターチップと命を頂く!」

【遊戯】スターチップ2個+命
【マリク】スターチップ8個

「先攻はオレだ! ドロー! 万力魔神バイサー・デス召喚!」

《万力魔神バイサー・デス》
★4 闇・悪魔族/効果 ATK500/DEF1200
このモンスターは3ターン
の間 無敵である

 テキストはコミックスの表記をそのまま掲載。
 無敵である。

「ターンエンド! ハハハハハ!」
「フッ……。マリク! 貴様に神を拝ませてやるぜ」
「何ィ!?」
「オレは手札からデビルズ・サンクチュアリを3枚同時発動!」

《デビルズ・サンクチュアリ》通常魔法
「メタルデビル・トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)を自分のフィールド上に1体特殊召喚する。
このトークンは攻撃をする事ができない。「メタルデビル・トークン」の戦闘による
コントローラーへの超過ダメージは、かわりに相手プレイヤーが受ける。
自分のスタンバイフェイズ毎に1000ライフポイントを払う。
払わなければ、「メタルデビル・トークン」を破壊する。

「デビルズ・サンクチュアリはラーの能力を封じこめるだけのものではない。このカードは神を呼ぶ魔の聖域!」
「バカな……。たった1ターンで神の生け贄を揃えただとォォ!?」
「メタルデビル・トークン3体を生け贄に捧げ、いでよ太陽神! ラーの翼神竜!」

 メタルデビル・トークン3体が、神のお(そな)えとなった。
 磯野家の玄関がなんか眩しくなる。まるでLED照明だ。
 このクソ狭い磯野家の玄関で球体状のラーの翼神竜が現れた。

《ラーの翼神竜》
★10 神・幻神獣族 ATK????/DEF????
精霊は歌う。大いなる力、すべての万物を司らん。
その命、その魂、そしてその骸でさえも。
(※公式のデュエルでは使用できません。)     Replica

「マリク! 今、ラーを戦闘形態にしてお前をブッ殺してやるぜ!」

 遊戯の言葉にマリクはニヤリと笑い、いきなり早口でお経を唱え始めた!
 いや、これはヒエラティック・テキストだ!

「な、何をやっているんだ、マリク!」
「プ……ククク……。ア――ッハハハハハハハ!!」

 ドン☆

遊戯【LP:100】
手札:2枚
モンスター:−
魔法&罠:−
マリク【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:2体
《ラーの翼神竜》ATK3900
《万力魔神バイサー・デス》ATK500
魔法&罠:−

「オレは最初からラーの攻略法を知っていたんだよ、遊戯!」
「ラーの攻略法!?」
「ラーの翼神竜はヒエラティック・テキストを唱えた者をお母ちゃんと認識し、忠実なるしもべとなる! ならば相手がヒエラティック・テキストを唱える前にこっちが唱えてしまえば、そのコントロールを奪えるってわけだ! ハハハハハ!」

「バ、バカな!? だったら海馬はバトルシティ決勝戦でデビルズ・サンクチュアリなんかをオレに託す必要などなく、ヒエラティック・テキストのお経を教えてくれるだけで、ラーの対策は完結していたというのか!?」

「そしてお前のライフはラーの効果で残り100ポイント!」

遊戯【LP:100】
手札:2枚
モンスター:−
魔法&罠:−
マリク【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:2体
《ラーの翼神竜》ATK3900
《万力魔神バイサー・デス》ATK500
魔法&罠:−

「オレのターン! ラーの翼神竜、遊戯を火葬してやれ! ゴッド・ブレイズ・キャノンッ!!」

 太陽神が口内から炎をゲロる直前、遊戯はくるりと回って背中を向けた。
 別に城之内も舞もいないのに。

「マリク! 貴様の憎悪と怒り、オレの背で受けてやる! だが、貴様はオレが闇に還してやるぜ!」

 太陽神は遊戯の戯言をかき消すように、容赦なく炎の鉄槌を下した。

「うああああああああああああっっ!!」

 炎が遊戯の全身を焼きつくし、磯野家の天井、壁、床が、めくれ上がるように破壊されていく。
 波平さんの盆栽も爆風に巻き込まれ、粉々に吹き飛んでいった。
 これは文字通りの大惨事。えらいこっちゃ。
 サザエさんやフネさん、タマは大丈夫だろうか。



