城之内克也 怒りの決闘

製作者:kunaiさん














ある晴れた日の午後。
















本田ヒロト死す。











自慢の角刈りが形状変化するほどの、世にも怖ろしい究極のデュエル。








「本田ァ!」








「城之内……オレはここまでだ……」








倒れる本田。怒りに震える城之内。








城之内を待ち構える人物とは一体?
そして、その者に召集されし四天王。







始まる最終決闘。





「覚悟しやがれ! オラァ!」





怒りの青いイナズマがここに降り注ぐ。








????【LP:77500→0】







城之内は一切、オリジナルカードを発動しない。





ライフポイント以外、全てOCGのルール基準。



その上で城之内の使用するカードは
OCG化済みの通常モンスター以外、原作・アニメで使用した鮮度抜群のカードを厳選。





果たして城之内はどんな方法で



ライフポイント77500のプレイヤーを






「一撃」で粉砕したのか!?











一撃の1話「王家の谷を荒らすな! シャーDの激怒」

 城之内は走っていた。
 息も絶え絶え状態になりながら全力疾走で向かう。花咲宅の前を通り過ぎたので目的地まであと少しだ。しかし、ここまで来たら逆に面倒になって来るもの。城之内はおでこに指を当てて目を閉じてみる。本来ならばこれで瞬間移動が出来るはずだが、城之内には出来なかった。
「待っていろよ、本田!」
 彼が走っている理由、それは丁度10分前。童実野高校の校門前で起こった事が原因だ。



「どういう事だテメぇら!」
 城之内は、白いバンダナをした目つきの悪い不良の胸倉を掴んで叫ぶ。隣にいた2人の不良が城之内の腕を振り解こうとしていた。彼らの初登場は遊戯王原作3巻。花咲君のパパを恐喝していた「不良×3」だ。
「お、俺達は言われた通りにやったんだよ!」
 不良から手を離すと、3人は退散と言わんばかりに消えていく。一体どういう事だ。城之内は渡された挑戦状をもう1度確認する。







その1。なぜ本田は捕まったのか。オレを誘き寄せるための単なる人質目的なのか。それともオレと本田の両方に恨みがある人物なのか。だがオレにしろ本田にしろ、既に悪い事から足を洗った。最近はもう恨まれるような事はしていない。

その2。「お前の友達はあずかった」と書き、「友達」のフリガナに「本田」と書いてしまったら「お前の本田はあずかった」と読まなければならなくなる。本田は友達だが、本田はオレの本田ではない。気持ち悪い書き方をすんじゃねぇ。

その3。誤字がある。城之「内」ではなく「肉」になってやがる。単純なミスなのか、それともわざとなのか。どちらにせよ、これはVジャ●プ級の誤植。絶対に許せない。

その4。「ボンコツ」だけ達筆で書いてんじゃねーよ!

 走りに走った城之内は、ついに童実野橋に到着する。この隣にある不良の溜まり場のような場所が目的地だ。さすがに息切れしている状態だと格好が悪いため、少し息を整えてから歩いて向う。壁にはカラースプレーでドクロマークが描かれていた。どうせここに来た不良どもが描いた物に違いない。その事もあったからなのか、そこにはあまりにも意外過ぎる人物が待っていた。

 いや。
 マジで?

 頭の片隅から情報をほじくりだして考えるんだ。そもそも名前、合っているだろうか。しかしこのまま黙っていても事は進まない。城之内は自信無さげに問いかける。
「吉森教授?」
「あ、城之内君! 久しぶりだね!」
 新品の人工歯を輝かせ、双六爺さんより一回りほど若い男性が笑って迎えた。彼は吉森教授。原作での初登場は2巻。エジプト考古学者である。王家の谷を詮索した事によりシャーディーから怒りを買い、ゾンビのような姿にされて操られる。遊戯達の手により意識は取り戻したものの、歯がほとんど抜け落ちてしまったのだ。
 だが、それとこれとは別だ。城之内はついカッとなって叫んだ。
「なんであんたが本田を連れ出したんだよ!」
「え? いや、私はただデュエルをしてくれと言われたんだけど……」

 吉森教授は城之内に説明を始めた。
 自分は謎の男から声を掛けられ、城之内とここでデュエルをして欲しいと頼まれたのだ。城之内は吉森教授と戦い、試合終了後に次の場所が明かされる。その場所には2人目が待ち構えており、同じように全ての四天王と戦わなければならない。そして最後に行き着く場所こそが、城之内へ挑戦状を叩き付けた人物と本田のいる場所という事だ。
「ちょ、ちょっとタンマ! 教授の歯を折ったのはオレじゃないって!」
 確かに原作3巻の巻頭では杏子が地球儀で吉森教授殴ったため、教授の歯は3本折れた。しかし言い訳めいた城之内本人もちゃっかり折ったのだ。しかも4本も。そうなれば、大の大人が女子高生を恨むのはやや大人気ない。恨むならやはり城之内へ矛先は向いてしまうだろう。
 だが吉森教授は笑って「違う、違う」と言った。
「私はただゲームを楽しみたくて。でも、こんな事になっているとは思わなかったんだ」
「だったら教授、早く次の場所を教えてくれよ」
「う〜ん、せっかくだから私のレアカードだけでも見て行かないかな。もちろんデュエルで」
 城之内は迷った。殺されかけたとは言え、歯を4本も折ってしまったのだ。その矢先に断わるのは何だか申し訳ない。なんてオレは心優しいんだと心の中で思った。それより何より、挑まれたデュエルから逃げるわけにはいかない!
「いいぜ教授! でもオレはバトルシティでベスト4に残った腕前。本気でかかって来いよな!」
「それは楽しみだ。ではデュエル!」
 不良の溜まり場で考古学者と高校生が戦う、意味不明のデュエルが今始まる。

城之内【LP:4000】
吉森教授【LP:4000】

「オレは強欲な壺を発動! デッキからカードを2枚引くぜ!」
「しょ、初手からそんなカード!? 手札事故かい?」
 なんてこった。
 初手で強欲な壺を使ったら手札事故なのだろうか。
 遊戯王Rの2巻では「天使の施し」が手札事故と言われていたが……。
 城之内は大人の意見を取り入れ、少し賢くなったような気がした。

【強欲な壺】 通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ひく。ひいた後で強欲な壺を破壊する。

 手札からカードを3枚取り、1枚をデュエルディスクに差し込む。
「いくぜ! オレは融合カードを発動! 手札の炎を操る者、伝説の剣豪MASAKIを融合。融合デッキから炎の剣士を融合召喚!」
 深緑色の鎧を着たマサキさんは目からビームを放ち、炎を操る者をチョコレートに変化させる。それを食した瞬間――マサキさんは全身の穴から怪しげな炎を出し、見る見る姿を変えていく! 炎の闘気が全身を包み、筋肉が増強され、手にした刀は巨大化した大剣となっていく。刃の中心に大きく「炎」と刻まれた瞬間、炎の剣士となったマサキさんは雄叫びを上げた。
『ソォォオオオオオーーーーーーーイ!!』

【炎の剣士】
★5 炎属・戦士族 ATK1800/DEF1600
「炎を操る者」+「伝説の剣豪MASAKI」

 不思議だ。
 城之内はまるで、定価で買ったゲームソフトが3日後にワゴンセールで出ているのを見たような気持ちになった。炎の剣士は融合モンスターだったのか。何とも言えない、胸を刺す深い悲しみのような違和感に駆られていた。確か王国編ではオレのピンチを何度も救ってくれたよな、炎の剣士。本人に聞いてみようか。うん、それがいい。城之内は真横にいる炎の剣士へ声を掛ける。
「炎の剣士、おめーは通常モンスターだったよな?」
『チガイマス。ちなみに私のデッキマスター能力は、私の攻撃力を他の味方モンスターに100単位でpresent(プレゼント)する事が出来ます』
「そっ……そうだったな。そういえば。リバースカードを1枚セットして、ターン終了だ!」
 吉森教授は不慣れな様子で決闘盤からカードを引き、あっ、と声を上げてから呟いた。城之内は気になって教授と顔を合わせる。
「城之内君、私の勝ちだ」
「へっ!?」
 そんなバカな。遊戯にだって2ターン目でライフを0にされた事は今まで無かった。それを吉森教授が、しかもたった1枚のドローカードで出来る訳がない。吉森教授は手にしたカードを召喚する前に、それを城之内に見せる。

【封印されてないエクゾディア】
★3 闇属・魔法使い族 ATK1000/DEF1000
このカードの召喚に成功した時、自分の勝利が確定する。

 それがデュエルディスクにカードを置いた瞬間だった。空気が一変して邪悪な雰囲気が漂う。吉森教授の背後から五芒星が現れ、巨大な右腕・左腕・右足・左足、そして本体と徐々に姿を見せる。その究極たるモンスターの前に立ち尽くす城之内。ふと、ラーの翼神竜によるゴッド・フェニックスを喰らう寸前の事を思い出した。
「ふざけんな……。オレが負けたら……本田が……本田が遠のいちまうだろうがあぁあああーーーー!」
 果たしてこのカードを攻略するカードが城之内にはあるのか!
 ヒントはこの地球上のどこかに転がっているぞ!

城之内【LP:4000】
手札:3枚
モンスター:炎の剣士(ATK 1800)
魔法&罠:セット1枚
吉森教授【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:封印されてないエクゾディア(ATK 1000)
魔法&罠:無し



−次回予告−

杏子「吉森教授にエクゾディアを召喚されてしまった城之内!
あんた、こんな所で負けたら本田はどうすんのよ!?
まだライフポイントとカードがあるなら逆転出来るよね?
死なないで、城之内!

