カードを入手する手段としてもっとも一般的なのは、パックを購入することだ。
だけど、自分が欲しいカードは一体どのくらいの確率で当たるのだろうか――そのような疑問を持つ人は多いだろう。
このコラムでは、「SOUL OF THE DUELIST」などのいわゆる第4期新作パックについて「欲しいカードが当たる確率」を考えていくことにしよう。
まず、掲示板などでデータを集めて検証したところ、以下のようなことが分かっている。
以上を踏まえて、欲しいカードが当たる確率について以下の節で検証していこう。
ここでは、1パック買った時にそれぞれのレアカードが出る確率を計算してみよう。
まず、銀文字のレアカードは――
ウルトラレアやアルティメットレアが入ってなければ、100%封入されている。
このため、30パック中27.5枚封入されている――と求めることができる。
続いてスーパーレアカード。
これは1箱に必ず3枚封入されているので、30パック中3枚で固定だ。
ただし、アルティメット仕様のスーパーレアも含めるなら、30パック中3.95枚となる。
ウルトラレアカードも同様に。
1箱に必ず1枚封入されているので、30パック中1枚。
こちらも、アルティメット仕様のウルトラレアを含めるなら、30パック中1.55枚となる。
最後に、アルティメットレアカードは――
1箱に1.5枚なので、30パック中1.5枚だ。
――以上をまとめて、様々な確率などを求めてみたところ、以下の表のようになった。
レア度 | 1箱あたりの 枚数 |
パック毎の 枚数 |
1パックで当たる 確率 |
1枚当てるまでの 平均投資金額 |
---|---|---|---|---|
銀文字のレア | 1箱に27.5枚 | 1.09パックに1枚 | 91.67% | 164円 |
スーパーレア (下段はアルティメット含む) |
1箱に3枚 (1箱に3.95枚) |
10パックに1枚 (7.59パックに1枚) |
10% (13.18%) |
1500円 (1138円) |
ウルトラレア (下段はアルティメット含む) |
1箱に1枚 (1箱に1.55枚) |
30パックに1枚 (19.41パックに1枚) |
3.33% (5.15%) |
4500円 (2912円) |
アルティメットレア | 1箱に1.5枚 | 20パックに1枚 | 5% | 3000円 |
実際にパックを買い続けてみると分かるのだが、遊戯王第4期のパックはスーパーレア以上のカードが出にくい。
世間一般では、スーパーレア以上の入っているパックをアタリパック、レアまでしか入っていないパックをハズレパックと呼ぶことが多いが、これがその所以であろう。
そこで、スーパーレア以上(アタリパック)の封入確率を先ほどと同様にまとめてみよう。
レア度 | 1箱あたりの 枚数 |
パック毎の 枚数 |
1パックで当たる 確率 |
1枚当てるまでの 平均投資金額 |
---|---|---|---|---|
スーパーレア +ウルトラレア +アルティメットレア |
1箱に5.5枚 | 5.45パックに1枚 | 18.33% | 825円 |
以上のようになる。
5〜6パックに1枚だけスーパーレア以上のカードは封入されているのだ。
買っても買ってもスーパーレア以上のカード(アタリパック)が出ないという人も少なくないだろう。
そこで、3節で求めた確率を元に「連続ハズレ確率」を計算してみた。
パックの数 | 連続ハズレ確率 |
---|---|
1パック | 81.7% |
2パック | 66.7% |
3パック | 54.5% |
4パック | 44.5% |
5パック | 36.3% |
6パック | 29.7% |
7パック | 24.2% |
8パック | 19.8% |
9パック | 16.2% |
10パック | 13.2% |
11パック | 10.8% |
12パック | 8.8% |
13パック | 7.2% |
14パック | 5.9% |
15パック | 4.8% |
16パック | 3.9% |
17パック | 3.2% |
18パック | 2.6% |
19パック | 2.1% |
20パック | 1.7% |
21パック | 1.4% |
22パック | 1.2% |
23パック | 0.9% |
24パック | 0.8% |
25パック | 0.6% |
26パック | 0.5% |
27パック | 0.4% |
28パック | 0.3% |
29パック | 0.3% |
30パック | 0.2% |
これを見ると分かるように、10パック連続で当たらない確率は、10%を越えている。
時々、10パック連続ハズレパックを引いて詐欺にあったみたいな言い方をする人もいるが、別に珍しくもなんともない。10パック連続でハズレパックを引く確率はコインを3回投げて全て裏になる確率とほぼ同じだ。
