Happy Flower
46話〜

製作者:Kunaiさん




第46話「一朝一夕」

 空は青色から少しずつオレンジ色に染まっている。詩人などが存在するのは、この夕日へ変る瞬間があるからだ!などと思ってしまいそうなくらい綺麗だ。

 ・・・・・って、もうそんな時間だったんだ。

 結局、ユキちゃんは来られなかったけど・・・・・ボクは大丈夫。ユキちゃんが帰って来たら、デュエル・アカデミアの事をたくさん聞かせてあげるんだ。

 格好をつけて夕日を見てしまっていたボクの少し向こうでは野口さんとカイザーさんが何か話している。野口さんも今年で学校を卒業だけど、またカイザーさんと戦える日が来るよね。



「また会おう、野口龍明君。俺は来年この学園にはいないが、必ずプロリーグへ出場するつもりだ」

「ああ。テレビであんたの活躍を見させてもらうよ。今日はありがとう、カイザー亮!」



「ハッハッハ、俺は来年もこの学園にいるから、いつでも来い!伊吹!!」

「何だと・・・?たまたまプラモデルで勝てたからっていい気になるなよ、万丈目」

「万丈目さんだ!!それに貴様、まだ俺のVWXYZ(ヴィトゥズィ)をプラモデルと・・・・!」

「・・・・・来年はもう少し進歩するんだな、万丈目」

「万丈目さんだ!!全く、どいつもこいつも・・・・・!!」



 伊吹君とあの黒い服の人は相変わらず口ゲンカをしている・・・・・。

「賢治、またデュエルしような!」

「えっ!!」

 突然声をかけられて、つい奇声を出してしまった。・・・・・いつの間にか十代君が隣にいたようだ。

「え・・・?あ、うん・・・・!ボクは来年も来るよ。その時はまたよろしく、十代君!」

「おう!」

 ボクと十代君はギュっと握手をして、来年のデュエルの約束をした。

 そろそろ船が出港する時間だ・・・・。会場に見に来ていた人達や応援に来てくれた鳥野さん達もどんどん船に乗っていた。

「あ!それじゃあボクも行って来るよ!」

「元気でな〜〜〜〜!」

 十代君のその言葉を最後に、船は出発していった。

 これでしばらく会えない・・・・か。





 ・・・・・・・・・・・・あ!!!!!





 そういえばデュエル・アカデミアにある購買部を利用するのをすっかり忘れていた!!せっかくお金も持って来たのに・・・・!ドローパン、ドローしたかったなぁ・・・・。





 ・・・・・・・そして。





 ふぅ・・・・・・・・・・。

 もうちょっとで童実野埠頭(ふとう)だ。船に乗ってもう数十分たったんだ。

「あっ!藤原賢治く〜〜〜ん♪」

「うぁっ!?平見先生でしたか・・・・。フルネームで、しかも気持ち悪い呼び方しないでくださいよ・・・・・」

「さっき神之崎さんから電話があったんだけど、もうすぐ幸恵はそこの童実野埠頭に到着するってよ。さて・・・・・・・それにしてもどうだった?お〜ぅ??」

「え?いや、デュエルはすごく楽し・・・・」

 ボクが話している途中なのに、平見先生は空を使うように答える。

「あー、そんな事はどーでもいいの、どーでも」

 どーでもって・・・・・・。

「デュエル・アカデミアにはカワイイ子がいっぱいいたじゃない。どの子がよかったのよ?先生だけに教えなさい」

 平見先生は小さなイタズラの他に、こーゆー系の話題が大好きなんだ。自分より人の観察が出来るのは、さすが先生だな〜っとは思うけど。

 ・・・・・・さすが?

「べ、別に興味ないですよ。それに先生、それじゃあ高校生の男子みたいですよ」

「そう?デュエル・アカデミア代表席の近くにいた金髪の子、購買部のお姉さんは人気ありそうよ」

「えっ!!購買部に行ったんですか!」

 話題をそらすためと言うより、平見先生が購買部に行った事について気になった。その様子に気がついた平見先生は待っていました、っと言わんばかりに薄い水色の袋に入ったパンを2つ取り出す。

「行ったよ。フフフフ、そしてコレはな〜んだ〜?」

 ド、ドローパン!!D・Aと書かれているから間違いない・・・・・!

「そ、そ、それ、う、売ってくれませんか・・・・?」

「う〜ん、別にいいけど・・・・・いくらで?」

「いくらだと売ってくれますか・・・・・?」

「20万円」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「うそうそ!冗談だって!パンで生徒からお金をむしり取る真似はしないよ。野口と伊吹にもあげてきたから藤原にもな」

「あ、ありがとうございます!!」

 平見先生のご好意に甘えて、ぜひ頂く事にした。これが念願のドローパン・・・・!

「ド、ドロー!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・。


 ・・・・。


 ・・。


 。


「・・・・・??」

 何も変わった味がしない。ただ食パンを食べているだけのようだ。

「あれ?何も入っていませんよ・・・・・?」

「ん?あぁ〜・・・・藤原、よく見ろ」

「?」

「ホラ、薄い食パンが入っているだろ。よく見ろよ」

「なんかサギじゃないですか、これ!」

「んな事アタシに言われても知らないよ!文句あるなら金返してよ!」

「いえ、嘘です!冗談です!ごめんなさい!」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・どうやらハズレを引いたようだ。

「いや、お前のはまだマシだ」

 伊吹君がドローパンを片手に話しかけてきた。中身が食パンで・・・・・・マシ?

「それじゃあ・・・・・・・伊吹君は何パンだった?」

「俺は梅干パンだ。梅干がタネ抜きで全体に塗られていた」

「う、梅干・・・・・・」

「俺は一度、確認してから食べたんだ。『ただのジャムパンか・・・・』っと思いながら、口ではジャムパンの味を想定していたのに・・・・・・・梅干の味がした」

「うっ・・・・・・・・」

「あっはっは、それはつらい!」

「しかしこれだけ紛らわしい色にしていると言う事は購買部の連中は意図的にやっている気がする」

「だがよ、伊吹。そうなると・・・・」

 何やら平見先生と伊吹君がドローパンの具について語っているようだ・・・・。さすがに入っていける世界では無いので、ボクはドローパンを一気に食べて野口さんを探すことにした。

「うーん、何処に行ったんだろう・・・・・」

『え〜〜、まもなく船は到着いたします。お荷物はお忘れないようにお願いします。繰り返します・・・・』

 放送が鳴ってからは、あっと言う間に船は埠頭についた。鳥野さん達やアルファベットシリーズさん達は満足げに帰っていく。

「おーーい、のぐっさん!藤原君!伊吹君!」

 あ、あれは・・・・!