次回、無効の2話『城之内死す』

デュエルスタンバイ♪」




無効の2話「城之内死す」

【封印されてないエクゾディア】
★3 闇属・魔法使い族 ATK1000/DEF1000
このカードの召喚に成功した時、自分の勝利が確定する。

 業務用の瞬間接着剤を使用し、ついに完全体となったエクゾディア。
 エクゾディアはウォーミングアップと称し、城之内に戦いを挑む。しかしフィールド上には既に召喚されてしまい、落とし穴を発動させるタイミングも見逃してしまった。城之内は絶体絶命のピンチに追いやられ、敗北してしまうのか。
「なーんてな!」
「えっ?」
 城之内は悠然として笑っていた。
 そんなバカな。
 一体どうして!
 エクゾディアの効果が発動し、吉森教授の勝利は既に確定しているはず。
「教授! そのカード、よ〜く見てみな!」

【封印されてないエクゾディア】
★3 闇属・魔法使い族 ATK1000/DEF1000
このカードの召喚に成功した時、自分の勝利が確定する。

「城之内君……。これ、通常モンスター! 効果モンスターなんかじゃない!」
 そう! この「封印されてないエクゾディア」は実は通常モンスターだったのだ! よく見ると、カードはオレンジ色ではなくバニラ色をしている。
 ではなぜ、効果モンスターと思い込んでしまったのか。作者の作品は今まで通常モンスター・効果モンスターに関わらず上記の書き方をしていたのだ。そんな事は当然である。通常モンスターならばテキストは効果モンスターのように書かれていない。しかし、それは誰がいつ当然と定義したのか。もし今後、今回のような効果モンスターテキストのように書かれた通常モンスターがOCG化してしまったらどうする?

 ハッキリ言ってややこしい!!

 よって今後は、効果モンスターにはきちんと「効果」と表記させて頂く事にします。融合や儀式も同じです。今まで曖昧にしていて、ごめんなさい。
「オレのターン! リバース発動、サラマンドラ! 炎の剣士の攻撃力を700上げるぜ!」
 大剣となったマサキさんの刀、贄殿遮那(にえとののしやな)に炎の竜が宿り攻撃力が超上昇する。マサキさんのテテテテテテテテテテテンションは最高潮に達するるるるるる。

【サラマンドラ】 装備魔法
炎属性モンスターの攻撃力は700ポイントアップ!

【炎の剣士】ATK1800→ATK2500

「さらに、おろかな埋葬を発動! デッキから人造人間−サイコ・ショッカーを墓地へ送るぜ!」
 嫌がるサイコ・ショッカーを何者かが容赦なく土を被せて生き埋めにする。大地からはピクリとも反応がなくなる。ただの屍のようだ。
「装備魔法、早すぎた埋葬! いでよ、サイコ・ショッカー!」
 地面から腕が飛び出し、そこからゾンビのようにサイコ・ショッカーが蘇った。現世に生き返れた事がよほど嬉しいのか、両手をクロスさせて雄叫びをあげる。
『ウィィィイイイイッーーーシュ!』

城之内【LP:4000→3200】

【早すぎた埋葬】 装備魔法
800ライフポイントを払う。自分の墓地からモンスターカードを1体選択して攻撃表示でフィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。

【人造人間−サイコ・ショッカー】
★6 闇属・機械族・効果 ATK2400/DEF1500
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いに罠カードを発動する事はできず、フィールド上の罠カードの効果は無効化される。

「行くぜ! サイコ・ショッカーでエクゾディアを攻撃! 電脳(サイバー)エナジーショック!」
「おわああ!」
 超能力攻撃により、エクゾディアは燃焼系・燃焼系・アミノ式に燃焼される。

吉森教授【LP:4000→2600】

「炎の剣士! 闘・気・炎・斬・剣ッ!」

吉森教授【LP:2600→100】

 サラマンドラの力をゲットしたマサキさんの類稀なる巧みな剣術攻撃の前に、吉森教授のライフポイントは風前の灯となる。野球漫画で例えると最終回、都合よく二死満塁で4番(主人公)に打順が回って来て、カウントツーストライクスリーボールからの逆転サヨナラ満塁ホームランフラグである。
「ターン終了だぜー!」

城之内【LP:3200】
手札:2枚
モンスター:炎の剣士(ATK 2500),人造人間−サイコ・ショッカー(ATK 2400)
魔法&罠:サラマンドラ,早すぎた埋葬
吉森教授【LP:100】
手札:5枚
モンスター:無し
魔法&罠:無し

 吉森教授は不慣れな様子で決闘盤からカードを引き、あっ、と声を上げてから呟いた。城之内は気になって教授と顔を合わせる。
「城之内君。私の勝ちだ」
「またこのパターンかよ!」
 吉森教授は1枚のカードを城之内に見せず、そのままデュエルディスクに置く。そのカードはあらゆる観点から見ても天地が引っくり返る破壊力を秘めていた。

城之内【LP:3200】
手札:2→0枚
モンスター:無し
魔法&罠:無し
吉森教授【LP:100】
手札:5→15枚
モンスター:掃除機(ATK 700)
魔法&罠:無し

「…………」
 城之内は唖然とした。
 自分の手札が。
 フィールド上のカードが。
 墓地のカードが。
 吸い込まれるように、吉森教授の手札へと加わったのだ。
 それは世にも怖ろしい、抜群なまでの吸引力だった。

【掃除機】
★4 闇属・機械族・効果 ATK700/DEF500
このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、相手の手札・墓地・フィールド上に存在するカード全てを自分の手札に加える。このカードの効果は「ブラック・ボンバー」の効果では無効にされない。

「では手札から融合を発動。炎を操る者とマサキさんを融合して、炎の剣士を融合召喚。ついでにサラマンドラも装備しよう」

【炎の剣士】ATK1800→ATK2500

「炎の剣士と掃除機で、城之内君に直接攻撃!」
『オイノチ モロタ! ジョーノ殿!』
『ぶぃぃいいいい〜〜〜ん』
 寝返ったマサキさんと掃除機が城之内に襲い掛かる。思わず立ち尽くす城之内。ふと、ラーの翼神竜によるゴッド・フェニックスを喰らう寸前の事を思い出した。
「ふざけんな……。オレが負けたら……本田が……本田が遠のいちまうだろうがあぁああああーーーー! イワァァアァアアアーーーーク!」

城之内【LP:3200→700→0】

 城之内は敗北した! 無残に!
 もう希望は絶たれてしまったのか。こんな所でオレが負けてしまったら本田はどうなる。海馬の言う通りオレはデュエリストレベルが2の凡骨だと言うのか。いや、もはや馬の骨以下の吐瀉物となってしまった。城之内は自責の念に駆られ、地面に泣き崩れる。瞳を閉じて自分の不甲斐なさを呪った。この世の不条理を嘆いた。ちくしょう。ちくしょう。ちっくしょぉぉーー!
「ありがとう、城之内君。次は童実野水族館前らしいよ」
「!?」
 それ、言っていいのかよ!
 城之内は城之内が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
「私はデュエルをしろと言われただけだから、勝敗はどちらでもいいと思うよ」
 そうだったのか。
 希望はまだ絶たれていなかったのか。
 ならば。

 オレは、ただ走り続けるだけだ。

 真っ直ぐ。

 真っ直ぐ。

 真っ直ぐ、前を見つめて。

 ガッチャ!!

「でも教授、誰がこんな事を?」
「サングラスを掛けた、金髪でアメリカ国旗のバンダナをしていた人だったよ」
 アメリカ国旗のバンダナ。それで完全に確信した。
 そんな男はこの世に1人しかいない。

――『こいつで目ェ覚まさせてやるぜ! バンデットカード!』
――『いい加減こっちを向きやがれ城之内! ケツの穴にダイナマイトぶち込むぞ!!』


 城之内は思った。むしろ恨みたいのはオレの方だと。だが、たった2話でラスボスの正体を明かして良いのだろうか。伏線をも超越した、ただの酷いネタバレである。
「待ってろよ、バンデット・キース!」
 目指すは童実野水族館前。でも、そこまでは少し距離がある。また走るのは面倒だ。城之内はおでこに指を当てて目を閉じる。やはり瞬間移動は出来ないので、諦めて走る事にした。



−次回予告−

杏子「吉森教授に負けたのに、開き直って走る城之内!
童実野水族館前で待ち構えていたのは、カードプロフェッサーの1人。
彼は自分のカードがOCG化していない事をいい事に、
オリジナルカード満載の新デッキで城之内を翻弄する戦術を用意していたの!
それなのに、何の策も無くレッドアイズを召喚する城之内。
大丈夫なのかなぁ。

次回、瞬間の3話『ルナティック・レッドアイズ 〜狂気の真紅眼〜』

デュエルスタンバイ♪」




瞬間の3話「ルナティック・レッドアイズ 〜狂気の真紅眼〜」

 城之内は走っていた。
 彼の残り体力を例えると、ダーク・ダイブ・ボンバー全盛期時代で元のライフポイントが半分を切った辺りだった。これ以上、体力を減らすのは得策ではない。城之内はおでこに指を当てて目を閉じてみたが、瞬間移動は出来なかった。
 童実野公園を走りぬけ、裏路地を通って近道をする。ついに童実野水族館の看板が見えてきた。この辺りになると人も声も物も多くなり、主に家族連れが目に付いた。

「敗者がここまでやってくるとはな!」

 その男は入場券売り場の目の前に立っており、その身勝手っぷりから売り場のお姉さんが唖然としていた。親御さん達も妙な男だと思い、注意が出来ないようだ。
「んっ!?」
 彼は遊戯王R4巻にて登場したシーダー・ミール。ハイテックマリオネット使いという設定と、特に外見に特徴の無いカードプロフェッサーである。彼の登場と同時に鉄腕アテムに瞬殺され、遊戯王Rの中で最も扱いの悪かった男である。それだけに実力は未知数。一体、どんなデュエル戦術を用意しているのか。
「敗者復活戦があるとは聞いていないが、辿り着いたのなら無視出来んな!」
「…………」
「次の童実野美術館前に行きたかったら、俺を倒」
























「どけ!!」

























 ――黒・炎・弾!
 城之内はデッキから取り出した真紅眼の黒竜をいきなり召喚する!
 黒き竜の持つ真紅眼(レッドアイズ)に映った男を、黒炎弾で焼き尽くした。
「うわあああ!」
 男は空き缶のように転がり、ぷすぷすと煙を出して気絶する。
 次の目的地は童実野美術館前。急げ城之内!
「おう! 待ってろよ、バンデット・キース!」



−次回予告−

杏子「カードプロフェッサーを速攻で撃破した城之内!
この調子で前に進みたいけど……って言っているそばから、
城之内の手札にはインセクト女王、人造人間−サイコ・ショッカー、
伝説のフィッシャーマン、と上級モンスターだらけ。
どうするのよー、城之内!