遊戯【LP:0】

〜遊戯、スターチップ2個損失!〜
〜遊戯、命損失!〜
スターチップ所有数:2個→0個
現在の負債金額:500,000,000円(5億)



−次回予告−

杏子「マリクに負けたのに、開き直って生きることにした遊戯!
次に磯野家にやって来たのは、カードプロフェッサーの1人。
彼は自分のカードがOCG化していない事をいい事に、
オリジナルカード満載の新デッキで遊戯を翻弄する戦術を用意していたの!
それなのに、何の策も無くブラック・マジシャンを召喚する遊戯。
大丈夫なのかなぁ。

次回、瞬間の2話『ルナティック・マハード 〜狂気の黒魔術師〜』!

デュエルスタンバイ♪」





瞬間の2話「ルナティック・マハード 〜狂気の黒魔術師〜」

「ごめんくださーい!」
「遊戯く〜ん、悪いけど見てきて〜」

 サザエさんは居間で寝転がりながらテレビを見ている。
 愛憎のもつれ、嫉妬、不倫がドロドロに入り混じった昼ドラだ。
 遊戯はため息をつき、玄関へ向かった。

「敗者がここまでやってくるとはな!」
「んっ!?」

 彼は遊戯王R4巻にて登場したシーダー・ミール。ハイテックマリオネット使いという設定と、特に外見に特徴の無いカードプロフェッサーである。彼の登場と同時に鉄腕アテムに瞬殺され、遊戯王Rの中で最も扱いの悪かった男である。それだけに実力は未知数。一体、どんなデュエル戦術を用意しているのか。

「敗者復活戦があるとは聞いていないが、辿り着いたのなら無視出来んな!」
「…………」
「スターチップと5億が欲しいのなら、俺を倒」
























「どけ!!」

























 ――黒・魔・導(ブラック・マジック)
 遊戯はデッキから取り出したマハードをいきなり召喚する!
 黒き魔術師の瞳に映った男を、ブラック・マジックで焼き尽くした。

「うわあああ!」

 男は空き缶のように転がり、ぷすぷすと煙を出して気絶する。
 遊戯は男の落としたスターチップを拾い、舌打ちをして呟いた。

「ちっ、しけてやがるぜ」

〜遊戯、スターチップ4個ゲット!〜
スターチップ所有数:0個→4個
現在の負債金額:500,000,000円(5億)



−次回予告−

杏子「カードプロフェッサーを速攻で撃破した遊戯!
だけど浮かれてもいられないわ。
あなたは残り6個のスターチップと、5億を回収しなきゃいけないのよ!
そして遊戯に這いよる、カワイイ女の子! ちょっと遊戯! 誰なのよ、この子!?

次回、銀行の3話『這いよれ! ニャル子さん』

デュエルスタンバイ♪」





銀行の3話「這いよれ! ニャル子さん」

「ちわー! 三河屋でーす!」

 磯野家の勝手口から若い青年の声が聞こえてきた。
 遊戯とワカメちゃんはアイカツ!のカードトレーディングを中断し、勝手口へ向かう。

「誰だ貴様! この家にテレビは置いていないぜ!」
「NHKじゃないのよ、遊戯くん。この人は三河屋のサブローさん」
「ワカメちゃん、誰だいこの人?」

 遅れてフネさんが居間からやってきた。

「ごめんねぇ、サブちゃん。ウチはもうamazonとイオンで済ませることにしたのよ」
「そんなぁ〜」

 みんなが声を合わせてどっと笑った。
 遊戯は心底思う。この家族団欒の雰囲気。いいな。
 このまま磯野家で余生を過ごすのも悪くないのかもしれない。
 ……いや。それはできないんだ。自分にはやるべき使命がある。
 残り6個のスターチップを集め、5億を回収し、相棒の魂を取り戻さなければ。

「ごめんくださーい!」

 ついに来たか、と遊戯が走って玄関へ向かった。
 本日、磯野家を訪ねて来たのはこの男。

「久しぶりだな。小僧」
「お、お前は!」

 コミックス2巻の遊闘8「毒の男」で登場した、ジャンキースコーピオンのオーナーだった。
 風貌は20代後半から30代くらいで、サングラスに鼻ピアスをした男である。
 さて、勝負の種目はいかに?