「角田さん!定岡先生!」

 角田さん達が出てくると、やっと野口さんは船から出てきた。一体何をやっていたんだろう・・・・?

「どうだった、藤原君?」

 角田の方はどうでした?っと聞きたかったのに先に言われてしまった。それ以前に、ボクが勝つとは思っていないような気がするけど・・・・一応報告しないと。
 
「ははは・・・・・何かもう、運命と言うか、絶対条件なのか、また負けちゃいました」

「そっか・・・・。のぐっさんと伊吹君は?」

「ふっふっふ!俺達全員、全滅さ。やっぱりデュエル・アカデミアの連中は強かったなぁ〜!」

 野口さんは顔では笑っていたけど、やっぱり何か隠している気がする・・・・・。

 様子を伺っているボクが気になったのか、定岡先生が話しかけてきた。

「悔いの無いデュエルは出来たか、藤原君」

「はい、定岡先生。来年も後輩に負けないように出場したいと思っています」

「なら安心だ」

 久しぶりの定岡先生も、どうやら元気そうだ。

「そうそう。のぐっさん、今日でしたよね。最後くらいは来ようと思って幸花町から来たんですよ」

 今日・・・・・・?最後・・・・・・?

「あ・・・・・ああ」

「どう言う事ですか・・・・?」

「のぐっさん、まだ言ってなかったのか・・・・?」

「・・・・・・すまん」

「えっ・・・・?」

「すまん・・・・賢治・・・・・。俺はもう、幸花高校には帰らない。今日から・・・・神之崎さんがここに来たら、俺は海外へ行くんだ」



第47話「夕方と夜の間」

「どうしてボクに黙っていたんですか・・・・?」

「すまん・・・・。ただ、賢治にだけは言いにくくてな・・・・」

 自分で言うのもなんだけど、野口さんの気持ちが何となく分かる気がする。


 一番長い、友達付き合いだから・・・・


 最近までボクの友達は野口さんただ1人だけだったから・・・・


 そして、野口さんが覚えているなら・・・・


「俺は賢治と約束した。お前が強くなるまで、俺がいてやるって。でも今は、もう必要無いと思ってな」

「・・・・・!覚えていたんですね、野口さん」

「ああ」

「・・・・・・・・」

 ボクが黙り込むと、野口さんは突然デュエルディスクにデッキをセットした。

「そうだな・・・・それじゃあ、デュエルだ。しばらくココに帰って来れそうに無いから、最後に賢治の力を見せてくれないか?」

 しばらく帰って来れそうに無い・・・・・・か・・・。

 何を言っても、もうすぐ野口さんは行くんだ。ボクのわがままのせいでまた野口さんに迷惑をかけるわけにはいかない。

 だったら・・・・ボクは野口さんのためにデュエルをしようと思う。よく分からないけど、自分に対するケジメにもなりそうだ。

「・・・・分かりました」

「よし、決まりだな。だが・・・・俺は手を抜かない。どんな味気のない勝ち方をしてでも、賢治を倒す。それでもいいな?」

「・・・・はい」

 野口さんはボクの返事を聞いてから後ろに下がって、デュエルの準備をする。


 そういえばここって・・・・。


「ここは・・・・確か、デュエルキングの武藤遊戯さんと城之内さんが戦った場所ですよね」

「正確には『戦わされた』らしいぞ。まぁ・・・・場所が場所だし、最後らしいデュエルが出来るかもな。それじゃあ、行くぞ・・・・・!!」





 ―――デュエル!!





藤原【LP:4000】 野口【LP:4000】






―――――――――――――――――――――――――――



 あたし達(平見よ。)が忘れられている気がするけど、気のせい・・・・?

 あんまり理解出来ないけど、こいつらなりに決着をつけるよう。とりあえず皆の意見でも聞いてみようかな〜。

「伊吹に角田、あと定岡先生はどっちが勝つと思う?」

「・・・・・俺は藤原にしておこう」

 伊吹は本当に藤原が勝つと思っているのか?何だかんだ言って、こいつも立派な藤原の友達だよな。

「う〜ん・・・・やっぱりのぐっさんかな。1年間、のぐっさんのデュエルを見たけど、負けたのはほとんど見てなかったし」

 角田は野口を投票・・・・じゃなかった、予想か。

「私も経験やレベルで見ると、どうしても野口君が勝つと思うが・・・・」

 定岡先生も野口か。そりゃー1年以上一緒の部活だった角田や定岡先生は野口のデュエルを1番知っているからな。

「ひらみん先生はどうなんだ?」

「平見先生はどっちと思う?」

「それじゃあ平見さんは・・・?」

 人が色々と考えているのに、3人いっぺんに質問してきやがった。しかも全員、同じ内容だ。

「ちょ・・・・3人同時に聞かないでよ。あたしは藤原よ、藤原。理由と根拠は無いけど、何となく藤原に勝って欲しいから、藤原」

 正直に言うと、野口が勝つ気がする。でも・・・・でも、たまには勝って欲しいよなぁ〜。

「頑張れよ、藤原ァァァァァーーーーー!!!!!!」



―――――――――――――――――――――――――――



「えっ・・・!そんな大声で叫ばないで下さいよ、先生・・・・」

「応援してやってるんだぞーーー!!!!!文句言うなーーーーーー!!!」

「あぁぁぁぁ、はい!!ありがとうございます!!」

 最後になっても相変わらず平見先生は元気だ。ボクも頑張らないと・・・・!