次回、二人の4話『うずまき超理論』

デュエルスタンバイ♪」




二人の4話「うずまき超理論」

 城之内は走っていた。
 だが、もう限界だ。両足がこれ以上は走れないと必死に訴えかけてくるようだ。自分自身も精神的に走るのが面倒になって来た。今なら出来ると思い、おでこに指を当てて目を閉じてみた。やはり瞬間移動は出来ない。
「もう少しだから頑張ってくれ! 俺の足!」
 と、言いつつも比較的早く童実野美術館前に到着した。相変わらず神殿のようにデカい場所だ。意外にも意外、美術館に出入りしているのは若い男性が多かった。城之内はグラビアアイドルでも来ているのかと思ったが、看板には大きく「世界の有名バイク展示」と書かれていたので、なるほどと思った。でも美術館にバイクっておかしくないか?

「城之内ぃ〜!」
「!?」
 どうやら次の刺客のようだ。豚のような鼻の巨漢と、城之内を負かした有名デュエリスト、レアハンター(1)に少し風貌の似た細身の男だった。
「先に進みたいなら、オレ達2人を倒すしかないよ」
「決闘でな……フフフフ……」
 初登場は遊戯王原作20巻。遊戯の足止めをする為にマリクが輸入したレアハンター(2)×2である。もはや彼らにキャラクター性は皆無の為、以降のセリフは好きな方に喋らせておいて欲しい。
「バトルシティ編ではジャンケンをしている間に海馬に邪魔されちまったから、今日はやらないぞ!」
「なんでもいいから……早く、戦おう、ぜ……」
 走っている時より、終わった後に疲労が押し寄せて来る。
 城之内は息も絶え絶えで、ひーひーはーはーふーふー言っている。
「キヒヒ、デュエルだ城之内! 先攻はそこの第1コーナーを制した者とする! ゆくぞ!」
 レアハンター(2)×2は美術館の角を指差し、いきなり走り出した!!
「あっ、てめーら! きたねーぞっ!」
 城之内は出遅れて走るが、当然間に合わない。そこで城之内は思った。なぜデュエルの先攻・後攻を決めるのに、第1コーナーを制する必要があるのかと。走りながらおでこに指を当てて目を閉じてみたが、瞬間移動は出来なかった。当然、城之内の負けである。
「先攻は頂いた!」
「ちっ……! か、勝手にしやがれぇ!」
 息を整えてデュエルディスクを構える。その時に僅かだが、城之内は違和感を感じ取った。

城之内【LP:4000】
レアハンター(2)×2【LP:8000】

「ちょっと待ちやがれ! 何でお前らのライフポイントは8000もあるんだ!」
「オレ達は2人で戦っているんだから、当然だよ。な?」
「おうよ」
「……そっか。そうだな。ごめんよ」
 腑に落ちない城之内だったが、こう論破されては仕方がない。
「オレ達から先攻だ。ドロー!」
 2人はデュエルディスクからカードを抜き取り手札を確認する。

【城之内の手札】
インセクト女王
伝説のフィッシャーマン
人造人間−サイコ・ショッカー
真紅眼の黒竜
うずまき

 一見、手札事故のように見える。しかし城之内は最後に引いたカードを見て安堵した。このカードがあれば何とか出来る。伝説のフィッシャーマンは原作ではレベル4モンスター。アニメではちゃんとレベル5だった気もするが、そんなのは知りません、と情報をファイヤーウォールで防御した。
「オレ達はジャンケンマンを召喚!」
「ジャ、ジャンケンマン!?」
 ソリッドビジョンで現れたのは、全身が赤タイツ、黄色いマントをした男が現れた。顔にはチョキ、腹にはグー、股間には葉っぱのパネルが貼られている。

【E・HEROトゥーンライトロード剣闘獣 ザ・ジャンケンマン】
★1 闇属・植物族・効果・チューナー ATK0/DEF0
このカードはデッキに存在する場合、戦士族・恐竜族モンスターとしても扱う。相手プレイヤーとジャンケンをする。勝利したプレイヤーはジャンケン・ヴィクトリーカウンターを1つ溜める。先にジャンケン・ヴィクトリーカウンターを2つ溜めたプレイヤーがデュエルの勝者となる。

 城之内は思った。なぜこう、立て続けに意味不明のカードと闘わなければならないのだ。そして、どうして「うずまき」を発動させてくれなかったのだと。これを期待していた人が多いのに、裏切るなよ。
 レアハンター(2)×2が召喚したジャンケンマンはルールそのものを捻じ曲げ、ジャンケンで2回勝ったらデュエルに勝てると言う、怖ろしくも卑怯なカードだった。
「ではジャンケンだ! じゃ〜んけ〜ん」
 ポン☆

城之内【グー
レアハンター(2)×2【パー

「ぐっ……! 負けた!」
 だが、まだチャンスはある。城之内がここから2回連続で勝利すれば、デュエルに勝利する事が出来るのだ。しかし、それは思っている以上に難しい事だ。ジャンケン1度負けてしまった状況に立てばその意味がよく分かる。平等なジャンケンだからこそ、連続勝利は意外にも難しい。ジャンケンの3回勝負ほど、1度負けた者を苦しめるゲームは無いと言えよう。
「キヒヒ! オレ達にジャンケン・ヴィクトリーカウンターが溜まるぞ」

城之内【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:0】
レアハンター(2)×2【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:0→

 城之内は必死に考えた。
 オレは一体、どれを出せばいい。
 グーか。チョキか。パーか。
 さっきはグーで負けたから、次はチョキか。
 いや、やっぱりパーだ。と思わせてグーか。
 待てよ。
 こいつはオレがグーを出すと見せかけて、
 パーを出すと思っているかも知れない。
 いやいや複雑に考えるな。
 勝てる確率は3分の1。
 1か0か。
 イエスかノーか。
 男か女って事だよな。
 男か女なら、女を選びたい。
 なら女はどれだ!
 そもそもグー、チョキ、パーだぞ?
 どれが男でどれが女かの前に、残った1つはどうするんだ。
 オカ……いやいやいや複雑に考え過ぎるな。
 これは単純でシンプルなゲームだ。
 しかしシンプルだからこそ奥深いのがジャンケン。
 ん! それで思い出したぞ。
 そう言えば本田が相手の顔を見れば何を出すか分ると言っていた事があった。
 よし、ならばそれを試してみるか。奴の顔を見てみた。
「キヒヒ、どーした?」
 怖ろしく豚ような鼻だった。
 これがヒントになるハズがない!
 こうなったらYeah()! Break(ブレ)! Care() ! Break(ブレ)! だ!
「ええいっ、やっぱり男を選ぶぞ! じゃーんけーん!」
 ポン☆

城之内【チョキ
レアハンター(2)×2【グー

 ――負けてしまった。
 城之内は負けてしまったのだ。
 吉森教授だけでなく、レアハンター(2)×2にも負けてしまった。
 あまりにも呆気ない幕切れである。
 どうしてしまったのだ、城之内克也。
「キヒヒ! オレ達の勝ちだぁ〜!」

城之内【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:0】
レアハンター(2)×2【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:1→

「あ、あり? 何でオレ達の勝ちじゃないんだ」
「はっはっは! バカめ! お前ら、2人で戦っているんだろ? だったらジャンケン・ヴィクトリーカウンターは4つ溜めて貰わないとな!」
 そう! レアハンター(2)は「×2」状態。ライフポイントが2倍になっているのなら当然、勝利する為には4つのカウンターが必要だ! 城之内はそれを見越していたのである! そしてこの瞬間、洗濯機が巻き起こす旋回のような超理論が、ここに誕生したのである。これを我は「うずまき超理論」と名付けよう。
「こ、今度は手加減しないぞ! こうしないと盛り上がらないからなっ!」
 オレは手加減されていたのか。城之内は軽いショックを受けたのだが、ジャンケンでどうやって手加減するのかが分からなかったため、もう気にしない事にした。
 豚鼻の男は鼻をかき、両腕を360度旋回させて宣言する。
「じゃ〜んけ〜んで〜……」
 ホーイ☆

城之内【チョキ
レアハンター(2)豚鼻の男【チョキ
レアハンター(2)細身の男【グー

「はっは〜勝ったぁ〜!」
「て、てめぇら汚ねぇぞ! 2人で出すなんて!」
「お前、さっき2人で戦っているって言ったからな! キシシ!」
「くっ……!」
 先程の「手加減していた」と言うのは一概に嘘では無かったと言う事だったのか。城之内は1人とは引き分けたが、1人には負けた。よってジャンケン・ヴィクトリーカウンターは溜まってしまう。