そして、そういう人に限って、自分が今まで当てているところを棚に上げる傾向にある。
例えば、アタリパックを「○」、ハズレパックを「×」として――
×××○××○○××××○××○×××××××××××
となっていたとすれば、一番最後の11パック連続ハズレのみを持ち出して、全然当たらないと騒ぐわけである。
全体的なところを考慮すれば、平均並であるのに……。
自分が運が悪いと思う人は、単に自分が被害妄想に陥っている可能性がある。
一度最初から記録をつけて調べてみるべきだろう。
それでも、アタリパックが妙に当たらないという場合は、サーチされてハズレパックしか残っていない可能性がある。
この場合は、箱買いをするか、店員がパックを取るタイプのお店で買うようにしよう。
4節まではレア度だけの確率を見て、それがどのカードかはまったく見ていなかった。同じスーパーレアならば、ライトニング・ボルテックスだろうが鳳凰神の羽根だろうが構わなかったのである。
そこで、ここからは特定のカードが欲しいという面から確率を見ていくことにしよう。
ちなみに、特定のカードだけを対象にしているので、同じ名前のカードであれば、スーパーレア仕様でもアルティメットレア仕様でも、ひとまとめにして考えていくので注意して欲しい。
レア度ごとに確率をまとめればいこう。
さすがにいちいち計算方法を書き出しても退屈なので、スーパーレアのみ取り上げる。
この確率を求めるのは簡単で、「スーパーレアカードが当たる確率」を「封入しうるスーパーレアの数」で割ればよい。
すなわち、スーパーレアは30パック中3.95枚手に入るので、それをスーパーレアの数7で割ればいいのだ。
すると、特定のスーパーレアカードが当たる確率は、30パック中0.56枚となる。おおよそ2箱に1枚ということである。
同じようにして他のレア度についても確率を求め、それらをまとめた表を以下に示す。
レア度 | 1箱あたりの 枚数 |
パック毎の 枚数 |
1パックで当たる 確率 |
1枚当てるまでの 平均投資金額 |
---|---|---|---|---|
ノーマル | 1箱に3.34枚 | 8.97パックに1枚 | 11.14% | 1346円 |
銀文字のレア | 1箱に1.96枚 | 15.27パックに1枚 | 6.55% | 2291円 |
スーパーレア (アルティメット仕様含む) |
1箱に0.56枚 | 53.10パックに1枚 | 1.88% | 7966円 |
ウルトラレア (アルティメット仕様含む) |
1箱に0.39枚 | 77.65パックに1枚 | 1.28% | 11647円 |
「FLAMING ETERNITY」のパックを例に挙げれば――
これだけ見ると、パック買いだと損な買い物だと思えてくるだろう。
もちろん、普通はカード1枚のためだけにパックを買うことは滅多にないので、上の例は多少極端ではある。
けれども、すでに何パックも購入し欲しいカードが数枚に限定されてきたのなら、パック買いを終了した方が良いことは事実。
トレードやシングル購入で欲しいカードを手に入れた方が、やはり効率的なのだ。
もっとも、コナミにはお金は入らなくなるけどね。
遊戯王カードは箱で買うと、必ずスーパーレア3枚、ウルトラレア1枚、アルティメットレア1枚か2枚が手に入る。
しかも、このスーパーレア以上のカードはだぶつくことがない。3枚とも別名カードなのだ。
ここで、パックをバラで買っていった場合を考えてみる。
バラで30パック(1箱相当)を買った時点でスーパーレアが3枚当たるとすれば、それらが全て別名のカードである確率は61%。
つまり、半分近くの確率でダブリが出てしまうのだ。
また、銀文字のレアカードについても、箱で買えば偏りが少なくなるようになっており、1箱買えばほぼ確実コンプリートする。
レアは14種類もあるので、パックをバラで買っていった場合、30パック目でコンプリートする確率は相当低くなる。
このため、欲しいカードが複数ある場合は箱買いの方がオススメ。
確率の面から見れば、偏らない保証があるのは非常に心強い。
ただし、欲しいカードの種類が少ない場合は、ダブリはほとんど関係なくなるので、箱買いが絶対にいいと決まったわけではない。
……4500円は高いしね。
シングルカード(カード単体での売買)の中には、1枚で1000円を越えるカードも少なくない。損をさせられている気分になるかもしれない。
だが、パックにおける封入率を考えるとシングルカードほど効率のいいものはないのだ。
既にパックを十分に購入して欲しいカードが限られてきたなら、なおさらだ。
パック買いのみで粘っても、欲しいカードが出る確率を考えると、相当なお金を費やしてしまうことは否定できない。