「俺のターンからだな・・・・ドロー!!」


 ・・・・・・緊張する。


 デュエルの大会はもう慣れたけど、ボクに対して本気で戦う野口さんは初めてだ。

「賢治、悪いな」

「えっ、何がですか・・・・!?」

「俺は手札から苦渋の選択を発動する」


【苦渋の選択】 通常魔法
デッキからカードを5枚選択して相手に見せる。相手はその中から1枚を選択する。そのカードを自分の手札に加え、残りは墓地に捨てる。


「それは確かデュエル・アカデミアでサンダーさんが使っていた・・・・!」

「ああ。俺はこの5枚をデッキから選択する。賢治はその中から1枚を選択し、そのカードを俺の手札に加え、残りは全て墓地へ送る」

「野口さんの選択した5枚は・・・・・えっ・・・・!?」



【神龍−ブリザード・ドラゴン】

【神龍−バーニング・ドラゴン】

【神龍−アース・ドラゴン】

【神龍−ヘヴン・ドラゴン】

【神龍−ヘル・ドラゴン】



 これらは全て野口さんの神龍モンスターだ。それを1ターン目から墓地へ・・・・・?

「・・・・ボクは神龍−ヘル・ドラゴンを選択します」

「分かった。そして俺は手札から神龍−ハリケーン・ドラゴンを召喚する!!」


【神龍−ハリケーン・ドラゴン】
★3 風属・ドラゴン族 ATK1200/DEF800
このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキからカードを2枚引き、手札からカードを1枚捨てる。


「ハリケーン・ドラゴンの効果でデッキからカードを2枚引き、手札から神龍−ヘル・ドラゴンを捨てる。そして魔法カード究極神龍誕生を発動!!」

「そ、そのために最初から苦渋の選択で・・・・!」


【究極神龍誕生】 通常魔法
自分のフィールド上の神龍モンスター1体を生け贄に捧げる。自分の墓地に、「神龍−ブリザード・ドラゴン」「神龍−バーニング・ドラゴン」「神龍−ハリケーン・ドラゴン」「神龍−アース・ドラゴン」「神龍−ヘヴン・ドラゴン」「神龍−ヘル・ドラゴン」が存在する時これら全てを除外し、召喚条件を無視して融合デッキから「究極神龍」を特殊召喚する。


「フィールドのハリケーン・ドラゴンを生け贄に、俺の墓地に存在する六神龍をゲームから除外し、究極神龍を特殊召喚する!!!」


【究極神龍】
★12 光属・ドラゴン族 ATK5000/DEF5000
「神龍−ブリザード・ドラゴン」+「神龍−バーニング・ドラゴン」+「神龍−ハリケーン・ドラゴン」+「神龍−アース・ドラゴン」+「神龍−ヘヴン・ドラゴン」+「神龍−ヘル・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードをフィールドから墓地に送った時のみ融合デッキから特殊召喚が可能。このカードは相手のカードの効果を受けない。


「俺はこれでターンエンドだ」

「ボクのターン、ドロー!!」

 いきなり攻撃力5000の究極神龍が出てくるなんて・・・・。やはり野口さんは本当に短期で決着をつける気だ。

「ボクはモンスターをセットし、カードも1枚セットします。・・・・・ターン終了です」

「賢治・・・・俺の作戦が見抜けなかったようだな」

「えっ・・・・?」

「俺は手札から抹殺の使途を発動!!賢治の裏守備モンスターを破壊し、ゲームから除外する!!」


【抹殺の使徒】 通常魔法
裏守備モンスター1体を破壊しゲームから除外する。もしそれがリバース効果モンスターだった場合、お互いのデッキを確認し、破壊したモンスターと同名カードを全てゲームから除外する。その後デッキをシャッフルする。


「・・・・・・・!」

 抹殺の使徒がボクのフィールドのモンスターを攻撃した瞬間、そのモンスターは持っている盾で攻撃を跳ね返す。

「ボクがセットしていたモンスターは・・・・・ビッグ・シールド・ガードナーです」

「何っ・・・・!?俺が賢治の罠に掛かってしまったのか・・・・・!」


【ビッグ・シールド・ガードナー】
★4 地属・戦士族 ATK100/DEF2600
裏側表示のこのモンスター1体を対象とする魔法カードの発動を無効にする。その時、このカードは表側守備表示になる。攻撃を受けた場合、ダメージステップ終了時に攻撃表示になる。


「ビッグ・シールド・ガードナーは裏側のこのカードを対象とする魔法を無効にし、このカードは表側守備表示となる!!」

「だが究極神龍で攻撃が残っている・・・・!ビッグ・シールド・ガードナーに攻撃だ!!ファイブ・ギガソニック・フレア!!」

 野口さんの究極神龍の攻撃でビッグ・シールド・ガードナーは盾ごと消滅させられてしまう。

「ま、まだです・・・・速攻魔法、スケープ・ゴートを発動!!」


【スケープ・ゴート】 速攻魔法
このカードを発動する場合、自分は発動ターン内に召喚・反転召喚・特殊召喚できない。自分フィールド上に「羊トークン」(獣族・地・星1・攻0/守0)を4体守備表示で特殊召喚する。(生け贄召喚のための生け贄にはできない)


【羊トークン】DEF0 ×4


「壁を増やしたか・・・・。ターンエンドだ」

「ボクのターン!手札から沈黙の剣−LV5を発動!!フィールドの羊トークン1体を生け贄に、デッキからサイレント・ソードマンLV5を特殊召喚します!」


【沈黙の剣−LV5】 速攻魔法
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。自分のデッキ・手札・墓地・除外されている「サイレント・ソードマンLV5」1体を自分のフィールド上に特殊召喚する。


【サイレント・ソードマンLV5】ATK2300


「そして手札から団結の力を発動し、サイレント・ソードマンLV5に装備!!」


【団結の力】 装備魔法
自分のコントロールする表側表示モンスター1体につき、装備モンスターの攻撃力と守備力を800ポイントアップする。


「ボクのフィールドには羊トークンを含めて4体います。よって攻撃力を3200アップさせ、合計攻撃力は5500!!」


【サイレント・ソードマンLV5】ATK2300→ATK5500


「一気に究極神龍の攻撃力を超えたか・・・・!」

「サイレント・ソードマンLV5で究極神龍に攻撃!!」





 ―――沈黙の剣LV5!