城之内【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:0】
レアハンター(2)×2【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:2→

「オレ達はジャンケンのエキスパート! 自慢だがオレ達はデュエルモンスターズで優勝した事は無いが、ジャンケン大会での優勝経験があるんだぜ!」
 だから何なんだ。
 豚鼻の男は自分のアゴを撫で回し、両腕を180度旋回させて宣言する。
「じゃーん、けーん、ポ〜ン☆」
 城之内達にとっては一瞬の出来事だった。
 だが我々には、ここで思考タイムが与えられている。

 ここで思い出して欲しい。豚鼻の男は前回、鼻をかいてからジャンケンを始めた。
 そして今回はアゴを触って始めた。これがもし、細身の男への暗号だとしたら?
 つまり。鼻をかいたら【チョキ】。
 アゴを触るのが【グー】か【パー】となる。
 ここではアゴを触るのが【パー】と言う事にしよう。
 そうなった場合、細身の男は「豚鼻の男が何を出すか」という事を
 知っている前提で細身の男は選択できるのだ。
 つまり、細身の男は豚鼻の男が出さない【チョキ】か【グー】を出すということだ。
 ここでは細身の男が【チョキ】を出すと考えれば、

細身の男【チョキ】 豚鼻の男【パー】
@城之内が【グー】を出せば細身の男に勝っても、豚鼻の男が勝つ。
この場合は城之内に1点、豚鼻の男に1点入るので城之内の負けとなる。
A城之内が【パー】を出せば豚鼻の男と引き分けだが、細身の男が勝つ。
この場合は城之内に0点、細身の男に1点入るので城之内の負けとなる。
B城之内が【チョキ】を出せば豚鼻の男に勝ち、細身の男とは引き分け。
この場合は城之内に1点、細身の男は0点なので城之内の勝ちとなる。

 つまり城之内が勝てる方法は、Bのみなのである。しかしそれも、2連続でBになって勝たなければこのデュエルには勝てない。城之内にとって非常に過酷で厳――









城之内【チョキ
レアハンター(2)豚鼻の男【パー
レアハンター(2)細身の男【パー

 城之内はチョキを出していた。
 レアハンターの2人はパーを出していた。
 これはつまり、どういう事か。
「ぐわあああああ〜〜〜〜!」

城之内【ジャンケン・ヴィクトリーカウンター:0→】 WIN!

 2人に勝った為、城之内は1発で勝利する事が出来た!
 実に呆気ない幕切れだ。マリクの輸入ミスである。
 そう。2人は暗号を間違えた。
 どちらが悪いかはこの際、そっとしておいてあげよう。
「ちっ、やっぱり緑髪になった海馬の言う事なんて聞かなかった方が良かったんだよ!」
「み、緑川の海馬っ!」
 城之内は少し間違った事を言っていたが、一応は事実なのでそのまま続ける。CV的な意味で。
「お前達に依頼したのはバンデット・キースじゃないのか?」
 レアハンター(2)×2はお互いの顔を見てから、哀れむような目で城之内を見る。
「誰だよ、それ。オレ達は緑髪キャベツヘアーにイメチェンした海馬に頼まれてデュエルをしたんだ」
「そうそう。レアカードを貰ったんで引き受けたらこれだよ」

注釈:モザイクは管理人権限でかけました。まさにモザイク幻想!

 ……これ、バンダイ版のカードダスじゃねえか!!
 しかも、よりによって「海馬瀬人」。
 (本田にも負ける)って。えっらい露骨な書き方だ。
「でも、どーいう事なんだ……」
 海馬カードの事ではない。城之内の疑問は、吉森教授かレアハンター(2)×2のどちらかが嘘を付いているのだろうか、という疑問だ。信じるならば当然、吉森教授の方だろう。しかしレアハンター(2)×2の事も、なぜか嘘を言っているようには聞こえなかった。

 つまり海馬とキースの2人は共犯。

 しかし城之内はキャベバとバンデット・キースの接点が分からなかった。海馬もキースの事は無関心だろうし、キースも海馬の事は良く思っていなかったはず。そこに本田や自分自身まで絡むとなると、訳が分からない。だがそれも目的地にさえ辿り着けば分かるだろう。
「場所は童実野埠頭って言ってたぞ」
 城之内は走る前に、おでこに指を当ててみる。さすがにギャグの世界観でも瞬間移動は出来なかったので、諦めて走り出した。バンデット・キースか。緑髪の海馬瀬人か。
「待ってろよ! キースか海馬ぁ!」



−次回予告−
杏子「何とかデュエルに勝利した城之内!
そこで行く手を阻む、3人目の刺客がいる童実野埠頭に到着!
それは意外にも意外な人物――か、海馬君なの!?
デュエルをする前に口論する2人。でも城之内が勝てるわけないよね。
ついに始まるデュエル! でも海馬君の提案により、
今までにない画期的なデュエルで戦う2人!
バ、バイクに乗ってデュエルですって!
そんなの危険よ! やめて城之内!
城之内は炎の剣士をエクストラデッキから融合召喚し、
Sp(スピードスペル)−融合解除を発動。
マサキさんと炎を操る者をリリースして、レッドアイズをアドバンス召喚!
だけど海馬君も融合デッキから双頭の雷龍を召喚して、
Sp−融合解除を発動、城之内と同じように
生け贄確保してブルーアイズを生け贄召喚しちゃった!
海馬君はブルーアイズでレッドアイズに攻撃!
城之内は600ポイントのダメージを受けてしまう。
次の城之内のターン、地砕きを発動。
ブルーアイズ、こっぱみじん――――!!
と、いいたいトコだけど、海馬君は神秘の中華なべで
青眼の白龍を女体盛りにして、ライフを3000も回復!
城之内にモンスターがいなかったから、カードをセットしてターンエンド!
海馬君は手札からデビルフランケンを召喚し、5000もライフポイントを払う!
えっ、そうすれば融合デッキからアルティメットドラゴンを出せるですって!
ピンチになった城之内は、セットしていた奈落の落とし穴を容赦なく発動!
そして次のターン、死者蘇生でブルーアイズを復活! やったね城之内!

次回、欲望の5話『瀬人の花嫁』

ライディングデュエル・アクセラレーション♪」




欲望の5話「瀬人の花嫁」

 城之内は走っていた。
 おでこに指を当てて目を閉じてみたが、相変わらず瞬間移動が出来ない。いや、うすうす気が付いていた。世界はそう言う定理で出来ているのだと。ただ試さずにはいられなかっただけなんだ。
 考え事をしながら走っていると、あっと言う間に童実野埠頭へ辿り着いていた。ここに来るのもバトルシティ以来だな。
「おー! 城之内!」
 声の主は梶木漁太だった。
 バトルシティで(おとこ)の生き様を見せ、多くの読者を魅了した漁師さんである。
「久しぶりだなぁー梶木!」
「バトルシティ以来だなー!」
 つい普通に挨拶をしてしまったが、城之内はふと我に返った。今までマイナー過ぎるキャラクターが相手だっただけに、妙な感覚になっているようだ。

 ……しかし、本当にそれだけだろうか。

 少し上の次回予告とは、随分と内容が違うような気がするんだが。
「お前、まさかバンデット・キースかキャベバの野朗に頼まれてここへ?」
「なに言っとるんじゃ。オレにここで戦うように言って来たのは、孔雀舞じゃ」
「舞ぃぃいいい!」
 またしても謎が深くなった!
 まさか舞の名を聞くとは思いもしなかったのだ。
 海馬とキースの共通点は走っている途中に気が付いた。単純ではあるが、2人とも男と言う事だ。しかし舞はどう見ても女。性格は男だろうが、見た目は女だ。どう間違えても海馬やキースと間違えるハズがない。逆の場合だとしても、キースや海馬を舞と間違えるのは無理がある。
「なぁ梶木。急いでいるから、先に次の場所を教えてくれないか?」
「どんな事情があるかは知らんが、それは出来んぜよ。報酬を貰った以上、その仕事はちゃんとしなきゃいかんからのぉ」
「くっ……じゃあ、とっととデュエルだ!」
「焦るな城之内。3人目まで全部デュエルしてたんじゃろ」
 そうとも言えないかも知れない。
「今回は趣向を変えて、釣りで勝負じゃ!」
「つ、釣りだって!?」
 そうか。
 釣りか。
 釣りで勝負するのか。
 次回予告……。釣り……。
 そうか。釣りで勝負か。
 うん。
 まぁ、釣りか。
 釣りね。釣りで勝負。
 城之内は納得した。



 今回の釣りバトルのルールは簡単。30分の時間内により大きな魚を釣り上げた方が勝ち。
「どうじゃ?」
「へへっ。学校のパソコンで鍛え上げた、オレの釣りテクを見て驚くなよ?」
 城之内には釣りの絶対的な自信があった。以前、本田が制作したサイトで本田自身を見事に釣り上げたのだ。その城之内の釣りの腕は本田ヒロトのM&Wページの9月6日(月)で見る事が出来るぞ。要チェックだ。
「グランダー城之内克也の実力、見せてやるぜ!」
 梶木から渡されたロッド(竿)を握り、ポーズを決める城之内。しかしふと思った。上手いこと言って、梶木に晩飯調達の手伝いをさせられたのではないかと。