「スニーカー in コインだ!」

 スニーカー in コイン。このゲームは同じく、コミックス2巻の遊闘8「毒の男」で登場したものである。作中でゲーム名は明かされなかったが、遊戯王キャラクターズガイドブック真理の福音にて名前が判明した。

 このゲームのルールは簡単。まずは1つのスニーカーの中に毒サソリ1匹と10枚のコインを入れておく。プレイヤーは交互にスニーカーの中にあるコインを抜き出し、より多くのコインを取った者が勝者となる。かわいそーだがペットのサソリちゃんをブッ殺してコインをひと握りするのもOKである。その戦術は遊戯曰く、「少々危険すぎる賭け」。

 とにかく、いかにも初期の遊戯王っぽいゲームだ。

「このスニーカーの中に俺のニャル子を入れる」
「ニャル子?」
「俺のサソリちゃんの名前だ。カワイイだろ?」
「あ、ああ……。こいつ、メスだったのか」

 遊戯はこの毒サソリに見覚えがあった。間違いない。あのときの毒サソリだ。
 そしてスニーカーの中へ入るニャル子。コインも10枚入れられる。

「小僧。スターチップはいくつ持っている? オレは5個だ」
「フッ。ならば、あんたには5個賭けてもらうぜ!」
「なんだと!?」
「足りない分は、俺の命だ!」
「おもしれえ。だがこのゲーム、コイン1枚につき10万てのはどーだ。こっちも商売でな!」
「OK、いいぜ。コイン1枚につき10万だ」

【遊戯】スターチップ4個+命
【オーナー】スターチップ5個
※勝利した者はコイン1枚につき10万円獲得。

「オレからいくぜ」

 スニーカーの中を見て、固唾を呑む遊戯。
 この暗闇にはニャル子が待ち構えているのだ。
 やられれば一発で双六のように病院送りとなるだろう。
 ニャル子に這いよられないよう、ゆっくり、ゆっくりと遊戯は手を伸ばす。

「(スニーカーの口がまるで人喰いザメの口のように見えてくるぜ……!)」

 人差し指に金属の冷たい感触。
 サッと素早く、1枚のコインを抜き取った。

「フー……まずは1枚」

 遊戯は1枚のコインを獲得した。
 次はオーナーのターンだ。半笑いでスニーカーの中へ手を伸ばす。

「まさか飼い主の手をかむようなマネはしねぇよな……」

 ガサ。ゴソ。
 こ、この音。この這いよるような物音はまさか。
 ニャル子はオーナーの手が入ってきた瞬間、容赦なくその毒牙を向けた!

「いてっ」

 オーナーは少し顔を歪めただけで、ほとんど動じていなかった。

「バカな!」
「へっ。俺はコミックス2巻で1度、ニャル子の毒を受けているんだ。もうニャル子の毒は効かねぇ」
「免疫力!?」
「その通り! そしてオレは予め、スニーカーのサイズを29.5にしておいた! もうコミックス2巻の悲劇は起こらない!」

 オーナーは一気に9個のコインを鷲掴みにし、手を引っこ抜く。

「ハハ――このゲームはオレの勝ちだ!! 小僧、90万円は払ってもらうぞォォォ!」

【オーナー】コイン獲得数:9個
【遊戯】コイン獲得数:−

「さあ、お前のコインを数えてみろ! たった1枚のコインをなァァァ!!」

 これはマジでヤベぇと感じた遊戯は千年パズルを怪しく光らせた。
 よって遊戯は思い出す。コミックス1巻での出来事を。

「なら望みどーりにしてやる! ついでにその顔に穴をあけてやるぜ!」

 遊戯がオーナーの顔面に向かって、全力でコインを投げつけた!
 コインはおでこにクリティカルヒットする。

「いてええ! てめえ、何しやがる!」
「この勝負、俺の勝ちだ」

 オーナーと遊戯の足元には、砕け散ったコインが散乱していた。

「コ……コインが割れて、“5000個”だとぉぉぉぉぉおおお!?」

 これはまさに、コミックス1巻の遊闘2「偽りの目」にて登場した、ZTVディレクターの必殺技!
 OCGプレイヤーにも結構有名な『サイコロが半分に割れて7の目だとぉ!?』のお話である。

