目が慣れてくる。
あたりを見渡すと、5メートル四方の小さな空間に、テーブルと椅子だけが置いてあった。
それ以外には何もない部屋だった。
だが、この部屋を照らす黄色の光、この光源だけが分からなかった。
まるで、部屋じゅうの床、壁、天井から光がにじみ出ているようだった。
「ヒャヒャヒャ! 来たな!」
テーブルと椅子だけしかない部屋から声が聞こえてきた。
周りを見渡すが、誰の姿も見当たらない。
「ヒャヒャヒャ! 誰を探してるんだ?」
「え?」
私が一瞬テーブルから目をそらした隙に、テーブルのところに男の姿が現れていた。悠々と椅子に座っている。
たった一瞬で姿を現すとは……やはりただ者ではないのだろう。
そして、テーブルと椅子。突如現れた男。
千年眼のカードを手に入れるためには、この男にデュエルで勝つ必要があるに違いない。
「分かっているじゃないか……」
男は唇の端を吊り上げ、ニヤリと笑った。
テーブルの上には男のものと思われるデッキが現れていた。
「そうさ! 千年眼のカードが欲しけりゃデュエルで勝て! だが、てめえ程度の奴が、このオレ様に勝てるとは思えねえがな!」
ヒャヒャヒャと下品な笑いを飛ばす。
「……勝てるかどうかは、やってみなくちゃ分からないでしょう?」
私がそう言うと、男の表情が変わる。
「くっ! その口をすぐに叩けなくしてやる!」
(このような者に負けてたまるものですか!)
私の中の闘志に火がついた。
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