 専用ケースの中から、数多のルアー(一般的には擬似餌とされている物)を吟味し、1つを選ぶ。フィッシングはこのルアー決めによって少し結果が左右されると言ってでも過言ではない、大事な選択なのである。
「オレはキングオルカイザーを使うぜ!」
 城之内は透緑鱗に真紅眼が特徴的の、鮫のようなルアーを取り出す。
 伝説の釣り漫画、「グランダー武蔵」にて主人公である武蔵が使用した由緒正しいルアーである。
「ならオレは手作り製のカジキダイダロスじゃ!」
 梶木は「海竜−ダイダロス」そっくりのルアーを取り出した。しかし、どう見てもそのルアーは不細工だった。梶木の手作りだからではない。ダイダロスの口が異様に大きく開いていたからだ。しかし、それこそが梶木の作戦と言う事に城之内はまだ気が付かない。
「勝負じゃ城之内ー!」

≪残り時間:29分59秒≫
城之内【現在の魚:0匹】最高:−cm
梶木【現在の魚:0匹】最高:−cm

 2人は一斉にロッドをふり、ルアーにその夢と希望(ドリーミィ・ホープ)を託す。城之内は珍しく思考を巡らせて考える。挑戦を受けたものの、相手は梶木だ。海や魚についてはデュエル以上に一級品だろう。何とか工夫をしなければ勝利するのは難しいな、と思った瞬間だった。梶木のロッドが反応し始める。
「さっそく来たようじゃ〜!」
「なにぃ!」
 梶木は手馴れた様子で、ひょいとロッドを上げた。魚は綺麗に舞い、左手に納まる。
「ここの魚は肉食じゃ。オレの選んだポッパーと呼ばれる種類のルアーはのぅ、この大きな口から独特のスプラッシュ音を出して、小魚が泳いでいるように見せかけるんだぜよ!」
 説明口調で説明した梶木は、魚を寝かせてメジャーでサイズを測った。悔しそうな舌打ちが聞こえる。
「48か。小さいのぉ」

≪残り時間:28分32秒≫
城之内【現在の魚:0匹】最高:−cm
梶木【現在の魚:1匹】最高:48cm

 城之内は梶木の動きを真似て、ロッドを振りなおした。狙った場所より手前に着水してしまう。
 キングオルカイザーの特殊能力って、何だったっけな。城之内は知恵を振り絞って考えるが、なかなか思い出せない。
 そして数分後。やっと掛ったかと思って引き上げると……黒の長靴だった。釣りをしている人なら良く分かる事だが、ゴミ類が釣り針に引っかかっても長靴を釣れるのは創作の世界だけと言ってもよい。
「ガッハッハ! そんなんじゃ魚は攻略できんぜよ!」
「ぬ、ぬぅ〜〜!」
 城之内が地団太を踏むと、梶木は殴りかからんばかりに咆えた!
「コラァ凡骨(じょうのうち)! 魚が逃げるじゃろーが! 魚はのう、人間の声より人間の足音に対して敏感なんじゃ!」
 またもや説明口調で説明する梶木。さすがである。
「す、すまん」





 更に数分が過ぎたが、城之内は一向に成果を上げられなかった。一方で梶木は確実に釣り上げ、記録を伸ばしていく。必死になった男2人が気になるのか、暇な子供・老人を中心にギャラリーが少しずつ集まってきた。残念ながら城之内の望むピチピチギャルは来ない。

≪残り時間:4分44秒≫
城之内【現在の魚:0匹】最高:−cm
梶木【現在の魚:4匹】最高:76cm

「これじゃあ俺の勝ちは決定じゃのう!」
「くっ……! どうして釣れないんだ!」
「城之内、いい事を教えてやるぜよ。中国にはこんなコトワザがあるんじゃ!」

1時間幸せになりたいなら、酒を飲みなさい。
3日間幸せになりたいなら、結婚しなさい。
1週間幸せになりたいなら、牛を飼いなさい。
一生幸せになりたいなら、釣りをしなさい。
(ウィキペディア参照)

「それ程までになぁ、釣りは深い歴史の中で愛された由緒正しい文化なんじゃ! 海をなめたらいかんぜよ!」
 別に海をなめていないけど、と城之内は思った。
「オレには魚の気持ちが分かる! 魚がたとえ火の中 水の中 草の中 森の中 土の中 雲の中 あの()のスカートの中(キャ〜!)におっても、オレは魚を釣る事ができるんじゃ! それは魚の気持ちをよぉ〜く知っとるから成せる技なんぜよ!」
 ……!? そうか!!
 城之内は閃いた。梶木の言葉によりこの危機的状況の打開方法を思いついた。魚の気持ちを知る。相手の気持ちを知る、最も簡単な方法。それは、そいつの立場に立つことだ。遊戯とダチになるまで、オレに最も欠けていた部分。魚を釣りたい。ならばハートを魚にすりゃあいい。

 オレは魚だ。
 オレは魚だ。
 オレは魚だ。

 もし、オレが魚なら。
 城之内はロッドを持ったまま、腕にデュエルディスクを装着する!
 まるで今からデュエルをするようだ! 一体、何を思いついたのか!
「何をやっとるんじゃ城之内!? 試合中じゃぞ!」
「まぁ見てな。行くぜ!」
 城之内は1枚のカードを取り出し、2人の顔を浮かべながら瞳を閉じる。
(ありがとよ、羽蛾。それに名も知らない、寄生虫混入少年っ!)
「寄生虫パラサイドを召喚!」
「な、なんじゃとぉぉぉおぉ〜〜〜〜〜!?」

【寄生虫パラサイド】
★2 地属・昆虫族・効果 ATK500/DEF300
リバース:相手のデッキに表向きで混ぜてシャッフルする。相手がこのカードをドローした時、このカードは表側守備表示で相手フィールド上に特殊召喚され、相手に1000ポイントのダメージを与える。その後、このカードが表側表示でフィールド上に存在する限り、相手フィールド上の表側表示モンスターは全て昆虫族となる。

「梶木、おめぇ言ったよな! 自分には魚の気持ちが分かるって。オレはそれを忘れていた。魚だって、食いてぇんだ。オレだったらよぉ――デカイ獲物が食いてぇ!」
「んなアホな!?」
 なんと!
 召喚された寄生虫パラサイドは水上でウネウネと動き回り、城之内はそこに向ってロッドを振る。ルアーが丁度、寄生虫の中心部分へ着水する。その時、水面が割れるように動き出し、凄まじい食欲オーラが海から発光する。その未知なる光線を浴びた周りのギャラリー達は「お腹が空いた」と呟き、次々に退場していった! 梶木は驚きのあまり、手にしたロッドを落としてしまう。
「そ、そんな欲深い魚が……城之内みたいな魚が……おるっちゅーんかァァ!!」
 城之内のロッドが鼓動し、躍動し、胎動する!
 貪欲な巨大魚は必死で左右に動き、抵抗していた!
 ドラグを緩め、様子を見る。
 そして絶好のチャンスがやって来た!
 逃がすものか。必ずゲットしてやるぜ!
 リールを巻く!
 リールを巻く!
 リールを巻く!
 釣り上げる刹那、その永遠たる一瞬が発生する。魚は、空を舞うようにして水面から飛び出てくる。そして釣った者ならば、こう叫ばずにはいられないだろう。城之内は当然、その厳然たるルールに従った。

 ――童実野町の中心で、魚を叫ぶ。
























「フィーーーッシュ!!」

























≪残り時間:0分00秒≫
城之内【現在の魚:1匹】最高:120cm
梶木【現在の魚:4匹】最高:76cm

「オレの負けじゃ! まだまだオレは魚の気持ちが分かっていなかったようじゃなぁ。まったく、お前はホントにすげぇ奴じゃ!」
「梶木、おめぇ言ったよな。魚がたとえ火の中 水の中 草の中 森の中 土の中 雲の中 あの()のスカートの中(キャ〜!)にいても釣る自信があるって。でもオレはよぉ、スカートの中のパンツの中に行っても釣って見せるぜ!」
 梶木は口をポカンと開け、硬直していた。
 まさに欲望の違いを見せ付けられた瞬間だ。
「それで梶木、次はどこへ行きゃいいんだ?」
「そうじゃったな。童実野高校の屋上にいる、と言っとったぞ」
「分かった。ありがとよ!」
 今の釣り決闘で体力は少し回復したが、走る事自体が面倒だ。おでこに指を当てて目を閉じてみたが、瞬間移動が出来なかった。観念した城之内は走る。いざ行かん、童実野高校の屋上へ。もはや相手が誰であるか全く検討はつかない。だが走った先に何かが見える。その先ある、輝かしい未来を目指して。

 城之内の戦いは まだ始まったばかりだ!