「お前、コイン1枚につき10万と言ったな。5000個ならば5億だ!」
「ニャル子ォォォオオオオオオオオ〜〜〜〜〜!!」
「5億は東京中央銀行 童実野西支店 ムトウユウギの口座に振り込んでおけ」

〜遊戯、スターチップ5個ゲット!〜
〜遊戯、5億回収!〜
スターチップ所有数:4個→9個
現在の負債金額:0円



−次回の注目アイテム−

龍亞&龍可「なーにかな なーにかな? 次回は、これっ!」

《スーパーソウル・チャージ》
《触手》

《ヤケクソになった海馬》

《屈服》
《ローションプレイ》

龍亞「うわあっ! 何してるの、この人!?」
龍可「危ないわ。こんなことして……」






前進の4話「十六夜アキ 龍可 拘束おさわりヌルヌル触手責め イラスト」

 深夜2時。
 磯野家の部屋は全て消灯しているが、一部屋だけテレビの明かりがぽつりと照らしている。
 武藤遊戯と磯野家の男達は生唾を呑み、テレビの画面に釘付けになっていたのだ。
 画面はコミックス4巻の遊闘30「声をだすな!!」で登場したDEATH−T−2 ホラー・ゾーンを映している。
 そこではライド型アトラクションに2人の少女が座っていた。
 否、2人は座らされているのだ。

「私達をどうする気なの!?」

 2人の少女、十六夜アキと龍可の両腕は椅子に拘束され、身動きが取れない状態になっている。
 案内人が赤いボタンを押すと装置が作動し、少女の頬に生暖かい息が当てられた。

「あんっ!」

 アキがビクッと身体を震わせた。だが、こんなものはほんの挨拶に過ぎない。
 すかさず押される次のボタン。椅子から複数の手が現れ、アキの肢体のいたるところを揉みしだいた。
 全身を撫で回すように這ったり、やわらかい膨らみに指を食い込ませる際には強弱がついている。
 痛みなどはない。むしろ愛情さえも感じさせる、女を悦ばせるための愛撫。
 アキはそんな事実を否定するかのように懸命に堪え、唇を噛み締めている。

「このムチムチ感。たまらないなぁ!」

 と、カツオが画面を見ながら呟く。タラオもそれに続いた。

「アキねーちゃん、いいカラダでーす!」
「カツオくんとタラちゃんは若いねぇ。やっぱりロリロリな龍可ちゃんだよ」

 マスオさんがそう言うと丁度、画面が龍可のシーンへと変わった。
 アキと同じように、複数の手によるイタズラを受けている最中だ。
 龍可は小柄な身体を必死によじらせて嫌がっているが、鉄の拘束具はぴくりとも動かない。

「や、なにっ!? 冷たいっ!」

 突如、龍可の露出した太腿に透明の粘液が注がれた。
 服のわずかな隙間からも粘液が注入され、手は休むことなく女体を動き回っている。
 サンオイルとは違う、淫らな液体を全身に塗り込まれた少女は戸惑いを隠せない。
 未成熟な少女の肢体は今にも開花しようとしているのだ。

「ロリの本当の良さは大人にならないと分かりませんよねぇ、お義父さん」
「左様」

 波平さんもその意見に同意する。さすがだ。
 テレビの画面は2人の少女を同時に映し出した。
 瞳は潤み、熱い息を洩らしている。抵抗する力などもう残ってはいない。
 だが目の前のモノを目にして、朦朧としていた意識を取り戻した。

「っ! やめなさい、そんなっ!」
「だめっ、だめっ!」

 2人の少女の眼前には、粘液を覆った桃色の触手が(うごめ)いていたのである。
 ヘビのような触手には足つぼマッサージ機を髣髴とさせる細かいイボイボがびっちりとついている。
 イソギンチャクのような複合型の触手は汁を飛ばして激しく動いており、今にも飛びついてきそうだ。
 そして触手は檻から放たれた猛獣のようにアキと龍可へ向か

