日の光の届かない遺跡の地下が、急に明るくなった。

 私は目を細めて眩しさに慣れる。
 再び目を開けた時、そこには男が立っていた。

「我は遺跡の守護者。資格なき者はここで朽ち果ててもらおう」
 男は、黒装束をまとっており、顔がよく見えない。少なくとも墓泥棒とは思えなかった。もしかしたら、この男は現代を生きる人間ですらないかもしれない。

 男は、広間の中央に置かれた石でできたテーブルへと歩き出した。
 そして、黒装束の裾からカードの束を取り出しながら、テーブルの前に置かれた椅子に座った。

「遺跡を探索したくば、我を倒せ。だが、我に負ければ、それはすなわち死を意味する」
 男はそう言った。

 リシドの言葉を思い出す。
 彼は、「遺跡の中では、戦いは避けられません……」と言っていたのだ。

(この男を倒さなければ、遺跡を探索することすら叶わない)

 私は、リシドから受け取ったデッキを手に、テーブルへと歩み寄った。

「勝負……」
 私は、男に向かってそう言った。



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