−次回の注目アイテム−

龍亞&龍可「なーにかな なーにかな? 次回は、これっ!」

《電話ボックス》
《オネスト》

《ボッキンパラダイス 無垢たる果実の清純女子●生編》

《ガムテーム》
《ビラ》

龍可「きゃあ! 何これ!」
龍亞「大人の事情で発売停止になった、幻のDVDらしいよ!」
龍可「詳しくは次回、よろしくね」





大人の6話「十六夜アキ レースクイーン 龍可 チアガール イラスト」

 城之内は歩いていた。
 その足は童実野高校とは正反対の場所に向っている。いや、向う先など分からない。久しぶりに通った牛丼野郎(童実野町の牛丼屋だぜ)へ行く気にすらならなかった。それはどうしてだろうか。城之内は考えながら、歩いていたからだ。
「どーすりゃいいんだよっ!」
 ついに姿を現したラスボス。その者はびっくりドンキー、ドンキーコング、ドン・キホーテをも驚かせる、前代未聞の圧倒的究極戦術を用意していたのだ。



 ――21時間前。
 本田ヒロトは童実野高校の屋上戦っていた。
 そこから時をさかのぼること数分前。彼が公園でトイレを求めて全力疾走している時だった。ベンチに座った謎の人物はおもむろにズボンのチャックを下ろし、
「見ないか」
 そこからDVDのパッケージを取り出した。本田は思わず飛びつくように反応してしまう。
「そ、それは大人の事情で発売停止になった幻のDVD『ボッキンパラダイス 無垢たる果実の清純女子●生編』じゃねえか! なんでお前、そんなレアアイテムを! か、貸してくれるだけでいい! 見せてくれ!」
「ハハハハ。これが欲しければ、俺とデュエルをしろ」
 本田はそのままホイホイと童実野高校の屋上に連れられ、謎の人物とのデュエルをしていたのだ。まったく、情けない動機よのぉ。
「オレのターン! レアメタル・ソルジャーと沼地の魔神王をパワー・ボンドで融合、レアメタル・ナイトを融合召喚!」

【パワー・ボンド】 通常魔法
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。このカードによって特殊召喚したモンスターは、元々の攻撃力分だけ攻撃力がアップする。発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

【レアメタル・ナイト】
★6 地属・機械族/融合 ATK1200/DEF500
「レアメタル・ソルジャー」+「レアメタル・レディ」
モンスターとの戦闘のダメージステップ時、攻撃力1000アップ。フィールド上のこのカードと融合デッキの「レアメタル・ヴァルキリー」を交換できる。 (このカードが特殊召喚されたターンは不可)

「ターン終了だ」

本田【LP:4000→2800】
手札:3枚
モンスター:レアメタル・ナイト(ATK 2400)
魔法&罠:無し
謎【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:無し
魔法&罠:無し

「俺のターン。手札抹殺を発動。そして処刑人−マキュラが墓地へ送られた為、俺はこのターン手札からトラップカードを発動できる」

【処刑人−マキュラ】
★4 闇属・戦士族・効果 ATK1600/DEF1200
このカードが墓地へ送られたターン、このカードの持ち主は手札から罠カードを発動する事ができる。

「よって血の代償を手札から発動」

【血の代償】 永続罠
500ガバスを払ったらクリーチャー1体を出せる。(召喚酔いはしないが、生け贄は必要だし融合デッキからも出せない)ぼくが子供の頃はこのカードを使われ、生け贄無しでリボルバー・ドラゴンを召喚されたりエクストラデッキから青眼の究極竜を出されたりで泣きそうになりました。当時小学生だった上にインターネットも主流ではなかったゆえに無茶苦茶だった。ムカムカのスーパーレア、アンティルールで取られちゃった。今からでも遅くないから、ぼくのムカムカちゃん返して……。

「汚ねぇぞ! こんなカード! ムカムカ返してやれよっ!」
 我が偽造テキスト&本当にあった涙の記憶と本田の言葉を無視して、謎は作業を続ける。
「謎の傀儡師を通常召喚し、500ライフを払って2体目の傀儡師を通常召喚する」

【謎の傀儡師】
★4 地属・戦士族・効果 ATK1000/DEF1500
モンスターが召喚・反転召喚に成功した時、自分は500ライフポイント回復する。

「何をするつもりなんだ、こいつ!」
 謎のフィールド上に、謎の傀儡師が全く同じポーズで左右に並ぶ。本田は昔のドラゴンクエストの戦闘画面を見ているような気分になった。

本田【LP:2800】
手札:3枚
モンスター:レアメタル・ナイト(ATK 2400)
魔法&罠:無し
謎【LP:3500】
手札:2枚
モンスター:謎の傀儡師(ATK1000)×2
魔法&罠:血の代償

「さらに500ライフを払い、オネストを召喚する。そして召喚に成功した事により、謎の傀儡師2体の効果で1000ライフ回復する!」
 神々しい光を放ち、謎のフィールド上に筋肉美あふれる半袖半ズボン金髪長髪の成人男が現れた。鍛え抜かれた大胸筋は美しくも、凛々しも、愛おしくも、官能的だ。頭にはガンダムの角を付けており、本田を妙にギラついた目で見つめる。おぞましい笑みを浮かべ「野性味豊富で美味しそうなボウヤだな」と呟いた。実に正直な男だ。本田は思わずゾッとなり目を逸らした。

謎【LP:3500→3000→4000】

【オネスト】
★4 光属・天使族・効果 ATK1100/DEF1900
正直言って、このカードは手札に戻れる。

「オネストの効果を発動。フィールド上のオネストを手札に戻す」
「せっかく出したモンスターを戻しやがった! なに考えてんだ?」
「さらに500ライフを払い、オネストを召喚。そしてオネストを手札へ戻す」

謎【LP:4000→3500→4500】

「ラ、ライフが回復してる!」
「その通り。このコンボを繰り返すことで、俺は無尽蔵にライフを得る事が出来る」
「だがオレのライフは削れてねえぞ! ライフがあってもデュエルには勝てないんじゃねぇのか!」
「誰もお前のライフポイントを奪う事に興味はない。オレがこのカード処理を繰り返す事で貴様自身の体力を削り、デュエルの出来ない身体にしてやるまでだ」
「そんなのデュエルじゃねぇ! やっぱりやめようぜ、こんなこと……な?」
 謎はお腹に貼りついた四次元ポケットから2gペッドボトル程の大きさの土管を取り出し、右腕に付ける。
「デュエルを投げ出せばもれなく『ボッキンパラダイス 無垢たる果実の清純女子●生編』は――ドカーン! 兄ちゃんにそうなったDVD、くっつけて再生出来るのか?」
「ちっ……ちくしょお――!」
「デュ・エ・ル! デュ・エ・ル!」








????【LP:4500→4000→5000】









????【LP:7500→7000→8000】









????【LP:20500→20000→21000】










????【LP:37500→37000→38000】











????【LP:124500→124000→125000……】












????【LP:928500→928000→929500……】









「本田ぁ――!」
 屋上のドアをドロップキックで開け、ついに城之内克也が到着する!
 しかし時はお寿司。ではなく、遅し。本田は衰弱状態になっていた。しかし、自慢の角刈りの形状が変わるデュエルというのは誇張表現でした。ここにお詫びと訂正をいたします。
「オネストを手札に戻す」
「城之内……オレはここまでだ……」
 震える唇が静止し、本田はゆっくりと目を閉じてしまった。
「500ガバスを払い、メモリーカードを貰う」
「本田……おい……目ぇ覚ませよ!」
 城之内の涙が頬を伝うが、本田は単に疲労で眠ってしまった事に気が付いた。
「オネストを手札に戻す」
 目の前の男を睨みながら、城之内は立ち上がる。
 見覚えのある人物だった。キャベバやキース、ましてや舞でもない。
 ツルッパゲの頭に、ヒゲを伸ばした悪人面の男であった。
「てめぇはDEATH−Tの時にいた奴だな!」
「500ライフを払い、オネストを召喚」
「いい加減やめろっ!」
「ハハハハハ! そうさ、俺はボブ・マクガイアだ」
 初登場は遊戯王原作4巻。国籍はアメリカ。元SWAT狙撃班のリーダー。どんな遠距離でも必中の腕前。本田の奇策によりゲームに破れ、電撃攻撃を受けていた男である。しかしまぁ、ラスボスにしては余りにも貫禄の無い男だ。

「俺はボブ・マクガイア」
「何で2回言うんだよ!」
「最初は本田ヒロトだけをハントする予定だったんだがな。よく考えてみれば汚い戦術でジョニー・ゲイルを倒したお前も悪いのだ。ジョニーがいれば俺達は負けていなかった!」
 なんてセコい男だ。オレにしろ本田にしろ、とばっちりじゃねえか。
「いい事を教えてやろう。狙撃の基本は最も有利な場所を確保する事だ。その為にわざわざお前の知人に変装し、4人のシモベに頼んだのだよ」
 城之内は思った。それ、狙撃の基本と関係あんのか? それ以前に何の伏線でもなく、ただ変装していただけというオチはさすがにダメだろう。このオッサンが舞に変装するには相当無理がある。……ま、ギャグだからいいか。
「って、そんな事はどーでもいい! てめぇは俺が倒す! 覚悟しやがれ!」
「まぁ待て。それだと俺は立て続けに長時間デュエルをする事になる。お前に騎士道精神があるなら俺に1日の休みを貰おう。だがこれは、お前にとって悪い提案では無いだろう?」
 こればかりは城之内も素直にそう感じた。ボブはセコい無限ループで相手プレイヤーをノックアウトする戦術だ。城之内も体力には自信があったが、相手は狙撃班のリーダー。城之内はコナミの人気プレイステーションソフト、メタルギア・ソリッドで会得した知識があったからこそ意味が良く分かる。スナイパーは何時間・何日・何週間でも獲物の為に待機し、耐えられる鋼の精神を身に付けているのだ。そんな相手に真正面から戦っても勝てる訳がない。

「復讐にしては退屈だった。だから特別に11月限定無料オプションサービスをしてやろう。お前は1つ、俺に頼み事が出来るようにする」
「頼み事ぉ?」
「俺はボブ・マクガイアだ」
「何で3回言うんだよ!」
「だが俺はその頼み事を拒否する事も出来る。無限ループをするな、サレンダーしろは当然却下だ。頑張って少しでも自分が有利になる事を考えろよ、ハハハハハ!」
 ボブは屋上を飛び降りた。この高さだが、彼は大丈夫。スナイパーだから。城之内は本田を保健室まで連れて行き、真っ先に童実野町の商店街へと向った。それはなぜか。城之内はテレビで偶然見た事があったのだ。何かアイデアが欲しい時は物の溢れた場所へ出歩くといいらしい、と。