「ごめんくださーい!」

 磯野家の玄関扉が開けられた。まさに現実に戻ってしまった瞬間。
 あまりに空気の読めない訪問に、男達の怒りの導火線に火がついた。

「バカもーん!! 不届き者を始末してこんかー、遊戯ー!!!!」

 波平さんがブチ切れ、遊戯も怒りを露わにして立ち上がる。

「おう! 行くぜ、タラちゃん!」
「行くですー!」

 玄関へ向かう遊戯とタラオ。深夜なので廊下の電気をつける。
 待ち構えていたのは意外な人物だった。

「あ……こんにちは。北森玲子です」
「この女も結構いいカラダでーす!」

 彼女は北森玲子。遊戯王Rの3巻にて登場したキャラクターだ。

 作中のデュエルでは、デッキ破壊の戦術を用いて城之内を翻弄するものの、土壇場で城之内が「ドキドキ」とか「ビクビク」とか「ビンビンに感じるぜ!」といった言葉のセクハラ攻撃を繰り出して玲子に揺さぶりをかけ、デュエルでバトルを行なう楽しさを説き始める。従わなければ城之内にエッチなことをされそうだったので、仕方なくバトルを行なっ……たら負けてしまったという、とても可哀想な女の子である。実は眼鏡っ娘。

「えっと。私はスターチップを9個持っていて、遊戯さんも9個だから、お互い1個賭けですよね?」
「いや。お互い9個全てを賭けてデュエルだ」
「どうしてですか?」
「王国編ではオレがスターチップを10個集めたのにも関わらず、海馬に横取りされた前例がある。一応10個以上集めておくぜ!」
「……ごめんなさい。私は1個でいいので、その条件はお断りします」
「だったらオレのカラダも賭ける! 好きにしていいぜ、朝まで」
「えっ!」
「そう喜ぶな。オレのカラダのシャッフルは玲子ちゃんが勝ったあと。デュエルだ、玲子ちゃん!」
「まっ、私はそんなのいらな……」

【遊戯】スターチップ9個+カラダ(朝まで)
【北森玲子】スターチップ9個

「俺のターン! ドロー!」
「遊戯にーちゃん、手札事故でーす!」

 嬉々とするタラオ。確かにこれはひどい。

【遊戯の手札】
《ラーの翼神竜》★10
《賢性−ネイキッド・ブラック・マジシャン・ガール》★12
《ブラック・マジシャン》★7
《磁石の戦士マグネット・バルキリオン》★8
《バフォメット》★5
《暗黒魔族ギルファー・デーモン》★6

 遊戯のデッキはボクシングで例えると590ポンドくらいはある。
 たまには手札事故だってやっちゃうときもあるのだ。

「私のターンですね。ドロー! 私はスーパーソウル・チャージを発動。パペット・キング3体を特殊召喚します!」


《スーパーソウル・チャージ》通常魔法
(1):自分の手札・デッキ・エクストラデッキ・墓地・ゲームから
除外されているモンスターを任意の数だけ特殊召喚する。
《パペット・キング》
★7 攻撃力2800/守備力2600
OCGではよくわからん効果を持っているモンスター。

「こ、これは、ワンターンキル!?」

遊戯【LP:4000】
手札:6枚
モンスター:−
魔法&罠:−
北森玲子【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:3体
《パペット・キング》ATK2800
《パペット・キング》ATK2800
《パペット・キング》ATK2800
魔法&罠:−

「パペット・キングで遊戯さんに直接攻撃です!」
「ぐわあああああああああっ!」

 パペット・キングの放った電撃が遊戯をBelieve×Believe(ビリビリ)と痺れさせる。
 まるで原田フトシくん。シビれるぅ〜!

遊戯【LP:4000→1200】

「次の攻撃で終わりです」

 遊戯は自問自答する。
 オレが……負ける……?
 オレが負けたら、相棒の魂を救うことができない。
 賭けたスターチップは9個。負ければ全てを失ってしまう。
 待てよ。玲子ちゃんならお願いをすれば、1個にまけてくれるかもしれない。
 いや、そんなことはできない。オレにも世間体がある。
 この状況、どうやって打破するか。
 今回もマジでヤベぇと感じた遊戯は、千年パズルを怪しく光らせた。
 よって遊戯は思い出す。そうだ! ヤケクソになった海馬!


スゴイぞー!カッコいいぞー!