 サイレント・ソードマンは究極神龍を真っ二つにし、野口さんのフィールドから消し去る・・・・が、野口さんは全く動じた様子が無かった。

「・・・・・・・・・」 


野口【LP:4000→3500】


「タ・・・ターン終了!!」



第48話「見え透いた嘘をつきながら」

「俺のターンだな・・・・。手札から神龍−アタック・ドラゴンを特殊召喚し、さらに神龍−ディフェンス・ドラゴンを表側守備表示で特殊召喚する」


【神龍−アタック・ドラゴン】
★6 地属・ドラゴン族 ATK2000/DEF1000
自分のフィールド上にカードが存在しない場合、このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚する事ができる。


【神龍−ディフェンス・ドラゴン】
★6 地属・ドラゴン族 ATK1000/DEF2000
自分のフィールド上にカードが存在する時、このカードを手札から守備表示で特殊召喚する事ができる。


「俺はこの2体を融合させ、アタックサポート・ドラゴンを融合召喚!!」


【アタックサポート・ドラゴン】
★8 地属・ドラゴン族 ATK3000/DEF3000
「神龍−アタック・ドラゴン」+「神龍−ディフェンス・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードをフィールドから墓地に送った時のみ融合デッキから特殊召喚が可能。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分の神龍モンスターは攻撃力が500ポイントアップする。このカードが破壊されたターンのエンドフェイズにデッキからレベル4以下の神龍モンスター2体をフィールドに特殊召喚する事ができる。


「そして魔法カード、双頭神龍を発動。アタックサポート・ドラゴンの攻撃力を倍にし、アタックサポート・ドラゴンの効果でさらに500ポイント攻撃力を上げる・・・・!」


【双頭神龍】 通常魔法
融合召喚によって特殊召喚した神龍モンスター1体の攻撃力を発動ターンのみ、元々の攻撃力を倍にする。


【アタックサポート・ドラゴン】ATK3000→ATK6500


「これでサイレント・ソードマンの攻撃力を上回った・・・・!!サイレント・ソードマンLV5に攻撃だ!!!」

 アタックサポート・ドラゴンは、より強力なブレスを放ち、サイレント・ソードマンLV5を破壊した。

「くぅぅ・・・・・!!」  藤原【LP4000→3000】

「ターンエンドだ」


【アタックサポート・ドラゴン】ATK6500→ATK3500


 サイレント・ソードマンLV5は団結の力によって攻撃力が5500まで上がっていた・・・。そしてサイレント・ソードマンLV5に魔法は効かない。

 普通ならモンスター効果と罠カードでしか倒せない状況だ。なのに・・・・戦闘で破壊した・・・・・・?

「ボクのターン、ドロー・・・・よし!魔法カード、ダブルレベルアップ!を発動!!このカードの効果で墓地のサイレント・ソードマンLV5をゲームから除外し、デッキからサイレント・ソードマンLV7を特殊召喚します!!」


【ダブルレベルアップ!】 通常魔法
墓地に存在する「LV」を持つモンスター1体をゲームから除外して発動する。そのカードに記されているモンスター1体を、召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する。


【サイレント・ソードマンLV7】
★7 光属・戦士族 ATK2800/DEF1000
このカードは通常召喚できない。「サイレント・ソードマンLV5」の効果でのみ特殊召喚できる。このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド上の魔法カードの効果を無効にする。


「そして手札からD.D.アサイラントを攻撃表示で召喚!!」


【D.D.アサイラント】
★4 地属・戦士族 ATK1700/DEF1600
このカードが相手モンスターとの戦闘によって破壊された時、相手モンスターとこのカードをゲームから除外する。


「D.D.アサイラントでアタックサポート・ドラゴンを攻撃します・・・・!」

「・・・・・・・!」

 D.D.アサイラントはアタックサポート・ドラゴンに攻撃を仕掛けるが、逆に破壊されてしまう。



 ――それでも・・・・・!



藤原【LP:3000→1200】


「D.D.アサイラントは戦闘によって破壊された時、相手モンスターのこのカードをゲームから除外します!!これで野口さんのフィールドはガラ空き・・・・!サイレント・ソードマンLV7でダイレクトアタック!!!」




 ―――沈黙の剣LV7!




「ぐぁっ・・・・・・!!」  野口【LP:3500→700】

「これでボクのターンは終了です」

 ボクのフィールドにはサイレント・ソードマンLV7が存在する。LV7の効果によって魔法カードの効果は全て無効になる。仮にLV7を破壊出来ても、まだ羊トークンが3体残っている・・・・!

 これでボクは圧倒的に有利な位置に立った。このまま行けば勝てる・・・・!!











 勝つ・・・・・?ボクが・・・・・・・・?











「はははは・・・・強いなぁ。俺は手札から神龍−イーグル・ドラゴンを攻撃表示で召喚する!!」


【神龍−イーグル・ドラゴン】
★4 風属・ドラゴン族 ATK1900/DEF1700
このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を守備表示にする事ができる。


「・・・・!新しい神龍・・・・!」

 イーグル・ドラゴンが召喚されると、フィールド全体に強い突風が起こる。サイレント・ソードマンLV7はそのまま守備表示になってしまった。

「ああ。このイーグル・ドラゴンの効果はモンスター1体を守備表示に変更する事ができる・・・!」


【サイレント・ソードマンLV7】DFE1000


「・・・・サイレント・ソードマンの守備力は1000・・・・・」

「そう言う事だ。イーグル・ドラゴンでサイレント・ソードマンLV7に攻撃だ!!」

 再びイーグル・ドラゴンは突風を起こして、今度はサイレント・ソードマンを破壊する攻撃を仕掛けてきた。

「LV7が簡単に破壊されてしまった・・・・」

「そう簡単に勝たせる訳には行かないからな・・・・。ターンエンドだ」

「ボクのターン、ドロー!」

 今の野口さんの手札は2枚。そして今、ドローしたカードを含めてボクも手札は2枚。それでも野口さんのフィールドにはイーグル・ドラゴンと伏せカードが1枚存在する・・・・。

 そしてその伏せカードは、ボクが何をやっても発動される事が無かった。

 そして・・・・・仮にこの状況を打開出来たとしても、ボクは・・・・・・・。

「ボクは・・・モンスターをセットし、ターン終了です」

「俺のターン!!手札から神龍−レオン・ドラゴンを攻撃表示で召喚する!!」


【神龍−レオン・ドラゴン】
★4 風属・ドラゴン族 ATK1700/DEF1900
このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、このカードの攻撃力以下の相手のフィールド上に存在する表側表示モンスター全てを破壊する。