 城之内は歩いていた。
 その足は童実野高校とは正反対の場所に向っている。いや、向う先など分からない。久しぶりに通った牛丼野郎(童実野町の牛丼屋だぜ)へ行く気にすらならなかった。それはどうしてだろうか。城之内は考えながら、歩いていたからだ。
「どーすりゃいいんだよっ!」
 ついに姿を現したラスボス。その者はびっくりドンキー、ドンキーコング、ドン・キホーテをも驚かせる、前代未聞の圧倒的究極戦術を用意していたのだ。
 だがこのまま黙ってもいられない。城之内は頭を捻り、ついに3つのアイデアを生み出した。

その1。
 体を鍛える。死線を彷徨う程の激しい訓練を続け、スーパー城之内になれば、奴を逆にノックアウトする事が出来る。奴はカード名や発動を宣言しなければならないので、体力が互角なら有利になる。――しかし、そう上手くは行かなかった。城之内も一応は人間。たった1日でスーパー城之内様になれるとは思えなかった。相手は戦闘のプロだし、体力面で追い付ける自信は無い。これは却下だ。

その2。
 無限コンボを阻止する。その為にはまず奴の言っていた頼み事を行使し、自分が先攻の権利を得る。そして奈落の落とし穴・魔宮の賄賂・神の宣告などの阻止カードを大量に放り込み、相手の戦術を崩壊させる手段。――これも却下だ。なぜなら奴はそれを見越して別のデッキを用意しているかも知れないし、都合よく対策カードが手札に来るとは限らない。そもそも今回、城之内は漫画・アニメで使用したカードを厳選されてしまったのだ。こんな事ならアニメでガチカードを片っ端から使っておけば良かったと今更ながら後悔した。超融合の映画にもオレは出ねぇだろうしなぁ。……と思ったら、本当に出なかった。名前すら出ねぇなんて、酷いぜ遊戯。

その3。
 考えてない。

 どれもしっくり来なかった。たった3つしか案が出なかったが、これ以上は出そうになかった。どうすりゃいい? 何か、ヒントをくれ! ヒントをくれた奴は10円でも20円でも支払うぞ! と、心の中で叫んだ。
「ん!? そうか!」
 城之内は閃いた。相変わらず突発的だが、そんな事は問題ではない。前回の梶木戦を思い出した。いや違う! 今までの流れの中を全て思い出した。頭の中で、過去の出来事がフラッシュバックする。城之内の頭の中で、もつれていた糸が1つに繋がる。バラバラになったパズルのピースが、1つに重なっていく。あの時からヒントはあったんだ。城之内はボブの見せた幻惑に惑わされていたに過ぎなかったのだ! ボブへの攻略は、これで完璧だ!
 城之内は財布から30円を取り出し、電話ボックスに入る。お金を入れ、ボタンを押そうと思った時、城之内は地面に落ちていた1枚のビラを見つける。

 十六夜アキが深紅のレースクイーン衣装を淫らに着ていたのだ。否、それだけではない。絶妙なはだけ具合によって、彼女の持っているむっちりとした妖艶たる肉体の魅力を存分に引き出していた。触れずとも見ただけで分かる、誰もが満足するであろう質感とボリューム。そして――もう1人。きわどいチアガール衣装だが、どこか子供っぽさの残る可愛い色彩。汚れを知らぬロリータの肢体で、紅潮した頬で虚ろな眼差しをこちらに投げかけて来る龍可。見れば見るほど、背徳感による悦びがふつふつと掻き立てられる。理性をかき乱されてしまいそうだ。2人は共にネコ耳を装備し四つん這いになり右手は力を入れないでグーに握り、頬へ持ってきて手の甲は上にしており、実に柔らかい字体で「にゃーん」と書かれていた。

 城之内は左右を確認し、光の速さでポケットにしまってから電話のボタンを押していく。
 今夜はお楽しみだなコノーっ! と自分に突っ込みを入れていたら、いつの間にか相手は出ていた。
「おっ! バトルシティの時、審判をやってた磯野さんだよな!」
 磯野であった。しかし磯野は少し警戒した様子で応答する。
「その声は凡骨(じょうのうち)様? ご用件は一体」
「海馬を出せ!」
「……。瀬人様はお忙しいので、またのご機会に」
 一方的に切られてしまった。もう1回掛けても、今度は掛かるまい。城之内は気が付いていなかった。磯野は海馬が城之内を過小評価している事を知っている。そして磯野は考えた。城之内の電話を瀬人様に繋げば、その怒りの矛先が自分にも向うかも知れない。磯野の冷静かつ的確な判断が、磯野自身と海馬を救ったのである。

「イイイイイイイイヤッホォオオオオオオウ!!」
 城之内がお金を入れようとしたその瞬間だった。本作1話に出てきていた不良とは別の不良×3が城之内の入っていた電話ボックスへ向ってくる! 彼らの初登場は原作2巻。城之内の高級スニーカー、エア・マッスルを強奪した不良達だ。なお、この時に城之内を抵抗出来ないようにした方法が非常に奇抜な発想なので、キミの目で確かめて欲しい。
「なっ、なんだてめぇら! 2巻の不良3人じゃねえか!」
「キキィィィィィィ」
 不良AとBはしゃがみ、2人がかりで電話ボックスの扉を押さえつける。残った不良Cが電話ボックスにガムテープを貼り付け、貼ったまま周りを回転し始めた! つまり電話ボックスがガムテープでぐるぐる巻きになっているのだ!
「おい! 出られなくなるだろ、止めろっ〜〜!」
 城之内が扉を叩いても押しても開きそうにない。不良Bは立ち上がり、ガムテープを取り出して不良Cと同じように旋回し始める! 時期を見計らって、不良Aも旋回し始めた。電話ボックスにガムテープをまいている不良3人が走る、実にシュールな図がここに完成する。
 3個のガムテープを使い切り、満足した不良×3は大笑いしてその場を去った。城之内は気を取り直して20円を入れて電話を掛ける。今度は磯野ではない。
「モクバか!」
「じょ、城之内ぃ? オレの電話番号、お前に教えたか?」
「頼みたい事があるんだ! どーしても!」
「?」
 城之内は事情を説明し、モクバを説得した。
 モクバはしぶしぶ了解した様子で電話を切る。
「あとは念には念を、『アレ』を作っ――おぶッ!」
 ドン、と音が鳴り電話ボックスの扉に顔を打ちつけた城之内。そう言えば不良どもに閉じ込められたのか。
 城之内は、まさにこの時だと思った。今まで瞬間移動を連呼していたのは伏線だったのだ! 何という計算し尽くされた巧妙な脚本。おでこに指を当てて、瞳を閉じる。当たり前だが瞬間移動は出来なかった。仕方なく電話ボックスから110番をかけ、ヒロトではない本田さんに救出して貰った城之内であった。

 城之内の秘策とは一体。
 モクバに頼んだ事とは。
 『アレ』とは何の事なのか。
 城之内克也、怒りの決闘が遂に始まり、そして終わる。
「待ってろよ、ボブ・マクガイア!」



−今日の最強アイテム−

十代「今日の最強アイテムは、十六夜アキと龍可のビラ!


【※妄想でお楽しみ下さい。】


なんて格好してるんだろーなぁ。2人とも風邪引くぞ。
……おっと! 残念だけど画像は無いぜ。ガッチャ!」




最後の7話「ジョーノ ザ ファイナル」

 城之内は走っていた。
 両手に2つのデュエルディスクを抱えて。今日は久しぶりにエア・マッスルを履いて来た。このミッドソールの軽いクッションに加え最高のフットギア。ケジメを付けるデュエルだからこそ履こうと思った――のが、失敗した!  空は灰色に曇り、小ぶりの雨を降らせていたのだ。今日は久しぶりに天気予報を見た。傘マークが多かったのも確認した。霊使い天気予報でエリアが水玉のレインコートを着て雨だと言っていた。しかし城之内は忘れていたのだ。自分の所持するエア・マッスルは靴上に穴が開いていたため、そこから雨水が入ってしまう。意味が分からない人は原作2巻を参考だぜ。

 公園を通り、川沿いの道を走り抜け、視界が開けて童実野高校が見えてくる。目標はただ1つ。屋上。そこに奴が待っている。城之内がおでこに指を当てると残像が発生し、城之内は屋上へ瞬間移動した。まったく、ギャグ小説は事実より奇なりよ。
「待たせたな、ボブ・マクガイア!」
 ボブは折り畳みの軽量イスに座り、モスライスバーガー(きんぴら)を食べながらドラゴンボール32巻の77ページを読んでいた。
「臆せず来るとはな、城之内」
「オレは城之内じゃねえ」
「バ、バカな……き、きさまは城之内だろ!? ち、違うのか!?」
「ちがうな」
 城之内は親指を立てて自分を指す。
「今日のオレはスーパー城之内だぜ!」
「スーパーかファック野朗か知らないが、お前の負けは決定している。遊戯王で例えるならオレの手札にエクゾディアのボディ・左腕・右腕・左足・右足の5枚が揃っている状態だ」
 本当に負けが確定しているじゃねえか。
「だがよ、それが天使の施しの効果処理中なら――まだ分らないぜ?」

 空は増して曇り、雨が音を立てて降って来る。大粒の水が頬を伝った時、城之内は思った。この雨は最高の演出として盛り上げてくれる。ボブの背後ではゴロロ、とRAI−MEIを起し2人の決闘者を一瞬だけ照らす。
 なんて格好いいシーンなんだ。