 これはキャベツのほうの海馬。
 こっちではないほうの、ヤケクソになった海馬だ。

「玲子ちゃん」
「な、なんですか?」
「今の攻撃でオレは2800ポイントのライフを失った。そこでこの地面のマス目ひとつをオレのライフポイント100と定め、失ったポイント分のマス目の数だけ歩を前進させていく」
「どうしてそうなるんですか!?」

 遊戯は一歩一歩、少しずつ玲子に近づく。

「や、やめて! それ以上近寄らないでくださいっ!」

 玲子は慌てて振り返り、磯野家の玄関を開けようとするが、なぜか扉の鍵がかかって開かない。
 ボス戦は大概、逃げられないのだ。

「オレはあと24歩、前進する」

 遊戯の眼はまさに野獣。ビーストアイズ・ペンデュラム・ユウギだ。
 玲子は恐怖で悲鳴を上げそうになった。そして両眼を瞑り、絞るような声で呟く。

「……サレンダー……します……」
「オレの勝ちだ。玲子ちゃん」

 遊戯は勝った。まさに決闘王の記憶が生み出した勝利。
 あのときのヤケクソになった海馬の戦術がなければ、今日の勝利はなかっただろう。
 見事5億を回収し、スターチップを18個も集めた遊戯。
 ついにラスボスだ! がんばれ遊戯! 負けるな遊戯!

「ああっ! オレは必ず勝つ! じーちゃんの名にかけて!」


 ほっほっほ……。


〜遊戯、スターチップ9個ゲット!〜
スターチップ所有数:9個→18個
現在の負債金額:0円



−今日の最強プレイ−

十代「今日の最強プレイは、十六夜アキと龍可の拘束おさわりヌルヌル触手責め!


【※妄想でお楽しみ下さい。】

世の中にはまだまだ色んな性癖があるんだぜ。
そう思うと、なんかワクワクしてくるよな。ガッチャ!」




十三の5話「          」

「ごめんくださーい!」

 ついに磯野家の玄関扉が開かれた。
 これがラストバトルだ! 遊戯!

「お前は……!」
「テメェだけは許せねえんだよ」

 シーダー・ミールだった。
 彼の全身からは怒りと哀しみの闘気が溢れていた。
 しかし表情はどこか穏やかでもある。
 遊戯と真剣勝負がしたい。ただそれだけの純粋な渇望なのか。
 サブタイトルに刻まれた「十三」の文字。
 遊戯王Rでも登場するカード・プロフェッサーは13人。
 シーダー・ミールは13番目に登場した正真正銘の“最後の敵”なのだ。

「オレの実力を本気のデュエルで見せてやる! 武藤遊戯!」

 遊戯はデッキから光の創造神 ホルアクティを反転召喚し、「どけ!!」の一言でシーダー・ミールを空き缶のように転がすと、彼はぷすぷすと煙を出して気絶した。

「ごめんくださーい!」

 ついに磯野家の玄関扉が開かれた。
 これが真のラストバトルだ! 遊戯!

「お、お前は、磯野!?」

 彼はバトルシティ編で審判を務めた磯野だ。
 よって、遊戯王のほうの磯野だ。
 つまり、サザエさんではないほうの磯野だ。

「私はただの審判です」
「どういうことだ!」
「最後の対戦相手は、私よ」

 磯野の隣に1人の女子高生が並んだ。
 このド派手なピンク色の制服は紛れもなく、童実野高校のものだ。
 ピンク色の制服なんて、エッチなゲームでもそうはない。
 遊戯は彼女を上から下まで眺める。
 遊戯王っぽくない普通のショートヘア。胸の主張も控えめ。
 どこからどう見ても、ただの女子高生と呼ぶのが相応しい容姿だ。
 少なくとも決闘王の記憶にはない。

「貴様、何者だ?」
「ふふっ。覚えていないのも無理はないわね。私は谷川久美子」

 谷川久美子。彼女が登場したのはコミックスの5巻の遊闘41「“恋”を見つけよう!!」だ。姿こそ登場していないが、学力テストの発表で13位だった女子高生。まさに遊戯王における「十三の女」。よって彼女は本作のオリキャラではない。立派な原作キャラクターだ。手元にコミックス5巻がある人は確認してみて欲しい。