「レオン・ドラゴンの効果により、このカードの攻撃力以下のモンスター・・・・そう、賢治のフィールドの羊トークン3体を破壊する!!」

 レオン・ドラゴンは咆哮を上げ、羊トークン3体を破壊する。もうボクのフィールドにはセットしているモンスターしかいない。

「まだだ、賢治!!俺はフィールドのイーグル・ドラゴンとレオン・ドラゴンを墓地へ送り、グリフォン・ドラゴンを融合召喚させる!!」

「えっ・・・・!!」


【グリフォン・ドラゴン】
★8 風属・ドラゴン族 ATK3400/DEF3400
「神龍−イーグル・ドラゴン」+「神龍−レオン・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードをフィールドから墓地に送った時のみ融合デッキから特殊召喚が可能。このカードの融合召喚に成功したとき、次の効果から1つを選択して発動する。
●このカードは罠の効果を受けない。●このカードは魔法の効果を受けない。●このカードはモンスターの効果を受けない。


「グリフォン・ドラゴンが融合召喚に成功した時、グリフォン・ドラゴンは効果を1つ選択する!!」


(しかし・・・・俺は何を選ぶべきなんだ・・・・・・・?賢治のセットしているモンスターが何らかの効果を持つモンスターと予想したから俺はグリフォン・ドラゴンを融合召喚したんだ・・・・!だったら・・・・・!)


「俺は・・・・「このカードはモンスターの効果を受けない」を選択する!!グリフォン・ドラゴンで賢治の守備モンスターに攻撃だ!!」

 グリフォン・ドラゴンの攻撃によってボクの守備モンスターは破壊されてしまう。


 でも、ボクが守備表示にしていたのは・・・・


「ボクのセットしていたカードはコマンドナイトです。グリフォン・ドラゴンに影響を及ぼすモンスターではありません・・・・!」

「くっ・・・・。俺はカードを1枚セットし、ターンエンド」

「ボクのターン!強欲な壺を発動し、デッキからカードを2枚ドローします」


 よし・・・・・・やれるだけの事はやろう。


 どんなに不利ば状況になっても、野口さんならボクを簡単に倒せるはずだ・・・・



「手札からサイレント・ソードマンLV3を召喚します!」


【サイレント・ソードマンLV3】
★3 光属・戦士族 ATK1000/DEF1000
このカードを対象とする相手の魔法の効果を無効化する。自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送ることで「サイレント・ソードマンLV5」1体を手札またはデッキから特殊召喚する(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)。


「もうサイレント・ソードマンは賢治のデッキに入っていないんじゃないのか・・・・?」

「はい。でもこのカードでサイレント・ソードマンは再びボクに力を貸してくれます・・・・!速攻魔法、沈黙の剣−LV3を発動!!ボクはゲームから除外されているLV5と墓地に存在するLV7をデッキに戻します」


【沈黙の剣−LV3】 速攻魔法
「サイレント・ソードマンLV3」が自分フィールド上に存在している時のみ発動する事ができる。自分の墓地・ゲームから除外されている「サイレント・ソードマンLV5」「サイレント・ソードマンLV7」を全てデッキに戻す。さらに自分の墓地の戦士族モンスター1体をゲームから除外する事で相手モンスター1体を破壊する事ができる。


「サイレント・ソードマンLV5とLV7がデッキに戻った・・・・・!」

「それだけじゃありません。さらに墓地のビッグ・シールド・ガードナーをゲームから除外し、相手モンスター1体を破壊します!!」

「・・・・!」

 サイレント・ソードマンLV3は剣にエネルギーを溜め、グリフォン・ドラゴンに攻撃を仕掛ける。

「くっ・・・・!速攻魔法、神秘の中華なべを発動する!!このカードの効果でグリフォン・ドラゴンを墓地へ送り、俺のライフを3400回復させる!!!」


【神秘の中華なべ】 速攻魔法
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。生け贄に捧げたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、その数値だけ自分のライフが回復する。


野口【LP:700→4100】


「ボクはレベルアップ!を発動し、サイレント・ソードマンLV3をLV5へ進化させます!!」


【レベルアップ!】 通常魔法
フィールド上に表側表示で存在する「LV」を持つモンスター1体を墓地へ送り発動する。そのカードに記されているモンスター1体を、召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する。


【サイレント・ソードマンLV5】 ATK2300


「サイレント・ソードマンLV5で野口さんにダイレクトアタック!!行けぇーーーー!」





 ―――沈黙の剣LV5!





「・・・・・!!」 野口【LP4100→1800】


 よし・・・・・・!この状態なら負けても・・・・!


「カードを1枚セットし、ボクのターンは終了です」

 ボクがエンド宣言をすると、野口さんは少し厳しい表情で話し出した。

「賢治・・・・・お前、また負ける気なのか?」

「えっ・・・・・・?」





第49話「おかえり、藤原くん。」







 ―――「じゃあね、ユキちゃん。ちゃんと元気になって帰ってくるんだよ」







 ―――「もう1週間たったけど、体調はどう・・・・?」







 ―――「そうなんだ・・・!それじゃあデュエル・アカデミア戦までに帰ってこられるのかな?」







「ここは・・・・・・・・?」


 わたしは確か、神之崎さんと藤原くんの所へ帰っていた途中のハズです。でも、わたしの周りに見えるのは・・・・見覚えのある、懐かしい公園でした。わたしが小さな頃から遊んでいた、小さな公園・・・・・・・。


 その公園の隅っこの方に男の子と女の子が1人いました。2人はとても楽しく何かを話しています。その理由は・・・・





 明日は2人の家族と一緒に、海に行く予定だったからです・・・・・・・・・・。





『ついに明日だね、ユキちゃん!ボクはなにをもっていこうかなぁ〜〜』


『あっ・・・・あのね、藤原くん。わたし・・・・・明日がとってもたのしみなの』


『ボクもたのしみだよ〜。夏休みでさいしょのおでかけだし・・・・!』


 男の子の言葉を聞くと、女の子は分かっていたようにそれを否定しました。


『ううん、ちがうの。わたし・・・・ずっと1人だったの。お父さんとお母さんはいつもおしごとで、3人いっしょにごはんを食べられることも、ほとんどなかった。いつもいつも、おしごとばっかり・・・・だからわたし、さみしかったの・・・・・・・』