特に、パックカードのコンプリートを目的としている場合、シングルカードなしでは福沢諭吉を何枚も生け贄に捧げなければならない。
このため、パック買いは程々で止め、残りはシングルカードに頼るのが、財布には一番良い。
むしろ、パックを一切買わずにシングルカードだけ買っていった方が得をする場合も少なくない。
――とまあ、ここまでいろいろ確率に関する話、特にお金の節約を第一に考えてきた。
だからと言って、「パック買いは程々にシングルカードを買え」などと言いたいわけではない。
一番大事なのは、カードそのものではない。
例えば、パックを買うことには、どんなカードが入っているかという期待感もある。開ける瞬間までのワクワク感で、150円の50円分くらいの価値はあるかもしれない。
それに、金銭面での効率が良いシングルカードでも、「発売日から遅い」「探すのが大変」「ネット上だと面倒な手続きが必要」という欠点がある。
例えば、発売直後に欲しいカードがあっても1日以内で手に入れることはまず不可能。
安値でカードを手に入れても、手に入れるまでに1時間、2時間と時間を費やしていれば、人によっては損したと感じるだろう。
できるだけお金を使わずに、いいカードをたくさん手に入れれば良いのではない。
あくまで遊戯王OCGは「ゲーム」であり、ゲームである以上、楽しまなければ意味がないのである。
そして、楽しみ方は人それぞれ。
カードをコレクションするためにお金や時間をかけるのもいいだろう。
勝利を目指し、最強のデッキとプレイングのために精を出すのもいいだろう。
友達とのコミュニケーションツールとするのもいいだろう。
傍から見れば、時間を無駄に費やしているようでも、お金を無駄に費やしているようでも、自分にとってそれに意味があれば、無駄ではないのである。
自分の感性に応じて、パックの封入率やそのために必要なお金を多少なりとも意識していければ、より遊戯王OCGを楽しめるであろう。よし、うまくシメたぞ。
最後にオマケとして、第4期復刻版であるビギナーズエディションとエキスパートエディションについての確率を以下に載せる。
特に明記していない部分は、ビギナーズエディション、エキスパートエディションともに共通である。
レア度 | 1箱あたりの 枚数 |
パック毎の 枚数 |
1パックで当たる 確率 |
1枚当てるまでの 平均投資金額 |
---|---|---|---|---|
銀文字のレア | 1箱に21枚 | 1.14パックに1枚 | 87.5% | 343円 |
スーパーレア | 1箱に6枚 | 4パックに1枚 | 25% | 1200円 |
ウルトラレア | 1箱に3枚 | 8パックに1枚 | 12.5% | 2400円 |
レア度 | 1箱あたりの 枚数 |
パック毎の 枚数 |
1パックで当たる 確率 |
1枚当てるまでの 平均投資金額 |
---|---|---|---|---|
スーパーレア +ウルトラレア |
1箱に9枚 | 2.67パックに1枚 | 37.5% | 800円 |
パックの数 | 連続ハズレ確率 |
---|---|
1パック | 62.5% |
2パック | 39.1% |
3パック | 24.4% |
4パック | 15.3% |
5パック | 9.5% |
6パック | 6.0% |
7パック | 3.7% |
8パック | 2.3% |
9パック | 1.5% |
10パック | 0.9% |
11パック | 0.6% |
12パック | 0.4% |
レア度 | 1箱あたりの 枚数 |
パック毎の 枚数 |
1パックで当たる 確率 |
1枚当てるまでの 平均投資金額 |
---|---|---|---|---|
ノーマル (ビギナーズエディション1、2) |
1箱に1.41枚 | 17.01パックに1枚 | 5.88% | 5103円 |
ノーマル (エキスパートエディション1) |
1箱に1.29枚 | 18.57パックに1枚 | 5.38% | 5572円 |
ノーマル (エキスパートエディション2) |
1箱に1.64枚 | 14.62パックに1枚 | 6.84% | 4386円 |
銀文字のレア | 1箱に0.7枚 | 34.29パックに1枚 | 2.92% | 10286円 |
スーパーレア | 1箱に0.3枚 | 80パックに1枚 | 1.25% | 24000円 |
ウルトラレア | 1箱に0.2枚 | 120パックに1枚 | 0.83% | 36000円 |
ちなみにエキスパートエディション2は予想。間違ってはいないと思うが……。
表を見れば分かるけれども、特定のカードを手に入れるために買い続けるのは、ものすごくお金を費やしてしまうところに注意。
いろんなカードが欲しいという目的で買うことを勧める。