「遊戯王くん。私はあなたにゲームを挑むわ!」
「俺にゲームを挑むとはいい度胸だ。受けて立つぜ!」
「ルールは簡単。国・数・英・理・社の5教科の総合得点の高かった方が勝ちよ!」
「何っ!? 学力テストだと!?」
「あなた、遊戯王って呼ばれているんでしょ。受けてくれるわよね?」

 さすがに遊戯は内心焦った。最終話が学力テストなんて聞いていない。
 だがゲームを受けて立った以上、もう逃げることはできなくなった。
 コミックスでもアニメでも童実野町の住民はみんなノリがいいのだ。
 童実野町の戸籍を持っている以上、挑まれたゲームは受けなければならない。
 それが市長の意志。さからえない。

「遊戯王くん、あなたは私に勝てない。絶対に。その理由は3つあるわ」
「……!?」
「1つ。あなたは今まで奇抜な発想で相手を言いくるめ、あらゆるゲームに勝ってきた。だけど学力テストの前ではそんな発言も行動も許されないし、オカルトグッズパワーも学力テストの前では無意味。学力テストは己の教養のみが物をいう冷徹な世界なのよ」
「くっ!」
「2つ。コミックス5巻の学力テストで私は13位。遊戯君は372位。これの意味することが分かるかしら? そしてあなたはテストに備えて勉強は全くしていないし、一方で私は万全の対策をしてきた」
「くっ!」
「3つ。私は進研ゼミで勉強した」
「バカな!! 進研ゼミだとっ!?」

 なんと、谷川久美子は進研ゼミで勉強をしていたのだ!

 進研ゼミを始めれば72点くらいだったテストが100点満点になり、塾に通っているライバルとは大きな差をつけ、部活ではエースになり、かわいい彼女もできて、しかも志望校にも受かると言われている、あの伝説の進研ゼミ。遊戯はゼミ漫画のワンシーンを思い出した。

 お母さん! オレ「ゼミ」やりたい!
 ゼミ? 一人でやりきれるの?

「オレに……勝ち目は……ない……」

 腰の力が抜け、地面に膝をつける遊戯。
 とにかくテストが難しい。国・数・英・理・社が特にムズい。
 体育も平均以下。得意ではないが、好きなのは図工くらいだ。
 遊戯は思う。たとえば、その紙に正解を書けたとして、1年先、10年先、変わる?

「遊戯選手、谷川久美子選手! 両者、席について下さい!」

 3人はカツオとワカメの部屋へ移動した。谷川久美子はカツオの机につき、遊戯はワカメの机につく。
 女子小学生の座った椅子はなかなかの座り心地だな、と遊戯が思っていると磯野が問題用紙を机に置いた。
 もちろん裏側だが、印刷された黒文字が若干透けて見えている。
 これなら……! 遊戯はこの危機的状況を打開する策をもう思いついたのだ。

「審判! この紙、名前の記入欄がないじゃない!」
「はっ。これは失礼しました。では名前は書かなくても、0点にはならないということで」

 遊戯に戦慄が走った。谷川久美子が名前の記入欄がないことに気がつかなかった場合、遊戯は自分だけ名前を書いておいて、「お前は答案用紙に名前を書いていないから0点だ」とゴリ押しするつもりだったのだ。

 おそるべし。谷川久美子。

「テスト開始ィィィ!!」

 谷川久美子は凄まじい勢いで用紙をめくった。
 シャープペンシルが走るような速度で紙に筆記されていく。

「あっ! ここ、ゼミで出た問題だわ!」
「くっ!」

 一方で遊戯の手は重かった。
 これが進研ゼミをやった者と、やっていない者の差と言えよう。

「…………」

 そして、いつの間にか残り10分。
 谷川久美子の手も止まっており、回答の確認フェイズに入ったらしい。
 コチ、コチ、と時計の静かな音だけが部屋で鳴っている。
 遊戯は暇だったので問題用紙の白い部分を使ってイラストを描いたり、オリカを妄想していた。
 こんなことをしている場合ではない。このままでは確実に負けてしまう。
 千年パズルを怪しく光らせても、何も思いつけなかった。
 そうか。これまでは過去の戦術を流用していたのだ。
 今回は新しい発想で切り抜ければならない。
 この状況を打開する唯一無二の手段。
 考えよ。さすれば道は開かれる。
 残り時間は10秒。
 遊戯は鉛筆を取り、書く。そして――。