 ・・・・・この女の子は何も分かっていなかったのです。


 お父さんとお母さんは、この女の子のために必死で働いてくれていたのです。ただ、それを女の子の前で言わなかっただけ・・・・。


『だからわたし、明日がうれしい・・・・!わたしたち3人だけじゃなくて、藤原くんたちもいっしょに海へいけるから・・・・・』


『明日・・・・だけ?』


 女の子はとても嬉しそうに話していたのに、男の子は不思議そうに女の子を見ました。


 もちろん、女の子もどうしてそんな顔をされたのか全然分かっていません。


『えっ・・・・?』


『ユキちゃんがうれしいのは、明日だけ?そのつぎの日は?』


『・・・・・・・・・・・』


 男の子の言葉に、女の子は黙り込んでしまいました。それを見て男の子は頬をポリポリとかき、女の子の手をギュっと握りました。でも男の子は女の子の方を向かず、別の方向を向いていました。


『えーっと・・・・ボクはいま8さいだから、長いけど・・・・・・・あと、10年まってくれないかな?』


『・・・・・・・・?』


『ユキちゃんは1人でさみしかったんだよね。それじゃあボクが18さいになったら、ごけっこんできるようになるから・・・・・ずっと、ユキちゃんのそばにいてあげる。ずっと、好きでいてあげる。だからユキちゃんも、ボクのことを好きでいてほしいな。・・・・・・ははは、どうかな?』


 男の子は照れ隠しをするために笑いながらいいました。それでも女の子はとても嬉しくて、男の子に思いっきり抱きついてしまいました。


『うん!!わたしも・・・・わたしも好きでいるよ・・・・!ありがとう・・・・ありがとう、藤原くん・・・・・・!!』


『く・・・・苦しい、ユキちゃん』


 それを見て女の子はクスクスと笑うと、男の子も元気に笑いました。








―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――








 ―――PM6:20  Jデュエルハイスクール専用ヘリ内




「幸恵・・・・・!!幸恵!!!」


 急に辺りが暗くなると、聞き覚えのある人の声が聞こえてきます。


 その声が聞こえると、次は物凄い音が耳に入りました。





 ―――バララララララ!!!!!





「あれ?わ、わ、わたしは・・・・・・・」

「目が覚めたかい?それにもう着いたぞ。あれは藤原君達だろう・・・・!」

「あっ・・・・・!!」


 ヘリコプターの窓から見ると、男の子・・・・ううん、藤原くんが元気そうに両手を振ってくれていました。わたしもそれに気が付くと、ヘリコプターの中で手を振ってしまいます。


 体に付けていたシートベルトをはずし、いつでもここから出られる準備をしました。


「こ、こらこら!まだ着地していないから危ないぞ!!」

「で、でも・・・・・!」

「もうちょっとだ。ここでケガなんかしてしまったら、藤原君を悲しませてしまうよ」

「う・・・・うん」


 ヘリコプターは少しずつ下へ降下していきます。ヘリが着地する寸前で、わたしはドアを開けて、外に出ました。





「藤原くん・・・・・・!!!」





「ユキちゃん!!」





 藤原くんに届きそうになると、わたしはあの時みたいに藤原くんに抱きついてしまいました。



 とても・・・・・とっても嬉しかったからです。



 藤原くんは少し倒れそうになったけど、わたしをギュっと抱きしめてくれました。


 









 ―――――おかえり、藤原くん。











最終話「ただいま、ユキちゃん。」






  ―――PM6:10  童実野(どみの)埠頭




「俺はわざと負けられたりなんてしたら、俺は傷つくぞ。それでもいいのか・・・・?」

「・・・・・・・・・!!」



 野口さんを傷つける・・・・・・?



 ボクが・・・・・・?



「わざと負けて、俺を傷つけられるか・・・・?」

「ボ・・・・ボクは・・・・・・・・・」



 違うんだ・・・・・ボクは野口さんのためを思って・・・・・野口さんに勝ってもらおうと・・・・・・・・。



「・・・・・俺のターン、ドロー!!」


 野口さんはそれだけを言うと、既にデュエルディスクからカードを引いていた。ボクは・・・・ボクは・・・・・・・。


「俺はライフを半分払い、ゲームから除外されている六神龍を墓地へ送って手札から究極神龍復活融合を発動する!!」


【究極神龍復活融合】 通常魔法
ライフを半分払う。ゲームから除外されている自分の「神龍−ブリザード・ドラゴン」「神龍−バーニング・ドラゴン」「神龍−ハリケーン・ドラゴン」「神龍−アース・ドラゴン」「神龍−ヘヴン・ドラゴン」「神龍−ヘル・ドラゴン」を全て墓地へ送る事で発動する。召喚条件を無視して自分の墓地から「究極神龍」を特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。


「きゅ、究極神龍復活融合・・・・・!?」



野口【LP:1800→900】



「俺はこのカードの効果で再び究極神龍をフィールドに特殊召喚する!!」




【究極神龍】ATK5000




「また究極神龍がフィールドに戻ってきた・・・・・・!?」

「これが最後の攻撃だ、賢治!!究極神龍でサイレント・ソードマンに攻撃だ!!ファイブ・ギガソニック・フレアァァァ!!!!」


 究極神龍は6枚の翼からエネルギーを蓄え、サイレント・ソードマンにブレスを放つ。










 ――ボクは勝ってもいい・・・・?それとも、勝たないと・・・・?










「うわぁぁぁあぁーーーーーーー!!!」




藤原【LP:1200→0】




「ボクは・・・・・負けない!!速攻魔法、蘇生の矢を発動!!」


【蘇生の矢】 速攻魔法
自分のライフポイントが0になった時に発動する事が出来る。ライフポイントが0になった事を無効にし、自分のライフポイントを100にする。また、ライフが0になった時にモンスターが戦闘によって破壊されていた場合、そのモンスターを特殊召喚する。(装備カードが装備されていた場合、そのカードをモンスターに装備する。)


「蘇生の矢の効果でボクのライフは100になり、その時に戦闘でモンスターが破壊されていた場合、そのモンスターを特殊召喚します・・・・!!」




藤原【LP:0→100】




【サイレント・ソードマンLV5】ATK2300




「負けない、のか?・・・・・・俺はターンは終了だ」





 ボクはわざと負ける事で、野口さんを喜ばせようとしていた・・・・・。





 誰だって、負けたら悔しいから・・・・・。





 負けたら、心が痛いから・・・・・。





 だからボクは、敗北させる事によって人を傷つける事を恐れていた・・・・・・。





 でも野口さんは・・・・・・ボクが負けたら傷つくと言った。







 ――――だから。







「・・・・・勝ちます。ボクは野口さんに勝ちます」

「・・・・・・・!」

「ボクのフィールドにはサイレント・ソードマンLV5と手札が1枚。野口さんの場には究極神龍がいます。でも・・・・・でも・・・・・、このドローでボクは必ず・・・・・・!!ボクのターンです、野口さん!!!」

「ああ!!来い、賢治!!!」

 野口さんが究極神龍を2度も出てくるなんて全く予想していなかった・・・・。究極神龍を攻撃力で倒せる装備魔法、「団結の力」を失ったボクが究極神龍を倒せる手段はたった1つ・・・・!!

