石盤は、どこかで見たことのある形をしていた。
(これは、王の記憶の石盤……)
それは、クル・エルナ村の地下神殿にあった王の記憶の石盤にそっくりだった。
1年前を思い出す。
遊戯とファラオの闘いの儀、その後、千年アイテムもろとも王の記憶の石盤は永久に封印されたのだ。
私の目の前にある石盤、それは、王の記憶の石盤そのものではない。レプリカだ。本物よりも一回り小さく、レリーフの彫り込みも浅い。
そして、千年アイテムをはめ込むためのくぼみが、カードをはめ込むためのくぼみに置き換わっていた。
(ここに、7枚のカードをはめるのでしょう)
墓泥棒は、この石盤に7枚のカードをはめて、何かを得ようとしているのだ。
「あれは……?」
石盤をよく見ると、一枚の紙が置かれていることに気付いた。
拾い上げて、読む。
イシズ・イシュタール様
イシズ様、よくぞ遺跡にいらしました。
私は、あの墓泥棒です。
さっそくですが、イシズ様には、千年タウク、千年リング、千年パズル、千年秤、千年錠、千年眼の6つのカードを集めて頂きます。
必要なカードは全部で7枚ですが、私がなんとかして千年ロッドのカードを手に入れました。ですので、集めていただくのは6枚のカードで結構です。
6枚のカードを集めたら、石盤のくぼみにそれらのカードをはめてください。
そして、合言葉を唱えてもらいます。
合言葉は、カードを集めていけば分かります。
カードの裏面に、アルファベットが書かれているはずです。
そのアルファベットを前から読んだものが合言葉となるのです。
それでは、よろしくお願いします。
墓泥棒からの置き手紙だった。
それにしても、墓泥棒は、一向に私の前に姿を現そうとしない。慎重に行動しているのか、それとも何か別の意図があるのか、私には分からなかった。
腑には落ちなかったが、マリクの命がかかっている以上、私はおとなしくカードを集める他ない……。
私は石盤を離れて、今いる広間を見渡した。
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