「時間です!」

 国語のテストが終了した。チャイムが鳴り、緊張が解けるあの瞬間である。
 同じ要領で数学、英語が終わった。もう遊戯に焦りはない。
 谷川久美子の目には遊戯が開き直ったように見えたが、彼女は決して油断をしない。
 常に全力。それが谷川久美子の座右の銘なのだ。
 あっという間に理科と社会も終わった。

「それでは採点結果を発表します」

 緊張の一瞬。

「谷川久美子。総合得点92点!」
「なっ!? ウソ、なんでそんなに低いの!? あり得ない!!」
「武藤遊戯。総合得点500点!」
「なっ……なっ……? なんで!」

 谷川久美子は磯野から答案用紙を取り上げ、解答欄を確認する。
 自分の書いた答案用紙は全てが正解だった。
 一体どうなっているのか。

「谷川久美子。お前の回答用紙はそっちじゃないぜ」
「こ、これは……!」

 谷川久美子は自分が書いた記憶のない解答用紙の上部に目をやる。
 そこには「谷川久美子」と名前が書かれていたのだ!

「なっ、なんで私の名前を書いたのよ!」
「ん? オレは何も書いていないぜ」

 すっとぼける遊戯王くん。
 これは、なんという、おとぼけオポッサム!

「か、仮に私がこっちだったとしても、遊戯王くんは名前を書いていないんだから0点よ!」
「磯野が最初に言っただろう。名前の未記入は0点にならないってな」
「で、でも私の名前を書いているのが私の答案用紙と証明するのなら、この解答用紙が遊戯くんのであるという証明をしなければ成立しないわ! あっ、そうだ! 筆跡鑑定をすれば」
「おっと、この解答用紙は紛れもなくオレのものだぜ! なぜなら――」


 遊戯は椅子から立ち上がり、コミックス37巻の遊闘333「王の名のもとに!!」にて、自分の氏名をゾークやエジプト市民の皆様に自己紹介をしたときと全く同じポーズを取った。


「オレは、名も無きファラオ!! アテムだ!!」


 ドン☆
 そういえば遊戯は“名も無きファラオ”だったのだ。
 吾輩はアテムである。名前はまだ無い。
 つまり答案用紙に名前を書かなくても、彼は名前を書いていることになるのだ。
 アテム。遊戯。闇遊戯。王様。名も無きファラオ。遊戯王。
 彼には72通りの名前があるから、なんて呼べばいいのか……。
 がっくりと膝の折れる谷川久美子。彼女の完全なる敗北だ。

「あっ……あっ……」
「オレの勝ちだ。谷川久美子」

 遊戯は勝った。
 人類を脅かすデスゲーム、学力テストでも勝利を収めた。
 学力テストと言えど所詮はゲーム。人生のあらゆる物事はゲームなのだ。
 彼こそまさに遊戯王。そこで突如、磯野家の固定電話が鳴る。
 磯野がその電話を取った。

「その声は凡骨(じょうのうち)様? ご用件は一体」

 遊戯は耳を澄ます。
 電話越しで城之内の声が微かに聞こえるが、内容までは分からなかった。

「……。瀬人様はお忙しいので、またのご機会に」








 
遊戯はまだ知らない。城之内もまた、別の場所で戦っていたことを。
 遊戯はまだ知らない。海馬もまた、別の場所で戦っていたことを。
 そして我々はまだ知らない。全ての戦いを知っている、たった1人の人物のことを。








1作目、「城之内克也 怒りの決闘」。
2作目、「海馬瀬人 哀しみの決闘」。
3作目、「武藤遊戯 喜びの決闘」。








 ついにシリーズ完結作!! そのタイトルは――。



















真崎杏子16歳 楽しみの決闘



















遊戯は見事、スターチップを10個集め、5億を回収した。
この後、相棒の魂も無事に取り戻すことができた。
僕も、カタツムリも、オオアリクイも頑張る。
だからキミも。
キミが頑張れば、僕はもっと頑張りたい。
だからキミも。
スニーカー in コインに。
学力テストに。
デュエルに。
いや、全ての物事に。
4作目はネタが思いつき次第、そのうち書くと思うので――































































































































武藤遊戯 喜びの決闘



〜完〜









戻る ホーム