「ドロー!!サイレント・ソードマンLV7はLV5ダイレクトアタック成功後、次の自分のスタンバイフェイズにデッキまたは手札からサイレント・ソードマンLV7を特殊召喚します!!!」



【サイレント・ソードマンLV7】ATK2800



「そして装備魔法、沈黙の剣−LV7を発動!!」


【沈黙の剣−LV7】 装備魔法
「サイレント・ソードマンLV7」が自分フィールド上に存在している時のみ発動する事ができる。
このカードが表側表示でフィールド上に存在する限り、自分は「サイレント・ソードマンLV7」の効果で魔法カードの効果を無効にされない。このカードの発動と効果は無効にされない。


「沈黙の剣−LV7の効果でボクの発動する魔法は無効化されない・・・・!よってボクは天使の施しを発動!!デッキからカードを3枚引き・・・・」


【天使の施し】 通常魔法
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。


「ボクは手札の異次元の戦士と異次元の女戦士を墓地へ送ります」



 ボクの手札はたった1枚。



 偶然のドローとは言え、この状況を打開出来る唯一のカードを引けた。



 この攻撃を仕掛ければ確実にどちらかが勝ち、どちらかが負ける・・・・・・・・。



「ボクは・・・・・ボクは魔法カード、超新星―スーパーノヴァを発動!!!」



【超新星―スーパーノヴァ】 通常魔法
このカードの効果は、モンスター・魔法・罠の効果を無視して適用され、自分が1000ライフポイント以下の時のみ発動する事ができる。自分フィールド上のレベル7以上の戦士族モンスター1体を選択する。このターン、選択したモンスターのみが攻撃可能になり、自分の墓地に存在する戦士族モンスター全ての攻撃力を加える。発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは墓地に存在する全てのモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。



「・・・・・!!ついに来たか・・・・・・」

 スーパーノヴァの発動後、フィールド全体が宇宙空間のような所へ変化した。サイレント・ソードマンも剣を構え、攻撃態勢に入る。




【サイレント・ソードマンLV5】ATK2300

【サイレント・ソードマンLV3】ATK1000

【異次元の戦士】ATK1200

【異次元の女戦士】ATK1500

【コマンド・ナイト】ATK1200




「ボクの墓地にはこの5体の戦士族が存在します・・・!!よってサイレント・ソードマンLV7の攻撃力は・・・・」





【サイレント・ソードマンLV7】ATK2300→ATK10000





「これがボクの最後の攻撃です!!!サイレント・ソードマンLV7で究極神龍に攻撃・・・・・!!」






(くっ!!賢治にはあんな事を言ったのに・・・・・俺は・・・俺は・・・・・・!!)






『賢治・・・・・・。俺、幸花町に引越しするんだ・・・・・・』
 ――俺がいない間、賢治はどれほど傷ついた・・・・?引越しをした後も俺は賢治に会いに行ったが、賢治はいつも笑顔だった。でもその笑顔の裏側では、本当は泣いていたんじゃないのか?




『なら・・・俺は賢治が強くなるまで俺がいてやる!』
 ――俺はこの時、勘違いをしていた・・・・。賢治はもう強かったんだ。最近、こんな事に気が付いたという事は本当に俺は賢治の全てを知っていたのか?俺は賢治の本当の傷に気が付いてやれたのか?











(俺は・・・・俺には・・・・・・・クソォォォォッ!!!!)











「野口さん!!まだ野口さんにはボクを倒せる手段が残っているはずです!!デュエル序盤からセットされていたそのカードは、今使えないカードなんですか・・・・・!?」


「俺は・・・・・お前に・・・・・・」





「龍明君!!!!」




「・・・・・!お前・・・・やっと、俺を名前で・・・・・?」


「発動して下さい・・・・・!!!」


「くぅぅ・・・・・・うああぁぁぁ!!!トラップカード、神龍魂を発動!!このカードは賢治が使ったスーパーノヴァの神龍版カード・・・・・。墓地の・・・・・神龍モンスターの攻撃力全てを・・・・・神龍モンスターに加える!!!!」


 野口さんが発動した罠により、攻撃に向かっていたサイレント・ソードマンはボクのフィールドまで吹き飛ばされてしまった。



【神龍魂】 罠
このカードの効果は、モンスター・魔法・罠の効果を無視して適用され、自分が1000ライフポイント以下の時のみ発動する事ができる。自分フィールド上の神龍1体を選択する。このターン、選択したモンスターのみが攻撃可能になり、自分の墓地に存在する神龍モンスター全ての攻撃力を加える。発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは墓地に存在する全てのモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。



【神龍−ブリザード・ドラゴン】ATK1400

【神龍−バーニング・ドラゴン】ATK1600

【神龍−アース・ドラゴン】ATK1500

【神龍−ハリケーン・ドラゴン】ATK1200

【神龍−ヘヴン・ドラゴン】ATK1000

【神龍−ヘル・ドラゴン】ATK1300

【神龍−アタック・ドラゴン】ATK2000

【神龍−ディフェンス・ドラゴン】ATK1000

【神龍−イーグル・ドラゴン】ATK1900

【神龍−レオン・ドラゴン】ATK1700

【グリフォン・ドラゴン】ATK3400



「野口さんの墓地にいる神龍モンスターの攻撃力の合計値は18000・・・・・・」



【究極神龍】ATK5000→ATK23000



 究極神龍は全ての神龍のエネルギーを蓄え、サイレント・ソードマンにブレスを放つ。あまりにも強力な攻撃に、攻撃力の上がったサイレント・ソードマンでさえ一瞬で破壊されてしまった。