「俺がお前に頼む事は、これだ!」
 城之内は持って来ていたデュエルディスクを1つ、ボブに放り投げる。
「今日はこのデュエルディスクで戦ってもらう! 当然、俺も同じ物だ」
「ほう」
 ボブはデュエルディスクの、あんな所やこんな所を舐め回すように吟味する。
「爆弾は入っていないようだな。だが――」
 ……!
「お前が持っている方のデュエルディスクを使わせろ!」
 ボブはデュエルディスクの交換を申し出す。
 城之内の答えは。
「……いいぜ。使えよ」
 ボブは再びデュエルディスクを見るが、特に変化を感じなかったようだ。そのままデュエルディスクを装着し、デッキを入れる。
「デュエルだ! ボブ野朗!」
 ついに最終決戦のゴングが鳴る。先攻は何となく、ボブから始まった。

城之内【LP:4000】
ボブ【LP:4000】

「俺のターン。手札抹殺を発動。そして処刑人−マキュラが墓地へ送られた為、俺はこのターン手札からトラップカードを発動できる」

【処刑人−マキュラ】
★4 闇属・戦士族・効果 ATK1600/DEF1200
このカードが墓地へ送られたターン、このカードの持ち主は手札から罠カードを発動する事ができる。

「よって血の代償を手札から発動」

【血の代償】 永続罠
500ガバスを払ったらクリーチャー1体を出せる。(召喚酔いはしないが、生け贄は必要だし融合デッキからも出せない)ぼくが子供の頃はこのカードを使われ、生け贄無しでリボルバー・ドラゴンを召喚されたりエクストラデッキから青眼の究極竜を出されたりで泣きそうになりました。当時小学生だった上にインターネットも主流ではなかったゆえに無茶苦茶だった。ムカムカのスーパーレア、アンティルールで取られちゃった。今からでも遅くないから、ぼくのムカムカちゃん返して……。

「おい! ムカムカ返してやれよっ!」
 我が偽造テキスト&本当にあった涙の記憶と城之内の言葉を無視して、ボブは作業を続ける。
「謎の傀儡師を通常召喚し、500ライフを払って2体目の傀儡師を通常召喚する」

【謎の傀儡師】
★4 地属・戦士族・効果 ATK1000/DEF1500
モンスターが召喚・反転召喚に成功した時、自分は500ライフポイント回復する。

 ボブのフィールド上に、謎の傀儡師が全く同じポーズで左右に並ぶ。城之内は昔のドラゴンクエストの戦闘画面を見ているような気分になった。

城之内【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:無し
魔法&罠:無し
ボブ【LP:3500】
手札:2枚
モンスター:謎の傀儡師(ATK1000)×2
魔法&罠:血の代償

「さらに500ライフを払い、オネストを召喚する。そして召喚に成功した事により、謎の傀儡師2体の効果で1000ライフ回復する!」
 神々しい光を放ち、ボブのフィールド上に筋肉美あふれる半袖半ズボン金髪長髪の成人男が現れた。鍛え抜かれた大胸筋は美しくも、凛々しも、愛おしくも、官能的だ。頭にはガンダムの角を付けており、城之内を妙にギラついた目で見つめる。おぞましい笑みを浮かべ「骨太で美味しそうなボウヤだな」と呟いた。実に正直な男だ。城之内は思わずゾッとなり目を逸らした。

ボブ【LP:3500→3000→4000】

【オネスト】
★4 光属・天使族・効果 ATK1100/DEF1900
正直言って、このカードは手札に戻れない。嘘だ!!!!

「オネストの効果を発動。フィールド上のオネストを手札に戻す」


 それから、かくかくしかじか。数分が経った。


 曇り空から本格的に大雨が降って来た。前が見えねぇ。城之内は流れる雨を拭こうともせず、ただひたすら仁王立ちしていた。まさしく水も滴るいい男だな、と自分で思った。
「ハハハハハ! 結局はなす術無しだな」

城之内【LP:4000】
手札:5枚
モンスター:無し
魔法&罠:無し
ボブ【LP:77500】
手札:2枚
モンスター:謎の傀儡師(ATK1000)×2
魔法&罠:血の代償

「この調子でノックアウトし」
 その時だった! 天空が輝き、轟音が鳴り響く!
「ぐわあああああああああああ!!」
「ハガネェエエ――――――ル!!」
 2人の声が同時に木霊する。
 な、なんと! 天空から降ってきた青いイナズマが、2人に落雷した!
 そう! これこそが、城之内の作戦だったのだ!



 それは、あの電話ボックスから始まっていた。
「――はぁ? なんで?」
「だからさ、雷がこう、ドカンと落ちやすいデュエルディスクを2つ作って欲しいんだ! 出来るよな? 出来るよな?」
「まぁ出来ない事はないけど」
「頼む!」
「んったく、しょーがねぇなぁ」
 と、言った経緯でモクバが一晩で開発した、海馬コーポレーションの最先端技術を用いた特製デュエルディスクだったのだ。外装にはドカンと雷が落ちやすい物質を装備。内臓パーツには雷による放電現象を0.5秒以内に人体全体に拡散させる機能が搭載。我々では理解出来ぬ未知の技術が仕込まれた完全未来型新次元決闘盤なのである。
 しかし城之内はボブがデュエルディスク交換を要求してくると分かっていたため両方にこの仕掛けをする必要があった。一見、命を張った危険なカケに見える。だが雷さえ降れば城之内は勝利する確信があったのだ。
「へへっ……」
 青いイナズマを食らってもなお、城之内は立ち上がった!
 しかしそれは不思議でも何でもない。城之内は1度、原作2巻で不良達によるスタンガンの連発攻撃でイかされた事があった。バトルシティでも死線を彷徨うほどのダメージをラーの翼神竜から受けたのだ。いまさら自然が発生させた雷ごときのダメージでは城之内には通用しない。城之内は閃いた時、あの瞬間から気が付いたのだ。既に自分は、「スーパー城之内」だったと言う事を。
 雨が止み、雲が消え、お日様が顔を出す。ボブの頭上が照らされて、城之内に光の反射ダメージを与えた。

城之内【LP:4000→1】

目を逸らした先には、あらかじめ城之内が屋上に吊るしておいた逆さまのテルテル坊主があった。その微笑みは彼の勝利を祝福しているようだった。

 清々しい、ある晴れた日の午後。

ボブ【LP:77500→0】

 勝った。城之内は勝ったのだ。
 カードを一切使わず、カードゲームに勝利したのだ。一見、卑怯な勝ち方のように取れる見解もあるかも知れない。しかし城之内には以前、バトルシティでリシドをノックアウトによる方法で勝利した事がある。闇マリクもラーの翼神竜を使って城之内をノックアウトして勝った。しかし、今回はノックアウトなどと言う野蛮な戦法では無い。このデュエルディスクには更なる秘密が隠されており、プレイヤーの気が失えばライフポイントに77500のダメージを与える機能があったのだ。よって、これはノックアウトでの勝利ではないことをここに明言しておきたい。城之内は一撃でライフポイントをゼロにした事により勝利したのだ。何の問題も無い。

 キミもデュエルをしている途中、勝つ手段がなければそこで諦めてしまっていないだろうか? しかし世の中は今回のように、どんな事が起こるか分からない。例えば、デュエル中に相手モンスターに勝てるカードが無い。そんな時でも手段は残っている。カードが無ければ「自分自身をフィールド上に召喚する」「召喚した上で、相手モンスターに攻撃を仕掛ける」というほどの図々しい根性・気合・熱血・必中・加速が無ければ、真のデュエリストとは言えないぞ。

 カードが何も残っていない状況で、直接攻撃を受けてしまう。その攻撃はキミのライフをゼロにする。それでもまだ、希望を捨ててはいけない。キミを信じてくれる魂のカードがあれば、デッキや墓地からブラック・マジシャンのように魂が離脱し、キミを守ってくれるハズだ。友達に何を言われても、今の攻撃は俺の魂の友が守ってくれたと言い張ればよし。ピポンママーニャ教の教祖様がわたくしめをお助けになられた、と狂信を装うのもよし。攻撃したら新聞勧誘するぞ、と言うも良し。そしてこれらの方法以外の発想を発送した時、キミのデュエリストとしてのランクは爆発的に上昇し、未知なる新次元のパラレルデュエルを繰り広げられるだろう。

 我は切に願う。遊戯王OCG世界大会で自分自身をチューナーモンスターとしてフィールド上に召喚してくれる人が現れる事を。そしてモンスターと同化し、シンクロモンスターとアクセルシンクロをも超える――



















業界初の、「シンクロヒューマン」として世界チャンピオンの座を勝ち得る事を。



















そう。



諦めてしまったら、デュエルはそこで試合終了なのだ。
負けを認めた時、負けてしまう。
負けなければ、負けではない。
城之内は負けと思わず最後まで戦い、そして勝った。
カードが無くともカードゲームに勝てる事を我々に証明してくれた。
だが気をつけて欲しい。
これは現実世界ではない。創作である。
我々の世界は今回のように上手く行く事が少ない、無常たる世界なのだ。

しかし!

どんな事があろうとも、自分自身が死ぬまでゲームオーバーは発生しない!
だからこそ何かに諦めるのは勿体ないぞ!
キミは主人公だ。
主人公になるも村人Aになるのも、キミ次第なのだ。


僕も、カタツムリも、オオアリクイも頑張る。
だからキミも。
キミが頑張れば、僕はもっと頑張りたい。
だからキミも。
ジャンケンに。
釣りに。
デュエルに。
いや、全ての物事に。
たった1度だけの、キミのLife(ライフ)――





























































































































城之内克也 怒りの決闘



〜完〜









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