藤原【LP:0】








「クッ・・・・!!俺は・・・・・!!!」

 野口さんはそう言って倒れるように座り、地面を思いっきり叩く。ボクは急いでデュエルディスクにあるカードを全て回収し、野口さんの所へ行く。

「賢治・・・・・」

「分かっていましたよ、野口さん。ボクに「傷つけられるのか」なんて言ったのは、ボクをデュエルで本気にさせるためですよね」

「俺は・・・・・賢治に勝って欲しかった。そうすれば賢治は強くなったから、俺も安心して海外へ行くことが出来ると思った・・・・・」

「でも・・・・ボクは気を使ってしまって、野口さんを勝たせようとしてしまったんですね・・・・・・」

 野口さんもデュエルディスクにセットされたカードをデッキに戻し、ボクの方を向いた。

「だから俺はお前に本気でデュエルをして貰うために、あんな事を言ってしまった。そして、それを言った自分がわざと負けるのは賢治に対して失礼だと思ったし、あの時に神龍魂を使わずに負けても良いと思った・・・・どちらの感情も抑えられなくなって、頭がゴチャゴチャしていたんだ・・・・・・」

「野口さんは間違っていませんよ。ボクだって、野口さんにわざと負けてもらったら傷つきますよ・・・・?」

「ははっ、そうか・・・・・!そうだよな・・・・・・・」


 ボクの言葉に、やっと野口さんが笑ってくれた。デュエルの時間はそんなに長くないのに、野口さんの笑顔を見たのは本当に久しぶりなような気がした。


 平見先生達もデュエルが終わったのが分かったらしく、歩いてボク達の所へ来た。


「あーはっはっは、やっぱり藤原負けたか〜〜!ま、そんな感じはしていたんだけどな」

「ん・・・・?平見先生、さっきは藤原君に勝って欲しいっと聞いたのだが・・・・・・」

「き・・・気のせいですよ、定岡先生。藤原が勝つなんて、思っていなかったです」


 そういえば2人とも先生同士なのに、全然喋っている機会が無かったなぁ・・・・。平見先生と定岡先生が喋っているのは非常に珍しい光景だ。


「藤原君、負けちゃったけど見事だったぞ。俺は剣道部で忙しいからデュエ研にはたまにしか来られないし、伊吹君も藤原君を推薦したことだし、キミはデュエ研の次期部長だ・・・・!!おめでとう!!」

「そう言う事だ。俺はこういう面倒くさい事は嫌いだからな」


 角田さんは誠意を持って拍手をしてくれたけど、伊吹くんは本当に面倒くさそうに拍手をしていた。ボクがデュエルモンスターズ総合研究部・・・・デュエ研の部長を??


「でも・・・・いいんですか?」


 ボクが改めて2人に聞こうとすると、定岡先生が腕時計を見ながらボクの背中をポンと叩いた。


「もうそろそろ時間じゃないだろうか?頑張れよ、藤原君」

「え?な、何をですか・・・・・?」



 ・・・・・・頑張る?



 野口さんとのデュエルはもう終わったのに、何を・・・・・?


「ははは!藤原君め、とぼけちゃって。今更何を言っているんだ〜?」

「恥をかくような事だけはしない事だな、部長」



 感づいたように、角田さんと伊吹君まで定岡先生と同じような事を言う。一体何が・・・・??



「え?え?・・・ははは、みんなでボクを陥れようとしているんですよね・・・・?」



 ボクの言葉に対して、平見先生は「これでもか!」っと言うほど呆れた顔でボクを見てきた。ボクが今まで見た中で間違いなく、一番呆れた顔だ。



「ばーか!最後なんだから、格好いい所を見せてやれよ〜」

「ちゃんと迎えにいってあげろよ。賢治にとって、一番大切な人なんだろ?」







 ―――バララララララ!!!!!







「ヘ、ヘリの音・・・・?」


 みんなの言葉に対する疑問のせいで、ヘリの音に全然気が付かなかった・・・・。ボクが気が付いた頃にはヘリの「音」と言うより「爆音」と言ったほうが良いくらい近くに来ていた。


 そしてボクが上を見た瞬間、ヘリの窓から丁度ユキちゃんが顔を出していた。ユキちゃんを見た瞬間、ボクは自然に両手を振っていた。


「ホラ、行って来い・・・・賢治!!」

「・・・・・はい!」


 ボクがヘリの方へ走ろうとすると、ユキちゃんはまだ着陸していないヘリから飛び降り、そのままこっちに走ってきた。





「藤原くん・・・・・・!!!」





「ユキちゃん!!」





 ユキちゃんは思いっきりボクの所へ飛びついてきた。ちょっとバランスを崩して倒れそうになっちゃったけど、ボクはそのままギュッと抱きしめてあげた。


「えーっと・・・・・こうしていると、あの時を思い出すよね。あ、覚えている・・・・?」


 ユキちゃんは小さく「うん」と頷いた。そしてボクもそのまま話を続ける。


「今思うと、あの時は本当に子供だったなぁって思うんだ・・・・。でもね、ボクはずっとユキちゃんを好きでいられるよ。ボクが失敗しちゃってユキちゃんに嫌いになられても、すぐに好きでいてくれるように努力する。だから・・・・ユキちゃんも、だよ?」


 ボクは冗談っぽく笑うと、ユキちゃんもニッコリと笑ってくれた。


「うん・・・・!!」


「病院の時もそうだったけど・・・・遅れちゃってごめん。ここは幸花町じゃないけど・・・・・おかえり、ユキちゃん」


「ううん・・・・違うよ。わたしね、夢や心の中でずっと藤原くんを探していた。探しても、探しても、見つからなくて・・・・・・・。でも藤原くんは私の心の中の家に帰ってきてくれた。だから・・・・・だから、「おかえり」はわたしが言いたいの。これから藤原くんが帰ってきたら、いつも言ってあげる・・・・・・」


 ユキちゃんは深呼吸をして、はにかむように笑って言う。


「おかえり、藤原くん。」


 そしてボクも、笑ってユキちゃんにこう言ってあげた。


「ただいま、ユキちゃん。」
































































 ――――ただいま、ユキちゃん。

































































Happy Flower
Fin






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